説明

ヒト角膜内皮細胞および角膜細胞移植術のための細胞の取得および培養方法

細胞外マトリックスタンパク質で被覆されたプラスチックディッシュおよび増殖因子強化培地からなるシステムにおける臨界密度からのインビトロでの内皮細胞の非酵素的収集および培養によるヒト角膜内皮細胞の単離方法が剥離されたドナー角膜における細胞置換術または移植術のための内皮細胞の拡張された亜集団の作成に用いられる。特別の手順がドナー角膜からネイティブな角膜内皮を取り除く方法および移植目的のための剥離角膜への角膜内皮培養細胞の播種に含まれる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2003年10月10日出願の米国特許出願第60/510344号からの優先権を主張し、その内容は開示されているかのように引用により本明細書にすべて含める。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本出願は、細胞外マトリックス上のヒト角膜内皮細胞の純粋培養物の解離、播種およびその後の増殖の改良された方法を記載する。
【0003】
2.従来技術の説明
様々な理由によって、眼の角膜部分は外科的に修復または置換する必要がある場合がある。例えば、角膜は傷ついたり、損傷したり、あるいは物理的なダメージを受け、ひどく視覚が衰えることがある。角膜はまた、様々な変性疾患の作用を受けやすく、患者が正常または正常に近い視力を回復しようとする場合、置換が必要となる。
【0004】
ヒトの眼の角膜は、実質的に平行な比較的圧縮された組織の層からできた特殊化した構造をもつ。角膜の最外層またはもっとも表面の層は上皮層である。これは損傷を受けた場合には再生する組織の保護層である。眼の内側に進むとボウマン膜として知られている上皮層の基底表面(base surface)がある。ボウマン膜の直近には角膜の実質(stroma)があり、これは細胞外コラーゲン構築マトリックスであり、角膜実質細胞が散在している。実質層は角質とそのもっとも深いレベルで結合しており、この細胞膜はデスメ膜と称され、次いで、特殊化した(specialized)内皮細胞の単一の細胞の厚さの単層があり、これは角膜の後面を形成する。内皮層は再生せず、それが冒され、傷つき、あるいは損傷を受けると、置換しなければならない。
【0005】
ヒトを含むいくつかの動物種において、角膜内皮は通常、損傷または加齢により欠損した細胞をインビボで置換するために複製することはない(Murphy C、et al.、Invest. Ophthalmology Vis. Sci. 1984; 25:312-322; Laing R A、et al.、Exp. Eye Res. 1976; 22:587-594)。しかし、ヒト角膜細胞は通常の組織培養条件下でインビトロで増殖因子が濃縮された(enriched)ウシ胎児血清含有培地で培養することが出来る(Baum JL、et al.、Arch. Ophthalmol. 97:1136-1140、1979; Engelmann K、et al.、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 29:1656-1662、1998; Engelmann K、および Friedl P; In Vitro Cell Develop. Biol. 25:1065-1072、1989)。培養細胞を角膜内皮細胞の欠損の置換に用いることが出来れば、ヒト角膜のドナープールを大幅に増やすことになる。内皮細胞数が不十分であるために移植術に現在供することができないドナー角膜を増補できるためこれは重要である(Gospodarowicz D、et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 76:464-468、1979; Gospodarowicz D、et al.、Arch. Ophthalmol. 97:2163-2169、1979)。内皮細胞密度が低いために用いることが出来なかったこの角膜プールは年間に提供される角膜の全数の30%をも構成する(National Eye Institute: Summary report on the corneas task force. Invest Ophthalmol Vis Sci 12:391-397、1973)。さらに、低い出発密度からヒト角膜内皮細胞を培養する方法、および、インビトロで増殖した細胞を剥離(denuded)角膜ボタン(buttons)に再び植えることが可能になると、レシピエント独自の損傷のない実質を非自己細胞および自己実質型の移植のために使用することが可能となるであろう (Insler MS、and Lopez JG、Cornea 10:136-148、1991)。
【0006】
組織培養技術は、組織および器官等価物(equivalents)の開発における使用に成功している。これら技術の基礎はコラーゲンマトリックス構造を伴い、これらは、生細胞、栄養素および培養条件の適切な組合せを用いることにより機能的な組織および器官に再構築することが出来る。組織等価物(equivalents)は多くの特許に記載されており、例えば、米国特許第4485096号;第4485097号;第4539716号;第4546500号;第4604346号;第4837379号;および第5827641号が挙げられ、これらはすべて引用により本出願に含まれる。組織等価物の適用の一つの成功例は生きている皮膚の等価物であり、それは実際のヒトの皮膚と類似の形態を有する。生きている皮膚の等価物は2層から構成される:上部は分化した層をなすヒト表皮角化細胞から構成され、これはより厚い、より下層のコラーゲンマトリックス中のヒト皮膚線維芽細胞の層を被覆する(Bell、et al.、J. of Biochemical Engineering、113:113-19 (1991))。
【0007】
角膜上皮および内皮細胞の培養についての研究がなされている(Xie, et al., "A simplified technique for the short-term tissue culture of rabbit corneal cells," In Vitro Cellular & Developmental Biology, 25:20-22 (1989)およびSimmons, et al., "Corneal Epithelial Wound Closure in Tissue Culture: An in vitro Model of Ocular Irritancy," Toxicology and Applied Pharmacology, 88:13-23 (1987))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明に至るまで、ヒト角膜内皮細胞 (HCEC)の従来の培養方法は種々の問題に遭遇しており、例えば、HCEC 細胞が高細胞密度 (2000-5000 細胞/平方mm)でしか播種できず、それゆえ少ない試料から初代培養を開始する可能性が制限されていたという問題、および、HCEC 細胞は低播種密度 (50-100 細胞/平方mm)では連続的に継代することが出来ず、それによってHCEC ストックを貯蔵および将来の使用のために拡張させる可能性が制限されていたという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、少量のHCEC試料(100-500 細胞)からの初代培養の樹立を可能とする新規細胞外マトリックス上でのHCECの培養方法を提供する。本発明はまた、移植術および将来の使用のための細胞の貯蔵(cryostorage)のために、かかる一次HCECコロニーを連続継代により大量の細胞へと拡張する方法も提供する。
【0010】
解離(dessection)の使用によりヒト起源のものを含む角膜内皮細胞の初代培養を開始する方法は、低開始密度 (100-500 細胞/mm2)からの培養の開始および播種密度1〜32からの培養の拡張を可能とする。これら細胞は、その形態の完全性および緊密な細胞間結合の形成およびNa/Kポンプ活性化などの生理機能を喪失することなく7〜8回有効に継代することが出来る。角膜内皮培養物は、選択された増殖因子、例えば、線維芽細胞増殖因子1および2 (FGF1、FGF2)、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子 β (TGFβ)、内皮細胞増殖因子 (ECGF)、および細胞培養の分野で知られているその他の増殖因子により強化された、一般に用いられている胎児ウシ血清 (FBS)追加培地に維持することが出来る。特に、角膜内皮細胞がウシ角膜内皮培養物によって供給される天然細胞外マトリックス中で、またはフィブロネクチン、ラミニン、I型およびIV型コラーゲン、およびRGDSなどの成分を含む合成付着タンパク質混合物中で、またはダイヤモンド状炭素(DLC)として知られる炭素プラズマ沈着上において増殖する場合、培養物は、高分割比 (1:32または1:64)にて10継代まで繰り返し継代するとより六方晶系の形態(hexagonal morphology)を示すであろう。特にヒト起源の大きなプールの角膜内皮細胞を作成すると、細胞貯蔵に貯蔵し、将来の細胞移植術に使用することができる。
【0011】
それゆえ本発明の一つの目的は、ヒト起源のその他のタイプの細胞、例えば、神経細胞、膵ベータ細胞、および軟骨細胞、の樹立および連続培養にも利用できるHCEC細胞の培養方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、別の目的に用いることが出来る十分な量のHCECの作成である。
【0013】
本発明のさらなる目的は、ヒト角膜のインビトロ細胞培養モデルを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、損傷角膜内皮細胞を本発明の培養システムで培養したHCECに置換することによる角膜における角膜内皮細胞を再生する手段を提供することである。
【0015】
本発明の培養システムで培養した内皮細胞により損傷内皮細胞を置換することによる、その他のタイプのヒトおよび哺乳類の損傷内皮細胞を再生する手段を提供することは本発明のさらなる側面である。
【0016】
これらおよびその他の本発明の目的、ならびにそれによる利点は好適な態様の以下の詳細な説明を参照するとより容易に理解できるであろう。
【0017】
詳細な説明および好適な態様
インビトロ角膜モデルの構築の第一工程において、内皮細胞を細胞培養物に挿入された(insert)膜上に播種する。これら内皮細胞は角膜等価物の内層または基底層を形成するであろう。
【0018】
本発明者らは、その内皮細胞集団が細胞数の点あるいは疾患または物理的破壊により損傷を受けている点で不適切である、ドナー角膜からのネイティブな角膜内皮を、デスメ膜の完全性(integrity)および実質層の構造と機能に害を与えることなく除くことが出来るシステムを開発した。かかる剥離角膜の調製は、希釈界面活性剤、例えば、Triton X-100 (0.5-5%)または水酸化アンモニウム (濃度範囲 10 mM 〜 200 mM)による時間範囲 2〜60分間、温度範囲4℃〜25℃での処理によって達成することが出来る。その剥離角膜を、残っている界面活性剤または水酸化アンモニウムを除くためリン酸緩衝食塩水 (PBS)で8〜10回十分に洗浄する。剥離角膜はヒト角膜内皮培養細胞ストックからの細胞による被覆にすぐ用いることが出来る。
【0019】
剥離角膜表面への細胞の播種の前に、あらかじめ決められたフィブロネクチン (PBS中範囲 0.1 μg 〜500 μg/ml)、ラミニン (PBS中0.1 μg 〜500 μg/ml)、RGDS (PBS中0.01 μg 〜100 μg/ml)、IV型コラーゲン (0.1 M酢酸中範囲 0.1 μg 〜1000 μg)を含む付着タンパク質混合物を剥離表面 (デスメ膜)に添加し、5〜60分間 4℃でインキュベートする。残っているタンパク質混合物をインキュベーション期間の後に除き、角膜をPBSで3回すすぎ、内皮側を上にしてテフロン(Teflon)凹面ホルダーに置く。直径11 mmのボタンをサイズ 11 冠状のこぎりで穴をあけて切り出す。このボタンはすぐに角膜内皮培養細胞を受容できる。
【0020】
ヒト内皮培養細胞を食塩水中0.05% トリプシンおよび0.02% EDTAにより組織培養ディッシュから取り出す。細胞懸濁液をCoulter Particle Counter (Z1 モデル、Beckman-Coulter)で計数し、約50000〜500000細胞/ml、好ましくは、培地 (5% 胎児ウシ血清または以下のような付着タンパク質混合物を含むDME-H16培地または無血清培地:例えば、フィブロネクチン、ラミニン、および線維芽細胞増殖因子(10 ng 〜400 ng/ml))200 μl中に200,000 細胞を含む調製物、を剥離角膜ボタン上に注意深く添加する。1% ヒアルロン酸ナトリウム、例えば、 Healon(登録商標) (Advanced Medical Optics、Santa Ana、CA)のおよそ0.1 〜0.5 mlの層を、保護剤として細胞懸濁液上に層として載せる。角膜ボタンを37℃で10% CO2 インキュベーターで10 分〜24 時間インキュベートする。あるいは、被覆された角膜ボタンを20 分間インキュベートし、角膜を25℃でPBSで3回すすぐとすぐに移植術に用いることが出来る。
【0021】
あるいは、培養中においてヒト角膜内皮細胞を維持し、角膜内皮細胞を増殖させ、付着タンパク質を調製する方法を用いて、ポリマーゲル組成物から作成した人工角膜実質を被覆してもよい。簡単に説明すると、ポリゲル実質を角膜形状に成形し、凹面側(内皮側)を以下の付着タンパク質と増殖因子の混合物で処理する:例えば、フィブロネクチン (PBS中範囲 0.1 〜500 μg/ml)、ラミニン (PBS中範囲 0.1 〜500 μg/ml)、RGDS (PBS中範囲 0.01 〜100 μg/ml)、IV型コラーゲン (0.1 M酢酸中範囲 0.1 μg 〜1000 μg)、FGF (PBS中10 〜400 ng/ml)、EGF (PBS中10 〜400 ng/ml)またはTGFβ(PBS中1 〜100 ng/ml)。4℃で10 分〜2 時間のインキュベーションの後、この人工実質をPBSで3回すすぎ、ヒト角膜内皮培養細胞を約50000〜約106細胞/ml、好ましくは、約 150,000〜 250,000 細胞/200 ml培地 (5% FCSまたはフィブロネクチン、ラミニン、RGDS、およびIV型コラーゲンを含む付着タンパク質の混合物を含むDMA-H16)の密度で直径11 mmの角膜ボタンに添加する。層(10 mg/mL ヒアルロン酸ナトリウム、0.1 〜0.5 ml)を細胞層の上に保護剤として注意深く添加し、ボタンを37℃で10% CO2 インキュベーショターで10 分〜24 時間インキュベートする。インキュベーションの後人工角膜ボタンをPBSで3回すすぐと、すぐに移植術に用いることが出来る。
【0022】
別の態様において、内皮層の形成に用いる角膜内皮細胞は様々な哺乳類由来のものであってよい。ヒツジ、ウサギおよびウシ由来の非形質転換角膜内皮細胞が用いられている。マウス角膜内皮細胞がSV40ラージT抗原で形質転換されている(Muragaki、Y.、et al.、Eur. J. Biochem. 207(3):895-902 (1992))。使用可能な非ヒト細胞タイプには、形質転換マウス角膜内皮細胞株、またはヒツジまたはウサギ由来の正常角膜内皮細胞が挙げられる。正常ウサギ内皮細胞は、酵素により剥離した角膜内皮由来でもよいし、角膜外植片由来であってもよく、50 μg/mL ヘパリンおよび0.4 μg/mL ヘパリン結合性増殖因子-1 (MSBME)の添加によって改変されたMSBM 培地で連続培養される(Johnson、W.E. et al.、In Vitro Cell. Dev. Biol. 28A:429-435 (1992))。
【0023】
さらに別の態様において、非角膜起源の内皮細胞も本発明に用いることが出来る。本発明に用いることが出来る非角膜起源内皮細胞としては、ヒツジおよびイヌ血管内皮細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞が挙げられる。内皮細胞はSV40ラージT抗原を含む組換えレトロウイルスで形質転換すればよい(Muragaki、et al.、1992、前掲)。形質転換細胞は接触阻害が欠損しているために角膜等価物中で増殖し続け、細胞層上に隆起を形成する。非形質転換細胞は、実質細胞-コラーゲン層の下に単層を形成する。あるいは、正常内皮細胞を上記のようにトランスフェクトしてもよいが、熱感受性遺伝子を発現する組換えコンストラクトもともにトランスフェクトする。これら形質転換細胞は低温下で連続培養において増殖する。集密内皮細胞層が確立した後、温度を上げて形質転換遺伝子を不活化すればよく、それによって細胞がその正常の制御を再開し、接触阻害を示し、そして、非形質転換細胞と類似の内皮細胞単層を形成することが可能になる。多くのペプチドは熱感受性であるため(熱ショックタンパク質は除く)、培養温度を上げることにより不活化可能なペプチドの選択肢は多数ある。このような形質転換は取得および培養が困難な細胞タイプ、例えば、ヒト角膜内皮細胞の使用も容易にする。
【0024】
角膜内皮初代培養およびその後の継代のための細胞外マトリックス (ECM) 被覆プレートの調製
培養中のウシ角膜内皮細胞(BCEC)を、10% FCS、5% CS、5% デキストラン、300 ug/ml グルタミン、2.5 ug/ml アンフォテリシン B、および50 ng/ml bFGFを含むDME-H16 培地中においてディッシュ上に播種する。集密すると(播種7-10日後)、ディッシュをプレートの少なくとも2/3を被覆するのに十分な体積の20 mM NH4OHで処理する。メカニカルシェーカー中で5 分間振盪した後、NH4OHを吸引し、ディッシュをPBSで5 回すすぐ。ディッシュは使用前に少なくとも1週間4℃で保存し、生存しているBCECをすべて除く。ラミニンおよびフィブロネクチンを蒸留水中濃度 100 μg/mlに溶解する。IV型コラーゲンを0.6% v/v 酢酸/水に溶解する。ラミニン、フィブロネクチン、およびIV型コラーゲンは培養目的で必要な場合ECM プレートに添加する。
【実施例】
【0025】
実施例 1:一次ヒト角膜内皮細胞の非酵素的解離
ヒトドナーからの角膜縁(corneal rims)(中央部を移植術のために除いた後のもの)または全ドナー角膜を大量 (50 ml) のリン酸緩衝食塩水 (PBS)ですすぐ。それを内皮側を上にしてホルダーに置く。小柱網および残っている虹彩を注意深くマイクロディセクションによって除く。先鋭な宝石用ピンセットを用いて、内皮細胞層およびデスメ膜を非常に注意深く剥がし、下にある実質組織が全く含まれないように注意する。この工程は解離したデスメ膜を倒立顕微鏡下でみて、それが一方の側に角膜内皮細胞のみを含み、他方の側には何も含まないことを確かめることによって確認することが出来る。組織の断片をECM で被覆した 35 mm 組織培養ディッシュまたは同様の好適な容器に入れ、およそ0.5 mlの培地 (b-FGFを250 ng/ml追加した15% ウシ胎児血清を含有するDME-H16)で満たす。ディッシュを37℃で10% CO2 インキュベーター中で24 時間インキュベートし、さらに1 mlの培地を追加する。サンプルを約 7日間静かにインキュベートして、角膜内皮細胞のコロニーが組織サンプルから外側へ遊走するのを確認し、その時点で(サンプルを培地に入れてから7〜14日後)、細胞数が約200-500 細胞となるまで培地を一日おきに交換する。
【0026】
実施例 2:高分割比でのヒト角膜内皮細胞培養
組織サンプル培養物からの一次細胞数が150-750、好ましくは、200〜500に達すると、細胞をSTV溶液 (生理食塩水中、0.05% トリプシン、0.02% EDTA)によりディッシュから取り出す。STV溶液は細胞が集まっているが培養ディッシュに付着している時に除く。残っているSTVは15% ウシ胎児血清含有培地によって不活性化されるので遠心分離工程は必要ではない。角膜細胞を60-mmのECMで被覆したディッシュ (約250-1000細胞、好ましくは、約 500 細胞/ディッシュ)に入れる。培地を一日おきに交換し、濃度250 ng/ml のb-FGFを培地交換時に添加する。集密に達すると(プレーティングの約7〜10日後)、細胞を同じ分割比(1:16〜1:64)で再度継代するか、または10% DMSO、15% FCS、約5x105〜約5x106細胞/ml/アンプル、好ましくは、約106細胞/ml/アンプルの密度で冷凍し、液体窒素中でさらに使用するまで保存する。継代は細胞機能または形態学的完全性を失うことなく8回まで行うことが出来る。
【0027】
HCEC ストックの凍結
収集したHCEC各5 mlについて、細胞懸濁液に0.5 mlのDMSOを添加した。各1.1 mlの混合物を1.5 ml 凍結保存チューブに分注し、終濃度およそ100万 細胞/バイアルとした。バイアルを発泡スチロールの箱に入れ、-80℃冷凍機に24 時間入れて置いた。1日後、アンプルを長期保存のために液体窒素中に移した。
【0028】
実施例 3: 角膜ボタンの剥離(denudation)
ヒトドナー角膜ボタン(buttons)をアイバンクから得る。これら角膜ボタン(buttons)は内皮細胞数が不十分であるため移植には不適であるとみなされるが、その他は健康であり、疾患を有さず、アイバンクガイドラインにしたがって得られたものである。
【0029】
角膜ボタンをホルダーに内皮側を上にして置き、PBSで3回すすぐ。次いで濃度10 mM〜200 mM の水酸化アンモニウム溶液を注意深く、上端からこぼれないように角膜ボタンに添加する。角膜を温度約 10℃〜25℃に5分間〜2時間維持する。次いで水酸化アンモニウムを除き、角膜ボタンの内側をおよそ10回PBSですすぐ。消毒綿を内皮表面にそって穏やかに滑らせ、残余の細胞骨格または残骸を除く。角膜ボタンを再びPBSで3回すすぎ、11 mm 冠状のこぎりで切り出すと、すぐにヒト角膜内皮培養細胞による被覆に用いることが出来る。
【0030】
あるいは、ネイティブな角膜内皮は、5分間〜2時間10℃に維持した蒸留水中の濃度 0.5〜5%のTriton-X100の添加により取り除くことが出来、次いで先に記載したように処理する。さらに角膜内皮を蒸留水で20 分間〜2時間、温度範囲4℃〜25℃で処理してもよい。次いで消毒綿を内皮表面にそって穏やかに滑らせ、残余の細胞骨格および残骸を除く。角膜を11mm 穿孔により処理する。
【0031】
実施例 4:付着タンパク質および増殖因子による剥離(denuded)角膜の処理
穿孔の後、剥離(denuded)角膜ボタンを内皮側を上にして再びホルダーに入れる。フィブロネクチン(PBS中濃度範囲 10 μg〜 500 μg/ml)、ラミニン (PBS中10 μg〜 500 μg/ml)、RGDS (PBS中1 μg〜100 μg/ml)、IV型コラーゲン (0.1 M 酢酸中10 μg〜1000 μg)、b-FGF (PBS中1〜 500 ng/ml)、EGF (PBS 中1 ng〜500 ng/ml)を含む付着タンパク質溶液を注意深く剥離角膜ボタン上に添加する。検体を5 分間〜2時間4℃でインキュベートし、その最後に混合物を除き、角膜をPBS で3回すすぐ。
【0032】
実施例 5:剥離角膜のヒト内皮培養細胞による被覆
角膜内皮培養細胞を培養ディッシュからSTV 溶液 (食塩水中0.05% トリプシン、0.02% EDTA)によって上記のように除く。細胞を2000 rpmで5 分間遠心し、培地を除く。細胞ペレットを濃度 0.1 〜5%の胎児ウシ血清を含む2 mlのDME-H16 培地に再懸濁する。約 100 μlの懸濁液をCoulter Particle Counterで計数し、1 ml当たりの細胞数を測定する。次いで細胞濃度を約5x105〜107 細胞/ml、好ましくは約106 細胞/mlに調整し、200 μgの細胞懸濁液を注意深く、11mm 冠状のこぎりで切り出した角膜ボタンに添加する。濃度約 10mg/mlの0.2 〜0.5 mlのヒアルロン酸ナトリウム(Healon(登録商標))層を注意深く細胞懸濁液の上に保護剤として層置する。角膜ボタンを37℃で10% CO2 インキュベーター中20 分〜24 時間インキュベートする。ヒト角膜内皮細胞被覆ボタンはすぐに移植術に使用できる。
【0033】
別の態様において、人工マトリックスを、かかる材料はHCECの増殖および形態の完全性 (六方形状)促進においてそれほど有効ではないが、作成してもよい。
【0034】
人工マトリックスを作るために、フィブロネクチン、ラミニンおよびRGDSを蒸留水中濃度約 100 μg/mlに、IV型コラーゲンを0.01% 酢酸中濃度 約 1 mg/mlに溶解する。塩基性FGFをウシ血清アルブミン(0.05% w/v)中濃度約 100 μg/mlに溶解する。すべての材料を15 ml遠心管中で混合し、通気を避けるために穏やかに回旋する。混合物を次いで4℃で2時間インキュベートする。
【0035】
組織培養ディッシュを被覆するために、混合物をリン酸緩衝食塩水で1:10に希釈し、1 mlの溶液を35 mmディッシュに添加し、4℃で1 時間保存する。使用前に溶液を吸引し、細胞懸濁液をディッシュに添加する。
【0036】
本発明に記載したように、本発明への多くの改変は、添付の特許請求の範囲に規定の本発明の精神から逸脱することなく当業者に明らかである。
【0037】
米国特許、特許出願および上記のその他の参考文献はすべて引用によりその内容全体が完全に開示されているかのように本明細書に引用により含める。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図 1は、様々な基体上でのヒト培養内皮細胞の長期連続増殖についての世代曲線を示す。
【図2】図 2は、bFGFの存在下または不在下でのヒト角膜内皮培養細胞の増殖に対する様々な付着因子の効果を示す。
【図3】図 3は、付着剤で被覆された剥離ヒト角膜ボタン(buttons)上へのヒト角膜内皮培養細胞の付着の時間曲線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、移植のための角膜上皮細胞を非酵素的に収集し、インビトロで培養する方法:
a) 組織源から角膜内皮細胞を解離し;該角膜内皮細胞を細胞外マトリックス(ECM)で被覆された培養プレート中で一定時間低密度で増殖させる工程;
b)該細胞を二次培養システムに継代する工程、ここで、二次培養システムはECMで被覆された培養プレートおよび十分な細胞増殖因子の添加から構成される;
c)集密するまで該角膜内皮細胞を増殖させる工程;および、
d)該二次培養システムから、インビボでの対象への移植に有用であるために十分な量の角膜内皮細胞を収集する工程。
【請求項2】
角膜内皮細胞の解離がさらに、一次培養システムにおける増殖に先だって該組織源の実質から該細胞が解離するように該組織源から細胞を取り出す工程を含む、請求項 1の方法。
【請求項3】
該組織源が角膜ボタンまたは角膜縁でありうる請求項 2の方法。
【請求項4】
ECMがウシ角膜内皮細胞の細胞外マトリックス (BCE-ECM)から構成される請求項 2の方法。
【請求項5】
ECMが人工細胞外マトリックス (AG-ECM)から構成される請求項 2の方法。
【請求項6】
以下の工程を含むECM 被覆プレートの作成方法:
a)ウシ角膜内皮細胞 (BCEC)をおよそ 10% 胎児ウシ血清、5% ウシ血清、5% デキストラン、300 μg/ml グルタミン、2.5 μg/ml アンフォテリシン B、および50 ng/ml bFGFを含むDME-H16 培地中でディッシュ上に播種する工程;
b)集密するまでBCECを増殖させる工程;
c)プレートの少なくとも2/3を被覆するのに十分な体積のNH4OHで少なくとも 約 5 分間ディッシュを処理し、その後NH4OHを除くよう処理する工程;および、
d)生存するBCECを除去するため使用前に被覆BCECを4℃で約1週間保存する工程。
【請求項7】
内皮細胞の人工細胞外マトリックス (AG-ECM)が以下の工程を含む方法によって作られる請求項 5の方法:
a) 蒸留水中100 μg/mLのフィブロネクチン、ラミニンおよびRGDS (Arg-Gly-Asp-Ser ペプチド)を調製する工程;
b) 0.01% 酢酸中濃度 約 1 mg/mLのIV型コラーゲンを調製する工程;
c) ウシ血清アルブミン (0.05% w/v)中濃度 約 100 μg/mLの塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) を調製する工程;
d)工程a、b、およびcの溶液を混合し、4℃で2時間インキュベートする工程;および、
e) 工程dの混合物をリン酸緩衝食塩水で約 1:10に希釈し、次いで十分な量の該溶液をディッシュに添加し、使用前に4℃でおよそ 1 時間放置する工程。
【請求項8】
請求項 1の方法を使用して作成される、移植における使用に好適なヒト角膜内皮細胞(HCEC)。
【請求項9】
請求項 2の方法を使用して作成される、移植における使用に好適なヒト角膜内皮細胞(HCEC)。
【請求項10】
請求項 5の方法を使用して作成される、移植における使用に好適なヒト角膜内皮細胞(HCEC)。
【請求項11】
培養中の細胞を増殖させるための装置であって、該細胞と接触している少なくとも一つの表面を有し、該表面が使用前にBCE-ECMを含む混合物で被覆されている装置。
【請求項12】
細胞培養プレートおよびフラスコからなる群から選択される請求項 11の装置。
【請求項13】
細胞が哺乳類細胞である請求項 11の装置。
【請求項14】
培養中の細胞を増殖させるための装置であって、該細胞と接触している少なくとも一つの表面を有し、該表面が使用前にAG-ECMを含む混合物で被覆されている装置。
【請求項15】
細胞が哺乳類細胞である請求項14の装置。
【請求項16】
以下の工程を含むHLAクラスI抗原を欠くHCEC 細胞を作成する方法:
a)細胞がHLAクラスI抗原を発現しないように、新生児源からヒト角膜上皮細胞を解離する工程;
b) 該角膜上皮細胞を範囲約 100 〜500 細胞/mm2の低密度にて一定時間細胞外マトリックス(ECM)で被覆された培養プレートを含む一次培養システムで増殖させる工程;
c)該細胞を二次培養システムに継代する工程、ここで、二次培養システムはECMで被覆された培養プレートおよび十分な細胞増殖因子の添加から構成される;
d)該細胞を集密となるまで増殖させる工程;および、
e)該二次培養システムから、インビボでの対象への移植に有用であるために十分な量の該細胞を収集する工程。
【請求項17】
ECMがウシ角膜内皮細胞の細胞外マトリックス (BCE-ECM)から構成される請求項 16の方法。
【請求項18】
ECMが人工細胞外マトリックス (AG-ECM)から構成される請求項 16の方法。
【請求項19】
請求項 16の方法を使用して作成される移植における使用に好適なヒト角膜内皮細胞(HCEC)。
【請求項20】
以下の工程を含むHLAクラスI抗原を欠くHCEC細胞を作成する方法:
a)ヒト角膜上皮細胞を組織源から解離し、約 100 〜500 細胞/mm2の範囲の低密度にて該角膜上皮細胞を一定時間、細胞外マトリックス(ECM)で被覆された培養プレートを含む一次培養システムにて増殖させる工程;
b)該細胞を二次培養システムに継代する工程、ここで、二次培養システムはECMで被覆された培養プレートおよび十分な細胞増殖因子の添加から構成される;
c)該細胞を集密するまで増殖させる工程;
d)該細胞を二次培養システムから対象へのインビボでの移植に有用であるために十分な量収集する工程;および、
e)細胞株が作られ、かつ、該細胞がHLA 遺伝子座における標的化破壊を含むように、該細胞を形質転換し、それによって、HLA抗原の発現を阻害する工程。
【請求項21】
請求項 20の方法を使用して作成される、移植における使用に好適なヒト角膜内皮細胞(HCEC)。
【請求項22】
各HCEC細胞株の遺伝子型が、ゲルに基づく検出方法の使用、ゲルに基づかない検出方法の使用または遺伝子マーカーにより決定される、請求項 1の方法。
【請求項23】
各HCEC細胞株の標的免疫型が血清学的または分子的方法を用いて決定される請求項 1の方法。
【請求項24】
標的免疫型がHLA 組織タイピングにより決定される請求項 20の方法。
【請求項25】
複数のHLA型同定済 HCEC 細胞株の集団を含み、各HCEC細胞株が異なるドナー由来であり、特有のHLA ハプロタイプについてホモ接合性である、細胞デポジトリー。
【請求項26】
HCEC 細胞株が異なる民族のドナーから得られるものである請求項 25の細胞デポジトリー。
【請求項27】
デポジトリーの内容がカタログ化されている請求項 25の細胞デポジトリー。
【請求項28】
以下の工程を含む、複数のドナーからの遺伝子型が同定されたHCEC 細胞のHCEC 細胞デポジトリーを作る方法:
(a)ドナーを選択する工程;
(b)各ドナーの遺伝子型を判定する工程;
(c)各ドナーから得られる初代培養からHCEC 細胞を単離する工程;
(d)単離されたHCEC 細胞を培養してHCEC 細胞株を得る工程;
(e)各HCEC細胞株の遺伝子型を同定する工程;および、
(f) (g)において得られる各HCEC細胞株の遺伝子型をカタログ化する工程。
【請求項29】
以下の工程を含む、複数のドナーからの免疫型が同定された HCEC 細胞のHCEC 細胞デポジトリーを作る方法:
(a)ドナーを選択する工程;
(b)各ドナーの免疫型を判定する工程;
(c)HCEC 細胞の初代培養を作る工程;
(d) 各ドナーからHCEC 細胞を単離する工程;
(e)単離されたHCEC 細胞を培養してHCEC 細胞株を得る工程;
(f) 各HCEC細胞株の免疫型を同定する工程;および、
(g) (e) において得られる各HCEC細胞株の免疫型をカタログ化する工程。
【請求項30】
以下の工程を含む、複数のドナーからの遺伝子型および免疫型が同定された HCEC 細胞のHCEC 細胞デポジトリーを作る方法:
(a)ドナーを選択する工程;
(b)各ドナーの遺伝子型および免疫型を判定する工程;
(c)HCEC 細胞の初代培養を作る工程;
(d) 各ドナーからHCEC 細胞を単離する工程;
(e) HCEC 細胞を培養してHCEC 細胞株を得る工程;
(f) 各HCEC細胞株の遺伝子型および免疫型を同定する工程;および、
(g) (e) において得られる各HCEC細胞株の遺伝子型および免疫型をカタログ化する工程。
【請求項31】
ドナーが哺乳類である請求項 28の方法。
【請求項32】
ドナーがヒトである請求項 28の方法。
【請求項33】
ドナーがヒトである請求項 29の方法。
【請求項34】
以下の工程を含む移植用HCECを輸送する方法:
a)請求項 2の方法により生分解性ポリマー膜上で集密となるまでHCECを増殖させる工程;
b) HCECで被覆された膜を培地を入れたフラスコまたは好適な容器に入れる工程;および、
c)該HCECで被覆された膜を輸送する工程。
【請求項35】
標的組織が角膜ボタンである請求項 34の方法。
【請求項36】
標的組織が二次培養システムである請求項 34の方法。
【請求項37】
以下の工程を含む移植用HCECを輸送する方法:
a)請求項 2の方法により生分解性ポリマー膜上で集密となるまでHCECを増殖させる工程;
b) HCECで被覆された膜をドナー標的組織上に置く工程;
c) 輸送中に除去されないよう十分な時間ドナー組織上でHCECを増殖させる工程;および、
d)該組織を貯蔵培地中で輸送する工程。
【請求項38】
標的組織が剥離角膜である請求項 37の方法。
【請求項39】
生分解性ポリマーがBCE-ECMまたはダイヤモンド状炭素などのその他の生体適合性被覆による被覆に好適な半固体状態である請求項 34の方法。
【請求項40】
以下の工程を含む、請求項 35の再生した標的組織を輸送または移植中の剥離から保護する方法:
a)請求項 2の方法により生分解性ポリマー膜上で集密となるまでHCECを増殖させる工程;
b)HCECで被覆された膜をドナー標的組織上に置く工程;
c) bFGFと結合したヒアルロン酸ナトリウム1%の存在下で輸送中に除去されないように十分な時間該ドナー組織上でHCECを増殖させる工程;および、
d) bFGFと結合したヒアルロン酸ナトリウム1%を有する貯蔵培地中で該組織を輸送する工程。
【請求項41】
標的組織が剥離角膜である請求項 40の方法。
【請求項42】
請求項 40にしたがって処理された標的組織。
【請求項43】
以下の工程を含む移植用のHCEC 再生標的組織を貯蔵する方法:
a)請求項 2の方法により生分解性ポリマー膜上で集密となるまでHCECを増殖させる工程;
b)HCECで被覆された膜をドナー標的組織上に置く工程;
c)輸送中に除去されないように十分な時間該ドナー組織上でHCECを増殖させる工程;
d)凍結防止剤または凍結保護剤を貯蔵培地中の該組織に添加する工程; および、
e)超低温で該標的組織を貯蔵する工程。
【請求項44】
以下の工程を含む、ネイティブな角膜を移植または矯正に好適にする該角膜の剥離方法:
a)角膜ボタンまたはその他の標的組織を好適なホルダーに置く工程;
b) 工程 aにおけるホルダーに、標的組織を完全に被覆するように十分な量の剥離剤を添加する工程;
c)およそ室温で十分な時間該組織と剥離剤とをインキュベートする工程;および、
d)適当なバッファーでおよそ 10 回該標的組織を洗浄する工程。
【請求項45】
剥離剤がリン酸緩衝食塩水中濃度 約 0.01 〜1% v/vのTriton X溶液から構成される請求項 44の方法。
【請求項46】
インキュベーション時間が約5分間である請求項 44の方法。
【請求項47】
剥離剤が濃度約 20 mMの水酸化アンモニウム溶液から構成される請求項 44の方法。
【請求項48】
インキュベーション時間が約2 〜5 分間である請求項47の方法。
【請求項49】
以下の工程を含む、ネイティブな角膜を移植または矯正に好適にする該角膜の剥離方法:
a)角膜ボタンまたはその他の標的組織を好適なホルダーに置く工程;
b) 工程 aにおけるホルダーに該標的組織を完全に被覆するように十分な量の蒸留水を添加する工程;
c)およそ室温で約 15 分間該組織と剥離剤とをインキュベートする工程;
d)約半分の体積の水を吸引除去する工程;
e)湿った内皮を機械的に角膜ボタンから掃引する工程;および、
f)該角膜ボタンをおよそ 3 回リン酸緩衝食塩水で洗浄する工程。
【請求項50】
十分な量の増殖因子混合物および十分な量の接着因子混合物を含む再構成された細胞外マトリックス調製物。
【請求項51】
好適な生理的バッファー中に十分な量のbFGF、EGFおよびポリカルボフィルを含む請求項 50の増殖因子混合物。
【請求項52】
bFGF、EGFおよびポリカルボフィルの濃度がそれぞれおよそ 3.33 μg/mL、33.33 μg/mLおよび0.33 mg/mLである請求項 51の増殖因子混合物。
【請求項53】
好適な生理的バッファー中に十分な量のラミニン、フィブロネクチン、RGDS、およびIV型コラーゲンを含む請求項 50の接着因子混合物。
【請求項54】
ラミニン、フィブロネクチン、RGDSの濃度がおよそ 83.33 μg/mLであり、IV型コラーゲンの濃度がおよそ 250 μg/mLである請求項 53の接着因子混合物。
【請求項55】
以下の工程を含む剥離角膜を被覆する方法:
a)好適なホルダーに該角膜ボタンまたはその他の標的組織を置く工程;
b)リン酸緩衝食塩水で角膜ボタンを洗浄する工程;
c)該標的組織を完全に被覆するように、工程 aにおけるホルダーに十分な量の請求項 50の再構成された細胞外マトリックス調製物を添加する工程;
d)該角膜ボタンを十分な時間およそ 4℃でインキュベートする工程;および、
e)リン酸緩衝食塩水またはその他の好適なバッファーで該角膜ボタンを洗浄する工程。
【請求項56】
さらに以下の工程を含む請求項 55の剥離角膜を被覆する方法:
f)新しい内皮細胞の播種の前に角膜ボタンにおよそ300 μLの1% ヒアルロン酸ナトリウムを添加する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−508015(P2007−508015A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534292(P2006−534292)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/032933
【国際公開番号】WO2005/038015
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(506121559)
【氏名又は名称原語表記】Ge Ming LUI
【出願人】(506121560)セルラー・バイオエンジニアリング・インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】CELLULAR BIOENGINEERING, INC.
【Fターム(参考)】