説明

ピッキング設備

【課題】本発明は、ピッキング作業の効率を改善できるピッキング設備を提供することを目的とする。
【解決手段】コンベヤ31を4個の集品容器20を順に移動可能な構成とし、各集品容器20に対応した停止位置に、各集品容器20への仕分けを指示する第1投入表示器22を設け、第1投入表示器22を順に点灯させて各容器20への集品を指示するとともに、次に集品予定の容器20を指示する構成とする。この構成によれば、作業者に対して第1投入表示器22により順に集品を実行する容器20が指示され、さらに次に集品予定の容器20が指示されることにより、作業者は、次に集品が予定される容器20を予め確認でき、また次の集品があることを確認でき、よって作業者はピッキング作業のスピードをコントロールすることができ、作業者の負担を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング棚からラインを移動する容器へ物品を仕分けるピッキング設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記ピッキング設備では、仕分け先(ユーザーや店舗など)毎の集品容器(バケットやコンテナなど)をラインのコンベヤ装置で搬送し、この集品容器に対して、物品を収納したピッキング棚(仕分け棚の一例)の各区画収納空間から、各区画収納空間毎に設けられたピッキング表示器(仕分け表示手段の一例)の表示(出庫数量などの情報)に従って作業者が物品を仕分けることにより(ピッキングして投入することにより)、仕分け先毎の物品のピッキング作業が行われている。
【0003】
また上記ピッキング棚には所定の複数の区画収納空間を有する間口が設定され、さらに一つまたは複数の間口により一人または二人の作業者が処理する仕分けエリア(ピッキングゾーン)が設定され、各作業者は自分の仕分けエリア内へタクト送りされてきた複数の各集品容器へそれぞれ上述したピッキング作業を行っている。全ての仕分けエリアでのピッキング作業が終了すると、複数の集品容器は隣接する下流の仕分けエリアへ搬送され、次のピッキング作業が実行される。
【0004】
また自分の仕分けエリア内へタクト送りされてきた集品容器に対するピッキング作業が、他の仕分けエリアのピッキング作業より早く終了すると、次の集品容器が送られてくるまでに作業待ちの時間(手待ち時間)が発生する。そこで、ピッキング作業の効率を向上させる目的で、手待ち時間を利用して次に送られてくる集品容器に投入する物品のピッキングを行うこと(先行ピッキングと称される)が行われている。この先行ピッキングでは、コンベヤ装置の前に仮置き台を設置し、次の集品容器に投入する物品を収納した区画収納空間をピッキング表示器により表示させ、作業者はこのピッキング表示器の表示に従って物品をこの区画収納空間よりピッキングして仮置き台に仮置きし、次の集品容器が搬送されてくると、集品容器に投入している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のピッキング設備では、次に搬送されてくる集品容器、あるいは次の次に搬送されてくる集品容器に対して実際にピッキング作業を実施するのかが認識できないために、作業者はピッキング作業のスピードをコントロールすることができず、常に最も速いスピードで、すなわち最も負担が大きい状態でピッキング作業を実行しなければならず、この大きな負担により作業者の作業能率が低下する恐れがあった。
【0006】
また先行ピッキングのとき、作業者は、物品をピッキング棚よりピッキングしてこの仮置き台に仮置きする動作と、仮置き台に仮置きした物品を次に搬送されてくる集品容器に投入する動作の2動作(2タッチ)を実行する必要があり、ピッキング作業の効率が落ちることがあった。
【0007】
そこで、本発明は、ピッキング作業の効率を改善できるピッキング設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、前記物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、作業者へ前記容器への集品を指示する指示手段を設け、前記エリアにおいて、作業者へ、前記指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、この容器への集品が終了すると前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、前記指示手段は、ラインにより容器が移動を開始されると、集品を実行する容器を指示することを特徴とするものである。
【0009】
上記構成によれば、複数の容器がラインにより移動を開始されると、ラインが停止する前に、エリアにおいて作業者へ指示手段により順に集品を実行する容器が停止位置で指示され、さらに次に集品予定の容器が指示される。よって、作業者は、ラインが停止する前に、次に集品が予定される容器を予め確認でき、また次の集品があることを確認できる。また集品を実行する容器に対してピッキング表示手段に表示された物品の情報にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われ、集品が終了すると、次の集品予定の容器に対して、ピッキング表示手段に表示された物品の情報にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。
【0010】
また請求項2に記載の発明は、物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、前記物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、作業者へ前記容器への集品を指示する指示手段を設け、前記エリアにおいて、作業者へ、前記指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、この容器への集品が終了すると前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、前記指示手段は、ラインにより容器が停止位置に到着すると、集品を実行する容器を指示することを特徴とするものである。
【0011】
上記構成によれば、複数の容器がラインにより移動され、ラインにより容器が停止位置に到着すると、エリアにおいて作業者へ指示手段により順に集品を実行する容器が停止位置で指示され、さらに次に集品予定の容器が指示される。よって、作業者は、次に集品が予定される容器を予め確認でき、また次の集品があることを確認できる。また集品を実行する容器に対してピッキング表示手段に表示された物品の情報にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われ、集品が終了すると、次の集品予定の容器に対して、ピッキング表示手段に表示された物品の情報にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。
【0012】
また請求項3に記載の発明は、物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、このエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第1指示手段と、このエリアに隣接する下流のエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第2指示手段を設け、
エリア内の作業者へ前記第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の前記第2指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、エリア内の前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、上流に隣接するエリア内の第2指示手段により、上流の容器への集品を指示するかしないかを選択可能としたことを特徴とするものである。
【0013】
上記構成によれば、複数の容器がラインにより移動され、各容器は停止位置で、第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の第2指示手段により順に集品を実行する容器が指示されるとともに、次に集品予定の容器が指示される。そして、エリア内の集品を実行する容器に対してピッキング表示手段にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の第2指示手段によって指示された上流に隣接するエリア内の容器に対して、ピッキング表示手段にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。よって、仮置きすることなく、一度のタッチで、物品の容器への投入が可能となり、ピッキング作業の効率が改善される。また上流に隣接するエリア内の第2指示手段により上流に隣接するエリア内の容器への集品を指示するかしないかが選択され、第2指示手段が指示するとき、上流に隣接するエリア内の容器に対して集品が行われ、第2指示手段が指示しないとき、上流に隣接するエリア内の容器に対して集品が行われない。
【0014】
また請求項4に記載の発明は、物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、このエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第1指示手段と、このエリアに隣接する下流のエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第2指示手段を設け、
エリア内の作業者へ前記第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の前記第2指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、エリア内の前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、前記第1指示手段は、ラインにより容器が移動を開始されると、集品を実行する容器を指示することを特徴とするものである。
【0015】
上記構成によれば、複数の容器がラインにより移動を開始されると、ラインが停止する前に、エリアにおいて作業者へ各容器の停止位置の第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の第2指示手段により順に集品を実行する容器が指示されるとともに、次に集品予定の容器が指示される。よって、作業者は、ラインが停止する前に、次に集品が予定される容器を予め確認でき、また次の集品があることを確認できる。そして、エリア内の集品を実行する容器に対してピッキング表示手段にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の第2指示手段によって指示された上流に隣接するエリア内の容器に対して、ピッキング表示手段にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。よって、仮置きすることなく、一度のタッチで、物品の容器への投入が可能となり、ピッキング作業の効率が改善される。
【0016】
また請求項5に記載の発明は、物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、このエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第1指示手段と、このエリアに隣接する下流のエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第2指示手段を設け、
エリア内の作業者へ前記第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の前記第2指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、エリア内の前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、前記第1指示手段は、ラインにより容器が停止位置に到着すると、集品を実行する容器を指示することを特徴とするものである。
【0017】
上記構成によれば、複数の容器がラインにより移動され、容器が停止位置に到着されると、エリアにおいて作業者へ各容器の停止位置の第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の第2指示手段により順に集品を実行する容器が指示されるとともに、次に集品予定の容器が指示される。そして、エリア内の集品を実行する容器に対してピッキング表示手段にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の第2指示手段によって指示された上流に隣接するエリア内の容器に対して、ピッキング表示手段にしたがってピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品が行われる。よって、仮置きすることなく、一度のタッチで、物品の容器への投入が可能となり、ピッキング作業の効率が改善される。
【発明の効果】
【0018】
本発明のピッキング設備は、複数の容器がラインにより移動され、作業者へ指示手段により順に集品を実行する容器が停止位置で指示され、さらに次に集品予定の容器が指示されることにより、作業者は、次に集品が予定される容器を予め確認でき、また次の集品があることを確認でき、よって作業者は作業スピードをコントロールすることができ、その結果、作業者の負担を軽減することができ、大きな負担により作業者の作業能率が低下する恐れを回避することができる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるピッキング設備の要部配置図である。
ピッキング設備は、基本的に、ピッキングされる物品が保管されるストレージラインAと、物品の注文があった店舗(仕分け先の一例)毎に、ピッキングされた物品を収納する集品容器(容器の一例)を順送りしていく集品ライン(容器を移動させるラインの一例)Bから構成されている。
『ストレージラインA』
まず、ストレージラインAについて説明する。ストレージラインAは基本的に、ピッキング棚(仕分け棚)1とこのピッキング棚1に取り付けられるピッキング表示器(ピッキング表示手段の一例)2から構成されている。
「ピッキング棚1」
ピッキング棚1は、図2および図3に示すように、流動棚から形成され、前方に傾斜している複数段(図では4段)のラック(段)3を有し、各ラック3にはそれぞれ、物品4を収納した容器5を格納する物品収納用の複数の区画収納空間6が形成され、各区画収納空間6毎にローラコンベヤ7が設けられ、各ローラコンベヤ7の前端にはストッパ8が設けられている。この構成により、ストッパ8により係止された容器5から必要な物品4を取り出し、容器5が空になればその容器5を除去することにより、次の容器5が前面にでてくる。また各区画収納空間6では、容器5の開口を横向きにし、容器5の長い辺を下にして配置している。
【0020】
このピッキング棚1には所定の複数(図では4段5列)の区画収納空間6からなる間口Mが形成され、さらにピッキング棚1には、集品ラインBの上流側から順にピッキング作業を行う一人あるいは二人の作業員Hが処理する複数の区画収納空間6からなる仕分けエリアSが設定されている。本実施の形態では、1つの間口Mで1つの仕分けエリアSを形成している。
「ピッキング表示器(集品表示器)2」
ピッキング棚1のラック3毎に、その前面に、図4(a)に示すように、電源ライン9と信号ライン10からなる表示器レール11が敷設され、各区画収納空間6毎に、表示器レール11上に、表示器レール11から電源が供給され、信号の送受信を行う前記ピッキング表示器2がスライド・移動自在に取り付けられている。ピッキング表示器2は、ピックアップする物品4の数量を示す3桁のディジタル表示器12と表示灯13と完了釦14から形成されている。
「間口表示器(ベイ表示灯)」
またピッキング棚1には、正面上部に上記表示器レール11が敷設され、間口M毎に、表示器レール11から電源が供給され、信号の受信を行う間口表示器(エリア表示手段の一例)16がスライド・移動自在に取り付けられている。この間口表示器16は、間口Mにおいてピッキングする物品4が有るかどうか(ピッキングの有無)を表示するものであり、図4(b)に示すように、点灯する色をオレンジ−緑に切換可能な大型の表示灯17から形成されている。
『集品ラインB』
次に、集品ラインBについて説明する。集品ラインBは、図1および図2に示すように、基本的にライン移動方向に集品容器20を移動可能なピッキングコンベヤ21と、ピッキングコンベヤ21に沿って配置され、ピッキングコンベヤ21により仕分け位置(停止位置)へ搬送された各集品容器20に対応した第1投入表示器(指示手段、第1指示手段の一例)22および第2投入表示器(第2指示手段の一例)23と、エリアS毎にピッキングコンベヤ21の上流に配置された完了表示器24および作業完了灯25と、エリアS毎にピッキングコンベヤ21に沿って配置されたテープスイッチ26から構成されている。
「ピッキングコンベヤ(集品コンベヤ)21」
ピッキングコンベヤ21は、ピッキング棚1の前面に沿って配置されており、集品容器20を移動可能なローラ駆動のコンベヤ31から形成され、仕分けエリアS毎に、グループ化された複数(図1では4個)の集品容器20を、タクト毎に下流の仕分けエリアSへ搬送可能な構成とされている。
「第1投入表示器22」
ピッキングコンベヤ21に沿って集品容器20の上方に天井から上記表示器レール11が吊設されている。この表示器レール11上で、仕分けエリアSの集品容器20の各停止位置に対応して、表示器レール11から電源が供給され、信号の送受信を行う第1投入表示器22がスライド・移動自在に取り付けられている。この第1投入表示器22は、エリアS内にピッキング作業を実行する集品容器20を指示し、ピッキング作業が予定されている集品容器20を指示するものであり、図4(c)に示すように、点灯する色を赤−緑に切換可能な大型の表示灯32から形成されている。このように、集品容器20用の第1投入表示器22は、集品容器20の上方に天井から吊設されている。
「第2投入表示器23」
ピッキングコンベヤ21に沿ってピッキング棚1側の側面に上記表示器レール11が敷設され、この表示器レール11上で、仕分けエリアSの集品容器20の各停止位置に対応して、表示器レール11から電源が供給され、信号の送受信を行う第2投入表示器23がスライド・移動自在に取り付けられている。この第2投入表示器23は、隣接する下流の仕分けエリアSの作業者へピッキング作業を実行する集品容器20を指示し、ピッキング作業が予定されている集品容器20を指示するものであり、図4(d)に示すように、点灯する色を赤−緑に切換可能な大型の表示灯33から構成され、この表示灯33は、表面に点灯した光を、光の屈折を利用して下流の仕分けエリアSの作業者のみに導くように構成されている。このように、第2投入表示器23は、設置されているエリアSの作業者から点灯している光が見えないように構成されている。
「完了表示器24」
第2投入表示器23用の表示器レール11から電源が供給され、信号の送受信を行う完了表示器24が設けられている。この完了表示器24は、集品容器20への物品4の投入完了時に押す操作器であり、図4(e)に示すように、赤色の表示灯35と、完了釦36から構成されている。
「作業完了灯25」
作業完了灯25は、仕分けエリアS内の集品容器20へのピッキング作業の有無を表示する表示灯であり、作業有りの時に点灯し、作業が終了すると消灯する。図4(d)に示すように、緑色の表示灯37を備えたタワー38から構成されている。
「テープスイッチ26」
テープスイッチ26は完了表示器24の完了釦36と同一の機能を有しており、集品容器20への物品4の投入完了時に押す操作器である。
「集品容器20」
集品容器20はダンボールで形成され、上述したように連なった4個でグループ(群)を構成しており、下流の3個を子箱、最も上流の1個を親箱と称している。そして、図5に示すように、各子箱20Bと親箱20Aにはそれぞれ物品4を収納するビニール袋41が予め入れられている。上記グループは、たとえば4つの店舗(仕分け先)を1つの出荷先グループとしたものであり、各ビニール袋41には、それぞれの店舗を特定するバーコードが印刷されたラベル42が取付られる。1仕分けエリアSには、1グループ(群)、すなわち4個の集品容器20が1タクト毎に搬送されてくる。
【0021】
本ピッキング設備の制御ブロック図を図6に示す。
51は上位のコンピュータ(図示せず)より出荷情報として、図7(a)に示すように、店舗別に、複数の「ピッキングする物品の情報およびピッキングする物品の数量(以下、ピック数と略す)」からなる作業データが入力される制御用コンピュータ(制御手段の一例;詳細は後述する)であり、この制御用コンピュータ51に、上記ラベル42を発行するオートラベラー61とコンピュータからなるコントローラ52(詳細は後述する)が接続されている。オートラベラー61は集品ラインBへ集品容器20を投入する最上流位置に、集品容器20に対向して設置される。
【0022】
前記コントローラ52に、コンベヤ31が接続され、さらに高速インターフェイス53および表示器レール11の信号ライン10を介して、各仕分けエリアSに対応して、ピッキング表示器2、間口表示器16、第1投入表示器22、(上流に隣接する仕分けエリアSの)第2投入表示器23、完了表示器24、作業表示灯25、テープスイッチ26が接続されている。またピッキング表示器2、間口表示器16、第1投入表示器22、および第2投入表示器23に対して表示器レール11の電源ライン9を介して高速インターフェイス53より電力が供給されている。
【0023】
またコントローラ52に、ピッキング棚1の区画収納空間6の配列のデータ、各区画収納空間6に格納された物品4のデータ、仕分けエリアS毎の区画収納空間6の配置データが予め格納される。
[制御用コンピュータ51]
制御用コンピュータ51の機能を説明する。
「作業情報の形成機能」
制御用コンピュータ51は、出荷情報を入力すると、この出荷情報より予め設定された4つの店舗により出荷先グループの作業情報を形成し、集品容器20をコンベヤ31へ投入する順番に並べて、コントローラ52へ出力する。なお、上述したように、1タクトにより1仕分けエリアS内に同時に1出荷先グループ、すなわち4つの店舗の集品容器20が移動される。
「オートラベラーの駆動機能」
コンベヤ31へ投入する集品容器20のビニール袋41へ貼りつけるラベル42のデータ(店舗データ)を、集品容器20をコンベヤ31へ投入する順番に並べてオートラベラー61へ出力し、グループ毎にラベル42を発行させる。
[コントローラ52]
コントローラ52の制御ブロックを図8に示す。
【0024】
コントローラ52には、予め格納された、ピッキング棚1の区画収納空間6の配列のデータおよび仕分けエリアSの区画収納空間6のデータに基づいて、集品ラインBの上流側より、仕分けエリアS毎にエリアブロックが形成されている。このエリアブロックは、仕分けエリアSの間口表示器16、第1投入表示器22、完了表示器24、作業表示灯25、テープスイッチ26、および上流に隣接する仕分けエリアSの第2投入表示器23に対応する仕分けエリア店舗制御メモリ55と、各区画収納空間6のピッキング表示器2に対応したピック数制御メモリ56から構成されている。
【0025】
また制御用コンピュータ51より作業情報(作業データ)を入力する毎に、各エリアブロックにピッキング用のデータを振り分けるなどの機能と、コンベヤ31を駆動する機能を有する作業データ振り分け制御部58が設けられている。
<作業データ振り分け制御部58>
作業データ振り分け制御部58は、次の機能を有している。
1.作業データの店舗別の作業データの順番に、『店舗データと複数の「ピッキングする物品の情報およびピッキングする物品のピック数』からなる「作業データ」より、予め格納された各区画収納空間6に格納された物品4のデータに基づいて、上記ピッキングする物品の情報により物品4をピッキングする区画収納空間6を検索し、検索した各の区画収納空間6のピック数制御メモリ56に対してピック数{図7(b)参照}を出力する。また検索されなかった他の区画収納空間6のピック数制御メモリ56に対してピック数“0”を出力する。
2.各エリアブロックの仕分けエリア店舗制御メモリ55に対して、図7(b)に示すように、作業データの順番に、作業データの店舗のデータと上記検索した仕分けエリアSの各区画収納空間6毎のピック数からなる「仕分けデータ」を出力する。
3.全てのエリアブロックの仕分けエリア店舗制御メモリ55より、エリアピッキング終了信号(後述する)を入力すると、コンベヤ31を、仕分けエリアS内の集品容器20を隣接する下流の仕分けエリアSへ移動するように間欠的に駆動し、駆動開始とともに仕分けエリア店舗制御メモリ55へ集品容器移動信号を出力する。なお、図1に示すように、4個の集品容器20(1出荷グループ)が1回のコンベヤ31の駆動により下流の仕分けエリアSへ移動される。
<ピック数制御メモリ56>
上記ピック数制御メモリ56は、作業データ振り分け制御部58より入力したピック数のデータを順に記憶する。そして、次の動作を実行する。
1.仕分けエリア店舗制御メモリ55より後述する実行信号を入力すると、先頭に(先に)記憶されたピック数を取り出し、“0”かどうかを確認する。
2.ピック数が“0”のとき、ピッキング終了信号を仕分けエリア店舗制御メモリ55へ出力する。
3.ピック数が“0”ではないとき、ピック数をピッキング表示器2のディジタル表示器12へ出力して表示させ、また表示灯13を点灯する。完了釦14の操作を確認すると、ピッキング終了信号を仕分けエリア店舗制御メモリ55へ出力し、ディジタル表示器12と表示灯13を消灯する。
4.先に記憶されたピック数を削除する。次に記憶されたピック数を先頭に繰り上げる。
5.仕分けエリア店舗制御メモリ55より後述する中止信号を入力すると、ディジタル表示器12と表示灯13を消灯する。
【0026】
上記1.〜4.の動作は、仕分けエリア店舗制御メモリ55より後述する実行信号を入力する毎に繰り返し実行される。
<仕分けエリア店舗制御メモリ55>
上記仕分けエリア店舗制御メモリ55は、作業データ振り分け制御部58より入力した店舗のデータと仕分けエリアSの各区画収納空間6毎のピック数からなる「仕分けデータ」を順に記憶する。
【0027】
また仕分けエリア店舗制御メモリ55には、上流に隣接する仕分けエリアS内の第2投入表示器23を点灯するかしないか(上流に隣接する仕分けエリアS内の容器への集品を指示するかしないか)が予め選択・設定され、また点灯するときには点灯する範囲(上流に隣接する仕分けエリアS内の容器への集品を指示する範囲)、すなわち下流から点灯する第2投入表示器23の個数K(≦4)が予め指定(設定)される。K=0のとき、第2投入表示器23を点灯しないと見なされる。
【0028】
仕分けエリア店舗制御メモリ55の動作を図9および図10のフローチャートにしたがって説明する。
ステップ−1,2
集品容器移動信号を入力すると、最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20が、最も先に記憶した仕分けデータに相当するものと想定して、仕分けエリアSの4つの各集品容器20の仕分けデータを取り出し、各仕分けデータにおけるピック数の有無を判定する。なお、後述する先行ピッキングが実行された集品容器20の仕分けデータはピック数が“0”に再設定されており、ピック数無しと判定される。また隣接する上流の仕分けエリアS内の個数Kの各集品容器20の仕分けデータを取り出し、各仕分けデータにおけるピック数の有無を判定する。
ステップ−3〜5
仕分けエリアS内にピック数が存在しないと、すなわち仕分けエリアSへ到着した4つの集品容器20に対して集品する物品4がないとき、エリアピッキング終了信号を出力する。また隣接する上流の仕分けエリアS内の個数Kの各集品容器20に対するピック数が存在しないとき、終了する。
ステップ−6〜8
仕分けエリアS内にピック数が存在すると、すなわちピッキングする物品4が存在すると、その投入する集品容器20を判定して、その集品容器20の個数Nを確認し、最も下流から順に記憶する。続いて、隣接する上流の仕分けエリアS内の個数Kの各集品容器20に対するピック数が存在すると、すなわちピッキングする物品4が存在すると、その投入する集品容器20を判定して、最も下流から順に記憶する。そして、n=1に設定する。nは下流からの集品を行う集品容器20の順を示す。
ステップ−9,10
作業表示灯25を「緑色」に点灯させ、間口表示器16を「オレンジ色」に点灯させ、続いて判定したn番目の集品容器20に対応する第1投入表示器22を「赤色」に点灯させる。
ステップ−11,12
(n+1)番目の集品容器20が存在するかどうかを確認し、確認するとこの集品容器20に対応する第1投入表示器22を「緑色」に点灯させる。
ステップ−13
各ピック数制御メモリ56へ実行信号を出力する。これによりピック数が存在する区画収納空間6のピッキング表示器2が表示され、この表示に従って物品4のピッキング作業が実行される。
ステップ−14,15
各区画収納空間のピック数制御メモリ56からピッキング終了信号を入力すると、実行中の集品容器20の仕分けデータの区画収納空間のピック数を“0”に再設定する。
ステップ−16,17
ピッキング作業の途中で、集品容器移動信号を入力すると、各ピック数制御メモリ56へ中止信号を出力し、ステップ−1へ戻る。
ステップ−18,19
各区画収納空間のピック数制御メモリ56からピッキング終了信号を入力すると、n番目の集品容器20へのピッキングが終了したものとして、間口表示器16を消灯させ、完了表示器24を「赤色」に点灯させる。
ステップ−20,21
完了表示器24の完了釦36またはテープスイッチ26の押し操作を確認すると、完了表示器24を消灯させ、n番目の集品容器20に対応する第1投入表示器22を消灯させ、この集品容器20に対応する仕分けデータのピック数を全て“0”に再設定する。
ステップ−22,23
n=Nかどうか、すなわち自分の仕分けエリアS内のN個の集品容器20に対してピッキングが終了したかを判断し、判断すると、エリアピッキング終了信号を作業データ振り分け制御部58へ出力し、作業表示灯25を消灯する。
ステップ−24,25
(n+1)番目の集品容器20が存在するかどうかを判断し、判断すると(n+1)番目の集品容器20に対応する第1投入表示器22を「赤色」に点灯させ、(n+1)番目の集品容器20が存在しないとき、終了する。
ステップ−26〜29
次に(n+1)≦Nかどうかを判断する。すなわち(n+1)番目の集品容器20が自分の仕分けエリアS内の集品容器20であるかを判断し、判断すると間口表示器16を「オレンジ色」に点灯させ、自分の仕分けエリアS内の集品容器20ではないとき、間口表示器16を「緑色」に点灯させる。そして、(n=n+1)に設定し、ステップ−11へ戻る。
【0029】
上記構成による各仕分けエリアSのピッキング作業について説明する。なお、作業開始により、コンベヤ31の上流で、グループ単位にビニール袋41を入れた集品容器20が投入されるものとする。また図11に示すように、1人の作業者Hで仕分けエリアSのピッキング作業を行うものとする。また上流に隣接する仕分けエリアSの下流から2番目(K=2)まで集品作業を実行することが指定されているものとする。そして、自分の仕分けエリアS内では、図11(a)に斜線で示すように、最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20と下流から3番目の集品容器20に集品する物品4があるものとし、上流に隣接する仕分けエリアS内では、最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20に集品する物品4があるものと仮定する。
【0030】
まず、制御用コンピュータ51は、出荷情報を入力すると、この出荷情報により予め設定された4つの店舗により出荷先グループの作業情報を形成し、集品容器20をコンベヤ31へ投入する順番に並べて、コントローラ52へ出力するとともに、コンベヤ31へ投入する集品容器20のビニール袋41へ貼りつけるラベル42のデータ(店舗データ)を、集品容器20をコンベヤ31へ投入する順番に並べて、オートラベラー61へ出力し、グループ毎にラベル42を発行させる。
【0031】
これにより、集品容器20のビニール袋41へラベル42が貼り付けられ、グループ単位でコンベヤ31へ投入される。
コントローラ52は、まずコンベヤ31を駆動して、1グループの集品容器20を仕分けエリアSへ搬送させる。
【0032】
またコントローラ52は、集品容器20の店舗の作業データおよび各区画収納空間6の配列データに基づいて、仕分けエリアS内で仕分け作業を実行する集品容器20を特定し、同時に上流に隣接する仕分けエリアS内で仕分け作業を実行する集品容器20を特定する。上記仮定により、仕分けエリアS内で最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20と下流から3番目の集品容器20に集品する物品4があったものとし、上流に隣接する仕分けエリアS内で最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20に集品する物品4があったものとする。
【0033】
仕分けエリアS内で仕分け作業を実行する集品容器20が存在すると、図11(a)に示すように、作業表示灯25を「緑色」に点灯させ、間口表示器16を「オレンジ色」に点灯させ、第1オーダー目の最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20に対応する第1投入表示器22を「赤色」に点灯させる。また第2オーダー目の下流から3番目の集品容器20に対応する第1投入表示器22を「緑色」に点灯させる。また第1オーダー目の最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20に集品する区画収納空間6のピッキング表示器2に数量を表示させ、表示灯13を「赤色」に点灯させる。
【0034】
作業者Hは、間口表示器16が点灯され、ピッキング表示器2に数量が表示された区画収納空間6より、前記数量の物品4をピッキングし、第1投入表示器22が「赤色」に点灯した集品容器20のビニール袋41内へ投入し{図5(a)参照}、ピッキング表示器2の完了釦14を押す。
【0035】
コントローラ52は、完了釦14が押された区画収納空間6をピッキング終了と判断し、その区画収納空間6のピッキング表示器2の表示を消去させる。
作業者Hは、ピッキング表示器2の表示が消えたことで、正しく物品4をピッキングしたことを確認し、次のピッキング表示器2に数量が表示された他の区画収納空間6より、前記数量の物品4をピッキングし、第1投入表示器22が「赤色」に点灯した集品容器20のビニール袋41内へ投入し、ピッキング表示器2の完了釦14を押す。
【0036】
コントローラ52は、先と同様に、完了釦14が押された区画収納空間6をピッキング終了と判断し、その区画収納空間6のピッキング表示器2の表示を消去させる。
上記ピッキング動作が繰り返し実行される。
【0037】
コントローラ52は、仕分けエリアSの全ての区画収納空間6のピッキング作業が完了すると、第1オーダー目の最も下流の集品容器20への集品が終了したと判断し、図11(b)に示すように、間口表示器16を消灯させ、完了表示器24を「赤色」に点灯させる。
【0038】
作業者Hは、完了表示器24が「赤色」に点灯したことで、第1オーダー目の集品容器20への集品が終了したことを判断し、完了表示器24の完了釦36またはテープスイッチ26を押す。
【0039】
コントローラ52は、完了表示器24の完了釦36またはテープスイッチ26の押し操作を確認すると、第1オーダー目の最も下流の仕分け位置に到着した集品容器20に対応する第1投入表示器22を消灯させる。
【0040】
続いてコントローラ52は、図12(a)に示すように、間口表示器16を「オレンジ色」に点灯させ、第2オーダー目の下流から3番目の集品容器20に対応する第1投入表示器22を「赤色」に点灯させる。そして、第3オーダー目に相当する、上流に隣接する仕分けエリアSの最も下流に位置する集品容器20に対応する第2投入表示器23を「緑色」に点灯させる。
【0041】
第2オーダー目の下流から3番目の集品容器20に対して上記と同様のピッキング作業が実行される。
コントローラ52は、ピッキング終了にて、第2オーダー目の下流から3番目の集品容器20に対応する第1投入表示器22を消灯させる。そして、上記仮定により、第2オーダー目の集品容器20に対する集品終了によって自分の仕分けエリアSにおけるピッキング作業が終了したと判断して、作業表示灯25を消灯させる。
【0042】
コントローラ32は、このとき、他の仕分けエリアSにおけるピッキング作業が終了していると、コンベヤ31を駆動させて、4個の集品容器20を下流の仕分けエリアSへ移動させ、次のピッキング作業を開始させる。
【0043】
またコントローラ32は、他の仕分けエリアSにおけるピッキング作業が終了していないときは、上流に隣接する仕分けエリアSの集品容器20への先行ピッキング作業を開始する。すなわちコントローラ32は、図12(b)に示すように、間口表示器16を「緑」に点灯させ、第3オーダー目に相当する、上流に隣接する仕分けエリアSの最も下流に位置する集品容器20に対応する第2投入表示器23を「赤色」に点灯させる。
【0044】
この第3オーダー目の集品容器20に対して上記と同様のピッキング作業が実行される。
コントローラ52は、ピッキング終了にて、第3オーダー目の集品容器20に対応する第2投入表示器23を消灯させる。そして、上記仮定により、第3オーダー目の集品容器20に対する集品終了によって作業者Hは、ピッキング作業が終了したと判断して、待機する。
【0045】
また再びコンベヤ31により上流より次の集品容器20が搬送されてくると、再びピッキング作業を開始する。但し、最も下流に位置する集品容器20に対するピッキングが終了しているので次の物品4を集品する集品容器20からピッキング作業を開始することになる。
【0046】
以上の動作により集品容器20がコンベヤ31の下流端に到達したとき、各店舗毎に物品4が集品容器20のビニール袋41内にピッキングされる。
そして、集品容器20へのピッキング作業が終了すると、出荷を担当する作業者により、図5(a)に示すように、親箱20Aのビニール袋41のラベル42は、親箱20Aへ取付られ、続いて図5(b),(c)に示すように、親箱20Aのビニール袋41は梱包され、各子箱20Bのビニール袋41はラベル42が見えるように梱包され、親箱20Aへ収納されて出荷される。子箱20Bはまた集品容器20として再使用される。
【0047】
以上のように本実施の形態によれば、各仕分けエリアSにおいて、第1投入表示器22に指示された集品容器20に対してピッキング作業を実行することができるとともに、自分の仕分けエリアS内にピッキング作業が予定されている集品容器20に対応する第1投入表示器22を、図11(a)に示すように、「緑色」に点灯させ投入予告表示を行うことにより、作業者Hは次に集品が予定される集品容器20を予め認識することができ、また次に集品があることを確認でき、よって作業者Hはピッキング作業のスピードをコントロールすることができ、その結果、作業者Hの負担を軽減することができ、大きな負担により作業者の作業能率が低下する恐れを回避することができる。
【0048】
また同様に、上流に隣接する仕分けエリアSに位置する集品容器20に対応する第2投入表示器23を、図12(a)に示すように、「緑色」に点灯させ投入予告表示を行うことにより、作業者Hは上流に隣接する仕分けエリアSに位置する集品容器20の中で集品が予定される集品容器20を予め認識することができ、また次に集品があることを確認でき、よって作業者Hはピッキング作業のスピードをコントロールすることができ、その結果、作業者Hの負担を軽減することができ、大きな負担により作業者の作業能率が低下する恐れを回避することができる。
【0049】
また自分の仕分けエリアS内のピッキング作業が終了し、手待ち時間に(作業待ちのときに)、次のタクト、すなわち上流に隣接する仕分けエリアSに位置する集品容器20に対応する第2投入表示器23を、図12(b)に示すように、「赤色」に点灯させて指示することにより、先行ピッキング作業を、仮置きすることなく一度のタッチで、直接物品4を集品容器20へ投入することが可能となり、ピッキング作業の効率を改善することができる。さらに上記“K”の設定により、上流に隣接する仕分けエリアSに位置する集品容器20に先行ピッキング作業を実行するかどうか、さらにどの範囲まで先行ピッキング作業を実行するかどうかを選択・指定すること(すなわち、上流に隣接するエリア内の第2指示手段により、上流の容器への集品を指示する範囲を指定可能とすること)ができ、各仕分けエリアSの作業バランスを均一に近づけることができる。なお、K=0のとき、第2投入表示器23が点灯されないので、上流に隣接するエリア内の容器20に対して集品が行われることはなく、K=1のとき、上流に隣接するエリア内の最も下流に位置する集品容器20に対して先行ピッキングが可能となり、K=2のとき下流から2番目まで、K=3のとき下流から3番目まで、K=4のとき全ての集品容器20に対して先行ピッキングが可能となる。
【0050】
また間口表示灯16(表示灯17)の点灯色を「オレンジ」と「緑」に切り換えること(すなわち、ピッキング棚の各エリア毎に、エリア表示手段を設け、前記各エリア表示手段は、第1指示手段により指示された容器へ集品する物品があるときの表示と、第2指示手段により指示された容器へ集品する物品があるときの表示を切り換えること)により、通常の第1投入表示灯22により指示された集品容器20へ集品するためにピッキングを実行するのか、第2投入表示器23により指示された上流に隣接する仕分けエリアS内の集品容器20へ集品するために先行ピッキングを実行するのかを判断することができ、集品ミスを少なくすることができる。
【0051】
また上記集品容器移動信号が、コンベヤ31の駆動開始とともに仕分けエリア店舗制御メモリ55へ出力され、第1投入表示器22が点灯され、よって集品を実行する容器20がコンベヤ31が停止する前に指示されることにより、作業者Hはコンベヤ31の駆動開始とともにピッキング作業に入ることができ、作業効率を改善することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、第1投入表示器22を集品容器20の上方に天井から吊設し、第2投入表示器23をピッキングコンベヤ21に沿ってピッキング棚1側の側面に設けているが、図13(a)(b)に示すように、ピッキングコンベヤ21に沿ってピッキング棚1側とは反対側に、表示器取付用部材62を配設し、この表示器取付用部材62の集品容器20の上端より上の位置に、作業者Hに向けて前記第1投入表示器22を設け、さらにこの第1投入表示器23の上方に第2投入表示器23’を設けるようにしてもよい。第2投入表示器23’は、図13(c)に示すように、点灯する色を赤−緑に切換可能な大型の表示灯63と、下流の仕分けエリアS側側面のみに開口部64が設けられた表示灯63のカバー65から構成され、下流の仕分けエリアSの作業者のみに表示灯63の光を導き、設置されているエリアSの作業者から表示灯63の光が見えないように構成されている。
【0053】
また本実施の形態では、上記のように、集品容器移動信号を、コンベヤ31の駆動開始とともに仕分けエリア店舗制御メモリ55へ出力しているが、集品移動信号をコンベヤ31が駆動され、集品容器20が下流の停止位置に到着した後に仕分けエリア店舗制御メモリ55へ出力し、第1投入表示器22を点灯するようにすることもできる。また、図9に2点鎖線で示すように、集品容器移動信号を入力してからタイマーで一定時間をカウントした後、すなわちコンベヤ31により容器20が停止位置に到着したと見なした後、第1投入表示器22を点灯するようにすることもできる。これにより、コンベヤ31により集品容器20が停止位置に到着された後、第1投入表示器23が点灯されることにより、物品4を間違えた集品容器20へ投入するミスを少なくすることができる。
【0054】
また本実施の形態では、集品を実行する集品容器20と集品を実行予定の集品容器20を第1投入表示器22と第2投入表示器23の表示灯32,33の点灯により指示しているが、表示灯32,33の点灯に限ることはなく、ブザーやチャイムなどの音により指示するようにしてもよい。このとき音色を変えることで、集品を実行する集品容器20か集品を実行予定の集品容器20かを指示できる。また表示灯32,33の色(「赤」と「緑」)により、集品を実行する集品容器20か集品を実行予定の集品容器20かを指示しているが、表示灯32,33に代えてディジタル表示器を設け、このディジタル表示器に表示する数字により、集品を実行する集品容器20か集品を実行予定の集品容器20かを指示するようにしてもよい。このとき、たとえば“1”により集品を実行する集品容器20、“2”により次に集品を実行予定している集品容器20、“3”により次の次に集品を実行予定している集品容器20というように順に指示することができ、複数の集品を実行予定の集品容器20を順に指定することができる。
【0055】
また本実施の形態では、ピッキング表示器2の完了釦14を押すことで、区画収納空間6の物品4のピッキング終了を認識させているが、物品4に一般に取り付けられている物品4を特定するバーコードを、バーコードリーダで読み取ることで、この区画収納空間6のピッキング終了と見なすこともできる。
【0056】
また本実施の形態では、仕分け先を店舗別としているが、仕分け先をユーザー別、方面別、アイテム別、搬送トラック別などとしてもよい。
また本実施の形態では、ピッキング表示器2を有線としているが、電波を介して信号の送受信を行う機能を付加し、各仕分けエリアS毎、あるいは複数のエリアS毎に、コントローラ52に接続されたアンテナを設け、これらアンテナを介して信号の送受信を行うようにしてもよい。この構成によって、ピッキング表示器2を自由に移動でき、仕分けエリアSの変更を容易に行うことができる。また表示器レール11をピッキング棚1に沿って延々と敷設する必要がなくなることから、製作作業時間を短縮することができ、納期を短縮することができる。
【0057】
また本実施の形態では、オートラベラー61によりラベル42を発行して自動貼付を行っているが、ラベルプリンタでラベル42を発行し、作業者がラベル42をビニール袋41へ貼りつけるようにしてもよい。
【0058】
また本実施の形態では、ピッキングコンベヤ21(集品ラインB)に沿って片側にピッキング棚1(ストレージラインA)を配置しているが、ピッキングコンベヤ21を挟んで両側にそれぞれピッキング棚1を配置して、両側のピッキング棚1から物品4をピッキングしてライン上の集品容器20へ集品するようにしてもよい。またピッキング棚1前にラインを配置する一例として、ピッキング棚1に沿ってピッキングコンベヤ21を配置しているが、複数のピッキング棚1を平行に配置し、これらピッキング棚1の側部に沿って(ピッキング棚の向きとは直角な向きに)ピッキングコンベヤ21を配置するようにしてもよい。
【0059】
また本実施の形態では、ピッキング棚1として流動棚を使用しているが、容器5が移動しない一般棚を使用するようにすることもできる。
また本実施の形態では、集品容器20としてダンボールを使用しているが、バケットやケースやコンテナなど、あるいは蓋付きのもの(封函可能なもの)を使用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態におけるピッキング設備の要部配置図である。
【図2】同ピッキング設備の要部側面図である。
【図3】同ピッキング設備のピッキング棚の正面図である。
【図4】同ピッキング設備に使用する表示器の正面図である。
【図5】同ピッキング設備の集品容器の梱包時の手順を示す説明図である。
【図6】同ピッキング設備の制御構成図である。
【図7】同ピッキング設備におけるデータの構成を示す図である。
【図8】同ピッキング設備のコントローラのブロック図である。
【図9】同ピッキング設備のコントローラの仕分けエリア店舗制御メモリの動作を説明するフローチャートである。
【図10】同ピッキング設備のコントローラの仕分けエリア店舗制御メモリの動作を説明するフローチャートである。
【図11】同ピッキング設備において、作業者と投入表示器の動作を説明する説明図である。
【図12】同ピッキング設備において、作業者と投入表示器の動作を説明する説明図である。
【図13】本発明の他の実施の形態におけるピッキング設備の第1投入表示器と第2投入表示器の配置と構成を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ピッキング棚
2 ピッキング表示器
4 物品
5 容器
6 区画収納空間
11 表示器レール
12 ディジタル表示器
13,17,32,33,35,37,63 表示灯
14,36 完了釦
16 間口表示器
20 集品容器
21 ピッキングコンベヤ
22 第1投入表示器
23,23’ 第2投入表示器
24 完了表示器
25 作業表示灯
31 コンベヤ
41 ビニール袋
42 ラベル
51 制御用コンピュータ
52 コントローラ
61 オートラベラー
65 カバー
A ストレージライン
B 集品ライン
H 作業員
M 間口
S 仕分けエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、
前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、前記物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、作業者へ前記容器への集品を指示する指示手段を設け、
前記エリアにおいて、作業者へ、前記指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、この容器への集品が終了すると前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、
前記指示手段は、ラインにより容器が移動を開始されると、集品を実行する容器を指示すること
を特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、
前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、前記物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、作業者へ前記容器への集品を指示する指示手段を設け、
前記エリアにおいて、作業者へ、前記指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、この容器への集品が終了すると前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、
前記指示手段は、ラインにより容器が停止位置に到着すると、集品を実行する容器を指示すること
を特徴とするピッキング設備。
【請求項3】
物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、
前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、
このエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第1指示手段と、
このエリアに隣接する下流のエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第2指示手段を設け、
エリア内の作業者へ前記第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の前記第2指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、エリア内の前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、
上流に隣接するエリア内の前記第2指示手段により、上流の容器への集品を指示するかしないかを選択可能としたこと
を特徴とするピッキング設備。
【請求項4】
物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、
前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、
このエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第1指示手段と、
このエリアに隣接する下流のエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第2指示手段を設け、
エリア内の作業者へ前記第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の前記第2指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、エリア内の前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、
前記第1指示手段は、ラインにより容器が移動を開始されると、集品を実行する容器を指示すること
を特徴とするピッキング設備。
【請求項5】
物品収納用の複数の区画収納空間を有し、各区画収納空間毎に、ピッキングする物品の情報を表示するピッキング表示手段を設けたピッキング棚を備え、
前記ピッキング棚に作業者が処理するエリアを設定し、物品を集品する複数の容器を、前記ピッキング棚前のライン上を移動させ、前記各容器に、前記ピッキング表示手段にしたがって前記ピッキング棚の各区画収納空間からピッキングした物品の集品を行うピッキング設備であって、
前記エリア毎に、前記ライン上の各容器の停止位置に対応して、
このエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第1指示手段と、
このエリアに隣接する下流のエリアの作業者へ前記容器への集品を指示する第2指示手段を設け、
エリア内の作業者へ前記第1指示手段、または第1指示手段および上流に隣接するエリア内の前記第2指示手段により順に集品を実行する容器を指示するとともに、次に集品予定の容器を指示し、前記ピッキング表示手段により、エリア内の前記集品を実行する容器へ集品する物品の情報を表示し、エリア内の容器への集品が終了すると、上流に隣接するエリア内の前記次に集品予定の容器へ集品する物品の情報を表示して、集品を指示する構成とし、
前記第1指示手段は、ラインにより容器が停止位置に到着すると、集品を実行する容器を指示すること
を特徴とするピッキング設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−197220(P2007−197220A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121337(P2007−121337)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【分割の表示】特願2001−134765(P2001−134765)の分割
【原出願日】平成13年5月2日(2001.5.2)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】