説明

ファイバー強化多孔性基材

本発明は、一般的に多孔性ハニカム基材に関し、さらに特には、繊維系材料を備える素材からなる多孔性ハニカム基材に関する。約10容量%から約60容量%のセラミックファイバーを有する多孔性ハニカム基材は、様々な複合材料に製造される。ファイバー材料は、粒子系材料に混合されて、多孔性マトリックス形状の複合構造を反応形成する。多孔性ハニカム基材は、ファイバー複合材料から生成した細孔のオープンポアネットワークを表し、フィルタ及び化学プロセスの触媒ホストのような様々な用途のために、高い透過性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に多孔性ハニカム基材に関し、さらに特には、繊維系材料を備える素材からなる多孔性ハニカム基材に関する。
【背景技術】
【0002】
先端セラミック材料は、一般的に、例えば、自動車エンジン(例えば、触媒コンバーター)、航空宇宙用途(例えば、スペースシャトルタイトル)、耐火オペレーション(例えば、耐火レンガ)、及び、エレクトロニクス(例えば、キャパシタ、インシュレータ)のような厳しい環境下に配置されたシステム内で利用される。多孔性セラミック体は、特に、これら環境下でフィルタとして利用される。例えば、今日、自動車産業では、セラミックハニカム基材(すなわち、多孔性セラミック体)が、触媒酸化及び排気ガス削減のホストとして機能し、且つ、微粒子排出をフィルタリングするように使用される。セラミックハニカム基材は、フィルタリング及び触媒反応のサポートのための固有の高い表面積を提供し、同時に、これは、自動車エンジン環境に関連する高い動作温度で安定的であると共に実質的に構造的に堅固である。
【0003】
一般に、例えば、チタン酸アルミニウム系セラミックのようなセラミック材料は、高温環境で良好に機能する不活性物質である。しかしながら、セラミック材料は、熱ストレスに対する耐性がない。このようなストレスは、高い温度勾配、及び、極端な温度間の熱サイクルに材料を曝す環境によって発生する。例えばフィルタ分野において高い多孔特性が必要とされるとき、極端な熱環境に曝露されたセラミック材料の性能においてさえ、問題がある。高温環境下でフィルタ媒体及び/又は触媒ホストとしての高多孔性チタン酸アルミニウム基材材料が、多くの利用において、劣化し、且つ、機能しなくなることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、硬質な繊維微細構造から生まれる機械的完全性を所望の複合材料に提供するようにファイバー系材料を使用して高多孔性基材を提供することによって先行技術の欠点を克服する。本発明の基材は、高温環境のような厳しい環境下において、フィルタ媒体及び/又は触媒ホストとして使用することに適している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態では、多孔性ハニカム基材は、チャネル配列を有する剛性のハニカム形状体を有している。この明細書に使用されるとおり、「剛性」は、柔軟でなく、又は、ハンドリングやプロセス時に屈することがないという意味を含み、つまり、少なくとも100psiの冷間圧縮強度を示すものを云う。本発明のハニカム基材は、約10容量%から約60容量%のセラミックファイバー材料と、その残りの約90容量%から約40容量%のセラミック材料とを含む。セラミックファイバー材料及びセラミック材料が、多孔性基材の複合材料を形成し、当該複合材料がセラミックファーバー及びセラミック材料間の反応から生成される。多孔性機材のファイバー材料は、基材の多孔性のオープンポアネットワーク(開孔網)の形成に貢献し、フィルタ用途に適合されるときに高い透過性及び低い動作背圧を提供する。
【0006】
多孔性ハニカム基材の製造方法は、基材の所望の複合材料への前駆体である材料を提供するように約10容量%から約60容量%のファイバー材料を、残りの粒子系材料に混合するステップを含む。非揮発性成分であるこれらの材料は、結合材(バインダ、binder)及びポア形成剤(pore former)のような揮発性成分に液体と共に混合されて、押出可能な混合体を提供する。混合体は、グリーンハニカム形状体に押出加工され、乾燥され、一連の加熱プロセルに曝されて連続して揮発性成分を除去し、そして、グリーンハニカム形状体を焼結して、前駆体を所望の複合材料に反応形成する。
【0007】
本発明の一形態では、ファイバー系材料及び粒子系材料間で反応形成された複合材料は、ファイバー系材料上の界面層であり、或いは、ファイバー系材料又は粒子系材料の表面に形成されてもよい。本発明の別形態では、ファイバー系材料及び粒子系材料間で反応形成された複合材料は、実質的に基材を通して均一に分散している。本発明のさらなる別形態では、ファイバー系材料及び粒子系材料間で反応形成された複合材料は、ファイバー材料及びセラミック材料が実質的に区分できないように、ファイバーを実質的に消費してもよい。
【0008】
本発明の形態は、ファイバー系材料及び粒子系材料間で反応形成された複合材料を含み、限定されないが、これはチタン酸アルミニウム、コーディエライト及び炭化ケイ素を含んでいる。
【0009】
図面は、本説明の一部を構成し、且つ、本発明の例示の実施形態を含んでおり、これは様々な形態に具現化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に従ったハニカム基材を示す。
【図2】図2は、本発明のハニカム基材の多孔性微細構造の部分拡大図である。
【図3】図3は、本発明に従って多孔性ハニカム基材を製造する方法を示したフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の詳細な実施例をここに提供する。しかしながら、本発明は、様々な態様で体現することが可能であることが理解されるべきである。したがって、ここに開示された特定の詳細は、限定として解釈されるべきでなく、実質的に任意の詳細なシステム、構造、又は方式に本発明を採用する方法を本技術分野の当業者に教示するための代表的な原理として解釈されるべきである。
【0012】
セラミックファイバー系基材材料は、高温断熱、フィルタリングにとって、及び、触媒反応のホストとして機能することに有用である。様々な形態のいずれかの物質は、触媒コンバーター、NOxアブソーバ、DeNoxフィルタ、多機能フィルタ、溶融金属輸送機構及びフィルタ、熱交換機コア、化学プロセス、固定層反応器、水素化脱硫、水素化分解若しくは水素処理、並びに、エンジン廃棄フィルタリングとして、高温用途に使用可能である。
【0013】
パウダー系セラミック基材は、基材の製造において典型的に実行される焼結工程の間に揮発する有機物及びポア(孔)形成剤(pore former)の使用を通じて、多孔性形状体に製造可能である。あるいは、パウダー系セラミックのハニカム基材の焼結工程により、セラミック前駆体を緻密化可能であり、その結果、焼結基材材料全体にポア及びボイド空間を内包させる。パウダー系材料から製造された多孔性基材は、焼結物質のバルク(容積)多孔率が50%を越えるときに著しく阻害される。これらの高レベルの多孔率で、パウダー系基材は、より脆弱となり、且つ、温度勾配及び/又は機械的ストレスに曝されたときに機械的損傷を受ける。その上、原材料の緻密化から形成された、及び/又は、パウダー系材料の有機体及びポア形成剤を通して形成された、ボイド空間及びポアがあまり相互接続していないので、パウダー系セラミック及びセラミック前駆体から生じた多孔性セラミック基材の細孔形態は、フィルタ用途に最適ではない。オープンポアネットワーク(open−pore network)、すなわち、良好に相互接続されたポア空間によって、フィルタ用途における低い背圧で改善された流量及びより高い効率性を結果として提供する、高レベルの浸透性が示される。
【0014】
ファイバー系原材料から生成された多孔性セラミック基材は、改善した構造的完全性を有する高透過型の多孔体を提供可能である。ファイバー系材料が、低容量で高い強度を提供することが知られており、熱衝撃又は機械的劣化を示すことなく、広範囲且つ突然の温度変化を克服することができる。セラミックファイバーは、衝撃耐性を要求する燃焼室や高温環境をライニングするために使用される真空鋳造ボードのような高温剛性断熱パネルを製造するのに使用可能である。鋳造プロセスは、キルンファーニチャ及びセッタータイルのようなセラミックファイバーの剛性構造体を形成することに使用可能である。
【0015】
ここで使用されるファイバー(繊維)は、アスペクト比(すなわち、長さ÷幅)が1より大きい形状の物質である。ファイバーの断面は一般に円形状であるが、三角形、矩形又は多角形の他の断面形状でもよい。さらに、ファイバーの幅を、ファイバー又はファイバー片の長さに亘って変化させてもよい。多くのタイプの材料組成がファイバー形成に提供され得る。一般に、ファイバーは、限定されないが、紡糸、膨れ(blown)、延伸又はゾルゲル法を含む多くの工程のいずれか1つで作製される。アルミノケイ酸塩又はアルミナのようなファイバー耐燃断熱に使用されるほとんどのセラミックファイバーは、約1ミクロンから約25ミクロンの径又は幅を有し、より典型的には、約3ミクロンから約10ミクロンである。ファイバーの形状及び多孔性繊維状基材の作製のための原材料が、より典型的なセラミックパウダー材料と明らかに異なっており、このような粒子系材料のアスペクト比が約1であることについて、本技術分野の当業者は理解している。
【0016】
図1は、本発明に従ったハニカム基材を示している。基材100は、隣接する壁間のチャネル(溝)120を定める壁110のハニカムアレイ(蜂の巣状配列)を有している。基材100、及び、特に壁110は、セラミック物質複合材料の多孔性微細構造から構成される。図2に示すとおり、本発明に従った多孔性基材の断面は、図示された多孔性微細構造200を提供するようにファイバーを備える多孔性セラミック材料を示す。ポア空間220が、重なり絡み合ったファイバー210間の空間で形成される。壁110の多孔性材料の構造を形成するマトリックス(行列体)230は、ファイバー210及びセラミック材料240から形成される。
【0017】
物品を強化するためのファイバーの使用は、一般に技術的に知られている。一般のファイバー強化複合材料は、ファイバー及びマトリックスの構造を備える。ファイバーが強度を提供する一方で、マトリックスは、強化ファイバー間のストレスを伝達するようにファイバーを1つに接着する。ハニカムセラミック基材は、ハニカム構造の強化及び補強を提供するように少量のファイバーを含んでいることが知られている。しかしながら、本発明の方法及び装置では、ファイバーがただ単にマトリックスを強化するだけでなく、隣接する重なったファイバー間の空間から生じた基材の多孔性及び透過性を持つ、マトリックスの形成に反応し、且つ、貢献する。本発明の構造とファイバー強化物品の構造との重要な差異は、隣接及び接触するファイバーと反応し、及び/又は、一般的に均質な複合材料を形成するように結合マトリックスと反応することである。
【0018】
多孔性ハニカム基材の製造のための原材料としてのファイバー系材料は、同じ組成のパウダー系材料よりも優れた特性を提供する。一般に所有の米国特許第7,486,962号及び第7,578,865号は、その内容をここに援用するが、高多孔性ファイバー系ハニカム基材の方法及び装置を開示する。これら参照文献は、フィルタ及び化学処理用途で有利な高い透過性の多孔構造を提供する、絡み合って結合したファイバーによる、押出(成形)されたハニカム基材のオープンポアネットワーク及び内部接続された多孔性を開示する。ファイバー系材料が、セラミック材料、セラミック前駆体及び/又はガラス材料に有機結合剤及びポア形成剤を加えた押出可能な混合体に含まれるとき、サイズ、形状及び内部接続したポア分布に影響するようにハニカム形成体を形成する押出プロセスの間、ファイバー系材料は有機結合剤(バインダ)及びポア形成剤に対して事前に配置される。長手状のファイバー材料は、隣接するポアの間の経路を提供して、最終焼結構造において隣接ポア間の内部接続性を確実にする。
【0019】
ファイバー系多孔性基材の多孔率は、ハニカム基材を形成するのに使用されるバッチ材料内の揮発性成分と非揮発性成分との相対量によって大体決定される。例えば、約60%の多孔率を有する多孔性基材では、押出可能なバッチ材料は、約40容量%の非揮発性成分と約60容量%揮発性成分を含んでいる。非揮発性成分はマトリックス230を形成する材料を含み、且つ、揮発性成分は押出形成プロセスに続くプロセスの間で揮発される材料を含み、当該材料が結合剤、ポア形成剤及び液体を含んでいる。揮発性成分は、ペーパー若しくはウッドパルプファイバー又はカーボンファイバーのような、ポア形成材料として機能する消散性(fugitive)ファイバーのようなファイバー系材料を含み得る。しかしながら、押出加工プロセスの後のプロセスが、マトリックス230の部分となるべく、これら材料を反応させるように構成された場合(例えば、焼結プロセスが真空又は不活性環境下で実行され、マトリックス230がカーバイド系組成物を備える場合)、有機組成物を有するファイバー材料を非揮発性物質とみなすことも可能である。
【0020】
図2に示すような本発明に従った多孔性構造では、相対量のファイバー系材料が、マトリックス230を形成するのに使用される、容量で約10%から60%の非揮発性成分である。相対量のファイバー系材料は、容量で10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%又は60%の、マトリックス230を形成するのに使用される非揮発性成分とすることができる。ファイバーは、所望の複合材料を提供するように、及び/又は、マトリックス230の一般的に均一な組成を有する複合構造を形成するように、その残りの40%〜90%の粒子系材料と反応する。詳細な微細構造分析なしにファイバー材料が最終構造に直ちに表れるかどうかは分からないという意味では、このファイバー相対量は一般的に低い。しかしながら、ファイバー系材料の使用が、生成したマトリックス230のポア構造に影響し、さらに、複合材料、すなわち、基材形成中の材料特性に貢献する。
【0021】
図3は、本発明の多孔性構造体を製造するためのプロセスを表す。一般的に、方法300は、押出プロセスを使用して、最終多孔基材に硬化可能なグリーン基材を押出(成形)加工する。方法300の押出プロセスは、押出ダイ及び押出設備を特定の設定に適応可能であるので、サイズ、形状、及び基材形状(geometry)における柔軟性を提供する。
【0022】
一般的に、混合ステップ340で、非揮発性成分315(ファイバー材料310及び粒子320を含む)は、揮発性成分325(結合剤及び/又はポア形成剤を含む)、及び液体330に混合される。ファイバー材料310は、最終基材の所望の複合材料への前駆体である、或いは、最終基材の組成又は最終基材の複合材料への成分を有する、セラミック又はガラス材料を含む。粒子材料は、最終基材の所望の複合材料への前駆体である、或いは、最終基材の組成又は最終基材の複合材料への成分を有する、セラミック又はガラス材料を含む。本発明によれば、相対量のファイバー材料310は、約10容量%から約60容量%の非揮発性成分315である。ファイバー材料310の組成は及び粒子材料315の組成が、最終基材の複合材料、特には、マトリックス230を決定する。
【0023】
例えば、チタン酸アルミニウム化合物を有する多孔性基材を製造するために、非揮発性成分315は、チタン酸アルミニウムの前駆体又は付加化合物を含み、非化学量論(不定比)のチタン酸アルミニウムを生成する。例えば、アモルファスの50%アルミナ/50%二酸化ケイ素(シリカ)のようなアルミノケイ酸材料が、ファイバー形状において容易に利用可能であり、これはパウダー状二酸化チタンに混合されて、チタン酸アルミニウム及びムライト、及び/又は、チタン酸アルミニウム、ムライト及びシリカ系ガラスの複合材料を有する基材を形成する。さらには、ムライトファイバーを二酸化チタンファイバーと共に含ませることも可能であり、同様のチタン酸アルミニウム・ムライト・ガラス複合材料を提供する。別実施形態では、前駆体を、シリカファイバーを備える添加物を有する、パウダー(コロイド)形態とすることができ、シリカファイバーの周りにチタン酸アルミニウム構造を形成し、或いは、シリカファイバーを有する前駆体による適切な量のアルミナの反応から形成されたムライトファイバーを形成する。これら複合構造は、ファイバー添加物上に形成されたチタン酸アルミニウムコーティングの形態とすることができる。様々な実施形態の特定の例を以下に提供する。
【0024】
本発明によれば、ファイバー材料210は、任意のセラミック、ガラス、無機物、有機物、金属又は金属間ファイバー材料を含み得る。例えば、ファイバー310は、ムライト、アルミナ、シリカ/アルミナとシリカとの混合、アルミナとシリカとアルミノケイ酸との混合、アルミノホウケイ酸、炭化ケイ素、窒化ケイ素、コーディエライト、イットリウム・アルミニウム・ガーネット、アルミナ強化熱バリア(AETB)組成物、アルミナシリカボリア組成物、アルミナ、シリカ、ボリア及び/又はアルミノホウケイ酸の組み合わせ、アルミナ・ムライト、アルミナ・シリカ・ジルコニア、アルミナ・シリカ・クロミア、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム・ストロンチウム、ケイ酸マグネシウム・カルシウム・ストロンチウム、ファイバーガラス、eガラス、チタン酸アルミニウムファイバー、ストロンチウム酸化チタン、チタニアファイバー、炭化チタンファイバー、アルミノケイ酸カルシウム、ポリエステルファイバー、カーボンファイバー、イットリウムニッケルガーネット、FeCrAl合金、フェノールファイバー、高分子ファイバー、セルロース、ケラチン、パラアラミド合成ファイバー、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロポリマー、二軸延伸ポリエチレンテレフタル酸ポリエステル、ジルコンファイバー、ニッケル、銅、真鍮、ステンレス鋼、ニッケルクロム、NiAl、あるいは、Alウィスカ、MgOウィスカ、MgO−Alウィスカ、Feウィスカ、BeOウィスカ、MoOウィスカ、NiOウィスカ、Crウィスカ、ZnOウィスカ、Siウィスカ、AlNウィスカ、ZnSウィスカ、CdSウィスカ、酸化タングステンウィスカ、LaBウィスカ、CrBウィスカ、SiCウィスカ及びBCウィスカのようなウィスカ(whisker、ひげ結晶)の組成物を含むことができる。
【0025】
揮発性成分325は、結合剤、分散剤、ポア形成剤、可塑剤、加工助剤、及び、強化物質を含む。結合剤は、有機及び無機物質、及び、押出加工又は成形助剤、レオロジー調整剤及び加工助剤及び可塑剤を含み、後続の押出ステップ350の間に利用可能である。例えば、揮発性成分325として含まれ得る有機結合剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、及び、これらの組み合わせを含む。有機結合剤は、限定されないが、ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブテン;ポリスチレン;ポリビニルアセテート;ポリエステル;イソタクチックポリプロピレン;アタクチックポリプロピレン;ポリスルホン;ポリアセタールポリマー;ポリメチルメタクリレート;フマロン−インダン共重合体(fumaron-indane copolymer);エチレンビニルアセテート共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体;アクリルゴム;ポリビニルブチラール;イオノマー樹脂のような熱可塑性樹脂を含むことができる。有機結合剤は、限定されないが、エポキシ樹脂;ナイロン;フェノールホルムアルデヒド;フェノールフルフラール;ワックス;パラフィンワックス;ワックスエマルション;微結晶ワックスのような熱硬化性バインダー(結合剤)を含むことができる。また、有機結合剤は、限定されないが、セルロース;デキストリン;塩素化炭化水素;精製アルギン酸塩;でんぷん;ゼラチン;リグニン;ラバー;アクリル;ビチューメン;カゼイン;ゴム;アルブミン;プロテイン;グリコールを含むことができる。典型的に揮発性成分325は、炭酸マグネシウム若しくはその他の(例えば1重量%よりも少ない)比較的少量の焼結助剤を含んでもよい。これにより、例えばCTEのような生成したチタン酸アルミニウム化合物の特性を大きく変化させることなく、低い焼結温度でチタン酸アルミニウムの形成を促進する。揮発性成分325は、例えばディーゼル微粒子フィルタとして、動作中のチタン酸アルミニウム材料が分解する可能性を阻止する安定化合成物をも含み得る。安定化化合物は、微量のシリカ、酸化マグネシウム及び/又は酸化鉄を含み得る。水溶結合剤を揮発性成分325として含むことも可能であり、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;メチルセルロース;カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンオキサイド;ポリアクリルアミド;ポリエチテリミン(polyethyterimine);寒天;アガロース;糖蜜(molasses);デキストリン;スターチ;リグノスルホン酸塩;リグニンリカー;アルギン酸ナトリウム;アラビアゴム;キサンタンゴム;トラガカントゴム;カラヤゴム;ローカストビーンガム;アイリッシュモス;硬化性グルカン(scleroglucan);アクリル;陽イオン・ガラクトマンナンを含む。
【0026】
粒子材料320として無機結合剤を含むことができ、例えば、水溶性ケイ酸塩;水溶性アルミン酸塩;水溶性リン酸塩;球状粘度;カオリン;ベントナイト;コロイダルシリカ;コロイダルアルミナ;ホウリン酸塩などを含む。これら無機結合剤は、可塑性及び押出加工性を提供し、尚且つ、非揮発性成分315のような複合構造の形成に貢献する。
【0027】
揮発性成分325は、可塑剤をも含むことができる。当該可塑剤は、限定されないが、ステアリン酸;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;プロピレングリコール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;フタル酸ジメチル;フタル酸ジブチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジオクチル;フタル酸ジアリル;グリセロール;オレイン酸;ステアリン酸ブチル;微結晶ワックス;パラフィンワックス;ジャパンワックス(和ろう);カルナバワックス;ビーワックス(蜜蝋);エステルワックス;植物油;魚油;シリコンオイル;水素化ピーナッツオイル;トリトリルリン酸塩;グリセロール・モノステアレート;有機シランを含んでもよい。
【0028】
揮発性成分325は、多孔性基材100のポアのサイズ及び分布を高めるポア形成剤を含んでもよい。ポア形成剤は、最終多孔性基材の開空間を増加させるように添加される。ポア形成剤は、その熱劣化挙動に基づいて開空間を形成する機能のためだけなく、混合及び押出加工の間のファイバーの配向を補助するためにも選択される。このような方法で、ポア形成剤は、重合したパターンにファイバーを配置することを助けて、焼結ステップ380の後半の段階の中でファイバー間の適切な結合を促進する。さらに、ポア形成剤は、ファイバーを好適な方向へ整列させる機能を有してもよく、異なる軸に沿って押し出された基材の熱膨張特性に影響を与える。揮発性成分325としてのポア形成剤は、限定されないが、カーボンブラック;活性炭;グラファイト片;人造グラファイト;木粉;加工でんぷん;でんぷん;セルロース;ココナッツ殻粉;とうもろこしの皮;ラテックス球;バードシード;おがくず;熱分解性ポリマー;ポリ(アルキルメタクリレート);ポリメチルメタクリレート;ポリエチルメタクリレート;ポリ−n−ブチルメタクリレート;ポリエステル;ポリテトラヒドロフラン;ポリ(1,3−ジオキソラン);ポリ(アルキレンオキサイド);ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド;メタクリレート共重合体;ポリイソブチレン;炭酸ポリトリメチレン;シュウ酸ポリエチレン;ポリ−ベータ−プロピオラクトン(propiolactone);ポリ−デルタ−バレロラクトン;炭酸ポリエチレン;炭酸ポリプロピレン;ビニルトルエン/アルファ−メチルスチレン共重合体;スチレン/アルファ−メチルスチレン共重合体;オレフィン−サルファ・ジオキサイド共重合体を含むことができる。
【0029】
簡潔に説明したとおり、1以上のファイバー組成物がファイバー材料310として含まれ得る。さらに、揮発性成分325は、パウダー、溶液又はファイバーの形態をとることができる。
【0030】
液体330は、溶剤のような他の液体が提供されてもよいが、典型的には水である。さらに、非揮発性成分315及び揮発性成分325を、コロイド懸濁液又は溶液に提供可能であり、必要とされる追加の液体330の量を減少又は排除することができる。押出ステップ350に適した混合体の必要なレオロジー(流動性)を得るように、液体330が必要に応じて付加される。押出ステップ350に必要なレオロジーと比べて混合体のレオロジーを評価するように、レオロジーの測定は混合ステップ340の間に実行可能である。基材にクラック形成を引き起し得る硬化ステップ355の間に過剰な収縮が起こる虞がある点で、過剰な液体330は望ましくない。
【0031】
非揮発性成分315及び揮発性成分325及び流体330が混合ステップ340で混合されることにより、押出加工可能な混合体を提供する。混合ステップ340は、乾燥混合形態、湿潤混合形態及びせん断混合形態を含み得る。せん断又は分散型混合が、混合体内で高い均質なファイバー分布を形成するのに望ましいことが分かった。混合体におけるセラミック材料の相対的な低濃度のせいで、この分布は特に重要である。せん断混合は、ファイバーを混合体内で分散(細分化)及び分配するのに必要である。シグマミキサー(又は同等の設備)が、混合ステップ340を実行するのに適している。均一混合体が混合されているとき、混合体のレオロジーは必要に応じて調整され得る。混合体が混合されると、そのレオロジーが変化し続ける。レオロジーは、主観的にテストされるか、或いは、本技術の当業者に知られるレオロジー値に準拠して測定され得る。
【0032】
押出成形可能な混合体は、次に、押出ステップ350でグリーン基材に押し出される。スクリュー押出機の場合、押出ステップ350とほぼ同時に混合ステップ340を実行可能であり、連続的なインラインプロセスを高容量で提供する。或いは、ピストン押出機のバッチプロセスも、混合体をグリーン基材に押出成形ように実行可能である。ハニカム押出ダイ(型)を通して混合体を押出成形することによりハニカム形状が得られる。セル密度や壁厚のようなハニカムのセルサイズ及び形状は、押出ダイのデザイン(設計)により決定される。グリーン基材は、基材を支持すると共に次のプロセスのために押出形状及び形態を維持するのに十分な生強度を有している。
【0033】
硬化シーケンス355は、本質的に、乾燥ステップ360、結合材バーンアウト(焼失)ステップ370及び焼結ステップ380からなる。乾燥ステップ360は、グリーン基材中の全液体を実質的に除去し、且つ、揮発性成分325の結合剤成分を固化及びゲル化するように実行される。典型的には、乾燥ステップ360は、オーブンにおいて比較的低温で実行可能であり、或いは、マイクロウェーブ、赤外線又は制御湿式乾燥システムのような乾燥法を利用可能である。後続の高温処理において高速な収縮から生じるクラッキング又は損傷が軽減又は除去される限り、98%よりも多くの液体(例えば水)を除去するまで赤外線又はマイクロウェーブ乾燥オーブン内でグリーン基材を乾燥させることが受容される。
【0034】
結合剤バーンアウトステップ370は、上昇した温度で少なくとも部分的な揮発性を有する、有機物質のような揮発性成分325を除去するように実行される。これらの添加物は、ファイバーの整列(アライメント)及び配置(アレンジメント)を維持すると共に漏出ガス及び残渣物がファイバー構造に干渉しないように制御された方式において熱で消散される。添加物が焼失すると、ファイバー材料310は、構造内の粒子材料320に対してその位置を維持する。ファイバーは、結合剤を使用して重なり合う配列(構成)に配置され、例えば、任意のポア形成剤物質の使用を通して形成された特定のパターンを有することができる。結合剤バーンアウトステップ370中で揮発性成分325を除去するための、特定の時間(タイミング)及び温度並びに環境は、選択した材料に依存する。例えば、ポア形成剤としてのグラファイト粒子と共に有機結合剤の揮発性成分325としてHPMCが使用された場合、結合剤バーンアウトステップ370は、約325℃までグリーン基材を加熱してHPMCを熱分解し、そして、空気をパージした環境下で約600℃にグリーン基材を加熱してグラファイトを二酸化炭素に酸化することにより添加剤を選択的に除去することができる。
【0035】
そして、焼結ステップ380が、ファイバー材料310を含む非揮発性成分315から多孔性構造の複合材料を形成するように実行される。この焼結ステップ380では、揮発性成分325が結合剤バーンアウトステップ370で除去された状態で、ファイバー系材料310が、押出プロセス350に従って整列及び配置されている。図2に戻ると、ファイバー系材料310はファイバー210として表されており、オープンポア空間220が、結合剤バーンアウトステップ370中に除去された揮発性成分325から形成され、パウダー系材料320が少なくとも部分的にファイバーを囲んでいる。焼結ステップ380が、非揮発性成分315をマトリックス230の複合構造内に焼結するのに十分な環境温度に基材を加熱する。
【0036】
本発明の実施形態では、相対量約10容量%から約60容量%のファイバー材料310が、相対量約90容量%から約40容量%の粒子系材料320に結合することにより、一般に、複合材料内のファイバーと非ファイバー材料との明らかな合成的区分を提供する複合材料を形成する。この実施形態では、焼結ステップ380において、ファイバーと非ファイバー材料との反応が、ファイバー/非ファイバー界面で界面複合材料を形成する。或いは、ファイバー及び非ファイバー材料の反応は、マトリックス230のファイバー材料及び/又は非ファイバー材料の表面を修飾(modify)する。本実施形態の例として、粒子系材料320としての酸化マグネシウム、アルミナ及びシリカを含むコーディエライト前駆体から形成されたコーディエライトのマトリックス内のムライトファイバーが挙げられる。別の例として、粉末系材料320としてのアルミナパウダー及び二酸化チタンパウダーから形成されたチタン酸アルミニウムのマトリックス内のアルミノケイ酸ファイバーが挙げられる。さらなる別例は、アルミノケイ酸又はムライトファイバー上に形成するチタン酸アルミニウムである。実例がここに提供された。
【0037】
本発明の別実施形態では、相対量約10容量%から約60容量%のファイバー材料310は、相対量約90容量%から約40容量%の粒子系材料320と完全に反応して複合材料を形成する。当該複合材料では、マトリックス230内で、ファイバー材料310と周囲の粒子系材料320との間に識別可能な区別が存在しない。この実施形態では、ファイバー材料310は、焼結ステップ380の間、熱化学反応に関与することにより、所望の組成を有する材料を形成する。この実施形態の例として、コーディエライト複合材料を形成するように適切な量の酸化マグネシウム、アルミナ及びシリカに混合されたアルミノケイ酸ファイバーが挙げられる。別の例として、炭化ケイ素複合材料を形成するように適切な相対量のグラファイト粒子及びシリコン粒子を有するカーボンファイバーが挙げられる。同様に、チタン酸アルミニウム複合材料を有する多孔性基材を形成するように、適切な相対量の二酸化チタンパウダーを有するアルミナファイバーを使用可能である。実例がここに提供された。
【0038】
本発明のさらなる別実施形態では、相対量約10容量%から約60容量%のファイバー材料310は、相対量約90容量%から約40容量%の粒子系材料320と反応して複合材料を形成する。当該複合材料では、マトリックス230内でファイバー材料310と粒子系材料320との間で区別が存在しているが、ファイバー材料が少なくとも部分的に周囲のセラミック材料240と反応して複合構造を形成する。この実施形態の例として、ムライトファイバーを有するコーディエライト複合材料内にセラミック材料340を形成するように、適切な量の酸化マグネシウム、アルミナ及びシリカに混合されたアルミノケイ酸ファイバーが挙げられる。別例として、アルミナファイバーと共にチタン酸アルミニウム複合材料を有するセラミック材料240の複合構造を有する多孔性基材を形成するのに使用可能である、適切な相対量の酸化チタンパウダーを有するアルミナファイバーが挙げられる。実例がここに提供された。
【0039】
チタン酸アルミニウム(AlTiO)は、焼結多結晶又はアモルファス材料の安定なマイクロクラック(microcracked)構造を形成する斜方晶系構造を有している。チタン酸アルミニウムは、極度に低い熱膨張係数(CTE)のおかげで著しい熱衝撃耐性を示すことが高く評価される安定的な酸化セラミック材料である。温度勾配が存在する用途にとって、低CTEを有するセラミック材料が望ましい。例えば、ディーゼル粒子フィルタでは、フィルタに堆積した煤(すす)が周期的に再生されるときに温度勾配が生じる。ディーゼル粒子フィルタの再生は、堆積した煤を二酸化炭素及び水蒸気に酸化するように、堆積した煤を焼失させることを含む。フィルタ内でセ氏800度を超える温度勾配が展開され、セラミック材料の強度を超える熱ストレスを引き起こす虞がある。低CTEを有する材料が使用されるとき、それに応じて、高い温度勾配から生じた熱ストレスが軽減される。
【0040】
チタン酸アルミニウムからなる多孔性ハニカム基材は、パウダー系原材料を使用して製造されることが前もって知られている。多孔率が約50%を超えるときにパウダー系材料からなるチタン酸アルミニウム基材が機械的に脆弱となるので、効果的な多孔率の範囲が制限される。本発明に従った、ファイバー系原材料を使用し、ハニカム構造を形成するように押出法を使用して製造された多孔性チタン酸アルミニウム基材は、十分な機械的強度並びに他の熱特性及び機械特性を併せ持った、50%又はそれよりも大きい多孔率を有する多孔性チタン酸アルミニウム・ハニカム構造を提供可能である。さらに、ハニカム形状を作製するのに使用される、約10容量%から約40容量%のファイバー系原材料と残りの粒子系材料とが、ファイバーの好適な配向、すなわち、押出方向に整列したファイバーを形成する。その際、ファイバー配列(これは、径、長さ及び組成に由来する強度のようなファイバー原材料の機械的特性によって制御又は影響され得る。)は、動作中に最も大きい温度勾配を経験する基材の方向に低CTEを含むように、異方性CTE特性を授ける。
【0041】
(実施例)
以下の実施例が、本開示の理解をさらに助けるために提供される。これら特定の実施例は、本開示の説明を意図しており、限定することを意図していない。
【0042】
第1実施例では、約11容量%のファイバー材料が約89容量%の粒子系材料に混合されて、チタン酸アルミニウム複合材料を有する多孔性ハニカム基材を作製する。この例では、15グラムのムライトファイバー(約4〜8ミクロンの径を有するバルクファイバー)に、非揮発性成分としての、40グラムの二酸化チタンパウダー及び51グラムのアルミナパウダーが付随する。非揮発性成分は、共に代表的な揮発性成分である、有機結合剤としての16グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及び、ポア形成剤としての65グラムのグラファイト粒子(−325メッシュグレード)、並びに、流体としての65グラムの脱イオン化された水に混合される。押出成形可能な混合体が準備されて、押出加工によって1”(インチ)径のハニカムに成形される。グリーン基材は、高周波(RF)ドライヤーを使用して乾燥され、結合剤バーンアウトステップがそれに続く。結合剤バーンアウトステップでは、窒素パージした状態で約1時間、325℃で有機結合剤を分解させ、そして、空気パージ状態で約4時間、1,000℃でグラファイトポア形成剤を焼失させる。次に、材料が2時間、1,400℃で焼結されて多孔性基材を形成する。多孔性基材の解析により、約87%のチタン酸アルミニウムと、当該組成の残りがムライト、ルチル(二酸化チタン)及び他のアモルファス材料で構成された組成を基材が有することを決定した。多孔率が57.2%と測定され、552psiの冷間圧縮強度(cold crush strength)を有する。
【0043】
第2実施例では、第1実施例と同じ材料(11容量%のファイバー)が準備されるが、2時間、1500℃で焼結され、より多くのファイバーを粒子系材料と反応させ、1,277psiの冷間圧縮強度で48.8%の多孔率を有する基材を提供する。
【0044】
第3実施例では、約13容量%のファイバー材料が約87容量%の粒子系材料に混合されて、チタン酸アルミニウム複合材料を有する多孔性ハニカム基材を作製する。この例では、20グラムのムライトファイバー(約4〜8ミクロンの径を有するバルクファイバー)に、非揮発性成分としての、40グラムの二酸化チタンパウダー及び60グラムのアルミナパウダーが付随する。非揮発性成分は、共に代表的な揮発性成分である、有機結合剤としての16グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及び、ポア形成剤としての65グラムのグラファイト粒子(−325メッシュグレード)、並びに、流体としての70グラムの脱イオン化された水に混合される。押出成形可能な混合体が準備されて、押出加工によって1”径のハニカムに成形される。グリーン基材は、高周波(RF)ドライヤーを使用して乾燥され、結合剤バーンアウトステップがそれに続く。結合剤バーンアウトステップでは、窒素パージした状態で約1時間、325℃で有機結合剤を分解させ、そして、空気パージ状態で約4時間、1,000℃でグラファイトポア形成剤を焼失させる。次に、材料が2時間、1,400℃で焼結されて多孔性基材を形成する。多孔性基材の解析により、約91%のチタン酸アルミニウムと、当該組成の残りがムライト、ルチル(二酸化チタン)及び他のアモルファス材料で構成された組成を基材が有することが決定した。
【0045】
第4実施例では、約14容量%のファイバー材料が約86容量%の粒子系材料に混合されて、チタン酸アルミニウム複合材料を有する多孔性ハニカム基材を作製する。この例では、20グラムのムライトファイバー(約4〜8ミクロンの径を有するバルクファイバー)に、非揮発性成分としての、40グラムの二酸化チタンパウダー及び51グラムのアルミナパウダーが付随する。非揮発性成分は、共に代表的な揮発性成分である、有機結合剤としての16グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及び、ポア形成剤としての65グラムのグラファイト粒子(−325メッシュグレード)、並びに、流体としての70グラムの脱イオン化された水に混合される。押出成形可能な混合体が準備されて、押出加工によって1”径のハニカムに成形される。グリーン基材は、高周波(RF)ドライヤーを使用して乾燥され、結合剤バーンアウトステップがそれに続く。結合剤バーンアウトステップでは、窒素パージした状態で約1時間、325℃で有機結合剤を分解させ、そして、空気パージ状態で約4時間、1,000℃でグラファイトポア形成剤を焼失させる。次に、材料が2時間、1,500℃で焼結されて多孔性基材を形成する。多孔性基材の解析により、約82.9%のチタン酸アルミニウムと、当該組成の残りがムライト、ルチル(二酸化チタン)及び他のアモルファス材料で構成された組成を基材が有することが決定した。多孔率が48.8%と測定され、1,277psiの冷間圧縮強度を有する。
【0046】
第4実施例では、約56容量%のファイバー材料が約44容量%の粒子系材料に混合されて、チタン酸アルミニウム複合材料を有する多孔性ハニカム基材を作製する。この例では、50グラムのアルミナファイバー(約10ミクロンの径を有するバルクファイバー)に、非揮発性成分としての、30グラムの二酸化チタンパウダー、及び、微量の炭酸マグネシウム及び酸化鉄が付随する。非揮発性成分は、共に代表的な揮発性成分である、有機結合剤としての16グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及び、ポア形成剤としての65グラムのグラファイト粒子(−325メッシュグレード)、並びに、流体としての70グラムの脱イオン化された水に混合される。押出成形可能な混合体が準備されて、押出加工によって1”径のハニカムに成形される。グリーン基材は、高周波(RF)ドライヤーを使用して乾燥され、結合剤バーンアウトステップがそれに続く。結合剤バーンアウトステップでは、窒素パージした状態で約1時間、325℃で有機結合剤を分解させ、そして、空気パージ状態で約4時間、1,000℃でグラファイトポア形成剤を焼失させる。次に、材料が6時間、1,550℃で焼結されて多孔性基材を形成する。多孔性基材の解析により、約85%のチタン酸アルミニウムと、当該組成の残りがムライト、ルチル(二酸化チタン)及び他のアモルファス材料で構成された組成を基材が有することが決定した。多孔率が25.4%と測定され、2,528psiの冷間圧縮強度を有する。
【0047】
第5実施例では、約59容量%のファイバー材料が約41容量%の粒子系材料に混合されて、チタン酸アルミニウム複合材料を有する多孔性ハニカム基材を作製する。この例では、25グラムのムライトファイバー(約4〜8ミクロンの径を有するバルクファイバー)及びに25グラムのアルミナファイバー(約10ミクロンの径を有するバルクファイバー)に、非揮発性成分として、微量の炭酸ストロンチウム及び炭酸マグネシウムと共に、29グラムの二酸化チタンパウダー及び4グラムのアルミナパウダーが付随する。非揮発性成分は、共に代表的な揮発性成分である、有機結合剤としての16グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及び、ポア形成剤としての65グラムのグラファイト粒子(−325メッシュグレード)、並びに、流体としての80グラムの脱イオン化された水に混合される。押出成形可能な混合体が準備されて、押出加工によって1”径のハニカムに成形される。グリーン基材は、高周波(RF)ドライヤーを使用して乾燥され、結合剤バーンアウトステップがそれに続く。結合剤バーンアウトステップでは、窒素パージした状態で約1時間、325℃で有機結合剤を分解させ、そして、空気パージ状態で約4時間、1,000℃でグラファイトポア形成剤を焼失させる。次に、材料が6時間、1,400℃で焼結されて多孔性基材を形成する。多孔性基材の解析により、約72%のチタン酸アルミニウムと、当該組成の残りがムライト、コランダム(アルミナ)、アルミノケイ酸ストロンチウム及び他のアモルファス材料で構成された組成を基材が有することが決定した。多孔率が54.5%と測定され、1,106psiの冷間圧縮強度を有する。
【0048】
図3に戻ると、仕上げステップ390は、その意図された用途のために、多孔性基材を構成するように任意に実行可能である。仕上げステップ390は、壁流フィルタとして基材を構成するように、ハニカム構造の交互のセルを埋めることを含み得る。さらに、基材は、矩形状又は円筒断面のようなその意図された目的用の幾何学的形状に、切断又は研磨可能である。用途によっては、高温接着材料を使用して複数のセグメントを接合することにより多くの小さいセグメントから大きい基材を組み立てることが望まれている。さらに、所望の最終サイズ及び表面状態を得るために、外皮又はコーティングを適用可能である。最終多孔性基材は、金属スリーブ内に挿入可能であり、すなわち、例えば、ディーゼル粒子フィルタのような排気制御装置内のハウジングを提供可能である。本技術の当業者は、他の用途を認めており、特性及び特徴を有する高多孔性ハニカム構造は他の用途への使用のために調整可能である。
【0049】
上述のとおり、本発明の実施形態を詳細に説明した。本発明の思想及び範囲から逸脱することなく様々な改変及び付加を実施可能である。また、上述した様々な実施形態の各々は、他の実施形態と組み合わせることにより、複数の特性を提供する。さらに、本明細者は、本発明の装置及び方法の多くの別の実施形態を説明するが、ここに説明されたものは、本発明の原理の応用をただ単に説明するにすぎない。例えば、ファイバー材料及び他の添加物が、混合体に提供される場合、チタン酸アルミニウム、コーディエライト、炭化ケイ素などを含む様々な組成物及び成分を形成可能である。さらに、ここに考えられる混合構成材料への適合に従って、乾燥、結合剤バーンアウト及び/又は焼結ステップへさらなる改変を実行してもよい。また、ファイバー材料及び粒子系材料の相対量を変更すると、焼結基材におけるファイバー材料の相対量により、限定されないが、概して、ガラス結合、ガラス−セラミック結合、及び、セラミック結合したセラミックファイバー材料を含む任意のファイバー複合ハニカム構造へと導かれる。したがって、この説明は、例示のためになされたものであり本発明の技術範囲を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列したチャネルを有する剛性のハニカム形状体と、
約10容量%から約60容量%のセラミックファイバーと、
約90容量%から約40容量%のセラミック材料と、を備え、
前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料が複合材料を形成し、前記複合材料が前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料間の反応から生成されることを特徴とする多孔性ハニカム基材。
【請求項2】
前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料間の反応から生成された前記複合材料は、前記セラミックファイバー上の界面層及び表面層の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項3】
前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料間の反応から生成された前記複合材料は、当該基材を通して実質的に均一に分散していることを特徴とする請求項1に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項4】
前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料間の反応から生成された前記複合材料は、実質的に前記セラミックファイバーを消費することを特徴とする請求項1に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項5】
前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料間の反応から生成された前記複合材料は、チタン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項6】
前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料間の反応から生成された前記複合材料は、コーディエライトであることを特徴とする請求項1に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項7】
前記セラミックファイバー及び前記セラミック材料間の反応から生成された前記複合材料は、炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項8】
配列したチャネルを有する実質的に剛性のハニカム形状体を備える多孔性ハニカム基材であって、前記ハニカム形状体は、以下のプロセスによって形成され、
前記プロセスは、
前駆体となる材料を当該多孔性ハニカム基材の複合材料に提供するように、約10容量%から約60容量%のファイバー材料を、その残りの粒子系材料と混合するステップと、
押出成形可能なバッチを提供するように結合剤及び液体を含む添加物に前記前駆体を混合するステップと、
前記押出成形可能なバッチをグリーンハニカム形状体に押出加工するステップと、
全ての前記液体を除去するように前記グリーンハニカム形状体を乾燥させるステップと、
全ての前記結合剤を除去するように前記グリーンハニカム形状体を加熱するステップと、
前記前駆体を所望の複合材料に反応形成させるように前記グリーンハニカム形状体を焼結させるステップと、を含む、
ことを特徴とする多孔性ハニカム基材。
【請求項9】
前記所望の前記複合材料は、前記セラミックファイバー上の界面層及び表面層の少なくとも一方であることを特徴とする請求項8に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項10】
前記所望の前記複合材料は、当該基材を通して実質的に均一に分散していることを特徴とする請求項8に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項11】
前記所望の複合材料に前記前駆体を反応形成させるように前記グリーンハニカム形状体を焼結させるステップは、実質的に前記セラミックファイバーを消費することを特徴とする請求項8に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項12】
前記所望の前記複合材料は、チタン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項8に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項13】
前記所望の前記複合材料は、コーディエライトであることを特徴とする請求項8に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項14】
前記所望の前記複合材料は、炭化ケイ素であることを特徴とする請求項8に記載の多孔性ハニカム基材。
【請求項15】
多孔性ハニカム基材を製造する方法であって、
前駆体となる材料を前記多孔性ハニカム基材の複合材料に提供するように、約10容量%から約60容量%のファイバー材料を、その残りの粒子系材料と混合するステップと、
押出成形可能なバッチを提供するように結合剤及び液体を含む添加物に前記前駆体を混合するステップと、
前記押出成形可能なバッチをグリーンハニカム形状体に押出加工するステップと、
全ての前記液体を除去するように前記グリーンハニカム形状体を乾燥させるステップと、
全ての前記結合剤を除去するように前記グリーンハニカム形状体を加熱するステップと、
前記前駆体を所望の複合材料に反応形成させるように前記グリーンハニカム形状体を焼結させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記ファイバー材料がアルミナファイバー、アルミノケイ酸ファイバー及びムライトファイバーの少なくとも1つを含み、前記複合材料がチタン酸アルミニウムであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子系材料は二酸化チタン及びアルミナの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記添加物はポア形成剤をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ファイバー材料がカーボンファイバーを含み、前記複合材料が炭化ケイ素であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ファイバー材料がアルミナ、シリカ、アルミノケイ酸、ムライト及びアルミノケイ酸マグネシウムの少なくとも1つを含み、前記複合材料がコーディエライトであることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−514966(P2013−514966A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546082(P2012−546082)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061031
【国際公開番号】WO2011/084688
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(507280435)ジーイーオー2 テクノロジーズ,インク. (12)
【Fターム(参考)】