説明

ファクシミリ装置

【課題】通話及びファクシミリ通信の並行利用の可否をユーザに知らせる構成のファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置は、通信制御部と、表示部16と、を備える。通信制御部は、通話及びファクシミリ通信を同時に行うことが可能であるとともに、通話先又はファクシミリ通信先である対象機器から能力情報を取得する。表示部16は、通話機能及びファクシミリ通信機能のうち一方の機能を使用中に、通信制御部が取得した能力情報に基づいて、対象機器の少なくとも他方の機能の有無を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話機能及びファクシミリ通信機能を同時に使用可能なファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、受話器等を備え、通話機能を有するファクシミリ装置が知られている。この種のファクシミリ装置において従来から利用されている公衆回線網は、回線交換方式で通信を行うため、異なる種類の通信(音声通信とデータ通信)を同時に行うことが困難である。そのため、従来のファクシミリ装置では、通話機能とファクシミリ通信機能とを同時に使用することができない。
【0003】
この点、近年では、従来の公衆回線網に代えて、次世代ネットワーク(Next Generation Network、NGN)を利用した通信が実用化され始めている。このNGNは、パケット交換方式により通信を行うため、異なる種類の通信を同時に行うことができる。従って、例えば通話とファクシミリ通信とを並行して行うことが可能となる。
【0004】
特許文献1は、NGNに接続可能なボタン電話装置を開示する。特許文献1のボタン電話装置には、音声通信のみが可能な電話端末と、音声通信に加えて映像通信が可能な電話端末と、が接続される。ボタン電話装置は、外線からの着信を着信の種類(音声通信、又は、音声通信と映像通信)に応じて、接続する電話端末を選択するように構成されている。なお、ボタン電話装置は、着信の種類に応じた電話端末が存在しない場合は、当該着信を拒否するように構成されている。
【0005】
また、特許文献2には、端末にコンテンツ(音声及び動画等)を提供するサーバ装置が開示されている。このサーバ装置は、端末の能力を取得可能であり、端末の能力に適合するようにコンテンツのコーデック及びビットレート等を変換するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−130362号公報
【特許文献2】特開2009−260818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、NGNを利用して通話及びファクシミリ通信の並行利用を行うためには、接続先の機器が通話機能とファクシミリ通信機能の両方を有している必要がある。従って、ユーザは、ファクシミリ通信中に通話を行う必要が生じた場合でも、接続先の機器の機能を知らない限り、並行利用の可否を即座に判断することができなかった。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、通話及びファクシミリ通信の並行利用の可否をユーザに通知可能なファクシミリ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成のファクシミリ装置が提供される。即ち、このファクシミリ装置は、通信制御部と、通知部と、を備える。前記通信制御部は、通話及びファクシミリ通信を同時に行うことが可能であるとともに、通話先又はファクシミリ通信先である対象機器から、通話機能の有無及びファクシミリ通信機能の有無を示す能力情報を取得する。前記通知部は、前記通話機能及び前記ファクシミリ通信機能のうち一方の機能を使用中に、前記通信制御部が取得した前記能力情報に基づいて、前記対象機器の少なくとも他方の機能の有無を通知する。
【0011】
これにより、通話及びファクシミリ通信の並行利用の可否をユーザに知らせることができる。具体的には、ユーザが通話中の場合は、当該通話を継続しながらファクシミリ通信を行うことができるか否かをユーザに知らせることができる。一方、ユーザがファクシミリ通信を行っている場合は、当該ファクシミリ通信を継続しながら通話を開始できるか否かをユーザに知らせることができる。
【0012】
前記のファクシミリ装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記通話機能には、映像を伴わない通話機能である音声通話機能と、映像を伴う通話機能であるテレビ電話機能と、が含まれる。前記能力情報には、前記通話機能の有無を示す情報として、前記音声通話機能の有無を示す情報と、前記テレビ電話機能の有無を示す情報と、が含まれる。前記通知部は、前記音声通話機能の使用中に、前記対象機器の前記ファクシミリ通信機能の有無に加え、前記テレビ電話機能の有無を通知する。
【0013】
これにより、ユーザが音声通話中の場合は、当該音声通話をテレビ電話に切り替えることができるか否かをユーザに知らせることができる。
【0014】
前記のファクシミリ装置においては、前記通話機能及び前記ファクシミリ通信機能のうち一方の機能を使用中であって、使用中でない他方の機能を前記対象機器が有していないときは、前記通信制御部は、前記他方の機能を実行する指示を受け付けないことが好ましい。
【0015】
これにより、相手側の機器が対応していない機能は実行されないことになるので、処理の無駄を回避することができる。
【0016】
前記のファクシミリ装置においては、前記通信制御部は、前記ファクシミリ通信の終了時に当該ファクシミリ通信の終了を通知するとともに通話可能な状態で前記対象機器との接続を維持する通話予約機能を実行可能であることが好ましい。
【0017】
これにより、ユーザは、ファクシミリ通信の終了の通知を受けて、例えば受話器を上げることで通話を開始することができる。従って、ファクシミリ通信が終了したタイミングで即座に通話を開始することができる。
【0018】
前記のファクシミリ装置においては、前記通信制御部は、前記対象機器とのファクシミリ通信中であって、当該対象機器が通話機能を有していないときは、前記通話予約機能を実行する指示を受け付けないことが好ましい。
【0019】
これにより、相手側の機器が通話機能を有していない場合には通話予約が使用できないことになるので、不要な処理が行われることを防止できる。
【0020】
前記のファクシミリ装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記通信制御部は、前記対象機器から、留守番電話モード中であるか否かを示す情報を更に取得する。前記通知部は、前記対象機器が留守番電話モードであることを通知する。
【0021】
これにより、相手が電話に応答できないことをユーザに知らせることができるので、不要な電話をかけてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の機能ブロック図。
【図2】ファクシミリ通信及び音声通話が行われるタイミングを示す図。
【図3】対象機器の能力情報の表示例を示す図。
【図4】音声通話中にファクシミリの送信を指示するときの処理を示すフローチャート。
【図5】ファクシミリの送信中に音声通話を指示するときの処理を示すフローチャート。
【図6】ファクシミリの送信中に音声通話を指示するときの処理を示すフローチャート。
【図7】ファクシミリの送信中に音声通話を指示するときの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置1の機能ブロック図である。
【0024】
本実施形態のファクシミリ装置1は、ファクシミリ通信機能に加え、音声通話機能、及びテレビ電話機能を有している。また、ファクシミリ装置1は、次世代ネットワーク(NGN)に接続されており、このNGNを介して他の機器とセッション(通信経路)を確立することができる。ファクシミリ装置1は、このセッションを介して、画像データのやり取り(ファクシミリ通信)、音声のやり取り(音声通話)、音声及び映像のやり取り(テレビ電話)を行うことができる。なお、本明細書において「音声通話」とは、映像を伴わない通話(音声のみによる通話)を示すものとする。
【0025】
NGNの通信方式には、従来の電話回線のような回線交換方式ではなく、パケット交換方式が採用されている。従って、NGNを介して接続されたファクシミリ装置間では、ファクシミリ通信と通話とを並行して行うことができる。また、NGNでは、通信プロトコルとしてSIP(Session Initiaion Protocol)が採用されており、NGN内には図略のSIPサーバが配置されている。SIPサーバは、SIPを利用して、回線番号等をIPアドレスと対応付ける処理、及び、通信対象の機器を呼び出してセッションを確立する処理等を行っている。
【0026】
本実施形態のファクシミリ装置1は、図1に示すように、LAN30に接続されている。このLAN30には、図略のPC等に加え、ルータ31が接続されている。ルータ31は、LAN30及びNGN40に接続されており、LAN30に接続される機器(ファクシミリ装置1等)をNGN40に接続するための中継装置として機能する。
【0027】
ファクシミリ装置1は、NGN40を介して、電話機50、ファクシミリ装置60、又は通話機能付きのファクシミリ装置70等と通信を行うことができる。なお、以下の説明では、ファクシミリ装置1の通話先又はファクシミリ通信先の機器をまとめて「対象機器」と称することがある。
【0028】
次に、本実施形態のファクシミリ装置1の具体的な構成を説明する。ファクシミリ装置1は、本体制御部10と、画像読取部11と、画像メモリ12と、画像形成部13と、受話器14と、操作部15と、表示部(通知部)16と、フラッシュメモリ17と、通信制御部18と、ネットワークアダプタ19と、を備える。また、これらの構成は、バス20によって互いに接続されている。バス20としては、例えばPCI(Peripheral Component Interconnect)の規格に従って構成されたものを用いることができる。
【0029】
ネットワークアダプタ19は、ファクシミリ装置1がLAN30に接続するためのインタフェースであり、ファクシミリ装置1本体内の各部(本体制御部10等)と前記バス20を介して接続されている。
【0030】
本体制御部10は、装置全体の制御を行うためのものであり、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びCPU(中央演算処理装置)等で構成される。ROMには、装置の各部のハードウェアを制御するためのプログラム(ファームウェア等)が記憶されている。RAMは、プログラムのロード及び実行に使用されるほか、一時的なデータの記憶メモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する装置として用いられる。
【0031】
画像読取部11は、スキャナ機能を実現するためのものである。本実施形態の画像読取部11は、CCDセンサ又は密着型イメージセンサ等の読取装置を備えている。画像読取部11は、この読取装置によってファクシミリ送信原稿等を読み取り、当該原稿の画像データを取得する。
【0032】
画像メモリ12は、画像読取部11で取得した画像データを一時記憶するためのものである。
【0033】
画像形成部13は、プリンタ機能を実現するためのものであり、ファクシミリ受信原稿を紙等の記録媒体に記録するための出力装置を備える。この出力装置としては、LED等の光源を用いて感光体にトナーを選択的に付着させて、ヒートローラ及びプレスローラによってそのトナーを記録媒体に熱転写して印刷を行う方式のものを採用することができる。なお、記録方法はこの熱転写方式に限られず、例えば感熱方式を採用しても良い。
【0034】
受話器(送受話器)14は、ユーザが通話のために使用するものであり、図略のスピーカ部とマイクロフォン部とで構成されている。スピーカ部は、前記対象機器から受信した音声データを再生するためのものである。マイクロフォン部は、ユーザの音声を取得するためのものである。マイクロフォン部が取得した音声は、音声データに変換されて、対象機器に送信される。
【0035】
操作部15は、ファクシミリ通信及び通話の指示、及びファクシミリ装置1の各種設定等を行うためのものである。具体的には、操作部15は、回線番号等を入力するためのテンキー、及び、ファクシミリの送信及び通話の開始を指示するスタートボタン等を備えている。
【0036】
表示部16は、操作部15で入力された操作の内容に応じた各種情報を表示することができる。各種情報としては、例えば、今までのファクシミリ通信履歴(通話履歴)の一覧、及び、対象機器の能力情報(ファクシミリ通信機能の有無、通話機能の有無等を示す情報、詳細は後述)等、各種の情報を表示することができる。また、表示部16は、テレビ電話の使用時に、通話の相手の映像を表示するためにも用いられる。
【0037】
フラッシュメモリ17は、不揮発性のメモリであり、各種のソフトウェア及びファクシミリ装置1において用いられる設定等を記憶することができる。
【0038】
通信制御部18は、対象機器と通信を行う際の各種の制御を行うように構成されている。通信制御部18は、具体的には、対象機器とセッションを確立又は切断する制御と、対象機器の能力情報を取得する制御と、ファクシミリ通信及び通話のための制御と、を行う。
【0039】
セッションを確立する制御は、ユーザからファクシミリの送信指示を受けたとき(通話の指示を受けたとき)に行われる。通信制御部18は、前記SIPサーバに対して対象機器の回線番号の通知等を行うことにより、当該対象機器との間にセッションを確立することができる。また、対象機器からのファクシミリを受信したとき(着信があったとき)にも、当該対象機器との間にセッションが確立される。
【0040】
なお、セッションには、通信可能なメディア(コンテンツ)の種類(メディアタイプ)が設定されている。例えば、ファクシミリ通信を行う際には、メディアタイプに「データ(イメージデータ)」を設定する必要がある。また、音声通話を行う際には、メディアタイプに「音声」を設定する必要があり、テレビ電話を行う際には、メディアタイプに「音声」及び「映像」を設定する必要がある。なお、メディアタイプの分類方法及び名称は例示であり、適宜の分類方法及び名称を用いることができる。
【0041】
また、セッションには、通信中にメディアタイプを追加することが可能である。従って、例えばファクシミリ通信中において、メディアタイプに音声を追加することで、ファクシミリ通信を切断せずに(ファクシミリ通信と並行して)音声通話を行うことができる。一方、通話中において、メディアタイプにデータを追加することで、通話を切断せずにファクシミリ通信を行うことができる。
【0042】
また、通信制御部18は、設定された複数のメディアタイプのうち1つを削除すること、及び、セッションを切断すること(メディアタイプを全て削除すること)が可能となっている。
【0043】
対象機器の能力情報を取得する制御は、上記セッションの確立後に行われる。通信制御部18は、対象機器に対して、能力情報(ファクシミリ通信機能の有無、通話機能の有無(音声通話機能の有無及びテレビ電話機能の有無))を要求する。この要求を受信した対象機器は、自機(対象機器)の能力情報をファクシミリ装置1に返信する。通信制御部18は、対象機器からの返信内容に基づいて、当該対象機器の能力情報を取得する。
【0044】
なお、通信制御部18は、能力情報に加え、「対象機器が留守番電話モード中であるか否かを示す情報」を併せて対象機器に要求するように構成されている。
【0045】
ファクシミリ通信及び通話のための制御は、対象機器の能力情報の取得後に行われる。ファクシミリ通信は、セッションのメディアタイプとしてデータが設定されているときに、当該セッションを介して、対象機器との間で原稿の画像データをやり取りすることで行われる。一方、音声通話は、セッションのメディアタイプとして音声が設定されているときに、通話の相手の音声データと、ユーザの音声データと、をやり取りすることで行われる。テレビ電話は、セッションのメディアタイプとして音声及び映像が設定されているときに、通話の相手の音声データ及び映像データと、ユーザの音声データ及び映像データと、をやり取りすることで行われる。
【0046】
また、通信制御部18は、ファクシミリ通信中において、即時呼出しと、通話予約と、を行うことができる。初めに、即時呼出しについて説明する。通信制御部18は、ファクシミリ通信中にユーザから即時呼出しの指示があった場合、即座に(即ち、ファクシミリの通信の終了を待たずに)相手に電話をかける。これにより、ユーザは、ファクシミリ通信と通話の並行利用を行うことができる。なお、即時呼出しを行うための指示としては、受話器14を上げる動作及び操作部15の操作等を例として挙げることができる。
【0047】
次に、通話予約について説明する。通話予約機能は、ファクシミリ通信と通話との並行使用を好まない場合、又は、ファクシミリ通信の終了後(資料の送付後)に通話を開始したい場合等に用いられる。通信制御部18は、ファクシミリ通信中にユーザから通話予約機能を実行する指示を受け付けた場合、ファクシミリ通信の終了時に、ベル音(通知音)等を発することでファクシミリ通信の終了をユーザに通知するとともに、通話可能な状態で相手の機器(対象機器)との接続を維持する。ユーザは、このベル音等を受けて受話器14を上げることで、相手と通話を開始することができる。これにより、ユーザは、ファクシミリ通信の進捗状況を確認することなく、ファクシミリ通信の終了直後に通話を開始することができる。
【0048】
次に、本実施形態のファクシミリ装置1によって行われる具体的な通信処理について説明する。図2は、音声通話及びファクシミリ通信が行われるタイミングを示す図である。初めに、図2(a)に示すように、音声通話中にファクシミリを送信するときの流れについて、図3及び図4を参照して説明する。図3は、対象機器の能力情報の表示例を示す図である。図4は、音声通話中にファクシミリの送信を指示するときの処理を示すフローチャートである。
【0049】
ユーザは、電話をかけるときは、受話器14を上げ、操作部15のテンキーを用いて対象機器の回線番号を入力する。そして、ユーザがスタートボタンを押すことにより、ファクシミリ装置1は、音声通話の指示を受け付ける(S101)。そして、ファクシミリ装置1は、SIPサーバに回線番号等を通知することで、対象機器との間にセッションを確立させる(S102)。ここでは、音声通話を行うためにセッションを確立したため、当該セッションに設定されているメディアタイプは音声となっている。
【0050】
次に、ファクシミリ装置1は、対象機器に対して能力情報の要求を行う。そして、ファクシミリ装置1は、対象機器からの返信内容に基づいて当該対象機器の能力情報を取得して、この能力情報をフラッシュメモリ17に記憶する(S103)。また、ファクシミリ装置1は、この能力情報に基づいて、対象機器に音声通話機能があることを確認する。その後、ファクシミリ装置1と対象機器との間では、確立したセッションを介して、音声データの送受信が可能となる(S104)。これにより、ユーザは、電話をかけた相手と音声通話を行うことができる。
【0051】
また、ファクシミリ装置1は、この音声通話中において、図3(a)に示すように、対象機器の能力情報を表示部16に表示する(S105)。なお、音声通話中である場合は、対象機器が音声通話機能を有していることは明らかであるため、音声通話機能の有無は表示されない(もちろん表示させても良い)。つまり、表示部16には、図3(a)に示すように、ファクシミリ通信機能の有無、又はテレビ電話機能の有無等が表示される。
【0052】
この構成により、音声通話を継続しながらファクシミリ通信を行うことができるか否かをユーザに知らせることができる。また、音声通話からテレビ電話に切替可能かどうかについてもユーザに知らせることができる。以下では、音声通話を継続しながら、ファクシミリを送信するときの流れについて説明する。
【0053】
ユーザが画像読取部11に原稿をセットして操作部15のスタートキーを押すことにより、ファクシミリの送信指示がファクシミリ装置1に対して出力される(S106)。ファクシミリ装置1は、この指示を受け付けた後に、フラッシュメモリ17に記憶した能力情報に基づいて、対象機器にファクシミリ通信機能があるか否かを判断する(S107)。
【0054】
対象機器にファクシミリ通信機能が無い場合、ファクシミリ装置1はエラー音を発して(又は表示部16に警告を表示して)その旨をユーザに通知する(S108)。この場合、ファクシミリ装置1は、ファクシミリの送信指示を受け付けず、ファクシミリの送信に関する処理を行わない。
【0055】
一方、対象機器にファクシミリ通信機能がある場合、ファクシミリ装置1は、ファクシミリの送信指示を受け付ける。そして、ファクシミリ装置1は、セッションのメディアタイプにデータを追加する(S109)。これにより、現在のセッションに設定されたメディアタイプは、音声及びデータとなる。そして、ファクシミリ装置1は、セットされた原稿を画像読取部11が読み取って得られた画像データを対象機器に対して送信する(S110)。
【0056】
そして、ファクシミリ装置1は、ファクシミリの送信が完了した後に、セッションに設定されたメディアタイプのうちデータを削除する(S111)。これにより、現在のセッションに設定されたメディアタイプは、音声のみとなる。そして、ファクシミリ装置1は、通話が終了した(S112)後に、セッションを切断する(S113)。
【0057】
以上のようにして、音声通話中にファクシミリを送信することができる。これにより、ユーザは、例えば通話中に要求された資料等を即座に相手へ送ることができる。また、通話中にファクシミリ通信が可能か否かを表示部16が自動的に表示するため、ユーザが対象機器の能力を確認する手間を省くことができる。
【0058】
次に、図2(b)及び図2(c)に示すように、ファクシミリの送信中に音声通話を開始するときの流れについて、図3、図5から図7までを参照して説明する。図5から図7までは、ファクシミリの送信中に音声通話を指示するときの処理を示すフローチャートである。
【0059】
ユーザは、ファクシミリの送信を行うときは、初めに原稿を画像読取部11にセットして操作部15のテンキーを用いて対象機器の回線番号を入力する。そして、ユーザが操作部15のスタートキーを押すことにより、ファクシミリ装置1はファクシミリの送信指示を受け付ける(S201)。そして、ファクシミリ装置1は、SIPサーバに回線番号等を通知することで、対象機器との間にセッションを確立させる(S202)。ここでは、ファクシミリ通信を行うためにセッションを確立したため、当該セッションに設定されているメディアタイプはデータとなっている。
【0060】
次に、ファクシミリ装置1は、上記S103と同様に、対象機器の能力情報の取得及び記憶を行う(S203)。また、ファクシミリ装置1は、この能力情報に基づいて、対象機器にファクシミリ通信機能があることを確認する。その後、ファクシミリ装置1は、確立したセッションを介して、対象機器に対して画像データの送信が可能となる(S204)。これにより、ユーザは、ファクシミリを送信することができる。
【0061】
また、ファクシミリ装置1は、このファクシミリの送信中において、図3(b)に示すように、対象機器の能力情報を表示部16に表示する(S205)。なお、ファクシミリの送信中である場合は、対象機器がファクシミリ通信機能を有していることは明らかであるため、ファクシミリ通信機能の有無は表示されない。つまり、表示部16には、図3(b)に示すように、音声通話機能の有無及びテレビ電話機能の有無等が表示される。また、対象機器が留守番電話モード中である旨をファクシミリ装置1が受信した場合、表示部16は、その旨を併せて表示する。
【0062】
この構成により、ファクシミリの送信を継続しながら通話(音声通話又はテレビ電話)を行うことができるか否かをユーザに知らせることができる。
【0063】
また、ファクシミリ装置1は、ファクシミリの送信中において、即時呼出しの指示の有無を判断するとともに(S206)、通話予約機能を実行する指示の有無を判断している(S207)。
【0064】
即時呼出しの指示があった場合、ファクシミリ通信及び通話は図2(b)のように行われる。この場合、ファクシミリ装置1は、対象機器に音声通話機能があるか否かを判断する(S208)。対象機器に音声通話機能が無い場合、ファクシミリ装置1は、エラー音を発して(又は表示部16に警告を表示して)その旨をユーザに通知する(S209)。この場合、音声通話の指示は受け付けられず、ファクシミリ装置1は、音声通話に関する処理を行わない。その後、ファクシミリ装置1は、ファクシミリの送信完了後にセッションを切断する(S210)。
【0065】
一方、対象機器に音声通話機能が有る場合、ファクシミリ装置1は、音声通話の指示を受け付ける。そして、ファクシミリ装置1は、セッションのメディアタイプに音声を追加する(図6のS211)。これにより、ファクシミリ装置1は、対象機器と音声データの送受信を行うことができる(S212)。
【0066】
そして、ファクシミリ装置1は、ファクシミリの送信が完了した後に、セッションに設定されたメディアタイプのうちデータを削除する(S213)。これにより、現在のセッションに設定されたメディアタイプは、音声のみとなる。そして、ファクシミリ装置1は、通話が終了した(S214)後に、セッションを切断する(S215)。
【0067】
このように即時呼出しが行われることにより、ユーザは、ファクシミリ通信中に通話を行うことができる。
【0068】
通話予約機能を実行する指示があった場合、ファクシミリ通信及び通話は図2(c)のように行われる。この場合、ファクシミリ装置1は、対象機器に音声通話機能があるか否かを判断する(S216)。対象機器に音声通話機能がある場合、通話予約機能を実行する指示を受け付ける(S217)。一方、対象機器に音声通話機能が無い場合、通話予約機能を実行する指示を受け付けない。
【0069】
そして、ファクシミリ装置1は、ファクシミリの送信が完了した後に、セッションに設定されたメディアタイプのうちデータを削除する(S218)。その後、受け付けた通話予約の有無を判断する(S219)。ファクシミリ装置1は、通話予約機能を実行する指示を受け付けていた場合、ファクシミリ通信の終了を通知音等によって通知するとともにメディアタイプに音声を追加して通話可能な状態で待機する(S220)。そして、ユーザが受話器14を上げることにより通話が開始される。
【0070】
そして、ファクシミリ装置1は、通話が終了した(S221)後に、セッションを切断する(S215)。
【0071】
このように通話予約機能が実行されることにより、ユーザは、ファクシミリ通信の進捗状況を確認することなく、ファクシミリ通信の終了直後に通話を開始することができる。
【0072】
なお、本実施形態ではファクシミリ装置1から通信(ファクシミリ通信又は通話)を開始する例を説明したが、対象機器側から通信を開始する場合であっても、ファクシミリ装置1は、対象機器の能力情報を表示部16に表示する処理を行うように構成されている。
【0073】
以上に説明したように、本実施形態のファクシミリ装置1は、通信制御部18と、表示部16と、を備える。通信制御部18は、通話及びファクシミリ通信を同時に行うことが可能であるとともに、対象機器から能力情報を取得する。表示部16は、通話機能及びファクシミリ通信機能のうち一方の機能を使用中に、通信制御部18が取得した能力情報に基づいて、対象機器の少なくとも他方の機能の有無を通知する。
【0074】
これにより、通話及びファクシミリ通信の並行利用の可否をユーザに知らせることができる。具体的には、ユーザが通話中の場合は、当該通話を継続しながらファクシミリ通信を行うことができるか否かをユーザに知らせることができる。一方、ユーザがファクシミリ通信を行っている場合は、当該ファクシミリ通信を継続しながら通話を開始できるか否かをユーザに知らせることができる。
【0075】
また、本実施形態のファクシミリ装置1においては、能力情報のうち通話機能の有無を示す情報として、音声通話機能の有無を示す情報と、テレビ電話機能の有無を示す情報と、が含まれる。表示部16は、音声通話機能の使用中に、対象機器のファクシミリ通信機能の有無に加え、テレビ電話機能の有無を通知する。
【0076】
これにより、ユーザが音声通話中の場合は、当該音声通話をテレビ電話に切り替えることができるか否かをユーザに知らせることができる。
【0077】
また、本実施形態のファクシミリ装置1においては、通話機能及びファクシミリ通信機能のうち一方の機能を使用中であって、使用中でない他方の機能を対象機器が有していないときは、通信制御部18は、前記他方の機能を実行する指示を受け付けない。
【0078】
これにより、相手側の機器が対応していない機能は実行されないことになるので、処理の無駄を回避することができる。
【0079】
また、本実施形態のファクシミリ装置1においては、通信制御部18は、ファクシミリ通信の終了時に当該ファクシミリ通信の終了を通知するとともに通話可能な状態で前記対象機器との接続を維持する通話予約機能を実行可能である。
【0080】
これにより、ユーザは、ファクシミリ通信の終了の通知を受けて、受話器14を上げることで通話を開始することができる。従って、ファクシミリ通信が終了したタイミングで即座に通話を開始することができる。
【0081】
また、本実施形態のファクシミリ装置1においては、対象機器とのファクシミリ通信中であって、当該対象機器が通話機能を有していないときは、通信制御部18は、通話予約機能を実行する指示を受け付けない。
【0082】
これにより、相手側の機器が通話機能を有していない場合には通話予約が使用できないことになるので、不要な処理が行われることを防止できる。
【0083】
また、本実施形態のファクシミリ装置1においては、通信制御部18は、前記対象機器から、留守番電話モード中であるか否かを示す情報を更に取得する。対象機器が留守番電話モード中であることを通信制御部18が取得したときには、表示部16は、対象機器が留守番電話モードであることを通知する。
【0084】
これにより、相手が電話に応答できないことをユーザに知らせることができるので、不要な電話をかけてしまうことを防止できる。
【0085】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0086】
対象機器の能力情報の通知は、表示部16による表示に限定されない。例えば、表示部16による通知に代えて又は加えて、音声によって対象機器の能力情報を通知することができる。
【0087】
ファクシミリ装置1は、ファクシミリ通信機能以外に、例えばコピー機能やスキャナ機能、プリンタ機能等を備えた多機能周辺装置(Multi Function Peripheral)として構成することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 ファクシミリ装置
10 本体制御部
11 画像読取部
16 表示部(通知部)
18 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話及びファクシミリ通信を同時に行うことが可能であるとともに、通話先又はファクシミリ通信先である対象機器から、通話機能の有無及びファクシミリ通信機能の有無を示す能力情報を取得する通信制御部と、
前記通話機能及び前記ファクシミリ通信機能のうち一方の機能を使用中に、前記通信制御部が取得した前記能力情報に基づいて、前記対象機器の少なくとも他方の機能の有無を通知する通知部と、
を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファクシミリ装置であって、
前記通話機能には、映像を伴わない通話機能である音声通話機能と、映像を伴う通話機能であるテレビ電話機能と、が含まれ、
前記能力情報には、前記通話機能の有無を示す情報として、前記音声通話機能の有無を示す情報と、前記テレビ電話機能の有無を示す情報と、が含まれ、
前記通知部は、前記音声通話機能の使用中に、前記対象機器の前記ファクシミリ通信機能の有無に加え、前記テレビ電話機能の有無を通知することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のファクシミリ装置であって、
前記通話機能及び前記ファクシミリ通信機能のうち一方の機能を使用中であって、使用中でない他方の機能を前記対象機器が有していないときは、
前記通信制御部は、前記他方の機能を実行する指示を受け付けないことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のファクシミリ装置であって、
前記通信制御部は、前記ファクシミリ通信の終了時に当該ファクシミリ通信の終了を通知するとともに通話可能な状態で前記対象機器との接続を維持する通話予約機能を実行可能であることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のファクシミリ装置であって、
前記対象機器とのファクシミリ通信中であって、当該対象機器が通話機能を有していないときは、
前記通信制御部は、前記通話予約機能を実行する指示を受け付けないことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載のファクシミリ装置であって、
前記通信制御部は、前記対象機器から、留守番電話モード中であるか否かを示す情報を更に取得し、
前記対象機器が留守番電話モード中であることを前記通信制御部が取得したときには、
前記通知部は、前記対象機器が留守番電話モードであることを通知することを特徴とするファクシミリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−46235(P2013−46235A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182769(P2011−182769)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】