説明

ファクシミリ装置

【課題】非取引先から受信した画像は、要否を確認して、印刷するか否かを選べるようにしたファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置に、受信した電話番号が記憶されている電話番号と一致するときは、受信した画像を直ちに印刷し、受信した電話番号が記憶されている電話番号と一致しないときは、受信した画像を直ちに印刷せずに、印刷を保留している旨を報知し、その後、表示指令を入力された時はその印刷保留している画像を表示手段に表示するとともに、印刷指令を入力された時はその印刷保留している画像を印刷し、消去指令を入力された時はその印刷保留している画像を消去する制御手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置の改良、とくに省資源を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファクシミリ装置は、送信されてきた画像を、その送信元がどこであろうと、全て記録紙に印刷していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、送信元は、取引先であることが圧倒的に多いが、取引先でない(非取引先である)場合もある。取引先から受信する画像は、基本的に印刷が必要なものであるが、非取引先から受信する画像には、有用なものと不要なものがあり、どちらかといえば不要なものの方が多い。
【0004】
しかし、従来は、送信元を問わず、受信する画像を全て印刷していたので、取引に無関係な不要な画像については、電力、記録紙及びインクを無駄に消費していた。また、印刷した不要な記録紙の廃棄にも、手間とコストがかかり、不経済であった。(先行技術文献は特にない。)
【0005】
本発明は、上記の問題を解消するためになされたものであり、その目的は、非取引先から受信した画像は、要否を確認して、印刷するか否かを選べるようにしたファクシミリ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、ファクシミリ装置に、受信した電話番号が記憶されている電話番号と一致するときは、受信した画像を直ちに印刷し、受信した電話番号が記憶されている電話番号と一致しないときは、受信した画像を直ちに印刷せずに、印刷を保留している旨を報知し、その後、表示指令を入力された時はその印刷保留している画像を表示手段に表示するとともに、印刷指令を入力された時はその印刷保留している画像を印刷し、消去指令を入力された時はその印刷保留している画像を消去する制御手段を備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、(a)取引先のファクシミリ送信用電話番号(以下、FAX番号という。)を記憶する第1記憶手段と、(b)受信したFAX番号及び画像データを一時記憶する第2記憶手段と、(c)受信したFAX番号が第1記憶手段に記憶されているFAX番号と一致するか否かを調べる照合手段と、(d)後記印刷保留がされた場合には、その旨を報知する報知手段と、(e)後記印刷保留をされた画像の少なくとも要部を表示する表示手段と、(f)その印刷保留をされた画像を、表示させるための表示指令、印刷させるための印刷指令又は消去させるための消去指令を入力する操作手段と、(g)受信したFAX番号が第1記憶手段に記憶されているFAX番号と一致するときは、直ちにその画像を印刷手段に印刷させ、受信したFAX番号が第1記憶手段に記憶されているFAX番号と一致しないときは、その画像を印刷手段に印刷させずに、印刷保留されている旨を報知手段に報知させ、表示指令を入力された時はその印刷保留されている画像を表示手段に表示させ、印刷指令を入力された時はその印刷保留されている画像を印刷手段に印刷させ、消去指令を入力された時はその印刷保留されている画像を消去させる制御手段とを、ファクシミリ装置に備えたことを特徴としている(請求項2)。
【0008】
報知手段は、印刷保留された画像に係るFAX番号を受信した順序で表示するものであることを特徴としている(請求項3)。
【0009】
制御手段は、第2記憶手段に一時記憶されたFAX番号及び画像データを、取引先からの画像が印刷されたとき、非取引先からの画像が印刷指令入力に基づき印刷されたとき又は消去指令が入力された時に、消去させることを特徴としている(請求項4)。
ここで、取引先とは記憶手段にFAX番号が登録されている送信先をいい、非取引先とは記憶手段にFAX番号が登録されていない送信先をいう。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項2の発明によれば、取引先から受信した画像は直ちに印刷され、非取引先から受信した画像は、直ちに印刷されずに、印刷を保留され、保留された旨が報知される。従って、印刷が保留された画像があることを知ることができる。そして、表示指令入力操作をすることで、その画像内容を表示させて、印刷の要否を判断することができる。また、印刷指令入力操作をして印刷させるか、消去指令入力操作をして消去させることができる。従って、不要な画像の印刷による電力、記録紙及びインクの無駄な消費を回避し、省資源効果を発揮することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、非取引先から受信した画像を受信した順序で確認することができるから、時系列で受信内容の確認ができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、第2記憶手段の記憶容量が受信する画像情報で満杯になり、消滅することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るファクシミリ装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】表示手段及び操作手段の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の要部の動作流れを示す簡略フローチャートである。
【図4】本発明に係るファクシミリ装置の全体の作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明に係るファクシミリ装置は、ファクシミリ機能のみでコピー機能を有しないものでも良いが、以下には、ファクシミリ機能とコピー機能を有する複合機の例について説明する。
【0015】
本発明に係るファクシミリ装置は、図1に示すように、操作部1、読取部2、送受信部3、記憶部4、表示部5、印刷部6及び制御部7を有する。以下、各部について順次詳細に説明する。
【0016】
操作手段に相当する操作部1は、図2の右側に示すように、一例として押すことにより所定の電気信号を出力するタッチパネルで構成され、このファクシミリ装置の稼動モードをコピーモードに設定するためのコピーモード指定キー11と、送信FAXモードに設定するためのFAXモード指定キー12と、送信先の電話番号(FAX番号)入力やコピー枚数の設定に用いる置数キー13、本発明に基づき、後述されるように、アドレス記憶部に登録されていない非取引先から画像を受信し、一時記憶部に保存して印刷を保留した場合に、その印刷を保留された画像を表示させるために操作される画像表示要求釦14、コピー又はFAX送信を開始させるために用いられるほか、印刷を保留された画像の印刷を開始させるために用いられるスタート釦15、印刷を保留された画像を一時記憶部から消去させるために用いられる消去釦16を有する。また、操作部1は、印刷に使用する記録紙のサイズを指定するサイズ指定部17を有する。
【0017】
読取部2は、原稿から画像を読み取る読取手段である。既知の原稿自動送り装置により原稿から読み取るもの、原稿載置台に載置された原稿から読み取るもの、のいずれか一方又は両方のいずれでも良い。
【0018】
送受信部3は、従来のファクシミリ装置において用いられているように、電話回線に接続されたNCU(Network Control Unit)とモデムとからなり、送信先に発呼して画像データを送信し、又は送信元から発呼されて画像データを受信するものである。
【0019】
記憶部4は、ROM,RAM,ハードディスクなどで構成され、このファクシミリ装置における機能を実現するための制御プログラムを格納する主記憶部41と、取引先のFAX番号を登録した第1記憶手段に相当するアドレス記憶部42と、送信FAXモードにおいて読取部2が読み取った画像を一時記憶し、又は、外部から受信した画像データを一時記憶する第1一時記憶部43と、コピーモードにおいて読取部が読み取った画像を一時記憶する第2一時記憶部44とを有する。
【0020】
表示手段に相当する表示部5は、液晶又はLEDの表示パネルで構成され、図2の左側部分に例示するように、このファクシミリ装置の現状、すなわち、ウォーミングアップ中か、稼動可否(画質調整中か否か)などを表示する状態表示部51と、現在設定されているモードがFAXモードか、コピーモードかを表示するモード表示部52と、印刷濃度を指定する濃度指定部53と、コピーする場合の倍率を指定する倍率指定部54とを有するほか、本発明により追加された要素として、印刷保留がある場合にその旨を表示する印刷保留報知部55と、印刷が保留されている画像の少なくとも一部を表示する画像表示部56とが設けられている。印刷保留報知部55は、印刷保留がある旨を文字で報知しても良いし、例えば赤色の発光又は点滅により報知するものでも良い。画像表示部56には、当該画像の送信元のFAX番号のみ、又は画像の要部、例えば、送信元を表す名称や本文の一部などの、一方又は双方を表示するものである。
【0021】
印刷部6は、給紙される記録紙に画像を印刷する既知のものである。記録紙に画像を印刷するのは、コピーモードにおいて読取部2が原稿から読み取った画像を記録紙に印刷する場合と、FAXモードにおいて受信した画像を記録紙に印刷する場合とがある。FAXモードには、送信FAXモードと、受信FAXモードとがあるが、送受信部3が発呼信号を受信した時は、自動的に受信FAXモードが設定される。しかし、送信FAXモードは、上記FAXモード指定キー12を押下することにより設定される。
【0022】
制御部7は、上記所定の制御プログラムにより各部を総括的に制御するものであり、送受信制御部71と、読取制御部72と、記憶制御部73と、読出し制御部74と、消去制御部75とを有する。続いて、これらの各制御部の作用を図3及び図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0023】
制御部7による基本的な動作内容は、図3に概略的に示すように、印刷保留された画像がある場合は、その旨を表示部5の印刷保留報知部55により報知すること、画像表示要求釦14が操作されたときに、当該印刷保留がされた画像の少なくとも一部を画像表示部56に表示すること、そして、スタート釦15が押されたときは当該印刷保留がされた画像を印刷し、消去釦16が押されたときは当該印刷保留がされた画像のデータを一時記憶部から消去することである。
【0024】
次に、図4に基づいて、実施例に係るファクシミリ装置の全体的な作用を説明する。なお、FAX機能のうちの受信FAX機能についてのみ説明し、送信FAX機能及びコピー機能は、従来技術と変わらないので、その説明を省略する。
【0025】
ファクシミリ装置に電源を投入すると、制御部7は、まず、送受信部3からの信号を監視して、外部から受信したか否かを調べ(S1。Sはステップを意味する。以下、同じ。)、受信した場合は、送信元のFAX番号と画像データを第1一時記憶部43に一時記憶(S2)した後、その送信元のFAX番号がアドレス記憶部42に登録されているか否かを調べる(S3)。登録されている場合、すなわち、送信元が取引先であるときは、直ちにその受信した画像データを印刷部6に与えてその画像を印刷させる(S4)。そして、その印刷を終了した画像データを第1一時記憶部43から消去する(S5)。
【0026】
S3において、送信元のFAX番号がアドレス記憶部42に登録されていない場合、すなわち、送信元が非取引先であるときは、一時記憶した画像データを直ちに印刷させずに、表示部5の印刷保留報知部55に印刷を保留された画像がある旨を報知させ(S6)、画像表示要求釦14が操作されることを待機する(S7)。画像表示要求釦14が操作されて、印刷を保留されている画像の表示を求められた時は、読出制御部74により第1一時期億部43から当該画像データを読み出してその画像を画像表示部56に表示させる(S8)。従って、係員は、その表示された画像を見て、その画像を印刷すべきものか否かを判断することができる。
【0027】
制御部7は、画像を画像表示部56に表示させた後は、スタート釦15が押されたか、消去釦16が押されたかを調べ(S9,10)、スタート釦15が押されたときは、その画像データを印刷部6に与えてその画像を印刷させる(S12)とともに、その画像データを第1一時記憶部43から消去する(S13)。また、その後、第1一時記憶部43に印刷を保留された他の画像があるか否かを調べ(S14)、あるときはS6に移行して、以後、先と同様の動作を行う。これに対して、印刷を保留された他の画像がない場合は、最初のステップS1に戻る。
【0028】
上述のように、非取引先から受信した画像は、印刷前にその内容の確認ができるので、印刷の要否を判断することができ、印刷したい画像は印刷し、不要な画像は印刷せずに消去することができるので、従来のように、要・不要に関わりなく受信する全ての画像を印刷する場合と異なり、必要なもののみ印刷するので、不要な画像の印刷による電力、記録紙、インクの浪費を防止することができ、また、不要な記録紙の廃棄も無くなるので、省資源効果が大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した電話番号が記憶されている電話番号と一致するときは、受信した画像を直ちに印刷し、受信した電話番号が記憶されている電話番号と一致しないときは、受信した画像を直ちに印刷せずに、印刷を保留している旨を報知し、その後、表示指令を入力された時はその印刷保留している画像を表示手段に表示するとともに、印刷指令を入力された時はその印刷保留している画像を印刷し、消去指令を入力された時はその印刷保留している画像を消去する制御手段を備えたことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
(a)取引先のファクシミリ送信用電話番号を記憶する第1記憶手段と、
(b)受信した電話番号及び画像データを一時記憶する第2記憶手段と、
(c)受信した電話番号が第1記憶手段に記憶されている電話番号と一致するか否かを調べる照合手段と、
(d)後記印刷保留がされた場合には、その旨を報知する報知手段と、
(e)後記印刷保留をされた画像の少なくとも要部を表示する表示手段と、
(f)その印刷保留をされた画像を、表示させるための表示指令、印刷させるための印刷指令又は消去させるための消去指令を入力する操作手段と、
(g)受信した電話番号が第1記憶手段に記憶されている電話番号と一致するときは、直ちにその画像を印刷手段に印刷させ、受信した電話番号が第1記憶手段に記憶されている電話番号と一致しないときは、その画像を印刷手段に印刷させずに、印刷保留されている旨を報知手段に報知させ、表示指令を入力された時はその印刷保留されている画像を表示手段に表示させ、印刷指令を入力された時はその印刷保留されている画像を印刷手段に印刷させ、消去指令を入力された時はその印刷保留されている画像を消去させる制御手段と、
を備えていることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項3】
報知手段は、印刷保留された画像に係るFAX番号を受信した順序で表示するものであることを特徴とする請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
制御手段は、第2一時記憶手段に記憶されたFAX番号及び画像データを、取引先からの画像が印刷されたとき、非取引先からの画像が印刷指令入力に基づき印刷されたとき又は消去指令を入力された時に、第2一時記憶手段からそのFAX番号及び画像データを消去させることを特徴とする請求項2に記載のファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−222596(P2012−222596A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86214(P2011−86214)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(511090350)
【Fターム(参考)】