説明

ピラゾロピリジンPI3K阻害剤化合物及び使用方法

式Iの化合物で、その立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物及び薬学的に許容可能な塩を含むものは、p110α及びPI3Kの他のアイソフォームを含む脂質キナーゼを阻害するために、また脂質キナーゼによって媒介される癌又は炎症のような疾患を治療するために有用である。哺乳動物細胞におけるそのような疾患、又は関連する病理症状のインビトロ、インサイツ及びインビボ診断、予防、又は治療のために式Iの化合物を使用する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年11月20日に出願された米国仮出願第61/116427号の優先権を主張するものであり、その全内容を出典明示により援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般には抗癌活性又は抗炎症効果を有する化合物、より詳細にはPI3キナーゼ活性を阻害する化合物に関する。本発明はまた哺乳動物細胞又は関連する病理症状のインビトロ、インサイツ、及びインビボでの診断又は治療のために該化合物を使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
ホスファチジルイノシトール(以後「PI」と略)は、細胞膜において見出される多くのリン脂質の一つである。近年、PIが細胞内シグナル伝達において重要な役割を担っていることが明らかになってきた。3’−リン酸化ホスホイノシチドを介する細胞シグナル伝達は、様々な細胞内プロセス、例えば、癌化、増殖因子シグナル伝達、炎症、及び免疫に結び付けられてきた(Rameh等(1999) J. Biol Chem, 274:8347-8350)。これらのリン酸化シグナル伝達生成物の生産に関与する酵素であるホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3−キナーゼ又はPI3Kとも称される)は、ウイルス性腫瘍性タンパク質、ならびにイノシトール環の3’−ヒドロキシルにおいてホスファチジルイノシトール(PI)及びそのリン酸化誘導体をリン酸化する増殖因子受容体チロシンキナーゼと関連する活性として当初同定された (Panayotou等(1992) Trends Cell Biol 2:358-60)。
【0004】
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)は、イノシトール環の3-ヒドロキシル残基において脂質をリン酸化する脂質キナーゼである(Whitman等(1988) Nature, 332:664)。PI3−キナーゼによって生成された3-リン酸化リン脂質(PIP3)は、(プレクストリン相同(PH)領域を含めた)脂質結合ドメインを有するキナーゼ(Akt及びホスホイノシチド依存性キナーゼ−1(PDK1)等)を補充してセカンドメッセンジャーの機能を果たす。Aktの膜PIP3への結合により、形質膜へAktが転位し、これによってAktはPDK1と接触し、これはAktの活性化に関与している。腫瘍抑制物質ホスファターゼであるPTENは、PIP3を脱リン酸化し、したがってAkt活性化の負の調節因子の役目を務めている。PI3−キナーゼAkt及びPDK1は、細胞周期調節、増殖、生存、アポトーシス及び運動性を含めた多くの細胞内プロセスの調節において重要であり、癌、糖尿病及び免疫性炎症等の疾患の分子機構の重要な要素である(Vivanco等(2002) Nature Rev. Cancer 2:489; Phillips等(1998) Cancer 83:41)。
【0005】
PI3キナーゼファミリーは、構造的相同性によって細分類された少なくとも15種の異なる酵素を含み、配列相同性及び酵素触媒反応によって形成される生成物に基づいて3つのクラスに分けられる。クラスIのPI3キナーゼは、2つのサブユニット(110kdの触媒サブユニット及び85kdの調節サブユニット)からなる。調節サブユニットはSH2ドメインを含有し、チロシンキナーゼ活性を有する増殖因子受容体又は癌遺伝子産物によりリン酸化されたチロシン残基に結合し、それによってその脂質基質をリン酸化するp110触媒サブユニットのPI3K活性を誘発する。クラスIのPI3キナーゼは、サイトカイン、インテグリン、増殖因子及び免疫受容体の下流の重要なシグナル伝達事象に関与しており、これは、この経路の制御が細胞増殖及び発癌の調節等の重要な治療効果をもたらし得ることを示唆する。クラスIのPI3Kは、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトール-4-リン酸、及びホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸(PIP2)をリン酸化し、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PIP)、ホスファチジルイノシトール-3,4-二リン酸、及びホスファチジルイノシトール-3,4,5-三リン酸を各々生成することができる。クラスIIのPI3Kは、PI及びホスファチジルイノシトール-4-リン酸をリン酸化する。クラスIIIのPI3Kは、PIのみをリン酸化することができる。
【0006】
癌における主要なPI3キナーゼアイソフォームは、クラスI PI3キナーゼ、p110α(アルファ)である(米国特許第5824492;米国特許第5846824;米国特許第6274327)。他のアイソフォームは心血管疾患及び免疫炎症性疾患と関係がある(Workman P (2004) Biochem Soc Trans 32:393-396;Patel等(2004) Proceedings of the American Association of Cancer Research (Abstract LB-247) 95th Annual Meeting, March 27-31, Orlando, Florida, USA;Ahmadi K及びWaterfield MD (2004) Encyclopedia of Biological Chemistry (Lennarz W J, Lane M D編) Elsevier/Academic Press)。
【0007】
PI3キナーゼ/Akt/PTEN経路は、制癌剤開発のための魅力的なターゲットであり、なぜならそのような薬剤は、癌細胞の増殖を阻害し、アポトーシスの退行を逆行させ、細胞傷害剤への耐性を克服することが期待されるためである(Garcia-Echeverria等(2008) Oncogene 27:5511-5526)。PI3キナーゼ阻害剤は報告されている(Folkes等(2008) Jour. Med. Chem. 51:5522-5532;Belvin等, American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:April 15, Abstract 4004;Folkes 等, American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:April 14, Abstract LB-146;Friedman 等, American Association for Cancer Research Annual Meeting 2008, 99th:April 14, Abstract LB-110;Yaguchi等(2006) Jour. of the Nat. Cancer Inst. 98(8):545-556;米国特許第7173029号;米国特許第7037915号;米国特許第6608056号;米国特許第6608053号;米国特許第6838457号;米国特許第6770641号;米国特許第6653320号;米国特許第6403588;米国特許第6703414号;国際公開第97/15658号;国際公開第2006/046031号;国際公開第2006/046035号;国際公開第2006/046040号;国際公開第2007/042806号;国際公開第2007/042810号;国際公開第2004/017950号;米国特許出願公開第2004/092561号;国際公開第2004/007491号;国際公開第2004/006916号;国際公開第2003/037886号;米国特許出願公開第2003/149074号;国際公開第2003/035618号;国際公開第2003/034997号;米国特許出願公開第2003/158212号;欧州特許出願公開第1417976号;米国特許出願公開第2004/053946号;特開2001247477号;特開08175990号;特開08176070号)。p110α結合活性を含む(米国特許出願公開第2008/0207611;米国特許出願公開第2008/0039459号;米国特許出願公開第2008/0076768号;米国特許出願公開第2008/0269210号;米国特許出願公開第2008/0242665号)。
【発明の概要】
【0008】
本発明は一般に抗癌活性、より詳細にはPI3キナーゼ阻害活性を有する式Iのピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物に関する。ある種の過剰増殖疾患はPI3キナーゼ機能の調節によって、例えばタンパク質の変異又は過剰発現によって特徴づけられる。従って、本発明の化合物は、癌又は炎症関連疾患、例えば関節リウマチのような過剰増殖疾患の治療に有用でありうる。化合物は哺乳動物における腫瘍増殖を阻害し得、ヒト癌患者の治療に有用でありうる。
【0009】
本発明は、また、哺乳動物細胞、生物、又は関連する病理症状のインビトロ、インサイツ、及びインビボでの診断又は治療のための式Iのピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物の使用方法にも関与する。
【0010】
式Iの化合物は、

及びその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、又は薬学的に許容可能な塩を含む。様々な置換基R、R、R、Rがここで定義される。
【0011】
本発明の他の態様は、式Iの1,3,4,6-置換ピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物と薬学的許容可能な担体を含有する薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は更に一又は複数の更なる治療剤を含有しうる。
【0012】
本発明の他の態様は、式Iの化合物の有効な阻害量にPI3キナーゼを接触させることを含むPI3キナーゼ活性の阻害方法を提供する。
【0013】
本発明の他の態様は、PI3キナーゼにより調節される過剰増殖疾病又は疾患を予防し又は治療する方法であって、式Iの化合物の有効量をかかる治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明の他の態様は、過剰増殖疾患を防止し又は治療する方法であって、単独で又は抗過剰増殖特性を有する一又は複数の更なる化合物との併用で、式Iの化合物の有効量をそのような治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0015】
本発明の他の態様は、炎症疾患を防止し又は治療する方法であって、単独で又は抗過剰増殖特性を有する一又は複数の更なる化合物との併用で、式Iの化合物の有効量をそのような治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物におけるPI3キナーゼによって調節される過剰増殖疾患又は症状を治療するためにこの発明の化合物を使用する方法を提供する。
【0017】
本発明の更なる態様は、哺乳動物におけるPI3キナーゼによって調節される疾患又は症状を治療し又は予防するための医薬の調製におけるこの発明の化合物の使用である。
【0018】
本発明の他の態様は、式Iの化合物、容器、及び場合によっては治療を示すパッケージ挿入物又はラベルを含むキットを含む。
【0019】
本発明の他の態様は、式Iの化合物を調製する方法、分離する方法、及び精製する方法を含む。
【0020】
本発明の他の態様は、式Iの化合物を調製するために有用な新規中間体を含む。
【0021】
この発明の更なる利点及び新規な特徴は、部分的には以下の明細書に記載され、部分的には次の明細書の検討によって当業者に明らかとなるか又は本発明の実施によって知得されうる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている手段、組合せ、組成物、及び方法によって実現され、達成されうる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本発明のある種の実施態様を詳細に参照するが、その例は、添付の構造及び式において例証される。本発明は、列挙される実施態様に関連して記載されるが、本発明をその実施態様に限定することは意図していないことが理解されるであろう。逆に、本発明は、特許請求の範囲により定まる本発明の範囲に含まれ得る全ての代替物、改変物、及び均等物を網羅することが意図される。当業者であれば、本発明の実施に使用され得るここに記載されたものと類似しているか又は均等である多くの方法及び材料が分かるであろう。本発明は、記載された方法及び材料に決して限定されない。援用される文献、特許、及び類似の材料のうちの一又は複数が、限定しないが、定義される用語、用語の使用法、記載される技術などを含む本願と異なるか又は矛盾する場合、本願が優先する。
【0023】
定義
ここで使用される「アルキル」なる用語は、1個〜12個の炭素原子(C−C12)の飽和した直鎖もしくは分枝鎖の一価炭化水素基を意味し、ここで、アルキル基は、場合によっては以下に記載の一又は複数の置換基で独立して置換されていてもよい。他の実施態様では、アルキル基は、1から8の炭素原子(C−C)、又は1から6の炭素原子(C−C)である。アルキル基の例は、限定されないが、メチル(Me、-CH)、エチル(Et、-CHCH)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CHCHCH)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH))、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CHCHCHCH)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CHCH(CH))、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH)CHCH)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH))、1-ペンチル(n-ペンチル、-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH))、2-メチル-2-ブチル(-C(CH)CHCH)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH)CH(CH))、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH))、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)、1-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH)CHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CHCH(CH))、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH)(CHCH))、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CHCH)CH(CH))、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH)CH(CH))、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH)C(CH)、1-ヘプチル及び1-オクチル等を含む。
【0024】
ここで使用される「アルキレン」なる用語は、1から12の炭素原子(C−C12)の飽和した直鎖又は分岐鎖二価炭化水素基を意味し、ここで、アルキレン基は以下に記載の一又は複数の置換基で独立して置換されていてもよい。他の実施態様では、アルキレン基は1から8の炭素原子(C−C)、又は1から6の炭素原子(C−C)である。アルキレン基の例は、限定しないが、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)等を含む。
【0025】
「アルケニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素sp二重結合を有する2から8の炭素原子(C−C)の直鎖状又は分枝鎖状の一価炭化水素を意味し、ここで、アルケニル基は場合によっては置換されていてもよく、「シス」及び「トランス」配向、又はあるいは「E」及び「Z」配向を有する基を含む。例には、限定されないが、エチレニル又はビニル(-CH=CH)、アリル(-CHCH=CH)等が含まれる。
【0026】
「アルケニレン」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素、sp二重結合を有する2から8の炭素原子(C−C)の直鎖状又は分枝鎖状の二価炭化水素を意味し、ここで、アルケニル基は置換されていてもよく、「シス」及び「トランス」配向、又はあるいは「E」及び「Z」配向を有する基を含む。例には、限定されないが、エチレニレン又はビニレン(-CH=CH-)、アリル(-CHCH=CH-)等が含まれる。
【0027】
「アルキニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素、sp三重結合を有する2から8の炭素原子(C−C)の直鎖状又は分岐鎖状の一価炭化水素を意味し、ここで、アルキニル基は置換されていてもよい。限定しないが、例には、エチニル (-C≡CH)、プロピニル(プロパルギル、-CHC≡CH)等が含まれる。
【0028】
「アルキニレン」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素、sp三重結合を有する2から8の炭素原子(C−C)の直鎖状又は分岐鎖の二価炭化水素基を意味し、ここで、アルキニル基は場合によっては置換されていてもよい。限定しないが、例にはエチニレン(-C≡CH-)、プロピニレン(プロパルギレン、-CHC≡CH-)等が含まれる。
【0029】
「炭素環」、「カルボシクリル」、「炭素環式環」及び「シクロアルキル」なる用語は、3から12の炭素原子(C−C12)を単環式環として、又は7から12の炭素原子を二環式環として有する一価の非芳香族の飽和又は部分的に不飽和の環を意味する。7から12の原子を有する二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]系として配置され得、9又は10の環原子を有する二環式炭素環は、ビシクロ[5,6]又は[6,6]系として、又はビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンのような架橋系として配置されうる。単環式炭素環の例には、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル等々が含まれる。
【0030】
「アリール」は、親芳香環系の単一炭素原子から一つの水素原子を取り除くことによって誘導される6−20の炭素原子(C−C20)の一価芳香族炭化水素基を意味する。幾つかのアリール基は「Ar」として例示構造において表される。アリールは飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環に縮合した芳香環を含む二環式基を含む。典型的なアリール基には、限定されないが、ベンゼンから誘導された基(フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデニル、インダニル、1,2-ジヒドロナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル等々が含まれる。アリール基は場合によっては置換されていてもよい。
【0031】
「アリーレン」は、親芳香環系の二つの炭素原子から二つの水素原子を取り除くことによって誘導される6−20の炭素原子(C−C20)の二価芳香族炭化水素基を意味する。幾つかのアリール基は「Ar」として例示構造において表される。アリールは飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環に縮合した芳香族環を含む二環式基を含む。典型的なアリーレン基には、限定されないが、ベンゼンから誘導された基(フェニレン)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニレン、インデニレン、インダニレン、1,2-ジヒドロナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル等々が含まれる。アリーレン基は置換基で置換されていてもよい。
【0032】
「複素環」、「ヘテロシクリル」及び「複素環式環」なる用語は、ここでは交換可能に使用され、少なくとも一の環原子が、窒素、酸素、リン及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、一又は複数の環原子が、例えば酸素(=O)、メルカプト、又はアミノ等で置換されていてもよい、3から20の環原子の飽和又は部分的不飽和(つまり、環内に一又は複数の二重及び/又は三重結合を有する)炭素環式基を意味する。複素環は、3から7の環員(2から6の炭素原子とN、O、P、及びSから選択される1から4のヘテロ原子)を有する単環、又は7から10の環員(4から9の炭素原子とN、O、P、及びSから選択される1から6のヘテロ原子)を有する二環、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系でありうる。複素環は、Paquette, Leo A.;"Principles of Modern Heterocyclic Chemistry" (W. A. Benjamin, New York, 1968)、特に1、3、4、6、7、及び9章;"The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs"(John Wiley & Sons, New York, 1950 to present)、特に13、14、16、19、及び28巻;及びJ. Am. Chem. Soc. (1960) 82:5566に記載されている。「ヘテロシクリル」はまた複素環基に飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環又は複素環式環が縮合した基を含む。複素環式環の例には、限定されないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H-インドリルキノジリニル 1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン-5-イル及びN-ピリジルウレアが含まれる。スピロ部分がまたこの定義の範囲内に含まれる。一又は複数のオキソ(=O)部分で置換されている複素環基の例は、ピリミジノイル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルである。
【0033】
「ヘテロアリール」なる用語は、5、6又は7員環の一価芳香族基を意味し、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される一又は複数のヘテロ原子を含む5から約20の環原子の縮合環系(その少なくとも一つが芳香族)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば2-ヒドロキシピリジニルを含む)、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル(例えば4-ヒドロキシピリミジニルを含む)、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルが含まれる。ヘテロアリール基は場合によっては置換されていてもよい。
【0034】
複素環又はヘテロアリール基は、それが可能である場合、ピラゾロ[3,4-b]ピリジンに、炭素で結合(炭素結合)しても、又は窒素で結合(窒素結合)してもよい。例を挙げると、限定するものではないが、炭素結合した複素環又はヘテロアリールは、ピリジンの2位、3位、4位、5位、又は6位、ピリダジンの3位、4位、5位、又は6位、ピリミジンの2位、4位、5位、又は6位、ピラジンの2位、3位、5位、又は6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール又はテトラヒドロピロールの2位、3位、4位、又は5位、オキサゾール、イミダゾール又はチアゾールの2位、4位、又は5位、イソオキサゾール、ピラゾール、又はイソチアゾールの3位、4位、又は5位、アジリジンの2位又は3位、アゼチジンの2位、3位、又は4位、キノリンの2位、3位、4位、5位、6位、7位、又は8位、あるいはイソキノリンの1位、3位、4位、5位、6位、7位、又は8位で結合する。
【0035】
例を挙げると、限定するものではないが、窒素が結合した複素環又はヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール又はβ-カルボリンの9位で結合する。
【0036】
「単環式へテロアリール」という用語は、独立してN、O、及びSから選択される1、2、3又は4の環ヘテロ原子を含む5又は6員環の未置換又は置換された単環式へテロアリール基を意味する。単環式ヘテロアリールの任意の炭素(炭素結合)原子は、式Iの化合物に従ってピリジン環のRのようにC4位に又はRのようにC6位に結合し得る。単環式ヘテロアリール基は、限定しないが、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル、2-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-フラニル、3-フラニル、2-チエニル、3-チエニル、3-トリアゾリル、1-トリアゾリル、5-テトラゾリル、1-テトラゾリル、及び2-テトラゾリルを含む。単環式ヘテロアリールは場合によっては置換されていてもよい。
【0037】
窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される一又は複数のヘテロ原子を含む「縮合二環式C−C20ヘテロシクリル」及び「縮合二環式C−C20ヘテロアリール」は、それらの芳香族の性質のみが異なり、一緒に縮合した2つの環を有する、つまり一つの共通の結合を共有している。二環式ヘテロシクリル及びヘテロアリール基の任意の炭素(炭素結合)原子は、式Iに従いピリジン環のRのようにC4位に、RのようにC6位に結合し得る。縮合二環式へテロシクリル及びヘテロアリール基は、限定しないが、1H-インダゾール、1H-インドール、インドリン-2-オン、1-(インドリン-1-イル)エタノン、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン、1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オン、1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン、1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン、3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン、7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、7H-プリン、1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン、5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン、2-アミノ-1H-プリン-6(9H)-オン、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、イソキノリン、イソキノリン-1(2H)-オン、3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オン、キナゾリン-2(1H)-オン、キノキサリン-2(1H)-オン、1,8-ナフチリジン、ピリド[3,4-d]ピリミジン、ピリド[3,2-b]ピラジン、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール、及び2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシンを含む。
【0038】
「治療する」及び「治療」なる用語は、治癒的処置と、目的が例えば癌の発症又は広がりのような望まれない生理学的変化又は疾患を防止し又は遅延させる(少なくする)ことである予防的又は防止的手段の双方を意味する。この発明の目的では、有益な又は所望の臨床結果は、限定するものではないが、検出可能であれ検出不可能であれ、徴候の軽減、疾患の程度の低減、疾患の安定化(つまり悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的又は完全)を含む。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存率と比較して生存を延長することを意味し得る。治療を必要とする者は、既に症状又は疾患を持つ者並びに症状又は疾患になりやすい者又は症状又は疾患が防止されるべき者を含む。
【0039】
「治療的に有効な量」なる語句は、(i)特定の疾病、症状、又は疾患を治療し又は予防し、(ii)特定の疾病、症状、又は疾患の一又は複数の徴候を減弱にし、寛解させ、又は除き、又は(iii)ここに記載された特定の疾病、症状、又は疾患の一又は複数の徴候の発症を予防し又は遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。癌の場合、薬剤の治療的に有効な量は、癌細胞の数を減少させ;腫瘍サイズを減少させ;周辺器官への癌細胞の浸潤を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;及び/又は癌に伴う徴候の一又は複数をある程度軽減しうる。薬剤が増殖を防止し、及び/又は存在する癌細胞を死滅させうる程度まで、それは細胞分裂阻害性及び/又は細胞傷害性でありうる。癌治療では、効能は、例えば無増悪期間(TTP)を評価し、及び/又は奏功率(RR)を決定することにより、測定することができる。
【0040】
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞増殖により特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を意味する。「腫瘍」は一又は複数の癌性細胞を含む。癌の例には、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、骨髄腫、及び白血病又はリンパ性腫瘍が含まれる。このような癌のより特定な例には、扁平上皮細胞癌(例えば上皮扁平細胞癌)、肺癌、例えば小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric又はstomach)、例えば胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney又はrenal)、前立腺癌、陰門癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、並びに頭頸部癌が含まれる。
【0041】
「化学療法剤」は、作用機序に関わりなく、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤のクラスは、限定しないが、アルキル化剤、代謝拮抗薬、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼインヒビター、抗体、腫瘍親和性感光色素、及びキナーゼ阻害剤を含む。化学療法剤は、「標的療法」及び一般的な化学療法で使用される化合物を含む。化学療法剤の例には、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標),Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標),Sanofi−Aventis)、5−FU(フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、CAS番号51−21−8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標),Lilly)、PD−0325901(CAS番号391210−10−9、Pfizer)、シスプラチン(シス−ジアミン,ジクロロ白金(II)、CAS番号15663−27−1)、カルボプラチン(CAS番号41575−94−4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標),Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4−メチル−5−オキソ−2,3,4,6,8−ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ−2,7、9−トリエン−9−カルボキサミド、CAS番号85622−93−1,TEMODAR(登録商標),TEMODAL(登録商標),Schering Plough)、タモキシフェン((Z)−2−[4−(1,2−ジフェニルブタ−1−エニル)フェノキシ]−N,N−ジメチル−エタンアミン、NOLVADEX(登録商標),ISTUBAL(登録商標),VALODEX(登録商標))、及びドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、Akti−1/2、HPPD、及びラパマイシンが含まれる。
【0042】
化学療法剤の更なる例は、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標),Sanofi)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標),Millennium Pharm.)、スーテント(SUNITINIB(登録商標),SU11248、Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標),Novartis)、イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標),Novartis)、XL−518(Mek阻害剤、Exelixis、国際公開2007/044515)、ARRY−886(Mek阻害剤、AZD6244,Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF−1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ−235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL−147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標),AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標),Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標),GSK572016,Glaxo Smith Kline)、ロナファーニブ(SARASAR(商標)、SCH66336,Schering Plough)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標),BAY43−9006,Bayer Labs)、ゲフィニチブ(IRESSA(登録商標),AstraZeneca)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標),CPT−11,Pfizer)、ティピファニブ(ZARNESTRA(商標)、Johnson & Johnson)、ABRAXANE(商標)(クレモフォア・フリー)、パクリタキセルのアルブミン遺伝子操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Il)、バンデタニブ(rINN、ZD6474,ZACTIMA(登録商標),AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標),Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンフォスアミド(TELCYTA(登録商標),Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標),NEOSA(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、イムプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾデパ(benzodopa)、カルボコン、メツレデパ(meturedopa)、及びウレデパ(uredopa);エチレンイミン及びメチルメラミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロメラミン;アセトゲニン(acetogenin)(特に、ブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(例えば合成アナログのトポテカン);ブリオスタチン(bryostatin);カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びビゼレシン(bizelesin)合成アナログを含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);ドゥオカルマイシン(duocarmycin)(合成アナログのKW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン(ranimnustine);抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)であり、特に、カリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183−186));ディネマイシン(dynemicin)、例えばディネマイシンA;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラマイシン(esperamicin);並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルチノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤(anti−adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、葉酸;アセグラトン;アルドホスファミド(aldophosphamide)グリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン(diaziquone);エルフオルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン(epothilone);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド(例えば、メイタンシン(maytansine)及びアンサミトシン(ansamitocin));ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecene)(特に、T−2トキシン、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標)、Roche);イバンドロネート(ibandronate);CPT−11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;並びに上記の任意のものの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体が挙げられる。
【0043】
「化学療法剤」の定義にまた含まれるものは、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン及び選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミファイン(toremifine citrate)));(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素であるアロマターゼを阻害する、アロマターゼインヒビター、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール(vorozole))、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)抗男性ホルモン、例えば、フルタミド、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ));(iv)プロテインキナーゼインヒビター、例えばMEKインヒビター(国際公開第2007/044515号);(v)脂質キナーゼインヒビター;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC−α、Ralf及びH−Ras、例えばオブリメルセン(GENASENSE(登録商標),Genta社);(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現インヒビター(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現インヒビター;(viii)ワクチン、例えば、遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;トポイソメラーゼ1インヒビター、例えば、LURTOTECAN(登録商標);ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗脈管形成剤、例えばベバシズマブ(AVASTIN(登録商標),ジェネンテック);及び上記のものの何れかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体である。
【0044】
「化学療法剤」の定義にまた含まれるものは、治療用抗体、例えばアレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標),ジェネンテック);セツキシマブ(ERBITUX(登録商標),Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標),Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標),ジェネンテック/バイオジェン社)、ペルツズマブ(OMNITARG(商標)、2C4,ジェネンテック)、トラスツズマブ(ハーセプチン、ジェネンテック)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体薬剤コンジュゲート、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARGR,Wyeth)である。
【0045】
本発明のPI3K阻害剤と併用される化学療法剤として治療上の潜在性を有するヒト化モノクローナル抗体は、アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガミシン、イノツズマブオゾガミシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌバビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、トクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、及びビシリズマブを含む。
【0046】
「代謝産物」は、所定の化合物又はその塩の体内で代謝によって生産される産物である。化合物の代謝物は、当該分野で知られた常套的な技術を使用して同定することができ、その活性はここに記載されたもののような試験を使用して決定される。かかる産物は、投与された化合物の例えば酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素切断等々から生じうる。従って、本発明は、本発明の化合物をその代謝産物を生じせしめるのに十分な時間の間、哺乳動物と接触させることを含む方法によって生産される化合物を含む本発明の化合物の代謝物を含む。
【0047】
「パッケージ挿入物」なる用語は、効能、使用法、用量、投与、禁忌及び/又はかかる治療用製品の使用に関する注意についての情報を含む、治療用製品の市販パッケージに常套的に含まれる指示を意味するために使用される。
【0048】
「キラル」なる用語は、鏡像対に重ね合わせできない特性を有する分子を意味する一方、「アキラル」なる用語は、その鏡像対に重ね合わせ可能である分子を意味する。
【0049】
「立体異性体」なる用語は、同一の化学的構成を有しているが、空間における原子又は基の配置に関しては異なっている化合物を意味する。
【0050】
「ジアステレオマー」は、二以上のキラル中心を有し、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオマーは、異なった物理的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性を有している。ジアステレオマーの混合物は、例えば電気泳動及びクロマトグラフィーのような高分解能分析手順下で分離しうる。
「エナンチオマー」は互いに重ねることができない鏡像である化合物の二つの立体異性体を意味する。
【0051】
ここで使用される立体化学の定義及び慣習は一般にS. P. Parker編, McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E.及びWilen, S., 「Stereochemistry of Organic Compounds」, John Wiley & Sons,Inc., New York, 1994に従う。本発明の化合物は、非対称又はキラル中心を含み得、よって異なった立体異性形態で存在する。限定するものではないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体、並びにラセミ混合物のようなその混合物を含む本発明の化合物のあらゆる立体異性体形態が本発明の一部を形成する。多くの有機化合物は光学的に活性な形態で存在する、つまり、それらは直線偏光の面を回転させる能力を有している。光学的に活性な化合物を記述する場合、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心の回りの分子の絶対配置を示すために使用される。接頭辞d及びl又は(+)及び(−)は化合物による直線偏光の回転の符号を示すために使用され、(−)又はdは化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞の化合物は右旋性である。所定の化学構造に対して、これらの立体異性体は、それらが互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーとも称されることがあり、そのような異性体の混合物はしばしばエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物又はラセミ体と呼ばれ、化学反応又はプロセスに立体選択又は立体特異性がなかった場合に生じうる。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」なる用語は、光学活性を欠いている2つのエナンチオマー種の等モル混合物を意味する。
【0052】
「互変異性体」又は「互変異性形態」なる用語は、低エネルギー障壁を介して相互転換可能な異なったエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化のようなプロトンの移動を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は結合電子の幾らかの再構築による相互変換を含む。
【0053】
ここで使用される「薬学的に許容可能な塩」なる語句は、本発明の化合物の薬学的に許容可能な有機又は無機塩を意味する。例示的な塩には、限定されるものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸ホスフェート、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸シトレート、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシレート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(つまり、1,1’-メチレン-ビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、アセテートイオン、スクシネートイオン又は他の対イオンのような他の分子を含みうる。対イオンは親化合物上の電荷を安定化する任意の有機又は無機部分でありうる。更に、薬学的に許容可能な塩は、その構造中に一を越える荷電原子を有しうる。複数の荷電原子が薬学的に許容可能な塩の一部である場合は、複数の対イオンを有しうる。よって、薬学的に許容可能な塩は一又は複数の荷電原子及び/又は一又は複数の対イオンを有しうる。
【0054】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、当該分野で利用できる任意の適切な方法、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸等のような無機酸で、又は例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸又は酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸又はケイ皮酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸等のような有機酸での遊離塩基の処理によって調製することができる。
【0055】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、任意の適切な方法、例えば無機又は有機塩基、例えばアミン(第1級、第2級又は第3級)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物等での遊離酸の処理によって調製することができる。適切な塩を例証する例には、限定されないが、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニン、アンモニア、第1級、第2級、及び第3級アミン、及び環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンから誘導される有機塩基、及びナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩が含まれる。
【0056】
「薬学的に許容可能な」なる語句は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分、及び/又はそれで治療されている哺乳動物と、化学的に及び/又は毒物学的に適合性がなければならないことを示している。
【0057】
「溶媒和物」は一又は複数の溶媒分子と本発明の化合物の結合体又は複合体を意味する。溶媒和物を形成する溶媒の例には、限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが含まれる。「水和物」なる用語は、溶媒分子が水である複合体を意味する。
【0058】
「保護基」なる用語は、化合物の他の官能基を反応させながら特定の官能性をブロックし又は保護するためによく用いられる置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」は、化合物のアミノ官能性をブロックし又は保護するアミノ基に結合される置換基である。適切なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性をブロックし又は保護するヒドロキシ基の置換基を意味する。適切な保護基にはアセチル及びシリルが含まれる。「カルボキシ保護基」はカルボキシ官能性をブロックし又は保護するカルボキシ基の置換基を意味する。一般的なカルボキシ保護基には、フェニルスルホニルエチル、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)−エチル、ニトロエチル等が含まれる。保護基とその用途の一般的な記載については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照のこと。
【0059】
「この発明の化合物」及び「本発明の化合物」及び「式Iの化合物」なる用語は、他に示されない限り、式Iの化合物及びその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容可能な塩及びプロドラッグを包含する。
【0060】
ピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物
本発明は、PI3キナーゼによって調節される疾病、症状及び/又は疾患の治療に潜在的に有用なピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物、及びその薬学的に許容可能な塩を提供する。より詳細には、本発明は、式I

[上式中、
はH、C−C12アルキル、-C(=O)NR1011、-NR12C(=O)R10、-NR12C(=O)OR11、-NR12C(=O)NR1011、及びC−C20ヘテロアリールから選択され、ここでC−C20ヘテロアリールは、C−C12アルキル、C−C12アルキル-NR1011、C-C12アルキル-OR10、C−C20アリール、F、Cl、Br、I、-CN、-CF、-COH、-C(=O)NR1011、-NO、-NR1011、-NHCOR10、-OR10、-S(O)NR1011、及び-S(O)10から独立して選択された一又は複数の基で置換されていてもよく;
はC−C12アルキルであり;
は、炭素結合C−C20ヘテロシクリル及び炭素結合C−C20ヘテロアリールから選択され、ここで炭素結合C−C20ヘテロシクリル及び炭素結合C−C20ヘテロアリールは、C−C12アルキル、C−C20アリール、F、Cl、Br、I、-CH、-CN、-CF、-CHOH、-COH、-CONH、-CON(CH)、-NO、-NH、-NHCH、-NHCOCH、-OH、-OCH、-SH、-NHC(=O)NHCH、及び-S(O)CHから独立して選択された一又は複数の基で置換されていてもよく;
は、-NR1013、-NR12C(=O)R10、-NR10(C−C12アルキル)NR1013、-NR10(C−C12アルキル)OR10、-NR10(C−C12アルキル)C(=O)NR1013、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C12カルボシクリル)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-OR10、-O(C−C12アルキレン)-(C−C12カルボシクリル)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)-O(C−C12アルキレン)-(C-C20ヘテロアリール)、-(C−C12アルキレン)NR1013、-(C−C12アルキレン)-(C−C12カルボシクリル)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−Cアルキニレン)NR1013、-(C−Cアルキニレン)-(C−C12カルボシクリル)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20アリール)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20アリーレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−C20アリール)-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-C(=O)NR1011、C−C12アルキル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルキレン、アルキニル、アルキニレン、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I-CH、-CHOH、-CN、-CF、-COH、-COCH、-CONH、-CONHCH、-CON(CH)、-NO、-NH、-NHCH、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-S(O)N(CH)、-SCH、-CHOCH、及び-S(O)CHから独立して選択された一又は複数の基で置換されていてもよく;
10、R11及びR12は、H、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから独立して選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CHOH、-CH、-CN、-CF、-COH、-CONH、-CONHCH、-NO、-N(CH)、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-OCHCH、-S(O)NH、-SCH、-S(O)CH、-CHOCH、-CH、及び-S(O)CHから独立して選択された一又は複数の基で置換されていてもよく;
又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にC−C20ヘテロシクリル環を形成し;及び
13は、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CHOH、-CH、-CN、-CF、-COH、-CONH、-CONHCH、-NO、-N(CH)、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-OCHCH、-S(O)NH、-SCH、-S(O)CH、-OCHCH-N(CH)、及び-S(O)CHから独立して選択された一又は複数の基で置換されていてもよく;
又はR10及びR13はそれらが結合する窒素原子と共にC−C20ヘテロシクリル環を形成する]
及びその立体異性体、幾何異性体、互変異体、又は薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0061】
例示的実施態様では、RはH又はCHである。
【0062】
例示的実施態様では、RはCHである。
【0063】
例示的実施態様では、Rがピリジル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、フラニル、チエニル、トリアゾリル及びテトラゾリルから選択される単環式ヘテロアリールである。
【0064】
例示的実施態様では、Rは、



(上式中、波線は結合点を表す)
から選択される縮合二環式C−C20ヘテロシクリル又はC−C20ヘテロアリールである。
【0065】
例示的実施態様では、Rは、

(上式中、波線は結合点を表す)
から選択される。
【0066】
例示的実施態様では、Rは、

(上式中、波線は結合点を表す)
から選択される縮合二環式C−C20ヘテロシクリル又はC−C20ヘテロアリールである。
【0067】
例示的実施態様では、RはH-インダゾール-4-イル又は1H-インドール-4-イルである。
【0068】
例示的実施態様では、Rは、構造:

(上式中、波線は結合点を表す)
から選択される単環式ヘテロアリールである。
【0069】
例示的実施態様では、Rは、構造:

(上式中、波線は結合点を表す)
から選択される単環式ヘテロアリールである。
【0070】
例示的実施態様では、Rは、構造:

(上式中、波線は結合点を表す)
から選択される単環式ヘテロアリールである。
【0071】
例示的実施態様では、Rは、F、-CF、-NH、-NHCH、-OH、-OCH、-C(O)CH、-NHC(O)CH、-N(C(O)CH)、-NHC(O)NH、-COH、-CHO、-CHOH、-C(=O)NHCH、-C(=O)NH、及び-CHから選択される一又は複数の基で置換されたC−C20ヘテロアリールである。
【0072】
例示的実施態様では、Rは、置換されていてもよいピリミジン-5-イル、置換されていてもよいC−C20アリール、又は置換されていてもよいフェニルである。
【0073】
例示的実施態様では、Rは-OR10であり、R10は置換されていてもよいフェニルである。
【0074】
例示的実施態様では、フェニルは、-OCH、-SOCH、-SONH、-NHSOCH、-CHOCH、-CN、-C(=O)NH、-C(=O)NHCH、-NHC(=O)CH、-CF、-OH、-CH、及び-Clから独立して選択される一又は複数の基で置換される。
【0075】
例示的実施態様では、Rは-OR10であり、R10は置換されていてもよいピリジル又は置換されていてもよいC−C12アルキルである。
【0076】
例示的実施態様では、Rは、-O(C-C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、又は-O(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)である。
【0077】
例示的実施態様では、Rは-NR1013であり、ここで、R10はH、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、又はC−Cアルキニルであり;及びR13は置換されていてもよいフェニル、インダゾール-6-イル又はインダゾール-4-イルである。
【0078】
例示的実施態様では、Rは-NR10(C−C12アルキル)NR1013、-NR10(C−C12アルキル)OR10、又は-NR10(C−C12アルキル)C(=O)NR1013である。
【0079】
例示的実施態様では、Rは-NR1013であり、ここで、R10及びR13は、それらが結合する窒素原子と共に、モルホリニル、4-メチルピペラジン-1-イル、4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル、又は4-(2-ピリジル)ピペラジン-1-イルを形成する。
【0080】
式Iの化合物は、不斉又はキラル中心を含む場合があり、よって、異なった立体異性体形態で存在する場合がある。限定しないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体並びにその混合物、例えばラセミ混合物を含む本発明の化合物のあらゆる立体異性体形態が本発明の一部を形成することが意図される。
【0081】
また、本発明は全ての幾何及び位置異性体を包含する。例えば、式Iの化合物が二重結合又は縮合環を含む場合、シス及びトランス型、並びに混合物が本発明の範囲に包含される。単一の位置異性体又は位置異性体の混合物の双方がまた本発明の範囲にある。
【0082】
ここで示された構造では、任意の特定のキラル原子の立体化学が特定されていない場合、全ての立体異性体が考慮され、本発明の化合物として含まれる。立体化学が特定の構造を表す実線の楔又は破線によって特定されている場合、その立体異性体がそのように特定され定義される。
【0083】
本発明の化合物は、非溶媒和形態並びに水、エタノール等のような薬学的に許容可能な溶媒との溶媒和形態で存在し得、本発明は溶媒和形態及び非溶媒和形態の双方を包含することが意図される。
【0084】
本発明の化合物はまた異なった互変異性体形態で存在し得、全てのそのような形態が、本発明の範囲内に包含される。「互変異性体」又は「互変異性形態」なる用語は、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能な、異なるエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトン移動互変異性体としても知られている)は、プロトンの移動を介する相互変換、例えば、ケト−エノール異性及びイミン−エナミン異性を包含する。原子価互変異性体は、結合電子のうちの幾つかの再編成による相互変換を包含する。
【0085】
本発明は、ここに記載されたものと同一であるが、一又は複数の原子が天然に通常見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換される本発明の同位体標識された化合物をまた包含する。特定された任意の特定の原子又は元素の全ての同位体が本発明の化合物、及びその用途の範囲にあると考えられる。本発明の化合物に導入することができる例示的な同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iを含む。ある種の同位体標識された本発明の化合物(例えばH及び14Cで標識されたもの)は化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。三重水素(つまり、H)及び炭素−14(14C)同位体は、その調製及び検出性の容易性のために有用である。更に、重水素(つまり、H)のようなより重い同位体との置換は、より大なる代謝安定性から生じる所定の治療的利点(例えば、増加したインビボ半減期又は減少した必要な投薬量)をもたらし得、よってある状況下では好ましい場合がある。陽電子放出同位体、例えば15O、13N、11C、及び18Fは、基質レセプター占有率を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究に有用である。同位体標識された本発明の化合物は、一般に、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置換することによって、ここでのスキーム及び/又は実施例に開示されたものと類似な手順に従って調製することができる。
【0086】
式Iの化合物の調製
式Iのピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物は、特にここに含まれる説明を考慮して、化学技術分野においてよく知られているものに類似した方法を含む合成経路によって合成することができる。出発材料は、一般にAldrich Chemicals(Milwaukee, WI)などの商業的供給元から入手可能であるか、又は当業者によく知られた方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F. Fieser及びMary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-19, Wiley, N.Y. (1967-1999版)、Beilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin, 追補を含む(またバイルシュタインオンラインデータベースから入手可能である))。
【0087】
ある実施態様では、式Iの化合物は、ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(Southwick等(1975) J. of Heterocyclic Chem. 12(6):1199-1205;Van Haverbeke等(1979) Jour. of Heterocyclic Chem. 16(4):773-777;Diaz-Ortiz等(1998) Synlett 1069-1070;Diaz-Ortiz等(2000) 56(11):1569-1577;Quintela等(2001) European Journal of Medicinal Chemistry 36 (4), pp321-332;Wu等(2003) Organic Letters 5(20):3587-3590;Quintela等(2003) Bioorganic & Med. Chem. 11(6):863-868;Kim等(2003) European Journal of Medicinal Chemistry 38 (5), pp525-532;Volochnyuk等(2003) Synthesis 10:1531-1540;Goda等(2004) Bioorganic & Med. Chem. 12(8):1845-1852;Chern等(2004) Bioorganic & Med. Chem. Letters 14(10):2519-2525;Katiyar等(2006) Synthetic Communications 36(20):2963-2973;Holla等(2006) Bioorganic & Medicinal Chemistry 14(6):2040-2047;Braendvang等(2007) Tetrahedron Letters 48(17):3057-3059;米国特許第3403158号;米国特許第3894005号;米国特許第4001230号;米国特許第4044130号;米国特許第4115394号;米国特許第4182887号;米国特許第6291505号;米国特許第6660744号;米国特許第6921763号;米国特許第7056354号;米国特許第7217710号;米国特許出願公開第2006/0128729号;米国特許出願公開第2007/0155716号;国際公開第2005/117909号;国際公開第2007/144204号;国際公開第2007/144202号);及び以下に記載される他の複素環(Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, 編者Katritzky及びRees, Elsevier, 1997, 例えば第3巻;Liebigs Annalen der Chemie, (9):1910-16, (1985);Helvetica Chimica Acta, 41:1052-60, (1958);Arzneimittel-Forschung, 40(12):1328-31, (1990))を調製するためのよく知られた手順を使用して容易に調製することができる。
【0088】
ピラゾロ[3,4-b]ピリジンは、一般的に異なった複素環試薬から出発する環化反応によって調製されている(Hardy, C.R. (1984) Adv. Heterocycl. Chem. 36:343;Molina等(1989) Chem. Ber. 122:307;Benoit等(1987) Synthesis 1124;Bare等(1989) J. Med. Chem. 32:2561;Sanghvi等(1990) J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2943)。
【0089】
式Iの化合物は、単独で、又は少なくとも2つ、例えば5から1000の化合物、又は10から100の化合物を含む化合物ライブラリーとして、調製することができる。式Iの化合物のライブラリーは、「スプリット及びミックス(split and mix)」アプローチにより、又は当業者に知られた手順により、溶液相もしくは固相化学の何れかを用いたマルチパラレル合成により調製することができる。よって、本発明の更なる態様によれば、少なくとも2つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む化合物ライブラリーが提供される。
【0090】
例証目的で、一般手順A−Dは、式Iの化合物並びに重要な中間体を調製するための一般的方法を示す。個々の反応工程の更なる詳細な説明は、以下の実施例のセクションを参照のこと。当業者であれば、他の合成経路も本発明の化合物を合成するために使用しうることが分かるであろう。特定の出発物質及び試薬がスキームに示され、以下で検討されているが、他の出発物質及び試薬に容易に置換して、様々な誘導体及び/又は反応条件を提供することができる。また、以下に記載の方法によって調製される化合物の多くは、当業者によく知られている常套的化学を使用し、この開示を考慮して更に変更することができる。
【0091】
式Iの化合物の調製では、中間体の離れた官能基の保護(例えば、第一級又は第二級アミン)が必要となりうる。そのような保護の必要性は、離れている官能基の性質や調製方法の条件に依存して変わるであろう。適当なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。そのような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。保護基とその使用の一般的な記載は、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照のこと。
【0092】
一般的調製方法
一般手順A C-6での鈴木カップリング

鈴木タイプのカップリング反応は、化合物21である6-クロロ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジンのピリジン環の6位に、単環式ヘテロアリール、縮合二環式複素環、又は縮合二環式ヘテロアリールを結合させるのに有用である。例えば、21は、約1.5当量の4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)1H-インダゾール24(米国特許出願公開第2008/0039459号、米国特許出願公開第2008/0076758号)又は5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリミジン-2-アミン25(米国特許出願公開第2008/0269210号、米国特許出願公開第2008/0242665号)と組み合わされ、1モル濃度の水溶液としての約3当量の炭酸ナトリウムと等体積のアセトニトリルに溶解することができる。触媒量、又はそれ以上の、低原子価のパラジウム試薬、例えば(ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライドを加える。様々なボロン酸又はボロン酸エステルを、示されたインダゾールボロン酸エステルの代わりに使用することができる。また別法では、例えばN-THPのように、イミダゾールの窒素を保護することができる。幾つかの場合では、水性層のpHを調節するために炭酸ナトリウムの代わりに酢酸カリウムが使用される。ついで、反応は、Biotage Optimizer(Biotage, Inc.)のようなマイクロ波反応器中で加圧下で、10分から30分間、約140−150℃に加熱される。内容物を酢酸エチル又は他の有機溶媒で抽出する。有機層の蒸発処理後、鈴木カップリング産物、1,3,4-置換6-(1H-インダゾール-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン22、又は1,3,4-置換5-(1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ピリミジン-2-アミン23を、シリカ又は逆相HPLCによって精製することができる。置換基R’、R’、R’は、定義されたR、R、R、又は保護された形態又はその前駆物質でありうる。
【0093】
ボロン酸エステル(又は酸)(1.5当量)24又は25と、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.05当量)のようなパラジウム触媒を、アセトニトリル中のクロロ中間体(1当量)21と1Mの炭酸ナトリウム水溶液(アセトニトリルと同体積)の混合物に加える。反応混合物をマイクロ波で150℃に15分間加熱する。LC/MSが反応の終了時点を示す。混合物に水を加え、沈殿した生成物を濾過し、HPLCによって精製して生成物22又は23を得る。置換基R’、R’、R’は、定義されたR、R、R、又は保護された形態又はその前駆物質でありうる。
【0094】
様々なパラジウム触媒を、例示的実施態様22及び23を含む、化合物を形成するために鈴木カップリング工程中に使用することができる。鈴木カップリングは、21のようなアリールハロゲン化物の、例えば24又は25のようなボロン酸とのパラジウム媒介クロスカップリング反応である。PdCl2(PPh)、Pd(t-Bu)、PdCl dppf CHCl、Pd(PPh)、Pd(OAc)/PPh、ClPd[(Pet)]、Pd(DIPHOS)、ClPd(Bipy)、[PdCl(PhPCHPPh)]、ClPd[P(o-tol)]、Pd(dba)/P(o-tol)、Pd(dba)/P(フリル)、ClPd[P(フリル)]、ClPd(PMePh)、ClPd[P(4-F-Ph)]、ClPd[P(C)]、ClPd[P(2-COOH-Ph)(Ph)]、ClPd[P(4-COOH-Ph)(Ph)]、及びカプセル化触媒Pd EnCatTM 30、Pd EnCatTM TPP30、及びPd(II)EnCatTMBINAP30(米国特許出願公開第2004/0254066号)を含む、様々な低原子価のPd(II)及びPd(0)触媒を、鈴木カップリング反応で使用することができる。
【0095】
一般手順B アミン試薬での4-クロロの置換

エタノールのような溶媒中の4,6-ジクロロピラゾロ[3,4-b]ピリジン中間体27に第一級又は第二級アミン(R1013NH、1.1当量)と、場合によっては非求核塩基、例えばトリエチルアミン(NEt、1.5当量、63μl)を加える。別法では、アセトニトリルを溶媒として使用することができ、また炭酸カリウムを塩基として使用することができる。反応混合物を室温で約1時間又は一晩攪拌し、揮発性物質を真空下で除去し、残留物をDCMとブラインの間で分配する。混合物が不溶性ならば、超音波処理をしてもよく、固形産物は濾過によって収集した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発処理し、N’-(6-クロロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル)-アミン置換中間体28を、しばしば結晶性固形物として、又は倍散によって得る。置換基R’及びR’は定義されたR及びR又は保護された形態又はその前駆物質でありうる。
【0096】
一般的手順C 4-アルキルカルボキシレート、5-アミノ-ピラゾールの環化

式Iの1,3,4,6-置換ピラゾロ[3,4-b]ピリジン化合物にする一般的合成経路は、例えばエタノール中の水酸化ナトリウムのような塩基性条件下で、例えばジエチルマロネートのようなジアルキルマロネートとの、5-アミノ-1-メチルピラゾール-4-カルボン酸アルキル29の環化で始めて、4-ヒドロキシ-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-カルボン酸アルキル30(R=C−C12アルキル)を得る。鹸化及び脱炭酸反応によって4-ヒドロキシ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6(7H)-オン化合物31を得る。置換基R’及びR’は、定義されたR及びR、又は保護された形態又はその前駆物質でありうる。
【0097】
一般手順D 塩素化及び鈴木カップリング

6-複素環ピラゾロ[3,4-b]ピリジン35への一般的合成経路は、塩素化試薬、例えばフェニルホスホリルジクロライド又はホスホリルトリクロライド等のホスホリルクロライドで4-ヒドロキシ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6(7H)-オン化合物31の2位及び4位を塩素化して、4,6-ジクロロ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン中間体32を得ることを含む。一般手順Aに従う鈴木タイプカップリング反応は、24又は25のような(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)複素環試薬、及びアセトニトリル及び炭酸ナトリウム水溶液中のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.05当量)のようなパラジウム触媒を用いて、32のピリジン環の6位に単環式ヘテロアリール、縮合二環式複素環又は縮合二環式ヘテロアリールを結合させることができる。反応混合物をマイクロ波により約150℃に15分以上の間、加熱する。LC/MSが反応の終了を示す。水を混合物に加え、沈殿した生成物を濾過し、HPLCによって精製して、4-クロロ-6-ヘテロサイクル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン中間体34を得る。4-クロロが、アルコール(HOR10)又はアミン(HNR1013)、第一級又は第二級、求核試薬の何れかによって置換され、式Iの6-ヘテロサイクルピラゾロ[3,4-b]ピリジン35が得られる。置換基R’、R’、R’、R’は、定義されたR、R、R’、R、又は保護された形態、又はその前駆物質でありうる。
【0098】
分離方法
本発明の化合物の調製方法において、反応産物を互いから及び/又は出発材料から分離することが有利である場合がある。各工程又は一連の工程の所望の生成物は、当該分野において一般的な技術により、望ましい程度の均質性になるまで分離及び/又は精製(以下、分離とする)される。典型的には、そのような分離は、多相抽出、溶媒もしくは溶媒混合物からの結晶化、蒸留、昇華、又はクロマトグラフィーを含む。クロマトグラフィーは、例えば、逆相及び順相;サイズ排除;イオン交換;高、中及び低圧液体クロマトグラフィー方法及び装置;小規模分析;疑似移動床(SMB)及び分取薄層又は厚層クロマトグラフィー、並びに小規模薄層及びフラッシュクロマトグラフィーの技術を含む多数の方法を含みうる。
【0099】
他のクラスの分離方法は、所望の生成物、未反応出発材料、反応副産物等に結合するか又はそれらを分離等できるように選択される試薬での混合物の処理を含む。かかる試薬は、吸着剤又は吸収剤、例えば活性炭、モレキュラーシーブ、イオン交換媒体等を含む。別法では、試薬は、塩基性材料の場合には酸、酸性材料の場合には塩基、結合試薬、例えば抗体、結合タンパク質、選択的キレート剤、例えばクラウンエーテル、液/液イオン抽出試薬(LIX)等でありうる。
【0100】
適切な分離方法の選択は、関連した材料の性質に依存する。例えば、蒸留及び昇華における沸点及び分子量、クロマトグラフィーにおける極性官能基の存在又は不存在、多相抽出における酸性及び塩基性媒体中での材料の安定性等である。当業者であれば所望の分離を達成する可能性が最も高い技術を適用するであろう。
【0101】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶によってなど、当業者に周知の方法により、それらの物理化学的相違に基づき、個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコール又はモッシャーの酸塩化物などのキラル補助基)と反応させることによってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に転換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことによって分離することができる。また、本発明の化合物のあるものはアトロプ異性体(例えば置換ビアリール)であり得、本発明の一部と考えられる。エナンチオマーはまたキラルHPLCカラムを使用して分離することもできる。
【0102】
単一の立体異性体、例えばその立体異性体を実質的に含まないエナンチオマーは、光学活性分割剤を使用するジアステレオマーの形成などの方法を使用して、ラセミ混合物の分割によって得ることができる(Eliel, E.及びWilen, S. "Stereochemistry of Organic Compounds," John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994;Lochmuller, C. H.,(1975) J. Chromatogr., 113(3):283-302)。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、(1)キラル化合物でのイオン性のジアステレオマー塩の形成及び分別結晶又は他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬でのジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離、及び純立体異性体への変換、及び(3)直接キラル条件下における実質的に純粋な又は濃縮した立体異性体の分離を含む任意の適切な方法によって分離し単離することができる。"Drug Stereochemistry, Analytical Methods及びPharmacology," Irving W. Wainer編, Marcel Dekker, Inc., New York (1993)を参照のこと。
【0103】
方法(1)では、ジアステレオマー塩は、ブルシン、キニーネ、エフェドリン、ストリキニーネ、α-メチル-β-フェニルエチルアミン(アンフェタミン)等の鏡像異性的に純粋なキラル塩基と、カルボン酸及びスルホン酸等の酸性官能基を担持する不斉化合物との反応により形成することができる。ジアステレオマー塩は、分別結晶又はイオンクロマトグラフィーによって分離するように誘導することができる。アミノ化合物の光学異性体の分離のために、ショウノウスルホン酸、酒石酸、マンデル酸又は乳酸等の、キラルカルボン酸又はスルホン酸の添加により、ジアステレオマー塩の形成をもたらすことができる。
【0104】
あるいは、方法(2)では、分割される基質がキラル化合物の一種のエナンチオマーと反応せしめられて、ジアステレオマー対が形成される(Eliel, E.及びWilen, S. "Stereochemistry of Organic Compounds", John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994, p. 322)。ジアステレオマー化合物は、不斉化合物をメンチル誘導体等の鏡像異性的に純粋なキラル誘導体化試薬と反応させ、それに続くジアステレオマーの分離及び加水分解によって純粋な又は濃縮したエナンチオマーを得ることにより、形成することができる。光学純度を測定する方法は、塩基又はモッシャーエステル、ラセミ混合物のα-メトキシ-α-(トリフルオロメチル)フェニルアセテート(Jacob III. J. Org. Chem. (1982)47:4165)の存在下、メンチルエステル、例えば(−)メンチルクロロホルメート等のキラルエステルを作製し、2種のアトロプ異性鏡像体又はジアステレオマーの存在についてH NMRスペクトルを分析することを含む。アトロプ異性化合物の安定したジアステレオマーは、アトロプ異性ナフチル−イソキノリンの分離方法に従って(国際公開第1996/15111号)順相及び逆相クロマトグラフィーにより、分離し単離することができる。方法(3)では、2種のエナンチオマーのラセミ混合物を、キラル固定相を使用するクロマトグラフィーによって分離することができる("Chiral Liquid Chromatography" (1989) W. J. Lough編, Chapman及びHall, New York;Okamoto, J. of Chromatogr., (1990) 513:375-378)。濃縮又は精製されたエナンチオマーは、旋光度及び円偏光二色性等、不斉炭素原子を有する他のキラル分子を識別するために使用される方法によって識別することができる。
【0105】
生物学的評価
式Iの化合物のPI3キナーゼ活性の活性決定は、多くの直接的及び間接的検出方法により可能である。ここに記載の所定の例示的化合物について、それらのPI3K結合活性(実施例32)及び腫瘍細胞に対するインビトロ活性(実施例33)をアッセイした。PI3K結合活性の幅は、1nM(ナノモル)未満から約10μM(マイクロモル)までであった。本発明の所定の例示的化合物は、10nM未満のPI3K結合活性IC50値を有していた。本発明の所定の化合物は、100nM未満の腫瘍細胞ベース活性IC50値を有していた。
【0106】
式Iの例示的化合物の細胞傷害又は細胞分裂阻害活性は、細胞培養培地中に増殖する哺乳動物腫瘍細胞株を樹立し、式Iの化合物を加え、約6時間から約5日間の期間、細胞を培養し、細胞生存率(実施例33)を測定することによって、測定した。細胞ベースインビトロアッセイを使用して、生存率、つまり増殖(IC50)、細胞傷害性(EC50)、及びアポトーシスの誘導(カスパーゼ活性)を測定した。
【0107】
式Iの例示的化合物のインビトロ効力は、Promega Corp., Madison, WI から市販されている細胞増殖アッセイのCellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイによって測定した(実施例31)。この均一アッセイ法は、Coleopteraルシフェラーゼの組換え発現に基づいており(米国特許第5583024号;米国特許第5674713号;米国特許第5700670号)、代謝的に活性な細胞の指標である(Crouch等(1993) J. Immunol. Meth. 160:81-88;米国特許第6602677号)存在しているATPの定量に基づき培養中の生存細胞の数を決定する。CellTiter-Glo(登録商標)アッセイを、96又は384ウェル形式で実施し、自動化ハイスループットスクリーニング(HTS)(Cree等(1995) AntiCancer Drugs: 6:398-404)に受け入れられるようにした。該均一アッセイ手順は、血清補填培地で培養された細胞へ直接単一試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)を加えることを含む。細胞洗浄、培地の除去及び複数のピペット操作工程は必要とされない。該システムは、試薬を添加し混合した後、10分で384ウェル形式でわずか15細胞/ウェルの検出を行う。
【0108】
均一な「添加-混合-測定」フォーマットは、細胞溶解、及び存在するATPの量に比例する発光シグナルの生成をもたらす。ATPの量は、培養物中に存在する細胞数と直接比例する。CellTiter-Glo(登録商標)アッセイによって、ルシフェラーゼ反応によって生成する「グロー型」発光シグナルが生じ、これは使用する細胞型及び培地によって一般に5時間超の半減期を有する。生細胞は、相対発光量(RLU)で示される。基質のカブトムシルシフェリンは、組換えホタルルシフェラーゼによって酸化的に脱カルボキシル化され、ATPがAMPに同時に変換され、光子が発生する。半減期の延長によって、試薬注入器を使用する必要性がなくなり、多数プレートの連続またはバッチ式処理のための柔軟性を実現する。この細胞増殖アッセイは、様々なマルチウェルフォーマット、例えば96または384ウェルフォーマットで使用することができる。データは、照度計またはCCDカメラ撮像装置によって記録することができる。発光出力は、時間と共に測定した相対発光量(RLU)として示される。
【0109】
均一「アドミックス手段」形式は存在するATPの量に比例した細胞溶解及び発光シグナルの生成を生じる。ATPの量は培養中に存在する細胞数に直接的に比例する。CellTiter-Glo(登録商標)アッセイは、ルシフェラーゼ反応によって生産される「グロータイプ」の発光シグナルを発生し、これは細胞型及び使用される培地に応じて、一般に5時間より大きい半減期を有している。生細胞は相対発光単位(RLU)に反映される。基質のカブトムシルシフェリンは、組換えホタルルシフェラーゼによって酸化的に脱カルボキシル化され、ATPからAMPへの同時の転換と光子の発生を伴う。延長された半減期は試薬注射器を使用する必要性を排除し、複数プレートの連続又はバッチモードプロセシングに対して柔軟性をもたらす。この細胞増殖アッセイは、例えば96又は384ウェル形式のような様々な複数ウェル形式で使用することができる。発光出力は、経時的に測定される相対発光単位(RLU)として提供される。
【0110】
式Iの例示的化合物の抗増殖効果は、PC3、Detroit 562、及びMDAMB361.1を含む、幾つかの腫瘍細胞株に対してCellTiter-Glo(登録商標)アッセイ(実施例33)により、測定した。試験された化合物についてEC50値を樹立した。インビトロ細胞効力活性の範囲は、約100nMから約10μMまでであった。
【0111】
Caco-2透過性(実施例34)、肝細胞クリアランス(実施例35)、シトクロムP450阻害(実施例36)、シトクロムP450誘導(実施例37)、血漿タンパク質結合(実施例38)、及びhERGチャネル遮断(実施例39)を含む、ある種のADME特性を所定の例示的化合物について測定した。
【0112】
表1の式Iの例示的化合物101−121を作製し、特徴付け、この発明の方法に従ってPI3K活性を試験したが、これらは次の構造と対応する化合物名を有している(ChemDraw Ultra, Version 9.0.1, CambridgeSoft Corp., Cambridge MA)。例えば、化合物101は0.0064マイクロモルのIC50を有しており;化合物102は0.224マイクロモルのIC50を有しており;化合物103は0.0828マイクロモルのIC50を有しており;化合物104は0.00223マイクロモルのIC50を有しており;化合物105は0.0137マイクロモルのIC50を有しており;化合物106は0.399マイクロモルのIC50を有しており;化合物107は0.053マイクロモルのIC50を有しており;化合物108は0.016マイクロモルのIC50を有しており;化合物117は0.0475マイクロモルのIC50を有しており;化合物120は0.575マイクロモルのIC50を有しており;化合物121は0.153マイクロモルのIC50を有していた。






【0113】
式Iの化合物の投与
本発明の化合物は治療される症状に適した任意の経路によって投与されうる。好適な経路には、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外を含む)、経皮、直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、膣、腹腔内、肺内、鼻腔内が含まれる。職所的な免疫抑制処置用には、化合物は、移植前に、移植片とインヒビターとをかん流又は接触させることを含む、病巣内投与により投与することができる。好ましい経路は例えばレシピエントの状態に応じて変わりうることは理解される。化合物が経口投与される場合、化合物は、丸薬、カプセル剤、錠剤等として製薬的に許容可能な担体又は賦形剤と共に製剤化することができる。化合物が非経口的に投与される場合、化合物は、以下に詳述されるように、製薬的に許容可能な非経口ビヒクルと共に単位投薬注射可能形態で製剤化することができる。
【0114】
ヒト患者を処置するための用量は、式Iの化合物で、約10mgから約1000mgの範囲とすることができる。典型的な用量は、約100mgから約300mgの化合物とすることができる。特定の化合物の吸収、分布、代謝及び排出を含む、薬物動態及び薬力学的特性に応じて、1日に1度(QID)、1日に2度(BID)、又はより頻繁に投与することができる。更に、毒性要因が、用量及び投与レジメンに影響を与える場合がある。経口的に投与される場合、毎日、又は特定の期間でより少ない頻度で、丸薬、カプセル剤又は錠剤を摂取可能である。レジメンは多くの治療サイクルで、繰り返してもよい。
【0115】
式Iの化合物での治療方法
本発明の化合物は、限定するものではないが、脂質キナーゼ、例えばPI3Kとしても知られているPI3キナーゼの過剰発現により特徴づけられるものを含む過剰増殖性疾病、症状及び/又は疾患の治療に有用である。従って、本発明の他の態様は、PI3を含む脂質キナーゼを阻害することによって治療又は予防することができる疾患又は症状を治療し又は予防する方法を含む。一実施態様では、該方法は、それを必要としている哺乳動物に式Iの化合物の治療的有効量を投与することを含む。一実施態様では、ヒト患者は、式Iの化合物及び薬学的に許容される担体、アジュバンド、又はビヒクルで治療され、ここで、式Iの前記化合物は、PI3キナーゼ活性を検出可能に阻害する量で存在する。
【0116】
本発明の方法に従って治療されうる癌は、限定するものではないが、乳癌、卵巣癌、子宮頸部癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞癌、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌、セミノーマ、メラノーマ、肉腫、膀胱癌、肝癌及び胆道癌、腎臓癌、骨髄疾患、リンパ系疾患、毛様細胞、口腔及び咽頭(口部)の癌、唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳及び中枢神経系の癌、ホジキン病及び白血病を含む。
【0117】
本発明の他の態様は、ここに記載されている疾患又は症状の治療において使用するための、かかる疾患又は症状に罹患している哺乳動物、例えばヒトにおける本発明の化合物を提供する。そのような疾患に罹患している哺乳動物、例えばヒト等の温血動物における、ここに記載の疾患及び症状の治療のための医薬の調製における本発明の化合物の使用もまた提供される。
【0118】
医薬製剤
ヒトを含む哺乳動物の(予防的治療を含めた)治療的処置のために本発明の化合物を使用するために、それは標準的な医療実務に従って薬学的組成物として通常製剤化される。本発明のこの態様によれば、薬学的に許容される希釈剤又は担体と合わせて本発明の化合物を含有する薬学的組成物が提供される。
【0119】
典型的な製剤は、本発明の化合物と担体、希釈剤又は賦形剤を混合することにより調製される。適切な担体、希釈剤及び賦形剤は当業者に良く知られており、炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は膨潤性ポリマー、親水性又は疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水等のような材料を含む。使用される特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、本発明の化合物が適用されている手段及び目的に依存する。溶媒は一般的に哺乳動物に安全に投与されると当業者によって認識される(GRAS)溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、非毒性水性溶媒、例えば水と、水に可溶性又は混和性である他の非毒性溶媒である。適切な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えばPEG400、PEG300)等及びその混合物を含む。製剤はまた一又は複数のバッファー、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁剤、保存料、抗酸化剤、乳白剤、流動促進剤、加工助剤、着色料、甘味料、香料、香味料及び薬剤(つまり、本発明の化合物又はその薬学的組成物)の審美的提供をもたらし又は薬学的製品(つまり、医薬)の製造を補助するための他の既知の添加剤を含みうる。
【0120】
製剤は、一般的な溶解及び混合手順を使用して調製されうる。例えば、原体薬剤物質(つまり、本発明の化合物又は化合物の安定化形態、例えばシクロデキストリン又は他の既知の錯化剤での錯体)を、上述の賦形剤の一又は複数の存在下で適切な溶媒に溶解させる。本発明の化合物は、典型的には、薬剤の容易に制御可能な投薬をもたらし所定のレジメンに患者が服薬遵守することを可能にするように製剤化される。
【0121】
適用のための薬学的組成物(又は製剤)は、薬剤の投与に使用される方法に応じて様々な形で包装されうる。一般に、流通品は、薬学的組成物を適切な形態でそこに収容した容器を含む。適切な容器は当業者にはよく知られており、ビン(プラスチック及びガラス)、サシェ、アンプル、プラスチック袋、金属筒等のような材料を含む。容器はまたパッケージの内容物への無思慮なアクセスを防止するために不正開封防止組合せを含む。また、容器には、容器の内容物を記述するラベルがその上に付着される。ラベルはまた適切な注意事項を含みうる。
【0122】
本発明の化合物の薬学的製剤は、投与の様々な経路及びタイプに対して調製されうる。例えば、所望の度合いの純度を有する式Iの化合物を、凍結乾燥製剤、粉砕粉末、又は水溶液の形態で、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、賦形剤又は安定剤と混合する(Remington's Pharmaceutical Sciences (1980) 16版, Osol, A.編)。製剤化は、生理学的に許容可能な担体、つまり用いられる用量及び濃度でレシピエントに非毒性である担体と、適切なpH、所望の度合いの純度で室温にて混合することにより、なされうる。製剤のpHは特定の用途及び化合物の濃度に主として依存するが、約3から約8の範囲とできる。pH5のアセテートバッファーの製剤が適切な実施態様である。
【0123】
ここで使用される本発明の化合物は好ましくは滅菌である。特に、インビボ投与に使用される製剤は無菌でなくてはいけない。このような滅菌は、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
【0124】
化合物は、通常は、固形組成物、凍結乾燥製剤、又は水溶液として保存することができる。
【0125】
本発明の薬学的組成物は、良好な医療行為と一致した様式、つまり、投与の量、濃度、スケジュール、経過、ビヒクル及び経路で、製剤化、用量決定及び投与されるであろう。ここで考慮される要因には、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医者に既知の他の要因が含まれる。投与される化合物の「治療的に有効な量」は、このような考慮により決定され、凝固因子媒介疾患を防止し、軽減し、又は治療するのに必要な最小量である。このような量は、宿主に毒性であるか、宿主を有意に出血しやすくする量以下であることが好ましい。
【0126】
一般的な提案として、一用量当たりに非経口投与される阻害剤の当初の薬学的に有効な量は、約0.01−100mg/kg、つまり一日当たり患者の体重に対して約0.1から20mg/kgの範囲であり、使用される化合物の典型的な当初の範囲は、0.3から15mg/kg/日である。
【0127】
許容できる希釈剤、担体、賦形剤及び安定剤は、用いられる投与量及び濃度ではレシピエントに対して無毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリン等の単糖類、二糖類及び他の炭水化物、EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセルに、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に封入されうる。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A.編(1980)に開示されている。
【0128】
式Iの化合物の徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例は、式Iの化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、このマトリクスは成形品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)等の分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。
【0129】
製剤はここに詳細に記載する投与経路に適したものを含む。製剤は簡便には単位投薬形態で提供され得、薬学の分野でよく知られている方法の何れかによって調製することができる。一般に技術及び製剤はRemington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, PA)に見出される。かかる方法は、活性成分を、一又は複数の補助成分を構成する担体と混合する工程を含む。一般に、製剤は、活性成分を、液状担体又は細かに分断された固形担体又はその双方と均一かつ密に混合し、ついで必要ならば生成物を成形することにより調製される。
【0130】
経口投与に適した式Iの化合物の製剤は、それぞれ予め定まった量の式Iの化合物を含んでいる丸薬、カプセル剤、カシェー又は錠剤のような不連続単位として調製されうる。
【0131】
圧縮錠は、場合によってはバインダー、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性又は分散剤と混合せしめて、粉末又は顆粒のような自由に流動する形態で活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化活性成分の混合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は場合によっては被覆し又は切り込み線を入れ、場合によっては活性成分の遅延又は制御放出をもたらすように製剤化される。
【0132】
錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁液、分散性パウダー又は顆粒、エマルション、硬カプセル又は軟カプセル剤、例えばゼラチンカプセル、シロップ又はエリキシル剤を経口用途のために調製することができる。経口用途のための式Iの化合物の製剤は薬学的組成物の製造のために当該分野で知られている任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、口に合う製剤を提供するために、甘味料、香味料、着色剤及び保存剤を含む一又は複数の薬剤を含みうる。錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤と混合せしめられて活性成分を含む錠剤が許容可能である。これらの賦形剤は、例えば不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム又はナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はナトリウム;顆粒化及び崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアカシア;及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクでありうる。錠剤は非被覆でも、又は胃腸管中での崩壊と吸着を遅延させるマイクロカプセル化を含む既知の方法によって被覆してもよく、それによって長時間にわたる持続作用をもたらす。例えば、時間遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを単独で又はロウと共に用いることができる。
【0133】
眼又は他の外部組織、例えば口及び皮膚の感染に対しては、製剤は、好ましくは、例えば0.075から20%w/wの量で活性成分を含む局所用軟膏又はクリームとして適用される。軟膏に製剤される場合、活性成分はパラフィン系又は水混和性軟膏基剤と共に用いることができる。あるいは、活性成分は水中油クリーム基剤でのクリームに製剤化することができる。
【0134】
所望される場合、クリーム基剤の水性相は多価アルコール、すなわち、例えばプロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)及びその混合物のような二又はそれ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含みうる。局所用製剤は、望ましくは、皮膚又は他の患部領域を通しての活性成分の吸収又は浸透を向上させる化合物を含みうる。そのような皮膚浸透向上剤の例はジメチルスルホキシド及び関連アナログを含む。
【0135】
本発明のエマルションの油性相は、既知の方法で既知の成分から構成することができる。該相は単に一乳化剤を含んでいてもよいが、望ましくは脂肪又は油との、あるいは脂肪と油との少なくとも一の乳化剤の混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤が、安定化剤として作用する親油性乳化剤と共に含有せしめられる。油と脂肪の双方を含むことがまた好ましい。併せて、安定化剤と共に又は安定化剤を伴わないで乳化剤はいわゆる乳化ロウを構成し、油及び脂肪と共にロウはクリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。本発明の製剤に使用するのに適した乳化剤及びエマルション安定化剤には、トゥイーン(Tween(登録商標))60、スパン(Span(登録商標))80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノ-ステアリン酸グリセリル及びラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。
【0136】
式Iの化合物の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合せしめられて活性物質を含む。そのような賦形剤には、懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメローゼ、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム、及び分散又は湿潤剤、例えば天然に生じるホスファチド(例えばレシチン)、脂肪酸とのアルキルオキシド(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド)の縮合産物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合産物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとのエチレンオキシドの縮合産物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)が含まれる。水性懸濁液はまた一又は複数の保存料、例えばエチル又はn-プロピルp-ヒドロキシ-ベンゾエート、一又は複数の着色剤、一又は複数の香味剤及び一又は複数の甘味料、例えばスクロース又はサッカリンを含みうる。
【0137】
式Iの化合物の薬物学的組成物は滅菌された注射用製剤の形態、例えば滅菌注射用水性又は油性懸濁液であってもよい。この懸濁液は上に述べた好適な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて既知の技術に従って製剤化することができる。滅菌された注射用製剤はまた1,3-ブタン-ジオール溶液又は凍結乾燥粉末として調製したもののように、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であってもよい。用いることができる許容可能なビヒクル及び溶媒は水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌固定化油を溶媒又は懸濁媒質として常套的に用いることができる。この目的に対して、合成のモノ-又はジグリセリドを含む任意のブランドの固定化油を用いることができる。また、オレイン酸のような脂肪酸も同様に注射剤の調製に使用することができる。
【0138】
単一投薬形態をつくるために担体物質と混合されうる活性成分の量は治療される宿主と特定の投与態様に応じて変わる。例えば、ヒトへの経口投与のための時間放出製剤は、全組成物の約5から約95%(重量:重量)と変わりうる適切で簡便な量の担体物質と共に配合されておよそ1から1000mgの活性物質を含みうる。薬物学的組成物は投与のために容易に測定可能な量をもたらすように調製することができる。例えば、静脈点滴のための水溶液は、約30mL/時の割合で適した体積の点滴が生じうるようにするために溶液1ミリリットル当たり約3から500μgの活性成分を含みうる。
【0139】
非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、バッファー、静菌剤及び意図したレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含みうる水性及び非水性滅菌注射用溶液;及び懸濁剤及び増粘剤を含みうる水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。
【0140】
眼への局所投与に適した製剤には、好適な担体、特に活性成分のための水性溶媒に活性成分が溶解又は懸濁させられた点眼液がまた含まれる。活性成分はそのような製剤中に好ましくは約0.5から20%w/w、例えば約0.5から10%、例えば約1.5%w/wの濃度で存在する。
【0141】
口への局所投与に適した製剤には、香味基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアのような不活性基剤に活性成分を含むパスティユ;及び適切な液体担体に活性成分を含むうがい薬が含まれる。
【0142】
直腸投与のための製剤は、例えばカカオバター又はサリチレートを含む好適な基剤を用いて座薬として提供することができる。
【0143】
肺内又は経鼻投与に適した製剤は、例えば0.1から500ミクロン(例えば0.5、1、30ミクロン、35ミクロン等々のような増分ミクロンで0.1から500ミクロンの範囲の粒子径を含む)の範囲の粒子径を有し、これが鼻経路を通る迅速な吸入又は肺胞嚢に達するように口からの吸入によって投与される。好適な製剤には、活性成分の水性又は油性溶液が含まれる。エアゾール又は乾燥粉末投与に適した製剤は常法によって調製することができ、以下に記載されるような疾患の治療又は予防にこれまで使用されている化合物のような他の治療剤と共に送達できる。
【0144】
膣投与に適した製剤は、活性成分に加えて、当該分野で適切であることが知られているような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー製剤として提供することができる。
【0145】
製剤は、単位用量又は複数用量容器、例えば密封されたアンプル及びバイアルに包装することができ、使用直前に注射用の滅菌液体担体、例えば水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存することができる。即時混合注射溶液及び懸濁液は既に記載された種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製される。好適な単位投薬製剤は、活性成分の、上に記載されたような毎日の投薬又は毎日の部分用量単位、又はその適切な画分を含むものである。
【0146】
本発明は更に獣医学的担体と共に上述の少なくとも一の活性成分を含有する獣医学的組成物を提供する。獣医学的担体は組成物を投与する目的に有用な物質であり、不活性な又は獣医学分野で許容され活性成分と相容性がある固形、液体又は気体物質でありうる。これらの獣医学的な組成物は非経口的、経口的又は任意の他の所望の経路によって投与することができる。
【0147】
併用療法
式Iの化合物は、単独で、又は過剰増殖性疾患(例えば、癌)のようなここに記載されている疾病又は疾患の治療のために他の治療剤と組合わせて用いることができる。ある実施態様では、式Iの化合物は、抗過剰増殖を有し、又は過剰増殖性疾患(例えば、癌)の治療に有用な第二化合物と、薬学的併用製剤又は併用療法としての投薬計画で併用される。薬学的併用製剤又は投薬計画の第二化合物は好ましくは互いに悪影響を及ぼさないように式Iの化合物に相補的な活性を持つ。そのような分子は、好適には、意図された目的に効果的な量で併用薬中に存在する。一実施態様では、本発明の組成物は、ここに記載されているもののような化学療法剤と組み合わせて、式Iの化合物、あるいはその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグを含有する。
【0148】
併用療法は同時又は逐次の計画として投与されうる。逐次的に投与される場合、併用薬は二回以上の投与で投与することができる。併用投与には、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する同時投与、何れかの順での逐次投与が含まれ、その場合、好ましくは両方の(又は全ての)活性剤が同時にその生物学的活性を作用させる時間がある。
【0149】
上記の同時投与薬剤の任意のものに適した投薬量は現在使用されているものであり、新たに同定された薬剤と他の化学療法剤又は治療の併用作用(相乗作用)のために低下させることができる。
【0150】
併用療法は、併せて使用される活性成分が化合物を別個に使用して得られた効果の合計よりも大きい場合に「相乗効果」をもたらし、「相乗的」、つまり効果が達成されることが分かる。相乗効果は、活性成分が、(1)同時処方され、併用された単位投薬製剤として同時に投与又は送達され;(2)別個の製剤として交互に又は並行して送達される場合;又は(3)ある種の他の計画によって、達成することができる。交互療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば別個にシリンジで異なった注射によって逐次的に投与され又は送達されるときに達成できる。一般に、交互療法の間、各活性成分の有効用量が逐次的、つまり連続的に投与される一方、併用療法では二又はそれ以上の活性成分の有効用量が併せて投与される。
【0151】
抗癌治療の特定の実施態様では、式Iの化合物、あるいはその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグは、ここに記載されているもののような他の化学療法剤、ホルモン剤又は抗体薬剤と組み合わせてもよく、また外科療法及び放射線療法と合わせてもよい。よって、本発明による併用療法は、式Iの少なくとも一の化合物、あるいはその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの投与と、少なくとも一種の他の癌治療法の使用を含む。式Iの化合物及び他の薬学的に活性な化学療法剤の量と、投与の相対的タイミングが、所望の組合わせた治療効果を達成するために選択される。
【0152】
式Iの化合物の代謝産物
また本発明の範囲内に入るのは、ここに記載されている式Iの化合物のインビボ代謝産物である。このような産物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素分解等から生じうる。従って、本発明は、その代謝産物を生じさせるのに十分な期間、本発明の化合物を哺乳動物に接触させる工程を含む方法によって生産される化合物を含む、式Iの化合物の代謝産物を含む。
【0153】
代謝産物は、典型的には本発明の化合物の放射標識(例えば、14C又はH)同位体を調製し、それを、例えばラット、マウス、モルモット、サルのような動物、又はヒトに検出可能な用量(例えば約0.5mg/kgより多い)で非経口的に投与し、十分な時間かけて代謝を生じさせ(典型的には約30秒から30時間)、尿、血液又は他の生物学的試料からその転換産物を単離することによって同定される。これらの産物は、標識されているので容易に単離される(他のものは代謝産物中で生存するエピトープに結合可能な抗体の使用によって単離される)。代謝産物の構造は、常套的な方法、例えばMS、LC/MS又はNMR分析によって決定される。一般に、代謝産物の分析は当業者によく知られた一般的な薬剤代謝研究と同じ方法でなされる。代謝産物は、それらがインビボで別に見出されない限り、本発明の化合物の治療用投薬の診断アッセイにおいて有用である。
【0154】
製造品
本発明の他の実施態様では、上記の疾病及び疾患の治療に有用な物質を含む製造品、又は「キット」が提供される。一実施態様では、キットは、式Iの化合物、あるいはその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグを含む容器を含む。キットは、容器上又は容器に付随するラベル又はパッケージ挿入物を更に含みうる。「パッケージ挿入物」という用語は、適応症、用法、用量、投与法、禁忌及び/又はこのような治療製品の使用に関する警告についての情報を含む、治療製品の商業的パッケージ中に常套的に含められる指示書を指すために使用される。適切な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、ブリスターパック等が含まれる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されうる。容器は、症状を治療するのに有効な式Iの化合物又はその製剤を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルでありうる)。組成物中の少なくとも一種の活性剤は式Iの化合物である。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が癌のような選択した症状の治療のために使用されることを示している。また、ラベル又はパッケージ挿入物は、治療される患者が、過剰増殖性疾患、神経変性、心肥大、疼痛、片頭痛、又は神経外傷性疾患もしくは事象等の疾患を有する者であることを示している場合がある。一実施態様では、ラベル又はパッケージ挿入物は、式Iの化合物を含む組成物が、異常な細胞増殖から生じる疾患を治療するのに使用できることを示している。あるいは、又は付加的に、製造品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液等の薬学的に許容可能なバッファーを含む第2の容器を更に含んでもよい。それは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含みうる。
【0155】
キットは、式Iの化合物と、存在する場合は第二の薬学的製剤の投与のための指示を更に含みうる。例えば、キットが、式Iの化合物を含む第一の組成物と第二の薬学的製剤を含む場合、キットは、それを必要としている患者への第一及び第二の薬学的組成物の同時、順次又は別個の投与のための指示書を更に含みうる。
【0156】
他の実施態様では、キットは、錠剤又はカプセル剤等の式Iの化合物の固形経口形態の送達に適している。このようなキットは、好ましくは多くの単位用量を含む。このようなキットは、それらの意図した使用の順番に配した投与量を有するカードを含みうる。このようなキットの一例は「ブリスターパック」である。ブリスターパックは、包装産業においてよく知られており、薬学的単位投薬形態の包装に広く使用されている。所望ならば、例えば数字、文字、又は他のマークの形態で、又は該用量が投与されうる治療スケジュールにおける日を指定するカレンダー挿入物を用いて、記憶補助を提供することができる。
【0157】
一実施態様によれば、キットは、(a)その中に式Iの化合物を含む第一の容器と;場合によっては(b)その中に第二の薬学的製剤を含む第二の容器を含んでいてもよく、ここで、第二の薬学的製剤は、抗過剰増殖活性を有する第二の化合物を含む。あるいは、又は加えて、キットは、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液のような薬学的に許容可能なバッファーを含む第三の容器を更に含みうる。それは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的にかつ使用者の観点から望ましい他の材料を更に含みうる。
【0158】
キットが式Iの組成物と第二の治療剤を含む所定の他の実施態様では、キットは、別々の組成物を収容するための容器、例えば分割されたビン又は分割されたホイルパケット等を含んでもよいが、別々の組成物はまた単一の分割されていない容器中に収容されてもよい。典型的には、キットは、別個の成分の投与のための指示書を含む。別々の成分が異なる投薬形態(例えば、経口及び非経口)で好ましくは投与され、異なる投与間隔で投与される場合、又は組合せの個々の成分の用量設定が処方医師によって望まれている場合に、キット形態は特に有利である。
【実施例】
【0159】
実施例に記載される化学反応は、本発明の多くの他のPI3K阻害剤を調製するために直ぐに適合させることができ、この発明の化合物を調製するための代替法はこの発明の範囲内にあるものと見なされる。例えば、本発明に係る実証されてない化合物の合成は、当業者に明らかな変形例によって、例えば、妨害基を適切に保護することにより、記載されたもの以外の当該分野で知られている他の適切な試薬を利用することにより、及び/又は反応条件を常套的に修正することにより、成功裏に実施されうる。あるいは、ここに開示され、又は当該分野で知られている他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための利用性を有しているものとして認識されるであろう。
【0160】
以下に記載の実施例には、他に明記しない限り、全ての温度は摂氏温度で記載する。試薬は、他に明記しない限り、Sigma Aldrich Chemical Company、Lancaster、TCI又はMaybridgeなどの商業的供給者から購入し、特に示していない場合は更なる精製をすることなく使用した。下記の反応は、一般に、窒素又はアルゴンの正圧下で、又は無水溶媒中の乾燥管(特に明記しない限り)を用いて行い、反応フラスコには、典型的には、シリンジによる基質及び試薬の導入のためにゴム製隔壁を取り付けた。ガラス製品はオーブン乾燥及び/又は加熱乾燥させた。カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルカラムを有するBiotageシステム(製造者:Dyax Corporation)又はシリカSEP PAK(登録商標)カートリッジ(Waters)で実施した。H NMRスペクトルは、クロロホルムを参照標準(7.25ppm)として使用し、重水素化CDCl、d-DMSO、CHOD又はd-アセトン溶液(ppmで報告)中で400MHzで得た。ピーク多重度を報告する場合、下記の略語を使用する:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(ブロード)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)。結合定数は、与えられている場合、ヘルツ(Hz)で報告される。
【0161】
実施例1 4-ヒドロキシ-1-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-カルボン酸エチル3

若干の修正を伴ってJ. Heterocyclic Chem. (1978) 15:319に記載されたプロトコルに従って、ナトリウムエトキシド(95%、83g、1.18mol)を175mLの無水エタノールに溶解した。マロン酸ジエチル2(184.6g、1.18mol)を加え、室温で10分間攪拌した。5-アミノ-1-メチルピラゾール-4-カルボン酸エチル1(50g、0.295mol)をゆっくり加え、得られた溶液を100℃で一晩還流した。還流している間に、オフホワイトの固形物が形成し始めた。溶液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固させ、残留物を最少量の水に溶解させた。水溶液を濃塩酸で酸性化(pH2)し、生じた沈殿物を濾過し、酢酸−水から再結晶させ、白色固形物(〜45g、64%)として3を得た。NMR(トリフルオロ酢酸):δ1.60(t.3H.J=7Hz、CHのエステル)、4.22(s,3H、N-CH)、4.80(q,2H、J=7hz,CH)、8.49(s,1H,H-3)
【0162】
実施例2 4-ヒドロキシ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6(7H)-オン4

J. Heterocyclic Chem. (1978) 15:319に記載のプロトコルに従って、45g(0.189mol)の4-ヒドロキシ-1-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-カルボン酸エチル3を500mLの15%水酸化ナトリウム溶液に溶解させ、5.5時間還流させ、室温まで冷却し、氷浴に入れた。濃塩酸でpH3に酸性化し、得られた沈殿物を濾過により分離し、水から再結晶させて、白色固形物(29.3g、94%)として4を得た。NMR(トリフルオロ酢酸):δ4.20(s,3H,CH3)、6.41(s,1H,H−5)、8.48(s,1H,H−3)
【0163】
実施例3 4,6-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン5

フェニルホスホン酸(28.3g、145.32mmol)を、4-ヒドロキシ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6(7H)-オン4(4.0g、24.22mmol)に加え、得られた混合物を窒素下170℃で一晩加熱した。反応混合物を砕いた氷の中にゆっくり注ぎ、激しく攪拌した。ついで、水酸化アンモニウムを注意して加えてpHを約5となるように調節した。形成された白色沈殿物を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥させて、5(3.67g、75%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.28(s,1H)、7.55(s,1H)、4.04(s,3H)。MS(ESI)m/z 202.0(M+1)
【0164】
実施例4 4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7

4,6-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン5(1.0g、4.94mmol)をマイクロ波管中で2mLのジオキサンと2mLのアセトニトリルに溶解させ、窒素をその溶液中にバブリングした。4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール6(1.8g、7.42mmol)を加えた。

【0165】
6mLの水中の炭酸水素ナトリウム(1.57g、14.84mmol)の溶液及び窒素を混合物にバブリングし、続いて5mol%のジクロロ,ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を加えた。ついで、得られた混合物をマイクロ波で150℃で30分間加熱した。水を反応混合物に加え、得られた沈殿物を集め、乾燥させ、フラッシュクロマトグラフィー(メタノール/DCM)で精製して、7(0.930g、66%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO)δ13.29(s,1H)、8.87(s,1H)、8.49−6.59(m,6H)、4.13−(m,3H)。MS(ESI)m/z 284.2(M+1)
【0166】
実施例5 5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール11

酢酸カリウム(0.44g、4.5mmol)を、DMSO中の5-ブロモ-1H-インダゾール10(0.1g、0.5mmol)及びビス(ピナコラト)ジボロン(0.38g、1.52mmol)の溶液に加えた。窒素ガスをバブリングさせ、続いて3mol%のジクロロ1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムII(Pd(dppf)Cl)を加え、反応混合物をマイクロ波により150℃で30分間加熱した。溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に取り上げ、セライトで濾過した。有機部分を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ついで、得られた粗物質を、ヘキサン及び酢酸エチルを溶離剤として使用するシリカゲルクロマトグラフィーを使用して、精製して11を得た。
【0167】
実施例6 4-クロロ-6-(1H-インダゾール-5-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン12

4,6-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン5(0.180g、0.89mmol)をマイクロ波管中で2mLのジオキサン及び2mLのアセトニトリルに溶解させ、窒素を溶液にバブリングさせた。5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール(0.217g、0.89mmol)及び1Mの酢酸カリウム(2mL、2mmol)溶液を加えた。窒素ガスを混合物にバブリングさせ、続いて5mol%のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加えた。反応混合物をマイクロ波により125℃で30分間加熱した。バイオタージ逆相システム(4:1の酢酸エチル/ヘキサン)で精製して12を得た。
【0168】
実施例7 3-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル15

酢酸カリウム(4mL、1M、4mmol)を、4,6-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン5(0.115g、0.569mmol)、DMF(2mL)中の3-シアノ-2-フルオロフェニルボロン酸14(0.075g、0.455mmol)及びアセトニトリル(2mL)の混合物に加えた。窒素を混合物にバブリングさせ、続いて10mol%のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え、反応をマイクロ波により125℃で20分間加熱した。溶媒を除去し、残留物を酢酸エチルに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及びブライン(15mL)で洗浄した。有機部分をプールし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去した。粗物質を、酢酸エチル及びヘキサンを溶媒として使用する逆相クロマトグラフィー(バイオタージ)で精製させ、白色固形物(0.035g、20%)として15を得た。
【0169】
実施例8 7-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-1H-インダゾール-3-アミン16

ヒドラジン(0.34mL、1.04mmol)をn-ブタノール中の3-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル15(0.030g、0.1046mmol)の溶液に加え、反応混合物を90℃で1時間加熱した。溶媒を除去し、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素溶液と続いてブラインで洗浄した。乾燥させ、濃縮して、16を得た。
【0170】
実施例9 7-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ベンゾ[d]イソキサゾール-3-アミン17

3-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-2-フルオロベンゾニトリル15(90mg、0.299mmol)を4mLのジメチルホルムアミド中のアセトヒドロキサム酸、CHC(O)NHOH(0.0675g、0.899mmol)及び炭酸カリウム(0.145g、1.049mmol)の混合物に加え、得られた反応混合物を50℃で2時間加熱した。溶媒を除去し、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム(1×20mL)と続いてブライン(1×20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させ、酢酸エチル及びヘキサンで溶離するバイオタージ精製システムによって精製して17(35mg、40%)を得た。
【0171】
実施例10 (1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メタノール19

1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-カルボン酸エチル18をTHF中の水素化リチウムアルミニウムと反応させて19を得た。
【0172】
実施例11 6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン101
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.1g、0.352mmol)を2mLのDMFに溶解させた。4-メチルスルホニルフェノール8a(0.12g、0.704mmol)及び炭酸カリウム(0.24g、1.76mmol)を加えた。反応混合物に窒素ガスをバブリングさせた後、マイクロ波で155℃で1.5−2時間加熱した。溶媒を除去し、過剰の炭酸カリウムを濾過し、分配し、酢酸エチルで抽出した。有機部分を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と続いてブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、溶媒を除去し、精製して101を得た。H NMR(400MHz、DMSO)δ13.26(s,1H)、8.77(s,1H)、8.06(d,J=8.8、2H)、7.92−7.51(m,6H)、7.51−7.27(m,2H)、4.13(s、3H)、3.28(s、3H)MS(ESI)m/z420.1(M+1)
【0173】
実施例12 6-(1H-インダゾール-5-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン102
炭酸カリウム(0.77g、5.36mmol)を、ジメチルホルムアミド中の4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.16g、0.563mmol)及び4−メチルスルホニルフェノール8a(0.15g、0.9mmol)に加えた。窒素を反応混合物にバブリングし、これをマイクロ波で155℃で1時間加熱した。溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に取り上げ、飽和炭酸水素と続いてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、粗生成物を、質量指向精製法を使用して102(32mg、14%)を得た。
【0174】
実施例13 6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-N-プロピル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-アミン103
アセトニトリル(2mL)中の4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.04g、0.14mmol)の溶液を、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.03g、0.14mmol)の存在下でプロピルアミン(0.041g、0.7mmol)で処理した。反応混合物をマイクロ波で190℃で2時間加熱した。溶媒を除去し、粗物質を質量指向精製法で精製して、白色固形物として5mgの103を得た。H NMR(400MHz,MeOD)δ8.57(s,1H)、8.11(d,J=1.2,1H)、7.63(t,J=7.4,2H)、7.50(t,J=7.2,1H)、6.72(s,1H)、4.04(t,J=22.1, 3H)、3.40(dd,J=20.2,13.0,2H)、1.79(dd,J=14.5,7.1,2H)、1.07(t,J=7.4,3H)。MS(ESI)m/z307.2(M+1)
【0175】
実施例14 6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-N-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-アミン104
ジオキサン中の4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.04g、0.14mmol)の溶液を、(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、Pd(dba)(0.13g、0.014mmol)、キサントホス(0.016g、0.028mmol)及び炭酸セシウム(0.18g、0.56mmol)の存在下で4-メチルスルホニルアニリン塩酸塩(0.058g、0.28mmol)で処理し、反応混合物を100℃で一晩加熱した。反応混合物を酢酸エチルと水で希釈した。水性部分を酢酸エチルで抽出し、有機部分をプールし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、粗物質を精製(Biotage)して、10mgの104を得た。H NMR(400MHz、MeOD)δ8.69(s,1H)、8.12(s,1H)、7.97(d,J=8.7、2H)、7.78−7.55(m,4H)、7.59−7.44(m,2H)、4.17(s,3H)3.35(s,1H)、3.14(s,3H)。MS(ESI)m/z419.2(M+1)
【0176】
実施例15 7-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-1H-インダゾール-3-アミン105
炭酸カリウム(0.14g、1.04mmol)を2mLのDMF中の7-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-1H-インダゾール-3-アミン16(0.30g、0.1046mmol)及び4-メチルスルホニルフェノール8a(0.036g、0.2mmol)の溶液に加えた。窒素を溶液にバブリングさせた。反応混合物をマイクロ波で155℃で40分間加熱した。粗化合物を質量指向精製法で精製して、黄色固形物として20mg、40%の105を得た。H NMR(400MHz、DMSO)δ11.53(s,1H)、8.21−7.64(m,6H)、7.64−7.40(m,3H)、7.40−6.91(m,1H)、5.51(s,2H)、4.12(m,3H)、3.21(m,3H)。MS(ESI)m/z435.1(M+1)
【0177】
実施例16 4-(2,6-ジメチルフェノキシ)-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン106
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.040g、0.141mmol)を2mLのDMFに溶解させた。2,6-ジメチルフェノール8b(0.034g、0.281mmol)を加え、続いて炭酸カリウム(0.2g、1.41mmol)を加え、得られた反応混合物をマイクロ波で155℃で30分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過し、有機部分を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と続いてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去し、精製して、白色固形物(10mg、20%)として106を得た。H NMR(400MHz、CDCl3)δ10.13(s,1H)、8.77(s,1H)、7.58(t,J=7.2、2H)、7.48(dd,J=11.8、19.0、2H)、7.18(s,3H)、6.97(d,J=23.8、1H)、4.22(s,3H)、2.19(s,6H)
【0178】
実施例17 6-(1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-メトキシフェノキシ)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン107
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.040g、0.141mmol)を2mLのDMFに溶解した。3-メトキシフェノール8e(0.033g、0.282mmol)を加え、続いて炭酸カリウム(0.2g、1.41mmol)を加えた。窒素を生じた反応混合物にバブリングさせ、マイクロ波によって155℃で1時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過し、有機部分を飽和炭酸水素ナトリウム溶液とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去し、精製して所望の生成物を得、これから107を白色固形物(15.0mg、30%)として得た。
【0179】
実施例18 4-(3,4-ジメトキシフェノキシ)-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン108
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.040g、0.141mmol)を2mLのDMFに溶解させた。3,4-ジメトキシフェノール8c(0.035g、0.281mmol)を加え、続いて炭酸カリウム(0.2g、1.41mmol)を加え、生じた反応混合物をマイクロ波によって1時間155℃で加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過した。有機部分を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と続いてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、精製して白色固形物(10mg、20%)として108を得た。H NMR(400MHz、CDCl3)δ10.13(s,1H)、8.81(s,1H)、7.76−7.40(m,4H)、7.14−6.87(m,2H)6.87−6.65(m,2H)、4.25(d,J=16.2、3H)、3.91(d,J=31.0、6H)MS(ESI)m/z402.2(M+1)
【0180】
実施例19 4-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イルオキシ)ベンズアミド109
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.040g、0.141mmol)を2mLのDMFに溶解した。4-ヒドロキシベンズアミド8d(0.038g、0.281mmol)を加え、続いて炭酸カリウム(0.2g、1.41mmol)を加え、得られた反応混合物をマイクロ波によって155℃で1時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過し、有機部分を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と続いてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去し、精製して、白色固形物(10mg、20%)として109を得た。H NMR(400MHz、DMSO)δ13.25(s,1H)、8.72(s,1H)、8.04(d,J=8.7、3H)、7.83−7.59(m,3H)、7.59−7.29(m,4H)、7.23(s,1H)、4.16(d,J=9.1、3H)。MS(ESI)m/z385.1(M+1)
【0181】
実施例20 6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-4-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン110
(1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メタノール19(0.367g、1.9mmol)をDMF中の水素化ナトリウム(0.137g、5.70mmol)の混合物に加え、雰囲気温度で2時間攪拌した。10mLのDMF中の4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(0.18g、0.634mmol)を混合物にゆっくりと加え、80℃で一晩攪拌した。反応混合物を砕いた氷上でクエンチし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を精製して、110(70mg、25%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO)δ13.22(s,1H)、8.82(s,1H)、8.15(s,1H)、7.86(d,J= 7.1、1H)、7.67(d,J=8.3、1H)、7.58−7.41(m,1H)、7.35(s,1H)、 4.36 (d,J =6.3、2H)、4.13(s,3H)、3.63(d,J=11.8、2H)、3.04-2.61(m,4H)、2.22−1.78(m,4H)、1.45(d,J =8.6、2H)。MS(ESI)m/z441.2(M+1)
【0182】
実施例21 3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルベンズアミド111
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(80mg、0.28mmol)及び3-(N-メチルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(1.4当量)を2mlのアセトニトリルに懸濁した。炭酸ナトリウム(3当量、92mg)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.05当量)を水(0.5ml)中の溶液として加えた。反応混合物をマイクロ波によって130℃で20分間加熱した。水を混合物に加え、沈殿した生成物を濾過し、カラムクロマトグラフィーで精製して111を得た。NMR(CDCl3):3.11(3H,d)、4.34(3H,s)、6.25(1H,br)、7.56(1H,m)、7.63−7.70(2H,m)、7.84(1H,d)、7.87(1H,s)、7.90 (1H,d)、8.00 (1H,d)、8.21(1H,s)、8.27(1H,s)、8.97(1H,s)。MS:MH+383.09(100%)
【0183】
実施例22 N-(3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド112
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(80mg、0.28mmol)及び3’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アセトアニリド(1.4当量)を2mlのアセトニトリルに懸濁させた。炭酸ナトリウム(3当量、92mg)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.05当量)を水(0.5ml)中の溶液として加えた。反応混合物をマイクロ波によって130℃で20分間加熱した。水を混合物に加え、沈殿した生成物を濾過し、カラムクロマトグラフィーで精製して112を得た。NMR(CDCl3):2.27(3H,s)、4.33(3H,s)、7.34(1H,br)、7.52−7.68(5H,m)、7.84(1H,d)、7.85(1H,s)、 8.10(1H,s)、8.26(1H,s)、8.96(1H,s)。MS:MH+383.12(100%)
【0184】
実施例23 N-(3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)フェニル)メタンスルホンアミド113
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(80mg、0.28mmol)及びN-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニルメタンスルホンアミド(1.4当量)を2mlのアセトニトリル中に懸濁させた。炭酸ナトリウム(3当量、92mg)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.05当量)を水(0.5ml)中の溶液として加えた。反応混合物をマイクロ波によって130℃で20分間加熱した。水を混合物に加え、沈殿した生成物を濾過し、カラムクロマトグラフィーで精製して113を得た。NMR(CDCl3):3.14(3H,s)、4.34(3H,s)、6.75(1H,br)、7.39(1H、dd)、7.54−7.7(4H,m)、7.74(1H,s)、7.82-7.8(2H,m)、8.22(1H,s)、8.95(1H,s)、10.20(1H,br)。MS:MH+418.12
【0185】
実施例24 3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イルアミノ)-2,2-ジメチルプロパン-1-オール114
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(70mg)及び3-アミノ-2,2-ジメチル-1-プロパノール(3当量)をマイクロ波によって2時間170℃で加熱した。揮発物質を真空下で除去した;残留物を分取HPLCによって精製して114を白色固形物(55mg)として得た。NMR(CDCl3):1.11(6H,s)、1.72(1H、br,OH)、3.42(2H,d)、 3.6(2H,d)、4.19(3H,s)、5.70(1H,br,NH)、6.78(1H,s)、7.49-7.58 (2H, m)、 7.71(1H,d)、7.94(1H,s)、8.8(1H,s)、10.10(1H、br、NH)。MS:MH+351
【0186】
実施例25 6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン115
4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(80mg、0.28mmol)及び4-(メタンスルホニル)ベンゼンボロン酸(1.4当量)を2mlのアセトニトリル中に懸濁させた。炭酸ナトリウム(3当量、92mg)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.05当量)を水(0.5ml)中の溶液として加えた。反応混合物をマイクロ波によって20分間130℃で加熱した。混合物に水を加え、沈殿した生成物を濾過し、カラムクロマトグラフィーで精製して115を得た。NMR(CDCl3):3.19(3H,s)、4.36(3H,s)、7.58(1H,m)、7.67(1H,d)、7.84(1H,d)、7.87(1H,s)、8.06(2H,d)、8.19(1H,s)、8.20(2H,d)、 8.9(1H,s)、10.20(1H,br)。MS:MH+404
【0187】
実施例26 6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-N-(3-(メチルスルホニル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-アミン116

一般手順Bに従って、4-クロロ-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン7(100mg)及び3-(メチルチオ)プロピルアミン(3当量)をマイクロ波によって170℃で1時間加熱した。揮発性物質を真空で除去した;残留物を分取HPLCによって精製して、白色固形物として[6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]-(3-メチルスルファニル-プロピル)-アミン(94mg)を得た。2mlの無水DCM中の3-クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA、94mg、2.2当量)を0℃で加えた。反応混合物を3時間以上かけてゆっくりと室温まで温め、DCMで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、フラッシュクロマトグラフィー(メタノール/DCM)で精製して、白色固形物として116(27mg)を得た。NMR(CDCl3):2.39(2H,m)、3.00(3H,s)、3.25(2H、t)、3.74(2H,m)、4.2(3H,s)、5.20(1H、br t)、6.77(1H,s)、7.50−7.5(1H,m)、7.59(1H,d)、7.70(1H,d)、7.97(1G=H,s)、8.82(1H,s)、10.20(1H,br)。MS:MH+385.19(100%)
【0188】
実施例27 6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン117

4,6-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン5(0.5g,4.9mmol)を1,4-ジオキサン(8mL)に溶解させ、6-メトキシピリジン-3-イルボロン酸(0.4g)及び1MのKOAc(8mL)をマイクロ波管中で加えた。窒素を溶液に1分間バブリングさせた。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(1.2g)を加え、生じた混合物をマイクロ波によって5分間120℃で加熱した。反応混合物を真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30%のEtOAc)で精製して、4-クロロ-6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(0.32g)を得た。
【0189】
DMF(6mL)中の4-クロロ-6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(0.32g)及び4-(メチルスルホニル)フェノール(0.40g)に炭酸カリウム(0.80g)を加え、窒素を5分間溶液にバブリングさせた。ついで、反応混合物をマイクロ波によって1時間150℃で加熱した。得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0−30%のEtOAc)で精製して、117(0.38g)を得た。MS(ESI)m/z411.1(M+1)
【0190】
実施例28 6-(2-メトキシピリジン-4-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン118

4,6-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン5(0.5g、4.9mmol)をアセトニトリル(8mL)に溶解させ、2-メトキシピリジン-4-ボロン酸(0.4g)及び1MのKOAc(8mL)をマイクロ波管中で加えた。窒素を溶液に5分間バブリングした。1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(1.21g)を加え、得られた混合物をついでマイクロ波によって5分間、120℃で加熱した。反応混合物を真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(30%のヘキサン中EtOAc)で精製して、4-クロロ-6-(2-メトキシピリジン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(0.37g)を得た。
【0191】
4-クロロ-6-(2-メトキシピリジン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(0.4g)及び4-(メチルスルホニル)フェノール(0.5g)にDMF(3.4mL)及び炭酸カリウム(1.0g)を加えた。窒素を溶液に5分間バブリングさせた。反応混合物をマイクロ波によって1時間、150℃で加熱した後、逆相HPLCで精製して、118(0.3g)を得た。MS(ESI)m/z411.1(M+1)
【0192】
実施例29 5-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ピリジン-2-オール119
アセトニトリル(1mL)中の6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン117(110mg)にヨードトリメチルシラン(1mL)を加えた。反応混合物を70℃で3時間加熱し、逆相HPLCで精製して119(35.8mg)を得た。MS(ESI)m/z397.1(M+1)
【0193】
実施例30 4-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ピリジン-2-オール120
アセトニトリル(1mL)中の6-(2-メトキシピリジン-4-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン118(100mg)にヨードトリメチルシラン(140mL)を加えた。得られた混合物を70℃で3時間加熱し、逆相HPLCで精製して120を得た。MS(ESI)m/z397.1(M+1)
【0194】
実施例31 7-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ベンゾ[d]イソキサゾール-3-アミン121
2mLのDMF中の7-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ベンゾ[d]イソキサゾール-3-アミン17(0.032g、0.106mmol)、4-メチルスルホニルフェノール8a(0.036g、0.213mmol)及び炭酸カリウム(0.15g、1.06mmol)の混合物を、マイクロ波により155℃で30分間加熱した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去し、酢酸エチルで希釈した。有機部分をプールし、飽和炭酸水素溶液及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去した。粗物質を質量指向精製法を使用して精製して10mgの121を得た。H NMR(400MHz、DMSO)δ=8.02−7.58(m,8H)、7.58(dd,J=26.9,35.7,2H)、6.53(s,1H)、4.15-4.01(m,3H)、3.3−3.06(m,3H)。MS(ESI)m/z436.0(M+1)
【0195】
実施例32 p110α(アルファ)PI3K結合アッセイ
結合アッセイ:最初の偏光実験を、アナリストHT96-384(Molecular Devices Corp.、Sunnyvale、CA.)で実施した。蛍光偏光親和性測定のための試料を、偏光バッファー(10mMのトリス(pH7.5)、50mMのNaCl、4mMのMgCl、0.05%のChaps、及び1mMのDTT)中の20μg/mLの最終濃度で開始するp110αPI3Kの1:3段階希釈物(Upstate Cell Signaling Solutions, Charlottesville, VA)を、10mMの最終濃度のPIP(Echelon-Inc、Salt Lake City、UT.)に加えることによって調製した。室温での30分のインキュベーション時間後、それぞれ100nM及び5nMの最終濃度のGRP-1及びPIP3-TAMRAプローブを加えることによって反応を止めた。384ウェルの黒の低容量プロキシプレート(PerkinElmer, Wellesley, MA)中のローダミンフルオロフォア(λex=530nm;λem=590nm)について標準的なカットオフフィルターで読み取る。蛍光偏光値をタンパク質濃度の関数としてプロットし、KaleidaGraphソフトウェア(Synergy software, Reading, PA)を使用してデータを4パラメータ式にフィットさせることによってEC50値を得た。この実験はまた阻害剤での続く競争実験において使用する適切なタンパク質濃度を確立する。
【0196】
PIP(10mMの最終濃度)と合わせた0.04mg/mLのp110αPI3K(最終濃度)を、偏光バッファー中の25mMの最終濃度のATP(Cell Signaling Technology, Inc., Danvers, MA)中のアンタゴニストの1:3段階希釈物を含むウェルに加えることによって、阻害剤のIC50値を決定した。室温で30分のインキュベーション時間後、それぞれ100nM及び5nMの最終濃度のGRP-1及びPIP3-TAMRAプローブ(Echelon-Inc, Salt Lake City, UT.)を加えることによって反応を止めた。384ウェルの黒の低容量プロキシプレート(PerkinElmer, Wellesley, MA)中のローダミンフルオロフォア(λex=530nm;λem=590nm)について標準的なカットオフフィルターで読み取る。蛍光偏光値をアンタゴニスト濃度の関数としてプロットし、Assay Explorerソフトウェア(MDL, San Ramon, CA.)でデータを4パラメータ式にフィットすることによってIC50値を得た。
【0197】
別法では、精製した組換え酵素及びATPを1μMの濃度で使用した放射測定アッセイにおいてPI3Kの阻害を決定した。化合物を100%のDMSOで段階希釈した。キナーゼ反応物を室温で1時間インキュベートし、PBSを添加することによって反応を終わらせた。続いて、IC50値を、シグモイド用量応答曲線の当てはめ(可変勾配)を使用して決定した。
【0198】
実施例33 インビトロ細胞増殖アッセイ
式Iの化合物の効能を、次のプロトコル(Promega Corp. Technical Bulletin TB288; Mendoza等(2002) Cancer Res. 62:5485-5488)を用いた細胞増殖アッセイによって測定した:
1. 培地中に約10の細胞を含む細胞培養物(PC3、Detroit562、又はMDMB361.1)の100μlのアリコートを、384ウェルの不透明な壁のプレートの各ウェルに沈着させた。
2. 培地を含み細胞を伴わないコントロールウェルを調製した。
3. 化合物を実験ウェルに加え、3−5日間インキュベートした。
4. プレートを室温に約30分間平衡化した。
5. 各ウェル中に存在する細胞培養培地の体積と等しい体積のCellTiter-Glo試薬を加えた。
6. 内容物をオービタルシェーカーで2分間混合し、細胞溶解を誘発した。
7. プレートを室温で10分間インキュベートし、発光シグナルを安定化させた。
8. 発光を記録し、RLU=相対発光単位としてグラフで報告した。
【0199】
別法では、細胞を96ウェルプレートに最適密度で播き、試験化合物の存在下で4日間インキュベートした。続いて、アラマーブルー(商標)をアッセイ培地に加え、細胞を6時間インキュベートした後、544nmの励起、590nmの発光で読み取った。シグモイド用量反応曲線の当てはめを使用してEC50値を計算した。
式Iの例示的化合物の抗増殖効果を、次のものを含む様々な腫瘍細胞株に対してCellTiter−Glo(登録商標)アッセイによって測定した。

【0200】
実施例34 Caco−2透過率
Caco−2を1×10細胞/cmでミリポア・マルチスクリーン・プレート上に播種し、20日間培養する。化合物透過性の評価を続いて実施する。化合物を細胞単層の頂端膜側(A)に塗布し、基底外側(B)コンパートメントへの化合物透過を測定した。これを逆方向(B-A)で行い、能動輸送を調べる。膜を通る化合物の透過速度の測定値である各化合物についての透過係数値Pappを計算する。化合物を、確立されたヒト吸収性を持つコントロール化合物との比較に基づき低い(Papp</=1.0×10cm/s)又は高い(Papp>/=1.0×10cm/s)吸着電位に分類する。
【0201】
能動流出を被る化合物の能力の評価では、Bに対するAと比較した頂端膜側側(A)に対する基底膜側(B)輸送の比を決定した。B−A/A−B>/=1.0の値が能動細胞流出の発生を示す。
【0202】
実施例35 肝細胞クリアランス
凍結保存されたヒト肝細胞の懸濁液を使用する。5×10個の生存細胞/mLの細胞密度で1mM又は3μMの化合物濃度でインキュベーションを実施する。インキュベーション中の最終DMSO濃度は約0.25%である。コントロールインキュベーションもまた細胞の非存在下で行い、非酵素的分解を明らかにする。2組の試料(50μL)を、0分、5分、10分、20分、40分及び60分(コントロール試料は60分のみ)でインキュベーション混合物から取り除き、MeOH含有内部標準(100μL)に加え、反応を終了させる。トルブタミド、7-ヒドロキシクマリン、及びテストステロンを、コントロール化合物として使用することができる。試料を遠心分離し、各時点での上清をLC-MSMSによる分析のためにプール化する。時間に対するlnピーク面積比(親化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)のプロットから、固有クリアランス(CLint)を次のように計算する:CLint(μl/分/10細胞)=V×k(ここで、kは、時間に対してプロットしたln濃度の勾配から得た排出速度定数であり、Vは、インキュベーション体積から算出される体積用語であり、uL 10 細胞-1として表される)。
【0203】
実施例36 チトクロムP450阻害
式Iの化合物を、約100uMの最高濃度での約10通りの濃度で、2組、CYP450ターゲット(1A2、2C9、2C19、2D6、3A4)に対してスクリーニングすることができる。標準的阻害剤(フラフィリン、スルファフェナゾール、トラニルシプロミン、キニジン、ケトコナゾール)はコントロールとして使用することができる。プレートは蛍光モードにおいてBMG LabTechnologies PolarStarを使用して読むことができる。
【0204】
実施例37 チトクロムP450誘導
単一のドナーから新鮮に単離されたヒト肝細胞を、3通りの濃度の式Iの化合物の添加前に約48時間培養し、72時間インキュベートすることができる。CYP3A4及びCYP1A2のためのプローブ基質を、インキュベーション終了の前、30分間及び1時間加える。72時間で、細胞及び培地を取り出し、各プローブ基質の代謝の程度をLC-MS/MSによって定量化する。実験を、一つの濃度で3組でインキュベートした個々のP450の誘導物質を使用することによって制御する。
【0205】
実施例38 血漿タンパク質結合
式Iの化合物の溶液(5um、0.5%の最終DMSO濃度)を、バッファー及び10%血漿(バッファー中のv/v)中で調製する。96ウェルHT透析プレートを、各ウェルが半透性セルロース膜によって2つに分割されるように構成する。バッファー溶液を膜の一側に加え、血漿溶液を他側に加える。ついで、37℃で2時間にわたり3組、インキュベーションを行う。続いて、細胞を出し、化合物の各バッチの溶液を2つの群(血漿非含有及び血漿含有)に組合わせ、ついで血漿非含有(6ポイント)及び血漿含有溶液(7ポイント)についての2セットの較正標準を使用してLC-MSMSによって分析する。化合物についての画分未結合値を計算する。
【0206】
実施例39 hERGチャネル遮断
式Iの化合物は、確立されたフラックス法を使用して、hERGカリウムチャネルを安定して発現しているHEK-294細胞からのルビジウム流出を調節する能力について評価する。RbClを含む培地中で細胞を調製し、96ウェルプレートに播種し、一晩増殖させて単層を形成させる。培地を吸引し、各ウェルを3×100μLのプレインキュベーションバッファー(低[K]を含む)で室温で洗浄することによって流出実験を開始する。最後の吸引後、50μLの操作用ストック(2×)化合物を各ウェルに加え、室温で10分間インキュベートする。ついで、50μLの刺激バッファー(高[K+]を含む)を各ウェルに加え、最終試験化合物濃度とする。ついで、細胞プレートを室温で更に10分間インキュベートする。ついで、各ウェルからの80μLの上清を96ウェルプレートの同等のウェルに移し、原子発光分光法によって分析する。化合物を、100μMの最高濃度からの10ポイントの二組のIC50曲線(n=2)としてスクリーニングする。
【0207】
上記の説明は、本発明の原理を例示するだけのものと考えられる。更に、無数の修正及び変更が当業者には直ぐに明らかであるため、本発明を上述のような正確な構成及び方法に限定することは望まれない。従って、あらゆる適切な修正及び均等物が、以下の特許請求の範囲によって定まる本発明の範囲にあると考えることができる。
【0208】
「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」及び「含む(includes)」という語は、本明細書及び次の特許請求の範囲において使用される場合、記載された特徴、整数、成分、又は工程の存在を特定することを意図しており、一又は複数の他の特徴、整数、成分、工程、又はその群の存在又は付加を排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:

[上式中、
は、H、C−C12アルキル、-C(=O)NR1011、-NR12C(=O)R10、-NR12C(=O)OR11、-NR12C(=O)NR1011、及びC-C20ヘテロアリールから選択され、ここで、C-C20ヘテロアリールは、C-C12アルキル、C-C12アルキル-NR1011、C-C12アルキル-OR10、C-C20アリール、F、Cl、Br、I、-CN、-CF、-COH、-C(=O)NR1011、-NO、-NR1011、-NHCOR10、-OR10、-S(O)NR1011、及び-S(O)10から独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
は、C-C12アルキルであり;
は、炭素結合C−C20ヘテロシクリル及び炭素結合C−C20ヘテロアリールから選択され、ここで、炭素結合C−C20ヘテロシクリル及び炭素結合C−C20ヘテロアリールは、C−C12アルキル、C−C20アリール、F、Cl、Br、I、-CH、-CN、-CF、-CHOH、-COH、-CONH、-CON(CH)、-NO、-NH、-NHCH、-NHCOCH、-OH、-OCH、-SH、-NHC(=O)NHCH、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
は、-NR1013、-NR12C(=O)R10、-NR10(C−C12アルキル)NR1013、-NR10(C−C12アルキル)OR10、-NR10(C−C12アルキル)C(=O)NR1013、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C12カルボシクリル)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-OR10、-O(C−C12アルキレン)-(C-C12カルボシクリル)、-O(C-C12アルキレン)-(C-C20ヘテロシクリル)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−C12アルキレン)NR1013、-(C−C12アルキレン)-(C−C12カルボシクリル)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−Cアルキニレン)NR1013、-(C−Cアルキニレン)-(C−C12カルボシクリル)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20アリール)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20アリーレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−C20アリール)-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-C(=O)NR1011、C−C12アルキル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルキレン、アルキニル、アルキニレン、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CH、-CHOH、-CN、-CF、-COH、-COCH、-CONH、-CONHCH、-CON(CH)、-NO、-NH、-NHCH、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-S(O)N(CH)、-SCH、-CHOCH、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
10、R11及びR12は、H、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CHOH、-CH、-CN、-CF、-COH、-CONH、-CONHCH、-NO、-N(CH)、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-OCHCH、-S(O)NH、-SCH、-S(O)CH、-CHOCH、-CH、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
又はR10及びR11は、それらが結合する窒素原子と共にC−C20ヘテロシクリル環を形成し;及び
13は、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CHOH、-CH、-CN、-CF、-COH、-CONH、-CONHCH、-NO、-N(CH)、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-OCHCH、-S(O)NH、-SCH、-S(O)CH、-OCHCH-N(CH)、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
又はR10及びR13は、それらが結合する窒素原子と共にC−C20ヘテロシクリル環を形成する]
及びその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、又は薬学的に許容可能な塩から選択される化合物。
【請求項2】
がH又はCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、ピリジル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、フラニル、チエニル、トリアゾリル、及びテトラゾリルから選択される単環式ヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、

(上式中、波線は結合点を示す)から選択される単環式ヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、

(上式中、波線は結合点を示す)から選択される単環式ヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、

(上式中、波線は結合点を示す)から選択される単環式ヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、



(上式中、波線は結合点を示す)から選択される縮合二環式C−C20ヘテロシクリル又はC−C20ヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、

(上式中、波線は結合点を示す)から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、

(上式中、波線は結合点を示す)から選択される縮合二環式C−C20ヘテロシクリル又はC−C20ヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が1H-インダゾール-4-イルである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が1H-インドール-4-イルである請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
がピリミジン-5-イルで置換されていてもよい請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
がC−C20アリールで置換されていてもよい請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
がフェニルで置換されていてもよい請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が-OR10(ここで、R10は置換されていてもよいフェニルである)である請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
フェニルが、-OCH、-SOCH、-SONH、-NHSOCH、-CHOCH、-CN、-C(=O)NH、-C(=O)NHCH、-NHC(=O)CH、-CF、 -OH、-CH、及び-Clから独立して選択される一又は複数の基で置換されている請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
が-OR10(ここで、R10は置換されていてもよいC−C12アルキルである)である請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
が、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、又は-O(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)である請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
が-NR1013(ここで、R10はH、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、又はC−Cアルキニルであり;R13は置換されていてもよいフェニルである)である請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
が、-NR10(C−C12アルキル)NR1013、-NR10(C−C12アルキル)OR10、又は-NR10(C−C12アルキル)C(=O)NR1013である請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が、-NR1013(ここで、R10及びR13はそれらが結合する窒素原子と共にモルホリニル、4-メチルピペラジン-1-イル、4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル、又は4-(2-ピリジル)ピペラジン-1-イルを形成する)である請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
6-(1H-インダゾール-5-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-N-プロピル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-アミン;
6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-N-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-アミン;
7-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-1H-インダゾール-3-アミン;
4-(2,6-ジメチルフェノキシ)-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
6-(1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-メトキシフェノキシ)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
4-(3,4-ジメトキシフェノキシ)-6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
4-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イルオキシ)ベンズアミド;
6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-4-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)メトキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルベンズアミド;
N-(3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)フェニル)アセトアミド;
N-(3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)フェニル)メタンスルホンアミド;
3-(6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イルアミノ)-2,2-ジメチルプロパン-1-オール;
6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
6-(1H-インダゾール-4-イル)-1-メチル-N-(3-(メチルスルホニル)プロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-アミン;
6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
6-(2-メトキシピリジン-4-イル)-1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン;
5-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ピリジン-2-オール;
4-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ピリジン-2-オール;及び
7-(1-メチル-4-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)ベンゾ[d]イソキサゾール-3-アミン]
から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
請求項1又は請求項24の化合物と薬学的に許容可能な担体、流動促進剤、希釈剤、又は賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項26】
化学療法剤、抗炎症剤、免疫調節剤、神経栄養因子、循環器疾患の治療のための薬剤、肝疾患の治療のための薬剤、抗ウイルス剤、血液疾患の治療のための薬剤、糖尿病の治療のための薬剤、及び免疫不全疾患の治療のための薬剤から選択される更なる治療剤を更に含む請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
哺乳動物における過剰増殖疾患を治療する方法において、請求項1又は請求項24に記載の化合物の治療的有効量を上記哺乳動物に投与することからなる方法。
【請求項28】
過剰増殖疾患が癌であり、癌が、乳癌、卵巣癌、子宮頸部癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞癌、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌、セミノーマ、メラノーマ、肉腫、膀胱癌、肝癌及び胆道癌、腎臓癌、膵臓癌、骨髄疾患、リンパ腫、毛様細胞、口腔、鼻咽頭、咽頭、唇、舌、口腔の癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍及び中枢神経系癌、ホジキン病又は白血病である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
薬学的に許容可能な担体と請求項1又は請求項24の化合物を組み合わせることを含む薬学的組成物の製造方法。
【請求項30】
癌の予防的又は治癒的治療のための医薬の製造における請求項1又は請求項24に記載の化合物の使用。
【請求項31】
癌の治療のための請求項1又は請求項24に記載の化合物の使用。
【請求項32】
脂質キナーゼ活性を阻害し又は調節する方法において、脂質キナーゼを請求項1又は請求項24の化合物の有効阻害量に接触させることを含む方法。
【請求項33】
脂質キナーゼがPI3Kである請求項32に記載の方法。
【請求項34】
PI3Kがp110αサブユニットである請求項33に記載の方法。
【請求項35】
哺乳動物における脂質キナーゼ活性を阻害し又は調節する方法において、請求項1又は請求項24の化合物の治療的有効量を哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項36】
脂質キナーゼがPI3Kである請求項35に記載の方法。
【請求項37】
PI3K媒介症状を治療するためのキットにおいて、
a)請求項1又は請求項24の化合物を含有する第一の薬学的組成物;及び
b)使用のための指示書
を含むキット。
【請求項38】
式Iの化合物を製造する方法であって、
式IIの化合物:

及びその立体異性体、幾何異性体、互変異性体又は薬学的に許容可能な塩を、単環式ヘテロアリール、縮合二環式へテロ環、又は縮合二環式へテロアリールを含むボロネート化合物と反応させ、
それによって、式I:

[上式中、
は、H、C−C12アルキル、-C(=O)NR1011、-NR12C(=O)R10、-NR12C(=O)OR11、-NR12C(=O)NR1011、及びC-C20ヘテロアリールから選択され、ここで、C-C20ヘテロアリールは、C-C12アルキル、C-C12アルキル-NR1011、C-C12アルキル-OR10、C-C20アリール、F、Cl、Br、I、-CN、-CF、-COH、-C(=O)NR1011、-NO、-NR1011、-NHCOR10、-OR10、-S(O)NR1011、及び-S(O)10から独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
は、C-C12アルキルであり;
は、炭素結合C−C20ヘテロシクリル及び炭素結合C−C20ヘテロアリールから選択され、ここで、炭素結合C−C20ヘテロシクリル及び炭素結合C−C20ヘテロアリールは、C−C12アルキル、C−C20アリール、F、Cl、Br、I、-CH、-CN、-CF、-CHOH、-COH、-CONH、-CON(CH)、-NO、-NH、-NHCH、-NHCOCH、-OH、-OCH、-SH、-NHC(=O)NHCH、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
は、-NR1013、-NR12C(=O)R10、-NR10(C−C12アルキル)NR1013、-NR10(C−C12アルキル)OR10、-NR10(C−C12アルキル)C(=O)NR1013、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C12カルボシクリル)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-NR10(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-OR10、-O(C−C12アルキレン)-(C-C12カルボシクリル)、-O(C-C12アルキレン)-(C-C20ヘテロシクリル)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-O(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−C12アルキレン)NR1013、-(C−C12アルキレン)-(C−C12カルボシクリル)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20アリール)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−Cアルキニレン)NR1013、-(C−Cアルキニレン)-(C−C12カルボシクリル)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20アリール)、-(C−Cアルキニレン)-(C−C20ヘテロアリール)、-(C−C12アルキレン)-(C−C20アリーレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-(C−C20アリール)-(C−C12アルキレン)-(C−C20ヘテロシクリル)、-C(=O)NR1011、C−C12アルキル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから選択され、ここでアルキル、アルキレン、アルキニル、アルキニレン、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CH、-CHOH、-CN、-CF、-COH、-COCH、-CONH、-CONHCH、-CON(CH)、-NO、-NH、-NHCH、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-S(O)N(CH)、-SCH、-CHOCH、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
10、R11及びR12は、H、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CHOH、-CH、-CN、-CF、-COH、-CONH、-CONHCH、-NO、-N(CH)、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-OCHCH、-S(O)NH、-SCH、-S(O)CH、-CHOCH、-CH、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
又はR10及びR11は、それらが結合する窒素原子と共にC−C20ヘテロシクリル環を形成し;及び
13は、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C12カルボシクリル、C−C20ヘテロシクリル、C−C20アリール、及びC−C20ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、I、-CHOH、-CH、-CN、-CF、-COH、-CONH、-CONHCH、-NO、-N(CH)、-NHCOCH、-NHS(O)CH、-OH、-OCH、-OCHCH、-S(O)NH、-SCH、-S(O)CH、-OCHCH-N(CH)、及び-S(O)CHから独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
又はR10及びR13は、それらが結合する窒素原子と共にC−C20ヘテロシクリル環を形成する]
の化合物及びその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、又は薬学的に許容可能な塩が形成される方法。

【公表番号】特表2012−509345(P2012−509345A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537609(P2011−537609)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065085
【国際公開番号】WO2010/059788
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【出願人】(306021192)エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】