フィラメントランプ
【課題】 各々のフィラメントに独立に給電可能に連結された内部リードが接続する金属箔を封止部に備えつつも、フィラメントへの電力入力を高めたときでも、大電流を流すことが可能なフィラメントランプを提供すること。
【解決手段】 金属箔11a、11b、11c、11dには、一方の面に内部リード13a、13b、13c、13dが接続され、他方の面に外部リード14a、14b、14c、14dが接続されるとともに、外部リード14a、14b、14c、14dの端部141は内部リード13a、13b、13c、13dの端部131より発光管2側に配置されることを特徴とする。
【解決手段】 金属箔11a、11b、11c、11dには、一方の面に内部リード13a、13b、13c、13dが接続され、他方の面に外部リード14a、14b、14c、14dが接続されるとともに、外部リード14a、14b、14c、14dの端部141は内部リード13a、13b、13c、13dの端部131より発光管2側に配置されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハの加熱・太陽電池加熱又は液晶の加熱処理に用いられるフィラメントランプに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程における光照射式加熱装置は、成膜、拡散、アニール等、広範囲に渡って利用されており、いずれの処理も板状の被処理物等の半導体ウェハを急速に加熱することができ、1000℃以上にまで数秒間〜数十秒間で昇温させるものである。近年は更に高速で昇温させることが要求されてきており、ランプに投入される電力が大きくなってきている。これはスパイクアニールと呼ばれており、200℃/秒を超える高速で昇温させ、目的温度に達したら直ちに冷却することが行われる。このスパイクアニールにより非常に薄い拡散層(シャロージャンクション)を形成させることができ、半導体素子の性能を向上させることができる。
【0003】
また、加熱時、半導体ウェハの温度分布が不均一になると、半導体ウェハにスリップと呼ばれる現象、即ち、結晶転移の欠陥が発生し、不良品となるおそれがある。そこで光照射式加熱装置を用いて半導体ウェハを加熱処理する場合には、半導体ウェハの温度分布が均一になるように、加熱・高温保持・冷却する必要がある。温度分布を均一にする提案として、特開2006−279008には1本の発光管に独立に給電可能な複数のフィラメントを具備したフィラメントランプが提案されており、これにより部分的にフィラメントに入力する電力を変えることができ、高均一な温度分布になるよう調整することができる。
【0004】
図6は、従来のフィラメントランプ1を示す斜視図である。
両端が端部封止部3a、3bで気密に封止された直管状の発光管2内には、コイル状のフィラメント12a、12bが発光管2の管軸方向に伸びるよう順次に並んで配置され、各フィラメント12a、12bの両端には、それぞれ給電用の内部リード13a、13b、13c、13dが連結されている。
【0005】
上記の各フィラメントの内部リードは、それぞれ両端封止部に延びて、個別に金属箔を介して外部リードに電気的に接続されている。
即ち、各フィラメント12a、12bの一端側の内部リード13a、13bはそれぞれ一端側封止部3aの金属箔11a、11bを介して、一端側の外部リード14a、14bに電気的に接続されている。
同様に、他端側の内部リード13c、13dはそれぞれ他端側封止部3bの金属箔11c、11dを介して、端側の外部リード14c、14dに電気的に接続されている。
【特許文献1】特開2006−279008公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、個々のフィラメント12a、12bの両端に連結された内部リードに独立給電するために、2つの封止部3a、3bにおいて内部リード13a、13b、13c、13dと等しい数の金属箔11a、11b、11c、11dを配置し、各々の金属箔11a、11b、11c、11dに接続された外部リード14a、14b、14c、14dのそれぞれに給電しなければならない。封止部3a、3bは、発光管2の両端の2つしかなく、その大きさも発光管2の径に依存するため、幅を広げることは難しい。一方、内部リード13a、13b、13c、13dはフィラメント12a、12bの2倍の数が存在し、金属箔11a、11b、11c、11dも内部リード13a、13b、13c、13dと同数、すなわち、フィラメント12a、12bの2倍の数を配置する必要がある。これら複数の金属箔11a、11b、11c、11dを2つの封止部3a、3bに配置するには、スペース上の限界がある。
【0007】
さらに、半導体ウェハの急速加熱にはフィラメント12a、12bへの電力入力を高めることが求められており、大電流を流すことが可能な構造を必要としている。また、太陽電池製造工程においても、これまで以上に大きな基板を加熱することが求められており、フィラメントランプ1の発光長を長くすることが求められ、これに伴ってフィラメント12a、12bが長くなり、各々のフィラメント12a、12bが必要とする電力も大きくなっている。
【0008】
フィラメント12a、12bへの電力入力を高めるときには、種々の部材の許容量を考慮しなければならない。特に、フィラメントランプ1においては、金属箔11a、11b、11c、11dが問題となる。金属箔11a、11b、11c、11dへ流入する電流が大きくなれば、電流容量を大きくするために箔の幅を大きくしなければならないためである。金属箔11a、11b、11c、11dの幅が大きくなれば、2つの封止部3a、3bの限られたスペースに配置することができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、各々のフィラメントに独立に給電可能に連結された内部リードが接続する金属箔を封止部に備えつつも、フィラメントへの電力入力を高めたときでも、大電流を流すことが可能なフィラメントランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願第1の発明は、両端に封止部が形成された発光管と、前記発光管の内部に管軸方向に順次並んで配設された複数のフィラメントと、各フィラメントの両端に連結された内部リードと、各内部リードが一端に接続する封止部に設けられた複数の金属箔と、各金属箔の他端に接続する外部リードとを備えるフィラメントランプにおいて、
前記金属箔には、一方の面に内部リードが接続され、他方の面に外部リードが接続されるとともに、前記外部リードの端部は前記内部リードの端部より発光管側に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、本願第2の発明は、第1の発明において、前記内部リードと前記外部リードとは、前記金属箔の幅方向に離間して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願第1の発明によれば、外部リードの端部を内部リードの端部より発光管側に配置することによって、内部リードと外部リードとの間で電流を流れやすくし、金属箔の抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔の導体発熱量を抑えることができる。したがって、金属箔の箔幅を広げなくても、電流値を大きくすることができ、金属箔や封止部の温度上昇よる不具合を解消することができる。
また、金属箔の一方の面に内部リードが接続され、他方の面に外部リードが接続されることによって、内部リードが形成する未完全封止領域と外部リードが形成する未完全封止領域とが結合されることを防ぎ、発光管の内部が外気につながるリークを発生しにくくし、気密に封止することができる。
【0013】
本願第2の発明によれば、内部リードと外部リードとが、金属箔の幅方向に離間して配置されることによって、金属箔を介して存在する内部リードが形成する未完全封止領域と外部リードが形成する未完全封止領域とが結合されることを、より効果的に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、第1の実施形態のフィラメントランプ1を示す斜視図である。
フィラメントランプ1は、例えば石英ガラス等の光透過性材料からなる発光管2を備える。発光管2の両端には金属箔11a、11b、11c、11dが埋設されたピンチシールにより封止部3a、3bが形成され、発光管内部が気密に封止されている。発光管2の内部には、例えばタングステンからなり、発光管2の軸方向において2つに分割されたフィラメント12a、12bが、同一軸上に発光管2の軸に沿って空間を隔てて配設されている。
【0015】
フィラメント12aは、一端側に金属箔11aに接続された内部リード13aが電気的に接続され、他端側に金属箔11dに接続された内部リード13dが電気的に接続されている。
フィラメント12bは、フィラメント12aと同様にして、一端側に金属箔11cに接続された内部リード13cが電気的に接続され、他端側に金属箔11bに接続された内部リード13bが電気的に接続されている。
【0016】
ピンチシールされた封止部3aに、フィラメント12aに連結される内部リード13aを接続する金属箔11aと、フィラメント12bに連結される内部リード13bを接続する金属箔11bとが、横に並列して埋設されている。封止部3bに、フィラメント12bに連結される内部リード13cを接続する金属箔11cと、フィラメント12aに連結される内部リード13dを接続する金属箔11dとが、横に並列して埋設されている。
【0017】
さらに、封止部3a側の金属箔11a、11bには、それぞれ封止部3aから外部に導出する外部リード14a、14bが電気的に接続され、封止部3b側の金属箔11c、11dにも同様にして、それぞれ外部リード14c、14dが電気的に接続されている。これにより、フィラメント12aは外部リード14a、14dに電気的に接続され、フィラメント12bは外部リード14b、14cに電気的に接続される。
【0018】
図2は、第1の実施形態のフィラメントランプにおける封止部3aの拡大斜視図である。
封止部3aは、発光管2を加熱しながら潰して、ガラスとガラスを加熱溶着させて気密に封止している。また、ガラスは絶縁部材のため、金属箔11a、11bの周囲をガラスで溶着させることによって、隣に配置される金属箔11b、11aと絶縁し、独立に給電することができる。
【0019】
半導体ウェハや太陽電池の加熱に用いられるフィラメントランプは、各々のフィラメントに流す電流が大きいので、金属箔11a、11bに流れる電流も大きい。封止部3aを気密に封止して外部との絶縁を図るために、金属箔11a、11bは、封止部3aの縁からの離間距離Eを1.5mm以上に保つように配置される。また、金属箔11aと金属箔11bとの絶縁も図るために、互いの離間距離Dを1.0mm以上に保つように配置される。
【0020】
単純なピンチシールによる封止部3aの幅Lは、発光管2の径にほぼ等しくなる。このような限られた幅Lに、端から1.5mm以上離し(E)、互いに1.0mm以上離す(D)ように金属箔11a、11bを配置しなければならないため、金属箔11a、11bの幅をより一層小さくすることが求められている。また、フィラメントの数が増えれば、それにしたがって封止部3aに配置すべき金属箔の数も増えてくるので、さらに条件が厳しくなる。
【0021】
金属箔11a、11bの箔幅は電流容量との関係で決められている。金属箔11a、11bに電流が流れるとジュール熱が発生し、それが封止部3aを構成するガラスに伝わり、ガラスから外部空間に放熱される。金属箔11a、11bの温度が高くなりすぎると、封止部3aが加熱されてリークが生じることや、熱により金属箔11a、11bが伸縮することによって封止部3aを構成するガラスが割れたりする問題が発生する。
【0022】
このような理由から電流容量が大きくなるときは、金属箔11a、11bの箔幅を広げて金属箔11a、11bや封止部3aの温度が上がり過ぎないように調整する。しかし、封止部3aの限られた幅に配置される金属箔11a、11bの箔幅は広げることができない。そのため、発明者らは、金属箔11a、11bが放熱する導体発熱量を小さくして、封止部3aや金属箔11a、11bを許容温度の範囲に抑えることを考え付いた。
【0023】
図3は、第1の実施形態のフィラメントランプにおける金属箔11aの拡大斜視図である。
金属箔11aの導体発熱は、電流(A)の2乗と抵抗(Ω)に比例する。したがって、電流(A)を大きくすれば、導体発熱量が大きくなる。電流(A)が大きくなったときでも導体発熱量を抑えるためには、金属箔11aの抵抗(Ω)を小さくすることが求められる。
【0024】
そこで、金属箔11aに接続される内部リード13aの長さと、金属箔11aに接続される外部リード14aの長さを大きくして、内部リード13aと外部リード14aの離間距離Qを小さくし、内部リード13aと外部リード14aとが対向する断面積を大きくしている。言い換えると、金属箔11aにおいて、外部リード14aの接続する当該外部リード14aの端部141が、内部リード13aの接続する当該内部リード13aの端部131より発光管側に配置されるようにし、直線棒状の外部リード14aと直線棒状の内部リード13aとが軸方向に重なる部分Rが存在するようにしている。ここで、外部リード14aの端部141とは、外部リード14aの最先端をいい、内部リード13aの端部131も、内部リード13aの最先端をいう。例えば、外部リード14aや外部リード13aの先端が軸に対して斜めに切断された端面のときは、当該端面の軸方向先端を基準とする。
【0025】
このような構成にすることにより、内部リード13aと外部リード14aとの間で電流を流れやすくし、金属箔11aの抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔11aの導体発熱量を抑えることができる。したがって、金属箔11aの箔幅を広げなくても、電流値を大きくすることができ、金属箔11aや封止部3aの温度上昇よる不具合を解消することができる。
【0026】
しかしながら、封止部3aは、ピンチシールにより発光管2内を気密に封止しているが、内部リード13aや外部リード14aがあるところでは、ガラスを密着させることができず、内部リード13aや外部リード14aの周囲に空気層が存在し、未完全封止領域となっている。外部リード14aと内部リード13aとが軸方向に重なる部分Rが存在すると、内部リード13aの周囲に形成される未完全封止領域と、外部リード14aの周囲に形成される未完全封止領域とが結合されやすく、封止部3aにリークが発生しやすくなる。
【0027】
そこで、金属箔11aの一方の面である図上の表面に内部リード13aが接続し、他方の面である図上の裏面に外部リード14aが接続するように構成される。内部リード13aと外部リード14aとを、金属箔11aの表裏に配置することによって、内部リード13aの端部131の後端側で金属箔11aとガラスが密着し、外部リード14aの端部141の先端側で金属箔11aとガラスが密着する。金属箔11aを介して内部リード13aの周囲に形成される未完全封止領域と、外部リード14aの周囲に形成される未完全封止領域とが存在するので、内部リード13aが形成する未完全封止領域と外部リード14aが形成する未完全封止領域とが結合されることを防ぎ、発光管2の内部が外気につながるリークを発生しにくくし、気密に封止することができる。
【0028】
なお、内部リード13aと外部リード14aとを金属箔11aの表裏に配置しても、内部リード13aと外部リード14aとを同軸上に配置した場合は、箔を介してガスの抜けるリークが発生しやすくなる。したがって、内部リード13aと外部リード14aとは、金属箔11aの幅方向に離間して配置することが好ましい。
【0029】
図4は、第2の実施形態のフィラメントランプ1を示す斜視図である。
発光管2内には、3つのフィラメント24、25、26が管軸方向に並んで配置されている。各封止部3a、3bの直近に配置された2つのフィラメント24、26の両端にそれぞれ連結された内部リード24a、24b、26a、26bが、フィラメント24、26の直近の同一封止部方向に延在して、該封止部3a、3bで保持されるとともに、2つのフィラメント24、26の間に配置されたフィラメント25の両端に連結された内部リード25a、25bが、発光管2の軸方向において互いに異なる方向に延在して両端の各封止部3a、3bで保持されている。
【0030】
詳細には、一端部の封止部3aに直近するフィラメント24の内部リード24a、24bは、封止部3aから延在してそれぞれフィラメント24の端部に接続されている。これら内部リード24a、24bは共に、同一の封止部3aにおいて金属箔21a、21bと接続するように保持されている。
【0031】
一方、中央部に位置するフィラメント25の内部リード25a、25bはそれぞれ両端の封止部3a、3b方向に延在し、当該封止部3a、3bで金属箔22a、22bと接続するように保持されている。
他端側の封止部3bに直近するフィラメント26に関しても、上記フィラメント24と同様に、その内部リード26a、26bは他端部の封止部3b内で金属箔23a、23bと接続するように保持されている。
【0032】
金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bには、それぞれ外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bが接続されている。
【0033】
また、発光管2の内部の封止部3a、3b近傍には、ガラスブリッジ36が設けられている。該ガラスブリッジ36は、一対の円柱状ガラス部材からなり、その間にそれぞれ内部リード24a、24b、25a、内部リード25b、26a、26bが狭持される。
【0034】
上記のような構成とすることにより、中央部のフィラメント25の近傍には内部リードが延在することがなく、被処理体の直上に位置するフィラメント25からの照射光が内部リードによって遮られることがなく、均一照射が達成される。
【0035】
このような第2の実施形態のフィラメントランプ1においても、金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの一方の面に内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bが接続され、他方の面に外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bが接続される。これより、内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bが形成する未完全封止領域と、外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bが形成する未完全封止領域とが結合されることを防ぎ、発光管2の内部が外気につながるリークを発生しにくくし、気密に封止することができる。
【0036】
また、外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bの端部が内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bの端部より発光管側に配置されている。内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bと外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bとの間で電流を流れやすくし、金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの導体発熱量を抑えることができる。
【0037】
なお、本発明の金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bと外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bとの接続は、フィラメントランプ1の封止部3a、3bに配置される構成であるので、発光管1の内部の構造によらず適用することができる。
【0038】
図5は、第3の実施形態のフィラメントランプの一方の封止部3aを示す斜視図である。
第1の実施形態に示すフィラメントランプも、第2の実施形態に示すフィラメントランプも、封止部3a、3bがピンチシールされたものであるが、第3の実施形態に示すようにピンチシールに替えてシュリンクシールにしたフィラメントランプに対しても本発明の金属箔の内部リードと外部リードとの接続構成を適用することができる。
【0039】
石英ガラスからなる円柱状のガラス体42の外周面に、一方の端面から外周面上に概ね等間隔に長尺状の溝45が複数形成されており、他方の端面の外周面は滑らかになっている。この溝45の一部を覆うように金属箔41が配置され、金属箔41の表面に内部リード43が接続され、裏面に外部リード44が接続されている。外部リード44はガラス体42に形成された溝45の内部に配設されているため、金属箔41の表裏に内部リード43と外部リード44とを接続しても、金属箔41をガラス体42の外表面に滑らかに配置することができる。ガラス体42に図示しない発光管を加熱収縮してシュリンクシールすることにより、気密に封止することができる。
【0040】
シュリンクシールでは、金属箔41をガラス体42の外周面に配置するため、発光管の径と同等の幅しかないピンチシールに配置するときよりも、金属箔41を配置するスペースの余裕ができる。さらに、外部リード44の端部を内部リード43の端部より発光管側に配置することによって、内部リード43と外部リード44との間で電流を流れやすくし、金属箔41の抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔41の導体発熱量を抑えることができる。したがって、箔幅の小さい金属箔41を用いることができる。
【0041】
このような構成により、シュリンクシールにより金属箔41を配置するスペースを広げ、さらに、各々の金属箔41の箔幅を小さく抑えることができる。特に、多数の独立給電されるフィラメントを有するフィラメントランプにおいて、配置すべき金属箔41が増えた場合でも、各々の金属箔の絶縁を図りつつ、2つの封止部に配置することが可能になる。
【0042】
続いて実験例を示す。
図3に示すような金属箔に内部リードと外部リードが接続された結合体について、その抵抗値を測定した。
内部リードと外部リードの離間距離Qを3mmに固定し、外部リードと内部リードとが軸方向に重なる部分の長さRを1mm〜8mmの間で4通りの場合について抵抗値を測定した。実験対象の構成を以下に示す。
<構成>
金属箔 長さ 13mm
幅 6mm
内部リード 長さ 20mm
径 0.8mm
内部リード 長さ 20mm
径 0.8mm
【0043】
また、比較対象として、上記構成の金属箔に対して内部リードと外部リードとが同軸上に9mm離間して配置された従来技術に係る金属箔に内部リードと外部リードが接続された結合体について、その抵抗値を測定した。
実験結果を以下の表に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
これらの結果より、金属箔において、外部リードの端部が内部リードの端部より発光管側に配置されるようにし、外部リードと内部リードとが軸方向に重なる部分Rが存在するようにしている本発明の結合体は、比較対象の結合体に比べて抵抗値が下がることが確かめられた。また、外部リードと内部リードとが軸方向に重なる部分の長さRが大きいほど、金属箔に内部リードと外部リードが接続された結合体の抵抗値が下がることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のフィラメントランプを示す斜視図
【図2】本発明のフィラメントランプにおける封止部の拡大斜視図
【図3】本発明のフィラメントランプにおける金属箔の拡大斜視図
【図4】本発明のフィラメントランプを示す斜視図
【図5】本発明のフィラメントランプの一方の封止部を示す斜視図
【図6】従来のフィラメントランプを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 フィラメントランプ
2 発光管
3a、3b 封止部
11a、11b、11c、11d 金属箔
12a、12b フィラメント
13a、13b、13c、13d 内部リード
14a、14b、14c、14d 外部リード
21a、21b、22a、22b、23a、23b 金属箔
24、25、26 フィラメント
24a、24b 内部リード
27a、27b、28a、28b、29a、29b 外部リード
41 金属箔
42 ガラス体
43 内部リード
44 外部リード
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハの加熱・太陽電池加熱又は液晶の加熱処理に用いられるフィラメントランプに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程における光照射式加熱装置は、成膜、拡散、アニール等、広範囲に渡って利用されており、いずれの処理も板状の被処理物等の半導体ウェハを急速に加熱することができ、1000℃以上にまで数秒間〜数十秒間で昇温させるものである。近年は更に高速で昇温させることが要求されてきており、ランプに投入される電力が大きくなってきている。これはスパイクアニールと呼ばれており、200℃/秒を超える高速で昇温させ、目的温度に達したら直ちに冷却することが行われる。このスパイクアニールにより非常に薄い拡散層(シャロージャンクション)を形成させることができ、半導体素子の性能を向上させることができる。
【0003】
また、加熱時、半導体ウェハの温度分布が不均一になると、半導体ウェハにスリップと呼ばれる現象、即ち、結晶転移の欠陥が発生し、不良品となるおそれがある。そこで光照射式加熱装置を用いて半導体ウェハを加熱処理する場合には、半導体ウェハの温度分布が均一になるように、加熱・高温保持・冷却する必要がある。温度分布を均一にする提案として、特開2006−279008には1本の発光管に独立に給電可能な複数のフィラメントを具備したフィラメントランプが提案されており、これにより部分的にフィラメントに入力する電力を変えることができ、高均一な温度分布になるよう調整することができる。
【0004】
図6は、従来のフィラメントランプ1を示す斜視図である。
両端が端部封止部3a、3bで気密に封止された直管状の発光管2内には、コイル状のフィラメント12a、12bが発光管2の管軸方向に伸びるよう順次に並んで配置され、各フィラメント12a、12bの両端には、それぞれ給電用の内部リード13a、13b、13c、13dが連結されている。
【0005】
上記の各フィラメントの内部リードは、それぞれ両端封止部に延びて、個別に金属箔を介して外部リードに電気的に接続されている。
即ち、各フィラメント12a、12bの一端側の内部リード13a、13bはそれぞれ一端側封止部3aの金属箔11a、11bを介して、一端側の外部リード14a、14bに電気的に接続されている。
同様に、他端側の内部リード13c、13dはそれぞれ他端側封止部3bの金属箔11c、11dを介して、端側の外部リード14c、14dに電気的に接続されている。
【特許文献1】特開2006−279008公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、個々のフィラメント12a、12bの両端に連結された内部リードに独立給電するために、2つの封止部3a、3bにおいて内部リード13a、13b、13c、13dと等しい数の金属箔11a、11b、11c、11dを配置し、各々の金属箔11a、11b、11c、11dに接続された外部リード14a、14b、14c、14dのそれぞれに給電しなければならない。封止部3a、3bは、発光管2の両端の2つしかなく、その大きさも発光管2の径に依存するため、幅を広げることは難しい。一方、内部リード13a、13b、13c、13dはフィラメント12a、12bの2倍の数が存在し、金属箔11a、11b、11c、11dも内部リード13a、13b、13c、13dと同数、すなわち、フィラメント12a、12bの2倍の数を配置する必要がある。これら複数の金属箔11a、11b、11c、11dを2つの封止部3a、3bに配置するには、スペース上の限界がある。
【0007】
さらに、半導体ウェハの急速加熱にはフィラメント12a、12bへの電力入力を高めることが求められており、大電流を流すことが可能な構造を必要としている。また、太陽電池製造工程においても、これまで以上に大きな基板を加熱することが求められており、フィラメントランプ1の発光長を長くすることが求められ、これに伴ってフィラメント12a、12bが長くなり、各々のフィラメント12a、12bが必要とする電力も大きくなっている。
【0008】
フィラメント12a、12bへの電力入力を高めるときには、種々の部材の許容量を考慮しなければならない。特に、フィラメントランプ1においては、金属箔11a、11b、11c、11dが問題となる。金属箔11a、11b、11c、11dへ流入する電流が大きくなれば、電流容量を大きくするために箔の幅を大きくしなければならないためである。金属箔11a、11b、11c、11dの幅が大きくなれば、2つの封止部3a、3bの限られたスペースに配置することができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、各々のフィラメントに独立に給電可能に連結された内部リードが接続する金属箔を封止部に備えつつも、フィラメントへの電力入力を高めたときでも、大電流を流すことが可能なフィラメントランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願第1の発明は、両端に封止部が形成された発光管と、前記発光管の内部に管軸方向に順次並んで配設された複数のフィラメントと、各フィラメントの両端に連結された内部リードと、各内部リードが一端に接続する封止部に設けられた複数の金属箔と、各金属箔の他端に接続する外部リードとを備えるフィラメントランプにおいて、
前記金属箔には、一方の面に内部リードが接続され、他方の面に外部リードが接続されるとともに、前記外部リードの端部は前記内部リードの端部より発光管側に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、本願第2の発明は、第1の発明において、前記内部リードと前記外部リードとは、前記金属箔の幅方向に離間して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願第1の発明によれば、外部リードの端部を内部リードの端部より発光管側に配置することによって、内部リードと外部リードとの間で電流を流れやすくし、金属箔の抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔の導体発熱量を抑えることができる。したがって、金属箔の箔幅を広げなくても、電流値を大きくすることができ、金属箔や封止部の温度上昇よる不具合を解消することができる。
また、金属箔の一方の面に内部リードが接続され、他方の面に外部リードが接続されることによって、内部リードが形成する未完全封止領域と外部リードが形成する未完全封止領域とが結合されることを防ぎ、発光管の内部が外気につながるリークを発生しにくくし、気密に封止することができる。
【0013】
本願第2の発明によれば、内部リードと外部リードとが、金属箔の幅方向に離間して配置されることによって、金属箔を介して存在する内部リードが形成する未完全封止領域と外部リードが形成する未完全封止領域とが結合されることを、より効果的に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、第1の実施形態のフィラメントランプ1を示す斜視図である。
フィラメントランプ1は、例えば石英ガラス等の光透過性材料からなる発光管2を備える。発光管2の両端には金属箔11a、11b、11c、11dが埋設されたピンチシールにより封止部3a、3bが形成され、発光管内部が気密に封止されている。発光管2の内部には、例えばタングステンからなり、発光管2の軸方向において2つに分割されたフィラメント12a、12bが、同一軸上に発光管2の軸に沿って空間を隔てて配設されている。
【0015】
フィラメント12aは、一端側に金属箔11aに接続された内部リード13aが電気的に接続され、他端側に金属箔11dに接続された内部リード13dが電気的に接続されている。
フィラメント12bは、フィラメント12aと同様にして、一端側に金属箔11cに接続された内部リード13cが電気的に接続され、他端側に金属箔11bに接続された内部リード13bが電気的に接続されている。
【0016】
ピンチシールされた封止部3aに、フィラメント12aに連結される内部リード13aを接続する金属箔11aと、フィラメント12bに連結される内部リード13bを接続する金属箔11bとが、横に並列して埋設されている。封止部3bに、フィラメント12bに連結される内部リード13cを接続する金属箔11cと、フィラメント12aに連結される内部リード13dを接続する金属箔11dとが、横に並列して埋設されている。
【0017】
さらに、封止部3a側の金属箔11a、11bには、それぞれ封止部3aから外部に導出する外部リード14a、14bが電気的に接続され、封止部3b側の金属箔11c、11dにも同様にして、それぞれ外部リード14c、14dが電気的に接続されている。これにより、フィラメント12aは外部リード14a、14dに電気的に接続され、フィラメント12bは外部リード14b、14cに電気的に接続される。
【0018】
図2は、第1の実施形態のフィラメントランプにおける封止部3aの拡大斜視図である。
封止部3aは、発光管2を加熱しながら潰して、ガラスとガラスを加熱溶着させて気密に封止している。また、ガラスは絶縁部材のため、金属箔11a、11bの周囲をガラスで溶着させることによって、隣に配置される金属箔11b、11aと絶縁し、独立に給電することができる。
【0019】
半導体ウェハや太陽電池の加熱に用いられるフィラメントランプは、各々のフィラメントに流す電流が大きいので、金属箔11a、11bに流れる電流も大きい。封止部3aを気密に封止して外部との絶縁を図るために、金属箔11a、11bは、封止部3aの縁からの離間距離Eを1.5mm以上に保つように配置される。また、金属箔11aと金属箔11bとの絶縁も図るために、互いの離間距離Dを1.0mm以上に保つように配置される。
【0020】
単純なピンチシールによる封止部3aの幅Lは、発光管2の径にほぼ等しくなる。このような限られた幅Lに、端から1.5mm以上離し(E)、互いに1.0mm以上離す(D)ように金属箔11a、11bを配置しなければならないため、金属箔11a、11bの幅をより一層小さくすることが求められている。また、フィラメントの数が増えれば、それにしたがって封止部3aに配置すべき金属箔の数も増えてくるので、さらに条件が厳しくなる。
【0021】
金属箔11a、11bの箔幅は電流容量との関係で決められている。金属箔11a、11bに電流が流れるとジュール熱が発生し、それが封止部3aを構成するガラスに伝わり、ガラスから外部空間に放熱される。金属箔11a、11bの温度が高くなりすぎると、封止部3aが加熱されてリークが生じることや、熱により金属箔11a、11bが伸縮することによって封止部3aを構成するガラスが割れたりする問題が発生する。
【0022】
このような理由から電流容量が大きくなるときは、金属箔11a、11bの箔幅を広げて金属箔11a、11bや封止部3aの温度が上がり過ぎないように調整する。しかし、封止部3aの限られた幅に配置される金属箔11a、11bの箔幅は広げることができない。そのため、発明者らは、金属箔11a、11bが放熱する導体発熱量を小さくして、封止部3aや金属箔11a、11bを許容温度の範囲に抑えることを考え付いた。
【0023】
図3は、第1の実施形態のフィラメントランプにおける金属箔11aの拡大斜視図である。
金属箔11aの導体発熱は、電流(A)の2乗と抵抗(Ω)に比例する。したがって、電流(A)を大きくすれば、導体発熱量が大きくなる。電流(A)が大きくなったときでも導体発熱量を抑えるためには、金属箔11aの抵抗(Ω)を小さくすることが求められる。
【0024】
そこで、金属箔11aに接続される内部リード13aの長さと、金属箔11aに接続される外部リード14aの長さを大きくして、内部リード13aと外部リード14aの離間距離Qを小さくし、内部リード13aと外部リード14aとが対向する断面積を大きくしている。言い換えると、金属箔11aにおいて、外部リード14aの接続する当該外部リード14aの端部141が、内部リード13aの接続する当該内部リード13aの端部131より発光管側に配置されるようにし、直線棒状の外部リード14aと直線棒状の内部リード13aとが軸方向に重なる部分Rが存在するようにしている。ここで、外部リード14aの端部141とは、外部リード14aの最先端をいい、内部リード13aの端部131も、内部リード13aの最先端をいう。例えば、外部リード14aや外部リード13aの先端が軸に対して斜めに切断された端面のときは、当該端面の軸方向先端を基準とする。
【0025】
このような構成にすることにより、内部リード13aと外部リード14aとの間で電流を流れやすくし、金属箔11aの抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔11aの導体発熱量を抑えることができる。したがって、金属箔11aの箔幅を広げなくても、電流値を大きくすることができ、金属箔11aや封止部3aの温度上昇よる不具合を解消することができる。
【0026】
しかしながら、封止部3aは、ピンチシールにより発光管2内を気密に封止しているが、内部リード13aや外部リード14aがあるところでは、ガラスを密着させることができず、内部リード13aや外部リード14aの周囲に空気層が存在し、未完全封止領域となっている。外部リード14aと内部リード13aとが軸方向に重なる部分Rが存在すると、内部リード13aの周囲に形成される未完全封止領域と、外部リード14aの周囲に形成される未完全封止領域とが結合されやすく、封止部3aにリークが発生しやすくなる。
【0027】
そこで、金属箔11aの一方の面である図上の表面に内部リード13aが接続し、他方の面である図上の裏面に外部リード14aが接続するように構成される。内部リード13aと外部リード14aとを、金属箔11aの表裏に配置することによって、内部リード13aの端部131の後端側で金属箔11aとガラスが密着し、外部リード14aの端部141の先端側で金属箔11aとガラスが密着する。金属箔11aを介して内部リード13aの周囲に形成される未完全封止領域と、外部リード14aの周囲に形成される未完全封止領域とが存在するので、内部リード13aが形成する未完全封止領域と外部リード14aが形成する未完全封止領域とが結合されることを防ぎ、発光管2の内部が外気につながるリークを発生しにくくし、気密に封止することができる。
【0028】
なお、内部リード13aと外部リード14aとを金属箔11aの表裏に配置しても、内部リード13aと外部リード14aとを同軸上に配置した場合は、箔を介してガスの抜けるリークが発生しやすくなる。したがって、内部リード13aと外部リード14aとは、金属箔11aの幅方向に離間して配置することが好ましい。
【0029】
図4は、第2の実施形態のフィラメントランプ1を示す斜視図である。
発光管2内には、3つのフィラメント24、25、26が管軸方向に並んで配置されている。各封止部3a、3bの直近に配置された2つのフィラメント24、26の両端にそれぞれ連結された内部リード24a、24b、26a、26bが、フィラメント24、26の直近の同一封止部方向に延在して、該封止部3a、3bで保持されるとともに、2つのフィラメント24、26の間に配置されたフィラメント25の両端に連結された内部リード25a、25bが、発光管2の軸方向において互いに異なる方向に延在して両端の各封止部3a、3bで保持されている。
【0030】
詳細には、一端部の封止部3aに直近するフィラメント24の内部リード24a、24bは、封止部3aから延在してそれぞれフィラメント24の端部に接続されている。これら内部リード24a、24bは共に、同一の封止部3aにおいて金属箔21a、21bと接続するように保持されている。
【0031】
一方、中央部に位置するフィラメント25の内部リード25a、25bはそれぞれ両端の封止部3a、3b方向に延在し、当該封止部3a、3bで金属箔22a、22bと接続するように保持されている。
他端側の封止部3bに直近するフィラメント26に関しても、上記フィラメント24と同様に、その内部リード26a、26bは他端部の封止部3b内で金属箔23a、23bと接続するように保持されている。
【0032】
金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bには、それぞれ外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bが接続されている。
【0033】
また、発光管2の内部の封止部3a、3b近傍には、ガラスブリッジ36が設けられている。該ガラスブリッジ36は、一対の円柱状ガラス部材からなり、その間にそれぞれ内部リード24a、24b、25a、内部リード25b、26a、26bが狭持される。
【0034】
上記のような構成とすることにより、中央部のフィラメント25の近傍には内部リードが延在することがなく、被処理体の直上に位置するフィラメント25からの照射光が内部リードによって遮られることがなく、均一照射が達成される。
【0035】
このような第2の実施形態のフィラメントランプ1においても、金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの一方の面に内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bが接続され、他方の面に外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bが接続される。これより、内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bが形成する未完全封止領域と、外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bが形成する未完全封止領域とが結合されることを防ぎ、発光管2の内部が外気につながるリークを発生しにくくし、気密に封止することができる。
【0036】
また、外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bの端部が内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bの端部より発光管側に配置されている。内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bと外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bとの間で電流を流れやすくし、金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの導体発熱量を抑えることができる。
【0037】
なお、本発明の金属箔21a、21b、22a、22b、23a、23bの内部リード24a、24b、25a、25b、26a、26bと外部リード27a、27b、28a、28b、29a、29bとの接続は、フィラメントランプ1の封止部3a、3bに配置される構成であるので、発光管1の内部の構造によらず適用することができる。
【0038】
図5は、第3の実施形態のフィラメントランプの一方の封止部3aを示す斜視図である。
第1の実施形態に示すフィラメントランプも、第2の実施形態に示すフィラメントランプも、封止部3a、3bがピンチシールされたものであるが、第3の実施形態に示すようにピンチシールに替えてシュリンクシールにしたフィラメントランプに対しても本発明の金属箔の内部リードと外部リードとの接続構成を適用することができる。
【0039】
石英ガラスからなる円柱状のガラス体42の外周面に、一方の端面から外周面上に概ね等間隔に長尺状の溝45が複数形成されており、他方の端面の外周面は滑らかになっている。この溝45の一部を覆うように金属箔41が配置され、金属箔41の表面に内部リード43が接続され、裏面に外部リード44が接続されている。外部リード44はガラス体42に形成された溝45の内部に配設されているため、金属箔41の表裏に内部リード43と外部リード44とを接続しても、金属箔41をガラス体42の外表面に滑らかに配置することができる。ガラス体42に図示しない発光管を加熱収縮してシュリンクシールすることにより、気密に封止することができる。
【0040】
シュリンクシールでは、金属箔41をガラス体42の外周面に配置するため、発光管の径と同等の幅しかないピンチシールに配置するときよりも、金属箔41を配置するスペースの余裕ができる。さらに、外部リード44の端部を内部リード43の端部より発光管側に配置することによって、内部リード43と外部リード44との間で電流を流れやすくし、金属箔41の抵抗(Ω)を小さくすることができる。抵抗(Ω)を小さくすることによって、金属箔41の導体発熱量を抑えることができる。したがって、箔幅の小さい金属箔41を用いることができる。
【0041】
このような構成により、シュリンクシールにより金属箔41を配置するスペースを広げ、さらに、各々の金属箔41の箔幅を小さく抑えることができる。特に、多数の独立給電されるフィラメントを有するフィラメントランプにおいて、配置すべき金属箔41が増えた場合でも、各々の金属箔の絶縁を図りつつ、2つの封止部に配置することが可能になる。
【0042】
続いて実験例を示す。
図3に示すような金属箔に内部リードと外部リードが接続された結合体について、その抵抗値を測定した。
内部リードと外部リードの離間距離Qを3mmに固定し、外部リードと内部リードとが軸方向に重なる部分の長さRを1mm〜8mmの間で4通りの場合について抵抗値を測定した。実験対象の構成を以下に示す。
<構成>
金属箔 長さ 13mm
幅 6mm
内部リード 長さ 20mm
径 0.8mm
内部リード 長さ 20mm
径 0.8mm
【0043】
また、比較対象として、上記構成の金属箔に対して内部リードと外部リードとが同軸上に9mm離間して配置された従来技術に係る金属箔に内部リードと外部リードが接続された結合体について、その抵抗値を測定した。
実験結果を以下の表に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
これらの結果より、金属箔において、外部リードの端部が内部リードの端部より発光管側に配置されるようにし、外部リードと内部リードとが軸方向に重なる部分Rが存在するようにしている本発明の結合体は、比較対象の結合体に比べて抵抗値が下がることが確かめられた。また、外部リードと内部リードとが軸方向に重なる部分の長さRが大きいほど、金属箔に内部リードと外部リードが接続された結合体の抵抗値が下がることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のフィラメントランプを示す斜視図
【図2】本発明のフィラメントランプにおける封止部の拡大斜視図
【図3】本発明のフィラメントランプにおける金属箔の拡大斜視図
【図4】本発明のフィラメントランプを示す斜視図
【図5】本発明のフィラメントランプの一方の封止部を示す斜視図
【図6】従来のフィラメントランプを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 フィラメントランプ
2 発光管
3a、3b 封止部
11a、11b、11c、11d 金属箔
12a、12b フィラメント
13a、13b、13c、13d 内部リード
14a、14b、14c、14d 外部リード
21a、21b、22a、22b、23a、23b 金属箔
24、25、26 フィラメント
24a、24b 内部リード
27a、27b、28a、28b、29a、29b 外部リード
41 金属箔
42 ガラス体
43 内部リード
44 外部リード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に封止部が形成された発光管と、前記発光管の内部に管軸方向に順次並んで配設された複数のフィラメントと、各フィラメントの両端に連結された内部リードと、各内部リードが一端に接続する封止部に設けられた複数の金属箔と、各金属箔の他端に接続する外部リードとを備えるフィラメントランプにおいて、
前記金属箔には、一方の面に内部リードが接続され、他方の面に外部リードが接続されるとともに、前記外部リードの端部は前記内部リードの端部より発光管側に配置されることを特徴とするフィラメントランプ。
【請求項2】
前記内部リードと前記外部リードとは、前記金属箔の幅方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントランプ。
【請求項1】
両端に封止部が形成された発光管と、前記発光管の内部に管軸方向に順次並んで配設された複数のフィラメントと、各フィラメントの両端に連結された内部リードと、各内部リードが一端に接続する封止部に設けられた複数の金属箔と、各金属箔の他端に接続する外部リードとを備えるフィラメントランプにおいて、
前記金属箔には、一方の面に内部リードが接続され、他方の面に外部リードが接続されるとともに、前記外部リードの端部は前記内部リードの端部より発光管側に配置されることを特徴とするフィラメントランプ。
【請求項2】
前記内部リードと前記外部リードとは、前記金属箔の幅方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−33856(P2010−33856A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194260(P2008−194260)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
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