ビデオ通話システム、主側端末、従側端末
【課題】三者以上の参加者が存在するビデオ通話の開始直後から、映像表示を可及的に安定化させる。
【解決手段】主側端末11が、ビデオ通話の開始に際して、各端末11、12毎の許容帯域幅情報を参照し、許容される転送レートを従側端末12の数で割った値を、ビデオ通話中に各端末11、12から送出するべき映像データの転送レートの最大値として算定する。そして、主側端末11から各従側端末12に向けて、算定した最大転送レートの情報を送信する。
【解決手段】主側端末11が、ビデオ通話の開始に際して、各端末11、12毎の許容帯域幅情報を参照し、許容される転送レートを従側端末12の数で割った値を、ビデオ通話中に各端末11、12から送出するべき映像データの転送レートの最大値として算定する。そして、主側端末11から各従側端末12に向けて、算定した最大転送レートの情報を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三者以上が参加することのできるビデオ通話機能を実現するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信回線を介して、多地点間でのビデオ講義またはビデオ会議等を実現するビデオ通話システムが周知である。
【0003】
近時では、映像の高品位化への要求がますます高まっているが、依然として通信回線の帯域幅がボトルネックとなっており、三者以上の者がそれぞれに向けて高品位の映像を送出しようとすれば即座に通信帯域が不足してしまう。通信帯域が不足すれば、映像のフレーム落ちや音声の中断が発生し、重要な話題に関する講義や会議には最早適さなくなる。
【0004】
これを避けるには、十分な大きさの通信速度が保証されたギャランティ型の(ベストエフォート型でない)専用回線を敷設したり、各拠点の間に高性能中継装置であるMCU(Multi−point Control Unit)を介設したりすることが有効である。だが、何れも巨額の投資を要求される面は否めない。IP(Internet Protocol)マルチキャスト技術を利用することも考えられるものの、現状、インターネット等の公衆回線上でマルチキャスト通信を行うことは一般に許されてはいない。
【0005】
以上に鑑み、出願人は、比較的安価な投資で高品位の映像をやり取りできるようにした、新たなビデオ通話システムを提案している(下記特許文献及び非特許文献を参照)。
【0006】
ところで、既製のシステムでは、日または時間帯によって変動する回線の混雑状況に対応して、送出する映像データの転送レートを自動的に最適化している。しかしながら、映像データの転送レートの最適化調整にはある程度の時間が必要で、相手方から送られてくる映像が画面に表示されるまで待たされたり、表示はされるもののその映像がなかなか安定しなかったりする問題を生ずることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2009−170612号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“meetima[ミーティマ]XVDコミュニケーションシステム”、[online]、[平成22年6月25日検索]、インターネット<URL http://www.kokuyo-st.co.jp/solution/meetima#xvd/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、三者以上の参加者が存在するビデオ通話の開始直後から、映像表示を可及的に安定化させることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、三以上の拠点のそれぞれに設置された端末間で映像を送受信するビデオ通話機能を実現するシステムであり、何れか一の端末が主側端末、残りの端末が従側端末となるものであって、主側端末が、ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して送信可能なデータの転送レート(アップリンクレート)または受信可能なデータの転送レート(ダウンリンクレート)を参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、従側端末が、ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備していることを特徴とするビデオ通話システムを構成した。
【0011】
前記主側端末の最大レート算定部は、基本的には、前記転送レートを従側端末の数で除算することによって最大転送レートを算定する。
【0012】
また、全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、主側端末から従側端末の各々に対して映像データを送信し、従側端末が主側端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを任意に切り替えることできるシステムとしてもよい。この場合、前記主側端末は、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力を受け付ける操作入力受付部と、受け付けた操作入力に対応してグループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードにおいては前記最大転送レートに拘束されることなくグループビューモードよりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信するものとし、前記従側端末は、主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードにおいては主側端末に対してのみ映像データを送信し、通話受信部が、シングルビューモードにおいては主側端末からのみ映像データを受信するものとする。現実には、ビデオ講義やビデオ会議等において、全ての参加者が常に他の全ての参加者の映像を必要とする訳ではない。そこで、シングルビューモードにおいては、従側端末間での映像の送受信を停止することとし、その分転送レートを上げたより高品位な映像を主側端末から各従側端末に配信できるようにしている。
【0013】
シングルビューモードにおいて、高品位の映像を他の端末に向けて送出する端末、いわばビデオ通話で他者の注目を集める主体を変更できるようにすることも好ましい。即ち、全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、選択された何れか一の端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、他の端末が選択された一の端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを切り替えることが可能であって、前記主側端末が、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及びシングルビューモードにおける何れか一の端末を選択する操作入力を受け付ける操作入力受付部と、受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードかつ当該主側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、通話受信部が、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを送信するとともに、前記従側端末が、主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、通話受信部が、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信するシステムとすれば、シングルビューモードにおいて、主側端末以外の端末を選択して、当該端末から主側端末を含む他の端末に向けて高品位の映像を配信させることが可能となる。つまり、主側端末を操作する使用者の手により、ビデオ通話で他者の注目を集める主体を適宜変更することができるようになる。
【0014】
さらに、前記主側端末の操作入力受付部が、シングルビューモードかつ他の従側端末が選択されている場合に、当該従側端末に付随するカメラのパン、チルトまたはズームを操作するべき旨の操作入力を受け付け、前記主側端末の指令送信部が、受け付けた操作入力に対応してカメラのパン、チルトまたはズームを操作するためのカメラ操作指令を選択された従側端末に対して送信し、前記従側端末の指令受信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合に、主側端末から送信されるカメラ操作指令を受信するシステムとすれば、何れかの従側端末から主側端末及び他の従側端末に高品位の映像を配信している状況の下で、主側端末の使用者が当該従側端末のカメラを必要に応じてリモートコントロールすることができる。
【0015】
前記主側端末が前記従側端末としての機能をも兼備しているならば、主側端末と従側端末とを共通化でき、端末の製作コストの低減に資する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、三者以上の参加者が存在するビデオ通話の開始直後から、映像表示を可及的に安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のビデオ通話システムの概要を示す図。
【図2】同実施形態における端末が具備するハードウェア資源を示す図。
【図3】同端末の機能ブロック図。
【図4】同端末の機能ブロック図。
【図5】本実施形態におけるグループビューモードの内容を説明する図。
【図6】本実施形態におけるシングルビューモードの内容を説明する図。
【図7】本実施形態におけるシングルビューモードの内容を説明する図。
【図8】電話帳記憶部に記憶蓄積している情報を例示する図。
【図9】端末上での画面表示例を示す図。
【図10】端末上での画面表示例を示す図。
【図11】端末がプログラムに従い実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図12】端末がプログラムに従い実行する処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のビデオ通話システムは、各拠点に分散して設置される端末1を、インターネットに代表される公衆網やWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の電気通信回線2を介して相互通信可能に接続して構築される。それら端末1のうちの少なくとも一つが主側端末11となり、残りの複数が従側端末12となる。
【0019】
図2に示すように、端末1は、プロセッサ1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、操作入力デバイス1d、マイク1e、スピーカ1f、オーディオコーデック1g、カメラ1h、ディスプレイ1i、ビデオコーデック1j、通信インタフェース1k等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)1lにより制御されて連携動作するものである。
【0020】
補助記憶デバイス1cは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、光学ディスクドライブ、その他である。
【0021】
操作入力デバイス1dは、手指で操作可能な押下ボタンや、タッチパネル、トラックパッド等のポインティングデバイスであるが、本実施形態では端末1と無線交信可能なリモートコントローラを想定している。
【0022】
オーディオコーデック1gは、マイク1eを介して収音(現場の音を集めることを言い、録音を含む)した音声を符号化したり、符号化されている音声情報を復号化してスピーカ1fから音声出力したりする。ビデオコーデック1jは、カメラ1hを介して撮影した映像を符号化したり、符号化されている映像情報を復号化してディスプレイ1iの画面に表示出力したりする。オーディオコーデック1g、ビデオコーデック1jはそれぞれ、ハードウェアでなくソフトウェアとして実装することも可能である。
【0023】
カメラ1hは、端末1に内蔵されるものであってもよく、端末1に外付けされるものであってもよい。外付けの場合、市場に流通している汎用的な端末内蔵でも外付けでもよい。外付けの場合、市場に流通している汎用的なカメラを用いることができる。カメラ1hは、これを実装または直接に接続している端末1から制御信号を入力することにより、パン(左右方向に沿った光軸の角度変更)、チルト(上下方向に沿った光軸の角度変更)、及び/または、ズーム(焦点距離の変更)を操作できる態様のものであることが好ましい。
【0024】
通信インタフェース1gは、電気通信回線2を介した情報通信を行うためのデバイスであり、NIC(Network Interface Card)や無線LANトランシーバに代表されるが、これら以外にUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等のインタフェースを採用することもできる。
【0025】
端末1は、基本的には、本システムを構築する目的で製作された専用の機器である。但し、汎用のパーソナルコンピュータ、ワークステーション、ビデオゲーム機等に必要なプログラムをインストールして、本発明に係る端末1を構成することを妨げるものではない。
【0026】
プロセッサ1aによって実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。端末1は、プログラムに従い上記ハードウェア資源を作動して、図3に示す主側端末11の機能、並びに図4に示す従側端末12の機能を発揮する。
【0027】
主側端末11の機能部としては、設定情報記憶部111、通話要求送信部112、最大レート算定部116、最大レート指定情報送信部117、通話受信部113、通話出力制御部114、通話送信部115、操作入力受付部118、指令送信部119を具備している。
【0028】
また、従側端末12の機能部としては、設定情報記憶部124、通話要求受信部121、最大レート指定情報受信部125、通話受信部122、通話出力制御部123、通話送信部127、指令受信部126を具備している。
【0029】
各機能部の説明に先んじて、本実施形態のビデオ通話システムが実現するビデオ通話のモードについて述べる。本実施形態では、全拠点が互いに他の全ての拠点の映像を同時に見ることができる「グループビューモード」と、選定された一の拠点のみが他の全ての拠点の映像を同時に見ることができ他の拠点は当該一の拠点の映像のみを見る「シングルビューモード」とを、適宜切り替えることができる。
【0030】
グループビューモード、シングルビューモードを問わず、ビデオ通話に参加する各拠点に設置されている端末1は、それぞれが個別にセッション接続する。五拠点が参加し、そのうち一つの拠点にある端末1が主側端末11、残り四つの拠点にある各端末1が従側端末12となるケースでは、各端末11、12がそれぞれ他の四つの端末11、12と個別にセッション接続することとなる。
【0031】
図5に示すように、グループビューモードでは、ビデオ通話に参加している各拠点に設置されている端末11、12が、自己の設置拠点にて撮影した映像を、自分以外の他の全ての端末11、12に向けて送信する(図中破線で示す)。五拠点が参加しているケースでは、各端末11、12は、他の四つの端末11、12の各々に対して映像を送出するとともに、他の四つの端末11、12の各々から映像を受け取る。そして、それら映像を、ディスプレイ1iの画面内に配列して表示する。グループビューモードでは、各端末11、12が接続している通信回線2の帯域幅が必然的に圧迫されることから、各端末11、12が送出する映像の転送レートを、後述する最大転送レート以下に抑制することとしている。因みに、ビデオ通話の開始直後は、グループビューモードである。
【0032】
図6に示すように、シングルビューモードでは、ビデオ通話に参加している各拠点に設置されている端末11、12のうちの一の端末11が、自己の設置拠点にて撮影した映像を、他の全ての端末12に向けて送信する(図中実線で示す)。一方、他の端末12は、自己の設置拠点にて撮影した映像を、前記一の端末11に向けて送信する(図中破線で示す)。が、他の端末12同士で相互に映像を送受信することはない。これにより、少なくとも、他の端末12が接続している通信回線2の帯域幅には余裕が生まれる。従って、一の端末11から他の端末12の各々に対して送出する映像の転送レートは、グループビューモードにおいて送出する映像のそれと比較して大きくすることが許される。映像の転送レートは、必ずしも前記最大転送レート以下に抑制する必要はない。本実施形態では、映像はフレームの寸法(精細度)が比較的小さいもの(例えば、960×540ピクセルまたは720×480ピクセル)とし、映像はフレームの寸法が比較的大きいもの(例えば、1920×1080ピクセル)としている。他の端末12は、それぞれが一の端末11から高品位の映像を受け取り、これをディスプレイ1iの画面の略全域に表示する。翻って、シングルビューモードにおける他の端末12は、それぞれが一の端末11に低品位の映像を送出する。シングルビューモードにおいて他の端末12が送出する映像は、グループビューモードにおけるものと同じく、その転送レートを前記最大転送レート以下に抑制することが好ましい。他の端末12の各々から映像を受け取った一の端末11は、グループビューモードと同様に、それら映像をディスプレイ1iの画面内に配列して表示する。
【0033】
図6に示した例では、主側端末11がシングルビューモードにおける他者の注目を集める主体となっていたが、図7に示しているように、従側端末12の何れかをシングルビューモードにおける他者の注目を集める主体として選択し、当該端末12から他の端末11、12の各々に対して高品位の映像を送信して(図中実線で示す)、他の端末11、12の各々から当該端末12に対して低品位の映像を送信する(図中破線で示す)態様をとることもできる。この状況下では、主側端末11の使用者が、当該従側端末12のカメラ1hのパン、チルトまたはズームをリモート操作することが可能となっている。
【0034】
音声については、グループビューモード、シングルビューモードを問わず常に、各端末11、12が自己の設置拠点にて収音した音声を他の全ての端末11、12に対して送信する。音声データのビットレートは映像データに比して桁違いに小さく、講義または会議等に参加している全ての端末11、12から他の全ての端末11、12に向けて送信することとしても、おそらくは通信帯域の不足を招かないと考えられるからである。
【0035】
主側端末11の各機能部を説明する。設定情報記憶部111は、各種の設定情報を、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの記憶領域を利用して記憶する。設定情報としては、まず、電話帳(または、アドレス帳)情報がある。電話帳情報は、ビデオ通話の相手先の候補となり得る他の端末1(例えば、最大100件)の識別情報と、当該端末1に係る属性情報とを関連づけたものである。図8に、電話帳情報を例示する。設定情報記憶部111は、他の端末1について、各端末1毎に、識別情報及び属性情報をID番号等に関連づけて記憶している。識別情報は、例えばIPアドレス、SIP(Session Initiation Protocol)アドレスその他のURIに代表される、通信の宛先を識別する情報である。属性情報は、相手先の氏名または名称、所属、所在地その他の相手先に関する情報であり、本実施形態では文字列情報である。
【0036】
他の設定情報として、当該主側端末11に関する許容帯域幅情報が挙げられる。許容帯域幅情報は、それぞれの端末1が接続している通信回線2を介して送信可能なデータの許容転送レート、及び/または、受信可能なデータの許容転送レートを示す、各端末1個別の情報である。許容転送レートは、ビデオ通話時に、端末1が接続している通信回線2がどの程度の大きさのビットレートのデータを送信/受信することに耐えられるかという通信速度品質、あるいは、ビデオ通話のためにどの程度まで通信帯域幅を占有することが許されるかという他のサービス(または、同じ回線2を共有する他人)との兼ね合いを考慮に入れた通信速度制限を明らかにするものであると言うことができる。許容転送レートの大きさは、端末1が接続している通信回線2の種類やその回線2の共有者の数、端末1の所在地、日または時間帯その他諸々の事情に応じて異なってくる。
【0037】
許容帯域幅情報は、端末1またはシステムの使用者ないし管理者の手によって予め設定入力されることがあり、その場合、自己の端末1に係る許容帯域幅情報を設定情報の一部として設定情報記憶部111に記憶する。さらに、他の端末1についての許容帯域幅情報を既に取得している場合には、この許容帯域幅情報をも、当該他の端末1を識別するID番号等に関連づけて設定情報記憶部111に記憶する。但し、許容帯域幅情報が予め設定入力され、設定情報記憶部111に記憶されているとは限られない。
【0038】
上記の設定情報は、直接に手入力されることもあれば、電気通信回線2を介して接続している他の端末1またはコンピュータから送信されてくることもある。端末1は、設定情報の手入力を操作入力デバイス1dを介して受け付け、または通信インタフェース1kの機能を利用して受信し、設定情報記憶部111に記憶する。
【0039】
図8には示していないが、過去にビデオ通話を行ったことのある他の端末1に係る識別情報及び属性情報を、過去の通話履歴として、電話帳に蓄積しておくことも可能である。具体的には、当方からの発呼(送信)であったのか相手方からの受呼(着信)であったのかを示す情報や、その端末1とビデオ通話を行った日時を示すタイムスタンプ等を、併せて設定情報記憶部111に記憶する。特に、過去に開催したビデオ講義またはビデオ会議等に参加した複数の端末1について、その旨の情報や、講義または会議等の開催日時を示すタイムスタンプ等を記憶しておくことが考えられる。
【0040】
通話要求送信部112は、ビデオ通話、即ちビデオ講義またはビデオ会議等を開催するにあたり、その講義または会議等に参加する端末1との間で、ビデオ通話を行うための通話要求を、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。原則として、通話要求は、主側端末11から従側端末12に向けて送信する。無論、通話要求を従側端末12から主側端末11に送信する態様を妨げるものではない。
【0041】
主側端末11は、ビデオ通話の相手先の候補、即ち講義または会議等の参加候補となり得る他の端末1の一覧を、ディスプレイ1iの画面に表示させる。図9に、候補の一覧表示例を示す。最初に候補として表示させるのは、過去に講義または会議等に参加したことのある(その履歴情報が設定情報記憶部111に残されている)端末1である。主側端末11は、候補である複数の端末1の各々について、設定情報記憶部111から識別情報を読み出す。そして、その識別情報に基づき、当該端末1に対してライブアイコン(図中符号B)の送信を要求する情報であるライブアイコン要求を送信する。ライブアイコンは、端末1の設置場所で撮影されたリアルタイムの映像または静止画像である。ライブアイコンの寸法(例えば、192×108ピクセル)は、ビデオ通話時にやりとりされる映像の寸法よりも小さい。ライブアイコンのフレームレートは、5fps程度かそれ以上である。
【0042】
本実施形態のシステムでは、原則として、端末1同士を電気通信回線2を介してピアツーピアの形で相互接続する。即ち、ビデオ講義またはビデオ会議等を実施するにあたって、他の中継サーバやMCU等の中継機を使用する必要がない。識別情報がIPアドレスのようなアドレス解決を要しないものである場合には、その識別情報を用いて即座に端末1にライブアイコン要求を送信することができる。識別情報がSIPアドレスのようなアドレス解決を要するものである場合には、その識別情報を用いて他のコンピュータ(例えば、SIPプロキシサーバ)に招待メッセージを送信する等して受呼側端末12との間でセッションを確立し、その後にライブアイコン要求を送信する。あるいは、その識別情報をアドレス解決能力を備えた他のコンピュータ(例えば、DNS(Domain Name System)サーバ)に送信して当該識別情報に対応したIPアドレス等をこのコンピュータから受信し、このIPアドレス等を用いて端末1にライブアイコン要求を送信する。
【0043】
ライブアイコン要求を受信した端末1は、通常の場合、カメラ1hで撮影したライブアイコンを、そのライブアイコン要求をもたらした端末1に向けて送信する。主側端末11では、各端末1から返信されるライブアイコンを受信して、当該端末の属性情報(図中符号A)とともにディスプレイ1iの画面に表示させる。ライブアイコンを受信できていない端末1については、ライブアイコンを表示させることができないので、その旨を示す画像または文字列を表示させる。図9に示す例において、「接続中・・・」の表示(図中符号C)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信し、応答待ちであることを示す。「通信不可」の表示(図中符号D)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信した後一定時間が経過するまでに応答が返ってこなかった、つまり何らかの理由(端末1の電源が切られている、端末1が接続する通信回線に支障が発生している、等々)で当該端末1とのセッション確立が不能であることを示す。「表示不可」の表示(図中符号E)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信したが、ライブアイコン要求を拒絶する、換言すればライブアイコンの送信を行わない旨の応答がライブアイコンの代わりに送られてきたことを示す。「通話中」の表示(図中符号F)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信したが、既に別の端末1とビデオ通話中である旨の応答がライブアイコンの代わりに送られてきたことを示す。
【0044】
しかして、主側端末11は、画面に表示させている候補の中から、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる複数の従側端末12を指定する操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。主側端末11の使用者は、操作入力デバイス1dを操作してカーソル(図中符号G)を移動させ、所望の従側端末12の情報表示欄(図中符号A、B)をクリックする。この操作を受け付けた主側端末11は、クリックされた表示欄に対応した端末12を参加者として知得し、当該端末12に係る識別情報に基づき、当該端末12に対してビデオ通話の開始を要求する通話要求を送信する。この通話要求には、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる複数の従側端末12及び主側端末11の各々の識別情報、ID番号が含まれている。当該従側端末12に係る識別情報がアドレス解決を要するものであったとしても、ライブアイコン要求の送信段階で既にセッション確立またはアドレス解決が済んでいる場合には、直接従側端末12に通話要求を送信することができる。そうでなければ、ライブアイコン要求送信時と同様にしてセッション確立またはアドレス解決を図り、当該従側端末12に通話要求を送信する。因みに、ライブアイコンの代わりに「通信不可」または「通話中」の旨を表示している端末1は、参加者として指定できない(その端末1に係る情報表示欄にカーソルを移動させることができない)ようになっている。
【0045】
最大レート算定部116は、ビデオ講義またはビデオ会議等の開始に先んじて、各端末11、12がビデオ通話中に送出するべき映像データの転送レートの最大値を算定する。この際、参加者となる複数の従側端末12の各々についての許容転送レート、さらには主側端末11自身についての許容転送レートを参照する。
【0046】
最大転送レートの算定方法について述べる。主側端末11はまず、通話要求を送った従側端末12の各々との間でデータパケットを試験的に送受信する(データパケット送受信の遅延時間、エラーパケット率等を計数する)既知の手法によって、あるいは、送信要求を送った従側端末12の各々からもたらされる、従側端末12が予め設定情報として記憶保持している許容帯域幅情報を受信することによって、各従側端末12が通信回線2を介して送信/受信可能なデータの許容転送レートを知得、集約する。但し、従側端末12についての許容帯域幅情報が設定情報の一部として既に設定情報記憶部111に記憶されている場合には、設定情報記憶部111に記憶されているそれを読み出せばよい。
【0047】
のみならず、主側端末11は、従側端末12との間でデータパケットを試験的に送受信する既知の手法によって、あるいは、主側端末11自身が予め設定情報として記憶保持している許容帯域幅情報を読み出すことによって、主側端末11が通信回線2を介して送信/受信可能なデータの許容転送レートを知得する。
【0048】
そして、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる各端末11、12毎に、当該端末11、12から他の端末11、12に向けて送出するべきビデオ映像の転送レートの最大値を算定する。基本的には、端末11、12が接続している通信回線2を介した許容送信レートを、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加する従側端末12の数、換言すれば自身以外の参加拠点数で除算することで、ビデオ通話中に送出するデータの最大レートを得る。
【0049】
但し、実際には、通信回線2の帯域幅の全てを常に映像データの送出のみに用いることはできない。ビデオ通話中に端末11、12から送信するべきデータには、映像だけでなく、音声や、プロトコルで規定されたヘッダ、誤り訂正(特に、前方誤り訂正(Forward Error Correction))符号等も含まれるからである。故に、その分の帯域を控除して、送出する映像の最大レートを確定することがより望ましいと言える。即ち、
(ビデオ通話中に送出する映像の最大レート)=(通信回線2の許容送信レート)÷(参加する従側端末12の数)−(プロトコルヘッダ、誤り訂正符号等の送信のための帯域分)
として、端末11、12から他の端末11、12に向けて送出するべき映像の転送レートの最大値を算定する。
【0050】
尤も、許容送信レートを従側端末12の数で除算するのではなく、許容送信レートに従側端末12の数の多寡に応じた比率を乗じて許容送信レートを割り引くことで、または、許容送信レートに従側端末12の数の多寡によらない所定の比率を乗じて許容送信レートを割り引くことで、各端末11、12から送出する映像の最大転送レートを決定するということも考えられる。
【0051】
最大レート指定情報送信部117は、最大レート算定部116で算定した最大転送レートの値を記述した最大レート指定情報を、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者として指定された従側端末12の各々に対して、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。本実施形態では、主側端末11及び従側端末12のそれぞれについて、他の端末11、12に向けて送出する映像の最大転送レートを個別に算定している。従って、最大レート指定情報送信部は、各従側端末12に向けて、その従側端末12に対応する最大転送レートを記述した最大レート指定情報を送信する。主側端末11自身についての最大転送レートの値は、主側端末11のメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cに一時記憶しておく。
【0052】
通話受信部113は、ビデオ通話の開始後、従側端末12から送信される映像及び音声を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。グループビューモードでは、ビデオ会議またはビデオ講義等に参加している全ての従側端末12から映像データを受信する。
【0053】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。主側端末11自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している全ての従側端末12から低品位の映像データを受信する。何れかの従側端末12が他者の注目を集める主体となっている間は、当該従側端末12からのみ、高品位の映像データを受信する。
【0054】
通話出力制御部114は、何れか一または全ての従側端末12から受信した通話中の映像をディスプレイ1iの画面に表示させるとともに、全ての従側端末12から受信した通話中の音声をスピーカ1fから音声出力させる。図10に、ビデオ通話中の相手先の映像の表示例を示す。但し、図10に示しているものは、グループビューモードにおける通話画面であり、シングルビューモードにおける通話画面はこれとは異なる。グループビューモードでの通話画面には、参加している全ての従側端末12において撮影された映像(図中符号H)が同じ寸法で並列的に映し出される。加えて、図示していないが、通話出力制御部114は、同通話画面内に、自己の設置場所にてカメラ1hで撮影した映像を小さく表示させることもできる。また、通話出力制御部114は、各従側端末12から受信した音声を重畳した上でスピーカ1fから出力させる。
【0055】
通話送信部115は、主側端末11の設置場所にてカメラ1hで撮影した映像及びマイク1eで収音した音声を、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している従側端末12に対して、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。グループビューモードでは、参加している全ての従側端末12に対して同じ映像データを送信する。そのために、カメラ1hで撮影した映像を、最大レート算定部116で算定した最大転送レート以下のレートの映像データにエンコードした上で、従側端末12の各々に対して送信する。映像データのビットレートを増減させる手法としては、エンコード後の品質(いわば、圧縮の度合い)を調整したり、圧縮アルゴリズムを変更したり、フレームレートを変えたり、または映像フレームの寸法(ピクセル数)を拡縮したりする手法が知られている。本実施形態では、映像の寸法はグループビューモード、シングルビューモードでそれぞれ固定としているので、映像フレームの寸法を拡縮する以外の方法で映像データのビットレートを最大転送レート以下に抑制する。
【0056】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。主側端末11自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している全ての従側端末12に対して、同じ高品位の映像データを送信する。この高品位の映像データの転送レートは、最大レート算定部116で算定した最大転送レートには必ずしも拘束されない。各従側端末12は主側端末11からのみ映像を受け取ることとなるからである。
【0057】
他方、シングルビューモードにおいて、何れかの従側端末12が他者の注目を集める主体となっている間は、当該従側端末12に対してのみ、低品位の映像データを送信する。このときの低品位の映像データは、最大レート算定部116で算定した最大転送レート以下のレートのデータにエンコードすることが好ましい。とは言え、最大転送レートに拘束されるとは限られない。他者の注目を集める主体となっている従側端末12以外の端末11、12間では映像のやり取りが発生しないからである。
【0058】
操作入力受付部118は、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及び、シングルビューモードにおける何れか一の端末11、12を他者の注目を集める主体として選定する操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。例えば、主側端末1の使用者は、図10に示すグループビューモードの画面上で、操作入力デバイス1dを操作してカーソル(図中符号O)を移動させ、所望の従側端末12の映像表示欄に合わせた上、「1拠点」ボタン(図中符号P)をクリックする。この操作を受け付けた主側端末11は、グループビューモードからシングルビューモードへと切り替えるべき旨を知得し、さらに、カーソルの位置に対応した従側端末12をシングルビューモードにおいて他者の注目を集める主体となるべき端末12として知得する。単純にグループビューモードとシングルビューモード(主側端末11が他者の注目を集める主体となる状態)とを切り替えたい場合には、使用者は、操作入力デバイス1dの特定のキーを押下する等すればよい。この操作を受け付けた主側端末11は、グループビューモードからシングルビューモードへ、またはシングルビューモードからグループビューモードへと切り替えるべき旨を知得する。
【0059】
指令送信部119は、操作入力受付部118で受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、及び/または、シングルビューモードにおいて何れの端末11、12が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を、従側端末12の各々に対し、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。
【0060】
さらに、従側端末12が他者の注目を集める主体として選択されているシングルビューモードの状況の下では、操作入力受付部118が、主側端末11の使用者が行う、当該従側端末12に付随するカメラ1hのパン、チルトまたはズームを操作するべき旨の操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付けることができる。そして、指令操作部119は、上記の操作入力を受け付けた場合において、その操作入力に対応した、カメラ1hのパン、チルトまたはズームを操作するためのカメラ操作指令を、当該従側端末12に対し、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。
【0061】
次いで、従側端末12の各機能部を説明する。設定情報記憶部124は、設定情報、特に当該従側端末12に関する許容帯域幅情報を、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの記憶領域を利用して記憶する。設定情報は、直接手入力されることもあれば、電気通信回線2を介して接続している他の端末1またはコンピュータから送信されてくることもある。端末1は、設定情報の入力を操作入力デバイス1dを介して受け付け、または通信インタフェース1kの機能を利用して受信し、設定情報記憶部124に記憶する。但し、許容帯域幅情報が予め設定入力され、設定情報記憶部121に記憶されているとは限られない。
【0062】
通話要求受信部121は、主側端末11から送信される通話要求を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。通話要求には、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる複数の従側端末12及び主側端末1の各々の識別情報、ID番号が含まれている。よって、この通話要求を参照することにより、従側端末12は、参加する他の端末11、12の識別情報を知得し、それら端末11、12との間でセッション接続を確立することが可能となる。主側端末11からの通話要求を受信した従側端末12は、ちょうど主側端末11が従側端末12に対して実行したように、通話要求に記述された他の従側端末12に向けて、さらなる通話要求を送信する。つまり、通話要求の受信を契機として、従側端末12と主側端末11との相互通信、従側端末12同士の相互通信が確立され、従側端末12が主側端末11の主催するビデオ講義またはビデオ会議等に参加することが確定する。なお、従側端末12は、通話要求に対して、自己の設定情報記憶部124に記憶保持している許容帯域幅情報を、主側端末1に向けて返信することがある。
【0063】
最大レート指定情報受信部125は、主側端末11から送信される最大レート指定情報を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。この最大レート指定情報を参照することにより、特にグループビューモードにおいて送出するべき映像データの最大転送レートを知得する。最大転送レートの値は、従側端末12のメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cに一時記憶しておく。
【0064】
通話受信部122は、ビデオ通話の開始後、主側端末11及び/または従側端末12から送信される映像及び音声を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。グループビューモードでは、ビデオ会議またはビデオ講義等に参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12から映像データを受信する。
【0065】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。従側端末11自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12から低品位の映像データを受信する。主側端末11または自身以外の従側端末12の何れかが他者の注目を集める主体となっている間は、当該主側端末11または従側端末12からのみ、高品位の映像データを受信する。
【0066】
通話出力制御部123は、主側端末11及び従側端末12の何れか一または全てから受信した通話中の映像をディスプレイ1iの画面に表示させるとともに、主側端末11及び従側端末12の全てから受信した通話中の音声をスピーカ1fから音声出力させる。音声については、各端末11、12から受信した音声を重畳した上でスピーカ1fから出力させる。
【0067】
通話送信部127は、従側端末12の設置場所にてカメラ1hで撮影した映像及びマイク1eで収音した音声を、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している主側端末11及び/または従側端末12に対して、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。グループビューモードでは、参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12に対して同じ映像データを送信する。そのために、カメラ1hで撮影した映像を、主側端末11の最大レート算定部116で算定され、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データにエンコードした上で、主側端末11及び従側端末12の各々に対して送信する。
【0068】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。従側端末12自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12に対して、同じ高品位の映像データを送信する。この高品位の映像データの転送レートは、最大レート指定情報に記述された最大転送レートには必ずしも拘束されない。主側端末11及び他の従側端末12は、此方からのみ映像を受け取るからである。
【0069】
主側端末11または自身以外の従側端末12の何れかが他者の注目を集める主体となっている間は、当該主側端末11または従側端末12に対してのみ、低品位の映像データを送信する。このときの低品位の映像データは、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートのデータにエンコードすることが好ましい。とは言え、最大転送レートに拘束されるとは限られない。他者の注目を集める主体となっている端末11、12以外の端末11、12間では映像のやり取りが発生しないからである。
【0070】
指令受信部126は、主側端末11から送信される切替指令を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。この切替指令を参照することにより、現在グループビューモードにあるのかシングルビューモードにあるのか、また、シングルビューモードにおいて何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているのかを知得する。
【0071】
加えて、従側端末12自らが他者の注目を集める主体として選択されているシングルビューモードの状況の下では、指令受信部126が、主側端末11からもたらされるカメラ操作指令を受信することがある。カメラ操作指令を受信した際には、このカメラ操作指令に基づき、カメラ1hに制御信号を入力してパン、チルトまたはズームを操作する。
【0072】
本実施形態のビデオ通話システムを構成する端末1が、ビデオ通話中に実行する処理の手順を概説する。図11に示すように、主側端末11は、現在グループビューモードである場合(ステップS1)、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS2)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS3)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、参加している全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS4)。ステップS4では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0073】
現在シングルビューモードであり、主側端末11自身が他者の注目を集める主体として選択されている場合には(ステップS5)、やはり参加している全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS6)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS7)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、参加している全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS8)。ステップS8では、映像データを高品位映像にエンコードする。その転送レートは、必ずしも最大転送レート以下に抑制はしない。
【0074】
現在シングルビューモードであり、何れかの従側端末12が他者の注目を集める主体として選択されている場合には、当該従側端末12のみからから送信された高品位映像を受信しつつ、全ての従側端末12から送信された音声を受信し(ステップS9)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS10)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、他者の注目を集める主体となっている従側端末12のみに向けて送信する(ステップS11)。ステップS11では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0075】
また、主側端末11の使用者の手による、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、または、何れかの端末11、12をシングルビューモードにおける他者の注目を集める主体として選定する操作入力を受け付けた場合には(ステップS12)、その操作入力に対応した切替指令を、参加している全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS13)。
【0076】
主側端末11は、上記のステップS1ないしS13を、ビデオ講義またはビデオ会議等の終了まで反復する。
【0077】
図12に示すように、従側端末12は、現在グループビューモードである場合(ステップS14)、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS15)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS16)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、主側端末11及び他の全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS17)。ステップS17では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0078】
現在シングルビューモードであり、従側端末12自身が他者の注目を集める主体として選択されている場合には(ステップS18)、やはり主側側端末11及び全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS19)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS20)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、主側端末11及び他の全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS21)。ステップS21では、映像データを高品位映像にエンコードする。その転送レートは、必ずしも最大転送レート以下に抑制はしない。
【0079】
現在シングルビューモードであり、主側端末11または自身以外の従側端末12が他者の注目を集める主体として選択されている場合には、当該主側端末11または従側端末12のみからから送信された高品位映像を受信しつつ、全ての従側端末12から送信された音声を受信し(ステップS22)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS23)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、他者の注目を集める主体となっている当該主側端末11または従側端末12のみに向けて送信する(ステップS24)。ステップS24では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0080】
また、主側端末11から切替指令がもたらされた場合には、これを受信する(ステップS25)。
【0081】
従側端末12は、上記のステップS14ないしS25を、ビデオ講義またはビデオ会議等の終了まで反復する。
【0082】
主側端末11及び従側端末12の機能について補足する。各端末11、12は、ビデオ通話(グループビューモード、シングルビューモードを問わない)中に他の何れかの端末11、12との通信接続が途切れたときには、通信接続が途切れた相手方の端末11、12に向けて自動的に通話要求を再送信して、再接続を試みる。
【0083】
ビデオ通話の開始後、従側端末12は、当該従側端末12の使用者の都合等に応じて、現在参加しているビデオ通話から離脱することが可能である。従側端末12は、使用者の手による、ビデオ通話から離脱するべきことを指令する操作入力を操作入力デバイス1dを介して受け付けたとき、ビデオ通話から離脱する旨の情報を、主側端末11及び他の従側端末12に向けて送信する。上記の情報を受信した主側端末11及び従側端末12は、ビデオ通話から離脱しようとする従側端末12との通信接続を切断する。
【0084】
さらに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点数が減少することから、ビデオ通話開始の際と同様にして、最大転送レートを再度計算し、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を、ビデオ通話から離脱する従側端末12以外の従側端末12の各々に対して送信する。従側端末12は、主側端末11から再びもたらされる最大レート指定情報を受信する。以後、ビデオ通話を行う主側端末11及び従側端末12はそれぞれ、少なくともグループビューモードにおいて、再計算された最大転送レート以下の映像を生成して送出する。
【0085】
主側端末11は、既に開始しているビデオ通話に、新たに参加拠点を追加することが可能である。主側端末11は、使用者の手による、既に開始しているビデオ通話に新たに参加させる従側端末12の指定を含む操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。例えば、図9に示しているように、新たに参加させる従側端末12の候補をディスプレイ1iの画面に表示させ、その候補の中から新たな参加者となる従側端末12を使用者に指定させる。操作入力を受け付けた主側端末11は、新たな参加者として指定された従側端末12に係る識別情報に基づき、当該従側端末12に対してビデオ通話の開始を要求する通話要求を送信する。この通話要求には、既にビデオ通話に参加している複数の従側端末12及び主側端末11の各々の識別情報、ID番号が含まれている。新たな参加者として指定された従側端末12は、主側端末11からもたらされる通話要求を受信し、その通話要求に含まれている識別情報、ID番号を参照して、既にビデオ通話に参加している各従側端末12に向けて通話要求を送信する。これらの処理を通じて、新たにビデオ通話に参加する従側端末12と、既にビデオ通話に参加している従側端末12及び主側端末との間で通信が確立される。また、主側端末11は、既にビデオ通話に参加している従側端末12に対しても、新たな参加者として指定された従側端末12の識別情報、ID番号を含む情報を送信する。この情報を受信した従側端末12が、新たにビデオ通話に参加する従側端末12に対して通話要求を送信するようにしても構わない。
【0086】
さらに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点数が増加することから、ビデオ通話開始の際と同様にして、最大転送レートを再度計算し、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を、従側端末12(新たにビデオ通話に参加する拠点を含む)の各々に対して送信する。従側端末12は、主側端末11から再びもたらされる最大レート指定情報を受信する。以後、ビデオ通話を行う主側端末11及び従側端末12はそれぞれ、少なくともグループビューモードにおいて、再計算された最大転送レート以下の映像を生成して送出する。
【0087】
並びに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点の何れかを選択的にビデオ通話から排除することも可能である。主側端末11は、使用者の手による、既に開始しているビデオ通話から排除するべき従側端末12の指定を含む操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。操作入力を受け付けた主側端末11は、排除するべき従側端末12に係る識別情報、ID番号を含む情報を、当該従側端末12以外の従側端末12に対して送信する。上記の情報を受信した従側端末12は、排除するべき従側端末12との通信接続を切断する。また、主側端末11は、排除するべき従側端末12に対しても、その旨を示す情報を送信する。この情報を受信した従側端末12が、他の従側端末12及び主側端末11との通信接続を切断するようにしても構わない。
【0088】
さらに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点数が減少することから、ビデオ通話開始の際と同様にして、最大転送レートを再度計算し、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を、ビデオ通話から排除する従側端末12以外の従側端末12の各々に対して送信する。従側端末12は、主側端末11から再びもたらされる最大レート指定情報を受信する。以後、ビデオ通話を行う主側端末11及び従側端末12はそれぞれ、少なくともグループビューモードにおいて、再計算された最大転送レート以下の映像を生成して送出する。
【0089】
本実施形態のビデオ通話システムによれば、ビデオ通話の開始に際して転送レートの最適化処理を必要とせず、速やかにグループビューモードにて映像の送受信及び画面表示を開始することができ、しかもその開始直後から映像が安定化する。
【0090】
さらに、三者以上が同時に参加できるシステムでありながら、シングルビューモードにおいて一部の者に限定して高品位映像を送出させる可能であるので、やりとりする映像の高品位化が通信帯域をパンクさせる問題を有効に解消することができ、専用回線やMCU、あるいはIPマルチキャストを利用することなく、比較的安価なコストで実用に供することができるのである。
【0091】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。主側端末11の最大レート算定部116による、映像の最大転送レートの算定手法は、上記実施形態の如きものに限定はされない。
【0092】
端末11、12が接続している通信回線2がxDSL回線であるならば、端末11、12が接続している当該回線2を介して送信可能なデータの転送レート、即ち上り転送レートこそがボトルネックとなる。何故ならば、xDSL回線は、上りの通信速度が下りの通信速度に比して顕著に遅いからである。このような場合、各端末11、12が接続している回線2の上り転送レートのみを参照して映像の最大転送レートの算出を行うことが合理的であり、各端末11、12が回線2を介して受信可能なデータの転送レート、即ち下り転送レートは無視してもよい。
【0093】
逆に、上りと下りとで通信速度が等しい対称な回線であるならば、上り転送レートのみを参照して最大転送レートを算出してもよく、下り転送レートのみを参照して最大転送レートを算出してもよいこととなる。後者の場合、例えば、各端末11、12毎の下り転送レートのうちの、ボトルネックとなる最小値を、従側端末12の数で除算するか割り引くかして、映像の最大転送レートを算出することが考えられる。
【0094】
無論、上り転送レート、下り転送レートの両方を参照して、映像の最大送出レートを算出しても構わない。結局のところ、グループビューモードにおいて、各端末11、12が他の全ての端末11、12から同時に映像を受信したときに、当該端末11、12が接続している通信回線2の下り転送レートがパンクしないこと、そして、各端末11、12が他の全ての端末11、12に向けて同時に映像を発信したときに、当該端末11、12が接続している通信回線2の上り転送レートがパンクしないこと、以上の二点を満足するように最大転送レートを算定することが要求される。
【0095】
その他、各部の具体的構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、例えば、多地点間でのビデオ講義またはビデオ会議等を実現するシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…端末
11…主側端末
12…従側端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、三者以上が参加することのできるビデオ通話機能を実現するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信回線を介して、多地点間でのビデオ講義またはビデオ会議等を実現するビデオ通話システムが周知である。
【0003】
近時では、映像の高品位化への要求がますます高まっているが、依然として通信回線の帯域幅がボトルネックとなっており、三者以上の者がそれぞれに向けて高品位の映像を送出しようとすれば即座に通信帯域が不足してしまう。通信帯域が不足すれば、映像のフレーム落ちや音声の中断が発生し、重要な話題に関する講義や会議には最早適さなくなる。
【0004】
これを避けるには、十分な大きさの通信速度が保証されたギャランティ型の(ベストエフォート型でない)専用回線を敷設したり、各拠点の間に高性能中継装置であるMCU(Multi−point Control Unit)を介設したりすることが有効である。だが、何れも巨額の投資を要求される面は否めない。IP(Internet Protocol)マルチキャスト技術を利用することも考えられるものの、現状、インターネット等の公衆回線上でマルチキャスト通信を行うことは一般に許されてはいない。
【0005】
以上に鑑み、出願人は、比較的安価な投資で高品位の映像をやり取りできるようにした、新たなビデオ通話システムを提案している(下記特許文献及び非特許文献を参照)。
【0006】
ところで、既製のシステムでは、日または時間帯によって変動する回線の混雑状況に対応して、送出する映像データの転送レートを自動的に最適化している。しかしながら、映像データの転送レートの最適化調整にはある程度の時間が必要で、相手方から送られてくる映像が画面に表示されるまで待たされたり、表示はされるもののその映像がなかなか安定しなかったりする問題を生ずることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2009−170612号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“meetima[ミーティマ]XVDコミュニケーションシステム”、[online]、[平成22年6月25日検索]、インターネット<URL http://www.kokuyo-st.co.jp/solution/meetima#xvd/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、三者以上の参加者が存在するビデオ通話の開始直後から、映像表示を可及的に安定化させることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、三以上の拠点のそれぞれに設置された端末間で映像を送受信するビデオ通話機能を実現するシステムであり、何れか一の端末が主側端末、残りの端末が従側端末となるものであって、主側端末が、ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して送信可能なデータの転送レート(アップリンクレート)または受信可能なデータの転送レート(ダウンリンクレート)を参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、従側端末が、ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備していることを特徴とするビデオ通話システムを構成した。
【0011】
前記主側端末の最大レート算定部は、基本的には、前記転送レートを従側端末の数で除算することによって最大転送レートを算定する。
【0012】
また、全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、主側端末から従側端末の各々に対して映像データを送信し、従側端末が主側端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを任意に切り替えることできるシステムとしてもよい。この場合、前記主側端末は、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力を受け付ける操作入力受付部と、受け付けた操作入力に対応してグループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードにおいては前記最大転送レートに拘束されることなくグループビューモードよりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信するものとし、前記従側端末は、主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードにおいては主側端末に対してのみ映像データを送信し、通話受信部が、シングルビューモードにおいては主側端末からのみ映像データを受信するものとする。現実には、ビデオ講義やビデオ会議等において、全ての参加者が常に他の全ての参加者の映像を必要とする訳ではない。そこで、シングルビューモードにおいては、従側端末間での映像の送受信を停止することとし、その分転送レートを上げたより高品位な映像を主側端末から各従側端末に配信できるようにしている。
【0013】
シングルビューモードにおいて、高品位の映像を他の端末に向けて送出する端末、いわばビデオ通話で他者の注目を集める主体を変更できるようにすることも好ましい。即ち、全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、選択された何れか一の端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、他の端末が選択された一の端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを切り替えることが可能であって、前記主側端末が、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及びシングルビューモードにおける何れか一の端末を選択する操作入力を受け付ける操作入力受付部と、受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードかつ当該主側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、通話受信部が、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを送信するとともに、前記従側端末が、主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、通話送信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、通話受信部が、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信するシステムとすれば、シングルビューモードにおいて、主側端末以外の端末を選択して、当該端末から主側端末を含む他の端末に向けて高品位の映像を配信させることが可能となる。つまり、主側端末を操作する使用者の手により、ビデオ通話で他者の注目を集める主体を適宜変更することができるようになる。
【0014】
さらに、前記主側端末の操作入力受付部が、シングルビューモードかつ他の従側端末が選択されている場合に、当該従側端末に付随するカメラのパン、チルトまたはズームを操作するべき旨の操作入力を受け付け、前記主側端末の指令送信部が、受け付けた操作入力に対応してカメラのパン、チルトまたはズームを操作するためのカメラ操作指令を選択された従側端末に対して送信し、前記従側端末の指令受信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合に、主側端末から送信されるカメラ操作指令を受信するシステムとすれば、何れかの従側端末から主側端末及び他の従側端末に高品位の映像を配信している状況の下で、主側端末の使用者が当該従側端末のカメラを必要に応じてリモートコントロールすることができる。
【0015】
前記主側端末が前記従側端末としての機能をも兼備しているならば、主側端末と従側端末とを共通化でき、端末の製作コストの低減に資する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、三者以上の参加者が存在するビデオ通話の開始直後から、映像表示を可及的に安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のビデオ通話システムの概要を示す図。
【図2】同実施形態における端末が具備するハードウェア資源を示す図。
【図3】同端末の機能ブロック図。
【図4】同端末の機能ブロック図。
【図5】本実施形態におけるグループビューモードの内容を説明する図。
【図6】本実施形態におけるシングルビューモードの内容を説明する図。
【図7】本実施形態におけるシングルビューモードの内容を説明する図。
【図8】電話帳記憶部に記憶蓄積している情報を例示する図。
【図9】端末上での画面表示例を示す図。
【図10】端末上での画面表示例を示す図。
【図11】端末がプログラムに従い実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図12】端末がプログラムに従い実行する処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のビデオ通話システムは、各拠点に分散して設置される端末1を、インターネットに代表される公衆網やWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の電気通信回線2を介して相互通信可能に接続して構築される。それら端末1のうちの少なくとも一つが主側端末11となり、残りの複数が従側端末12となる。
【0019】
図2に示すように、端末1は、プロセッサ1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、操作入力デバイス1d、マイク1e、スピーカ1f、オーディオコーデック1g、カメラ1h、ディスプレイ1i、ビデオコーデック1j、通信インタフェース1k等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)1lにより制御されて連携動作するものである。
【0020】
補助記憶デバイス1cは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、光学ディスクドライブ、その他である。
【0021】
操作入力デバイス1dは、手指で操作可能な押下ボタンや、タッチパネル、トラックパッド等のポインティングデバイスであるが、本実施形態では端末1と無線交信可能なリモートコントローラを想定している。
【0022】
オーディオコーデック1gは、マイク1eを介して収音(現場の音を集めることを言い、録音を含む)した音声を符号化したり、符号化されている音声情報を復号化してスピーカ1fから音声出力したりする。ビデオコーデック1jは、カメラ1hを介して撮影した映像を符号化したり、符号化されている映像情報を復号化してディスプレイ1iの画面に表示出力したりする。オーディオコーデック1g、ビデオコーデック1jはそれぞれ、ハードウェアでなくソフトウェアとして実装することも可能である。
【0023】
カメラ1hは、端末1に内蔵されるものであってもよく、端末1に外付けされるものであってもよい。外付けの場合、市場に流通している汎用的な端末内蔵でも外付けでもよい。外付けの場合、市場に流通している汎用的なカメラを用いることができる。カメラ1hは、これを実装または直接に接続している端末1から制御信号を入力することにより、パン(左右方向に沿った光軸の角度変更)、チルト(上下方向に沿った光軸の角度変更)、及び/または、ズーム(焦点距離の変更)を操作できる態様のものであることが好ましい。
【0024】
通信インタフェース1gは、電気通信回線2を介した情報通信を行うためのデバイスであり、NIC(Network Interface Card)や無線LANトランシーバに代表されるが、これら以外にUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等のインタフェースを採用することもできる。
【0025】
端末1は、基本的には、本システムを構築する目的で製作された専用の機器である。但し、汎用のパーソナルコンピュータ、ワークステーション、ビデオゲーム機等に必要なプログラムをインストールして、本発明に係る端末1を構成することを妨げるものではない。
【0026】
プロセッサ1aによって実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。端末1は、プログラムに従い上記ハードウェア資源を作動して、図3に示す主側端末11の機能、並びに図4に示す従側端末12の機能を発揮する。
【0027】
主側端末11の機能部としては、設定情報記憶部111、通話要求送信部112、最大レート算定部116、最大レート指定情報送信部117、通話受信部113、通話出力制御部114、通話送信部115、操作入力受付部118、指令送信部119を具備している。
【0028】
また、従側端末12の機能部としては、設定情報記憶部124、通話要求受信部121、最大レート指定情報受信部125、通話受信部122、通話出力制御部123、通話送信部127、指令受信部126を具備している。
【0029】
各機能部の説明に先んじて、本実施形態のビデオ通話システムが実現するビデオ通話のモードについて述べる。本実施形態では、全拠点が互いに他の全ての拠点の映像を同時に見ることができる「グループビューモード」と、選定された一の拠点のみが他の全ての拠点の映像を同時に見ることができ他の拠点は当該一の拠点の映像のみを見る「シングルビューモード」とを、適宜切り替えることができる。
【0030】
グループビューモード、シングルビューモードを問わず、ビデオ通話に参加する各拠点に設置されている端末1は、それぞれが個別にセッション接続する。五拠点が参加し、そのうち一つの拠点にある端末1が主側端末11、残り四つの拠点にある各端末1が従側端末12となるケースでは、各端末11、12がそれぞれ他の四つの端末11、12と個別にセッション接続することとなる。
【0031】
図5に示すように、グループビューモードでは、ビデオ通話に参加している各拠点に設置されている端末11、12が、自己の設置拠点にて撮影した映像を、自分以外の他の全ての端末11、12に向けて送信する(図中破線で示す)。五拠点が参加しているケースでは、各端末11、12は、他の四つの端末11、12の各々に対して映像を送出するとともに、他の四つの端末11、12の各々から映像を受け取る。そして、それら映像を、ディスプレイ1iの画面内に配列して表示する。グループビューモードでは、各端末11、12が接続している通信回線2の帯域幅が必然的に圧迫されることから、各端末11、12が送出する映像の転送レートを、後述する最大転送レート以下に抑制することとしている。因みに、ビデオ通話の開始直後は、グループビューモードである。
【0032】
図6に示すように、シングルビューモードでは、ビデオ通話に参加している各拠点に設置されている端末11、12のうちの一の端末11が、自己の設置拠点にて撮影した映像を、他の全ての端末12に向けて送信する(図中実線で示す)。一方、他の端末12は、自己の設置拠点にて撮影した映像を、前記一の端末11に向けて送信する(図中破線で示す)。が、他の端末12同士で相互に映像を送受信することはない。これにより、少なくとも、他の端末12が接続している通信回線2の帯域幅には余裕が生まれる。従って、一の端末11から他の端末12の各々に対して送出する映像の転送レートは、グループビューモードにおいて送出する映像のそれと比較して大きくすることが許される。映像の転送レートは、必ずしも前記最大転送レート以下に抑制する必要はない。本実施形態では、映像はフレームの寸法(精細度)が比較的小さいもの(例えば、960×540ピクセルまたは720×480ピクセル)とし、映像はフレームの寸法が比較的大きいもの(例えば、1920×1080ピクセル)としている。他の端末12は、それぞれが一の端末11から高品位の映像を受け取り、これをディスプレイ1iの画面の略全域に表示する。翻って、シングルビューモードにおける他の端末12は、それぞれが一の端末11に低品位の映像を送出する。シングルビューモードにおいて他の端末12が送出する映像は、グループビューモードにおけるものと同じく、その転送レートを前記最大転送レート以下に抑制することが好ましい。他の端末12の各々から映像を受け取った一の端末11は、グループビューモードと同様に、それら映像をディスプレイ1iの画面内に配列して表示する。
【0033】
図6に示した例では、主側端末11がシングルビューモードにおける他者の注目を集める主体となっていたが、図7に示しているように、従側端末12の何れかをシングルビューモードにおける他者の注目を集める主体として選択し、当該端末12から他の端末11、12の各々に対して高品位の映像を送信して(図中実線で示す)、他の端末11、12の各々から当該端末12に対して低品位の映像を送信する(図中破線で示す)態様をとることもできる。この状況下では、主側端末11の使用者が、当該従側端末12のカメラ1hのパン、チルトまたはズームをリモート操作することが可能となっている。
【0034】
音声については、グループビューモード、シングルビューモードを問わず常に、各端末11、12が自己の設置拠点にて収音した音声を他の全ての端末11、12に対して送信する。音声データのビットレートは映像データに比して桁違いに小さく、講義または会議等に参加している全ての端末11、12から他の全ての端末11、12に向けて送信することとしても、おそらくは通信帯域の不足を招かないと考えられるからである。
【0035】
主側端末11の各機能部を説明する。設定情報記憶部111は、各種の設定情報を、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの記憶領域を利用して記憶する。設定情報としては、まず、電話帳(または、アドレス帳)情報がある。電話帳情報は、ビデオ通話の相手先の候補となり得る他の端末1(例えば、最大100件)の識別情報と、当該端末1に係る属性情報とを関連づけたものである。図8に、電話帳情報を例示する。設定情報記憶部111は、他の端末1について、各端末1毎に、識別情報及び属性情報をID番号等に関連づけて記憶している。識別情報は、例えばIPアドレス、SIP(Session Initiation Protocol)アドレスその他のURIに代表される、通信の宛先を識別する情報である。属性情報は、相手先の氏名または名称、所属、所在地その他の相手先に関する情報であり、本実施形態では文字列情報である。
【0036】
他の設定情報として、当該主側端末11に関する許容帯域幅情報が挙げられる。許容帯域幅情報は、それぞれの端末1が接続している通信回線2を介して送信可能なデータの許容転送レート、及び/または、受信可能なデータの許容転送レートを示す、各端末1個別の情報である。許容転送レートは、ビデオ通話時に、端末1が接続している通信回線2がどの程度の大きさのビットレートのデータを送信/受信することに耐えられるかという通信速度品質、あるいは、ビデオ通話のためにどの程度まで通信帯域幅を占有することが許されるかという他のサービス(または、同じ回線2を共有する他人)との兼ね合いを考慮に入れた通信速度制限を明らかにするものであると言うことができる。許容転送レートの大きさは、端末1が接続している通信回線2の種類やその回線2の共有者の数、端末1の所在地、日または時間帯その他諸々の事情に応じて異なってくる。
【0037】
許容帯域幅情報は、端末1またはシステムの使用者ないし管理者の手によって予め設定入力されることがあり、その場合、自己の端末1に係る許容帯域幅情報を設定情報の一部として設定情報記憶部111に記憶する。さらに、他の端末1についての許容帯域幅情報を既に取得している場合には、この許容帯域幅情報をも、当該他の端末1を識別するID番号等に関連づけて設定情報記憶部111に記憶する。但し、許容帯域幅情報が予め設定入力され、設定情報記憶部111に記憶されているとは限られない。
【0038】
上記の設定情報は、直接に手入力されることもあれば、電気通信回線2を介して接続している他の端末1またはコンピュータから送信されてくることもある。端末1は、設定情報の手入力を操作入力デバイス1dを介して受け付け、または通信インタフェース1kの機能を利用して受信し、設定情報記憶部111に記憶する。
【0039】
図8には示していないが、過去にビデオ通話を行ったことのある他の端末1に係る識別情報及び属性情報を、過去の通話履歴として、電話帳に蓄積しておくことも可能である。具体的には、当方からの発呼(送信)であったのか相手方からの受呼(着信)であったのかを示す情報や、その端末1とビデオ通話を行った日時を示すタイムスタンプ等を、併せて設定情報記憶部111に記憶する。特に、過去に開催したビデオ講義またはビデオ会議等に参加した複数の端末1について、その旨の情報や、講義または会議等の開催日時を示すタイムスタンプ等を記憶しておくことが考えられる。
【0040】
通話要求送信部112は、ビデオ通話、即ちビデオ講義またはビデオ会議等を開催するにあたり、その講義または会議等に参加する端末1との間で、ビデオ通話を行うための通話要求を、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。原則として、通話要求は、主側端末11から従側端末12に向けて送信する。無論、通話要求を従側端末12から主側端末11に送信する態様を妨げるものではない。
【0041】
主側端末11は、ビデオ通話の相手先の候補、即ち講義または会議等の参加候補となり得る他の端末1の一覧を、ディスプレイ1iの画面に表示させる。図9に、候補の一覧表示例を示す。最初に候補として表示させるのは、過去に講義または会議等に参加したことのある(その履歴情報が設定情報記憶部111に残されている)端末1である。主側端末11は、候補である複数の端末1の各々について、設定情報記憶部111から識別情報を読み出す。そして、その識別情報に基づき、当該端末1に対してライブアイコン(図中符号B)の送信を要求する情報であるライブアイコン要求を送信する。ライブアイコンは、端末1の設置場所で撮影されたリアルタイムの映像または静止画像である。ライブアイコンの寸法(例えば、192×108ピクセル)は、ビデオ通話時にやりとりされる映像の寸法よりも小さい。ライブアイコンのフレームレートは、5fps程度かそれ以上である。
【0042】
本実施形態のシステムでは、原則として、端末1同士を電気通信回線2を介してピアツーピアの形で相互接続する。即ち、ビデオ講義またはビデオ会議等を実施するにあたって、他の中継サーバやMCU等の中継機を使用する必要がない。識別情報がIPアドレスのようなアドレス解決を要しないものである場合には、その識別情報を用いて即座に端末1にライブアイコン要求を送信することができる。識別情報がSIPアドレスのようなアドレス解決を要するものである場合には、その識別情報を用いて他のコンピュータ(例えば、SIPプロキシサーバ)に招待メッセージを送信する等して受呼側端末12との間でセッションを確立し、その後にライブアイコン要求を送信する。あるいは、その識別情報をアドレス解決能力を備えた他のコンピュータ(例えば、DNS(Domain Name System)サーバ)に送信して当該識別情報に対応したIPアドレス等をこのコンピュータから受信し、このIPアドレス等を用いて端末1にライブアイコン要求を送信する。
【0043】
ライブアイコン要求を受信した端末1は、通常の場合、カメラ1hで撮影したライブアイコンを、そのライブアイコン要求をもたらした端末1に向けて送信する。主側端末11では、各端末1から返信されるライブアイコンを受信して、当該端末の属性情報(図中符号A)とともにディスプレイ1iの画面に表示させる。ライブアイコンを受信できていない端末1については、ライブアイコンを表示させることができないので、その旨を示す画像または文字列を表示させる。図9に示す例において、「接続中・・・」の表示(図中符号C)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信し、応答待ちであることを示す。「通信不可」の表示(図中符号D)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信した後一定時間が経過するまでに応答が返ってこなかった、つまり何らかの理由(端末1の電源が切られている、端末1が接続する通信回線に支障が発生している、等々)で当該端末1とのセッション確立が不能であることを示す。「表示不可」の表示(図中符号E)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信したが、ライブアイコン要求を拒絶する、換言すればライブアイコンの送信を行わない旨の応答がライブアイコンの代わりに送られてきたことを示す。「通話中」の表示(図中符号F)は、その端末1に対してライブアイコン要求を送信したが、既に別の端末1とビデオ通話中である旨の応答がライブアイコンの代わりに送られてきたことを示す。
【0044】
しかして、主側端末11は、画面に表示させている候補の中から、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる複数の従側端末12を指定する操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。主側端末11の使用者は、操作入力デバイス1dを操作してカーソル(図中符号G)を移動させ、所望の従側端末12の情報表示欄(図中符号A、B)をクリックする。この操作を受け付けた主側端末11は、クリックされた表示欄に対応した端末12を参加者として知得し、当該端末12に係る識別情報に基づき、当該端末12に対してビデオ通話の開始を要求する通話要求を送信する。この通話要求には、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる複数の従側端末12及び主側端末11の各々の識別情報、ID番号が含まれている。当該従側端末12に係る識別情報がアドレス解決を要するものであったとしても、ライブアイコン要求の送信段階で既にセッション確立またはアドレス解決が済んでいる場合には、直接従側端末12に通話要求を送信することができる。そうでなければ、ライブアイコン要求送信時と同様にしてセッション確立またはアドレス解決を図り、当該従側端末12に通話要求を送信する。因みに、ライブアイコンの代わりに「通信不可」または「通話中」の旨を表示している端末1は、参加者として指定できない(その端末1に係る情報表示欄にカーソルを移動させることができない)ようになっている。
【0045】
最大レート算定部116は、ビデオ講義またはビデオ会議等の開始に先んじて、各端末11、12がビデオ通話中に送出するべき映像データの転送レートの最大値を算定する。この際、参加者となる複数の従側端末12の各々についての許容転送レート、さらには主側端末11自身についての許容転送レートを参照する。
【0046】
最大転送レートの算定方法について述べる。主側端末11はまず、通話要求を送った従側端末12の各々との間でデータパケットを試験的に送受信する(データパケット送受信の遅延時間、エラーパケット率等を計数する)既知の手法によって、あるいは、送信要求を送った従側端末12の各々からもたらされる、従側端末12が予め設定情報として記憶保持している許容帯域幅情報を受信することによって、各従側端末12が通信回線2を介して送信/受信可能なデータの許容転送レートを知得、集約する。但し、従側端末12についての許容帯域幅情報が設定情報の一部として既に設定情報記憶部111に記憶されている場合には、設定情報記憶部111に記憶されているそれを読み出せばよい。
【0047】
のみならず、主側端末11は、従側端末12との間でデータパケットを試験的に送受信する既知の手法によって、あるいは、主側端末11自身が予め設定情報として記憶保持している許容帯域幅情報を読み出すことによって、主側端末11が通信回線2を介して送信/受信可能なデータの許容転送レートを知得する。
【0048】
そして、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる各端末11、12毎に、当該端末11、12から他の端末11、12に向けて送出するべきビデオ映像の転送レートの最大値を算定する。基本的には、端末11、12が接続している通信回線2を介した許容送信レートを、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加する従側端末12の数、換言すれば自身以外の参加拠点数で除算することで、ビデオ通話中に送出するデータの最大レートを得る。
【0049】
但し、実際には、通信回線2の帯域幅の全てを常に映像データの送出のみに用いることはできない。ビデオ通話中に端末11、12から送信するべきデータには、映像だけでなく、音声や、プロトコルで規定されたヘッダ、誤り訂正(特に、前方誤り訂正(Forward Error Correction))符号等も含まれるからである。故に、その分の帯域を控除して、送出する映像の最大レートを確定することがより望ましいと言える。即ち、
(ビデオ通話中に送出する映像の最大レート)=(通信回線2の許容送信レート)÷(参加する従側端末12の数)−(プロトコルヘッダ、誤り訂正符号等の送信のための帯域分)
として、端末11、12から他の端末11、12に向けて送出するべき映像の転送レートの最大値を算定する。
【0050】
尤も、許容送信レートを従側端末12の数で除算するのではなく、許容送信レートに従側端末12の数の多寡に応じた比率を乗じて許容送信レートを割り引くことで、または、許容送信レートに従側端末12の数の多寡によらない所定の比率を乗じて許容送信レートを割り引くことで、各端末11、12から送出する映像の最大転送レートを決定するということも考えられる。
【0051】
最大レート指定情報送信部117は、最大レート算定部116で算定した最大転送レートの値を記述した最大レート指定情報を、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者として指定された従側端末12の各々に対して、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。本実施形態では、主側端末11及び従側端末12のそれぞれについて、他の端末11、12に向けて送出する映像の最大転送レートを個別に算定している。従って、最大レート指定情報送信部は、各従側端末12に向けて、その従側端末12に対応する最大転送レートを記述した最大レート指定情報を送信する。主側端末11自身についての最大転送レートの値は、主側端末11のメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cに一時記憶しておく。
【0052】
通話受信部113は、ビデオ通話の開始後、従側端末12から送信される映像及び音声を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。グループビューモードでは、ビデオ会議またはビデオ講義等に参加している全ての従側端末12から映像データを受信する。
【0053】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。主側端末11自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している全ての従側端末12から低品位の映像データを受信する。何れかの従側端末12が他者の注目を集める主体となっている間は、当該従側端末12からのみ、高品位の映像データを受信する。
【0054】
通話出力制御部114は、何れか一または全ての従側端末12から受信した通話中の映像をディスプレイ1iの画面に表示させるとともに、全ての従側端末12から受信した通話中の音声をスピーカ1fから音声出力させる。図10に、ビデオ通話中の相手先の映像の表示例を示す。但し、図10に示しているものは、グループビューモードにおける通話画面であり、シングルビューモードにおける通話画面はこれとは異なる。グループビューモードでの通話画面には、参加している全ての従側端末12において撮影された映像(図中符号H)が同じ寸法で並列的に映し出される。加えて、図示していないが、通話出力制御部114は、同通話画面内に、自己の設置場所にてカメラ1hで撮影した映像を小さく表示させることもできる。また、通話出力制御部114は、各従側端末12から受信した音声を重畳した上でスピーカ1fから出力させる。
【0055】
通話送信部115は、主側端末11の設置場所にてカメラ1hで撮影した映像及びマイク1eで収音した音声を、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している従側端末12に対して、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。グループビューモードでは、参加している全ての従側端末12に対して同じ映像データを送信する。そのために、カメラ1hで撮影した映像を、最大レート算定部116で算定した最大転送レート以下のレートの映像データにエンコードした上で、従側端末12の各々に対して送信する。映像データのビットレートを増減させる手法としては、エンコード後の品質(いわば、圧縮の度合い)を調整したり、圧縮アルゴリズムを変更したり、フレームレートを変えたり、または映像フレームの寸法(ピクセル数)を拡縮したりする手法が知られている。本実施形態では、映像の寸法はグループビューモード、シングルビューモードでそれぞれ固定としているので、映像フレームの寸法を拡縮する以外の方法で映像データのビットレートを最大転送レート以下に抑制する。
【0056】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。主側端末11自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している全ての従側端末12に対して、同じ高品位の映像データを送信する。この高品位の映像データの転送レートは、最大レート算定部116で算定した最大転送レートには必ずしも拘束されない。各従側端末12は主側端末11からのみ映像を受け取ることとなるからである。
【0057】
他方、シングルビューモードにおいて、何れかの従側端末12が他者の注目を集める主体となっている間は、当該従側端末12に対してのみ、低品位の映像データを送信する。このときの低品位の映像データは、最大レート算定部116で算定した最大転送レート以下のレートのデータにエンコードすることが好ましい。とは言え、最大転送レートに拘束されるとは限られない。他者の注目を集める主体となっている従側端末12以外の端末11、12間では映像のやり取りが発生しないからである。
【0058】
操作入力受付部118は、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及び、シングルビューモードにおける何れか一の端末11、12を他者の注目を集める主体として選定する操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。例えば、主側端末1の使用者は、図10に示すグループビューモードの画面上で、操作入力デバイス1dを操作してカーソル(図中符号O)を移動させ、所望の従側端末12の映像表示欄に合わせた上、「1拠点」ボタン(図中符号P)をクリックする。この操作を受け付けた主側端末11は、グループビューモードからシングルビューモードへと切り替えるべき旨を知得し、さらに、カーソルの位置に対応した従側端末12をシングルビューモードにおいて他者の注目を集める主体となるべき端末12として知得する。単純にグループビューモードとシングルビューモード(主側端末11が他者の注目を集める主体となる状態)とを切り替えたい場合には、使用者は、操作入力デバイス1dの特定のキーを押下する等すればよい。この操作を受け付けた主側端末11は、グループビューモードからシングルビューモードへ、またはシングルビューモードからグループビューモードへと切り替えるべき旨を知得する。
【0059】
指令送信部119は、操作入力受付部118で受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、及び/または、シングルビューモードにおいて何れの端末11、12が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を、従側端末12の各々に対し、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。
【0060】
さらに、従側端末12が他者の注目を集める主体として選択されているシングルビューモードの状況の下では、操作入力受付部118が、主側端末11の使用者が行う、当該従側端末12に付随するカメラ1hのパン、チルトまたはズームを操作するべき旨の操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付けることができる。そして、指令操作部119は、上記の操作入力を受け付けた場合において、その操作入力に対応した、カメラ1hのパン、チルトまたはズームを操作するためのカメラ操作指令を、当該従側端末12に対し、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。
【0061】
次いで、従側端末12の各機能部を説明する。設定情報記憶部124は、設定情報、特に当該従側端末12に関する許容帯域幅情報を、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの記憶領域を利用して記憶する。設定情報は、直接手入力されることもあれば、電気通信回線2を介して接続している他の端末1またはコンピュータから送信されてくることもある。端末1は、設定情報の入力を操作入力デバイス1dを介して受け付け、または通信インタフェース1kの機能を利用して受信し、設定情報記憶部124に記憶する。但し、許容帯域幅情報が予め設定入力され、設定情報記憶部121に記憶されているとは限られない。
【0062】
通話要求受信部121は、主側端末11から送信される通話要求を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。通話要求には、ビデオ講義またはビデオ会議等の参加者となる複数の従側端末12及び主側端末1の各々の識別情報、ID番号が含まれている。よって、この通話要求を参照することにより、従側端末12は、参加する他の端末11、12の識別情報を知得し、それら端末11、12との間でセッション接続を確立することが可能となる。主側端末11からの通話要求を受信した従側端末12は、ちょうど主側端末11が従側端末12に対して実行したように、通話要求に記述された他の従側端末12に向けて、さらなる通話要求を送信する。つまり、通話要求の受信を契機として、従側端末12と主側端末11との相互通信、従側端末12同士の相互通信が確立され、従側端末12が主側端末11の主催するビデオ講義またはビデオ会議等に参加することが確定する。なお、従側端末12は、通話要求に対して、自己の設定情報記憶部124に記憶保持している許容帯域幅情報を、主側端末1に向けて返信することがある。
【0063】
最大レート指定情報受信部125は、主側端末11から送信される最大レート指定情報を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。この最大レート指定情報を参照することにより、特にグループビューモードにおいて送出するべき映像データの最大転送レートを知得する。最大転送レートの値は、従側端末12のメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cに一時記憶しておく。
【0064】
通話受信部122は、ビデオ通話の開始後、主側端末11及び/または従側端末12から送信される映像及び音声を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。グループビューモードでは、ビデオ会議またはビデオ講義等に参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12から映像データを受信する。
【0065】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。従側端末11自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12から低品位の映像データを受信する。主側端末11または自身以外の従側端末12の何れかが他者の注目を集める主体となっている間は、当該主側端末11または従側端末12からのみ、高品位の映像データを受信する。
【0066】
通話出力制御部123は、主側端末11及び従側端末12の何れか一または全てから受信した通話中の映像をディスプレイ1iの画面に表示させるとともに、主側端末11及び従側端末12の全てから受信した通話中の音声をスピーカ1fから音声出力させる。音声については、各端末11、12から受信した音声を重畳した上でスピーカ1fから出力させる。
【0067】
通話送信部127は、従側端末12の設置場所にてカメラ1hで撮影した映像及びマイク1eで収音した音声を、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している主側端末11及び/または従側端末12に対して、通信インタフェース1kの機能を利用して送信する。グループビューモードでは、参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12に対して同じ映像データを送信する。そのために、カメラ1hで撮影した映像を、主側端末11の最大レート算定部116で算定され、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データにエンコードした上で、主側端末11及び従側端末12の各々に対して送信する。
【0068】
シングルビューモードでは、何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているかに応じて処理が異なる。従側端末12自身が他者の注目を集める主体となっている間は、参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12に対して、同じ高品位の映像データを送信する。この高品位の映像データの転送レートは、最大レート指定情報に記述された最大転送レートには必ずしも拘束されない。主側端末11及び他の従側端末12は、此方からのみ映像を受け取るからである。
【0069】
主側端末11または自身以外の従側端末12の何れかが他者の注目を集める主体となっている間は、当該主側端末11または従側端末12に対してのみ、低品位の映像データを送信する。このときの低品位の映像データは、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートのデータにエンコードすることが好ましい。とは言え、最大転送レートに拘束されるとは限られない。他者の注目を集める主体となっている端末11、12以外の端末11、12間では映像のやり取りが発生しないからである。
【0070】
指令受信部126は、主側端末11から送信される切替指令を、通信インタフェース1kの機能を利用して受信する。この切替指令を参照することにより、現在グループビューモードにあるのかシングルビューモードにあるのか、また、シングルビューモードにおいて何れの端末11、12が他者の注目を集める主体となっているのかを知得する。
【0071】
加えて、従側端末12自らが他者の注目を集める主体として選択されているシングルビューモードの状況の下では、指令受信部126が、主側端末11からもたらされるカメラ操作指令を受信することがある。カメラ操作指令を受信した際には、このカメラ操作指令に基づき、カメラ1hに制御信号を入力してパン、チルトまたはズームを操作する。
【0072】
本実施形態のビデオ通話システムを構成する端末1が、ビデオ通話中に実行する処理の手順を概説する。図11に示すように、主側端末11は、現在グループビューモードである場合(ステップS1)、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS2)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS3)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、参加している全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS4)。ステップS4では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0073】
現在シングルビューモードであり、主側端末11自身が他者の注目を集める主体として選択されている場合には(ステップS5)、やはり参加している全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS6)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS7)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、参加している全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS8)。ステップS8では、映像データを高品位映像にエンコードする。その転送レートは、必ずしも最大転送レート以下に抑制はしない。
【0074】
現在シングルビューモードであり、何れかの従側端末12が他者の注目を集める主体として選択されている場合には、当該従側端末12のみからから送信された高品位映像を受信しつつ、全ての従側端末12から送信された音声を受信し(ステップS9)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS10)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、他者の注目を集める主体となっている従側端末12のみに向けて送信する(ステップS11)。ステップS11では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0075】
また、主側端末11の使用者の手による、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、または、何れかの端末11、12をシングルビューモードにおける他者の注目を集める主体として選定する操作入力を受け付けた場合には(ステップS12)、その操作入力に対応した切替指令を、参加している全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS13)。
【0076】
主側端末11は、上記のステップS1ないしS13を、ビデオ講義またはビデオ会議等の終了まで反復する。
【0077】
図12に示すように、従側端末12は、現在グループビューモードである場合(ステップS14)、ビデオ講義またはビデオ会議等に参加している主側端末11及び他の全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS15)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS16)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、主側端末11及び他の全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS17)。ステップS17では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0078】
現在シングルビューモードであり、従側端末12自身が他者の注目を集める主体として選択されている場合には(ステップS18)、やはり主側側端末11及び全ての従側端末12からから送信された低品位映像及び音声を受信し(ステップS19)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS20)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、主側端末11及び他の全ての従側端末12に向けて送信する(ステップS21)。ステップS21では、映像データを高品位映像にエンコードする。その転送レートは、必ずしも最大転送レート以下に抑制はしない。
【0079】
現在シングルビューモードであり、主側端末11または自身以外の従側端末12が他者の注目を集める主体として選択されている場合には、当該主側端末11または従側端末12のみからから送信された高品位映像を受信しつつ、全ての従側端末12から送信された音声を受信し(ステップS22)、受信した映像及び音声をディスプレイ1i及びスピーカ1fを介して出力する(ステップS23)。それとともに、カメラ1hで撮影した自己の映像及びマイク1eで収音した自己の音声を、他者の注目を集める主体となっている当該主側端末11または従側端末12のみに向けて送信する(ステップS24)。ステップS24では、映像データを低品位映像にエンコードし、その転送レートを最大転送レート以下に抑制する。
【0080】
また、主側端末11から切替指令がもたらされた場合には、これを受信する(ステップS25)。
【0081】
従側端末12は、上記のステップS14ないしS25を、ビデオ講義またはビデオ会議等の終了まで反復する。
【0082】
主側端末11及び従側端末12の機能について補足する。各端末11、12は、ビデオ通話(グループビューモード、シングルビューモードを問わない)中に他の何れかの端末11、12との通信接続が途切れたときには、通信接続が途切れた相手方の端末11、12に向けて自動的に通話要求を再送信して、再接続を試みる。
【0083】
ビデオ通話の開始後、従側端末12は、当該従側端末12の使用者の都合等に応じて、現在参加しているビデオ通話から離脱することが可能である。従側端末12は、使用者の手による、ビデオ通話から離脱するべきことを指令する操作入力を操作入力デバイス1dを介して受け付けたとき、ビデオ通話から離脱する旨の情報を、主側端末11及び他の従側端末12に向けて送信する。上記の情報を受信した主側端末11及び従側端末12は、ビデオ通話から離脱しようとする従側端末12との通信接続を切断する。
【0084】
さらに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点数が減少することから、ビデオ通話開始の際と同様にして、最大転送レートを再度計算し、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を、ビデオ通話から離脱する従側端末12以外の従側端末12の各々に対して送信する。従側端末12は、主側端末11から再びもたらされる最大レート指定情報を受信する。以後、ビデオ通話を行う主側端末11及び従側端末12はそれぞれ、少なくともグループビューモードにおいて、再計算された最大転送レート以下の映像を生成して送出する。
【0085】
主側端末11は、既に開始しているビデオ通話に、新たに参加拠点を追加することが可能である。主側端末11は、使用者の手による、既に開始しているビデオ通話に新たに参加させる従側端末12の指定を含む操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。例えば、図9に示しているように、新たに参加させる従側端末12の候補をディスプレイ1iの画面に表示させ、その候補の中から新たな参加者となる従側端末12を使用者に指定させる。操作入力を受け付けた主側端末11は、新たな参加者として指定された従側端末12に係る識別情報に基づき、当該従側端末12に対してビデオ通話の開始を要求する通話要求を送信する。この通話要求には、既にビデオ通話に参加している複数の従側端末12及び主側端末11の各々の識別情報、ID番号が含まれている。新たな参加者として指定された従側端末12は、主側端末11からもたらされる通話要求を受信し、その通話要求に含まれている識別情報、ID番号を参照して、既にビデオ通話に参加している各従側端末12に向けて通話要求を送信する。これらの処理を通じて、新たにビデオ通話に参加する従側端末12と、既にビデオ通話に参加している従側端末12及び主側端末との間で通信が確立される。また、主側端末11は、既にビデオ通話に参加している従側端末12に対しても、新たな参加者として指定された従側端末12の識別情報、ID番号を含む情報を送信する。この情報を受信した従側端末12が、新たにビデオ通話に参加する従側端末12に対して通話要求を送信するようにしても構わない。
【0086】
さらに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点数が増加することから、ビデオ通話開始の際と同様にして、最大転送レートを再度計算し、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を、従側端末12(新たにビデオ通話に参加する拠点を含む)の各々に対して送信する。従側端末12は、主側端末11から再びもたらされる最大レート指定情報を受信する。以後、ビデオ通話を行う主側端末11及び従側端末12はそれぞれ、少なくともグループビューモードにおいて、再計算された最大転送レート以下の映像を生成して送出する。
【0087】
並びに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点の何れかを選択的にビデオ通話から排除することも可能である。主側端末11は、使用者の手による、既に開始しているビデオ通話から排除するべき従側端末12の指定を含む操作入力を、操作入力デバイス1dを介して受け付ける。操作入力を受け付けた主側端末11は、排除するべき従側端末12に係る識別情報、ID番号を含む情報を、当該従側端末12以外の従側端末12に対して送信する。上記の情報を受信した従側端末12は、排除するべき従側端末12との通信接続を切断する。また、主側端末11は、排除するべき従側端末12に対しても、その旨を示す情報を送信する。この情報を受信した従側端末12が、他の従側端末12及び主側端末11との通信接続を切断するようにしても構わない。
【0088】
さらに、主側端末11は、ビデオ通話に参加している拠点数が減少することから、ビデオ通話開始の際と同様にして、最大転送レートを再度計算し、算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を、ビデオ通話から排除する従側端末12以外の従側端末12の各々に対して送信する。従側端末12は、主側端末11から再びもたらされる最大レート指定情報を受信する。以後、ビデオ通話を行う主側端末11及び従側端末12はそれぞれ、少なくともグループビューモードにおいて、再計算された最大転送レート以下の映像を生成して送出する。
【0089】
本実施形態のビデオ通話システムによれば、ビデオ通話の開始に際して転送レートの最適化処理を必要とせず、速やかにグループビューモードにて映像の送受信及び画面表示を開始することができ、しかもその開始直後から映像が安定化する。
【0090】
さらに、三者以上が同時に参加できるシステムでありながら、シングルビューモードにおいて一部の者に限定して高品位映像を送出させる可能であるので、やりとりする映像の高品位化が通信帯域をパンクさせる問題を有効に解消することができ、専用回線やMCU、あるいはIPマルチキャストを利用することなく、比較的安価なコストで実用に供することができるのである。
【0091】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。主側端末11の最大レート算定部116による、映像の最大転送レートの算定手法は、上記実施形態の如きものに限定はされない。
【0092】
端末11、12が接続している通信回線2がxDSL回線であるならば、端末11、12が接続している当該回線2を介して送信可能なデータの転送レート、即ち上り転送レートこそがボトルネックとなる。何故ならば、xDSL回線は、上りの通信速度が下りの通信速度に比して顕著に遅いからである。このような場合、各端末11、12が接続している回線2の上り転送レートのみを参照して映像の最大転送レートの算出を行うことが合理的であり、各端末11、12が回線2を介して受信可能なデータの転送レート、即ち下り転送レートは無視してもよい。
【0093】
逆に、上りと下りとで通信速度が等しい対称な回線であるならば、上り転送レートのみを参照して最大転送レートを算出してもよく、下り転送レートのみを参照して最大転送レートを算出してもよいこととなる。後者の場合、例えば、各端末11、12毎の下り転送レートのうちの、ボトルネックとなる最小値を、従側端末12の数で除算するか割り引くかして、映像の最大転送レートを算出することが考えられる。
【0094】
無論、上り転送レート、下り転送レートの両方を参照して、映像の最大送出レートを算出しても構わない。結局のところ、グループビューモードにおいて、各端末11、12が他の全ての端末11、12から同時に映像を受信したときに、当該端末11、12が接続している通信回線2の下り転送レートがパンクしないこと、そして、各端末11、12が他の全ての端末11、12に向けて同時に映像を発信したときに、当該端末11、12が接続している通信回線2の上り転送レートがパンクしないこと、以上の二点を満足するように最大転送レートを算定することが要求される。
【0095】
その他、各部の具体的構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、例えば、多地点間でのビデオ講義またはビデオ会議等を実現するシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…端末
11…主側端末
12…従側端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三以上の拠点のそれぞれに設置された端末間で映像を送受信するビデオ通話機能を実現するシステムであり、何れか一の端末が主側端末、残りの端末が従側端末となるものであって、
主側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して送信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
従側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備している
ことを特徴とするビデオ通話システム。
【請求項2】
三以上の拠点のそれぞれに設置された端末間で映像を送受信するビデオ通話機能を実現するシステムであり、何れか一の端末が主側端末、残りの端末が従側端末となるものであって、
主側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して受信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
従側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備している
ことを特徴とするビデオ通話システム。
【請求項3】
全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、主側端末から従側端末の各々に対して映像データを送信し、従側端末が主側端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを切り替えることが可能であって、
前記主側端末は、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応してグループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードにおいては前記最大転送レートに拘束されることなくグループビューモードよりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信するものであり、
前記従側端末は、
主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードにおいては主側端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードにおいては主側端末からのみ映像データを受信するものである請求項1または2記載のビデオ通話システム。
【請求項4】
全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、選択された何れか一の端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、他の端末が選択された一の端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを切り替えることが可能であって、
前記主側端末は、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及びシングルビューモードにおける何れか一の端末を選択する操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードかつ当該主側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを送信するものであり、
前記従側端末は、
主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信するものである請求項1または2記載のビデオ通話システム。
【請求項5】
前記主側端末の操作入力受付部が、シングルビューモードかつ他の従側端末が選択されている場合に、当該従側端末に付随するカメラのパン、チルトまたはズームを操作するべき旨の操作入力を受け付け、
前記主側端末の指令送信部が、受け付けた操作入力に対応してカメラのパン、チルトまたはズームを操作するためのカメラ操作指令を選択された従側端末に対して送信し、
前記従側端末の指令受信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合に、主側端末から送信されるカメラ操作指令を受信する請求項4記載のビデオ通話システム。
【請求項6】
請求項1記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して送信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備する主側端末。
【請求項7】
請求項2記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して受信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備する主側端末。
【請求項8】
請求項3記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応してグループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
前記通話送信部が、シングルビューモードにおいてはグループビューモードよりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する主側端末。
【請求項9】
請求項4記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及びシングルビューモードにおける何れか一の端末を選択する操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
前記通話送信部が、シングルビューモードかつ当該主側端末自身が選択されている場合には、それ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
前記通話受信部が、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信する主側端末。
【請求項10】
請求項1記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備する従側端末。
【請求項11】
請求項3記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
主側端末から送信される、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を受信する指令受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
前記通話送信部が、シングルビューモードにおいては主側端末に対してのみ映像データを送信し、
前記通話受信部が、シングルビューモードにおいては主側端末からのみ映像データを受信する従側端末。
【請求項12】
請求項4記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
主側端末から送信される、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を受信する指令受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
通話送信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合には、それ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信する従側端末。
【請求項1】
三以上の拠点のそれぞれに設置された端末間で映像を送受信するビデオ通話機能を実現するシステムであり、何れか一の端末が主側端末、残りの端末が従側端末となるものであって、
主側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して送信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
従側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備している
ことを特徴とするビデオ通話システム。
【請求項2】
三以上の拠点のそれぞれに設置された端末間で映像を送受信するビデオ通話機能を実現するシステムであり、何れか一の端末が主側端末、残りの端末が従側端末となるものであって、
主側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して受信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
従側端末は、
ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備している
ことを特徴とするビデオ通話システム。
【請求項3】
全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、主側端末から従側端末の各々に対して映像データを送信し、従側端末が主側端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを切り替えることが可能であって、
前記主側端末は、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応してグループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードにおいては前記最大転送レートに拘束されることなくグループビューモードよりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信するものであり、
前記従側端末は、
主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードにおいては主側端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードにおいては主側端末からのみ映像データを受信するものである請求項1または2記載のビデオ通話システム。
【請求項4】
全ての端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、全ての端末が自拠点以外の全拠点の映像を表示出力するグループビューモードと、選択された何れか一の端末から他の端末の各々に対して映像データを送信し、他の端末が選択された一の端末の設置拠点の映像を表示出力するシングルビューモードとを切り替えることが可能であって、
前記主側端末は、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及びシングルビューモードにおける何れか一の端末を選択する操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部とをさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードかつ当該主側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを送信するものであり、
前記従側端末は、
主側端末から送信される切替指令を受信する指令受信部をさらに具備した上、
通話送信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合には、前記最大転送レートに拘束されることなくそれ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信するものである請求項1または2記載のビデオ通話システム。
【請求項5】
前記主側端末の操作入力受付部が、シングルビューモードかつ他の従側端末が選択されている場合に、当該従側端末に付随するカメラのパン、チルトまたはズームを操作するべき旨の操作入力を受け付け、
前記主側端末の指令送信部が、受け付けた操作入力に対応してカメラのパン、チルトまたはズームを操作するためのカメラ操作指令を選択された従側端末に対して送信し、
前記従側端末の指令受信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合に、主側端末から送信されるカメラ操作指令を受信する請求項4記載のビデオ通話システム。
【請求項6】
請求項1記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して送信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備する主側端末。
【請求項7】
請求項2記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
ビデオ通話の開始に際して、各端末毎の、当該端末が接続している通信回線を介して受信可能なデータの転送レートを参照し、その転送レートを従側端末の数の多寡に応じて割り引くことを通じて、各端末から他の端末に向けてビデオ通話中に送出するべき転送レートの最大値を算定する最大レート算定部と、
算定した最大転送レートを記述した最大レート指定情報を従側端末の各々に対して送信する最大レート指定情報送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、算定した最大転送レート以下のレートの映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備する主側端末。
【請求項8】
請求項3記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応してグループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
前記通話送信部が、シングルビューモードにおいてはグループビューモードよりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する主側端末。
【請求項9】
請求項4記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるべき旨の操作入力、及びシングルビューモードにおける何れか一の端末を選択する操作入力を受け付ける操作入力受付部と、
受け付けた操作入力に対応して、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を従側端末の各々に対して送信する指令送信部と、
当該主側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
前記通話送信部が、シングルビューモードかつ当該主側端末自身が選択されている場合には、それ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
前記通話受信部が、シングルビューモードかつ従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信する主側端末。
【請求項10】
請求項1記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
ビデオ通話の開始に際して、主側端末から送信される最大レート指定情報を受信する最大レート指定情報受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、最大レート指定情報に記述された最大転送レート以下のレートの映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備する従側端末。
【請求項11】
請求項3記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
主側端末から送信される、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令である切替指令を受信する指令受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
前記通話送信部が、シングルビューモードにおいては主側端末に対してのみ映像データを送信し、
前記通話受信部が、シングルビューモードにおいては主側端末からのみ映像データを受信する従側端末。
【請求項12】
請求項4記載のビデオ通話システムを構成するために用いられるものであって、
主側端末から送信される、グループビューモードとシングルビューモードとを切り替えるための指令、またはシングルビューモードにおいて何れの端末が選択されたのかを指示するための指令である切替指令を受信する指令受信部と、
当該従側端末の設置拠点においてカメラで撮影される映像から、映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する通話送信部と、
主側端末及び他の従側端末の各々から送信される映像データを受信する通話受信部と、
受信した映像データをディスプレイの画面に表示させる通話出力制御部とを具備し、
通話送信部が、シングルビューモードかつ当該従側端末自身が選択されている場合には、それ以外の場合よりも転送レートの高い映像データを生成して主側端末及び他の従側端末の各々に対して送信する一方、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末に対してのみ映像データを送信し、
通話受信部が、シングルビューモードかつ主側端末または他の従側端末が選択されている場合には、その選択された端末からのみ映像データを受信する従側端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−80186(P2012−80186A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221091(P2010−221091)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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