説明

ピリドピラゾロピリミジン化合物並びにそれらの抗癌薬及び抗糖尿病薬としての使用

本発明は、プロテインキナーゼを阻害するか又はプロテインキナーゼに拮抗することにより薬物として有用なピリドピラゾロピリミジン誘導体、並びに、同誘導体の調製方法及び使用に関する。特に、本発明は、プロテインチロシンキナーゼ及び/又はプロテインセリン/トレオニンキナーゼを阻害する化合物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテインキナーゼの阻害又は拮抗により媒介される(例えば、緩和される)疾患状態に対して有用な薬物であるピリドピラゾロピリミジン誘導体、並びに、同誘導体の調製方法及び使用に関する。特に、本発明は、プロテインチロシンキナーゼ及び/又はプロテインセリン/トレオニンキナーゼを阻害する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、さまざまな細胞過程の調節及び細胞機能の制御の維持において中心的役割を果たしているタンパク質の大きなファミリーを表している(Hanks, et al., Science, 1988, 241, 42-52)。細胞調節の制御が失われると、しばしば、細胞機能の異常又は死に至り、多くの場合、その母体(parent organism)は、病気になる。
【0003】
特定のキナーゼを阻害することは、種々の治療において有効である。癌の治療で使用されるキナーゼ阻害薬の例には、c-Src(Brickell, Critical Reviews in Oncogenesis 1992, 3, 401-46;Courtneidge, Seminars in Cancer Biology 1994, 5, 239-46)、raf(Powis, Pharmacology & Therapeutics 1994, 62, 57-95)、並びに、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)1、2及び4(Pines, Current Opinion in Cell Biology 1992, 4, 144-8;Lees, Current Opinion in Cell Biology 1995, 7, 773-80;Hunter and Pines, Cell 1994, 79, 573-82)などがある。他の治療には、アルツハイマー病に対するCDK5やGSK3などのキナーゼの阻害(Hosoi, et al., Journal of Biochemistry (Tokyo) 1995, 117, 741-9;Aplin, et al., Journal of Neurochemistry 1996, 67, 699-707)、骨粗鬆症に対するc-Srcキナーゼの阻害(Tanaka, et al., Nature 1996, 383, 528-31)、II型糖尿病におけるGSK-3キナーゼの阻害(Borthwick, et al., Biochemical & Biophysical Research Communications 1995, 210, 738-45)、及び、炎症に対するp38キナーゼの阻害(Badger, et al., The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 1996, 279, 1453-61)などがある。さらにまた、VEGF-R 1〜VEGF-R 3の阻害薬、並びに、TIE-1キナーゼ及びTIE-2キナーゼの阻害薬も、血管新生を伴っている疾患の治療において有効である(Shawver, et al., Drug Discovery Today 1997, 2, 5
0-63)。
【0004】
上記で述べたように、GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ)は、II型糖尿病の治療において有用なキナーゼである。GSK3は、直接リン酸化することにより、グリコーゲンシンターゼを阻害する。インスリンが活性化されると、GSK3は不活性化され、それにより、グリコーゲンシンターゼが活性化され、おそらく、別のインスリン依存性イベントも活性化される。
【0005】
II型糖尿病(別名インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)としても知られている)は、当初は、インスリンに対する感受性の低下(インスリン抵抗性)及びそれを補償するための循環血液中のインスリン濃度(circulating insulin concentration)の上昇により特徴付けられる。インスリンレベルの上昇は、インスリン抵抗性に打ち勝とうとして膵臓ベータ細胞からの分泌が増加することに起因する。その結果として生じる高インスリン血症には、心血管系のさまざまな合併症が伴う。
【0006】
インスリン抵抗性が悪化するにつれて、膵臓がもはや充分なレベルのインスリンを供給することができなくなるまで膵臓ベータ細胞に対する要求が絶え間なく増大し、その結果、血中のグルコースレベルが上昇する。かくして、糖尿病は、不充分なインスリン反応に加えて、骨格筋へのグルコース輸送を損なわせ、また、肝臓におけるグルコース産生を増大させる。高血糖及び高脂質血に関連した障害及び状態としては、心血管疾患、腎不全及び失明などがある。
【0007】
GSK3を阻害すると、インスリン依存性のプロセスが刺激される。従って、GSK3を阻害することは、II型糖尿病などのGSK3活性が媒介する状態及び疾患、即ち、さらに具体的にいえば、GSK3の阻害を必要とすることを特徴とする状態及び疾患の治療において有効である。例えば、Kleinら(Klein et al., PNAS 93:8455-9 (1996))は、GSK3活性がリチウムイオンにより阻害されるということを報告している。リチウムは、血漿グルコースレベルの低減、グリコーゲン摂取の増大、インスリンの増強作用、並びに、皮膚、筋肉及び脂肪細胞におけるグリコーゲン合成の刺激などの、抗糖尿病効果を有しているということが報告されている。しかしながら、リチウムは、GSK3以外の分子標的に作用するので、糖尿病患者に対して一般に認められている治療法ではない。
【0008】
GSK3は、プロリン指向性セリン/トレオニンキナーゼである。GSK3が媒介する疾患又は状態の別の例としては、肥満、種々のCNS障害、例えば、アルツハイマー病、双極性障害及び統合失調症、神経外傷性傷害(neurotraumatic injury)、例えば、急性卒中、免疫増強、脱毛症、アテローム性動脈硬化性心血管疾患、高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、虚血、脳外傷、免疫不全症、並びに、癌などがある。例えば、公開された国際出願WO00/38675号を参照されたい。この出願に記載されている背景技術は、参照により本明細書に組み入れる。
【0009】
癌において、固形腫瘍の成長は、血管新生に依存していることが示されている。白血病の進行、並びに、悪性の腹水症及び胸膜滲出に関連した体液の蓄積も、プロ血管新生因子(pro-angiogenic factor)を伴っている(以下を参照されたい: Folkmann, J., J. Nat’l. Cancer Inst., 1990, 82, 4-6.)。従って、プロ血管新生経路(pro-angiogenic pathway)を標的とすることは、医療におけるまだ満たされていない大きな要求の領域における新しい治療法を提供するために広く追求されている方法である。
【0010】
血管新生プロセスの中核を成すものは、血管内皮増殖因子(VEGF)及びその受容体(血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)と称される)である。VEGFに対する3種類のプロテインチロシンキナーゼ受容体が同定されている:VEGFR 1(Flt-1);VEGFR 2(Flk-1 及び KDR)、及び、VEGFR 3(Flt-4)。これらの受容体は、血管新生に関与し、また、シグナル伝達に関与している。(Mustonen, T. et al J. Cell Biol. 1995:129:895-898;Ferrara and Davis-Smyth, Endocrine Reviews, 18(1):4-25, 1997;McMahon, G., The Oncologist, Vol. 5, No 90001, 3-10, April 2000)。
【0011】
特に興味深いのはVEGFR-2であり、これは、主に内皮細胞で発現される膜貫通受容体プロテインチロシンキナーゼである。VEGFによるVEGFR-2の活性化は、腫瘍の血管新生を開始するシグナル伝達経路における重要なステップである。従って、VEGFR-2キナーゼドメインに対する拮抗作用は、チロシン残基のリン酸化反応を妨害し、血管新生の開始を中断する作用を有するであろう。その結果、癌又は不適切な血管新生を伴う別の障害に対する強力な治療方法が提供されるであろう。
【0012】
プロテインチロシンキナーゼのerbBファミリーは、ヒトの悪性腫瘍にかかわるキナーゼの別のグループである。Erb B1受容体の活性の増大は、例えば、非小細胞肺癌、膀胱癌、腎細胞癌及び頭頚部癌などに関連付けられてきた。c-erbB-2活性の増大は、乳癌、卵巣癌、胃癌及び膵臓癌に関連している。従って、そのようなプロテインチロシンキナーゼを阻害することにより、Erbファミリープロテインキナーゼの異常な活性を特徴とする障害の治療法が提供される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の化合物は、プロテインキナーゼ類の阻害又はプロテインキナーゼ類に対する拮抗作用により媒介されることを特徴とし得るさまざまな疾患状態において有効であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
手短に述べれば、一態様において、本発明は、式(I):
【化1】

【0015】
[上記式中、
R1は、H、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C(O)N(H)R2又は-N=CR3であり、ここで、R1が置換アリール又は置換ヘテロアリールである場合、各置換基は、独立して、アリール、ハロ及び-OR4からなる群から選択され;
R2は、置換アリールであり、ここで、各置換基は、独立して、シアノ、ハロ、ニトロ及びハロアルキルからなる群から選択され;
R3は、ヘテロアリールであり;及び、
R4は、アリール又はハロアリールである]
で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を提供する。
【0016】
本発明の別の態様では、式(I)で表される化合物を含んでいる医薬組成物が提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、癌又は糖尿病の治療方法における式(I)で表される化合物の投与が提供される。
【0018】
本発明の別の態様では、治療で使用するための、特に、ヒト用医薬で使用するための、式(I)で表される化合物が提供される。
【0019】
本発明の別の態様では、癌又は糖尿病を治療するための薬物を製造するための、式(I)で表される化合物の使用が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
用語は、それらの一般に認められている意味で使用されている。以下の定義は、その定義されている用語を理解しやすくすることを意図したものであって、限定することを意図したものではない。
【0021】
本明細書で使用されている場合、「式(I)で表される化合物」は、式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を意味する。
【0022】
本明細書で使用されている場合、用語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖の炭化水素、好ましくは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素を意味する。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、t-ブチル、イソペンチル及びn-ペンチルなどを挙げることができる。
【0023】
本明細書で使用されている場合、用語「アリール」は、芳香環系、例えば、ベンゼン環系、例えば、フェニルを意味する。この用語には、1つ以上のベンゼン環が、例えば、アントラセン、フェナントレン又はナフタレン環系を形成している縮合環系も包含される。この用語には、場合により存在していてもよいアルキレンリンカー(例えば、C1-C6-アルキレン)を含み、そのリンカーによって該アリール基が結合していてもよい。「アリール」基の例としては、限定するものではないが、フェニル、ベンジル、2-ナフチル、1-ナフチル及びビフェニルなどを挙げることができる。
【0024】
本明細書で使用されている場合、用語「ヘテロアリール」は、1個以上の窒素原子、硫黄原子及び/又は酸素原子(ここで、N-オキシド、酸化硫黄及び二酸化硫黄も、許容されるヘテロ原子置換基である)を含んでいる、単環式の5員〜7員の芳香環又はそのような芳香環2つを含んでいる縮合2環式芳香環系を意味する。本発明において使用される「ヘテロアリール」基の例としては、限定するものではないが、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、インドール及びインダゾールなどを挙げることができる。好ましいヘテロアリール基としては、ベンゾイミダゾリル及びインドリルなどがある。
【0025】
本明細書で使用されている場合、用語「ハロ」は、-F、-Cl、-Br又は-Iを意味する。
【0026】
本明細書で使用されている場合、用語「ハロアルキル」は、少なくとも1個のハロゲンで置換されている、本明細書で定義されているアルキル基を意味する。本発明において有用な分枝鎖又は直鎖の「ハロアルキル」基の例としては、限定するものではないが、独立に1個以上のハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード)で置換されている、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル及びt-ブチルなどを挙げることができる。用語「ハロアルキル」は、-CF3、-CH2-CH2-F及び-CH2-CF3などの置換基を包含するものと解釈されるべきである。
【0027】
本明細書で使用されている場合、用語「ハロアリール」は、少なくとも1個のハロゲンで置換されている、本明細書で定義されているアリール基を意味する。本発明において有用な「ハロアリール」基の例としては、限定するものではないが、独立に1個以上のハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード)で置換されている、フェニル及びナフチルなどを挙げることができる。
【0028】
本明細書で使用されている場合、用語「ニトロ」は、基-NO2を意味する。
【0029】
本明細書で使用されている場合、用語「シアノ」は、基-CNを意味する。
【0030】
本明細書で使用されている場合、用語「溶媒和物」は、溶質(本発明においては、式(I)の化合物又はその塩)と溶媒によって形成された可変的な化学量論の錯体である。本発明のためのそのような溶媒は、前記溶質の生物学的活性を妨げてはならない。適する溶媒の例としては、限定するものではないが、水、メタノール、エタノール及び酢酸などを挙げることができる。好ましくは、使用される溶媒は、製薬上許容される溶媒である。適する製薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノール及び酢酸などを挙げることができる。最も好ましくは、使用される溶媒は水である。
【0031】
典型的には、本発明の塩は、製薬上許容される塩である。用語「製薬上許容される塩」に包含される塩は、本発明化合物の非毒性塩である。本発明化合物の塩は、本発明化合物内の置換基上の窒素から誘導される酸付加塩を包含し得る。代表的な塩には以下の塩などがある:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩(edisylate)、エストール酸塩(estolate)、エシル酸塩(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド塩、トリメチルアンモニウム塩、及び、吉草酸塩。製薬上許容されない別の塩は、本発明化合物の調製において有用であり得る。そのような塩は、本発明のさらに別の態様を形成する。
【0032】
本発明の好ましい態様は、R1がHである、式(I)の化合物である。
【0033】
本発明の好ましい別の態様は、R1が置換アリール又は置換ヘテロアリール(ここで、各置換基は、独立して、アリール、ハロ及び-OR4からなる群から選択され、R4は、アリール又はハロアリールである)である、式(I)の化合物である。
【0034】
本発明の好ましい別の態様は、R1が-C(O)N(H)R2であり且つR2が置換アリール(ここで、各置換基は、独立して、シアノ、ハロ、ニトロ及びハロアルキルからなる群から選択される)である、式(I)の化合物である。
【0035】
本発明のさらなる態様は、
【化2】

【0036】
[式中、R5及びR6は、独立して、水素、ハロ及び-OR4からなる群から選択され、R4は、アリール又はハロアリールであり、R7は、シアノ、ハロ、ニトロ及びハロアルキルである]
から選択される、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物である。
【0037】
各可変部分に関し、各可変部分に対する好ましい基について上記において一般的に別々に挙げたが、本発明の好ましい化合物には、式(I)における幾つかの可変部分又は各可変部分が、各可変部分についての好ましい基、さらに好ましい基又は最も好ましい基から選択される化合物が包含される。従って、本発明は、好ましい基、さらに好ましい基及び最も好ましい基の全ての組合せを包含するものである。
【0038】
式(I)で表される具体的な化合物としては、限定するものではないが、以下の実施例のところで記載されている化合物などがある。本発明の好適な化合物としては、以下のものなどを挙げることができる:
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-(3-クロロ-4-{[(3-フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-{3-クロロ-4-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-[2-(フェニルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ-[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-(3-シアノフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N-(3-ニトロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
N-(4-ブロモフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N-(4-フルオロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
1H-インドール-3-カルバルデヒドピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルヒドラゾン;
並びにこれらの塩及び溶媒和物。
【0039】
本発明の治療方法において、式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物は、任意の適切な併用療法において、同時に組合せて又は順次に組み合わせて、用いることができる。そのような複数の化合物は、(1)両方の化合物を含んでいる単一の医薬組成物の中に含ませるか、又は、(2)該化合物の一方を含んでいる別々の医薬組成物の中に含ませて、同時に投与することにより、本発明に従って組み合わせて用いることができる。あるいは、そのような複数の化合物は、一方を最初に投与し、他方を二番目に投与するか、又はその逆であるような、順次的な方法で別々に投与することができる。そのような順次投与は、時間的に近くてよいか、又は、時間的に離れていてよい。
【0040】
本発明の癌治療方法は、本発明の組合せとの適切な任意の併用療法において、同時に組合せて又は順次に組み合わせて、少なくとも1種類の付加的な癌治療を投与することも包含し得る。そのような付加的な癌治療は、放射線療法、外科的療法及び/又は少なくとも1種類の付加的な化学療法(これは、少なくとも1種類の抗新生物薬の投与を包含する)を包含し得る。
【0041】
好ましい実施形態では、本発明の方法により治療される癌は、乳癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、腎臓癌又は膀胱癌である。好ましい別の実施形態では、本発明の方法により治療される癌は、中皮腫、肝胆癌(hepatobiliary cancer)、多発性骨髄腫、肉腫又は白血病である。
【0042】
腎臓は、血液を濾過し、老廃物を濾過細管の複雑な系を通して尿中に排出する、脊椎の両側に位置している一対の豆型の器官である。体内の全血液は、1時間あたり約20回腎臓を通過する。腎細胞癌(RCC)は、癌のまれな形態であり、それは、殆どの場合、腎臓の濾過細管内面に癌細胞が存在していることを特徴とする。腎臓の外部に広がって、体内の幾つかの及び/又は遠位の部位にまで及んでいる癌は、転移性RCCと称される。
【0043】
本発明の一実施形態では、腎細胞癌の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0044】
肺癌は、肺の一方又は両方における異常細胞の制御されない増殖である。正常な肺組織細胞は、再生されて健全な肺組織となるが、上記異常細胞は、急速に再生され、正常な肺組織に成長することはない。次いで、癌細胞の塊(腫瘍)が形成され、これが、肺を分断する。その結果、肺は正常に機能するのが困難となる。肺癌の多くの形態が存在するが、その大部分は、2つの型(小細胞肺癌又は非小細胞肺癌(NSCLC))のうちの一方として分類される。これらのうちで、約75%は、NSCLCである。
【0045】
肺癌のうちの87%を超えるものが、喫煙に関連している。しかしながら、全ての喫煙者が肺癌にかかるわけではない。禁煙により個々のリスクは有意に低減されるが、喫煙経験者は、依然として、喫煙をしたことのない人々よりも肺癌に対して高いリスクを有している。アスベストやラドンガスなどの別の発ガン性物質に晒された場合も、特に、煙草又は葉巻の喫煙と組み合わされた場合、個々のリスクは上昇する。例えば、中皮腫(中皮腫は、悪性細胞が胸の内側を覆っている嚢(胸膜)、腹腔の内面(腹膜)又は心臓の周囲の上皮(心膜)に見られる、まれな形態の癌である)を患っている患者の大部分は、その生涯のいずれかの時に、仕事場又は自宅でアスベストに晒された経験を有する。
【0046】
本発明の別の実施形態では、肺癌の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0047】
結腸又は直腸の癌は、結腸直腸癌と称される。この癌は、腫瘍が大腸の内面で成長した場合に生じる。発生率は、男性と女性の間で同様であり、この癌に対するリスクは、50歳を過ぎてから上昇する。現在、結腸直腸癌は、米国において、4番目に頻度の高い癌である。
【0048】
本発明の別の実施形態では、結腸直腸癌の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0049】
乳癌は、乳房組織内の細胞が正常な制御が無い状態で分裂及び増殖するタイプの癌である。乳癌の約80%は乳管で生じるが、約20%は小葉で生じる。乳房における癌性腫瘍は、通常、非常にゆっくりと成長し、塊として感じるのに充分な大きさになるまで、10年もの長い間にわたって成長し得る。乳癌は、殆どの場合、女性で生じるが、男性は、乳癌と診断されたヒトの約1%を占める。
【0050】
本発明の別の実施形態では、乳癌の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0051】
膀胱の癌は、男性では4番目に頻度の高い悪性腫瘍であり、女性では、10番目に頻度の高い悪性腫瘍である。各年、米国では、50,000人を超えるヒトが膀胱癌を発症し、そのうち、12,000人を超えるヒトが、最終的に、この病気で死ぬ。
【0052】
膀胱癌は、通常、60歳を超えるヒトにおいて生じる傾向がある。喫煙及び工業的に使用される特定の化学物質(アリールアミン類と称される化合物の誘導体)への暴露は、膀胱癌の発症と強く関連している。これらの癌の大部分(約90%)は、尿路上皮細胞(urothelium)又は移行上皮細胞(transitional epithelium)として知られている膀胱の内面の細胞(lining cell)で生じる。
【0053】
本発明の別の実施形態では、膀胱癌の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0054】
多発性骨髄腫(MM)は、血液悪性腫瘍の約10%を占める形質細胞の悪性疾患である(Blade, J. et al. British Journal of Haematology, 1998:102:1115-23)。新たに得られた証拠は、MMの病因においてVEGFが重要な役割を果たしている可能性があるということを示唆している。骨髄腫細胞はVEGFR-1を発現するが、VEGFは、悪性細胞の増殖及び転移(migration)を誘発するということが示されている(Podar, K. et al. Journal Bioligical Chemistry, 2002:277:7875-7881)。MMを患っている患者において、VEGFの血清レベルの上昇及び塩基性肝細胞成長因子(HGF)が報告されている(Iwasaki, T et al. British Journal of Haematology, 2002:116:796-802)。さらに、VEGFは、骨髄腫細胞系及び患者の細胞で発現及び分泌され、さらに、骨髄間質細胞(BMSC)でも発現及び分泌される。
【0055】
本発明の別の実施形態では、多発性骨髄腫の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0056】
肉腫は、癌細胞が結合組織として知られている体内の正常細胞から生じるか又はその正常細胞に類似している、一般的な種類のまれな癌である。正常な結合組織は、脂肪、筋肉、血管、深部皮膚組織、神経、骨及び軟骨を含んでいる。これらの正常な組織のいずれかに類似している細胞の癌は、肉腫として知られている。肉腫は、癌を形成する細胞の特定の型に基づいて、下位分類される。例えば、平滑筋肉腫は、平滑筋組織から発生する悪性腫瘍である。軟骨肉腫は、軟骨(cartlidge)を形成する細胞の腫瘍である。
【0057】
本発明の別の実施形態では、肉腫の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0058】
肝胆腫瘍(hepatobiliary tumor)は、肝臓、胆管及び胆道(これは、肝臓又は胆嚢から小腸まで胆汁が流れる管である)の表面又は内部で生じる異常な増殖である。肝臓及び胆道の癌について、世界中で、毎年、約100万の新しい症例が診断されている。発病率は、国によってさまざまであるが、幾つかの地域は、「ホットスポット」と考えられている。そのような地域には、中国、日本及びサハラ以南のアフリカなどがある。これらの地域における高い比率は、B型肝炎、並びに/又は、食料品、貯蔵穀物、飲料水及び土壌のマイコトキシン汚染と関連している可能性があると考えられている。
【0059】
本発明の別の実施形態では、肝胆腫瘍の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0060】
白血病は、白血球(white blood cell)(WBC又は白血球(leukocyte)とも称される)から生じる癌である。血液は、数種類の細胞(白血球、赤血球及び血小板)からなり、血漿と称される液体中を運搬される。白血球は、細菌、ウイルス及び別の異種細胞を破壊することにより、感染の予防及び感染との闘いに役立つ。赤血球(red blood cell)(RBC又は赤血球(erythrocyte)とも称される)は、体内の全ての部分に酸素を運ぶ。血小板は、負傷後の出血を抑制するのに役立つ。血液を作る細胞(幹細胞)は、骨髄で産生され、さらに、脾臓、リンパ節及び別の器官でも産生される。
【0061】
本発明の別の実施形態では、白血病の治療方法が提供され、ここで、該方法は、当該哺乳動物に式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む。
【0062】
本発明の糖尿病の治療方法は、グルコースを低下させる別の治療薬との適切な任意の併用療法において、同時に組合せて又は順次に組み合わせて、式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物を投与することも包含し得る。一例として、本発明によるII型糖尿病併用療法は、かくして、式(I)で表される少なくとも1種類の化合物の投与とグルコースを低下させる少なくとも1種類の別の治療の使用を含むであろう。さらに別の例として、本発明による併用療法は、式(I)で表される少なくとも1種類の化合物とグルコースを低下させる少なくとも1種類の別の治療薬(例えば、スルホニル尿素(sulfonourea))の投与を含む。
【0063】
癌又は糖尿病の治療において使用するために、式(I)で表される化合物及びその塩又は溶媒和物は、原料の化学薬品として投与することもできるが、当該活性成分を医薬組成物として供することも可能である。従って、本発明は、さらに、代謝性の疾患又は障害を治療するための本発明の方法において投与し得る医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、式(I)で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物と製薬上許容される1種類以上の担体、希釈剤又は賦形剤を含有する。該担体、希釈剤又は賦形剤は、当該製剤中の残りの成分と適合性であり且つ当該製剤を受けるレシピエントに対して有害ではないという意味において、許容されるものでなくてはならない。
【0064】
医薬製剤は、単位用量当たり所定量の活性成分を含有する単位投与形態として提供し得る。そのような単位は、治療しようとする状態、投与経路、並びに、患者の年齢、体重及び状態に応じて、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは、1mg〜700mg、さらに好ましくは、5mg〜100mgの式(I)の化合物を含有し得るか、又は、医薬製剤は、単位用量当たり所定量の活性成分を含有する単位投与形態として提供し得る。好ましい単位投与量製剤は、活性成分の上記で述べたような一日用量若しくは用量以下の量又はその適切な分割量を含有する製剤である。さらに、そのような医薬製剤は、製薬の技術分野でよく知られている方法のいずれかにより調製することができる。
【0065】
式(I)で表される化合物は、適切ないずれかの経路により投与することができる。適切な経路としては、経口、直腸内、鼻腔内、局所(口腔内及び舌下など)、膣内及び非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下及び硬膜外など)などがある。好ましい経路は、例えばレシピエントの状態によって、さまざまであり得るということは理解されるであろう。
【0066】
経口投与に適合させた医薬製剤は、カプセル剤若しくは錠剤のような個別単位;散剤若しくは顆粒剤;水性若しくは非水性液体中の溶液剤若しくは懸濁液剤;食用泡状剤若しくはホイップ剤;又は、水中油型液体エマルション剤若しくは油中水型液体エマルション剤として提供することができる。
【0067】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与する場合、該活性薬物成分を、エタノール、グリセロール及び水などのような経口用の無毒性で製薬上許容される不活性担体と組合せることができる。散剤は、該化合物を適切な微細な寸法に粉砕し、同様に粉砕した食用炭水化物(例えば、デンプン又はマンニトールなど)などの製薬用担体と混合させることにより調製する。矯味矯臭剤、保存剤、分散剤及び着色剤を存在させることもできる。
【0068】
カプセル剤は、上述したように粉末混合物を調製し、形成させておいたゼラチンシースに充填することにより作製することができる。充填操作に先立ち、コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固体状ポリエチレングリコールなどの滑沢剤及び流動促進剤(glidant)を前記粉末混合物に添加することができる。寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムなどの可溶化剤又は崩壊剤を添加して、カプセル剤が摂取されたときの薬物の有効性を改善することもできる。
【0069】
さらに、所望又は必要であれば、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤もまた上記混合物中に配合することができる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖類、例えば、グルコース又はβ-ラクトース、トウモロコシ甘味剤、天然ゴム及び合成ゴム、例えば、アラビアゴム、トラガカントゴム又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びワックスなどを挙げることができる。上記投与形態に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウムなどを挙げることができる。崩壊剤としては、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト及びキサンタンガムなどを挙げることができる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒又はスラッギング(slugging)し、滑沢剤及び崩壊剤を加え、圧縮成形して錠剤とすることにより製剤することができる。粉末混合物は、適切に粉砕した該化合物を、上記希釈剤又は基剤と混合させ、さらに、場合により、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン又はポリビニルピロリドン、溶液抑制剤(solution retardant)、例えば、パラフィン、吸収促進剤、例えば、4級塩、及び/又は、吸収剤、例えば、ベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウムなどと混合させることにより調製する。前記粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカジア粘質物(acadia mucilage)又はセルロース物質若しくはポリマー物質の溶液などの結合剤で湿らせ、スクリーンを通して押し出すことによって造粒することができる。造粒するための別法として、前記粉末混合物を錠剤機に通すことができるが、それによって得られたものは形成の不完全なスラグであり、砕いて顆粒にする。この顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱油を添加することによって滑沢化して、錠剤成形ダイに付着するのを防ぐことができる。次いで、滑沢化された前記混合物を圧縮成型して錠剤とする。本発明の化合物は、さらにまた、自由流動性の不活性担体と組合せて、造粒ステップ又はスラッギングステップを経ることなく直接圧縮成型して錠剤とすることもできる。セラックのシーラー(sealing coat)からなる透明又は不透明の保護コーティング、糖又はポリマー物質のコーティング、及び、ワックスのつや出しコーティングを施すことができる。異なる単位投与量を区別するために、これらのコーティングに染料を添加することができる。
【0070】
溶液剤、シロップ剤及びエリキシル剤などの経口用液体は、所定量が予め定められた量の該化合物を含むように投与単位形態として調製することができる。シロップ剤は、適切に矯味した水溶液に該化合物を溶解させることによって調製することができ、また、エリキシル剤は、無毒性のアルコール系ビヒクルを使用することにより調製する。懸濁液剤は、該化合物を無毒性ビヒクルに分散させることによって製剤することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールやポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤及び乳化剤、保存剤、ペパーミント油などの着香添加剤、又は、天然甘味剤若しくはサッカリン若しくは別の人工甘味剤なども添加することができる。
【0071】
適切な場合には、経口投与用の投薬単位製剤をマイクロカプセル化することができる。この製剤は、さらにまた、例えば、粒状物質にコーティングを施すか又は粒状物質をポリマー若しくはワックスなどに包埋することにより、放出が延長又は持続されるように調製することもできる。
【0072】
本発明に従って使用するための薬剤は、さらにまた、単ラメラ小胞、大単ラメラ小胞及び多重ラメラ小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成させることができる。
【0073】
本発明に従って使用するための薬剤は、さらにまた、該化合物分子が結合している個々の担体としてのモノクローナル抗体を使用することにより送達することもできる。該化合物は、さらにまた、ターゲッティング可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール又はパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシドポリリシンなどを挙げることができる。さらに、該化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用なある種の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及び、ヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロック共重合体などに結合させてもよい。
【0074】
経皮投与に適合させた医薬製剤は、長期間にわたりレシピエントの表皮と密接に接触した状態で保持されることを意図した個別の貼付剤として提供することができる。例えば、該活性成分は、「Pharmaceutical Research, 3(6), 318(1986)」に概説されているように、イオン導入法によりパッチから送達させることができる。
【0075】
局所投与に適合させた医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液剤、ローション剤、散剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エーロゾル剤又は油剤として製剤することができる。
【0076】
眼の治療、又は、他の外部組織、例えば、口や皮膚などの治療に関しては、該製剤は、好ましくは、局所用軟膏剤又はクリーム剤として適用する。軟膏剤として製剤する場合、該活性成分をパラフィン系軟膏基剤又は水混和性軟膏基剤のいずれかと一緒に使用し得る。あるいは、該活性成分を、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤を有するクリーム剤として製剤することもできる。
【0077】
眼への局所投与に適合させた医薬製剤としては、該活性成分が適切な担体(特に、水性溶媒)に溶解又は懸濁されている点眼剤などがある。
【0078】
口内への局所投与に適合させた医薬製剤としては、ロゼンジ剤、パステル剤及び口内洗浄剤などがある。
【0079】
直腸内投与に適合させた医薬製剤は、坐剤又は浣腸剤として提供することができる。
【0080】
担体が固体である鼻内投与に適合させた医薬製剤としては、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する、粗粉末剤などがあり、この粗粉末剤は、鼻から吸い込む方法により、即ち、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻腔を介して急速に吸入することにより投与される。経鼻スプレー剤又は点鼻剤として投与するための、担体が液体である適切な製剤としては、該活性成分の水性溶液剤又は油性溶液剤などがある。
【0081】
吸入による投与に適合させた医薬製剤としては、種々のタイプの計量加圧式エーロゾル、噴霧器又は吹き入れ器により生成させ得る微粒子ダスト剤又はミスト剤などがある。
【0082】
膣内投与に適合させた医薬製剤は、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡剤(foam)又はスプレー製剤として提供することができる。
【0083】
非経口投与に適合させた医薬製剤としては、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、及び該製剤を意図されたレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有していてもよい水性及び非水性の無菌注射用溶液剤;並びに、懸濁化剤及び粘稠化剤を含んでいてもよい水性及び非水性の無菌懸濁液剤などを挙げることができる。該製剤は、単位用量又は複数回分の用量の容器(例えば、密封したアンプル及びバイアル瓶など)に入れて提供し得る。また、該製剤は、使用直前に例えば注射用蒸留水などの無菌の液体担体を加えることのみが必要とされる凍結乾燥状態で保存することができる。即製の注射用溶液及び懸濁液は、無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
【0084】
上記で特に言及した成分に加えて、該製剤には、その製剤のタイプを考慮して、当技術分野で慣用の別の作用物質を含ませてもよいことは理解されるべきである。例えば、経口投与に適する製剤には、矯味矯臭剤を含ませることができる。
【0085】
本発明は、数種類の症状又は疾患を治療する方法を提供し、そのような方法は全て、式(I)で表される化合物を投与するステップを含んでいる。本明細書で使用される場合、用語「治療」は、特定の状態を緩和すること、該状態の症状を除去するか又は軽減すること、該状態の進行を遅くするか又は止めること、及び、患者における該状態の最初の発症又は以前に罹患した患者における該状態の再発を予防するか又は遅延させることを意味する。
【0086】
治療で使用するのに必要とされる式(I)の化合物の量が、治療する状態の種類、並びに、患者の年齢及び状態によって変わり、最終的には、担当の医師又は獣医師の裁量によるということは理解されるであろう。典型的には、式(I)で表される化合物は、1日当たり、レシピエント(哺乳動物)の体重1kg当たり、0.1〜100mgの範囲、より一般的には、1日当たり、体重1kg当たり、1〜10mgの範囲であるで投与される。所望される用量は、好都合には、単一用量で供し得るか、又は、適切な間隔で投与される分割された用量として、例えば、1日当たり、2回、3回、4回若しくはさらに多くの回数の用量より少ない量として供し得る。
【0087】
本発明の化合物は、さまざまな方法で調製することができる。例証的な一般的合成方法について以下に記載し、次に、本発明の特定の化合物を実施例において調製する。
【0088】
以下に記載されている全ての実施例において、合成化学の一般原理により必要とされる場合は、感受性基又は反応性基に対して保護基が用いられる。保護基は、有機合成の標準的方法に従って処理する(T.W. Green and P.G.M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons;保護基に関しては、参照により本明細書に組み入れる)。これらの基は、当業者には極めて明白な方法を用いて、化合物合成の都合のよい段階で除去する。調製方法の選択並びにそれを実施する際の反応の条件及び順序は、式(I)の化合物の調製と調和させる。
【0089】
式(I)で表される化合物に立体中心(stereocenter)が存在するかどうかは、当業者には理解される。従って、本発明には、可能な全ての立体異性体が包含され、また、ラセミ化合物だけでなく個別のエナンチオマーも包含される。単一のエナンチオマーとしての化合物が望まれる場合、それは、立体特異的合成により得ることができるか、又は、最終生成物若しくは任意の都合のよい中間体を分割することにより得ることができるか、又は、当技術分野で知られているキラルクロマトグラフィー法により得ることができる。最終生成物、中間体又は出発物質は、当技術分野で知られている適切ないずれかの方法により分割することができる。例えば、以下の文献を参照されたい:Stereochemistry of Organic Compounds by E.L. Eliel, S.H. Wilen, and L.N. Mander (Wiley-Interscience, 1994)(立体化学に関しては、参照により本明細書に組み入れる)。
【0090】
略語
本明細書で使用される場合、これら調製方法、スキーム及び実施例で用いられている記号及び慣行は、同時期の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society、又は、Journal of Biological Chemistryなどで用いられているものと一致している。特に別途示されていない限り、全ての出発物質は、商業的供給業者から入手し、それ以上精製することなく使用した。特に、実施例において、及び、明細書全体を通して、以下の略語を使用し得る。
【表1】

【0091】
特に別途示されていない限り、全ての温度は℃(摂氏温度)で表されている。全ての反応は、特に別途示されていない限り、不活性雰囲気下、室温で行った。
【0092】
1H NMRスペクトルは、Varian VXR-300計器、Varian Unity-300計器、Varian Unity-400計器、Varian Unity-INOVA-300計器、Varian Unity-INOVA-400計器、又は、Mercury VX-400計器で記録した。化学シフトは、百万分率(ppm, δ単位)で表してある。分裂パターンは、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、br(広幅)、hept(七重線)として示してある。
【0093】
低分解能質量スペクトル(MS)は、JOEL JMS-AX505HA分光計、JOEL SX-102分光計、SCIEX-APIiii分光計、Waters ZQ分光計、Waters ZMO分光計、Waters Quattro Micro分光計、又は、Waters GCT分光計で記録した。質量スペクトルは、全て、エレクトロスプレーイオン化法(ES;ポジティブイオンモード又はネガティブイオンモードのいずれか)、大気圧化学イオン化法(APCI)、又は、高速原子衝撃法(FAB)により得た。赤外(IR)スペクトルは、1-mm NaClセルを用いて、Nicolet 510 FT-IR分光計で得た。全ての反応は、薄層クロマトグラフィー(0.25mm E. Merck シリカゲルプレート(60F-254);UV光による視覚化;ヨウ素染色、又は、7%エタノール性リンモリブデン酸又はp-アニスアルデヒド溶液)によりモニタリングした。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(230-400メッシュ, Merck)で行った。
【0094】
分析的純度(analytical purity)は、ダイオードアレイ分光計を備えたHewlett Packardシリーズ1050又は1100システムで評価した。固定相は、Dynamax C8カラム(25cm×4.1mm)、Dynamax 60A C18カラム(25cm×4.6mm)、Vydac C18カラム(5m, 4.6mm×250mm)、Supelco C18カラム(5m, 4.6mm×150mm)、又は、Rainin C18カラム(5m, 4.6mm×250mm)のいずれかであった。流速は、1.0〜1.5mL/分であり(t0=2.8又は3.0分)、溶媒系は以下に記載してあるとおりである。エナンチオマー純度は、ダイオードアレイ分光計を備えたHewlet Packardシリーズ1050 HPLCシステム上で、又は、移動相としてCO2/メタノールを用いるSupercritical Fluid(SFC)システム上で、Chiralpak ADカラム(25cm×4.6mm)又はChiralpak ODカラム(25cm×4.6mm)のいずれかを用いて評価した。
【0095】
合成方法
式(I)で表される化合物は、以下の反応スキーム(該スキーム中における全ての可変部分は、先に定義されているとおりである)及び実施例又はそれらに変更を加えたものに従い、容易に入手可能な出発物質、試薬及び慣習的な合成手順を用いて、容易に調製することができる。これらの反応において、当業者には自体公知の変形態様(詳細には記載していない)を用いることも可能である。
【0096】
アミノニトリル中間体(1)(2-アミノ-3-シアノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン)は、市販されているN-アミノピリジニウムヨージド及びマロノニトリルから合成した(スキーム1)。これらの試薬をエタノール中で合し、2当量の炭酸カリウムの存在下でマイクロ波を照射して加熱することにより、シリカゲルクロマトグラフィーに付した後、所望の生成物が得られる。
【0097】
スキーム1
【化3】

【0098】
この中間体を用いて、それぞれ、スキーム2及びスキーム3に示してあるように、アニリノ置換誘導体及び尿素置換誘導体を調製することができる。かくして、触媒量の濃硫酸を含んでいるギ酸中でアミノニトリル(1)を加熱することにより、ピリミジノン(2)が得られる。塩化物(3)への変換は、純粋なオキシ塩化リン中で加熱することにより達成することができる。最終的な三環式アニリン(4)は、クロリドをアニリンと置き換えることにより調製することができる。これは、当該試薬を適切な溶媒中で合し、マイクロ波を照射して加熱することにより達成することができる(スキーム2)。
【0099】
スキーム2
【化4】

【0100】
尿素置換誘導体の調製は、マイクロ波照射を使用して、ホルムアミド中でアミノニトリル(1)を加熱することにより、達成することができる。得られたアミン(5)は、スキーム3に表されているように、イソシアネートと縮合させて、三環式尿素(6)とすることができる。
【0101】
スキーム3
【化5】

【0102】
以下の実施例は、例証することのみを目的としており、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0103】
実施例
実施例1: ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【化6】

【0104】
ステップ1. 2-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル
【化7】

【0105】
丸底フラスコに、N-アミノピリジニウムヨージド(2.20g)、炭酸カリウム(2.76g)、マロノニトリル(0.66g)及びエタノール(100mL)を入れた。その混合物を、数時間、加熱還流した。減圧下にエタノールを除去し、水で置き換えた。水性混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで脱水した。その乾燥した塩を濾過により除去し、濾液を濃縮して油状物とした。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで生成して、2-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(0.400g)を黄褐色の粉状物として得た。
【0106】
H1 NMR(d6-dmso) 8.48(d, 1H), 7.35-7.45(m, 2H), 6.88(dd, 1H), 6.3(br s, 2H)。
【0107】
ステップ2. ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【化8】

【0108】
5mL容のマイクロ波管に、2-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(0.50g, 実施例1のステップ1で得たもの)及びホルムアミド(3mL)を入れた。その反応物を、マイクロ波照射を用いて240℃で10分間加熱した。その混合物を急速撹拌下にある氷水中に添加し、室温まで昇温させた。生じた固体をフィルター上に集めて、ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンを黄褐色の粉状物(464mg)として得た。
【0109】
H1 NMR(d6-dmso) 8.98(d, 1H), 8.61(d, 1H), 8.31(s, 1H), 7.66(dd, 1H), 7.64(br s, 2H), 7.37(dd, 1H)。
【0110】
実施例2: ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(1H)-オン
【化9】

【0111】
丸底フラスコに、2-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1.0g, 実施例1のステップ1で得たもの)及びギ酸(10mL)を入れた。2滴の硫酸(conc.)を添加し、その混合物を、約5時間又は出発物質が完全に消費されるまで、90℃に加熱した。その反応物を冷却し、ジエチルエーテルで希釈した。生じた固体をフィルター上に集め、ジエチルエーテルで洗浄し、風乾してピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(1H)-オンをオフホワイト色の粉状物(1.06g)として得た。
【0112】
H1 NMR(d6-dmso) 8.99(d, 1H), 8.15(s, 1H), 8.09(d, 1H), 7.70(dd, 1H), 7.35(dd, 1H)。
【0113】
実施例3: 4-クロロピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化10】

【0114】
丸底フラスコに、ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(1H)-オン(1.1g, 実施例2で得たもの)及びオキシ塩化リン(50mL)を入れた。その混合物を、出発物質が消費されたことによって反応が完了したことが明らかになるまで、150℃に加熱した。その混合物を冷却し、ジエチルエーテルで希釈した。生じた固体をフィルター上に集め、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下に乾燥させて、4-クロロピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンをオフホワイトの色の粉状物(310mg)として得た。
【0115】
H1 NMR(d6-dmso) 9.31(d, 1H), 8.92(s, 1H), 8.55(d, 1H), 8.00(dd, 1H), 7.75(dd, 1H)。
【0116】
実施例4: N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【化11】

【0117】
丸底フラスコに、4-クロロピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(40mg, 実施例3で得たもの)、イソプロパノール(10mL)及び3-クロロ-4-フルオロアニリン(28.5mg)を入れた。この混合物に、1滴の塩酸(conc.)を添加した。その反応物を、出発物質が完全に消費されまで加熱還流した。減圧下にイソプロパノールを除去し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で置き換えた。その水性混合物を酢酸エチルで抽出し、有機抽出物を硫酸マグネシウムで脱水した。その乾燥した塩を濾過により除去し、濾液を濃縮乾固させた。残渣をジエチルエーテルを用いて摩砕し、生じた固体をフィルター上に集めて、N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(15mg)を粉状物として得た。
【0118】
H1 NMR(d6-dmso) 9.20(br s, 1H), 9.05(d, 1H), 8.74(d, 1H), 8.54(s, 1H), 8.06(d, 1H), 7.74-7.84(m, 2H), 7.47(dd, 1H), 7.40(m, 1H); 質量(ES- 312, 314)。
【0119】
実施例5: N-(3-クロロ-4-{[(3-フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【化12】

【0120】
3-クロロ-4-フルオロアニリンを3-クロロ-4-{[(3-フルオロフェニル)メチル]オキシ}アニリンで置き換えた以外は、実施例4と同じ手順を用いて、N-(3-クロロ-4-{[(3-フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンを得た。
【0121】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) d ppm 9.21(s, 1H) 9.12(d, J=6.59Hz, 1H) 8.83(d, J=8.79Hz, 1H) 8.53(s, 1H) 7.92(m, 1H) 7.81(m, J=6.39, 6.39Hz, 1H) 7.68(m, 1H) 7.40(m, 6H) 5.27(s, 2H); 質量(ES+ 402, 404)。
【0122】
実施例6: N-{3-クロロ-4-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【化13】

【0123】
3-クロロ-4-フルオロアニリンを{3-クロロ-4-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アミンで置き換えた以外は、実施例4と同じ手順を用いて、N-{3-クロロ-4-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンを得た。
【0124】
1H NMR(400MHz, アセトン) δ ppm 8.94(d, J=6.77Hz, 1H) 8.58(d, J=8.61Hz, 1H) 8.54(s, 1H) 8.41(br. s., 1H) 8.00(d, J=2.56Hz, 1H) 7.98(s, 1H) 7.71(m, 2H) 7.52(m, 2H) 7.44(m, 1H) 7.39(m, 1H) 7.32(m, 1H) 7.20(d, J=8.79Hz, 1H) 5.23(s, 2H); 質量(ES+ 401, 403)。
【0125】
実施例7: N-[2-(フェニルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ-[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【化14】

【0126】
3-クロロ-4-フルオロアニリンを2-(フェニルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-アミンで置き換えた以外は、実施例4と同じ手順を用いて、N-[2-(フェニルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ-[3,4-d]ピリミジン-4-アミンを得た。
【0127】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.16(d, J=6.32Hz, 1H) 8.85(s, 1H) 8.56(s, 1H) 8.13(m, 1H) 7.86(m, 1H) 7.70(m, 2H) 7.55(m, 1H) 7.37(m, 6H) 4.41(s, 2H); 質量(ES+ 392)。
【0128】
実施例8: N-(3-シアノフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素
【化15】

【0129】
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.06g, 0.32mmol)を、3-イソシアナトベンゾニトリル(0.093g)と一緒に、5mLのアセトニトリル中60℃で、16時間撹拌した。次いで、その混合物を濃縮乾固させ、残渣を熱メタノールから摩砕して、N-(3-シアノフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素を白色の固体(0.022g)として得た。
【0130】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.09(d, J=6.77Hz, 1H) 8.55(m, 1H) 8.33(m, 1H) 8.25(s, 1H) 7.90(m, J=8.61Hz, 1H) 7.84(dd, J=7.69Hz, 1H) 7.53(dd, J=7.87Hz, 1H) 7.45(m, 2H)。
【0131】
実施例9: N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
【化16】

【0132】
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.06g, 0.32mmol)を、1-イソシアナト-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.049mL)と一緒に、5mLのアセトニトリル中60℃で、16時間撹拌した。次いで、その混合物を濃縮乾固させ、残渣を熱メタノールから摩砕して、N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素を白色の固体(0.036g, 0.10mmol)として得た。
【0133】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ ppm 13.3(s, 1H) 9.96(s, 1H) 9.08(d, J=7.01Hz, 1H) 8.54(m, J=7.83Hz, 1H) 8.31(m, J=15.25Hz, 2H) 7.81(m, 2H) 7.53(dd, J=8.24Hz, 1H) 7.44(m, 1H) 7.32(d, J=8.11Hz, 1H)。
【0134】
実施例10: N-(3-ニトロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素
【化17】

【0135】
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.06g, 0.32mmol)を、1-イソシアナト-3-ニトロベンゼン(0.053mg)と一緒に、5mLのアセトニトリル中60℃で、16時間撹拌した。次いで、その混合物を濃縮乾固させ、残渣を熱メタノールから摩砕して、N-(3-ニトロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素を白色の固体(0.01mmol, 0.036g)として得た。
【0136】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.40(s, 1H) 9.01(d, J=6.77Hz, 1H) 8.64(d, J=8.42Hz, 1H) 8.55(m, 1H) 8.34(s, 1H) 7.85(dd, J=7.96, 1.74Hz, 2H) 7.77(m, 1H) 7.70(m, 1H) 7.58(m, J=8.15, 8.15Hz, 1H) 7.39(m, 1H)。
【0137】
実施例11: N-(4-ブロモフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素
【化18】

【0138】
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.06g, 0.32mmol)を、1-ブロモ-4-イソシアナトベンゼン(0.064mg)と一緒に、5mLのアセトニトリル中60℃で、16時間撹拌した。次いで、その混合物を濃縮乾固させ、残渣を熱メタノールから摩砕して、N-(4-ブロモフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素を白色の固体(0.03mmol, 0.011g)として得た。
【0139】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.07(d, J=7.01Hz, 1H) 8.55(m, J=9.75Hz, 1H) 8.35(s, 1H) 7.81(m, 1H) 7.67(d, J=8.93Hz, 2H) 7.45(m, 3H); 質量(ES- 380, 382)。
【0140】
実施例12: N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
【化19】

【0141】
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.06g, 0.32mmol)を、1-イソシアナト-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.049mL)と一緒に、5mLのアセトニトリル中60℃で、16時間撹拌した。次いで、その混合物を濃縮乾固させ、熱メタノールから摩砕して、N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素を白色の固体(0.016g 0.04mmol)として得た。
【0142】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ ppm 13.30(m, 1H) 9.95(m, 1H) 9.08(d, J=7.01Hz, 1H) 8.54(d, J=7.83Hz, 1H) 8.32(m, 2H) 7.82(m, 2H) 7.52(m, 1H) 7.44(m, 1H) 7.32(d, J=8.11Hz, 1H)。
【0143】
実施例13: N-(4-フルオロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素
【化20】

【0144】
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.025g, 0.14mmol)を、1-イソシアナト-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.017uL)と一緒に、5mLのアセトニトリル中60℃で、16時間撹拌した。次いで、その混合物を濃縮乾固させ、残渣を熱メタノールから摩砕して、N-(4-フルオロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素を白色の固体(0.009g)として得た。
【0145】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.18(m, 2H) 7.46(m, 1H) 7.74(m, 2H) 7.85(m, 1H) 8.33(m, 1H) 8.55(m, 1H) 9.11(m, 1H) 9.72(m, 1H) 13.31(m, 1H); MS(M+1) 323。
【0146】
実施例14: 1H-インドール-3-カルバルデヒドピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルヒドラゾン
【化21】

【0147】
4-クロロピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(0.074g, 0.36mmol)をイソプロピルアルコール(5mL)に溶解させた溶液を、ヒドラジン一水和物(0.035mL, 0.73mmol)で処理し、次いで、加熱還流した。1時間経過した後、固体を集め、ジエチルエーテルで濯ぎ洗った。次いで、これらの固体を、イソプロピルアルコール(isopyopylalcohol)(5mL)及び1H-インドール-3-カルバルデヒド(0.039mg, 0.26mmol)で処理し、60℃に3時間加熱した。その混合物を濃縮し、ジエチルエーテルを用いて摩砕し、生成物を黄褐色の固体(0.002mg, 0.006mmol)として得た。
【0148】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) d ppm 11.59(br. s., 1H) 11.17(m, J=3.02Hz, 1H) 8.87(d, J=6.87Hz, 1H) 8.70(s, 1H) 8.51(d, J=6.05Hz, 1H) 8.08(d, J=8.66Hz, 1H) 8.01(d, J=3.57Hz, 1H) 7.86(d, J=2.61Hz, 1H) 7.59(m, 1H) 7.44(m, J=6.87Hz, 1H) 7.20(m, J=6.25, 6.25Hz, 2H); MS(M+1) 328。
【0149】
生物学的データ
I型受容体チロシンキナーゼアッセイ−酵素アッセイ
本発明の化合物を、バキュロウイルス発現系から精製した酵素を用いる基質リン酸化アッセイにおいて、EGFR又はErbB-2プロテインチロシンキナーゼ阻害活性に関して試験した。試薬の調製及びアッセイ方法は、本質的に、文献(Brignola, P.S., et al,(2002) J. Biol. Chem. v. 277 2, 1576-1585)に記述されているように実施した。
【0150】
この方法は、γ-リン酸がATPからビオチニル化合成ペプチド(ビオチン-Ahx-RAHEEIYHFFFAKKK-アミド)のチロシン残基へ転移するのを、単離された酵素が触媒する能力について測定するものである。反応は、96ウェル又は384ウェルポリスチレンプレート中で、最終容積20μL又は45μLで実施した。反応混合物は、50mM MOPS(pH 7.5)、2mM MnCl2、10μM ATP、1反応当たり0.125μCi[γ-33P]ATP、2μM ペプチド基質及び1mM ジチオトレイトールを含んでいた。1反応当たり1pmol(20nM)の酵素を添加して、反応を開始させた。反応を15分間進行させ、終結させ、記述されている方法(McDonald, O.B., Antonsson, B., Arkinstal, S., Marshall, C.J., and Wood, E.R.(1999) Analytical Biochemistry, 268, 318-329)と同様のシンチレーション近接アッセイ法を用いて定量した。
【0151】
血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)の触媒ドメインを発現させ、ErbB-2及びEGFRについて記載した方法と同様の方法を用いて精製した。キナーゼアッセイは、上記と同様にして実施したが、但し、以下の変更を加えた: VEGFR2アッセイは、10nM 酵素、100mM HEPES、pH 7.5、0.1mg/mL ウシ血清アルブミン、0.1mM ジチオトレイトール、360nM ペプチドA、75μM ATP及び5mM MgCl2を含んでいた。反応を、40分間進行させた。生成物は、均一時間分解蛍光法(homogeneous time-resolved fluorescence procedure)(Park, Y.-W., Cummings, R. T., Wu, L., Zheng, S., Cameron, P. M., Woods, A., Zaller, D. M., Marcy, A. I., and Hermes, J. D.(1999) Anal. Biochem. 269, 94-104)を用いて検出した。簡潔に述べれば、100μLの100mM HEPES、pH 7.5、100mM EDTA、45nM ストレプトアビジン結合アロフィコシアニン(Molecular Probes, Eugene, OR)及び3nM ユウロピウムコンジュゲート抗ホスホチロシン抗体(Wallac, Turku, Finland)を加えて、反応をクエンチした。生成物は、Victorプレートリーダー(Wallac, Turku, Finland)を用いて、665nmで時間遅延させて検出した。
【0152】
ヒトGSK3bを、N-末端に6-Hisタグを有するE.coliで発現させた。タンパク質は、金属キレートアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。放射性リン酸がビオチニル化合成ペプチド(ビオチン-Ahx-AAAKRREILSRRPS(PO3)YR-アミド)に組み込まれたことは、上記シンチレーション近接アッセイ(SPA)法を用いて検出した。アッセイ条件は以下のとおりであった:100mM HEPES、pH 7.2、10mM MgCl2、0.3mg/mL ヘパリン硫酸、0.1mg/mL BSA、1mM DTT、 2.5uM ATP、0.6uCi/rxn 33P-ATP、1.2ug/mL GSK-3bプロテイン。プレートを室温で19分間インキュベーションし、その後、SPA停止液を添加する。
【0153】
データの計算 − 上記で記載したように、ペプチド基質リン酸化反応を行った。示されている実施例の化合物を1対3に連続希釈し、反応物に添加して、0.0001〜10μMの範囲の11点用量反応曲線を得た。IC50値は、データを方程式「y=Vmax・(1−(x/(K+x))」にあてはめて評価した。上記アッセイにおいて、「+/-」は、「IC50値>10μM」を表し、「+」は、「IC50値 1-10μM」を表し、「++」は、「IC50値 0.1-1μM」を表し、「+++」は、「IC50値 <0.1μM」を表す。結果は、表1に示してある。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[上記式中、
R1は、H、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C(O)N(H)R2又は-N=CR3であり、ここで、R1が置換アリール又は置換ヘテロアリールである場合、各置換基は、独立して、アリール、ハロ及び-OR4からなる群から選択され;
R2は、置換アリールであり、ここで、各置換基は、独立して、シアノ、ハロ、ニトロ及びハロアルキルからなる群から選択され;
R3は、ヘテロアリールであり;
R4は、アリール又はハロアリールである]
で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
R1がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、置換アリール又は置換ヘテロアリールであり、各置換基が、独立して、アリール、ハロ及び-OR4からなる群から選択され;R4が、アリール又はハロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1が、-C(O)N(H)R2であり;R2が、置換アリールであり、ここで、各置換基が、独立して、シアノ、ハロ、ニトロ及びハロアルキルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
【化2】

[ここで、
R5及びR6は、独立して、水素、ハロ及び-OR4からなる群から選択され;
R4は、アリール又はハロアリールであり;
R7は、シアノ、ハロ、ニトロ及びハロアルキルである]
から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-(3-クロロ-4-{[(3-フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-{3-クロロ-4-[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-[2-(フェニルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ-[3,4-d]ピリミジン-4-アミン;
N-(3-シアノフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N-(3-ニトロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
N-(4-ブロモフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
N-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル-N'-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]尿素;
N-(4-フルオロフェニル)-N'-ピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル尿素;
1H-インドール-3-カルバルデヒドピリド[1',2':1,5]ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルヒドラゾン;
から選択される化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を含んでいる、医薬組成物。
【請求項8】
癌を治療する方法であって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含んでいる、前記方法。
【請求項9】
糖尿病を治療する方法であって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含んでいる、前記方法。
【請求項10】
癌の治療で使用するための薬物の製造における、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
糖尿病の治療で使用するための薬物の製造における、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−530105(P2008−530105A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555211(P2007−555211)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004547
【国際公開番号】WO2006/086539
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】