説明

ビフェプルノクス誘導体

【化1】


本発明は、R1が3−OH、4−OH、3−OSOH及び4−OSOHから選ばれる1個の置換基であり;R2がHである式(I)のビフェプルノクス誘導体あるいはそのN−オキシド又は製薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物に関し、それはドパミンD受容体に関する有力なリガンドであり、強力な部分的ドパミンD作動効果を示し、ビフェプルノクスより有意に高いパーセンテージアゴニズムを有する。本発明の化合物を、ドパミンD作動効果が必要なドパミンD受容体が媒介する疾患及び状態の処置、軽減又は予防において用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ビフェプルノクスの新規な誘導体、該化合物を含有する製薬学的組成物ならびにドパミンD及び5−HT1A受容体により媒介される疾患及び状態の処置、軽減又は予防用の薬剤の製造のための該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ビフェプルノクス(7−[4−([1,1’−ビフェニル]−3−イルメチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンズオキサゾロンモノメタンスルホネート、例えば非特許文献1,化合物5b;特許文献1,表A1,化合物A2を参照されたい)は、独特の薬理学的側面を有する非定型抗精神病薬である。それは、高度に効力のある部分的ドパミンDアゴニストであり、中度に効力のある部分的5−HT1Aアゴニスト活性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第97/36893号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Bioorg.& Med.Chem.Lett.11(2001),2345−2349
【発明の概要】
【0005】
発明の記述
今回、式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
R1は3−OH、4−OH、3−OSOH及び4−OSOHから選ばれる1個の置換基であり;
R2はHである]
のビフェプルノクス誘導体あるいはそのN−オキシド又は製薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物が、ドパミンD受容体に関する有力なリガンドであり、強い部分的ドパミンD作動効果を示し、パーセンテージアゴニズムはビフェプルノクスのそれより有意に高いことが見出された。
【0008】
本発明の化合物は、D受容体作動効果が必要なドパミンD受容体が媒介する疾患及び状態の処置、軽減及び予防のために有用である。特に本発明の化合物を、D受容体作動効果が必要なCNS関連疾患、例えば−これらに限られないが−パーキンソン病及び不穏下肢症候群(RLS;エクボーム症候群としても既知)、そして特にパーキンソン病の処置、軽減又は予防のために用いることができる。
【0009】
いくつかの化合物は特に非−CNS D受容体作動効果を示し:(1)これらに限られないが、心臓手術後に、心不全において、心臓性ショック及び硬変性腹水(cirrhotic ascites)において心臓流出を増加させるための、腎機能を向上させるための、及び腎不全の予防における、経口的及び静脈内の両方でのその使用を含む高血圧の処置(Semeraro et al.著,Clin Exp Hypertens.1997 Jan−Feb;19(1−2):201−15;Luchsinger et al.著,Am J Ther.1998 Mar;5(2):81−8;O’Connell & Aherne著,Clin Exp Hypertens.2000 Apr;22(3):217−49;Doggrell著,Expert Opin Investig Drugs.2002 May;11(5):631−44);(2)下垂体腺腫により引き起こされる成長ホルモンの過剰分泌から生ずる末端肥大症の処置(Diez et al.著,Expert Opin Pharmacother.2000 Jul;1(5):991−1006;Cap et al.著,Cas Lek
Cesk.2005;144 Suppl 3:33−4,36−7[チェック語で]);(3)すべての原因から生ずる過プロラクチン血症の処置;過プロラクチン血症は、女性における受胎能傷害(例えば月経周期における)、希発月経又は無月経ならびに男性における性欲喪失、不能及び繁殖能傷害として現れる性機能低下ならびに骨密度傷害(骨減少症、骨粗鬆症)及び乳汁漏出症の臨床的症状を生む(Webster著,Baillieres Best Pract Res Clin Endocrinol Metab.1999 Oct;13(3):395−408;Kaluzny et al.著,Postepy Hig Med Dosw (Online).2005;59:20−7[ポーランド語で]);さらに過プロラクチン血症は乳がんに関連し得る;(4)下垂体腺種、特にミクロ−及びマクロプロラクチノーマを含むがこれらに限られないプロラクチン分泌性腺種及び非−分泌性プロラクチノーマの大きさを減少させるため及びそれらの処置において(Webster著,Baillieres Best Pract
Res Clin Endocrinol Metab.1999 Oct;13(3):395−408;Di Sarno et al.著,Clin Endocrinol(Oxf).2000 Jul;53(1):53−60;Bolko et al.著,Pol Arch Med Wewn.2003 May;109(5):489−95;Kaluzny et al.著,Postepy Hig Med Dosw(Online).2005;59:20−7.[ポーランド語で]);(5)定型神経弛緩薬、非定型抗精神病薬及び他のドパミンD2受容体アンタゴニストの投与により引き起こされる過プロラクチン血症の処置(Cohen & Biederman著,J Child Adolesc Psychopharmacol.2001 Winter;11(4):435−40);(6)血管内皮細胞成長因子(VEGF)及びその受容体2(VEGFR2)の卵巣過剰−発現から生ずる卵巣過刺激症候群(OHSS)の処置及び特に受胎能処置(fertility treatment)における補助生殖を経ている卵巣過刺激を有する女性における血液濃縮及び腹水の予防及び処置(Alvarez et al.著,Hum Reprod.2007 Oct 4;[プリントの前の
電子出版]及びJ Clin Endocrinol Metab.2007 Aug;92(8):2931−7);(7)小−細胞肺がんにおける細胞増殖(腫瘍成長)の予防(Senogles et al.著,Anticancer Drugs.2007
Aug;18(7):801−7);(8)がん化学療法における多−剤耐性の予防及び処置(Shiraki et al.著,Jpn J Cancer Res.2002 Feb;93(2):209−15);(9)皮膚科学において、特にバリア修復(barrier repair)の促進のため及びバリア崩壊(barrier disruption)により引き起こされる表皮過形成の妨害のため(Fuziwara et al.著,J Invest Dermatol.2005 Oct;125(4):783−9)に有用であり得る。
【0010】
本発明の好ましい態様において、化合物は、R1が3−OH又は4−OHであり、R2がHである式(I)を有する。
【0011】
本発明の他の態様において、化合物は、R1が3−OSOH又は4−OSOHであり、R2がHである式(I)を有する。これらの化合物は、非−CNS適応症において特に有用である。
【0012】
本発明の化合物を、図1のスキームならびに本記述の実験の節において示される通り、当該技術分野で利用可能な方法により、適切に製造することができる。
【0013】
【化2】

【0014】
ビフェプルノクスのN−オキシドの製造に関して記載された方法(国際公開第2007/023141号パンフレット)により、式(I)の化合物のN−オキシドを製造することができる。
【0015】
本発明の化合物は多形相として存在し得、従ってそれは本発明内に含まれることが意図されている。さらに、化合物は水と(すなわち水和物)又は通常の有機溶媒と溶媒和物を
形成することができ、そのような溶媒和物も本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0016】
PET又はSPECTにより検出可能であるように同位体−標識された式(I)の化合物を含む、同位体−標識された式(I)の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩も、本発明の範囲内に含まれる。受容体結合又は代謝研究に適した[13C]−、[14C]−、[H]−又は他の同位体濃縮原子を用いて標識された式(I)の化合物に、同じことが当てはまる。
【0017】
「製薬学的に許容され得る塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなくして人間及び下級動物(lower animals)の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な利益/危険比と釣り合った(commensurate)塩を指す。製薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野において周知である。それらは、本発明の化合物を最終的に単離及び精製する時にその場で、あるいはそれらを無機もしくは有機塩基及び無機もしくは有機酸を含む製薬学的に許容され得る無−毒性の塩基又は酸と反応させることにより別に、製造することができる。
【0018】
本発明の化合物を、経腸的又は非経口的に投与することができる。これらの化合物及びその組成物の正確な投薬量及び管理は、化合物それ自体の生物学的活性、患者の年令、体重及び性別、薬剤が投与される個々の患者の必要性、苦痛もしくは必要性の程度ならびに医療実施者の判断に依存するであろう。一般に非経口的投与は、より吸着(adsorption)に依存性である他の投与方法より低い投薬量を必要とする。しかしながら、人間への投薬量は、好ましくは体重のkg当たり0.001〜10mg、より好ましくは体重のkg当たり0.01〜1mgである。一般に、経腸的及び非経口的投薬量は、1日に0.1〜1,000mgの合計活性成分の範囲内であろう。本発明の化合物を用いて製造される薬剤を、治療における補助薬(adjuvant)として用いることもできる。そのような場合、薬剤を、そのような疾患状態の処置において有用な他の化合物との組み合わせ処置において投与する。少なくとも1種の本発明の化合物及び少なくとも1種の他の薬理学的に活性な物質を含んでなる製薬学的組み合わせ調製剤も、これに関して考慮される。
【0019】
例えば標準的な参照文献、“Remington,The Science and Practice of Pharmacy”(21st edition,Lippincott Williams & Wilkins,2005,特にPart 5:Pharmaceutical Manufacturingを参照されたい)中に記載されている製薬学的に適した助剤と混合して、化合物を固体の投薬単位、例えば丸薬又は錠剤に圧縮することができるか、あるいはカプセル又は座薬に加工することができる。製薬学的に適した液体により、化合物を溶液、懸濁剤又は乳剤の形態で適用することもできる。
【0020】
投薬単位物、例えば錠剤の製造のために、充填剤、着色剤、ポリマー性結合剤などのような通常の添加剤の使用が意図されている。一般に、活性化合物の機能を妨げないいずれの製薬学的に適した添加剤も用いることができる。
【0021】
本発明の化合物を一緒に投与することができる適した担体には、例えば適量で用いられるラクトース、デンプン、セルロース誘導体などあるいはそれらの混合物が含まれる。静脈内投与のための組成物は、例えば無菌の等張水性緩衝液中の本発明の化合物の溶液であることができる。必要な場合に、静脈内用組成物は、例えば可溶化剤、安定剤及び/又は注入の部位における痛みを軽減するための局所麻酔薬を含むことができる。
【0022】
本発明の製薬学的組成物をいずれの投与経路用に調製することもでき、それは少なくとも1種の本発明の化合物及びその製薬学的に許容され得る塩をいずれかの製薬学的に適した成分、賦形剤、担体、助剤又はビヒクルと一緒に含んでなる。
【0023】
「製薬学的に適した」により、担体、希釈剤又は賦形剤は調剤の他の成分と適合性でなければならず、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0024】
本発明の1つの態様において、1種もしくはそれより多い本発明の製薬学的組成物が充填された1個もしくはそれより多い容器を含んでなる製薬学的パック又はキットを提供する。使用のための指示又は製薬学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定された書式における告知(notice)のような種々の説明書(written materials)がそのような容器に伴っていることができ、その告知は、人間への投与又は獣医学的投与のための製造、使用もしくは販売の機関による承認を反映する。
【0025】
他に規定しなければ、本明細書で用いられるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が関連する技術分野における通常の熟練者により通常理解されると同じ意味を有する。本発明の実施又は試験において、本明細書に記載される方法及び材料と類似もしくは同等の方法及び材料を用いることができるが、適した方法及び材料は本文書に記載される。
【0026】
以下の実施例は、さらに本発明をもっと詳細に例示することのみを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施例
§1.略語
Ac アセチル
DCM ジクロロメタン
DEM ジエトキシメタン
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
g グラム
h 時間
min 分
THF テトラヒドロフラン
H NMR−データ中の略語:
s=一重項,d=二重項,t=三重項,b=ブロード,J=カップリング定数,ppmにおけるδ。
【0028】
§2.合成
製造される化合物:
【0029】
【化3】

【0030】
ビフェプルノクスの4’−ヒドロキシ及び4’−サルフェート誘導体の合成
段階1:4’−ヒドロキシビフェニル−3−カルボキシアルデヒドの合成
【0031】
【化4】

【0032】
29.0gの4−ブロモフェノール及び25.0gの3−ホルミルフェニルボロン酸を200mlの96%EtOH中に室温で溶解した。撹拌下で、35.3gのNaCO及び100mlの水を加えた。6.0gの量のPd/Cを加え、50mlの96%EtOHで濯いだ。混合物を80℃で加熱還流し、79〜81℃に1時間保った。続いて150mlの水を加え、温度を60℃に低下させた。混合物を高流動性の2cmビーズ(2cm
bead of high flow)上で熱濾過し、200mlのEtOAcで濯いだ(明黄色の濾液)。濾液を蒸発乾固し、200mlのEtOAc及び100mlの水を加えた。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(それぞれ100ml及び50mlを用いて2回)(強力な脱色)。合わせた有機層を150mlの水及び次いで100mlのブラインで洗浄した。オフ−ホワイト色の有機層から溶媒を蒸発させ、33.61g(101.5% c/c)のオフ−ホワイト色の固体を与えた。加熱により固体を100mlのDEM中に溶解し、続いて約60分内に室温に冷ました(70〜75℃で結晶化が始まった,クラスト(crust)形成なし)。次いで混合物を0℃で1時間撹拌し、濾過し、25mlの冷DEM(<−5℃)で2回洗浄した。沈殿を真空下に40℃で乾燥し、21.66gのオフ−ホワイト色の固体を与えた。さらなる仕上げ:濾液を蒸発させて12.83gのオフ−ホワイト/黄色の油/固体を与えた。これを、30mlのDEM中で0℃において1時間撹拌した。濾過の後、固体を5mlの冷DEMで2回洗浄し、真空下に40℃において乾燥し、1.72gのオフ−ホワイト色の固体を与えた。合計収量 21
.66+1.72=23.38g。
【0033】
段階2:4’−ヒドロキシ−ビフェプルノクスの合成
(7−[4−(4’−ヒドロキシ[1,1’−ビフェニル]−3−イルメチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンズオキサゾロン)
【0034】
【化5】

【0035】
反応器中に200mlのTHFを窒素雰囲気下で装入した。45.08gの化合物B及び21.38gのアルデヒドAを加え、続いて600mlのTHFを加えた(懸濁液)。室温において撹拌下に、4.2gのNa(OAc)BH(部分1)及び1.0mlのAcOHを加えた。45分後、4.2gのNa(OAc)BHを加え、それを90、150、225、270及び360分後に繰り返した。最後の添加の後、撹拌を少なくとも2時間続けた。次いでさらに10.67gのアルデヒドAを加えた。45分後、4.2gのNa(OAc)BHを加え、それを90、150、225分後に繰り返した。撹拌を少なくとも8時間続けた。懸濁液をP3フィルター(直径10cm)上で濾過し、フィルターケークを100mlのTHF及び100mlの100%EtOHで洗浄した。濾液を濃油/固体まで蒸発させた。撹拌下で、350mlのEtOAc、200mlの水及び50mlの10%NaCOを加え、5分間撹拌を続けた。層を分離し、水層を100mlのEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、それぞれ100mlの水及び100mlの2.5%NaCOで洗浄した。有機層を蒸発乾固し、オフ−ホワイト色の固体を与えた。固体を200mlの100%EtOH中で、室温において30分間撹拌した。固体を濾過し、フィルターケークを50mlの冷100%EtOHで洗浄した。生成物を真空下に40℃において乾燥し、融点:211−213℃を有する48.1gのオフ−ホワイト色の生成物を与えた。
H NMR(400MHz,DMSO−d6/CDCl 4/1):
δ=11.30(s,1H;NH),9.50(bs,1H;OH),7.51(s,1H;ArH),7.49−7.41(m,3H;ArH),7.36(t,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),7.24(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.99(t,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.85(d,J(H,H)=8.0Hz,2H;ArH),6.61(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.57(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),3.59(s,2H;NCHAr),3.22(bs,4H;NCH),2.59(bs,4H;NCH).
母液を蒸発させ、16gの油/固体を与えた。
【0036】
段階3:4’−サルフェート−ビフェプルノクスの合成
(7−[4−(4’−スルホキシ[1,1’−ビフェニル]−3−イルメチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンズオキサゾロン)
【0037】
【化6】

【0038】
反応器に15.9gのピリジン.SO及び30mlのピリジンを装入した。得られる白色懸濁液を油浴上で30℃(±4℃)に加熱した。25mlのピリジン中の4.01gのフェノール性化合物の溶液を調製した(透明黄色の溶液)。撹拌下に、溶液を懸濁液に±4時間内に滴下した。反応混合物を1時間撹拌した(反応器の底は半液体/固体を示す)。次いで50mlのDCM及び10mlの水を加えた。氷浴中で混合物を冷却し、9.24gのNaHCOを分けて加えた(気体発生,T<15℃)。得られる混合物を半時間撹拌した。次いで反応混合物を蒸発乾固した。残留物を、室温において100mlの100%EtOH中で1時間撹拌した。混合物を吸引濾過し、フィルターケークを25mlのEtOHで洗浄した。残留固体を50mlの5%NaHCO中で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し(非常にゆっくり)、固体を5mlの水で洗浄した。固体を真空下に40℃において乾燥し、4.58gのほとんど白色の固体を与えた。
H NMR(400MHz,DMSO−d6/CDCl 4/1):
δ=11.55(s,1H;NH),9.70(bs,1H;OSOH),7.82(s,1H;ArH),7.72(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),7.61(d,J(H,H)=8.0Hz,2H;ArH),7.54(t,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),7.48(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),7.34(d,J(H,H)=8.0Hz,2H;ArH),7.04(t,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.70(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.68(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),4.48(s,2H;NCHAr),3.80−3.00(bm,8H;2xNCH).
【0039】
ビフェプルノクスの3’−ヒドロキシ及び3’−サルフェート誘導体の合成
4−置換誘導体と類似の様式で、ビフェプルノクスの3’−ヒドロキシ及び3’−サルフェート誘導体(それぞれ7−[4−(3’−ヒドロキシ[1,1’−ビフェニル]−3−イルメチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンズオキサゾロン及び7−[4−(3’−スルホキシ[1,1’−ビフェニル]−3−イルメチル)−1−ピペラジニル]−2(3H)−ベンズオキサゾロン)を製造した。
【0040】
NMRデータ:
3’−ヒドロキシ−ビフェプルノクス。H NMR(400MHz,DMSO−d6/CDCl 4/1):
δ=11.30(s,1H;NH),9.45(bs,1H;OH),7.54(s,1H;ArH),7.47(d,1H;ArH),7.39(t,J(H,H)=8.0
Hz,1H;ArH),7.31(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),7.23(t,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),7.08−7.00(m,2H;ArH),6.98(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.76(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.61(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.57(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),3.61(s,2H;NCHAr),3.23(bs,4H;NCH),2.62(bs,4H;NCH).
【0041】
3’−サルフェート−ビフェプルノクス。H NMR(400MHz,DMSO−d6/CDCl 4/1):
δ=11.58(s,1H;NH),9.80(bs,1H;OSOH),7.85(bs,1H;ArH),7.72(bd,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),7.60−7.48(bm,3H;ArH),7.42−7.36(bm,2H;ArH),7.24(bs,1H;ArH),7.04(t,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.69(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),6.65(d,J(H,H)=8.0Hz,1H;ArH),4.47(s,2H;NCHAr),3.85−3.00(bm,8H;2xNCH).
【0042】
§3.薬理学的試験
受容体結合アッセイを用いて、ヒトドパミンD2L受容体上のリガンドとしての3’−ヒドロキシ−ビフェプルノクス、4’−ヒドロキシ−ビフェプルノクス、3’−サルフェート−ビフェプルノクス、4’−サルフェート−ビフェプルノクス及び比較のためにビフェプルノクスの力価を調べ、cAMPアッセイを用いて機能的活性の決定を調べた。
【0043】
すべての化合物をDMSO中に溶解した。
【0044】
方法−受容体結合
組み換えヒトD2L受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から調製される膜上における放射性−標識された[H]−スピペロン結合の置き換え(displacement)を用いて、ヒトD2L受容体への本発明の化合物の結合を行った。
【0045】
ヒトドパミンD2L受容体をCHO−K1細胞中にクローニングし、Dr.D.Grandy,Vollum Institute,Poprtland,Oregon,USAから得た。
【0046】
リガンドとして[H]−スピペロンを用いて、結合アッセイを行った(Eur.J.Pharmacol.46:377−381,1977を参照されたい)。標識された化合物を試験化合物と一緒に、又はそれなしで、ヒトドパミンD2L受容体を保有するクローニングされたCHO細胞からの調製物と一緒にインキュベーションした。ガラス繊維−フィルター上の濾過により、結合リガンドと遊離リガンドの分離を行った。2回の洗浄の後、結合−画分はフィルター上に残った。シンチレーションカウンティングにより、フィルター上に捕獲された放射性を測定した。結果をpK(IC50から算出される阻害定数Kの負の対数)として表わす。表1を参照されたい。
【0047】
方法−アデニレートシクラーゼ活性の測定
93%空気/7%CO中の37℃において、10%の熱−不活化胎児ウシ血清、2mMのグルタミン、1mMのピルベート、200μMのG418が補足されたα−DMEM培地中で、細胞を生育させた。試験化合物(濃度 10−6−10−10M)と一緒のインキュベーションのために、24ウェルプレート中で生育した密集培養物を用いた。それ
ぞれの条件又は物質を、慣例的に四重に試験した。ウェル当たり0.5mlの培地中で、細胞に1μCi[H]−アデニンを負荷した。2時間後、1nMのIBMX及びフォルスコリンを含有し、試験化合物を含むかもしくは含まない0.5mlのPBSで培養物を洗浄した。吸引の後、1mlのトリクロロ酢酸5%(w/v)を用いて反応を停止させた。Salomom et al.(Anal.Biochemistry 58:541−548,1974)及びWeiss et al.(J.Neurochem.45:869−874,1985)により記載された通りに、細胞抽出物中の生成した[H]ATP及び[H]cAMPをアッセイした。抽出物にDowex(50W−4 200−400メッシュ)及び酸化アルミニウムカラム上を通過させ、水及び0.1Mのイミダゾール(pH=7.5)を用いて溶離させた。溶離物を7mlのInsta−ゲルと混合し、シンチレーションカウンターを用いて放射性をカウンティングした。自発的活性(spontaneous activity)に関して修正するために、cAMP及びATP画分の両方における合計の放射性と比較されたcAMP画分の転換率及び基礎活性を引き去った。
ドパミンD2L:参照化合物:キンピロール;インキュベーション時間:20分。
【0048】
データ分析
続いて、標準値(フォルスコリン−刺激cAMP堆積)のパーセンテージとして表わされる特定のメッセンジャー堆積における薬剤−誘導の受容体−媒介効果に関する評価として、4回の観察の平均を取った。
【0049】
非−線形曲線フィッティングプログラム(non−linear curve−fitting program)XL−FITを用いることにより、平均値を薬剤濃度(モルにおける)に対してプロットし、S字形曲線(4パラメーター算定曲線(four parameter logistic curve))を構築した。最大のフォルスコリン−誘導刺激転換率を最大値として取り、最大阻害を最小値として取り、フィッティングプロセスの間、これらの値を固定した。得られたフォルスコリン−誘導cAMP堆積の最大の阻害の50%を引き起こす試験化合物の濃度(EC50)を、数回の実験に及んで平均し、表2中に平均pEC50±平均値の標準誤差(s.e.m.)として示す。完全なドパミンD2Lアゴニストとしてキンピロールを用いた。
【0050】
【表1】

【0051】
結論:ビフェプルノクスと比較して、4種の誘導体はドパミンD2L受容体に対してより高い親和性を示す。
【0052】
【表2】

【0053】
結論:4種の誘導体は、1μMにおいてビフェプルノクスより有意に高いレベルのドパミンD2L作動活性を示す(それぞれ49〜55%及び31%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
R1は3−OH、4−OH、3−OSOH及び4−OSOHから選ばれる1個の置換基であり;
R2はHである]
のビフェプルノクス誘導体あるいはそのN−オキシド又は製薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項2】
R1が3−OH又は4−OHであり、R2がHである請求項1の化合物。
【請求項3】
R1が3−OSOH又は4−OSOHであり、R2がHである請求項1の化合物。
【請求項4】
治療における使用のための請求項1〜3のいずれか1項の化合物。
【請求項5】

【化2】

の化合物を7−ピペラジン−1−イル−3H−ベンゾオキサゾール−2−オン塩酸塩と反応させる段階を含んでなる式
【化3】

を有する請求項1の化合物の製造方法。
【請求項6】

【化4】

の化合物を過剰のピリジン.SOと反応させる段階を含んでなる式
【化5】

を有する請求項1の化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項の化合物及び製薬学的に許容され得る助剤を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項8】
受容体作動効果が必要なD受容体が媒介する疾患及び状態の処置、軽減又は予防用の薬剤の製造のための請求項1〜3のいずれか1項の化合物の使用。
【請求項9】
受容体作動効果が必要なD受容体が媒介する疾患及び状態がCNS−関連疾患及び状態である請求項8の使用。
【請求項10】
CNS−関連疾患及び状態がパーキンソン病及び不穏下肢症候群から選ばれる請求項9の使用。
【請求項11】
受容体作動効果が必要なD受容体が媒介する疾患及び状態が非−CNS疾患及び状態である請求項8の使用。
【請求項12】
非−CNS疾患及び状態が高血圧、下垂体腺腫により引き起こされる成長ホルモンの過剰分泌から生ずる末端肥大症、すべての原因から生ずる過プロラクチン血症、下垂体腺腫の大きさを縮小させるため及びその管理において、定型神経弛緩薬、非定型抗精神病薬及び他のドパミンD2受容体アンタゴニストの投与により引き起こされる過プロラクチン血症、卵巣過刺激症候群、小−細胞肺がんにおける細胞増殖(腫瘍成長)、がん化学療法における多−剤耐性及び皮膚科学におけるものから選ばれる請求項11の使用。

【公表番号】特表2011−509969(P2011−509969A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542612(P2010−542612)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050336
【国際公開番号】WO2009/090177
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(501439149)アボツト・ヘルスケア・プロダクツ・ベー・ブイ (71)
【氏名又は名称原語表記】Abbott Healthcare Products B.V.
【Fターム(参考)】