説明

ビニルエーテル化合物並びにそれらの製造及び使用方法

新規な官能化界面活性剤並びにその製造及び使用方法が提供される。当該界面活性剤は式I:


(式中、R、R及びRはここで定義するとおりである)
により表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスレファレンス
本願は、引用によりその全体を本明細書に援用する2009年11月3日に出願された米国仮出願番号第61/257,625号の利益を主張する。
発明の属する分野
本発明は、新規なビニルエーテル化合物、及び組成物、並びにそれらの製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニルエーテルは、様々な用途において広く普及している重要な部類の材料である。例えば、ビニルエーテルは、輻射線硬化性組成物においてポリマー及びコポリマーの単量体構築ブロックとして、コーティング及び接着剤において界面活性剤として、反応性希釈剤として、及び印刷インクにおいて、使用できる。
【0003】
ビニルエーテルは、一般的に、レッペ(Reppe)法により工業的に生産されている。この方法は、触媒の存在下でのアセチレンとアルコールとの間の付加反応を伴う。この方法は、しかしながら、アセチレンを取り扱うのが困難であり、高圧で分解及び爆発を引き起こすおそれがあるため不利である。そのため、アセチレンの取り扱いのために複雑な制御が必要とされる。さらに、アルコールの構造を変えることによりいくらかの構造多様性をもたらすことができるが、適切なアセチレン誘導体は、一般的に得られないため、製造できる化合物の種類が限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新規な、構造的に多様なビニルエーテル化合物及びそれらの製造方法を提供することは当該技術分野において重要な進歩になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様において、本発明はビニルエーテル化合物を提供する。当該化合物は、式I:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R、R及びRは以下で定義するとおりである)
により表されるものである。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、式Iにより表される2又は3種以上の化合物を含む組成物を提供する。
さらなる実施態様において、本発明は、式Iにより表される1又は2種以上の化合物を含む配合物を提供する。
さらに別の実施態様において、本発明は、式Iにより表される化合物の製造方法及びその組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記のとおり、本発明は、ビニルエーテル化合物を提供する。当該化合物は、広範な種類のさらなる官能基(それらの多くは先行技術の方法ではこれまで容易に利用できなかった)によりさらに置換されていてもよい。それらの構造多様性のために、当該ビニルエーテルは、例えば界面活性剤、重合性界面活性剤、UV硬化用途のためのコモノマーとして、反応性希釈剤として、及び高T/低εポリマーを得るためのコモノマーなどの、多くの用途で使用できる。
【0010】
本発明のビニルエーテルを製造するための以下に記載する方法は、ビニルエーテル化合物の混合物の形成をもたらすことができる。個々の化合物を混合物から単離することができるが、この工程は必要でなく、むしろ、場合によっては、ビニルエーテルを混合物の形態で使用することが好ましい。そのため、ビニルエーテル混合物の組成物は、意図されており、本発明の範囲に含まれる。
【0011】
本発明のビニルエーテルは、式I:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、RはC−C12アルキル又はC−Cシクロアルキルであり、
はC−C23アルキル又はC−Cシクロアルキルであり、あるいは
とRは、それらが結合している炭素と一緒にC−Cシクロアルキルを形成しており、
は、SO、第3級アミン、第4級アンモニウム、第3級ホスフィン、第4級ホスホニウム、アルケニルオキシ、アルコキシ、ポリ(アルコキシ)、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアルコキシ、ハロ、ハロアルキルオキシ、アミノアルキルオキシ、(トリアルキルアンモニオ)アルキルオキシ、ヒドロキシアルキル−アミノ、アリールオキシ−アルコキシ、ヘテロシクロアルキル又はチオエーテルであり、
は、H又は一価若しくは二価カチオンであり、
及びR中の炭素原子とR及びRが結合している炭素の総数は4〜22である)
により表される化合物である。
【0014】
幾つかの実施態様において、ビニルエーテルは、式IにおいてRがメチルである場合の化合物である式I−1の化合物である。
幾つかの実施態様において、ビニルエーテルは、式I又はI−1においてRがC−C19アルキルである場合の化合物である式I−2の化合物である。さらなる実施態様において、RはC−C15アルキルである。
幾つかの実施態様において、ビニルエーテルは、式I又はI−1においてRがC−Cシクロアルキルである場合の化合物である式I−3の化合物である。
【0015】
幾つかの実施態様において、ビニルエーテルは、式IにおいてRがメチルであり、RがC−C15アルキルである場合の化合物である式I−4の化合物である。さらなる実施態様において、Rは直鎖アルキルである。さらなる実施態様において、R及びR中の炭素原子とR及びRが結合している炭素の総数は4〜20、あるいは4〜18、あるいは4〜16、あるいは4〜14である。さらなる実施態様において、R及びR中の炭素原子とR及びRが結合している炭素の総数は5〜22、あるいは5〜20、あるいは5〜18、あるいは5〜16、あるいは5〜14である。さらなる実施態様において、R及びR中の炭素原子とR及びRが結合している炭素の総数は6〜22、あるいは6〜20、あるいは6〜18、あるいは6〜16、あるいは6〜14である。
【0016】
幾つかの実施態様において、ビニルエーテルは、式I又はI−1においてR及びRが、それらが結合している炭素と一緒に、C−Cシクロアルキルを形成している場合の化合物である式I−5の化合物である。さらなる実施態様において、R及びRは、それらが結合している炭素と一緒にC−Cシクロアルキルを形成しており、さらなる実施態様において、R及びRはシクロヘキシル又はノルボニルを形成している。
【0017】
幾つかの実施態様において、ビニルエーテルは、式I、I−1、I−2、I−3、I−4又はI−5においてRがSO、第3級アミン、第3級ホスフィン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルケニルオキシ、アルコキシ、ポリ(アルコキシ)(例えば分子量1000以下のポリエーテルなど)、アリールオキシ、ハロ、アミノアルキルオキシ、(トリアルキルアンモニオ)アルキルオキシ、モルホリノ又はチオエーテルである場合の化合物である式I−6の化合物である。幾つかの実施態様において、Rがチオエーテルである場合に、R及びR中の炭素原子とR及びRが結合している炭素の総数は7〜22、あるいは7〜20である。
【0018】
幾つかの実施態様において、ビニルエーテルは、式I、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5又はI−6においてRが第3級アミン、第4級アンモニウム、アルケニルオキシ、アルコキシ、ポリ(アルコキシ)、アリールオキシ、ヒドロキシアルキル−アミノ、アリールオキシ−アルコキシ、ヘテロシクロアルキル又はハロである場合の化合物である式I−7の化合物である。
【0019】
式I−7における好ましいポリ(アルコキシ)部分は、式R−(OCHRCHR−O−(式中、RはC−Cアルキル(好ましくはメチル)であり、R及びRは独立にH又はC−Cアルキル(それぞれ好ましくはH)であり、yは反復単位の数であって、少なくとも1である)により表される基である。好ましくは、ポリ(アルコキシ)の分子量は約10000以下、より好ましくは約1000以下、さらに好ましくは約500以下である。RがSO、である場合、幾つかの実施態様において、M、はH、Na、K、アンモニウム又はアルキル化アンモニウムであることが好ましい。さらなる実施態様において、Naが好ましい。
幾つかの実施態様において、本発明のビニルエーテルは表1に示す化合物である:
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【0024】
表1に示されているように、RとRとR及びRが結合している炭素とにより形成されたアルキル鎖の2−位における置換に加えて、アルキル鎖のその他の第2級炭素のいずれかで置換された構造も好ましい。さらに好ましいものは、かかる化合物の異性体混合物である。
【0025】
上記のとおり、本発明の化合物の製造方法は、式Iの化合物の混合物の形成をもたらすことができ、当該混合物は、必要に応じて、個々の化合物に分離する必要なく、さらなる用途及び配合物で直接使用できる。
【0026】
さらなる実施態様において、本発明は、式Iのビニルエーテルの製造方法を提供する。当該方法は、
式A:
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、R及びRは先に定義したとおりであり、
はH又はCHXであり、RはXであり、RはH又はCHXであり、ここで、R又はRの一方はHであり、Xはハロ基(F、Cl、Br又はI、好ましくはCl)である)
により表されるエーテル化合物を用意すること、
式Aのエーテル化合物に対して脱離反応を行ってビニル含有化合物を形成すること、及び
必要に応じて、ビニル含有化合物を求核剤で置換すること、
を含む。
【0029】
式Aにより表されるエーテル化合物は、2009年4月27日に出願された出願人の同時係属米国特許出願第12/430,171号(その全体を引用により本明細書に援用する)に記載されているように調製できる。一般的に、この合成法は、酸性エーテル化触媒の存在下でのオレフィンとのアルコール化合物の反応を含む。典型的には、等モル量又はわずかに過剰なオレフィンが使用される。溶剤を使用してもよいが、必要ではない。高温、例えば約50〜150℃で、上記反応を実施できる。所望の量の上記エーテル化合物生成物が形成されたら(例えば、ガスクロマトグラフィーにより求められる)、反応混合物を冷却し、通常のワークアップにかける。例えば、均一酸触媒の除去のために、冷却した混合物を、炭酸水素塩及び/又は塩化物塩を含む水に加え、エーテル化合物を含む混合物の有機液体相を取り除く。エーテル化合物を、周知の方法、例えば蒸留により、さらに精製してもよい。
上記合成法のアルコールは、一般的に、下記式:
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、R、R及びRは先に定義したとおりである)
により表される。
【0032】
上記合成法に対して好ましいアルコールとしては、1,3−ジハロ−2−プロパノール及び2,3−ジハロプロパノール、又はそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいものは、1,3−ジクロロ−2−プロパノール及び2,3−ジクロロプロパノール、又はそれらの混合物である。
【0033】
上記合成法で使用するオレフィンは、好ましくは4〜22個の炭素原子を含む直鎖又は分岐α−オレフィン(すなわち、1−アルケン)、あるいは、4〜22個の炭素原子を含む直鎖又は分岐1−アルケンの異性体とそれらの内部及び/又は第3級オレフィン異性体との混合物である。好ましくは、アルケンは直鎖状であり、6〜18個の炭素原子を含む。特に好ましいα−オレフィンの非限定的な例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0034】
オレフィンは、酸性エーテル化触媒と接触した際に異性化されてもよいが、α−オレフィンを使用する必要はなく、4〜22個の炭素原子を含む内部オレフィン、又は直鎖若しくは分岐アルケンの異性体の混合物も使用に適する。適切な内部オレフィンの非限定的な例としては、2−ブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、2−ノネン、3−ノネン、4−ノネン、2−デセン、3−デセン、4−デセン、5−デセンなど、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0035】
エーテル化合物の合成に適する酸性エーテル化触媒としては、酸性イオン交換樹脂、例えばザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)から入手可能なDOWEX(登録商標)DR−2030など、クレー、ゼオライト、スルホン化ポリスチレンビーズ、及び不均一表面上に固定された酸、例えばシリカビーズ上のテトラフルオロエタンスルホン酸など、ブレンステッド酸、例えばトリフル酸(トリフルオロメタンスルホン酸)、メタンスルホン酸又は硫酸など、ルイス酸、例えばBFおよびその誘導体(例えば、二水和物又はエーテル)など、並びにトリメチルシリルトリフラートなどが挙げられるが、これらに限定されない。反応物に対する触媒の比は重要ではなく、一般的に、所望の反応速度を得ることができるように調節される。好ましくは、エーテル化反応を促進するために、触媒は、上記プロセス中、約50〜150℃の温度である。
【0036】
上記プロセスの除去工程は、典型的には、塩基性条件下で実施され、ビニル含有化合物(式IにおいてRがハロである場合の化合物に相当する)の形成をもたらす。この反応に対して、様々な塩基を使用でき、塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、アルコキシド、例えばカリウムt−ブトキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
ビニル含有化合物を、必要に応じて、適切な求核剤と反応させて、式Iのさらなる化合物を形成させる。適切な求核剤の例としては、例えば、モノ−アルコール(例えば、2−フェノキシエタノール、アリルアルコール、ジメチル−アミノエタノール、シクロヘキサノール)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、メトキシポリエチレングリコール)、亜硫酸ナトリウム、アルキルアミン(例えば、ジエチルアミン、ジメチルブチルアミン、トリメチルアミン)、アルキル又はアリールホスフィン(例えばトリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン−ボラン、トリフェニルホスフィン)が挙げられる。
【0038】
上記プロセスの除去工程及び任意の置換工程は、ワンポット反応で行うことができる。かかるワンポット反応は非常に有利である。なぜなら、かかるワンポット反応は、式Iの化合物を調製できる資源効率のよい方法を与えるからである。典型的には、エーテル化合物、塩基及び必要に応じて使用される求核剤を、高温で反応させるが、これは必要でない。さらに、必要に応じて溶剤を使用してもよい。反応が起こるのに十分な時間(例えば、1〜24時間)の後、反応混合物を周囲条件に冷却し、次に、従来のウォークアップに供する。式Iの化合物を、必要に応じて、さらに精製してもよい。精製は、例えば蒸留、抽出、ろ過、クロマトグラフィー及び/又は結晶化などの従来技術を用いて実施できる。
【0039】
式Iのビニルエーテル化合物は、ビニル基(及び他の官能基)を含む。当該化合物は、従って、ビニル官能基を介して、例えば、オリゴマー化又は重合などの様々なダウンストリーム反応を受けることができる。式Iの化合物は、親水性/疎水性の特性を有する。官能基のこの組み合わせの結果として、式Iの化合物は広範な特性を有し、それらを例えば界面活性剤、重合性界面活性剤として、紫外線硬化用途のためのコモノマーとして、反応性希釈剤として、及び高T/低εポリマーを得るためのコモノマーとして使用することが可能である。従って、上記化合物は、広範囲な配合物及び用途で使用できる。非限定的な例として、上記化合物を、コーティング配合物、農業用配合物、パーソナルケア配合物、油及びガス配合物、接着剤配合物、ラテックス配合物、輻射線硬化性配合物、印刷インク配合物で使用できる。
【0040】
任意の特定の配合で使用されるべき式(I)の化合物の量及び組成は、用途及び所望の結果に応じて変わり、当業者は過度の実験なしに決定することができる。例えば、式Iの化合物が界面活性剤として使用される場合、当該化合物の典型的な使用濃度は、配合物の総質量に基づいて、少なくとも約0.01重量%である。
【0041】
本明細書において、「アルケニル」は、炭素と水素から成る非環式の不飽和(少なくとも1個の炭素−炭素二重結合)の分岐又は非分岐置換基、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル及びデセニルを意味する。「アルケニルオキシ」は、さらに炭素−酸素単結合から成るアルケニル、例えば、アリルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘキセニルオキシ、ヘプテニルオキシ、オクテニルオキシ、ノネニルオキシ及びデセニルオキシを意味する。「アルコキシ」は、さらに炭素−酸素単結合から成るアルキル、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、2−メチルブトキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、ノノキシ及びデコキシを意味する。「ポリ(アルコキシ)」は、反復単位として1又は2個以上のアルコキシ基を有するポリマー又はオリゴマー置換基、例えばポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)などを意味する。「アルキル」は、炭素と水素から成る非環式の飽和分岐又は非分岐置換基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルを意味する。「アルキニル」は、炭素と水素から成る非環式の不飽和(少なくとも1個の炭素−炭素三重結合及び任意の二重結合)の分岐又は非分岐置換基、例えば、エチニル、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル及びデシニルを意味する。「アルキニルオキシ」は、さらに炭素−酸素単結合から成るアルキニル、例えば、ペンチニルオキシ、ヘキシニルオキシ、ヘプチニルオキシ、オクチニルオキシ、ノニニルオキシ及びデシニルオキシを意味する。「アミン」は、−NHに加えて、例えば、さらに少なくとも1個の水素−窒素単結合又は少なくとも1個の炭素−窒素単結合を含むアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ又はアリール、例えばアミノ、モノメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノも包含する。「アンモニウム」は、さらに少なくとも1個の水素−窒素単結合又は少なくとも1個の炭素−窒素単結合から成り、窒素原子が正電荷を有する(対イオンとして例えばハロを有する)アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ又はアリール、例えばトリメチルアンモニオ、ジメチルプロピルアンモニオを意味する。「アリール」は、水素と炭素から成る環式芳香族置換基、例えば、フェニル、メトキシフェニル、ナフチル及びビフェニルイルを意味する。「アリールオキシ」は、さらに炭素−酸素単結合から成るアリール、例えば、フェノキシ、(メトキシフェニル)オキシを意味する。「シクロアルケニル」は、炭素と水素から成る単環式又は多環式の不飽和(少なくとも1個の炭素−炭素二重結合)置換基、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロデセニル、ノルボルネニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、テトラヒドロナフチル、ヘキサヒドロナフチル及びオクタヒドロナフチルを意味する。「シクロアルケニルオキシ」は、さらに炭素−酸素単結合から成るシクロアルケニル、例えば、シクロブテニルオキシ、シクロペンテニルオキシ、シクロヘキセニルオキシ、シクロヘプテニルオキシ、シクロオクテニルオキシ、シクロデセニルオキシ、ノルボルネニルオキシ及びビシクロ[2.2.2]オクテニルオキシを意味する。「シクロアルキル」は、炭素と水素から成る単環式又は多環式の飽和置換基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル及びデカヒドロナフチルを意味する。「シクロアルコキシ」は、さらに炭素−酸素単結合から成るシクロアルキル、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ、シクロデシルオキシ、ノルボニルオキシ及びビシクロ[2.2.2]オクチルオキシを意味する。「ヘテロシクロアルキル」は、窒素、酸素及び硫黄から選ばれた少なくとも1個のヘテロ原子を含む非芳香族の3−12原子環系を意味する。ヘテロシクロアルキル環は、必要に応じて、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環に縮合、あるいは結合していてもよい。好ましいヘテロシクロアルキル基は3〜7個の構成員を有する。ヘテロシクロアルキル基の1つの非限定的な例はモルホリノである。「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。「ハロアルキル」は、さらに、1個から最大限可能な数までの、同じ又は異なっていてもよいハロから成るアルキル、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、クロロメチル、トリクロロメチル及び1,1,2,2−テトラフルオロエチルを意味する。「ホスフィン」は、さらに少なくとも1個の水素−蛍光体単結合又は少なくとも1個の炭素−蛍光体単結合を含むアルキル、例えば、ホスフィノ、ジメチルホスフィノ、ジエチルホスフィノを意味する。「ホスホニウム」は、さらに少なくとも1個の水素−蛍光体又は少なくとも1個の炭素−蛍光体単結合を含み、蛍光体原子が正電荷を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ又はアリール、例えばトリメチルホスホニオ、ジメチルプロピルホスホニオを意味する。
【0042】
以下の実施例は、本発明の例示であるが、本発明の範囲を限定することを意図したものでない。特に断らない限り、ここで使用する比、百分率、部数などは質量を基準とする。
【実施例】
【0043】
例A
1,3−ジクロロ−2−プロパノールによるα−オレフィンのエーテル化
代表的なエーテル化合物(式Iの化合物の前駆体)は以下のプロトコールにより調製できる。樹脂ビーズを保持するためのガラスウールプラグを有するボトムドレン・ディーン・スターク・トラップに、11.5gの1,3−ジクロ−2−プロパノールにより湿らせた16.2gのDOWEX(登録商標)DR−2030樹脂を入れ、この装置を1L丸底フラスコに取り付けた。フラスコに1.1モルのα−オレフィン及び139.7gの1,3−ジクロロ−2−プロパノール(合計1.17mol)を入れた。真空を適用し、1Lフラスコを加熱すると、1Lフラスコからの留出物は、温められた樹脂を含むディーン・スターク・トラップ内で凝縮して1Lフラスコに戻った。1Lフラスコ内の温度は、蒸留を続けると上昇した。反応混合物を蒸留により精製し、アルキル1,3−ジクロロプロピルエーテルを得た。
【0044】
例B
1,3−ジクロロ−2−プロパノールによる1−ドデセンのエーテル化
例Aに記載したプロトコールに実質的に従って生成したエーテルは以下のように製造される。2L反応蒸留装置をここに記載したように構成した。磁気撹拌機を備えた2L丸底フラスコに加熱マントルを取り付け、当該フラスコを留出物受け器に接続した。磁気撹拌機及び温度プローブを含むサイドアーム留出物受け器内で留出物を凝縮させた。留出物受け器と2Lフラスコの間のバルブ付きラインによって、留出物受け器内の公称体積は約100mLとなった。留出物受け器の底部から、液体を、両端に90μmスクリーンフィルターを取り付けて触媒床とした長さ21インチ(53.34cm)及び直径3/4インチ(1.905cm)のステンレススチール管に送り込んだ。触媒含有管を覆うジャケット系を、再循環熱油浴を使用して加熱した。触媒床の出口から液体は留出物受け器に戻る。反応蒸留を10〜300トル(torr)の圧力で実施できるように、この系を真空ポンプに接続した。2L反応蒸留装置の触媒床に60gのDOWEX(登録商標)DR−2030を装填した。この2L容器に684.72g(5.304mol)の1,3−ジクロロ−2−プロパノール及び843.05g(5.009mol)の1−ドデセンを入れた。真空を22トルの調節し、2L容器を加熱すると、初期温度79℃、蒸気温度70℃で蒸留がもたらされた。触媒床油浴を110℃に設定すると、触媒床から出ていく反応生成物の温度は80〜88℃となった。凝縮器温度は約−11℃〜−5℃であった。留出物受け器の温度は63〜69℃であった。さらに加熱することによって、底部温度は192℃に達し、オーバーヘッド温度は80℃であった。混合物を冷却し、取り出した。留出物受け器及び触媒床内の溶液(96.30g、装入質量の6.3%)を廃棄した。2L容器内の溶液(1302.33g、装入質量の85.2%)をGC分析により分析した(1.803面積%、1.10質量%のドデセン、0.708面積%、0.48質量%のドデカノール、0.01面積%、0.03質量%の1,3−ジクロロ−2−プロパノール、89.843面積%、88.71質量%のC12の1,3−ジクロロプロピルエーテル)。一部(1298.01)を2L丸底フラスコに入れ、上部に還流スプリッターを備えた14インチ真空ジャケット付きビグロー(Vigreux)カラムを使用して0.2〜0.6トルで蒸留することにより精製した。オーバーヘッド温度25〜105℃、底部温度146〜189℃で、15:1の還流比を使用して、初留分(30.36g)を集めた。オーバーヘッド温度104〜118℃、底部温度190〜220℃で、15:1の還流比を使用して生成物留分を集め、ドデカンの1,3−ジクロロプロピルエーテル(1,3−ジクロロプロパ−2−イルオキシドデカン、GC分析により94.8面積%、位置異性体の混合物、蒸留収率93.8%)1217.88g(4.09mol)が得られた。42.10gの残留物が蒸留残分として残った。
【0045】
実施例1
トリエチレングリコールメチル2−ドデシルオキシアリルエーテル
【0046】
【化5】

【0047】
オーバーヘッド撹拌機、凝縮器及び滴下漏斗を備えた250mlの3口丸底フラスコに41.5gのトリエチレングリコールモノメチルエーテルを加え、次に、室温で窒素流で15分間パージした。室温で10gのNaOH(ビーズ)を加えた。混合物を油浴を使用して真空下で120℃に1.5時間加熱した。その後、窒素下で滴下漏斗を通じて20gの(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ドデカンを約40分間にわたって加え、120℃で1.5時間撹拌した。次に、油浴温度を80〜90℃に下げ、10mlの水を加えた。この温度で反応混合物をさらに20分間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、100mlの水で希釈した。混合物を酢酸エチル(3×100ml)により抽出した。反応混合物のGC分析によって、出発物質が残存していないことが示され、さらなるGC/MS分析により一群の新たなピークは目標生成物のものであると求められた。組み合わせた有機相を水(100mL×3)により洗浄した。ロータリーエバポレーターにより溶剤を除去し、生成物を真空オーブン内で50℃で一晩乾燥させ、最終生成物として23.5の黄色油状物が得られた。収率:90%.GC−MS(EI):C2244(M)について計算された質量:388.3,測定値388.3(100%),複数の異性体.
【0048】
実施例2
2−(3−(2−フェノキシエトキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
【0049】
【化6】

【0050】
オーバーヘッド撹拌機、凝縮器、窒素注入口及び温度プローブを備えたスチール反応器を窒素で約5分間パージし、(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(150mmol,33.3g,1.0当量)、2−フェノキシエタノール(165mmol,22.8g,1.1当量)及びNaOH(330mmol,13.2g,2.2当量)を入れた。反応混合物を100℃に加熱し、撹拌した。GC試料を一定の間隔で採取した。約7時間後、NaOH(150mmol,6.0g,1当量)を加え、さらに100℃で15時間撹拌した。冷却した反応混合物を次に分液漏斗に移し入れた。水(200mL)及び酢酸エチル(200mL)を加え、混合物を振とうし、有機相を集めた。水相を酢酸エチルの150mLのアリコートにより2回抽出した。組み合わせた有機相を、中和pHが得られるまで飽和塩化アンモニウム溶液及びブライン(100mLのアリコート)により洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で溶剤を除去した。化合物をクーゲルロール(Kugelrohr)により真空下で蒸留し、2つの留分を集めた。収率を著しく低下させる異性化及び重合の両方が起こりうるために蒸留中の熱履歴を最低限に抑えるよう注意を払った。第1の留分は155℃で集められたものであり、未反応の出発物質を含んでいた。第2の留分は175℃で集められたものであり、純粋な生成物を粘稠な無色油状物(10.8g,34.7mmol,23%)として含んでいた。MS(EI):C1824(M)について計算された質量:288.17,測定値288.2.
【0051】
実施例3
(3−(アリルオキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ヘキサン
【0052】
【化7】

【0053】
隔膜及び撹拌棒を備えN雰囲気下にある35mLマイクロ波管内で、窒素下の乾燥1,4−ジオキサン(10mL)中に水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液、22.0mmol、880mg、2.2当量)を懸濁させた。撹拌しながら、アリルアルコール(20.0mmol,1.16g,2.0当量)を室温でシリンジを通して滴下添加した。水素の発生が終わるまで混合物を撹拌し、ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ヘキサン(10.0mmol,2.13g,1.0当量)を加えた。反応をマイクロ波で100℃に1時間加熱した。溶剤と生成物混合物を真空下での分留により分離した。所望の生成物を純度61%(GC−MS)で含む留出物1.68gが得られた。この留出物の組成は以下の通りである(GC−MS):(3−(アリルオキシ)プロパ−l−エン−2−イルオキシ)ヘキサン(3種以上の異性体):GC−MS(EI):C1222(M)について計算された質量:198.16,測定値198.2(約61%).(3−クロロプロパ−l−エン−2−イルオキシ)ヘキサン(4種以上の異性体):GC−MS(EI):C17ClO(M)について計算された質量:176.09,測定値176.1(約11%).(l,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ヘキサン(2種以上の異性体):GC−MS(EI):C18ClO(M)について計算された質量:234.14,測定値212.1(約24%).(l−(アリルオキシ)−3−クロロプロパン−2−イルオキシ)ヘキサン(2種以上の異性体):GC−MS(EI):C1223ClO(M)について計算された質量:234.14,測定値234.1(約1%).
【0054】
実施例4
(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)ヘキサン
【0055】
【化8】

【0056】
塩基を加える方法
磁気撹拌棒、窒素バブラー及び滴下漏斗を備えた500mL丸底フラスコに21.20g(0.099mol)の1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシヘキサン及び25gのTHFを入れた。この溶液に、30.85gのTHF中の14.39g(0.128mol)のカリウムt−ブトキシドを滴下添加した。この添加の間に温度が23℃から37℃に上昇した。周囲温度で一晩撹拌後、溶液を50mLの酢酸エチル及び40mLの水で希釈した。37%塩酸を滴下添加することによりpHは13.5から7.8に低下した。有機相を分離し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過し、蒸発させて、17.09gの残留物が得られ、残留油状物のGC分析から、85面積%の3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシヘキサン(0.082mol,純度85%で収率83%)及び4.4面積%の1,3−ジクロロプロパ−2−イルオキシヘキサンが判った。H−NMR(CHCl,300MHz):δ=0.88−0.98(m(2種の異性体の分裂していない重なり合うトリプレット),6 H,CH),1.1−1.6(m,2種の異性体,CH),3.9(d,2 H,Cl−C),4.0−4.1(m,2 H,C=C及びO−C),4.2(d,1 H,C=C).13C−NMR(CHC1,75MHz):7.3,11.9,16.5,20.5,24.0,25.2,33.2,33.9(C,2種の異性体),43.5(Cl−C,2種の異性体),71.2(CH(O)H−CH),76.0(CH(O)H−CH),83.1,83.3(C=,2種の異性体),154.8及び155.2(O−=CH,2種の異性体).
【0057】
塩基に加える方法
オーバーヘッド撹拌機、滴下漏斗、窒素バブラー及び温度プローブを備えた1L丸底フラスコに43.91g(0.39mol)のカリウムt−ブトキシド及び100mLのTHFを入れた。混合物を氷浴中で冷却し、撹拌しながら41.7g(0.196mol)の1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシヘキサンを滴下添加し、次に、50mLのTHFを加えた。達した最高温度は25℃であった。周囲温度で一晩攪拌後、スラリーを100mLの酢酸エチル及び100mLの水で希釈した。37%塩酸を滴下添加することによりpHを7に調節した。下方の水性相を除去し、上方の有機相を無水硫酸マグネシウムにより処理し、濾過し、蒸留すると、34.52gの残留物が得られた。この残留油状物を蒸留し、46℃、2〜3トルで沸騰する画分を集め、30.71g(0.174mol,収率89%)の3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシヘキサンが得られた。
【0058】
実施例5
ポリエチレングリコールメチル2−ドデシルオキシアリルエーテル
【0059】
【化9】

【0060】
出発物質としてメトキシポリエチレングリコール(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからCARBOWAX(登録商標)MPEG 550として入手可能)、NaOH及び(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ドデカンを使用し、実施例1の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。
【0061】
実施例6
2−(3−(アリルオキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
【0062】
【化10】

【0063】
出発物質として2−(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、NaH及びアリルアルコールを使用し、実施例3の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。GC−MS(EI):C1320(M)について計算された質量:208.15,測定値208.2(62.5%).
【0064】
実施例7
(3−(アリルオキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ドデカン:
【0065】
【化11】

【0066】
出発物質として(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ドデカン、水素化ナトリウム及びアリルアルコールを使用し、実施例3の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た(5種以上の異性体)。GC−MS(EI):C1834(M)について計算された質量:282.26,測定値282.2(約61%).
【0067】
実施例8
2−(2−(ヘキサニルオキシ)アリルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン:
【0068】
【化12】

【0069】
出発物質として(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ヘキサン、水素化ナトリウム及びジメチルアミノエタノールを使用し、実施例3の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。H−NMR(CHCl,300MHz):δ=0.82−0.95(m,3 H,CH),1.15−1.72(m,9 H,CH,CH),2.27(s,6 H,N(C),2.52(t,J=5.9Hz,2 H,MeNC),3.56(t,J=5.9Hz,2 H,MeNCHO),3.51−3.69(m,1H,O−CHR),3.83−3.92(m,2H,OCH),3.99−4.03(m,1H,RC=C),4.14−4.19(m,1H,RC=C).GC−MS(EI):C1327NO(M)について計算された質量:229.20,測定値229.2(約96%,2−(2−(ヘキサニルオキシ)アリルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン,2種以上の異性体).
【0070】
実施例9
2−(2−(ドデカニルオキシ)アリルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン異性体/N,N−ジメチル−2−(2−メチルドデカニルオキシ)プロパ−2−エン−1−アミン異性体の混合物
【0071】
【化13】

【0072】
出発物質として(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ドデカン、水素化ナトリウム及びジメチルアミノエタノールを使用し、実施例3の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。GC−MS及びQTOF ES.QTOF ES:C1939NOH(M+H)について計算された質量:314.31, 測定値314.307(78.7%,2−(2−(ドデカニルオキシ)アリルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン,5種以上の異性体),C1735NOH(M+H)について計算された質量:270.28,測定値270.27(21.3%,N,N−ジメチル−2−(2−メチルドデカニルオキシ)プロパ−2−エン−l−アミン,5種以上の異性体).
【0073】
実施例10
2−(2−(ドデカニルオキシ)アリルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムブロミド異性体/2−(ドデカニルオキシ)−N,N,N−トリメチルプロパ−2−エン−1−アミニウムブロミド異性体の混合物
【0074】
【化14】

【0075】
スチール圧力管に実施例9からの2−(2−(ドデカニルオキシ)アリルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン異性体とN,N−ジメチル−2−(2−メチルドデカニルオキシ)プロパ−2−エン−1−アミン異性体の混合物(4g,12.8〜14.8mmol,約1.0当量)を充填し、−78℃に冷却した。管を脱気し、次に、臭素化メチル(tert−ブチルメチルエーテル中2.0M、28〜32g、64〜74mmol、約5.0当量)を入れ、密封した。管を室温で2〜3日間振とうした。反応が完了した後、管を再び−78℃に冷却し、その内容物を、冷たいうちに丸底フラスコに移した。過剰の臭素化メチル及び溶剤を減圧下で除去した。残留物を最低限の量のジエチルエーテル/酢酸エチル(1:1)中に再溶解させ、その後、ペンタン又はヘプタンから析出させることによって、水及び痕跡量の出発物質を除去することができる。第4級塩がオフホワイト色の化合物として定量的収量で得られた。HRMS(Q−TOF ES):C2042NO(M)について計算された質量:328.321,測定値328.324 2−(2−(ドデカニルオキシ)アリルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムイオン,C1838NO(M)について計算された質量:284.295,測定値284.292 2−(ドデカニルオキシ)−N,N,N−トリメチルプロパ−2−エン−1−アミニウムイオン.
【0076】
実施例11
(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
【0077】
【化15】

【0078】
出発物質として(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン及びカリウムtert−ブトキシドを使用し、実施例4の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。MS(EI)C1015ClO(M)について計算された質量:186.08,測定値186.1.
【0079】
実施例12
2−(ヘキシルオキシ)プロパ−2−エン−1−スルホン酸ナトリウム
【0080】
【化16】

【0081】
磁気撹拌棒、窒素バブラー及び還流凝縮器を備えた50mL丸底フラスコに1.03g(5.8mmol)の3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシヘキサン、1.05g(83mmol)の亜硫酸ナトリウム、0.07gの炭酸ナトリウム及び20.4gの水を入れた。混合物を加熱して4時間還流させ、次に周囲温度に冷却した。冷却した溶液を10mLの酢酸エチルにより抽出した。分離した水性相を回転蒸発により濃縮して、10.75gの透明溶液を得た。蒸発光散乱検出を用いるHPLC分析は1つのピークを与えた。13C−NMR(HO,75MHz):11.7,16.2,20.8,21.1,24.8,28.2,29.8,37.2,37.6(C,2種の異性体),59.7及び65.4(NaSO,2種の異性体),76.6(CH(O)H−CH),81.3(CH(O)H−CH),90.7,91.1(C=,2種の異性体),155.3及び155.8(O−=CH,2種の異性体).
【0082】
実施例13
(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)オクタン
【0083】
【化17】

【0084】
出発物質として1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシオクタン及びカリウムtert−ブトキシドを使用し、実施例4の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。H−NMR(CHCl,300MHz):δ=0.88−0.98(m(異性体の分裂していない重なり合うトリプレット),CH),1.1−1.8(m,異性体,CH),3.9(d,2 H,Cl−C),4.0−4.1(m,2 H,C=C及びO−C),4.3(d,l H,C=C).13C−NMR(CHCl,75MHz):複数のピーク 10−35(C,異性体),45.8(Cl−,異性体),73.3(CH(O)H−CH),78.4(CH(O)H−CH),85.3,85.5(C=,異性体),156.8及び157.2(O−=CH,異性体).
【0085】
実施例14
(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)デカン
【0086】
【化18】

【0087】
出発物質として1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシデカン及びカリウムtert−ブトキシドを使用し、実施例4の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た(1.3トルで沸点(b.p.)100℃)。
【0088】
実施例15
(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)ドデカン
【0089】
【化19】

【0090】
出発物質として1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシドデカン及びカリウムtert−ブトキシドを使用し、実施例4の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た(1.3トルで沸点110℃)。
【0091】
実施例16
(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)テトラデカン
【0092】
【化20】

【0093】
出発物質として1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシテトラデカン及びカリウムtert−ブトキシドを使用し、実施例4の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た(1.5トルで沸点130℃)。
【0094】
実施例17
N,N−ジエチル−2−(ヘキサニルオキシ)プロパ−2−エン−1−アミン
【0095】
【化21】

【0096】
隔膜及び撹拌棒を備えN雰囲気下にある35mLマイクロ波管内で、窒素下の乾燥1,4−ジオキサン(10mL)中にカリウムtert−ブトキシド(20.0mmol,2.24g,2.0当量)を懸濁させ、(1,3−ジクロロプロパ−2−イルオキシ)ヘキサン(10.0mmol,2.13g,1.0当量)を加えた。反応混合物は固化し、わずかに温かくなった。1,4−ジオキサン(5mL)を加えて混合物の粘度を減少させ、ジエチルアミン(15.0mmol,1.10g,1.5当量)を加えた。反応混合物をマイクロ波中で100℃で2分間加熱して混合物を液化し、十分に撹拌した。次に、混合物をマイクロ波中で100℃に1時間加熱した。混合物を飽和塩化アンモニウム溶液中に注ぎ入れ、次に酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた有機相を。中性pHが得られるまで飽和塩化アンモニウム水溶液で、次にブラインで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶剤を減圧下で除去した。反応混合物の試料をGC−MS及びQ−TOF HRMS−MS/MSにより分析した。GC−MS(EI):C1327NOH(M+H)について計算された質量:214.217,測定値214.212(約92%).
【0097】
実施例18
N−(2−(ヘキサニルオキシ)アリル)−N,N−ジメチルブタン−1−アミニウムクロリド/2−(ヘキサニルオキシ)−N,N−ジメチルプロパ−2−エン−1−アミン異性体の混合物
【0098】
【化22】

【0099】
出発物質として(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ヘキサン、カリウムtert−ブトキシド及びジメチルブチルアミンを使用し、実施例17の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。LC−MS(ES):C1532NO(M)について計算された質量:242.248,測定値242.255(約50.0%,N−(2−(ヘキサニルオキシ)アリル)−N,N−ジメチルブタン−l−アミニウム,3〜4種の異性体),C1123NOH(M+H)について計算された質量:186.186,測定値186.192(約27.1%),残りのピークは他の異性体.
【0100】
実施例19
2−(ヘキサニルオキシ)−N,N−ジメチルプロパ−2−エン−1−アミン異性体/2−(ヘキサニルオキシ)−N,N,N−トリメチルプロパ−2−エン−1−アミニウムクロリドの混合物
【0101】
【化23】

【0102】
出発物質として(1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシ)ヘキサン、カリウムtert−ブトキシド及びトリメチルアミンを使用し、実施例17の一般手順に従って(ただし、重要でない変更を加えて)、表題の化合物を得た。LC−MS(ES):C1123NOH(M+H)について計算された質量:186.186,測定値186.193(約80.6%,2−(ヘキサニルオキシ)−N,N−ジメチルプロパ−2−エン−l−アミン異性体),C1226NO(M)について計算された質量:200.201,測定値200.210(約19.4%,2−(ヘキサニルオキシ)−N,N,N−トリメチルプロパ−2−エン−l−アミニウム).
【0103】
実施例20〜29
式Iのさらなる化合物
上記実施例の一般手順に従って、及び出発物質の適切な置き換えを行って、表2に記載の化合物を調製した。
【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【0106】
本発明をその好ましい実施態様により説明したが、本開示の精神及び範囲内で本発明を変更できる。本願は、従って、本明細書に開示した一般的な原理を使用して、本発明のいかなる変形、用途又は改変もカバーすることを意図している。さらに、本願は、本発明が属する技術分野で知られている又は通常の行いの範囲内に該当し以下の特許請求の範囲内に入るような本開示からの逸脱をカバーすることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、RはC−C12アルキル又はC−Cシクロアルキルであり、
はC−C23アルキル又はC−Cシクロアルキルであり、あるいは
とRは、それらが結合している炭素と一緒にC−Cシクロアルキルを形成しており、
は、SO、第3級アミン、第4級アンモニウム、第3級ホスフィン、第4級ホスホニウム、アルケニルオキシ、アルコキシ、ポリ(アルコキシ)、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロアルコキシ、ハロ、ハロアルキルオキシ、アミノアルキルオキシ、(トリアルキルアンモニオ)アルキルオキシ、ヒドロキシアルキル-アミノ、アリールオキシ−アルコキシ、ヘテロシクロアルキル又はチオエーテルであり、
は、H又は一価若しくは二価カチオンであり、
及びR中の炭素原子とR及びRが結合している炭素の総数は4〜22である)
により表される化合物。
【請求項2】
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がC−C19アルキルである、請求項1〜2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、それらが結合している炭素と一緒に、C−Cシクロアルキルを形成している、請求項1〜2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が第3級アミン、第4級アンモニウム、アルケニルオキシ、アルコキシ、ポリ(アルコキシ)、アリールオキシ、ヒドロキシアルキル−アミノ、アリールオキシ−アルコキシ、ヘテロシクロアルキル又はハロである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
トリエチレングリコールメチル2−ドデシルオキシアリルエーテル、2−(3−(2−フェノキシエトキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(3−(アリルオキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ヘキサン、(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールメチル2−ドデシルオキシアリルエーテル、2−(3−(アリルオキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、(3−(アリルオキシ)プロパ−1−エン−2−イルオキシ)ドデカン、2−(2−(ヘキサニルオキシ)アリルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン、2−(2−(ドデカニルオキシ)アリルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン、N,N−ジメチル−2−(2−メチルドデカニルオキシ)プロパ−2−エン−1−アミン、2−(2−(ドデカニルオキシ)アリルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムブロミド、2−(ドデカニルオキシ)−N,N,N−トリメチルプロパ−2−エン−1−アミニウムブロミド、(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−(ヘキシルオキシ)プロパ−2−エン−1−スルホン酸ナトリウム、(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)オクタン、(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)デカン、(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)ドデカン、(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)テトラデカン、N,N−ジエチル−2−(ヘキサニルオキシ)プロパ−2−エン−1−アミン、N−(2−(ヘキサニルオキシ)アリル)−N,N−ジメチルブタン−1−アミニウムクロリド、2−(ヘキサニルオキシ)−N,N−ジメチルプロパ−2−エン−1−アミン、2−(ヘキサニルオキシ)−N,N−ジメチルプロパ−2−エン−1−アミン、2−(ヘキサニルオキシ)−N,N,N−トリメチルプロパ−2−エン−1−アミニウムクロリド、2−(3−クロロプロパ−l−エン−2−イルオキシ)ブタン、2−(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)ヘキサデカン、2−(3−クロロプロパ−1−エン−2−イルオキシ)オクタデカン、2−(ドデカン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリエチルプロパ−2−エン−l−アミニウムクロリド、4−(2−(ドデカン−2−イルオキシ)アリル)−モルホリン、2−(2−(ドデカン−2−イルオキシ)−アリルアミノ)エタノール、N−(2−(ドデカン−2−イルオキシ)アリル)−ブタン−1−アミン、2−(3−エトキシプロパ−l−エン−2−イルオキシ)ドデカン、トリエチレングリコールメチル2−ヘキシルオキシアリルエーテル、ポリエチレングリコールメチル2−ドデシルオキシアリルエーテル、及びこれらの構造異性体からなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の2又は3種以上の化合物を含む組成物。
【請求項8】
コーティング配合物、農業用配合物、パーソナルケア配合物、油及びガス配合物、接着剤配合物、ラテックス配合物、輻射線硬化性配合物、及び印刷インク配合物から選ばれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの2種以上の混合物を含む配合物。
【請求項9】
式A:
【化2】

(式中、R及びRは先に定義したとおりであり、
はH又はCHXであり、RはXであり、RはH又はCHXであり、ここで、R又はRの一方はHであり、Xはハロ基(F、Cl、Br又はI、好ましくはCl)である)
により表されるエーテル化合物を用意すること、
式Aのエーテル化合物に対して脱離反応を行ってビニル含有化合物を形成すること、及び
必要に応じて、ビニル含有化合物を求核剤で置換すること、
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2013−510149(P2013−510149A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537904(P2012−537904)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053535
【国際公開番号】WO2011/056448
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】