説明

ピロン式張出し架設装置および架設工法

【課題】施工費用および施工工期の短縮を図ることが可能なピロン式張出し架設装置および架設工法を提供すること。
【解決手段】PC橋におけるウェブ材7a(7b)またはフレーム材を張出し支持する場合に使用するピロン式張出し架設装置において、前記ピロン式張出し架設装置は、既設側の張出しブロックの先端部に着脱可能に固定されるピロン1と、ピロン1と既設ブロック23とを連結する既設側の斜材22と、既設ブロックのウェブ材a(7b)又はフレーム材に張り出すように固定された新設側のウェブ材又はフレーム材の先端部と前記ピロン1とを連結する新設側の斜材5とを備えているピロン式張出し架設装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PC橋を張出し架設する場合に用いるピロン式張出し架設装置およびそれを使用した架設工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC橋を張出し架設する場合に使用する作業装置として、既設橋桁上にレールを敷設し、そのレール上を橋桁架設方向に走行可能な作業車(フォルバーワーゲン)からなる架設装置が知られている(例えば、特許文献1、4参照)。
【0003】
また、前記のような作業車(ワーゲン)の上部にジブクレーンを備えた架設装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、ピロンを設置してガーダーを斜材により支持し、ガーダーを介して、主桁となるプレキャストコンクリートを吊り下げ支持するようにして、橋梁を架設する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−200510号公報
【特許文献2】特開2003−166215号公報
【特許文献3】特開2004−270235号公報
【特許文献4】特開平5−79019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
橋体上にレールを敷設して作業車(ワーゲン)を走行可能にする場合には、装置が複雑で大型化し、装置が高くなると共に施工工期が長くなり、施工コストも高くなるという問題がある。
【0006】
前記のように作業車(ワーゲン)を使用する場合には、作業車の後方に反力をとることで、新設の鋼板ウェブまたは鋼製フレーム材の前方の荷重、張出し長さが1ブロック分(例えば、4m)程度と決まっており、前方の荷重、張出し長さを大きくしようとすると、大型のワーゲンを必要とし、大型のワーゲンとするには、更に既設側の橋桁(橋体)に作用する反力を処理しなければならなかった。そのため、新設側に鋼板ウェブまたは鋼製フレーム材を長く張り出すことができなかった。
本発明は、前記従来の課題を有利に解消し、装置の小型軽量化および鋼板ウェブまたは鋼製フレーム材の新設側への張出し長さを長くできると共に施工効率を向上させ、施工費用および施工工期の短縮を図ることが可能なピロン式張出し架設装置およびそれを使用した架設工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のピロン式張出し架設装置では、PC橋におけるウェブ材又はフレーム材を張出し支持する場合に使用するピロン式張出し架設装置において、前記ピロン式張出し架設装置は、既設側の張出しブロックの先端部に位置するピロンと、ピロンと既設ブロックとを連結する既設側の斜材と、既設ブロックのウェブ材又はフレーム材に張り出すように固定された新設側のウェブ材又はフレーム材の先端部と前記ピロンとを連結する新設側の斜材とを備えていることを特徴とする。
また、第2発明では、第1発明のピロン式張出し架設装置において、新設側のウェブ材又はフレーム材の先端上部に、着脱可能な新設側アンカーブロックが設けられ、前記新設側アンカーブロックを介して、新設側のウェブ材又はフレーム材と斜材とが連結されていることを特徴とする。
第3発明では、第1または第2発明のピロン式張出し架設装置において、新設側のウェブ材又はフレーム材の上部に、新設側アンカーブロックに固定される新設側前部横梁を介して吊り下げ支持される作業足場を新設側に引き出すための牽引兼押圧装置が、着脱可能にかつ位置固定可能に設けられていることを特徴とする。
第4発明のピロン式張出し架設工法においては、請求項1〜3のいずれかのピロン式張出し架設装置を使用したピロン式張り出し架設工法において、ピロンを既設側の張出しブロックの先端部に着脱可能に固定し、新設のウェブ材又はフレーム材の端部を、既設の張出しブロックのウェブ材又はフレーム材の端部に結合して一体化し、ピロンに一端側を連結した既設側斜材の他端側を後方の既設側ブロックに着脱可能に固定し、ピロンに一端側を連結した他方の新設側斜材の他端側を、新設側のウェブ材又はフレーム材の先端に着脱可能に連結して、新設側のウェブ材又はフレーム材を張出支持し、その後、新設側のウェブ材又はフレーム材を含む新設側の張出しブロックを施工することを特徴とする。
第5発明では第4発明のピロン式張出し架設工法において、ウェブ材又はフレーム材の上側に配置される牽引兼押圧装置を利用して、作業足場を前方に移動し、その後、新設側斜材の端部を新設側のウェブ材又はフレーム材の先端側に接続することを特徴とする。
第6発明では、第4発明または第5発明のピロン式張出し架設工法において、前記ウェブ材が、波形鋼板ウェブを備えたウェブ材、または、鋼材で組立てられたウェブ材用芯材を備えたフレーム材からなるウェブ材であることを特徴とする。
第7発明では、第4発明〜第6発明のいずれかのピロン張出し架設工法において、ピロンは既設張出しブロック上を移動する走行クレーンにより、新設橋体先端部に搬送設置可能にされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によると、ピロンと、これと既設側のブロックまたは新設側のウェブ材又はフレーム材とを連結する各斜材とにより構成される簡単で軽量なピロン式張出し架設装置とすることができる。
また、このようなピロン式張出し架設装置では、ピロン、斜材およびウェブ材又はフレーム材の耐力により新設側に張出し施工可能なブロック長が決まるため、従来のように、常時、桁先端部に重量の重いワーゲンを配置利用して作業足場あるいは型枠を支持する場合に比べて、より長く張出し架設施工することが可能になり、例えば、ウェブ材又はフレーム材を2ブロックの長さの長い部材とすることができる。また本発明の装置は構造が簡単であると共に、前記装置の搬送設置を既設橋体上を移動するクレーンにより容易に行うことができ、また、常時、クレーンを橋体の先端側に配置する必要がないので、橋体先端部の負担を軽減することができる。また、装置の移設をクレーンにより容易に行うことができるので、施工効率を高め、施工工期を短く、施工コストを安価にすることができる。
また、既設側ブロックおよび新設側ウェブ材又はフレーム材の上方部において、ピロンと既設側および新設側の斜材とにより、補剛梁構造を形成することができる。
第2発明によると、新設側のウェブ材又はフレーム材に斜材を直接連結する場合には、斜材と上床版とが端部付近で干渉するため、上床版を新設側のウェブ材又はフレーム材の端部付近まで構築することが困難であるが、新設側アンカーブロックを介して斜材を連結するため、斜材と上床版とが干渉する恐れがないので、新設側の端部付近まで新設側の上床版を構築することができる。
第3発明によると、新設側ウェブ材又はフレーム材の上部に、牽引兼押圧装置が着脱可能にかつ位置固定可能に設けられているので、前記牽引兼押圧装置により、既設側に位置する作業足場を新設側に容易に牽引または押圧移動して、所定の位置に配置することができる。
第4発明によると、既設側の張出しブロックのウェブ材又はフレーム材の端部に、新設側のウェブ材又はフレーム材を固定し、ピロンを設置して斜材を連結するので、ピロンと各斜材との簡単な構成で軽量な装置とすることができると共に、ウェブ材又はフレーム材を確実に支持可能とした状態で、新設側に構築される床版コンクリートおよび型枠あるいは作業足場を、前記ウェブ材又はフレーム材を介して確実に支持することができる。
また、既設側ブロックおよび新設側ウェブ材又はフレーム材の上方部において、ピロンと既設側および新設側の斜材とにより、補剛梁構造が形成されているので、新設側に作業足場あるいは床版型枠を配置する前あるいは新設側のコンクリートを打設する前に、既設側ブロックおよび新設側ウェブ材又はフレーム材をより剛性の高い状態とすることができる。
第5発明によると、牽引兼押圧装置により作業足場を前進するように移動して所定の位置に設置することができる。また、新設側斜材の端部を新設側のウェブ材又はフレーム材の先端側に接続するので、作業足場あるいは上床版型枠あるいは下床版型枠あるいはコンクリート荷重などを、ウェブ材又はフレーム材にすべて負担させることなく、これに連結された斜材を介して既設側ブロックに負担させることができ、また斜材およびピロンを介して既設側のブロックに負担させることができる。
第6発明によると、ウェブ材が波形鋼板ウェブを備えたウェブ材であると、安価な波形鋼板を使用してウェブ材を構成することができ、ウェブ材の構成が簡素になる。また、ウェブ材としてのフレーム材が、鋼板で組立てられたウェブ用芯材を備えたフレーム材であると、各種の鋼板を使用して容易にウェブ用芯材を備えたフレーム材を構成することができ、安価な鋼板を使用してウェブ用芯材を備えたフレーム材を安価に製作することができると共にフレーム材の設計の自由度を高めることができる。
第7発明によると、既設張出しブロック上を移動する走行クレーンにより、ピロンを容易に新設側に搬送設置することができるため、同じ工程を多数回繰り返す張出し架設工法では、施工効率を高めることができ、施工工期および施工費用を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(伸縮式ピロンおよび斜材に関して)
【0011】
図1ないし図13は、本発明の一実施形態のピロン式張出し架設装置49を使用している状態を示すものであって、伸縮式ピロン(伸縮式鉛直支柱)1は、取り付け用の下部フランジ2aを有する液圧ジャッキ2と、前記液圧ジャッキ2の上部に取付けられた支柱3と、その支柱3の上部に設けられている斜材定着用ブラケット4とを備えている。前記液圧ジャッキ2における可動ピストン2bの先端部に取付け用の上部フランジ2cが設けられ、その取付け用上部フランジ2cに鋼管製の支柱3の下部フランジ3aが、ボルト・ナットにより分解可能に取付けられている(特に、図1、図6および図9参照)。
【0012】
前記の鋼管製支柱3の上端部には、橋軸方向に張出すと共に前後方向に間隔をおいて面板を有する鋼製フレーム状の斜材定着用ブラケット4が溶接等により固定され、前記斜材定着用ブラケット4の前部側(新設側)には、PC鋼材支承用ブロック6の横軸6aが回動可能に支承され、前記PC鋼材支承用ブロック6に、PC鋼材からなる新設側の斜材5の後端部が挿通され、PC鋼材支承用ブロック6の後面側で、新設側の斜材5の後端部の雄ねじ部5aにねじ込まれた雌ねじ部材5bが支承プレートを介して支承されることにより、新設側の斜材5は後端部が定着されている。
【0013】
前記の新設側の斜材5の前端部は、鋼製で横断面が台形角波形鋼板からなる新設側の波形鋼板ウェブ7aの上部先端部に固定された新設側アンカーブロック8のPC鋼材支承用ブロック6に緊張状態で係止されている。新設側の斜材5を緊張状態で定着させるために、斜材5の前端部はPC鋼材支承用ブロック6に挿通配置され、そのPC鋼材支承用ブロック6の左右両端部には、前記新設側アンカーブロック8に支承させるための横軸6aが設けられ、前記横軸6aが前記新設側アンカーブロック8に回動可能に支承されることで、新設側の斜材5は、新設側アンカーブロック8に回動可能に支承されている(図8参照)。
【0014】
前記の新設側アンカーブロック8の上部は、橋軸直角方向に延長する新設側の前部横梁9を固定するための水平な支承用フランジ8aを備え、新設側アンカーブロック8の中間部には、前記のようにPC鋼材支承ブロック6の横軸を回動可能に支承する前後一対の縦鋼板8bを備えた支承部を備え、前記新設側アンカーブロック8の各縦鋼板8bの下部には、波形鋼板ウェブ7aの上部の縦リブ12に取り付けるための橋軸直角方向の複数のボルト挿通用横孔10を橋軸方向に間隔をおいて備えている(図8参照、図22参照)。
前記の各縦鋼板8bのボルト挿通用横孔10は、橋軸方向に同じピッチで設けられ、また、波形鋼板ウェブ7aに一体に固定される上フランジ11に、橋軸直角方向に間隔を置くと共に、橋軸方向に平行に帯状鋼板の縦リブ12が配置されると共に、前記縦リブ12の下部は、上フランジ11に溶接により固定され、前記各縦鋼板8bが前記縦リブ12の外側に位置するように上フランジ11に載置されて、前記各縦鋼板8bと前記縦リブ12のボルト挿通用横孔12aに渡って、挿通配置された複数の着脱可能なボルト・ナット12bにより、着脱可能に取付られている。
【0015】
新設側の斜材5の前端部と、新設側の鋼製の波形鋼板ウェブ7aの上部前端部との連結構造としては、図8および図9に示すように、横断面台形角波形等の縦向きの波形鋼板ウェブ7aの上端部に橋軸方向に連続して一体に上フランジ11が横向きに配置されて溶接等により固定されて水平状態で設けられ、前記上フランジ11に橋軸直角方向に間隔をおいて平行に一対の取付け用縦リブ12が橋軸方向に延長するように連続して設けられ、各取付け用縦リブ12には、橋軸方向に間隔をおいて多数のボルト挿通用横孔12aが同じピッチで設けられている。
【0016】
次に、床版用PC鋼材55(図25参照)が緊張定着されてプレストレスが導入されている既設側のコンクリート製橋体13と、その既設側の橋体13上に敷設されたレール14上を走行する移動式作業足場装置48における後部フレーム15との構成について説明する(図1〜図4参照)。
【0017】
後部フレーム15は、逆門型の枠形フレームとされ、上部に内向きに片持ち式に張り出す内向きアーム16を備え、その内向きアーム16の先端側下部には、前記レール14に載置された走行用車輪17を備え、前記内向きアーム16に一体に縦枠材16bを備え、前記縦枠材16b相互は下部水平横枠材18により一体化されている。前記逆門型の後部フレーム15の下部水平横枠材18により、作業足場19における後部側が支持され、前記作業足場19は後部フレーム15と共に橋軸方向に移動可能に支持されている。
【0018】
前記作業足場19の前部側は、新設側のアンカーブロック8にボルト・ナットにより固定された前部横梁9と、前部横梁9に支持されて垂下するように設けられた吊り下げ支持装置20を介して支持された前部支承フレーム24上に設置されて支持されている。
前部支承フレーム24の左右両端部は、前記の新設側アンカーブロック8に支持されている前部横梁9に一端側が吊り下げ支持されている吊り下げ支持装置20により吊り下げ支持されている。吊り下げ支持装置20は、縦向きの総ねじ異径PC鋼棒37と、その上端部に装着されて前部横梁9に支承される支承部材63aおよびナット63bと、前記総ねじ異径PC鋼棒37の下端側に装着されて下部水平横枠材18の下面側を支承する支承部材64aとナット64bとにより構成されている。
吊り下げ支持装置20は、新設側アンカーブロック8を縦リブ12に固定している下部の着脱可能なボルト・ナット38を取り外すことで、新設側アンカーブロック8と共に橋軸方向にスライド可能にされる。この場合、前記アンカーブロック8の下部が上フランジ11上を橋軸方向に、クレーン等の牽引手段あるいは伸縮式ジャッキなどの牽引あるいは押圧手段により上フランジ11上をスライド移動される。
前記の前部横梁9と、その左右両端部に配置されている吊り下げ支持装置20と、前部支承フレーム24とにより、前部吊り下げ支承装置25が構成されている。前部吊り下げ支承装置25と後部フレーム15とこれらに渡って架設固定された作業足場19等により、移動式作業足場装置48が構成されている。
【0019】
なお、後部の下部水平横枠材18と前部支承フレーム24とは、橋軸方向に間隔を置くと共に橋軸直角方向に平行に延長する一対の枠材を備え、前記枠材間の間隙に、総ねじ異径PC鋼棒37を配置可能にされている。そして、後部の下部水平横枠材18と前部支承フレーム24に渡って、橋軸方向に4ブロック程度の長さの足場フレーム材39は設置され、その足場フレーム材39には、足場板40が設置され、さらに新設側には、他段式に足場枠材41が組立設置され、新設側アンカーブロック8あるいは新設側の端部型枠等の設置作業を容易にしている。
【0020】
作業足場装置48を固定状態で使用する場合には、後部の下部水平横枠材18と、既設側の橋体13におけるコンクリート製上床版26とは、総ねじ異径PC鋼棒37bと、その上下両端側に装置される支承部材63a(64a)およびナット63b(64b)により支承され、また、前部支承フレーム24は新設側アンカーブロック8が固定されることで、吊り下げ支持装置20を介して位置が固定される。なお、後部フレーム15が位置固定される場合には、前記後部フレーム15おける下部水平横枠材18の中間部は、既設橋体13に支持された吊り下げ支持装置89により支持されることにより、内向きアーム16に曲げ負担が大きく作用しないようにされる。
【0021】
前記の後部フレーム15と前部吊り下げ支承装置25とを、これらの固定状態が開放されて橋軸方向に移動可能とされた状態では、前部吊り下げ支持装置20を前進移動させることで、後部フレーム15および前部吊り下げ支承装置25並びに作業足場装置48を共に橋軸方向に移動させることができる。前記の移動させる方法としては、新設の波形鋼板ウェブ7aが設置された状態で、前部吊り下げ支承装置20の新設側(または既設側)に牽引装置(または押し出し装置、詳細は後記する。または牽引兼押圧装置あるいは手段)が設けられて、橋軸方向に移動される。
なお、前記の後部フレーム15における内向きアーム16と、前部横梁9とは、図2に示すように、連結フレーム69により一体に連結されている。
【0022】
新設側アンカーブロック(新設側固定用ブロック)8の固定状態を開放して、これを橋軸方向にスライドする場合は、後記の工程において説明するように、既設の波形鋼板ウェブ7bに新たに新設の波形鋼板ウェブ7aを溶接またはボルトにより一体化した後の場合で、作業足場装置48などを橋軸方向に移動する場合に前記の新設側アンカーブロック8を移動させることにより行われる。前記の移動手段としての牽引装置(または押し出し装置あるいは牽引兼押圧装置あるいは手段)としては、図15および図16並びに図22および図23に示すように、新設側アンカーブロック8よりも新設側位置(または既設側位置)に反力体21を波形鋼板ウェブ7aの上部の縦リブ12に取付け、新設側アンカーブロック8におけるPC鋼材支承用ブロック6と反力体21とを、反力体21に支承させるようにセンターホールジャッキ50を介在させてねじ付連結杆23aにより連結し、前記センターホールジャッキ50を伸縮させることで、橋軸方向の新設側(または既設側)に移動することができる。
【0023】
新設側アンカーブロック8が新たに架設される波形鋼板ウェブ7a上をスライドする場合は、新設側アンカーブロック8の下部と波形鋼板ウェブ7a上の縦リブとを固定しているボルト・ナット38を取り外した状態で、前記の反力体21およびセンターホールジャッキ50を利用して、橋軸方向に作業足場装置48を移動させることができる。
前記の新たに架設される波形鋼板ウェブ7a,反力体21および前部吊り下げ支承装置25の搬送移動には、既設側の橋体13上を走行可能に配置される走行式クレーン27により行うことができる。
このように本発明では、伸縮式ピロン1と既設橋体上を走行する無限軌道式の走行式クレーン27(図14参照)を組み合わせて使用することにより、従来のワーゲンの場合に比べて、走行式クレーン27を除いたピロン式架設装置の格段の小型化および軽量化が可能になり、また、施工性を向上させると共に、走行式クレーン27に対する反力受けを橋脚側に配置する必要がないので、橋体側の反力受け構造が不要になり、ピロン側のみにすることができる。
【0024】
作業足場19の上方には、橋軸方向に延長する多数の上床版型枠受け梁31と下床版型枠受け梁36が多数配置され、橋軸直角方向に間隔をおいた多数の前記下床版型枠受け梁36はその下側に設置された橋軸直角方向に延長する左右の移動用梁93により支持され、上床版型枠受け梁31の後部および前部(前部側にも上床版が構築されて支持可能な場合)は、いずれも既設上床版26に支持された吊り下げ支持装置で、支承ガイドローラからなる吊り車66を有する吊り車式吊り下げ支持装置88により、橋軸方向に移動可能に支持される。
左右方向に間隔をおいて配置された各移動用梁93は、吊り下げ支持装置29を介して上床版型枠受け梁31に支持させることにより、上床版型枠受け梁31の移動と共に橋軸方向に移動可能に支持され、上床版26に支持された吊り車式吊り下げ支持装置88で、支承ガイドローラからなる吊り車66を有する吊り車式吊り下げ支持装置88により、橋軸方向に移動可能に支持される。
上床版型枠受け梁31の前部および移動用梁93の前部は、いずれも新設側の前部横梁9に、前部の吊り下げ支持装置89、94を介して支持され、新設側の前部横梁9を橋軸方向に移動させることで、前記の上床版型枠受け梁31および下床版型枠受け梁36を橋軸方向新設側に引き出すように移動可能にされている(図3および図4参照)。
前記の吊り車式吊り下げ支持装置88を使用しない場合には、上床版型枠受け梁31および移動用梁93に吊下げ支持装置89を設けて、上床版26により支持させる等により橋軸方向に移動しないように固定して使用することができる。
【0025】
さらに、前記の上床版型枠受け梁31の新設側の支承構造について、図1および図13並びに図6を参照しながら説明すると、新たに築造する箱桁ブロック側に張出し、既設の上床版26から新設側に渡り橋軸方向に3ブロック以上(図示の場合は3ブロック半程度)橋軸方向に延長する上床版型枠受け梁31は、既設の上床版26の下側に間隔をおくと共に橋軸直角方向に間隔をおいて多数配置される。また、前記各上床版型枠受け梁31は、橋軸直角方向に間隔をおいて平行な1対の断面溝形の支持梁材32を連結材により連結した構成とされている。
前記上床版型枠受け梁31の前部または中間部を支持する吊り車式吊り下げ支承装置88は、前記各支持梁材32の上フランジ下面を支承する、一対の支承ガイドローラからなる吊り車66を備えている吊り下げ支持装置本体33と、その上部にねじ棒34を備えており、上部のねじ棒34が既設上床版26に挿通配置され、支承部材63aおよびナット63bにより既設上床版26に支承され、前記支承ガイドローラからなる吊り車66を介して、支持梁材32を支承するように構成されている(図13参照)。
前記一対の支持梁材32間の間隙に、前記のような総ねじ異径PC鋼棒等の縦ねじ杆が挿通配置されるように構成されている。
【0026】
前記の既設橋体13における下床版35の下側に配置され、橋軸方向に2ブロック以上の長さを有する面版状の下床版型枠受け梁36は、橋軸方向に2ブロック半程度の長さ寸法とされ、橋軸直角方向中間部は、前記の吊り車式吊り下げ支持装置88とこれに支持された吊り下げ支持装置29を介して前記移動梁93に支持されることにより、上床版型枠受け梁31と共に橋軸方向に移動可能にされている(図4参照)。前記の吊り車式吊下げ支持装置88の上部の縦ねじ杆34は上床版26により支持され、吊下げ連結部材42に連結した吊り下げ支持装置29における縦向きの総ねじ異径PC鋼棒37cの上端部は、橋軸直角方向に間隔をおいた上床版型枠受け梁31間を連結する吊り下げ連結部材42の上面に配置された支承部材63aおよびナット63bにより支承されるように構成されている(図4参照)。
【0027】
移動横梁93の橋軸直角方向の両端部には、チェーンブロック92を備えたレベル調整用吊り下げ支持装置94を介して前部受梁9(または既設橋体13における上床版26)に、上下方向のレベル調整可能に支持されている(図3参照)。
移動横梁93の橋軸直角方向の中間部には、前記の縦向きの総ねじ異径PC鋼棒37bの下部が挿通されると共に、下床版型枠受け梁36の下面側において前記総ねじ異径PC鋼棒37bに装着された支承部材64aおよびナット64bにより支承され、前記各総ねじ異径PC鋼棒37cの上端部は、吊り下げ連結部材42に挿通されると共に前記吊り下げ連結部材42の上面側に配置され、かつ前記総ねじ異径PC鋼棒37cに装着された支承部材およびナットにより前記吊り下げ連結部材42に支承され、前記吊り下げ連結部材42の端部は、橋軸直角方向端部側の各上床版型枠受け梁31および前記上床版型枠受け梁31を支承する支承ガイドローラからなる吊り車66を有する吊り車式吊り下げ支持装置88を介して、既設箱桁ブロック23における上床版26に支持されている。
【0028】
前記の吊り下げ連結部材42の両端部側はその下面側が、前記総ねじ異径PC鋼棒37cに装着された支承部材およびナットにより支承され、前記吊り下げ連結部材42の中間部に上端部が係止された縦向きの総ねじ異径PC鋼棒の下部が移動用梁93に挿通されると共に、移動用梁材93の下面側において前記総ねじ異径PC鋼棒(または縦ねじ杆)に装着された支承部材およびナットにより支承されている。
上下方向レベル調整可能に支持された前記の移動用梁93上の下床版型枠受け梁36上に、高さ調整可能に下床版型枠85が設置されている。
【0029】
前記の新設側アンカーブロック8を固定するために、前記新設側アンカーブロック8の下端部には、橋軸方向に間隔をおいて複数のボルト挿通用横孔10が設けられ、また新設側の波形鋼板ウェブ7aの新設側の上端部には、橋軸方向に間隔をおいて複数のボルト挿通用横孔12aが設けられ、これらの横孔に渡って、ボルトが挿通配置されると共にナットが緊締されて、前記新設側アンカーブロック8は、新設側の波形鋼板ウェブ7aの先端部に着脱可能に取付けられている。
【0030】
次に、中間部にPC鋼撚り線からなるPC鋼材を備えた既設側の斜材22を既設側アンカーブロック30の定着する構造について、図1および図7を参照しながら説明する。
前記定着用ブラケット4の後部側(既設側)には、PC鋼材支承用ブロック6の横軸6aが回動可能に支承され、PC鋼撚り線の両端部にねじ付きスリーブを設けて構成したPC鋼材を備えた既設側の斜材22における前記PC鋼材22cの前端部は、前記PC鋼材支承用ブロック6に挿通され、前記PC鋼材支承用ブロック6の前面側で、前記PC鋼材22cの前端部の雄ねじ部22aに挿通された支承プレートおよびねじ込まれた雌ねじ部材22bにより、前記PC鋼材22aの前端部は支承されている。
【0031】
既設側の斜材22におけるPC鋼材22aの後端部は、一対の連結用アーム46の前端部に回動可能に装着されたPC鋼材支承用ブロック6に挿通されて、PC鋼材支承用ブロック6の後面側に配置された支承プレートおよび前記PC鋼材22aに装着された雌ねじ部材22bにより係止されている。既設側の斜材22は、PC鋼材22cおよび連結用アーム46等により構成されている。
前記連結用アーム46の後端部が横軸47により既設側アンカーブロック30に回動可能に連結されて、既設側の斜材22は、定着用ブラケット4と既設側の橋体13に固定される既設側アンカーブロック30を介して既設側の橋体13とに渡って緊張状態で連結される。
新設側の斜材5および既設側の斜材22のPC鋼材としては、PC鋼撚り線からなるPC鋼材の端部に鋼製スリーブを嵌合圧着固定すると共にスリーブ外面に雄ねじ部を形成して、両端部に雄ねじ軸部を備え、中間部はPC鋼撚り線からなるPC鋼材を使用すると、取り付け取り外し作業および取り扱いが容易であり、可撓性があるので橋体上に斜材を曲げ載置しておくことができ、伸縮式ピロン1を吊り上げ搬送する場合にも、斜材の片側を伸縮式ピロン1に連結した状態で搬送設置することができるのでよい。
【0032】
次に、上床版13に着脱可能に設置される前記の既設側アンカーブロック30の構成および上床版13との関係について説明する。
【0033】
まず、前記の既設側アンカーブロック30の構成について説明すると、既設側アンカーブロック30は、鋼材により製作され、上面に横孔を有する吊り金具44を備え、下面側には下向きに突出する鋼製円柱状のせん断キー43を備えている。前後方向および左右方向の4隅部には、これを既設上床版26にアンカーブロック固定用の縦PC鋼材90により固定するための上下方向に貫通するPC鋼材挿通孔を備え、前記せん断キー43は上床版26に設けられる凹部または縦孔45に嵌合配置されることにより、斜材22を緊張状態として新設側の作業足場、または型枠受け梁、あるいは型枠さらには打設されるコンクリートの荷重を負担する場合に、既設側アンカーブロック30に作用する水平方向のせん断力に、前記のねじ付き縦PC鋼材90と共に対抗可能に構成されている(図7参照)。
前記の既設側アンカーブロック30を固定する場合の形態として、図示の形態のように、既設側の上床版26にアンカー付雌ねじ金具91を埋め込み固定して、前記縦PC鋼材90の下端部を連結することもできる。
前記の既設側アンカーブロック30の下部には、一対の連結用アーム46の基端側が横軸47により回動可能に枢着されている。前記一対の連結用アーム46間の新設側にPC鋼材支承用ブロック6が配置され、そのPC鋼材支承用ブロック6の前後両側の支軸6aは、連結用アーム46に回動可能に支承されている(図7参照)。
【0034】
さらに説明すると、前記PC鋼材支承用ブロック6の前後両側の支軸6aを嵌設するように前記PC鋼材支承用ブロック6の前後両側に連結用アーム片を配置した連結用アーム46が設けられている。
【0035】
前記の連結用アーム46の後端部(既設側端部)は、既設側アンカーブロック30に横軸47により回動可能に連結され、前記既設側アンカーブロック30は、既設側の橋体13におけるコンクリート製の上床版26に、着脱可能に連結されている。
【0036】
前記の連結用アーム46内に、中間部がPC鋼撚り線とされた既設側PC鋼材からなる既設側の斜材22を緊張させて配置する場合には、図7(b)に示すように、PC鋼材支承用ブロック6側に、センターホールジャッキ(緊張用ジャッキ)50の中空ピストン51が係合するように配置し、既設側斜材22の後端部に緊張用ねじ杆52を雌ねじ部材53により連結すると共に、緊張用ねじ杆52を前記センターホールジャッキ50内に配置すると共に緊張用ジャッキの後部に緊張用ねじ杆52にねじ込んだ雌ねじ部材54を装着して、この状態で前記センターホールジャッキ50を伸長して、既設側PC鋼材22cを引っ張るようにすると共に、PC鋼材支承用ブロック6に離反状態となる雌ねじ部材22bを、PC鋼材支承用ブロック6に接近する方向に回転させて係合させることにより、既設側のPC鋼材22cを含む斜材22全体を緊張状態で定着することができる。
【0037】
前記既設側アンカーブロック30は、既設側の橋体13に着脱可能に固定されている。
前記のように既設側アンカーブロック30の下部に、下向きに突出するせん断キー43を備えているので、既設側の斜材22に橋軸方向の大きな引張力が作用する場合でも十分負担することが可能にされている。
【0038】
前記の既設側アンカーブロック30の上端部には、吊り上げ用係止金具30aの下部が固定され、既設側アンカーブロック30を固定しているねじ付縦PC鋼材90を取り外して既設側アンカーブロック30をフリーにした状態で、前記吊り上げ用係止金具30aを利用して、橋体上を走行する走行式クレーン27により、新設側へ搬送可能にされている。
【0039】
前記の既設側アンカーブロック30と既設側の斜材22と伸縮式ピロン1と新設側の斜材5と、新設側アンカーブロック8とにより、橋軸直角方向一側部のピロン式張出し架設装置ユニット56が構成され、前記のピロン式張出し架設装置ユニット56が橋軸直角方向に間隔をおいて平行に設置され、橋軸直角方向に隣り合うピロン式張出し架設装置ユニット56相互にける定着用ブラケット4相互は、着脱可能で長さ調整可能な伸縮式横連結材57により連結されている。定着用ブラケット4の橋軸直角方向外側と既設ブロックとはチェーンブロック等の緊張手段を備えた橋軸直角方向の着脱可能な斜材により連結されて伸縮式ピロン1を所定の立設位置に保持している。伸縮式ピロン1は既設側の張出しブロックの先端部に着脱可能に固定される。
前記の伸縮式横連結材57は、両端部にねじ方向の異なる右雄ねじ軸部または左雄ねじ軸部を有するハンドル付き中間部材61を介して、その両側に配置される杆体62をねじ込み連結することにより構成され、前記の回動用ハンドル付き中間部材61を回動させることにより、短縮または伸長可能にされている。
前記の伸縮式横連結材57は、定着用ブラケット4に橋軸直角方向に張り出すように設けられた連結用ブラケット58に、ボルト・ナットなどの着脱可能な横軸により連結されている(図9参照)。
【0040】
前記のように、各ピロン式張出し架設装置ユニット56相互は、組立・分解可能に設けられ、また伸縮式横連結材57に連結・分離可能に設けられ、伸縮式横連結材57と、各ピロン式張出し架設装置ユニット56とにより、本発明の一実施形態のピロン式張出し架設装置65が構成されている。なお、前記ピロン式張出し架設装置ユニット56のみ、ピロン式張出し架設装置65を構成するようにしてもよく、橋軸方向に間隔をおいて3つ以上のピロン式張出し架設装置ユニット56を連結配置して、ピロン式張出し架設装置65を構成するようにしてもよい。
【0041】
次に、既設側の上床版13の下側あるいは新設側に配置され、型枠を支持するための型枠受け梁およびこれを吊り下げ支持する装置関係について、橋軸方向の後部(既設側)と、前部(新設側)とに分けて説明する。まず既設側について、図1〜図3等を参照して説明する。
【0042】
既設橋体13におけるコンクリート上床版26の下側に、橋軸直角方向に間隔をおいて平行に、一対の断面溝形部材を備えた上床版型枠受け梁31が配置され、その上床版型枠受け梁31の中間部は、既設橋体13先端側に設けられた吊り車66を有する吊り車式吊り下げ支持装置88により、橋軸方向にスライド移動可能に支持されている。前記吊り車式吊り下げ支持装置88における総ねじ異径PC鋼棒などの縦杆60aは、既設橋体13のコンクリート上床版26の縦孔に挿通配置されて、支承部材(支承座金)63aおよびナット等の雌ねじ部材63dにより支承されている。
橋軸直角方向の両端部側に位置する間隔をおいた一対の上床版型枠受け梁31により支持される吊り下げ連結部材42および吊り下げ支持装置29、94を介して、移動横梁93は上下方向にレベル調整可能に、かつ橋軸方向に引き出し可能に支持されている。
【0043】
前記の上床版型枠受け梁31または下床版型枠受け梁36を介して、図3等に2点鎖線で示す型枠84,85は、上下方向の位置調整可能に支持されている。
【0044】
橋軸方向の前部側に位置する上床版型枠受け梁31および移動横梁93は、上床版26あるいは前部横梁9に支承されている吊り下げ支持装置89,94により支持されることにより所定に位置に安定した状態で保持可能にされている。
【0045】
なお、前記の上床版型枠受け梁31と移動横梁93を移動しないで、型枠あるいは型枠内に打設されるコンクリートを支承する場合には、既設側の上床版26から支持される吊り下げ支持装置により支承される。
【0046】
次に、図17および図24を参照して、各上床版型枠受け梁31等を新設側に移動させる牽引移動装置(または牽引移動または押圧移動させることが可能な牽引兼押圧装置)70について説明する。
【0047】
前記の牽引移動装置70は、図示の形態では、上床版型枠受け梁31に連結して吊り下げ支持するPC鋼材からなる縦杆60aの上部を支承する移動可能な横梁72aを備えていると共に、その下部にローラ付き車体71を備えている。すなわち、各波形鋼板ウェブ(ウェブ材又はフレーム材)の上フランジに各ローラ付き車体71が橋軸方向に移動可能に載置され、各ローラ付き車体71の上部に渡って横梁72が架設固定され、橋軸直角方向に間隔をおいて配置される各センターホ−ルジャッキ50を同期駆動させることにより、橋軸直角方向に隣り合うローラ付き車体71を橋軸方向に同時に移動させることができる。
ローラ付き車体71に固定されてローラ付き車体71と共に橋軸方向に移動可能に設けられる車体付き可動横梁72と、その車体付き可動横梁72における車体73に横軸6aにより回動可能に設けられるPC鋼材支承用ブロック6を介して連結される橋軸方向横向きの連結用ボルト23aおよびその両端部に装着される各ナット75と、新設側のウェブ材(又はフレーム材)の上部におけるボルト挿通孔を有する縦リブ12に着脱可能に固定される反力体21と、前記反力体21の背面に配置されて前記連結用ボルト23aに装着されるナット75に係合されるセンターホールジャッキ77により構成されている。
前記の反力体21の下部は二又状の脚部21aとされ、かつ橋軸方向に間隔をおいて複数のボルト挿通用透孔を備えており、前記反力体21の脚部21aは、新設側のアンカーブロック8と同様に、前後に間隔をおいた各縦リブ12に渡って跨るように配置され、脚部21aおよび各縦リブ12に渡って挿通配置される複数の位置固定用のボルト・ナット38により着脱可能に固定される。
橋軸方向の新設側に移動させる場合には、前記の位置固定用のボルト・ナット38を取り外して、反力体21を橋軸方向に作業員等によりスライド移動させて再度固定した後、センターホールジャッキ77を伸長させることにより、横梁72を介して、上床版型枠受け梁31を新設側に移動させることができる。
また、上床版型枠受け梁31をさらに橋軸方向新設側に移動する場合には、図20に示すように、反力体21を可動横梁72よりも既設側に位置するようにクレーンなどにより移設すると共に縦リブ12に固定して、前記反力体21に設けたセンターホールジャッキ77を伸長することにより、前記可動横梁72を押すようにして、可動横梁72を新設のウェブ材7aの先端部に位置させることで、上床版型枠受け梁31およびこれを介して吊り下げ支持される移動横梁93および下床版型枠受け梁36を所定の新設施工位置に移設することができる。
そして、このように上床版型枠受け梁31および移動横梁93を所定の位置に配置した状態で、支承ローラ66を備えた吊り車式吊り下げ支持装置88を介した吊り下げ支持状態から、上床版26または前部横梁9に反力をとるように吊り下げ支持される、支承プレートおよび雌ねじ部材を備えた吊り下げ支持装置に盛り替え、所定のレベルにレベル調整して確実に位置を固定される。前記の吊り下げ支持装置を設置するために、上床版26には、縦孔が適宜設けられる。
【0048】
次に、前記のような本発明のピロン式張出し架設装置65をおよび走行式クレーン27ならびに牽引移動装置70を使用して、箱桁PC橋80を橋軸方向に順次築造する施工方法および施工手順を図1、図3等から等を参照して説明する。
【0049】
(第1の工程)
図14の状態は、橋軸方向端部の箱桁ブロックが築造され、コンクリート製上床版内およびコンクリート製下床版内に配置され、既設側ブロックに連結されると共に緊張定着された床版用PC鋼材(図25参照)により一体化され、かつ橋体13上に、本発明のピロン式張出し架設装置65および走行式クレーン27を設置し、新設側へ波形鋼板ウェブ(ウェブ)7bを設置しようとしている第1工程を示す図である。
既設箱桁ブロック23上に配置された走行式クレーン27により、新設側のウェブ材(またはフレーム材)7bを、既設側の橋体13に一体化された既設箱桁ブロック23におけるウェブ材7aの新設側に、新設箱桁ブロック82を構築すべく新設側のウェブ材7bを架設固定する。前記の既設側および新設側のウェブ材7b同士の連結一体化は、溶接またはボルトにより一体化される。
前記の新設ウェブ材としては、1ブロックの長さのウェブ材又はフレーム材を2ブロック分連続して架設してもよく、橋軸方向に2ブロック程度の長さに渡る長さを有するウェブ材又はフレーム材を使用してもよく、可能なかぎり長くすると有利である。
【0050】
次の新設の箱桁ブロックを施工する場合に、コンクリートの打設する場合の荷重をピロン式張出し架設装置65により支持するようにする必要があるが、本発明のピロン式張出し架設装置65を移設する時期については、作業足場装置48の重量に応じて、設定することができる。
【0051】
すなわち、作業足場装置48の重量が重い場合と、軽い場合とによって、ピロン式張出し架設装置65を作業足場装置48の前進移動よりも先に移動して、支持性能を高めようにする場合と、作業足場装置48の移動後に移動して支持性能を高めるようにする形態である。前記の作業足場装置48の重量が重い場合で、先にピロン式張出し架設装置65を移設する必要がある場合について第2工程として説明する。
なお、作業足場装置48が軽量で、ウェブ7a,7b(または7b,7b)相互の接合だけで足場の重量が支えられる場合には、作業足場19を前進させた後に、ピロン式張出し架設装置65を移設して、作業足場装置48および上床版型枠受け梁31あるいは移動用梁93を支持するようになるが、構造は前記の説明と同じである。ピロン式張出し架設装置65の移設にあたっては、伸縮式ピロン1および斜材5,22は走行式クレーン27により吊り上げて新設の上床版26上に搬送設置するようにすればよい。前部横梁9あるいは可動横梁71の移動させるにあっては、反力体21を設置して、上フランジ11の上をスライド移動させ、その後、所定の位置に取り付けでるようにすればよい。
【0052】
(第2工程のその1:足場材の重量が重く、ウェブ材の接合だけでは足場の重量が支えられない場合)
図15は、第2工程を示すものであって、既設のウェブ7bの新設側に、新たに新設側のウェブ(又はフレーム材)7aを溶接またはボルトにより取り付けた後、各斜材5,22の伸縮式ピロン側と反対側の橋体13またはウェブ材との連結部を取り外し、斜材5,22を伸縮式ピロン1に付属させ、伸縮式ピロン1の下部を固定しているねじ付き縦PC鋼材86を取り外して、伸縮式ピロン1を走行式クレーン27により吊り上げ、橋軸方向に前進搬送させて、新設の上床版26に、伸縮式ピロン1およびこれに付属する既設側の斜材22および新設側の斜材5を前記と同様に固定する。また、走行式クレーン27を既設箱桁ブロック23端部から、適宜離れた位置にしておく。
また、既設側斜材22および新設側斜材5を前記と同様に、それぞれ既設側の上床版26と、新設側ウェブ材7a(またはフレーム材)の上端部に連結する。
【0053】
各斜材5,22の端部のPC鋼材支承用ブロック6の外側にセンターホールジャッキ50などの緊張装置を配置して、斜材5,22を緊張させる。また、必要に応じ、伸縮式ピロン1における伸縮式液圧ジャッキ2を伸長して、斜材5,22を含めた装置全体を緊張させて、支持性能を発揮させればよい。
【0054】
前記のように、新設側のウェブ材7bを取り付けた後、すぐに伸縮式ピロン1を橋体13に固定し、各斜材5,22を既設橋体13あるいは新設側の波形鋼板ウェブ7aに連結することにより、補剛する。また、上床版26には既設側アンカーブロック30における縦のせん断キー43を嵌合設置できるように、凹部または貫通孔を予め設けておく。
【0055】
(第3の工程)
前記のようにして、作業足場19を新設側の所定の位置に移設した後、既設側における上床版型枠受け梁31および移動用梁接合部93並びに下床版型枠受け梁36およびこれに支持されている上床版・下床版の型枠84,85(図3参照)を新設側に移動させる。型枠84,85を移動させる場合には、予め、既設側橋体13とねじ付き縦PC鋼材とによる固定状態の部分を開放しておき、橋軸方向の新設側にスライド移動可能な状態にしておく。
【0056】
(第4の工程)
前記の上床版型枠84内および下床版型枠85内に、鉄筋およびPC鋼材を組立てる。また、図25に示すように、橋軸方向既設側の上床版26および下床版35のシース内に橋軸方向横向きに配置されている床版用PC鋼材55に、新設側の床版用PC鋼材55をカプラー等の連結継手95により連結する。
(第5の工程)
次いで、図1,3,4に2点鎖線で示すように、新設の上床版型枠84内および新設の下床版型枠85内にコンクリート83(図13に実線で示した)を打設し、養生・硬化させる。前記各コンクリート83が所定の強度を発揮したのを確認した後、新設の床版用PC鋼材55を緊張して、その端部を定着させ、既設側床版26,35と新設側床版26,35とを一体化させる。すなわち、既設箱桁ブロック23に新設側の箱桁ブロック82を一体化させる。
【0057】
(第6の工程)
伸縮式ピロン1を固定している既設側の斜材22の既設側端部および新設側の斜材5の新設側端部を開放させるために、各斜材5,22を緩める。前記の場合に伸縮式ピロン1を短縮させたり、各斜材5,22自身の端部の定着部のナット(雌ねじ部材)を弛緩させる方向に回転させることにより、各斜材5,22を弛緩させることができる。また、伸縮式ピロン1と反対側の既設側斜材22端部の既設側アンカーブロック30との連結を開放し、また、既設側アンカーブロック30を固定している縦PC鋼材90を取り外して既設橋体13から開放させ、また、新設側の斜材5を新設側アンカーブロック8から分離し、新設側アンカーブロック8および前部横梁9を橋軸方向に移動可能にさせる。走行式クレーン27を使って伸縮式ピロン1を新設ブロック(前方ブロック)の先端付近に移動し、前記の縦PC鋼材90を再度利用して新設の上床版26に等固定する。(図1,13参照)
【0058】
なお、図15は、新設側アンカーブロック8および前部横梁9を、反力体21により新設側に牽引して、新設側の波形鋼板ウェブ7a上端の上フランジ11上をスライド移動させ、作業足場装置48を新設側へスライド移動させている途中の状態を示す工程図である。
【0059】
図16は、反力体21を、新設側アンカーブロック8および前部横梁9よりも、橋軸方向既設側の上フランジ11側に配置して、縦リブ12に固定し、新設側アンカーブロック8および前部横梁9を、波形鋼板ウェブ7a(7b)上端の上フランジ11上をスライド移動させ、作業足場装置48を新設側端部にスライド移動させた状態を示す工程図である。
【0060】
図示の実施形態においては、波形鋼板ウェブ7a(7b)の上下に上フランジ11および後部フレーム11bを備え、上フランジ11に橋軸方向に延長するように縦リブ12を、橋軸直角方向に間隔をおいて平行に設け、前記縦リブ12に橋軸方向に間隔をおいて多数のボルト挿通用孔を設け形態を示したが、波形鋼板ウェブ7a(7b)に代えて、斜材あるいは枠材等により波形鋼板ウェブと同様に主桁ウェブ材を形成するようにしてもよく、その主桁ウェブ材に、前記と同様に上フランジ11を設け、その上フランジ11に一対の縦リブ12を固定するようにしてもよい。
【0061】
また、本発明を実施する場合、反力体21を上フランジ11上の縦リブ12に設置して、新設側アンカーブロック8あるいは移動梁としての前部横梁9あるいは車体付き可動横梁72を移動させる手段としては、ロープあるいはチェーン等を備えた牽引装置により適宜牽引移動させるようにしてもよく、油圧ジャッキ等を備えた牽引兼押圧装置あるいは手段により後部フレーム15を押すようにしてもよく、上床版型枠受け梁31の後部を押すようにして新設側に移動させるようにしてもよい。
【0062】
また、本発明を実施する場合、既設側アンカーブロック30のせん断キー43は必要に応じて設ければよく、これを省略してもよい。また、前記実施形態の場合、伸縮式ピロンを使用する形態を示したが、本発明を実施する場合、伸縮しない形態のピロン(鉛直支柱)としてもよい。
本発明を実施する場合、箱桁ブロック以外の桁ブロックを構築するようにしてもよい。
【0063】
本発明を実施する場合、波形鋼板ウェブあるいはフランジ付き波形鋼板ウェブ等のウェブ材に代えて、トラス構造等のフレーム材をウェブ材として用いてもよく、あるいは、後にモルタルあるいはコンクリート等で被覆される鋼製のウェブ材用芯材をウェブ材として用いてもよく。前記のウェブ材用芯材としては、鋼材をボルトまたは溶接等によりトラス構造等の桁構造に組立てたフレーム材を、ウェブ材用芯材として用い、後にコンクリート等により耐火被覆してもよく、ウェブ材用芯材を耐火被覆されたフレーム材を使用するようにしてもよい。
【0064】
前記のように、ウェブ材又はフレーム材の上側に沿って移動可能に設けられる前部横梁を利用して足場を前方に移動した後、斜材の他方を波形鋼板の先端に接続すると、効率よく、足場を新設側に移動させることができる。
【0065】
前記のように伸縮式ピロン1が伸縮可能で、各斜材5,22が長さ調整可能にされていると、各斜材5,22に導入する張力の調整が、斜材5,22側で行ったり、ピロン1を伸縮させることで行うことができるため、効率よく斜材5,22の張力調整をしたり、斜材5,22を取り外す作業を行う上で、ピロン1側を短縮することにより、斜材5,22を容易に弛緩させることができ、弛緩した状態でPC鋼材5C,22の下端側の定着金具の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0066】
前記のように、各斜材5,22の端部を雌ねじ部材を介して、回動可能に支承されたPC鋼材支承用ブロック6により支承させるようにしているので、各斜材5,22には軸力のみを作用させるようにすることができる。
【0067】
前記のように、既設側の斜材22の端部側に連結用アーム46を介して既設側アンカーブロック30に連結するようにしていると、既設側アンカーブロック30の外側に緊張装置を配置できない場合でも、連結用アーム46における間隔を置いた連結用アーム片間にセンターホールジャッキ等の緊張装置を配置して、PC鋼材22Cを容易に緊張あるいは弛緩あるいは張力調整をすることができ、施工能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態のピロン式張出し架設装置を使用してPC橋を張出し架設している状態を示す一部縦断側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2における前部側から見た一部省略正面図である。
【図4】図2における既設側ブロック付近から見た一部縦断正面図である。
【図5】図3における一部を拡大して示す正面図である。
【図6】図1におけるピロン基端部と既設橋体付近を拡大して示す図である。
【図7】(a)は図1における既設側アンカーブロック付近を拡大した一部縦断側面図、(b)は斜材を緊張させるために、斜材端部に雌ねじ部材を接続すると共にその雌ねじ部材に雄ねじ付き棒状部材並びにセンターホールジャッキおよびナットを装着した状態の一部縦断側面図である。
【図8】図1における右上部の前部横梁付近の拡大図である。
【図9】図2の一部を拡大して示す一部切欠平面図である。
【図10】図2の前部横梁付近を拡大して示す平面図である。
【図11】(a)はガイドローラを有する支持装置を示す正面図、(b)はその側面図である。
【図12】図3における一部を示すものであって、(a)は既設側の上床版と上床版型枠受け梁と支持装置との関係を示す一部縦断側面図、(b)は既設側の上床版と下部型枠受け梁と支持装置との関係を示す一部縦断側面図である。
【図13】上床版型枠受け梁の後部を既設側の上床版に縦PC鋼材およびこれに装着された支承部材ならびにナットにより支承すると共に、上床版型枠受け梁の前部を新設側の前部受け梁に縦PC鋼材およびこれに装着された支承部材ならびにナットにより支承して、前記各型枠受け梁により支承される型枠内にコンクリートを打設可能な状態とした一部縦断側面図である。
【図14】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第1工程を示す一部縦断側面図である。
【図15】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第2工程を示す一部縦断側面図である。
【図16】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第3工程を示す一部縦断側面図である。
【図17】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第4工程を示す一部縦断側面図である。
【図18】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第5工程を示す一部縦断側面図である。
【図19】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第6工程を示す一部縦断側面図である。
【図20】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第7工程を示す一部縦断側面図である。
【図21】本発明のピロン式張出し架設装置およびこれに関連する装置を移設する場合の工程を示す第7工程を示す一部縦断側面図である。
【図22】図15の一部を拡大して示す図である。
【図23】波形鋼板ウェブおよび上フランジおよび縦リブ付近を示す一部縦断正面図である。
【図24】図18の可動横梁付近を拡大して示す図である。
【図25】床版用PC鋼材を緊張定着して既設床版に対して新設床版を連結固定部を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 伸縮式ピロン(ピロン)
2 液圧ジャッキ
2a 下部フランジ
2b 可動ピストン
2c 上部フランジ
3 支柱
4 斜材定着用ブラケット
5 斜材
5a 雄ねじ部
5b 雌ねじ部材
6 PC鋼材支承用ブロック
6a 横軸
7a 新設側の波形鋼板ウェブ(ウェブ材)
7b 既設側の波形鋼板ウェブ(ウェブ材)
8 新設側のアンカーブロック
8a 支承用フランジ
8b 縦鋼板
9 新設側の前部横梁
9a 支持梁材
10 ボルト挿通用横孔
11 上フランジ
11b 下フランジ
12a ボルト挿通用横孔
12 縦リブ
13 既設側の橋体
14 レール
15 後部フレーム
16 内向きアーム
16b 縦枠材
17 走行用車輪
18 下部水平横枠材
19 作業足場
20 前部吊り下げ支持装置
21 反力体
21a 脚部
22 既設側の斜材
22a 雄ねじ部
22b 雌ねじ部材
22c PC鋼材
23 既設箱桁ブロック(既設ブロック)
23a ねじ付連結杆
24 前部支承フレーム
25 前部吊り下げ支承装置
26 上床版
27 走行式クレーン
29 吊り下げ支持装置
30 既設側アンカーブロック
30a 吊り上げ用係止金具
31 上床版型枠受け梁
32 支持梁材
33 吊り下げ支持装置本体
34 ねじ棒
35 下床版
36 下床版型枠受け梁
37 縦向きの総ねじ異径PC鋼棒
37b 総ねじ異径PC鋼棒
37c 支承部材およびナット
38 ボルト
39 足場フレーム
40 足場板
41 足場枠材
42 吊り下げ連結部材
43 鋼製せん断キー
44 吊り金具
45 縦孔
46 連結用アーム
47 横軸
48 移動式作業足場装置
49 ピロン式張出し架設装置
50 センターホールジャッキ(緊張用ジャッキ)
51 中空ピストン
52 緊張用ねじ杆
53 雌ねじ部材
54 雌ねじ部材
55 床版用PC鋼材
56 ピロン式張出し架設作業装置
57 伸縮式横連結材
58 連結用ブラケット
59 回動用ハンドル付き中間部材
60a 縦杆
61 ハンドル付き中間部材
62 杆体
63a 支承部材
63b ナット
64a 支承部材
64b ナット
65 ピロン式張出し架設装置
66 吊り車
69 連結フレーム
70 牽引移動装置(牽引兼押圧装置)
71 ローラ付き車体
72 車体付き可動横梁
73 車体
74 ねじ付きPC鋼材
75 ナット
77 センターホールジャッキ
79 ねじ付きPC鋼材
80 箱桁PC橋
81 ボルト・ナット
82 新設箱桁ブロック
83 コンクリート
84 上床版型枠
85 下床版型枠
86 ねじ付き縦PC鋼材
88 吊り車式吊下げ支持装置
89 吊下げ支持装置
90 アンカーブロック固定用の縦PC鋼材
91 アンカー付き雌ねじ金具
92 チェーンブロック
93 移動用梁
94 吊り下げ支持装置
95 連結継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC橋におけるウェブ材又はフレーム材を張出し支持する場合に使用するピロン式張出し架設装置において、前記ピロン式張出し架設装置は、既設側の張出しブロックの先端部に位置するピロンと、ピロンと既設ブロックとを連結する既設側の斜材と、既設ブロックのウェブ材又はフレーム材に張り出すように固定された新設側のウェブ材又はフレーム材の先端部と前記ピロンとを連結する新設側の斜材とを備えていることを特徴とするピロン式張出し架設装置。
【請求項2】
新設側のウェブ材又はフレーム材の先端上部に、着脱可能な新設側アンカーブロックが設けられ、前記新設側アンカーブロックを介して、新設側のウェブ材又はフレーム材と斜材とが連結されていることを特徴とする請求項1に記載のピロン式張出し架設装置。
【請求項3】
新設側のウェブ材又はフレーム材の上部に、新設側アンカーブロックに固定される新設側前部横梁を介して吊り下げ支持される作業足場を新設側に引き出すための牽引兼押圧装置が、着脱可能にかつ位置固定可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のピロン式張出し架設装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのピロン式張出し架設装置を使用したピロン式張り出し架設工法において、ピロンを既設側の張出しブロックの先端部に着脱可能に固定し、新設のウェブ材又はフレーム材の端部を、既設の張出しブロックのウェブ材又はフレーム材の端部に結合して一体化し、ピロンに一端側を連結した既設側斜材の他端側を後方の既設側ブロックに着脱可能に固定し、ピロンに一端側を連結した他方の新設側斜材の他端側を、新設側のウェブ材又はフレーム材の先端に着脱可能に連結して、新設側のウェブ材又はフレーム材を張出支持し、その後、新設側のウェブ材又はフレーム材を含む新設側の張出しブロックを施工することを特徴とするピロン式張出し架設工法。
【請求項5】
ウェブ材又はフレーム材の上側に配置される牽引兼押圧装置を利用して、作業足場を前方に移動し、その後、新設側斜材の端部を新設側のウェブ材又はフレーム材の先端側に接続することを特徴とする請求項4に記載のピロン式張出し架設工法。
【請求項6】
前記ウェブ材が、波形鋼板ウェブを備えたウェブ材、または、鋼材で組立てられたウェブ材用芯材を備えたフレーム材からなるウェブ材である請求項4または5に記載のピロン式張出し架設工法。
【請求項7】
ピロンは既設張出しブロック上を移動する走行クレーンにより、新設橋体先端部に搬送設置可能にされていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のピロン張出し架設工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−38546(P2008−38546A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217369(P2006−217369)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000103769)オリエンタル白石株式会社 (136)
【出願人】(597094503)巴機械工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】