説明

フィルター成形体の製造方法

【課題】加熱時間を短縮できるとともにバインダーの種類に制限が少なく、製造コストを低減させることができるフィルター成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】吸着材料と熱溶融性バインダーとを含む混合物を型モジュール1内に充填する第一工程と、型モジュール1内で加熱して熱溶融性バインダーを溶融する第二工程と、上記混合物を型モジュール1から離型する第三工程とからなるフィルター成形体の製造方法であって、上記第二工程では、マイクロ波を照射して上記混合物を加熱することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水や空気などを透過させて汚染物質、不純物を除去するフィルター成形体の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水や空気などを透過させる際に汚染物質、不純物を除去するフィルター成形体を製造するには、汚染物質、不純物を吸着する活性炭などの吸着材料と、この吸着材料を結合して所望の形に成形するためのバインダーとを含む混合物を型に充填して加熱する方法が知られている。
【0003】
特許文献1に記載されたフィルター成形体の製造方法では、フィルター側面を成形する側面型と、この側面型に上方から取り付けられる上面型と、この側面型に下方から取り付けられる下面型とからなる型モジュール内に、吸着剤と熱溶融性低メルトインデックス樹脂からなるバインダーとからなる混合物を充填し、上面型を下方に押し込んで混合物を加圧する。次いで、炉内雰囲気を130〜300℃としたオーブン内で30〜120分加熱してバインダーを溶融させ、オーブンから取り出して下面型を上方に押し込んで混合物を加圧した後、室温まで冷却してから離型することで、フィルター成形体を製造していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3621687号公報
【0005】
従来のように、型モジュールに混合物を充填してオーブン等の炉内で加熱する場合、炉本体および炉内雰囲気ガス(空気、窒素等)を130〜300℃に維持することを要し、また、外側から徐々に金型ごと加熱するため30〜120分もの長時間加熱する必要があった。このため、多量の熱が必要となり製造コストが上昇するとともに、温度管理の手間がかかっていた。
また、必要加熱時間が長いため単位時間あたりの生産率が悪く、生産量を増やすには多数の型モジュールを用意する必要があった。
【0006】
さらに、加熱時間が長いため、あらかじめ吸着材料とバインダーとを均一に混合分散させていても、加熱中に溶融した熱溶融性のバインダーが重力にしたがって下方に移動してしまい、完成したフィルターの均一分散性が損なわれ、部分ごとに強度の低下や過度な大きさの空隙が生じてしまっていた。
これを防止するためには、特許文献1の発明のように、流動性が小さく、メルトインデックスが1.1〜2.3g/10min(ASTM D1238、190℃、15kg Load)の低メルトインデックスのバインダーを使用しなければならず、これらは比較的高価であるため、製造コストが上昇していた。また、使用できる樹脂が制限されることで、フィルター成形体の設計の自由度が低下していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、加熱時間を短縮できるとともにバインダーの種類に制限が少なく、製造コストを低減させることができるフィルター成形体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、吸着材料と熱溶融性バインダーとを含む混合物を型モジュール内に充填する第一工程と、型モジュール内で加熱して熱溶融性バインダーを溶融する第二工程と、上記混合物を型モジュールから離型する第三工程とからなるフィルター成形体の製造方法であって、上記第二工程では、マイクロ波を照射して上記混合物を加熱することを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、上記吸着材料が、繊維状活性炭と粒状活性炭との一方または双方を含み、上記熱溶融性バインダーが熱溶融性の高分子樹脂の粉末からなり、第一工程と第二工程との間、第二工程の加熱中、もしくは加熱完了後且つ上記熱溶融性バインダーが溶融状態にあるうちにおいて、上記混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程を含むことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、上記吸着材料が、繊維状活性炭と粒状活性炭との双方を含むことを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、円筒形状のフィルター成形体を成形するフィルター成形体の製造方法であって、上記型モジュールが、上記フィルター成形体の外周側面を画成する側面型と、この側面型の上端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向上端部を画成する上面型と、上記側面型の下端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向下端部を画成する下面型と、上記側面型内に挿入され上記フィルター成形体の中央空間部を形成する軸型とを具備し、上記側面型は、2つの側面分型で形成され、この2つの側面分型の合わせ面が上記フィルター成形体の軸方向に延在していることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、円筒形状のフィルター成形体を成形するフィルター成形体の製造方法であって、上記型モジュールが、上記フィルター成形体の側面を画成する側面型と、この側面型の上端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向上端部を画成する上面型と、上記側面型の下端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向下端部を画成する下面型と、上記側面型内に挿入され上記フィルター成形体の中央空間部を形成する軸型とを具備し、上記圧縮工程においては、上記上面型と上記下面型と上記軸型とが作用して、上記上面型と上記下面型との間の距離を縮小して混合物を圧縮する力をかけることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、上記第二工程では、マイクロ波を照射して上記混合物を加熱することにより、混合物を直接加熱できるので、加熱時間を大幅に短縮することができ、また、加熱に要する熱量も節減することができる。
加熱時間を短縮することができるので、長時間の加熱によって溶融した熱溶融性バインダーが重力にしたがって下方に移動してしまい、熱溶融性バインダーの均一分散性が低下することがない。このため、メルトインデックスの高い熱溶融性バインダーも使用することができ、製造コストを低減させることができる。また、使用できる熱溶融性バインダーの選択肢が広がり、フィルター成形体の設計の自由度が向上し、フィルター成形体の性能を向上させることが容易になる。
【0014】
第2の発明によれば、上記吸着材料が、繊維状活性炭と粒状活性炭との一方または双方を含み、上記熱溶融性バインダーが熱溶融性の高分子樹脂の粉末からなり、第一工程と第二工程との間、第二工程の加熱中、もしくは加熱完了後且つ上記熱溶融性バインダーが溶融状態にあるうちにおいて、上記混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程を含むことにより、フィルター成形体内に過度な大きさの空隙が発生して成形不良が生じるのを防止し、フィルター成形体を良好な強度に成形することができる。
なお、本発明ではマイクロ波による加熱によって混合物全体の熱溶融性バインダーがほぼ同時に溶融するため、圧縮による嵩体積の減少率が小さくても成形不良を防止することができる。
【0015】
第3の発明によれば、上記吸着材料が、繊維状活性炭と粒状活性炭との双方を含むことにより、嵩体積が大きく通水抵抗が小さい繊維状活性炭によって初期の浄化性能を向上させるとともに、使用時間による浄化性能の低下が小さい粒状活性炭によって浄化性能を長期間維持することができる。
本発明では、マイクロ波による加熱によって、熱溶融性バインダーが溶融している軟化時間を短縮することができるので、繊維状活性炭および粒状活性炭を混合して使用しても、熱溶融性バインダーの溶融中に両者が分離してしまうことがなく、均一な分散性のフィルター成形体を製造することができる。
【0016】
第4の発明によれば、上記型モジュールが、上記フィルター成形体の外周側面を画成する側面型と、この側面型の上端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向上端部を画成する上面型と、上記側面型の下端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向下端部を画成する下面型と、上記側面型内に挿入され上記フィルター成形体の中央空間部を形成する軸型とを具備し、上記側面型は、2つの側面分型で形成され、この2つの側面分型の合わせ面が上記フィルター成形体の軸方向に延在していることにより、第三工程においてフィルター成形体を容易に離型することができる。
本発明では、マイクロ波による加熱によって、熱溶融性バインダーが溶融している軟化時間を短縮することができるので、側面型を2つの側面分型で形成しても、2つの側面分型の合わせ面にバリが発生しにくい。
【0017】
第5の発明によれば、上記型モジュールが、上記フィルター成形体の側面を画成する側面型と、この側面型の上端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向上端部を画成する上面型と、上記側面型の下端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向下端部を画成する下面型と、上記側面型内に挿入され上記フィルター成形体の中央空間部を形成する軸型とを具備し、上記圧縮工程においては、上記上面型と上記下面型と上記軸型とが作用して、上記上面型と上記下面型との間の距離を縮小して混合物を圧縮する力をかけることにより、型モジュールの組み立て時に混合物の圧縮工程をなすこともできて、製造工程を簡略化しコストを低減することができる。
また、側面型を2つの側面分型から構成し、2つの側面分型の間の距離を縮小して圧縮する場合には、側面分型の合わせ面で、フィルター成形体の表面から外部に突出するバリが発生する問題が起こりやすく、特に側面型を圧縮に不向きな低誘電率材料で形成した場合に、その問題が大きくなる。しかし、第5の発明では、上面型と下面型との距離を縮小して混合物を圧縮するため、バリを発生させることなく良好なフィルター成形体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るフィルター成形体の製造に用いる型モジュールの正面図である。
【図2】同型モジュールの側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るフィルター成形体の製造方法について、水道水を浄化する家庭用の浄水器に用いるフィルター成形体の製造方法を例として説明する。
このフィルター成形体は、水や空気から汚染物質、不純物を吸着除去する吸着材料と、この吸着材料を結合して所望の形に成形するための熱溶融性バインダーとを混合した混合物を加熱して形成される。
【0020】
吸着材料としては、活性炭や重金属吸着セラミックを用いることができる。
また、活性炭としては、繊維状活性炭および粒状活性炭を用いることができる。
【0021】
繊維状活性炭は、嵩体積が大きくて通水抵抗が小さいとともに、嵩体積が大きいことで体積当たりの表面積が大きくなるので、初期の浄化性能に優れるが、使用時間の経過による浄化性能の低下が大きい。繊維状活性炭は、長さを0.1〜1mmにカットしたものが好ましい。
0.1mm未満では小さすぎ、バインダーが活性炭を保持しきれず、使用時に黒粉が発生する原因となる。さらに0.2mm以上が好ましく、特に0.3mm以上が好ましい。
また1mmより大きくなると、混合物において過度な隙間を生じやすくなり、混合物全体の密度が小さくなり充填量が不足してしまう。さらに0.8mm以下が好ましく、特に0.6mm以下が好ましい。
【0022】
他方、粒状活性炭は、嵩体積が小さいとともに通水抵抗が大きいため、初期の浄化性能は繊維状活性炭に劣るが、使用時間の経過による浄化性能の低下が小さい。粒状活性炭の粒径は、40メッシュパスから200メッシュパスの間が好ましい。
40メッシュパス未満では粒状活性炭が大きくなり、体積に対する表面積の割合が小さくなり、水との接触効率が低下するため浄化性能が不足する。さらに50メッシュパス以上が好ましく、特に60メッシュパス以上が好ましい。
また、200メッシュパスより大きくすると粒状活性炭が小さすぎ、バインダーが活性炭を保持しきれず、使用時に黒粉が発生する原因となる。さらに120メッシュパス以下が好ましく、特に140メッシュパス以下が好ましい。
【0023】
活性炭を吸着材料として用いる場合、繊維状活性炭および粒状活性炭のいずれか一方のみを用いてもよいし、両方を混合して用いてもよい。
両方を用いると、繊維状活性炭によって初期の浄化能力を高めるとともに、粒状活性炭によって長期にわたって浄化性能を維持できるため、望ましい。
【0024】
両方を用いる場合の混合比率は、繊維状活性炭の重量/粒状活性炭の重量が0.3〜50の範囲が好ましい。上記混合比率が0.3未満では初期の浄化性能が不足しやすく、50より大きくなると長期使用による浄化性能低下が起こりやすい。上記混合比率は、さらに1以上が好ましく、さらには5以上が好ましく、特に10以上が好ましい。また、さらに30以下が好ましく、特に20以下が好ましい。
【0025】
本発明の実施形態では、後述のようにマイクロ波による加熱を採用しているため、加熱時間を大幅に短縮できるため、繊維状活性炭の重量比を従来のものより大きくしても、繊維状活性炭および粒状活性炭が均等に分散したまま溶融して固まり、空隙等が発生するおそれがない。
【0026】
重金属吸着セラミックは、アルミノケイ酸塩、リン酸カルシウム等を主成分とした粉末状ゼオライトで、水中の鉛イオンなどの金属イオンを取り込むとともにナトリウムイオンやカルシウムイオンを放出するイオン交換によって水質を無害化するものである。特に、重金属吸着性能に優れているため、アルミノケイ酸塩を用いるのが好ましい。
重金属吸着セラミックは粒状に加工し、粒径は10〜100μmの範囲が好ましい。
10μm未満では、小さすぎて型に混合物を充填する際に粉塵が発生したり、各作業工程における不可避の振動によって材料の均一分散性が失われてしまう。さらに、20μm以上、特に30μm以上が好ましい。
100μmより大きくなると、体積に対する表面積の割合が小さくなり、水との接触効率が低下するため浄化性能が不足する。さらに80μm以下が好ましく、さらには60μm以下が好ましく、特に50μm以下が好ましい。
【0027】
混合物100重量部に対する活性炭の重量比は、50〜85重量部とするのが好ましい。
50重量部未満では、フィルター成形体の浄化性能が不足してしまう。さらに55重量部以上が好ましく、特に65重量部以上が好ましい。
また、85重量部より大きくなると、熱溶融性バインダーの比率が低下してフィルター成形体の強度が不足し崩壊するおそれがある。さらに80重量部以下が好ましく、特に70重量部以下が好ましい。
【0028】
混合物100重量部に対する重金属吸着セラミックの重量比は、10〜30重量部が好ましい。
10重量部未満では、フィルター成形体の浄化性能が不足してしまう。さらに15重量部以上が好ましく、特に18重量部以上が好ましい。
また、30重量部より大きくなると、活性炭など重金属吸着セラミック以外の吸着材料の比率が低下し、浄化性能が低下してしまう。さらに25重量部以下が好ましく、特に23重量部以下が好ましい。
【0029】
熱溶融性バインダーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、およびそれらの混合材料等を使用することができ、軟化点がフィルター成形体の使用温度よりも高いものが好ましい。
本発明では、熱溶融性バインダーのメルトインデックスについては、特に限定されない。
【0030】
混合物100重量部に対する熱溶融性バインダーの重量比は、5〜30重量部が好ましい。
5重量部未満では、フィルター成形体の強度が不足して崩壊するおそれがある。さらに10重量部以上が好ましく、特に12重量部以上が好ましい。
また、30重量部より大きくなると熱溶融性バインダーによってフィルター成形体中の通路がふさがれてしまうため、通水抵抗が高くなってしまう。さらに20重量部以下が好ましく、特に17重量部以下が好ましい。
【0031】
吸着材料および熱溶融性バインダーは、均一な分散状態となるように混合しておく。
混合は、たとえばミキサーを用いた乾式混合により行うことができる。
【0032】
次いで、吸着材料および熱溶融性バインダーを均一に混合した混合物を、型に充填する。
例として、円筒形状のフィルター成形体を成形するため、図1に示す型モジュール1を用いる。
型モジュール1は、フィルター成形体の外周側面を画成する側面型2と、この側面型2の上端に組みつけられてフィルター成形体の軸方向上端部を画成する上面型3と、この側面型2の下端に組みつけられてフィルター成形体の軸方向下端部を画成する下面型4と、側面型2内に挿入されフィルターの中央空間部を形成する軸型5とを、上スペーサ6、下スペーサ7、上止リング8および下止リング9によって一体に組み立ててなる。
【0033】
図2に示すように、側面型2は、円筒状の内周面を有しており、フィルター成形体の外周側面を画成する。
また、側面型2の内周面の上部および下部には、それぞれ上スペーサ6および下スペーサ7の抜けを防止するための凹部10を刻設している。
【0034】
この側面型2は2つの側面分型2a、2bを合わせてなる。2つの側面分型2a、2bは、フィルター成形体の軸方向に延在する合わせ面で接しており(図1)、環状の上止リング8および下止リング9により一体に締め付けられて保持される。
2つの側面分型2a、2bは、マイクロ波によって効率的に混合物を加熱するため、誘電損失係数が低い低誘電率材料によって形成される。この低誘電率材料の誘電損失係数は、0.015以下であることが好ましい。
【0035】
マイクロ波による加熱では、誘電損失によってエネルギーが熱に変換されるため、誘電損失係数が0.015より大きい材料を用いると、側面分型がマイクロ波を吸収して熱に変換することにより側面型の破損の原因となってしまう。さらに0.010以下であることが好ましく、特に0.005以下であることが好ましい。誘電損失係数の下限については、本発明の技術思想上特に制限されるものではないが、誘電損失係数がきわめて小さい材料は高価であり材料コストが上昇するため、0.00002以上であることが好ましい。
【0036】
このような低誘電率材料は、誘電損失係数の条件を満たすとともに熱溶融性バインダーの軟化点において十分な使用耐性を備えている必要があり、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフェニルサルファイド樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、およびこれらの混合物を使用することができる。
誘電損失係数が低く、かつ、フィルター成形体を離型しやすい点で、特にPTFE等のフッ素樹脂、ポリフェニルサルファイド樹脂を用いるのが好ましい。
なお、剛性を高めるために、低誘電率材料に短繊維等の繊維材料を混在させてもよく、たとえばガラス繊維等を使用することができる。
【0037】
図2に示すように、上面型3は、後述する上スペーサ6を介して側面型の上端に組みつけられる部材であって、上側の大径部3aと下側の小径部3bとを有する。
小径部3bは上スペーサ6および側面型2に内接する外径に形成され、上方から側面型2に進入して、側面型2に充填された混合物を加圧する。
大径部3aは、上スペーサ6に戴置されるとともに、外周面に形成した雄ネジによって上スペーサ6の内周面に形成された雌ネジと螺合する。
上面型3の中心には、軸型5を挿通させて保持する貫通孔が形成されている。
【0038】
下面型4は、後述する下スペーサ7を介して側面型の下端に組みつけられる部材であって、下側の大径部4aと上側の小径部4bとを有する。
小径部4bは下スペーサ7および側面型2に内接する径に形成され、下方から側面型2に進入して、側面型2の栓となる。
大径部4aは、下スペーサ7に当接するとともに、外周面に形成した雄ネジによって下スペーサ7の内周面に形成された雌ネジと螺合する。
下面型4の中心には、軸型5を挿通させて保持する貫通孔が形成されている。
なお、上面型3と下面型4との両方に軸型5を挿通させて保持する貫通孔を形成する代わりに、一方に貫通孔の変わりに有底の凹穴を形成し、凹穴に軸型5を嵌合させて保持してもよい。
【0039】
下面型4には、外周面から貫通孔まで大径部を水平に貫通するネジ孔11を穿設している。
このネジ孔11に止ネジ12を挿通させて締め付けることで、軸型5が上面3型および下面型4の貫通孔から抜け落ちないように保持固定する。
ネジ孔11および止ネジ12は、下面型4のみに設けるほか、上面型3のみに設けてもよく、上面型3と下面型4との双方に設けてもよい。
なお、上面型3および下面型4も、側面型2と同様に低誘電率材料で形成することが好ましい。
【0040】
上スペーサ6は筒状の部材であって、上面型3を側面型2に対し適切な位置に保持するため、側面型2に上方から取り付けられるとともに上面型3を戴置する。
側面型2に挿入される下部外周面には凸部13が突設され、側面型2の凹部10に嵌合することで抜けが防止される。
上部は大径に形成され、上面型3を戴置するとともにその外周面を包囲している。上部の内周面には雌ネジが形成され、上面型3の大径部3aの雄ネジと螺合する(ネジ結合14)。
【0041】
下スペーサ7は、上スペーサ6と同一の形状に形成され、下面型4を側面型2に対し適切な位置に保持するため、側面型2に下方から取り付けられるとともに下面型4の上側に取り付けられる。
側面型2に挿入される上部外周面には凸部13が突設され、側面型2の凹部10に嵌合することで抜けが防止される。
下部は大径に形成され、下面型4の上側に当接するとともにその外周面を包囲している。下部の内周面には、雌ネジが形成され、下面型4の大径部4aの雄ネジと螺合する(ネジ結合15)。
【0042】
上スペーサ6および下スペーサ7を省略し、上面型3および下面型4が側面型2と直接に螺合するように形成することもできるが、本発明では、合わせ面が軸方向に延在する側面分型2a、2bによって側面型2を形成しているため、側面型2に精度のよい雌ネジを設けにくく、圧縮不良が生じやすくなるので、上スペーサ6および下スペーサ7を設けることが好ましい。
上スペーサ6および下スペーサ7も、側面型2と同様に低誘電率材料で形成することが望ましい。
【0043】
軸型5は、側面型2内に挿入される棒状の部材であって、フィルター成形体の中央空間部を形成する。
軸型5は、金属で形成することが好ましい。軸型5を金属で形成することによって、型モジュール1の組み立て時や、マイクロ波での加熱時において、軸型5が側面型2の方向へ変形するのを防止でき、成形されるフィルター成形体の寸法精度を高めることができる。また、加熱時に照射されるマイクロ波を反射して、周囲の混合物を加熱することができる。
【0044】
<第一工程>
型モジュール1に混合物を充填する工程は以下の通りである。
まず、上スペーサ6および下スペーサ7に2つの側面分型2a、2bを取り付け、側面型2が外れないように上止リング8および下止リング9で固定する。
次に、固定された下スペーサ7の下方に下面型4を挿し込み、螺合させて取り付ける。
次いで、下面型4の貫通孔に軸型5を挿通させる。このとき、下面型4の下端と軸型5の下端とが同じ高さで一致するようにし、軸型5が側面型2内に位置するようにして、ネジ孔11に止ネジ12を螺合させて軸型5を固定する。
【0045】
次いで、漏斗状の器具や筒状の先端部を有する自動供給装置を用いて、上スペーサ6の上方から側面型2内へ混合物を充填する。このとき、フィルター成形体の完成形の高さよりも高い位置まで混合物を充填する。
混合物を所定の高さまで充填した後、上スペーサ6および軸型5に上面型3を取り付けて螺合し、上面型3によって混合物を押圧し嵩体積を減少させる。
これにより、図2に示すように、型モジュール1内の円筒状の空間に混合物を充填することができる。
【0046】
なお、混合物の圧縮は、上面型3のみによって行ってもよいが、下面型4を下スペーサに螺合する際に余裕をもたせて一部だけ螺合しておき、混合物を充填し、上面型3によって混合物を圧縮するのと同時にまたは先後して、下面型4をさらに螺合させて圧縮するようにしてもよい。
【0047】
また、軸型5の固定位置については、図2のように、軸型5の下端と下面型4の下端とを一致させ、軸型5の上端を上面型3の上端よりも下方に位置させる代わりに、軸型5の上端と上面型3の上端とを一致させ、軸型5の下端を下面型4の下端よりも上方に位置させてもよい。
また、軸型5をより長く形成して、軸型5の下端と下面型4の下端とが一致するとともに、軸型5の上端と上面型3の上端とが一致するようにしてもよい。軸型5をさらに長く形成して、軸型5が上面型3または下面型4の先端から一部突出するように形成してもよい。
【0048】
さらに、止ネジ12によって軸型5を型モジュール1に固定するのは、軸型5を配置した直後のほかに、混合物を充填した後でもよく、さらに上面型3を組み付けた後でもよい。
また、止ネジ12によって軸型5を固定する代わりに、上面型3および/または下面型4の内周面と軸型5の外周面との一方に凹部(図示せず)を設け、他方にスプリングで突出量が変化可能な突出量可変機構(図示せず)を設けて、スプリングの付勢力によって突出量可変機構が凹部に当接することで軸型5を保持固定するようにしてもよい。
【0049】
<第二工程>
次いで、型モジュール1に充填した混合物にマイクロ波を照射して加熱する。
本発明では、マイクロ波によって混合物の加熱を行うため、オーブン等で加熱する場合に比べて、炉(加熱装置)本体や炉内雰囲気、型モジュールを加熱する必要がなく、混合物を直接加熱することができ、しかも混合物の内部まで同時に加熱することができて、加熱に要する熱量および時間を大幅に節減し、製造コストを低減することができる。
オーブンによる加熱では30〜120分を要していたのに対し、マイクロ波による加熱では1.5〜4分で混合物の加熱(第二工程)が完了する。
また、混合物の全体をほぼ同時に加熱できて加熱時間を短縮することができるので、使用可能な熱溶融性バインダーが、粘度の高い低メルトインデックスのものに限定されることがなく、製造コストを低減させることができる。
【0050】
加熱に使用する加熱装置は、内部に加熱室を有し、この加熱室を通過するベルトコンベアを敷設して、型モジュール1がこのベルトコンベアによって加熱室内を運搬されるようにする。
また、加熱室内には、ベルトコンベアの進行方向に沿って複数のマイクロ波照射装置を配置し、各マイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波が、加熱室内を通過する型モジュール1に照射され、混合物を加熱する。
【0051】
加熱室の内壁は金属製であるため、照射されたマイクロ波が加熱室の内壁に当たると多方向に乱反射して混合物の加熱に用いられる。これにより、マイクロ波照射装置の出力を節減することができるとともに、マイクロ波が多方向から混合物を加熱して混合物全体を均一に加熱することができ、装置も小型化することができる。
【0052】
型モジュール1は、軸型5および混合物の軸方向が、ベルトコンベアの進行方向に対して垂直に交差するように、ベルトコンベア上に乗せるのが好ましい。
また、マイクロ波照射装置のマイクロ波の照射方向は、軸型5および混合物の軸方向とほぼ一致するように設定するのが好ましい。
これにより、金属で形成した軸型5がマイクロ波を遮蔽してその背後の混合物に加熱不足を生じるというようなことが起こらず、混合物全体を均一に加熱することができる。
【0053】
加熱に利用するマイクロ波の周波数は、200MHz(波長1500mm)〜10GHz(波長30mm)のものを使用することができる。さらに、500MHz(波長600mm)〜5GHz(波長60mm)のものが好ましい。
【0054】
マイクロ波の出力は、0.4〜1.5kwが好ましい。
0.4kw未満では出力が不足し加熱に要する時間が長くなる。さらに0.5kw以上が好ましく、特に0.7kw以上が好ましい。
また、1.5kwより大きくなると混合物が過熱状態となり、熱溶融性バインダーが脱脂されてしまうとともに、型モジュールが破損するおそれがある。さらに1.0kw以下が好ましく、特に0.8kw以下が好ましい。
【0055】
マイクロ波による加熱では、一定時間照射を連続した後一定時間照射を停止することを繰り返す間欠照射を行うことが好ましい。
マイクロ波を連続で照射し続けると、熱溶融性バインダーが急激に加熱されて、溶融して吸着材料を結合する前に劣化してしまい、フィルター成形体の成形不良や強度低下の原因となる。また、型モジュールも、急激な加熱によって破損するおそれがある。
マイクロ波の出力を下げることによって急激な加熱を防止することもできるが、一つの加熱装置では出力を調整できる範囲に限界があり、小さなフィルター成形体を成形する場合と大きなフィルター成形体を成形する場合とで、一つの加熱装置では適当な出力に調整できない場合がある。
マイクロ波を間欠照射する場合には、照射時間と停止時間との長短を調整することで、一つの加熱装置であっても、大小に異なるフィルター成形体を成形することができる。
【0056】
間欠照射の周期については、照射を0.1〜5秒間の範囲で連続させ、0.1〜5秒間の範囲で停止させることが好ましい。照射時間と停止時間とは、同じ長さとしてもよいし、相違させてもよい。
照射時間および停止時間の下限は、それぞれ、さらに0.5秒以上とするのが好ましく、特に1秒以上とするのが好ましい。また、上限は、それぞれ、さらに4秒以下とするのが好ましく、特に3秒以下とするのが好ましい。
【0057】
間欠照射おいて、停止時間を除いた照射時間のみの合計については、75〜120秒間とするのが好ましい。
間欠照射の照射時間が75秒未満では、熱溶融性が均一かつ十分に溶融することができない。さらに80秒以上が好ましく、特に85秒以上が好ましい。
また、120秒以上では過熱状態となり、型モジュール1の破損や熱溶融性バインダーの脱脂の原因となる。さらに100秒以下が好ましく、特に90秒以下が好ましい。
【0058】
なお、加熱装置内に複数のマイクロ波照射装置を配設した本実施例では、各マイクロ波照射装置の間欠照射を同期させる(同時に照射を開始させ、同時に停止させる)のが好ましい。
1つのマイクロ波照射装置はある程度広い範囲にマイクロ波を及ぼして加熱するため、各マイクロ波照射装置の間欠照射を同期させないと、或るマイクロ波照射装置が停止しているときにも他のマイクロ波照射装置がマイクロ波を照射することになり、混合物においては間断なく照射し続けるのと変わらなくなってしまうからである。
【0059】
なお、実施形態では、第一工程と第二工程との間において混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程(圧縮工程A)としたが、他の方法として、第二工程の加熱中において上記混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程(圧縮工程B)とすることもでき、また、第二工程の加熱完了後且つ熱溶融性バインダーが溶融状態にあるうちにおいて上記混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程(圧縮工程C)とすることもできる。
【0060】
第二工程の加熱中において上記混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程Bの場合には、例えば、バネ等を用いた負荷機構(図示せず)や油圧等を用いた加圧機構(図示せず)を上面型3及び/又は下面型4にセットして、上面型3の場合は下面型4方向へ、下面型4の場合は上面型3方向へと負荷を与えた状態とし、その状態でマイクロ波加熱を行うことにより、混合物を圧縮することができる。その際には、溶融状態での加圧時間、加圧時の混合物の反力、圧縮度合い等を考慮して負荷機構ないし加圧機構の圧力を設定する。
第二工程の加熱完了後且つ熱溶融性バインダーが溶融状態にあるうちにおいて上記混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程Cの場合にも、負荷機構や油圧機構を用いて混合物を圧縮することができる。その際にも、溶融状態での加圧時間、加圧時の混合物の反力、圧縮度合い等を考慮して負荷機構ないし加圧機構の圧力を設定する。
【0061】
圧縮工程Aでは、比較的製造設備を簡略化して製造コストを低減することができる。
他方、圧縮工程Bや圧縮工程Cでは、混合物をより確実に圧縮することができ、特に圧縮工程Cを採用することが好ましい。
【0062】
<第三工程>
その後、型モジュール1および混合物(フィルター成形体)を自然冷却させた後、まず、上面型3および下面型4を取り外し、次いで上止リング8および下止リング9を外して、2つの側面分型2a、2b、上スペーサ6および下スペーサ7を分解し、最後に軸型5を抜き取って、フィルター成形体を離型する。
なお、自然冷却に代えて、送風による空冷等の方法で強制冷却してもよい。
【0063】
側面型2を、軸方向に延在する合わせ面を有する2つの側面分型2a、2bにより構成したことにより、フィルター成形体の成形後に上記のような手順で容易に離型することができる。
従来のフィルター成形体の製造方法では、側面型2を2分割の側面分型2a、2bから構成すると、合わせ面に沿ってフィルター成形体の側面にバリが発生し、後処理を要することがある。
しかし、本発明では、マイクロ波によって加熱時間を短縮することができるため、熱溶融性バインダーの溶融による軟化時間が短くなり、合わせ面にバリが発生するおそれを大幅に低減させることができる。また、仮にバリが発生しても極めて小さなものとなるため、仕上げ工程を容易にし、コストを低減することができるとともに、フィルター成形体の品質を向上させることができる。
【0064】
型モジュール1に充填した直後の混合物の嵩体積/完成したフィルター成形体の体積の比は、1〜1.5となるように圧縮するのが好ましい。
このようなフィルター成形体では、熱溶融性バインダーが吸着材料を網目のように結合して、フィルター成形体を良好な強度に成形するとともに、吸着材料の間に水が浄化されながら通過する微細な通路を形成することができる。
【0065】
上記体積比が1未満では、圧縮が不十分でフィルター成形体の成形性および強度が不足する。さらに1.1以上とするが好ましく、特に1.15以上とするが好ましい。
上記体積比が1.5より大きくなると、過剰な圧縮状態となり、離型したフィルター成形体が膨張しようとする復元力が働いて、この復元力に熱溶融性バインダーによる結合が耐えられず、フィルター成形体が破損してしまう。さらに1.4以下とするのが好ましく、特に1.3以下とするが好ましい。
一般に、フィルター成形体において上記体積比を大きくすると、時間当たりの水流量が低下する代わりにコンパクト性と浄化能力が向上する。本発明によれば、上記体積比を高く設定しても良好なフィルター成形体を実現することができる。
【0066】
<実施例>
本発明の実施形態にしたがって円筒形状のフィルター成形体を製造し、性状の試験を行った。
この実施例では、混合物100重量部において、吸着材料として0.1〜0.5mmにカットした繊維状活性炭を61重量部、60−140メッシュパスの粒状活性炭を4重量部、粒径40μmのアルミノケイ酸塩を主成分とするゼオライト(Selecto Scientific, Inc製 ALUSIL40)を20重量部、熱溶融性バインダーとして24g/10min(ATSM D1238、190℃、15kg Load)のポリエチレン(セイシン企業 SK-PE-20L パウダー)を15重量部とし、これらをミキサーで混合した。
なお、この混合物において、繊維状活性炭の重量/粒状活性炭の重量は15.25である。
【0067】
この混合物を、誘電損失が0.003のPTFE(テフロン(登録商標))製の側面型2、上面型3、下面型4、上スペーサ6および下スペーサ7と、ステンレス製の軸型5とからなる型モジュール1に充填した後、上面型3を上スペーサ6に螺合し、あるいは下面型4を下スペーサ7に螺合して、混合物を圧縮した。
【0068】
その後、加熱室のベルトコンベアに沿って4つのマイクロ波照射装置を配置した加熱装置で、混合物にマイクロ波を照射して加熱した。加熱室の内壁は金属製のものとした。
型モジュール1は、軸型5および混合物の軸方向がベルトコンベアの進行方向に対して垂直になるように、ベルトコンベアに乗せた。このとき、各マイクロ波照射装置の照射方向は、軸型5および混合物の軸方向に一致するようにした。
【0069】
各マイクロ波照射装置のマイクロ波の周波数を2.45GHz、出力を0.7kw(瞬間最大電界密度4.99μm/cm)とし、2秒間の照射と2秒間の停止とを交互に繰り返す間欠照射を行い、照射時間および停止時間の総時間を180秒(照射時間90秒、停止時間90秒)として加熱した。その際に、4つのマイクロ波照射装置では、間欠照射の周期を同期させた。
【0070】
その後、型モジュール1を180秒冷却させた後、離型を行い、外径がφ22mm、内径がφ7mm、高さ108mm、重量16gの円筒形状フィルター成形体を得た。
得られたフィルター成形体では、型モジュールに充填した直後の混合物の嵩体積/完成したフィルター成形体の体積の比が1.18であった。
【0071】
この実施例のフィルター成形体について、家庭用浄水器試験方法(JIS S3201)に従い、ろ過流量試験および遊離残留塩素ろ過能力試験を実施した。
ろ過流量試験は、フィルター成形体に初期通水後、さらに10分間連続通水してから、動水圧0.1MPaとしたときの単位時間あたりのフィルター成形体を透過する流量を測定するものである。
遊離残留塩素ろ過能力試験は、遊離残留塩素濃度を2.0±0.2mg/Lに調整した水をフィルター成形体でろ過し続け、塩素の除去率が所定の値に低下するまでの総ろ過水量を測定するものである。本試験では、塩素除去率が80%に低下するまでの総ろ過水量を測定した。
結果は、表1の通りとなった。
【0072】
<表1>

【0073】
浄水器に用いるフィルター成形体としては、ろ過流量試験において2.5L/min以上の流量であることが望ましいが、実施例では2.9L/minであった。
また、浄水器に用いるフィルター成形体としては、遊離残留塩素ろ過能力試験において1200L以上の水をろ過処理できることが好ましいが、実施例では2100Lであった。
【0074】
以上より、実施例のフィルター成形体の製造方法は、加熱時間を短縮することができ、熱溶融性バインダーのメルトインデックスも限定されず、製造コストを低減させることができるとともに、フィルター成形体として十分な浄化能力を有していることがわかった。
【符号の説明】
【0075】
1 型モジュール
2 側面型
2a,2b 側面分型
3 上面型
3a 大径部
3b 小径部
4 下面型
4a 大径部
4b 小径部
5 軸型
6 上スペーサ
7 下スペーサ
8 上止リング
9 下止リング
10 凹部
11 ネジ孔
12 止ネジ
13 凸部
14 ネジ結合
15 ネジ結合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着材料と熱溶融性バインダーとを含む混合物を型モジュール内に充填する第一工程と、
型モジュール内で加熱して熱溶融性バインダーを溶融する第二工程と、
上記混合物を型モジュールから離型する第三工程とからなるフィルター成形体の製造方法であって、
上記第二工程では、マイクロ波を照射して上記混合物を加熱することを特徴とするフィルター成形体の製造方法。
【請求項2】
上記吸着材料が、繊維状活性炭と粒状活性炭との一方または双方を含み、
上記熱溶融性バインダーが熱溶融性の高分子樹脂の粉末からなり、
第一工程と第二工程との間、第二工程の加熱中、もしくは加熱完了後且つ上記熱溶融性バインダーが溶解状態にあるうちにおいて、上記混合物を押圧して嵩体積を減少させる圧縮工程を含むことを特徴とする請求項1記載のフィルター成形体の製造方法。
【請求項3】
上記吸着材料が、繊維状活性炭と粒状活性炭との双方を含むことを特徴とする請求項1記載のフィルター成形体の製造方法。
【請求項4】
円筒形状のフィルター成形体を成形するフィルター成形体の製造方法であって、
上記型モジュールが、上記フィルター成形体の外周側面を画成する側面型と、この側面型の上端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向上端部を画成する上面型と、上記側面型の下端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向下端部を画成する下面型と、上記側面型内に挿入され上記フィルター成形体の中央空間部を形成する軸型とを具備し、
上記側面型は、2つの側面分型で形成され、この2つの側面分型の合わせ面が上記フィルター成形体の軸方向に延在していることを特徴とする請求項1記載のフィルター成形体の製造方法。
【請求項5】
円筒形状のフィルター成形体を成形するフィルター成形体の製造方法であって、
上記型モジュールが、上記フィルター成形体の側面を画成する側面型と、この側面型の上端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向上端部を画成する上面型と、上記側面型の下端に組みつけられ上記フィルター成形体の軸方向下端部を画成する下面型と、上記側面型内に挿入され上記フィルター成形体の中央空間部を形成する軸型とを具備し、
上記圧縮工程においては、上記上面型と上記下面型と上記軸型とが作用して、上記上面型と上記下面型との間の距離を縮小して混合物を圧縮する力をかけることを特徴とする請求項2記載のフィルター成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−10086(P2013−10086A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145599(P2011−145599)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】