説明

ファクシミリ装置

【課題】配信先が停止している時に受信した画像データを配信先に配信することができるファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置は、送信元から画像データを受信し、画像データを配信先に配信するファクシミリ装置であって、配信先への配信が可能である場合、送信元からメールサーバを経由して自機宛メールを受信することにより、自機宛メールに含まれる画像データを受信し、配信先への配信が可能でない場合、自機宛メールを受信しない第1受信部と、送信元からメールサーバを経由しないで画像データを受信する第2受信部と、配信先への配信が可能でない場合、第2受信部が受信した画像データを自機宛メールとしてメールサーバに転送する転送部と、配信先への配信が可能である場合、第1受信部および第2受信部が受信した画像データを配信先に配信する配信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信元から画像データを受信して、受信した画像データを配信先に配信するファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ装置において、多くの技術が用いられている。
【0003】
このような技術の一つに、インターネットファクシミリがある。インターネットファクシミリとは、画像データを電子メール(以下、「メール」と呼ぶ)として送受信する技術のことである。インターネットファクシミリを利用することにより、通信費が抑制される。
【0004】
インターネットファクシミリを利用するファクシミリ装置として、例えば、特許文献1に記載されたファクシミリ装置がある。特許文献1に記載されたファクシミリ装置は、POP(Post Office Protocol)を用いて、画像データを含むメールを受信する。
【0005】
さらに、インターネットファクシミリを応用した技術に、ダイレクトSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)がある。ダイレクトSMTPとは、メールサーバを経由しないで、直接、画像データを送受信する技術のことである。ダイレクトSMTPを利用することにより、リアルタイムの通信が可能になる。ダイレクトSMTPを利用するファクシミリ装置として、例えば、特許文献2に記載されたファクシミリ装置がある。
【0006】
また、LAN(Local Area Network)を介してファクシミリ装置に接続されたコンピュータ等である配信先に、受信した画像データを配信するファクシミリ装置がある。これにより、受信した画像データが、所望の配信先に電子ファイルとして保管される。したがって、受信した画像データの管理が容易になる。
【0007】
そして、ファクシミリ装置のユーザは、このように配信された画像データを電子ファイルとして、コンピュータ等を介して閲覧することができる。そのため、紙による出力が不要になる。これにより、ファクシミリ装置は、ペーパーレス化を促進させることができ、環境保全対策にも有用である。このようなファクシミリ装置として、例えば、特許文献3に記載されたファクシミリ装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−036323号公報
【特許文献2】特開2007−208712号公報
【特許文献3】特開2002−271538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、送信元から画像データを受信して配信先に配信するファクシミリ装置は、配信先であるコンピュータ等が停止している場合、受信した画像データを配信先に配信することができない。
【0010】
このような場合、ファクシミリ装置は、配信先への配信が可能になるまで、受信した画像データを維持しなければならない。そのため、ファクシミリ装置は、維持している画像データを管理するための機能が必要になる。画像データを管理するための機能は、ファクシミリ装置の構造を複雑にさせ、ユーザの操作も煩雑にさせる。
【0011】
このような複雑な構造および煩雑な操作を避けるため、ファクシミリ装置は、受信した画像データを紙に印刷して出力する場合がある。しかし、この場合、ペーパーレス化による効果が低減される。また、印刷された紙を電子データとして管理するためには、ユーザは、印刷された紙をスキャナ等で電子化しなければならない。さらに、ユーザは、電子データを所望の配信先に格納する等、煩雑な作業を行わなければならない。
【0012】
そこで、本発明は、配信先が停止している時に受信した画像データを配信先に配信することができるファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係るファクシミリ装置は、送信元から画像データを受信し、前記画像データを配信先に配信するファクシミリ装置であって、前記配信先への配信が可能である場合、前記送信元からメールサーバを経由して自機宛メールを受信することにより、前記自機宛メールに含まれる前記画像データを受信し、前記配信先への配信が可能でない場合、前記自機宛メールを受信しない第1受信部と、前記送信元から前記メールサーバを経由しないで前記画像データを受信する第2受信部と、前記配信先への配信が可能でない場合、前記第2受信部が受信した前記画像データを前記自機宛メールとして前記メールサーバに転送する転送部と、前記配信先への配信が可能である場合、前記第1受信部および前記第2受信部が受信した前記画像データを前記配信先に配信する配信部とを備える。
【0014】
これにより、配信先が停止している時に受信した画像データが、配信先に配信される。また、ファクシミリ装置は、配信先が停止している時に受信した画像データを維持する必要がない。
【0015】
また、前記転送部は、前記配信先を決定するための情報である転送情報を前記自機宛メールに付加して転送し、前記配信部は、前記第1受信部が受信した前記自機宛メールに前記転送情報が付加されている場合、前記転送情報を用いて前記配信先を決定し、前記第1受信部が受信した前記画像データを前記配信先に配信してもよい。
【0016】
これにより、配信先が停止している時に受信した画像データが、最初に受信した時の受信情報に基づいて、所望の配信先に配信される。
【0017】
また、前記転送部は、送信元ファクシミリ番号、差出人メールアドレス、メールタイトルおよび配信先アドレスのうちいずれかを含む情報を前記転送情報として前記自機宛メールに付加して転送してもよい。
【0018】
これにより、ファクシミリ装置は、配信先を決定することができる。
【0019】
また、前記転送部は、前記転送情報を前記自機宛メールのヘッダに付加して転送してもよい。
【0020】
これにより、ファクシミリ装置は、自機宛メールのヘッダに基づいて、転送された画像データであるか否かを判断することができる。
【0021】
また、前記転送部は、前記転送情報を前記自機宛メールの本文に付加して転送してもよい。
【0022】
これにより、ファクシミリ装置は、複雑な処理を伴わずに、配信先を決定するための情報をメールに付加することができる。
【0023】
また、前記転送部は、前記転送情報を前記自機宛メールの添付ファイルとして付加して転送してもよい。
【0024】
これにより、ファクシミリ装置は、配信先を決定するための情報を容易に抽出することができる。
【0025】
また、前記第1受信部は、複数の配信先候補のうちいずれの配信先への配信も可能である場合、前記自機宛メールを受信し、前記複数の配信先候補のうちいずれかの配信先への配信が可能でない場合、前記自機宛メールの受信を停止し、前記配信部は、前記複数の配信先候補のうちいずれの配信先への配信も可能である場合、前記複数の配信先候補から前記配信先を決定し、前記第1受信部および前記第2受信部が受信した前記画像データを前記配信先に配信し、前記転送部は、前記複数の配信先候補のうちいずれかの配信先への配信が可能でない場合、前記第2受信部が受信した前記画像データを前記自機宛メールとして前記メールサーバに転送してもよい。
【0026】
これにより、複数の配信先候補がある場合であっても、画像データが、所望の配信先に配信される。
【0027】
また、前記配信部は、前記第1受信部が受信した前記画像データを配信する前記配信先を前記自機宛メールのヘッダにより決定し、前記第1受信部は、前記自機宛メールの前記ヘッダを受信し、前記ヘッダによって決定される前記配信先への配信が可能である場合、前記自機宛メールを受信し、前記配信先への配信が可能でない場合、前記自機宛メールを受信しなくてもよい。
【0028】
これにより、ファクシミリ装置は、複数の配信先候補のうち一部の配信先への配信が可能でない場合の影響を低減させることができる。
【0029】
また、前記第1受信部は、POPにより前記自機宛メールを受信し、前記第2受信部は、前記送信元から電話網経由による前記画像データの受信、および、前記送信元から前記メールサーバを経由しないダイレクトSMTPによる前記画像データの受信のうち、少なくとも一方により前記画像データを受信してもよい。
【0030】
これにより、配信先が停止している場合、ファクシミリ装置は、ダイレクトSMTPまたは電話網によって受信された画像データを自機宛メールとして転送する。そして、ファクシミリ装置は、配信先が停止している時、POPによるメールの受信を停止するため、配信先が停止している時に受信した画像データを維持しなくてよい。そして、配信先が再開した時、ファクシミリ装置は、POPによるメールの受信を再開するため、配信先が停止している時に受信した画像データを配信先に配信することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、配信先が停止している時に受信した画像データを配信先に配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、実施の形態1におけるファクシミリ装置の概要を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1におけるファクシミリ装置の構造を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1におけるファクシミリ装置の特徴的な構成要素を示す図である。
【図4A】図4Aは、実施の形態1において、配信が可能である場合のデータの流れを示す図である。
【図4B】図4Bは、実施の形態1において、配信が可能でない場合のデータの流れを示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1におけるファクシミリ装置の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態1におけるファクシミリ装置の配信処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、実施の形態1におけるファクシミリ装置の動作の概要を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態2におけるファクシミリ装置の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施の形態2におけるファクシミリ装置の配信処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施の形態1)
まず、本発明に係る実施の形態1について、図面を用いて説明する。
【0034】
図1は、実施の形態1におけるファクシミリ装置の概要を示す図である。
【0035】
図1に示されたファクシミリ装置10は、送信元11によって送信された画像データを受信するファクシミリ装置である。画像データには、図形および文字等が含まれる。ファクシミリ装置10は、PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆回線交換電話網)14およびインターネット15に接続されている。また、ファクシミリ装置10は、配信先12に接続するためのネットワークであるLAN16にも接続されている。
【0036】
送信元11は、ファクシミリ装置10に画像データを送信する装置であって、例えば、ファクシミリ装置、複合機またはコンピュータ等である。送信元11は、PSTN14およびインターネット15に接続されている。なお、送信元11は、PSTN14およびインターネット15の両方ではなく、いずれか一方に接続されていてもよい。
【0037】
配信先12は、ファクシミリ装置10によって配信された画像データを受け取って、記憶するための装置であって、例えば、コンピュータまたは記憶装置等である。配信先12は、LAN16を介して、ファクシミリ装置10に接続されている。
【0038】
メールサーバ13は、メールを送受信するためのサーバであって、インターネット15に接続されている。
【0039】
ここで、送信元11からファクシミリ装置10への画像データの送信には、通常のファクシミリ送信、メールサーバ13を経由するインターネットファクシミリ送信、および、メールサーバ13を経由しないインターネットファクシミリ送信がある。
【0040】
通常のファクシミリ送信が用いられる場合、送信元11は、PSTN14を介して、画像データをファクシミリ装置10に送信する。そして、ファクシミリ装置10は、PSTN14を介して、画像データを送信元11から受信する。
【0041】
メールサーバ13を経由するインターネットファクシミリ送信が用いられる場合、送信元11は、インターネット15を介して、ファクシミリ装置10宛のメールをメールサーバ13に送信する。メールサーバ13は、送信元11が送信したメールを受信する。そして、メールサーバ13は、ファクシミリ装置10からの要求に応じて、ファクシミリ装置10宛のメールをファクシミリ装置10に送信する。
【0042】
メールサーバ13を経由しないインターネットファクシミリ送信が用いられる場合、送信元11は、インターネット15を介して、メールサーバ13を経由しないで、画像データをファクシミリ装置10に送信する。このとき、送信元11は、ダイレクトSMTPによって、ファクシミリ装置10と直接通信する。そして、ファクシミリ装置10は、インターネット15を介して、メールサーバ13を経由しないで、画像データを送信元11から受信する。
【0043】
そして、ファクシミリ装置10は、受信した画像データを配信先12に配信する。配信先12は、例えば、送信元11のファクシミリ番号である送信元ファクシミリ番号、送信元11のメールアドレスである差出人メールアドレス、および、メールタイトル等の受信情報によって決定される。配信先12は、予め定められていてもよい。
【0044】
図1に示されたように、ファクシミリ装置10は、各機器に接続され、送信元11から画像データを受信し、受信した画像データを配信先12に配信する。
【0045】
なお、図1において、1個の送信元11が示されているが、複数の送信元があってもよい。また、図1において、2個の配信先12が示されているが、1個の配信先または3個以上の配信先があってもよい。
【0046】
また、LAN16は、インターネット15に接続されていてもよい。この場合、ファクシミリ装置10は、LAN16を介して、インターネット15に接続されていてもよい。また、この場合、メールサーバ13は、LAN16を介して、インターネット15に接続されていてもよい。
【0047】
図2は、図1に示されたファクシミリ装置10の構造を示す図である。
【0048】
ファクシミリ装置10は、処理部として、CPU(Central Processing Unit)21を備える。また、ファクシミリ装置10は、記憶部として、ROM(Read Only Memory)22、および、RAM(Random Access Memory)24を備える。
【0049】
また、ファクシミリ装置10は、通信部として、モデム26、NCU(Network Control Unit)27、および、LANインタフェース32を備える。また、ファクシミリ装置10は、入出力インタフェースとして、操作パネル28、ディスプレイ29、スキャナ30、および、プリンタ31を備える。
【0050】
また、ROM22には、制御プログラム23が記憶されている。そして、RAM24には、配信先情報25が記憶されている。
【0051】
CPU21は、ROM22に記憶された制御プログラム23等を実行するプロセッサである。
【0052】
ROM22は、制御プログラム23等を保持する読み出し専用メモリである。
【0053】
RAM24は、揮発性の記憶領域等を有する読み書き可能なメモリである。RAM24は、CPU21が制御プログラム23等を実行する時に、ワークエリアとして使用される。また、RAM24は、配信先情報25を保持している。配信先情報25は、送信元ファクシミリ番号、差出人メールアドレス、および、メールタイトル等によって配信先12を決定するための設定情報である。配信先情報25は、予め定められた配信先12の情報であってもよい。
【0054】
モデム26は、外部へ送信する画像データを変調し、外部から送信された画像データを復調する装置である。
【0055】
NCU27は、PSTN14に接続される回線終端装置である。
【0056】
操作パネル28は、直接、ユーザがファクシミリ装置10に指示をする時に用いられる入力インタフェース装置である。
【0057】
ディスプレイ29は、ユーザに動作状態を示すための液晶表示装置等である。
【0058】
スキャナ30は、原稿を読み取って、画像データを生成する画像読み取り装置である。
【0059】
プリンタ31は、印刷装置であり、受信した画像データを印刷して出力する。
【0060】
LANインタフェース32は、LANインタフェースカード等であり、データの送受信を行う通信インタフェース装置である。LANインタフェース32は、LAN16、および、インターネット15に接続される。
【0061】
図3は、図1に示されたファクシミリ装置10の特徴的な構成要素を示す図である。
【0062】
図3に示されたファクシミリ装置10は、第1受信部51と第2受信部52と配信部53と転送部54とを備える。
【0063】
第1受信部51は、図2に示されたCPU21、LANインタフェース32等によって実現される受信処理部である。第1受信部51は、メールサーバ13から自機宛メールを取得する。
【0064】
これにより、第1受信部51は、送信元11からメールサーバ13を経由してファクシミリ装置10宛のメールである自機宛メールを画像データとして受信する。すなわち、第1受信部51は、メールサーバ13を経由するインターネットファクシミリ送信を用いて送信された画像データを受信する。なお、第1受信部51は、典型的には、POPを用いて、自機宛メールを受信する。また、第1受信部51は、配信先12への配信が可能でない場合、自機宛メールの受信を停止する。
【0065】
第2受信部52は、図2に示されたCPU21、モデム26、NCU27およびLANインタフェース32等によって実現される受信処理部である。第2受信部52は、送信元11からメールサーバ13を経由しないで画像データを受信する。すなわち、第2受信部52は、通常のファクシミリ送信、または、メールサーバ13を経由しないインターネットファクシミリ送信を用いて送信された画像データを受信する。
【0066】
配信部53は、図2に示されたCPU21、LANインタフェース32等によって実現される送信処理部である。配信部53は、配信先情報25および受信情報を用いて、複数の配信先候補から配信先12を決定する。また、配信部53は、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する。そして、配信部53は、配信先12への配信が可能である場合、第1受信部51および第2受信部52によって受信された画像データを配信先12に配信する。
【0067】
転送部54は、図2に示されたCPU21、LANインタフェース32等によって実現される送信処理部である。転送部54は、配信先12への配信が可能でない場合、第2受信部52が受信した画像データを自機宛メールとしてメールサーバ13に転送する。転送部54は、複数の機器を介して、画像データを自機宛メールとしてメールサーバ13に転送してもよい。例えば、転送部54は、メール送信用のサーバを経由して、画像データを自機宛メールとしてメールサーバ13に転送する。
【0068】
図4Aは、図3に示されたファクシミリ装置10において、配信が可能である場合のデータの流れを示す図である。
【0069】
第1受信部51および第2受信部52は、送信元11から画像データを受信する。
【0070】
配信部53は、第1受信部51および第2受信部52によって受信された画像データを配信先12に配信する。
【0071】
図4Bは、図3に示されたファクシミリ装置10において、配信が可能でない場合のデータの流れを示す図である。
【0072】
配信が可能でない場合、第1受信部51は、メールサーバ13から自機宛メールの取得を停止する。すなわち、第1受信部51は、画像データを受信しない。
【0073】
一方、第2受信部52は、メールサーバ13を経由しないで、送信元11から、直接、画像データを受信する。このとき、第2受信部52が受信を停止した場合、送信元11が画像データの送信に失敗し、送信元11のユーザは再送信しなければならなくなる。そのため、第2受信部52は、配信が可能でない場合も、画像データの受信を停止しない。
【0074】
そして、転送部54は、第2受信部52によって受信された画像データを自機宛メールとして、メールサーバ13に転送する。
【0075】
このようにして、ファクシミリ装置10は、配信が可能である場合、配信先12へ画像データを配信し、配信が可能でない場合、自機宛メールとして画像データをメールサーバ13に転送する。これにより、ファクシミリ装置10は、配信が可能でないときに受信した画像データを維持および管理しなくてもよい。転送された自機宛メールは、配信が可能になった後に、第1受信部51によって受信される。
【0076】
図5は、図3に示されたファクシミリ装置10の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
まず、第1受信部51は、所定の時間を経過しているか否かを判定する(S11)。
【0078】
ここで、第1受信部51は、所定の時間を経過していない場合(S11でNo)、再度、所定の時間を経過しているか否かを判定する(S11)。これにより、第1受信部51は、所定の時間を経過するまで、処理を待機する。
【0079】
一方、所定の時間を経過している場合(S11でYes)、配信部53は、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する(S12)。配信部53は、例えば、配信先12に接続を試行することによって、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する。また、複数の配信先候補がある場合であって、複数の配信先候補のうちいずれかへの配信が可能でない場合、配信部53は、配信先12への配信が可能でないと判定してもよい。
【0080】
ここで、配信が可能である場合(S12でYes)、第1受信部51は、メールサーバ13から自機宛メールを受信する(S13)。これにより、第1受信部51は、送信元11からメールサーバ13を経由して画像データを受信する。一方、配信が可能でない場合(S12でNo)、第1受信部51は、画像データを受信しない。
【0081】
次に、第1受信部51は、所定の時間をリセットする(S14)。そして、再度、第1受信部51は、所定の時間を経過しているか否かを判定する(S11)。つまり、再度、第1受信部51は、所定の時間を経過するまで、処理を待機する。
【0082】
これにより、第1受信部51は、配信先12への配信が可能である場合、送信元11からメールサーバ13を経由して画像データを含む自機宛メールを受信し、配信先12への配信が可能でない場合、自機宛メールを受信しない。なお、第2受信部52は、配信先12への配信が可能であるか否かに関わらず、送信元11からメールサーバ13を経由しないで画像データを受信する。
【0083】
図6は、図3に示されたファクシミリ装置10の配信処理の流れを示すフローチャートである。
【0084】
まず、配信部53は、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する(S21)。配信部53は、例えば、配信先12に接続を試行することによって、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する。また、複数の配信先候補がある場合であって、複数の配信先候補のうちいずれかへの配信が可能でない場合、配信部53は、配信先12への配信が可能でないと判定してもよい。
【0085】
ここで、配信が可能でない場合(S21でNo)、転送部54は、受信された画像データを自機宛メールとしてメールサーバ13に転送する(S26)。転送部54は、転送する時に、転送情報をメールの本文またはヘッダに付加する。転送情報は、最初に受信した時における、送信元ファクシミリ番号、差出人メールアドレスまたはメールタイトル等であって、配信先12を決定するための情報である。これにより、配信が可能になった後、転送情報に基づいて、画像データが配信される。
【0086】
転送情報は、配信先12へ配信するための宛先情報である配信先アドレスであってもよい。すなわち、配信部53が受信情報によって配信先12を決定した後、転送部54が、決定された配信先12の情報を自機宛メールに付加して、自機宛メールを転送してもよい。
【0087】
一方、配信が可能である場合(S21でYes)、配信部53は、画像データが第2受信部52によって受信された画像データであるか否かを判定する(S22)。ここで、画像データが、第2受信部52によって受信されていた場合(S22でNo)、つまり、第1受信部51によって自機宛メールとして受信されていた場合、配信部53は、自機宛メールに転送情報が付加されているか否かを判定する(S23)。
【0088】
ここで、画像データが第2受信部52によって受信されていた場合(S22でYes)、または、転送情報が付加されていなかった場合(S23でNo)、配信部53は、通常通り、受信情報に基づいて、配信先12に画像データを配信する(S24)。
【0089】
一方、画像データが第2受信部52によって受信されていなかった場合(S22でNo)、かつ、転送情報が付加されていた場合(S23でYes)、配信部53は、転送情報に基づいて、配信先12に画像データを配信する(S25)。これにより、最初に受信した時における、送信元ファクシミリ番号、差出人メールアドレスまたはメールタイトル等、あるいは、転送前に決定された配信先アドレスに基づいて、画像データが配信される。
【0090】
以上により、配信先12が停止している時に受信された画像データが、配信先12への配信が可能になった後、配信先12に配信される。
【0091】
図7は、図1に示されたファクシミリ装置10の動作の概要を示す図である。
【0092】
ファクシミリ装置10は、送信元11から画像データを受信する。
【0093】
配信が可能でない場合、ファクシミリ装置10は、メールサーバ13からの自機宛メールの受信を停止する。そして、ファクシミリ装置10は、受信した画像データを自機宛メールとしてメールサーバ13に転送する。この時、ファクシミリ装置10は、配信先12を決定するための転送情報を自機宛メールに付加する。
【0094】
そして、配信が可能になった後、ファクシミリ装置10は、画像データをメールサーバ13から自機宛メールとして受信する。そして、ファクシミリ装置10は、受信した画像データを配信先12に配信する。この時、配信先12は、転送情報に基づいて決定される。
【0095】
これにより、ファクシミリ装置10は、配信先12が停止している時に受信した画像データを配信先12に配信することができる。
【0096】
なお、実施の形態1では、配信部53が、受信情報等に基づいて、配信先12を決定しているが、他の処理部が、配信先12を決定してもよい。また、実施の形態1では、配信部53が、配信が可能であるか否かを判定しているが、他の処理部が、配信が可能であるか否かを判定してもよい。また、独立した制御部が、これらの処理を行ってもよい。
【0097】
また、配信先12の宛先が、予め定められており、最初に受信した時の受信情報によって変わらない場合、転送部54は、転送情報を自機宛メールに付加しなくてもよい。
【0098】
また、実施の形態1では、第2受信部52は、通常のファクシミリ送信、および、ダイレクトSMTPによるインターネットファクシミリ送信によって送信された画像データを受信している。しかし、第2受信部52は、通常のファクシミリ送信、および、ダイレクトSMTPによるインターネットファクシミリ送信のうちいずれか一方のみに対応する構成であってもよい。
【0099】
また、配信先12は、ファクシミリ装置10が最初に画像データを受信した受信日時、または、送信元11が画像データを送信した送信日時によって決定されてもよい。このような受信日時または送信日時が、転送情報に含まれてもよい。
【0100】
また、上述の通り、転送部54は、メールのメッセージ部分である本文に、転送情報を付加して転送してもよい。この場合、転送部54は、複雑な処理を伴わずに、転送情報を付加することができる。また、転送部54は、メールの添付ファイルとして、転送情報を付加してもよい。これにより、メールに付加された転送情報の抽出が容易になる。
【0101】
また、複数の配信先候補が、1つのコンピュータ内のそれぞれ異なるフォルダである場合がある。このような場合、配信部53は、その1つのコンピュータに接続できるか否かを確認することにより、配信先12への配信が可能であるか否かを判定してもよい。
【0102】
(実施の形態2)
次に、本発明に係る実施の形態2について、図面を用いて説明する。
【0103】
実施の形態2におけるファクシミリ装置の構成は、図2および図3に示されたファクシミリ装置10の構成と同様である。実施の形態1におけるファクシミリ装置10は、配信が可能でない時、配信、および、第1受信部51による受信を停止しているが、実施の形態2におけるファクシミリ装置10は、配信、および、第1受信部51による受信を部分的に停止する。
【0104】
図8は、実施の形態2におけるファクシミリ装置10の受信処理の流れを示すフローチャートである。
【0105】
まず、第1受信部51は、所定の時間を経過しているか否かを判定する(S31)。
【0106】
ここで、第1受信部51は、所定の時間を経過していない場合(S31でNo)、再度、所定の時間を経過しているか否かを判定する(S31)。これにより、第1受信部51は、所定の時間を経過するまで、処理を待機する。
【0107】
一方、所定の時間を経過している場合(S31でYes)、第1受信部51は、自機宛メールのヘッダを受信する(S32)。
【0108】
次に、配信部53は、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する(S33)。配信先12は、自機宛メールのヘッダにより、決定される。配信部53は、例えば、配信先12に接続を試行することによって、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する。
【0109】
ここで、配信が可能である場合(S33でYes)、第1受信部51は、メールサーバ13から自機宛メールを受信する(S34)。これにより、第1受信部51は、送信元11からメールサーバ13を経由して画像データを受信する。一方、配信が可能でない場合(S33でNo)、第1受信部51は、画像データを受信しない。
【0110】
次に、第1受信部51は、所定の時間をリセットする(S35)。そして、再度、第1受信部51は、所定の時間を経過しているか否かを判定する(S31)。つまり、再度、第1受信部51は、所定の時間を経過するまで、処理を待機する。
【0111】
これにより、第1受信部51は、配信が可能である配信先への画像データを受信し、配信が可能でない配信先への画像データを受信しない。例えば、2つの配信先があって、一方の配信先への配信が可能であって、他方の配信先への配信は可能でない場合がある。このような場合、ファクシミリ装置10は、配信が可能でない配信先への画像データの受信のみを停止することにより、配信先の停止による影響を低減させることができる。
【0112】
図9は、実施の形態2におけるファクシミリ装置10の配信処理の流れを示すフローチャートである。
【0113】
まず、配信部53は、画像データが第2受信部52によって受信された画像データであるか否かを判定する(S41)。
【0114】
ここで、画像データが第2受信部52によって受信されていた場合(S41でYes)、配信部53は、受信情報を用いて配信先12を決定する(S42)。受信情報は、受信時の送信元ファクシミリ番号、差出人メールアドレスおよびメールタイトル等の情報である。
【0115】
一方、画像データが第2受信部52によって受信されていなかった場合(S41でNo)、つまり、第1受信部51によって自機宛メールとして受信されていた場合、配信部53は、自機宛メールのヘッダに転送情報が付加されているか否かを判定する(S43)。
【0116】
ここで、転送情報が付加されている場合(S43でYes)、配信部53は、自機宛メールのヘッダに含まれる転送情報に基づいて、配信先12を決定する(S44)。
【0117】
一方、転送情報が付加されていない場合(S43でNo)、配信部53は、自機宛メールのヘッダに含まれる受信情報に基づいて、配信先12を決定する(S45)。ここで、受信情報は、差出人メールアドレスおよびメールタイトル等の情報である。
【0118】
次に、配信部53は、決定した配信先12への配信が可能であるか否かを判定する(S46)。配信部53は、例えば、配信先12に接続を試行することによって、配信先12への配信が可能であるか否かを判定する。
【0119】
なお、図8に示された通り、第1受信部51は、配信が可能である画像データを受信している。したがって、ここでの判定(S46)は、実質的に、画像データが第2受信部52によって受信されていた場合を対象とする。また、画像データが第1受信部51によって受信されていた場合、配信部53は、ここでの判定(S46)において、配信が可能であると判定してもよい。
【0120】
ここで、配信が可能である場合(S46でYes)、配信部53は、決定した配信先12に画像データを配信する(S47)。
【0121】
一方、配信が可能でない場合(S46でNo)、転送部54は、画像データを自機宛メールとしてメールサーバ13に転送する(S48)。転送部54は、転送する時に、転送情報をメールのヘッダに付加する。転送情報は、最初に受信した時における、送信元ファクシミリ番号、差出人メールアドレスまたはメールタイトル等の受信情報であって、配信先12を決定するための情報である。転送情報は、配信先12へ配信するための宛先情報である配信先アドレスであってもよい。
【0122】
転送部54は、規定により定められるヘッダに転送情報を付加してもよいし、拡張されたヘッダに付加してもよい。
【0123】
これにより、画像データは、配信先12への配信が可能になった後、配信先12に配信される。
【0124】
以上に示されたように、実施の形態2におけるファクシミリ装置10は、配信が可能でない場合、画像データを自機宛メールとしてメールサーバ13に転送する。さらに、ファクシミリ装置10は、メールのヘッダにより、受信を制御する。そして、ファクシミリ装置10は、配信が可能である画像データを配信先12へ配信し、配信が可能でない画像データをメールサーバに蓄積させる。これにより、ファクシミリ装置10は、複数の配信先候補のうち、一部の配信先が停止していることによって発生する影響を低減させる。
【0125】
以上、本発明に係るファクシミリ装置について、実施の形態1および実施の形態2に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。これらの実施の形態に対して当業者が思いつく変形を施して得られる別の形態も本発明に含まれる。また、これらの実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
【0126】
また、本発明は、ファクシミリ装置として実現できるだけでなく、ファクシミリ装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現できる。そして、本発明は、それらの方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記憶したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係るファクシミリ装置は、配信先が停止している時に受信した画像データを配信先に配信することができ、例えば、複合機等に適用できる。
【符号の説明】
【0128】
10 ファクシミリ装置
11 送信元
12 配信先
13 メールサーバ
14 PSTN
15 インターネット
16 LAN
21 CPU
22 ROM
23 制御プログラム
24 RAM
25 配信先情報
26 モデム
27 NCU
28 操作パネル
29 ディスプレイ
30 スキャナ
31 プリンタ
32 LANインタフェース
51 第1受信部
52 第2受信部
53 配信部
54 転送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元から画像データを受信し、前記画像データを配信先に配信するファクシミリ装置であって、
前記配信先への配信が可能である場合、前記送信元からメールサーバを経由して自機宛メールを受信することにより、前記自機宛メールに含まれる前記画像データを受信し、前記配信先への配信が可能でない場合、前記自機宛メールを受信しない第1受信部と、
前記送信元から前記メールサーバを経由しないで前記画像データを受信する第2受信部と、
前記配信先への配信が可能でない場合、前記第2受信部が受信した前記画像データを前記自機宛メールとして前記メールサーバに転送する転送部と、
前記配信先への配信が可能である場合、前記第1受信部および前記第2受信部が受信した前記画像データを前記配信先に配信する配信部とを備える
ファクシミリ装置。
【請求項2】
前記転送部は、前記配信先を決定するための情報である転送情報を前記自機宛メールに付加して転送し、
前記配信部は、前記第1受信部が受信した前記自機宛メールに前記転送情報が付加されている場合、前記転送情報を用いて前記配信先を決定し、前記第1受信部が受信した前記画像データを前記配信先に配信する
請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記転送部は、送信元ファクシミリ番号、差出人メールアドレス、メールタイトルおよび配信先アドレスのうちいずれかを含む情報を前記転送情報として前記自機宛メールに付加して転送する
請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記転送部は、前記転送情報を前記自機宛メールのヘッダに付加して転送する
請求項2または請求項3に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記転送部は、前記転送情報を前記自機宛メールの本文に付加して転送する
請求項2または請求項3に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記転送部は、前記転送情報を前記自機宛メールの添付ファイルとして付加して転送する
請求項2または請求項3に記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
前記第1受信部は、複数の配信先候補のうちいずれの配信先への配信も可能である場合、前記自機宛メールを受信し、前記複数の配信先候補のうちいずれかの配信先への配信が可能でない場合、前記自機宛メールの受信を停止し、
前記配信部は、前記複数の配信先候補のうちいずれの配信先への配信も可能である場合、前記複数の配信先候補から前記配信先を決定し、前記第1受信部および前記第2受信部が受信した前記画像データを前記配信先に配信し、
前記転送部は、前記複数の配信先候補のうちいずれかの配信先への配信が可能でない場合、前記第2受信部が受信した前記画像データを前記自機宛メールとして前記メールサーバに転送する
請求項1〜6のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項8】
前記配信部は、前記第1受信部が受信した前記画像データを配信する前記配信先を前記自機宛メールのヘッダにより決定し、
前記第1受信部は、前記自機宛メールの前記ヘッダを受信し、前記ヘッダによって決定される前記配信先への配信が可能である場合、前記自機宛メールを受信し、前記配信先への配信が可能でない場合、前記自機宛メールを受信しない
請求項1〜4のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項9】
前記第1受信部は、POPにより前記自機宛メールを受信し、
前記第2受信部は、前記送信元から電話網経由による前記画像データの受信、および、前記送信元から前記メールサーバを経由しないダイレクトSMTPによる前記画像データの受信のうち、少なくとも一方により前記画像データを受信する
請求項1〜8のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−223279(P2011−223279A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89880(P2010−89880)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】