説明

ビーコン間隔の調節が可能な無線通信機器及びその方法

【課題】 ピコネット内のトラフィック量に応じてスロット区間の間の時間間隔を調節できる無線通信機器が開示される。
【解決手段】 無線通信機器は、外部機器とデータを送受信する送受信部と、パークモード状態で一定周期にビーコンスロット列区間を発生するビーコンチャネル形成部と、スロット利用率及びウェークアップ比率に基づいて相次いで発生されるビーコンスロット列区間の間の時間間隔を算出するスロット区間演算部、及びスロット区間演算部によって算出された時間間隔にビーコンスロット列区間が発生するようビーコンチャネル形成部を制御する制御部とを含む。ここで、ビーコンチャネル形成部は、ビーコンスロット列が発生した後、外部機器とのデータ送受信をアクティブ化するアクセスウィンドウを設定する。これにより、無線通信機器は、スロット区間のスロット利用率及びウェークアップ比率に応じて、ビーコンスロット列区間の間の時間間隔を調節でき、ピコネット環境のトラフィック特性の変化に適切に対応できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線通信機器及びその方法に関し、より詳細には、パークモード状態にて発生するビーコンの間隔を調節できる無線通信機器及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブルートゥース(Bluetooth)とは、電気通信、ネットワーキング、コンピューティング、消費材など幅広い分野にわたる無線データ通信技術のコード名である。ブルートゥース技術は、装置間の通信に必要とされる多数のケーブルの代わりに、単一の無線接続を介して、近距離内での通信を行うものである。たとえば、ブルートゥース無線技術が携帯電話やラップトップコンピュータの中に実装されると、ケーブル配線なしにそれらの機器を接続して使用することができる。ブルートゥースシステムの一部に組み込むことができる装置としては、プリンター、PDA(personal digital assistant)、デスクトップ、FAX、キーボード、ジョイスティック等がある。実際、あらゆるデジタル装置がブルートゥースシステムの一部になり得るといえる。
【0003】一般に、ブルートゥースシステムは、最大データ転送速度1Mbps及び最大転送距離10mを有する。1Mbpsは、ユーザが免許無しに利用できる2.4GHzのISM(Industrial Scientific and Medical)周波数帯域内の範疇にある周波数で、低コストで実現できる使いやすい転送速度である。また、転送距離10mは、オフィス内でユーザが携帯している機器とデスクに設置しておくPCとの間の転送距離として十分であるという判断によって決められたものである。
【0004】ブルートゥースは、騒音の多いラジオ周波数環境で作動するように考案されたため、秒当たり1600回の周波数ホッピング(Frequency Hopping)方式を使用しているので、騒音の多い無線周波数においても安定的なデータのやり取りができる。ここで、周波数ホッピング方式とは、ダイレクト・シーケンス方式と同様、信号を拡散させるスプレッド・スペクトル技術のうち1つであり、キャリア信号が秒毎に何回か周波数を変えながら転送されるという点でダイレクト・シーケンス方式と異なっている。
【0005】ブルートゥースシステムは、1対1だけでなく、1対多の接続をサポートする。ブルートゥースシステムは、図1に示すように、複数のピコネットA、Bを組織し、ピコネット同士を相互接続することができる。それぞれのピコネットは、互いに異なる周波数ホッピングのオーダーによって区分けされている。ここで、ピコネットとは、1つのマスター(親機)10に対して1つ以上のスレーブ(子機)13が接続して形成されたブルートゥースユニットの構成単位のことを言い、そのピコネットは、1つのマスター10が最大7つのスレーブ13を有することができる。マスター10とスレーブ13は基本的には1ホッピングスロット(625μs=1/1600秒)を単位とし、時分割二重化方式(Time DivisionDuplex:TDD)によって双方向通信をおこなう。複数のピコネットが互いに組織的に接続されたものをスカッタネット(Scatternet)と言う。
【0006】図2は、マスターとスレーブ間のTDDによる通信を示す図である。タイムスロットとして割り当てられた各チャネルの長さは625μsである。タイムスロット数は、ピコネットマスターのブルートゥースクロックによって決められる。また、タイムスロットによって、マスターとスレーブは選択的にパケットを転送することができる。つまり、マスターは偶数で表記されたタイムスロットf(k)、f(k+2)、・・・のみでパケットを転送し、スレーブは奇数で表記されたタイムスロットf(k+1)、・・・のみでパケット転送する。また、マスターやスレーブによって転送されるパケットは、5つ以内のタイムスロット内で構成されなければならない。多重スロットを転送する場合、転送パケットが始まったタイムスロットのホッピング周波数が、引き続き全パケットのホッピング周波数として使用される。ここで、パケットとは、ピコネットチャネルで転送されるデータの単位のことを言う。
【0007】ブルートゥースの接続における消費電力節約のため、マスターは、スレーブの状態を、ホールド(hold)モード、スニフ(sniff)モード、パーク(park)モードなどに切り替えて操作することができる。ここで、ホールドモードとは、マスターとスレーブの接続を維持した状態で、AM_ADDR(Active Member Address)を保持した状態のままスリップ(sleep)状態に入るモードのことを言う。そして、スニフモードとは、マスターとスレーブの接続を維持した状態で、AM_ADDRを保持した状態のままリッスン(listen)の間隔を長くするモードのことを言う。また、パークモードとは、マスターとスレーブが接続された状態で、AM_ADDRを開放してスリップ(sleep)状態に入るモードのことを言う。パークモードに移る前にPM_ADDR(Parked member Address)又はAR_ADDR(Access RequestAddress)がマスターから与えられる。
【0008】ここで、AM_ADDRは、メンバーアドレスで表現され、ピコネット内に参加しているアクティブなメンバーを識別する。つまり、ピコネット内で2つ以上のスレーブが1つのマスターに接続する場合、マスターは、各スレーブを区別するために、各スレーブがアクティブになるときに使用する一時的な3ビットアドレスを割り当てる。よって、マスターとスレーブ間で交換されるパケットは、全てAM_ADDRを含む。即ち、スレーブのAM_ADDRは、マスターからスレーブへのパケットのみならず、スレーブからマスターへのパケットを含む全てのパケットに使用される。スレーブがマスターに接続していないときや、スレーブがパークモード状態であるときには、割り当てられたAM_ADDRは放棄され、マスターに再び接続されるときに新たなAM_ADDRが割り当てされなければならない。ピコネットが1つのマスターに対し7つのスレーブに制限されるのは、ブルートゥース標準において、マスターがアクティブな状態のスレーブに割り当てるアドレス(AM_ADDR)が3ビット長さに指定されているためである。すなわち、最大8つのアドレスのうち、アドレス“000”はマスターからスレーブへのブロードキャスティング用途として使用され、残りの“001”から“111”までの7つのアドレスのみを使用することができるためである。
【0009】PM_ADDRはパークされた(パークモード状態の)スレーブを他のモードのスレーブから識別する。パークされたスレーブは再同期化してブロードキャストメッセージを検索するため、規則的な間隔でウェークアップしてチャネルをリッスンする。パークされたスレーブをサポートするために、マスターは1つ以上のスレーブがパークされたときにビーコンチャネルを立ち上げる。
【0010】図3は、一般的なビーコンチャネルのフォーマットを示しており、図4は、アクセスウィンドウを説明するために提示された図である。図面において、ビーコンチャネルは1つのビーコンスロット又は一定の時間間隔で周期的に転送される等間隔のビーコン列から構成される。図3において、NB(NB≧1)個のビーコンスロット列と次のビーコンスロット列間のビーコンスロット区間をTBと定義した。またビーコンスロット列内におけるビーコンスロット間のスロット区間は△Bと定義した。ビーコンスロット列で第1目のビーコンスロットの始まりはビーコンインスタントと呼び、ビーコンタイミングの基準として作用する。つまり、ビーコンスロット列区間TBは、ビーコンインスタントと次のビーコンインスタントとの間の区間に等しい。ここで、ビーコンパラメータNB及びTBは、エラーのある環境で任意のタイムウィンドウの間パークされたスレーブが同期化されるための時間が十分あるように選択される。マスターによって設定されるビーコンチャネルは次のような目的で利用される。
【0011】1)パークされたスレーブがマスターと再同期化するために使用するパケットを転送するため。
2)パークされたスレーブにビーコンパラメータを変更するためのメッセージを伝達するため。
3)パークされたスレーブに一般的な放送メッセージを伝達すること。
4)1つ以上パークされたスレーブをウェークアップするため。
【0012】ピコネットのマスターは、パークモードにあるスレーブをサポートするために多数のパラメータを利用してビーコンアクセスウィンドウを設定する。そして、マスターは、そのウィンドウの間、パークモードにあるスレーブのうちマスターとの接続を望むスレーブに、マスターに転送できる機会を与える。このような区間は、マスターからスレーブに転送されるビーコンスロットの末端において周期的に現れる。アクセスウィンドウは、パークモード状態のスレーブがアンパーク(unpark)になる(パーク状態から抜けてウェークアップする)ために要求信号を送信できるところとして定義される。信頼性を高めるために、アクセスウィンドウは、MACCESS(MACCESS≧1)回ほど反復することができる。また、アクセスウィンドウには、ビーコンインスタントからアクセスウィンドウの開始までに所定遅延時間DACCESSがある。
【0013】上記のように、現在のブルートゥース標準においては、ビーコンパラメータTBが、特定の値に決定されるべきであるとは定義されていない。このように、TB値が指定されていないため、TB値が小さければビーコンチャネルが頻繁に発生し、パークモードにあるスレーブがアクティブになる機会が増える。しかし、アクティブになる機会が増えるほど、現にアクティブなスレーブがデータを転送できる機会はその分だけ減る。また、TB値が大き過ぎると、アクティブなスレーブは送受信を正常に遂行することができるが、現在パークされているスレーブとマスターとの接続のために待機する時間が長くなるという短所がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような問題を解決するために、アクティブ化したスレーブが利用するトラフィックの量とパークモードにあるスレーブの個数を考慮し、ビーコンスロット列区間の時間間隔を決定できる無線通信機器及びその方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記のような目的を果たすために、本発明に係る無線通信機器は、パークモード状態にて第1周期にビーコンスロット列区間を発生するビーコンチャネル形成部と、スロット利用率及びウェークアップ比率に基づいて前記ビーコンスロット列区間に対する第2周期を算出するスロット区間演算部と、前記スロット区間演算部によって算出された前記第2周期に応じて前記ビーコンスロット列区間が発生するように前記ビーコンチャネル形成部を制御する制御部と、を含む。ここで、前記ビーコンチャネル形成部は、前記ビーコンスロット列が発生した後に、パークモードにあるスレーブのうちマスターとの接続を望むスレーブに、マスターに転送できる機会を与えるためのアクセスウィンドウを設定する。
【0016】一方、本発明に係る無線通信機器は、パークモード状態にて第1周期にビーコンスロット列区間を発生する段階と、スロット利用率及びウェークアップ比率に基づいて第2周期を算出する段階と、前記算出段階によって算出された前記第2周期に応じて前記ビーコンスロット列区間が発生するようビーコンチャネル形成部を制御する段階と、を含む。
【0017】ここで、前記算出段階は、現在のスロット区間のスロット利用率とその直前のスロット区間のスロット利用率との差の比較を行う段階と、前記現在のスロット区間のスロット利用率から前記直前のスロット区間のスロット利用率を減じた値が第1所定値より大きいと、前記現在のスロット区間と前記直前のスロット区間とのウェークアップ比率の差の比較を行う段階とを含み、前記直前のスロット区間のウェークアップ比率から前記現在のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値より大きいと、前記第2周期を前記第1周期より長い値に算出する。
【0018】また、前記算出段階は、前記直前のスロット区間のウェークアップ比率から前記現在のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値以下であると、前記第2周期を前記第1周期と同一の値に算出する。
【0019】また、前記算出段階は、前記現在のスロット区間のスロット利用率から前記直前のスロット区間のスロット利用率を減じた値が第1所定値以下の場合、前記現在のスロット区間のウェークアップ比率から前記直前のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値より大きいと、前記第2周期を前記第1周期より短い値に算出する。
【0020】また、前記算出段階は、前記現在のスロット区間のウェークアップ比率から前記直前のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値以下であると、前記第2周期を前記第1周期と同一の値に算出する。
【0021】これにより、無線通信機器は、スロット区間のスロット利用率及びウェークアップ比率に応じてビーコンインスタント間の時間間隔TBを調節することができ、ピコネット環境のトラフィック特性の変化に適切に対応することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【0023】図5は、本発明に係る無線通信機器を概略的に示したブロック図である。無線通信機器は、送受信部21,31、ビーコン発生部23,33、及びホスト40,50を備えている。ビーコン発生部23,33はスロット区間演算部25,35、制御部27,37、及びビーコンチャネル形成部29,39を備えている。ここで、同一構成要素に対して併記された図面符号21、23、25、27、29、及び40は、スレーブとして動作する無線通信機器の構成要素に与えられたものであり、図面符号31、33、35、37、39、及び50はマスターとして動作する無線通信機器の構成要素に与えられたものである。
【0024】送受信部21、31は、外部から受信した信号、たとえばRF(Radio Frequency)信号を処理し、転送対象データパケットを外部に送り出す。ビーコンチャネル形成部29,39は、パークモード状態で一定周期にビーコンスロット列区間を発生する。ビーコンチャネル形成部29,39によって発生されるビーコンスロット列は、所定の数のビーコンスロットが一定の時間間隔に羅列されることを示す。ビーコンチャネル形成部29,39は、所定の数のビーコンスロット列が発生された後、外部機器との送受信をアクティブ化するためのアクセスウィンドウを設定する。ここで、アクセスウィンドウは、パークモード状態のスレーブを正常状態(unpark modeモード状態)に切り換えするための信号(アクセス要求信号)を転送できる領域のことを言う。信頼性を高めるために、アクセスウィンドウは、MACCESS(MACCESS>1)回ほど繰り返され得る。
【0025】スロット区間演算部25,35は、ビーコンチャネル形成部29,39によって発生されたビーコンスロット列区間のスロット利用率及びウェークアップ比率に基づいて相次いで発生されるビーコンスロット列区間の間の時間間隔を算出する。ここで、スロット利用率は、単位時間当たり利用されるスロット率のことを言い、ウェークアップ比率は、スレーブ間のアンパークされた比率のことを言う。
【0026】制御部27,37は、スロット区間演算部25,35によって算出された時間間隔にビーコンスロット列区間が発生するようにビーコンチャネル形成部29,39を制御する。
【0027】ホスト40,50は、無線通信機器の本来の目的を遂行する。たとえば、無線通信機器がプリンターの場合、ホスト40,50は、そのプリンターとしての機能、すなわちプリント作業を実行する。
【0028】ここで、マスターは、ピコネット内のチャネルに対する全体的な特性を決定する。マスターのブルートゥース・デバイス・アドレス(BD_ADDR)は、周波数ホッピング列とチャネルアクセスコードを決定する。つまり、マスターのクロックは、ホッピング列の位相を決定し、タイミングを設定する。また、マスターは、チャネル上のトラフィックを制御する。デジタル機器であれば、どのような機器であってもマスターになることができるとともに、一端ピコネットが形成されると、その後マスターとスレーブの役割が再び変更されることもある。
【0029】図6は、図5の機器による無線通信方法を示したフローチャートである。図面に基づいて、本発明に係る無線通信機器の作用をより詳細に説明する。
【0030】制御部27,37は、無線通信機器がパークモード状態であるか否かを判断する(S601)。無線通信機器がパークモード状態であると判断されると、制御部27,37は、ビーコンチャネル形成部29、39に一定周期にビーコンスロット列区間を発生するよう制御する。ビーコンチャネル形成部29,39は、パークモード状態で一定周期にビーコンスロット列区間を発生する(S602)。
【0031】スロット区間演算部25,35は、スロット利用率及びウェークアップ比率に基づいて相次いで発生されるビーコンスロット列区間の間の時間間隔を算出する。ビーコンスロット列区間の間の時間間隔を算出するために、スロット区間演算部は25,35は、現在のスロット区間のスロット利用率とその直前のスロット区間のスロット利用率との差の比較を行う(S603)。
【0032】現在のスロット区間のスロット利用率がその直前のスロット区間のスロット利用率より第1所定値以上大きくないと、スロット区間演算部25,35は、現在のスロット区間のウェークアップ比率とその直前のスロット区間のウェークアップ比率の比較を行う(S605)。現在のスロット区間のウェークアップ比率がその直前のスロット区間のウェークアップ比率より第2所定値以上大きいと、スロット区間演算部25,35は、ビーコンスロット列区間の時間間隔をその直前のビーコンスロット列区間の時間間隔より所定時間より短い時間間隔に算出する(S607)。ここで、第1所定値は、現在スロット区間とその直前のスロット区間とのスロット利用率の臨界差値のことを言い、第2所定値は、現在スロット区間とその直前のスロット区間のウェークアップ比率の臨界差値のことを言う。また、図面にて、現在スロット区間のスロット利用率をU(t)に、現在スロット区間のウェークアップ比率をW(t)に、直前のスロット区間のスロット利用率をU(t−TB)に、直前スロット区間のウェークアップ比率をW(t−TB)に示している。
【0033】現在スロット区間のウェークアップ比率と直前のスロット区間のウェークアップ比率との比較を行い(S605)、現在スロット区間のウェークアップ比率がその直前のスロット区間のウェークアップ比率より第2所定値以上大きくないと、スロット区間演算部25,35は、ビーコンスロット列区間の時間間隔を直前スロット区間の時間間隔と同一の時間間隔に算出する(S609)。
【0034】現在のスロット区間のスロット利用率とその直前のスロット区間のスロット利用率との差を比較し(S603)、現在スロット区間のスロット利用率がその直前スロット区間のスロット利用率より第1所定値以上大きいと、スロット区間演算部25,35は、現在スロット区間のウェークアップ比率と直前スロット区間のウェークアップ比率との比較を行う(S611)。直前スロット区間のウェークアップ比率が現在スロット区間のウェークアップ比率より第2所定値以上大きいと、スロット区間演算部25,35は、ビーコンスロット列区間の時間間隔を直前ビーコンスロット列区間の時間間隔より長い時間間隔に算出する(S613)。
【0035】現在スロット区間のウェークアップ比率と直前スロット区間のウェークアップ比率との比較を行い(S611)、直前スロット区間のウェークアップ比率が現在スロット区間のウェークアップ比率より第2所定値以上大きくないと、スロット区間演算部25,35は、ビーコンスロット列区間の時間間隔を直前スロット区間の時間間隔と同一の時間間隔に算出する(S609)。
【0036】制御部27,37は、スロット区間演算部25,35によって算出されたスロット区間の時間間隔にビーコンスロット列区間が発生するようビーコンチャネル形成部29,39を制御する。ビーコンチャネル形成部29,39は、制御部27,37によって算出された時間間隔にビーコンスロット列区間を発生する(S615)。また、ビーコンチャネル形成部29,39は、制御部27,37によってビーコンスロット列区間を発生させた後、パークモードにあるスレーブのうち、マスターとの接続を望むスレーブに、マスターに転送できる機会を与えるためのアクセスウィンドウを設定する。制御部27,37は、ビーコンチャネル形成部29,39によって設定されたアクセスウィンドウを通じてパークされた機器をウェークアップさせるための要求信号を送信することができる。
【0037】これにより、無線通信機器は、スロット区間のスロット利用率及びウェークアップ比率に応じて、ビーコンスロット列区間の間の時間間隔を調節できることにより、ピコネット環境のトラフィック特性の変化に適切に対応することができる。
【0038】
【発明の効果】本発明によると、無線通信機器は、ピコネット内のトラフィック量に応じて、ビーコンスロット列区間の間の時間間隔を調節することができる。これにより、無線通信機器は、ピコネット環境におけるパークされたスレーブの数が変更されてもトラフィック量に応じてピコネットの性能を最大に向上することができる。
【0039】以上のように、本発明は、前述した特定の望ましい実施例に限らず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱せず当該発明の属する技術分野において通常の知識を有する者なら誰でも多様な変更及び実施が可能であることは勿論、そのような変更は記載された請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブルートゥースシステムのスカッタネットを示した図。
【図2】マスターとスレーブ間のTDDによる通信を示した図。
【図3】一般のビーコンチャネルフォーマットを示した図。
【図4】アクセスウィンドウを説明するための図。
【図5】本発明による無線通信機器を概略的に示したブロック図。
【図6】図5の機器による無線通信方法を示したフローチャート。
【符号の説明】
10 マスター
13 スレーブ
21,31 送受信部
23,33 ビーコン発生部
25,35 スロット区間演算部
27,37 制御部
29,39 ビーコンチャネル形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】パークモード状態にて第1周期にビーコンスロット列区間を発生するビーコンチャネル形成部と、前記ビーコンスロット列区間に対する第2周期を算出するためにスロット区間におけるスロット利用率及びウェークアップ比率に基づいて前記第2周期を算出するスロット区間演算部と、前記スロット区間演算部によって算出された前記第2周期に応じて前記ビーコンスロット列区間が発生するよう前記ビーコンチャネル形成部を制御する制御部と、を含むことを特徴とする無線通信機器。
【請求項2】前記スロット区間演算部は、現在のスロット区間のスロット利用率からその直前のスロット区間のスリット利用率を減じた値が第1所定値より大きく、前記直前のスロット区間のウェークアップ比率から前記現在のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値より大きいと、前記第2周期を前記第1周期より長い値に算出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項3】前記スロット区間演算部は、前記スロット区間のスロット利用率からその直前のスロット区間のスロット利用率を減じた値が第1所定値より大きく、前記直前のスロット区間のウェークアップ比率から前記現在のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値以下であると、前記第2周期を前記第1周期と同一の値に算出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項4】前記スロット区間演算部は、前記スロット区間のスロット利用率からその直前のスロット区間のスロット利用率を減じた値が第1所定値以下であり、前記現在のスロット区間のウェークアップ比率から前記直前のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値より大きいと、前記第2周期を前記第1周期より短い値に算出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器
【請求項5】前記スロット区間演算部は、現在のスロット区間のスロット利用率からその直前のスロット区間のスロット利用率を減じた値が第1所定値以下であり、前記現在のスロット区間のウェークアップ比率から前記直前のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値以下であると、前記第2周期を前記第1周期と同一の値に算出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項6】パークモード状態にて第1周期にビーコンスロット列区間を発生する段階と、前記ビーコンスロット列区間に対する第2周期の算出のためにスロット利用率及びウェークアップ比率に基づいて、前記ビーコンスロット列区間に対する第2周期を算出する段階と、前記算出段階によって算出された前記第2周期に応じて前記ビーコンスロット列区間が発生するようビーコンチャネル形成部を制御する段階と、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】前記算出段階は、現在のスロット区間のスロット利用率とその直前のスロット区間のスロット利用率との差の比較を行う段階、及び前記現在のスロット区間のスロット利用率から前記直前のスロット区間のスロット利用率を減じた値が第1所定値より大きいと、前記現在のスロット区間と前記直前のスロット区間とのウェークアップ比率の差の比較を行う段階を含み、前記直前のスロット区間のウェークアップ比率から前記現在のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値より大きいと、前記第2周期を前記第1周期より長い値に算出することを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項8】前記算出段階は、前記直前のスロット区間のウェークアップ比率から前記現在のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値以下であると、前記第2周期を前記第1周期と同一の値に算出することを特徴とする請求項7に記載の無線通信方法。
【請求項9】前記算出段階は、前記現在のスロット区間のスロット利用率から前記直前のスロット区間のスロット利用率を減じた値が第1所定値以下の場合、前記現在のスロット区間のウェークアップ比率から前記直前のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値より大きいと、前記第2周期を前記第1周期より短い値に算出することを特徴とする請求項7に記載の無線通信方法。
【請求項10】前記算出段階は、前記現在のスロット区間のウェークアップ比率から前記直前のスロット区間のウェークアップ比率を減じた値が第2所定値以下であると、前記第2周期を前記第1周期と同一の値に算出することを特徴とする請求項9に記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−298596(P2003−298596A)
【公開日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−349337(P2002−349337)
【出願日】平成14年12月2日(2002.12.2)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【Fターム(参考)】