説明

ピロリジニル基を有するパラフェニレンジアミン誘導体を含有するケラチン繊維の染色用組成物

【課題】 良好な毒学的プロフィール、及びそれを含有する組成物により、色調の強度、多様性、均一性(すなわち低選択性)及び毛髪が受けるであろう種々の外的攻撃要因に対する保持力に関して優れた特性を有する着色を毛髪に付与することができるといった特性の双方を有する新規な酸化ベースを提供する。
【解決手段】 本発明は、酸化ベースとして少なくとも1つのピロリジニル基を有するパラフェニレンジアミン誘導体を含有するケラチン繊維の新規な染色用組成物、染色方法、及び該組成物を使用する染色用キットに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明の主題は、酸化ベースとして少なくとも1つのピロリジニル基を有するパラ-フェニレンジアミン誘導体を含有するケラチン繊維を酸化染色するための新規な組成物、この組成物を使用する染色方法、及び染色用キットに関する。
【0002】
酸化染料先駆物質、特に、一般に酸化ベース(oxidation bases)として知られているオルト-又はパラ-フェニレンジアミン類、オルト-又はパラ-アミノフェノール類、複素環ベース類、例えばジアミノピラゾール誘導体を含有する染色用組成物でケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色することが知られている。これらの酸化染料先駆物質(酸化ベース)は、酸化物質と組み合わされて、酸化縮合プロセスにより、着色した化合物及び染料を生じうる無色かわずかに着色した化合物である。
【0003】
また、これらの酸化ベースをカップラー又は調色剤と組み合わせることにより、酸化ベースにより得られる色調を変化させることができることも知られており、これらは芳香族のメタ-ジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類及びある種の複素環化合物から特に選択される。
酸化ベース及びカップラーに使用される様々な分子により、広範囲の色調を得ることが可能になる。
【0004】
これらの酸化染料を使用して得られる、いわゆる「永久的な」着色は、いくつかの要求をさらに満足させるものでなくてはならない。例えば、毒学的な欠点がなく、所望の強さの色調が得られ、外的要因(光、悪天候、洗浄、パーマネントウェーブ処理、発汗又は摩擦)に対して良好な保持力を有すべきものである。
また、染料はグレイの毛髪をカバーすべきものでなければならず、最終的に可能な限り非選択的であること、すなわち、実際には毛髪の先端と末端の間で敏感度(すなわち傷み具合)が異なりうる、同じケラチン繊維に沿って可能な限り色差が小さくなるようにできなければならない。
【0005】
毛髪の染色の分野において、パラ-フェニレンジアミンとパラ-トルイレンジアミンは、広範囲に使用されている酸化ベースである。酸化カップラーにより、多様な色調を得ることができる。
しかしながら、パラ-フェニレンジアミン又はパラ-トルイレンジアミンよりも毒学的プロフィールが良好で、また同時に、強度、色調の多様性、色調の均一性及び外的要因に対する保持力に関して優れた特性を毛髪に付与することのできる、顕色剤として公知の新規な酸化ベースを見出す必要がある。
【0006】
特に特許出願GB2239265号においては、パラ-フェニレンジアミン及びパラ-トルイレンジアミンと置換可能なものとして、2-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン又はN,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミンの使用が特に提案されている。同様に、2-(ヒドロキシアルコキシ)-パラ-フェニレンジアミンのケースもしかりである(特にUS5538516号を参照)。
しかしながら、N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン及び2-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミンは、色調の多様性、強度、及び毛髪における均一性に関して、パラ-フェニレンジアミン及びパラ-トルイレンジアミンよりも劣るといった欠点を有する。同様に、2-(ヒドロキシアルコキシ)-パラ-フェニレンジアミンのケースにおいても、経時的に展開して変化する色調を毛髪に付与するものであった。
【0007】
さらに、R.L. Bentら., J.A.C.S. 73, 3100, 1951の文献からは、窒素原子の一つが非芳香性で6-又は7員の炭素ベース又は複素環に含まれるパラ-フェニレンジアミン誘導体は、窒素原子の一つが2つの対称置換基で置換されたパラ-フェニレンジアミン誘導体よりも酸化されにくい、窒素原子の一つが2つの非対称置換基で置換されたパラ-フェニレンジアミンよりも酸化されにくいことがわかる。
また同じ文献には、窒素原子の一つが非芳香性で5員の炭素ベース環に含まれるパラ-フェニレンジアミン誘導体は、上述した各誘導体よりも酸化しやすいことが記載されている。よって、特定のクラスのパラ-フェニレンジアミンのN-ピロリジン誘導体により、上述したパラ-フェニレンジアミン誘導体と比較して、塩基性及び酸性媒体におけるカップラーとの縮合反応を動力学的に促進させることができる。
しかしながら、あまりにも酸化しやすく、早い反応速度でカップラーと反応する酸化ベースであると、一般的にケラチン繊維の外面で染料が形成される。よって、毛髪上に得られた色調の強度、保持力及び均一性は一般的に不十分である。
【0008】
しかして、US5851237号では、パラ-フェニレンジアミンに換えて、ベンゼン核において置換がなされていてもよい1-(4-アミノフェニル)ピロリジン誘導体の使用が提案されている。この件に関し、同じ特許においては、パラ-フェニレンジアミンに換えて、1-(4-アミノフェニル)ピロリジンの使用を非常に好ましいものとして提案している。
現在では、1-(4-アミノフェニル)ピロリジンが高アレルギー活性を有していることが、文献により知られている(R.L. Bentら., J.A.C.S. 73, 3100, 1951)。
【0009】
また、US5993491号には、パラ-フェニレンジアミンに換えて、ベンゼン核において置換がなされていてもよいN-(4-アミノフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジンの使用が提案されている。請求した非常に好ましい化合物として、前記特許では3位がメチル基で置換されていてもよいN-(4-アミノフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジンが提案されている。
しかしながら、これらの化合物では、同量のパラ-フェニレンジアミンにより毛髪上に得られる色調よりも、強度及び均一性に欠けた色調しか得ることができないことがはっきりとしている。
【0010】
さらに、特許出願JP11158048号では、良好な展伸性、適用の容易性、及びシャンプーに対する耐性がある毛髪の着色用組成物が提案されている。これらの染色用組成物は、ベンゼン核が1〜4の置換基で置換されていてもよく、その窒素原子の一つが5-又は7員の炭素ベース環に含まれるパラ-フェニレンジアミン誘導体、又はベンゼン核が1〜4の置換基で置換されていてもよく、その窒素原子の一つがZ基又はZ基で置換され、Z基がアルキル又はアリール基であり、Z基が-(CH-CH-O)-Z基であり、Zが水素原子、アルキル又はアリール基、又は複素環を表すものであるパラ-フェニレンジアミン誘導体から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。
着色力、適用の容易性、得られた着色の均一性、及び特にシャンプーの作用に対する保持力の点において。この日本国特許出願においては、好ましい誘導体、すなわちN-(3-イソプロピルオキシ-4-アミノフェニル)-2,5-ジエチルピロリジン、N-(3-メチル-4-アミノフェニル)-3-(2-ヒドロキシエチルオキシ)ピロリジン及びN-(3-メチル-4-アミノフェニル)-2-メチル-4-ヒドロキシピロリジンは、窒素原子が官能化された6員のピペリジン環に含まれる等量の4-アミノアニリン誘導体を同様の酸化ベースとして作用することが示されている。
しかしながら、パラ-フェニレンジアミン誘導体の窒素原子の一つが6員環に含まれている場合、対応するキノン-イミン酸化形態に至る活性化エネルギーは、N,N-二置換パラ-フェニレンジアミン系において最も高いことが知られている。これらのデータの結果では、カップラーとの縮合反応は効果的ではなく、パラ-フェニレンジアミン又はパラ-トルイレンジアミンで得られた色調と比較して、得られた色調の強度及び均一性に関し、不十分な着色特性しか毛髪に付与しない、とされる。
【0011】
この結果、官能化されたピロリジン環に含まれる窒素原子を有するパラ-フェニレンジアミン誘導体による、特許出願JP11158048号において提案された解決法では、パラ-フェニレンジアミン又はパラ-トルイレンジアミンで得られたものと同等の染色結果を毛髪に付与することはできない。
よって、良好な毒学的プロフィール、及びそれを含有する組成物により、色調の強度、多様性、均一性(すなわち低選択性)及び毛髪が受けるであろう種々の外的攻撃要因に対する保持力に関して優れた特性を有する着色を毛髪に付与することができるといった特性の双方を有する新規な酸化ベースを見出すことが、まさに必要とされていることは明白である。
【0012】
本出願人は全く驚くべきことに、また予期しないことに、以下に記載する式(I)のピロリジニル基を有するある種のパラ-フェニレンジアミン誘導体が、ケラチン繊維の酸化染色用の酸化ベースとしての使用に適切であるばかりでなく、特に強力で比較的非選択性な着色に至らしめることを見出した。さらに、毛髪が受けるであろう種々の攻撃要因に対して耐性のある着色を付与する染色用組成物を得ることもできる。
これらの発見が本発明の基礎を形成する。
【0013】
よって、本発明の第1の主題は、染色に適した媒体に、次の式(I):
【化1】

[上式中:
− Rは水素原子;塩素原子及びフッ素原子から選択されるハロゲン原子;直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し、該分枝部は3-又は5員の炭素ベース環を一又は複数形成可能であり、これは一又は複数の二重結合及び/又は一又は複数の三重結合を含有していてもよく、該二重結合は芳香族基に至り得るものであり、一又は複数の炭素原子は酸素、窒素又は硫黄原子、もしくはSO基で置換されていてもよく、炭素原子は互いに独立して一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよく;該R基はペルオキシド結合又はジアゾ、ニトロ又はニトロソ基を含有せず;
− Rはヒドロキシル基;アミノ基;Rが、ハロゲン原子、C-Cアルコキシ、アミノ又はC-Cアミノアルキル又はC-Cアルキル基で、一又は複数のヒドロキシル基で置換されたものからなる群から選択される、一又は複数の基で置換された直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表す-OR基;RとRが互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子及びヒドロキシル、C-Cアルコキシ、アミノ又はC-Cアミノアルキル基からなる群から選択される一又は複数の基で置換された直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表す-NR基を表す]
のピロリジニル基を有するパラ-フェニレンジアミン誘導体及びそれらの酸付加塩類から選択される少なくとも1つの酸化ベースを含有せしめてなることを特徴とする、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を酸化染色するための組成物にある。
【0014】
上述したように、本発明の酸化染色用組成物により得られた着色は強力で比較的非選択的であり、さらに種々の外的要因(光、悪天候、洗浄、パーマネントウエーブ処理、発汗及び摩擦)の作用に対する耐性の点から優れた特性を有する。本発明の酸化染色用組成物により、非常に広範囲の色調を達成することができる。
【0015】
本発明において、R基の一又は複数の炭素原子が酸素、窒素又は硫黄原子、もしくはSO基と置換された場合、及び/又は該R基が一又は複数の二重結合及び/又は三重結合を含有している場合、このことは、例えば次の転化が行われ得ることを意味する;
【化2】

【0016】
特に、Rは水素原子、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和の炭化水素ベース鎖、アルコキシ、アルコキシアルキル、モノ-又はポリヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアミノアルキル及びヒドロキシアルコキシ基から選択される。これらの置換基の中でも、Rは特に、水素原子又はメチル、エチル、イソプロピル、ビニル、アリル、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、1-カルボキシメチル、1-アミノメチル、2-カルボキシエチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、1,2-ジヒドロキシエチル、1-ヒドロキシ-2-アミノエチル、メトキシ、エトキシ、アリルオキシ又は3-ヒドロキシエチルオキシ基を表す。これらの置換基の中でも、Rは、好ましくは水素原子又はメチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1,2-ジヒドロキシエチル、メトキシ又は2-ヒドロキシエトキシ基を表す。
これらの置換基の中でも、Rは、より好ましくは水素原子又はメチル基を表す。
【0017】
本発明において有用なR置換基の中でも、Rはヒドロキシル基;アミノ基;Rが、ハロゲン原子、C-Cアルコキシ、アミノ及びC-Cアミノアルキル基からなる群から選択される一又は複数の基で置換された直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表す-OR基;RとRが互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子及びヒドロキシル、C-Cアルコキシ、アミノ又はC-Cアミノアルキル基からなる群から選択される一又は複数の基で置換された直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表す-NR基を表す。好ましくは、Rは、ヒドロキシル、アセトキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ又は2-ヒドロキシエチルアミノ基を表す。これらの置換基の中でも、Rは、好ましくはヒドロキシル又はアミノ基を表す。
【0018】
上述した式(I)のピロリジニル基を有するパラ-フェニレンジアミン誘導体の中でも、特に、N-(4-アミノフェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-2-エチルフェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-2-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-2-(1-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-2-(1,2-ジヒドロキシエチル)フェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-3-エチルフェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-3-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-3-(1-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-3-(1,2-ジヒドロキシエチル)フェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノフェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-2-メチルフェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-2-エチルフェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-2-メトキシフェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-2-(1-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-2-(1,2-ジヒドロキシエチル)フェニル)-3-ヒドロキシピロリジン、N-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-3-エチルフェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-3-メトキシフェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-アミノピロリジン、N-(4-アミノ-3-(1-ヒドロキシエチル)フェニル)-3-アミノピロリジン及びN-(4-アミノ-3-(1,2-ジヒドロキシエチル)フェニル)-3-アミノピロリジン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0019】
式(I)のピロリジニル基を有するパラ-フェニレンジアミン誘導体及びそれらの合成方法は公知であり;特に特許出願DE4241532号(AGFA)が参照される。
本発明の式(I)のピロリジニル基を有するパラ-フェニレンジアミン誘導体(類)及び/又はそれらの酸付加塩類は、好ましくは染色用組成物の全重量に対して約0.0005重量%〜12重量%、より好ましくはこの重量に対して0.005重量%〜6重量%である。
【0020】
染色に適した媒体(又は支持体)は、一般的に、水、又は水に十分には溶解しない化合物を溶解させるための少なくとも1つの有機溶媒と水との混合物からなる。有機溶媒には、例えば、低級C-Cアルカノール類、例えばエタノール及びイソプロパノール;グリセロール:グリコール類及びグリコールエーテル類、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテル、及び芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、それらの類似物及び混合物が含まれる。
溶媒類は、染色用組成物の全重量に対して、好ましくは約1重量%〜40重量%、さらに好ましくは約5重量%〜30重量%の割合で存在し得る。
【0021】
本発明の染色用組成物のpHは、一般的には約3〜12、好ましくは約5〜11である。これは、ケラチン繊維の染色において通常使用される酸性化剤又は塩基性化剤、又は従来のバッファー系を使用することにより、所望の値に調節することができる。
酸性化剤としては、例えば、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸及び乳酸、及びスルホン酸を挙げることができる。
【0022】
特定の実施態様において、塩基性化剤は、アルカノールアミノ類、ジアミノアルカン類及びアンモニア水から選択される。
本発明の目的において、用語「アルカノールアミノ」とは、(i)好ましくはC-Cアルキル又は置換したC-Cアルキル、例えばモノ-又はポリヒドロキシアルキルといった一又は二の置換基で置換されていてもよい少なくとも1つのアミン官能基、及び(ii)アミン官能基により担持されない少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有し、2〜100の炭素原子を有する任意の飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状の炭素ベース化合物を意味する。
【0023】
本発明で使用可能なアルカノールアミノ類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-1-ブタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノエチルエタノールアミン、1-ジエチルアミノ-2,3-プロパンジオール、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン及びメチルエタノールアミンを挙げることができる。好ましくは、モノエタノールアミンが使用される。
【0024】
本発明で使用されるジアミノアルカン類は、次の式(II):
【化3】

[上式中、Wは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいアルキレン残基であり;R、R、R及びRは同一又は異なっており、水素原子、C-Cアルキル基又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す]
のジアルカノールアミノ類である。好ましくは、Wはプロピレン残基である。より好ましくは、ジアミノアルカンはジアミノプロパンである。
【0025】
本発明で使用可能な全ての塩基性化剤の中でも、アンモニア水が好ましく使用される。
塩基性化剤(類)は、酸化染色を意図した組成物又は使用準備が整った酸化染色用組成物の全重量に対して、活性物質が約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%の範囲の濃度で、本発明の酸化染色を意図した組成物又は使用準備が整った酸化染色用組成物に存在する。
【0026】
好ましい実施態様において、本発明の酸化染色用組成物は、式(I)の化合物の使用により得られた色調を変化させ、又は光沢に富んだ色調にするために、一又は複数のカップラーをさらに含有する。
【0027】
本発明の酸化染色用組成物に使用可能なカップラーは、従来から酸化染色に使用されているカップラーから選択することができ、このようなものとしては、特にメタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、ナフトール類及び複素環カップラー、例えばピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、ピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、ピラゾロ-5-オン、ピリジン類、インドール類、インドリン類、インダゾール類、ベンゾイミダゾール類、ベンゾチアゾール類、ベンゾオキサゾール類、1,3-ベンゾジオキソール類及びキノリン類を挙げることができる。
【0028】
特定の一実施態様において、カップラー(類)は、複素環カップラー、置換されたメタ-ジフェノール類、置換されたメタ-フェニレンジアミン類、ナフトール類及びアシル化ナフトール類、及び次の式(III):
【化4】

[上式中:
− Rは水素原子、又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル又はC-Cポリヒドロキシアルキル基を表し、
− Rは水素原子、C-Cアルキル又はC-Cアルコキシ基、又は塩素、臭素及びフッ素から選択されるハロゲン原子を表し、
− Rは水素原子、又はC-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cモノヒドロキシアルキル、C-Cポリヒドロキシアルキル、C-Cモノヒドロキシアルコキシ又はC-Cポリヒドロキシアルコキシ基を表す]
のメタ-アミノフェノール類、及びそれらの酸付加塩類から選択される。
【0029】
本発明の染色用組成物でカップラーとして使用可能な置換されたメタ-ジフェノール類としては、好ましくは、次の式(VI):
【化5】

[上式中:
及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、C-Cアルキル基又は塩素、臭素及びフッ素から選択されるハロゲン原子を表し、R及びR基の少なくとも1つは水素原子以外である]
の化合物、及びそれらの酸付加塩類が使用される。
上述した式(VI)の置換されたメタ-ジフェノール類としては、特に2-メチル-1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン及び2-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0030】
本発明の染色用組成物でカップラーとして使用可能な置換されたメタ-フェニレンジア
ミン類としては、好ましくは、次の式(V):
【化6】

[上式中:
− R10は水素原子、又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル又はC-Cポリヒドロキシアルキル基を表し、
− R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルコキシ又はC-Cポリヒドロキシアルコキシ基を表し、
− R13は水素原子、C-Cアルコキシ、C-Cアミノアルコキシ、C-Cモノヒドロキシアルコキシ又はC-Cポリヒドロキシアルコキシ基、又は2,4-ジアミノフェノキシアルコキシ基を表し;R10ないしR13基の少なくとも1つは水素原子以外である]
の化合物、及びそれらの酸付加塩類が使用される。
上述した式(V)の置換されたメタ-フェニレンジアミン類としては、特に3,5-ジアミノ-1-エチル-2-メトキシベンゼン、3,5-ジアミノ-2-メトキシ-1-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-1-エトキシベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)メタン、1-(β-アミノエチルオキシ)-2,4-ジアミノベンゼン、2-アミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-4-メチルアミノベンゼン、2,4-ジアミノ-1-エトキシ-5-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-5-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-1-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ)ベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン及び2-アミノ-4-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メトキシベンゼン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0031】
本発明の染色用組成物において使用可能な複素環カップラーとしては、特にインドール誘導体、インドリン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾモルホリン誘導体、セサモール誘導体、ピラゾロアゾール誘導体、ピロロアゾール誘導体、イミダゾロアゾール誘導体、ピラゾロピリミジン誘導体、ピラゾリン-3,5-ジオン誘導体、ピロロ[3,2-d]オキサゾール誘導体、ピラゾロ[3,4-d]チアゾール誘導体、チアゾロアゾールS-オキシド誘導体及びチアゾロアゾールS,S-ジオキシド誘導体、及びそれらの酸付塩類を挙げることができる。
【0032】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なインドール誘導体としては、特に、次の式(VI):
【化7】

[上式中:
− R14は、水素原子、C-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル、C-Cポリヒドロキシアルキル又はアミンがC-Cアルキル基で一又は二置換されるC-Cアミノアルキル基を表し;
− R15は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し;
− R16は、水素原子又はC-Cアルキル又はヒドロキシル基を表し;
− Xは、ヒドロキシル基、又はR17が水素原子又はC-Cアルキル又はC-Cヒドロキシアルキル基を表すNHR17基を表す]
の化合物、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0033】
上述した式(V)のインドール誘導体として、特に、4-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-アミノインドール、6-アミノインドール、7-ヒドロキシインドール、7-エチル-6-(β-ヒドロキシエチル)アミノインドール、4-アミノインドール、6-ヒドロキシ-1-メチルインドール、5,6-ジヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-1-N-メチルインドール、4-ヒドロキシ-2-メチルインドール、4-ヒドロキシ-5-メチルインドール、4-ヒドロキシ-1-N-(β-ヒドロキシエチル)インドール、4-ヒドロキシ-1-N-(β-ヒドロキシプロピル)インドール、1-N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-1-N-(β-ヒドロキシエチル)-5-メチルインドール及び1-N-(γ-ジメチルアミノプロピル)-4-ヒドロキシインドール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なインドリン誘導体としては、特に、4-ヒドロキシインドリン、6-ヒドロキシインドリン、6-アミノインドリン及び5,6-ジヒドロキシインドリン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0034】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なベンゾイミダゾール誘導体としては、特に、次の式(VII):
【化8】

[上式中:
− R18は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
− R19は、水素原子又はC-Cアルキル又はフェニル基を表し、
− R20は、ヒドロキシル、アミノ又はメトキシ基を表し、
− R21は、水素原子又はヒドロキシル、メトキシ又はC-Cアルキル基を表し;
但し、
− R20がアミノ基を示す場合、4位を占め、
− R20が4位を占める場合、R21は7位を占め、
− R20が5位を占める場合、R21は6位を占める]
の化合物、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0035】
上述した式(VII)のベンゾイミダゾール誘導体としては、特に、4-ヒドロキシベンゾイミダゾール、4-アミノベンゾイミダゾール、4-ヒドロキシ-7-メチルベンゾイミダゾール、4-ヒドロキシ-2-メチルベンゾイミダゾール、1-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイミダゾール、4-アミノ-2-メチルベンゾイミダゾール、5,6-ジヒドロキシベンゾイミダゾール、5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾイミダゾール、4,7-ジヒドロキシベンゾイミダゾール、4,7-ジヒドロキシ-1-メチルベンゾイミダゾール、4,7-ジメトキシベンゾイミダゾール、5,6-ジヒドロキシ-1-メチルベンゾイミダゾール、5,6-ジヒドロキシ-2-メチルベンゾイミダゾール及び5,6-ジメトキシベンゾイミダゾール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0036】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なベンゾモルホリン誘導体としては、特に、次の式(VIII):
【化9】

[上式中:
22及びR23は同一でも異なっていてもよく、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
Zはヒドロキシル又はアミノ基を表す]
の化合物、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
上述した式(VIII)のベンゾモルホリン誘導体としては、特に、6-ヒドロキシ-1,4-ベンゾモルホリン、N-メチル-6-ヒドロキシ-1,4-ベンゾモルホリン及び6-アミノ-1,4-ベンゾモルホリン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0037】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なセサモール誘導体としては、特に、次の式(IX):
【化10】

[上式中:
24は、ヒドロキシル、アミノ、C-Cアルキルアミノ、C-Cモノヒドロキシアルキルアミノ又はC-Cポリヒドロキシアルキルアミノ基を示し、
25は、水素又はハロゲン原子又はC-Cアルコキシ基を示す]
の化合物、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
上述した式(IX)のセサモール誘導体としては、特に、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、2-メトキシ-4,5-メチレンジオキシアニリン及び2-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4,5-メチレンジオキシベンゼン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0038】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なピラゾロアゾール誘導体としては、特に、次の特許及び特許出願:FR-A-2075583号、EP-A-0119860号、EP-A-0285274号、EP-A-0244160号、EP-A-0578248号、GB-1458377号、US-3227554号、US-3419391号、US-3061432号、US-4500630号、US-3725067号、US-3926631号、US-5457210号、JP-84/99437号、JP-83/42045号、JP-84/162548号、JP-84/171956号、JP-85/33552号、JP-85/43659号、JP-85/172982号、JP-85/190779号、及び次の出版物:Chem. Ber. 32, 797(1899)、Chem. Ber. 89, 2550,(1956)、J. Chem. Soc. Perkin trans I, 2047,(1977)、J. Prakt. Chem., 320, 533,(1978);その教示は本出願の主要部分を形成する、に記載されている化合物を挙げることができる。
【0039】
ピラゾロアゾール誘導体としては、特に:
− 2-メチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 2-エチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 2-イソプロピルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 2-フェニルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 7-クロロ-2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 3,6-ジメチルピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、
− 6-フェニル-3-メチルチオピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、
− 6-アミノピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、
及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0040】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なピロロアゾール誘導体としては、特に次の特許及び特許出願:US-5256526号、EP-A-0557851号、EP-A-0578248号、EP-A-0518238号、EP-A-0456226号、EP-A-0488909号、EP-A-0488248号、及び次の出版物:
− D.R. Liljegren Ber. 1964, 3436;
− E.J. Browne, J.C.S., 1962, 5149;
− P. Magnus, J.A.C.S., 1990, 112, 2465;
− P. Magnus, J.A.C.S., 1987, 109, 2711;
− Angew. Chem. 1960, 72, 956;及び
− Rec. Trav. Chim. 1961, 80, 1075;その教示は本出願の主要部分を形成する、に記載されている化合物を挙げることができる。
ピロロアゾール誘導体としては、特に:
− 5-シアノ-4-エトキシカルボニル-8-メチルピロロ[1,2-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 5-シアノ-8-メチル-4-フェニルピロロ[1,2-b]-1,2,4-トリアゾール、
− 7-アミド-6-エトキシカルボニルピロロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0041】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なイミダゾロアゾール誘導体としては、特に次の特許及び特許出願:US-5441863号;JP-62-279337号;JP-06-236011号及びJP-07-092632号;その教示は本出願の主要部分を形成する、に記載されている化合物を挙げることができる。
イミダゾロアゾール誘導体としては、特に:
− 7,8-ジシアノイミダゾロ[3,2-a]イミダゾール、
− 7,8-ジシアノ-4-メチルイミダゾロ[3,2-a]イミダゾール、
及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0042】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なピラゾロピリミジン誘導体としては、その教示が本出願の主要部分を形成する特に次の特許出願:EP-A-304001号に記載されている化合物を挙げることができる。
ピラゾロピリミジン誘導体としては、特に:
− ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オン、
− 2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オン、
− 2-メチル-6-エトキシカルボニルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オン、
− 2-メチル-5-メトキシメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オン、
− 2-tert-ブチル-5-トリフルオロメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オン、
− 2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オン、
及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0043】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なピラゾリン-3,5-ジオン誘導体としては、特に、次の特許及び特許出願:JP-07-036159号、JP-07-084348号及びUS-4128425号、及び次の出版物:
− L. WYZGOWSKA, Acta. Pol. Pharm. 1982, 39(1-3), 83
− E. HANNIG, Pharmazie, 1980, 35(4), 231
− M.H. ELNAGDI, Bull. Chem. Soc. Jap., 46(6), 1830, 1973
− G. CARDILLO, Gazz. Chim. Ital. 1966, 96, (8-9), 973,その教示は本出願の主要部分を形成する、に記載されている化合物を挙げることができる。
ピラゾリン-3,5-ジオン誘導体としては、特に:
− 1,2-ジフェニルピラゾリン-3,5-ジオン、
− 1,2-ジエチルピラゾリン-3,5-ジオン、
及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0044】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なピロロ[3,2-d]オキサゾール誘導体としては、その教示が本出願の主要部分を形成する、特に次の特許出願:JP-07-325375号に記載されている化合物を挙げることができる。
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なピラゾロ[3,4-d]チアゾール誘導体としては、特に次の特許出願:JP-07-244361号及びJ. Heterocycl. Chem. 16, 13,(1979)に記載の化合物を挙げることができる。
【0045】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なチアゾロアゾールS-オキシド及びチアゾロアゾールS,S-ジオキシド誘導体としては、特に次の公報:
− JP-07-098489号;
− Khim. Geterotsilk. Soedin, 1967, p.93;
− J. Prakt. Chem., 318, 1976, p.12;
− Indian J. Heterocycl. Chem. 1995, 5,(2), p.135;
− Acta. Pol. Pharm. 1995, 52(5), 415;
− Heterocycl. Commun. 1995, 1(4), 297;
− Arch. Pharm. (Weinheim, Ger.), 1994, 327(12), 825;に記載されている化合物を挙げることができる。
【0046】
本発明の染色用組成物における複素環カップラーとして使用可能なナフトール及びアセチル化ナフトールとしては、次の式(X):
【化11】

[上式中:
− R26は、水素原子、又はRがC-Cアルキル基を表す-CO-R基を表し;
− R27は、水素原子、ヒドロキシル又はC-Cアルキル基、又は-SOH基を表し;
− R28は、水素原子又はヒドロキシル基を表し;R26ないしR28基の少なくとも1つは水素原子以外であると理解される]
の化合物、及びそれらの酸付加塩類が使用される。
本発明の染色用組成物におけるカップラーとして使用可能な式(X)のナフトール及びアセチル化ナフトールとしては、特に1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2,5-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1-アセトキシ-2-メチルナフタレン、1-ヒドロキシ-2-メチルナフタレン及び1-ヒドロキシ-4-ナフタレンスルホン酸、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
カップラー(類)が存在する場合、それらは染色用組成物の全重量に対して約0.0001重量%〜10重量%、好ましくはこの重量に対して約0.005重量%〜5重量%である。
【0047】
本発明の染色用組成物は、酸化染色において従来より使用されている酸化ベースから選択される、少なくとも1つの付加的な酸化ベースをさらに含有してよく、このようなものとしては、特に式(I)の化合物以外のパラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類及び複素環ベース類、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0048】
特定の一実施態様において、付加的なベース類は、複素環酸化ベース、複ベース、置換されたパラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類、次の式(II):
【化12】

[上式中:
− Rは、一又は複数の窒素性基、フェニル基又は4'-アミノフェニル基で置換されたC-Cアルキル基、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基、C-Cポリヒドロキシアルキル基、C-Cモノヒドロキシアルキル基、C-Cアルキル基、水素原子を表し;
− Rは、一又は複数の窒素性基で置換されたC-Cアルキル基、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基、C-Cポリヒドロキシアルキル基、C-Cモノヒドロキシアルキル基、C-Cアルキル基、水素原子を表し;
− Rは、カルバモイルアミノ(C-C)アルコキシ基、C-Cメシルアミノアルコキシ基、アセチルアミノ(C-C)アルコキシ基、C-Cヒドロキシアルコキシ基、C-Cモノヒドロキシアルキル基、C-Cアルキル基、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素原子等のハロゲン原子、水素原子を表し;
− Rは、水素又はハロゲン原子又はC-Cアルキル基を表す]の
のパラ-フェニレンジアミン誘導体、及びそれらの酸付加塩類から選択される。
【0049】
本発明の染色用組成物における付加的な酸化ベースとして使用可能な式(II)のパラ-フェニレンジアミン類としては、特に、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-2-メチルアニリン、4-アミノ-2-クロロ-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン及びN-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0050】
上述した式(II)のパラ-フェニレンジアミン類の中でも、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩類が特に好ましい。
上述した式(II)のパラ-フェニレンジアミン類の中でも、さらに好ましいものは、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、及びそれらの酸付加塩類である。
【0051】
本発明において、用語「複ベース類」は、アミノ及び/又はヒドロキシル基を担持する、少なくとも2つの芳香環を有する化合物を称すると理解される。
本発明の染色用組成物における付加的な酸化ベースとして使用可能な複ベース類としては、特に、次の式(III):
【化13】

[上式中:
− Z及びZは同一でも異なっていてもよく、結合手Y又はC-Cアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシル又は-NH基を表し;
− 結合手Yは、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で置換されていてもよく、一又は複数の酸素、硫黄又は窒素原子等のへテロ原子、及び/又は一又は複数の窒素性基が挿入されるか又は末端にあってもよい、1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖を表し;
− R及びR10は、水素又はハロゲン原子、C-Cアルキル基、C-Cモノヒドロキシアルキル基、C-Cポリヒドロキシアルキル基、C-Cアミノアルキル基又は結合手Yを表し;
− R11、R12、R13、R14、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、水素原子、結合手Y又はC-Cアルキル基を表し;
分子当り1つのみの結合手Yを有すると理解される]
に相当する複ベース類、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
上述した式(III)の複ベース類に存在する窒素性基として、特に、アミノ、モノ(C-C)アルキルアミノ、ジ(C-C)アルキルアミノ、トリ(C-C)アルキルアミノ、モノヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基を挙げることができる。
【0052】
上述した式(III)の複ベース類としては、特に、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
これら式(III)の複ベース類の中でも、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、又はそれらの酸付加塩類の一つが特に好ましい。
【0053】
本発明の染色用組成物における第2の酸化ベースとして使用可能な置換されたパラ-アミノフェノール類としては、特に、次の式(IV):
【化14】

[上式中:
− R17は、水素又はハロゲン原子、又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、C-Cアミノアルキル又はヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル基を表し、
− R18は、水素又はハロゲン原子、又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル、C-Cポリヒドロキシアルキル、C-Cアミノアルキル、C-Cシアノアルキル又は(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基を表し、
17及びR18基の少なくとも1つは水素原子以外であると理解される]
の置換されたパラ-アミノフェノール類、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
上述した式(IV)のパラ-アミノフェノール類としては、特に、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、4-アミノ-2-フルオロフェノール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0054】
本発明の染色用組成物における付加的な酸化ベースとして使用可能なオルト-アミノフェノール類としては、特に、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0055】
本発明の染色用組成物における酸化ベースとして使用可能な複素環ベース類としては、特に、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0056】
ピリジン誘導体としては、特に、例えば特許GB1026978号及びGB1153196号に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン及び3,4-ジアミノピリジン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0057】
ピリミジン誘導体としては、特に、例えば独国特許DE2359399号又は日本国特許JP88-169571号及びJP05-163124号;欧州特許0770375号又は特許出願WO96/15765号に記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、6-ヒドロキシ-2,4,5-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジンを挙げることができ、また特許出願FR-A-2750048号に記載されているようなピラゾロピリミジン誘導体、例えば、
ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン;2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン;3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール;3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール;2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール;2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール;2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;5,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;2,5,N7,N7-テトラメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン;及びそれらの酸付加塩類、及び互変異性平衡が存在する場合にはそれらの互変異性体を挙げることができる。
【0058】
ピラゾール誘導体としては、特に、特許DE3843892号、DE4133957号、及び特許出願WO94/08969号、WO94/08970号、FR-A-2733749号及びDE19543988号に記載されている化合物、例えば、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5−ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0059】
付加的な酸化ベース(類)を使用する場合、それらは染色用組成物の全重量に対して、好ましくは約0.0005重量%〜12重量%、より好ましくはこの重量に対して約0.005重量%〜6重量%である。
【0060】
本発明の染色用組成物に使用可能な(式(I)の化合物、カップラー及び付加的な酸化ベースの)酸付加塩類は、特に、塩酸塩類、臭化水素酸塩類、硫酸塩類、クエン酸塩類、コハク酸塩類、酒石酸塩類、乳酸塩類、リン酸塩類及び酢酸塩類から選択される。
【0061】
本発明の染色用組成物は、一又は複数の直接染料をさらに含有してもよい。この直接染料は、アゾ染料、キノン染料、トリアリールメタン染料、インドアミン(indoamine)染料及びアジン染料から選択される合成直接染料、及び/又は天然染料であってよい。本発明において使用可能な合成直接染料は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性である。
本発明において使用可能な合成アゾ直接染料としては、その内容が本発明の主要部分を形成する特許出願WO95/15144、WO95/01772及びEP-714954に記載のカチオン性アゾ染料を挙げることができる。
また、アゾ直接染料としては、国際カラーインデックス(Colour Index International)第3版に記載の次の染料:ディスパースレッド17、アシッドイエロー9、アシッドブラック1、ベイシックレッド22、ベイシックレッド76、ベイシックイエロー57、ベイシックブラウン16、アシッドイエロー36、アシッドオレンジ7、アシッドレッド33、アシッドレッド35、ベイシックブラウン17、アシッドイエロー23、アシッドオレンジ24、ディスパースブラック9を挙げることができる。このようなものとしては、特に1-(4'-アミノジフェニルアゾ)-2-メチル-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン及び4-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェニルアゾ)-1-ナフタレンスルホン酸を挙げることができる。
【0062】
合成キノン直接染料としては、次のもの:ディスパースレッド15、ソルベントバイオレット13、アシッドバイオレット43、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、ディスパースブルー1、ディスパースバイオレット8、ディスパースブルー3、ディスパースレッド11、アシッドブルー62、ディスパースブルー7、ベイシックブルー22、ディスパースバイオレット15、ベイシックブルー99、さらには次の化合物:
− 1-N-メチルモルホリニウムプロピルアミノ-4-ヒドロキシアントラキノン、
− 1-アミノプロピルアミノ-4-メチルアミノアントラキノン、
− 1-アミノプロピルアミノアントラキノン、
− 5-β-ヒドロキシエチル-1,4-ジアミノアントラキノン、
− 2-アミノメチルアミノアントラキノン、
− 1,4-ビス(β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン、
を挙げることができる。
【0063】
合成アジン直接染料としては、次のもの:ベイシックブルー17、ベイシックレッド2を挙げることができる。
本発明で使用可能な合成トリアリールメタン直接染料としては、次のもの:ベイシックグリーン1、アシッドブルー9、ベイシックバイオレット3、ベイシックバイオレット14、ベイシックブルー7、アシッドバイオレット49、ベイシックブルー26、アシッドブルー7を挙げることができる。
【0064】
本発明で使用可能な合成インドアミン直接染料としては、次のもの:
− 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-[ビス(β-4'-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリノ-1,4-ベンゾキノン、
− 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-(2'-メトキシ-4'-アミノ)アニリノ-1,4-ベンゾキノン、
− 3-N-(2'-クロロ-4'-ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノンイミン、
− 3-N-(3'-クロロ-4'-メチルアミノ)フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン、
− 3-[4'-N-(エチルカルバミルメチル)アミノ]フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン、
を挙げることができる。
【0065】
本発明の目的において、用語「天然染料」とは、抽出又は化学的再生により得られるものであろうとなかろうと、天然に存在する化合物を意味する。本発明で使用可能な天然直接染料としては、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、カルメス酸(kermesic acid)、プルプロガリン(purpurogallin)、プロトカテクアルデヒド、インディゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン(spinulosin)及びアピゲニジンを挙げることができる。これらの直接染料を含有する煎出物又は抽出物、特にヘンナベースの煎出物又は抽出物を使用することもできる。
【0066】
本発明の合成直接染料(類)及び/又は天然染料(類)は、組成物の全重量に対して約0.001重量%〜20重量%、より好ましくは約0.005重量%〜10重量%である。
【0067】
本発明の染色用組成物は、従来より毛髪の染色用組成物に使用されている種々のアジュバント類、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性の界面活性剤又はそれらの混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性のポリマー類又はそれらの混合物、無機又は有機の増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、バッファー、分散剤、コンディショナー、例えば揮発性又は非揮発性シリコーン類、変性又は未変性のシリコーン類、皮膜形成剤、セラミド、防腐剤及び乳白剤をさらに含有してもよい。
【0068】
特定の一実施態様において、本発明の染色用組成物は:
− (i)両性ポリマー、
− (ii)以下の構造(II)又は(III)の繰り返し単位を有するカチオン性ポリマー、及び
− (iii)両親媒性で少なくとも1つの脂肪鎖を有する、上述したもの以外のポリマー、
から選択される少なくとも1つのポリマーを含有し、ここで、
− 構造(II)は、
【化15】

{上式中:
、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、1〜20の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族(arylaliphatic)基、もしくは低級ヒドロキシアルキル脂肪族基を示すか、又はR、R、R及びRは、共同して又は別々に、それらが結合する窒素原子と共に、窒素以外の第2のヘテロ原子を含有していてもよい複素環を形成するか、又はR、R、R及びRは、R13がアルキレンで、Dが第4級アンモニウム基である、-CO-O-R13-D又は-CO-NH-R13-D基又はニトリル、エステル、アシル、アミド基で置換される、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を示し;
及びBは、スルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、第4級アンモニウム、ウレイド、アミド又はエステル基、又は一又は複数の酸素又は硫黄原子、又は一又は複数の芳香環が主鎖に挿入、又は連結して含有されていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和であってよい、2〜20の炭素原子を有するポリメチレン基を表し、
、R及びRは、それらが結合する2つの窒素原子と共にピペラジン環を形成可能で;Aが直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を示す場合は、Bはさらに-(CH)-CO-T-OC-(CH)-基を示し、ここでnは1〜100、好ましくは1〜50であり、
Tは:
a)式:-O-Z-O-のグリコール残基[該式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素ベース基、又は次の式:
-(CH-CH-O)-CH-CH-
-[CH-CH(CH)-O]-CH-CH(CH)-
(上式中、x及びyは、定まった一つの重合度を表す1〜4の整数を示すか、あるいは、平均重合度を表す1〜4の任意の数を示す)
の一つに相当する基を示す];
b)ビス二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体;
c)式:-NH-Y-NH-のビス一級ジアミン残基[上式中、Yは、次の式:
-CH-CH-S-S-CH-CH-
で示される二価の基、又は直鎖状又は分枝状の炭化水素ベース基を示す];
d)式:-NH-CO-NH-のウレイレン(ureylene)基;
を示し、
は無機酸又は有機酸から誘導されるアニオン、好ましくは塩素又は臭素である}
であり;
− 構造(III)は、
【化16】

[上式中:
、R10、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はメチル、エチル、プロピル、β-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシプロピル又は-CHCH(OCHCH)OH基を表し、pは0に等しいか、又は1〜6の整数であり、
但し、R、R10、R11及びR12は同時には水素原子を示さず、
r及びsは同一でも異なっていてもよく、1〜6の整数であり、
Dは0、又はqが0又は1〜34に等しい整数である-(CH)-CO-基を示し、
Aは二ハロゲン化物の基、あるいは好ましくは-CH-CH-O-CH-CH-を示し、
は無機酸又は有機酸から誘導されるアニオン、好ましくはハロゲン原子を示す]
である。
【0069】
構造(II)の繰り返し単位を有するカチオン性ポリマーは、好ましくは一般的に1000〜100000の数平均分子量を有する。
この種のポリマーは、特に、仏国特許第2320330号、同2270846号、同2316271号、同2336434号及び同2413907号、及び特許US2273780号、同2375853号、同2388614号、同2454547号、同3206462号、同2261002号、同2271378号、同3874870号、同4001432号、同3929990号、同3966904号、同4005193号、同4025617号、同4025627号、同4025653号、同4026945号及び同4027020号に記載されている。
【0070】
本発明においては、これら構造(II)の単位を有するカチオン性ポリマーの中でも、次の構造(IV):
【化17】

[上式中、R14、R15、R16及びR17は同一でも異なっていてもよく、約1〜4の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基を示し、n及びpは約2〜20の範囲の整数であり、Xは無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンである]
に相当する繰り返し単位からなるものが特に使用される。
特に、R14、R15、R16及びR17がメチル基を表し、nとpがそれぞれ6と3に等しく、XがClに等しい構造(IV)の単位からなるポリマーが好ましく使用され;このポリマーはINCI名:ヘキサジメトリンクロリドを有する。
【0071】
構造(III)の繰り返し単位を有するカチオン性ポリマーは、特に特許出願EP-A-122324号に記載されており、US4157388号、同4390689号、同4702906号及び同4719282号に記載の方法に従い調製することができる
【0072】
これらのポリマーのなかでも、本発明において特に好ましくは、次の構造(V):
-[-N(CH)-(CH)-NH-CO-D-NH-(CH)-N(CH)-(CH)-O-(CH)-]- 2X (V)
[上式中、rは約1〜6の範囲の整数を示し、Dは0であるか、又はqが4又は7に等しい数を示す-(CH)-CO-基を示し、Xは無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンであり、好ましくはカーボン-13NMRで測定して100000未満の分子量を有する]
に相当する繰り返し単位からなるものが使用される。
【0073】
構造(V)のカチオン性ポリマーの中でも、特に好ましいのは以下のものである:
a)Dが-(CH)-CO-を表し、Xが塩素原子を示し、カーボン-13NMR(C13NMR)で測定した分子量が約5600であるもの;このタイプのポリマーはミラノール社(Miranol)からミラポール(Mirapol)-AD1の名称で提案されている。
b)Dが-(CH)-CO-を表し、Xが塩素原子を示し、カーボン-13NMR(C13NMR)で測定した分子量が約8100であるもの;このタイプのポリマーはミラノール社からミラポール-AZ1の名称で提案されている。
c)Dが0値を表し、Xが塩素原子を示し、カーボン-13NMR(C13NMR)で測定した分子量が約25500であるもの;このタイプのポリマーはミラノール社からミラポール-A15の名称で販売されている。
d)ミラノール社からミラポール-9(約7800のC13NMR分子量)、ミラポール-175(約8000のC13NMR分子量)及びミラポール-95(約12500のC13NMR分子量)の名称で販売されている、パラグラフa)及びb)に記載のポリマーに相当する単位から形成される「ブロックコポリマー」。
特に、本発明において好ましいポリマーは、Dが0値を表し、Xが塩素原子を示し、カーボン-13NMR(C13NMR)で測定した分子量が約25500である、式(V)のポリマーである。
【0074】
本発明において、カチオン性ポリマー(類)は、組成物の全重量に対して約0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜3重量%である。
【0075】
本発明において使用可能な両性ポリマーは、ポリマー鎖にランダムに分布する単位K及びMを含むポリマーの中から選択され、そのKは少なくとも1つの塩基性窒素原子を含むモノマーから誘導された単位を表し、Mは一又は複数のカルボキシル基又はスルホン基を含むモノマー酸から誘導された単位を表すか、あるいはK及びMが、カルボキシベタイン型又はスルホベタイン型双性イオンモノマーから誘導される基を示すことができ;
あるいはK及びMが、第1級、第2級、第3級又は第4級アミン基を含み、そのアミン基の1つが、炭化水素ベース基を介してカルボキシル基又はスルホン酸基を担うカチオン性ポリマー鎖を示すことができ、あるいはさらに、K及びMが、α,β-ジカルボン酸エチレン単位を持つポリマー鎖の一部をなし、そのカルボキシル基の1つが一又は複数の第1級又は第2級アミノ基を含むポリアミンと反応している。
【0076】
特に好ましい両性ポリマーは次のポリマーから選択される:
(1)特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α-クロロアクリル酸等の、カルボキシル基を有するビニル化合物から誘導されるモノマー、及び特にジアルキルアミノアルキルメタクリラート及びアクリラート、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド及びアクリルアミド等の、少なくとも1つの塩基性原子を含む置換されたビニル化合物から誘導される塩基性モノマーの共重合によって生成するポリマー。この種の化合物はUS3836537号に記載されている。また、ヘンケル社(Henkel)からポリクアート(Polyquart)KE3033の名称で販売されているアクリル酸ナトリウム/アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマーを挙げることができる。
また、少なくとも1つの塩基性原子を含む置換されたビニル化合物は、ジアルキルジアリルアンモニウム塩、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリドであってもよい。アクリル酸とこのモノマーとのコポリマーは、カルゴン社(Calgon)からメルクアット(Merquat)280、メルクアット295及びメルクアットPLUS3330の名称で販売されている。
【0077】
(2)次に挙げるモノマーから誘導された単位を含むポリマー:
a)窒素原子上をアルキル基で置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される少なくとも1つのモノマー、
b)一又は複数の反応性カルボキシル基を含む少なくとも1つの酸性コモノマー、及び
c)第1級、第2級、第3級及び第4級アミン置換基を有するアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、及びジメチルアミノエチルメタアクリラートを硫酸ジメチル又は硫酸ジエチルで第4級化した生成物などの、少なくとも1つの塩基性コモノマー。
【0078】
本発明において、さらにとりわけ好ましいN置換アクリルアミド又はメタクリルアミドとしては、アルキル基が2〜12の炭素原子を有する群、特にN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-デシルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド及びそれらに対応するメタクリルアミドである。
【0079】
酸性コモノマーは、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及び1〜4の炭素原子を有するアルキルモノエステル類、又はマレイン酸又はフマル酸、又は無水物から選択される。
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N'-ジメチルアミノエチル及びN-tert-ブチルアミドエチルメタクリラートである。
コポリマーのCTFA(第4版、1991)名がオクチルアクリルアミド/アクリラート/ブチルアミノエチルメタクリラートコポリマー、例えばナショナル・スターチ社(National Starch)からアンフォマー(Amphomer)又はロボクリル(Lovocryl)47の名称で販売されている製品が特に使用される。
【0080】
(3) 次の一般式:
【化18】

のポリアミノアミドから部分的又は全面的に誘導される架橋アルキル化ポリアミノアミド:
上式中、R18は、飽和ジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つ脂肪族モノ又はジカルボン酸、これらの酸の1〜6の炭素原子を有する低級アルカノールのエステルから誘導される二価の基、又は前記酸の任意の1つとビス(第1級)又はビス(第2級)アミンとの付加から誘導される基を表し、Zは、ビス(第1級)、モノ-又はビス(第2級)ポリアルキレン-ポリアミン基を表し、好ましくは以下のような基を表す:
a) 60ないし100モル%の割合で次の基;
【化19】

[式中、x=2及びp=2又は3、又はx=3及びp=2]
この基は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン又はジプロピレントリアミンから誘導される;
b) 0ないし40モル%の割合で、エチレンジアミンから誘導され、x=2及びp=1の上述した基(VII)、又はピペラジンから誘導される下記の基;
【化20】

c) 0ないし20モル%の割合で、ヘキサメチレンジアミンから誘導される基、-NH-(CH)-NH-基で、これらのポリアミノアミンは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、ビス不飽和誘導体から選択される二官能性架橋剤を添加することにより、ポリアミノアミドのアミノ基当たり0.025ないし0.35モル%の架橋剤を使用して架橋され、そしてアクリル酸、クロロ酢酸又はアルカンスルトン又はそれらの塩を作用させることによりアルキル化される。
【0081】
飽和カルボン酸は、好ましくはアジピン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、及び2,2,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、そして例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸のようにエチレン性二重結合を有する酸など、6〜10の炭素原子を有する酸から選択される。
アルキル化に使用されるアルカンスルトンは、好ましくはプロパンスルトン又はブタンスルトンであり、アルキル化剤の塩は好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩である。
【0082】
(4) 次の双性イオン単位を含むポリマー:
【化21】

上式中、R23はアクリラート、メタクリラート、アクリルアミド又はメタクリルアミド基のような重合性の不飽和基を表し、y及びzは1〜3の整数を表し、R19及びR20は水素原子、メチル、エチル又はプロピルを表し、R21及びR22は、水素原子又はR21及びR22の炭素原子の合計が10を超えないようなアルキル基を表す。
【0083】
このような単位を含むポリマーは、ジメチルもしくはジエチルアミノエチルアクリラート又はメタクリラート、又はアクリル酸アルキルもしくはメタアクリル酸アルキル、アルキルアミド又はメタクリルアミド又は酢酸ビニルのような非双性イオン性モノマーから誘導される単位を含むことも可能である。
例として、サンド社(Sandoz)のダイアフォーマー(Diaformer)Z301という名称で販売されている製品のような、メタクリル酸ブチル/ジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリル酸メチルのコポリマーを挙げることができる。
【0084】
(5)下記の式(IX)、(X)及び(XI)に相当するモノマー単位を含むキトサンから誘導されるポリマー:
【化22】

ここで単位(IX)は0〜30%の割合で、単位(X)は5〜50%の割合で、そして単位(XI)は30〜90%の割合で存在し、この単位(XI)においてR24は次の式:
【化23】

[上式中、
もしq=0なら、R25、R26及びR27は同一でも異なっていてもよく、それぞれが、水素原子、メチル、ヒドロキシル、アセトキシ又はアミノ残基、又は、場合によっては一又は複数の窒素原子が挿入され、及び/又は、場合によっては一又は複数のアミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルキルチオ又はスルホン基で置換されたモノアルキルアミン残基又はジアルキルアミン残基、アルキル基がアミノ残基を担持するアルキルチオ残基を表し、そしてこのアルキルチオ残基の場合には、R25、R26及びR27基の少なくとも1つは水素原子であり;もしくは、
q=1ならば、R25、R26及びR27はそれぞれ水素原子、並びに塩基又は酸を共にこれらの化合物により形成される塩を表す]
の基を表す。
【0085】
(6)キトサンのN-カルボキシアルキル化によって誘導されるポリマー、例えばジャン・デッカー社(Jan Dekker)社から「エバルサン(Evalsan)」の名称で販売されているN-カルボキシメチルキトサン又はN-カルボキシブチルキトサン。
【0086】
(7)例えば仏国特許第1400366号に記載され、一般式(XII)に相当するポリマー:
【化24】

上式中、R32は、水素原子、CHO、CHCHO又はフェニル基を表し、R28は、水素、又はメチル又はエチルのような低級アルキル基を示し、R29は、水素、又はメチル又はエチルのような低級アルキル基を示し、R30は、メチル又はエチルのような低級アルキル基又は次の式:-R31-N(R29)に相当する基を示し、ここでR31は、-CH-CH-、-CH-CH-CH-又は-CH-CH(CH)-基を表し、R29は上述の意味を持ち、さらに6までの炭素原子を有するこれらの基の上位同族体も表す。
rは分子量を500〜6000000、好ましくは1000〜1000000にする。
【0087】
(8)次のものから選択される-D-X-D-X-タイプの両性ポリマー:
a) クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムを、次の式:
-D-X-D-X-D- (XIII)
の少なくとも1つの単位を含む化合物を作用させて得られるポリマー:
上式中、Dは、
【化25】

なる基を表し:
Xは、記号E又はE’を表し、E又はE’は同一でも異なっていてもよく、主鎖に7個までの炭素原子を含む直鎖状又は分枝状鎖を有するアルキレン基である二価の基を表し、それは、未置換であるか又はヒドロキシル基で置換され、又はさらに酸素、窒素及び硫黄原子、1ないし3個の芳香環及び/又は複素環を含むことが可能であり、酸素、窒素及び硫黄原子は、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミン又はアルケニルアミン基、ヒドロキシル、ベンジルアミン、アミンオキシド、第4級アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステル及び/又はウレタン基の形で存在する。
b) 次の式:
-D-X-D-X- (XIV)
のポリマー:
上式中、Dは、
【化26】

なる基を表し:
Xは、記号E又はE’を表し、少なくとも1回はE’;そして、Eは上述と同じ意味を持ち、E’は、主鎖に7個までの炭素原子を含む直鎖状又は分枝状鎖を有するアルキレン基である二価の基を表し、そしてそれは、未置換であるか又は一又は複数のヒドロキシル基で置換され、そして一又は複数の窒素原子を含み、窒素原子は、場合によっては酸素原子が介在するアルキル鎖で置換され、そしてそのアルキル基は一又は複数のカルボキシル基又は一又は複数のヒドロキシル基の含有が不可欠であり、クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムとの反応でベタイン化される。
【0088】
(9)(C-C)アルキルビニルエーテル/N,N-ジアルキルアミノアルキルアミン、例えばN,N-ジメチルアミノプロピルアミンによる半アミド化、あるいはN,N-ジアルカノールアミンによる半エステル化で部分的に変性された無水マレイン酸のコポリマー。このようなポリマーには、他のビニルコモノマー、例えばビニルカプロラクタムも含まれる。
【0089】
本発明における特に好ましい両性ポリマーは、(1)ファミリーのものである。
本発明における両性ポリマー(類)は、組成物の全重量に対して0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜3重量%である。
【0090】
本発明において有用な、少なくとも1つの脂肪鎖を含み両親媒性である上述したもの以外のポリマーは、結合ポリマーとして公知のものであり;それらは非イオン性、アニオン性又はカチオン性である。
少なくとも1つの脂肪鎖を有しアニオン性である両親媒性ポリマーとしては、以下のものを挙げることができる:
−(I)脂肪鎖を含む少なくとも1つのアリルエーテル単位と少なくとも1つの親水性単位を含むもの、特に親水性単位がエチレン性不飽和のアニオン性モノマー、さらにはビニルカルボン酸、特にアクリル酸、メタクリル酸又はその混合物からなるもので、アリルエーテル単位は、次の式(XV):
CH2=CR'CH2OBR (XV)
[上式中、R'はH又はCHを示し、Bはエチレンオキシ基を示し、nはゼロ又は1〜100の範囲の整数を表し、Rは8〜30の炭素原子、好ましくは10〜24、更に好ましくは12〜18の炭素原子を有するアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール及びシクロアルキル基から選択される炭化水素ベース基を示す]
のモノマーに相当する脂肪鎖を含む。特に好ましい式(XV)の単位は、R'がHを示し、nが10に等しく、Rがステアリル(C18)基を示す単位である。
この種のアニオン性両親媒性ポリマーは、特許EP-0216479号において記載され、エマルジョン重合方法により調製される。
【0091】
これらの脂肪鎖アニオン性ポリマーのなかでも、本発明においては特に、20〜60重量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5〜60重量%の(メタ)アクリル酸低級アルキル、2〜50重量%の式(XV)の脂肪鎖を含むアリルエーテル、及び0〜1重量%の架橋剤により形成されるポリマーが好ましく、架橋剤は、良く知られた共重合性の不飽和ポリエチレンモノマー、例えばフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール又はメチレンビスアクリルアミドである。
後者のポリマーでは、より好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸エチル及びポリエチレングリコール(10EO)ステアリルエーテル(ステアレス10)の架橋ターポリマー、特にアライドコロイド社(Allied Colloids)からサルケア(Salcare)SC80及びSC90なる名称で販売されているものが挙げられ、これは、メタクリル酸、アクリル酸エチル及びステアレス-10-アリルエーテルの架橋ターポリマー(40/50/10)の水性30%エマルジョンである。
【0092】
−(II)オレフィン性不飽和カルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位と不飽和カルボン酸型の(C10-C30)アルキルエステルの少なくとも1つの疎水性単位を含むもの:
好ましくは、これらのポリマーは、オレフィン性不飽和カルボン酸型親水性単位が次の式(XVI):
【化27】

[上式中、RはH又はCH又はCを示す、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸又はエタクリル酸単位を示す]のモノマーに相当し、不飽和カルボン酸型の(C10-C30)アルキルエステルの疎水性単位が、次の式(XVII):
【化28】

[上式中、RはH又はCH又はCを示し(すなわち、アクリラート、メタクリラート又はエタクリラート単位を示し)、好ましくはH(アクリラート単位)又はCH(メタクリラート単位)を表し、RはC10-C30、好ましくはC12-C22アルキル基を示す]のモノマーに相当するものから選択される。
【0093】
本発明に係る不飽和カルボン酸の(C10-C30)アルキルエステル類は、例えば、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル、及び対応するメタクリラート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルを含む。
この種のアニオン性ポリマーはUS3915921号及び同4509949号に開示され調製されている。
【0094】
特に使用することができる脂肪鎖アニオン性ポリマーは:
(i) 本質的にアクリル酸、
(ii)RがH又はCHを示し、Rが12〜22の炭素原子を有するアルキル基を示す、上述した式(XVI)のエステル、及び
(iii)良く知られた共重合性の不飽和ポリエチレンモノマー、例えばフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール及びメチレンビスアクリルアミドの架橋剤、
を含むモノマー混合物から形成されたポリマーである。
特に使用されるこの種の脂肪鎖アニオン性ポリマーは、95〜60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4〜40重量%のC10-C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、及び0〜6重量%の架橋重合性モノマーからなるもの、又は98〜96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1〜4重量%のC10-C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、及び上述した0.1〜0.6重量%の架橋重合性モノマーからなるものである。
上記ポリマーとして、本発明において最も好適であるものは、グッドリッチ社(Goodrich)から商品名ペミュレン(Pemulen)TR1、ペミュレンTR2、カルボポール(Carbopol)1382、より好ましくはペミュレンTR1、及びコーテックス(Coatex)SXなる名称でS.E.P.P.I.C..社から販売されている製品である。
【0095】
−(III)無水マレイン酸/C30-C38α-オレフィン/マレイン酸アルキルのターポリマー、例えばニューフェーズ・テクノロジー社(Newphase Technologies)からパフォーマ(Performa)V1608の名称で販売されている製品(無水マレイン酸/C30-C38α-オレフィン/マレイン酸イソプロピルのコポリマー)。
【0096】
−(IV)
(a)約20重量%〜70重量%のα,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸、
(b)約20重量%〜80重量%の(a)以外のα,β-モノエチレン性不飽和を有する非界面活性モノマー、
(c)約0.5重量%〜60重量%の、モノエチレン性不飽和を有するモノイソシアナートと一水酸基を有する界面活性剤との反応生成物である非イオン性モノウレタン、
を含有するアクリル酸ターポリマー、例えば特許出願EP-A-0173109号に記載されているもの、特に実施例3に記載したターポリマー、すなわちメタクリル酸/アクリル酸メチル/ベヘニル-ジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアナートのエトキシル化(40EO)ターポリマーの25%水性分散液。
【0097】
−(V)α,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸、α,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸エステル、及び(C-C30)オキシアルキレン化脂肪アルコールといったモノマーを含有するコポリマー。
好ましくは、これらの化合物は、モノマーとしてα,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸とC-Cアルコールとのエステルをさらに含有する。
この種の化合物の例としては、メタクリル酸/アクリル酸エチル/メタクリル酸ステアリルのオキシアルキレン化ターポリマーである、ローム&ハス社(Rohm & Haas)から販売されているアキュリン(Aculyn)22を挙げることができる。
【0098】
本発明で使用される非イオン性の脂肪鎖両親媒性ポリマーは、以下のものから選択される:
−(1) 少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性された非イオン性セルロース類;
例には、
− アルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール基又はその混合物のような少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシエチルセルロース類で、アルキル基が好ましくはC-C22であるもの、例えばアクアロン社(Aqualon)から販売されているナトロゾール(Natrosol)・プラス・グレード330CS(C16アルキル)、又はベロール・ノーベル社(Berol Nobel)から販売されている製品ベルモコル(Bermocoll)EHM100、
− アルキルフェニルポリアルキレングリコールエーテル基で変性されたもの、例えばアメルコール社(Amerchol)社のアメルセル(Amercell)ポリマーHM-1500なる製品(ノニルフェニルポリエチレングリコール(15)エーテル)、
が含まれる。
【0099】
−(2) 少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシプロピルグアール類、例えばランベルーチ社(Lamberti)社から市販されている製品エサフロア(Esaflor)HM22(C22アルキル鎖)、ローン・プーラン社(Rhone-Poulenc)から販売されている製品RE210-18(C14アルキル鎖)及びRE205-1(C20アルキル鎖)。
−(3) 脂肪鎖疎水性モノマーとビニルピロリドンのコポリマー;
例には、
− I.S.P.社から販売されている製品アンタロン(Antaron)V216又はガネックス(Ganex)V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)
− I.S.P.社から販売されている製品アンタロンV220又はガネックスV220(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)、
が含まれる。
【0100】
−(4) C-Cアクリル酸又はメタクリル酸アルキルと少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーのコポリマー、例えばゴールドシュミット社(Goldschmidt)からアンティル(Antil)208なる名称で販売されているオキシエチレン化アクリル酸メチル/アクリル酸ステアリルのコポリマー。
−(5) 親水性メタクリラート又はアクリラートと少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーのコポリマー、例えばメタクリル酸ポリエチレングリコール/メタクリル酸ラウリルのコポリマー。
【0101】
−(6) 少なくとも1つの脂肪鎖を有するアミノ樹脂エーテル骨格を有するポリマー、例えばシュード・ケミー社(Sud-Chemie)から販売されているピュア・チキ(Pure Thix)化合物。
−(7) 脂肪族配列を単独で、及び/又は脂環式及び/又は芳香族配列であってよい疎水性ブロックとポリオキシエチレン化の性質を有する親水性ブロックの双方を、それらの鎖の中に有するポリウレタン-ポリエーテル。
好ましくは、6〜30の炭素原子を有し、親水性ブロックで離間した少なくとも2つの炭化水素ベースの親油性鎖を含むポリエーテル-ポリウレタンで、該炭化水素ベース鎖がペンダント鎖であってよいもの、又は該鎖が親水性ブロックの端部にあるもの。特に一又は複数のペンダント鎖を含むことができる。さらに、ポリマーは親水性ブロックの両端に炭化水素ベース鎖を有していてもよい。
ポリエーテル-ポリウレタンはマルチブロック、特にトリブロックの形態であってもよい。疎水性ブロックは鎖の各端部(例えば:親水性中心ブロックを有するトリブロックのコポリマー)又は鎖の端部及び内部の双方に分布していてもよい(例えば:マルチブロックコポリマー)。これら同様のポリマーはグラフトポリマー又はスターバーストポリマーであってよい。
【0102】
非イオン性脂肪鎖ポリエーテル-ポリウレタンは、親水性ブロックが50〜1000のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレン鎖であるトリブロックコポリマーであってよい。非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンは親水性ブロック間にウレタン架橋を含み、ここから名称が生じている。
さらに、非イオン性脂肪鎖ポリエーテル-ポリウレタンに含まれるものは、その親水性ブロックが他の化学結合を介して親油性ブロックに結合するものである。
【0103】
本発明で使用可能な非イオン性脂肪鎖ポリエーテル-ポリウレタンの例としては、レオックス社(Rheox)から販売されている、ウレア官能基を有するレオラート(Rheolate)205、又はレオラート208、204又は211、さらにローム&ハス社のアクリソール(Acrysol)RM184、アキュリン又はアクリソール44及びアキュリン又はアクリソール46[アキュリン46は、マルトデキストリン(4%)と水(81%)のマトリックスに、15重量%の150〜180molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコール、ステアリルアルコール、及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアナート)(SMDI)の重縮合物が入ったもの;アキュリン44は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)の混合物に、35重量%の150〜180molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコール、デシルアルコール、及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアナート)(SMDI)の重縮合物が入ったものである]を挙げることができる。
また、アクゾ社(Akzo)からの、C18アルキル鎖を含有する製品エルファコス(Elfacos)T212、及びC12-14アルキル鎖を含有する製品エルファコスT210を挙げることができる。
【0104】
さらに、水中に20%の固体含有量で販売されており、ウレタン架橋とC20アルキル鎖を含有するローム&ハス社の製品DW1206Bも使用することができる。
またさらに、これらのポリマーの溶液又は分散液、特に水又は水性媒体へのものを使用することもできる。このようなポリマーとしては、レオックス社から販売されているレオラート255、レオラート278及びレオラート244を挙げることができる。ローム&ハス社から販売されている製品DW1206F及びDW1206Jも使用することができる。
本発明で使用可能なポリエーテル-ポリウレタンは、特にG. Fonnum, J. Bakke及びFk. Hansen-Colloid Polym. Sci 271, 380.389(1993)に記載されているものである。
【0105】
本発明で使用される少なくとも1つの脂肪鎖を有するカチオン性の両親媒性ポリマーは、第4級化セルロース誘導体及びアクリル酸アミノ側基(side groups)を有するポリアクリラートから好ましく選択される。
第4級化セルロース誘導体は、特に、
− 少なくとも1つの脂肪鎖、例えば少なくとも8つの炭素原子を有するアルキル、アラルアルキル又はアルキルアリール基、又はその混合物を含む基で変性した第4級化セルロース。
− 少なくとも1つの脂肪鎖、例えば少なくとも8つの炭素原子を有するアルキル、アラルアルキル又はアルキルアリール基、又はその混合物を含む基で変性した第4級化ヒドロキシエチルセルロース。
上述した第4級化セルロース又はヒドロキシエチルセルロースにより担持されるアルキル基は、好ましくは8〜30の炭素原子を有する。アリール基は、好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリル基を示す。
【0106】
-C30脂肪鎖を含む第4級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例には、アメルコール社から販売されている製品クアトリソフト(Quatrisoft)LM200、クアトリソフトLM-X 529-18-A、クアトリソフトLM-X 529-18B(C12アルキル)及びクアトリソフトLM-X 529 8(C18アルキル)、及びクロダ社(Croda)から販売されている製品クロダセル(Crodacel)QM、クロダセルQ1(C12アルキル)及びクロダセルQS(C18アルキル)が含まれる。
【0107】
第4級化又は第4級化されていないアミノ側基を有するポリアクリラーには、例えばステアレス20(ポリオキシエチレン化(20)ステアリルアルコール)等のタイプの疎水性基を含む。
アミノ側鎖を含むポリアクリラートの例には、ナショナル・スターチ社から販売されているポリマー8781-121Bオキシ9492-103含まれる。
【0108】
本発明の酸化染色用組成物において、脂肪鎖両親媒性ポリマーとしては、好ましくは少なくとも1つの脂肪鎖を有する非イオン性又はカチオン性の両親媒性ポリマーが使用される。
本発明において、少なくとも1つの脂肪鎖を有する両親媒性ポリマー(類)は、組成物の全重量に対して約0.01重量%〜10重量%である。好ましくは、この量は約0.1重量%〜5重量%の範囲にある。
【0109】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の酸化染色用組成物に固有の有利な特性が、考えられる添加により悪影響を受けないか、実質的に悪影響を受けないように留意して、これら任意の付加的な化合物(類)を選択するであろう。
【0110】
本発明の染色用組成物は、種々の形態、例えば液体、クリーム又はゲルの形態、又はケラチン繊維、特にヒトの毛髪の染色に適した任意の他の形態にすることができる。
【0111】
また本発明の主題は、上述した染色用組成物を使用する、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維の染色方法にある。
この方法に依れば、上述した少なくとも1つの染色用組成物をケラチン繊維に適用し、染色用組成物の使用時にのみ添加される、又は、同時に又は別方式で適用される酸化組成物中に存在する酸化剤により、酸性、中性又はアルカリ性のpHで発色させる。
【0112】
本発明の染色方法の特に好ましい実施態様においては、染色に適した媒体に、発色させるのに十分な量の少なくとも1つの酸化剤を含有せしめてなる酸化組成物と、上述した染色用組成物とを使用時に混合する。ついで、得られた混合物をケラチン繊維に適用し、約3〜50分、好ましくは約5〜30分間作用させ、繊維をすすいで、シャンプーで洗髪し、再度すすいで乾燥させる。
【0113】
酸化剤は、ケラチン繊維の酸化染色において従来的に使用されている酸化剤から選択することができ、このようなものとしては、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩類、過酸塩類、例えば過ホウ酸塩及び過硫酸塩、過酸類及び酵素、例えばペルオキシダーゼ、2電子オキシドレダクターゼ、例えばウリカーゼ、及び4電子オキシドレダクターゼ、例えばラッカーゼを挙げることができる。過酸化水素が特に好ましい。
【0114】
上述した酸化剤を含有する酸化組成物のpHは、染色用組成物と混合した後に得られる、ケラチン繊維に適用される組成物のpHが、好ましくは約3〜12、さらに好ましくは約5〜11で変化する値である。それは、ケラチン繊維の染色に通常使用される、上述したような、酸性化剤又は塩基性化剤により、所望の値に調節される。
また、上述した酸化組成物は、毛髪の染色用組成物に従来的に使用されている、上述したような種々のアジュバントをさらに含有してもよい。
【0115】
最終的にケラチン繊維に適用される組成物は、種々の形態、例えば、液体、クリーム又はゲルの形態、又はケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色するのに適した任意の他の形態で提供することができる。
【0116】
本発明の他の主題は、多区画染色用「キット」又は任意の他の多区画包装システムにあり、その第1の区画部は上述した染色用組成物を含み、第2の区画部は上述した酸化組成物を含む。これらの染色具は、毛髪に所望の混合物を塗布する手段を具備せしめたものであってよく、このようなものとしては、例えば、本出願人の特許FR-2586913号に記載されているものを挙げることができる。
【0117】
最後に、本発明の主題は、上述した少なくとも1つの酸化剤の存在下、場合によっては少なくとも1つのカップラー及び/又は少なくとも1つの任意の酸化ベースの存在下で、上述した少なくとも1つの式(I)の化合物を酸化させることにより得られる着色物質にある。
これらの着色物質は特に顔料の形態であり、毛髪の直接染色用の直接染料として使用されるか、又はメークアップ製品等の化粧品に導入される。
【0118】
以下の実施例により本発明を例証する。
合成例
実施例1:(4-アミノ-3-メチルフェニル)ピロリジン-3-イルアミン-ジヒドロクロリド(3)
【化29】

N-[1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)の合成:
15.5gの5-フルオロ-2-ニトロトルエン(0.1mol)と12.8gの3-アセトアミドピロリジン(0.1mol)を75mlのNMPに溶解させた後、15.8gの炭酸カリウム(0.12mol)を窒素雰囲気下で添加し、混合物を95℃で20時間加熱する。反応混合物を冷却し、ついで600mlの飽和塩化ナトリウム水溶液に注ぐ。形成された黄色の沈殿物を濾過し、洗浄水がpH7になるまで15%NaCl溶液で洗浄し、石油エーテルで洗浄し、ついでP上で真空オーブン中で乾燥させる。このようにして、黄色の固体状をした、25.7g(98%)のN-[1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミドを得る。
【0119】
1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イルアミン(2)の合成:
24g(0.0911mol)のN-[1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)を、500mlの三口フラスコにおいて、75mlの37%塩酸及び165mlの水を含む溶液に入れる。反応媒体を90℃で2時間30分加熱する。冷却後、媒体を75mlの35%水酸化ナトリウム水溶液(pH=約8)により注意深く中和する。ついで、得られた固体を濾過し、水が中性になるまで水で洗浄する。ついで、生成物をP上で真空下にて乾燥させる。このようにして、黄色の固体状をした、16.8g(83%)の1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イルアミン(2)を得る。
【0120】
(4-アミノ-3-メチルフェニル)ピロリジン-3-イルアミン-ジヒドロクロリド(3)の合成:
16gの1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イルアミン(2)(72.3mmol)を、ステンレススチール水素化反応器において、320mlの96゜エタノールに部分的に溶解させる。4gの5%Pd/C(水分50%)を添加し、反応器を閉塞して、撹拌しつつ(1600rpm)3回窒素で清浄する。ついで、水素を、周囲温度で5-6バールの圧力下で導入する。温度を35℃まで上げ、ついで1時間以上かけて27℃まで低下させる。ついで、反応器を窒素で清浄し、反応媒体を窒素雰囲気下で濾過し、濾液を27mlの37%塩酸と200mlのイソプロパノールを含有する溶液で直ちに回収する。次に沈殿物が得られるまで濾液を濃縮する。固体を濾過し、イソプロパノール、ついでエチルエーテルで洗浄し、水酸化カリウムが存在する真空下で乾燥させる。このようにして、白色の固体状をした、15g(78%)の(4-アミノ-3-メチルフェニル)ピロリジン-3-イルアミン-ジヒドロクロリド(3)を得る。1 H-NMRスペクトル及び質量スペクトルは、生成物(3)のスペクトルと一致する。
・元素分析(MW=264.198;C11H17N3・2HCl)
【表1】

【0121】
実施例2:1-(4-アミノ-3-メトキシフェニル)ピロリジン-3-オール-ジヒドロクロリド(3)
【化30】

4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(1)の合成:
25g(0.159mol)の5-フルオロ-2-ニトロフェノールを125mlのDMSOに添加する。ついで、22.5g(0.159mol)のヨウ化メチルを添加し、同時に温度を25℃以下に保持しつつ、17.8gの50%水酸化カリウム水溶液を滴下する。混合物を周囲温度で1時間撹拌し、さらに22.5g(0.159mol)のヨウ化メチルを添加する。24時間撹拌した後、反応媒体を125mlの水に注ぎ、ついで60mlのジクロロメタンで抽出する。有機相を90mlの水酸化ナトリウム水溶液(1N)、ついで60mlの水で洗浄する。MgSO上で乾燥させた後、有機相を減圧下で濃縮する。このようにして、20.59g(76%)の4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(1)を回収する。
【0122】
1-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-オール(2)の合成:
8g(46mmol)の4-フルオロ-2-メトキシ-ニトロベンゼン、1.80mlのジオキサン及び8.14g(0.095mol)の(R)-(+)-3-ピロリジノールを、それぞれ反応器に入れる。混合物を1時間還流する。反応媒体を水(100ml)-氷(200g)の混合物に注ぐ。黄色い生成物が沈殿する。この生成物を濾過し、水(3x30ml)で洗浄し、ついで45℃で真空下にて乾燥させる。このようにして、8.38g(75%)の1-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-オール(2)を回収する。
【0123】
1-(4-アミノ-3-メトキシフェニル)ピロリジン-3-オール-ジヒドロクロリド(3)の合成:
12g(0.05mol)の1-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-オール(2)、36mlのエタノール、24mlのシクロヘキサン及び5.4gの10%Pd/C(水分50%)をそれぞれ反応器に添加し、ついで反応媒体を5時間還流する。ついで媒体をセライト(Celite)を通して濾過し、5Nの塩酸エタノール溶液に濾液を収集する。セライトをエタノールで洗浄する(3x20ml)。有機相を組合せ、黄色い沈殿物が現れるまで濃縮する。0℃に冷却し、1時間撹拌した後、生成物を濾過し、水ですすぎ、ついで真空下で乾燥させる。このようにして、わずかにオレンジ色がかった固体状をした、10.5g(74.1%)の1-(4-アミノ-3-メトキシフェニル)ピロリジン-3-オール-ジヒドロクロリド(3)を回収する。1 H-NMRスペクトル及び質量スペクトルは、生成物(3)のスペクトルと一致する。
・元素分析(MW=281.181;C11H16N2O2・2HCl)
【表2】

【0124】
実施例3:(R)-1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-オール-ジヒドロクロリド(2)
【化31】

(R)-1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-オール-ジヒドロクロリド(2)の合成:
5g(24mmol)の(R)-1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-オールと、1gのパラジウム炭を、ゆっくりとした窒素気流下で、200mlのステンテススチールの水素化反応器に一杯に入れる。ついで、50mlのエタノールを添加し、ついで混合物を1500rpmで撹拌しつつ、窒素で3回、水素で一回フラッシングさせる。次に5.5バールの圧力下で水素を導入する。発熱により55℃まですることができる。1時間30分後、温度を31℃まで下げる。混合物を窒素下で清浄し、2バールの窒素圧下で閉塞フィルターを通して濾過する。濾液を、7mlの濃縮塩酸及び21mlのイソプロパノールの氷冷混合物に回収する。部分的に結晶化した混合物を、20mlの付加的なイソプロパノールが入った丸底フラスコに移し、続いて減圧下で蒸発させる。濃縮後、多くの生成物が結晶化する。次に、40mlのイソプロパノールを添加し、混合物をゆっくりと窒素でフラッシングしながら、一晩撹拌する。ついで混合物を濾過し、スピン-フィルターにかけ、20mlのイソプロパノールで洗浄し、40℃の温度で、高真空下(〜10mmHg)で乾燥させる。4.3g(71%)の(R)-1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-オール-ジヒドロクロリド(2)が得られる。1 H-NMRスペクトル及び質量スペクトルは、生成物(3)のスペクトルと一致する。
【表3】

【0125】
実施例4:N-[1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イル]-アセトアミド-ジヒドロクロリド(2)
【化32】

N-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)の合成:
56.4gの1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(0.4mol)と51.2gの3-アセトアミドピロリジン(0.4mol)を400mlのNMPに溶解させた後、66.4gの炭酸カリウム(0.48mol)を窒素雰囲気下で添加し、混合物を100℃で18時間加熱する。反応媒体を冷却し、ついで2lの水に注ぐ。形成された黄色の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、ついでP上で真空オーブンにて乾燥させる。このようにして、黄色の固体状をした、100g(100%)のN-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)を得る。
【0126】
N-[1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド-モノヒドロクロリド(2)の合成:
30gのN-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)(120mmol)を、ステンレススチール水素化反応器において、670mlの無水エタノールに部分的に溶解させる。4.5gの5%Pd/C(水分50%)を添加し、反応器を閉塞して、撹拌しつつ(1600rpm)3回窒素で清浄する。ついで、水素を、周囲温度で10バールの圧力下で導入する。反応媒体を55℃まで加熱し、ついで3時間以上かけて27℃まで低下させる。ついで、反応器を窒素で清浄し、反応媒体を窒素雰囲気下で濾過し、濾液を90mlの37%塩酸エタノール溶液(5N)で直ちに回収する。次に沈殿物が得られるまで濾液を濃縮する。固体を濾過し、イソプロパノール、ついでエチルエーテルで洗浄し、水酸化カリウムが存在する真空下で乾燥させる。このようにして、白色の固体状をした、19.4g(63%)のN-[1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド-ジヒドロクロリド(2)を得る。1 H-NMRスペクトル及び質量スペクトルは、生成物(2)のスペクトルと一致する。
・元素分析(MW=292.208;C12H17N3O・2HCl)
【表4】

【0127】
実施例5:[1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イル]ジメチルアミン-ジヒドロクロリド(2)
【化33】

ジメチル-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アミン(1)の合成:
32.38gの炭酸カリウム(308mmol)を、29.3gのN,N-ジメチルアミノピロリジン(257mmol)及び36.23gの4-フルオロニトロベンゼン(257mmol)を含有する250mlの水に添加し、ついで混合物を3時間還流する。反応媒体を溶解し、ついで生成物を沈殿させる。生成物を濾過し、水で洗浄する。P上、40℃で真空オーブンにて乾燥させる。このようにして、黄色の固体状をした、55.9g(92%)のジメチル-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アミン(1)を得る。
【0128】
[1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イル]ジメチルアミン-ジヒドロクロリド(2)の合成:
50gのジメチル-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アミン(1)(212mmol)を、ステンレススチール水素化反応器において、500mlの無水エタノールに部分的に溶解させる。10gの5%Pd/C(水分50%)を添加し、反応器を閉塞して、撹拌しつつ(1600rpm)3回窒素で清浄する。ついで、水素を、周囲温度で5-6バールの圧力下で導入する。温度を35℃まで上げ、ついで1時間以上かけて27℃まで低下させる。ついで、反応器を窒素で清浄し、反応媒体を窒素雰囲気下で濾過し、濾液を62mlの37%塩酸と240mlのイソプロパノールを含有する溶液で直ちに回収する。次に沈殿物が得られるまで濾液を濃縮する。固体を濾過し、イソプロパノール、ついでエチルエーテルで洗浄し、水酸化カリウムが存在する50℃の真空下で乾燥させる。このようにして、白色の固体状をした、39.1g(66%)の[1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イル]ジメチルアミン-ジヒドロクロリド(2)を得る。1 H-NMRスペクトルは、生成物のスペクトルと一致する。
・元素分析(MW=278.225;C12H19N3・2HCl)
【表5】

【0129】
実施例6:1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イルアミン-ジヒドロクロリド(3)
【化34】

N-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)の合成:
56.4gの1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(0.4mol)と51.2gの3-アセトアミドピロリジン(0.4mol)を400mlのNMPに溶解させた後、66.4gの炭酸カリウム(0.48mol)を窒素雰囲気下で添加し、混合物を100℃で18時間加熱する。反応媒体を冷却し、ついで2lの水に注ぐ。形成された黄色の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、ついでP上で真空オーブンにて乾燥させる。このようにして、黄色の固体状をした、100g(100%)のN-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)を得る。
【0130】
1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イルアミン(2)の合成:
100g(0.4mol)のN-[1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イル]アセトアミド(1)を、2lの三口フラスコにおいて、300mlの37%塩酸及び660mlの水を含む溶液に、懸濁液として入れる。反応媒体を90℃で7時間45分加熱する。冷却後、媒体を300mlの35%水酸化ナトリウム水溶液(pH=約8)により注意深く中和する。ついで、得られた固体を濾過し、(水が中性になるまで)水で洗浄する。ついで、生成物をP上で真空下にて乾燥させる。このようにして、黄色の固体状をした、74g(89%)の1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イルアミン(2)を得る。
【0131】
1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イルアミン-ジヒドロクロリド(3)の合成:
72gの1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-イルアミン(2)(347mmol)をステンレススチール水素化反応器において、600mlのメタノールに添加する。15gの5%Pd/C(水分50%)を添加し、反応器を閉塞して、撹拌しつつ(1600rpm)3回窒素で清浄する。ついで、水素を、周囲温度で5バールの圧力下で導入する。温度を52℃まで上げ、ついで2時間50分以上かけて38℃まで低下させる。ついで、反応器を窒素で清浄し、反応媒体を窒素雰囲気下で濾過し、濾液を130mlの37%塩酸、200mlのイソプロパノール及び200mlの無水エタノールで直ちに回収する。次に沈殿物が得られるまで濾液を濃縮する。固体を濾過し、イソプロパノール、ついでエチルエーテルで洗浄し、水酸化カリウムが存在する50℃の真空下で乾燥させる。このようにして、白色の固体状をした、71g(82%)の1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-イルアミン-ジヒドロクロリド(3)を得る。1 H-NMRスペクトル及び質量スペクトルは、生成物(3)と一致する。
・元素分析(MW=250.171;C10H15N3・2HCl)
【表6】

【0132】
実施例7:1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-オール-ヒドロクロリドの合成
【化35】

工程1:1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-オールの調製
2gの1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(0.0155mol)、1.3gの炭酸水素ナトリウム(0.0155mol)及び15mlのジオキサン/水の混合物(8/2)を三口フラスコに入れた。1.35gのラセミ-3-ピロリジノール(0.0155mol)をこの混合物に素早く添加した。この異種混合物を10時間還流(87℃)した。反応混合物を氷冷水に注ぎ;濾過して黄色の沈殿物を得、水で洗浄した。Pが存在する真空下にて乾燥させた後、2.95gの黄色の固体が得られた(収率97%)。
H NMR分析(DMSO-d、200MHz、ppm)では所望の生成物と一致し、それは以下の通りである:
8.04(d,J=9Hz,2H);6.58(d,J=9Hz,2H);5.06(d,J=3.6Hz,1H);4.41(m,1H);3.45(m,3H);3.20(m,1H);2.04(m,2H)
元素分析は以下の通りである:
% C H N O
算出値 57.89 5.81 13.45 23.05
実測値 57.17 5.72 13.23 23.28
【0133】
工程2:1-(4-アミノフェニル)ピロリジン-3-オール-ヒドロクロリドの調製
上述の工程で得られた1-(4-ニトロフェニル)ピロリジン-3-オール(2g、9.605mmol)を、1gの湿ったパラジウム炭の存在下で40mlの無水エタノール及び8mlのシクロヘキサンに懸濁させた。ついで、反応媒体にアルゴンを数分間バブリングし、続いて4時間還流した。反応混合物を、−5℃に冷却され、100mlのジイソプロピルエーテル、50mlのイソプロパノール及び4当量の塩酸エタノール(6.2ml)が入った真空フラスコにおいて濾過した。得られた沈殿物を素早く濾過し、30℃の真空オーブン内で乾燥させた。1.22gのわずかにピンクがかった固体が収率59%で得られ、このものの融点は200℃を超えていた。
H NMR分析(MeOH-d、200MHz、ppm)では所望の生成物と一致し、それは以下の通りである:
7.26(d,J=9Hz,2H);7.08(d,J=9Hz,2H);4.48(m,1H);3.54(m,3H);3.30(m,1H);2.09(m,2H)
元素分析は以下の通りである:
% C H N O Cl
算出値 48.18 6.70 11.24 9.64 24.23
実測値 48.54 6.62 11.16 9 24.67
得られた生成物は1.7分子のHClと0.5分子の水を含有する。
【0134】
実施例8:1-(4-アミノ-2-メチルフェニル)ピロリジン-3-オール-ヒドロクロリドの合成
【化36】

工程1:1-(4-ニトロ-2-メチルフェニル)ピロリジン-3-オールの調製
2.4gの1-フルオロ-2-メチル-4-ニトロベンゼン(0.0155mol)、1.3gの炭酸水素ナトリウム(0.0155mol)及び15mlのジオキサン/水の混合物(8/2)を三口フラスコに入れた。1.35gのラセミ-3-ピロリジノール(0.0155mol)をこの混合物に素早く添加した。この異種混合物を24時間還流(87℃)した。反応混合物を氷冷水に注ぎ;濾過してオレンジ色の沈殿物を得、水ですすいだ。Pが存在する真空下にて乾燥させた後、3.19gのオレンジ色の固体が得られた(収率93%)。
H NMR分析(DMSO-d、200MHz、ppm)では所望の生成物と一致し、それは以下の通りである:
7.80(m,2H);6.58(m,1H);4.91(d,J=3.3Hz,1H);4.25(m,1H);3.60(m,2H);3.41(m,1H);3.18ppm(m,1H);2.34(s,3H);1.82(m,2H)
元素分析は以下の通りである:
% C H N O
算出値 59.45 6.35 12.60 21.60
実測値 58.91 6.40 12.20 21.42
【0135】
工程2:1-(4-アミノ-2-メチルフェニル)ピロリジン-3-オール-ヒドロクロリドの調製
上述の工程で得られた1-(4-ニトロ-2-メチルフェニル)ピロリジン-3-オール(2g、9.00mmol)を、1gの湿ったパラジウム炭の存在下で40mlの無水エタノール及び8mlのシクロヘキサンに懸濁させた。ついで、反応媒体にアルゴンを数分間バブリングし、続いて4時間還流した。反応混合物を、−5℃に冷却され、100mlのジイソプロピルエーテル、50mlのイソプロパノール及び4当量の塩酸エタノール(6.2ml)が入った真空フラスコにおいて濾過した。得られた沈殿物を素早く濾過し、30℃の真空オーブン内で乾燥させた。1.22gのわずかにピンクがかった固体が収率58%で得られた。
H NMR分析(MeOH-d、200MHz、ppm)では所望の生成物と一致し、それは以下の通りである:
7.79(d,J=9Hz,2H);7.28(m,2H);4.58(m,1H);3.94(m,2H);3.53(m,1H);3.13(m,1H);2.48(s,3H);2.20(m,2H)
元素分析は以下の通りである:
% C H N O Cl
算出値 46.80 7.09 9.93 11.34 24.82
実測値 46.58 7.31 9.39 11.26 23.34
得られた生成物は2分子のHClと1分子の水を含有する。
【0136】
実施例9:1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)ピロリジン-3-オール-ヒドロクロリドの合成
【化37】

工程1:1-(4-ニトロ-3-メチルフェニル)ピロリジン-3-オールの調製
1.90mlの1-フルオロ-3-メチル-4-ニトロベンゼン(0.0155mol)、1.3gの炭酸水素ナトリウム(0.0155mol)及び15mlのジオキサン/水の混合物(8/2)を三口フラスコに入れた。1.35gのラセミ-3-ピロリジノール(0.0155mol)をこの混合物に素早く添加した。この異種混合物を24時間還流(87℃)した。反応混合物を氷冷水に注ぎ;濾過して黄色の沈殿物を得、水ですすいだ。Pが存在する真空下にて乾燥させた後、2.7gの黄色の固体が得られた(収率78%)。
H NMR分析(DMSO-d、200MHz、ppm)では所望の生成物と一致し、それは以下の通りである:
8.03(d,J=9Hz,1H);6.52(m,2H);5.08(d,J=3.2,1H);4.44(m,1H);3.50(m,3H);3.25(m,1H);2.58(s,3H);2.05(m,2H)
元素分析は以下の通りである:
% C H N O
算出値 59.45 6.35 12.60 21.60
実測値 58.82 6.48 12.16 21.50
【0137】
工程2:1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)ピロリジン-3-オール-ヒドロクロリドの調製
上述の工程で得られた1-(4-ニトロ-3-メチルフェニル)ピロリジン-3-オール(2g、9.00mmol)を、1gの湿ったパラジウム炭の存在下で40mlの無水エタノール及び8mlのシクロヘキサンに懸濁させた。ついで、反応媒体にアルゴンを数分間バブリングし、続いて4時間還流した。反応混合物を、−5℃に冷却され、100mlのジイソプロピルエーテル、50mlのイソプロパノール及び4当量の塩酸エタノール(6.2ml)が入った真空フラスコにおいて濾過した。得られた沈殿物を素早く濾過し、30℃の真空オーブン内で乾燥させた。1.93gのわずかにピンクがかった固体が収率94%で得られた。
H NMR分析(MeOH-d、200MHz、ppm)では所望の生成物と一致し、それは以下の通りである:
7.44(m,1H);7.33(m,2H);4.66(m,1H);3.79(m,3H);3.52(m,1H);2.45(s,3H);2.37(m,2H)
元素分析は以下の通りである:
% C H N O Cl
算出値 46.80 7.09 9.93 11.36 24.82
実測値 47.49 6.95 9.66 11.32 24.56
得られた生成物は2分子のHClと1分子の水を含有する。
【0138】
染色実施例
本発明の次の染色用組成物を調製した:
【表7】

【表8】

【表9】

(*)共通の染色用支持体
− 2モルのグリセロールでポリグリセロ
ール化されたオレイルアルコール 4.0g
− 78%の活性物質(A.M.)を含み、4モル
のグリセロールでポリグリセロール化された
オレイルアルコール 5.69gA.M.
− オレイン酸 3.0g
− アクゾ社からエトミーン(Ethomeen)01
2(登録商標)の名称で販売されている、2モ
ルのエチレンオキシドを含むオレイルアミン 7.0g
− 活性物質55%含有ジエチルアミノプロピ
ルラウリルアミノスクシナマート、ナトリウム塩 3.0gA.M.
− オレイルアルコール 5.0g
− オレイン酸ジエタノールアミド 12.0g
− プロピレングリコール 3.5g
− エチルアルコール 7.0g
− ジプロピレングリコール 0.5g
− プロピレングリコールモノメチルエーテル 9.0g
− メタ重亜硫酸ナトリウムの活性物質35%
含有水溶液 0.455gA.M.
− 酢酸アンモニウム 0.8g
− 酸化防止剤、金属イオン封鎖剤 適量
− 香料、防腐剤 適量
− 20%NH含有アンモニア水 10.2g
【0139】
使用時に、各染色用組成物を、pHが約3である同重量の20容量の過酸化水素水(6重量%)からなる酸化組成物と混合した。
得られた各混合物は約9.5のpHを有するものであった。各混合物を白髪を90%含有するナチュラルなグレイの毛髪の束に適用した。ついで、混合物を毛髪の束上で30分間放置し、毛髪の束をすすぎ、標準的なシャンプーを用いて洗髪を行い、すすいで乾燥した。
【0140】
毛髪の束の色調を、ミノルタCM2002(登録商標)分光光度計(光源 D65)で、L系により評価した。
このL系において、3つのパラメータは、それぞれ強度(L)、赤-緑色彩コンポーネント(a)及び黄-青色彩コンポーネント(b)を示す。この系において、L値が高くなればなる程、色は薄くなるか、又は弱まる。逆に、L値が低くなればなるほど、色は暗くなるか、又は強まる。
【表10】

【0141】
以下の本発明の染色用組成物を調製した:
【表11】

(*)共通の染色用支持体:上述したものと同一
使用時に、各染色用組成物を、pHが約3である同重量の20容量の過酸化水素水(6重量%)からなる酸化組成物と混合した。
得られた各混合物は約9.5のpHを有するものであり、これを白髪を90%含有するナチュラルなグレイの毛髪の束に適用した。30分後、毛髪の束をすすぎ、標準的なシャンプーを用いて洗髪を行い、ついで乾燥した。
毛髪の束は次の表に示す色調に染色された:
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:

で表される化合物。

【公開番号】特開2006−89490(P2006−89490A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291930(P2005−291930)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【分割の表示】特願2001−566510(P2001−566510)の分割
【原出願日】平成13年3月13日(2001.3.13)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】