説明

ピリミジン−5−カルボキサミド誘導体

【課題】PPARγモデュレーター活性を有する新規なピリジン-5-カルボキサミド誘導体又はその薬理学上許容される塩を提供する。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】


で表されるピリジン-5-カルボキサミド誘導体又はその塩[具体例:4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド]に、優れたPPARγモジュレーター作用を有することを見出したものである。本発明化合物及びその塩は、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対する医薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPARγモデュレーター活性を有する新規なピリミジン−5−カルボン酸誘導体又はその薬理学上許容される塩及びその医薬用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソームプロリフェレータ活性化受容体(peroxisome proliferator
activated receptor: PPAR)は核内レセプターファミリーの一員である。
【0003】
一般に核内レセプター群には、アゴニスト、アンタゴニスト以外に部分的アゴニスト或いは部分的アンタゴニスト(これらは、総称して「モジュレーター」と言われる)が存在することが知られている。他の核内レセプターファミリーのモジュレーターの例としては、エストロゲンレセプターに対する部分的アゴニスト或いは部分的アンタゴニストであるラロキシフェンやタモキシフェンが知られている。部分的アゴニストはアゴニストに比較して、転写活性量が小さいという性質がある。又、部分的アンタゴニストはアゴニスト存在時に同時に存在させると、アゴニストによる転写活性化を抑制するが、その抑制の程度がアンタゴニストに比べて小さいことが特徴である。又、一般的に部分的アゴニストは部分的アンタゴニストの性質を示すことが多い。
【0004】
これら部分的アゴニスト及び部分的アンタゴニストは、アゴニスト及びアンタゴニストが示す組織特異的な望ましくない作用を抑制し、組織特異的な望ましい作用を引き出すことを意図して作製される場合が多い。
【0005】
ところで、種々のチアゾリジンジオン誘導体は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM:
non-insulin-dependent diabetes mellitus)のモデル動物で血糖低下作用を示し、インスリン抵抗性解除作用を有する新しいNIDDMとして期待されている。これらチアゾリジンジオン誘導体はまた、PPARγモジュレーターとして作用し、PPARγを特異的に活性化することが最近の研究で明らかとなった(非特許文献1)。このようなチアゾリジンジオン誘導体のPPARγ活性化能と遺伝性肥満マウスにおける血糖低下作用には強い相関が見られることから、PPARγがチアゾリジンジオン誘導体の薬理作用の標的分子であろうと考えられている(非特許文献2)。
【0006】
又、PPARγは脂肪細胞分化に深く関与する因子であるとされている(非特許文献3、非特許文献4)。
【0007】
更に、PPARγは細胞分化及び脂質代謝を転写レベルで調節し(非特許文献5、文献6)、又、PPRE(Peroxisomal
Proliferator-activated receptor Responsive Element(PPARが認識するDNA配列))はapolipoprotein A−1(非特許文献7)遺伝子やlipiprotein lipase(非特許文献8、非特許文献9)等であり、血清脂質プロファイルに影響を及ぼす脂質代謝関連遺伝子プロモータである。
【0008】
これらの知見から、PPARγは、糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症などの病態に深く関与していると考えられる。従って、上記のような種々の病態の予防及び治療薬として、優れたPPARγのモジュレーター作用を有し、かつ副作用の少ない等、医薬として優れた性質を有する新規化合物の開発が望まれている。
【0009】
現在、PPARγのモジュレーター作用を有する化合物として次の化合物等が開示されている。
【0010】
(1)特許文献1の明細書には式:
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1及びR2は独立してH、ハロゲン、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル及びC1−C10アルコキシ;Ar1及びAr2はアリール及びヘテロアリール;X,W1及びW2は単結合、Y又はY(CH2n1;Y及びY1は単結合、O,S,SO,SO2及びNR;RはH,C1−C3アルキル及びC2−C3アルケニルを示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0013】
(2)特許文献2の明細書には式:
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、置換可アリール基を示し、Bは置換可アリール基、置換可シクロアルキル基又は置換可複素環基を示し、RaはH又はアルキル基を示し、Xは結合手、O、S、CH2、CO、NH、SO2NH、NHSO2、CONH、NHCO又はOCH2基を示し、nは0又
は1を示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0016】
(3)特許文献3の明細書には式:
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、R1は置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を;
X及びYは同一または異なって結合手等を;Qは炭素数q乃至20の2価の炭化水素残基を;環Aは1乃至3個の置換基をさらに有していてもよい含窒素5員複素環を;Wは炭素数1乃至20の2価の炭化水素残基を;Vは結合手等を;R2は置換されていてもよい複素環基等を示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0019】
(4)特許文献4の明細書には式:
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、XはO又はS;R1,R2及びR3は水素原子、カルボキシル基等;Arは芳香環
又はヘテロ環;R4はH等;R5はH等;R6はH等;R7はH等;Yは酸素原子又は窒素原子;nは1〜4を示す。)で表される化合物等が開示されている。
【0022】
しかしながら、上記の公報のいずれにも、ピリミジン−5−カルボン酸誘導体に関する具体的開示はない。
【0023】
一方、特許文献5の明細書にはPDEV阻害作用を有する化合物として式:
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、Xは=CH−又は=N−;Yは−NH−、−S−、−O−、−CH=N−、−N=CH−等;R1は低級アルコキシ基等;R2は低級アルキルアミノ基又は低級アルコキシ基;R3はアリール基等を示す。)で表される化合物等が開示されているが、実施例等において本特許記載化合物の具体的開示はなく、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0026】
特許文献6の明細書にはプロテインキナーゼC阻害作用を有する化合物として式:
【0027】
【化6】

【0028】
(式中、−X=Y−は−C(A)=N−等;Dは置換基を有しても良いアリール基等;RはN(R)R等;A及びAは同一又は異なって置換基を有しても良い低級アルキレン鎖等;AはNR等;R、R、R、R、R及びRは同一又は異なって水素原子等を示す。)で表される化合物等が開示されている。この公報ではピリミジン−5−カルボン酸誘導体の具体例として下記化合物
【0029】
【化7】

【0030】
が開示されているが、PPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0031】
特許文献7の明細書にはNK1アンタゴニスト作用を有する化合物として式:
【0032】
【化8】

【0033】
(式中、Rは低級アルキル基等;Rは水素原子等;R及びR3‘はそれぞれ独立して水素原子等;Rはそれぞれ独立して水素原子等;Xは−C(O)N(R)−等;Yは酸素原子等を示す。)で表される化合物等が開示されているが、実施例等において本特許記載化合物の具体的開示はなく、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0034】
特許文献8の明細書にはHIV逆転写酵素阻害作用を有する化合物として式:
【0035】
【化9】

【0036】
(式中、Rは水素原子等;Rは水素原子等;Rはインダゾール−5−イル等;nは0−4を示す。)で表される化合物等が開示されているが、実施例等において本特許記載化合物の具体的開示はなく、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0037】
特許文献9の明細書には式:
【0038】
【化10】

【0039】
(式中、Rは置換していてもよいアミノ基等;Rはアルコキシ基等;R及びRは水素原子等を示す。)で表される化合物等が開示されているが、本特許記載化合物とは構造が全く異なり、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0040】
特許文献10の明細書にはVEGFR阻害作用を有する化合物として式:
【0041】
【化11】

【0042】
(式中、AはNR;Wは酸素原子等;Zは結合等;Rは置換していてもよいアリール基等;Rは置換していてもよいアリール基等;Rは水素原子等;Rは水素原子等;D、E、F、Gは窒素原子等を示す。)で表される化合物等が開示されているが、本特許記載化合物とは構造が全く異なり、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0043】
特許文献11の明細書には式:
【0044】
【化12】

【0045】
(式中、RはNR等;Rはアリール基等;Rはアルキル基等;Rは水素原子等;R及びRは水素原子等;Zは硫黄原子等;Zは酸素原子等を示す。)で表される化合物等が開示されているが、本特許記載化合物とは構造が全く異なり、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0046】
特許文献12の明細書にはPDEV阻害作用を有する化合物として式:
【0047】
【化13】

【0048】
(式中、Aは含窒素へテロ環等;RはNHQR(R3は含窒素ヘテロ環、Qは低級アルキレン鎖等)等;Rはアリール基;Y及びZは異なってCH又はNを示す。)で表される化合物等が開示されているが、本特許記載化合物とは構造が全く異なり、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【0049】
特許文献13の明細書にはVEGFR阻害作用を有する化合物として式:
【0050】
【化14】

【0051】
(式中、AはNR;Wは酸素原子等;Zは結合等;Rは置換していてもよいアリール基等;Rはヘテロ環等;Rは水素原子等;Rは水素原子等;Dは窒素原子等;EはCR等;Fは窒素原子等;EはCR等;R及びRはハロゲン原子、アルコキシ基等を示す。)で表される化合物等が開示されているが、本特許記載化合物に該当する具体的開示はなく、さらにPPARγモジュレーター作用については何ら記載も示唆もない。
【特許文献1】WO01/30343号パンフレット
【特許文献2】WO03/035602号パンフレット
【特許文献3】WO03/000685号パンフレット
【特許文献4】WO99/08501号パンフレット
【特許文献5】WO01/83460号パンフレット
【特許文献6】WO00/76980号パンフレット
【特許文献7】WO02/42280号パンフレット
【特許文献8】WO01/38308号パンフレット
【特許文献9】DE2906461号パンフレット
【特許文献10】WO01/85715号パンフレット
【特許文献11】DE3338859号パンフレット
【特許文献12】WO01/019802号パンフレット
【特許文献13】WO01/085671号パンフレット
【非特許文献1】Lehmannら、Journalof Biological Chemistry, 1995年、第270巻、p. 12953-12956.
【非特許文献2】Willsonら、Journal ofMedicinal Chemistry, 1996年、第39巻、p. 665-668.
【非特許文献3】Tontonozら、Genes andDevelopment、 1994年、第8巻、p. 1224-1234.
【非特許文献4】Tontonozら、Cell、 1994年、第79巻、p.1147-1156.
【非特許文献5】Spiegelman, Eur. J. Med. Res., 1997年、第2巻、p. 457-464.
【非特許文献6】Tontonoz & Nagy, Curr. Opin. Lipidol,1999年、第10巻、p.485-490.
【非特許文献7】Steal, Atherosclerosis, 1998年、第137巻(suppulo)、S19-S23.
【非特許文献8】Schhnjans, EMBO J., 1996年、第15巻(suppulo)、p.5536-5548.
【非特許文献9】Lefebvre, Arterio Thrombo Vasc. Biol., 1997年、第17巻、p.17 56-1764.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0052】
現在、前記した種々の病態に対する予防又は治療薬のような種々の病態の予防及び治療薬として、優れたPPARγのモジュレーター作用を有し、かつ副作用が少ない等の点からも十分に満足できる医薬品となり得る化合物は見出されていない。
【0053】
本発明の目的は、PPARγのモジュレーター作用を有する新規な化合物を見出し、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)に対する予防又は治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0054】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、ピリミジン−5−カルボキサミド誘導体がPPARγモジュレーター作用を有することを見出し、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対して有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0055】
即ち、本発明は、
1)下記一般式(1)
【0056】
【化15】

【0057】
(式中、R1は、ZR(ZはO、S、SO又はSO2を示し、Rは水素原子、C1〜C10アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。)又はNR(R及びRは互いに結合して環を形成するか或いは、同一又は異なって、水素原子、C1〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を示す。)を示し(当該R、R及びRは同一又は異なって、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基、水酸基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、カルボキシル基の中から選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよい。);
は、ハロゲン原子を示すか、或いは、
【0058】
【化16】

【0059】
を示し;
は、水素原子を示すか、或いは、
【0060】
【化17】

【0061】
を示し;
及びWは同一又は異なってS又はNHを示し;
、Y及びYは同一又は異なって、単結合又はC〜Cアルキレン鎖を示し;
及びAは同一又は異なって、アリール基、シクロアルキル基又は複素環基(当該A及びAは同一又は異なって、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、ニトロ基、1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、オキソ基、水酸基、又はハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基の中からそれぞれ独立して選ばれた1〜3個の置換基(隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい)を有していてもよい)を示し;
はアリール基、複素環基又はカルボキシル基(当該Aがアリール基又は複素環基の場合、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、カルボキシル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基の中からそれぞれ独立して選ばれた1〜3個の置換基(隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい)を有していてもよい)を示す。)で表されるピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩、
【0062】
2)前記一般式(1)において、R
【0063】
【化18】

【0064】
である前記1)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0065】
3)下記一般式(1a)
【0066】
【化19】

【0067】
(式中、R、W、W、Y、Y、A及びAは上記に同じ。)で表される前記1)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0068】
4)前記一般式(1a)において、Y及びYが同一又は異なって、C〜Cアルキレン鎖である前記3)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0069】
5)前記一般式(1a)において、W=Sであり、Y及びYが同一又は異なって、C〜Cアルキレン鎖である前記3)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0070】
6)下記一般式(1b)
【0071】
【化20】

【0072】
(式中、R4aは、C1〜C10アルキル基を示し、W、W、Y、Y、A及びAは上記に同じ。)で表される前記3)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0073】
7)前記一般式(1b)において、W=Sである前記6)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0074】
8)前記一般式(1b)において、W=Sであり、A及びAが同一又は異なってアリール基である前記6)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0075】
9)下記一般式(1c)
【0076】
【化21】

【0077】
(式中、R、W、Y、Y、A及びAは上記に同じ。)で表される前記1)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0078】
10)前記一般式(1c)において、WがNHである前記9)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0079】
11)前記一般式(1c)において、WがNHであり、A及びAが共にフェニル基である前記9)に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩、
【0080】
12)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン非依存性糖尿病発病の治療、予防又は抑制剤、
【0081】
13)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする肥満の治療、予防又は抑制剤、
【0082】
14)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高血糖症の治療、予防又は抑制剤、
【0083】
15)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症の治療、予防又は抑制剤、
【0084】
16)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高コレステロール血症の治療、予防又は抑制剤、
【0085】
17)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高トリグリセリド血症の治療、予防又は抑制剤、
【0086】
18)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン耐性の治療、予防又は抑制剤、
【0087】
19)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高インスリン血症の治療、予防又は抑制剤、
【0088】
20)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする動脈硬化症の治療、予防又は抑制剤、
【0089】
21)前記1)〜11)のいずれかに記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする退行性骨粗鬆症の治療、予防又は抑制剤に関する。
【発明の効果】
【0090】
本発明は新規なピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩に、優れたPPARγモジュレーター作用を有することを見出したものである。
【0091】
さらに又、本発明化合物及びその塩は、毒性も低く安全である。従って、本発明化合物及びその塩は、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対して高い有用性を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0093】
1について
1は、ZR(ZはO、S、SO又はSO2を示し、Rは水素原子、C1〜C10アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。)又はNR(R及びRは互いに結合して環を形成するか或いは、同一又は異なって、水素原子、C1〜C7アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を示す。ここで、R、R及びRは同一又は異なって、置換基を有していてもよい。置換基は、置換可能ないずれの位置に置換していてもよく、その個数は1〜3個程度であっても良い。又、隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。R、R及びRの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基、水酸基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0094】
ここで、「C1〜C10のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
【0095】
「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基のような縮環していても良い3〜10員の飽和炭化水素基等を挙げることができる。
【0096】
「アリール基」としては、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基のような炭素数5〜14個の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
「アラルキル基」としては、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0097】
「C1〜C6アルキルカルボニル基」としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基等が挙げられる。
【0098】
「C1〜C6アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0099】
「アリールスルホニル基」としては、例えば、フェニルスルホニル基、トルエンスルホニル基等が挙げられる。
【0100】
「ハロゲン原子」には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0101】
「ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6のアルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、1−フルオロエトキシ基、1−クロロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0102】
「モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基」としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルペンチルアミノ基、メチルヘキシルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基、4−ヒドロキシブチルアミノ基、2−メトキシエチルアミノ基、3−メトキシプロピルアミノ基、4−メトキシブチルアミノ基、2−アミノエチルアミノ基、3−アミノプロピルアミノ基、4−アミノブチルアミノ基、メトキシカルボニルメチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基等が挙げられる。
【0103】
「C1〜C6アルコキシカルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0104】
「R及びRが互いに結合して環を形成する」場合のNRとしては、例えば、アゼチジノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピペラジノ基、4−メチルピペラジノ基、ホモピペラジノ基、2−オキソピロリジノ基、3−オキソモルホリノ基、2−オキソモルホリノ基等が挙げられる。
【0105】
について
は、ハロゲン原子を示すか、或いは、
【0106】
【化22】

【0107】
を示す。ここで、 「ハロゲン原子」としては、前記と同様である。
【0108】
について
は、水素原子を示すか、或いは、
【0109】
【化23】

【0110】
を示す。
【0111】
及びRの組み合わせについて
が、ハロゲン原子である場合、Rは、
【0112】
【化24】

【0113】
であるのが好ましい。
【0114】
又、Rが、
【0115】
【化25】

【0116】
である場合、Rは水素原子であるのが好ましい。
【0117】
及びWについて
及びWは同一又は異なってS又はNHを示す。WはSであるのが好ましい。
【0118】
、Y及びYについて
、Y及びYは同一又は異なって、単結合又はC〜Cアルキレン鎖を示す。
ここで、「C〜Cアルキレン鎖」としては、メチレン鎖、エチレン鎖、プロピレン鎖、ブチレン鎖、ペンチレン鎖、ヘキシレン等が挙げられる。好ましいY、Y及びYとして、単結合、メチレン鎖、エチレン鎖及びプロピレン鎖が挙げられる。更に好ましいY、Y及びYとして、単結合及びメチレン鎖が挙げられる。
【0119】
及びAについて
及びAは同一又は異なって、アリール基、シクロアルキル基又は複素環基を示す。A及びAは同一又は異なって、置換基を有していてもよい。置換基は、環のうち置換可能ないずれの位置に置換していてもよく、その個数は1〜3個程度であっても良い。又、隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。A及びAの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、ニトロ基、1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、オキソ基、水酸基及びハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基等が挙げられる。
【0120】
ここで、「アリール基」、「シクロアルキル基」、「ハロゲン原子」及び「ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6のアルコキシ基」としては、前記と同様である。
【0121】
「複素環基」としては、硫黄原子、酸素原子、窒素原子の中から選ばれた1〜4個の原子を含む5〜7員複素環基を示し、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、アゼピニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、等の芳香族複素環基、及びモルホニル基、チオモルホリニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、等の基を挙げることができる。なお、上記「複素環基」は他の環式基と縮環していてもよく、例えば、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、クロメニル基、クロマノニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、インドリジニル基、イソインドリジニル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、アクリジニル基、イソインドリニル基等を挙げることができる。
【0122】
「ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、1−フルオロエチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等が挙げられる。
【0123】
「1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基」としては、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基等が挙げられる。
【0124】
「モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基」としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルペンチルアミノ基、メチルヘキシルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基、4−ヒドロキシブチルアミノ基、2−メトキシエチルアミノ基、3−メトキシプロピルアミノ基、4−メトキシブチルアミノ基、2−アミノエチルアミノ基、3−アミノプロピルアミノ基、4−アミノブチルアミノ基、メトキシカルボニルメチルアミノ基、カルボキシメチルアミノ基等が挙げられる。
【0125】
「隣接する2個の置換基が結合して互いに形成していてもよい環」としては、環を形成する2個の置換基が共に同一の炭素上に存在する場合、例えば、
【0126】
【化26】

【0127】
等が挙げられ、環を形成する2個の置換基が互いに隣同士に存在する場合、例えば、
【0128】
【化27】

等が挙げられる。
【0129】
好ましいAとして、例えば、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。さらに好ましいAとして、フェニル基等が挙げられる。
【0130】
好ましいAとして、例えば、フェニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。さらに好ましいAとして、フェニル基等が挙げられる。
【0131】
について
はアリール基、複素環基又はカルボキシル基を示す。Aがアリール基又は複素環基の場合、置換基を有していてもよい。置換基は、環のうち置換可能ないずれの位置に置換していてもよく、その個数は1〜3個程度であっても良い。又、隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。Aの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、カルボキシル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基及びハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基が挙げられる。
【0132】
ここで、「ハロゲン原子」、「ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基」、「アリール基」、「C1〜C6アルコキシカルボニル基及びハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基」としては、前記と同様である。好ましいAとして、例えば、フェニル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0133】
本発明の好ましい化合物として、例えば
4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4,6−ビス(ベンジルチオ)−N−(カルボキシルメチル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4,6−ビス(ベンジルチオ)−N−(カルボキシルエチル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4、6−ビス(ベンジルチオ)−N−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(ブチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−ピロリジニルピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルアミノ−6−(ベンジルチオ)−N−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−6−(4−クロロベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−6−シクロヘキシルメチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−アニリノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−2−メチルチオ−6−(2−フェネチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−2−メチルチオ−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−6−(4−フルオロベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−2−メチルチオ−6−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−6−(4−メチルベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルチオ−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−アニリノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−クロロ−2−メチルチオ−N−フェネチル−6−(フェネチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−クロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メトキシピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミド、
4−フェネチルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミド、
6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニル−4−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−アニリノ−N−ベンジル−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−クロロ−2−メチルチオ−6−(フェネチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−クロロ−2−メチルチオ−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−アニリノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミド、
4−クロロ−2−メチルチオ−N−フェネチル−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−アニリノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニル−1−プロピル)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−クロロ−2−メチルチオ−6−フェネチルアミノ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
4−ベンジルアミノ−6−クロロ−N−(2−メトキシカルボニルフェニル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド、
N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン−5−カルボキサミド等が例示できる。
【0134】
塩について
本発明化合物が塩を形成する場合、薬学上許容な非毒性塩基又は酸(例えば無機又は有機塩基及び無機又は有機酸)との塩を意味する。薬学上許容な非毒性塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜マンガン酸、カリウム及びナトリウム等の無機塩基との塩(特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マンガン、カリウム及びナトリウム塩が挙げられる。)、又は、第一、第二、第三アミン、置換アミン(例えば天然に存在する置換アミン)、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂等の有機塩基(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N‘−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)との塩が例示できる。非毒性酸から誘導される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸、又は酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の有機酸との薬学上許容な塩が例示できる。
【0135】
さらに本発明化合物又はその塩は、水和物又は溶媒和物として存在することもある。上記に具体的に記載した好ましい化合物を含めて、前記一般式(1)で表されるピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩が形成する任意の水和物及び溶媒和物は、いずれも本発明の範囲に包含される。溶媒和物を形成し得る溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0136】
本発明化合物又はその塩には、ラセミ体の他に光学活性体、立体異性体又は回転異性体も含まれる。
【0137】
本発明化合物は、種々の合成法によって製造することができる。次に、本発明化合物及びその塩の代表的な製造法について説明する。
【0138】
(A法)
【0139】
【化28】

【0140】
(第一工程)
本工程は、エステル化反応により、化合物(a)から化合物(b)(Rは前記に同じ。Rはアルキル基又はアリール基を示す。)を製造する工程である。
【0141】
本反応は、有機合成化学において周知のエステル結合を形成させる方法であり、通常の溶媒の存在下で好適に行われる。
【0142】
本反応は、塩基性条件下において、アルキルハライド等と反応させることにより行うことができる。本反応において塩基を用いる場合には、炭酸水素ナトリウム又は炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩が例示できる。本反応において用いられるアルキルハライドとしては、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ベンジルブロミド、ベンジルクロリド等が挙げられる。本反応に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル等が用いられる。本縮合反応は−20℃から100℃で30分から48時間処理することにより実施することができる。
【0143】
又、本反応は、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒を用いて、硫酸を触媒として用いることによっても達成される。
【0144】
更に又、本反応は、対応するカルボン酸クロリド等のアシルハライドをメタノール、エタノール等と反応させることによっても達成される。
【0145】
化合物(a)は、例えばWO2001083460等に記載の方法、或いはこれらに準ずる方法によって製造することができる。
【0146】
(第二工程)
本工程は、化合物(b)(R1及びRは前記に同じ。)のクロロ原子を化合物(c)で置換して化合物(d)を製造する工程である。本工程は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、DBU等の有機塩基または炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基の存在下又は非存在下でN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、ピリジン、キノリン、ジクロロメタン等の溶媒中で−20〜50℃で30分から48時間処理することにより実施することができる。
【0147】
(第三工程)
本工程は、化合物(d)(R1及びRは前記に同じ。)のクロロ原子を化合物(e)で置換して化合物(f)を製造する工程である。本工程は、前記第二工程に準じて行うことができる。
【0148】
(第四工程)
本工程は、化合物(f)(R1及びRは前記に同じ。)のエステル基を加水分解することにより化合物(g)を製造する工程である。本工程は、定法に従い、塩基存在下、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
【0149】
塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
反応に影響を及ぼさない溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、水等が挙げられる。反応温度は、通常、約0〜約150℃である。反応時間は、通常、約0.5〜約48時間である。
【0150】
(第五工程)
本工程は、化合物(g)(R1は前記に同じ。)のカルボキシル基をカルバモイル基に変換して化合物(h)を製造する工程である。
【0151】
本工程において、化合物(g)をオキシ塩化リン、塩化チオニル等のハロゲン化剤とN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエン、ジクロロメタン等の溶媒存在下又は非存在下において室温〜150℃、好適には50〜100℃で30分から48時間処理することによりカルボン酸のハライドに導いた後、アンモニアガス或いは、水、メタノール、テトラヒドロフラン等のアンモニア溶液と、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基の存在下又は非存在下で、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン、水等の溶媒中、−20〜80℃で30分から48時間処理することにより実施することができる。
【0152】
本工程を、縮合剤添加により行う場合、用いられる縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)又はジメチルイミダゾリニウムクロライド(DMC)等が挙げられ、これらは固体状又は適当な溶媒に溶かした溶液として添加される。本縮合反応において塩基を用いる場合には、炭酸水素ナトリウム又は炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン又は1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン等の3級アミン類が例示できる。本縮合反応に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、ジクロロメタン等が用いられる。本縮合反応は−20℃から80℃で実施することができる。
【0153】
(B法)
【0154】
【化29】

【0155】
(第一工程)
本工程は、化合物(i)(R1は前記に同じ。)のクロロ原子を化合物(c)で置換して化合物(j)を製造する工程である。本工程は、前記A法第二工程に準じて行うことができる。
【0156】
化合物(i)は、例えばWO2000076980等に記載の方法、或いはこれらに準ずる方法によって製造することができる。
【0157】
(第二工程)
本工程は、化合物(j)(R1は前記に同じ。)のクロロ原子を化合物(e)で置換して化合物(h)を製造する工程である。本工程は、前記A法第三工程に準じて行うことができる。
【0158】
(C法)
【0159】
【化30】

【0160】
(第一工程)
【0161】
本工程は、化合物(a)と化合物(e)を縮合させて化合物(l)(Rは前記に同じ。)を製造する工程である。本反応は、副反応生成物として化合物(m)が生成する場合がある。
【0162】
本工程において、化合物(a)をオキシ塩化リン、塩化チオニル等のハロゲン化剤とN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエン、ジクロロメタン等の溶媒存在下又は非存在下において、室温〜150℃、好適には50〜100℃で30分から48時間処理することによりカルボン酸のハライドに導いた後、化合物(e)と縮合反応を行う場合では、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基の存在下、又は非存在下でN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン等の溶媒中、−20〜80℃で30分から48時間処理することにより実施することができる。
【0163】
又、化合物(a)をカルボン酸のハライドに導く方法以外に、カルボン酸のイミダゾリド、カルボン酸の活性エステル(4−ニトロフェノキシカルボニル、コハク酸イミドイルオキシカルボニル等)に導く方法においても、同様に実施することができる。
【0164】
本工程を、縮合剤添加により行う場合、用いられる縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)又はジメチルイミダゾリニウムクロライド(DMC)等が挙げられ、これらは固体状又は適当な溶媒に溶かした溶液として添加される。本縮合反応において塩基を用いる場合には、炭酸水素ナトリウム又は炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン又は1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン等の3級アミン類が例示できる。本縮合反応に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、ジクロロメタン等が用いられる。本縮合反応は−20℃から80℃で実施することができる。
【0165】
なお、化合物(l)及び化合物(m)は、シリカゲル等を用いたカラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留等により、分離することができる。有機合成化学において周知の分離精製方法であり、通常の溶媒の存在下で好適に行われる。
【0166】
(第二工程)
本工程は、化合物(l)(Rは前記に同じ。)のクロロ原子を化合物(e‘)で置換して化合物(n)(Rは前記に同じ。)を製造する工程である。本工程は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、DBU等の有機塩基又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の無機塩基の存在下又は非存在下でN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、ピリジン、キノリン、ジクロロメタン等の溶媒中で−20〜50℃で30分から48時間処理することにより実施することができる。
【0167】
本発明化合物(1)は通常の分離手段(例えば抽出、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等)によって単離、精製することができる。又、得られた化合物が塩を形成する様な場合には、通常の方法或いはそれに準ずる方法(例えば中和等)によって各種の塩を製造することができる。
【0168】
本発明化合物(1)もしくはその塩は、単独で、又は適宜の薬理学的に許容される、賦形剤、希釈剤と混合し、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等の製剤として経口的に、又は注射剤若しくは座剤等の製剤として非経口的に医薬組成物として投与することができる。
【0169】
これらの製剤は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0170】
賦形剤は、有機系賦形剤又は無機系賦形剤でありうる。有機系賦経済は、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのようなデンプン誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルラン等でありうる。無機賦形剤は、例えば、軽質無機珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;リン酸水素カルシウムのようなリン酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は硫酸カルシウムのような硫酸塩等であり得る。
【0171】
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーガムのようなワックス類;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DL−ロイシン;脂肪酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;又は上記デンプン誘導体であり得る。
【0172】
結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール又は上記賦形剤と同様の化合物であり得る。
【0173】
崩壊剤は、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;又はカルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類であり得る。
【0174】
安定剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなクレゾール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又はソルビン酸であり得る。
【0175】
矯味矯臭剤は、例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料であり得る。
投与量は本発明化合物(1)又はその塩の種類、投与ルート、患者の年齢、症状等により異なるが、例えば人を含む哺乳動物に対して本発明化合物(1)又はその塩として0.001〜500mg/kg/日である。投与は例えば1日1回又は数回に分割して投与する。
【実施例】
【0176】
以下、実施例、参考例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。また、本発明化合物(1)の製造に用いる原料化合物の中にも新規化合物が含まれているので、原料化合物の製造例についても参考例として説明する。本発明化合物は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させても良い。
【0177】
<実施例1>
【化31】

【0178】
塩化チオニル(1.0mL、13.7mmol)に4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例1の化合物;398mg、1.00mmol)を加えて1時間加熱還流した。30%アンモニア水溶液に、溶媒を留去して得られた残渣のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を0℃で滴下した後、さらに1時間攪拌した。酢酸エチルで希釈して、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製すると、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(298mg、75%)。
MS(FAB+)m/z:397(M+H+)
HRMS(FAB+):C20H21N4OS2として計算値:397.1157

実測値:397.1135
【0179】
<実施例2>
【化32】

【0180】
実施例1と同様の方法により、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例3の化合物;83.0mg、0.200mmol)及びアンモニアから、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(70.0mg、85%)。
MS(FAB+)m/z:397(M+H+)
HRMS(FAB+):C20H20N3OS3として計算値:414.0769

実測値:414.0736
【0181】
<実施例3>
【化33】

【0182】
実施例1と同様の方法により、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例3の化合物;83.0mg、0.200mmol)及びグリシン(45.0mg、0.599mmol)から、4,6−ビス(ベンジルチオ)−N−カルボキシルメチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(66.0mg、70%)。
MS(FAB+)m/z:472(M+H+)
HRMS(FAB+):C22H22N3O3S3として計算値:472.0823

実測値:472.0804
【0183】
<実施例4>
【化34】

【0184】
実施例1と同様の方法により、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例3の化合物;83.0mg、0.200mmol)及びβ―アラニン(53.5mg、0.601mmol)から、4,6−ビス(ベンジルチオ)−N−カルボキシルエチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(80.0mg、82%)。
MS(FAB+)m/z:486(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H24N3O3S3として計算値:486.0980

実測値:486.0957
【0185】
<実施例5>
【化35】

【0186】
実施例1と同様の方法により、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例3の化合物;83.0mg、0.200mmol)及びメチルアミン(2mol/Lテトラヒドロフラン溶液、0.5mL、1.0mmol)から、4,6−ビス(ベンジルチオ)−N−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(75.0mg、88%)。
MS(FAB+)m/z:428(M+H+)
HRMS(FAB+):C21H22N3OS3として計算値:428.0925

実測値:428.0962
【0187】
<実施例6>
【化36】

【0188】
実施例1と同様の方法により、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(ブチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例5の化合物;45.7mg、0.100mmol)及びアンモニアから、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−(ブチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(30.0mg、66%)。
MS(FAB+)m/z:456(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H26N3OS3として計算値:456.1238

実測値:456.1276
【0189】
<実施例7>
【化37】

【0190】
実施例1と同様の方法により、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−ピロリジニルピリミジン−5−カルボン酸(参考例4の化合物;63.1mg、0.150mmol)及びアンモニアから、4,6−ビス(ベンジルチオ)−2−ピロリジニルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(29.0mg、44%)。
MS(FAB+)m/z:437(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H25N4OS2として計算値:437.1470

実測値:437.14553
【0191】
<実施例8>
【化38】

【0192】
実施例1と同様の方法により、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例1の化合物;79.5mg、0.200mmol)及びメチルアミン(2mol/L テトラヒドロフラン溶液、0.5mL、1.0mmol)から、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−N−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(58.5mg、71%)。
MS(FAB+)m/z:411(M+H+)
HRMS(FAB+):C21H23N4OS2として計算値:411.1313

実測値:411.1279
【0193】
<実施例9>
【化39】

【0194】
4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;96.0mg、0.295mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、炭酸カリウム(50.0mg、0.362mmol)及び4−クロロベンジルアミン(50.0mg、0.353mmol)を0℃で加えて0.5時間攪拌した後、室温で3時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈して、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製すると、4−ベンジルチオ−6−(4−クロロベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(122mg、96%)。
MS(FAB+)m/z:431(M+H+)
HRMS(FAB+):C20H20ClN4OS2として計算値:431.0767

実測値:431.0798
【0195】
<実施例10>
【化40】

【0196】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及びシクロヘキシルメチルアミン(15.0mg、0.133mmol)から、4−ベンジルチオ−6−シクロヘキシルメチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(32.4mg、65%)。
MS(EI)m/z:402(M+)
HRMS(EI):C20H26N4OS2として計算値:402.1548

実測値:402.1556
【0197】
<実施例11>
【化41】

【0198】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及びアニリン(12.5mg、0.134mmol)から、4−アニリノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(18.0mg、38%)。
MS(EI)m/z:382(M+)
HRMS(EI):C19H18N4OS2として計算値:382.0922

実測値:382.0939
【0199】
<実施例12>
【化42】

【0200】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及び2−フェネチルアミン(16.5mg、0.136mmol)から、4−ベンジルチオ−2−メチルチオ−6−(2−フェネチル)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(21.0mg、42%)。
MS(EI)m/z:410(M+)
HRMS(EI):C21H22N4OS2として計算値:410.1235

実測値:410.1210
【0201】
<実施例13>
【化43】

【0202】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及び3−フェニルプロピルアミン(18.5mg、0.137mmol)から、4−ベンジルチオ−2−メチルチオ−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(43.0mg、82%)。
MS(EI)m/z:424(M+)
HRMS(EI):C22H24N4OS2として計算値:424.1392

実測値:424.1404
【0203】
<実施例14>
【化44】

【0204】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及び4−フルオロベンジルアミン(17.0mg、0.136mmol)から、4−ベンジルチオ−6−(4−フルオロベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(22.5mg、44%)。
MS(EI)m/z:414(M+)
HRMS(EI):C20H19FN4OS2として計算値:414.0984

実測値:414.0942
【0205】
<実施例15>
【化45】

【0206】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及び4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン(24.0mg、0.137mmol)から、4−ベンジルチオ−2−メチルチオ−6−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ]ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(37.5mg、66%)。
MS(EI)m/z:464(M+)
HRMS(EI):C21H19F3N4OS2として計算値:464.0952

実測値:464.0967
【0207】
<実施例16>
【化46】

【0208】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及び4−メチルベンジルアミン(16.5mg、0.136mmol)から、4−ベンジルチオ−6−(4−メチルベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(39.0mg、77%)。
MS(EI)m/z:410 (M+)
HRMS(EI):C21H22N4OS2として計算値:410.1235

実測値:410.1229
【0209】
<実施例17>
【化47】

【0210】
実施例9と同様の方法により、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例6の化合物;40.0mg、0.123mmol)及び4−メトキシベンジルアミン(19.0mg、0.139mmol)から、4−ベンジルチオ−6−(4−メトキシベンジルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(24.8mg、47%)。
MS(EI)m/z:426(M+)
HRMS(EI):C21H22N4O2S2として計算値:426.1184

実測値:426.1203
【0211】
<実施例18>
【化48】

【0212】
塩化チオニル(1.50mL、20.6mmol)に4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;479mg、2.00mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)を加えて1時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解して、トリエチルアミン(0.6mL、4.30mmol)を加えた後、0℃でアニリン(224mg、2.41mmol)を滴下した。0℃で2時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈して、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製すると、4−アニリノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(237mg、32%)。
MS(FAB+)m/z:371(M+H+)
HRMS(FAB+):C18H16ClN4OSとして計算値:371.0733

実測値:371.0754
【0213】
<実施例19>
【化49】

【0214】
実施例18と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;479mg、2.00mmol)及びベンジルアミン(257mg、2.40mmol)から、N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(190mg、24%)。
MS(FAB+)m/z:399(M+H+)
HRMS(FAB+):C20H20ClN4OSとして計算値:399.1046

実測値:399.1073
【0215】
<実施例20>
【化50】

【0216】
実施例18と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;359mg、1.50mmol)及びフェネチルアミン(200mg、1.65mmol)から、4−クロロ−2−(メチルチオ)−N−フェネチル−6−(フェネチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(193mg、30%)。
MS(EI)m/z:426(M+)
HRMS(EI):C22H23ClN4OSとして計算値:426.1281

実測値:426.1287
【0217】
<実施例21>
【化51】

【0218】
実施例18と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;359mg、1.50mmol)及び3−フェニルプロピルアミン(223mg、1.65mmol)から、4−クロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(220mg、32%)。
MS(EI)m/z:454(M+)
HRMS(EI):C24H27ClN4OSとして計算値:454.1594

実測値:454.1601
【0219】
<実施例22>
【化52】

【0220】
実施例18と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例13の化合物;150mg、0.635mmol)及びベンジルアミン(143mg、1.33mmol)から、N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(23.5mg、9%)。
MS(EI)m/z:395(M+)
HRMS(EI):C21H22ClN5Oとして計算値:395.1513

実測値:395.1484
【0221】
<実施例23>
【化53】

【0222】
実施例18と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メトキシピリミジン−5−カルボン酸(参考例14の化合物;100mg、0.483mmol)及びベンジルアミン(106mg、0.966mmol)から、N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メトキシピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(143mg、77%)。
MS(EI)m/z:382(M+)
HRMS(EI):C20H19ClN4O2として計算値:382.1197

実測値:382.1178
【0223】
<実施例24>
【化54】

【0224】
4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミド(参考例20の化合物;50.0mg、0.159mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)に溶解した後、炭酸カリウム(44.0mg、0.318mmol)及びベンジルアミン(20.5mg、0.191mmol)を0℃で加えて1時間攪拌した後、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈して、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製すると、4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(42.0mg、69%)。
MS(EI)m/z:384(M+)
HRMS(EI):C19H17ClN4OSとして計算値:384.0812

実測値:384.0805
【0225】
<実施例25>
【化55】

【0226】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミド(参考例20の化合物;50.0mg、0.159mmol)及びフェネチルアミン(23.2mg、0.191mmol)から、4−フェネチルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(45.0mg、71%)。
MS(EI)m/z:398(M+)
HRMS(EI):C20H19ClN4OSとして計算値:398.0968

実測値:398.0963
【0227】
<実施例26>
【化56】

【0228】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミド(参考例20の化合物;50.0mg、0.159mmol)及び3−フェニルプロピルアミン(25.8mg、0.191mmol)から、6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェニル−4−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(34.0mg、52%)。
MS(EI)m/z:412(M+)
HRMS(EI):C21H21ClN4OSとして計算値:412.1125

実測値:412.1122
【0229】
<実施例27>
【化57】

【0230】
実施例24と同様の方法により、N−ベンジル−4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例21の化合物;50.0mg、0.152mmol)及びアニリン(15.6mg、0.168mmol)から、4−アニリノ−N−ベンジル−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(40.0mg、68%)。
MS(EI)m/z:384(M+)
HRMS(EI):C19H17ClN4OSとして計算値:384.0812

実測値:384.0837
【0231】
<実施例28>
【化58】

【0232】
実施例24と同様の方法により、N−ベンジル−4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例21の化合物;50.0mg、0.152mmol)及びフェネチルアミン(20.5mg、0.169mmol)から、N−ベンジル−4−クロロ−2−メチルチオ−6−(フェネチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(56.5mg、90%)。
MS(EI)m/z:412(M+)
HRMS(EI):C21H21ClN4OSとして計算値:412.1125

実測値:412.1122
【0233】
<実施例29>
【化59】

【0234】
実施例24と同様の方法により、N−ベンジル−4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例21の化合物;50.0mg、0.152mmol)及び3−フェニルプロピルアミン(23.0mg、0.170mmol)から、N−ベンジル−4−クロロ−2−メチルチオ−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(54.0mg、83%)。
MS(EI)m/z:426(M+)
HRMS(EI):C22H23ClN4OSとして計算値:426.1281

実測値:426.1314
【0235】
<実施例30>
【化60】

【0236】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミド(参考例22の化合物;50.0mg、0.146mmol)及びアニリン(16.4mg、0.176mmol)から、4−アニリノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(32.0mg、55%)。
MS(EI)m/z:398(M+)
HRMS(EI):C20H19ClN4OSとして計算値:398.0968

実測値:398.0977
【0237】
<実施例31>
【化61】

【0238】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミド(参考例22の化合物;50.0mg、0.146mmol)及びベンジルアミン(18.9mg、0.176mmol)から、4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(49.0mg、81%)。
MS(EI)m/z:412(M+)
HRMS(EI):C21H21ClN4OSとして計算値:412.1125

実測値:412.1143
【0239】
<実施例32>
【化62】

【0240】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミド(参考例22の化合物;50.0mg、0.146mmol)及び3−フェニルプロピルアミン(23.8mg、0.176mmol)から、4−クロロ−2−メチルチオ−N−フェネチル−6−(3−フェニルプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(52.0mg、81%)。
MS(EI)m/z:440(M+)
HRMS(EI):C23H25ClN4OSとして計算値:440.1438

実測値:440.1434
【0241】
<実施例33>
【化63】

【0242】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例23の化合物;50.0mg、0.140mmol)及びアニリン(15.6mg、0.168mmol)から、4−アニリノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミド得られた(33.0mg、57%)。
MS(EI)m/z:412(M+)
HRMS(EI):C21H21ClN4OSとして計算値:412.1125

実測値:412.1161
【0243】
<実施例34>
【化64】

【0244】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例23の化合物;50.0mg、0.140mmol)及びベンジルアミン(18.0mg、0.168mmol)から、4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(45.0mg、75%)。
MS(EI)m/z:426(M+)
HRMS(EI):C22H23ClN4OSとして計算値:426.1281

実測値:426.1288
【0245】
<実施例35>
【化65】

【0246】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例23の化合物;50.0mg、0.140mmol)及びフェネチルアミン(20.4mg、0.168mmol)から、4−クロロ−2−メチルチオ−6−フェネチルアミノ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(48.0mg、78%)。
MS(EI)m/z:440(M+)
HRMS(EI):C23H25ClN4OSとして計算値:440.1438

実測値:440.1423
【0247】
<実施例36>
【化66】

【0248】
実施例24と同様の方法により、N−ベンジル−4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例21の化合物;50.0mg、0.152mmol)及びN−ベンジル−N−メチルアミン(22.2mg、0.183mmol)から、N−ベンジル−4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(44.1mg、70%)。
MS(EI)m/z:412(M+)
HRMS(EI):C21H21ClN4OSとして計算値:412.1125

実測値:412.1132
【0249】
<実施例37>
【化67】

【0250】
実施例24と同様の方法により、N−ベンジル−4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例21の化合物;50.0mg、0.152mmol)及びベンジルアルコール(19.8mg、0.183mmol)から、N−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(5.0mg、8%)。
MS(EI)m/z:399(M+)
HRMS(EI):C20H18ClN3O2Sとして計算値:399.0808

実測値:399.0800
【0251】
<実施例38>
【化68】

【0252】
実施例24と同様の方法により、4,6−ジクロロ−N−(2−メトキシカルボニルフェニル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例24の化合物;745mg、2.00mmol)及びベンジルアミン(225mg、2.10mmol)から、4−ベンジルアミノ−6−クロロ−N−(2−メトキシカルボニルフェニル)−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(679mg、77%)。
MS(EI)m/z:442(M+)
HRMS(EI):C21H19ClN4O3Sとして計算値:442.0866

実測値:442.0901
【0253】
<実施例39>
【化69】

【0254】
N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(実施例19の化合物;300mg、0.752mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解した後、m−クロロ過安息香酸(320mg、1.85mmol)を0℃で加えて3時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈して、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製すると、N−ベンジル−4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(200mg、62%)。
MS(EI)m/z:430(M+)
HRMS(EI):C20H19ClN4O3Sとして計算値:430.0866

実測値:430.0851
【0255】
<参考例1>
【化70】

【0256】
4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸メチル(参考例2の化合物;108mg、0.262mmol)、テトラヒドロフラン(0.5mL)及びメタノール(1mL)の混合物に、3mol/L水酸化カリウム水溶液(0.5mL)を加え、4時間加熱還流した。反応混合物に水及び2mol/L塩酸(1mL)を加えてpH=1とした後、析出した結晶をろ取すると、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸が得られた(80.0mg、77%)。
MS(EI)m/z:397(M+)
HRMS(EI):C20H19N3O2S2として計算値:397.0919

実測値:397.0944
【0257】
<参考例2>
【化71】

【0258】
4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸メチル(参考例7の化合物;100mg、0.309mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、炭酸カリウム(85.5mg、0.619mmol)及びフェニルメタンチオール(42.5mg、0.342mmol)を氷冷しながら加えて、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製すると、4−ベンジルアミノ−6−ベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸メチルが得られた(126mg、99%)。
MS(FAB+)m/z:412(M+H+)
HRMS(FAB+):C21H22N3O2S2として計算値:412.1153

実測値:412.1112

【0259】
<参考例3>
【化72】

【0260】
参考例2と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;120mg、0.502mmol)及びフェニルメタンチオール(124mg、1.00mmol)から、4,6−ジベンジルチオ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸が得られた(180mg、86%)。
MS(FAB+)m/z:415(M+H+)
HRMS(FAB+):C20H19N2O2S3として計算値:415.0609

実測値:415.0578
【0261】
<参考例4>
【化73】

【0262】
参考例2と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(1−ピロリジニル)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例11の化合物;900mg、3.43mmol)とフェニルメタンチオール(938mg、7.55mmol)から、4,6−ジベンジルチオ−2−(1−ピロリジニル)ピリミジン−5−カルボン酸が得られた(1.44g、96%)。
MS(FAB+)m/z:438(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H24N3O2S2として計算値:438.1310

実測値:438.1317
【0263】
<参考例5>
【化74】

【0264】
参考例2と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(ブチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例12の化合物;84.4mg、0.300mmol)とフェニルメタンチオール(95.0mg、0.765mmol)から、4,6−ジベンジルチオ−2−(ブチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸が得られた(120g、88%)。
MS(FAB+)m/z:457(M+H+)
HRMS(FAB+):C23H25N2O2S3として計算値:457.1078

実測値:457.1093
【0265】
<参考例6>
【化75】

【0266】
参考例2と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミド(参考例9の化合物;407mg、1.71mmol)及びフェニルメタンチオール(213mg、1.71mmol)から、4−ベンジルチオ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(433mg、78%)。
MS(FAB+)m/z:326(M+H+)
HRMS(FAB+):C13H13ClN3OS2として計算値:326.0189

実測値:326.0188
【0267】
<参考例7>
【化76】

【0268】
4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸メチル(参考例8の化合物;900mg、3.56mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.60mL、4.30mmol)及びベンジルアミン(381mg、3.56mmol)を氷冷しながら加えた後、さらに1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製すると、4−ベンジルアミノ−6−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸メチルが得られた(1.10g、95%)。
MS(EI)m/z:323(M+)
HRMS(EI):C14H14ClN3O2Sとして計算値:323.0495

実測値:323.0500
【0269】
<参考例8>
【化77】

【0270】
4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;16.7g、69.9mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(150mL)溶液に、炭酸カリウム(11.6g、83.9mmol)及びヨウ化メチル(5.50mL、88.3mmol)を氷冷しながら加えた後、氷冷下0.5時間、続いて室温で2時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製すると、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸メチルが得られた(17.6g、99%)。
MS(EI)m/z:252(M+)
HRMS(EI):C7H6Cl2N2O2Sとして計算値:251.9527

実測値:251.9538
【0271】
<参考例9>
【化78】

【0272】
塩化チオニル(3.0mL、41.1mmol)に4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;479mg、2.00mmol)を加えて1時間加熱還流した。30%アンモニア水溶液(50mL)に、溶媒を留去して得られた残渣のテトラヒドロフラン(10mL)を0℃で滴下して1時間攪拌した後、室温で2時間攪拌した。析出した結晶を濾取すると、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(469mg、98%)。
MS(FAB+)m/z:238(M+H+)
HRMS(FAB+):C6H6Cl2N3OSとして計算値:237.9609

実測値:237.9626
【0273】
<参考例10>
【化79】

【0274】
リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液(ジイソプロピルアミン(3.0mL、21.4mmol)をテトラヒドロフラン(25mL)で希釈して、−20℃においてn−ブチルリチウム(13.6mL、20.7mol、1.52mol/Lヘキサン溶液)を加えた後、−20℃で1時間撹拌して調整した。)に、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(2.70g、13.8mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を−78℃で加えた後、3時間撹拌した。反応液に炭酸ガスを10分間バブリングした後、水を加えて室温まで昇温した。2mol/L塩酸(25mL)を加えてpH=1とした後、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をトルエンで洗浄すると、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸が(1.93g、58%)得られた。
MS(EI)m/z:238(M+)
HRMS(EI):C6H4Cl2N2O2Sとして計算値:237.9371

実測値:237.9383
【0275】
<参考例11>
【化80】

【0276】
参考例10と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−ピロリジニルピリミジン(参考例15の化合物;36.0g、0.165mmol)から、4,6−ジクロロ−2−ピロリジニルピリミジン−5−カルボン酸が(27.4g、63%)得られた。
MS(EI)m/z:261(M+)
HRMS(EI):C9H9Cl2N3O2として計算値:261.0072

実測値:261.0029
【0277】
<参考例12>
【化81】

【0278】
参考例10と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(ブチルチオ)ピリミジン(参考例16の化合物;1.59g、6.70mmol)から、4,6−ジクロロ−2−(ブチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸が(1.40g、74%)得られた。
MS(EI)m/z:280(M+)
HRMS(EI):C9H10Cl2N2O2Sとして計算値:279.9840

実測値:279.9844
【0279】
<参考例13>
【化82】

【0280】
参考例10と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン(参考例17の化合物;28.3g、0.147mmol)から、4,6−ジクロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸が(23.1g、67%)得られた。
MS(EI)m/z:235(M+)
HRMS(EI):C7H7Cl2N3O2として計算値:234.9915

実測値:234.9927
【0281】
<参考例14>
【化83】

【0282】
参考例10と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−メトキシピリミジン(参考例18の化合物;276mg、1.54mmol)から、4,6−ジクロロ−2−メトキシピリミジン−5−カルボン酸が(219mg、69%)得られた。
1H-NMR(400Mz,
DMSO-d6)ppm: 4.01(3H, s), 14.5(1H, br)
【0283】
<参考例15>
【化84】

【0284】
ピロリジン(21.5g、0.302mol)をメタノール(100mL)に溶解して、10%塩化水素−メタノール(500mL)を加えて、0℃で0.5時間、続いて室温で1時間撹拌した後、溶媒を留去した。得られた残渣にシアナミド(15.2g、0.362mol)及びブタノール(20mL)を加えて10時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣をエタノール(300mL)に溶解して、tert−ブトキシカリウム(67.8g、0.604mol)及びマロン酸ジエチル(58.0g、0.362mol)を加えて10時間加熱還流した。反応液を冷却後、水(300mL)を加え、酢酸を加えてpH=4とした後、析出した結晶を濾取した。得られた結晶にオキシ塩化リン(400mL、4.29mol)を加えて10時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣に水を加えて炭酸ナトリウムを加えてpH=11とした後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=10:1)にて精製すると、4,6−ジクロロ−2−(1−ピロリジニル)ピリミジン(36.0g、55%)が得られた。
MS(EI)m/z:217(M+)
HRMS(EI):C8H9Cl2N3として計算値:217.0174

実測値:217.0181
【0285】
<参考例16>
【化85】

【0286】
チオバルビツール酸(5.22g、36.2mmol)のエタノール(50mL)及び3mol/LNaOH水溶液(12mL)溶液を1時間加熱還流した。続いて4−ヨウ化ブチル(4.20mL、3.69mmol)を加えて更に2時間加熱還流した。反応液を冷却して、析出した結晶を濾取して、水及びエタノールで洗浄した。得られた結晶をオキシ塩化リン(15.0mL、0.161mmol)に加えて、ジメチルアニリン(5.20mL、41.0mmol)を加えた後、1時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣に水を加えて炭酸ナトリウムを加えてpH=11とした後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製すると、4,6−ジクロロ−2−(ブチルチオ)ピリミジン(1.61g、19%)が得られた。
MS(FAB+)m/z:237(M+H+)
HRMS(FAB+):C8H11Cl2N2Sとして計算値:237.0020

実測値:236.9995
【0287】
<参考例17>
【化86】

【0288】
tert−ブトキシカリウム(20.0g、0.178mmol)のエタノール(250mL)溶液に、N,N−ジメチルグアニジン硫酸塩(12.0g、44.1mmol)及びマロン酸ジエチル(15.0g、93.7mmol)を加えて5時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣に10%塩化水素−メタノール(200mL)を加えて室温で1時間攪拌した後、溶媒を留去した。得られた残渣にオキシ塩化リン(160mL、1.72mol)を加えて2時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣に水及び炭酸ナトリウムを加えてpH=11とした後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=10:1)にて精製すると、4,6−ジクロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン(9.14g、54%)が得られた。
MS(EI)m/z:191(M+)
HRMS(EI):C6H7Cl2N3として計算値:191.0017

実測値:190.9992
【0289】
<参考例18>
【化89】

【0290】
オキシ塩化リン(3.04mL、32.2mmol)に4,5−ジヒドロキシ−2−メトキシピリミジン(457mg、3.22mmol)を加えて1.5時間加熱還流した。反応液を氷水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を留去すると、4,6−ジクロロ−2−メトキシピリミジン(282mg、49%)が得られた。
1H-NMR(400Mz,
DMSO-d6)ppm: 3.96(3H, s), 7.64(1H, s)
【0291】
<参考例19>
【化88】

【0292】
ナトリウム(1.12g、48.7mmol)のメタノール(10mL)溶液に、硫酸O−メチルイソ尿素(2.00g、8.12mmol)及びマロン酸ジエチル(2.47mL、16.2mmol)を加えて7時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣に水(50mL)を加えた後、1mol/L塩酸を加えてpH=4として、0℃で0.5時間攪拌した。析出した結晶をろ取すると、4,6−ジクロロ−2−メトキシピリミジン(780mg、34%)が得られた。
1H-NMR(400Mz,
DMSO-d6)ppm: 3.84(3H, s), 4.98(1H, s)
【0293】
<参考例20>
【化89】

【0294】
塩化チオニル(1.50mL、20.6mmol)に4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;479mg、2.00mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)を加えて1時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた残渣をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解して、トリエチルアミン(0.6mL、4.30mmol)を加えた後、0℃でアニリン(224mg、2.41mmol)を滴下した。0℃で2時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈して、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製すると、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェニルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(44.7mg、7%)。
MS(EI)m/z:313(M+)
HRMS(EI):C12H9Cl2N3OSとして計算値:312.9843

実測値:312.9815
【0295】
<参考例21>
【化90】

【0296】
参考例20と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;479mg、2.00mmol)及びベンジルアミン(257mg、2.40mmol)から、N−ベンジル−4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(256mg、39%)。
MS(EI)m/z:327(M+)
HRMS(EI):C13H11Cl2N3OSとして計算値:327.0000

実測値:326.9986
【0297】
<参考例22>
【化91】

【0298】
参考例20と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;359mg、1.50mmol)及びフェネチルアミン(200mg、1.65mmol)から、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−フェネチルピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(247mg、48%)。
MS(EI)m/z:341(M+)
HRMS(EI):C14H13Cl2N3OSとして計算値:341.0156

実測値:341.0166
【0299】
<参考例23>
【化92】

【0300】
参考例20と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;359mg、1.50mmol)及び3−フェニルプロピルアミン(223mg、1.65mmol)から、4,6−ジクロロ−2−メチルチオ−N−(3−フェニルプロピル)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(277mg、52%)。
MS(EI)m/z:355(M+)
HRMS(EI):C15H15Cl2N3OSとして計算値:355.0313

実測値:355.0304
【0301】
<参考例24>
【化93】

【0302】
参考例20と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例10の化合物;1.20mg、5.02mmol)及びアントラニル酸メチル(800mg、5.29mmol)から、4,6−ジクロロ−N−[2−(メトキシカルボニル)フェニル]−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(1.25g、67%)。
MS(EI)m/z:371(M+)
HRMS(EI):C14H11Cl2N3O3Sとして計算値:370.9896

実測値:370.9863
【0303】
<参考例25>
【化94】

【0304】
参考例20と同様の方法により、4,6−ジクロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(参考例13の化合物;150mg、0.635mmol)及びベンジルアミン(143mg、1.33mmol)から、N−ベンジル−4,6−ジクロロ−2−(ジメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボキサミドが得られた(180mg、82%)。
MS(EI)m/z:324(M+)
HRMS(EI):C14H14Cl2N4Oとして計算値:324.0545

実測値:324.0560
【0305】
次に本発明化合物について、有用性を裏付ける成績を試験例によって示す。
【0306】
<試験例1>
PPARγモジュレーター活性の評価
ヒトペルオキシゾーム増殖薬活性化受容体(PPAR)γに対する転写活性化試験
10%ウシ胎児血清を含むHam's F12培地で培養したCHO-K1細胞に、酵母転写因子GAL4のDNA結合領域とヒト型PPARγのリガンド結合領域(Biochemistry, 1993, 32, 5598)との融合タンパク質を発現する受容体プラスミド(pM-hPPARγLBD)及びそのレポータープラスミド(STRATAGENE社、ホタルルシフェラーゼレポータープラスミド)、及び内部標準用のウミシイタケルシフェラーゼプラスミド(Promega社)を、リポフェクトアミン(インビトロジェン社)を用いて無血清状態にて37℃で2時間コトランスフェクトした。その後10%脱脂牛血清を含むHam's F12培地中で被験化合物を添加し、37℃で20時間培養後、両ルシフェラーゼ活性を測定し、内部標準により補正した値を用いて、用量依存曲線を描いた。被験化合物のEC50値及びME値は次のように定義する。ポジティブコントロール群(添加濃度1μmol/Lのロシグリタゾン単独処理)のPPARγ転写活性値を100%、コントロール群のPPARγ転写活性値を0%としたとき、被験化合物単独でのPPARγ転写活性値の最大値をME(%)とする。このとき、ME/2の値を示す被験化合物の濃度をEC50値として算出する。このようにして算出されたEC50値及びME値の結果をPPARγモジュレーター活性の評価に用いた。測定結果を表1に示す。
【0307】
【表1】

【0308】
表1より、本発明化合物(1)又はその塩が、優れたPPARγモジュレーター活性を示すことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0309】
本発明は新規なピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩に、優れたPPARγモジュレーター作用を有することを見出したものである。
【0310】
さらに、本発明化合物及びその塩は、毒性も低く安全である。従って、本発明化合物及びその塩は、PPARγが関与する種々の病態(糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高インスリン血症、インスリン耐性、肥満、高脂血症、動脈硬化症、退行期骨粗鬆症等)の治療、予防又は抑制に対して有効な、有用性の高い医薬を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1は、ZR(ZはO、S、SO又はSO2を示し、Rは水素原子、C1〜C10アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。)又はNR(R及びRは互いに結合して環を形成するか或いは、同一又は異なって、水素原子、C1〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を示す。)を示し(当該R、R及びRは同一又は異なって、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基、水酸基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、カルボキシル基の中から選ばれた1〜3個の置換基を有していてもよい。);
は、ハロゲン原子を示すか、或いは、
【化2】

を示し;
は、水素原子を示すか、或いは、
【化3】

を示し;
及びWは同一又は異なってS又はNHを示し;
、Y及びYは同一又は異なって、単結合又はC〜Cアルキレン鎖を示し;
及びAは同一又は異なって、アリール基、シクロアルキル基又は複素環基(当該A及びAは同一又は異なって、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、ニトロ基、1個又は2個の同一又は異なったC1〜C6アルキル基で置換されていても良いアミノスルホニル基、アミノ基、モノ又はジ置換C1〜C6アルキルアミノ基、オキソ基、水酸基又はハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基の中からそれぞれ独立して選ばれた1〜3個の置換基(隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい)を有していてもよい)を示し;
はアリール基、複素環基又はカルボキシル基(当該Aがアリール基又は複素環基の場合、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルキル基、アリール基、カルボキシル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子で置換されていても良いC1〜C6アルコキシ基の中からそれぞれ独立して選ばれた1〜3個の置換基(隣接する2個の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい)を有していてもよい)を示す。)で表されるピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩。
【請求項2】
前記一般式(1)において、R
【化4】

である請求項1に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項3】
下記一般式(1a)
【化5】

(式中、R、W、W、Y、Y、A及びAは上記に同じ。)で表される請求項1に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項4】
前記一般式(1a)において、Y及びYが同一又は異なって、C〜Cアルキレン鎖である請求項3に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項5】
前記一般式(1a)において、W=Sであり、Y及びYが同一又は異なって、C〜Cアルキレン鎖である請求項3に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項6】
下記一般式(1b)
【化6】

(式中、R4aは、C1〜C10アルキル基を示し、W、W、Y、Y、A及びAは上記に同じ。)で表される請求項3に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項7】
前記一般式(1b)において、W=Sである請求項6に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項8】
前記一般式(1b)において、W=Sであり、A及びAが同一又は異なってアリール基である請求項6に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項9】
下記一般式(1c)
【化7】

(式中、R、W、Y、Y、A及びAは上記に同じ。)で表される請求項1に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項10】
前記一般式(1c)において、WがNHである請求項9に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項11】
前記一般式(1c)において、WがNHであり、A及びAが共にフェニル基である請求項9に記載のピリミジン−5−カルボキサミド酸誘導体又はその塩。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン非依存性糖尿病発病の治療、予防又は抑制剤。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする肥満の治療、予防又は抑制剤。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高血糖症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高コレステロール血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高トリグリセリド血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項18】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とするインスリン耐性の治療、予防又は抑制剤。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする高インスリン血症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする動脈硬化症の治療、予防又は抑制剤。
【請求項21】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のピリミジン−5−カルボキサミド誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする退行性骨粗鬆症の治療、予防又は抑制剤。

【公開番号】特開2006−342116(P2006−342116A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170409(P2005−170409)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】