説明

ヒートシール方法および製袋充填方法

【課題】生産性が高く、樹脂だまりや夾雑物等によるヒートシール不良の抑制及び/または安定したヒートシール条件を可能とするヒートシール方法及びこれを用いた製袋充填方法を提供する。
【解決手段】上下動可能な一対のヒートシールロールがヒートシール部材間に筒状フィルムを挟持して下降しつつ、筒状フィルムを横方向にヒートシールするヒートシール方法であって、ヒートシール部材の外周面における周速度とヒートシールロールの下降速度との和が筒状フィルムの下降速度となるように正確に制御して、ヒートシールロールとその回転駆動源を一緒に移動させ、前記駆動源を含む一対のヒートシールロールと実質的に同じ重さの重りを、ヒートシールロールと同期させて正反対の方向に移動させるとともに、筒状フィルムがヒートシール部材に挟持される期間のうち、初期及び終期は、中間期に比べて、ヒートシールロールの回転速度を遅くし、かつ移動速度を速くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムをヒートシールして袋状に形成するとともに、袋内へ内容物を充填する際に好適に使用されるヒートシール方法およびそれを用いた製袋充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスタント食品などには、醤油やソースなどの調味料が、フィルムから形成された袋内に密封充填されて添付されていることがある。このように内容物が充填された袋の製造には、通常、フィルムを袋状に形成しながら、袋内に内容物を充填する縦ピロー型製袋充填装置が使用されている。製袋充填装置としては、図4,図5(a)および図5(b)にその要部を概略的に示すようなものが用いられる。
製袋充填装置30は、幅方向に2つ折りされたフィルム1の側縁部2同士を縦方向にヒートシールして、筒状フィルム3とする縦ヒートシール装置10と、得られた筒状フィルム3を横方向にヒートシールする横ヒートシール装置20と、両ヒートシール装置10,20の間に吐出口32が位置するように筒状フィルム3内に挿入されたノズル31とを備える。
【0003】
縦ヒートシール装置10は、一対のヒートシールロール15を備える。ヒートシールロール15は、回転軸11を中心にして回転可能なロール本体12と、このロール本体12の外周面13上に突設され、かつロール本体12の周方向に沿って形成された凸状のヒートシール部材14とを備える。ロール本体12の長さ方向の端部には、フランジ状の位置規制部材17がロール本体12の外周面13から突設されている。位置規制部材17の外周面18同士が接することにより、ヒートシールロール15同士の間隔が規制される。
ヒートシールロール15の内部にはヒータなどの加熱手段が設けられている。両ヒートシールロール15の間に送られたフィルム1の側縁部2は、ヒートシール部材14の外周面16間で加熱加圧されて、縦ヒートシール部4が形成される。
【0004】
横ヒートシール装置20は、一対のヒートシールロール25,25を備える。ヒートシールロール25は、回転軸21を中心にして回転可能なロール本体22と、このロール本体22の外周面23上に突設され、かつ回転軸21の方向に沿って設けられた凸状のヒートシール部材24とを備える。ロール本体22の長さ方向の端部には、フランジ状の位置規制部材27がロール本体22の外周面23から突設されている。位置規制部材27の外周面28同士が接することにより、ヒートシールロール25同士の間隔が規制される。
ヒートシールロール25の内部にはヒータなどの加熱手段が設けられている。両ヒートシールロール25の間に送られた筒状フィルム3は、ヒートシール部材24の外周面26間で加熱加圧されて横ヒートシール部6が形成される。横ヒートシール部6は、中間で切断されて袋5の端縁となる。ヒートシール部材24は、ロール本体22の周方向に沿って複数等間隔に形成されている。筒状フィルム3は、ヒートシール部材24により、その長さ方向に一定の間隔を開けて横ヒートシールされるようになっている。
【0005】
筒状フィルム3内に、ノズル31から内容物を充填し、横ヒートシール部6を形成して、筒状フィルム3の内部に内容物が収納された収納空間7が形成された袋5が多数連続した連続体を得ることができる。この連続体の横ヒートシール部6を両断することによって、一袋ずつに分離され、又は所定の複数個が連結された包装品が得られる。
【0006】
このような横ヒートシール装置として、特許文献1には、包装用フィルム間に夾雑物が残留した場合であっても、優れた横ヒートシールを実現するために、横ヒートシール部の幅方向の中央部分に与えられる熱量が、袋内に内容物が収納される収納空間に近接する両側縁部に与えられる熱量よりも少なくなるように、ヒートシール部材の内部を中空にしたヒートシール装置が記載されている。
また、特許文献2には、ヒートシール部材がフィルムを圧着するときにヒートシールロールをフィルムに追従して下降させるとともに、ヒートシール部材の回転を遅くして不良の発生を抑え、生産性を高めるヒートシール方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−247310号公報
【特許文献2】特公平3−23405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
横ヒートシール時に、横ヒートシール部を加熱し過ぎると、溶融した樹脂がヒートシール部材により押し出され、収納空間のフィルム1,1間に、樹脂だまりを生じることがある。図6(a)は、正常な横ヒートシール部6の一例を示す部分拡大断面図であり、図6(b)は、横ヒートシール部6に樹脂だまり8が発生した状態の一例を示す部分拡大断面図である。
このような樹脂だまり8が発生すると、外観が悪くなるのみならず、横ヒートシール部6が樹脂だまり8とフィルム1,1との間に生じた裂け目9から裂けやすくなり、袋の落下強度や耐衝撃性が悪くなる。
また、フィルム1,1間に充填された内容物が横ヒートシール部における夾雑物となり、ヒートシールの最中に水分が蒸発して体積膨張することにより、気泡が発生し、充分なヒートシール強度が得られないことがある。
このような樹脂だまりや夾雑物などによるヒートシール不良を抑制するためには、横ヒートシール部の幅方向の両端縁付近を、中間部分よりも強くヒートシールするような加熱加圧方法が望ましい。
【0009】
横ヒートシールロールで所定の箇所を確実にシールするためには、一定の温度で一定時間加圧することが重要である。したがって、製袋充填作業の生産性を上げるために筒状フィルムの送り速度を高めすぎると、横ヒートシールロールの回転速度も上がって横ヒートシールロールにおける加圧時間が不十分となり得られる袋のシール強度が低下してしまうという問題があった。
また、横ヒートシールは、筒状フィルムに内容物が充填された後に行われるので、内容物が充填されていない状態で行われる縦ヒートシールよりもヒートシールされにくく、縦ヒートシールよりも注意を払う必要があった。
また、安定して横ヒートシールを行うためには、ヒートシールロールは、一定速度で回転していることが好ましい。
【0010】
特許文献1に記載のヒートシール装置は、ヒートシールロールの周方向に沿ってヒートシール部材の熱伝導性に不均一な分布を与えることにより、幅方向の両端縁付近のヒートシール温度が中間部分より高くなる。これにより、樹脂だまりや夾雑物などによるヒートシール不良を抑制しやすくなる。
しかし、特許文献1に記載のヒートシール装置においては、ヒートシール部材中の熱伝導性が良好な部分の幅が狭くなるので、ヒートシール部材の温度の制御が難しいという問題がある。
したがって、両端縁付近のヒートシール温度が最適な温度に設定されていても、中間部分では加熱が不充分となる可能性がある。逆に、中間部分の加熱を適切に調整すると、両端縁のヒートシール温度が高くなりすぎて、かえって樹脂だまりが発生しやすくなる。
【0011】
特許文献1に記載のヒートシール装置は、生産性を向上させるため、筒状フィルムの送り速度を速くすると、ヒートシール部材が筒状フィルムに接触する時間が短くなり、筒状フィルムに熱が充分に伝わらないので、ヒートシール不良が発生するおそれがある。
また、横ヒートシールの幅方向の熱量印加のパターンがヒートシール部材で決まるので、フィルムの材質や厚みの変化に柔軟に対応できないという問題もある。
さらに、ヒートシール部材の構造が複雑になることにより、装置のコストが増大したり、ヒートシール部材の耐久性に問題が生じたりするおそれがある。
【0012】
一方、特許文献2に記載のヒートシール装置の場合は、筒状フィルムの送り速度を高めた場合であっても、横ヒートシールロールの回転速度を必ずしも上げる必要がない。したがって、十分なヒートシール時間を確保でき、確実にヒートシールすることができるので、高い生産性が期待できる。
また、特許文献2に記載のヒートシール装置の場合、カムの形状を工夫することにより、幅方向の両端縁のヒートシール強度が高くなるように横ヒートシールロールの回転速度を制御することも容易なので、樹脂だまりや夾雑物などによるヒートシール不良を抑制しやすい。
【0013】
しかし、特許文献2に記載のヒートシール装置は、カムによるヒートシールロールの移動によってヒートシールロールの回転速度を制御している。しかし、ヒートシールロールは重く、移動方向を反転させる時の慣性力が大きい。したがって、カムの回転が速くなると作動杵の先端がカムの周面に密着して摺動できなくなる。そのため、ヒートシールロールの移動が円滑でなくなり、振動が生じる。また、チェーンが緩んだり、緊張したりするので、チェーンが揺れて、振動が生じる。そして、これらの振動により、良好な横シールを行うことができないことがある。
【0014】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、生産性が高く、樹脂だまりや夾雑物などによるヒートシール不良の抑制および/または安定したヒートシール条件下で行うことを可能とするヒートシール方法およびこれを用いた製袋充填方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の発明者は、一対のヒートシールロールを高速で上下動させて、かつ振動を抑制することを検討した結果、上下動にクランクを用いることが最適であるとの知見を得、その知見に基づき本発明はなされたものである。
すなわち、本発明は、以下のヒートシール方法を提供する。
(1)上下動可能な一対のヒートシールロールがその外周面に設けられたヒートシール部材間に筒状フィルムを挟持して下降しつつ、一定速度で下降する筒状フィルムを横方向にヒートシールするヒートシール方法であって、ヒートシール部材の外周面における周速度とヒートシールロールの下降速度との和が筒状フィルムの下降速度となるように正確に制御して、クランクと連結棒を用いてヒートシールロールとその回転駆動源をいっしょに直線移動させ、前記駆動源を含む一対のヒートシールロールと実質的に同じ重さの重りを、ヒートシールロールの移動と同期させて正反対の方向に移動させるとともに、筒状フィルムがヒートシール部材の外周面間に挟持される期間のうち、初期及び終期は、中間期に比べて、ヒートシールロールの回転速度を遅くし、かつヒートシールロールの移動速度を速くすることを特徴とするヒートシール方法。
(2)上下動可能な一対のヒートシールロールがその外周面に設けられたヒートシール部材間に筒状フィルムを挟持して下降しつつ、一定速度で下降する筒状フィルムを横方向にヒートシールするヒートシール方法であって、ヒートシール部材の外周面における周速度とヒートシールロールの下降速度との和が筒状フィルムの下降速度となるように正確に制御して、クランクと連結棒を用いてヒートシールロールとその回転駆動源をいっしょに直線移動させ、前記駆動源を含む一対のヒートシールロールと実質的に同じ重さの重りを、ヒートシールロールの移動と同期させて正反対の方向に移動させるとともに、筒状フィルムがヒートシール部材の外周面間に挟持される期間のうち、少なくとも中間期においてヒートシールロールの回転速度を一定とし、かつヒートシールロールの移動速度を一定とすることを特徴とするヒートシール方法。
【0016】
また、本発明は、以下の製袋充填方法を提供する。
(3)一定速度で下降する二つ折りされた1枚のフィルムまたは重ね合わされた2枚のフィルムの側縁部をヒートシールして筒状フィルムとし、筒状フィルムに内容物を充填しながら横方向にヒートシールして袋内に内容物が充填された包装体を製造する製袋充填方法であって、横方向にヒートシールする工程は、(1)または(2)のヒートシール方法によってなされることを特徴とする製袋充填方法。
【発明の効果】
【0017】
(1)のヒートシール方法によれば、クランクと連結棒によりヒートシールロールの上下動を高速化できる。また、重りをヒートシールロールの移動と同期させて正反対の方向に移動させることによりヒートシールロールの上下動による振動が抑えられる。また、ヒートシールの初期及び終期のヒートシールロールの回転速度を遅くすることによりヒートシール部材の温度分布を均一に保ったまま、幅方向の両端縁のヒートシール強度が大きくなるようにヒートシールすることができる。
これらにより、樹脂だまりや気泡発生などのヒートシール不良を抑制し、ヒートシールが良好で、落下強度や耐衝撃性に優れた包装品を得ることができる。また、ヒートシール部材の温度ムラが小さく又はほとんど無い状態にすることができるので、ヒートシール部材の温度の制御も容易であり、ヒートシールを安定した条件下で行うことができる。また、夾雑物が存在した場合であっても、幅方向の両端縁のヒートシールに最適な温度で十分な時間をかけられるので、高いヒートシール強度が得られる。また、筒状フィルムの送り速度を高めた場合であっても、横ヒートシールロールの回転速度を上げる必要がないので、十分なヒートシール時間が確保され、生産性を向上させることができる。また、ヒートシール部材の外周面における周速度とヒートシールロールの下降速度を正確に制御することにより、筒状フィルムに皺が発生することがなく、安定したフィルム送りが可能になり、ヒートシール部の外観が美麗な包装品を得ることができる。
そして、ヒートシール部材の構造が複雑にならないので、ヒートシール部材の耐久性に問題が生じるおそれもない。
【0018】
(2)のヒートシール方法によれば、クランクと連結棒によりヒートシールロールの上下動を高速化できる。また、重りをヒートシールロールの移動と同期させて正反対の方向に移動させることによりヒートシールロールの上下動による振動が抑えられる。また、少なくとも中間期においてヒートシールロールの回転速度を一定とすることによりヒートシールを安定した条件下で行うことができる。
これらにより、ヒートシールが良好で、落下強度や耐衝撃性に優れた包装品を得ることができる。ヒートシール部材の温度ムラが小さく又はほとんど無い状態にすることができるので、ヒートシール部材の温度の制御も容易であり、ヒートシールをより安定した条件で行うことができる。また、筒状フィルムの送り速度を高めた場合であっても、横ヒートシールロールの回転速度を上げる必要がないので、充分なヒートシール時間が確保され、生産性を向上させることができる。ヒートシール部材の構造が複雑にならないので、ヒートシール部材の耐久性に問題が生じるおそれもない。また、ヒートシール部材の外周面における周速度とヒートシールロールの下降速度を正確に制御することにより、筒状フィルムに皺が発生することがなく、安定したフィルム送りが可能になり、ヒートシール部の外観が美麗な包装品を得ることができる。
そして、ヒートシール部材の構造が複雑にならないので、ヒートシール部材の耐久性に問題が生じるおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】横ヒートシール装置により、筒状フィルムを横ヒートシールする工程を説明する概略説明図であり、(a)は横ヒートシールを開始する前の状態を示す説明図、(b)は横ヒートシールを開始した時点を示す説明図である。
【図2】横ヒートシール装置により、筒状フィルムを横ヒートシールする工程を説明する概略説明図であり、(a)は横ヒートシールの途中の状態を示す説明図、(b)は横ヒートシールが完了した時点を示す説明図である。
【図3】筒状フィルムが横ヒートシールされるときにヒートシール部材の当接位置とヒートシールロールの回転及び下降の速度との関係を説明する図であり、(a)は、横ヒートシール部にヒートシール部材が当接する位置を示す筒状フィルムの正面図、(b)は、ヒートシールロールの回転周速度及び下降速度を模式的に示すグラフである。
【図4】充填包装装置の一例を示す概略斜視図である。
【図5】(a)は、図4の充填包装装置の正面図であり、(b)は、(a)中のS−S線に沿う断面図である。
【図6】(a)正常な横ヒートシール部の一例を示す部分拡大断面図である。(b)「樹脂だまり」が発生した横ヒートシール部の一例を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1〜図3において、図4〜図6で用いた符号と同一の符号は、図4〜図6に示す構成と同一または同様のものであることを示し、重複する説明を省略することがある。
なお、本発明の製袋充填方法に用いられる製袋充填装置において、充填ノズルや縦ヒートシール装置としては、例えば、図4,図5に図示した装置またはこれと同様な装置を用いることができるが、特に限定されるものではない。
本発明の製袋充填方法は、横ヒートシール方法に特徴を有するので、以下、この横ヒートシール方法の形態例について詳しく説明する。
【0021】
図1,図2において、符号20は、横ヒートシール装置を示す。
横ヒートシール装置20は、回転軸21を中心にして回転可能なロール本体22と、このロール本体22の外周面23上に突設されたヒートシール部材24とを具備した一対のヒートシールロール25,25を備える。一対のヒートシールロール25,25の一方は、回転駆動源(図示略)を備え、例えば歯車(図示略)で他方に駆動力を伝える。回転駆動源としては、回転速度の精緻な制御が容易なので、サーボモーターが好ましい。
横ヒートシール装置20は、各ヒートシールロール25がその回転駆動源とともに、筒状フィルム3の送り方向に沿って、上下方向に往復移動が可能である。これにより、筒状フィルム3にヒートシール部材24の外周面26が当接する時間を調整できる。
【0022】
一対のヒートシールロール25,25と回転駆動源は、クランクと連結棒を用いたクランク装置(図示略)により、筒状フィルム3の送り方向に沿って直線移動可能に設けられる。そして、クランク装置のクランクを回転させる回転駆動源(図示略)は、別のクランク装置のクランクも回転させる。この回転駆動源も回転速度の精緻な制御が容易なので、サーボモーターが好ましい。このようにクランクの回転駆動源を兼用するのは、二つのクランク装置の動作を同期させやすくするためである。この別のクランク装置にも連結棒が接続されて、一対のヒートシールロール25,25と回転駆動源を含む一対のヒートシールロール25,25と実質的に同じ重さの重りを、ヒートシールロールの移動と同期させて正反対の方向に移動させる。重りを、ヒートシールロール25の移動と同期させて正反対の方向に移動させることにより、ヒートシールロール25の移動方向が反転する際の振動を打ち消す。
これらの二つのクランクと二つの連結棒は、互いに異なるものであってもよいが、同一のものであると同期と移動量の制御が容易となり、好ましい。
【0023】
ロール本体22は、回転軸21の中心軸線と同心の外周面23を有する円柱状である。ヒートシールロール25は、ロール本体22の回転軸21を中心として、図1および図2の矢印で示すように互いに反対方向に回転可能である。それぞれの回転軸21は、互いに平行になるように配置されている。ロール本体22の外周面23上には、回転軸21の長さ方向に延設された4本の凸条からなるヒートシール部材24が形成されている。
この例においては、ヒートシールロール25として、円柱状のロール本体22上にヒートシール部材24が4本互いに等間隔に形成されたものを例示したが、ロール本体22は回転軸21を中心として回転可能なものであれば円柱状のものに限定されない。また、ヒートシール部材24は1本以上であれば何本であってもよく、任意に設定可能である。
【0024】
ヒートシール部材24は、回転軸21に平行に形成されたものに限定されず、例えばロール本体22の長さ方向に一定の角度をもって斜めに形成され、筒状フィルム3の送り方向に対して横ヒートシールを斜めに行えるものでもよい。また、ヒートシール部材24は、波状などの形状に形成され、横ヒートシール部6の形状を波状などの意匠性を有した形状にできるものであってもよい。また、ヒートシールロール25は、ロール本体22の中心に棒状の回転軸21が嵌め込まれたものに限定されるものではなく、回転軸21は、ロール本体22の単なる回転中心の軸線であってもよい。
【0025】
横ヒートシール装置20は、一対のヒートシールロール25,25を回転駆動源により互いに逆方向に、かつ等しい回転速度で回転させる。これらの回転するヒートシールロール25,25の間に筒状フィルム3を上方から下方に向けて送る。これにより、一方のヒートシールロール25のヒートシール部材24の外周面26と、他方のヒートシールロール25のヒートシール部材24の外周面26との間に筒状フィルム3が両側から挟持される。そして、一対のヒートシール部材24で筒状フィルム3を加圧しながら加熱して、横ヒートシールする。一対のヒートシールロール25,25は、ヒートシール部材24同士が対向したときに、ヒートシール部材24の外周面26同士が筒状フィルム3の厚み程度のクリアランスを有するように近接して配置される。
各ヒートシールロール25のロール本体22の長さ方向両端部には、フランジ状の位置規制部材27が設けられている。位置規制部材27の外周面28は、ヒートシール部材24の外周面26よりも外径が大きい。位置規制部材27の外周面28同士が接することにより、一対のヒートシールロール25,25の間隔が規制される。
【0026】
横ヒートシール装置20は、下降しつつ筒状フィルム3に横ヒートシールを繰り返し行う。具体的には、図1(a)⇒図1(b)⇒図2(a)⇒図2(b)⇒図1(a)のサイクルを繰り返す。図2(b)⇒図1(a)においては、横ヒートシール装置20は、横ヒートシールの終了後、一対のヒートシールロール25,25をさらに回転させ、ヒートシール部材24の外周面26を筒状フィルム3から離して移動方向を反転させる。このようにして、一対のヒートシールロール25,25は、筒状フィルム3を挟持して下降した距離Lより多く上昇し、横ヒートシールを開始する前の状態に戻って、次のヒートシールに備える。このとき、下降時と同じ軌跡を逆方向に上昇させてもヒートシール部材24の外周面26が筒状フィルム3に接しないので、ヒートシールロール25を単に往復させるだけの簡単な動作で、本発明のヒートシール方法を実施することができる。
【0027】
次に、筒状フィルム3の送り方向に沿う方向に往復移動可能なヒートシール装置20を使用して、筒状フィルム3を横ヒートシールする方法について説明する。
一対のヒートシールロール25,25を互いに反対方向に回転させ、横ヒートシールする筒状フィルム3を一対のヒートシールロール25,25間に向けて送る。
ここで、筒状フィルム3の送り速度は、A(m/s)の一定速度とする。また、回転軸21の中心からヒートシール部材24の外周面26までの距離、すなわちヒートシール部材24の外周面26における回動半径はr(m)とする。
ヒートシール部材24の周方向の長さに対応する中心角をθ(rad)とすると、ヒートシール部材24の外周面26の周方向に沿う長さはrθ(m)である。
図3(a)に示すように、横ヒートシール部6が形成される部分6Aの幅をWとすると、ヒートシール部材24の外周面26が筒状フィルム3との間で滑ったり皺を発生させたりすることなく当接する場合、W=rθの関係が成り立つ。
なお、説明を分かりやすくするため、図1,図2において、筒状フィルム3のうち横ヒートシール部6が形成される部分6Aをハッチングにより図示する。
【0028】
図1(a)に示すように、一対のヒートシールロール25,25を回転させつつ筒状フィルム3を下方に送っていくと、筒状フィルム3の両側から一対のヒートシールロール25,25のヒートシール部材24,24の外周面26,26が当接し始め、図1(b)に示す状態となる。この際のヒートシールロール25の中心位置の相対高さをP1とする。図1(b)に示すように、ヒートシール部材24の外周面26が筒状フィルム3に当接し始めた時点Xでは、ヒートシール部材24は、図3(a)に示すように横ヒートシールされる部分6Aの下側の端縁付近に当接する。
図1(b)に示す状態の時点で、クランクと連結棒を備えるクランク装置(図示略)により一対のヒートシールロール25,25を筒状フィルム3の送り方向に沿って駆動し、一対のヒートシールロール25,25の下降を開始する。
【0029】
このようにして、筒状フィルム3がヒートシール部材24,24の外周面26,26間に挟持される期間、一対のヒートシールロール25,25を回転させながら下降させると、図2(a)に示す状態に至る。図2(a)の時点Yでは、ヒートシール部材24は、横ヒートシールされる部分6Aのうち幅方向の中間位置の付近に当接する。
さらに一対のヒートシールロール25,25を回転させつつ筒状フィルム3を下方に送っていくと、ヒートシール部材24,24の外周面26,26が筒状フィルム3から離れ、一回の横ヒートシールが完了する。ヒートシール部材24が筒状フィルム3から離れる直前の時点Zにおいては、ヒートシール部材24の当接位置は、図3(a)に示すように横ヒートシールされる部分6Aの上側の端縁付近である。
【0030】
一対のヒートシールロール25,25のヒートシール部材24,24の外周面26,26がともに筒状フィルム3から離れた直後も一対のヒートシールロール25,25を回転させながら、ヒートシールロール25の移動の方向を上方へと反転させる。図2(b)の時点のヒートシールロール25の中心位置の相対高さをP2とすると、一回の横ヒートシールの期間中にヒートシールロール25が下降したP1〜P2間の距離は、図2(b)中、符号Lで示される長さである。
なお、図2において、図1(b)の状態である横ヒートシールが開始された時点のヒートシールロール25の位置を二点鎖線で示す。
【0031】
横ヒートシール装置20が筒状フィルム3の横ヒートシールを繰り返すとき、横ヒートシール装置20の状態が毎回同じ状態で実施されることが好ましい。そこで、横ヒートシールが完了したあとには、図1(a)に示す状態に復帰するように、ヒートシールロール25を距離Lより多く上昇させ、次の横ヒートシールが開始する前に、横ヒートシールを位置Pに戻す。
なお、袋5の長さが短い場合は、複数回の横ヒートシールが完了した後に一度でヒートシールロール25を上昇させて最初の位置に戻すこともできるが、制御が難しくなる場合がある。
【0032】
ヒートシールロール25が上方に移動している間、各ヒートシールロール25は回転し続けていなくてもよいが、ヒートシールロール25が上方へ移動している間にヒートシール部材24の外周面26が筒状フィルム3に接触しないことが必要である。また、ヒートシールロール25が図1(b)に示す位置にまで戻った際に、次のヒートシール部材24が筒状フィルム3の次の箇所を横ヒートシールできるようなタイミングに合わせることが必要である。ヒートシールロール25が上昇してから次の横ヒートシールが開始するまでの間に、ヒートシールロール25の移動速度および回転速度を次の横ヒートシールの開始に適した速度に調整する。
以上のように、ヒートシール部材が筒状フィルム3に横ヒートシールを行っている間、ヒートシールロール25を下降させ、ヒートシール部材24が筒状フィルム3から離れたら、ヒートシールロール25を上昇させることを繰り返す。
【0033】
ここで、ヒートシール部材24の外周面26間に挟持される期間において、ヒートシールロール25の回転の角速度をα(rad/s)、ヒートシール部材24の外周面26における周速度をV1(m/s)、ヒートシールロール25の下降速度をV2(m/s)とする。角速度αと周速度V1については、上述のようにヒートシール部材24の外周面26における回動半径をr(m)としたとき、V1=αr(m/s)との関係が成り立つ。ヒートシールロール25に対する筒状フィルム3の相対速度は、筒状フィルム3の送り速度Aとヒートシールロール25の下降速度をV2との差(A−V2)で表される。つまり、ヒートシールロール25を下降させることにより、ヒートシールロール25を基準とした筒状フィルム3の見掛けの送り速度(A−V2)は、実際の送り速度Aよりも遅くなる。
【0034】
筒状フィルム3がヒートシール部材24の外周面26間に挟持される期間において、ヒートシールロール25のヒートシール部材24の外周面26における周速度V1と、ヒートシールロール25の送り方向に沿う移動速度V2との和が、筒状フィルム3の送り速度Aに等しい関係(A=V1+V2)を維持すれば、ヒートシール部材24の外周面26と筒状フィルム3との速度差が0となる。したがって、ヒートシール部材24が筒状フィルム3に対して滑ったり、筒状フィルム3が弛んで皺が生じたりすることなく、良好な横ヒートシールを実現することができる。
【0035】
図4および図5に示す従来のヒートシール装置30のヒートシールロール25が筒状フィルム3の送り方向に沿って移動しない場合には、ヒートシール部材24の周速度V1と筒状フィルム3の送り速度Aとが等しくなる必要がある。したがって、ヒートシールロール25の回転速度(角速度)αは、筒状フィルム3の送り速度Aが決まれば自動的に決まり、V1=αrであるから、α=A/r(rad/s)となる。
これに対して、ヒートシールロール25が下降する場合には、αr=V1=A−V2であればよい。したがって、下降速度V2を変更することにより、回転速度α(rad/s)は、理論上任意の値に設定可能である。
【0036】
そして、例えば回転速度αを、従来のヒートシール装置30における回転速度の1/2であるα=(A/2)rに設定した場合、周速度V1=1/2A、下降速度V2=1/2Aとなる。この場合、横ヒートシール部の幅Wを従来の半分の速度でヒートシールすることになるため、ヒートシール時間は2倍になる。周速度V1と下降速度V2とが等しいから、回転速度α=A/2rの一定速度でフィルム3の横ヒートシールされる部分6A全体をヒートシールしたとすると、ヒートシールロール25の横ヒートシールしつつ下降する距離Lは横ヒートシール幅rθに等しく、L=rθとなる。
【0037】
また、例えば回転速度αを(A/3)rに設定した場合、周速度V1=A/3、下降速度V2=(2/3)Aとなる。この場合、回転速度αは、従来のヒートシール装置における回転速度の1/3となるため、ヒートシール時間は3倍になる。下降速度V2は周速度V1の2倍となるから、回転速度α=(A/3)rの一定速度で横ヒートシールされる部分6A全体をヒートシールしたとすると、ヒートシールロール25の横ヒートシールしつつ下降する距離Lは横ヒートシール幅rθの2倍に等しくなり、L=2rθとなる。
つまり、回転速度αを、従来のヒートシール装置30における回転速度の1/nであるα=(A/n)rに設定した場合、下降速度V2=((n−1)/n)Aとなり、下降する距離L=(n−1)rθとなる。なお、nは、整数でなくともよい。
【0038】
ヒートシールロールが筒状フィルム3の送り方向に沿って移動しない従来のヒートシール装置30によるヒートシール方法では、回転速度αはA/rの一定値に決められる。これに対して、ヒートシール時にヒートシールロール25を筒状フィルム3の流れ方向に沿って下降させることによって、筒状フィルム3の送り速度Aにかかわらず、任意に調整することができる。すなわち、筒状フィルム3の送り速度Aを減速せずに、一定値に維持したまま、ヒートシール部材24によるヒートシール時の各ヒートシールロール25の回転速度を、ヒートシールに十分な速度まで任意に減速させ、ヒートシール時間を所望に調整することができる。
【0039】
つまり、本形態例のヒートシール方法の場合、回転速度αを従来のヒートシール装置30の回転速度であるA/rよりも遅くすることが可能なので、筒状フィルム3にヒートシール部材24が当接する時間を従来のヒートシール装置30よりも長くし、横ヒートシールを念入りに行うことができる。逆にいえば、筒状フィルム3の送り速度が速い場合であっても、十分なヒートシール時間を確保できるので、シール強度などの品質を維持したまま、生産性を上げることができる。
回転速度αおよび下降速度V2の具体的な変更パターンは、筒状フィルム3の送り速度Aや横ヒートシール部の幅方向におけるヒートシール時間の分布から、適切な条件を算出して設定することができる。
【0040】
ここで、本形態例のヒートシール方法においては、例えば図3(b)に示すように、筒状フィルム3の横ヒートシール期間の初期X及び終期Zには、該期間の中間期Yに比べて、ヒートシールロール25の回転速度を遅くし、かつヒートシールロール25の下降速度を速くする。
図3(a)および(b)の符号XおよびZは、横ヒートシール部6の袋5の収納空間7に近接する端縁をヒートシールするタイミングであり、符号Yは、横ヒートシール部6の幅方向の中間部分をヒートシールするタイミングである。
【0041】
このように横ヒートシールすることにより、筒状フィルム3の送り速度Aを一定に保ったまま、横ヒートシール部6のうち、袋5の収納空間7に近接する部分の単位長さあたりのヒートシール時間が相対的に長くなり、横ヒートシール部6の幅方向の中間部分の単位長さあたりのヒートシール時間が一定で相対的に短くなる。つまり、横ヒートシール部のうち幅方向の両端縁付近のヒートシール強度を高くし、幅方向の中央部のヒートシール強度を適切に制御することができる。幅方向の中央部をヒートシールする単位長さあたりの時間が短縮されることにより、横ヒートシール部6における樹脂が加熱され過ぎることがなくなり、樹脂だまりの発生を抑制することができる。また、温度分布が均一なヒートシール部材を用いて、相対的に長い時間でヒートシールすることができるので、ヒートシール部6内に残存した夾雑物の水分の蒸発やそれに起因する体積膨張、気泡発生が抑制され、熱間剥離も起こりにくく、良好なヒートシールを得ることができる。
【0042】
上述のように、ヒートシールロール25の回転速度α(rad/s)は、理論上任意の値に設定可能であるが、以下の理由により、回転速度αは、1回の横ヒートシールが行われる期間中、0≦α≦A/rの範囲内である必要がある。
ヒートシールロール25は、一定方向に回転するから、回転速度αが0≦αである。ヒートシール部材24の外周面26における周速度V1は、フィルム3の送り速度A以下であるから、V1=αr≦Aである。つまり、回転速度αは、α≦A/rである。
【0043】
本形態例のヒートシール方法によれば、特許文献1のようなヒートシール部材の外周面の熱伝導性の位置的な分布ではなく、ヒートシール部材の回転速度の時間的な分布により、横ヒートシール部に対して、幅方向の両端縁のヒートシール強度が部分的に強くなるような熱の分布が与えられる。このため、樹脂だまりなどのヒートシール不良を抑制し、ヒートシールが良好で、落下強度や耐衝撃性に優れた包装品を得ることができるのはもちろん、ヒートシール部材の温度ムラが小さく又はほとんど無い状態にすることができるので、ヒートシール部材の温度の制御も容易であり、安定した条件でヒートシールが可能になる。
そして、筒状フィルム3の送り速度を高めた場合であっても、横ヒートシールロールの回転速度を上げる必要がないので、充分なヒートシール時間が確保され、生産性を向上することができる。ヒートシール部材の構造が複雑にならないので、ヒートシール部材の耐久性に問題が生じるおそれもない。
【0044】
また、筒状フィルム3の送り速度を一定に保ち、筒状フィルム3がヒートシール部材の外周面間に挟持される期間中、ヒートシールロールの周速度V1と、ヒートシールロールの移動速度V2との和が、筒状フィルム3の送り速度Aに等しい関係を維持することにより、ヒートシール部材の外周面と筒状フィルム3との相対的な速度差が0となり、ヒートシール部材の外周面が筒状フィルム3を弛ませることなく当接する。これにより、ヒートシール部材が筒状フィルム3に対して滑ったり、筒状フィルム3に皺が生じたりすることがないので、安定した筒状フィルム3送りが可能になり、ヒートシール部の外観が美麗な包装品を得ることができる。
【0045】
ところで、図3(b)は、中間期Yにおいてヒートシールロール25の回転速度を一定とし、かつヒートシールロール25の移動速度を一定とした場合の筒状筒状フィルム3が横ヒートシールされるときにヒートシール部材24の当接位置とヒートシールロール25の回転および下降の速度との関係を説明する図でもある。中間期Yにおいてヒートシールロール25の移動速度を一定とすると、以下の理由により好ましい。
一般的に、上下動を発生させる機構としては、ラック、ボールねじ、カム機構などがある。ラックやボールねじを用いたものは、一定速度に制御しやすいが、移動方向を転換する度にモーターを一旦停止させて正逆回転させる必要があり、高速で上下動させるためには、急発進と急停止を必要とし現実的ではない。また、カム機構を用いたものは高速の上下動が可能であるが、溝カムではカムフォロアと溝との間に隙間が形成されるので、高速上下動時にカムフォロアが大きく方向変更するとその隙間で衝撃に耐えることが困難である。
それ故、本発明においては、高速の上下動が可能で耐久性の高いクランクでヒートシールロール25を上下動させる。
【0046】
クランクは、円運動するから、連結棒等を用いて直線運動に変換すると、ヒートシールロール25の移動速度は、サインカーブを描くように変化する。
ヒートシール部材24の外周面26における角速度αとヒートシールロール25の移動速度V2との関係は、αr=V1=A−V2となるように制御されているから、ヒートシールロール25の下降速度V2がこのように変化する場合、ヒートシールロール25の回転速度αもサインカーブを描くように変化させる必要がある。
しかし、ヒートシールロール25が図1(b)に示す横ヒートシールが開始された時点の位置にまで戻った際に、次のヒートシール部材24が筒状フィルム3の次の箇所を横ヒートシールできるようなタイミングに合わせてヒートシールロール25を回転させることが必要である。したがって、ヒートシールロール25の移動速度の変化に合わせてヒートシールロール25の回転速度を変化させることは難しく、現実的ではない。
【0047】
そこで、筒状フィルム3がヒートシール部材の外周面間に挟持される期間のうち、少なくとも中間期においてヒートシールロールの回転速度を一定とすれば、少なくとも中間期においてヒートシールロールの移動速度を一定とすればよいことになる。中間期においてヒートシールロールの移動速度を一定とするためには、ヒートシールの初期と終期を検知すればよい。ヒートシールの初期と終期を検知するには、ヒートシール部材24、ヒートシールロール25、回転軸21、回転駆動源の回転する部分などにヒートシール部材24の幅方向の両端部が判るようなしるしをつけ、しるしを光学センサで感知する方法、ロータリーエンコーダで回転角を測定する方法などで実現できるので、比較的容易である。したがって、少なくとも中間期においてヒートシールロールの回転速度が一定となる少なくとも中間期においては、ヒートシール部材24の外周面26が筒状フィルム3との間で滑ったり皺を発生させたりすることなく当接し、ヒートシール部材24の温度ムラが小さいか、または無い状態の安定した条件でヒートシールを行うことができる。
【0048】
そして、フィルム3の材質や充填する内容物によっては、樹脂だまりや夾雑物によるヒートシール不良のおそれが小さいか、または無い場合には、図3(a)に示す横ヒートシール部の幅Wの全幅を一定速度でヒートシールすることが好ましい。このようにヒートシールすると、ヒートシール中にヒートシール25の回転速度が変化しないので、より安定した条件でヒートシールを行うことができる。
【0049】
また、袋5の高さが小さい場合、ヒートシールロール25の加工速度が大きい場合。ヒートシールロール25の回転速度が小さい場合などは、横ヒートシールが終わって、次の横ヒートシールを開始する前の状態を示す図1(a)の位置までヒートシールロール25が戻った際に、筒状フィルム3の次のヒートシール箇所にヒートシール部材24が位置するように、ヒートシールロール25の上昇速度を制御することで、ヒートシール25を常時一定速度で回転させ続けることもできる。このようにヒートシール25を常時一定速度で回転させ続けた状態でヒートシールを行うと、ヒートシールロール25の回転速度を変動させる要素がないので、より一層安定した条件でヒートシールを行うことができる。
【0050】
上記のヒートシール方法を横ヒートシール工程に適用した製袋充填方法によれば、上述のようにして横ヒートシール部の加熱しすぎを防止できるので、樹脂だまり抑制の効果の他、筒状フィルム3に内容物を充填しながら該筒状フィルム3を横方向にヒートシールする際に、筒状フィルム3間に夾雑物として介在する内容物中の水分の蒸発による気泡発生を抑制する効果が得られる。この結果、落下強度や耐衝撃性に優れた包装品を高い生産性によって製造することができる。
【0051】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、図4および図5には、1枚のフィルム1を幅方向に二つ折りしてこの折り返し部を除く袋5の三方がヒートシールされた三方シール袋を製造する製袋充填装置を示した。これに対して、袋5の四方がヒートシールされた四方シール袋を製造する場合には、2枚のフィルムを重ね合わせてこれらのフィルムの側縁部同士を該フィルムの両側で縦方向にヒートシールし、得られた筒状フィルムに内容物の充填と横ヒートシールとを施すことによって実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば液体や粉粒体等の内容物が袋に密封充填された包装体の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…フィルム、2…フィルムの側縁部、3…筒状フィルム、5…袋、11,21…回転軸、12,22…回転体(ロール本体)、13,23…回転体の外周面、14,24…ヒートシール部材、15,25…ヒートシールロール、16,26…ヒートシール部材の外周面。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動可能な一対のヒートシールロールがその外周面に設けられたヒートシール部材間に筒状フィルムを挟持して下降しつつ、一定速度で下降する筒状フィルムを横方向にヒートシールするヒートシール方法であって、
ヒートシール部材の外周面における周速度とヒートシールロールの下降速度との和が筒状フィルムの下降速度となるように正確に制御して、クランクと連結棒を用いてヒートシールロールとその回転駆動源をいっしょに直線移動させ、前記駆動源を含む一対のヒートシールロールと実質的に同じ重さの重りを、ヒートシールロールの移動と同期させて正反対の方向に移動させるとともに、
筒状フィルムがヒートシール部材の外周面間に挟持される期間のうち、初期及び終期は、中間期に比べて、ヒートシールロールの回転速度を遅くし、かつヒートシールロールの移動速度を速くすることを特徴とするヒートシール方法。
【請求項2】
上下動可能な一対のヒートシールロールがその外周面に設けられたヒートシール部材間に筒状フィルムを挟持して下降しつつ、一定速度で下降する筒状フィルムを横方向にヒートシールするヒートシール方法であって、
ヒートシール部材の外周面における周速度とヒートシールロールの下降速度との和がフィルムの下降速度となるように正確に制御して、クランクと連結棒を用いてヒートシールロールとその回転駆動源をいっしょに直線移動させ、前記駆動源を含む一対のヒートシールロールと実質的に同じ重さの重りを、ヒートシールロールの移動と同期させて正反対の方向に移動させるとともに、
筒状フィルムがヒートシール部材の外周面間に挟持される期間のうち、少なくとも中間期においてヒートシールロールの回転速度を一定とし、かつヒートシールロールの移動速度を一定とすることを特徴とするヒートシール方法。
【請求項3】
一定速度で下降する二つ折りされた1枚のフィルムまたは重ね合わされた2枚のフィルムの側縁部をヒートシールして筒状フィルムとし、筒状フィルムに内容物を充填しながら横方向にヒートシールして袋内に内容物が充填された包装体を製造する製袋充填方法であって、
横方向にヒートシールする工程は、請求項1または2に記載のヒートシール方法によってなされることを特徴とする製袋充填方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−111530(P2012−111530A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262850(P2010−262850)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】