ピクセル指向処理による超音波画像処理システム
【課題】複雑で高価なハードウェア処理モジュールを必要とせず、処理のスループットを向上できるソフトウェアベースの超音波アーキテクチャに基づく超音波画像処理システムの提供。
【解決手段】音響信号が生成され、音響信号からのエコーが複数の受信要素で受信されて、次いで格納されるエコー信号を取得し、格納された信号の領域に所与のピクセルがマッピングされ、格納されたエコー信号のマッピングされた領域が所与のピクセルの配列にまとめられ、その後で、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列が処理されて、所与のピクセルの音響情報を取得する、ピクセル指向処理による超音波画像処理システム。利点としては、信号ダイナミックレンジの取得の向上、高フレームレートの2D、3Dおよびドップラー血流画像処理の取得モードの柔軟化などがある。
【解決手段】音響信号が生成され、音響信号からのエコーが複数の受信要素で受信されて、次いで格納されるエコー信号を取得し、格納された信号の領域に所与のピクセルがマッピングされ、格納されたエコー信号のマッピングされた領域が所与のピクセルの配列にまとめられ、その後で、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列が処理されて、所与のピクセルの音響情報を取得する、ピクセル指向処理による超音波画像処理システム。利点としては、信号ダイナミックレンジの取得の向上、高フレームレートの2D、3Dおよびドップラー血流画像処理の取得モードの柔軟化などがある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像処理アーキテクチャに関し、より詳細には、ピクセル指向処理技術を使用して、超音波データを捕捉、処理し、そこから画像を生成するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像処理は、多種多様の疾病の様子および状態を診断するのに効果的なツールに発展した。超音波機器の市場は、画質および様々なタイプの組織を分化する能力の向上によって刺激され、長年にわたって安定成長を経験している。残念ながら、大幅な導入には機器のコストが高すぎる、超音波システムの多くの用途が依然として存在する。例えば、乳癌検出、前立腺画像処理、筋骨格画像処理、インターベンショナルラジオロジーなどの応用分野などがある。これらおよび他の分野では、超音波画像処理の診断効果は、様々な組織タイプの分化および識別に優れた空間分解能およびコントラスト分解能に依存する。これらの性能能力は、より広範な処理能力を有するより高価な超音波システムにのみ見られる。
【0003】
超音波画像処理は、特に、それぞれ一意の信号処理を必要とする128以上ものトランスデューサ要素を使用する配列システムでは、常に広範な信号および画像処理方法を必要としていた。この10年は、市場の最下層のものを除くほぼすべてのシステムにおけるデジタル信号処理の精度および柔軟性の改善への移行が見られた。この移行は、高度に集積されたデジタル回路を使用することによって、長期的にはシステムコストの低減の可能性がある。残念ながら、超音波システムの製造量が少ないことによって、こうした一意の回路のかなりのオーバーヘッドおよび固定費を招く結果となり、したがって、デジタル信号処理への移行によってシステム費が大幅には削減されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波システムは、デジタル処理技術を徐々に採用しつつあるが、そのアーキテクチャは、アナログの等価物から大幅には変わっていない。市販されているほぼすべての現在のシステムは、図1Aおよび1Bに示されるように、信号およびデータが1つのモジュールから次のモジュールに流れるモジュール式「フロースルー」アーキテクチャ(modular "flow-through" architecture)を使用している。これは、超音波画像形成および処理のかなりの複雑性を扱う自然な方法であり、個別の開発チームがある程度個々のモジュールと関係なく働くことができる。図1Aは、一般に超音波システムで実行される3種類の情報処理、すなわち通常の2D画像処理のためのエコー画像処理、血流速測定のためのドップラー処理、および血流のリアルタイムの画像処理のためのカラーフロー画像処理(color flow image processing)を示している。
【0005】
フロースルーアーキテクチャの主な欠点は、各モジュールがそれ自体の処理を実行できるようになる前に前のモジュールからのその入力データを待ち続ける必要があることである。次いでモジュールは、その結果を次のモジュールに送り出す必要がある。図1Aに示されているブロック内でさえ、連続して行われる多くの個々の処理ステップがある。システム処理のレートは、チェーンにおける最も遅い処理機能のレートによって決定されるため、すべての処理ブロックは、走査ヘッドが動かされるに従って画像がディスプレイに表示されるのを見るのが遅れないように、最低限の待ち時間で高速で行う必要がある。
【0006】
フロースルーアーキテクチャの別の欠点は、リソースを非効率に使用することである。ほとんどの超音波検査は、主に2Dエコー画像処理のみで実行され、ドップラー血流速測定またはカラーフロー画像処理の使用は時々にすぎない。これは、これらの機能を実行するのに必要な複雑で高価なハードウェア処理モジュールは、他のタスクで使用できないため、だいたいの場合、遊んでいることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開示された実施形態では、市販のCPUで実行されるソフトウェアにおいてすべての信号処理および画像形成を実行する超音波画像処理方法およびシステムを対象とする。この手法に必要な唯一のカスタムハードウェアは、音響パルスの送信、データ収集、およびトランスデューサから受信された信号の信号調整のためのものである。この目的を達成するために、画像の形成に必要な処理ステップの回数を低減し、システムの待ち時間をなくすために、超音波システムの処理アーキテクチャの根本的な変更を必要とする。また、所望の処理スループットを達成するためのCPUの処理リソースの最大限の使用も必要とする。重要な利点として、新しいアーキテクチャによって、低コストの走査ヘッド設計に新しいトランスデューサ材を使用する可能性を広げる、システムのダイナミックレンジの向上が可能になる。さらに、重要な新しい診断情報を提供し得る新しいモードの獲得が可能になる。
【0008】
開示されたソフトウェアベースの超音波システムアーキテクチャは、設計を商用コンピュータマザーボード周辺に基づかせることによって、コンピュータ業界からの高容量、低コストの処理技術を活用する。一部の現在の超音波システムは、コンピュータマザーボードをその設計に組み込んでいるが、コンピュータは、ユーザインターフェイスおよび一部のシステム制御のみに使用され、任意のリアルタイム処理タスクに関与しない。開示されたアーキテクチャでは、コンピュータマザーボードは、補足するのではなく、ほとんどすべての既存のハードウェアに取って代わる。汎用プラットフォーム上のソフトウェアにシステムを基づかせることによって、最低限のシステムコストで、柔軟性、高性能画像処理システムが提供される。この手法にはカスタム集積回路は必要なく、これによってシステムの複雑性および製品化までの時間が短縮される。さらに、コンピュータ業界によってCPU処理能力のこれ以上の向上が実現されるに従って、システムによってこうした向上が容易に採用されて、画像処理の性能の強化、または新しい運転モードおよび情報の抽出の提供が可能になる。
【0009】
ソフトウェアベースの超音波アーキテクチャの実現の成功は、超音波システムのコスト/性能比における市場の進歩を表す。おそらく、これは、診断効果のために高い画像解像度および組織の分化を求める、コストに左右されやすい用途における超音波の使用を大幅に増やすことができる。さらに、低いシステムコストおよび処理の柔軟性は、超音波がまだ重要な役割を果たしていない新しい専門応用分野を広げるはずである。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、音響信号を生成し、複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこからエコー信号を取得し、複数の受信要素のそれぞれからの各エコー信号を格納し、所与のピクセルを格納されたエコー信号の領域にマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のピクセルの配列にまとめ、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列を処理し、信号応答を使用して所与のピクセルの音響情報を取得することを含む超音波処理方法が提供される。
【0011】
上記の実施形態の別の態様によれば、音響信号を生成するトランスデューサの視野内の領域(area)を表すために選択された1組(一連)の所与のピクセル(所与のピクセルセット)であって、その視野内の領域において配列の組の中の所与のピクセルのそれぞれが複数の受信要素との既知の空間的関係を有するピクセル生成することを含む最初のステップが提供される。好ましくは、この方法は、配列内の所与のピクセルの音響情報から画像を生成することも含む。
【0012】
上記の実施形態の別の態様によれば、音響情報は、それだけには限定されないが、空間データを測定し、表示する、時間データを測定し、表示する、血流データを測定し、表示する、および音響信号または音響送信波(acoustic transmit wave)によってもたらされる誘導された機械的変位に応答した組織の変位を測定し、表示することを含む、上記の内の1つまたは複数の処理のために使用することができる。
【0013】
上記の実施形態の別の態様によれば、この方法は、複数の音響信号を生成し、複数の音響信号からエコーを受信し、そこから得られた音響情報を強化するために、複数の生成および受信のサイクルにわたって受信されたエコーを結合することを含む。
【0014】
上記の実施形態の別の態様によれば、格納されたエコー信号が結合され、平均される。さらに、信号応答は、格納されているエコー信号の平均を含む。
【0015】
上記の実施形態の別の態様によれば、この方法は、強化された音響情報を導出するために、配列の複数の処理の結果を結合することを含む。
【0016】
上記の実施形態の別の態様によれば、強化された音響情報は、そこから生成された最後の画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む。さらに、結合された信号は、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す。
【0017】
上記の実施形態の別の態様によれば、エコー信号の受信、取得、および格納は、配列を処理するレートより高いレートで行われる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、音響信号を生成し、複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこからエコー信号を取得し、複数の受信要素のそれぞれからの各エコー信号を格納し、所与のボクセルを格納されたエコー信号の領域にマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のボクセルの配列にまとめ、所与のボクセルの信号応答を生成するように配列を処理し、信号応答を使用して所与のボクセルの3次元音響情報を取得することを含む超音波処理方法が提供される。
【0019】
上記の実施形態の別の態様によれば、上述した第1の実施形態の特徴はすべて、本発明のこの第2の実施形態に当てはまる。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、複数の受信要素から受信された音響エコー信号を格納し、所与のピクセルを格納されたエコー信号の領域にマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のピクセルの配列にまとめ、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列に対する操作を行い、信号応答を使用して所与のピクセルの音響情報を取得することを含む音響エコーを処理する方法が提供される。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュール、およびモジュールと通信し、モジュールから受信された格納されているエコー信号の領域に所与のピクセルをマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のピクセルの配列にまとめ、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列に対する操作を行い、信号応答を使用して所与のピクセルの音響情報を取得するように構成されている処理手段を含む超音波処理システムが提供される。
【0022】
上記の実施形態の別の態様によれば、処理手段は、1組の所与のピクセルを最初に生成し、その組の中の所与の各ピクセルがモジュール内の受信要素との既知の空間的関係を有するように構成されている。理想では、処理手段は、配列内の所与のピクセルの音響情報から画像を生成するように構成されている。代わりに、またはそれとの組み合わせで、コンピュータディスプレイ上で、印刷された形で、または当業者に既知の別の形で画像を生成する処理手段から信号応答を受信する、画像を表示する手段が提供される。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュールと、モジュールと通信し、モジュールから受信された格納されているエコー信号の領域に所与のボクセルをマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のボクセルの配列にまとめ、所与のボクセルの信号応答を生成するように配列に対する操作を行い、信号応答を使用して所与のボクセルの音響情報を取得するように構成されている処理手段とを含む超音波処理システムが提供される。
【0024】
本発明の上記の実施形態の別に態様によれば、複数の2D画像平面がリアルタイムの3Dデータセットの任意のスライスとして表示される。
【0025】
本発明の上記の実施形態の別の態様によれば、複数の2Dの任意の画像平面スライスおよび3Dレンダリングがリアルタイムに表示される。
【0026】
上記から容易に理解できるように、市販のコンピューティングプラットフォームに実装されるソフトウェアベースの超音波システムアーキテクチャへの変更の利点には、
・ハードウェアのコストがかなり低くなる
・カスタム集積回路(ASIC)の長い設計サイクルを回避することによって、開発コストがより低くなり、製品化までの時間が短縮される
・コスト/性能の直接の活用によってコンピュータ技術を進歩させる
・商業および学術の環境における多くの新しい処理手法の開発が柔軟になる
・コストに左右されやすい応用分野の場合、画質の向上に基づいて診断能力が増す。
・コストが採用の障害であった専門分野での超音波の利用が増加する
などがある。
【0027】
本発明の上記および他の特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明を以下の図面と併せ読めば、より容易に、またより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】既知のフロースルー超音波画像形成アーキテクチャの略図(1)である。
【図1B】既知のフロースルー超音波画像形成アーキテクチャの略図(2)である。
【図2】本発明の一実施形態のソフトウェアベースのアーキテクチャの略図である。
【図3】本発明の一実施形態に従って形成されるプラグインモジュールの図である。
【図4】本発明に従って形成される128要素線形配列の取得データの略図である。
【図5】本発明のピクセルマッピングプロセスの図である。
【図6】本発明のピクセル指向シミュレーションから得られるターゲットポイントの画像である。
【図7】図6からのデータの等角表現である。
【図8】本発明のピクセル指向シミュレーションから得られるターゲットポイントの2つの画像の並列比較である。
【図9】本発明のピクセル指向シミュレーションから得られるターゲットポイントの空間合成画像である。
【図10】図9からのデータの等角表現である。
【図11】本発明のピクセル指向画像処理方法の代表的な用途を示すブロック図である。
【図12A】代替の処理方法(1)を示す図である。
【図12B】代替の処理方法(2)を示す図である。
【図12C】代替の処理方法(3)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態によるソフトウェアベースの方法およびシステムアーキテクチャは、ソフトウェアにすべてのリアルタイム処理機能を実装する。図2に、提案されたアーキテクチャが概略的に示されている。
【0030】
ソフトウェアベースのシステムにおける唯一のカスタムハードウェア構成要素は、パルス生成および信号取得回路、および信号データの格納に使用される拡張メモリの大きいブロックを含むコンピュータの拡張バスへのプラグインモジュールである。信号取得プロセスは、送信パルスに続いてトランスデューサ要素のそれぞれから戻された信号を増幅し、デジタル化することから成る。一般に、トランスデューサ自体によって提供される自然な帯域フィルタリング以外のデジタル化以前の信号の唯一のフィルタリングは、A/D変換のためのローパスアンチエイリアジングフィルタリングである。信号は、関与する周波数と一致する一定のレートでサンプリングされ、デジタル化されたデータは、最低限の処理によりメモリに格納される。信号取得の簡単な設計によって、回路を、在庫の構成要素によって比較的少量のボード面積で実装することができる。
【0031】
図3に、プラグインモジュールにおけるより詳細な外観が示されている。複数の取得チャネルが示されており、それぞれ、送信機、受信機前置増幅器、A/D変換器、およびメモリブロックから成る。受信中、トランスデューサ信号は、デジタル化され、個々のメモリブロックに直接書き込まれる。メモリブロックは、デュアルポートであり、デュアルポートとは、メモリブロックをコンピュータ側から読み取ることができると同時に、取得データをA/D変換器側から書き込むことができることを意味する。メモリブロックは、システムCPUへの通常の拡張メモリのように見える。システムは、カスタムエンクロージャに収納されることが好ましいので、プラグインモジュールのサイズは、標準コンピュータ拡張カードの通常のサイズに制限されないことに留意されたい。また、複数のプラグインモジュールは、多量のトランスデューサ要素を収納するために使用することができ、各モジュールは、トランスデューサの開口のサブセットを処理する。
【0032】
増幅器、A/D変換器、および関連のインターフェイス回路を含むプラグインモジュールの構成要素、および送信パルス生成および信号取得に必要な構成要素は、容易に市場で入手できる構成要素であり、ここでは詳しく説明しない。受信されたエコーから取得されたエコー信号のRFデータ格納に必要なメモリブロックは、本質的に、市販されているプラグイン拡張メモリカードに見られるものと同じ回路であり、それに、デジタル化された信号データを書き込むための第2の直接メモリアクセスポートが追加されているものである(受信されたエコー信号データは、トランスデューサによって生成された高周波電気振動(high frequency electrical oscillation)から成るため、一般にRFデータと呼ばれている)。メモリは、中央プロセッサのアドレス空間にマッピングされ、コンピュータマザーボードに配置されている他のCPUメモリと同じようにアクセスすることができる。メモリのサイズは、最高で256以上の個別の送信/受信サイクルの間、個々のチャネル受信データを収容することができるようなサイズである。本体内の超音波パルスの往復移動間の実際の浸透の最大深さは、約500波長であるため、中心周波数の4倍の一般的なサンプリングレートは、個々のトランスデューサ要素からの4000ものサンプルの記憶領域を必要とする。16ビットのサンプリング精度および128のトランスデューサチャネルの場合、最大深さの受信データ収集は、送信/受信イベントごとに約1メガバイトの記憶領域を必要とする。したがって、256のイベントを格納するには、256MBの記憶領域を必要とし、わずかなプラグインカード上に、総計で128チャネルシステムが構築され得る。
【0033】
ソフトウェアベースの超音波システムの別の態様は、コンピュータマザーボードおよびその関連の構成要素である。提案された設計のマザーボードは、好ましくは、必要な処理能力を得るために、マルチプロセッサCPU構成をサポートする必要がある。電源装置、メモリ、ハードディスクストレージ、DVD/CD-RWドライブ、およびモニタを備えた完全なマルチプロセッサコンピュータシステムは、当業者にはよく知られており、市場で容易に購入することができ、詳しくは説明しない。
【0034】
ソフトウェアベースの超音波システムは、ヘルスケア業界に重要な利益を提供するために、既存のハイエンドシステムに匹敵する画質を意味する「高性能」を真に達成する必要がある。このレベルの性能は、単に現在のシステムのフロースルー処理方法をソフトウェア実装に変換することによって達成することはできない。というのは、フロースルーアーキテクチャにおける1秒のリアルタイムの画像処理に必要なすべての処理操作の単純な追加は、いくつかの汎用プロセッサで現在達成可能な1秒当たりの一般的な操作数を超える数の操作を加えるからである。したがって、フロースルー方法よりかなり大きい効率を達成する新しい処理方法が必要となる。
【0035】
本発明のソフトウェアベースの超音波システムアーキテクチャの一実施形態では、信号および画像処理の入力データは、1つまたは複数の送信イベントに続いて個々のトランスデューサチャネルから取得されるRFサンプルの組から成る。一例として、図4に示されている128要素線形トランスデューサ配列による一般の2D画像処理走査モードについて考察する。
【0036】
この場合、「送信イベント」は、トランスデューサ上の特定の要素位置の原点から外側に広がる集束された超音波ビームを形成するためにメディアに一体化する複数の音波を生成するための複数のトランスデューサ要素からの時限パルス(timed pulse)から成る。複数の送信イベント(全部で128)は、トランスデューサ面の幅にわたって増分的に連続的に発せられる超音波ビームを生成し、したがって画像フレーム全体の検討を行う。こうした送信ビームごとに、受信されたエコーデータは、トランスデューサの128の受信要素のそれぞれから収集され、各列が対応するトランスデューサ要素によって受信されたサンプリングされたエコー信号を表す1つのデータ配列にまとめられる。したがって、各配列は、128のトランスデューサ要素に対応する128列、および取得された詳細なサンプル数に対応している行数(この場合、結果として4096サンプルとなる4096行を想定する)を有する。次いで、こうした128のデータ配列は、1つの完全な画像フレームを生成するのに十分なRFデータセットを構成する。
【0037】
フロースルーアーキテクチャにおいては、トランスデューサからデータが流れるに従ってビームおよび画像形成が行われるため、上述したRFデータセットが存在さえしない(少なくともある時に全体は存在しない)ことは注目に値する。言い換えれば、データは、送信イベントの後、各要素に戻るに従って、処理され、結合され(ビーム形成と呼ばれる)て、信号光(走査線)をたどる集束された戻りを表す単一のRF信号を生成する。このRF信号は、エコー振幅サンプルに処理され(この場合もリアルタイムで)、メモリ配列に格納される。すべてのビーム方向が処理されると、エコー振幅データは、表示のためにピクセル画像に内挿され、形成される。すべての処理がリアルタイムで行われるため、処理回路は、トランスデューサ要素からのデータストリームに「ついていく」ことができなければならない。
【0038】
本発明のソフトウェアベースのアーキテクチャでは、すべての入力データが処理前に格納される。これは、取得レートを処理レートと連結させず、それによって、必要に応じて処理時間を取得時間より長くすることができる。取得の深さが短く、サンプルレートが高い高周波走査において、これは、紛れもない利点である。例えば、10MHzの走査ヘッドは、約4センチメートルの使用可能な画像処理深さを有し得る。この場合、組織における音の速度は、128の送信/受信イベントのそれぞれが、非常に高い取得データレートである52ミリ秒でそのデータを取得し、格納することを決定づける。フロースルーアーキテクチャでは、こうした取得データは、高い処理レートでリアルタイムで走査線に形成されることになる。本発明のソフトウェアベースのアーキテクチャでは、RFデータの格納によって、処理に表示のフレーム周期と同じ長さかけられるようになり、それは、リアルタイムでの組織の運動の可視化では、一般に33ミリ秒である(30フレーム/秒)。128のピクセル列(走査線とほぼ同じ)の場合、これは、フロースルーアーキテクチャの52ミリ秒ではなく、列当たり258ミリ秒の処理時間を可能にすることになる。この格納戦略には、一般の走査深さのフロースルーアーキテクチャに比べて最大レートの処理をかなり下げる効果がある。
【0039】
ピクセル指向処理
入力データの格納は、最大処理レートを低減するが、処理ステップの回数を必ずしも低減するわけではない。これを達成するために、超音波データ処理の新しい手法が取られる。第1のステップは、画像処理モード時のシステムの最終目的が出力ディスプレイ上に画像を生成することであることを認識することである。超音波画像は、周波数や配列の次元など、取得システムの物理的パラメータに依存する基本的な分解能を有しており、エコー振幅や他の何らかの組織(音響)特性を符号化するピクセル値の四角形の配列として表すことができる。この四角形のピクセル配列の密度は、画像解像度の適当な空間サンプリングを提供する必要がある。表示画像は、四角形のピクセルの配列のみから成る必要はなく、異なる幾何学的形状を表す任意の組のピクセルから成ってもよいことを理解されたい。次のステップは、この画像配列におけるピクセルのうちの1つで開始し、RFデータセット内のどのサンプルポイントがこのピクセルの輝度の計算に寄与するかを検討し、それらにアクセスし、処理する最も効率的な方法を決定することである。この手法は、表示上のピクセルに寄与する情報のみが処理される必要があるため、現在のフロースルーアーキテクチャによって使用されるものとは完全に異なる手法である。本発明の手法では、小さい領域が含むピクセルは少ないため、表示画像上の小さい領域は、大きい画像領域よりかかる全処理時間が短い。これに対して、フロースルー処理方法は、画像領域サイズとは関係なく、最大データストリーム帯域幅を処理するように設計されなければならない。
【0040】
超音波画像を適切に表すために必要なピクセル配列を処理した後、配列は、表示に適したサイズでコンピュータディスプレイにレンダリングすることができる。コンピュータのグラフィックプロセッサは、追加のCPU処理を必要とせず、一般に、単なるスケーリングおよび内挿から成るこの操作を実行することができる。
【0041】
次に、超音波画像の単一のピクセルの処理戦略について考察する。この説明では、目的は、トランスデューサ配列に対するピクセルの対応する空間的位置でエコー輝度を得ることであると仮定する。他の音響パラメータを同様に取得することもできる。第1のステップは、エコー輝度計算に寄与するサンプルを含む取得RFデータの領域を見つけることである。図4の走査方法の場合にこれを達成するために、まず、ピクセル位置の交差に最も接近する取得走査線を見つけ、次いで対応する個々の要素データ配列を使用する。図5は、超音波画像におけるピクセル例のこのマッピングプロセスを示している。図5では、示されたピクセルは、最も近い取得走査線にマッピングする。最も近い取得走査線は、この場合、走査線4であり、そのRFデータは、第4の個々の要素RFデータ配列(第4の送信/受信イベントから収集されたデータを表す)にある。ピクセル信号への寄与として複数のRFデータ配列を選択することができるが、この例では、単一のデータ配列のみについて考察する。
【0042】
次のステップは、ピクセルの輝度の計算に寄与するサンプルを含む個々の要素配列内の領域を図示することである。このマッピングプロセスは、かなり複雑であり、いくつかの要因に依存する。トランスデューサ要素はそれぞれ、画像フィールド内の特定のポイントから戻される信号にどのように応答するかを決定する感度の領域を有する。感度が低すぎる場合、要素は、ピクセルの量に役立つ情報を提供しないため、所与の画像ポイントについて、所定の閾値を超える感度を有する要素のみを考慮する必要がある。次いで、この感度閾値は、マッピングされた領域内に含めるべき要素データ列の数を決定する。図5に示されているように、トランスデューサのかなり右側の要素は、マッピングされたデータ領域に含まれない。
【0043】
マッピングされたデータ領域の開始深さは、各個々のトランスデューサ要素への戻りエコーの到着時刻によって決定される。図5に示されているように、画像ポイントからかなり離れている要素の画像ポイント信号は、後で捕捉されるため、メモリにおけるデータセットの開始点はより深い。最後に、マッピングされたデータ領域に必要とされる深さ範囲は、生成された送信パルスの期間に依存する。より長い送信パルスは、より長い期間の間画像ポイントを刺激して、RFメモリのより大きい深さスパンにわたって延びるエコー信号を生成する。
【0044】
幸いにも、所与のピクセルグリッドは、リアルタイムの画像シーケンスの複数のフレームにわたって変わらないため、このグリッドについて、マッピングされたデータの領域を決定する要因の多くを予め計算しておくことができる。予め計算された要因を使用して、所与のピクセルについてのマッピングされたデータ領域は、容易に、かつ効率的に決定することができ、リアルタイムの画像処理中、かなりの計算を節約することができる。
【0045】
ピクセルがマッピングされたRFデータを選出した後、以下に示されるように、それをマトリックス、RFPnmにまとめることができる。
【数1】
【0046】
表記「Pnm」は、行nおよび列mの画像ピクセルを指す。マトリックス列は、図5の垂直バーであり、各垂直バーでのサンプル数jは同じであると仮定する。サンプル数jは、送信パルスによって生成される信号を捕捉するのに必要なRFデータ入力時間の範囲に依存する。指数kは、輝度計算に加わるのに適切な、画像ポイントからの信号強度を有するRFデータ配列内のチャネルの数である。
【0047】
ピクセルPnmの信号輝度値の計算のプロセスは、現在、最終的に信号値に至る一連のマトリックス演算から成る。計算がこのように構成されるとき、マトリックス演算の一部を代数的に結合して、計算操作をより少なくすることができることはすぐに明らかになる。特定の詳細を論じることなく、個々の要素の正しい遅延値を見つけるためのサンプルの内挿、帯域通過フィルタリング、直交検出のためのヒルベルト変換フィルタリング、および最後の加算の操作は、単一のマトリックス乗算で実行することができ、次いで、結果として得られたマトリックスを追跡する(マトリックスの追跡は、主な対角線に沿った要素の合計である。マトリックス乗算の結果の主な対角線のみが必要であるため、乗算演算は、かなり簡略化することができる)。こうした操作に必要なマトリックスの多くは、ピクセルの位置とは関係ないため、リアルタイム処理の前に事前に計算することができる。次いで、事前に計算された要素を、ピクセル位置(内挿パラメータなど)と共に動的に変わる要素と結合することによって、処理マトリックス(processing matrix)を形成することができる。固定数の内挿ステップにより、事前に計算されたベクトルの集まりから、処理マトリックスの行を選択することさえ可能である。処理マトリックスの形成に事前に計算されたデータを使用することは、この方法に必須ではないが、リアルタイム処理の処理時間を大幅に低減することができる。
【0048】
ピクセル指向処理から導出された信号値は、一般に、複雑な信号値であり、直交サンプル(quadrature sample)IおよびQによって表すことができる。画像ポイントでエコー輝度を取得するために、直交サンプルの2乗の合計の簡単な平方根を使用して、信号の大きさが計算される。(ドップラー感知の追加の処理に関して)位相情報が必要とされる場合、複雑な信号表現を保持することができる。
【0049】
この計算手法により、ピクセルの再構築された信号値を計算するのに必要な処理ステップの数は、フロースルーアーキテクチャより大幅に低減される。サンプル計算から導出される推定値は、一般の画像サイズの場合、10分の1、すなわち丸1桁もの演算の低減が可能であることを示す。さらに、必要なマトリックス演算は、単一の命令を使用して複数のデータを操作することができる現在のプロセッサのベクトル処理機能を使用して実行することができる(こうした命令は「SIMD」命令と呼ばれ、「単一命令、複数データ」の略語である。例えば、PowerPCのAltivec処理ユニットは、単一のクロックサイクル中にそれぞれ8つの16ビットサンプルを含む2つのベクトルに対する乗算および累積を行うことができる)。これらの要因によって、1つまたは複数の汎用プロセッサを使用して、超音波画像データのリアルタイム処理を行うのが実現可能になる。
【0050】
一般の画像処理走査の場合、ピクセル指向処理方法は、中間データセットを生成せず、この処理方法は、マッピングされた取得データに対する一連のマトリックス演算を介して未処理の取得されたRFデータから直接ピクセル輝度に進むことに留意することが重要である。出力画像の各ピクセルは、取得データのそれ自体の一意の領域にマッピングし、それ自体の処理マトリックスを有し、それによって生の取得データから所望の音響信号推定値への直接変換が可能になる。一般に個々のチャネルRFデータを、送信/受信光線に沿ってビーム形成されたRFサンプルに処理し、次いで表示のために走査変換される検出された振幅データセットを生成する従来のフロースルーアーキテクチャによる場合は、そうではない。ピクセル指向処理方法では、扇形式走査の場合、極座標から直交座標への変換(polar-to-rectangular coordinate conversion)を伴う走査変換の処理でさえ、単一の処理走査に含まれる。
【0051】
不規則な形状の画像データの場合、ピクセルの集まりがピクセルセットとしてレンダリングされると考えるのがより適切である。ユーザに提示された実際の表示は、次いで、表示フレームとして処理され、レンダリングされた複数のピクセルセットから成り得る。この概念は、複雑な走査形式ばかりでなく、例えばドップラー画像処理と結合される2D画像処理、時間動作画像処理(time-motion imaging)(M-mode)と結合される2D画像処理、またはスペクトルドップラー表示と結合される2D画像処理など、超音波走査の様々な標準モードを実装するのに有用である。時間動作画像処理およびスペクトルドップラーの場合、ピクセルセットは、ディスプレイにわたって連続的に移動する単一のピクセル列から成り得る。
【0052】
また、ピクセル指向の処理方法は、他のタイプの実験データを導出するために、ディスプレイ上で正確に測定することができる画像データを生成することにも留意されたい。2D画像処理では、各ピクセルは、トランスデューサとの既知の空間関係を有し、したがって、ピクセルにおける測定距離は、画像処理されるメディアにおける測定距離に容易に変換することができる。
【0053】
上記の処理方法に対する1つのあり得る障害は、バス帯域幅である。画像ポイントを計算するために、各送信イベントに関連付けられている受信されたRFデータのメモリ配列にアクセスする必要があり、このアクセスは、コンピュータの拡張バス上で行われる必要がある。最大範囲の超音波取得の場合、各メモリ配列内のすべてのサンプルが処理の必要がある場合、上記のサンプリング方法に必要な帯域幅は、フレーム当たり128×4096×(2バイト/サンプル)×(128配列)=128メガバイトであることになる(アクセスされたサンプルの第2レベルのキャッシングは、所与のフレームにおける処理に複数回を必要とするサンプルは、拡張バス上ではなく、最初のアクセスの後キャッシュからアクセスされる)。これは、30fpsで、合計3.75ギガバイト/秒のかなり大きい帯域幅になることになり、ほとんどのコンピュータバスの現在の能力の限界である(PCI-Expressバスは、16レーン拡張スロットの場合、4ギガバイト/秒の転送能力を提供する、256キロバイト/秒/レーンの最大データレートで指定される)。幸いなことに、上述した要因のため、画像ポイントを計算するのに、各メモリ配列内のサンプルのサブセットのみが必要となる。各トランスデューサ要素は、感度の有限の空間的範囲を有するため、すべての要素が所与の再構築ポイントに寄与するわけではない。さらに、ほとんどの用途の場合の一般の往復画像処理範囲は、約500〜600波長(例えば5MHzのトランスデューサでは8〜10cm)であるため、メモリ配列は、部分的に満たされるだけである。これらの要因によって、結果として、30fps画像処理の場合、約1〜2ギガバイトの一般のバス帯域幅が必要になり、これは、現在のコンピュータ拡張バスの機能内に十分含まれる。
【0054】
バス帯域幅のこれ以上の低減は、より少ない送信イベントを使用することによって達成することができ、要するに、フレームレートを向上させるためにハイエンド超音波システム上で一般に使用される技術である一種のマルチライン画像処理を意味する。送信ビームを広げて、より少ない送信/受信イベントで画像フィールドの幅をカバーすることができるため、個々の要素データ配列の数を低減することができる。この場合、行に沿った複数のピクセルは、単一の送信のビームパターン内に収まる。これらの複数のピクセルは、依然として、それ自体のマッピングされたデータ領域を有するが、この領域は、すべて同じデータ配列からのものであり、したがって、バスを介して転送する必要があるデータの量が低減する。ピクセル指向処理方法は、このタイプの画像取得および処理に容易に対応することができる。
【0055】
ピクセル指向処理方法の画質および計算速度に対処するために、シミュレーションの研究が行われている。図6および図7に、あるパターンに配列されたシミュレーションされたポイントターゲットの画像が示されている。シミュレーションされた線形のトランスデューサ配列は、1の波長間隔の128の要素から成る。シミュレーションは、波長単位であるため、超音波中心周波数とは関係ない。このシミュレーションで使用される送信パルスは、余弦重み付き3サイクルバースト(cosine weighted three cycle burst)であり、現在のトランスデューサのかなり典型的なパルス形状である。送信の焦点は、100波長で設定され、この範囲の周りのエコー振幅の増加した輝度を考慮に入れる。シミュレーションにおける画像ポイントの間隔は、1波長間隔であり、これは、この再構築の空間分解能を表すのに適当である。図7は、図6のズームされた領域(深さ50波長から130波長、水平方向32波長から96波長)の透視図を示している。画像フィールドのサブ領域の強化されたビューを再構築する能力は、ピクセル指向処理技術の別の長所である。
【0056】
高解像度ディスプレイ用のより大きい画像サイズを生成するために、追加のCPU処理を必要としない、コンピュータのグラフィックカードの処理能力を使用して、超音波画像をより大きい表示サイズに内挿することができる。このプロセスは、図6の画像を参照することによって示されており、この画像は、18560画像ポイントしか含んでいないが、ページにレンダリングするために、かなり多量のピクセル(インチ当たり300ピクセル)に内挿されている。
【0057】
これらのシミュレーション研究は、ピクセル指向処理方法の精度および速度を確認している。ビーム形成の複雑なプロセスを含めて、超音波画像処理システムの処理機能のすべてが実装されていることに留意することが重要である。処理アルゴリズムのこれ以上の最適化によって、より高い処理レートがもたらされ、それによって、より複雑な処理、または画像当たりピクセルがより多いレンダリングが可能になる。さらに、18ヶ月ごとのプロセッサ速度の倍速化により、ピクセル処理レートがかなり高まる。
【0058】
本発明のソフトウェアベースのアーキテクチャは、低コストのプラスチックポリマートランスデューサなど、非伝統的な材料および方法で構築されたトランスデューサを支持する可能性を広げる。本発明は、信号および画像形成処理から取得プロセスを完全に切り離すことによって、これを達成する。RFデータ格納メモリインターフェイスへのわずかな変更により、メモリの書き込みは、読み取り-変更-書き込みに変更することができ、これによって、入力データを、すでにメモリ内にあるデータと合計することができる。この変更によって、RF信号は、複数の同じ送信イベントにわたって平均され、システムノイズの効果を低減し、ダイナミックレンジを向上させることができる。RF信号の平均によって、重大なSNRゲインを平均振幅画像と比較することができる。
【0059】
超音波システムにおけるノイズのほとんどは、システムの電子機器回路からの熱によるおよび放射されたデジタルノイズの結果である。残りのノイズは、通常、アンテナとして働くトランスデューサによって選ばれる環境的なRFノイズである。いずれの場合でも、ノイズスペクトルは、かなり平坦であり、したがって、RF信号のシステムフィルタリングにより、ノイズは、帯域制限されたホワイトノイズとして現れる。戻り信号は、本体内を通って延びる距離を移動するにつれて減衰されるため、このノイズは、一般に、入力信号、およびしたがってシステムの浸透に適用することができる最大ゲインを決定する。
【0060】
上述したように、新しいシステムアーキテクチャと共に信号加算平均を使用することで、信号対雑音を向上させ、したがってダイナミックレンジを大幅に向上させることができる。4または5センチメートル未満など、深さが浅い場合、超音波ビームの方向ごとに複数の送信イベントを使用することが可能である。4センチメートル深さに移動するパルスの往復移動時間は、わずかに52マイクロ秒であり、それによって832マイクロ秒の16送信/受信サイクルが可能になる。(一部の例外を除いて)本体内の移動は、一般に2または3cm/秒未満であり、エコーインターフェイスは、これら16パルスのデータを取得するのにかかる時間で、ほんのわずかの波長(5MHzで約1/16波長)で動くだけである。次いで、128のビーム位置を使用する全超音波フレームは、取得するのに106ミリ秒かかり、1秒当たり10フレームの使用可能なフレームレートを提供する。取得のこの方法は、信号対雑音の4倍の向上、すなわち約12dBの向上をもたらすことが予想される。この信号対雑音の向上は、シミュレーション研究で確認されている。図8は、ピクセル指向処理方法を使用して処理された2つのシミュレートされた画像を示している。左の画像は、ビーム当たり1つの送信パルスによりRFデータから導出されたものであり、各チャネルにおいて、ポイントターゲット信号強度の約8倍の帯域制限されたホワイトノイズが追加されている。右側の画像は、RFデータに同じ信号対雑音比を使用しているが、ビーム方向当たり16個の個別の送信/受信イベントの平均から導出されている。
【0061】
トランスデューサ信号の取得における信号加算平均の実装は、たとえどのトランスデューサ材が使用されていようとも、感度および浸透の向上をもたらすはずである。例えば、極めて小さいシリコンドラムを使用して音響情報を送信する微小電気機械的シリコン装置から作られた配列の使用を容易にすることができる。最後に、PZTを使用して作られた一般のトランスデューサの場合、従来の検査における画像処理性能を犠牲にすることなく、音響電力レベルを低減することもできるはずである。
【0062】
低電力、高ダイナミックレンジ超音波画像処理の別の利点は、血流の可視化を向上させるために、微小気泡造影剤を使用できることである。一般の電力レベルは、結果的に微小気泡の迅速な破壊をもたらし、したがって、可視化研究を制限する。低電力レベルは、コントラストの寿命をより長くするはずであり、新しい臨床プロトコルを可能にし得る。
【0063】
新しいソフトウェアベースの超音波アーキテクチャの柔軟性は、標準のフロースルーアーキテクチャより優れた他の利点を提供する。上記で、標準超音波画像処理取得モードを実施するために、新しいピクセル指向処理方法をどのように使用できるかについて述べた。個々のチャネルのRFデータがメモリ内に捕捉されるため、超音波画像処理の別のモードもサポートすることができる。重要な例は、「均一照明画像処理法(uniform illumination imaging method)」または「フラッシュ送信法(flash transmit method)」と呼ばれることが多い。この手法では、全画像フィールドが単一の集束されていない送信パルスにより瞬時に検討され、続いて、トランスデューサ配列内の個々の要素からの戻されたエコー信号がメモリバッファに取得される。個々の要素データの適した処理により、これ以上の送信パルスの必要なく、画像面全体を再構築することができる。したがって、フラッシュ送信技術は、従来の方法を使用して単一の走査線を取得するのにかかる同じ時間で全画像を取得することができ、一般の走査より128倍も高い理論上のフレームレートを提供する。
【0064】
人の目の応答時間はかなり遅く、結果として、1秒当たり約30フレームを超える超音波画像処理表示レートのメリットはあまりない。しかし、小児心臓病患者の画像処理および心臓弁の動きの分析など、かなり高い取得レートを有することが望ましい用途がある。これらの用途に応えるために、フラッシュ送信画像処理技術を使用してRFデータフレームを取得することができ、これを、高取得レートでリアルタイムに連続するメモリ位置に格納することができる。リアルタイムの表示の場合、フレームを、処理および表示に関してより低いレートで取得ストリームから選択することができる。走査が停止すると、メモリ内のすべての取得フレームを処理し、通常のまたは低減された表示レートで再生することができ、これによって、迅速な組織の動きの全スローモーション分析が可能になる。
【0065】
予想できるように、フラッシュ送信画像処理技術にはいくつかの欠点がある。送信パルスが集束されないため、空間分解能に明らかに何らかの損失があるが、この損失は、水平方向の空間次元のみに制限される。また、送信エネルギーがより拡散しているため、エコー輝度に何らかの損失がある。最後に、特定の走査線に沿ってのみではなく、画像内により大きいエコーターゲットが「常に」見られるため、より小さいエコー信号のマスキングを防ぐために、高ダイナミックレンジの再構築が要求される。これらの欠陥によって、一般に、超音波システム設計者による通常の画像処理のためのフラッシュ送信再構築手法の拒否がもたらされた。
【0066】
上記の欠陥の多くを低減し、またはなくすためにフラッシュ送信再構築技術の高フレームレート機能を活用することができるという事実が見過ごされることが多い。実際に、この手法により可能な高フレームレートは、従来の画像方法では不可能であるコントラスト分解能、組織の分化、および血流の画像処理のかなりの向上をもたらす。例えば、水平方向の空間分解能の回復、およびコントラスト分解能のかなりの向上は、フラッシュ送信法による空間合成(spatial compounding)を使用して取得することができる。集束されない送信パルスの向きを複数の角度に変えて、モーションアーティファクトをもたらさないほど十分な短期間で、複数の方向からメディアターゲットを検討することができる。次いで、個々のステアリング角からの画像が結合されて、合成画像が生成される。9つもの異なる角度を使用しても、9つの送信パルスしか必要なく、10cmの画像深さ例の場合、1.2ミリ秒しかかからない。空間合成は、スペックルアーティファクト(speckle artifact)を低減し、ターゲットインターフェイス角度でエコー輝度のばらつきを平均することによって、かなりのコントラスト分解能の向上を提供することが示されている。集束されていない送信の場合、空間合成は、パルスのはるかに良い距離分解能を水平方向に折り畳むことによって、水平方向の空間分解能の損失の一部を回復することもできる。非常に短い取得時間を維持しながら、周波数合成、高調波画像処理などのコントラスト分解能を向上させる他の技術を使用することもできる。
【0067】
図9は、均一照明画像処理を使用して空間合成を実行する新しいシステムアーキテクチャの機能を例証するシミュレーションを示している。空間合成は、10度間隔で間隔が空けられた5つのステアリング角を使用する。図9の空間合成された画像を図6の「走査線」画像と比較すると、サイドローブレベルは幾分高いが、分解能は同等であることがわかる。これは、フラッシュ送信画像の取得時間が従来の画像のおおよそ1/25の時間であるという事実の観点から顕著である。図10の最も低いサイドローブレベルは、拡散し、分散されており、画像内のアーティファクトを最低限に抑えるには望ましい。実際の生きている組織では、空間合成された画像は、他の利点を示し、ターゲットの戻りの角度の依存性を低減し、スペックルアーティファクトを低減する。フラッシュ送信空間合成画像処理法は、現在のハイエンドシステムで使用できない組み合わせである、高いフレームレートで、従来の画像処理より高い組織の分化をもたらし得る。
【0068】
フラッシュ送信画像処理法の短い取得時間は、他の方法で活用することができる。新しいシステムアーキテクチャは、複数のRF格納バッファを提供するため、フラッシュ送信法の場合、これは、データの複数の完全なフレームを表し、短い画像処理シーケンスでは非常に高いフレームレートが可能である。こうしたシーケンスには、1)角度が矯正されたカラーフロー画像処理の場合、複数の角度でのフルフレームドップラーデータの捕捉、2)組織の力学的性質に関する情報を提供する、メディアへのS波面の伝搬を可視化することができるS波画像処理、3)外力に対する組織の歪応答が組織の剛度についての情報をもたらし得るエラストグラフィなど、重要な新しい使用があり得る。
【0069】
さらに、RFフレームデータの大きいバッファへのアクセスによって、特に、臨床機械におけるRFデータへのアクセスの欠如によって妨げられていた学問研究界において、新しいアルゴリズムの開発が簡単になる。フレームレートを犠牲にしてダイナミックレンジや信号対雑音比を向上させる簡単な能力は、従来の超音波システムでは容易に実施できない有用な強化となり得る。
【0070】
図12は、上述したピクセル指向処理方法における変形体をまとめたものである。図12Aは、受信されたエコー信号の、ストレージアレイに前もって格納されている信号との結合を示している。これによって、複数の送信-受信取得の信号加算平均などの機能が、受信された信号の信号対雑音およびダイナミックレンジを強化し、向上させることができる。図12Bは、ピクセル信号の一部の側面を強化するために、複数の送信-受信取得からの処理されたピクセル信号を結合する方法を示している。上記の本文では、この方法は、様々な角度からのメディアターゲットの検討を行う送信-受信取得からの画像データを結合するために使用されていた。これによって、最後の画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成がもたらされる。最後に、図12Cは、ピクセルデータセットまたは画像フレームの処理を取得プロセスから切り離すことを示している。この場合、画像の生成に必要な取得信号は、1つまたは複数の取得信号配列から成るデータセットにグループ化される。記憶領域は、円形の方法で書き込むことができるこれらのデータセットの多くを格納できるほど大きく作られる。この方法で、エコー信号データの取得は、表示に適したより低いレートでピクセル信号の処理を進めながら、音速の問題のみによって制限される高レートで実行することができる。取得が停止されると、すべてのデータセットは、スローモーション表示を提供するために、より低いレートで処理することができる。
【0071】
図11は、3Dボリューム画像処理、S波画像処理、エラストグラフィ、高ダイナミックレンジ画像処理、および高コントラスト分解能画像処理に使用できる高フレームレート画像処理、および3Dドップラーフロー画像処理、ベクトルドップラーフロー画像処理、および高フレームレート組織ドップラー画像処理に使用できる高フレームレートドップラーフロー画像処理の第2のエリアの2つのエリアに分割されるピクセル指向の処理用途の表現選択を示している。選択されたカテゴリ内のさらなる用途も図11に示されている。
【0072】
高フレームレートの用途は、均一照明またはフラッシュ送信技術と結合されたピクセル指向処理方法を活用する。3Dボリューム画像処理の場合、1つまたは複数の未集束フラッシュ送信パルスによって対象の全体積を検討することができ、それによって、空間合成または周波数合成のために複数のフレームを結合するとしても、高リアルタイムフレームレートを達成できる。エラストグラフィ画像処理の場合、高フレームレートによって、画像フィールドを伝搬する機械的S波の画像処理が可能になり、組織の弾力性に関する情報を明らかにすることができる。高ダイナミックレンジおよび高コントラスト分解能画像処理の可能性については、上述しており、ピクセル指向処理方法の信号加算平均、およびマルチフレーム処理機能を利用する。
【0073】
3Dボリューム画像処理に関するピクセル指向処理方法は、より適切にはボクセル指向処理方法と呼ばれる。これは、3Dボリューム走査の出力が、一般に、体積要素またはボクセルを含む3次元の立方体であるという事実によるものである。特定のボクセルについての音響情報を決定する処理手順は、2D画像における個々のピクセルの場合と同じである。ボクセルの空間的位置は、ボクセルの量に寄与する取得されたRFデータの領域にマッピングされ、データマトリックスが形成される。次いでデータマトリックスは、ボクセルの量を引き出すためにマトリックス演算を使用して処理される。複数の取得にわたるボクセルデータは、3Dドップラー情報を取得するために使用することもできる。
【0074】
ボクセルデータは、画像化体積を介した2次元のスライスとして、またはボリュームレンダリング透視図として表示することができる。また、3Dボリュームレンダリングがシステムまたはユーザによって決定される1つまたは複数の2次元スライスと並んで表示される、同時の表示を得ることも可能である。受信されたエコー信号データを、同時にピクセル指向およびボクセル指向の方法で処理できるため、こうした表示は可能である。
【0075】
3D画像処理は、機械で掃引された線形配列や多数の要素を含む2D配列など、より複雑なトランスデューサ配列を必要とする。この場合、取得ハードウェアは、変更を必要とし得る。多数のトランスデューサ要素をより少ない数の送信チャネルおよび受信チャネルに接続するために、一般にアナログおよび/またはデジタルのマルチプレクシングが使用される。このマルチプレクシングの一部またはすべては、時としてトランスデューサハウジングに組み込まれる。マルチプレクサは、3Dボリュームを照らす1つまたは複数の送信ビームを形成する要素を選択するために、送信時に使用される。受信時に、マルチプレクサは、1群のトランスデューサ要素を使用可能な受信取得チャネルに接続するために使用される。一部の場合、複数の取得イベントからの受信データを結合し、したがって有効な数の処理チャネルを増やすために、合成開口技術を使用することが適している。
【0076】
図11の右側は、ピクセル指向処理と結合されたフラッシュ送信方法も使用する高フレームレートドップラーフロー画像処理方法を示している。わずかな数の送信/受信サイクルのみで画像処理フィールド全体のフロー情報を取得することができる。この取得の「全体」を使用して、運動する血液細胞に関連付けられているドップラー周波数シフトを表す、各ピクセル位置での位相の変化の平均レートを計算することができる。ここでもまた、この方法を使用して達成できる高フレームレートは、3Dボリュームフロー画像処理、ベクトルドップラーフロー画像処理(血流の大きさおよび方向の検出)、および(可視性を強化するためにエコー発生性が低い運動組織によって生成されたドップラーシフトを使用する)組織ドップラー画像処理などの用途を実用的にする。組織の動きの高フレームレートの可視性は、誘導された機械的変位への応答を観察することによって、組織の弾力性を決定しようとするエラストグラフィ画像処理もサポートする。
【0077】
ピクセルおよびボクセル指向の処理方法を、多くの追加のモード、および上述したもの以外の超音波画像処理の用途に適用できることを理解されたい。したがって、上記の説明は、処理方法の範囲を制限するためのものではなく、むしろ、様々な既存のおよび新しい潜在的な用途をサポートするためにこの方法をどのように使用できるかを示すために提供されている。
【0078】
本明細書において参照される、かつ/または出願データ用紙に列挙されるすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許出版物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
上記から、本発明の特定の実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の意図および範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができることを理解されたい。例えば、ピクセルまたはボクセル音響情報を生成するための上記の処理操作は、マトリックス演算を使用して実施されているが、処理ステップの一部またはすべてを達成するために標準の数学的演算、またはハードウェアベースの処理方法でさえ使用することができることを理解されたい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて制限されない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像処理アーキテクチャに関し、より詳細には、ピクセル指向処理技術を使用して、超音波データを捕捉、処理し、そこから画像を生成するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像処理は、多種多様の疾病の様子および状態を診断するのに効果的なツールに発展した。超音波機器の市場は、画質および様々なタイプの組織を分化する能力の向上によって刺激され、長年にわたって安定成長を経験している。残念ながら、大幅な導入には機器のコストが高すぎる、超音波システムの多くの用途が依然として存在する。例えば、乳癌検出、前立腺画像処理、筋骨格画像処理、インターベンショナルラジオロジーなどの応用分野などがある。これらおよび他の分野では、超音波画像処理の診断効果は、様々な組織タイプの分化および識別に優れた空間分解能およびコントラスト分解能に依存する。これらの性能能力は、より広範な処理能力を有するより高価な超音波システムにのみ見られる。
【0003】
超音波画像処理は、特に、それぞれ一意の信号処理を必要とする128以上ものトランスデューサ要素を使用する配列システムでは、常に広範な信号および画像処理方法を必要としていた。この10年は、市場の最下層のものを除くほぼすべてのシステムにおけるデジタル信号処理の精度および柔軟性の改善への移行が見られた。この移行は、高度に集積されたデジタル回路を使用することによって、長期的にはシステムコストの低減の可能性がある。残念ながら、超音波システムの製造量が少ないことによって、こうした一意の回路のかなりのオーバーヘッドおよび固定費を招く結果となり、したがって、デジタル信号処理への移行によってシステム費が大幅には削減されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波システムは、デジタル処理技術を徐々に採用しつつあるが、そのアーキテクチャは、アナログの等価物から大幅には変わっていない。市販されているほぼすべての現在のシステムは、図1Aおよび1Bに示されるように、信号およびデータが1つのモジュールから次のモジュールに流れるモジュール式「フロースルー」アーキテクチャ(modular "flow-through" architecture)を使用している。これは、超音波画像形成および処理のかなりの複雑性を扱う自然な方法であり、個別の開発チームがある程度個々のモジュールと関係なく働くことができる。図1Aは、一般に超音波システムで実行される3種類の情報処理、すなわち通常の2D画像処理のためのエコー画像処理、血流速測定のためのドップラー処理、および血流のリアルタイムの画像処理のためのカラーフロー画像処理(color flow image processing)を示している。
【0005】
フロースルーアーキテクチャの主な欠点は、各モジュールがそれ自体の処理を実行できるようになる前に前のモジュールからのその入力データを待ち続ける必要があることである。次いでモジュールは、その結果を次のモジュールに送り出す必要がある。図1Aに示されているブロック内でさえ、連続して行われる多くの個々の処理ステップがある。システム処理のレートは、チェーンにおける最も遅い処理機能のレートによって決定されるため、すべての処理ブロックは、走査ヘッドが動かされるに従って画像がディスプレイに表示されるのを見るのが遅れないように、最低限の待ち時間で高速で行う必要がある。
【0006】
フロースルーアーキテクチャの別の欠点は、リソースを非効率に使用することである。ほとんどの超音波検査は、主に2Dエコー画像処理のみで実行され、ドップラー血流速測定またはカラーフロー画像処理の使用は時々にすぎない。これは、これらの機能を実行するのに必要な複雑で高価なハードウェア処理モジュールは、他のタスクで使用できないため、だいたいの場合、遊んでいることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開示された実施形態では、市販のCPUで実行されるソフトウェアにおいてすべての信号処理および画像形成を実行する超音波画像処理方法およびシステムを対象とする。この手法に必要な唯一のカスタムハードウェアは、音響パルスの送信、データ収集、およびトランスデューサから受信された信号の信号調整のためのものである。この目的を達成するために、画像の形成に必要な処理ステップの回数を低減し、システムの待ち時間をなくすために、超音波システムの処理アーキテクチャの根本的な変更を必要とする。また、所望の処理スループットを達成するためのCPUの処理リソースの最大限の使用も必要とする。重要な利点として、新しいアーキテクチャによって、低コストの走査ヘッド設計に新しいトランスデューサ材を使用する可能性を広げる、システムのダイナミックレンジの向上が可能になる。さらに、重要な新しい診断情報を提供し得る新しいモードの獲得が可能になる。
【0008】
開示されたソフトウェアベースの超音波システムアーキテクチャは、設計を商用コンピュータマザーボード周辺に基づかせることによって、コンピュータ業界からの高容量、低コストの処理技術を活用する。一部の現在の超音波システムは、コンピュータマザーボードをその設計に組み込んでいるが、コンピュータは、ユーザインターフェイスおよび一部のシステム制御のみに使用され、任意のリアルタイム処理タスクに関与しない。開示されたアーキテクチャでは、コンピュータマザーボードは、補足するのではなく、ほとんどすべての既存のハードウェアに取って代わる。汎用プラットフォーム上のソフトウェアにシステムを基づかせることによって、最低限のシステムコストで、柔軟性、高性能画像処理システムが提供される。この手法にはカスタム集積回路は必要なく、これによってシステムの複雑性および製品化までの時間が短縮される。さらに、コンピュータ業界によってCPU処理能力のこれ以上の向上が実現されるに従って、システムによってこうした向上が容易に採用されて、画像処理の性能の強化、または新しい運転モードおよび情報の抽出の提供が可能になる。
【0009】
ソフトウェアベースの超音波アーキテクチャの実現の成功は、超音波システムのコスト/性能比における市場の進歩を表す。おそらく、これは、診断効果のために高い画像解像度および組織の分化を求める、コストに左右されやすい用途における超音波の使用を大幅に増やすことができる。さらに、低いシステムコストおよび処理の柔軟性は、超音波がまだ重要な役割を果たしていない新しい専門応用分野を広げるはずである。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、音響信号を生成し、複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこからエコー信号を取得し、複数の受信要素のそれぞれからの各エコー信号を格納し、所与のピクセルを格納されたエコー信号の領域にマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のピクセルの配列にまとめ、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列を処理し、信号応答を使用して所与のピクセルの音響情報を取得することを含む超音波処理方法が提供される。
【0011】
上記の実施形態の別の態様によれば、音響信号を生成するトランスデューサの視野内の領域(area)を表すために選択された1組(一連)の所与のピクセル(所与のピクセルセット)であって、その視野内の領域において配列の組の中の所与のピクセルのそれぞれが複数の受信要素との既知の空間的関係を有するピクセル生成することを含む最初のステップが提供される。好ましくは、この方法は、配列内の所与のピクセルの音響情報から画像を生成することも含む。
【0012】
上記の実施形態の別の態様によれば、音響情報は、それだけには限定されないが、空間データを測定し、表示する、時間データを測定し、表示する、血流データを測定し、表示する、および音響信号または音響送信波(acoustic transmit wave)によってもたらされる誘導された機械的変位に応答した組織の変位を測定し、表示することを含む、上記の内の1つまたは複数の処理のために使用することができる。
【0013】
上記の実施形態の別の態様によれば、この方法は、複数の音響信号を生成し、複数の音響信号からエコーを受信し、そこから得られた音響情報を強化するために、複数の生成および受信のサイクルにわたって受信されたエコーを結合することを含む。
【0014】
上記の実施形態の別の態様によれば、格納されたエコー信号が結合され、平均される。さらに、信号応答は、格納されているエコー信号の平均を含む。
【0015】
上記の実施形態の別の態様によれば、この方法は、強化された音響情報を導出するために、配列の複数の処理の結果を結合することを含む。
【0016】
上記の実施形態の別の態様によれば、強化された音響情報は、そこから生成された最後の画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む。さらに、結合された信号は、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す。
【0017】
上記の実施形態の別の態様によれば、エコー信号の受信、取得、および格納は、配列を処理するレートより高いレートで行われる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、音響信号を生成し、複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこからエコー信号を取得し、複数の受信要素のそれぞれからの各エコー信号を格納し、所与のボクセルを格納されたエコー信号の領域にマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のボクセルの配列にまとめ、所与のボクセルの信号応答を生成するように配列を処理し、信号応答を使用して所与のボクセルの3次元音響情報を取得することを含む超音波処理方法が提供される。
【0019】
上記の実施形態の別の態様によれば、上述した第1の実施形態の特徴はすべて、本発明のこの第2の実施形態に当てはまる。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、複数の受信要素から受信された音響エコー信号を格納し、所与のピクセルを格納されたエコー信号の領域にマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のピクセルの配列にまとめ、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列に対する操作を行い、信号応答を使用して所与のピクセルの音響情報を取得することを含む音響エコーを処理する方法が提供される。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュール、およびモジュールと通信し、モジュールから受信された格納されているエコー信号の領域に所与のピクセルをマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のピクセルの配列にまとめ、所与のピクセルの信号応答を生成するように配列に対する操作を行い、信号応答を使用して所与のピクセルの音響情報を取得するように構成されている処理手段を含む超音波処理システムが提供される。
【0022】
上記の実施形態の別の態様によれば、処理手段は、1組の所与のピクセルを最初に生成し、その組の中の所与の各ピクセルがモジュール内の受信要素との既知の空間的関係を有するように構成されている。理想では、処理手段は、配列内の所与のピクセルの音響情報から画像を生成するように構成されている。代わりに、またはそれとの組み合わせで、コンピュータディスプレイ上で、印刷された形で、または当業者に既知の別の形で画像を生成する処理手段から信号応答を受信する、画像を表示する手段が提供される。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信要素で音響信号の少なくとも1つのエコーを受信してそこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュールと、モジュールと通信し、モジュールから受信された格納されているエコー信号の領域に所与のボクセルをマッピングし、格納されたエコー信号のマッピングされた領域を所与のボクセルの配列にまとめ、所与のボクセルの信号応答を生成するように配列に対する操作を行い、信号応答を使用して所与のボクセルの音響情報を取得するように構成されている処理手段とを含む超音波処理システムが提供される。
【0024】
本発明の上記の実施形態の別に態様によれば、複数の2D画像平面がリアルタイムの3Dデータセットの任意のスライスとして表示される。
【0025】
本発明の上記の実施形態の別の態様によれば、複数の2Dの任意の画像平面スライスおよび3Dレンダリングがリアルタイムに表示される。
【0026】
上記から容易に理解できるように、市販のコンピューティングプラットフォームに実装されるソフトウェアベースの超音波システムアーキテクチャへの変更の利点には、
・ハードウェアのコストがかなり低くなる
・カスタム集積回路(ASIC)の長い設計サイクルを回避することによって、開発コストがより低くなり、製品化までの時間が短縮される
・コスト/性能の直接の活用によってコンピュータ技術を進歩させる
・商業および学術の環境における多くの新しい処理手法の開発が柔軟になる
・コストに左右されやすい応用分野の場合、画質の向上に基づいて診断能力が増す。
・コストが採用の障害であった専門分野での超音波の利用が増加する
などがある。
【0027】
本発明の上記および他の特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明を以下の図面と併せ読めば、より容易に、またより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】既知のフロースルー超音波画像形成アーキテクチャの略図(1)である。
【図1B】既知のフロースルー超音波画像形成アーキテクチャの略図(2)である。
【図2】本発明の一実施形態のソフトウェアベースのアーキテクチャの略図である。
【図3】本発明の一実施形態に従って形成されるプラグインモジュールの図である。
【図4】本発明に従って形成される128要素線形配列の取得データの略図である。
【図5】本発明のピクセルマッピングプロセスの図である。
【図6】本発明のピクセル指向シミュレーションから得られるターゲットポイントの画像である。
【図7】図6からのデータの等角表現である。
【図8】本発明のピクセル指向シミュレーションから得られるターゲットポイントの2つの画像の並列比較である。
【図9】本発明のピクセル指向シミュレーションから得られるターゲットポイントの空間合成画像である。
【図10】図9からのデータの等角表現である。
【図11】本発明のピクセル指向画像処理方法の代表的な用途を示すブロック図である。
【図12A】代替の処理方法(1)を示す図である。
【図12B】代替の処理方法(2)を示す図である。
【図12C】代替の処理方法(3)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態によるソフトウェアベースの方法およびシステムアーキテクチャは、ソフトウェアにすべてのリアルタイム処理機能を実装する。図2に、提案されたアーキテクチャが概略的に示されている。
【0030】
ソフトウェアベースのシステムにおける唯一のカスタムハードウェア構成要素は、パルス生成および信号取得回路、および信号データの格納に使用される拡張メモリの大きいブロックを含むコンピュータの拡張バスへのプラグインモジュールである。信号取得プロセスは、送信パルスに続いてトランスデューサ要素のそれぞれから戻された信号を増幅し、デジタル化することから成る。一般に、トランスデューサ自体によって提供される自然な帯域フィルタリング以外のデジタル化以前の信号の唯一のフィルタリングは、A/D変換のためのローパスアンチエイリアジングフィルタリングである。信号は、関与する周波数と一致する一定のレートでサンプリングされ、デジタル化されたデータは、最低限の処理によりメモリに格納される。信号取得の簡単な設計によって、回路を、在庫の構成要素によって比較的少量のボード面積で実装することができる。
【0031】
図3に、プラグインモジュールにおけるより詳細な外観が示されている。複数の取得チャネルが示されており、それぞれ、送信機、受信機前置増幅器、A/D変換器、およびメモリブロックから成る。受信中、トランスデューサ信号は、デジタル化され、個々のメモリブロックに直接書き込まれる。メモリブロックは、デュアルポートであり、デュアルポートとは、メモリブロックをコンピュータ側から読み取ることができると同時に、取得データをA/D変換器側から書き込むことができることを意味する。メモリブロックは、システムCPUへの通常の拡張メモリのように見える。システムは、カスタムエンクロージャに収納されることが好ましいので、プラグインモジュールのサイズは、標準コンピュータ拡張カードの通常のサイズに制限されないことに留意されたい。また、複数のプラグインモジュールは、多量のトランスデューサ要素を収納するために使用することができ、各モジュールは、トランスデューサの開口のサブセットを処理する。
【0032】
増幅器、A/D変換器、および関連のインターフェイス回路を含むプラグインモジュールの構成要素、および送信パルス生成および信号取得に必要な構成要素は、容易に市場で入手できる構成要素であり、ここでは詳しく説明しない。受信されたエコーから取得されたエコー信号のRFデータ格納に必要なメモリブロックは、本質的に、市販されているプラグイン拡張メモリカードに見られるものと同じ回路であり、それに、デジタル化された信号データを書き込むための第2の直接メモリアクセスポートが追加されているものである(受信されたエコー信号データは、トランスデューサによって生成された高周波電気振動(high frequency electrical oscillation)から成るため、一般にRFデータと呼ばれている)。メモリは、中央プロセッサのアドレス空間にマッピングされ、コンピュータマザーボードに配置されている他のCPUメモリと同じようにアクセスすることができる。メモリのサイズは、最高で256以上の個別の送信/受信サイクルの間、個々のチャネル受信データを収容することができるようなサイズである。本体内の超音波パルスの往復移動間の実際の浸透の最大深さは、約500波長であるため、中心周波数の4倍の一般的なサンプリングレートは、個々のトランスデューサ要素からの4000ものサンプルの記憶領域を必要とする。16ビットのサンプリング精度および128のトランスデューサチャネルの場合、最大深さの受信データ収集は、送信/受信イベントごとに約1メガバイトの記憶領域を必要とする。したがって、256のイベントを格納するには、256MBの記憶領域を必要とし、わずかなプラグインカード上に、総計で128チャネルシステムが構築され得る。
【0033】
ソフトウェアベースの超音波システムの別の態様は、コンピュータマザーボードおよびその関連の構成要素である。提案された設計のマザーボードは、好ましくは、必要な処理能力を得るために、マルチプロセッサCPU構成をサポートする必要がある。電源装置、メモリ、ハードディスクストレージ、DVD/CD-RWドライブ、およびモニタを備えた完全なマルチプロセッサコンピュータシステムは、当業者にはよく知られており、市場で容易に購入することができ、詳しくは説明しない。
【0034】
ソフトウェアベースの超音波システムは、ヘルスケア業界に重要な利益を提供するために、既存のハイエンドシステムに匹敵する画質を意味する「高性能」を真に達成する必要がある。このレベルの性能は、単に現在のシステムのフロースルー処理方法をソフトウェア実装に変換することによって達成することはできない。というのは、フロースルーアーキテクチャにおける1秒のリアルタイムの画像処理に必要なすべての処理操作の単純な追加は、いくつかの汎用プロセッサで現在達成可能な1秒当たりの一般的な操作数を超える数の操作を加えるからである。したがって、フロースルー方法よりかなり大きい効率を達成する新しい処理方法が必要となる。
【0035】
本発明のソフトウェアベースの超音波システムアーキテクチャの一実施形態では、信号および画像処理の入力データは、1つまたは複数の送信イベントに続いて個々のトランスデューサチャネルから取得されるRFサンプルの組から成る。一例として、図4に示されている128要素線形トランスデューサ配列による一般の2D画像処理走査モードについて考察する。
【0036】
この場合、「送信イベント」は、トランスデューサ上の特定の要素位置の原点から外側に広がる集束された超音波ビームを形成するためにメディアに一体化する複数の音波を生成するための複数のトランスデューサ要素からの時限パルス(timed pulse)から成る。複数の送信イベント(全部で128)は、トランスデューサ面の幅にわたって増分的に連続的に発せられる超音波ビームを生成し、したがって画像フレーム全体の検討を行う。こうした送信ビームごとに、受信されたエコーデータは、トランスデューサの128の受信要素のそれぞれから収集され、各列が対応するトランスデューサ要素によって受信されたサンプリングされたエコー信号を表す1つのデータ配列にまとめられる。したがって、各配列は、128のトランスデューサ要素に対応する128列、および取得された詳細なサンプル数に対応している行数(この場合、結果として4096サンプルとなる4096行を想定する)を有する。次いで、こうした128のデータ配列は、1つの完全な画像フレームを生成するのに十分なRFデータセットを構成する。
【0037】
フロースルーアーキテクチャにおいては、トランスデューサからデータが流れるに従ってビームおよび画像形成が行われるため、上述したRFデータセットが存在さえしない(少なくともある時に全体は存在しない)ことは注目に値する。言い換えれば、データは、送信イベントの後、各要素に戻るに従って、処理され、結合され(ビーム形成と呼ばれる)て、信号光(走査線)をたどる集束された戻りを表す単一のRF信号を生成する。このRF信号は、エコー振幅サンプルに処理され(この場合もリアルタイムで)、メモリ配列に格納される。すべてのビーム方向が処理されると、エコー振幅データは、表示のためにピクセル画像に内挿され、形成される。すべての処理がリアルタイムで行われるため、処理回路は、トランスデューサ要素からのデータストリームに「ついていく」ことができなければならない。
【0038】
本発明のソフトウェアベースのアーキテクチャでは、すべての入力データが処理前に格納される。これは、取得レートを処理レートと連結させず、それによって、必要に応じて処理時間を取得時間より長くすることができる。取得の深さが短く、サンプルレートが高い高周波走査において、これは、紛れもない利点である。例えば、10MHzの走査ヘッドは、約4センチメートルの使用可能な画像処理深さを有し得る。この場合、組織における音の速度は、128の送信/受信イベントのそれぞれが、非常に高い取得データレートである52ミリ秒でそのデータを取得し、格納することを決定づける。フロースルーアーキテクチャでは、こうした取得データは、高い処理レートでリアルタイムで走査線に形成されることになる。本発明のソフトウェアベースのアーキテクチャでは、RFデータの格納によって、処理に表示のフレーム周期と同じ長さかけられるようになり、それは、リアルタイムでの組織の運動の可視化では、一般に33ミリ秒である(30フレーム/秒)。128のピクセル列(走査線とほぼ同じ)の場合、これは、フロースルーアーキテクチャの52ミリ秒ではなく、列当たり258ミリ秒の処理時間を可能にすることになる。この格納戦略には、一般の走査深さのフロースルーアーキテクチャに比べて最大レートの処理をかなり下げる効果がある。
【0039】
ピクセル指向処理
入力データの格納は、最大処理レートを低減するが、処理ステップの回数を必ずしも低減するわけではない。これを達成するために、超音波データ処理の新しい手法が取られる。第1のステップは、画像処理モード時のシステムの最終目的が出力ディスプレイ上に画像を生成することであることを認識することである。超音波画像は、周波数や配列の次元など、取得システムの物理的パラメータに依存する基本的な分解能を有しており、エコー振幅や他の何らかの組織(音響)特性を符号化するピクセル値の四角形の配列として表すことができる。この四角形のピクセル配列の密度は、画像解像度の適当な空間サンプリングを提供する必要がある。表示画像は、四角形のピクセルの配列のみから成る必要はなく、異なる幾何学的形状を表す任意の組のピクセルから成ってもよいことを理解されたい。次のステップは、この画像配列におけるピクセルのうちの1つで開始し、RFデータセット内のどのサンプルポイントがこのピクセルの輝度の計算に寄与するかを検討し、それらにアクセスし、処理する最も効率的な方法を決定することである。この手法は、表示上のピクセルに寄与する情報のみが処理される必要があるため、現在のフロースルーアーキテクチャによって使用されるものとは完全に異なる手法である。本発明の手法では、小さい領域が含むピクセルは少ないため、表示画像上の小さい領域は、大きい画像領域よりかかる全処理時間が短い。これに対して、フロースルー処理方法は、画像領域サイズとは関係なく、最大データストリーム帯域幅を処理するように設計されなければならない。
【0040】
超音波画像を適切に表すために必要なピクセル配列を処理した後、配列は、表示に適したサイズでコンピュータディスプレイにレンダリングすることができる。コンピュータのグラフィックプロセッサは、追加のCPU処理を必要とせず、一般に、単なるスケーリングおよび内挿から成るこの操作を実行することができる。
【0041】
次に、超音波画像の単一のピクセルの処理戦略について考察する。この説明では、目的は、トランスデューサ配列に対するピクセルの対応する空間的位置でエコー輝度を得ることであると仮定する。他の音響パラメータを同様に取得することもできる。第1のステップは、エコー輝度計算に寄与するサンプルを含む取得RFデータの領域を見つけることである。図4の走査方法の場合にこれを達成するために、まず、ピクセル位置の交差に最も接近する取得走査線を見つけ、次いで対応する個々の要素データ配列を使用する。図5は、超音波画像におけるピクセル例のこのマッピングプロセスを示している。図5では、示されたピクセルは、最も近い取得走査線にマッピングする。最も近い取得走査線は、この場合、走査線4であり、そのRFデータは、第4の個々の要素RFデータ配列(第4の送信/受信イベントから収集されたデータを表す)にある。ピクセル信号への寄与として複数のRFデータ配列を選択することができるが、この例では、単一のデータ配列のみについて考察する。
【0042】
次のステップは、ピクセルの輝度の計算に寄与するサンプルを含む個々の要素配列内の領域を図示することである。このマッピングプロセスは、かなり複雑であり、いくつかの要因に依存する。トランスデューサ要素はそれぞれ、画像フィールド内の特定のポイントから戻される信号にどのように応答するかを決定する感度の領域を有する。感度が低すぎる場合、要素は、ピクセルの量に役立つ情報を提供しないため、所与の画像ポイントについて、所定の閾値を超える感度を有する要素のみを考慮する必要がある。次いで、この感度閾値は、マッピングされた領域内に含めるべき要素データ列の数を決定する。図5に示されているように、トランスデューサのかなり右側の要素は、マッピングされたデータ領域に含まれない。
【0043】
マッピングされたデータ領域の開始深さは、各個々のトランスデューサ要素への戻りエコーの到着時刻によって決定される。図5に示されているように、画像ポイントからかなり離れている要素の画像ポイント信号は、後で捕捉されるため、メモリにおけるデータセットの開始点はより深い。最後に、マッピングされたデータ領域に必要とされる深さ範囲は、生成された送信パルスの期間に依存する。より長い送信パルスは、より長い期間の間画像ポイントを刺激して、RFメモリのより大きい深さスパンにわたって延びるエコー信号を生成する。
【0044】
幸いにも、所与のピクセルグリッドは、リアルタイムの画像シーケンスの複数のフレームにわたって変わらないため、このグリッドについて、マッピングされたデータの領域を決定する要因の多くを予め計算しておくことができる。予め計算された要因を使用して、所与のピクセルについてのマッピングされたデータ領域は、容易に、かつ効率的に決定することができ、リアルタイムの画像処理中、かなりの計算を節約することができる。
【0045】
ピクセルがマッピングされたRFデータを選出した後、以下に示されるように、それをマトリックス、RFPnmにまとめることができる。
【数1】
【0046】
表記「Pnm」は、行nおよび列mの画像ピクセルを指す。マトリックス列は、図5の垂直バーであり、各垂直バーでのサンプル数jは同じであると仮定する。サンプル数jは、送信パルスによって生成される信号を捕捉するのに必要なRFデータ入力時間の範囲に依存する。指数kは、輝度計算に加わるのに適切な、画像ポイントからの信号強度を有するRFデータ配列内のチャネルの数である。
【0047】
ピクセルPnmの信号輝度値の計算のプロセスは、現在、最終的に信号値に至る一連のマトリックス演算から成る。計算がこのように構成されるとき、マトリックス演算の一部を代数的に結合して、計算操作をより少なくすることができることはすぐに明らかになる。特定の詳細を論じることなく、個々の要素の正しい遅延値を見つけるためのサンプルの内挿、帯域通過フィルタリング、直交検出のためのヒルベルト変換フィルタリング、および最後の加算の操作は、単一のマトリックス乗算で実行することができ、次いで、結果として得られたマトリックスを追跡する(マトリックスの追跡は、主な対角線に沿った要素の合計である。マトリックス乗算の結果の主な対角線のみが必要であるため、乗算演算は、かなり簡略化することができる)。こうした操作に必要なマトリックスの多くは、ピクセルの位置とは関係ないため、リアルタイム処理の前に事前に計算することができる。次いで、事前に計算された要素を、ピクセル位置(内挿パラメータなど)と共に動的に変わる要素と結合することによって、処理マトリックス(processing matrix)を形成することができる。固定数の内挿ステップにより、事前に計算されたベクトルの集まりから、処理マトリックスの行を選択することさえ可能である。処理マトリックスの形成に事前に計算されたデータを使用することは、この方法に必須ではないが、リアルタイム処理の処理時間を大幅に低減することができる。
【0048】
ピクセル指向処理から導出された信号値は、一般に、複雑な信号値であり、直交サンプル(quadrature sample)IおよびQによって表すことができる。画像ポイントでエコー輝度を取得するために、直交サンプルの2乗の合計の簡単な平方根を使用して、信号の大きさが計算される。(ドップラー感知の追加の処理に関して)位相情報が必要とされる場合、複雑な信号表現を保持することができる。
【0049】
この計算手法により、ピクセルの再構築された信号値を計算するのに必要な処理ステップの数は、フロースルーアーキテクチャより大幅に低減される。サンプル計算から導出される推定値は、一般の画像サイズの場合、10分の1、すなわち丸1桁もの演算の低減が可能であることを示す。さらに、必要なマトリックス演算は、単一の命令を使用して複数のデータを操作することができる現在のプロセッサのベクトル処理機能を使用して実行することができる(こうした命令は「SIMD」命令と呼ばれ、「単一命令、複数データ」の略語である。例えば、PowerPCのAltivec処理ユニットは、単一のクロックサイクル中にそれぞれ8つの16ビットサンプルを含む2つのベクトルに対する乗算および累積を行うことができる)。これらの要因によって、1つまたは複数の汎用プロセッサを使用して、超音波画像データのリアルタイム処理を行うのが実現可能になる。
【0050】
一般の画像処理走査の場合、ピクセル指向処理方法は、中間データセットを生成せず、この処理方法は、マッピングされた取得データに対する一連のマトリックス演算を介して未処理の取得されたRFデータから直接ピクセル輝度に進むことに留意することが重要である。出力画像の各ピクセルは、取得データのそれ自体の一意の領域にマッピングし、それ自体の処理マトリックスを有し、それによって生の取得データから所望の音響信号推定値への直接変換が可能になる。一般に個々のチャネルRFデータを、送信/受信光線に沿ってビーム形成されたRFサンプルに処理し、次いで表示のために走査変換される検出された振幅データセットを生成する従来のフロースルーアーキテクチャによる場合は、そうではない。ピクセル指向処理方法では、扇形式走査の場合、極座標から直交座標への変換(polar-to-rectangular coordinate conversion)を伴う走査変換の処理でさえ、単一の処理走査に含まれる。
【0051】
不規則な形状の画像データの場合、ピクセルの集まりがピクセルセットとしてレンダリングされると考えるのがより適切である。ユーザに提示された実際の表示は、次いで、表示フレームとして処理され、レンダリングされた複数のピクセルセットから成り得る。この概念は、複雑な走査形式ばかりでなく、例えばドップラー画像処理と結合される2D画像処理、時間動作画像処理(time-motion imaging)(M-mode)と結合される2D画像処理、またはスペクトルドップラー表示と結合される2D画像処理など、超音波走査の様々な標準モードを実装するのに有用である。時間動作画像処理およびスペクトルドップラーの場合、ピクセルセットは、ディスプレイにわたって連続的に移動する単一のピクセル列から成り得る。
【0052】
また、ピクセル指向の処理方法は、他のタイプの実験データを導出するために、ディスプレイ上で正確に測定することができる画像データを生成することにも留意されたい。2D画像処理では、各ピクセルは、トランスデューサとの既知の空間関係を有し、したがって、ピクセルにおける測定距離は、画像処理されるメディアにおける測定距離に容易に変換することができる。
【0053】
上記の処理方法に対する1つのあり得る障害は、バス帯域幅である。画像ポイントを計算するために、各送信イベントに関連付けられている受信されたRFデータのメモリ配列にアクセスする必要があり、このアクセスは、コンピュータの拡張バス上で行われる必要がある。最大範囲の超音波取得の場合、各メモリ配列内のすべてのサンプルが処理の必要がある場合、上記のサンプリング方法に必要な帯域幅は、フレーム当たり128×4096×(2バイト/サンプル)×(128配列)=128メガバイトであることになる(アクセスされたサンプルの第2レベルのキャッシングは、所与のフレームにおける処理に複数回を必要とするサンプルは、拡張バス上ではなく、最初のアクセスの後キャッシュからアクセスされる)。これは、30fpsで、合計3.75ギガバイト/秒のかなり大きい帯域幅になることになり、ほとんどのコンピュータバスの現在の能力の限界である(PCI-Expressバスは、16レーン拡張スロットの場合、4ギガバイト/秒の転送能力を提供する、256キロバイト/秒/レーンの最大データレートで指定される)。幸いなことに、上述した要因のため、画像ポイントを計算するのに、各メモリ配列内のサンプルのサブセットのみが必要となる。各トランスデューサ要素は、感度の有限の空間的範囲を有するため、すべての要素が所与の再構築ポイントに寄与するわけではない。さらに、ほとんどの用途の場合の一般の往復画像処理範囲は、約500〜600波長(例えば5MHzのトランスデューサでは8〜10cm)であるため、メモリ配列は、部分的に満たされるだけである。これらの要因によって、結果として、30fps画像処理の場合、約1〜2ギガバイトの一般のバス帯域幅が必要になり、これは、現在のコンピュータ拡張バスの機能内に十分含まれる。
【0054】
バス帯域幅のこれ以上の低減は、より少ない送信イベントを使用することによって達成することができ、要するに、フレームレートを向上させるためにハイエンド超音波システム上で一般に使用される技術である一種のマルチライン画像処理を意味する。送信ビームを広げて、より少ない送信/受信イベントで画像フィールドの幅をカバーすることができるため、個々の要素データ配列の数を低減することができる。この場合、行に沿った複数のピクセルは、単一の送信のビームパターン内に収まる。これらの複数のピクセルは、依然として、それ自体のマッピングされたデータ領域を有するが、この領域は、すべて同じデータ配列からのものであり、したがって、バスを介して転送する必要があるデータの量が低減する。ピクセル指向処理方法は、このタイプの画像取得および処理に容易に対応することができる。
【0055】
ピクセル指向処理方法の画質および計算速度に対処するために、シミュレーションの研究が行われている。図6および図7に、あるパターンに配列されたシミュレーションされたポイントターゲットの画像が示されている。シミュレーションされた線形のトランスデューサ配列は、1の波長間隔の128の要素から成る。シミュレーションは、波長単位であるため、超音波中心周波数とは関係ない。このシミュレーションで使用される送信パルスは、余弦重み付き3サイクルバースト(cosine weighted three cycle burst)であり、現在のトランスデューサのかなり典型的なパルス形状である。送信の焦点は、100波長で設定され、この範囲の周りのエコー振幅の増加した輝度を考慮に入れる。シミュレーションにおける画像ポイントの間隔は、1波長間隔であり、これは、この再構築の空間分解能を表すのに適当である。図7は、図6のズームされた領域(深さ50波長から130波長、水平方向32波長から96波長)の透視図を示している。画像フィールドのサブ領域の強化されたビューを再構築する能力は、ピクセル指向処理技術の別の長所である。
【0056】
高解像度ディスプレイ用のより大きい画像サイズを生成するために、追加のCPU処理を必要としない、コンピュータのグラフィックカードの処理能力を使用して、超音波画像をより大きい表示サイズに内挿することができる。このプロセスは、図6の画像を参照することによって示されており、この画像は、18560画像ポイントしか含んでいないが、ページにレンダリングするために、かなり多量のピクセル(インチ当たり300ピクセル)に内挿されている。
【0057】
これらのシミュレーション研究は、ピクセル指向処理方法の精度および速度を確認している。ビーム形成の複雑なプロセスを含めて、超音波画像処理システムの処理機能のすべてが実装されていることに留意することが重要である。処理アルゴリズムのこれ以上の最適化によって、より高い処理レートがもたらされ、それによって、より複雑な処理、または画像当たりピクセルがより多いレンダリングが可能になる。さらに、18ヶ月ごとのプロセッサ速度の倍速化により、ピクセル処理レートがかなり高まる。
【0058】
本発明のソフトウェアベースのアーキテクチャは、低コストのプラスチックポリマートランスデューサなど、非伝統的な材料および方法で構築されたトランスデューサを支持する可能性を広げる。本発明は、信号および画像形成処理から取得プロセスを完全に切り離すことによって、これを達成する。RFデータ格納メモリインターフェイスへのわずかな変更により、メモリの書き込みは、読み取り-変更-書き込みに変更することができ、これによって、入力データを、すでにメモリ内にあるデータと合計することができる。この変更によって、RF信号は、複数の同じ送信イベントにわたって平均され、システムノイズの効果を低減し、ダイナミックレンジを向上させることができる。RF信号の平均によって、重大なSNRゲインを平均振幅画像と比較することができる。
【0059】
超音波システムにおけるノイズのほとんどは、システムの電子機器回路からの熱によるおよび放射されたデジタルノイズの結果である。残りのノイズは、通常、アンテナとして働くトランスデューサによって選ばれる環境的なRFノイズである。いずれの場合でも、ノイズスペクトルは、かなり平坦であり、したがって、RF信号のシステムフィルタリングにより、ノイズは、帯域制限されたホワイトノイズとして現れる。戻り信号は、本体内を通って延びる距離を移動するにつれて減衰されるため、このノイズは、一般に、入力信号、およびしたがってシステムの浸透に適用することができる最大ゲインを決定する。
【0060】
上述したように、新しいシステムアーキテクチャと共に信号加算平均を使用することで、信号対雑音を向上させ、したがってダイナミックレンジを大幅に向上させることができる。4または5センチメートル未満など、深さが浅い場合、超音波ビームの方向ごとに複数の送信イベントを使用することが可能である。4センチメートル深さに移動するパルスの往復移動時間は、わずかに52マイクロ秒であり、それによって832マイクロ秒の16送信/受信サイクルが可能になる。(一部の例外を除いて)本体内の移動は、一般に2または3cm/秒未満であり、エコーインターフェイスは、これら16パルスのデータを取得するのにかかる時間で、ほんのわずかの波長(5MHzで約1/16波長)で動くだけである。次いで、128のビーム位置を使用する全超音波フレームは、取得するのに106ミリ秒かかり、1秒当たり10フレームの使用可能なフレームレートを提供する。取得のこの方法は、信号対雑音の4倍の向上、すなわち約12dBの向上をもたらすことが予想される。この信号対雑音の向上は、シミュレーション研究で確認されている。図8は、ピクセル指向処理方法を使用して処理された2つのシミュレートされた画像を示している。左の画像は、ビーム当たり1つの送信パルスによりRFデータから導出されたものであり、各チャネルにおいて、ポイントターゲット信号強度の約8倍の帯域制限されたホワイトノイズが追加されている。右側の画像は、RFデータに同じ信号対雑音比を使用しているが、ビーム方向当たり16個の個別の送信/受信イベントの平均から導出されている。
【0061】
トランスデューサ信号の取得における信号加算平均の実装は、たとえどのトランスデューサ材が使用されていようとも、感度および浸透の向上をもたらすはずである。例えば、極めて小さいシリコンドラムを使用して音響情報を送信する微小電気機械的シリコン装置から作られた配列の使用を容易にすることができる。最後に、PZTを使用して作られた一般のトランスデューサの場合、従来の検査における画像処理性能を犠牲にすることなく、音響電力レベルを低減することもできるはずである。
【0062】
低電力、高ダイナミックレンジ超音波画像処理の別の利点は、血流の可視化を向上させるために、微小気泡造影剤を使用できることである。一般の電力レベルは、結果的に微小気泡の迅速な破壊をもたらし、したがって、可視化研究を制限する。低電力レベルは、コントラストの寿命をより長くするはずであり、新しい臨床プロトコルを可能にし得る。
【0063】
新しいソフトウェアベースの超音波アーキテクチャの柔軟性は、標準のフロースルーアーキテクチャより優れた他の利点を提供する。上記で、標準超音波画像処理取得モードを実施するために、新しいピクセル指向処理方法をどのように使用できるかについて述べた。個々のチャネルのRFデータがメモリ内に捕捉されるため、超音波画像処理の別のモードもサポートすることができる。重要な例は、「均一照明画像処理法(uniform illumination imaging method)」または「フラッシュ送信法(flash transmit method)」と呼ばれることが多い。この手法では、全画像フィールドが単一の集束されていない送信パルスにより瞬時に検討され、続いて、トランスデューサ配列内の個々の要素からの戻されたエコー信号がメモリバッファに取得される。個々の要素データの適した処理により、これ以上の送信パルスの必要なく、画像面全体を再構築することができる。したがって、フラッシュ送信技術は、従来の方法を使用して単一の走査線を取得するのにかかる同じ時間で全画像を取得することができ、一般の走査より128倍も高い理論上のフレームレートを提供する。
【0064】
人の目の応答時間はかなり遅く、結果として、1秒当たり約30フレームを超える超音波画像処理表示レートのメリットはあまりない。しかし、小児心臓病患者の画像処理および心臓弁の動きの分析など、かなり高い取得レートを有することが望ましい用途がある。これらの用途に応えるために、フラッシュ送信画像処理技術を使用してRFデータフレームを取得することができ、これを、高取得レートでリアルタイムに連続するメモリ位置に格納することができる。リアルタイムの表示の場合、フレームを、処理および表示に関してより低いレートで取得ストリームから選択することができる。走査が停止すると、メモリ内のすべての取得フレームを処理し、通常のまたは低減された表示レートで再生することができ、これによって、迅速な組織の動きの全スローモーション分析が可能になる。
【0065】
予想できるように、フラッシュ送信画像処理技術にはいくつかの欠点がある。送信パルスが集束されないため、空間分解能に明らかに何らかの損失があるが、この損失は、水平方向の空間次元のみに制限される。また、送信エネルギーがより拡散しているため、エコー輝度に何らかの損失がある。最後に、特定の走査線に沿ってのみではなく、画像内により大きいエコーターゲットが「常に」見られるため、より小さいエコー信号のマスキングを防ぐために、高ダイナミックレンジの再構築が要求される。これらの欠陥によって、一般に、超音波システム設計者による通常の画像処理のためのフラッシュ送信再構築手法の拒否がもたらされた。
【0066】
上記の欠陥の多くを低減し、またはなくすためにフラッシュ送信再構築技術の高フレームレート機能を活用することができるという事実が見過ごされることが多い。実際に、この手法により可能な高フレームレートは、従来の画像方法では不可能であるコントラスト分解能、組織の分化、および血流の画像処理のかなりの向上をもたらす。例えば、水平方向の空間分解能の回復、およびコントラスト分解能のかなりの向上は、フラッシュ送信法による空間合成(spatial compounding)を使用して取得することができる。集束されない送信パルスの向きを複数の角度に変えて、モーションアーティファクトをもたらさないほど十分な短期間で、複数の方向からメディアターゲットを検討することができる。次いで、個々のステアリング角からの画像が結合されて、合成画像が生成される。9つもの異なる角度を使用しても、9つの送信パルスしか必要なく、10cmの画像深さ例の場合、1.2ミリ秒しかかからない。空間合成は、スペックルアーティファクト(speckle artifact)を低減し、ターゲットインターフェイス角度でエコー輝度のばらつきを平均することによって、かなりのコントラスト分解能の向上を提供することが示されている。集束されていない送信の場合、空間合成は、パルスのはるかに良い距離分解能を水平方向に折り畳むことによって、水平方向の空間分解能の損失の一部を回復することもできる。非常に短い取得時間を維持しながら、周波数合成、高調波画像処理などのコントラスト分解能を向上させる他の技術を使用することもできる。
【0067】
図9は、均一照明画像処理を使用して空間合成を実行する新しいシステムアーキテクチャの機能を例証するシミュレーションを示している。空間合成は、10度間隔で間隔が空けられた5つのステアリング角を使用する。図9の空間合成された画像を図6の「走査線」画像と比較すると、サイドローブレベルは幾分高いが、分解能は同等であることがわかる。これは、フラッシュ送信画像の取得時間が従来の画像のおおよそ1/25の時間であるという事実の観点から顕著である。図10の最も低いサイドローブレベルは、拡散し、分散されており、画像内のアーティファクトを最低限に抑えるには望ましい。実際の生きている組織では、空間合成された画像は、他の利点を示し、ターゲットの戻りの角度の依存性を低減し、スペックルアーティファクトを低減する。フラッシュ送信空間合成画像処理法は、現在のハイエンドシステムで使用できない組み合わせである、高いフレームレートで、従来の画像処理より高い組織の分化をもたらし得る。
【0068】
フラッシュ送信画像処理法の短い取得時間は、他の方法で活用することができる。新しいシステムアーキテクチャは、複数のRF格納バッファを提供するため、フラッシュ送信法の場合、これは、データの複数の完全なフレームを表し、短い画像処理シーケンスでは非常に高いフレームレートが可能である。こうしたシーケンスには、1)角度が矯正されたカラーフロー画像処理の場合、複数の角度でのフルフレームドップラーデータの捕捉、2)組織の力学的性質に関する情報を提供する、メディアへのS波面の伝搬を可視化することができるS波画像処理、3)外力に対する組織の歪応答が組織の剛度についての情報をもたらし得るエラストグラフィなど、重要な新しい使用があり得る。
【0069】
さらに、RFフレームデータの大きいバッファへのアクセスによって、特に、臨床機械におけるRFデータへのアクセスの欠如によって妨げられていた学問研究界において、新しいアルゴリズムの開発が簡単になる。フレームレートを犠牲にしてダイナミックレンジや信号対雑音比を向上させる簡単な能力は、従来の超音波システムでは容易に実施できない有用な強化となり得る。
【0070】
図12は、上述したピクセル指向処理方法における変形体をまとめたものである。図12Aは、受信されたエコー信号の、ストレージアレイに前もって格納されている信号との結合を示している。これによって、複数の送信-受信取得の信号加算平均などの機能が、受信された信号の信号対雑音およびダイナミックレンジを強化し、向上させることができる。図12Bは、ピクセル信号の一部の側面を強化するために、複数の送信-受信取得からの処理されたピクセル信号を結合する方法を示している。上記の本文では、この方法は、様々な角度からのメディアターゲットの検討を行う送信-受信取得からの画像データを結合するために使用されていた。これによって、最後の画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成がもたらされる。最後に、図12Cは、ピクセルデータセットまたは画像フレームの処理を取得プロセスから切り離すことを示している。この場合、画像の生成に必要な取得信号は、1つまたは複数の取得信号配列から成るデータセットにグループ化される。記憶領域は、円形の方法で書き込むことができるこれらのデータセットの多くを格納できるほど大きく作られる。この方法で、エコー信号データの取得は、表示に適したより低いレートでピクセル信号の処理を進めながら、音速の問題のみによって制限される高レートで実行することができる。取得が停止されると、すべてのデータセットは、スローモーション表示を提供するために、より低いレートで処理することができる。
【0071】
図11は、3Dボリューム画像処理、S波画像処理、エラストグラフィ、高ダイナミックレンジ画像処理、および高コントラスト分解能画像処理に使用できる高フレームレート画像処理、および3Dドップラーフロー画像処理、ベクトルドップラーフロー画像処理、および高フレームレート組織ドップラー画像処理に使用できる高フレームレートドップラーフロー画像処理の第2のエリアの2つのエリアに分割されるピクセル指向の処理用途の表現選択を示している。選択されたカテゴリ内のさらなる用途も図11に示されている。
【0072】
高フレームレートの用途は、均一照明またはフラッシュ送信技術と結合されたピクセル指向処理方法を活用する。3Dボリューム画像処理の場合、1つまたは複数の未集束フラッシュ送信パルスによって対象の全体積を検討することができ、それによって、空間合成または周波数合成のために複数のフレームを結合するとしても、高リアルタイムフレームレートを達成できる。エラストグラフィ画像処理の場合、高フレームレートによって、画像フィールドを伝搬する機械的S波の画像処理が可能になり、組織の弾力性に関する情報を明らかにすることができる。高ダイナミックレンジおよび高コントラスト分解能画像処理の可能性については、上述しており、ピクセル指向処理方法の信号加算平均、およびマルチフレーム処理機能を利用する。
【0073】
3Dボリューム画像処理に関するピクセル指向処理方法は、より適切にはボクセル指向処理方法と呼ばれる。これは、3Dボリューム走査の出力が、一般に、体積要素またはボクセルを含む3次元の立方体であるという事実によるものである。特定のボクセルについての音響情報を決定する処理手順は、2D画像における個々のピクセルの場合と同じである。ボクセルの空間的位置は、ボクセルの量に寄与する取得されたRFデータの領域にマッピングされ、データマトリックスが形成される。次いでデータマトリックスは、ボクセルの量を引き出すためにマトリックス演算を使用して処理される。複数の取得にわたるボクセルデータは、3Dドップラー情報を取得するために使用することもできる。
【0074】
ボクセルデータは、画像化体積を介した2次元のスライスとして、またはボリュームレンダリング透視図として表示することができる。また、3Dボリュームレンダリングがシステムまたはユーザによって決定される1つまたは複数の2次元スライスと並んで表示される、同時の表示を得ることも可能である。受信されたエコー信号データを、同時にピクセル指向およびボクセル指向の方法で処理できるため、こうした表示は可能である。
【0075】
3D画像処理は、機械で掃引された線形配列や多数の要素を含む2D配列など、より複雑なトランスデューサ配列を必要とする。この場合、取得ハードウェアは、変更を必要とし得る。多数のトランスデューサ要素をより少ない数の送信チャネルおよび受信チャネルに接続するために、一般にアナログおよび/またはデジタルのマルチプレクシングが使用される。このマルチプレクシングの一部またはすべては、時としてトランスデューサハウジングに組み込まれる。マルチプレクサは、3Dボリュームを照らす1つまたは複数の送信ビームを形成する要素を選択するために、送信時に使用される。受信時に、マルチプレクサは、1群のトランスデューサ要素を使用可能な受信取得チャネルに接続するために使用される。一部の場合、複数の取得イベントからの受信データを結合し、したがって有効な数の処理チャネルを増やすために、合成開口技術を使用することが適している。
【0076】
図11の右側は、ピクセル指向処理と結合されたフラッシュ送信方法も使用する高フレームレートドップラーフロー画像処理方法を示している。わずかな数の送信/受信サイクルのみで画像処理フィールド全体のフロー情報を取得することができる。この取得の「全体」を使用して、運動する血液細胞に関連付けられているドップラー周波数シフトを表す、各ピクセル位置での位相の変化の平均レートを計算することができる。ここでもまた、この方法を使用して達成できる高フレームレートは、3Dボリュームフロー画像処理、ベクトルドップラーフロー画像処理(血流の大きさおよび方向の検出)、および(可視性を強化するためにエコー発生性が低い運動組織によって生成されたドップラーシフトを使用する)組織ドップラー画像処理などの用途を実用的にする。組織の動きの高フレームレートの可視性は、誘導された機械的変位への応答を観察することによって、組織の弾力性を決定しようとするエラストグラフィ画像処理もサポートする。
【0077】
ピクセルおよびボクセル指向の処理方法を、多くの追加のモード、および上述したもの以外の超音波画像処理の用途に適用できることを理解されたい。したがって、上記の説明は、処理方法の範囲を制限するためのものではなく、むしろ、様々な既存のおよび新しい潜在的な用途をサポートするためにこの方法をどのように使用できるかを示すために提供されている。
【0078】
本明細書において参照される、かつ/または出願データ用紙に列挙されるすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許出版物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
上記から、本発明の特定の実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の意図および範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができることを理解されたい。例えば、ピクセルまたはボクセル音響情報を生成するための上記の処理操作は、マトリックス演算を使用して実施されているが、処理ステップの一部またはすべてを達成するために標準の数学的演算、またはハードウェアベースの処理方法でさえ使用することができることを理解されたい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて制限されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波処理方法であって、
複数の受信素子を有するトランスデューサを用いて、メディアに入り込む音響信号を生成することと、
前記トランスデューサの複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこからエコー信号を取得することと、
前記複数の受信素子のそれぞれからの各エコー信号を格納することと、
前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のピクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記所与のピクセルを前記格納されたエコー信号のサブセットにマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成することと、
前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のピクセルの配列にまとめることと、
前記所与のピクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列を処理することと、
前記信号応答を使用して、前記所与のピクセルの音響情報を取得することと
を含む方法。
【請求項2】
前記音響信号を生成する前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの領域を表すために選択された所与のピクセルセットであって、前記視野内の領域において前記所与のピクセルセットの中の全ての所与のピクセルが、前記トランスデューサ内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有する、ピクセルセットを生成する最初のステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめることは、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することであって、各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記格納された信号の配列を処理することは、個々の受信素子に関する遅延値を判定するためのサンプル内挿と、帯域通過フィルタリングと、直交検出のためのヒルバート変換フィルタリングと、最終加算とを含む演算であって、マトリック上で少なくとも1つの行列演算を実行することと、前記少なくとも1つの行列演算によって得られる複合信号の大きさを取得することと、を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記音響情報を使用して、少なくとも1つの空間データと時間データを測定し、表示することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記音響情報を使用して、血流データを測定し、表示することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
音響信号によってもたらされた誘導された機械的変位に対する組織変位応答を測定し、表示することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
複数の音響信号を生成することと、前記複数の音響信号からエコーを受信することと、そこから得られた音響情報を強化するために、複数の生成および受信のサイクルにわたって受信されたエコーを結合することとを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の音響信号からエコーを受信することが、前記受信されたエコーからエコー信号を取得し、前記エコー信号を格納することを含み、前記受信されたエコーを結合することが、前記格納されたエコー信号を結合することを含み、前記結合された格納されたエコー信号を平均することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記信号応答が前記エコー信号の平均を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
強化された音響情報を導出するために、音響信号を生成し、エコーを受信し、前記受信されたエコーからエコー信号を取得し、ピクセル信号を取得するように前記エコー信号を処理する複数のサイクルの結果を結合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の処理ステップにおいて前記格納されたエコー信号を処理し、強化された音響情報を取得するために前記処理結果を結合することをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記強化された音響情報が、最終的な画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記強化された音響情報が、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す信号応答を含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記受信されたエコーが、前記配列の処理のレートより高いレートで格納される請求項8に記載の方法。
【請求項16】
超音波処理方法であって、
複数の受信素子を有するトランスデューサを用いて、メディアに入り込む音響信号を生成することと、
前記トランスデューサの複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこからエコー信号を取得することと、
前記複数の受信素子のそれぞれからの各エコー信号を格納することと、
前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のボクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記所与のボクセルを前記格納されたエコー信号の領域にマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成することと、
前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のボクセルの配列にまとめることと、
前記所与のボクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列を処理することと、
前記信号応答を使用して、前記所与のボクセルの3次元音響情報を取得することと
を含む方法。
【請求項17】
前記音響信号を生成する前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの体積を表すために選択された所与のボクセルセットであって、前記視野内の領域において前記所与のピクセルセットにおけるすべての所与のボクセルが、前記トランスデューサ内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するボクセルセットを生成する最初のステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめることは、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のボクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することであって、各行は、所与のボクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の音響信号を生成することと、前記複数の音響信号からエコーを受信して対応するエコー信号を取得することと、そこから取得された音響情報を強化するために、生成し、受信し、格納する複数のサイクルにわたって前記エコー信号から取得されたボクセル信号を結合することとを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記強化された音響情報が、運動する血液細胞または組織に関連付けられているドップラー情報を表す請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記音響情報を使用して、指向性3Dドップラーフローデータ(directional 3D Doppler flow data)を表示することをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
音響エコーを処理する方法であって、
トランスデューサ内の複数の受信素子から受信された音響エコー信号を格納することと、
前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のピクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記所与のピクセルを前記格納されたエコー信号の領域にマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成することと、
前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のピクセルの配列にまとめることと、
前記所与のピクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列に対する操作を行うことと、
前記信号応答を使用して、前記所与のピクセルの音響情報を取得することと
を含む方法。
【請求項23】
前記音響信号を生成する前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの領域を表すために選択された所与のピクセルセットであって、前記視野内の領域において前記配列のセットの中の所与のピクセルの全てが、前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するピクセルセットを生成する最初のステップを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめることは、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することであって、各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
超音波処理システムであって、
メディアに入り込む音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュールと、
前記モジュールと通信し、前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のピクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記モジュールから受信された格納されているエコー信号のサブセットに前記所与のピクセルをマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成し、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のピクセルの配列にまとめ、前記所与のピクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列に対する処理を行い、前記信号応答を使用して前記所与のピクセルの音響情報を取得するように構成されているプロセッサと、
を含むシステム。
【請求項26】
前記プロセッサが、前記モジュールの視野内にある前記メディアの領域を表すために選択された所与のピクセルセットであって、前記視野内の領域において前記所与のピクセルセットの中の所与の全てのピクセルが前記モジュール内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するピクセルセットを生成するように構成されている請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
さらに、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列する手段を有し、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめ、
各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記プロセッサは、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめるに際し、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列し、
各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記プロセッサは、個々の受信素子に関する遅延値を判定するためのサンプル内挿と、帯域通過フィルタリングと、直交検出のためのヒルバート変換フィルタリングと、最終加算とを含む演算であって、マトリック上で少なくとも1つの行列演算を実行し、前記少なくとも1つの行列演算によって得られる複合信号の大きさを取得して、前記格納された信号の配列を処理する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサが、少なくとも1つの空間データと時間データを測定し、表示するように構成されている請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記プロセッサが、血流データを測定し、表示するように構成されている請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記プロセッサが、音響信号によってもたらされた誘導された機械的変位に対する組織応答を測定し、表示するように構成されている請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記処理手段が、複数の音響信号を生成し、前記複数の音響信号からエコーを受信してそこからエコー信号を取得し、前記エコー信号を格納し、そこから取得された前記音響情報を強化するために、生成し、受信し、格納する複数のサイクルにわたって前記格納されたエコー信号を結合するように構成されている請求項26に記載のシステム。
【請求項34】
前記結合されたエコー信号が平均される請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記配列の処理から生成された前記信号応答が前記格納されたエコー信号の平均を含む請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記処理手段が、前記配列を処理し、さらに強化された音響情報を取得するために複数の処理ステップの結果を結合する複数のステップを実行するように構成されている請求項26に記載のシステム。
【請求項37】
前記さらに強化された音響情報が、最終的な画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記さらに強化された音響情報が、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
前記プロセッサが、前記配列の処理のレートより高いレートでエコー信号を受信し、取得し、格納するように構成されている請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
超音波処理システムであって、
メディアに入り込む音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュールと、
前記モジュールと通信し、前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のボクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記モジュールから受信された格納されているエコー信号のサブセットに前記所与のボクセルをマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成し、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のボクセルの配列にまとめ、前記所与のボクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列に対する処理を行い、前記信号応答を使用して前記所与のボクセルの音響情報を取得するように構成されている処理手段と
を含むシステム。
【請求項41】
前記処理手段が、前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの体積を表すために選択された1セットの所与のボクセルを生成し、前記1セットの中の所与の各ボクセルが前記トランスデューサ内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するように構成されている請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
さらに、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のボクセルに対するマトリックス状の行と列に配列し、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめる手段を有し、
各行は、所与のボクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記処理手段が、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のボクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することにより、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめ、
各行は、所与のボクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記処理手段が、個々の受信素子に関する遅延値を判定するためのサンプル内挿と、帯域通過フィルタリングと、直交検出のためのヒルバート変換フィルタリングと、最終加算とを含む演算であって、マトリック上で少なくとも1つの行列演算を実行し、前記少なくとも1つの行列演算によって得られる複合信号の大きさを取得することにより、前記格納された信号の配列を処理する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記処理手段が、少なくとも1つの空間データと時間データを測定し、表示するように構成されている請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記処理手段が、血流データを測定し、表示するように構成されている請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
前記処理手段が、音響信号によってもたらされた誘導された機械的変位に対する組織応答を測定し、表示するように構成されている請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記受信されたエコーが、そこから取得された前記音響情報を強化するために、生成し、受信し、格納する複数のサイクルにわたって結合される請求項41に記載のシステム。
【請求項49】
前記結合されたエコー信号が平均される請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記信号応答が前記格納されたエコー信号の平均を含む請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記処理手段が、前記配列を処理し、さらに強化された音響情報を取得するために複数の処理ステップの結果を結合する複数のステップを実行するように構成されている請求項41に記載のシステム。
【請求項52】
前記さらに強化された音響情報が、最終的な画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記さらに強化された音響情報が、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記処理手段が、前記配列の処理のレートより高いレートでエコー信号を受信し、取得し、格納するように構成されている請求項51に記載のシステム。
【請求項1】
超音波処理方法であって、
複数の受信素子を有するトランスデューサを用いて、メディアに入り込む音響信号を生成することと、
前記トランスデューサの複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこからエコー信号を取得することと、
前記複数の受信素子のそれぞれからの各エコー信号を格納することと、
前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のピクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記所与のピクセルを前記格納されたエコー信号のサブセットにマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成することと、
前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のピクセルの配列にまとめることと、
前記所与のピクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列を処理することと、
前記信号応答を使用して、前記所与のピクセルの音響情報を取得することと
を含む方法。
【請求項2】
前記音響信号を生成する前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの領域を表すために選択された所与のピクセルセットであって、前記視野内の領域において前記所与のピクセルセットの中の全ての所与のピクセルが、前記トランスデューサ内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有する、ピクセルセットを生成する最初のステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめることは、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することであって、各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記格納された信号の配列を処理することは、個々の受信素子に関する遅延値を判定するためのサンプル内挿と、帯域通過フィルタリングと、直交検出のためのヒルバート変換フィルタリングと、最終加算とを含む演算であって、マトリック上で少なくとも1つの行列演算を実行することと、前記少なくとも1つの行列演算によって得られる複合信号の大きさを取得することと、を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記音響情報を使用して、少なくとも1つの空間データと時間データを測定し、表示することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記音響情報を使用して、血流データを測定し、表示することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
音響信号によってもたらされた誘導された機械的変位に対する組織変位応答を測定し、表示することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
複数の音響信号を生成することと、前記複数の音響信号からエコーを受信することと、そこから得られた音響情報を強化するために、複数の生成および受信のサイクルにわたって受信されたエコーを結合することとを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の音響信号からエコーを受信することが、前記受信されたエコーからエコー信号を取得し、前記エコー信号を格納することを含み、前記受信されたエコーを結合することが、前記格納されたエコー信号を結合することを含み、前記結合された格納されたエコー信号を平均することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記信号応答が前記エコー信号の平均を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
強化された音響情報を導出するために、音響信号を生成し、エコーを受信し、前記受信されたエコーからエコー信号を取得し、ピクセル信号を取得するように前記エコー信号を処理する複数のサイクルの結果を結合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の処理ステップにおいて前記格納されたエコー信号を処理し、強化された音響情報を取得するために前記処理結果を結合することをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記強化された音響情報が、最終的な画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記強化された音響情報が、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す信号応答を含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記受信されたエコーが、前記配列の処理のレートより高いレートで格納される請求項8に記載の方法。
【請求項16】
超音波処理方法であって、
複数の受信素子を有するトランスデューサを用いて、メディアに入り込む音響信号を生成することと、
前記トランスデューサの複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこからエコー信号を取得することと、
前記複数の受信素子のそれぞれからの各エコー信号を格納することと、
前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のボクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記所与のボクセルを前記格納されたエコー信号の領域にマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成することと、
前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のボクセルの配列にまとめることと、
前記所与のボクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列を処理することと、
前記信号応答を使用して、前記所与のボクセルの3次元音響情報を取得することと
を含む方法。
【請求項17】
前記音響信号を生成する前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの体積を表すために選択された所与のボクセルセットであって、前記視野内の領域において前記所与のピクセルセットにおけるすべての所与のボクセルが、前記トランスデューサ内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するボクセルセットを生成する最初のステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめることは、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のボクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することであって、各行は、所与のボクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の音響信号を生成することと、前記複数の音響信号からエコーを受信して対応するエコー信号を取得することと、そこから取得された音響情報を強化するために、生成し、受信し、格納する複数のサイクルにわたって前記エコー信号から取得されたボクセル信号を結合することとを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記強化された音響情報が、運動する血液細胞または組織に関連付けられているドップラー情報を表す請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記音響情報を使用して、指向性3Dドップラーフローデータ(directional 3D Doppler flow data)を表示することをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
音響エコーを処理する方法であって、
トランスデューサ内の複数の受信素子から受信された音響エコー信号を格納することと、
前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のピクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記所与のピクセルを前記格納されたエコー信号の領域にマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成することと、
前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のピクセルの配列にまとめることと、
前記所与のピクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列に対する操作を行うことと、
前記信号応答を使用して、前記所与のピクセルの音響情報を取得することと
を含む方法。
【請求項23】
前記音響信号を生成する前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの領域を表すために選択された所与のピクセルセットであって、前記視野内の領域において前記配列のセットの中の所与のピクセルの全てが、前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するピクセルセットを生成する最初のステップを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめることは、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することであって、各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
超音波処理システムであって、
メディアに入り込む音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュールと、
前記モジュールと通信し、前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のピクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記モジュールから受信された格納されているエコー信号のサブセットに前記所与のピクセルをマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成し、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のピクセルの配列にまとめ、前記所与のピクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列に対する処理を行い、前記信号応答を使用して前記所与のピクセルの音響情報を取得するように構成されているプロセッサと、
を含むシステム。
【請求項26】
前記プロセッサが、前記モジュールの視野内にある前記メディアの領域を表すために選択された所与のピクセルセットであって、前記視野内の領域において前記所与のピクセルセットの中の所与の全てのピクセルが前記モジュール内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するピクセルセットを生成するように構成されている請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
さらに、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列する手段を有し、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめ、
各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記プロセッサは、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめるに際し、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のピクセルに対するマトリックス状の行と列に配列し、
各行は、所与のピクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記プロセッサは、個々の受信素子に関する遅延値を判定するためのサンプル内挿と、帯域通過フィルタリングと、直交検出のためのヒルバート変換フィルタリングと、最終加算とを含む演算であって、マトリック上で少なくとも1つの行列演算を実行し、前記少なくとも1つの行列演算によって得られる複合信号の大きさを取得して、前記格納された信号の配列を処理する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサが、少なくとも1つの空間データと時間データを測定し、表示するように構成されている請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記プロセッサが、血流データを測定し、表示するように構成されている請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記プロセッサが、音響信号によってもたらされた誘導された機械的変位に対する組織応答を測定し、表示するように構成されている請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記処理手段が、複数の音響信号を生成し、前記複数の音響信号からエコーを受信してそこからエコー信号を取得し、前記エコー信号を格納し、そこから取得された前記音響情報を強化するために、生成し、受信し、格納する複数のサイクルにわたって前記格納されたエコー信号を結合するように構成されている請求項26に記載のシステム。
【請求項34】
前記結合されたエコー信号が平均される請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記配列の処理から生成された前記信号応答が前記格納されたエコー信号の平均を含む請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記処理手段が、前記配列を処理し、さらに強化された音響情報を取得するために複数の処理ステップの結果を結合する複数のステップを実行するように構成されている請求項26に記載のシステム。
【請求項37】
前記さらに強化された音響情報が、最終的な画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記さらに強化された音響情報が、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
前記プロセッサが、前記配列の処理のレートより高いレートでエコー信号を受信し、取得し、格納するように構成されている請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
超音波処理システムであって、
メディアに入り込む音響信号を生成し、モジュール内の複数の受信素子で前記音響信号の少なくとも1つのエコーを受信し、そこから複数のエコー信号を取得するように構成されているモジュールと、
前記モジュールと通信し、前記複数の受信素子に帰還する前記エコー信号のうちどれが所与のボクセルと関連する音響情報に寄与するか判定することにより、前記モジュールから受信された格納されているエコー信号のサブセットに前記所与のボクセルをマッピングし、前記所与の音響情報に寄与すると判定される前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを形成し、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを前記所与のボクセルの配列にまとめ、前記所与のボクセルの信号応答を生成するように前記格納されたエコー信号の前記配列に対する処理を行い、前記信号応答を使用して前記所与のボクセルの音響情報を取得するように構成されている処理手段と
を含むシステム。
【請求項41】
前記処理手段が、前記トランスデューサの視野内にある前記メディアの体積を表すために選択された1セットの所与のボクセルを生成し、前記1セットの中の所与の各ボクセルが前記トランスデューサ内の前記複数の受信素子に対して、前記メディアにおいて既知の空間的関係を有するように構成されている請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
さらに、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のボクセルに対するマトリックス状の行と列に配列し、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめる手段を有し、
各行は、所与のボクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記処理手段が、前記格納されたエコー信号の前記マッピングされたサブセットを、各所与のボクセルに対するマトリックス状の行と列に配列することにより、前記格納されたエコー信号のマッピングされたサブセットを配列にまとめ、
各行は、所与のボクセルにおいて前記音響信号の応答に寄与する受信素子からのエコー信号のサンプルを含み、前記列の数は、寄与するエコー信号の時間範囲を表す、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記処理手段が、個々の受信素子に関する遅延値を判定するためのサンプル内挿と、帯域通過フィルタリングと、直交検出のためのヒルバート変換フィルタリングと、最終加算とを含む演算であって、マトリック上で少なくとも1つの行列演算を実行し、前記少なくとも1つの行列演算によって得られる複合信号の大きさを取得することにより、前記格納された信号の配列を処理する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記処理手段が、少なくとも1つの空間データと時間データを測定し、表示するように構成されている請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記処理手段が、血流データを測定し、表示するように構成されている請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
前記処理手段が、音響信号によってもたらされた誘導された機械的変位に対する組織応答を測定し、表示するように構成されている請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記受信されたエコーが、そこから取得された前記音響情報を強化するために、生成し、受信し、格納する複数のサイクルにわたって結合される請求項41に記載のシステム。
【請求項49】
前記結合されたエコー信号が平均される請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記信号応答が前記格納されたエコー信号の平均を含む請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記処理手段が、前記配列を処理し、さらに強化された音響情報を取得するために複数の処理ステップの結果を結合する複数のステップを実行するように構成されている請求項41に記載のシステム。
【請求項52】
前記さらに強化された音響情報が、最終的な画像のコントラスト分解能を向上させる空間合成を含む請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記さらに強化された音響情報が、運動する組織または運動する血液細胞に関連付けられているドップラー情報を表す請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記処理手段が、前記配列の処理のレートより高いレートでエコー信号を受信し、取得し、格納するように構成されている請求項51に記載のシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【公開番号】特開2012−187418(P2012−187418A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113443(P2012−113443)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2008−506744(P2008−506744)の分割
【原出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(507339788)ヴェラゾニックス,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2008−506744(P2008−506744)の分割
【原出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(507339788)ヴェラゾニックス,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]