説明

ピラノピリジン化合物

本発明は、ケモカイン受容体に結合するような方法で標的細胞に対してHIV感染からの防御効果を示し、かつ標的細胞のCXCR4のような受容体への天然のリガンドまたはケモカインの結合に影響を及ぼす化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケモカイン受容体に結合するような方法で標的細胞に対してHIV感染からの防御効果を示し、また、標的細胞のCXCR4のような受容体への天然のリガンドまたはケモカインの結合に影響を与える化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
HIVは、細胞膜表面上に発現するCD4受容体および少なくとも1種の共受容体を介して宿主細胞内への侵入を果たす。HIVのM指向性(M-tropic)株はケモカイン受容体CCR5を利用し、一方HIVのT指向性(T-tropic)株は共受容体として主にCXCR4を利用する。HIVの共受容体の利用は、ウイルスのエンベロープタンパク質gp120上に位置するV3ループの超可変領域に大きく依存する。gp120のCD4および適切な共受容体との結合によって、gp41と呼ばれる第二のウイルスエンベロープタンパク質のコンフォメーション変化と脱マスキングが生じる。次いで、gp41タンパク質が宿主細胞膜と相互作用して、ウイルスエンベロープと細胞との融合が生じる。続いてウイルスの遺伝情報が宿主細胞中にトランスファーされ、ウイルスの複製の継続が可能となる。このように、宿主細胞のHIVによる感染は、通常、CCR5もしくはCXCR4、CD4、およびgp120の3成分の複合体の形成を介した細胞中へのウイルスの侵入と関連している。
【0003】
gp120と、CCR5/CD4もしくはCXCR4/CD4との相互作用を阻害する薬剤は、それぞれM指向性もしくはT指向性株による感染によって特徴づけられる疾患、障害または症状の治療(単独もしくは併用療法)において有用な治療薬となるであろう。
【0004】
選択的CXCR4アンタゴニストの投与によって有効な治療が可能であり得る証拠は、CXCR4に選択的なリガンド、並びにCXCR4中和抗体を細胞に添加するとHIVウイルス/宿主細胞の融合を阻止できることが証明されたin vitro研究からもたらされている。更に、選択的CXCR4アンタゴニストであるAMD-3100を用いたヒト研究は、このような化合物が、二重指向性(dual tropic)である患者、またはウイルスのT指向性形態のみが存在する患者において、T指向性 HIVウイルスの量を有意に減少させることを証明している。
【0005】
HIV侵入のための共因子として働くのに加え、HIVウイルスタンパク質gp120とCXCR4との直接的相互作用が、CD8+ T細胞のアポトーシス、およびニューロン細胞アポトーシスの誘導を介したAIDS関連認知症の原因であり得ることが近年示唆されている。
【0006】
CXCR4への結合についてSDF-1から提供されるシグナルはまた、腫瘍細胞の増殖、および腫瘍増殖と関連する血管新生の制御において重要な役割を果たしている可能性がある;既知の血管由来成長因子VEG-FおよびbFGFは内皮細胞におけるCXCR4のレベルをアップレギュレートし、SDF-1はin vivoで新血管形成を誘導し得る。更に、CXCR4を発現する白血病細胞は、SDF-1を発現するリンパ節および骨髄間質細胞の方に移動して、それらに付着する。
【0007】
CXCR4へのSDF-1の結合はまた、アテローム性動脈硬化症、同種腎移植拒絶反応、喘息およびアレルギー性気道炎症、アルツハイマー病、および関節炎の病因にも関係している。
【0008】
本発明は、ケモカイン受容体活性をモジュレートする薬剤として作用し得る化合物に関する。こうしたケモカイン受容体としては、限定するものではないが、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、およびCXCR5を挙げることができる。
【0009】
本発明は、ケモカイン受容体に特異的に結合するような方法で標的細胞に対してHIV感染からの防御効果を示し、また、標的細胞のCXCR4のような受容体への天然のリガンドまたはケモカインの結合に影響を及ぼす新規化合物を提供する。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、以下の式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を包含する:
【化1】

【0011】
[式中、
tは1、もしくは2であり;
Rはそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R1はそれぞれ独立してハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
nは0、1、もしくは2であり;
R2はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、-RaAy、-RaOR5、-RaS(O)qR5からなる群から選択され;
R3はH、C1-C8 アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R4はそれぞれ独立してハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、 -OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
mは0、1、もしくは2であり;
R5はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
pは0もしくは1であり;
Yは-NR10-、-O-、-S-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、-S(O)qNR10-、もしくは-NR10S(O)q-であり;
Xは-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、もしくは-HetRaHetであり;
Raはそれぞれ独立してC1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10は、pが0かつXが-N(R10)2の場合はR10はHでないという条件で、それぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R6およびR7はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9はそれぞれ独立してHもしくはC1-C8アルキルから選択され;
qはそれぞれ独立して0、1、もしくは2であり;
Ayはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;そして
Hetはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す]。
【0012】
本発明は、tが1であり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0013】
本発明は、RがHもしくはC1-C8アルキルであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0014】
本発明は、RがHであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0015】
本発明は、nが0であり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0016】
本発明は、nが1であり、R1がハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0017】
本発明は、R2がH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、もしくはC3-C7シクロアルキルであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0018】
本発明は、R2がC1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、もしくはC3-C7シクロアルキルであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0019】
本発明は、R3がH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0020】
本発明は、R3がH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、もしくはC3-C7シクロアルキルであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。本発明はまた、R3がHもしくはC1-C8アルキルであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0021】
本発明は、mが0であり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0022】
本発明は、mが1もしくは2であり、R4が1以上のハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0023】
本発明は、mが1であり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0024】
本発明は、pが0であり、Xが-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0025】
本発明は、Xが-RaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2である式(I)の化合物を特徴とする。本発明はまた、pが0であり、Xが-Hetもしくは-HetN(R10)2から選択され、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0026】
本発明は、pが1であり;Yが-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり; Xが-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0027】
本発明は、Hetが4-、5-、もしくは6-員のヘテロシクリルまたはヘテロアリール基である式(I)の化合物を特徴とする。本発明は、Hetがピペリジン、ピペラジン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾール、ピリジン等であり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0028】
本発明は、HetがC1-C8アルキル置換ピペラジンであり、他の全ての置換基が上記で定義された通りである式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0029】
本発明は、置換基-Yp-X が式(I-A)に示されたベンズイミダゾール環上に位置する化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする:
【化2】

【0030】
[式中、
tは1もしくは2であり;
Rはそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R1はそれぞれ独立してハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、 -OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
nは0、1、もしくは2であり;
R2はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、-RaAy、-RaOR5、-RaS(O)qR5からなる群から選択され;
R3はH、アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R4はそれぞれ独立してハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
mは0、1、もしくは2であり;
R5はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
pは0もしくは1であり;
Yは-NR10-、-O-、-S-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、-S(O)qNR10-、もしくは-NR10S(O)q-であり;
Xは-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、もしくは-HetRaHetであり;
Raはそれぞれ独立してC1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10は、pが0かつXが-N(R10)2の場合はR10はHでないという条件で、それぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R6およびR7はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9はそれぞれ独立してHもしくはC1-C8アルキルから選択され;
qはそれぞれ独立して0、1、もしくは2であり;
Ayはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;そして
Hetはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す]。
【0031】
本発明の別の態様は、式(I-B)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を包含する:
【化3】

【0032】
[式中、R1はハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
nは0、1、もしくは2であり;
R2はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
Raはそれぞれ独立してC1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
mは0、1、もしくは2であり;
R4は1以上のハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
R10はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり; R5はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9はそれぞれ独立してHもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Raはそれぞれ独立してC1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
Ayはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;
Hetはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示し;そして
WはHもしくはC1-C8アルキルである]。
【0033】
本発明の別の態様は、式 (I-C)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を包含する:
【化4】

【0034】
[式中、RはそれぞれHもしくはC1-C8アルキルであり;
R2はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
mは0、1、もしくは2であり;
R4は1以上のハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
pは0もしくは1であり;
Xは-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり;
Yは-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり;
qはそれぞれ独立して0、1、もしくは2であり;
R10はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R5はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9はそれぞれ独立してHもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Raはそれぞれ独立してC1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
Ayはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;そして
Hetはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す]。
【0035】
本発明の別の態様は、式(I-D)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を包含する:
【化5】

【0036】
[式中、RはそれぞれHもしくはC1-C8アルキルであり;
R1はハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
nは0、1もしくは2であり;
R2はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
pは0もしくは1であり;
Xは-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり;
Yは-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり;
qはそれぞれ独立して0、1、もしくは2であり;
Raはそれぞれ独立してC1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり; R5はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9はそれぞれ独立してHもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Ayはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;そして
Hetはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す]。
【0037】
本発明の別の態様は、式(I-E)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体を包含する:
【化6】

【0038】
[式中、RはそれぞれHもしくはC1-C8アルキルであり;
R2はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3はH、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
pは0もしくは1であり;
Xは-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり;
Yは-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり;
qはそれぞれ独立して0、1、もしくは2であり;
Raはそれぞれ独立してC1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり; R5はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9はそれぞれ独立してHもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Ayはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し; そして
Hetはそれぞれ独立して1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す]。
【0039】
本発明は、
N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン;
N-メチル-N-{[4-(1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-メチル-N-{[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;および
N-メチル-N-{[1-メチル-7-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
からなる群から選択される化合物、または製薬上許容されるその誘導体を特徴とする。
【0040】
本発明の一態様は、実施例のいずれか1つを参照して上記で実質的に定義した化合物を包含する。
【0041】
本発明の一態様は、1種以上の本発明の化合物、および製薬上許容される担体を含有する医薬組成物を包含する。
【0042】
本発明の一態様は、活性治療物質として使用するための、1種以上の本発明の化合物を包含する。
【0043】
本発明の一態様は、ケモカイン受容体(例えばCXCR4)によってモジュレートされる疾患および症状の治療または予防において使用するための、1種以上の本発明の化合物を包含する。
【0044】
本発明の一態様は、以下の症状もしくは疾患の治療または予防において使用するための1種以上の本発明の化合物を包含する:HIV感染、造血関連疾患、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功率の上昇、創傷治癒および火傷治療の促進、白血病における細菌感染の阻止、炎症、炎症性もしくはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎; 脊椎関節症、強皮症; 乾癬、T細胞介在型乾癬、炎症性皮膚病、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、血管炎、壊死性の、皮膚の、過敏性の血管炎、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、および脳、乳房、前立腺、肺、もしくは造血組織の癌。一実施形態において、症状または疾患はHIV感染、慢性関節リウマチ、炎症、または癌である。
【0045】
本発明の一態様は、ケモカイン受容体によってモジュレートされる症状もしくは疾患の治療または予防において使用するための医薬の製造における、1種以上の本発明の化合物の使用を包含する。好ましくは、ケモカイン受容体はCXCR4である。
【0046】
本発明の一態様は、以下の症状もしくは疾患の治療または予防において使用するための医薬の製造における、1種以上の本発明の化合物の使用を包含する:HIV感染、造血関連疾患、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功率の上昇、創傷治癒および火傷治療の促進、白血病における細菌感染の阻止、炎症、炎症性もしくはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎; 脊椎関節症、強皮症; 乾癬、T細胞介在型乾癬、炎症性皮膚病、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、血管炎、壊死性の、皮膚の、過敏性の血管炎、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、および脳、乳房、前立腺、肺、もしくは造血組織の癌。好ましくは、使用は、症状もしくは疾患がHIV感染、慢性関節リウマチ、炎症、または癌である医薬に関する。
【0047】
本発明の一態様は、1種以上の本発明の化合物の投与を含む、ケモカイン受容体によってモジュレートされる症状もしくは疾患の治療または予防のための方法を包含する。好ましくは、ケモカイン受容体はCXCR4である。
【0048】
本発明の一態様は、1種以上の本発明の化合物の投与を含む、以下の症状もしくは疾患の治療または予防のための方法を包含する: HIV感染、造血関連疾患、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功率の上昇、創傷治癒および火傷治療の促進、白血病における細菌感染治療、炎症、炎症性もしくはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎; 脊椎関節症、強皮症; 乾癬、T細胞介在型乾癬、炎症性皮膚病、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、血管炎、壊死性の、皮膚の、過敏性の血管炎、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、および脳、乳房、前立腺、肺、もしくは造血組織の癌。
【0049】
本発明の一態様は、1種以上の本発明の化合物の投与を含む、HIV感染、慢性関節リウマチ、炎症、もしくは癌の治療または予防のための方法を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
用語は、その許容される意味の範囲内で使用する。以下の定義は、定義される用語を明確にするためのものであるが、限定するものではない。
【0051】
単独、または他の用語と組み合わせて本明細書で用いる用語「アルキル」とは、特定の数の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖の炭化水素を言う。他に特定しない限り、アルキル基は、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する。本明細書で用いる「アルキル」の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等が挙げられる。
【0052】
本明細書を通して用いる場合、炭素原子等の原子の好ましい数は、例えば用語「Cx-Cyアルキル」で表し、これは、特定の数の炭素原子を含む、本明細書で定義するアルキル基を言う。同様の表現を、他の好ましい用語および範囲に対して同様に用いる。
【0053】
単独、または他の用語と組み合わせて本明細書で用いる用語「アルケニル」とは、1以上の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素を言う。例としては、限定するものではないが、ビニル、アリル等が挙げられる。
【0054】
本明細書で用いる用語「アルキニル」とは、鎖上の任意の安定な箇所で生じ得る1以上の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素を言う。例としては、限定するものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル等が挙げられる。
【0055】
本明細書で用いる用語「アルキレン」とは、他に特定しない限り、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の二価の炭化水素ラジカルを言う。本明細書で用いる「アルキレン」の例として、限定するものではないが、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン等が挙げられる。
【0056】
本明細書で用いる用語「アルケニレン」とは、他に特定しない限り、好ましくは2〜10個の炭素原子を有し、1以上の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分岐鎖の二価の炭化水素ラジカルを言う。例として、限定するものではないが、ビニレン、アリレンまたは2-プロペニレン等が挙げられる。
【0057】
本明細書で用いる用語「アルキニレン」とは、他に特定しない限り、好ましくは2〜10個の炭素原子を有し、1以上の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖または分岐鎖の二価の炭化水素ラジカルを言う。例として、限定するものではないが、エチニレン等が挙げられる。
【0058】
本明細書で用いる用語「シクロアルキル」とは、場合によって置換されていてもよい非芳香族の環状炭化水素の環を言う。他に示さない限り、シクロアルキルは3〜7個の炭素原子から構成される。「シクロアルキル」基の例として、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。本明細書で用いる用語「シクロアルキル」は、置換されていてもよい縮合した多環式炭化水素の飽和環および芳香環系、すなわち最大数より少ない非累積的二重結合を有する多環式炭化水素、例えば飽和炭化水素環(シクロペンチル環等)が芳香環(本明細書ではべンゼン環のような「アリール」)と縮合して、例えばインダンのような基を形成する場合を含む。好ましい置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが挙げられる。
【0059】
本明細書で用いる用語「シクロアルケニル」とは、1以上の炭素−炭素二重結合を含む、置換されていてもよい非芳香族環状炭化水素の環を言い、場合によりシクロアルケニルが結合できるアルキレンリンカーを含む。「シクロアルケニル」基の例として、限定するものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニルが挙げられる。好ましい置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが挙げられる。
【0060】
本明細書で用いる用語「シクロアルキレン」とは、置換されていてもよい二価の非芳香族環状炭化水素の環を言う。「シクロアルキレン」基の例として、限定するものではないが、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、およびシクロヘプチレンが挙げられる。好ましい置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが挙げられる。
【0061】
本明細書で用いる用語「シクロアルケニレン」とは、1以上の炭素−炭素二重結合を含む、置換されていてもよい二価の非芳香族環状炭化水素の環を言う。「シクロアルケニレン」基の例としては、限定するものではないが、シクロプロペニレン、シクロブテニレン、シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン、およびシクロヘプテニレンが挙げられる。好ましい置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが挙げられる。
【0062】
本明細書で用いる用語「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」または「ヘテロシクリル」とは、1以上の不飽和度を有し、かつ1以上のヘテロ原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の環系を言う。好ましいヘテロ原子としてN、O、および/またはSが挙げられ、N-オキシド、硫黄オキシド、およびジオキシドも含む。一実施形態において、ヘテロ原子はNである。
【0063】
好ましくは、ヘテロシクリル環は3〜12員の環であり、完全に飽和であっても、1以上の不飽和度を有していてもよい。このような環は、場合によって1以上の別の「ヘテロ環式」環またはシクロアルキル環と縮合していてもよい。「ヘテロ環式」基の例としては、限定するものではないが、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、およびテトラヒドロチオフェンが挙げられる。ヘテロ環式環が置換基を有する場合、置換基は、安定な化学構造が得られるという条件で、環上の任意の原子(ヘテロ原子または炭素原子)に結合できることが理解されよう。好ましい置換基としては、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノが挙げられる。
【0064】
本明細書で用いる用語「アリール」とは、特定の数の炭素原子、好ましくは6〜14個の炭素原子、または6〜10個の炭素原子を含む、置換されていてもよい炭素環式芳香族基(フェニルもしくはナフチル等)を言う。用語「アリール」はまた、置換されていてもよい環系、例えばアントラセン、フェナントレン、またはナフタレンの環系を言う。「アリール」基の例としては、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、フェナントリジニル等が挙げられる。他に示さない限り、用語「アリール」は、例えば1-ナフチル、2-ナフチル、5-テトラヒドロナフチル、6-テトラヒドロナフチル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニルおよび10-フェナントリジニル等の、芳香族炭化水素ラジカルの可能な各位置異性体をも含む。好ましい置換基としては、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノが挙げられる。
【0065】
本明細書で用いる用語「ヘテロアリール」とは、置換されていてもよい単環の5〜7員の芳香族環、あるいはこのような芳香族環を2個含む、置換されていてもよい融合した二環式芳香族の環系を言う。これらのヘテロアリール環は、1以上の窒素、硫黄および/または酸素原子を有し、N-オキシド、硫黄オキシド、およびジオキシドは許容されるヘテロ原子置換体である。一実施形態において、ヘテロ原子はNである。
【0066】
本明細書で用いる「ヘテロアリール」基の例としては、限定されるべきではないが、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンズイミジゾリル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、およびピラゾロピリミジニルが挙げられる。好ましい置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが挙げられる。
【0067】
本明細書で用いる用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を言う。
【0068】
本明細書で用いる用語「ハロアルキル」とは、少なくとも1個のハロゲンで置換されたアルキル基(本明細書で定義した通り)を言う。本発明において有用な分岐鎖または直鎖の「ハロアルキル」基の例としては、限定するものではないが、それぞれ1個以上のハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードで置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルが挙げられる。用語「ハロアルキル」はパーフルオロアルキル基のような置換基を含むものと解釈すべきである。
【0069】
本明細書で用いる用語「アルコキシ」は、R'が定義した通りのアルキルである基-OR’を言う。適切なアルコキシ基の例としては、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる
本明細書で用いる用語「シクロアルコキシ」は、R'が定義した通りのシクロアルキルである基-OR'を言う。
【0070】
本明細書で用いる用語「アルコキシカルボニル」は以下のような基を言う:
【化7】

【0071】
[式中、R'は本明細書で定義するアルキル基を示す]。
【0072】
本明細書で用いる用語「アリールオキシカルボニル」は以下のような基を言う:
【化8】

【0073】
[式中、Ayは本明細書で定義するアリール基を示す]。
【0074】
本明細書で用いる用語「ニトロ」は基-NO2を言う。
【0075】
本明細書で用いる用語「シアノ」は基-CNを言う。
【0076】
本明細書で用いる用語「アジド」は基-N3を言う。
【0077】
本明細書で用いる用語「アミノ」は基-NR'R''を言い、ここでR'およびR''は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールを示す。同様に、用語「アルキルアミノ」は、アミノ基が結合しているアルキレンリンカーを含む。
【0078】
本明細書で用いる用語「アミド」は基-C(O)NR'R''を言い、ここでR'およびR''は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールを示す。
【0079】
本明細書を通して用いる用語「置換されていてもよい」またはその変化した表現は、1以上の置換基による任意の置換(複数の置換を含む)を意味する。この用語は、本明細書に具体的に記載した、あるいは示した置換パターンそのものであると解釈すべきではない。むしろ、当業者であれば、この用語が添付の特許請求の範囲内に包含される改変を提供するように含まれることを認識するであろう。
【0080】
本発明の化合物は、多型として知られる特徴である、2以上の形態で結晶化するものでもよく、このような多型形態(「多型」)は本発明の範囲内のものである。多型は一般に、温度、圧力、またはその双方の変化に対する応答として生じ得る。多型はまた、結晶化方法の違いから生じることもある。
【0081】
本発明の化合物は、溶媒和されていない形態、並びに溶媒和された形態(水和した形態を含む)で存在し得る。溶媒和された形態および溶媒和されていない形態は本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、こうした形態および/または溶媒和物の混合物として、あるいは無定形の物質と1以上の形態および/または溶媒和物の混合物として存在し得る。一般に、全ての物理的形態が本発明の範囲内にあることが意図される。形態は、X-線回折パターン、溶解度、および融点等の当分野において公知の種々の物理的特性によって識別することができる。
【0082】
本明細書に記載する化合物のいくつかは、1以上のキラル中心を有するか、あるいは複数種の立体異性体として存在し得る。本発明の範囲には、立体異性体の混合物、並びに精製したエナンチオマー、またはエナンチオマーおよび/もしくはジアステレオマーが富化された混合物が包含される。また、本発明の化合物の個々の異性体、並びに完全にもしくは部分的に平衡化した任意のその混合物も本発明の範囲内に包含される。本発明はまた、上記の式で示される化合物の個々の異性体を、1以上のキラル中心が反転したその異性体との混合物としても包含する。
【0083】
絶対的なものではないが、典型的には、本発明の塩は製薬上許容される塩である。用語「製薬上許容される塩」に包含される塩とは、本発明の化合物の非毒性の塩を言う。本発明の化合物の塩は、酸付加塩を含んでいてもよい。代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩(camsylate)、炭酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エジシラート(edisylate)、エストラート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプタート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素、塩化水素、ヒドロキシナフトアート(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート(mesylate)、硫酸メチル、マレイン酸1カリウム塩、粘液酸塩、ナプシラート(napsylate)、硝酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート(embonate))、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/2リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩が挙げられる。製薬上許容されない他の塩は、本発明の化合物の調製の際に有用である場合があり、これらは本発明の更なる態様を形成すると考えるべきである。
【0084】
本明細書で用いる用語「溶媒和物」とは、溶質(本発明において、本発明の化合物、またはその塩もしくは他の製薬上許容される誘導体)および溶媒で形成される種々の化学量論(stoichiometry)の複合体を言う。本発明の目的において、このような溶媒は溶質の生物学的活性を妨害するものであってはならない。適切な溶媒の非限定的な例として、水、メタノール、エタノール、および酢酸が挙げられる。好ましくは、用いられる溶媒は製薬上許容される溶媒である。製薬上許容される適切な溶媒の非限定的な例として、水、エタノール、および酢酸が挙げられる。一実施形態において、用いる溶媒は水である。
【0085】
「製薬上許容される誘導体」とは、受容者に投与した後に本発明の化合物またはその阻害活性代謝物もしくは残留物を直接または間接的に提供し得る、本発明の化合物の製薬上許容される任意の塩、エステル、エステルの塩、エーテル、または他の誘導体を意味する。特に好ましい誘導体およびプロドラッグは、このような化合物が哺乳動物に投与された場合に、例えば経口投与された化合物が血液中により容易に吸収されるようにすることで、本発明の化合物のバイオアベイラビリティーを高めるもの、あるいは親化合物と比較して親化合物の生物学的コンパートメント、例えば脳またはリンパ系への送達を高めるものである。
【0086】
本明細書で用いる用語「有効量」とは、例えば研究者または臨床医が求めている、組織、系、動物、もしくはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す薬物または薬剤の量を意味する。用語「治療的有効量」とは、そのような量を投与されていない対応する被験者と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の快方に向かう治療、治癒、予防、または回復、あるいは疾患もしくは障害の進行速度の低下に至る任意の量を意味する。この用語には、正常な生理学的機能を促進するために有効な量もその範囲内に包含される。
【0087】
本明細書で用いる用語「モジュレーター」は、アンタゴニスト、アゴニスト、逆のアゴニスト、部分的アゴニストもしくは部分的アンタゴニスト、インヒビターおよびアクチベーターを包含することが意図される。
【0088】
本発明の一態様において、本化合物は標的細胞のCXCR4等のケモカイン受容体へのHIVの結合を阻害することによってHIV感染に対する防御効果を示す。本発明は、標的細胞を、ケモカイン受容体へのウイルスの結合を阻害するのに有効な量の化合物と接触させることを含む方法を包含する。
【0089】
ケモカイン受容体がHIV感染において果たす役割の他に、この受容体のクラスはまた、広範囲の疾患に関係している。従って、CXCR4モジュレーターは、限定するものではないが、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功率の上昇、創傷治癒および火傷治療の促進、並びに白血病における細菌感染の阻止を含む造血関連疾患の治療においても治療的な役割を有し得る。更に、本化合物はまた、以下に関連する症状または疾患においても治療的役割を有し得る:限定するものではないが、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD) (例えば特発性肺線維症、もしくは慢性関節リウマチに関連するILD、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎)等を含む炎症性もしくはアレルギー性疾患を含む、炎症関連疾患; 全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー; 慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年型糖尿病等の自己免疫疾患; 糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、同種移植拒絶反応もしくは移植片対宿主病を含む移植拒絶反応; クローン病および潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患; 脊椎関節症; 強皮症; 乾癬(T細胞介在型乾癬を含む)および皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、血管炎(例えば壊死性の、皮膚の、および過敏性の血管炎)等の炎症性皮膚病; 好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎;および癌。
【0090】
本発明に係る化合物はまた、HIV感染もしくはHIV関連症状もしくは影響、例えばカポジ肉腫の治療におけるアジュバント治療で使用することもできる。
【0091】
本発明は更に、患者、例えば臨床状態が上述したものを含むヒト等の哺乳動物における臨床状態の治療のための方法であって、薬学的有効量の本発明に係る化合物で該患者を治療することを含む方法を提供する。本発明はまた、上記の任意の疾患もしくは症状の治療または予防のための方法をも包含する。
【0092】
本明細書において「治療」に言及する場合、それは確立された症状、障害および感染、それに伴う徴候の治療だけでなく、予防にまで及ぶ。本発明に係る上記化合物およびその製薬上許容される誘導体を、上記の感染または症状の治療のための他の治療薬と併用して用いることができる。本発明に係る併用療法には、本発明の化合物またはその製薬上許容される誘導体、および別の薬学的活性剤の投与が含まれる。活性成分および薬学的活性剤は、同じ医薬組成物もしくは別の医薬組成物として同時に(すなわち並行して)投与してもよく、また任意の順序で連続的に投与してもよい。活性成分および薬学的活性剤の量、および投与の相対的なタイミングは、所望の併用療法効果を達成するために選択されるであろう。
【0093】
治療に用いる場合、本発明の化合物、並びにその塩、溶媒和物、または他の製薬上許容される誘導体の治療的有効量は、未加工の化学物質として投与してもよい。更に、活性成分を医薬組成物として提供してもよい。
【0094】
従って、本発明は更に、有効量の本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは他の製薬上許容される誘導体、および1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。本発明の化合物、およびその塩、溶媒和物、および製薬上許容される誘導体は、本明細書に記載したものである。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤中の他の成分と適合するものであり、医薬組成物の受容者にとって有害でないという意味で、許容されるものでなければならない。
【0095】
本発明の別の態様に従えば、本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは他の製薬上許容される誘導体を、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む、医薬製剤の調製方法も提供される。
【0096】
本発明の化合物の治療的有効量は、多くの要因に左右されるであろう。例えば、受容者の生物種、年齢、および体重、治療を必要とする正確な症状およびその重篤度、製剤の性質、および投与経路の全てが考慮すべき要因である。治療的有効量は、最終的には主治医または獣医の裁量に任されるべきである。しかしながら、罹患しているヒトの治療のための本発明の化合物の有効量は、一般的には1日あたり0.001〜100mg/kg(受容者(哺乳動物)の体重)の範囲内であるべきである。より普通には、有効量は、1日あたり0.001〜1mg/kg体重の範囲内となるべきである。従って、70kgの哺乳動物の成体の場合、1日あたりの実際の量の一例は、通常7〜700mgであろう。この量を1日1回の投与で与えてもよいし、また、1日の合計量が同じになるようにして1日に複数回(例えば2回、3回、4回、5回、またはそれ以上)の分割投与をしてもよい。塩、溶媒和物、または製薬上許容される誘導体の場合の有効量は、本発明の化合物自体の有効量に対する比率として決定することができる。本明細書において言及した他の症状の治療にも同様の投与量が適切であろう。
【0097】
医薬製剤は、単位投与量あたりに予め決められた量の活性成分を含有する単位投与形態で提供することができる。このような単位には、非制限的な例として、治療される症状、投与経路、および患者の年齢、体重、および状態に依存して、0.5mg〜1gの本発明の化合物が含まれ得る。好ましい単位投与製剤は、本明細書において先に列挙した1日量もしくはその部分用量、あるいはその適切な分割量の活性成分を含有するものである。このような医薬製剤は、薬学分野において周知の任意の方法によって調製することができる。
【0098】
医薬製剤は、任意の適切な経路、例えば経口(バッカルもしくは舌下を含む)、直腸、鼻内、局所(バッカル、舌下、もしくは経皮を含む)、膣内、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)経路で投与するために適合させることができる。このような製剤は、薬学分野において公知の任意の方法によって(例えば活性成分を担体もしくは賦形剤と会合させることによって)調製することができる。本発明を限定することを意味するものではないが、例として挙げると、本発明の化合物が有用であると確信される特定の症状および障害に関し、特定の経路が他の経路よりも好ましいであろう。
【0099】
経口投与に適合した医薬製剤は、カプセルもしくは錠剤等の個別の単位;粉末もしくは顆粒;それぞれが水性もしくは非水性の液体の溶液または懸濁液;可食性のフォームもしくはホイップ;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして提供することができる。例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で経口投与するためには、活性薬剤成分を、エタノール、グリセロール、水等の経口で非毒性の製薬上許容される不活性な担体と組み合わせることができる。一般に、粉末は化合物を適切な微細なサイズに粉砕し、可食性炭水化物(例えばデンプンもしくはマンニトール)等の適切な薬学的担体と混合することによって調製する。香料、保存剤、分散剤、および着色剤が存在していてもよい。
【0100】
カプセルは、粉末、液体、または懸濁液混合物を調製し、ゼラチンまたは他の適切な外殻材料でカプセル化することで製造する。カプセル化の前に、コロイダルシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、もしくは固形のポリエチレングリコール等の滑剤および滑沢剤を混合物に添加することができる。寒天、炭酸カルシウムもしくは炭酸ナトリウム等の崩壊剤または可溶化剤を添加して、カプセルを服用した際の医薬のアベイラビリティーを改善することもできる。更に、望まれる場合もしくは必要な場合には、混合物中に適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤も組み込むことができる。適切な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖(例えばグルコースもしくはβ−ラクトース)、トウモロコシ甘味料、天然および合成のガム(例えばアカシア、トラガカント、もしくはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が挙げられる。これらの投与形態に有用な滑沢剤としては、例えばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられる。
【0101】
錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒もしくはスラッグにし、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤に圧縮して製剤化する。粉末混合物は、適切に粉砕した化合物を、上記の希釈剤または基剤と共に混合することによって調製することができる。任意成分としては、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドン等の結合剤、パラフィン等の溶解遅延剤、第四級塩等の吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリン、もしくはリン酸二カルシウム等の吸着剤が挙げられる。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカディア粘液またはセルロース性もしくはポリマー性物質の溶液等の結合剤と共に湿式顆粒化し、スクリーンを通過させて得ることができる。顆粒化の別法として、粉末混合物を錠剤成型機に通し、その結果得られた不完全に形成したスラッグを顆粒に破砕することができる。錠剤形成用の金型への固着を防ぐために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加によって顆粒を潤滑化することができる。次いで潤滑化した混合物を錠剤に圧縮する。本発明の化合物はまた、自由流動性の不活性担体と組み合わせ、顆粒化もしくはスラッグ化段階を通さずに直接錠剤に圧縮することもできる。シェラックの密閉用被膜、糖もしくはポリマー性物質の被膜、およびワックスの光沢用被膜(polish coating)からなる透明または不透明の保護被膜を提供することができる。異なる単位投与量を識別するために、これらの被膜に色素を添加してもよい。
【0102】
溶液、シロップ、およびエリキシル等の経口用流体は、所定の量が予め決められた量の化合物を含有するような単位投与形態で調製することができる。シロップは、例えば化合物を適切に風味付けした水溶液に溶解することによって調製でき、一方、エリキシルは非毒性のアルコール性媒体を使用して調製する。懸濁液は、一般に非毒性の媒体中に化合物を分散させて製剤化することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル等の可溶化剤および乳化剤、保存剤、ペパーミント油または天然甘味料、サッカリン、もしくは他の人口甘味料等の風味添加剤等も添加することができる。
【0103】
適切な場合には、経口投与のための単位投与製剤をマイクロカプセルに封入することができる。製剤はまた、例えば粒子状物質をポリマー、ワックス等に包埋またはこれらで被覆して、放出を延長または持続させるように調製することもできる。
【0104】
本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは他の製薬上許容される誘導体はまた、小さな1枚膜リポソーム(small unilamellar vesicles)、大きな1枚膜リポソーム(large unilamellar vesicles)、および多重膜リポソーム(multilamellar vesicles)等のリポソーム送達システムの形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリン等の種々のリン脂質から形成することができる。
【0105】
本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは他の製薬上許容される誘導体はまた、化合物分子がカップリングする個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。
【0106】
本化合物はまた、標的化可能な(targetable)薬物担体としての可溶性ポリマーと結合させることもできる。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。更に、本化合物は、薬剤の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマー(例えばポリ乳酸、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロックコポリマー)と結合させることができる。
【0107】
経皮投与に適合した医薬製剤は、受容者の表皮と長時間密に接触して保持することを意図した個別のパッチとして提供することができる。例えば、活性成分はパッチからPharmaceutical Research、3(6)、318 (1986)(このような送達システムに関して参照により本明細書に組み入れる)に概説されたイオントフォレーシスによって送達され得る。
【0108】
局所投与に適合した医薬製剤は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール、または油として製剤化することができる。
【0109】
目、または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のためには、製剤は局所的軟膏またはクリームとして適用することができる。軟膏に製剤化する場合、活性成分はパラフィン系または水混和性軟膏基材と共に使用することができる。あるいはまた、活性成分は、水中油型のクリーム基材または油中水型の基材のクリーム中に製剤化してもよい。
【0110】
目への局所投与に適合した医薬製剤としては、活性成分が適切な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁した点眼剤が挙げられる。
【0111】
口内に局所投与するのに適合した医薬製剤としては、トローチ、香錠、および洗口剤が挙げられる。
【0112】
鼻内投与に適合した医薬製剤としては、担体が固体の場合、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末が挙げられる。粉末は、鼻から吸い込ませるようにして、すなわち、鼻の近くに保持した粉末容器から鼻腔を通して急速吸入させることによって、投与される。担体が液体の場合、鼻内スプレーまたは点鼻薬として投与するための適切な製剤としては、活性成分の水性または油性の溶液が挙げられる。
【0113】
吸入による投与に適合した医薬製剤としては、種々の型の加圧型エアゾール、ネブライザー、または吸入器によって計量した投与量が産生され得る微細粒子のダストまたはミストが挙げられる。
【0114】
直腸投与に適合した医薬製剤は、座剤または浣腸剤として提供し得る。
【0115】
膣内投与に適合した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供し得る。
【0116】
非経口投与に適合した医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図される受容者の血液と等張にする溶質、を含有し得る水性および非水性の無菌の注射溶液;および懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌の懸濁液が挙げられる。製剤は、例えば密封したアンプルおよびバイアル等の単位投与もしくは複数回投与用の容器で提供することができ、また、使用直前に無菌の液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存することができる。即席の注射溶液および懸濁液は、無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
【0117】
特に上記した成分に加え、製剤は、対象の製剤の型に関して当分野で伝統的に用いられている他の剤を含んでいてもよい。例えば、経口投与に適した製剤は、香料または着色料を含んでいてもよい。
【0118】
本発明の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは他の製薬上許容されるその誘導体は、単独で、あるいは他の治療薬と組み合わせて用いることができる。本発明の化合物、および他の薬学的活性剤は、共に投与しても、別個に投与してもよく、また別個に投与する場合、投与は同時であっても、任意の順序で連続してであってもよい。本発明の化合物、および他の薬学的活性剤の量、および投与の相対的なタイミングは、所望の組み合わせ治療効果を達成するために選択されよう。本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは他の製薬上許容される誘導体と他の治療薬とを組み合わせた投与は、(1)双方の化合物を含有する単一の医薬組成物で、または(2)それぞれ化合物の一方を含有する別個の医薬組成物で、同時に投与することによる組み合わせであってよい。あるいはまた、組み合わせは、一方の治療薬を最初に投与し、他方を二番目に投与する、またはその逆の、連続的な方法で別個に投与してもよい。このような連続的投与は、投与時間が近くても離れていてもよい。
【0119】
本発明の化合物は、それ自体で種々の障害および症状の治療に用いることができ、また本発明の化合物は、それらの障害もしくは症状の治療または予防において有用である他の種々の適切な治療剤と組み合わせて用いることができる。本化合物は、ケモカイン受容体活性をモジュレートし、それによって炎症性および/または免疫調節性疾患を予防および治療するために併用療法が有用であり得る場合、他の任意の医薬組成物と組み合わせて用いることができる。
【0120】
本発明は、HIVの予防または治療において有用な1種以上の薬剤と組み合わせて使用することができる。そのような薬剤の例として、以下のものが挙げられる:
ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、例えばジドブジン(zidovudine)、ジダノシン(didanosine)、ラミブジン(lamivudine)、ザルシタビン(zalcitabine)、アバカビル(abacavir)、スタビジン(stavidine)、アデフォビル(adefovir)、アデフォビル ジピボキシル(adefovir dipivoxil)、フォジブジン(fozivudine)、トドキシル(todoxil)、および類似の薬剤;
非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(イムノカル(immunocal)、オルチプラズ(oltipraz)等の抗酸化活性を有する薬剤を含む)、例えばネビラピン(nevirapine)、デラビルジン(delavirdine)、エファビレンツ(efavirenz)、ロビリド(loviride)、イムノカル、オルチプラズ、および類似の薬剤;
プロテアーゼ阻害剤、例えばサキナビル(saquinavir)、リトナビル(ritonavir)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、アムプレナビル(amprenavir)、パリナビル(palinavir)、ラシナビル(lasinavir)、および類似の薬剤;
侵入阻害剤、例えばT-20、T-1249、PRO-542、PRO-140、TNX-355、BMS-806、5-Helixおよび類似の薬剤;
インテグラーゼ阻害剤、例えばL-870、180および類似の薬剤;
出芽阻害剤、例えばPA-344およびPA-457、および類似の薬剤;そして
他のCXCR4および/もしくはCCR5阻害剤、例えばSch-C、Sch-D、TAK779、UK 427,857、TAK449、並びにWO 02/74769、PCT/US03/39644、PCT/US03/39975、PCT/US03/39619、PCT/US03/39618、PCT/US03/39740、およびPCT/US03/39732に開示されたもの、および類似の薬剤。
【0121】
本発明の化合物とHIV剤との組み合わせの範囲は上記のものに限定されず、原理的にはHIVの治療に有用な任意の医薬組成物との任意の組み合わせが含まれる。記載のように、このような組み合わせにおいて、本発明の化合物と他のHIV剤は別個に投与しても同時に投与してもよい。更に、一方の薬剤を他方の薬剤の投与に先立って、それと同時に、またはその後に投与してもよい。
【0122】
上で具体的に挙げた成分に加え、本発明の医薬組成物は、対象の医薬組成物のタイプに関連する分野において慣用の他の作用剤を含んでいてもよく、例えば経口投与に適したものが甘味料、増粘剤および香料等の更なる作用剤を含んでいてもよいことが理解されるべきである。
【0123】
本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬および通常の合成方法を用い、以下の反応スキームおよび実施例、またはその変法に従って調製することができる。これらの反応では、当業者に公知の変異体を利用することも可能である。
【0124】
以下に記載する全ての実施例において、合成化学の一般原理に従って必要な場合には、感受性もしくは反応性の基に対して保護基を用いる。保護基は有機合成の標準的な方法に従って操作する(T. W. GreenおよびP. G. M. Wuts (1991)「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」John Wiley & Sons、保護基に関して参照として組み入れる)。これらの基は、化合物合成の都合のよい段階で、当業者に自明な方法を用いて除去される。方法の選択、並びに反応条件およびその実行の順序は、本発明の化合物の調製に合致するべきである。
【0125】
当業者であれば、本発明の化合物に立体中心が存在するか否かを理解できるであろう。従って、本発明の範囲には、可能な全ての立体異性体が含まれ、ラセミ化合物だけでなく、個々のエナンチオマーも同様に含まれる。化合物が単一のエナンチオマーであることが望まれる場合には、当分野で公知の立体特異的合成、最終産物もしくは任意の都合のよい中間体の分離、またはキラルなクロマトグラフィー方法によってこれを得ることができる。最終産物、中間体、または出発物質の分離は、当分野において公知の適切な任意の方法によって行うことができる。例えば、「有機化合物の立体化学(Stereochemistry of Organic Compounds)」E. L. Eliel、S. H. Wilen、およびL. N. Mander (Wiley-Interscience、1994)(立体化学に関して参照として組み入れる)を参照のこと。
【0126】
実験セクション
略語:
本明細書で使用する場合、方法、スキームおよび実施例で使用する記号および取り決めは、現代の科学文献、例えば「ザ ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー(the Journal of the American Chemical Society)」または「ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(the Journal of Biological Chemistry)」で使用されているものと合致している。具体的には、以下の略語を実施例および明細書を通して使用しうる。
【0127】
g (グラム); mg (ミリグラム);
L (リットル); mL (ミリリットル);
μL (マイクロリットル); psi (ポンド/平方インチ);
M (モル濃度); mM (ミリモル濃度);
Hz (ヘルツ); MHz (メガヘルツ);
mol (モル); mmol (ミリモル);
RT (室温); h (時間);
min (分); TLC (薄層クロマトグラフィー);
mp (融点); RP (逆相);
Tr (保持時間); TFA (トリフルオロ酢酸);
TEA (トリエチルアミン); THF (テトラヒドロフラン);
TFAA (無水トリフルオロ酢酸); CD3OD (重水素化メタノール);
CDCl3 (重水素化クロロホルム); DMSO (ジメチルスルホキシド);
SiO2 (シリカ); atm (気圧);
EtOAc (酢酸エチル); CHCl3 (クロロホルム);
HCl (塩酸); Ac (アセチル);
DMF (N,N-ジメチルホルムアミド); Me (メチル);
Cs2CO3 (炭酸セシウム); EtOH (エタノール);
Et (エチル); tBu (tert-ブチル);
MeOH (メタノール); p-TsOH (p-トルエンスルホン酸);
EDC (1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸);
HOBT (1-ヒドロキシベンゾトリアゾール);
BOPCI (ビス(2-オキソ-3-オキサゾリルジニル)フォフィニッククロライド);
HBTU (O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート);
MP-TsOH (Argonaut Technologies社のp-TsOHのポリスチレン樹脂結合等価物)
【0128】
他に示さない限り、全ての温度は℃(摂氏)で表す。他に記載のない限り、全ての反応は室温で行う。
【0129】
1H-NMRスペクトルはVarian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400装置、またはGeneral Electric QE-300で記録した。化学シフトは百万分の一(ppm、δ単位)で示す。カップリング定数はヘルツ(Hz)の単位である。分裂パターンは見かけ上の多重度を表し、s (シングレット)、d (ダブレット)、t (トリプレット)、q (カルテット)、m (マルチプレット)、またはbr (ブロード)として示す。
【0130】
質量スペクトルは、Micromass社(Altricham、UK)のMicromass PlatformまたはZMD質量分析計で、大気化学イオン化(Atmospheric Chemical Ionization (APCI))または電気スプレーイオン化(Electrospray Ionization (ESI))を用いて得た。
【0131】
分析的薄層クロマトグラフィーは、単離できないか、または十分な性状解析のためには不安定すぎる中間体の純度を確認し、同時に反応の進行を追跡するために用いた。
【0132】
化合物の絶対配置はAb Initio Vibrational Circular Dichroism (VCD) Spectroscopyによって決定した。実験的VCDスペクトルは2000〜800 cm-1で作動するBomem Chiral RTM VCD 分光計を使用してCDCl3中で得た。コンピュータープログラムのGaussian 98 Suiteを用い、モデルVCDスペクトルを計算した。この実験的スペクトルを(R)-または(S)-立体配置を有するモデル構造について計算したVCDスペクトルと比較して、立体化学の割り当てを行った。こうした分光学に関しては、以下の文献を参照として組み入れる:J.R. Chesseman、M.J. Frisch、F.J. DevlinおよびP.J. Stephens、Chem. Phys. Lett. 252 (1996) 211; P.J. StephensおよびF.J. Devlin、Chirality 12 (2000) 172;およびGaussian 98、Revision A.11.4、M.J. Frisch等、Gaussian、Inc.、Pittsburgh PA、2002。
【0133】
全ての記号が本明細書で定義した通りであり、特にtが1であり、Rがそれぞれ水素である式(I)の化合物は、スキーム1に従って調製することができる。tが2である式(I)の化合物は、当業者に明らかな類似の方法で作成することができる。
【化9】

【0134】
より具体的には、式(I)の化合物は、還元的条件下で式(II)の化合物を式(IV)の化合物と反応させることによって、あるいは式(III)の化合物を式(V)の化合物と反応させることによって調製することができる。還元的アミノ化は、式(II)または(III)の化合物を、還元剤の存在下、不活性溶媒中でそれぞれ式(IV)または(V)の化合物で処理することによって実施できる。反応は50〜150℃まで加熱して行ってもよく、室温で実施してもよい。適切な溶媒として、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等が挙げられる。還元剤は、典型的にはボロハイドライドナトリウム、シアノボロハイドライドナトリウム、トリアセトキシボロハイドライドナトリウム等である。場合によって、反応を酢酸等の酸の存在下で行うことができる。
【0135】
式(II)の化合物は、文献中に記載されたようにして調製することができる(J. Org. Chem.、2003、68、3546、WO2002022600; US2004019058;こうした合成に関し、参照として本明細書に組み入れる)。式(II)の化合物はまた、3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イルアセテートから、アセチルで保護したアルコールの脱保護とその後の酸化によって調製することもできる(Heterocycles、1979、12、493;こうした合成に関し、参照として本明細書に組み入れる)。式(III)の化合物は、有機合成の分野における技術者には周知の方法を用い、式(II)の化合物の還元的アミノ化によって調製することができる。式(IV)および(V)の化合物は、文献に記載されたものと同様の方法によって調製することができる(Tet. Lett. 1998、39、7467-7470; WO 02/092575; WO03/053344; WO03/106430; Science of Synthesis 2002、12,529-612; こうした合成に関しては、それぞれ参照として本明細書に組み入れる)。
【化10】

【0136】
式(I)の化合物は、スキーム2に概略したように、式(III)の化合物と式(VI)の化合物との反応によって調製することができ、ここでLVは脱離基(例えばハロゲン、メシレート、トシレート)であり、他の全ての記号は本明細書に定義した通りである。この縮合は、典型的には、場合によって塩基の存在下、場合によって加熱しながら、適切な溶媒中で実施する。適切な溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。適切な塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。反応は、室温で、または場合によって30〜200℃に加熱して実施することができる。場合によって、ヨウ化カリウム、ヨウ化tert-ブチルアンモニウム等の触媒を反応混合液に添加することができる。
【0137】
式(I)の化合物は、スキーム3に概略するように調製することができ、ここでZは適切な保護基であり、他の全ての記号は式(I)の化合物に関連して定義した通りである。
【化11】

【0138】
式(I)の化合物は、酸性条件下、場合によって加熱しながら、式(XI)の化合物を処理することによって調製することができる。反応は、場合によって不活性溶媒(限定するものではないが、例えばテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等)の存在下で、式(XI)の化合物を適切な酸で処理することによって実施することができる。反応は、50〜200℃まで加熱して行ってもよく、また室温で実施してもよい。適切な酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げられる。この反応は、酸を溶媒として用いて実施してもよい。
【0139】
より具体的には、以下に説明するように、式(X)の化合物と式(IX)の化合物とのカップリングによって式(XI)の化合物を調製することができる。このカップリングは、有機合成分野の技術者には周知の種々のカップリング試薬(例えばEDC、HOBt/HBTu; BOPCl)を用いて実施できる。反応は加熱して、また室温で実施することができる。この反応に適した溶媒として、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。式(X)の化合物は、文献で公知の方法によって調製することができる。式(IX)の化合物は、式(II)の化合物、および保護されたグリシン誘導体(VIII)から、還元的アミノ化、次いで脱保護を行って調製できる。あるいはまた、式(IX)の化合物は、式(III)の化合物および式(VII)の化合物から、有機合成分野の技術者に周知の方法により調製することができる。
【化12】

【0140】
式I-Aの化合物[式中、RはそれぞれHであり;R3はHであり;pは0であり;Xは置換ピペラジンであり;そして他の全ての記号は本明細書で定義した通りである。]は、スキーム4に従って調製することができ、ここでWはアルキルもしくは適切な保護基である。式I-Bの化合物は同様の方法で作製することができる。
【化13】

【0141】
一般に、式I-Aの化合物[式中、Xは置換ピペラジンであり、R3はHであり、他の全ての記号は本明細書で定義した通りである。]の調製方法は以下の段階を含む:
a)式(XII)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させ、次いで還元して式(X-A)の化合物を形成し;そして
b)式(X-A)の化合物を式(IX)の化合物とカップリングし、カップリングした生成物を酸および熱で処理して式I-Aの化合物を形成する。
【化14】

【0142】
より具体的には、式(I-A)の化合物は、式(X-A)の化合物および式(IX)の化合物のカップリングの後、酸で処理することで調製することができる。典型的なカップリング試薬として、EDC、HOBt/HBTuおよびBOPClが挙げられる。式(I-A)の化合物は、場合によって加熱しながら、酸性条件下で中間体のアミドを処理して調製することができる。また、場合によって不活性な溶媒の存在下で、適切な酸で処理することによって反応を行うこともできる。適切な酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げられる。この反応に適した溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。反応は50〜200℃まで加熱して行ってもよく、また室温で実施してもよい。反応は、酸を溶媒として用いて実施できる。他の適切な溶媒としてはトルエン等が挙げられる。式(IX)の化合物は、先に報告されたようにして調製することができる。
【化15】

【0143】
式(X-A)の化合物は、式(XII)の化合物および式(XIII)の化合物から、場合により溶媒の存在下、また場合により加熱しながらもしくはマイクロ波中で縮合し、次に還元することによって調製することができる。式(XII)および式(XIII)の化合物は、市販のものを容易に入手でき、また有機化学分野の技術者に周知の条件で調製することができる。
【化16】

【0144】
一般に、式I-Bの化合物[式中、R3はアルキルであり、Wはアルキルもしくは適切な保護基であり、他の全ての記号は上記で定義した通りである。]の調製方法は、以下の段階を含む:
a)式(X-A)の化合物および保護されたグリシンから式(XIV)の化合物を調製し;
b)式(XIV)の化合物から式(XV)の化合物を調製し;
c)式(XV)の化合物から式(XVI)の化合物を調製し;そして
d)式(II)の化合物を式(XVI)の化合物と反応させて式(I-B)の化合物を形成させる。
【化17】

【0145】
より具体的には、式 (I-B)の化合物は、式(XVI)の化合物および式(II)の化合物から還元的アミノ化を介して調製することができる。還元的アミノ化は、還元剤の存在下、不活性溶媒中で式(II)の化合物を式(XVI)の化合物で処理することによって実施できる。反応は、50〜150℃に加熱して行ってもよく、また室温で実施してもよい。適切な溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等が挙げられる。還元剤は、典型的にはボロハイドライドナトリウム、シアノボロハイドライドナトリウム、トリアセトキシボロハイドライドナトリウム等である。場合によって、反応は酢酸等の酸の存在下で行うことができる。
【化18】

【0146】
より具体的には、式(XVI)の化合物は、式(XV)の化合物から脱保護によって調製することができる。Cbz保護基の脱保護のためには、接触還元が適切な脱保護方法である。適切な触媒としてはPd/C等が挙げられる。適切な溶媒としてはアルコール等が挙げられる。
【化19】

【0147】
より具体的には、式(XV)の化合物は、式(XIV)の化合物から調製することができる。式(XIV)の化合物を、場合により加熱し、また場合により塩基の存在下で、溶媒中の適切なアルキルハライドで処理することによって、式(XV)の化合物を得られた異性体の1種として得る。適切なアルキルハライドとして、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等が挙げられる。適切な溶媒として、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、ニトロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。適切な塩基として、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。反応は、場合によって20〜200℃に加熱することができ、またマイクロ波を使用して行うことができる。
【化20】

【0148】
より具体的には、式(XIV)の化合物は、式(X-A)の化合物から調製することができる。式(X-A)の化合物をCbz-グリシンおよび適切なカップリング剤(EDC、HOBt/HBTuおよびBOPCl) で処理し、得られたアミドを酸性条件下で場合により加熱して処理する。反応は、場合により不活性溶媒の存在下で、適切な酸で処理することによって実施することができる。反応は、50〜200℃に加熱して行ってもよく、また室温で行ってもよい。適切な酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げられる。反応は、酸を溶媒として用いて実施できる。他の適切な溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等が挙げられる。
【0149】
有機合成分野の技術者には明らかなように、式(XV)の化合物の調製の別法は、出発物質として式(XVII)の化合物を使用し、閉環により、下記に示すようにベンズイミダゾール異性体を得るものである。式(X-A)の化合物をCbz-グリシンおよび適切なカップリング剤(EDC、HOBt/HBTu およびBOPCl)で処理し、得られたアミドを酸性条件下で場合により加熱して処理する。反応は、場合によって不活性溶媒の存在下で、適切な酸で処理することによって実施することができる。反応は、50〜200℃に加熱して行ってもよく、また室温で行ってもよい。適切な酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げられる。反応は、酸を溶媒として用いて実施できる。他の適切な溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等が挙げられる。
【化21】

【実施例】
【0150】
実施例1: N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン
【化22】

【0151】
A) フェニルメチル N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)グリシネート:
2,3-ジヒドロ-4H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-オン (100 mg、0.671 mmol)の1,2-ジクロロエタン (3 mL)溶液に、グリシンベンジルエステル塩酸塩(139 mg、0.689 mmol)および酢酸(48μL、0.839 mmol)をそれぞれ添加した。トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(284 mg、1.34 mmol) を添加し、反応混合液を室温で一晩攪拌した。反応混合液をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮して、褐色を帯びた油としてフェニルメチルN-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)グリシネート(240 mg、120%、おそらく塩が混入している)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.13 (m, 1 H), 7.36-7.32 (m, 5 H), 7.17-7.05 (m, 2 H), 6.00 (br, 1 H), 4.37-3.88 (m, 5 H), 3.65 (m, 2 H), 2.30-2.11 (m, 2 H); MS m/z 299 (M+H)+
【0152】
B) フェニルメチル N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシネート:
フェニルメチルN-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)グリシネート (480 mg, 1.61 mmol)の1,2-ジクロロエタン(10 mL)溶液にホルムアルデヒド (196μL, 37% 水溶液、2.41 mmol)および酢酸(138μL、2.41 mmol)を添加した。反応混合液を15分間攪拌し、次いでトリアセトキシボロハイドライドナトリウム(512 mg、2.41 mmol)を添加して室温で2時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して反応を停止させ、次いでジクロロメタンで希釈した。相を分離させて水相からジクロロメタンで抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮して、透明な油としてフェニルメチル N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシネート(320 mg、64%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.14 (dd, J = 3.9, 2.0 Hz, 1 H), 7.37-7.32 (m, 5 H), 7.10-7.05 (m, 2 H), 5.12 (m, 2 H), 4.41 (ddd, J = 11.1, 8.4, 2.9 Hz, 1 H), 4.16 (ddd, J = 10.7, 7.2, 3.3 Hz, 1 H), 4.04 (t, J = 5.8 Hz, 1 H), 3.57 (s, 2 H), 2.52 (s, 3 H), 2.23 (m, 1 H), 2.08 (m, 1 H); MS m/z 313 (M+H)+
【0153】
C) N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシン:
フェニルメチル N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシネート(519 mg, 1.66 mmol)のエタノール(10 mL)溶液に、炭素上10% パラジウム(40mg)を添加した。反応混合液を水素流下で4時間攪拌した。反応混合液をセライトパッドで濾過し、新しいエタノールですすいだ。濾液を合わせ、濃縮して透明な黄色の油としてN-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシン (350 mg、95%) を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.06 (t, J = 2.7 Hz, 1 H), 7.13-7.12 (m, 2 H), 4.71 (dd, J = 10.9, 5.8 Hz, 1 H), 4.57 (br, 2 H), 4.39 (d, J = 11.7 Hz, 1 H), 4.13 (t, J = 11.4 Hz, 1 H), 2.67 (s, 3 H), 2.37 (d, J = 13.5 Hz, 1 H), 2.18 (m, 1 H); MS m/z 223 (M+H)+
【0154】
D) N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N-メチル-2-ニトロ-1,3-ベンゼンジアミン:
3-クロロ-2-ニトロアニリン(520 mg, 3.01 mmol)および N,N,N'-トリメチルエチレンジアミン(2 mL、15.4 mmol)の混合物を160℃で20分間、マイクロ波で加熱した。反応混合液を冷却し、過剰のアミンを減圧で除去した。残査をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ(ジクロロメタン中0〜7%のメタノール)、赤色の油としてN-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N-メチル-2-ニトロ-1,3-ベンゼンジアミン(610 mg、85%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.06 (dd, J = 8.2, 8.2 Hz, 1 H), 6.35 (d, J = 8.2 Hz, 1 H), 6.22 (d, J = 8.2 Hz, 1 H), 4.86 (br, 2 H), 3.20 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 2.79 (s, 3 H), 2.49 (t, J = 7.3 Hz, 2 H), 2.23 (s, 6 H); MS m/z 239 (M+H)+
【0155】
E) N1-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N1-メチル-1,2,3-ベンゼントリアミン:
N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N-メチル-2-ニトロ-1,3-ベンゼンジアミン(300 mg, 1.26 mmol)のエタノール(10 mL)溶液に、炭素上10% パラジウム(20 mg)を添加した。反応混合液を水素流下で2時間攪拌した。反応混合液をセライトパッドで濾過し、新しいエタノールですすいだ。濾液を合わせ、濃縮して褐色の油としてN1-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N1-メチル-1,2,3-ベンゼントリアミン (225 mg、86%)を得、これを更に精製すること後続の反応に用いた。
【0156】
F) N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン:
N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシン(149 mg、0.672 mmol)のアセトニトリル(5 mL)溶液に、N1-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N1-メチル-1,2,3-ベンゼントリアミン(140 mg、0.672 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(129μL、0.739 mmol)、およびビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロライド(188 mg、0.739 mmol)を添加した。反応混合液を室温で一晩攪拌した。反応混合液を減圧濃縮し、次いで酢酸エチルと水とに分配した。相分離させ、有機相を塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮によって粗物質を得、これを酢酸(3 mL)中で1時間加熱した。減圧で酢酸を除去し、得られた残査を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とに分配した。有機相を水および塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮、続いてフラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中0〜10% 濃水酸化アンモニウム水溶液)を行って、薄い黄色の油としてN-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-N,N',N'-トリメチル1,2-エタンジアミン(110 mg, 42%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.22 (dd, J = 2.9, 2.9 Hz, 1 H), 7.19-7.12 (m, 3 H), 7.07 (dd, J = 7.8, 7.8 Hz, 1 H), 6.57 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 4.42 (ddd, J = 10.9, 7.7, 3.3 Hz, 1 H), 4.17 (ddd, J = 10.8, 7.8, 3.1 Hz, 1 H), 4.08-3.94 (m, 3 H), 3.57 (br, 2 H), 2.96 (s, 3 H), 2.63 (m, 2 H), 2.36 (s, 6 H), 2.28 (m, 1 H), 2.09 (m, 1 H); MS m/z 395 (M+H)+
【0157】
実施例2: 1,1-ジメチルエチル 4-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート (中間体)
【化23】

【0158】
A) 1,1-ジメチルエチル 4-(3-アミノ-2-ニトロフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート:
3-クロロ-2-ニトロアニリン (520 mg, 3.01 mmol)および1-BOC-ピペラジン (2 g, 10.7 mmol)から、赤色の油として1,1-ジメチルエチル 4-(3-アミノ-2-ニトロフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート (600 mg, 62%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.13 (dd, J = 8.1, 8.1 Hz, 1 H), 6.44 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 6.38 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 4.80 (br, 2 H), 3.52 (t, J = 4.7 Hz, 4 H), 2.93 (t, J = 4.1 Hz, 4 H), 1.46 (s, 9 H); MS m/z 345 (M+Na)+
【0159】
B) 1,1-ジメチルエチル 4-(2,3-ジアミノフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート:
1,1-ジメチルエチル 4-(3-アミノ-2-ニトロフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート(225 mg, 0.698 mmol)および炭素上10% パラジウム (20 mg) から褐色の油として1,1-ジメチルエチル 4-(2,3-ジアミノフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート (204 mg, 100%) を得、これを更に精製することなく後続の反応に用いた。
【0160】
C) 1,1-ジメチルエチル 4-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート:
N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシン(170 mg, 0.767 mmol) および1,1-ジメチルエチル 4-(2,3-ジアミノフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート (204 mg, 0.698 mmol)から、薄い黄色の油として1,1-ジメチルエチル 4-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート (169 mg, 46%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.26 (s, 1 H), 7.21-7.18 (m, 4 H), 7.12 (dd, J = 8.0, 8.0 Hz, 1 H), 6.65 (br, 1 H), 4.45 (m, 1 H), 4.21 (m, 1 H), 4.07-3.85 (m, 3 H), 3.68 (m, 4 H), 3.34 (m, 4 H), 2.29-2.14 (m, 2 H), 1.47 (s, 9 H); MS m/z 479 (M+H)+
【0161】
実施例3: N-メチル-N-{[4-(1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化24】

【0162】
1,1-ジメチルエチル 4-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-1-ピペラジンカルボキシレート (169 mg, 0.353 mmol)の1:1 トリフルオロ酢酸:ジクロロメタン(2 mL)溶液を、室温で1.5時間攪拌した。反応混合液を窒素気流下で濃縮し、次いで酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とに分配した。有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮、続いてフラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中0〜10%の濃水酸化アンモニウム水溶液)を行い、白色フォームとしてN-メチル-N-{[4-(1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(63 mg, 47%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.22 (dd, J = 4.1, 1.8 Hz, 1 H), 7.26-7.09 (m, 4 H), 6.66 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 5.80 (br, 1 H), 4.43 (ddd, J = 10.9, 7.1, 3.6 Hz, 1 H), 4.18 (ddd, J = 11.0, 8.4, 2.6 Hz, 1 H), 4.05-3.89 (m, 3 H), 3.47 (br, 4 H), 3.28 (t, J = 4.6 Hz, 4 H), 2.32 (s, 3 H), 2.26 (m, 1 H), 2.11 (m, 1 H); MS m/z 379 (M+H)+
【0163】
実施例4: N-メチル-N-{[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化25】

【0164】
N-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル)-N-メチルグリシン(158 mg, 0.711 mmol)および[2-アミノ-3-(4-メチル-1-ピペラジニル)フェニル]アミン(133 mg, 0.645 mmol)から透明な油としてN-メチル-N-{[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン (27 mg, 10%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ12.06 (s, 1 H), 8.17 (dd, J = 3.6, 2.3 Hz, 1 H), 7.21-7.18 (m, 2 H), 6.98-6.95 (m, 2 H), 6.42 (dd, J = 5.9, 2.5 Hz, 1 H), 4.42 (m, 1 H), 4.19 (m, 1 H), 3.99 (s, 2 H), 3.93 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 3.45 (br, 4 H), 2.51 (br, 4 H), 2.30 (m, 1 H), 2.24 (s, 3 H), 2.23 (s, 3 H), 2.05 (m, 1 H); MS m/z 393 (M+H)+
【0165】
実施例5: 1,1-ジメチルエチル 4-{2-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イルアミノ)メチル]-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-7-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート (中間体)
【化26】

【0166】
A) 1,1-ジメチルエチル4-(3-アミノ-2-ニトロフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート:
3-クロロ-2-ニトロアニリン (1.00 g, 5.80 mmol)および1,1-ジメチルエチル1-ピペラジンカルボキシレート(2.00 g, 10.7 mmol)の混合物を150℃で20分間マイクロ波で加熱した。この反応を同じ規模で繰り返した。粗反応混合物を合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー (ヘキサン中0%〜50% 酢酸エチル)にかけ、黄色固体として1,1-ジメチルエチル4-(3-アミノ-2-ニトロフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート (842 mg, 23%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.12 (見かけの(app)t, J = 8.2 Hz, 1 H), 6.43 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 6.38 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 4.48 (br, 2 H), 3.51 (m, 4 H), 2.93 (m, 4 H), 1.45 (s, 9 H)。
【0167】
B) 1,1-ジメチルエチル 4-(2,3-ジアミノフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート:
1,1-ジメチルエチル4-(3-アミノ-2-ニトロフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート(842 mg, 2.61 mmol)のエタノール(40 mL)溶液に炭素上10% パラジウム(100 mg)を添加した。反応混合液を水素雰囲気下で2時間攪拌した。反応混合液をセライトで濾過し、濃縮した。反応混合液を粗製のまま次の段階で使用した。
【0168】
C) 1,1-ジメチルエチル 4-{2-[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]-1H-ベンズイミダゾール-4-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート:
1,1-ジメチルエチル4-(3-アミノ-2-ニトロフェニル)-1-ピペラジンカルボキシレート (前の段階からの粗生成物、2.61 mmol)のアセトニトリル溶液に、N-{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}グリシン(546 mg, 2.61 mmol)、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロライド(998 mg、3.92 mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン (683 μL、3.92 mmol)を添加した。反応混合液を室温で一晩攪拌した。反応混合液を減圧濃縮し、次いで酢酸エチルと水とに分配した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した。粗物質を酢酸(2 mL)に溶解し、70℃で2時間加熱した。反応混合液を濃縮した後、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン中1%〜5%の2Mアンモニア)にかけて薄い赤色固体として1,1-ジメチルエチル4-{2-[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]-1H-ベンズイミダゾール-4-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート(957 mg、2段階での収率78% )を得た。 1H NMR (400 MHz、CDCl3) δ7.33-7.32 (m, 5 H), 7.18-7.09 (m, 2 H), 6.67 (d, J = 7.5 Hz, 1 H), 5.89 (br, 1 H), 5.13 (s, 2 H), 4.57 (d, J = 6.2 Hz, 2 H), 3.64 (見かけのt, J = 4.7 Hz, 4 H), 3.32 (br, 4 H), 1.49 (s, 9 H); MS m/z 466 (M+H)+
【0169】
D) 1,1-ジメチルエチル 4-{2-[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]-1H-ベンズイミダゾール-4-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート
1,1-ジメチルエチル 4-{2-[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]-1H-ベンズイミダゾール-4-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート(957 mg, 2.06 mmol) のN,N-ジメチルホルムアミド溶液に、ヨードメタン(229 μL, 2.47 mmol)および炭酸セシウム(1.01 g, 3.09 mmol)を添加した。反応混合液を室温で2時間攪拌した。反応混合液をトルエンで希釈し、水、次いで塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中15%〜100% 酢酸エチル)にかけて、薄い黄色の固体として1,1-ジメチルエチル 4-{2-[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]-1H-ベンズイミダゾール-4-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート (220 mg, 22%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.42 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 7.35-7.29 (m, 5 H), 7.11 (見かけのt, J = 7.9 Hz, 1 H), 6.94 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 6.26 (br, 1 H), 5.12 (s, 2 H), 4.61 (d, J = 5.3 Hz, 2 H), 4.11-4.08 (m, 5 H), 3.03 (m, 4 H), 2.81 (m, 2 H), 1.48 (s, 9 H); MS m/z 480 (M+H)+
【0170】
E) 1,1-ジメチルエチル 4-[2-(アミノメチル)-1H-ベンズイミダゾール-4-イル]-1-ピペラジンカルボキシレート:
1,1-ジメチルエチル4-{2-[({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]-1H-ベンズイミダゾール-4-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート(220 mg, 0.489 mmol)のエタノール(6 mL)溶液に、炭素上10% パラジウム(40 mg)を添加した。反応混合液を水素流下で一晩攪拌した。反応混合液をエタノールで希釈し、セライトで濾過して触媒を除去した。濾液を濃縮して153 mgの粗物質を得、これを次の段階で用いた。
【0171】
F) 1,1-ジメチルエチル 4-{2-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イルアミノ)メチル]-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-7-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート:
1,1-ジメチルエチル4-[2-(アミノメチル)-1H-ベンズイミダゾール-4-イル]-1-ピペラジンカルボキシレート(153 mg, 0.443 mmol)および2,3-ジヒドロ-4H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-オン(66 mg, 0.443 mmol)の1,2-ジクロロエタン(2 mL)溶液に、酢酸(39μL, 0.67 mmol)を添加した。反応混合液を室温で2時間攪拌した。トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(188 mg, 0.886 mmol)を添加し、室温で一晩攪拌した。反応混合液をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮、次いでフラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中0%〜10% 水酸化アンモニウム溶液)によって、黄色の油として1,1-ジメチルエチル4-{2-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イルアミノ)メチル]-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-7-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート(208 mg, 98 %)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.13 (m, 1 H), 7.48 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 7.16-7.07 (m, 3 H), 6.95 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 4.39-4.01 (m, 10 H), 3.10 (m, 4 H), 2.85 (m, 2 H), 2.60-2.15 (m, 2 H), 1.49 (s, 9 H); MS m/z 479 (M+H)+
【0172】
実施例6: N-{[1-メチル-7-(1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン (中間体)
【化27】

【0173】
1,1-ジメチルエチル4-{2-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イルアミノ)メチル]-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-7-イル}-1-ピペラジンカルボキシレート(208 mg, 0.435 mmol)のジクロロメタン(1.5 mL)溶液に、ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸の50:50溶液(3 mL)を添加した。反応混合液を室温で1.5時間攪拌した。反応混合液を窒素気流下で濃縮した。残査をメタノール中に採り、固体の炭酸水素ナトリウムを添加した。固形物を濾過によって除去し、濾液を減圧下で濃縮し、橙色の油としてN-{[1-メチル-7-(1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン (163 mg, 99%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ8.22 (d, J = 15.3 Hz, 1 H), 7.57-7.09 (m, 5 H), 4.86-4.13 (m, 8 H), 3.52-3.15 (m, 8 H), 2.68-2.24 (m, 2 H); MS m/z 379 (M+H)+
【0174】
実施例7: N-メチル-N-{[1-メチル-7-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化28】

【0175】
N-{[1-メチル-7-(1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(163 mg, 0.431 mmol)の1,2-ジクロロエタン(3 mL)溶液に、ホルムアルデヒド(171μL, 37% 水溶液, 2.11 mmol)および酢酸(121 μL, 2.11 mmol)を添加した。反応混合液を室温で1時間攪拌した。トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(224 mg, 1.06 mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。反応混合液をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮、続いてフラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中2%〜7%水酸化アンモニウム水溶液)を行い、薄い黄色の油としてN-メチル-N-{[1-メチル-7-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン (10 mg, 6%)を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.22 (m, 1 H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.15-7.09 (m, 3 H), 6.99 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 4.40 (m, 1 H), 4.23-3.89 (m, 7 H), 3.14 (br, 6 H), 2.59-2.48 (m, 5 H), 2.40-2.11 (m, 5 H); MS m/z 407 (M+H)+
【0176】
生物学的セクション
融合アッセイ
プラスミドの作製
HIV-1 tat(GenBankアクセッション番号X07861)およびrev(GenBankアクセッション番号M34378)の完全コーディング配列を、G418およびハイグロマイシン耐性遺伝子を含む pcDNA3.1 発現ベクター中にそれぞれクローニングした。HIV-1 (HXB2株) gp160エンベロープ遺伝子 (GenBankアクセッション番号K03455のヌクレオチド塩基6225-8795) の完全コーディング配列は、プラスミドpCRII-TOPO中にクローニングした。これら3種のHIV遺伝子を、更にCMVプロモーターの転写制御下でバキュロウイルスシャトルベクターpFastBacMam1中に挿入した。ルシフェラーゼリポーター遺伝子に連結された変異型NFkB配列を含むpHIV-I LTR構築物を調製するために、G418耐性遺伝子を含むpcDNA3.1をNru IおよびBam HIで切断してCMVプロモーターを除去した。次いでLTR-lucを該プラスミドベクターのNru I/Bam HI部位にクローニングした。プラスミドの調製は、プラスミドを大腸菌株DH5-α中で増幅させた後に行った。挿入された配列の正確さは、ABI Prism Model 377自動シーケンサーを使用した二本鎖ヌクレオチド配列解析によって確認した。
【0177】
BacMamバキュロウイルスの作製
組み換えBacMamバキュロウイルスは、細菌細胞に基づくBac-to-Bac系を用いてpFastBacMamシャトルプラスミドから構築した。ウイルスは、確立されたプロトコルに従い、10% (v/v)ウシ胎児血清および0.1% (v/v)プルロニックF-68を添加したヒンクスTNM-FH昆虫用培地中で培養したSf9 (Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖させた。
【0178】
細胞培養
ヒトCXCR4を天然で発現するヒト骨肉腫(HOS)細胞を、FuGENE 6トランスフェクション試薬を用いて、ヒトCCR5、ヒトCD4およびpHIV-LTR-ルシフェラーゼプラスミドでトランスフェクトした。単一の細胞を分離し、安定なHOS(hCXCR4/hCCR5/hCD4/pHIV-LTR-ルシフェラーゼ)クローン細胞系を作製するために選択条件下で増殖させた。細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)、G418(400μg/ml)、ピューロマイシン(1μg/ml)、ミコフェノール酸(40μg/ml)、キサンチン(250μg/ml)およびヒポキサンチン(13.5μg/ml)を添加したダルベッコ変法イーグル培地中で維持し、LTR-ルシフェラーゼ、hCCR5およびhCD4をそれぞれ発現する細胞に対する選択圧を維持した。ヒトマクロファージスカベンジング受容体(クラスA、タイプ1; GenBankアクセッション番号D90187)を発現するように安定にトランスフェクトされたヒト胚性腎(HEK-293)細胞は、10% FCSおよび1.5μg/ml ピューロマイシンを添加したDMEM/F-12培地(1:1)中で維持した。HEK-293細胞によるこの受容体の発現によって、組織培養物で処理したプラスティック製品への付着能が高まる。
【0179】
HEK-293細胞のトランンスダクション
HEK-293細胞は、酵素フリーの細胞解離用緩衝液を用いて回収した。細胞を10% FCSおよび1.5μg/ml ピューロマイシンを添加したDMEM/F-12培地中に再懸濁し、計数した。BacMamバキュロウイルスを含む昆虫細胞用培地を細胞に直接添加してトランスダクションを実施した。細胞は同時にHIV-1 tat、HIV-1 revおよびHIV-1 gp160(HXB2 HIV 株由来)を発現するBacMam バキュロウイルスでトランスダクションした。慣例的にMOI 10の各ウイルスを、細胞を含む培地に添加した。この段階で2mM 酪酸も細胞に添加し、トランスダクションされた細胞におけるタンパク質の発現を増大させた。続いて細胞を混合し、T225あたり30,000,000個の細胞としてフラスコにまいた。タンパク質の発現が可能なように細胞を37℃、5% CO2、湿度95%で24時間インキュベートした。
【0180】
細胞/細胞融合アッセイフォーマット
HEKおよびHOS細胞は、それぞれ2% FCSを含有するDMEM/F-12培地、および2% FCSを含有するDMEM培地中で、選択用薬剤を添加せずに回収した。化合物は96ウェル培養プレート(CulturPlate)上に100% DMSO中の1μlスポットとしてプレートした。ウェルにまずHOS細胞(50μl)を加え、直後にHEK細胞(50μl)を加えた。各細胞型の最終濃度は20,000細胞/ウェルであった。これらの添加の後、細胞を組織培養インキュベーター(37℃; 5%CO2/95% 空気)に戻して更に24時間インキュベートした。
【0181】
ルシフェラーゼ産生の測定
24時間のインキュベーションの後、LucLite Plusアッセイキット (Packard, Meridien, CT)を用いて細胞ルシフェラーゼの総活性を測定した。簡単に説明すると、各ウェルにこの試薬100μlを添加した。プレートを密閉し、混合した。プレートをおよそ10分間暗所になじませてからPackard TopCountで発光を計測した。
【0182】
機能アッセイ
細胞培養
ヒト胚性腎(HEK-293)細胞を上記のようにして維持し、回収した。ヒトCXCR4 BacMam(MOI=25)およびGqi5 BacMam(MOI=12.5)を含有する、底が黒色透明の96ウェルのポリリシン被覆プレートに、40,000細胞/ウェルの濃度、最終容量100μlで細胞をまいた。タンパク質の発現を可能とするために、細胞を37℃、5% CO2、95% 湿度で24時間インキュベートした。
【0183】
機能的FLIPRアッセイ
必要とされるインキュベーション時間の後、プロベニシド(probenicid)を含有する新鮮な無血清DMEM/F12培地50μlで細胞を1回洗浄した。次いで色素溶液(Calcium Plus Assay Kit Dye; Molecular Devices)50μlを細胞に添加し、上記プロベニシド/BSA含有培地200mlに溶解し、1時間インキュベートした。細胞プレートを蛍光イメージングプレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader (FLIPR))に移した。添加後の[Ca2+]i変化に対する化合物の影響を調べ、化合物がCXCR4受容体においてアゴニストであるかアンタゴニスト(SDF-1 α活性を阻止する能力)であるかを決定した。IC50値を決定し、pKb 値は、LeffおよびDougallの式:

【0184】
[式中、IC50はアンタゴニスト濃度−応答曲線によって規定されるものであり、[アゴニスト]は用いるアゴニストのEC80 濃度であり、EC50はアゴニスト濃度−応答曲線によって規定されるものであり、bはアゴニスト濃度−応答曲線の勾配である。]
を用いて算出した。
【0185】
HOS HIV-1感染性アッセイ
HIVウイルスの調製
2種のHIV-1ウイルス、M指向性(CCR5利用)Ba-L株およびT指向性(CXCR4利用)IIIB株に対して化合物をプロファイリングした。双方のウイルスをヒト末梢血リンパ球中で増殖させた。HIV-1 Ba-LまたはHIV-1 IIIBによるHOS細胞系(hCXCR4/hCCR5/hCD4/pHIV-LTR-ルシフェラーゼを発現)の感染を阻止する能力について化合物を試験した。ウイルスの添加なしで、化合物の細胞毒性についても試験した。
【0186】
HOS HIV-1感染性アッセイフォーマット
HOS細胞(hCXCR4/hCCR5/hCD4/pHIV-LTR-ルシフェラーゼを発現)を回収し、2% FCSおよび非必須アミノ酸を添加したダルベッコ変法イーグル培地で希釈し、60,000細胞/mlの濃度とした。細胞を96ウェルプレートにまき(ウェルあたり100μl)、プレートを組織培養インキュベーター(37℃; 5% CO2/95% 空気)中に24時間置いた。
【0187】
続いて、各ウェルに所望の薬剤溶液(最終濃度の4倍濃度)50μlを添加し、プレートを組織培養インキュベーター(37℃; 5% CO2/95% 空気)に戻して1時間置いた。このインキュベーションの後、各ウェルに希釈したウイルス50μlを添加した(ウェルあたりウイルスおよそ2,000,000個RLU)。プレートを組織培養インキュベーター(37℃; 5% CO2/95% 空気)に戻し、更に96時間インキュベートした。
【0188】
このインキュベーションの後、ウイルス感染培養物のエンドポイントを、Steady-Glo ルシフェラーゼアッセイ系試薬 (Promega, Madison, WI)の添加後に定量した。細胞の生存率または非感染培養物をCellTiter-Glo 発光細胞生存アッセイ系(Promega, Madison, WI)を用いて測定した。発光の計測は全て、Topcount発光検出器(Packard, Meridien, CT)で実施した。
【0189】
本発明の化合物は、IC50=1〜1000nMの範囲で抗HIV活性を有する。更に、本発明の化合物は所望のpKプロファイルを提供すると考えられる。また、本発明の化合物は、望ましくないタンパク質シフトを促進しないといった、所望の選択性を提供すると考えられる。
【0190】
試験化合物は遊離または塩の形態で用いた。
【0191】
本明細書において、本発明の特定の実施形態を説明し、詳細に記載したが、本発明はこれらに限定されるものではない。上記の詳細な説明は本発明の例として提供されるものであり、本発明の制限を構成するものとして解釈されるべきではない。当業者には改変が明らかであり、本発明の精神から逸脱しない全ての改変が添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【化1】

[式中、
tは、1もしくは2であり、
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R1は、それぞれ独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
nは、0、1、もしくは2であり;
R2は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaAy、-RaOR5、-RaS(O)qR5からなる群から選択され;
R3は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R4は、それぞれ独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
mは、0、1、もしくは2であり;
R5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
pは、0もしくは1であり;
Yは、-NR10-、-O-、-S-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、S(O)qNR10-、もしくは-NR10S(O)q-であり;
Xは、-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、もしくは-HetRaHetであり;
Raは、それぞれ独立して、C1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10は、pが0かつXが-N(R10)2の場合はR10がHでないという条件で、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R6およびR7は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9は、それぞれ独立して、Hもしくはアルキルから選択され;
qは、それぞれ独立して、0、1、もしくは2であり;
Ayは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;
Hetは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す。]
【請求項2】
tが1である請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項3】
RがHもしくはアルキルである請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項4】
RがHである請求項3記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項5】
nが0である請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項6】
nが1であり、R1がハロゲン、ハロアルキル、アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノである請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項7】
R2がH、アルキル、ハロアルキル、もしくはシクロアルキルである請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項8】
R2がアルキル、ハロアルキル、もしくはシクロアルキルである請求項7記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項9】
R3がH、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、もしくはアルキニルである請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項10】
R3がH、アルキル、ハロアルキル、もしくはシクロアルキルである、請求項9記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項11】
R3がHもしくはアルキルである請求項10記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項12】
mが0である請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項13】
mが1もしくは2である請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項14】
mが1である請求項13記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項15】
R4がハロゲン、ハロアルキル、アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノである請求項14記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項16】
pが0であり、Xが-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2である請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項17】
Xが-RaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2である請求項16記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項18】
pが1であり;
Yが-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり;
Xが-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2 である、
請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項19】
HetがHもしくはC1-C8アルキルで置換されていてもよいピペリジン、ピペリジン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾール、もしくはピリジンである請求項1記載の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項20】
式(I-A)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【化2】

[式中、
tは、1、もしくは2であり;
Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R1は、それぞれ独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
nは、0、1、もしくは2であり;
R2は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaAy、-RaOR5、-RaS(O)qR5からなる群から選択され;
R3は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaAy、-RaOR5、もしくは-RaS(O)qR5であり;
R4は、それぞれ独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、もしくはアジドであり;
mは、0、1、もしくは2であり;
R5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
pは、0もしくは1であり;
Yは、-NR10-、-O-、-S-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、S(O)qNR10-、もしくは-NR10S(O)q-であり;
Xは、-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、もしくは-HetRaHetであり;
Raは、それぞれ独立して、C1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10は、pが0かつXが-N(R10)2の場合はR10がHでないという条件で、それぞれ独立してH、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R6およびR7は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9は、それぞれ独立して、Hもしくはアルキルから選択され;
qは、それぞれ独立して、0、1、もしくは2であり;
Ayは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;
Hetは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す。]
【請求項21】
式(I-B)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【化3】

[式中、
R1は、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
nは、0、1もしくは2であり;
R2は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
Raは、それぞれ独立して、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、もしくはアルキニレンであり;
mは、0、1、もしくは2であり;
R4は、1以上のハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8 アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
R10は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R5は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9は、それぞれ独立して、HもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Raは、それぞれ独立して、C1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
Ayは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;
Hetは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示し;
WはHもしくはC1-C8アルキルである。]
【請求項22】
式(I-C)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【化4】

[式中、
Rは、それぞれHもしくはC1-C8アルキルであり;
R2は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
mは、0、1、もしくは2であり;
R4は、1以上のハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
pは、0もしくは1であり;
Xは、-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり;
Yは、-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり;
qは、それぞれ独立して、0、1、もしくは2であり;
R10は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R5は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9は、それぞれ独立して、HもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Raは、それぞれ独立して、C1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
Ayは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;
Hetは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す。]
【請求項23】
式(I-D)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【化5】

[式中、
Rは、それぞれHもしくはC1-C8アルキルであり;
R1は、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C1-C8アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、もしくはシアノであり;
nは、0、1もしくは2であり;
R2は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
pは、0もしくは1であり;
Xは、-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり;
Yは、-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり;
qは、それぞれ独立して、0、1、もしくは2であり;
Raは、それぞれ独立して、C1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R5は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9は、それぞれ独立して、HもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Ayは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;
Hetは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す。]
【請求項24】
式(I-E)の化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【化6】

[式中、
Rは、それぞれHもしくはC1-C8アルキルであり;
R2は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキルもしくはC3-C7シクロアルキルであり;
R3は、H、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、もしくはC2-C6アルキニルであり;
pは、0もしくは1であり;
Xは、-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、もしくは-HetRaN(R10)2であり;
Yは、-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、もしくは-S(O)qNR10-であり;
qは、それぞれ独立して、0、1、もしくは2であり;
Raは、それぞれ独立して、C1-C8アルキレン、C3-C7シクロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C3-C7シクロアルケニレン、もしくはC2-C6アルキニレンであり;
R10は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR5、-RaNR6R7、もしくは-RaHetであり;
R5は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、もしくは-Ayであり;
R6およびR7は、それぞれ独立して、H、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、もしくは-S(O)qR10から選択され;
R8およびR9は、それぞれ独立して、HもしくはC1-C8アルキルから選択され;
Ayは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいアリール基を示し;
Hetは、それぞれ独立して、1以上のC1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C8アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-C8ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびC1-C8アルキルアミノで置換されていてもよいヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基を示す。]
【請求項25】
N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン;
N-メチル-N-{[4-(1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-メチル-N-{[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン; および
N-メチル-N-{[1-メチル-7-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
からなる群から選択される化合物、または製薬上許容されるその誘導体。
【請求項26】
実施例のいずれか1つを参照して本明細書で実質的に定義された、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物、および製薬上許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項28】
錠剤またはカプセルの形態である、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項29】
液体または懸濁液の形態である、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項30】
以下の群から選択される少なくとも1種の更なる治療剤を含有する、請求項27記載の組成物:
ジドブジン(zidovudine)、ジダノシン(didanosine)、ラミブジン(lamivudine)、ザルシタビン(zalcitabine)、アバカビル(abacavir)、スタビジン(stavidine)、アデフォビル(adefovir)、アデフォビル ジピボキシル(adefovir dipivoxil)、フォジブジン(fozivudine)、トドキシル(todoxil)、および類似の薬剤のようなヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;
ネビラピン(nevirapine)、デラビルジン(delavirdine)、エファビレンツ(efavirenz)、ロビリド(loviride)、イムノカル(immunocal)、オルチプラズ(oltipraz)、および類似の薬剤のような非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(イムノカル、オルチプラズなどのような抗酸化活性を有する薬剤を含む);
サキナビル(saquinavir)、リトナビル(ritonavir)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、アムプレナビル(amprenavir)、パリナビル(palinavir)、ラシナビル(lasinavir)、および類似の薬剤のようなプロテアーゼ阻害剤;
T-20、T-1249、PRO-542、PRO-140、TNX-355、BMS-806、5-Helixおよび類似の薬剤のような侵入阻害剤;
L-870、180および類似の薬剤のようなインテグラーゼ阻害剤;
PA-344およびPA-457、および類似の薬剤のような出芽阻害剤;および
Sch-C、Sch-D、TAK779、UK 427,857、TAK449、および類似の薬剤のようなCXCR4および/またはCCR5阻害剤。
【請求項31】
ウイルス感染の治療または予防における、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項32】
CXCR4によってモジュレートされる疾患および症状の治療または予防において使用するための、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物。
【請求項33】
HIV感染、造血関連疾患、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功率の上昇、創傷治癒および火傷治療の促進、白血病における細菌感染の阻止、炎症、炎症性もしくはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎; 脊椎関節症、強皮症; 乾癬、T細胞介在型乾癬、炎症性皮膚病、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、血管炎、壊死性の、皮膚の、過敏性の血管炎、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、および脳、乳房、前立腺、肺、もしくは造血組織の癌の治療または予防において使用するための、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物。
【請求項34】
症状もしくは疾患がHIV感染、慢性関節リウマチ、炎症、または癌である、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
ケモカイン受容体によってモジュレートされる症状もしくは疾患の治療または予防において使用するための医薬の製造における、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項36】
ケモカイン受容体がCXCR4である、請求項35記載の化合物の使用。
【請求項37】
HIV感染、造血関連疾患、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功率の上昇、創傷治癒および火傷治療の促進、白血病における細菌感染の阻止、炎症、炎症性もしくはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎; 脊椎関節症、強皮症; 乾癬、T細胞介在型乾癬、炎症性皮膚病、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、血管炎、壊死性の、皮膚の、過敏性の血管炎、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、および脳、乳房、前立腺、肺、もしくは造血組織の癌の治療または予防において使用するための医薬の製造における、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項38】
症状もしくは障害がHIV感染、慢性関節リウマチ、炎症、または癌である、請求項37記載の化合物の使用。
【請求項39】
請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物の投与を含む、ケモカイン受容体によってモジュレートされる症状もしくは疾患の治療または予防のための方法。
【請求項40】
ケモカイン受容体がCXCR4である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物の投与を含む、HIV感染、造血関連疾患、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功率の上昇、創傷治癒および火傷治療の促進、白血病における細菌感染の阻止、炎症、炎症性もしくはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎もしくは皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーもしくは過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、重症筋無力症、若年型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植拒絶反応、同種移植拒絶反応、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎; 脊椎関節症、強皮症; 乾癬、T細胞介在型乾癬、炎症性皮膚病、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、血管炎、壊死性の、皮膚の、過敏性の血管炎、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、および脳、乳房、前立腺、肺、もしくは造血組織の癌の治療または予防のための方法。
【請求項42】
請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物の投与を含む、HIV感染、慢性関節リウマチ、炎症、もしくは癌の治療または予防のための方法。

【公表番号】特表2009−500451(P2009−500451A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521431(P2008−521431)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/026239
【国際公開番号】WO2007/008539
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】