説明

フィニッシャ及び表層体の施工方法

【課題】予め敷設された舗装材料の上に新たに舗装材料を敷設する際に、簡易な構成で確実に施工を行うことができるフィニッシャ及び表層体の施工方法を提供することを課題とする。
【解決手段】スクリード4とスクリード4の高さ調節を行う高さ調節装置8とを有し、路盤Rの上に予め敷設された舗装材料S1の上に、所定の厚さで新たに舗装材料を敷き均すフィニッシャ1であって、高さ調節装置8は、スクリード4の側部に固定されており、フィニッシャ1の移動に伴って路盤Rの表面上を回転する回転体22と、スクリード4と回転体22との相対的な高さ位置を調節可能な高さ調節部と、を有し、回転体22は、円板で構成されており、その一部が予め敷設された舗装材料S1にもぐりながら回転することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装構造における表層体を施工する際に用いられるフィニッシャ及び表層体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、馬場のダートコースは、路盤と路盤の上に所定の厚さで敷きつめられた表層体とで構成されている。表層体は、粒径の小さいクッション砂やゴムチップ等からなる舗装材料で構成されており、フィニッシャを用いて路盤の上に敷設される。従来のフィニッシャは、車両本体と、舗装材料を貯留するホッパと、舗装材料を敷き均すスクリードと、車両本体と前記スクリードを連結する連結アームと、で主に構成されている。連結アームは、車両本体にヒンジを介して連結されており、車両本体に対してスクリードが上下に移動可能になっている。
【0003】
例えば、表層体としてアスファルトを用いる場合、アスファルトの供給量とフィニッシャの車両本体の走行速度を調節することにより、スクリードがアスファルトから浮力を受ける。これにより、スクリードが一定の高さを維持することができ、表層体の厚さ調節を行っていた。しかし、舗装材料としてクッション砂を用いる場合、スクリードが舗装材料から浮力を受けられず、舗装材料の中にスクリードが沈んでしまう。したがって、舗装材料としてクッション砂を用いる場合、路盤の上にダートコースに沿って長尺の木枠を設置し、その木枠の上をスクリードが摺動することで表層体の厚さを調節していた。
【0004】
また、例えば、従来の表層体の施工方法では、特許文献1に記載されているように、路盤からスクリードまでの高さを検知する高さセンサと、連結アームを上下させるシリンダとを備えたフィニッシャを用いて、高さセンサで検知されたデータに基づいて、シリンダで連結アームを上下させて表層体の厚さを調節していた。
【0005】
ここで、馬場の表層体は、馬の蹄によって路盤や表層体の舗装材料が痛んだり、風雨で舗装材料が流されたりするため定期的にメンテナンスを行っている。このメンテナンスでは、表層体を一旦取り除いて路盤の痛んだ箇所や軟弱な部分等を補修した後、洗浄された舗装材料を敷き均している。
【0006】
ダートコースは一周約1000〜2000m、幅は30〜40mあるため、路盤の上に一定の厚さで舗装材料を敷き均す作業は多くの日数を要する。このため、従来の施工方法では、施工途中で雨が降ると露出している路盤が痛むため、再度路盤の補修を行わなければならず、作業の長期化を招来していた。そこで、このような問題を防ぐために、計画舗装厚よりも小さい厚みで舗装材料の荒均しを行う一次均し工程と、一次均し工程で予め敷設された舗装材料の上に新たに舗装材料を敷き均して計画舗装厚にする二次均し工程を行うことが考えられる。この一次均し工程では、荒均しによって舗装材料を素早く敷設するため、舗装材料で全ての路盤を短時間で覆うことができ、路盤を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録2504898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、予め敷設された舗装材料の上に新たに舗装材料を敷き均す作業は容易ではない。例えば、予め敷設された舗装材料に木枠を設けても、舗装材料の中に木枠が沈んでしまうため、スクリードが一定の高さを保つことができない。一方、フィニッシャに高さセンサやシリンダ等を設けるとフィニッシャの費用が高くなり施工費用が嵩むという問題がある。
【0009】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、予め敷設された舗装材料の上に新たに舗装材料を敷き均す際に、簡易な構成で確実に施工を行うことができるフィニッシャ及び表層体の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために本発明は、スクリードと前記スクリードの側部に固定された高さ調節装置とを有し、路盤の上に予め敷設された舗装材料の上に、所定の厚さで新たに舗装材料を敷き均すフィニッシャであって、前記高さ調節装置は、前記フィニッシャの移動に伴って前記路盤の表面上を回転する回転体と、前記スクリードと前記回転体との相対的な高さ位置を調節可能な高さ調節部と、を有し、前記回転体は、円板で構成されており、その一部が前記予め敷設された舗装材料にもぐりながら回転することを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、高さ調節装置の回転体を円板にすることで回転体を予め敷設された舗装材料にもぐらせつつ、路盤の表面上で回転させることができる。また、高さ調節部によって路盤からスクリードまでの高さ位置を調節できる。これにより、スクリードが予め敷設された舗装材料の中に沈んでしまうことなく、路盤から所定の厚みで新たな表層材料を確実に敷き均すことができる。
【0012】
また、前記回転体は、互いに離間する複数の円板で構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、回転体をもぐりやすくさせつつ路盤に作用する負荷を分散できるため、回転体によって路盤が凹むのを防ぐことができる。
【0013】
また、前記回転体には、板厚方向に貫通する貫通孔が形成されていることが好ましい。回転体は予め敷設された舗装材料の中で回転するため、移動中に舗装材料から大きな負荷を受けると、スクリードが幅方向に移動してしまうことがある。しかし、かかる構成によれば、予め敷設された舗装材料が貫通孔を通して回転体の板厚方向に移動するため、予め敷設された舗装材料から回転体にかかる負荷を小さくすることができる。
【0014】
また、前記回転体の進行方向の後方側に、前記予め敷設された舗装材料の表面に前記回転体によって形成された轍を均すための均し部材が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、予め敷設された舗装材料に回転体によって轍が形成されるのを回避することができる。
【0015】
また、前記スクリードの側部に固定された補助高さ調節装置を有し、前記補助高さ調節装置は、前記フィニッシャの移動に伴って前記路盤の表面上又は前記予め敷設された舗装材料の上に敷き均された舗装材料の表面上を回転する回転体と、前記スクリードに対する前記補助高さ調節装置の回転体の高さ位置を調節可能な高さ調節部と、を有し、前記補助高さ調節装置の回転体は、円柱状のドラムで構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、路盤や予め敷設された舗装材料の上に敷き均された舗装材料を凹ませることなく、かつ、スクリードの高さ位置を安定させることができる。
【0016】
また、本発明は、路盤に計画舗装厚よりも小さい厚さで舗装材料の荒均しを行う一次均し工程と、スクリードを備えたフィニッシャを、前記一次均し工程で予め敷設された舗装材料の上で移動させ、所定の厚さで新たに舗装材料を敷き均す二次均し工程と、を含み、前記フィニッシャは、前記スクリードの側部に固定された高さ調節装置を備えており、前記高さ調節装置は、前記フィニッシャの移動に伴って前記路盤の表面上を回転する回転体と、前記スクリードと前記回転体との相対的な高さ位置を調節可能な高さ調節部と、を有し、前記回転体は、円板で構成されており、前記二次均し工程では、前記予め敷設された舗装材料に前記回転体の一部をもぐらせながら回転させることを特徴とする。
【0017】
かかる方法によれば、高さ調節装置の回転体を円板にすることで回転体を予め敷設された舗装材料にもぐらせつつ、路盤の表面上で回転させることができる。また、高さ調節部によって路盤からスクリードまでの高さ位置を調節できる。これにより、予め舗装材料が敷設されていても、路盤から所定の厚みで新たな表層材料を確実に敷き均すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るフィニッシャ及び表層体の施工方法によれば、予め敷設された舗装材料の上に新たに舗装材料を敷設する際に、簡易な構成で確実に施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るフィニッシャを示す図であって、(a)は側面図、(b)は背面図である。
【図2】本実施形態に係る高さ調節装置を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図3】本実施形態に係る補助高さ調節装置を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図4】本実施形態に係る表層体の施工方法を段階的に示す模式背面図である。
【図5】高さ調節装置の変形例を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に係るフィニッシャ1は、図1の(a)及び(b)に示すように、車両本体2と、ホッパ3と、スクリード4と、連結アーム5と、クローラ部6と、運転席7と、高さ調節装置8と、補助高さ調節装置9とで主に構成されている。フィニッシャ1は、舗装材料が所定の厚さとなるように押圧し、平らに敷き均す装置である。説明における上下左右前後は図中の矢印に従う。
【0021】
車両本体2は、内部にエンジンを備えるとともに各構成部品を支持する装置である。ホッパ3は、車両本体2の前側に設置されており、舗装材料を貯留する装置である。スクリード4は、車両本体2の後側に設置されており、ホッパ3から路盤Rに供給された舗装材料を押圧し、所定の厚さに敷き均す装置である。
【0022】
連結アーム5は、車両本体2の左右両側に一対設置されており、車両本体2にヒンジを介して連結されている。連結アーム5は、前側が車両本体2に連結されており、後側がスクリード4に連結されている。これにより、スクリード4は、車両本体2に対して上下方向に移動可能になっている。
【0023】
クローラ部6は、車両本体2の左右両側に一対設置されている。クローラ部6は、不整地箇所を容易に走行可能に形成された無限軌道である。運転席7は、車両本体2の上部に設置されている。
【0024】
高さ調節装置8は、金属製であって、スクリード4の一方側(図1の(b)では左側)に固定されている。高さ調節装置8は、スクリード4の高さを調節する装置である。高さ調節装置8は、図2に示すように、フレーム部11と、車輪部12とで主に構成されている。
【0025】
フレーム部11は、内側プレート13と、外側プレート14と、上側プレート15とで構成されている。内側プレート13は、スクリード4側に配置されるプレートである。内側プレート13の四隅には上下方向に延設された長孔13aがそれぞれ形成されている。長孔13aは、スクリード4に形成された取付ボスTにボルトBによって螺合されている。長孔13aを備えることにより、スクリード4に対する高さ調節装置8の高さ位置を調節することができる。なお、長孔13a及びボルトBとで特許請求の範囲の「高さ調節部」を構成している。
【0026】
外側プレート14は、内側プレート13から離間して内側プレート13に平行に設けられている。上側プレート15は、内側プレート13と外側プレート14とを連結するプレートである。
【0027】
車輪部12は、回転軸21と、回転体22と、軸受け23とで構成されている。回転体22は、円板であって回転軸21に互いに離間して設けられている。回転体22は、本実施形態では、3枚設けている。回転体22には、板厚方向に貫通する複数の貫通孔12aが形成されている。軸受け23は、内側プレート13及び外側プレート14にそれぞれ設けられていて、回転軸21を回転可能に支持している。
【0028】
回転体22は、車両本体2の移動に伴って、図2の(b)に示すように、予め敷設された舗装材料S1(以下、「下層部S1」とも言う)にもぐりながら路盤Rの表面上を回転する。なお、回転体22は、本実施形態では三枚用いたが、下層部S1にもぐりながら路盤R上を回転可能であって、かつ、路盤Sに凹みができないようであれば一枚でもよい。また、回転体22は、二枚でもよいし、四枚以上であってもよい。回転体22の厚さは、下層部S1中で回転体22が回転した際に、路盤Rに接触する程度に設定する。貫通孔12aは、少なくとも一つ設ければよいが、円周方向に等間隔で複数個設けるのが好ましい。
【0029】
補助高さ調節装置9は、金属製であって、スクリード4の他方側(図1の(b)では右側)に固定されている。補助高さ調節装置9は、スクリード4の高さを調節する装置である。補助高さ調節装置9は、図3に示すように、フレーム部31と、車輪部32とで構成されている。
【0030】
フレーム部31は、内側プレート33と、外側プレート34と、上側プレート35とで構成されている。内側プレート33は、スクリード4側に配置されるプレートである。内側プレート33の四隅には上下方向に延設された長孔33aがそれぞれ形成されている。長孔33aは、スクリード4に形成された取付ボスTにボルトBによって螺合されている。長孔33aを備えることにより、スクリード4と補助高さ調節装置9との相対的な高さ位置を調節することができる。なお、長孔33a及びボルトBとで特許請求の範囲の「高さ調節部」を構成している。
【0031】
外側プレート34は、内側プレート33から離間して内側プレート33に平行に設けられている。上側プレート35は、内側プレート33と外側プレート34とを連結するプレートである。
【0032】
車輪部32は、回転軸41と、回転体42と、軸受け43とで構成されている。回転体42は、円柱状を呈する鉄輪である。軸受け43は、内側プレート33及び外側プレート34にそれぞれ設けられていて、回転軸41を回転可能に支持している。
【0033】
回転体42は、車両本体2の移動に伴って、図3の(b)に示すように、路盤Rの表面上を回転する。また、回転体42は、後記するように、車両本体2の移動に伴って、下層部S1の上に敷き均された舗装材料の表面上を回転する。回転体42の左右方向の幅は路盤Rや敷き均された舗装材料が凹まないか又は凹みが小さくなるように設定する。
【0034】
高さ調節装置8及び補助高さ調節装置9は、図1では、スクリード4の側部に一つずつ設けているが、これに限定されるものではない。表層体の施工段階に応じて、例えば、スクリード4の両側に一対の高さ調節装置8を設ける場合もあるし、スクリード4の両側に一対の補助高さ調節装置9を設ける場合もある。
【0035】
次に、本実施形態に係る表層体の施工方法について説明する。施工場所や舗装材料は特に制限されないが、例えば、馬場のダートコースの表層体を施工する場合を例示する。また、舗装材料は、クッション砂とゴムチップ等との混合物を用いる場合を例示する。本実施形態に係る表層体の施工方法では、図4に示すように、表層体の下層部S1を敷設する一次均し工程と、下層部S1の上に新たに舗装材料を敷き均す二次均し工程とを行う。下層部S1の上に敷き均された舗装材料を「上層部」とも言う。
【0036】
一次均し工程では、図4の(a)に示すように、路盤Rの上に舗装材料を計画舗装厚よりも小さい厚さで荒均しを行って下層部S1を敷設する。例えば、計画舗装厚が83mmである場合、一次均し工程では舗装材料を30mmの厚さで敷設する。一次均し工程では、路盤Rを舗装材料で覆い、路盤Rの露出を防ぐために行う。一次均し工程では、例えばモーターグレーダー等の機械を用いてスピードを重視して作業を行うことが好ましい。
【0037】
二次均し工程では、下層部S1の上に新たに舗装材料を敷き均して表層体の上層部を敷設する。馬場のダートコースの幅はスクリード4の幅よりも大きくなっているため、二次均し工程では、ダートコースの延長方向にフィニッシャ1を一周させて一のレーンの上層部を敷設したら、そのレーンの隣で、そのレーンに沿ってフィニッシャ1を走行させ、レーン毎に順番に敷設作業を行う。
【0038】
具体的には、本実施形態に係る二次均し工程では、表層体の第1上層部S2を敷き均す第1上層部均し工程と、表層体の第2上層部S2’を敷き均す第2上層部均し工程と、表層体の第3上層部S2’’を敷き均す第3上層部均し工程を行う。二次均し工程では、スクリード4によって舗装材料を熱しながら締め固めるとともに、敷き均された表層体の合計の厚みが83mmとなるようにする。
【0039】
第1上層部均し工程では、図4の(b)に示すように、スクリード4の両側に一対の高さ調節装置8を固定する。この際、回転体22の下端からスクリード4の下端(舗装材料を加圧・加熱するアイロン部分)までの高さが計画舗装厚である83mmとなるように、スクリード4に対する高さ調節装置8の高さ位置を調節する。スクリード4の両側に一対の高さ調節装置8を固定したフィニッシャをフィニッシャ1Aとする。
【0040】
そして、第1上層部均し工程では、予め敷設された下層部S1の上で、フィニッシャ1Aを走行させつつ新たに舗装材料を敷き均す。高さ調節装置8の回転体22は、下層部S1の中にもぐりながら路盤R上を回転する。これにより、図4の(b)に示すように、下層部S1の上に、所定の厚さで新たに舗装材料が敷き均された第1上層部S2が敷設される。
【0041】
第2上層部均し工程では、図4の(c)に示すように、スクリード4のうち、第1上層部S2側に補助高さ調節装置9を固定し、その反対側に高さ調節装置8を固定する。この際、回転体22の下端からスクリード4の下端までの高さが計画舗装厚である83mmとなるように、スクリード4に対する高さ調節装置8の高さ位置を調節する。
【0042】
また、スクリード4の下端と補助高さ調節装置9の回転体42の下端とが同一の高さとなるように調節する。スクリード4の一方に高さ調節装置8を、他方に補助高さ調節装置9を固定したフィニッシャをフィニッシャ1Bとする。
【0043】
そして、第2上層部均し工程では、予め敷き均された下層部S1の上で、かつ、第1上層部S2に隣接してフィニッシャ1Bを走行させつつ新たに舗装材料を敷き均す。この際、高さ調節装置8の回転体22は、予め敷設された下層部S1の中にもぐりながら路盤R上を回転する。一方、補助高さ調節装置9の回転体42は、既に敷き均されている第1上層部S2上を回転する。これにより、図4の(c)に示すように、下層部S1の上で、かつ、第1上層部S2に隣接して、所定の厚さで新たに舗装材料が敷き均された第2上層部S2’が敷設される。
【0044】
第3上層部均し工程では、図4の(d)に示すように、スクリード4のうち、第2上層部S2’側に補助高さ調節装置9を固定し、その反対側に補助高さ調節装置9’を固定する。この際、回転体42の下端からスクリード4の下端までの高さが計画舗装厚である83mmとなるようにスクリード4に対する補助高さ調節装置9’の高さ位置を調節する。
【0045】
また、スクリード4の下端と補助高さ調節装置9の回転体42の下端とが同一の高さとなるように調節する。スクリード4の両側に補助高さ調節装置9,9’を固定したフィニッシャをフィニッシャ1Cとする。
【0046】
そして、第3上層部均し工程では、予め敷き均された下層部S1の上で、かつ、第2上層部S2’に隣接してフィニッシャ1Cを走行させつつ新たに舗装材料を敷き均す。この際、補助高さ調節装置9’の回転体42は路盤R上を回転する。一方、補助高さ調節装置9の回転体42は第2上層部S2’上を回転する。これにより、図4の(d)に示すように、下層部S1の上で、かつ、第2上層部S2’に隣接して、所定の厚さで新たに舗装材料が敷き均された第3上層部S2’’が敷設される。このように、上層部均し工程をダートコースの幅方向に亘って順番に繰り返すことにより、計画舗装厚で敷き均された表層体が敷設される。
【0047】
以上説明したフィニッシャ1及び表層体の施工方法によれば、高さ調節装置8の回転体22を円板にすることで、回転体22を予め敷設された下層部S1にもぐらせつつ、路盤Rの表面上で回転させることができる。また、高さ調節装置8の高さ調節部(長孔13a、ボルトB)によって路盤Rからスクリード4までの高さ位置を調節できる。これにより、スクリード4が下層部S1に沈むことなく、路盤Rから所定の厚みで新たな舗装材料を確実に敷き均すことができる。また、高さ調節装置8は、簡易な構成であるから、安価に製造することができる。また、スクリード4にボルトBで固定するだけであるため、着脱も容易にすることができる。
【0048】
また、回転体22は、相互に離間する複数の円板で構成されているため、路盤Rに作用する負荷を分散することができる。これにより、回転体22によって路盤Rが凹むのを防ぐことができる。
【0049】
また、回転体22には、板厚方向に貫通する貫通孔22aが形成されているため、舗装材料を回転体22の板厚方向に流動させることができる。これにより、下層部S1から回転体22にかかる負荷を小さくすることができるため、高さ調節装置8及びスクリード4をまっすぐ移動させることができる。
【0050】
また、スクリード4の両側に下層部S1がある場合、図4の(b)に示すフィニッシャ1Aによれば、スクリード4の両側に高さ調節装置8を備えているため、スクリード4が傾くことなく安定して舗装材料を敷き均すことができる。
【0051】
また、スクリード4の一方側に下層部S1があり、他方側に敷き均された舗装材料(第1上層部S2)がある場合、図4の(c)に示すフィニッシャ1Bによれば、一方側に高さ調節装置8を設け、他方側に補助高さ調節装置9を設けることにより、スクリード4が傾くことなく安定して舗装材料を敷き均すことができる。また、補助高さ調節装置9の回転体42は円柱状であるため、既設の第1上層部S2に凹みができるのを回避できる。
【0052】
また、スクリード4の一方側に路盤Rがあり、他方側に敷き均された舗装材料(第2上層部S2’)がある場合、図4の(d)に示すフィニッシャ1Cによれば、スクリード4の両側に補助高さ調節装置9,9’を設けることにより、スクリード4が傾くことなく安定して舗装材料を敷き均すことができる。また、また、補助高さ調節装置9の回転体42は円柱状であるため、既設の第2上層部S2’に凹みができるのを回避できる。
【0053】
また、タイヤ式のフィニッシャであると、下層部S1の上を走行することが困難になり、施工期間が長くなることがあるが、本実施形態のようにクローラ式のフィニッシャ1を用いることで施工期間の大幅な短縮を図ることができる。
【0054】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、図5に示すように、高さ調節装置8の回転体22の進行方向の後方側に、回転体22によって発生する轍を均すための均し部材51が形成されていてもよい。
【0055】
均し部材51は板状のゴム部材であって、その前端部が高さ調節装置8の後側に鉛直に取り付けられている。均し部材51の裏面は下層部S1に面接触している。回転体22は円板であるため、下層部S1上を回転すると轍ができてしまうが、均し部材51を設けることで轍を均して平坦にすることができる。
【0056】
また、例えば、高さ調節装置8、補助高さ調節装置9の高さを調節する高さ調節部の構成については、本実施形態については長孔13a又は33aとボルトBで構成したが、スクリード4に対する高さが調節可能であれば他の形態であってもよい。また、スクリード4に対する高さ調節装置8及び補助高さ調節装置9の前後方向の固定位置を調節可能な前後方向調節部を備えていてもよい。前後方向調節部は、例えば、高さ調節装置8及び補助高さ調節装置のフレーム部11,31に、前後方向に延設された長孔とボルトとで構成することができる。
【0057】
また、本実施形態では、表層体を上下に2層で分けて敷き均しをしたが、3層以上に敷き均す場合に本発明を適用してもよい。また、本実施形態の表層体の施工方法を表層体の新設時に行ってもよいし、メンテナンス時に行ってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 フィニッシャ
2 車両本体
3 ホッパ
4 スクリード
5 連結アーム
6 クローラ部
7 運転席
8 高さ調節装置
9 補助高さ調節装置
22 回転体
42 回転体
R 路盤
S1 下層部(予め敷設された舗装材料)
S2 上層部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリードと前記スクリードの側部に固定された高さ調節装置とを有し、路盤の上に予め敷設された舗装材料の上に、所定の厚さで新たに舗装材料を敷き均すフィニッシャであって、
前記高さ調節装置は、
前記フィニッシャの移動に伴って前記路盤の表面上を回転する回転体と、
前記スクリードと前記回転体との相対的な高さ位置を調節可能な高さ調節部と、を有し、
前記回転体は、円板で構成されており、その一部が前記予め敷設された舗装材料にもぐりながら回転することを特徴とするフィニッシャ。
【請求項2】
前記回転体は、互いに離間する複数の円板で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィニッシャ。
【請求項3】
前記回転体には、板厚方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィニッシャ。
【請求項4】
前記回転体の進行方向の後方側に、前記予め敷設された舗装材料の表面に前記回転体によって形成された轍を均すための均し部材が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のフィニッシャ。
【請求項5】
前記スクリードの側部に固定された補助高さ調節装置を有し、
前記補助高さ調節装置は、
前記フィニッシャの移動に伴って前記路盤の表面上又は前記予め敷設された舗装材料の上に敷き均された舗装材料の表面上を回転する回転体と、
前記スクリードに対する前記補助高さ調節装置の回転体の高さ位置を調節可能な高さ調節部と、を有し、
前記補助高さ調節装置の回転体は、円柱状のドラムで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のフィニッシャ。
【請求項6】
路盤に計画舗装厚よりも小さい厚さで舗装材料の荒均しを行う一次均し工程と、
スクリードを備えたフィニッシャを、前記一次均し工程で予め敷設された舗装材料の上で移動させ、所定の厚さで新たに舗装材料を敷き均す二次均し工程と、を含み、
前記フィニッシャは、
前記スクリードの側部に固定された高さ調節装置を備えており、
前記高さ調節装置は、前記フィニッシャの移動に伴って前記路盤の表面上を回転する回転体と、前記スクリードと前記回転体との相対的な高さ位置を調節可能な高さ調節部と、を有し、前記回転体は、円板で構成されており、
前記二次均し工程では、前記予め敷設された舗装材料に前記回転体の一部をもぐらせながら回転させることを特徴とする表層体の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−251375(P2012−251375A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125436(P2011−125436)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【出願人】(501257141)株式会社城南工建 (2)
【Fターム(参考)】