説明

ピエゾアクチュエータによってスイッチングされるバルブのバウンド衝突を抑制する方法

本発明は、内燃機関内での、バルブの閉鎖フェーズ中の、ピエゾアクチュエータによって作動されるバルブ素子のバウンド衝突を抑制するための方法に関する。この方法は以下のステップを有している:すなわち、・ピエゾアクチュエータを部分的に放電するステップ、これによってバルブ素子は弁座に達する前に制動される、・ピエゾアクチュエータの放電を中断するステップ、これによってピエゾアクチュエータはバルブ素子によって圧接され、電荷を形成する、・ピエゾアクチュエータを再び放電するステップ、ここで部分的放電後の残留電荷および充電中断中に形成された電荷が少なくとも部分的に放出される。本発明では、放電過程を短時間中断することを提案する。これによって、ピエゾアクチュエータは、バルブ素子の運動エネルギーを受容し、バウンドを伴うはね返りが始まる前に、ピエゾアクチュエータは再び放電され、これによってピエゾアクチュエータによって受容されたエネルギーが排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関内での、閉鎖フェーズの間に、ピエゾアクチュエータによって作動されるバルブ素子のバウンド衝突を抑制する方法および、当該方法を実施するための相応の装置に関する。
【0002】
従来技術
内燃機関、殊にオットーエンジンおよびディーゼルエンジンにおいては、バルブが燃焼ガスの供給および搬出を制御する。ここでバルブ開放時間およびバルブ閉鎖時間は、所定回転数での内燃機関の性能、燃費、低有害物質燃焼および動作特性に大きな影響を与える。これらのバルブは通常プレートバルブとして構成されている。ここでバルブの閉鎖状態において、バルブ素子は自身のバルブプレートともに弁座内に、正確に整合し、かつ密閉して収容される。バルブを開放するために、バルブプレートは弁座からはずされ、環状の隙間が空く。燃焼ガスはこの隙間を通って流れる。プレートバルブは、バルブ素子の一部分であるバルブスピンドルを介して駆動される。バルブを開放するためおよび閉鎖するために、近年のエンジンでは、ピエゾ圧電素子が用いられている。ピエゾ圧電素子は高速でバルブを開放し、再び閉鎖する。殊に、プレートバルブが高速で閉鎖される場合には、バルブプレートは弁座内に衝突する。ここでこの2つの部材のシーリング面は相互にぶつかる。閉鎖速度が速い場合には、弁座へのバルブプレートのこの衝突によって、バウンドを伴った衝突が生じる。これによってプレートバルブはすぐには閉鎖せず、最初の閉鎖後に複数回僅かに開き、再び閉鎖する。このようなバウンド衝突によって閉鎖過程の正確さが損なわれ、内燃機関の上述した特性に悪影響が与えられる。さらに、弁座へのバルブプレートのこのバウンド衝突によって材料の消耗が早まる。殊に、内燃機関の排気弁は腐食作用の高い条件にさらされる。なぜなら、バルブプレートおよび弁座のシーリング面は高い温度および高温かつ燃焼されている燃焼ガスの腐食作用にさらされるからである。
【0003】
本発明の開示
本発明は、内燃機関内での、閉鎖フェーズ中に、ピエゾアクチュエータによって作動されるバルブ素子のバウンド衝突を抑制するための方法および当該方法を実施するための対応の装置を提供する。
【0004】
本発明では、ピエゾアクチュエータは次のように電子制御される。すなわち、ピエゾアクチュエータが閉鎖過程時にまずはバルブ素子の運動エネルギーを衝突直前に受容し、自身が変形し、電荷が内部で生成され、これによってピエゾアクチュエータの復帰力が高まるように電子制御される。ピエゾアクチュエータが、バウンドを伴うはね返りフェーズに移行する前に、ピエゾアクチュエータの内部で形成された電荷が排出される。従ってバルブ素子は最終的には、バウンドを伴わない衝撃によって衝突時に緩衝され、より少ない運動エネルギーによって弁座内に案内される。この弁座はこの場合には不所望な衝突運動を受けることはない。
【0005】
本発明の方法は、バルブの閉鎖フェーズ中に以下のステップを有している:ピエゾアクチュエータを部分的に放電するステップ。これによってバルブ素子は、弁座に到達する前に制動される。ピエゾアクチュエータの放電を中断するステップ。これによって、ピエゾアクチュエータはバルブ素子によって圧接され、電荷が形成される。ピエゾアクチュエータを再び放電するステップ。ここで、部分放電後にピエゾアクチュエータ内に残っている残留電荷と、充電中断の間に形成された電荷とが少なくとも部分的に放出される。すなわち、内燃機関内での、閉鎖フェーズの間に、ピエゾアクチュエータによって作動されるバルブ素子のバウンド衝突を抑制する本発明の方法は、弁の閉鎖時にピエゾアクチュエータの放電過程を中断することを含む。ここで中断開始時点の選択および中断終了時点の選択は、最適なバウンド衝突抑制にとって重要である。
【0006】
本発明の構成では択一的に、この過程を1つのバルブ閉鎖サイクル内で1回から複数回繰り返すことが可能である。これによってバルブ素子が非連続的に(stotternd)弁座内に戻る。ここでは各放電過程がコントロールして中断される。各中断時間においてバルブ素子は、中断期間によって定められている閉鎖速度を有し、この速度並びにバルブ素子の質量がバルブ素子の運動エネルギーを定める。中断時点から、直接的または間接的に力結合によってピエゾアクチュエータと接続されているバルブ素子は、ピエゾアクチュエータの弾性的な作用を介して制動される。制動時にピエゾアクチュエータはバルブ素子の衝撃によって変形され、ここでピエゾアクチュエータ内の圧電結晶は充電電圧を形成する。これは、圧電結晶の復帰力を高める。圧電結晶自体が再振動し始め、これによってそれ自体が弁座の代わりにバウンド衝突面として作用する前に、ピエゾアクチュエータ内で形成された電荷が放電される。バルブ素子の運動エネルギーによって機械的につながっているピエゾアクチュエータは、この放電によって自身の復帰力を失うので、バウンドを伴う再振動は始まらない。その限りではピエゾアクチュエータは放電の中断時に、可塑性の衝突ピローのように作用する。ここで運動エネルギーは変形エネルギーに変えられ、排出される。
【0007】
本発明を添付図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1.1】バルブサイクルにわたった、緩衝されていないピエゾアクチュエータの充電電圧経過特性のダイヤグラム
【図1.2】同じバルブサイクルにわたった、緩衝されていないピエゾアクチュエータの充電電流および放電電流のダイヤグラム
【図1.3】同じバルブサイクルにわたった、緩衝されていないピエゾアクチュエータのバルブストロークのダイヤグラム
【図2.1】本発明によるバウンド衝突抑制方法を用いたピエゾアクチュエータの充電電圧経過特性のダイヤグラム
【図2.2】図2.1に示されたバルブサイクルにわたるピエゾアクチュエータの充電電流および放電電流のダイヤグラム
【図2.3】本発明に従ってバウンド衝突が抑制されたバルブストロークのダイヤグラム
【図3.1】放電中断時間の自動調整を示すダイヤグラム
【図3.2】放電中断時間の自動調整を示すダイヤグラム
【図3.3】放電中断時間の自動調整を示すダイヤグラム
【図3.4】放電中断時間の自動調整を示すダイヤグラム
【図3.5】放電中断時間の自動調整を示すダイヤグラム
【図3.6】放電中断時間の自動調整を示すダイヤグラム
【図4】ピエゾアクチュエータを充電する、および本発明に従って放電する、簡単な装置のブロック回路図
【図5】図4に示された装置の別の構成としての調整装置のブロック回路図
【実施例】
【0009】
図1には、時間tに沿ったバルブサイクルZにわたった、ピエゾアクチュエータの充電電圧Uの時間経過特性のダイヤグラムが示されている。図1.3のダイヤグラムにおける時点aで始まり、この時点ではピエゾアクチュエータは充電されておらず、弁は閉鎖している。すなわち時点aでバルブストロークhは0であり、図1.2のダイヤグラムに従って充電電流Iが流れ始める。充電電流Iは一定の電流で時点aから時点bまで流れる。この時間間隔a−b内で、ピエゾアクチュエータは充電電圧Uを図1.1のダイヤグラムにおける時点bで形成する。制動されていない伸長およびピエゾアクチュエータと力結合で接続されている質量体によって、バルブ素子は、図1.3におけるダイヤグラムに従って、開放点を中心に時点b、およびその直後で振動する。このような機械的な振動は、図1.1の充電電圧ダイヤグラムにおける充電電圧Uに反映される。ここで開放されたバルブは開放位置において、時点bから時点cまで動かない。この時間間隔b−c内では、バルブストロークhも充電電圧Uも、充電電流および放電電流Iも変化しない。ただし、上述した、バルブストロークhの僅かな機械的振動およびこれに相応する充電電圧Uは除く。時点cでは、ピエゾアクチュエータは、時点c(図1.2)で投入されたマイナスの電流パルスIによって、時点cから時点dまで放電される。この時間間隔c−d内でバルブストロークhは図1.3における、時点cとdとの間のマイナスのエッジに追従する。時点dでバルブ素子は、図1.3のダイヤグラムに示されているようにストロークレベル0に達する。これはバルブプレートが弁座内にバウンド衝突することを意味する。ここでこれは、バルブばねまたはピエゾアクチュエータの復帰力に対抗してバウンドを伴ってはね返り、さらに複数回衝突して、再びバウンドを伴ってはね返る。これは衝突振動が、図1.3のダイヤグラムにおける時点eでやむまで続く。閉鎖後に生じるこの衝突振動は、図1.1のダイヤグラムにおけるピエゾアクチュエータの充電電圧Uの経過特性に反映される。放電過程後の時点dとeとの間のこの衝突振動を抑制することが、本願発明の課題である。
【0010】
図2.1、2.2および2.3では、図2.1においてピエゾアクチュエータの充電電圧Uの相応する経過特性が示され、図2.2において放電電流の経過特性が示され、さらに、バルブサイクルZにわたったバルブストロークhが示されている。ここではピエゾアクチュエータの放電は、本発明に相応して中断される。この中断は、図2.2におけるダイヤグラムの右側に示されている。バルブサイクルは、図1.1、1.2および1.3における時点aに相当する時点fで始まり、時点gを介して時点hまで延在する。ここで、図2.1、2.2および2.3におけるサイクル部分f−g−hは、図1.1、1.2および1.3におけるサイクル部分a−b−cと同じである。時点hで、ピエゾアクチュエータの放電過程が、図2.2のダイヤグラムに示されている第1のマイナスの放電電流パルスによって始まり、時点hから時点iまで行われる。この時間間隔h−iの間で、図2.1に示されているように、ピエゾアクチュエータの充電電圧Uが、最大充電電圧の約半分から三分の一にまで下降する。これに相応して、図2.3におけるバルブストロークhが同じように例えば、最大ストロークの約半分から三分の一まで低下する。時点iの箇所で、放電電流I(図2.2)が中断される。この結果、ピエゾアクチュエータはさらに放電されることなく、ここでバルブ素子の運動エネルギーによってさらに変形される。この変形、すなわち制動されたバルブ素子質量体によるさらなる圧接によって、ピエゾアクチュエータは電荷を形成し、自身の充電電圧Uを時間間隔i−jにおいて高める(図2.1)。充電電圧Uのこの上昇によって、ピエゾアクチュエータの復帰力は高まる。これによって、バルブ素子はますます強く制動される。すなわちピエゾアクチュエータは、バルブ素子の運動エネルギーを受容する。このエネルギー受容はピエゾアクチュエータの容量によって制限される。すなわち、ピエゾアクチュエータ内の可能な最大電荷形成によって制限される。バルブ素子を完全に停止させるのに、ピエゾアクチュエータの容量が充分であるならば、この時点で、ピエゾアクチュエータの機械的な応力および電荷によって、ピエゾアクチュエータの再振動が生じてしまうであろう。これは機械的な応力を解体し、かつ内部電荷を解体しつつ行われる。しかしまさにこの時点、すなわち時点jで、ピエゾアクチュエータの内部電荷が、時点j−kにおける新たな放電電流パルス(図2.2)によって排出され、これによって、再振動が抑制される。時点jとkの間で、ピエゾアクチュエータの放電によって再びバルブ素子のバルブストロークは低減される。この新たな加速度の強さまたは依然として残っているバルブ素子内で結合されている運動エネルギーに応じて、この新たな放電および新たな再ストロークによって、弁座内へのバルブプレートの衝突がより柔らかくなる。しかも、これによって1回または複数回の再衝突は生じない。
【0011】
図3.1、3.2、3.3、3.4、3.5および3.6において、どのように衝突抑制装置が、充電過程の中断の正確な時点およびピエゾアクチュエータの再放電に対する正確な時点を見つけるのかが示されている。図3.1はこのために、ピエゾアクチュエータの充電電圧Uの4つの経過特性のダイヤグラム群を示しており、ここで図3.1における経過特性1は図3.2における放電ダイヤグラムに属しており、経過特性2は図3.3における放電ダイヤグラムに属しており、経過特性3は図3.4における放電ダイヤグラムに属しており、経過特性4は図3.5における放電ダイヤグラムに属している。これらの経過特性に相当するバルブストロークは、図3.6におけるダイヤグラムに示されている。
【0012】
図3.1における経過特性1では、まだ最適化されてない第1の放電過程が時点lで始まり、放電パルスは図3.2に示されているように時点oまで続く。このような長い放電パルスによって、バルブ素子は高い運動エネルギーを形成し、大部分放電したピエゾアクチュエータを最大圧接まで圧接し、かつピエゾアクチュエータの機械的応力のこのレベルから可能な最大電荷形成まで圧接する。これは充電電圧Uの形成に相応する。しかしバルブ素子の運動エネルギーを緩衝するのには、エネルギーを受容するこの新たな電荷形成は僅かすぎる。従って第1の放電パルスを短くする必要がある。これによって、第1の放電パルスの終了時に依然として可能なピエゾアクチュエータの圧接によって、形成される電荷が最低レベルまで上げられる。図3.1の経過特性1に示されている最適化されていないこの放電過程ではようやく時点rで新たな放電パルスが始まり、これによって、それまで一時的に安定したレベルにあった充電電圧Uが低下する。しかし時間間隔p−rにおけるこのレベルはまさに回避されるべきであるので、調整電子回路によって検出され、これに基づいて第1の放電パルスは、次のバルブサイクルにおいて短くされる。
【0013】
次のバルブサイクルでは、放電過程は再び時点lで始まる。しかし、既に時点oよりも早い時点、すなわち時点nで放電過程は中断される。次に生じる、時点nより後の経過特性2における電荷形成は相応に、経過特性1における時点o後のものよりも大きい。なぜなら、ピエゾアクチュエータは依然として充分な容量を電荷形成のために、および機械的圧接のために有しているからである。その後、同じ状態が得られ、充電電圧Uの一時的な安定期が形成される。これは、充電電圧Uの経過特性1と同様である。
【0014】
さらに後のバルブサイクルにおける放電ダイヤグラムが図3.4において示されている。充電電圧Uの経過特性は図3.1における経過特性3において示されている。充電電圧Uは時点mで上昇を始め、図3.1における時点oにおけるレベルまで上昇し、その後、時点oで放電電流が中断される。経過特性3における充電電圧Uの上昇によってあらわされるこの電荷形成は、ここで、バルブ素子内で結合された運動エネルギーを受容するのに充分に高い。ここで充分な運動エネルギーの値は事前に定められており、充電電圧経過特性のダイヤグラム自体からは導出されない。
【0015】
一時的に変化しないレベルの形成を阻止するために、この箇所で、第2の放電パルスは前方へずらされされ、充電電圧の最大形成の直後の時点oで、ピエゾアクチュエータの新たな放電が開始し、充電電圧Uが迅速に再び最小値まで低下する(図3.1における経過特性4および放電ダイヤグラム3.5を参照)。
【0016】
最適化フェーズの間、バルブストロークhの経過特性はそれほど相違しない。しかし、ピエゾアクチュエータによって受容される負荷は異なる。最適化された放電では、ピエゾアクチュエータは弾性領域において負荷をかけられ、再び負荷が軽減される。
【0017】
最後に図4には、ピエゾアクチュエータPを放電させる、本発明による装置10が示されている。ピエゾアクチュエータは充電/放電スイッチSと、放電過程を中断するためのスイッチSとを有している。スイッチSによるピエゾアクチュエーPの放電の間、バルブ素子のバウンド衝突を緩和するためにスイッチSは放電過程を中断する。択一的に、2つのスイッチSおよびSを使用する代わりに、3つの状態を有するスイッチを1つだけ使用することも可能である。このスイッチは第1の状態においてピエゾアクチュエータPを充電し、第2の状態において高抵抗であり、第3の状態においてピエゾアクチュエータPを放電する。
【0018】
図5に示されているように、放電電流パルスの時間を自動調整するために、装置10の構成において調整装置20が使用される。この調整装置はピエゾアクチュエータPの充電電圧を監視する。内燃機関内のバルブ素子用のピエゾアクチュエータPを制御する調整装置20はこのために以下のコンポーネントを有している:ピエゾアクチュエータPの放電過程を中断する時点を調整する少なくとも1つの可変時間素子21、ピエゾアクチュエータPの放電中断後の再放電の時点を調整する少なくとも1つの可変時間素子22、ピエゾアクチュエータPの充電電圧を測定する少なくとも1つの装置25、測定データを記憶する少なくとも1つの装置24および時間素子を自動的に変える少なくとも1つの装置23である。
【0019】
放電電流時間を調整するために、調整装置20は、第1の放電電流を中断した後に、ピエゾアクチュエータPの充電電圧上昇を検出し、充電電圧上昇のレベルを測定する。充電電圧上昇のレベルが所定の値に達して、またはこれを超えてはじめて、調整装置20は再放電パルスの時点を調整する。ここでこの調整装置20は、このような場合に、一時的な安定期形成を検出し、第2の放電パルスを、連続したバルブサイクルにおいて時間的に前方へシフトさせる。これは充電電圧の一時的な安定期形成が生じなくなるまでシフトされる。2つの時点を調整するために、調整装置20は、以下のストラテジーに従って時点を調整する:まずは調整装置20によって、部分的な放電後の第1の中断時点の調整を行う。中断後に生じるピエゾアクチュエータPの圧接が僅かであり、これに付随する電荷形成が所定の値を下回るように、中断が遅く行われる。これによって、調整装置20がバルブ素子を、過度に早期の閉鎖時点で閉鎖しないことが保証される。この後に、調整装置20による、再放電の時点の設定が始まる。この再放電は、圧接によって形成されたピエゾアクチュエータPの電荷が、設定された時間間隔にわたって変化しないように、遅く行われる。これによって一時的な安定期が検出され、これは後続の調整サイクルにおいて最小化される。最適ではないこの状態から、調整装置はこれらの時点を、部分的放電後の後続の中断時点の設定によって再び調整し、この時点が時間的に前方へシフトされて、電荷形成が所定の値に達する、またはこれを超えるようになる。この後にはじめて、再放電時点の設定が行われる。この時点は前方へシフトされ、圧接によって形成された、ピエゾアクチュエータの電荷が、設定された時間間隔内で所定の値だけ変化する。これによって一時的な安定期形成が検出されなくなる。
【0020】
調整に使用される調整装置20は、有利には次のような装置を有している。この装置は、バルブ素子のバウンド衝突を検出し、有利にはピエゾアクチュエータPの放電後の充電電圧の監視を介してこれを検出する。バウンド衝突が検出されると、放電時点を調整するための調整装置20が起動され、バウンド衝突が検出されなくなると、調整装置20が非起動状態にされる。
【0021】
調整装置20を実行するためにマイクロコントローラ23が使用される、または調整電子回路も使用される。ここでこの調整装置のインプットは充電電圧であり、アウトプットは、放電過程をトリガするための信号である。
【図1.1−1.3】

【図2.1−2.3】

【図3.1−3.6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関内での、バルブの閉鎖フェーズ中の、ピエゾアクチュエータによって作動されるバルブ素子のバウンド衝突を抑制する方法であって、以下のステップを有している:すなわち、
・ピエゾアクチュエータを部分的に放電するステップ;これによって前記バルブ素子は弁座に達する前に制動される、
・ピエゾアクチュエータの前記放電を中断するステップ;これによってピエゾアクチュエータは前記バルブ素子によって圧接され、電荷を形成する、
・ピエゾアクチュエータを再び放電するステップ;ここで部分的放電後の残留電荷および充電中断中に形成された電荷が少なくとも部分的に放出される、
ことを特徴とする、ピエゾアクチュエータによって作動されるバルブ素子のバウンド衝突を抑制する方法。
【請求項2】
部分的放電および当該放電の中断および再放電から成る前記サイクルを少なくとも一度繰り返し、これによって前記バルブは閉鎖時に非連続的に動く、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記中断の時点および/または前記再放電の時点を調整装置によって変える、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ピエゾアクチュエータの充電電圧を前記調整装置によって監視する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
1つより多くのバルブサイクルにわたって付加的なステップを有しており:すなわち、
・部分的放電後の中断時点を前記調整装置によって設定し、中断後に生じるピエゾアクチュエータの圧接が僅かであり、当該圧接に付随する電荷形成が所定の値を下回るように、当該中断を遅く行い、
・再放電時点を前記調整装置によって設定し、圧接によって形成される、前記ピエゾアクチュエータの電荷が所定の時間間隔にわたって変化しないように、前記再放電を遅くに行い、
・次に、部分的放電後の前記中断時点の位置調節を行い、当該時点を時間的に前方にシフトさせ、電荷形成が所定の値に達する、または所定の値を上回るようにし、
・次に、前記再放電の時点の位置調節を行い、当該時点を時間的に前方へシフトさせ、圧接によって形成される、前記ピエゾアクチュエータの電荷が所定の時間間隔にわたって、所定の値だけ変化するようにする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
サイクルが順次連続している場合には、前記中断および再放電の時点を、非連続運動時に連続して調整する、請求項2から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
内燃機関内のバルブ用のピエゾアクチュエータを制御する調整装置であって、
・ピエゾアクチュエータを放電する少なくとも1つの装置と、
・放電サイクル中にピエゾアクチュエータの放電過程を中断する少なくとも1つの装置とを有している、
ことを特徴とする、内燃機関内のバルブ用のピエゾアクチュエータを制御する調整装置。
【請求項8】
・前記ピエゾアクチュエータの放電過程の中断時点を調整する少なくとも1つの可変時間素子と、
・前記ピエゾアクチュエータの放電中断後の再放電の時点を調整する少なくとも1つの可変時間素子と、
・前記ピエゾアクチュエータの充電電圧を測定する少なくとも1つの装置と、
・前記測定データを記憶する少なくとも1つの装置と、
・前記時間素子を自動的に変える少なくとも1つの装置とを有しており、
前記時間素子を自動的に変える装置は、放電過程の中断の時点および中断後の再放電の時点を、請求項5または6記載の方法に従って変える、請求項7記載の調整装置。
【請求項9】
前記時間素子を自動的に変える少なくとも1つの装置は調整電子回路である、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記時間素子を自動的に変える少なくとも1つの装置はマイクロコントローラである、請求項8記載の装置。
【請求項11】
バルブ衝突を検出する装置を有しており、当該装置は、前記バルブ衝突の検出が正の場合には、前記時間素子を自動的に変える装置を起動状態にする、および/または前記バルブ衝突の検出が負の場合には、前記時間素子を自動的に変える装置を非起動状態にする、請求項7から10までのいずれか1項記載の調整装置。

【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−528762(P2011−528762A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500131(P2011−500131)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050849
【国際公開番号】WO2009/115360
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】