説明

ヒト脂質組成物ならびにその製造および使用方法

本開示は、ヒト脂質を含有する組成物の製造方法を特徴とする。該方法は、ヒト全乳を入手すること;該乳をクリーム部分と脱脂部分とに分離すること;該クリーム部分を加工処理すること;および該加工処理されたクリーム部分を低温殺菌することを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年12月8日提出の米国特許仮出願第60/869150号に基づく優先権を主張する。米国特許仮出願第60/869150号の内容は、参照によりその全体で本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、ヒト乳からの脂質を含有する組成物、ならびにこのような組成物の製造および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
栄養補給は、それを必要とする患者へ例えば経腸でまたは非経口で(例えば、完全非経口栄養と呼ばれる方法で)投与できる。経腸および非経口製剤の両方とも、一般には、患者の必要に応じて、炭水化物、脂質、タンパク質、繊維、ならびに/あるいはビタミンおよびミネラルを含む。非経口製剤は、ヘパリン、H2遮断薬などの他の添加物を含むことができる。非経口製剤中で使用される脂質の供給源は、一般に、ウシ乳、大豆、ベニバナ油、オリーブ油、および魚油である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ヒト乳からの脂質を含有する組成物、このような組成物を得る方法、およびこのような組成物を使用して患者、例えばヒト患者に栄養を供給する方法を特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
栄養補給は、それを必要とする患者へ、例えば経腸でまたは非経口で(例えば、完全非経口栄養と呼ばれる方法で)投与できる。経腸および非経口製剤の両方とも、一般には、患者の必要に応じて、炭水化物、脂質、タンパク質、繊維、ならびに/あるいはビタミンおよびミネラルを含む。非経口製剤は、ヘパリン、H2遮断薬などの他の添加物を含むことができる。非経口製剤中で使用される脂質の供給源は、一般に、ウシ乳、大豆、ベニバナ油、オリーブ油、および魚油である。本開示は、ヒト乳からの脂質を含有し、ヒト患者へ栄養補給を提供するのに使用できる組成物を特徴とする。該組成物は、オメガ−3および/またはオメガ−6脂肪酸(およびそれらの誘導体および前駆体)を含有することができる。組成物は、所望なら、例えば乳化剤、保存剤および/またはその他の栄養構成成分で補足され得る。理論によって制約されるものではないが、ヒト脂質の使用は、非ヒト脂質供給源を含むTPNを受け入れている患者に発生し得る肝臓傷害の発生率を低下させることができると考えられている。経腸組成物中でのヒト脂質の使用は、非ヒト脂質と比較すると、より有利であり得る。
【0006】
本明細書で特徴とする方法は、大容積の出発原料、例えば、ヒト乳またはプールしたヒト乳を用いて実施できる。容積は、出発原料1ロット当たり約75リットル〜約2,000リットルの範囲でよい。
【0007】
一態様において、本開示は、ヒト脂質を含有する組成物の製造方法を特徴とする。該方法は、(a)ヒト全乳を入手すること、(b)該乳をクリーム部分と脱脂部分に分離すること、(c)該クリーム部分を加工処理すること、および(d)該加工処理したクリーム部分を低温殺菌することを含み、それによって、ヒト脂質を含有する組成物を得る。
【0008】
実施形態は、次の特徴の1つ以上を含む。
【0009】
一実施形態において、入手する工程は、約75リットル〜約2,000リットルのヒト全乳を入手することを含む。
【0010】
別の実施形態において、該方法は、(i)工程(b)で得られるクリーム部分を第2クリーム部分と第2脱脂部分とに分離すること、および(ii)工程(c)で該クリーム部分と該第2クリーム部分との両方を加工処理することをさらに含む。
【0011】
さらに別の実施形態において、該方法は、また、工程(b)の後に、脱脂部分から水を濾過することを含む。クリーム部分を加工処理することには、クリーム部分を水に懸濁することが含まれる。
【0012】
別の実施形態において、工程(c)でクリーム部分を加工処理することには、クリーム部分からタンパク質成分を沈殿させること、および/またはクリーム部分から沈殿したタンパク質を分離することが含まれる。クリーム部分を加工処理することには、クリーム部分を精製すること、例えば、クリーム部分を透析濾過することが含まれる。加工処理には、限外濾過をさらに含めることができる。該方法は、工程(c)の後に、乳化剤、保存剤(例えば、酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、ビタミンC、カロチノイド、およびレチノイド)、希釈剤、および浸透圧調整剤(osmolality modifier)(例えば、グリセリン)からなる群から選択される1種以上の構成成分を添加することをさらに含む。該方法は、工程(c)の後に、ビタミン、ミネラル、および炭水化物からなる群から選択される1種以上の構成成分を添加することをさらに含む。
【0013】
一実施形態において、該方法は、対象、例えばヒト対象、例えばヒト幼児、例えば未熟児に、工程(d)の後に得られる組成物を投与することをさらに含む。該対象は、栄養疾患または障害を有する場合がある。該投与は、非経口投与、例えば完全非経口栄養投与の一部である。
【0014】
別の態様において、本開示は、ヒト脂質を含有する組成物の製造方法を特徴とする。該方法は、(a)ヒト全乳を入手すること、(b)該乳をクリーム部分と脱脂部分とに分離すること、および(c)該クリーム部分を加工処理することを含み、それによって、ヒト脂質を含有する組成物を得る。
【0015】
実施形態は、次の特徴の1つ以上を含む。
【0016】
一実施形態において、入手する工程は、約75リットル〜約2,000リットルのヒト全乳を入手することを含む。
【0017】
別の実施形態において、該方法は、(i)工程(b)で得られるクリーム部分を第2クリーム部分と第2脱脂部分とに分離すること、および(ii)工程(c)で該クリーム部分と該第2クリーム部分の両方を加工処理することをさらに含む。
【0018】
さらに別の実施形態において、該方法は、工程(b)の後に脱脂部分から水を濾過することをさらに含む。加工処理することには、クリーム部分を水に懸濁することが含まれる。
【0019】
別の実施形態において、該方法は、工程(c)の後にクリーム部分を均質化することを含む。該方法は、工程(c)の後に、クリーム部分を低温殺菌することを含む。該方法は、工程(c)の後に、乳化剤、保存剤(例えば、酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、ビタミンC、カロチノイド、およびレチノイド)、希釈剤、および浸透圧調整剤(例えば、グリセリン)からなる群から選択される1種以上の構成成分を添加することをさらに含む。該方法は、工程(c)の後に、ビタミン、ミネラル、および炭水化物からなる群から選択される1種以上の構成成分を添加することをさらに含む。
【0020】
一実施形態において、該方法は、対象、例えばヒト対象、例えばヒト幼児、例えば未熟児に、工程(c)の後に得られる組成物を投与することをさらに含む。該対象は、栄養疾患または障害を有する場合がある。該投与は、経腸投与である。
【0021】
別の態様において、本開示は、ヒト乳からのヒト脂質画分および乳化剤を含有する組成物を特徴とする。
【0022】
実施形態は、次の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0023】
一実施形態において、ヒト脂質画分には、低温殺菌された脂質が含まれる。ヒト脂質画分は、ヒトの多不飽和脂肪酸、例えばオメガ−3脂肪酸および/またはオメガ−6脂肪酸を含む。該組成物は、1種以上の構成成分、例えば、酸化防止剤(例えば、α−トコフェロール、ビタミンC、カロチノイド、およびレチノイド)、希釈剤、浸透圧調整剤(例えば、グリセリン)、ビタミン、ミネラル、および/または炭水化物をさらに含有する。
【0024】
本開示は、また、栄養性疾患または障害を有する対象の治療方法を特徴とする。該方法は、対象に本明細書で特徴とされる組成物(例えば、ヒト乳からのヒト脂質画分および乳化剤を含有する組成物)を投与し、それによって対象を治療することを含む。該対象は、ヒト対象、例えばヒト幼児、例えば未熟児である。
【0025】
用語「未熟」、「早産」、および「低出生体重(LBW)」幼児は、互換的に使用され、37週未満の妊娠期間および/または2500g未満の出産体重で生まれた幼児を指す。
【0026】
「全乳」とは、脂肪が除去されていないヒト乳を意味する。
【0027】
本明細書中で使用される用語「重病患者」は、未熟による消化管の完全または部分的機能不全;手術などの損傷、癌、急性糖尿病、AIDS、栄養失調、トラウマ、潰瘍性大腸炎、壊死性腸炎、または敗血症などの疾患もしくはストレスを患う患者を指す。用語「重病患者」は、本明細書中で使用される場合、異化亢進性患者も含むと解釈される。これらの重病の個人は、入院させられることが多く、タンパク質合成を持続するため、栄養不良になる可能性を最小にするため、栄養状態を維持するため、または栄養状態を改善するため、彼らの日常的栄養必要量のほとんどまたはすべてを経腸または非経口で投与すべきである。
【0028】
本明細書中で引用するすべての特許、特許出願、および参考文献は、参照によりその全体で援用される。別途定義しない限り、本明細書中で使用される技術および科学用語は、当業者によって通常的に理解されているのと同様の意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】TPNのためのヒト脂質を含有する組成物を製造する実施形態のフローチャートである。
【図2】経腸投与のためのヒト脂質を含有する組成物を製造する実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、ヒト乳からの脂質を含有する組成物、このような組成物を得る方法、およびこのような組成物を使用して患者、例えばヒト患者に栄養を供給する方法を特徴とする。
【0031】
ヒト対象、例えば重病患者、術後患者、栄養性疾患または障害を患う患者、および/または未熟児は、栄養補給の投与を必要とすることが多い。栄養補給は、患者へ経腸でまたは非経口で(例えば、完全非経口栄養すなわち、TPNと呼ばれる方法で)投与できる。
【0032】
完全非経口栄養(TPN)は、摂食および消化を迂回する経静脈栄養供給の実施である。経腸栄養は、経管栄養、例えば経鼻胃栄養、経幽門栄養、および経皮栄養管の実施である。経腸および非経口製剤の両方とも、一般には、患者の必要に応じて、炭水化物、脂質、タンパク質、繊維、ならびに/あるいはビタミンおよびミネラルを含む。
【0033】
上述のように、脂質は、経腸および完全非経口栄養の両方の重要成分である。本開示は、ヒト脂質を含有し、かつ経腸および非経口栄養の両方、例えば未熟児用経腸および非経口栄養で使用できる組成物を得る方法を提供する。該組成物は、オメガ−3および/またはオメガ−6脂肪酸(およびそれらの誘導体および前駆体)を含有することができる。該組成物は、その他の構成成分、例えば、乳化剤、保存剤、希釈剤、浸透圧調整剤、および/またはその他の栄養成分(例えば、ビタミン、ミネラル、および/または炭水化物)で補充することができる。理論によって制約されるものではないが、ヒト脂質の使用は、非ヒト脂質供給源を含むTPNを受け入れている患者で発生する場合のある肝臓傷害の発生率を低下させることができると考えられている。経腸組成物中でのヒト脂質の使用は、非ヒト脂質の使用と比較すると、より有利であり得る。
【0034】
本明細書で特徴とする方法は、大容量の出発原料、例えば、ヒト乳、またはプールしたヒト乳を用いて実施できる。容積は、出発原料1ロット当たり約75リットル〜約2,000リットルの範囲でよい。
【0035】
経腸および非経口栄養
完全非経口栄養(TPN)は、摂食および消化を迂回する経静脈栄養の実施である。経腸栄養は、経管栄養、例えば経鼻胃栄養、経幽門栄養、および経皮栄養の実施である。各実施は、既知の利点および欠点を有し、熟練した医師は、個々の患者の必要に応じて他と比較して1つの方式を選択できる。経腸および非経口製剤の両方とも、一般には、患者の必要に応じて、炭水化物、脂質、タンパク質、繊維、ならびに/あるいはビタミンおよびミネラルを含む。非経口製剤は、ヘパリン、H2遮断薬などのその他の添加物を含むことができる。
【0036】
栄養補給を必要とする対象には、例えば、未熟児、術後患者、栄養疾患または障害を有する患者、および重病患者が含まれる。例えば、未熟児は、胃の能力の制約、奇形の器官、および/または代謝未熟を有し得る。術後患者は、みずから栄養を摂取する能力を有しない場合がある。重病患者は、種々の理由のため栄養補給を必要とし得る。重病患者としては、重症の火傷、トラウマ、および異化状態を有する患者を挙げることができる。
【0037】
補助栄養を必要とする患者の1つの群には、栄養不良を伴う患者が含まれる。例えば、タンパク質性カロリーの栄養不良は、アルコール性慢性肝疾患(Mendenhallら、Am. J. Med. 76:211-222, 1984; Mendenhallら、Am. J. Clin. Nutr. 43:213-218, 1986)および非アルコール性慢性肝疾患(O'Keefeら、Lancet 2:615-617, 1980; Morganら、Gut 1976;17:113-118)を有する患者における一般的な併発状態である。門脈圧亢進により併発した末期肝疾患を有する患者は、特に栄養不良である可能性が大きく、入院すると、能動的栄養療法を必要とすることが多い。慢性肝疾患における栄養不良の脂肪酸栄養に関する効果は、徹底的には研究されていないとはいえ、安静時エネルギー消費の増加、脂肪吸収不良および異常な脂肪異化のため、これらの患者は、脂肪酸代謝におけるかなりの異常性を有し得ると考えられている。(Cabreら、Am. J. Gastroent. 83:712-717, 1988; Palomboら、Gastroent. 93: 170-1177, 1987)。理論によって制約されるものではないが、このような攪乱に対する1つのあり得る機構は、包括的なタンパク質性カロリーの栄養不良の一部としての、必須脂肪酸の不十分な摂取である。
【0038】
糖類、電解質およびアミノ酸のみを含むTPN溶液を長期間投与される患者は、一般に、鱗片状発疹、湿疹様発疹、創傷治癒遅延、血小板減少、脂肪肥大、貧血などの必須脂肪酸欠乏症の症状を示す。該欠乏症は、TPNの開始から約4〜6週間以内に、特にエネルギー供給源が糖類のみの場合に発症する。このような必須脂肪酸欠乏症(日常の栄養を得ているヒトでは稀である)は、TPN療法中に必須脂肪酸に富む脂肪エマルジョンを同時に投与することによって回避できる。
【0039】
例えばオメガ−3脂肪酸を含む脂質エマルジョンまたはその他の製剤は、TPNおよび経腸栄養治療において使用される。例えば、それらは、重症トラウマの犠牲者および汎発性血管内凝固を有する対象を治療する上で有用である。
【0040】
ヒト乳に由来する脂質
上で言及したように、TPNで使用される脂質の供給源には、一般に、ウシ乳、大豆、オリーブ油、および魚油が含まれる。本開示は、ヒト乳からの脂質を得る方法、使用する方法を提供する。本明細書で特徴とする組成物は、オメガ−3およびオメガ−6脂肪酸の両方を含むことのできるヒト脂質を含有する。理論によって制約されるものではないが、TPNにおけるヒト脂質の使用は、非ヒト脂質供給源を含むTPNを享受する患者で発生し得る肝臓傷害の発生率を低下させることができると考えられている。同様に、ヒト脂質の使用は、経腸栄養で有益であり得る。
【0041】
ヒト乳は、約100,000種の異なる分子体−タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、および微量ミネラルを含有する。ヒト乳は、約3%〜5%の総脂質を含有し、該脂質は、分泌細胞に由来する膜で被覆された乳化性小球として存在する(Jensenら、J. Dairy Sci. 73:223-240, 1990)。ヒト乳中に存在する脂質には、トリアシルグリセロール(約98%)、リン脂質(約0.5〜1%)、およびステロール(約0.2〜0.5%、例えばコレステロール)が含まれる(Jensenら、同上)。トリアシルグリセロールは、例えば脂肪酸の貯蔵分子として役立つ。
【0042】
脂質中の異なる脂肪酸は、異なる生理学的、生化学的、およびいくつかの事例では薬学的な特性を有する。食物脂肪酸は、例えばそれらの鎖長により分類される。長鎖脂肪酸は、16個以上の炭素を含み、それらの構造中に含まれる二重結合の数によってさらに(飽和、モノ不飽和、および多不飽和のサブグループに)特徴付けることができる。ヒトの栄養で必須である2種の脂肪酸は、リノール酸およびα−リノレン酸であり、それらから、それぞれオメガ−6系列およびオメガ−3系列の多不飽和脂肪酸(PUFA)が形成される。オメガ−3脂肪酸の例には、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれる。オメガ−6脂肪酸の例には、γ−リノール酸(GLA)、ジホモ−γ−リノール酸(DGLA)、およびアラキドン酸(AA)が含まれる。身体は、オメガ−3脂肪酸をオメガ−6脂肪酸に転換することができず、その逆もできない。
【0043】
ヒト乳中の脂質は、母乳育ちの乳児にとってエネルギーの主要供給源であり、脂溶性ビタミンおよびPUFAなどの必須栄養素を提供する。長鎖多不飽和脂肪酸(LC-PUFA)は、細胞膜の鍵となる構造要素であり、周産期発育の間に成長している脳および網膜に蓄積される。前以て形成されたLC−PUFAのヒト乳脂質への添加は、受容幼児における1歳未満での視力の向上および認知機能の発達に関連していることが示されている。
【0044】
ヒト乳の脂肪酸含有量は、母親の食事に応じて変動し得る。例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)は、炭素が20個のオメガ−3脂肪酸である。母親が高DHAの魚を食べることが多いと、その乳は、一般に、魚を摂取することの少ない母親の乳に比べて、より高い濃度のDHAを含む。結果として、ヒト乳は、十分な量のDHAを保証するためにDHAの補給を必要とし得る。DHA補給は、典型的には、アラキドン酸の補給を伴う。例えば、米国特許第5492938号には、渦鞭毛藻類(dinoflagellate)からDHAを得る方法、および医薬組成物および食事補給におけるその使用が記載されている。
【0045】
本明細書に記載の方法は、特定量の所望される有益なオメガ−3およびオメガ−6脂肪酸を含有する組成物を生成することを含む。
【0046】
ヒト乳の供与者
本明細書で特徴とされる方法の出発原料は、ヒト乳である。ヒト乳は、例えば2007年11月29日出願の米国特許出願第11/947580号、および米国特許出願第11/526127号(米国特許出願公開第2007/0098863号)中に記載されている組織的方法によって供与者から収集される。両出願の内容は、参照によりその全体で本明細書に援用される。本明細書中で特徴とされる方法は、大容積のヒト乳、例えば、プールしたヒト乳を用いて実施できる。容積は、出発原料1ロット当たり約75リットル〜約2,000リットルの範囲でよい。乳を収集したら、それを冷凍し、プールし、加工処理して、ヒト脂質の組成物を得ることができる。
【0047】
TPNのためのヒト脂質組成物を得る方法
本明細書に記載の方法は、例えばTPN投与に適したヒト脂質組成物を作り出す。該方法は、以下でさらに説明するように、2007年11月29日出願の米国特許出願第11/947580号(参照によりその全体で本明細書に援用される)中に記載されているヒト乳強化剤(HMF)を得る方法の中で作り出されるいくつかの成分を利用する。
【0048】
図1の工程1を参照すると、ヒト乳は、前述のように供与者から得られる。冷凍するなら、米国特許出願第11/947580号に記載のように、乳を解凍し、プールし、約25℃まで温め、汚染物質、例えばウイルス汚染について遺伝子的にスクリーニングする。次いで、乳を、例えば約200ミクロンのフィルターを通す濾過、および熱処理(約63℃以上で約30分以上)にかける。乳を、分離機、例えば遠心分離機に移送し、クリームを脱脂部分から分離する(工程2)。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質懸濁液Aと呼ぶ。脱脂部分は、例えば濾過工程まで、第2加工処理タンク中に移送できる。
【0049】
任意選択の工程3では、さらなる脱脂部分を除去するために、クリーム成分を(例えば、遠心分離により)もう一度分離することができる。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質ペーストを呼ぶ。
【0050】
任意選択の工程4では、該粗ヒト脂質ペーストを、米国特許出願第11/947580号のHMF製造工程からの過剰透過液中に再懸濁することができる。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質懸濁液A1と呼ぶ。HFM工程では、クリームと脱脂部分との分離に続いて、脱脂部分を、さらに、濾過、例えば限外濾過にかける。限外濾過は、静水圧によって液体を半透膜に押し込む膜濾過の1種であり、水および低分子量溶質は膜を通過するが、固体および高分子量溶質は保持される。ここで、この工程は、水を濾別することにより、脱脂乳中の栄養素を濃縮する。濃縮の際に得られる水は、透過液(permeate)と呼ばれる。この透過液は、本方法の任意選択の工程4で使用できる。
【0051】
工程5では、脂質に結合していない残留タンパク質成分を、種々のパラメーター(例えば、温度、イオン強度、および溶媒(例えば、エタノールまたはポリエチレングリコール(PEG))濃度)を操作することによって溶液から沈殿させることができる。このような沈殿技術は、当業者に周知である。沈殿したタンパク質は、種々の栄養補給物中で使用できる。
【0052】
工程6では、沈殿したタンパク質を、液状懸濁液から分離できる(例えば、遠心分離により)。この加工処理中間体を、ヒト脂質懸濁液Bと呼ぶ。
【0053】
任意選択の工程7では、脂質懸濁液から、溶性または不溶性の塩、その他のイオン、および小分子体を精製工程(例えば、透析濾過)を介して除去できる。透析濾過は、塩または溶媒を除去するか、その濃度を低下させるのに、あるいは脂質などの大型分子を含む溶液から緩衝塩類を戻すのに、限外濾過膜を使用する方法である。この加工処理中間体を、透析濾過物Aと呼ぶ。任意選択の工程8では、該透析濾過物を(例えば、限外濾過により)脱水することができる。この加工処理中間体を、精製ヒト脂質懸濁液と呼ぶ。
【0054】
任意選択の工程9では、得られる組成物にさらなる構成成分を添加できる。構成成分としては、乳化剤、保存剤、希釈剤、浸透圧調整剤、および栄養成分(例えば、ミネラル、ビタミン、および炭水化物)を挙げることができる。このような構成成分の例については、後で考察する。
【0055】
工程10では、精製ヒト脂質懸濁液を低温殺菌して最終製品を得る。低温殺菌法は、当技術分野で周知である。例えば、懸濁液は、空気空間を約69℃に維持し、最低でも約66℃で最低約30分間低温殺菌することができる。一実施形態において、低温殺菌は、短時間(約10分未満)および超高温低温殺菌とすることができる。
【0056】
所望であれば、これら工程の具体的な順序および/または組合せを調整できる。
【0057】
経腸投与のためのヒト脂質組成物を得る方法
本明細書に記載の方法は、例えば、経腸投与に適したヒト脂質組成物を作り出す。該方法は、以下でさらに説明するように、2007年11月29日出願の米国特許出願第11/947580号中に記載されているヒト乳強化剤(HMF)を得る方法で作り出されるいくつかの成分を利用する。
【0058】
図2の工程1を参照すると、ヒト乳は、前述のように供与者から得られる。冷凍するなら、米国特許出願第11/947580号に記載のように、乳を解凍し、プールし、約25℃まで温め、汚染物質、例えばウイルス汚染について遺伝子的にスクリーニングする。次いで、乳を、例えば約200ミクロンのフィルターを通す濾過、および熱処理(約63℃以上で約30分以上)にかける。乳を、分離機、例えば遠心分離機に移送し、クリームを脱脂部分から分離する(工程2)。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質懸濁液と呼ぶ。脱脂部分を、例えば濾過工程までに、第2加工処理タンク中に移送できる。
【0059】
任意選択の工程3では、さらなる脱脂部分を除去するために、クリーム成分を(例えば、遠心分離により)もう一度分離できる。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質ペーストと呼ぶ。
【0060】
任意選択の工程4では、該粗ヒト脂質懸濁液または該粗ヒト脂質ペーストのどちらかを、HMF製造工程(米国特許出願第11/947580号)からの過剰な透過液中に再懸濁して特定の液体密度を達成できる。この加工処理中間体を、規格化ヒト脂質懸濁液と呼ぶ。HMF工程では、クリームと脱脂部分との分離に続いて、脱脂部分を、さらに、濾過、例えば限外濾過にかける。この工程は、水を濾別することにより、脱脂乳中の栄養素を濃縮する。濃縮の際に得られる水は、透過液と呼ばれる。この透過液は、本方法の任意選択の工程4で使用できる。
【0061】
任意選択の工程5では、得られる組成物にさらなる構成成分(群)を添加することができる。構成成分としては、乳化剤、保存剤、希釈剤、浸透圧調整剤、および栄養成分(例えば、ミネラル、ビタミン、および炭水化物)を挙げることができる。このような構成成分の例については、後で考察する。
【0062】
任意選択の工程6では、当業者によく知られた任意の方法を使用して、規格化ヒト脂質懸濁液を均質化する。均質化は、膜からリン脂質を除去する。均質化工程は、工程6の工程よりも前に実施できる。
【0063】
任意選択の工程7では、規格化脂質懸濁液(均質化されたまたはされていない)を、適切な容器(例えば、瓶または経口用シリンジ)に充填するのに先立って低温殺菌することができる。低温殺菌法は、当技術分野で周知であり、例えば、懸濁液を、空気空間を約69℃に維持し、最低でも約66℃で最低約30分間低温殺菌することができる。一実施形態において、低温殺菌は、短時間(約10分未満)および超高温低温殺菌でよい。
【0064】
所望であれば、上に概略を示した工程の具体的な順序および/または組合せを調整できる。
【0065】
TPNおよび経腸投与のためのヒト脂質組成物
本開示は、例えばTPNおよび経腸投与で有用なヒト脂質組成物を特徴とする。該組成物は、本明細書中で考察される方法によって得ることができる。
【0066】
一実施形態において、組成物は、ヒト脂質画分を含有する。該脂質画分は、低温殺菌できるか、かつ/または多不飽和脂肪酸、例えば、オメガ−3およびオメガ−6脂肪酸(またはそれらの誘導体または前駆体)を含有できる。該組成物は、非経口または経腸で投与できる。投与される組成物の脂質画分は、対象にエネルギー供給源を提供できる。
【0067】
別の実施形態において、組成物は、ヒト脂質および乳化剤を含有することができる。乳化剤としては、例えば、卵黄リン脂質、水素添加(hydrogenated)卵黄リン脂質、大豆リン脂質、水素添加大豆リン脂質、または非イオン界面活性剤を挙げることができる。乳化剤は、例えば、精製卵黄レシチン、精製大豆レシチン、およびこれらの水素化誘導体、非イオン界面活性剤(ポリソルベート80およびHCO−60など)であることもできる。1種以上の乳化剤を、本発明の経腸および非経口組成物と組み合わせて使用することもできる。
【0068】
一実施形態において、本明細書に記載の組成物は、約1〜20%(全乳化組成物のw/v)の乳化剤;約0.5〜50%(w/v)、例えば5〜30(w/v)のオイル;約0.1〜80%(w/v)、例えば0.1〜20%(w/v)のリン脂質;および約0.5〜5%のオメガ−3脂肪酸またはその誘導体を含有することができる。
【0069】
組成物は、また、組成物の粘度を制御するための浸透圧調整剤、例えば多価アルコールを含有することができる。多価アルコールとしては、例えば、グリセロールおよび多価糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール)を挙げることができる。その他の浸透圧調整剤としては、グリセリン、アラニン、滅菌水、および当技術分野で周知のその他の調整剤を挙げることができる。1種以上の浸透圧調整剤を、本組成物と組み合わせて使用することもできる。
【0070】
任意選択で、本明細書に記載の経腸および非経口組成物は、その他の構成成分、例えば、脂肪酸のモノグリセリド、希釈剤(例えば、糖類、デンプン、乳糖、蔗糖)、保存剤(例えば、酸化防止剤および抗菌剤)、安定性を調整するための成分(例えば、アミノ酸)、炭水化物(例えば、果糖およびブドウ糖)、ビタミン、およびミネラルを含有できる。
【0071】
組成物に酸化防止剤を添加して、例えば、不飽和のオメガ−3およびオメガ−6脂肪酸(およびそれらの前駆体および誘導体)を酸化から保護することができる。このような酸化防止剤としては、α−トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンC、カロチノイド、またはレチノイドを挙げることができる。生物膜中に投与および組み込んだ後に不飽和オメガ−3脂肪酸を酸化から保護するその他の酸化防止剤を使用することもできる。
【0072】
本明細書で特徴とする乳液組成物は、当技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、適切な混合装置中で、脂質を、水相、リン脂質(および任意選択のその他の乳化剤)、および補助剤と混合することができる。次いで、ブレンドを所望の粒径まで均質化する。
【0073】
組成物は、A−カラゲナンなどの安定剤を含有することもできる。A−カラゲナンは、ゲル構造を形成しないで、製剤の粘度を増加させ、それによって、製剤中に含められた場合の不溶性カルシウムおよびリン塩の沈殿を遅延させる。キサンタンガムまたはその他の標準的安定剤を使用することもできる。
【0074】
乳液に香味料(flavoring)を添加して、乳液を経腸的使用にとってより味のよいものにすることもできる。香味料は、風味抽出物、揮発性オイル、チョコレート香味料、ピーナッツバター香味料、クッキー粉、バニラ、または任意の市販の香味料の形態でよい。
【0075】
組成物の使用
本明細書で特徴とする組成物は、栄養補給を必要とする対象、例えばヒト対象、例えば、重病患者、術後患者、栄養疾患または障害を患う患者、および/または未熟児に投与できる。
【0076】
本開示の実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱しないで、本明細書に示したものとは異なる仕方で実施することができる。したがって、実施形態は、すべての点で例示であり、限定するものではないと見なされるべきである。
【実施例1】
【0077】
TPNのためのヒト脂質組成物の取得
次の方法を使用して、TPN投与のためのヒト脂質組成物を得る。この方法は、以下でさらに説明するように、2007年11月29日出願の米国特許出願第11/947580号中に記載のヒト乳強化剤(HNF)を得る方法中で作り出されるいくつかの成分を利用する。
【0078】
1.全乳を、解凍し(凍結されているなら)、プールし、任意の汚染物質、例えばウイルス汚染について、米国特許出願第11/947580号に記載されているように遺伝子的にスクリーニングする。
【0079】
2.全乳を、ほぼ25℃まで温め、脱脂乳とクリーム成分とに分離する(例えば遠心分離で)。例えば、分離は、米国特許出願第11/947580号中でHMFの製造に関して記載されているように行なわれる。全乳を、25℃まで温め、濾過し(例えば、約200ミクロンのフィルターを通して)、約63℃以上で約30分間加熱処理し、分離機、例えば遠心分離機に移送する。クリームと脱脂部分とに分離した後、該クリームの加工処理中間体を、粗ヒト脂質懸濁液Aと呼ぶ。
【0080】
3.任意選択で、該クリーム成分を、さらなる脱脂部分を除去するために、もう一度分離する(例えば、遠心分離により)。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質ペーストと呼ぶ。
【0081】
4.任意選択で、該ヒト脂質ペーストを、米国特許出願第11/947580号のHMF製造工程からの過剰透過液中に再懸濁する。HMF製造工程では、クリームから分離される脱脂部分を、水を濾別するために、さらなる濃縮、例えば限外濾過にかける。濾別された水は、透過液と呼ばれる。この透過液は、本明細書に記載の方法で使用できる。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質懸濁液A1と呼ぶ。
【0082】
5.脂質と結合していない任意の残存タンパク質成分を、種々のパラメーター(例えば、温度、イオン強度、および溶媒(例えば、エタノールまたはPEG濃度))を操作することによって溶液から沈殿させる。これらの技術は、当業者に周知である。
【0083】
6.沈殿したタンパク質を、脂質懸濁液から分離する(例えば、遠心分離により)。この加工処理中間体を、ヒト脂質懸濁液Bと呼ぶ。
【0084】
7.任意選択で、溶性および不溶性の塩、その他のイオン、および小分子体を精製工程(例えば、透析濾過)を介して脂質懸濁液から除去する。この加工処理中間体を、透析濾過物Aと呼ぶ。
【0085】
8.透析濾過物を脱水する(例えば、限外濾過により)。この加工処理中間体を、精製ヒト脂質懸濁液と呼ぶ。所望であれば、乳化剤および/または保存剤を添加する。
【0086】
9.精製ヒト脂質懸濁液を低温殺菌して最終製品を得る。
【実施例2】
【0087】
経腸栄養のためのヒト脂質組成物の取得
次の方法を使用して、経腸投与のためのヒト脂質組成物を得る。この方法は、以下でさらに説明するように、2007年11月29日出願の米国特許出願第11/947580号中に記載のヒト乳強化剤(HMF)を得る方法中で作り出されるいくつかの成分を利用する。
【0088】
1.全乳を、解凍し(凍結されているなら)、プールし、任意の汚染物質、例えばウイルス汚染について、米国特許出願第11/947580号に記載されているように遺伝子的にスクリーニングする。
【0089】
2.全乳を、ほぼ25℃まで温め、脱脂乳とクリーム成分とに分離する(例えば、遠心分離で)。例えば、分離は、米国特許出願第11/947580号中でHMFの製造に関して記載されているように行なわれる。全乳を、25℃まで温め、濾過し(例えば、約200ミクロンのフィルターを通して)、約63℃以上で約30分間加熱処理し、分離機、例えば遠心分離機に移送する。クリームと脱脂部分とに分離した後、クリームの加工処理中間体を、粗ヒト脂質懸濁液と呼ぶ。
【0090】
3.任意選択で、該クリーム成分を、さらなる脱脂を除去するために、もう一度分離する(例えば、遠心分離により)。この加工処理中間体を、粗ヒト脂質ペーストと呼ぶ。
【0091】
4.任意選択で、該粗ヒト脂質懸濁液または粗ヒト脂質ペーストのどちらかを、HMF製造工程(米国特許出願第11/947580号)からの過剰透過液中に再懸濁して特定の脂質密度を達成する。HMF製造工程では、クリームから分離される脱脂部分を、水を濾別するために、さらなる濃縮、例えば限外濾過にかける。濾別された水を、透過液と呼ぶ。この透過液は、本明細書に記載の方法で使用できる。この加工処理中間体を、規格化ヒト脂質懸濁液と呼ぶ。
【0092】
5.任意選択で、規格化ヒト脂質懸濁液を均質化する。
【0093】
6.任意選択で、規格化懸濁液を、適切な容器(例えば、瓶または経口シリンジ)中に充填するに先立って低温殺菌する。
【0094】
本発明の範囲または以下の特許請求範囲の精神から逸脱しない、本明細書に記載の本発明の他の変形形態および実施形態も、当業者にとっていまや明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト脂質を含有する組成物の製造方法であって、該方法が、
(a)ヒト全乳を入手すること;
(b)前記乳をクリーム部分と脱脂部分とに分離すること;
(c)前記クリーム部分を加工処理すること;
(d)前記加工処理されたクリーム部分を低温殺菌することを含み、それによってヒト脂質を含有する組成物を得る方法。
【請求項2】
入手する工程が、約75リットル〜約2,000リットルのヒト全乳を入手することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)工程(b)で得られる前記クリーム部分を第2クリーム部分と第2脱脂部分とに分離すること;および
(ii)工程(c)で、前記クリーム部分および前記第2クリーム部分の両方を加工処理すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)の後に、前記脱脂部分から水を濾過することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記クリーム部分を加工処理することが、前記クリーム部分を水中に懸濁させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)における前記クリーム部分を加工処理することが、前記クリーム部分からタンパク質成分を沈殿させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記クリーム部分から沈殿したタンパク質を分離することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記クリーム部分を加工処理することが、前記クリーム部分を精製することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記精製が、透析濾過を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
限外濾過することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)の後に、乳化剤、保存剤、希釈剤、および浸透圧調整剤からなる群から選択される1種以上の構成成分を添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記保存剤が、酸化防止剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化防止剤が、α−トコフェロール、ビタミンC、カロチノイド、およびレチノイドからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記浸透圧調整剤が、グリセリンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)の後に、ビタミン、ミネラル、および炭水化物からなる群から選択される1種以上の構成成分を添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(d)の後に得られる前記組成物をヒト対象に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、未熟児である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、栄養疾患または障害を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記投与が、非経口投与である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記投与が、完全非経口栄養投与の一部である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ヒト脂質を含有する組成物の製造方法であって、
(a)ヒト全乳を入手すること;
(b)前記乳をクリーム部分と脱脂部分とに分離すること;
(c)前記クリーム部分を加工処理すること
を含み、それによってヒト脂質を含有する組成物を得る方法。
【請求項22】
前記入手する工程が、約75リットル〜約2,000リットルのヒト全乳を入手することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(i)工程(b)で得られる前記クリーム部分を第2クリーム部分と第2脱脂部分とに分離すること;および
(ii)工程(c)で、前記クリーム部分および前記第2クリーム部分の両方を加工処理すること
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
工程(b)の後に、前記脱脂部分から水を濾過することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記クリーム部分を加工処理することが、前記クリーム部分を水中に懸濁させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程(c)の後に、前記クリーム部分を均質化することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
工程(c)の後に、前記クリーム部分を低温殺菌することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
工程(c)の後に得られる前記組成物をヒト対象に投与することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、未熟児である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、栄養疾患または障害を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記投与が、経腸投与である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ヒト乳からのヒト脂質画分および乳化剤を含有する組成物。
【請求項33】
前記ヒト脂質画分が、低温殺菌された脂質を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記ヒト脂質画分が、ヒトの多不飽和脂肪酸を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記脂肪酸が、オメガ−3脂肪酸である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記脂肪酸が、オメガ−6脂肪酸である、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
酸化防止剤、希釈剤、および浸透圧調整剤からなる群から選択される構成成分をさらに含有する、請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
前記酸化防止剤が、α−トコフェロール、ビタミンC、カロチノイド、およびレチノイドからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記浸透圧調整剤が、グリセリンを含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
ビタミン、ミネラル、および炭水化物からなる群から選択される構成成分をさらに含有する、請求項32に記載の組成物。
【請求項41】
栄養疾患または障害を有する対象の治療方法であって、前記対象に請求項32に記載の組成物を投与することを含み、それによって前記対象を治療する方法。
【請求項42】
前記対象が、ヒト対象である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、ヒト幼児である、請求項41に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−512344(P2010−512344A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540515(P2009−540515)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/086973
【国際公開番号】WO2008/073888
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(509056489)プロラクタ バイオサイエンス,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】