フィルタ、デュープレクサ、通信モジュール
【課題】高周波帯の適切な周波数位置に減衰極を配置することができるとともに低損失なフィルタを提供する。
【解決手段】信号線に直列接続される複数の直列共振子と、信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、二つの並列共振子にそれぞれインダクタが直列接続され、インダクタは互いに異なるインダクタンスを有する。
【解決手段】信号線に直列接続される複数の直列共振子と、信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、二つの並列共振子にそれぞれインダクタが直列接続され、インダクタは互いに異なるインダクタンスを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、フィルタに関する。また、フィルタを備えたデュープレクサ、通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末に代表される無線機器の急速な普及により、高周波フィルタへの需要が急速に拡大している。特に、小型で高い急峻性を有する弾性波フィルタへの需要は旺盛である。
【0003】
近年、無線システムの高度化が急速に進展しており、それに伴い、高周波フィルタへの要求仕様は非常に複雑化している。例えば、デュープレクサに含まれる送信フィルタおよび受信フィルタは、通過帯域において低損失であり、相手帯域(送信フィルタの帯域に対する受信フィルタの帯域、および受信フィルタの帯域に対する送信フィルタの帯域)において抑圧が高いことが好ましい。
【0004】
一般に、携帯電話端末等に搭載されるフィルタは、通過帯域を広く確保するため、共振子を多段接続することが多い。例えば、特許文献には、ラダーフィルタの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004−15397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では、抑圧帯域における減衰極の数を増やすためにラダーフィルタの段数を増加させると、通過帯域の損失を増加させてしまう。
【0007】
また、並列共振子にインダクタを接続する構成では、減衰極を、最も抑圧を必要とする周波数帯域に配置することが困難である。
【0008】
そのため、本発明は、適切な周波数位置に減衰極を配置することができるとともに低損失なフィルタを提供することを目的とする。また、そのようなフィルタを備えたデュープレクサ、通信モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示するフィルタは、信号線に直列接続される複数の直列共振子と、前記信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、前記複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に、少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、前記二つの並列共振子にそれぞれインダクタが直列接続され、前記インダクタは、互いに異なるインダクタンスを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示によれば、高周波帯の適切な周波数位置に減衰極を配置することができ、十分な不要帯域の抑圧を実現することができる。また、フィルタの段数を大幅に増加させずに減衰極を増やすことができるため、通過帯域の損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】入力端子Tinと出力端子Toutとに直列に共振子Sを接続した回路図
【図1B】入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に共振子Pを接続した回路図
【図1C】共振子S及び共振子Pの周波数特性を示す特性図
【図2A】図1Aに示す共振子Sを直列腕に配し、図1Bに示す共振子Pを並列腕に配した回路図
【図2B】図2Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図3A】ラダーフィルタの構成を示す回路図
【図3B】ラダーフィルタの構成を示す回路図
【図4A】並列共振子にインダクタンスを接続したフィルタの回路図
【図4B】図4Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図5A】並列共振子にインダクタンスを接続したフィルタの回路図
【図5B】図4Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図6A】従来のフィルタの変形例を示す回路図
【図6B】従来のフィルタの変形例を示す回路図
【図6C】従来のフィルタの変形例を示す回路図
【図7】図6Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図8】本実施の形態のフィルタの第1の構成を示す回路図
【図9】本実施の形態のフィルタの第2の構成を示す回路図
【図10A】本実施の形態のフィルタの変形例を示す回路図
【図10B】本実施の形態のフィルタの変形例を示す回路図
【図10C】本実施の形態のフィルタの変形例を示す回路図
【図11A】従来のフィルタ(図6Aに示すフィルタ)に回路定数を付加した回路図
【図11B】本実施の形態のフィルタ(図10Cに示すフィルタ)に回路定数を付加した回路図
【図12】図11Bに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図13】図12に示す周波数特性と、図11Aに示す従来のフィルタの周波数特性とを示す特性図
【図14A】図13におけるZ部の拡大図
【図14B】図14AにおけるY部の拡大図
【図15A】本実施の形態のフィルタを採用した弾性表面波フィルタ(SAWフィルタ)のチップレイアウトの一例を示す模式図
【図15B】図15Aに示すフィルタチップを実装可能なプリント基板の平面図
【図16A】本実施の形態のフィルタを採用した圧電薄膜共振子フィルタ(FBARフィルタ)のチップレイアウトの一例を示す模式図
【図16B】図16Aに示すフィルタチップを実装可能なプリント基板の平面図
【図17】本実施の形態のフィルタを備えたデュープレクサのブロック図
【図18】RFモジュールのブロック図
【図19】ラチスフィルタの回路図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態におけるフィルタは、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
【0013】
すなわち、フィルタにおいて、前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラダー型に接続されている構成とすることができる。
【0014】
フィルタにおいて、前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラチス型に接続されている構成とすることができる。
【0015】
フィルタにおいて、互いに異なるインダクタンスを有するインダクタが接続された並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つのインダクタを介して接地されている構成とすることができる。
【0016】
(実施の形態)
〔1.フィルタの原理等〕
上述したように、フィルタは、通過帯域の低損失化と、抑圧帯域における高い抑圧が求められる。さらに近年では、例えば、混変調を防ぐために通過帯域の高調波(2倍波、3倍波)での高い抑圧も要求されることもある。また、例えば、ワイヤレスLAN(Local Area Network)やブルートゥース(登録商標)といった無線システムとの干渉を防ぐため、これらの使用周波数帯での抑圧の要求も存在する。
【0017】
低損失な高周波フィルタを実現する手法として、ラダーフィルタが広く用いられている。ラダーフィルタは、共振周波数の異なる二つの共振子を梯子状に結線して構成される高周波フィルタである。図1A〜図1Cを参照して、フィルタの原理を説明する。
【0018】
図1Aは、入力端子Tinと出力端子Toutとに直列に共振子Sを接続した回路である。図1Bは、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に共振子Pを接続した回路である。図1Aに示す共振子Sは、共振周波数frs、反共振周波数fasを有する。図1Bに示す共振子Pは、共振周波数frp、反共振周波数fapを有する。図1Cは、共振子Sと共振子Pの共振特性を示す。
【0019】
図2Aは、図1Aに示す共振子Sを直列腕に配し、図1Bに示す共振子Pを並列腕に配した回路図を示す。図2Aにおいて共振子Pの反共振周波数fapと共振子Sの共振周波数frsとがほぼ同じ値を有するとき、図2Bに示すフィルタ特性を実現することができる。すなわち、共振器Pの共振周波数frpと共振子Sの反共振周波数fasとの間を通過帯域とし、共振周波数frpよりも低域側および反共振周波数fasよりも高域側を減衰域とした、バンドパスフィルタを実現することができる。
【0020】
一般に、携帯電話端末等に搭載されるフィルタは、通過帯域を図2Bに示す帯域よりも広く確保するため、図2Aに示す共振子を多段接続することが多い。共振子を多段接続するフィルタとして、一対の梯子型回路を多段に接続したラダーフィルタがある。
【0021】
図3Aは、ラダーフィルタの一例を示す。図3Aに示すように、ラダーフィルタは、共振子を多段接続する際、各段間での反射を防ぐため、隣り合う梯子型回路はミラー反転させた形で接続される。なお、以下の説明において、直列腕に接続された共振子を直列共振子と称し、並列腕に接続された共振子を並列共振子と称する。
【0022】
図3Aに示すように共振子を多段接続すると、図中の破線枠に示すように、直列腕において同種の直列共振子が接続されている箇所と、並列腕において同種の並列共振子が接続されている箇所とが存在する。これらの同種の共振子は、図3Bに示すように一つの共振子として容量的に合成することができるため、チップサイズを小型化することができる。なお、特許文献1には、図3Bに示すラダーフィルタの一例が開示されている。
【0023】
図3Bに示すラダーフィルタにおいて、前述したように通過帯域の高調波(2倍波、3倍波)において高い抑圧を実現するために、並列共振子にインダクタを接続する構成が提案されている。なお、共振子は、共振動作する周波数帯域外では容量として機能するため、インダクタが接続された並列共振子は共振動作する周波数帯域外ではLC共振子として機能する。
【0024】
図4Aは、並列共振子にインダクタを接続したフィルタを示す。図4Aに示すように、容量Cpを有する二つの並列共振子P11,P12に、それぞれインダクタンスH1,H2を有するインダクタL1,L2を直列接続した場合、図4Bに示すように通過帯域外の周波数f1,f2において減衰極が生成される。減衰極の周波数f1,f2は、以下の数式に基づいて算出することができる。以下の数式において、Cpは並列共振子の容量である。
【0025】
f1=1/{2π(H1・Cp)1/2}
f2=1/{2π(H2・Cp)1/2}
以上のように並列共振子を増設し、その並列共振子にインダクタを直列接続することで、減衰極の数を増やすことが可能となる。
【0026】
一方、図5Aに示すように、並列共振子P11,P12に対して一つのインダクタL3を接続した場合、図5Bに示すように通過帯域外の周波数f3において減衰極が生成される。
【0027】
図4Aに示すフィルタは、図6A〜図6Cに示すようないくつかの変形例が考えられるが、いずれも通過帯域の高周波帯にインダクタによって二つの減衰極が生成され、図4Aと等価の回路となる。
【0028】
ここで、減衰極の数を増やすためにラダーフィルタの段数を増加させると、通過帯域の損失を増加させてしまう。また、並列共振子にインダクタを接続する構成では、減衰極を、最も抑圧を必要とする周波数帯域に配置することが困難である。
【0029】
例えば、図7は、図6Aに示すフィルタの周波数特性を示した図である。図7に示すように、図6Aに示すフィルタでは、高周波帯に生成される二つの減衰極は、Rx帯とブルートゥース(以下、BTと称する)帯との間(減衰極A)と、Tx2倍波とTx3倍波との間(減衰極B)とに配置される。これらの減衰極を、最も抑圧を必要とする周波数帯域(BT帯、Tx2倍波帯、Tx3倍波帯)に配置することが求められる
下記の実施形態では、高周波帯の適切な周波数位置に減衰極を配置することができるとともに低損失なフィルタを提供することができる。
【0030】
〔2.フィルタの構成〕
図8は、本実施の形態にかかるフィルタの第1の構成の回路図である。図8に示すフィルタでは、直列腕(信号線)に直列共振子S11,S12,S13が接続されている。また、隣り合う直列共振子S11及びS12の間に、直列腕(信号線)に対して並列に並列共振子P21,P22が接続されている。また、隣り合う直列共振子S12及びS13の間に、直列腕に対して並列に並列共振子P23,P24が接続されている。また、並列共振子P21には、インダクタL11が接続されている。また、並列共振子P22には、インダクタL12が接続されている。また、並列共振子P23には、インダクタL13が接続されている。また、並列共振子P24には、インダクタL14が接続されている。インダクタL11〜L14は、それぞれ異なるインダクタンス(値)を有する。
【0031】
図8に示すフィルタでは、一つにまとめられていた並列共振子が並列分割され、各々の並列共振子にそれぞれ異なるインダクタンスを有するインダクタが接続されている。このような回路構成とすることにより、共振子の段数を増やすことなく減衰極を増やすことが可能となる。すなわち、図8に示すフィルタは、共振子の段数が図4Aに示すフィルタなどと同様で4段であるが、減衰極を4カ所に形成することができる(図4Aに示すフィルタでは減衰極は2カ所)。
【0032】
なお、フィルタの段数は、一つの直列共振子と一つの並列共振子とで1段とする。例えば、図4Aに示す回路では、S11とP11、S12とP11、S13とP12,S14とP12がそれぞれ組となり、合計4段のフィルタを実現している。一方、図8に示す回路では、S11とP21、S12とP22、S13とP23、S14とP24がそれぞれ組となり、合計4段のフィルタを実現している。
【0033】
図9は、本実施の形態にかかるフィルタの第2の構成の回路図である。図9に示すフィルタは、直列腕に直列共振子S11,S12,S13が接続されている。また、直列共振子S11及びS12の間に、直列腕に対して並列に並列共振子P21,P22が接続されている。また、直列共振子S12及びS13の間に、直列腕に対して並列に並列共振子P23が接続されている。また、並列共振子P21には、インダクタL11が接続されている。また、並列共振子P22には、インダクタL12が接続されている。また、並列共振子P23には、インダクタL13が接続されている。インダクタL11〜L13は、それぞれ異なるインダクタンスを有する。
【0034】
図9に示すフィルタでは、一つにまとめられていた並列共振子が並列分割され、各々の並列共振子にそれぞれ異なるインダクタンスを有するインダクタが接続される。このような回路構成とすることにより、共振子の段数を増やすことなく減衰極を増設することが可能となる。すなわち、図9に示すフィルタは、共振子の段数が図4Aに示すフィルタなどと同様で4段であるが、減衰極を3カ所に形成することができる(図4Aに示すフィルタでは減衰極は2カ所)。
【0035】
なお、本実施の形態におけるフィルタは、一例として、WCDMA_Band2に対応したフィルタとして用いることができる。WCDMA_Band2では、高周波帯に必要とされる減衰極は3つ(BT帯,Tx2倍波帯,Tx3倍波帯)である。したがって、図8に示すフィルタは、WCDMA_Band2に対応することができる。また、図9に示すように、並列共振子とインダクタとを接続したブランチを一つ削除してもWCDMA_Band2に対応することができる。
【0036】
図10A〜図10Cは、本実施の形態のフィルタの変形例を示す。図10Aに示すフィルタは、インダクタL11を並列共振子P21に接続し、インダクタL12を並列共振子P22に接続し、インダクタL13をインダクタL11,L12,および並列共振子P23に接続している。このとき、インダクタL11及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL12及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL13のインダクタンスとが同じ値にならないように、各インダクタのインダクタンスを設定する。
【0037】
図10Bに示すフィルタは、インダクタL11を並列共振子P21に接続し、インダクタL12を並列共振子P23に接続し、インダクタL13をインダクタL11,L12,および並列共振子P22に接続している。このとき、インダクタL11及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL12及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL13のインダクタンスとが同じ値にならないように、各インダクタのインダクタンスを設定する。
【0038】
図10Cに示すフィルタは、インダクタL11を並列共振子P21に接続し、インダクタL12を並列共振子P24に接続し、インダクタL13をインダクタL11,L12,並列共振子P22,P23に接続している。このとき、インダクタL11及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL12及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL13のインダクタンスとが同じ値にならないように、各インダクタのインダクタンスを設定する。
【0039】
以下、図6Aのフィルタと図10Cのフィルタとの比較について説明する。
【0040】
図11Aは、図6Aに示すフィルタに回路定数を付加した図である。図11Bは、本実施の形態のフィルタ(図10Cに示すフィルタ)に回路定数を付加した図である。図11Bに示す回路定数は、一例として、Tx2倍波(3760MHz)の要求抑圧を25dB、Tx3倍波(5640MHz)の要求抑圧を25dB、BT帯(2400〜2500MHz帯)の要求抑圧を30dBとなるように設定した。
【0041】
図12は、図11Bに示す回路定数を有するフィルタの周波数特性を示す。図12に示すように、本実施の形態のフィルタによれば、減衰極を3カ所に形成することができるとともに、それぞれの減衰極を抑圧が必要な周波数帯域に配置することができる。すなわち、減衰極AはBT帯の近くに配置することができ、減衰極BはTx2倍波帯(以下2Tx帯と称する)の近くに配置することができ、減衰極CはTx3倍波帯(以下3Tx帯と称する)の近くに配置することができる。
【0042】
図13は、図12に示す周波数特性(図中の実線)と、図11Aに示す回路定数を有するフィルタの周波数特性(図中の破線)とを示す。図13に示すように、図11Aに示すフィルタでは、減衰極DがRx帯とBT帯との間に配置され、減衰極Eが2Tx帯と3Tx帯との間との間に配置されていたため、最も抑圧させたいBT帯、2Tx帯、および3Tx帯において十分な抑圧を得ることができなかった。一方、本図11Bのフィルタでは、減衰極AがBT帯の近くに配置され、減衰極Bが2Tx帯の近くに配置され、減衰極Cが3Tx帯の近くに配置されるため、最も抑圧させたい周波数帯域を抑圧することができる。
【0043】
図14Aは、図13における通過帯域(Z部)を拡大した図である。図14Bは、図14AにおけるY部を拡大した図である。図14A及び図14Bにおいて、実線は図11Bに示すフィルタにおける周波数特性で、破線は図11Aに示すフィルタにおける周波数特性である。図14A及び図14Bに示すように、高周波帯において所望の周波数帯は減衰極によって抑制されるため、ラダーフィルタ自身の減衰量を低く設定できる。その結果、通過帯域の損失も大幅に改善することが可能となる。
【0044】
図15Aは、本実施の形態のフィルタを採用した弾性表面波フィルタ(SAWフィルタ)のチップレイアウトの一例である。図15Bは、図15Aに示す弾性表面波フィルタをフリップボンディングが可能なプリント基板の平面図である。図15Aに示すフィルタは、図10Cに示すフィルタのチップレイアウトの一例である。図15Aに示すフィルタは、通信装置などに搭載される送信フィルタチップの一例である。図15Aにおいて、バンプ電極11は、図15Bに示すアンテナ端子Antに接続される。バンプ電極12は、図15Bに示すTx端子に接続され、送信回路またはパワーアンプに接続される。バンプ電極13は、図15Bに示すインダクタL11に接続される。バンプ電極14は、図15Bに示すインダクタL12に接続される。バンプ電極15は、図15Bに示すインダクタL13に接続される。バンプ電極11〜15は、互いに導体パターン16で電気的に接続されている。また、バンプ電極間を接続する導体パターン16には、共振子が配されている。また、図15Bに示すインダクタL11,L12,L13は、スパイラルコイルで形成されている。
【0045】
図15Aにおいて、共振子Cs11及びCs12は、図10Cにおける直列共振子S11に相当する。共振子Cs21〜Cs23は、図10Cにおける直列共振子S12に相当する。共振子Cs31〜Cs33は、図10Cにおける直列共振子S13に相当する。共振子Cp11及びCp12は、図10Cにおける並列共振子P21に相当する。共振子Cp21及びCp22は、図10Cにおける並列共振子P22に相当する。共振子Cp3は、図10Cにおける並列共振子P23に相当する。共振子Cp4は、図10Cにおける並列共振子P24に相当する。
【0046】
図16Aは、本実施の形態のフィルタを採用した圧電薄膜共振子フィルタ(FBARフィルタ)のチップレイアウトの一例である。図16Bは、図16Aに示すフィルタチップを実装可能なプリント基板の平面図である。図16Aに示すフィルタは、図10Cに示すフィルタのチップレイアウトの一例である。図16Aに示すフィルタは、通信装置などに搭載される送信フィルタチップの一例である。図16Aにおいて、バンプ電極21は、図16Bに示すアンテナ端子Antに接続される。バンプ電極22は、図16Bに示すTx端子に接続され、送信回路またはパワーアンプに接続される。バンプ電極23は、インダクタL11に接続される。バンプ電極24は、インダクタL12に接続される。バンプ電極25は、インダクタL13に接続される。バンプ電極21〜25は、互いに導体パターン26で電気的に接続されている。また、バンプ電極間を接続する導体パターン26には、共振子が配されている。また、図16Bに示すインダクタL11,L12,L13は、スパイラルコイルで形成されている。
【0047】
図16Aにおいて、共振子Cs1は、図10Cにおける直列共振子S11に相当する。共振子Cs2は、図10Cにおける直列共振子S12に相当する。共振子Cs11及びCs12は、図10Cにおける直列共振子S13に相当する。共振子Cp1は、図10Cにおける並列共振子P21に相当する。共振子Cp2は、図10Cにおける並列共振子P22に相当する。共振子Cp3は、図10Cにおける並列共振子P23に相当する。共振子Cp4は、図10Cにおける並列共振子P24に相当する。
【0048】
〔3.デュープレクサの構成〕
図17は、本実施の形態のフィルタを備えたデュープレクサのブロック図である。図17に示すように、デュープレクサ102は、受信フィルタ103と送信フィルタ104とを備えている。デュープレクサ102は、アンテナ101を介して入力される受信信号を受信フィルタ103でフィルタリングし、所望の周波数帯域の受信信号Rxを抽出する。また、デュープレクサ102は、入力される送信信号Txを送信フィルタ104でフィルタリングし、アンテナ101を介して出力する。
【0049】
送信フィルタ104の回路構成は、例えば、図8、図9、図10A、図10Bあるいは図10Cとすることができる。これにより、送信フィルタ104を、例えば、WCDMA_Band2の仕様に対応させることができる。一例として、送信フィルタ104の通過帯域は、1850MHz〜1910MHzとすることができる。相手帯域(受信フィルタ通過帯域)は、1930MHz〜1990MHzである。この場合、Tx2倍波は3760MHz、Tx3倍波は5640MHzとすることができる。また、ブルートゥース規格のシステムとの干渉を防ぐため、2400〜2500MHz帯での抑圧も可能である。
【0050】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、ラダーフィルタにおける並列共振子に、互いにインダクタンスが異なるインダクタを接続する構成としたことにより、フィルタの段数を大幅に増やすことなく減衰極を増やすことができる。また、減衰極を所望の周波数帯域に配置することができるため、所望の周波数帯域を抑圧することができるフィルタを実現することができる。また、通過帯域における抑圧を低減することができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、比較を明確にするため、フィルタに用いられる全共振子の容量比は表面波デバイスを想定して「16」に固定した。また、フィルタに含まれる複数の直列共振子の共振周波数は、すべて同一とした。また、フィルタに含まれる複数の並列共振子の共振周波数は、すべて同一とした。なお、本実施の形態のフィルタに基づき実際に回路設計を行う際は、各共振子の容量比および共振周波数は任意に設定されうる。
【0052】
本実施の形態では、フィルタの実現例として弾性表面波デバイスを挙げたが、圧電薄膜共振子(FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)型,SMR(Solid Mounted Resonator)型)や、その他セラミックフィルタにおいても適応可能である。
【0053】
また、本実施の形態のフィルタは、デュープレクサに限らず、複数のデュープレクサをモジュール化したデュープレクサ・バンク・モジュールや、増幅器とデュープレクサをモジュール化したデュープレクサ・アンプ・モジュールのようなRFモジュールにも適応可能である。
【0054】
図18は、デュープレクサ・バンク・モジュールを備えたRFモジュールのブロック図である。図18に示すようにRFモジュールは、スイッチモジュール202、デュープレクサ・バンク・モジュール203、およびアンプモジュール204を備えている。スイッチモジュール202は、アンテナ201a及び201b、デュープレクサ・バンク・モジュール203内のデュープレクサに接続されている。デュープレクサ・バンク・モジュール203は、複数のデュープレクサ203a,203b,203c,・・・を備えている。本実施の形態のフィルタは、デュープレクサ・バンク・モジュール203内のデュープレクサ203a,203b,203c,・・・における受信フィルタおよび/または送信フィルタに搭載することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、ラダーフィルタを一例として挙げて説明したが、図19に示すように、共振子をラチス型に接続したラチスフィルタであっても同様の効果を得ることができる。ラチスフィルタは、二つの信号線と、信号線間に接続された連絡線とを備え、信号線に直列共振子が接続され、連絡線に並列共振子が接続される。並列共振子は、信号線の間に少なくとも二つ並列に接続される。その二つの並列共振子に対して直列にインダクタを接続し、さらにそのインダクタを互いにインダクタンスが異なる素子で実現することにより、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(付記1)
信号線に直列接続される複数の直列共振子と、前記信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、
前記複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に、少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、
前記二つの並列共振子にインダクタが直列接続され、
前記インダクタは、互いに異なるインダクタンスを有する、フィルタ。
【0057】
(付記2)
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラダー型に接続されている、付記1記載のフィルタ。
【0058】
(付記3)
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラチス型に接続されている、付記1記載のフィルタ。
【0059】
(付記4)
互いに異なるインダクタンスを有するインダクタが接続された並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つのインダクタを介して接地されている、付記1〜3のいずれか一項に記載のフィルタ。
【0060】
(付記5)
信号線に接続される複数の直列共振子と帰還線に接続される複数の並列共振子とによって構成される多段ラダーフィルタにおいて、直列共振子間の少なくとも一つの並列共振子が二つ以上に並列分轄されており、かつ、分轄された各々の共振子に直列に接続されるインダクタンスが異なる値を有する、フィルタ。
【0061】
(付記6)
二つの信号線に接続される複数の共振子と信号線間を結線する連絡線に接続される複数の共振子とによって構成される多段ラチスフィルタにおいて、連絡線に接続される少なくとも一つの共振子が二つ以上に並列分轄されており、かつ、分轄された各々の共振子に直列に接続されるインダクタンスが異なる値を有する、フィルタ。
【0062】
(付記7)
並列分轄され、異なるインダクタンスが接続された並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つの共有されたインダクタンスを介して接地されている、付記5記載のフィルタ。
【0063】
(付記8)
共有化されたインダクタンスがパッケージもしくはプリント板に内蔵されている、付記7記載のフィルタ。
【0064】
(付記9)
前記直列共振子、前記並列共振子のうち少なくとも一つは、弾性表面波素子である、付記5〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタ。
【0065】
(付記10)
前記直列共振子、前記並列共振子のうち少なくとも一つは、圧電薄膜共振子である、付記5〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタ。
【0066】
(付記11)
前記直列共振子、前記並列共振子のうち少なくとも一つは、バルク波素子である、付記5〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタ。
【0067】
(付記12)
付記1〜11のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、デュープレクサ。
【0068】
(付記13)
付記1〜11のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、通信モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、フィルタ、デュープレクサ、通信モジュールに関する。
【符号の説明】
【0070】
S11,S12,S13,S14 直列共振子
P11,P12,P13,P14 並列共振子
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、フィルタに関する。また、フィルタを備えたデュープレクサ、通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末に代表される無線機器の急速な普及により、高周波フィルタへの需要が急速に拡大している。特に、小型で高い急峻性を有する弾性波フィルタへの需要は旺盛である。
【0003】
近年、無線システムの高度化が急速に進展しており、それに伴い、高周波フィルタへの要求仕様は非常に複雑化している。例えば、デュープレクサに含まれる送信フィルタおよび受信フィルタは、通過帯域において低損失であり、相手帯域(送信フィルタの帯域に対する受信フィルタの帯域、および受信フィルタの帯域に対する送信フィルタの帯域)において抑圧が高いことが好ましい。
【0004】
一般に、携帯電話端末等に搭載されるフィルタは、通過帯域を広く確保するため、共振子を多段接続することが多い。例えば、特許文献には、ラダーフィルタの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004−15397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では、抑圧帯域における減衰極の数を増やすためにラダーフィルタの段数を増加させると、通過帯域の損失を増加させてしまう。
【0007】
また、並列共振子にインダクタを接続する構成では、減衰極を、最も抑圧を必要とする周波数帯域に配置することが困難である。
【0008】
そのため、本発明は、適切な周波数位置に減衰極を配置することができるとともに低損失なフィルタを提供することを目的とする。また、そのようなフィルタを備えたデュープレクサ、通信モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示するフィルタは、信号線に直列接続される複数の直列共振子と、前記信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、前記複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に、少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、前記二つの並列共振子にそれぞれインダクタが直列接続され、前記インダクタは、互いに異なるインダクタンスを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示によれば、高周波帯の適切な周波数位置に減衰極を配置することができ、十分な不要帯域の抑圧を実現することができる。また、フィルタの段数を大幅に増加させずに減衰極を増やすことができるため、通過帯域の損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】入力端子Tinと出力端子Toutとに直列に共振子Sを接続した回路図
【図1B】入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に共振子Pを接続した回路図
【図1C】共振子S及び共振子Pの周波数特性を示す特性図
【図2A】図1Aに示す共振子Sを直列腕に配し、図1Bに示す共振子Pを並列腕に配した回路図
【図2B】図2Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図3A】ラダーフィルタの構成を示す回路図
【図3B】ラダーフィルタの構成を示す回路図
【図4A】並列共振子にインダクタンスを接続したフィルタの回路図
【図4B】図4Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図5A】並列共振子にインダクタンスを接続したフィルタの回路図
【図5B】図4Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図6A】従来のフィルタの変形例を示す回路図
【図6B】従来のフィルタの変形例を示す回路図
【図6C】従来のフィルタの変形例を示す回路図
【図7】図6Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図8】本実施の形態のフィルタの第1の構成を示す回路図
【図9】本実施の形態のフィルタの第2の構成を示す回路図
【図10A】本実施の形態のフィルタの変形例を示す回路図
【図10B】本実施の形態のフィルタの変形例を示す回路図
【図10C】本実施の形態のフィルタの変形例を示す回路図
【図11A】従来のフィルタ(図6Aに示すフィルタ)に回路定数を付加した回路図
【図11B】本実施の形態のフィルタ(図10Cに示すフィルタ)に回路定数を付加した回路図
【図12】図11Bに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図13】図12に示す周波数特性と、図11Aに示す従来のフィルタの周波数特性とを示す特性図
【図14A】図13におけるZ部の拡大図
【図14B】図14AにおけるY部の拡大図
【図15A】本実施の形態のフィルタを採用した弾性表面波フィルタ(SAWフィルタ)のチップレイアウトの一例を示す模式図
【図15B】図15Aに示すフィルタチップを実装可能なプリント基板の平面図
【図16A】本実施の形態のフィルタを採用した圧電薄膜共振子フィルタ(FBARフィルタ)のチップレイアウトの一例を示す模式図
【図16B】図16Aに示すフィルタチップを実装可能なプリント基板の平面図
【図17】本実施の形態のフィルタを備えたデュープレクサのブロック図
【図18】RFモジュールのブロック図
【図19】ラチスフィルタの回路図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態におけるフィルタは、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
【0013】
すなわち、フィルタにおいて、前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラダー型に接続されている構成とすることができる。
【0014】
フィルタにおいて、前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラチス型に接続されている構成とすることができる。
【0015】
フィルタにおいて、互いに異なるインダクタンスを有するインダクタが接続された並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つのインダクタを介して接地されている構成とすることができる。
【0016】
(実施の形態)
〔1.フィルタの原理等〕
上述したように、フィルタは、通過帯域の低損失化と、抑圧帯域における高い抑圧が求められる。さらに近年では、例えば、混変調を防ぐために通過帯域の高調波(2倍波、3倍波)での高い抑圧も要求されることもある。また、例えば、ワイヤレスLAN(Local Area Network)やブルートゥース(登録商標)といった無線システムとの干渉を防ぐため、これらの使用周波数帯での抑圧の要求も存在する。
【0017】
低損失な高周波フィルタを実現する手法として、ラダーフィルタが広く用いられている。ラダーフィルタは、共振周波数の異なる二つの共振子を梯子状に結線して構成される高周波フィルタである。図1A〜図1Cを参照して、フィルタの原理を説明する。
【0018】
図1Aは、入力端子Tinと出力端子Toutとに直列に共振子Sを接続した回路である。図1Bは、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に共振子Pを接続した回路である。図1Aに示す共振子Sは、共振周波数frs、反共振周波数fasを有する。図1Bに示す共振子Pは、共振周波数frp、反共振周波数fapを有する。図1Cは、共振子Sと共振子Pの共振特性を示す。
【0019】
図2Aは、図1Aに示す共振子Sを直列腕に配し、図1Bに示す共振子Pを並列腕に配した回路図を示す。図2Aにおいて共振子Pの反共振周波数fapと共振子Sの共振周波数frsとがほぼ同じ値を有するとき、図2Bに示すフィルタ特性を実現することができる。すなわち、共振器Pの共振周波数frpと共振子Sの反共振周波数fasとの間を通過帯域とし、共振周波数frpよりも低域側および反共振周波数fasよりも高域側を減衰域とした、バンドパスフィルタを実現することができる。
【0020】
一般に、携帯電話端末等に搭載されるフィルタは、通過帯域を図2Bに示す帯域よりも広く確保するため、図2Aに示す共振子を多段接続することが多い。共振子を多段接続するフィルタとして、一対の梯子型回路を多段に接続したラダーフィルタがある。
【0021】
図3Aは、ラダーフィルタの一例を示す。図3Aに示すように、ラダーフィルタは、共振子を多段接続する際、各段間での反射を防ぐため、隣り合う梯子型回路はミラー反転させた形で接続される。なお、以下の説明において、直列腕に接続された共振子を直列共振子と称し、並列腕に接続された共振子を並列共振子と称する。
【0022】
図3Aに示すように共振子を多段接続すると、図中の破線枠に示すように、直列腕において同種の直列共振子が接続されている箇所と、並列腕において同種の並列共振子が接続されている箇所とが存在する。これらの同種の共振子は、図3Bに示すように一つの共振子として容量的に合成することができるため、チップサイズを小型化することができる。なお、特許文献1には、図3Bに示すラダーフィルタの一例が開示されている。
【0023】
図3Bに示すラダーフィルタにおいて、前述したように通過帯域の高調波(2倍波、3倍波)において高い抑圧を実現するために、並列共振子にインダクタを接続する構成が提案されている。なお、共振子は、共振動作する周波数帯域外では容量として機能するため、インダクタが接続された並列共振子は共振動作する周波数帯域外ではLC共振子として機能する。
【0024】
図4Aは、並列共振子にインダクタを接続したフィルタを示す。図4Aに示すように、容量Cpを有する二つの並列共振子P11,P12に、それぞれインダクタンスH1,H2を有するインダクタL1,L2を直列接続した場合、図4Bに示すように通過帯域外の周波数f1,f2において減衰極が生成される。減衰極の周波数f1,f2は、以下の数式に基づいて算出することができる。以下の数式において、Cpは並列共振子の容量である。
【0025】
f1=1/{2π(H1・Cp)1/2}
f2=1/{2π(H2・Cp)1/2}
以上のように並列共振子を増設し、その並列共振子にインダクタを直列接続することで、減衰極の数を増やすことが可能となる。
【0026】
一方、図5Aに示すように、並列共振子P11,P12に対して一つのインダクタL3を接続した場合、図5Bに示すように通過帯域外の周波数f3において減衰極が生成される。
【0027】
図4Aに示すフィルタは、図6A〜図6Cに示すようないくつかの変形例が考えられるが、いずれも通過帯域の高周波帯にインダクタによって二つの減衰極が生成され、図4Aと等価の回路となる。
【0028】
ここで、減衰極の数を増やすためにラダーフィルタの段数を増加させると、通過帯域の損失を増加させてしまう。また、並列共振子にインダクタを接続する構成では、減衰極を、最も抑圧を必要とする周波数帯域に配置することが困難である。
【0029】
例えば、図7は、図6Aに示すフィルタの周波数特性を示した図である。図7に示すように、図6Aに示すフィルタでは、高周波帯に生成される二つの減衰極は、Rx帯とブルートゥース(以下、BTと称する)帯との間(減衰極A)と、Tx2倍波とTx3倍波との間(減衰極B)とに配置される。これらの減衰極を、最も抑圧を必要とする周波数帯域(BT帯、Tx2倍波帯、Tx3倍波帯)に配置することが求められる
下記の実施形態では、高周波帯の適切な周波数位置に減衰極を配置することができるとともに低損失なフィルタを提供することができる。
【0030】
〔2.フィルタの構成〕
図8は、本実施の形態にかかるフィルタの第1の構成の回路図である。図8に示すフィルタでは、直列腕(信号線)に直列共振子S11,S12,S13が接続されている。また、隣り合う直列共振子S11及びS12の間に、直列腕(信号線)に対して並列に並列共振子P21,P22が接続されている。また、隣り合う直列共振子S12及びS13の間に、直列腕に対して並列に並列共振子P23,P24が接続されている。また、並列共振子P21には、インダクタL11が接続されている。また、並列共振子P22には、インダクタL12が接続されている。また、並列共振子P23には、インダクタL13が接続されている。また、並列共振子P24には、インダクタL14が接続されている。インダクタL11〜L14は、それぞれ異なるインダクタンス(値)を有する。
【0031】
図8に示すフィルタでは、一つにまとめられていた並列共振子が並列分割され、各々の並列共振子にそれぞれ異なるインダクタンスを有するインダクタが接続されている。このような回路構成とすることにより、共振子の段数を増やすことなく減衰極を増やすことが可能となる。すなわち、図8に示すフィルタは、共振子の段数が図4Aに示すフィルタなどと同様で4段であるが、減衰極を4カ所に形成することができる(図4Aに示すフィルタでは減衰極は2カ所)。
【0032】
なお、フィルタの段数は、一つの直列共振子と一つの並列共振子とで1段とする。例えば、図4Aに示す回路では、S11とP11、S12とP11、S13とP12,S14とP12がそれぞれ組となり、合計4段のフィルタを実現している。一方、図8に示す回路では、S11とP21、S12とP22、S13とP23、S14とP24がそれぞれ組となり、合計4段のフィルタを実現している。
【0033】
図9は、本実施の形態にかかるフィルタの第2の構成の回路図である。図9に示すフィルタは、直列腕に直列共振子S11,S12,S13が接続されている。また、直列共振子S11及びS12の間に、直列腕に対して並列に並列共振子P21,P22が接続されている。また、直列共振子S12及びS13の間に、直列腕に対して並列に並列共振子P23が接続されている。また、並列共振子P21には、インダクタL11が接続されている。また、並列共振子P22には、インダクタL12が接続されている。また、並列共振子P23には、インダクタL13が接続されている。インダクタL11〜L13は、それぞれ異なるインダクタンスを有する。
【0034】
図9に示すフィルタでは、一つにまとめられていた並列共振子が並列分割され、各々の並列共振子にそれぞれ異なるインダクタンスを有するインダクタが接続される。このような回路構成とすることにより、共振子の段数を増やすことなく減衰極を増設することが可能となる。すなわち、図9に示すフィルタは、共振子の段数が図4Aに示すフィルタなどと同様で4段であるが、減衰極を3カ所に形成することができる(図4Aに示すフィルタでは減衰極は2カ所)。
【0035】
なお、本実施の形態におけるフィルタは、一例として、WCDMA_Band2に対応したフィルタとして用いることができる。WCDMA_Band2では、高周波帯に必要とされる減衰極は3つ(BT帯,Tx2倍波帯,Tx3倍波帯)である。したがって、図8に示すフィルタは、WCDMA_Band2に対応することができる。また、図9に示すように、並列共振子とインダクタとを接続したブランチを一つ削除してもWCDMA_Band2に対応することができる。
【0036】
図10A〜図10Cは、本実施の形態のフィルタの変形例を示す。図10Aに示すフィルタは、インダクタL11を並列共振子P21に接続し、インダクタL12を並列共振子P22に接続し、インダクタL13をインダクタL11,L12,および並列共振子P23に接続している。このとき、インダクタL11及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL12及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL13のインダクタンスとが同じ値にならないように、各インダクタのインダクタンスを設定する。
【0037】
図10Bに示すフィルタは、インダクタL11を並列共振子P21に接続し、インダクタL12を並列共振子P23に接続し、インダクタL13をインダクタL11,L12,および並列共振子P22に接続している。このとき、インダクタL11及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL12及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL13のインダクタンスとが同じ値にならないように、各インダクタのインダクタンスを設定する。
【0038】
図10Cに示すフィルタは、インダクタL11を並列共振子P21に接続し、インダクタL12を並列共振子P24に接続し、インダクタL13をインダクタL11,L12,並列共振子P22,P23に接続している。このとき、インダクタL11及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL12及びL13の合成インダクタンスと、インダクタL13のインダクタンスとが同じ値にならないように、各インダクタのインダクタンスを設定する。
【0039】
以下、図6Aのフィルタと図10Cのフィルタとの比較について説明する。
【0040】
図11Aは、図6Aに示すフィルタに回路定数を付加した図である。図11Bは、本実施の形態のフィルタ(図10Cに示すフィルタ)に回路定数を付加した図である。図11Bに示す回路定数は、一例として、Tx2倍波(3760MHz)の要求抑圧を25dB、Tx3倍波(5640MHz)の要求抑圧を25dB、BT帯(2400〜2500MHz帯)の要求抑圧を30dBとなるように設定した。
【0041】
図12は、図11Bに示す回路定数を有するフィルタの周波数特性を示す。図12に示すように、本実施の形態のフィルタによれば、減衰極を3カ所に形成することができるとともに、それぞれの減衰極を抑圧が必要な周波数帯域に配置することができる。すなわち、減衰極AはBT帯の近くに配置することができ、減衰極BはTx2倍波帯(以下2Tx帯と称する)の近くに配置することができ、減衰極CはTx3倍波帯(以下3Tx帯と称する)の近くに配置することができる。
【0042】
図13は、図12に示す周波数特性(図中の実線)と、図11Aに示す回路定数を有するフィルタの周波数特性(図中の破線)とを示す。図13に示すように、図11Aに示すフィルタでは、減衰極DがRx帯とBT帯との間に配置され、減衰極Eが2Tx帯と3Tx帯との間との間に配置されていたため、最も抑圧させたいBT帯、2Tx帯、および3Tx帯において十分な抑圧を得ることができなかった。一方、本図11Bのフィルタでは、減衰極AがBT帯の近くに配置され、減衰極Bが2Tx帯の近くに配置され、減衰極Cが3Tx帯の近くに配置されるため、最も抑圧させたい周波数帯域を抑圧することができる。
【0043】
図14Aは、図13における通過帯域(Z部)を拡大した図である。図14Bは、図14AにおけるY部を拡大した図である。図14A及び図14Bにおいて、実線は図11Bに示すフィルタにおける周波数特性で、破線は図11Aに示すフィルタにおける周波数特性である。図14A及び図14Bに示すように、高周波帯において所望の周波数帯は減衰極によって抑制されるため、ラダーフィルタ自身の減衰量を低く設定できる。その結果、通過帯域の損失も大幅に改善することが可能となる。
【0044】
図15Aは、本実施の形態のフィルタを採用した弾性表面波フィルタ(SAWフィルタ)のチップレイアウトの一例である。図15Bは、図15Aに示す弾性表面波フィルタをフリップボンディングが可能なプリント基板の平面図である。図15Aに示すフィルタは、図10Cに示すフィルタのチップレイアウトの一例である。図15Aに示すフィルタは、通信装置などに搭載される送信フィルタチップの一例である。図15Aにおいて、バンプ電極11は、図15Bに示すアンテナ端子Antに接続される。バンプ電極12は、図15Bに示すTx端子に接続され、送信回路またはパワーアンプに接続される。バンプ電極13は、図15Bに示すインダクタL11に接続される。バンプ電極14は、図15Bに示すインダクタL12に接続される。バンプ電極15は、図15Bに示すインダクタL13に接続される。バンプ電極11〜15は、互いに導体パターン16で電気的に接続されている。また、バンプ電極間を接続する導体パターン16には、共振子が配されている。また、図15Bに示すインダクタL11,L12,L13は、スパイラルコイルで形成されている。
【0045】
図15Aにおいて、共振子Cs11及びCs12は、図10Cにおける直列共振子S11に相当する。共振子Cs21〜Cs23は、図10Cにおける直列共振子S12に相当する。共振子Cs31〜Cs33は、図10Cにおける直列共振子S13に相当する。共振子Cp11及びCp12は、図10Cにおける並列共振子P21に相当する。共振子Cp21及びCp22は、図10Cにおける並列共振子P22に相当する。共振子Cp3は、図10Cにおける並列共振子P23に相当する。共振子Cp4は、図10Cにおける並列共振子P24に相当する。
【0046】
図16Aは、本実施の形態のフィルタを採用した圧電薄膜共振子フィルタ(FBARフィルタ)のチップレイアウトの一例である。図16Bは、図16Aに示すフィルタチップを実装可能なプリント基板の平面図である。図16Aに示すフィルタは、図10Cに示すフィルタのチップレイアウトの一例である。図16Aに示すフィルタは、通信装置などに搭載される送信フィルタチップの一例である。図16Aにおいて、バンプ電極21は、図16Bに示すアンテナ端子Antに接続される。バンプ電極22は、図16Bに示すTx端子に接続され、送信回路またはパワーアンプに接続される。バンプ電極23は、インダクタL11に接続される。バンプ電極24は、インダクタL12に接続される。バンプ電極25は、インダクタL13に接続される。バンプ電極21〜25は、互いに導体パターン26で電気的に接続されている。また、バンプ電極間を接続する導体パターン26には、共振子が配されている。また、図16Bに示すインダクタL11,L12,L13は、スパイラルコイルで形成されている。
【0047】
図16Aにおいて、共振子Cs1は、図10Cにおける直列共振子S11に相当する。共振子Cs2は、図10Cにおける直列共振子S12に相当する。共振子Cs11及びCs12は、図10Cにおける直列共振子S13に相当する。共振子Cp1は、図10Cにおける並列共振子P21に相当する。共振子Cp2は、図10Cにおける並列共振子P22に相当する。共振子Cp3は、図10Cにおける並列共振子P23に相当する。共振子Cp4は、図10Cにおける並列共振子P24に相当する。
【0048】
〔3.デュープレクサの構成〕
図17は、本実施の形態のフィルタを備えたデュープレクサのブロック図である。図17に示すように、デュープレクサ102は、受信フィルタ103と送信フィルタ104とを備えている。デュープレクサ102は、アンテナ101を介して入力される受信信号を受信フィルタ103でフィルタリングし、所望の周波数帯域の受信信号Rxを抽出する。また、デュープレクサ102は、入力される送信信号Txを送信フィルタ104でフィルタリングし、アンテナ101を介して出力する。
【0049】
送信フィルタ104の回路構成は、例えば、図8、図9、図10A、図10Bあるいは図10Cとすることができる。これにより、送信フィルタ104を、例えば、WCDMA_Band2の仕様に対応させることができる。一例として、送信フィルタ104の通過帯域は、1850MHz〜1910MHzとすることができる。相手帯域(受信フィルタ通過帯域)は、1930MHz〜1990MHzである。この場合、Tx2倍波は3760MHz、Tx3倍波は5640MHzとすることができる。また、ブルートゥース規格のシステムとの干渉を防ぐため、2400〜2500MHz帯での抑圧も可能である。
【0050】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、ラダーフィルタにおける並列共振子に、互いにインダクタンスが異なるインダクタを接続する構成としたことにより、フィルタの段数を大幅に増やすことなく減衰極を増やすことができる。また、減衰極を所望の周波数帯域に配置することができるため、所望の周波数帯域を抑圧することができるフィルタを実現することができる。また、通過帯域における抑圧を低減することができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、比較を明確にするため、フィルタに用いられる全共振子の容量比は表面波デバイスを想定して「16」に固定した。また、フィルタに含まれる複数の直列共振子の共振周波数は、すべて同一とした。また、フィルタに含まれる複数の並列共振子の共振周波数は、すべて同一とした。なお、本実施の形態のフィルタに基づき実際に回路設計を行う際は、各共振子の容量比および共振周波数は任意に設定されうる。
【0052】
本実施の形態では、フィルタの実現例として弾性表面波デバイスを挙げたが、圧電薄膜共振子(FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)型,SMR(Solid Mounted Resonator)型)や、その他セラミックフィルタにおいても適応可能である。
【0053】
また、本実施の形態のフィルタは、デュープレクサに限らず、複数のデュープレクサをモジュール化したデュープレクサ・バンク・モジュールや、増幅器とデュープレクサをモジュール化したデュープレクサ・アンプ・モジュールのようなRFモジュールにも適応可能である。
【0054】
図18は、デュープレクサ・バンク・モジュールを備えたRFモジュールのブロック図である。図18に示すようにRFモジュールは、スイッチモジュール202、デュープレクサ・バンク・モジュール203、およびアンプモジュール204を備えている。スイッチモジュール202は、アンテナ201a及び201b、デュープレクサ・バンク・モジュール203内のデュープレクサに接続されている。デュープレクサ・バンク・モジュール203は、複数のデュープレクサ203a,203b,203c,・・・を備えている。本実施の形態のフィルタは、デュープレクサ・バンク・モジュール203内のデュープレクサ203a,203b,203c,・・・における受信フィルタおよび/または送信フィルタに搭載することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、ラダーフィルタを一例として挙げて説明したが、図19に示すように、共振子をラチス型に接続したラチスフィルタであっても同様の効果を得ることができる。ラチスフィルタは、二つの信号線と、信号線間に接続された連絡線とを備え、信号線に直列共振子が接続され、連絡線に並列共振子が接続される。並列共振子は、信号線の間に少なくとも二つ並列に接続される。その二つの並列共振子に対して直列にインダクタを接続し、さらにそのインダクタを互いにインダクタンスが異なる素子で実現することにより、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(付記1)
信号線に直列接続される複数の直列共振子と、前記信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、
前記複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に、少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、
前記二つの並列共振子にインダクタが直列接続され、
前記インダクタは、互いに異なるインダクタンスを有する、フィルタ。
【0057】
(付記2)
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラダー型に接続されている、付記1記載のフィルタ。
【0058】
(付記3)
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラチス型に接続されている、付記1記載のフィルタ。
【0059】
(付記4)
互いに異なるインダクタンスを有するインダクタが接続された並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つのインダクタを介して接地されている、付記1〜3のいずれか一項に記載のフィルタ。
【0060】
(付記5)
信号線に接続される複数の直列共振子と帰還線に接続される複数の並列共振子とによって構成される多段ラダーフィルタにおいて、直列共振子間の少なくとも一つの並列共振子が二つ以上に並列分轄されており、かつ、分轄された各々の共振子に直列に接続されるインダクタンスが異なる値を有する、フィルタ。
【0061】
(付記6)
二つの信号線に接続される複数の共振子と信号線間を結線する連絡線に接続される複数の共振子とによって構成される多段ラチスフィルタにおいて、連絡線に接続される少なくとも一つの共振子が二つ以上に並列分轄されており、かつ、分轄された各々の共振子に直列に接続されるインダクタンスが異なる値を有する、フィルタ。
【0062】
(付記7)
並列分轄され、異なるインダクタンスが接続された並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つの共有されたインダクタンスを介して接地されている、付記5記載のフィルタ。
【0063】
(付記8)
共有化されたインダクタンスがパッケージもしくはプリント板に内蔵されている、付記7記載のフィルタ。
【0064】
(付記9)
前記直列共振子、前記並列共振子のうち少なくとも一つは、弾性表面波素子である、付記5〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタ。
【0065】
(付記10)
前記直列共振子、前記並列共振子のうち少なくとも一つは、圧電薄膜共振子である、付記5〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタ。
【0066】
(付記11)
前記直列共振子、前記並列共振子のうち少なくとも一つは、バルク波素子である、付記5〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタ。
【0067】
(付記12)
付記1〜11のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、デュープレクサ。
【0068】
(付記13)
付記1〜11のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、通信モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、フィルタ、デュープレクサ、通信モジュールに関する。
【符号の説明】
【0070】
S11,S12,S13,S14 直列共振子
P11,P12,P13,P14 並列共振子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線に直列接続される複数の直列共振子と、前記信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、
前記複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に、少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、
前記少なくとも二つの並列共振子にそれぞれインダクタが直列接続され、
前記インダクタは、互いに異なるインダクタンスを有する、フィルタ。
【請求項2】
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラダー型に接続されている、請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラチス型に接続されている、請求項1記載のフィルタ。
【請求項4】
互いに異なるインダクタンスを有するインダクタが接続された前記少なくとも二つの並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つの共有インダクタを介して接地されている、請求項1または2に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記共有インダクタンスがパッケージもしくはプリント板に内蔵されている、請求項5に記載のフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、デュープレクサ。
【請求項7】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、通信モジュール。
【請求項1】
信号線に直列接続される複数の直列共振子と、前記信号線に並列接続される複数の並列共振子とを含むフィルタであって、
前記複数の直列共振子のうち二つの直列共振子間の信号線に、少なくとも二つの並列共振子が並列接続され、
前記少なくとも二つの並列共振子にそれぞれインダクタが直列接続され、
前記インダクタは、互いに異なるインダクタンスを有する、フィルタ。
【請求項2】
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラダー型に接続されている、請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
前記複数の直列共振子と前記複数の並列共振子は、ラチス型に接続されている、請求項1記載のフィルタ。
【請求項4】
互いに異なるインダクタンスを有するインダクタが接続された前記少なくとも二つの並列共振子を含む複数の並列共振子が、一つの共有インダクタを介して接地されている、請求項1または2に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記共有インダクタンスがパッケージもしくはプリント板に内蔵されている、請求項5に記載のフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、デュープレクサ。
【請求項7】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のフィルタを備えた、通信モジュール。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−177770(P2010−177770A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15477(P2009−15477)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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