説明

ピペリジニル置換尿素化合物の調製のための方法

ピペリジニル置換尿素化合物の合成のための方法が開示される。本発明はさらに、この合成中に調製される新規な中間体に関する。一実施形態において、式Iの尿素化合物の調製のための方法が提供され、この方法は、a)少なくとも等モル量の式IIの化合物を式(III)の化合物と、式IVの化合物を与える条件下において、不活性溶媒中で接触させる工程と、b)上記a)で生成される式IVの化合物をアダマンチルアミンと、不活性溶媒および式IVの化合物のHNC(O)−アミド基をイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後にこのイソシアネート基がこのアダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Iの化合物を形成する条件下において、接触させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(関連出願の引用)
本願は、米国特許法第119条第(e)項のもとで、2007年1月29日に出願された仮特許出願番号60/887,114号、およびに2007年9月13日に出願された仮特許出願番号60/972,177号に対する利益を主張する。この仮特許出願の双方は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、ピペリジニル置換尿素化合物の合成のための方法に関する。本発明はさらに、この合成中に調製される新規な中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
(技術水準)
アラキドン酸カスケードは、様々な細胞外および/または細胞内シグナルに応答してアラキドン酸が原形質膜の脂質貯蔵から遊離される、広範に分布する脂質シグナル伝達カスケードである。次いで、遊離されたアラキドン酸は、炎症において重要な役割をするシグナル伝達脂質にアラキドン酸を転換する様々な酸化酵素に対する基質として作用するために役に立つ。脂質に至る経路の破壊は、多数の炎症性障害を処置するために使用される多くの市販薬にとって依然として重要な戦略である。例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、シクロオキシゲナーゼ(COX1およびCOX2)を阻害することによりアラキドン酸のプロスタグランジンへの転換を中断する。新たな喘息薬、例えば、SINGULAIRTMは、リポキシゲナーゼ(LOX)を阻害することによりアラキドン酸のロイコトリエンへの転換を破壊する。
【0004】
ある種のP450酵素がアラキドン酸をエポキシエイコサトリエン酸(EET)として公知である一連のエポキシド誘導体に転換する。これらのEETは、内皮細胞(動脈および血管床を構成する細胞)、腎臓、および肺に特に広く行き渡っている。プロスタグランジンおよびロイコトリエン経路の多くの最終生成物と対照的に、EETは、様々な抗炎症および抗高血圧特性を有し、強力な血管拡張薬および血管透過性のメディエーターであることが公知である。
【0005】
EETはインビボで強力な効果を有する一方、EETのエポキシド部分は、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)と呼ばれる酵素によって、活性がより少ないジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHET)形態に急速に加水分解される。sEHの阻害は、高血圧動物の血圧を著しく低下させ(非特許文献1および非特許文献2を参照)、炎症促進性の一酸化窒素(NO)、サイトカイン、および脂質メディエーターの産生を低下させ、インビボでリポキシンA産生を増強することによって炎症消散に寄与する(非特許文献3を参照)ことが見いだされている。
【0006】
様々な低分子化合物が、sEHを阻害し、EETレベルを上昇させることが見いだされている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yuら、Circ.Res.87:992〜8頁(2000年)
【非特許文献2】Sinalら、J.Biol.Chem.275:40504〜10頁(2000年)
【非特許文献3】Schmelzerら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 102(28):9772〜7頁(2005年)
【非特許文献4】Morisseauら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.45:311〜33頁(2005年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
sEH阻害剤であり、例えば、炎症および高血圧症を治療するのに有用である尿素化合物の合成のための方法が提供される。この合成に使用される新規な中間体も提供される。この化合物はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Soluble Epoxide Hydrolase Inhibitors for the Inhibition of Metabolic Syndrome and Treatment of Related Conditions」と題された、同時係属中の米国特許出願第60/887,124号明細書に開示されたとおりの代謝症候群の阻害に有用である。
【0009】
一実施形態において、式I:
【0010】
【化1】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、mは、ゼロ、1、または2である)
の尿素化合物の調製のための方法が提供され、この方法は、
a)少なくとも等モル量の式II:
C(O)X (II)
(式中、Xは、−OH、ハロ、−OC(O)Rであり、Xが−OHである場合、このカルボン酸は活性化カルボン酸へと改変され得、ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式である)の化合物を式(III):
【0011】
【化2】

の化合物と、式IV:
【0012】
【化3】

の化合物を与える条件下において、不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成される式IVの化合物をアダマンチルアミンと、不活性溶媒および式IVの化合物のHNC(O)−アミド基をイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後にこのイソシアネート基がこのアダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Iの化合物を形成する条件下において、接触させる工程と、
を含む。
【0013】
一実施形態において、式Ia:
【0014】
【化4】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択される)
のN−(1−アシルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素化合物の調製のための方法が提供され、この方法は、
a)少なくとも等モル量の式IIa
C(O)X (IIa)
(式中、Xは、−OH、ハロ、−OC(O)Rであり、Xが−OHである場合、このカルボン酸は活性化カルボン酸へと改変され得、ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式である)
の化合物をピペリジン−4−イルアミドと、N−アシルピペリジン−4−イルアミドを与える条件下において不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成されるN−アシルピペリジン−4−イルアミドをアダマンチルアミンと、その後にイソシアネート基がこのアダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Iaの化合物を形成する条件下において不活性溶媒およびN−アシルピペリジン−4−イルアミドのHNC(O)−アミド基をイソシアネート基に変換する試薬の存在下で接触させる工程と、
を含む。
【0015】
一実施形態において、Xはハロであり、不活性溶媒は好ましくは、少なくとも等モル量の塩基を含む。塩基は反応中に生成される酸を捕捉するために用いられる。
【0016】
一実施形態において、Xは化合物RC(O)OC(O)RまたはRC(O)OC(O)Rを与える−OC(O)Rであり、ここで、それぞれのR、R、およびRは、独立して、上記に定義されたとおりである。特定の場合に、RはRと同じである。特定の場合に、RはRと同じである。
【0017】
一実施形態において、イソシアネート基へのアミド基の変換は、Hoffmann転位条件を用いて、(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび塩基/臭素または塩素系試薬(例えば、塩基/臭素、塩基/塩素、塩基/次亜臭素酸塩、または塩基/次亜塩素酸塩)から選択される酸化剤の添加によって生じる。好適な塩基には、アルカリ(NaOHまたはKOHあるいはメトキシドなどのアルコキシド)の水溶液が含まれる。
【0018】
一実施形態において、式V:
【0019】
【化5】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、mは、ゼロ、1、または2である)
の尿素化合物の調製のための方法が提供され、この方法は、
a)少なくとも等モル量の式VI
SOX VI
(式中、XはOH、ハロであり、Xが−OHである場合、このスルホン酸は活性化スルホン酸に改変させることができる)の化合物を;
式III:
【0020】
【化6】

の化合物と、式VII:
【0021】
【化7】

の化合物を与える条件下において不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成される式VIIの化合物をアダマンチルアミンと、不活性溶媒および式VIIの化合物のアミド基をイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後にこのイソシアネート基がこのアダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Vの化合物を形成する条件下において、接触させる工程と、
を含む。
【0022】
一実施形態において、式Va:
【0023】
【化8】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式からなる群から選択される)
のN−(1−アルキル−スルホニルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素化合物の調製のための方法が提供され、この方法は、
a)少なくとも等モル量の式IV
SOX VI
(式中、XはOH、ハロであり、Xが−OHである場合、このスルホン酸は活性化スルホン酸に改変させることができる)の化合物をピペリジニル−4−イルアミドと、N−R−スルホニルピペリジン−4−イルアミドを与える条件下において不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成されるN−アルキルスルホニルピペリジン−4−イルアミドをアダマンチルアミンと、不活性溶媒およびこのN−アルキルスルホニルピペリジン4−イルアミドをイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後にこのイソシアネート基がこのアダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Vaの化合物を形成する条件下において、接触させる工程と、
を含む。
【0024】
一実施形態において、不活性溶媒は少なくとも等モル量の塩基を含む。塩基は反応中に生成される酸を捕捉するために用いられる。好ましい塩基には、三級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン)、NaOH、KOHなどが含まれる。
【0025】
一実施形態において、イソシアネート基へのアミド基の変換は、Hoffmann転位条件を用いて、(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび塩基/臭素または塩素系試薬(例えば、塩基/臭素、塩基/塩素、塩基/次亜臭素酸塩、または塩基/次亜塩素酸塩)から選択される酸化剤の添加によって生じる。
【0026】
本発明の方法は、式I、Ia、V、およびVaの化合物への代替経路について予期されない利点を提供する。
【0027】
一実施形態において、これらの方法は、他の様式で除去することが困難な不純物であるN,N’−ジ−アダマンチル尿素の形成を制限する。例えば、アダマンチルアミンからのイソシアネートの形成は、かなりの量のN,N’−ジアダマンチル尿素をもたらすが、下記の式VIIIのイソシアネート(上記の合成における主要な中間体)はジピペリジニル尿素形成の形成に対して安定である。
【0028】
一実施形態において、これらの方法は、ピペリジニルイソシアネートの形成をアダマンチルアミンの存在下で行うことができ、それにより反応工程の数ならびに必要とされる精製および/または単離の数を限定するようなツーポット反応(two−pot reaction)を与える。
【0029】
一実施形態において、順番にはめ込まれる(telescoping)反応工程が提供され、それにより第2の反応前に第1の中間体を単離する必要性を取り除き、それによりワンポット反応を与える。この順番にはめ込まれる反応工程は、反応混合物における高収率沈殿物を利用する。
【0030】
一実施形態において、本発明は、式VIIIaまたはVIIIb:
【0031】
【化9】

(式中、Rは、−CO−W、−SO−W、およびZからなる群から選択され、ここで、Wは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、Zはアミノ保護基であり;
ただし、式VIIIaにおいて、Rは、−COCF、−CH−C、または
【0032】
【化10】

ではない)
の新規な中間体を与える。
【0033】
特定の場合に、Rはアミノ保護基である。
【0034】
特定の場合に、Rは、アシルピペリジニル尿素化合物を与える置換基である。一実施形態では、式IX:
【0035】
【化11】

(式中、RはC1〜6アルキルである)
の化合物が提供される。
【0036】
特定の場合に、Rは、アルキルスルホニルピペリジニル尿素化合物を与える置換基である。一実施形態では、式X:
【0037】
【化12】

(式中、RはC1〜6アルキルである)
の化合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
上に述べたように、本発明は、ピペリジニル置換尿素化合物の合成のための方法およびこの合成中に調製される新規な中間体に関する。
【0039】
しかし、本発明を詳細に説明する前に、以下の用語が定義される:
定義
本明細書において用いられる場合、特に断らない限り以下の定義が適用される。
【0040】
「シス−エポキシエイコサトリエン酸」(「EET」)は、シトクロムP450エポキシゲナーゼによって合成されるバイオメディエーターである。
【0041】
「エポキシドヒドロラーゼ」(「EH」;EC3.3.2.3)は、水をエポキシドと呼ばれる3員の環状エーテルに付加するα/βヒドロラーゼフォールドファミリーにおける酵素である。
【0042】
「可溶性エポキシドヒドロラーゼ」(「sEH」)は、内皮、平滑筋および他の細胞型において、EETをジヒドロキシエイコサトリエン酸(「DHET」)と呼ばれるジヒドロキシ誘導体に転換する酵素である。マウスのsEHのクローニングおよび配列は、Grantら、J.Biol.Chem.268(23):17628〜17633頁(1993年)に示されている。ヒトsEH配列のクローニング、配列および登録番号は、Beethamら、Arch.Biochem.Biophys.305(1):197〜201頁(1993年)に示されている。ヒトsEHのアミノ酸配列はまた、米国特許第5,445,956号の配列番号2として示されており;ヒトsEHをコードする核酸配列は、その特許の配列番号1のヌクレオチド42〜1703として示されている。この遺伝子の進化および命名は、Beethamら、DNA Cell Biol.14(1):61〜71頁(1995年)において検討されている。可溶性エポキシドヒドロラーゼは、齧歯動物とヒトとの間に90%を超える相同性を有する高度に保存された単一の遺伝子産物を表す(Arandら、FEBS Lett.、338:251〜256頁(1994年))。
【0043】
「アルキル」は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基をいう。この用語には、例として、直鎖および分枝鎖のヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH−)、エチル(CHCH−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、イソブチル((CHCHCH−)、sec−ブチル((CH)(CHCH)CH−)、t−ブチル((CHC−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)、およびネオペンチル((CHCCH−)が含まれる。
【0044】
「アルケニル」は、2から6個の炭素原子、好ましくは2から4個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、好ましくは1から2個のビニル(>C=C<)不飽和の部位を有する直鎖または分枝鎖のヒドロカルビル基をいう。このような基は、例えば、ビニル、アリル、およびブタ−3−エン−1−イルによって例示される。この用語の範囲内には、シスおよびトランス異性体またはこれらの異性体の混合物が含まれる。
【0045】
「アルキニル」は、2から6個の炭素原子、好ましくは2から3個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、好ましくは1から2個のアセチレン性(−C≡C−)不飽和の部位を有する直鎖または分枝鎖の一価ヒドロカルビル基をいう。このようなアルキニル基の例には、アセチレニル(−C≡CH)、およびプロパルギル(−CHC≡CH)が含まれる。
【0046】
「置換アルキル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個、またはより好ましくは1から2個の置換基を有するアルキル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されている。
【0047】
「置換アルケニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1から3個の置換基、好ましくは1から2個の置換基を有するアルケニル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されており、但し、いずれのヒドロキシ置換もビニル(不飽和)炭素原子に結合していないことを条件とする。
【0048】
「置換アルキニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1から3個の置換基、好ましくは1から2個の置換基を有するアルキニル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されており、但し、いずれのヒドロキシ置換もアセチレン性炭素原子に結合していないことを条件とする。
【0049】
「アルコキシ」は、アルキルが本明細書に定義されている基−O−アルキルをいう。アルコキシには、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシ、およびn−ペントキシが含まれる。
【0050】
「置換アルコキシ」は、置換アルキルが本明細書に定義されている基−O−(置換アルキル)をいう。
【0051】
「アシル」は、基H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、置換アルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、シクロアルケニル−C(O)−、置換シクロアルケニル−C(O)−、アリール−C(O)−、置換アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換ヘテロアリール−C(O)−、複素環式−C(O)−、および置換複素環式−C(O)−を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。アシルには、「アセチル」基CHC(O)−が含まれる。
【0052】
「アシルアミノ」は、基−NR20C(O)アルキル、−NR20C(O)置換アルキル、−NR20C(O)シクロアルキル、−NR20C(O)置換シクロアルキル、−NR20C(O)シクロアルケニル、−NR20C(O)置換シクロアルケニル、−NR20C(O)アルケニル、−NR20C(O)置換アルケニル、−NR20C(O)アルキニル、−NR20C(O)置換アルキニル、−NR20C(O)アリール、−NR20C(O)置換アリール、−NRC(O)ヘテロアリール、−NR20C(O)置換ヘテロアリール、−NR20C(O)複素環式、および−NR20C(O)置換複素環式を指し、ここで、Rは水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0053】
「アシルオキシ」は、基アルキル−C(O)O−、置換アルキル−C(O)O−、アルケニル−C(O)O−、置換アルケニル−C(O)O−、アルキニル−C(O)O−、置換アルキニル−C(O)O−、アリール−C(O)O−、置換アリール−C(O)O−、シクロアルキル−C(O)O−、置換シクロアルキル−C(O)O−、シクロアルケニル−C(O)O−、置換シクロアルケニル−C(O)O−、ヘテロアリール−C(O)O−、置換ヘテロアリール−C(O)O−、複素環式−C(O)O−、および置換複素環式−C(O)O−を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0054】
「アミノ」は、基−NHをいう。
【0055】
「置換アミノ」は、R21およびR22が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、置換複素環式、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−複素環式、および−SO−置換複素環式からなる群から独立に選択される基−NR2122を指し、ここで、R21およびR22は、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて、複素環式基または置換複素環式基を形成し、但し、R21およびR22は、両方が水素であることはないことを条件とし、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。R21が水素であり、R22がアルキルである場合、該置換アミノ基は本明細書においてアルキルアミノといわれることもある。R21およびR22がアルキルである場合、該置換アミノ基は本明細書においてジアルキルアミノといわれることもある。一置換アミノをいう場合、R21またはR22のいずれかが水素であるが、両方ではないことが意味される。二置換アミノをいう場合、R21またはR22のいずれも水素でないことが意味される。
【0056】
「アミノカルボニル」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−C(O)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0057】
「アミノチオカルボニル」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−C(S)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0058】
「アミノカルボニルアミノ」は、R20が水素またはアルキルであり、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−NR20C(O)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0059】
「アミノチオカルボニルアミノ」は、R20が水素またはアルキルであり、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−NR20C(S)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0060】
「アミノカルボニルオキシ」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11は、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−O−C(O)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されたとおりである。
【0061】
「アミノスルホニル」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−SONR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0062】
「アミノスルホニルオキシ」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11は、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−O−SONR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0063】
「アミノスルホニルアミノ」は、R20が水素またはアルキルであり、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−NR20−SONR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0064】
「アミジノ」は、R10、R11、およびR12が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−C(=NR12)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0065】
「アリール」または「Ar」は、単一の環(例えば、フェニル)または縮合環が芳香族であってもなくてもよい(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン−7−イルなど)複数の縮合した環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6から14個の炭素原子の一価芳香族炭素環式基を指し、但し、その結合点は芳香族炭素原子にあることを条件とする。好ましいアリール基にはフェニルおよびナフチルが含まれる。
【0066】
「置換アリール」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個、またはより好ましくは1から2個の置換基で置換されているアリール基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されている。
【0067】
「アリールオキシ」は、アリールが本明細書に定義されたとおりである基−O−アリールをいう。これには、例として、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。
【0068】
「置換アリールオキシ」は、置換アリールが本明細書に定義されたとおりである基−O−(置換アリール)をいう。
【0069】
「アリールチオ」は、アリールが本明細書に定義されたとおりである基−S−アリールをいう。
【0070】
「置換アリールチオ」は、置換アリールが本明細書に定義されたとおりである基−S−(置換アリール)をいう。
【0071】
「カルボニル」は、−C(=O)−と同等である二価の基−C(O)−をいう。
【0072】
「カルボキシ」または「カルボキシル」は、−COOHまたはその塩をいう。
【0073】
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」は、基−C(O)O−アルキル、−C(O)O−置換アルキル、−C(O)O−アルケニル、−C(O)O−置換アルケニル、−C(O)O−アルキニル、−C(O)O−置換アルキニル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−置換アリール、−C(O)O−シクロアルキル、−C(O)O−置換シクロアルキル、−C(O)O−シクロアルケニル、−C(O)O−置換シクロアルケニル、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−置換ヘテロアリール、−C(O)O−複素環式、および−C(O)O−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0074】
「(カルボキシルエステル)アミノ」は、基−NR20−C(O)O−アルキル、−NR20−C(O)O−置換アルキル、−NR20−C(O)O−アルケニル、−NR20−C(O)O−置換アルケニル、−NR20−C(O)O−アルキニル、−NR20−C(O)O−置換アルキニル、−NR20−C(O)O−アリール、−NR20−C(O)O−置換アリール、−NR20−C(O)O−シクロアルキル、−NR20−C(O)O−置換シクロアルキル、−NR20−C(O)O−シクロアルケニル、−NR20−C(O)O−置換シクロアルケニル、−NR20−C(O)O−ヘテロアリール、−NR20−C(O)O−置換ヘテロアリール、−NR20−C(O)O−複素環式、および−NR20−C(O)O−置換複素環式を指し、ここで、R20はアルキルまたは水素であり、かつアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0075】
「(カルボキシルエステル)オキシ」は、基−O−C(O)O−アルキル、置換−O−C(O)O−アルキル、−O−C(O)O−アルケニル、−O−C(O)O−置換アルケニル、−O−C(O)O−アルキニル、−O−C(O)O−置換アルキニル、−O−C(O)O−アリール、−O−C(O)O−置換アリール、−O−C(O)O−シクロアルキル、−O−C(O)O−置換シクロアルキル、−O−C(O)O−シクロアルケニル、−O−C(O)O−置換シクロアルケニル、−O−C(O)O−ヘテロアリール、−O−C(O)O−置換ヘテロアリール、−O−C(O)O−複素環式、および−O−C(O)O−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0076】
「シアノ」は基−CNをいう。
【0077】
「シクロアルキル」は、単一の環または複数の環式環(縮合環系、架橋環系、およびスピロ環系を含む)を有する3から10個の炭素原子の環式アルキル基をいう。環のうちの1個または複数は、アリール、ヘテロアリール、または複素環式であることができ、但し、その結合点が、非芳香族の、非複素環式環である炭素環式環を介することを条件とする。好適なシクロアルキル基の例には、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルが含まれる。シクロアルキル基の他の例には、ビシクロ[2,2,2]オクタニル基、ノルボルニル基、およびスピロビシクロ[4,5]デク−8−イル:
【0078】
【化13】

などのスピロ基が含まれる。
【0079】
「シクロアルケニル」は、単環または多環式環を有し、かつ少なくとも1個の>C=C<の環不飽和、好ましくは1から2個の>C=C<の環不飽和の部位を有する3から10個の炭素原子の非芳香族環式アルキル基をいう。
【0080】
「置換シクロアルキル」および「置換シクロアルケニル」は、オキソ、チオン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個の置換基を有するシクロアルキル基またはシクロアルケニル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されている。
【0081】
「シクロアルキルオキシ」は−O−シクロアルキルをいう。
【0082】
「置換シクロアルキルオキシ」は、−O−(置換シクロアルキル)をいう。
【0083】
「シクロアルキルチオ」は、−S−シクロアルキルをいう。
【0084】
「置換シクロアルキルチオ」は、−S−(置換シクロアルキル)をいう。
【0085】
「シクロアルケニルオキシ」は、−O−シクロアルケニルをいう。
【0086】
「置換シクロアルケニルオキシ」は、−O−(置換シクロアルケニル)をいう。
【0087】
「シクロアルケニルチオ」は−S−シクロアルケニルをいう。
【0088】
「置換シクロアルケニルチオ」は−S−(置換シクロアルケニル)をいう。
【0089】
「グアニジノ」は、基−NHC(=NH)NHをいう。
【0090】
「置換グアニジノ」は、それぞれのR13が、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、かつ共通のグアニジノ窒素原子に結合した2個のR13基が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する−NR13C(=NR13)N(R13を指し、但し、少なくとも1個のR13は水素でないことを条件とし、ここで該置換基は本明細書に定義されたとおりである。
【0091】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指し、好ましくはフルオロまたはクロロである。
【0092】
「ハロアルキル」は、1から5個、1から3個、または1から2個のハロ基で置換されたアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびハロは本明細書に定義されたとおりである。
【0093】
「ハロアルコキシ」は、1から5個、1から3個、または1から2個のハロ基で置換されたアルコキシ基を指し、ここで、アルコキシおよびハロは本明細書に定義されたとおりである。
【0094】
「ハロアルキルチオ」は、1から5個、1から3個、または1から2個のハロ基で置換されたアルキルチオ基を指し、ここで、アルキルチオおよびハロは本明細書に定義されたとおりである。
【0095】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、基−OHをいう。
【0096】
「ヘテロアリール」は、環内に1から10個の炭素原子、および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1から4個のヘテロ原子を有する芳香族基をいう。このようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジニルまたはフリル)または複数の縮合した環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有することができ、ここで、該縮合環は芳香族であってもなくてもよく、かつ/またはヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、但し、その結合点が芳香族ヘテロアリール基の原子を介することを条件とする。1つの実施形態において、ヘテロアリール基の窒素および/または硫黄の環原子(複数可)は、場合により酸化されて、N−オキシド部分(N→O)、スルフィニル部分、またはスルホニル部分を与える。好ましいヘテロアリールには、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルが含まれる。
【0097】
「置換ヘテロアリール」は、置換アリールについて定義された置換基の同じ基からなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個、またはより好ましくは1から2個の置換基で置換されているヘテロアリール基をいう。
【0098】
「ヘテロアリールオキシ」は−O−ヘテロアリールをいう。
【0099】
「置換ヘテロアリールオキシ」は、基−O−(置換ヘテロアリール)をいう。
【0100】
「ヘテロアリールチオ」は基−S−ヘテロアリールをいう。
【0101】
「置換ヘテロアリールチオ」は、基−S−(置換ヘテロアリール)をいう。
【0102】
「複素環」または「複素環式」または「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」は、1から10個の環炭素原子、および窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択される1から4個の環ヘテロ原子を有する飽和または部分的に飽和であるが芳香族ではない基をいう。複素環は、単一の環または複数の縮合した環(縮合環系、架橋環系およびスピロ環系を含む)を包含する。縮合環系において、1個または複数の環は、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであることができ、但し、その結合点が非芳香族環を介することを条件とする。1つの実施形態において、複素環式基の窒素原子および/または硫黄原子(複数可)は、場合により酸化されてN−オキシド部分、スルフィニル部分、またはスルホニル部分を与える。
【0103】
「置換複素環式」または「置換ヘテロシクロアルキル」または「置換ヘテロシクリル」は、1から5個または好ましくは1から3個の、置換シクロアルキルについて定義された置換基と同じ置換基で置換されているヘテロシクリル基をいう。
【0104】
「ヘテロシクリルオキシ」は、基−O−ヘテロシクリルをいう。
【0105】
「置換ヘテロシクリルオキシ」は、基−O−(置換ヘテロシクリル)をいう。
【0106】
「ヘテロシクリルチオ」は、基−S−ヘテロシクリルをいう。
【0107】
「置換ヘテロシクリルチオ」は、基−S−(置換ヘテロシクリル)をいう。
【0108】
複素環およびヘテロアリールの例には、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも呼ばれる)、1,1−ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、およびテトラヒドロフラニルが含まれる。
【0109】
「ニトロ」は、基−NOをいう。
【0110】
「オキソ」は、原子(=O)または(−O)をいう。
【0111】
「スピロビシクロ基」は、両環に共通の一個の環炭素原子を有する二環式環系をいう。
【0112】
「スルホニル」は、二価の基−S(O)−をいう。
【0113】
「置換スルホニル」は、基−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−複素環式、−SO−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。置換スルホニルには、メチル−SO−、フェニル−SO−、および4−メチルフェニル−SO−などの基が含まれる。「アルキルスルホニル」という用語は、−SO−アルキルをいう。「ハロアルキルスルホニル」という用語は、ハロアルキルが本明細書において定義されている−SO−ハロアルキルをいう。「(置換スルホニル)アミノ」という用語は、−NH(置換スルホニル)を指し、ここで、置換スルホニルは本明細書に定義されたとおりである。
【0114】
「スルホニルオキシ」は、基−OSO−アルキル、−OSO−置換アルキル、−OSO−アルケニル、−OSO−置換アルケニル、−OSO−シクロアルキル、−OSO−置換シクロアルキル、−OSO−シクロアルケニル、−OSO−置換シクロアルケニル、−OSO−アリール、−OSO−置換アリール、−OSO−ヘテロアリール、−OSO−置換ヘテロアリール、−OSO−複素環式、−OSO−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0115】
「チオアシル」は、基H−C(S)−、アルキル−C(S)−、置換アルキル−C(S)−、アルケニル−C(S)−、置換アルケニル−C(S)−、アルキニル−C(S)−、置換アルキニル−C(S)−、シクロアルキル−C(S)−、置換シクロアルキル−C(S)−、シクロアルケニル−C(S)−、置換シクロアルケニル−C(S)−、アリール−C(S)−、置換アリール−C(S)−、ヘテロアリール−C(S)−、置換ヘテロアリール−C(S)−、複素環式−C(S)−、および置換複素環式−C(S)−を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0116】
「チオール」は、基−SHをいう。
【0117】
「チオカルボニル」は、−C(=S)−と同等である二価の基−C(S)−をいう。
【0118】
「チオン」は、原子(=S)をいう。
【0119】
「アルキルチオ」は、基−S−アルキルを指し、ここで、アルキルは本明細書に定義されたとおりである。
【0120】
「置換アルキルチオ」は、基−S−(置換アルキル)を指し、ここで、置換アルキルは本明細書に定義されたとおりである。
【0121】
「立体異性体(単数または複数)」は、1つ以上の立体中心のキラリティーが異なる化合物をいう。立体異性体には、エナンチオマーおよびジアステレオマーが含まれる。
【0122】
「互変異性体」は、エノール−ケト互変異性体およびイミン−エナミン互変異性体などの、プロトンの位置が異なる化合物の交互型、またはピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、およびテトラゾールなどの、環−NH−部分および環=N−部分の両方に結合した環原子を含むヘテロアリール基の互変異性型をいう。
【0123】
「活性化カルボン酸」は、遊離のカルボン酸に比べて求核攻撃に対してより反応を受けやすいカルボン酸基の誘導体を指す。活性化カルボン酸の例には、N−ヒドロキシスクシニミド、イミダゾリドなどが含まれる。
【0124】
「活性化スルホン酸」は、遊離のスルホン酸に比べて求核攻撃に対してより反応を受けやすいスルホン酸基の誘導体を指す。活性化スルホン酸の例には、スルホン酸メチルなどのスルホン酸アルキルが含まれる。
【0125】
「薬学的に受容可能な塩」は、化合物の薬学的に受容可能な塩を指し、その塩は当該分野で周知である様々な有機および無機の対イオンから誘導され、そして、例のみとして、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびテトラアルキルアンモニウムの塩;ならびに該分子が塩基性の官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシレート、酢酸塩、マレイン酸塩、およびシュウ酸塩などの有機または無機酸の塩を含む。
【0126】
「アミノ保護基」は、アミノ基に結合した場合、望ましくない反応がアミノ基で起こることを防止し、アミノ基を再構築するために従来の化学的および/または酵素的手順によって除去され得る任意の基を指す。任意の既知のアミノ保護基が、本発明において使用され得る。通常、アミノ保護基は、保護されたアミノ基が特定の試薬およびその後の所定の化学反応または一連の反応において用いられる反応条件に反応性をなくすように選択される。反応(複数可)の終了時に、得られたアミノ保護基は選択的に除去されて、アミノ基を再生成する。好適なアミノ保護基の例には、一例として、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ベンジル、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエトキシカルボニル(Acm)、アリルオキシカルボニル(Aloc)、ベンジルオキシメチル(Bom)、2−p−ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル(Bpoc)、tert−ブチルジメチルシリル(Bsi)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、4−メチルベンジル、4−メトキシベンジル、2−ニトロフェニルスルフェニル(Nps)、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル(NPys)、トリフルオロアセチル(Tfa)、2,4,6−トリメトキシベンジル(Tmob)、トリチル(Trt)などが含まれる。必要に応じて、固体支持体に共有結合したアミノ保護基も用いられ得る。
【0127】
(一般合成法)
本発明の化合物は、以下の一般的な方法および手順を用いて容易に入手可能な出発物質から調製される。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、他のプロセス条件も特に断らない限り用いられ得ることが理解される。最適反応条件は、使用される特定の反応物質または溶媒で変り得るが、このような条件は、慣用的な最適化手順により当業者によって決定され得る。
【0128】
さらに、当業者には明らかであるように、従来の保護基は、特定の官能基が望ましくない反応を起こすことを防止するのに必要であり得る。様々な官能基の好適な保護基ならびに特定の官能基を保護および脱保護する好適な条件は、当該分野で周知である。例えば、多数の保護基がT.W.GreeneおよびG.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999年およびそこに引用された参考文献に記載されている。
【0129】
さらに、本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を含み得る。したがって、必要に応じて、このような化合物は、純粋な立体異性体、すなわち、個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、または立体異性体豊富化混合物として、調製または単離され得る。このような立体異性体(および豊富化混合物)の全ては、特に断らない限り、本発明の範囲内に含まれる。純粋立体異性体(または豊富化混合物)は、例えば、当該分野で周知である光学的に活性な出発物質または立体選択性反応物質を用いて調製され得る。あるいは、このような化合物のラセミ混合体は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用いて分離され得る。
【0130】
以下の反応のための出発物質は一般的に公知の化合物であるか、または公知の手順もしくはその明らかな変更によって調製され得る。例えば、多くの出発物質が、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wisconsin、USA)、Bachem(Torrance、California、USA)、Emka−ChemceまたはSigma(St.Louis、Missouri、USA)などの商業的供給業者から入手可能である。他のものは、FieserおよびFieserのReagents for Organic Synthesis、第1〜15巻(John Wiley and Sons、1991年)、RoddのChemistry of Carbon Compounds、第1〜5巻および補遺(Elsevier Science Publishers、1989年)、Organic Reactions、第1〜40巻(John Wiley and Sons、1991年)、MarchのAdvanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons、第4版)、ならびにLarockのComprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989年)などの標準的参考教科書に記載される手順、またはその明らかな変更によって調製され得る。
【0131】
本発明の様々な出発物質、中間体、および化合物は、適切な場合に、沈殿、ろ過、結晶化、エバポレーション、蒸留、およびクロマトグラフィーなどの従来の技術を用いて、単離および精製され得る。これらの化合物の特徴づけは、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴、および様々な他の分光分析によるなどの従来の方法を用いて行われ得る。
【0132】
以下のスキーム1では、単に例示の目的のために4−アミドピペリジン基が用いられ、本発明の方法どおりのN−(1−アシルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素化合物の合成が示される:
【0133】
【化14】

(ここで、Rは本明細書に定義される)。
【0134】
スキーム1において、化合物1.1のアミノ基は、従来の条件を用いてアシル化される。具体的には、化学量論的当量または若干の過剰のカルボン酸無水物1.2(これは例証の目的のためにのみ使用される)を化合物1.1と、好適な不活性希釈剤(例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレンなど)の存在下で反応させる。酸無水物に代えて酸クロリドを用いる場合、反応は通常、反応中に生成される酸を捕捉するために過剰な好適な塩基の存在下で行われる。好適な塩基は当分野でよく知られており、これには、単に一例として、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどが含まれる。あるいは、反応は、塩基としてアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)水溶液を用いてSchotten−Baumann型条件下に行われ得る。
【0135】
反応は通常、約0℃から約40℃の温度で、通常約1時間から約24時間内に起こる反応の実質的な終了を生じさせるために十分な期間行われる。反応終了後に、アシルピペリジルアミド(化合物1.3)は、従来の条件、例えば、沈殿、蒸発、クロマトグラフィー、結晶化などによって単離され得るか、あるいは、単離および/または精製なしに次の工程で使用され得る。特定の場合に、化合物1.3は、この反応から沈殿する。
【0136】
次いで、化合物1.3をHoffmann転位条件に供し、従来の条件下にイソシアネート化合物1.4を形成する。特定の場合に、Hoffmann転位条件は、好ましくは(ジアセトキシヨード)ベンゼンおよび塩基/臭素または塩素系試薬(例えば、塩基/臭素、塩基/塩素、塩基/次亜臭素酸塩または塩基/次亜塩素酸塩)から選択される酸化剤と反応させる工程を含む。具体的には、ほぼ化学量論的当量のN−アシル−4−アミドピペリジン(化合物1.4)および、例えば、(ジアセトキシヨード)ベンジルを、好適な不活性希釈剤(例えば、アセトニトリル、クロロホルムなど)の存在下で混合する。反応は通常、約40℃から約100℃、好ましくは約70℃から約85℃の温度で、通常約0.1時間から約12時間内に起こる反応の実質的な終了を生じさせるために十分な期間行われる。反応終了後に、中間体イソシアネート(化合物1.4)は、従来の条件、例えば、沈殿、蒸発、クロマトグラフィー、結晶化などによって単離され得る。
【0137】
あるいはおよび好ましくは、この反応は、アダマンチルアミン(化合物1.5)の存在下に行われ、その結果、イソシアネート(化合物1.4)の形成後に、この化合物のイソシアネート官能基は、化合物1.5のアミノ官能基とその場で反応し、化合物1.6を与えることができる。この実施形態において、計算量の中間体イソシアネートは好ましくは、アダマンチルアミンに対して過剰に、および通常、用いられるアダマンチルアミンの当量数に基づいて約1.1から約1.2当量の量で用いられる。反応条件は、上記に示されたのと同じであり、得られた生成物は、従来の条件、例えば、沈殿、蒸発、クロマトグラフィー、結晶化などによって単離され得る。
【0138】
化合物1.4は安定した中間体である。特定の場合に、化合物1.3は、実質的に不純物を含まないで形成される。したがって、スキーム1は、テレスコープ反応工程として行われ得る。
【0139】
以下のスキーム2では、本発明の方法どおりの尿素化合物の代わりの合成が示され、ここで、再度、4−アミドピペリジンが例証の目的のために用いられる:
【0140】
【化15】

(式中、RはRと同じであり、XおよびPGは本明細書に定義されたとおりである)。
【0141】
具体的には、スキーム2において、ピペリジニル窒素原子のアシル化前にピペリジニル環へのアダマンチル尿素のカップリングが起きる。スキーム2において、化合物2.1のアミン官能基は、当分野でよく知られている従来のアミノ保護基(PG)を用いて保護される。特定の場合に、アミノ保護基は、塩化ベンジルおよび臭化ベンジルから誘導され得るベンジル保護基である。化合物2.3をHoffmann転位条件に供し、上記に詳細に記載された方法でイソシアネート化合物2.4を形成する。化合物2.4は安定な中間体である。化合物2.4とアダマンチルアミンとの反応は、スキーム1どおりに行われ、好ましくは、中間体化合物2.4をアダマンチルアミン(化合物2.5)とその場で反応させ、化合物2.6を形成する単一反応工程で行われる。化合物2.6を、保護基を除去する条件に供し、化合物2.7を生じさせる。特定の場合に、保護基はベンジルであり、除去条件は、メタノールおよびギ酸を含むパラジウム−炭素である。化合物2.7は、化合物2.8でアシル化して、上記スキーム1どおりに化合物2.9を形成する。
【0142】
以下のスキーム3では、本発明の方法どおりのN−(1−アルキルスルホニルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素の合成が示される:
【0143】
【化16】

(ここで、Rは本明細書に定義される)。
【0144】
具体的には、スキーム3において、アミノ化合物3.1をハロゲン化スルホニル(化合物3.2)(例示の目的のみに使用される)と反応させて、スルホンアミド化合物3.3を与える。この反応は通常、化合物3.1を少なくとも1当量、好ましくは約1.1から約2当量のハロゲン化スルホニル(例示の目的のために塩化スルホニルとして示される)と、不活性希釈剤(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)中で反応させることによって行われる。一般に、反応は好ましくは、約−10℃から約20℃の範囲に及ぶ温度で約1時間から約24時間行われる。好ましくは、この反応は、反応中に生成される酸を捕捉するために好適な塩基の存在下で行われる。好適な塩基には、一例として、第三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなど)が含まれる。あるいは、この反応は、塩基としてアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)水溶液を用いてSchotten−Baumann型条件下に行われ得る。反応の終了後に、得られたスルホンアミド(化合物3.3)は、中和、抽出、沈殿、クロマトグラフィー、ろ過などを含む従来の方法によって回収されるか、あるいは、精製および/または単離なしに次の工程で使用される。
【0145】
化合物3.3を上記されたとおりのHoffmann転位条件に供し、イソシアネート化合物3.4を形成する。化合物3.4とアダマンチルアミン(化合物3.5)との反応は、スキーム1どおりに行われ、好ましくは、イソシアネート(化合物3.4)をアダマンチルアミン(化合物3.5)とその場で反応させ、化合物3.6を形成する単一反応工程で行われる。
【0146】
上記反応において用いられる塩化スルホニルは、知られている化合物、または従来の合成手順によって知られている化合物から調製され得る化合物のいずれかでもある。このような化合物は通常、三塩化リンおよび五塩化リンを用いて、対応するスルホン酸から調製される。この反応は一般に、スルホン酸を約2から5モル当量の三塩化リンおよび五塩化リンと、ニートでかまたはジクロロメタンなどの不活性溶媒中のいずれかで、約0℃から約80℃の範囲の温度で約1時間から約48時間接触させて塩化スルホニルを得ることによって行われる。あるいは、塩化スルホニルは、対応するチオール化合物から、すなわち、チオールを塩素(Cl)および水で従来の反応条件下に処理することによって、式R−SH(式中、Rは本明細書に定義されたとおりである)の化合物から調製され得る。
【0147】
化合物3.4は安定な中間体である。特定の場合に、化合物3.3は、実質的に不純物を含まないで形成される。したがって、スキーム3は、順番にはめ込まれる反応工程として行われ得る。
【0148】
下のスキーム4では、本発明の方法どおりの尿素化合物の代替の合成が示される。
【0149】
【化17】

(ここで、Rは、Rと同じに定義され、XおよびPGは本明細書に定義される)。
【0150】
具体的には、スキーム4において、ピペリジニル環へのアダマンチル尿素(化合物4.5)のカップリングは、ピペリジニル窒素原子のスルホニル化前に起きる。スキーム4において、化合物4.1のアミン官能基は、当分野でよく知られている従来のアミノ保護基(PG)を用いて保護される。特定の場合に、アミノ保護基は、塩化ベンジルまたは臭化ベンジルから誘導され得るベンジル保護基である。化合物4.3をHoffmann転位条件に供し、上に詳細に記載された方法でイソシアネート化合物4.4を形成する。化合物4.4は安定な中間体である。化合物4.4とアダマンチルアミン(化合物4.5)との反応は、スキーム1どおりに行われ、好ましくは、中間体化合物4.4をアダマンチルアミン(化合物4.5)とその場で反応させ、化合物4.6を形成する単一反応工程で行われる。化合物4.6を保護基を除去する条件に供し、化合物4.7を生成する。特定の場合に、保護基はベンジルであり、除去条件は、メタノールおよびギ酸を含むパラジウム−炭素である。次いで、化合物4.7を化合物4.8でスルホニル化して、上記のスキーム3どおりに化合物4.9を形成する。
【0151】
上記のスキームにおける中間体には、式VIIIaまたはVIIIb
【0152】
【化18】

(式中、Rは、−CO−W、−SO−W、またはZからなる群から選択され、ここで、Wは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式であり;Zはアミノ保護基であり、
ただし、式VIIIaにおいて、Rは、−COCF、−CH−C、または
【0153】
【化19】

ではない)
の化合物が含まれる。
【0154】
特定の場合に、Rはアミンの保護基である。
【0155】
特定の場合に、Rは、アシルピペリジニル尿素化合物を与える置換基である。一実施形態では、式IX:
【0156】
【化20】

(式中、RはC1〜6アルキルである)
の化合物が提供される。
【0157】
特定の場合に、Rは、スルホニルピペリジニル尿素化合物を与える置換基である。一実施形態では、式X:
【0158】
【化21】

(式中、RはC1〜6アルキルである)
の化合物が提供される。
【0159】
以下のスキーム5では、Rが前に定義されたとおりである中間体5.3の例示的な合成が示される。
【0160】
【化22】

具体的には、スキーム5において、酸無水物(RCO)Oを用いた化合物5.1のアシル化は化合物5.2を与える。次いで、化合物5.2は、ヨードソベンゼンジアセテートとの反応を介してイソシアネート5.3に変換される。
【0161】
化合物5.1から化合物5.2への変換は、化合物5.1を酸RCOOHおよびアミドカップリング試薬と反応させることによっても行われ得る。好適なカップリング試薬には、カルボジイミド(例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、および1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI))が含まれる。カルボジイミドは、添加剤[例えば、ジメチルアミノピリジン(DMAP)またはベンゾトリアゾール(例えば、7−アザ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAt)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、および6−クロロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(Cl−HOBt))]と併用して使用され得る。
【0162】
アミドカップリング試薬には、アミニウムおよびホスホニウム系試薬も含まれる。アミニウム塩には、N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)、N−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HBTU)、N−[(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HCTU)、N−[(1H−ベンゾトリアゾール−1イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムテトラフルオロボレートN−オキシド(TBTU)、およびN−[1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムテトラフルオロボレートN−オキシド(TCTU)が含まれる。ホスホニウム塩には、7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)およびベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)が含まれる。アミド形成工程は、ジメチルホルムアミド(DMF)などの極性溶媒中で行うことができ、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)またはジメチルアミノピリジン(DMAP)などの有機塩基も含まれ得る。
【実施例】
【0163】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例証し、本発明を実施する際に当業者に役立つために提供される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定すると決して考えられるべきではない。
【0164】
これらの実施例において、以下の略語は以下の意味を有する:
bd =広い二重項
m =多重項
m.p. =融点
MS =質量分析
[M+H]=MSにおける親ピークプラスH
s =一重項
THF =テトラヒドロフラン
(実施例1)
N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素の合成
N−アセチルピペリド−4−イルアミドの調製
反応器に、1.00モル当量の4−ピペリジンカルボキサミド、15.9モル当量のTHF、および1.23モル当量のN,N−(ジイソプロピル)エチルアミンを窒素雰囲気下で入れた。得られた混合物を20℃内部に冷却し、30℃未満の内部温度を維持するような速度で1.10モル当量の無水酢酸を添加した。添加が終了後、20℃の内部温度を維持しながら、反応混合物を撹拌した。未反応4−ピペリジンカルボキサミドの量が、N−アセチルピペリド−4−イルアミド生成物と比べて1%未満になるまで反応内容物をモニターした(通常約4〜10時間)。沈殿生成物をろ過により収集して、THFで洗浄し、過剰の(ジイソプロピル)エチルアミン塩酸塩を除去した。50℃以下の内部温度を維持しながら、窒素流出下に真空オーブン中で恒量まで固体生成物を乾燥させ、94%収率で白色固体として生成物を得た。
【0165】
H NMR(CDOD)δ:4.48−4.58(bd,1H),3.92−4.01(bd,1H),3.08−3.22(m,1H),2.62−2.74(m,1H),2.44−2.53(m,1H),2.12(s,3H),1.88−1.93(m,2H),1.45−1.72(m,2H);MS:171[M+H];m.p.172−174℃。
【0166】
N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素の調製
反応器に、1.00モル当量のN−アセチルピペリド−4−イルアミド、0.87モル当量の1−アダマンチルアミン、および49.7モル当量のアセトニトリルを入れ、得られた混合物を窒素雰囲気下で75℃内部に加熱した。反応混合物を75〜80℃内部に維持するように、(ジアセトキシヨード)ベンゼン(1.00モル当量)を少量ずつ入れた。(ジアセトキシヨード)ベンゼンを添加後、反応混合物を80℃内部に加熱した。生成物N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素と比べて未反応1−アダマンチルアミンが5%未満となるまで、反応内容物をモニターした(通常約1〜6時間)。終了後、反応混合物を25℃内部に冷却し、内部温度を40℃未満に維持しながら、約24モル当量の溶媒を真空下で留出させた。反応混合物を撹拌しながら0〜5℃内部に冷却し、さらに2時間撹拌した。この技術的な生成物をろ過により収集し、アセトニトリルで洗浄した。50℃以下の内部温度を維持しながら窒素流出下に真空オーブン中で恒量まで粗生成物を乾燥させた。乾燥粗生成物を20±5℃内部の内部温度を維持しながら水で4時間スラリー化し、次いで、ろ過によって収集した。ろ過ケーキを窒素雰囲気下にヘプタンで洗浄し、次いで、70℃以下の内部温度を維持しながら窒素流出下に真空オーブン中で恒量まで乾燥させ、1−アダマンチルアミンに基づいて72%収率で白色固体として生成物を得た。
【0167】
H NMR(DMSO−d)δ:5.65−5.70(bd,1H),5.41(s,1H),4.02−4.10(m,1H),3.61−3.70,(m,1H),3.46−3.58(m,1H),3.04−3.23(m,1H),2.70−2.78(m,1H),1.98(s,3H),1.84(s,6H),1.64−1.82(m,2H),1.59(s,6H),1.13−1.25(m,1H),1.00−1.12(m,1H);MS:320[M+H];m.p.202−204℃。
【0168】
(実施例2)
N−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素の合成
N−メタンスルホニルピペリド4−イルアミドの調製
反応器に、1.0モル当量の4−ピペリジンカルボキサミド、16.4モル当量のTHF、および1.2モル当量のN,N−(ジイソプロピル)エチルアミンを窒素雰囲気下で入れた。この反応混合物を0〜5℃内部に冷却し、10℃未満の内部温度を維持するような速度で、1.2モル当量のメタンスルホニルクロリドを添加した。添加が終了した後、反応混合物を撹拌して、20℃内部に温度を上昇させた。N−メタンスルホニルピペリド−4−イルアミド生成物と比べて未反応4−ピペリジンカルボキサミドの量が1%未満になるまで、反応内容物をモニターした(通常約2〜12時間)。沈殿生成物をろ過により収集し、次いで、ジクロロメタンで洗浄して過剰の(ジイソプロピル)エチルアミン塩酸塩を除去した。50℃以下の内部温度を維持しながら窒素流出下に真空オーブン中で恒量まで固体生成物を乾燥させ、87%収率で淡黄色固体として生成物を得た。
【0169】
H NMR(DMSO−d)δ:7.30(s,1H),6.91(s,1H),3.46−3.59(m,2H),2.83(s,3H),2.60−2.76(m,2H),2.08−2.24(m,1H),1.70−1.86(m,2H),1.43−1.62(m,2H);MS:207[M+H];m.p.126−128℃。
【0170】
N−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素の調製
反応器に、1.00モル当量のN−メタンスルホニルピペリド−4−イルアミド、1.06モル当量の1−アダマンチルアミン、および39.3モル当量のアセトニトリルを入れ、得られた混合物を窒素雰囲気下で40℃内部に加熱した。反応混合物を75℃未満内部に維持するように、(ジアセトキシヨード)ベンゼン(1.20モル当量)を少量ずつ入れた。(ジアセトキシヨード)ベンゼンを添加後、反応混合物を65〜70℃内部に加熱し、生成物N−(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1イル)尿素と比べて未反応1−アダマンチルアミンの量が5%未満になるまで反応内容物をモニターした(通常約6時間未満)。得られた混合物を20℃内部に冷却し、ろ過して少量の不溶性物質を除去した。ろ過液を48時間放置させ、この時点で沈殿生成物をろ過により収集した。50℃以下の内部温度を維持しながら窒素流出下に真空オーブン中で恒量になるまで固体生成物を乾燥させ、N−メタンスルホニルピペリド−4−イルアミドに基づいて58%収率で生成物を得た。
【0171】
H NMR(CDCl)δ:3.95−4.08(m,2H),3.74−3,82(m,2H),3.63−3.82(m,1H),3.78(s,3H),3.70−3.80(m,2H),2.02−2.12(m,5H),1.90(s,6H),1.67(s,6H),1.40−1.50(m,2H);MS:356[M+H];m.p.228−229℃。
【0172】
(実施例3)
1−アセチルピペリジン−4−イソシアネートの合成
【0173】
【化23】

CHCl(30mL)中ピペリジン−4−カルボキサイミド(6.0ミリモル)の溶液に、EtN(2.5mL、18.0ミリモル)、その後、酢酸無水物(0.7mL、7.2ミリモル、1.2当量)を0〜5℃で添加した。この反応混合物を室温まで加温させ、常温で18時間撹拌した。沈殿固体をろ過により収集し、CHCl(2×25mL)で洗浄して、乾燥し、定量的な収率で白色固体として1−アセチルピペリジン−4−カルボキサミドを得た。
【0174】
LCMS 171[M+H],H NMR(300MHz,CDCl)δ:4.53−4.49(m,1H),3.98−3.93(m,1H),3.19−3.09(m,1H),2.73−2.63(m,1H),2.54−2.42(m,1H),1.89−1.80(m,2H),1.71−1.47(m,2H)。
【0175】
CDCl(2mL)中1−アセチルピペリジン−4−カルボキサミド(200mg、1.18ミリモル)の溶液に、ヨードソベンゼンジアセテート(492mg、1.53ミリモル)を2回に分けて40℃で添加した。得られた反応混合物は40℃2時間の撹拌で均一溶液になった。次いで、室温に冷却後に、反応混合物をLCMSおよびHNMRで特性決定した。
【0176】
LCMS 169[M+H],H NMR(300MHz,CDCl)δ:4.53−4.39(m,1H),3.79−3.60(m,1H),3.43−3.28(m,1H),3.21−3.13(m,1H),2.83−2.43(m,1H),1.72−1.60(m,2H),1.48−1.26(m,2H)。
【0177】
本発明を上記実施例とともに説明してきたが、前述の説明および実施例は本発明を例証することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるべきである。本発明の範囲内の他の態様、利点および変更は、本発明が属する当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化24】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、mは、ゼロ、1、または2である)
の尿素化合物の調製のための方法であって、
a)少なくとも等モル量の式II:
C(O)X (II)
(式中、Xは、−OH、ハロまたは−OC(O)Rであり、ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式である)
の化合物を式(III):
【化25】

の化合物と、式IV:
【化26】

の化合物を与える条件下において不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成される式IVの化合物をアダマンチルアミンと、不活性溶媒および式IVの化合物のHNC(O)−アミド基をイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後に該イソシアネート基が該アダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Iの化合物を形成する条件下において、接触させる工程と
を含む方法。
【請求項2】
式Ia:
【化27】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、および置換複素環式である)
のN−(1−アシルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素化合物の調製のための方法であって、
a)少なくとも等モル量の式IIa
C(O)X (IIa)
(式中、Xは、−OH、ハロまたは−OC(O)Rであり、ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式である)
の化合物をピペリジン−4−イルアミドと、N−アシルピペリジン−4−イルアミドを与える条件下において不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成されるN−アシルピペリジン−4−イルアミドをアダマンチルアミンと、不活性溶媒および前記N−アシルピペリジン−4−イルアミドのHNC(O)−アミド基をイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後に該イソシアネート基が該アダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Iaの化合物を形成する条件下において、接触させる工程と
を含む方法。
【請求項3】
Xがハロであり、前記不活性有機溶媒が少なくとも等モル量の塩基を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、NaOH、およびKOHからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Xが−OC(O)Rであり、ここで、Rは独立して上記に定義されたとおりである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
RとRとが同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
RとRとが同じである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記イソシアネート基へのアミド基の変換が、(ジアセトキシヨード)ベンゼン、塩基/臭素、塩基/塩素、塩基/次亜臭素酸塩、および塩基/次亜塩素酸塩から選択される酸化剤の添加によって起こる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
式V:
【化28】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、mは、ゼロ、1、または2である)
の尿素化合物の調製のための方法であって、
a)少なくとも等モル量の式VI
SOX VI
(式中、Xは水素またはハロである)の化合物を、
式III:
【化29】

の化合物と、式VII:
【化30】

の化合物を与える条件下において不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成される式VIIの化合物をアダマンチルアミンと、不活性溶媒および式VIIの化合物のアミド基をイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後に該イソシアネート基が該アダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Vの化合物を形成する条件下において、接触させる工程と
を含む方法。
【請求項10】
式Va:
【化31】

(式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式からなる群から選択される)
のN−(1−アルキル−スルホニルピペリジン−4−イル)−N’−(アダマント−1−イル)尿素化合物の調製のための方法であって、
a)少なくとも等モル量の式IV
SOX VI
(式中、Xは水素またはハロである)の化合物をピペリジニル−4−イルアミドと、N−R−スルホニルピペリジン−4−イルアミドを与える条件下において不活性溶媒中で接触させる工程と、
b)上記a)で生成されるN−アルキルスルホニルピペリジン−4−イルアミドをアダマンチルアミンと、不活性溶媒および前記N−アルキルスルホニルピペリジン4−イルアミドをイソシアネート基に変換する試薬の存在下で、その後に該イソシアネート基が該アダマンチルアミノ基のアミンと反応して式Vaの化合物を形成する条件下において、接触させる工程と
を含む方法。
【請求項11】
前記不活性有機溶媒が、少なくとも等モル量の塩基を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基が、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、NaOH、およびKOHからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イソシアネート基へのアミド基の変換が、(ジアセトキシヨード)ベンゼン、塩基/臭素、塩基/塩素、塩基/次亜臭素酸塩、および塩基/次亜塩素酸塩から選択される酸化剤の添加によって起こる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項14】
式VIIIaまたはVIIIb
【化32】

(式中、Rは、−CO−W、−SO−W、またはWであり、ここで、Wは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環式、または置換複素環式であり、
ただし、式VIIIaにおいて、Rは、−COCF、−CH−C、または
【化33】

ではない)
の化合物。
【請求項15】
式IX:
【化34】

(式中、RはC1〜6アルキルである)
の化合物。
【請求項16】
式X:
【化35】

(式中、RはC1〜6アルキルである)
の化合物。

【公表番号】特表2010−516785(P2010−516785A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547453(P2009−547453)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/052196
【国際公開番号】WO2008/094862
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509029335)アレテ セラピューティクス, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】