説明

ヒートポンプ液体加熱エアコン、或いは機器

【課題】給湯のみならず、冷房、暖房、床暖等の機能を持たせられ、しかも冷房時の廃熱を給湯等液体加熱に利用できる一つのシステムで、冷凍サイクルとして安全で安定した運転の出来るヒートポンプ液体加熱エアコン、或いは機器を提供する。
【解決手段】圧縮機、液体加熱用熱交換器、四方弁、室内側空気熱交換器、膨張弁、室外側空気熱交換器、前記四方弁を冷媒配管により順次接続したことを特徴とする冷凍サイクルに液体加熱用熱交換器に繋がれた液体回路に循環ポンプを具備するヒートポンプ液体加熱エアコン或いは機器である。前記冷凍サイクルを有すシステムに液体加熱用熱交換器の液体回路に貯湯タンク、循環ポンプがシリーズに接続され、冷媒温度、液体温度の状態により循環ポンプがオン、オフ、或いは循環ポンプの稼動スピードを変化させる液体回路を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ液体加熱エアコンに係り、冷房運転時も、暖房運転時も廃熱を利用出来る範囲を広くし、高効率で快適な空調、及び給湯を可能としたヒートポンプ液体加熱エアコン、或いはその応用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ給湯機として図5に示すような構造を有し、ヒートポンプ給湯エアコンとしては、特許文献特開2001−248937の図6に示すものや、特開特願2004−61613の図7に示すものなどが開示されている。
図5に示す回路のものは給湯を行うものであり、室内の冷房には別の冷凍サイクルを必要としていた。
【0003】
また図6に示すものはヒートポンプ給湯エアコンとして冷房時排熱を利用し運転できるものとし、圧縮機、四方弁、水加熱用熱交換器、室外熱交換機用流量制御弁、室外熱交換器、四方弁を冷媒配管で順次接続し、又、室内熱交換器用流量制御弁及び室内熱交換器を室外熱交換機用制御弁及び室外熱交換器を並列に設けた構成で開示されている。
しかしながら、前記水加熱用熱交換器に供給される水の温度が高い時は冷房能力が落ちてしまうという欠点があった。
【0004】
図7示す例は四方弁を複数配置した構成になっており、冷房、暖房、給湯の各モードにより冷媒の流れない回路が出来る為、冷媒溜まり、オイル溜まりが出来易く、逆止弁、電磁弁等を回路に複数入れたり、或いは冷媒回収、オイル回収等の作業をさせないと安定した冷凍サイクルが出来ないという複雑な制御とコストアップの欠点があった。
【0005】
【特許文献】特開2001−248937
【特許文献】特願2004−61613
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給湯のみならず、冷房、暖房、床暖等の機能を持たせ、しかも冷房時の廃熱を給湯等液体加熱に利用でき、冷凍サイクルとして安全で安定した運転の出来るものが要望されていた。
【課題を解決する為の手段】
【0007】
本願請求項1の発明では、圧縮機、液体加熱用熱交換器、四方弁、室内側空気熱交換器、流量制御弁、室外側空気熱交換器、前記四方弁を冷媒配管により順次接続したことを特徴とするヒートポンプ液体加熱エアコンで、液体加熱用熱交換器の液体循環回路側に循環ポンプを具備したことを特徴とするのを要旨としている。
【0008】
本願請求項2の発明では、圧縮機、液体加熱用熱交換器、四方弁、流量制御弁、室外側空気熱交換器、前記四方弁、室内側空気熱交換器を冷媒配管により順次接続したことを特徴とするヒートポンプ液体加熱エアコンで、液体加熱用熱交換器の液体循環回路側に循環ポンプを具備したことを特徴とするのを要旨としている。
【0009】
本願請求項3の発明では、液体加熱用熱交換器を圧縮機吐出側と四方弁の冷媒配管途中に具備する冷凍サイクルと、前記液体加熱用熱交換器に流れ込む冷媒温度と前記液体加熱用熱交換器に流れ込む液体温度との温度差に応じ、又は稼動指令により、前記液体加熱用熱交換器の液体を循環させる循環ポンプがオン、オフ、或いは稼動スピード変更する制御を有す請求項1又は2のヒートポンプ液体加熱エアコン、および機器である事を要旨としている。
【0010】
本願請求項4の発明では、液体加熱用熱交換器2、貯湯タンク、循環ポンプがシリーズに繋がれた加熱液体回路に輻射暖房用配管12を貯湯タンクと並列に配置し、貯湯と輻射暖房を切り替えられる回路を具備する請求項1又は2のヒートポンプ液体加熱エアコン、および機器である事を要旨としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明と従来の冷凍サイクルとの根本的な違いの第一は図5、図6、及び図7を見て明らかなように液体加熱用熱交換器を圧縮機吐出と四方弁の間に持っていることと、加熱液体側回路にオン、オフ、或いは運転スピード可変の出来るポンプを配置した事で、圧縮機吐出冷媒が低温の時の液体加熱熱交換器内の加熱液体側の液体温度の低下をポンプ運転停止、或いはポンプ運転スピード低減で回避できるのみならず、液体加熱熱交換器内冷媒側に於いても液体加熱モード、冷房モード、および暖房モード等にポンプ運転停止、或いはポンプ運転スピード低減する事により、冷媒不足や、冷媒過多になる状態を回避し、安定した冷凍サイクルを作る事が出来る。また、本発明の回路は、どのような運転モードでも冷媒、オイルが澱む所がなく安定した冷凍サイクルで運転できるメリットを始め、暖房と液体加熱の同時運転が出来るだけでなく、冷房時、廃熱を液体加熱に利用する事が出来、液体加熱、冷房の2つの目的も同時に出来る事となる。
【発明を実施する為の最良の形態】

【実施例】
【0012】
以下、図1から図7までの図を用い、請求項1、請求項2、請求項3、及び請求項4の発明を実施する為の最良の形態、実施例を説明する。
図1は図3に示す請求項1の冷凍サイクルを用いたヒートポンプ液体加熱エアコンの実施例の一つで、冷媒回路は圧縮機1、液体加熱用熱交換器2、四方弁3、室内側空気熱交換器4、流量制御弁5、室外側空気熱交換器6、前記四方弁3を介して前記圧縮機1の吸い込み側に冷媒配管により接続している。
室内側空気熱交換器4、及び室外空気側熱交換器6には、それぞれ室内側ファン7、と室外側ファン8が具備されている。
前記液体加熱用熱交換器2の液体側の液体循環配管には循環ポンプ9、三方弁11、輻射暖房用配管12、貯湯タンク10が接続されている。
図1に示される本発明の持っている機能、すなわち液体加熱、輻射暖房、冷房、暖房の各モードについて以下に説明する。
上記いずれのモードに於いても、圧縮機1を稼動すると高温の冷媒が液体加熱用熱交換器2の方向に流れ液体回路の液体は加熱される。
冷媒回路の冷媒はその後、四方弁3に流れ込み暖房運転であれば、四方弁3内を実線で示した方向に流れ、冷媒配管に沿って実線の矢印で示されるように室内空気熱交換器4に流れる。暖房運転をするには室内側ファン7を稼動する。
室内側空気熱交換器4をでた冷媒は流量制御弁5で絞られ、その先に接続されている室外側空気熱交換器6で室外側ファン8の稼動により空気から熱を取り冷媒は蒸発し、前記四方弁3内実線で示されている方向に流れ、圧縮機1に吸入され、また高温の冷媒となって圧縮機1から吐出し、前記した流れを繰り返す。
以上は暖房モードとしての説明であるが、同時に液体加熱モードも兼ねている。液体加熱の液体側の説明をすると、液体回路側は三方弁を実線の矢印で示した方向に流れるようにしておき、循環ポンプ9が稼動すれば、貯湯タンク10内の液体は循環ポンプ9に吸引され、液体加熱用熱交換器2側に吐出し、高温冷媒で加熱され、貯湯タンク内熱交換器16に送られ、貯湯タンク10内の貯湯タンク内熱交換器16の外の液体に放熱し、貯湯タンク内熱交換器16の中を流れ、また循環ポンプ9に吸われ、この流れを繰り返す。
以上は暖房モード、液体加熱モード同時並行についての説明だが、ポンプ運転をオフすれば暖房中心モード、逆に室内ファン7をオフすれば液体加熱中心のモードとなる。
【0013】
貯湯タンク10内の温度を液体温度センサ13が感知し、目的の温度になった時や、液体加熱用熱交換器2の冷媒高圧側温度センサ14の温度が液体温度センサ13より低かった場合は循環ポンプ9の運転をオフする。
また、床暖房等輻射暖房をしたい時は、輻射暖房用配管12に温水を流すべく、三方弁11で液体が輻射暖房用配管12に流れるように破線の矢印の方に切り替えれば、貯湯タンク10をバイパスした流れとなり輻射暖房モードとなる。
冬季暖房運転、液体加熱運転をすると室外側空気熱交換器6の空気側表面が凍結し除霜の必要が生じる事があるが、除霜モード時、四方弁3は切り替わり、四方弁3内破線で示した方向に冷媒は流れ、高圧で熱い冷媒は室外側熱交換器6内部を通り表面の霜、氷を溶かし、冷媒は流量制御弁5で絞られ、室内熱交換器4で蒸発し、4方弁を経由し、圧縮機に戻る。冷媒流れとしては次に述べる冷房時モード時と同じ冷媒の流れであるが、除霜時は室内ファン7も、室外ファン8もオフの状態である点が大きく異なる。本発明では液体熱交換器2と室内側空気熱交換器4には除霜時に熱慣性が多く残っている為、短時間で除霜が完了出来るメリットもある。
【0014】
図2で冷房モード時の機能について説明する。圧縮機1から吐出された冷媒は液体加熱用熱交換器2で液体を加熱した後、四方弁3内の破線で示す方向に流れ、室外側空気熱交換器6で冷却され流量制御弁5で絞られ、室内側空気熱交換器4で蒸発し、室内側ファン7で送風された室内空気を冷却し、冷房機能を発揮する。室内側空気熱交換器4を出た冷媒は前記四方弁3内の破線で示す方向に流れ、圧縮機1に戻る。
即ち、本発明では冷房時も液体加熱機能を発揮する。
圧縮機1の起動時、冷媒高圧側温度センサ14の感知温度が液体温度センサ13の感知温度より低い場合は循環ポンプ9をオフさせ、貯湯タンク9内の温めた液体の冷却を防止する。
室外側ファン8をオフすると冷媒の高圧は上がり、高温となり冷房をしながら加熱液体を更に高温にする事もできる。
加熱液体の液体回路については前記の暖房時の説明と同じの為、省略する。
【0015】
以上は本発明請求項1の図3に示された基本冷凍サイクルを用い、請求項3、および4も含めた本発明実施例の説明であるが、本発明請求項2の図4に示された基本冷凍サイクルの請求項3、および4を含めた実施例について、主に図4を用い、以下に簡単に説明する。
まず、液体加熱モードでは、圧縮機1を稼動すると高温の冷媒が液体加熱用熱交換器2の方向に流れ、液体回路の液体を加熱した後、四方弁3に流れ込み、四方弁3内を実線で示した方向に流れ、冷媒配管に沿って実線の矢印で示されるように流量制御弁5を通り冷媒は絞られて室外空気熱交換器6に流れ、外気から熱を吸収し、四方弁3内の実線で示した方向に流れ、室内側空気熱交換器4を経由し圧縮機1に戻り、これを繰り返す。液体加熱モードは冷媒が室内側空気熱交換器4を通る時、室内側ファン7はオフで冷風は出さない。
液体加熱の液体側の流れは前述の請求項1の基本冷凍サイクルを用いた実施例と同じ為、省略する。
【0016】
冷房モードでは、図4の圧縮機1から吐出された冷媒は液体加熱用熱交換器2で液体を加熱した後、四方弁3内の破線で示す方向に流れ、室外側空気熱交換器6に入り、室外側ファン8で冷却され凝縮し、流量制御弁5で絞られた後、四方弁3内を破線方向に流れ、室内側熱交換器4で蒸発し、冷房機能を行い、圧縮機1に戻る。
即ち、本発明の請求項2を用いた冷凍サイクルでも、冷房時も液体加熱機能を発揮する。冷房モード時の液体側の流れについては液体加熱モードと同じ為説明を省略する。
【0017】
本発明の請求項2の冷凍サイクルを用いた場合、室内側空気熱交換器4を使用した温風暖房は不可能となるため、暖房モードとしては輻射暖房用配管12に加熱液体を通した輻射暖房のみとなる。すなわち冷凍サイクルは液体加熱モードで液体回路は3方弁の切替により貯湯タンク10側に行かずに、輻射暖房配管12側に行くようにするのは請求項1の冷凍サイクルを用いた[0013]で説明した輻射暖房用配管12に加熱液体を流す場合と同じである。
【0018】
冬季液体加熱モード運転をすると除霜の必要が生じるが、除霜モード時、四方弁3は切り替わり、液体加熱用熱交換器2から四方弁3を経由し、室外側空気熱交換器6に流れ除霜し、流量制御弁5で絞られ、4方弁3を経由して室外側空気熱交換器4を液溜器として利用し、圧縮機1へ戻る。除霜時は室内ファン7、および室外ファン8はオフ状態である。
【産業上の利用の可能性】
自明ゆえ説明は省略
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に関わるヒートポンプ液体加熱エアコンに用いられる冷凍サイクルと加熱液体循環回路を示し、暖房時の冷媒、加熱液体の流れを示す図
【図2】本発明に関わるヒートポンプ液体加熱エアコンに用いられる冷凍サイクルと加熱液体循環回路を示し、冷房時の冷媒、加熱液体の流れを示す図
【図3】本発明ヒートポンプ液体加熱エアコンの基本回路を示す図
【図4】本発明ヒートポンプ液体加熱エアコンの基本回路と冷媒流れを示す図
【図5】従来のヒートポンプ給湯エアコンの冷凍サイクル図例1
【図6】従来のヒートポンプ給湯エアコンの冷凍サイクル図例2
【図7】従来のヒートポンプ給湯エアコンの冷凍サイクル図例3
【符号の説明】
1.圧縮機
2.液体加熱用熱交換器
3.四方弁
4.室内側空気熱交換器
5.流量制御弁
6.室外側空気熱交換器
7.室内側ファン
8.室外側ファン
9.循環ポンプ
10.貯湯タンク
11.三方弁
12.輻射暖房用配管
13.液体温度センサ
14.冷媒高圧側温度センサ
15.液体配管
16.貯湯タンク内熱交換器
17.制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、液体加熱用熱交換器、四方弁、室内側空気熱交換器、流量制御弁、室外側空気熱交換器、前記四方弁を冷媒配管により順次接続した冷凍サイクルと、液体加熱用熱交換器の液体循環回路側に循環ポンプを具備したことを特徴とするヒートポンプ液体加熱エアコン、および機器。
【請求項2】
圧縮機、液体加熱用熱交換器、四方弁、流量制御弁、室外側空気熱交換器、前記四方弁、室内側空気熱交換器を冷媒配管により順次接続した冷凍サイクルと、液体加熱用熱交換器の液体循環回路側に循環ポンプを具備したことを特徴とするヒートポンプ液体加熱エアコン、および機器。
【請求項3】
冷凍サイクルの高圧側冷媒温度と液体加熱用熱交換器に流れ込む液体温度との温度差に応じ、又は稼動指令により、前記液体加熱用熱交換器の液体を循環させる循環ポンプがオン、オフ、或いは稼動スピード変更する制御を有す請求項1又は2のヒートポンプ液体加熱エアコン、および機器。
【請求項4】
液体加熱用熱交換器、貯湯タンク、循環ポンプがシリーズに繋がれた加熱液体回路に輻射暖房用配管を貯湯タンクと並列に配置し、貯湯と輻射暖房を切り替えられる回路を具備する請求項1又は2のヒートポンプ液体加熱エアコン、および機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32376(P2008−32376A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275793(P2006−275793)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(505204985)
【Fターム(参考)】