説明

フィルター材

【課題】ダスト捕集効率に優れ、かつ、機械的強度が高いフィルター材およびそれからなるバグフィルターを提供すること。
【解決手段】ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材において、下記の(1)および/または(2)を満足することを特徴とするフィルター材により、;(1)少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブ1が、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブ3が、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含む;(2)繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の汚染物、例えば粉塵を捕集して除去し、空気を清浄にする機能を有するフィルター材に関する。本発明のフィルター材は、特にゴミ焼却炉、石炭ボイラー、あるいは金属溶鉱炉などから排出される高温の排ガスを濾過するための集塵用濾布および該濾布を縫製したバグフィルターとして好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
空気を清浄化するフィルター材には、内部濾過用フィルター材と表面濾過用フィルター材とがあり、集塵機では表面濾過用フィルター材が用いられる。表面濾過とは、ダストをフィルター材表面で捕集してダスト層をフィルター材表面に形成させ、そのダスト層によって次々にダストを捕集し、ダスト層がある程度の厚さになったら空気圧によってフィルター材表面からダスト層を除去し、再びフィルター材表面にダスト層を形成させる操作を繰り返すものである。
【0003】
ゴミ焼却炉、石炭ボイラー、あるいは金属溶鉱炉などから排出される高温の排ガスを濾過するためのフィルター材を構成する繊維としては、耐熱性および耐薬品性に優れたポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す)繊維、メタ系アラミド繊維、フッ素系繊維、ポリイミド繊維などを用いた不織布からなるフィルター材が用いられてきた。中でもPPS繊維は、優れた耐加水分解性、耐酸性および耐アルカリ性を有していることから、石炭ボイラーの集塵用バグフィルターとして広く用いられている。
【0004】
ところで、環境規制は厳しくなる時流にあり、特に米国において制定される動きにあるPM2.5規制が日本でも適用される可能性がある。このような流れを受けて、より高いダスト捕集効率で、より高温下での寸法安定性に優れたフィルターが要望されている。従来用いられている電気集塵機やサイクロン方式では、このような時流に追随できず、不織布製フィルターの更なる高機能化が要望されている。
【0005】
さらに、これらのフィルター材においては、ゴミ焼却炉などにおける使用において、高温排ガスやその排ガス中に含まれる薬品などによる化学的な劣化と、これに加え、排ガス濾過時の圧力損失や逆洗時のパルスジェットに起因する、リテーナーとの摩耗や屈曲疲労等の物理的な劣化が同時に進行する。したがって、バグフィルターに用いられるフィルター材には、上述した耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性に加え、耐摩耗性などの機械的強度が要求される。
【0006】
特許文献1では、単繊維繊度が1.8d(2.0dtex)以下のPPS繊維を表面層に配置した濾過布が提案されている。この方法では確かに、ダスト剥離性能、およびダスト集塵性能は良好であるものの、高温下での剛性、および耐摩耗性が十分でないために、使用時において、物理的な濾布の劣化が進行し、破損が生じるなどの問題があった。
【0007】
また、特許文献2では、短繊維からなるフッ素繊維製フェルトであって、該短繊維が上層部と下層部とで繊維径が異なる繊維で構成されたバグフィルター用濾布が提案されている。この発明は、細い繊維からなる層を上流側に配し、太い繊維を下流側に配することで、圧力損失の増加がゆるやかになり長寿命化がなされるといった濾布を提供しているものの、フッ素繊維は比較的剛性が低いため、特に高温下での剛性が低くなってしまう懸念がある。またフッ素繊維は耐摩耗性が十分でないために、使用時において、物理的な劣化により、破損が生じるなどの問題があった。
【0008】
また、特許文献3では、極細繊維層とフェルト基材層とをニードルパンチ処理して一体化し、極細化可能繊維の分布を表面から裏面に向かって漸減させ、次に高圧水流パンチによって極細化可能繊維を分割して極細化させるようなフィルターが提案されている。この方法では確かに、フェルト表層の極細繊維によってダスト捕集効率を高くすることができるが、加工工程が多くなってしまうため加工コストが高くなってしまうという問題がある。
【0009】
また、特許文献4では、フィルターの機械的強度を高くするために、例えばポリテトラフルオロエチレン繊維およびPPS繊維からなるラップと、PPS繊維製の織布と、ガラス繊維製の織布とを、この順序で積層し、一体化した耐熱性濾布が提案されている。この方法ではガラス繊維製の織布を積層することで機械的強度の向上を狙っているが、ガラス繊維はアルカリ薬品に対する耐性が低いため、PPS繊維の持つ耐薬品性を活かした耐熱性濾布を提供することはできない問題や、湿熱処理(オートクレーブ処理)時の強度劣化が非常に大きいという問題がある。
【0010】
特許文献5では、例えばPPS繊維およびポリイミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス繊維のいずれか一種以上の繊維と混綿された高濾過性バグフィルター用濾布が提案されている。しかしながらこの発明は、180℃乾熱収縮率が3%以上のPPS繊維を用いるものであり、PPS繊維を用いた不織布製フィルターの寸法安定性を改善したものではない。また、PPS繊維と他の繊維を混合する際には、混合ムラが発生しやすいという問題があった。
【0011】
特許文献6では、耐熱性を有する基材の表面にフッ素繊維を交絡させる濾布が提案されている。この方法では確かに、ダスト剥離性能、および濾布内部への粒子の浸透を防ぎ、集塵装置稼働時の圧力損失を抑える点では良好である。しかしながら、初期状態での通気度が低く、初期の圧力損失が高くなることから濾布の短寿命化につながり、また排気ガスの処理能力が大幅に低下するという問題がある。さらにまた、耐熱性を有する基材のフェルトを作成後に、ポリテトラフルオロエチレンのステープルファイバーからなるウェブを積層し、交絡処理するという複数の加工工程が必要となる問題がある。さらにまた、積層したポリテトラフルオロエチレンのステープルファイバーからなるウェブ層が、バグフィルターとして使用中の衝撃で剥離する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−165729号公報
【特許文献2】特開平9−075637号公報
【特許文献3】特公平7−16570号公報
【特許文献4】特開2000−334228号公報
【特許文献5】特開2000−140530号公報
【特許文献6】特開2002−204909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明の開示
本発明は、かかる技術的背景に鑑み、ダスト捕集効率に優れ、ダスト払い落とし後の圧力損失の上昇が少なく、かつ、機械的強度が高いフィルター材を提供せんとするものである。
【0014】
また本発明は、ダスト捕集効率に優れ、高温下での熱寸法安定性に優れ、かつ、地合が均一で緻密なフィルター材を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明は、「1.ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、下記の(1)および/または(2)を満足することを特徴とするフィルター材;
(1)少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含む;
(2)繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含む。」
「2.少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含む上記フィルター材。」
「3.エアー流入面側のウェブが、繊維径10μm以下の耐熱性繊維を20wt%以上含んでいる上記いずれかに記載のフィルター材。」
「4.耐熱性繊維がパラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、フッ素系繊維、炭素繊維およびガラス繊維から選ばれたものである上記いずれかに記載のフィルター材。」
「5.エアー流入面側のウェブが10〜90wt%のポリフェニレンサルファイド繊維と10〜90wt%のフッ素系繊維を含んでいる上記いずれかに記載のフィルター材。」
「6.繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含む上記いずれかに記載のフィルター材。」
「7.ポリフェニレンサルファイドの短繊維とフッ素系繊維の短繊維とが混綿されてウェブを形成している、上記のいずれかに記載のフィルター材。」
「8. ポリフェニレンサルファイド繊維とフッ素系繊維のウェブ全体に占める割合の合計が、70wt%以上である、上記いずれかに記載のフィルター材。」
「9.ウェブ表面の繊維が、部分的に融着されている上記いずれかに記載のフィルター材。」
「10.耐熱性繊維からなる骨材の両面にウェブを積層した、少なくとも3層構造からなる、上記いずれかに記載のフィルター材。」
「11.骨材が耐熱性繊維の織物からなる上記のフィルター材。」
「12.骨材が、ポリフェニレンサルファイド繊維およびフッ素系繊維から選ばれた繊維を含む、上記いずれかに記載のフィルター材。」
「13.骨材を構成する耐熱性繊維が、総繊度が100〜1000dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイドの紡績糸である上記いずれかに記載のフィルター材。」
「14.ポリフェニレンサルファイド繊維のヤング率が20cN/dtex以上である、上記いずれかに記載のフィルター材。」
「15.フッ素系繊維がポリテトラフルオロエチレン繊維である上記いずれかに記載のフィルター材。」
「16.上記のいずれかに記載のフィルター材を袋状に縫製したバグフィルター。」からなる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含むことにより、ダスト捕集効率に優れ、ダスト払い落とし後の圧力損失の上昇が少なく、かつ、機械的強度に優れたフィルター材とすることができる。
【0017】
また第2の発明によれば、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含むことにより、ダスト捕集効率に優れ、高温下での熱寸法安定性に優れ、かつ、地合が均一でピンホールなどの不良が少ないフィルター材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかるフィルター材の分解断面図の一例である。
【図2】本発明にかかるフィルター材の大気塵捕集効率測定装置の概略図である。
【図3】本発明にかかるフィルター材のダスト払い落とし後の圧力損失測定装置の概略図である。
【図4】本発明にかかるフィルター材の風速1m/分における大気塵捕集効率の測定結果である。
【図5】本発明にかかるフィルター材の風速2m/分におけるダスト払い落とし後の圧力損失の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明者らは、フィルター材について、鋭意検討し、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、下記の(1)および/または(2)を満足するフィルター材が優れた特性を有することを究明したものである;
(1)少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含む;
(2)繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含む。
【0020】
すなわち、第1の発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含むフィルター材である。
【0021】
また第2の発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含むフィルター材である。
【0022】
さらに、(1)および(2)の両者を満たすことがより好ましい。以下に、まず第1の発明から説明する。
【0023】
本発明で用いられるポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略す)繊維とは、その構成単位の90%以上が−(C−S)−で表されるフェニレンサルファイド構造単位を含有する重合体からなる繊維である。PPS繊維を使用することにより、耐熱性、耐薬品性および耐加水分解性に優れたフィルター材を得ることができる。
【0024】
本発明のPPS繊維を含むフィルター材は、少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含むことが重要である。エアー流入面側のウェブにおいて、繊維径15μmより大きい耐熱性繊維の含有量が50wt%を越える場合、緻密性が損なわれるため、フィルター性能であるダスト捕集効率が低下する傾向となるので好ましくない。さらに、エアー排出面側のウェブにおいて、繊維径20μm未満の耐熱性繊維の含有量が50wt%より多い場合、ウェブのみからなるフィルター材においては、フィルター材の機械的強度が低下する傾向になるため好ましくない。
【0025】
本発明において、エアー流入面とは、表面濾過用フィルター材において、ダストが含まれたエアーが最初にフィルター材と接触する面のことを示す。すなわち、ダストをフィルター材表面で捕集しダスト層を形成させる面のことを表す。また、その反対側の面、すなわち、ダストが除去されたエアーが排出される面のことをエアー排出面と定義する。
【0026】
本発明のフィルター材は、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含んでいるウェブで構成されていることから、寸法安定性や引張強力などの機械的強度に優れたフィルター材が得られる。ウェブを交絡させて得られた不織布は、空隙部分が均一に分散されており、織物に比べて濾過特性に優れているためフィルター材として好ましく使用される。しかしながら、細い繊維のみのウェブからなる不織布では引張強力や寸法安定性が低く、機械的強度が十分でなく好ましくない。
【0027】
フィルター材を構成する耐熱性繊維の構成としては、ダスト捕集効率と圧力損失と機械的強度とのバランスから、エアー流入面側のウェブは、繊維径が9〜15μmの耐熱性繊維を50wt%以上含むことが好ましい。また、エアー排出面側のウェブは、繊維径が20〜40μmの耐熱性繊維を50wt%以上含むことが好ましい。エアー流入面側のウェブを形成する耐熱性繊維として、9〜15μmの繊維径の耐熱性繊維以外の繊維を混ぜる場合、繊維径が15μmを超え40μm以下の耐熱性繊維を50wt%以下の範囲で含むことが好ましい。エアー排出面側のウェブを形成する耐熱性繊維として、20〜40μmの繊維径の耐熱性繊維以外の繊維を混ぜる場合、繊維径が9μm以上20μm未満の耐熱性繊維を50wt%以下の範囲で含むことが好ましい。
【0028】
また、上述のエアー流入面側のウェブを形成する耐熱性繊維として、繊維径が10μm以下の耐熱性繊維を20wt%以上含んでいることが、さらに高いダスト捕集効率を得られることから、好ましい。繊維径が9μm以上10μm以下の耐熱性繊維を20wt%以上含むことが、より好ましい。
【0029】
本発明において、ウェブを形成する耐熱性繊維は、少なくともPPS繊維を含むが、PPS繊維以外の耐熱性繊維を混綿することも可能である。フィルター性能であるダスト捕集効率と圧力損失とは反比例の関係にある。一般的にダスト捕集効率を高くする手段としては、濾過層の表層にシリコーン樹脂やフッ素樹脂などを樹脂コートし、膜を形成させたり、濾過層を構成する繊維の繊度を低くすれば良い。しかし、そうすると圧力損失は高くなる傾向にあるため、バグフィルターとしたときに寿命が短くなってしまう。帯電性の異なる繊維同士を混綿すると、繊維間で電気的な作用が働き(トリボエレクトレット効果)、ダスト捕集効率を向上させることが可能となるので、ダスト捕集効率と圧力損失とをバランス良く両立させるために有効である。そのため、特にエアー流入面側のウェブにおいては、PPS繊維以外の耐熱性繊維を混綿することが好ましい。もちろん、エアー排出面側のウェブにおいて、PPS繊維以外の耐熱性繊維を混綿することも好ましい。
【0030】
PPS繊維以外の耐熱性繊維としては、フッ素系繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、ポリイミド繊維、炭素繊維およびガラス繊維から選ばれる繊維が好ましい。特に、PPS繊維よりも高い耐熱性を有し、耐薬品性にも優れるフッ素系繊維が好ましい。また、エアー流入面のウェブが、フッ素系繊維を含んでいると、フッ素系繊維の表面低摩擦性が作用し、繊維表面に付着したダストの払い落とし性が良好となり、圧力損失の上昇を抑制することが可能となる。また、ウェブ内部へのダストの侵入および堆積も抑制されるため、同様に圧力損失の上昇を抑制することが可能となる。フッ素系繊維としては、重合体の繰り返し構造単位の90%以上が、主鎖または側鎖にフッ素原子を1個以上含むモノマーで構成された繊維であれば、いずれのものでも使用することができるが、フッ素原子数の多いモノマーで構成された繊維ほど好ましい。例えば、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、または、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを使用することができる。フッ素系繊維としては、耐熱性、耐薬品性、また表面低摩擦性に特に優れているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いることがさらに好ましい。
【0031】
本発明におけるウェブは、PPS繊維を10wt%以上含むことが好ましい。10wt%未満では、PPS繊維以外の耐熱性繊維の割合が高くなるため、選定する繊維によってはPPS繊維自身の特性が損なわれるおそれがある。また、PPS繊維以外の繊維を混綿する場合、ウェブ中のPPS繊維の含有量は90wt%以下が好ましい。90wt%を超えると、PPS繊維以外の耐熱性繊維の割合が極端に少なくなり、他素材混綿によるダスト捕集効率向上効果が低くなってしまう。
【0032】
すなわち、PPS繊維とフッ素系繊維を混綿して用いる場合、ウェブが10〜90wt%のPPS繊維と10〜90wt%のフッ素系繊維を含むことが好ましい。さらにまた、PPS繊維とフッ素系繊維のウェブ全体に占める割合の合計が、70wt%以上であることが好ましい。PPS繊維とフッ素系繊維の不織布全体に占める割合の合計が、70wt%未満の場合、160℃のオートクレーブで200時間処理した際の強度保持率、すなわち耐蒸熱性が低くなるため、好ましくない。
【0033】
本発明に用いるPPS繊維の製造方法は、フェニレンサルファイドポリマーをその融点以上の温度に加熱して溶融紡糸して繊維状とした後、加熱スチーム中または湯浴中を通過して延伸し、捲縮を付与して得ることができる。PPSの短繊維の場合は、さらに所望の長さに切断して得ることができる。延伸工程においては、緊張状態で延伸するよりも弛緩状態で延伸した方が工程通過性は安定して糸切れなどの発生が少なくて好ましい。そのため、通常は、弛緩状態で延伸が行われるが、その場合、PPS繊維のヤング率は低くなる。本発明では、延伸工程において緊張熱処理を実施することで、ヤング率が20cN/dtex以上のPPS繊維を製造することができる。ヤング率が20cN/dtex以上のPPS繊維を用いると、フィルター材の寸法安定性が向上するので、特に好適に用いることができる。特に、バグフィルターとして用いた場合、パルスジェットによる逆洗時の衝撃や、フィルター材の表面に堆積したダストの自重による応力に対して、寸法安定性が向上するので好ましい。また、ヤング率が20cN/dtex以上のPPS繊維を用いることにより、PPS繊維よりも機械的強度が低いフッ素系繊維を混綿して用いる場合でも、フィルター材の機械的強度を確保することができる。
【0034】
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン繊維の製造方法は、例えば、マトリックスポリマーとテトラフルオロエチレンポリマーとを混合してエマルジョンとし、該エマルジョンを成型用口金より凝固浴中に吐出して繊維化するエマルジョン紡糸法(湿式エマルジョン紡糸法またはマトリックス紡糸法ともいう)によって得ることができる。また、テトラフルオロエチレンポリマーにソルベンナフサなどの可塑化助剤を混合したペーストを押出成形するペースト押出法や、テトラフルオロエチレンの加熱成形体をフィルム状にしてスプリット加工あるいは直接繊維状態に剥離した後、焼成および延伸することで繊維化するスカイブ法によっても問題なく得ることができる。
【0035】
本発明では、ウェブにガラス繊維を含むこともできる。ガラス繊維は、PPS繊維よりも耐薬品性(耐アルカリ性)に劣るが、耐熱性が高く、また低コストである。ガラス繊維とは、ガラスを引き伸ばして細くした人造繊維であり、溶融ガラスを多数の細孔から高速で引いて紡糸するため、極めて細い繊度の繊維が得られることから、ダスト捕集効率の向上に極めて有効である。ガラス繊維の繊維径としては、フィルター性能であるダスト捕集効率と圧力損失とのバランスから2〜7μmの範囲内にあることが好ましい。
【0036】
本発明のフィルター材の製造方法は、例えば、エアー流入面側のウェブとして、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含むウェブを作成し、さらに、エアー排出面側のウェブとして、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含むウェブを作成し、しかる後に両者を絡合して一体化する方法を好適に用いることができる。ウェブを作成する方法としては、例えば、耐熱性繊維の短繊維をカードマシンに通してウェブとする方法を好適に得ることができる。また、ウェブを絡合して一体化する方法としては、ニードルパンチ、またはウォータージェットパンチが好ましい。
【0037】
ここで一般的に知られているニードルパンチ工程を説明する。まず原綿を一定の方向に引きそろえる為に無数の針の付いた回転ドラム、シリンダーの中に投入し、繊維を引きそろえ(カード工程)、得られたウェブをクロスラッパーと呼ばれる振り分け装置により、ラチス上に一定の割合で折り重ねていく。最終的に仕上がるフィルター材の目付としては、この時の原綿投入量とライン速度からほぼ決まると言える。原綿投入量が多くライン速度が遅ければ目付は高く、原綿投入量が少なくライン速度が早ければ目付は低くなる傾向である。得られたウェブは、押さえロールによって軽く圧縮をかけラップと呼ばれる状態にしてから、ニードルパンチにより繊維同士を厚み方向で絡合させて、エアー流入面およびエアー排出面のウェブとする。
【0038】
上述のニードルパンチの針密度としては、フィルター材の強度や見かけ密度、また通気量の点から300本/cm以上であることが好ましい。針密度は少なすぎると繊維同士の絡合性が弱くフィルター材の強度が低くなってしまい、また見かけ密度も低くなる方向であるので、フィルター材の目が緩い状態になり、ダストの捕集性能が悪くなる可能性があり好ましくない。逆に、針密度が多くなり過ぎた場合、ニードルによって繊維が傷つけられるため、フィルター材の強度が低くなる場合があり好ましくない。またフィルター材の収縮傾向が強くなるため、見かけ密度が上がってダスト捕集性能は良くなるが、通気量が低くなるため、使用初期の状態から圧力損失が高くなってしまい、短寿命化につながるため好ましくない。
【0039】
上述のことから、フィルター材の見掛け密度としては適宜ニードルパンチ条件を調整して、0.1〜1.5g/cmの範囲にすることが好ましく、さらには0.1〜0.6g/cmの範囲にすることが好ましい。0.1g/cmよりも小さいフィルター材は、集塵できないダスト量が多くなるため好ましくない。また、見掛け密度が0.6g/cmよりも大きいフィルター材の場合は、通気量が非常に小さいので、フィルターとして用いた場合の圧力損失の上昇が大きくなりすぎるため好ましくない。また通気量についても、適宜ニードルパンチ条件を調整して、10〜80cc/cm/secの範囲が好ましい。
【0040】
本発明のフィルター材は、耐熱性繊維からなる織物(以下、骨材もしくはスクリムと呼ぶ)の片面にエアー流入面側のウェブを積層し、もう一方の面にエアー排出面側のウェブを積層した、少なくとも3層構造とすることがさらに好ましい。本発明のフィルター材は、エアー排出面側のウェブに繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含むことにより、このような骨材を含まない、いわゆるスクリムレスの構成でも、十分な機械的強度を有するが、3層構造とすることにより、さらに寸法安定性、引張強力、耐摩耗性等の機械的強度に優れ、かつ、ダスト捕集効率に優れたフィルター材を得ることが可能となる。また、フィルター材をバグフィルターとして用いる場合に、リテーナーとの接触によるフィルター材の摩耗を軽減することができる。ここで、リテーナーとは、バグフィルターをかぶせて使用する円筒状の骨組みのことであり、一般的には金属で構成されている。濾過圧力や逆洗時のパルスジェットにより、バグフィルターは、リテーナーと接触して摩耗する。3層構造とすることにより、エアー排出面側のウェブが、フィルター材の磨耗を低減する効果を示す。特に、本発明においては、エアー排出面側のウェブに繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含むことにより、リテーナーとの接触によるフィルター材の摩耗を大きく軽減することができるので好ましい。
【0041】
骨材は、機械的強度を保持する役割を担うため、350〜900N/5cmの範囲内の引張強度を有するものが好適に用いられる。
【0042】
本発明において、骨材を構成する繊維は、耐熱性を有するものであればよく、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、フッ素系繊維、炭素繊維、ガラス繊維などを用いることができる。その中でも耐薬品性、耐加水分解性の観点から、PPS繊維およびフッ素系繊維から選ばれた繊維を用いることが好ましい。フッ素系繊維としては、前述のウェブに関する説明で記載したものと同様のものを用いることができる。機械的強度が高いことからPPS繊維が最も好ましい。また、フッ素系繊維はPPS繊維よりも機械的強度に劣るが、耐熱性および耐薬品性に優れるので、特に厳しい環境で使用される場合は、フッ素系繊維を用いるのが好ましい。
【0043】
骨材を構成する繊維としては、紡績糸またはマルチフィラメントを用いることが好ましい。特に、紡績糸は、ウェブとの絡合性が良く、繊維の表面積が多くなるため、フィルター材のダスト捕集効率が良くなる点でより好適である。
【0044】
骨材を構成する繊維の繊度としては、適度な強度を有しているものであれば特に限定するものではないが、繊度が太すぎると織条件によっては骨材の目が詰まりやすい傾向にあり、圧力損失が高くなってしまうため好ましくない。逆に、繊度が細すぎると、織り密度が低くなり通気量は高くなるので圧力損失は低くなる傾向であるが、骨材自身の強度が低下してしまい、フィルター材の機械的強度が低下するため好ましくない。骨材を構成する繊維の総繊度としては100〜1000dtexの範囲内にあることが好ましく、さらには300〜600dtexの範囲内にあることが好ましい。総繊度が100dtex未満になると、骨材の積層による寸法安定性や引張強力の向上効果を十分には得ることができない。また、総繊度が1000dtexを超えると寸法安定性や引張強力には優れるものの、フィルター材の通気量が低くなる傾向であるため、フィルター性能であるダスト捕集効率は良くなるが初期の圧力損失が高くなるため、バグフィルターとして使用した場合の寿命が短くなってしまうため好ましくない。
【0045】
特に、ヤング率が20cN/dtex以上のPPSの短繊維からなる紡績糸を用いるのが好ましい。ヤング率が20cN/dtex以上のPPS繊維は寸法安定性に優れるので好ましい。
【0046】
骨材は、フィルター性能である圧力損失に影響しないように目の粗い織り組織にすることが好ましく、一般的な構造としては、平織り、二重織り、三重織り、綾織り、朱子織りなどがある。特に低コストで汎用的な平織りの織物で満足した性能のものが得られるため好ましく用いられる。織り密度としては、経糸密度が、好ましくは15〜40本/2.54cmの範囲内、さらに好ましくは20〜30本/2.54cmの範囲内で、緯糸密度が、好ましくは10〜30本/2.54cmの範囲内、さらに好ましくは15〜25本/2.54cmの範囲内であるものが好ましく使用される。
【0047】
エアー流入面側ウェブ、骨材、およびエアー排出面側ウェブをこの順に積層した後、絡合により一体化する。かかる絡合手段としては、ニードルパンチおよびウォータージェットパンチから選ばれた少なくとも一方の手段が好ましい。絡合強度の上からは、ニードルパンチが好ましく採用されるが、要求される圧力損失やダスト捕集性能によってはウォータージェットパンチが好ましい場合がある。また、これらの組合せ処理が施されたものが、バランスの良いフィルター材を与える場合があるので、適宜選択して採用するのが好ましい。
【0048】
本発明のフィルター材は、ダストが堆積するエアー流入面側のウェブ表面の一部を融着させることにより、さらにダスト剥離性能やダスト捕集効率を高めることができる。ウェブ表面の一部を融着させる方法としては、毛焼処理やミラー加工などの方法を用いることができる。特にダスト捕集効率の高いものが要求される場合は、両面とも処理を施したものが好ましく使用されるが、具体的には、フィルター材のエアー流入面に、バーナー炎あるいは赤外線ヒーターなどによる毛焼き処理を行ったり、熱ロールでプレスするものである。かかる処理をすることによって、エアー流入面のウェブ表面の少なくとも一部を融着したり、目詰めしたり、さらに両方の手段でカレンダー加工することにより、ダスト捕集効率を向上させることができる。
【0049】
次に、第2の発明について説明する。本発明のフィルター材は、繊度が1〜3dtexの範囲内にあるPPS短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含む構成であることが重要である。これにより、これら2種の繊維の繊維径が、約9〜15μmという近い組合せとなるので、両者を混合して使用する際、混合むらが発生しにくいので好ましい。さらに、繊維径が15μm程度の繊維から構成されたフィルター材は、フィルター材の強度と緻密さにおいて、特にバランス良く構成されたものであるので、フィルター用に好適に用いることができる。ここにフィルター材の強度と緻密さのバランスについて説明する。繊維径が9μmより細い繊維のみで構成されたフィルター材では空孔サイズが小さくなるので、0.5μm以下の粒径のダスト捕集効率は向上するが、フィルター材の機械的強度、特に破裂強度が低くなるため好ましくない。さらに9μmよりも細い繊維のみで構成した場合、機械的強度を確保するためには目付を増やす方法があるが、目付を例えば900g/m以上にした場合、不織布の見掛け密度が非常に高くなり、通気量が低くなって圧力損失が上昇するため好ましくない。反対に、17μmより太い繊維のみで構成されたフィルター材では破裂強度は向上するが、空孔サイズも大きくなり、0.5μm以下のダスト捕集効率が低くなるため好ましくない。従って、繊維径が9〜15μm程度の繊維から構成されるフィルター材は、不織布の強度と緻密さのバランスが優れたフィルター材であるので好ましい。
【0050】
ここで繊維の繊度と繊維直径の換算は、丸断面繊維においては比重を用いて計算するとし、異形断面繊維の場合には、繊維の多角形断面において、断面の重心から多角形の各頂点(内角が鋭角および鈍角いずれも含む)までの距離の平均を繊維直径と定義した。楕円繊維の場合は、長辺と短辺の平均値を繊維直径と定義した。PPS繊維の比重は1.34を、フッ素系繊維の比重は2.30を使用した。
【0051】
従って繊度が1〜3dtexの範囲内にあるPPS短繊維の直径は9.7〜16.9μmであり、繊度が2〜4detxの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維の直径は10.5〜14.9μmである。
【0052】
本発明のフィルター材は、PPSの短繊維とフッ素系繊維の短繊維とが混綿されて不織布を形成していることが好ましい。PPSの短繊維およびフッ素系繊維の短繊維は繊維長が0.2〜140mmの範囲にあることが好ましい。140mmより長い繊維では繊維同士の混合が不充分となり、地合が均一にならないため好ましくない。特にオープナーで繊維を混合するような場合は、繊維長が35〜80mmの範囲内であることがより好適である。水に分散して混合する場合には、繊維長は0.2〜10mmの範囲内であることがより好適である。繊維長が0.2mm未満の繊維は、繊維の切断工程における切断長にむらが多くなり、かつ、切断工程における刃へのからみつきが非常に多くなり、工程通過性が悪化するので好ましくない。
【0053】
本発明において、フィルター材が耐熱性繊維からなる織物、すなわち骨材、を含んでいることも好ましい。骨材の片面にウェブを積層した2層構造でも良いが、骨材の両面にウェブを積層した、少なくとも3層構造を有することが特に好ましい。
【0054】
本発明のフィルター材の製造方法は、例えば、繊度が1〜3dtexのPPS短繊維と、繊度が2〜4dtexのフッ素系繊維の短繊維とを混綿し、カードマシンに通してウェブとし、骨材と積層してニードルパンチ処理で絡合一体化してフィルター材にする。ここでいう混綿とは、一般的なオープナーでの混合が挙げられるが、その他の風送による混合などでも問題なく混綿することができる。
【0055】
本発明にPPS繊維、フッ素系繊維、骨材等としては、前述のようなものが好適に用いることができる。また、ウェブを交絡する方法等についても、前述の方法を好適に用いることができる。
【0056】
本発明のフィルター材は、ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜をラミネートしたものも、好適に用いることができる。ポリテトラフルオロエチレン微多孔膜をラミネート、すなわち、積層して接着することで、微細なダストの集塵効率がさらに向上して好ましい。ポリテトラフルオロエチレン繊維からなるフィルター材にポリテトラフルオロエチレン微多孔膜をラミネートする場合は、そのポリマーの持つ性質上、接着性がやや悪いという欠点を持つ。本発明のフィルター材はPPS繊維が存在することから、ポリテトラフルオロエチレン繊維のみからなるフィルター材に比較して接着性が向上しており、ラミネートしやすくなるという効果も併せ持つものである。
【0057】
このようにして得られたフィルター材は、袋状に縫製し、耐熱性の要求されるゴミ焼却炉や石炭ボイラー、もしくは金属溶鉱炉などの排ガスを集塵するバグフィルターとして好適に使用される。この縫製に使用される縫糸としては、織物を構成する繊維と同様に、耐薬品性、耐熱性を有する繊維素材で構成された糸を使用するのが好ましく、PPS繊維やフッ素系繊維などが適宜使用される。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
なお、フィルター材の各物性の測定方法は以下のとおりである。
【0060】
[目付]
フィルター材を400mm角にカットして、重量からフィルター材の目付を算出した。
【0061】
[厚み]
フィルター材の厚みを、シックネスダイヤルゲージ(押し圧力250g/cm=0.000245Pa)にて測定した。無作為に6点選んで測定し、平均値を求めた。
【0062】
[剛軟度]
JIS L 1096に規定されるガーレ法に基づいて、フィルター材の剛軟度を測定した。フィルター材は長さ63.5mm、幅25.4mmのサイズにカットして表裏一回ずつ測定した。測定試料はn=4で行った。
【0063】
[破裂強力]
JIS L 1096に規定される破裂強力法に基づいて、フィルター材の破裂強力を測定した。測定箇所は無作為に5点選んで測定した。
【0064】
[通気量]
JIS L 1096に規定されるフラジール形法に基づいて、フィルター材の通気量を測定した。測定箇所は、無作為に6点選んで測定した。
【0065】
[大気塵捕集効率]
フィルター材のダスト捕集効率を、図2の装置を用いて、大気塵計数法により測定した。すなわち、図2においてフィルター材5(φ170mm)の下流側に設置された送風機8により、フィルター材5に対し、濾過風速1m/minの気流を5分間通気させた後、フィルター材5の上流側の大気塵(粒径:0.3〜5μm)個数Aをリオン社製パーティクルカウンター(上流)4によって測定し、同時にフィルター材5の下流側の大気塵(粒径:0.3〜5μm)個数Bを同社製パーティクルカウンター(下流)6によって測定した。測定試料はn=3で行った。得られた測定結果から、次式によって捕集効率(%)を求めた。
【0066】
(1−(B/A))×100
式中、A:上流側大気塵個数
B:下流側大気塵個数
大気塵捕集効率の判定基準は、粒径1μm以下のダスト捕集効率が50%以上を○(良い)、45%以上50%未満を△(やや良い)、45%未満を×(悪い)とした。
[圧力損失]
大気塵捕集効率測定時の、フィルター材5による圧力損失を、マノメーター7で読みとった。
[ダスト払い落とし後の圧力損失]
図3の装置により、ダスト払い落とし後の圧力損失の測定をした。すなわち、図3においてフィルター材5(φ170mm)の下流側に設置された真空ポンプ12と流量計10により、フィルター材5に対し、濾過風速2.0m/minの気流を与えた。JIS10種ダストをダスト供給機14とダスト分散機15でダスト濃度20g/mに調整したダストをフィルター材5(濾過面積100cm)のエアー流入面側に付加した。デジタルマノメーター13で測定した圧力損失が100mmHO(980Pa)まで上昇する毎に、フィルター材5の下流にあるパルスジェット負荷機9により、パルスジェット圧力3kgf/cm(294kPa)、0.1secの条件でパルスジェットを155回打ち、パルスジェット付加直後の圧力損失をデジタルマノメーター13で連続モニターリングした。
【0067】
ダスト払い落とし後の圧力損失の判定基準は、経過時間30hr時点の圧力損失が7mmHO(69Pa)未満を○(良い)、7mmHO(69Pa)以上8mmHO(78Pa)以下を△(やや良い)、8mmHO(78Pa)よりも高い場合を×(悪い)とした。
[総合判定]
大気塵捕集効率およびダスト払い落とし後の圧力損失の判定基準において、2項目中で×(悪い)の判定が1つでもある場合は総合判定を×(悪い)とし、2項目中で○(良い)と△(やや良い)の場合は総合判定を○(良い)とした。
[フィルター材強度]
JIS L 1096に規定されるストリップ法に基づいて、フィルター材の引張強度を測定した。試料サイズは、200mm×50mmであり、引っ張り速度は100mm/min、チャック間隔は100mmで測定した。測定値は、試料のタテ方向(繊維の配向と垂直な方向で、スクリムを含む試料の場合にはスクリムのタテ方向と同一方向)における1次強度の値である。
[耐熱性(耐蒸熱性)]
下記条件にて試料の処理を実施し、試料のタテ方向(繊維の配向と垂直な方向で、スクリムを含む試料の場合にはスクリムのタテ方向と同一方向)における1次強度の保持率を求めた。一次強度の保持率は以下の式で求めた。
一次強度の保持率(%)=A/B×100
A;オートクレーブ処理を実施した後の試料の一次強度
B;オートクレーブ処理を実施していない試料の一次強度
オートクレーブの処理条件はオートクレーブ装置(日東オートクレーブ社製)を用いて、設定温度160℃、表示圧力6.5kgf/cm(637kPa)で、200時間実施した。
[寸法安定性]
試料を300mm(タテ)×50mm(ヨコ)のサイズにカットし、試料のタテ方向と鉛直方向とが同一方向となるように、9.8Nの荷重を鉛直方向に吊した状態で、240℃の雰囲気下に1時間保持した。該熱処理を実施した後の、試料のタテ方向の伸び(クリープ)を測定した。クリープを求める式は以下の通りであり、クリープは絶対値がゼロに近いほど、寸法安定性が良い。
クリープ(%)=((熱処理後の試料の長さ)−300)×100/300
[地合]
試料を光に透かして、地合の均一性、およびピンホールの有無を目視判定し、○(良い)、△(やや良い)、×(悪い)の3段階で評価した。
(実施例1)
繊度3.0dtex(繊維径17μm)、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−3.0T76mm)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸(総繊度600dtex)を得た。これを平織りとし、経糸密度26本/2.54cm、緯糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸平織物を得た。この織物を骨材として、その片面に、繊度2.2dtex(繊維径14.5μm)、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−2.2T51mm)と、繊度1.0dtex(繊維径9.7μm)、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−1.0T51mm)を重量比50:50で混綿した短繊維をオープナー、カーディング処理した後、刺針密度50本/cmで仮ニードルパンチして得たウェブを194g/mの目付で積層した。このウェブが、エアー流入面の濾過層を形成する。織物のもう一方の面に、繊度7.8dtex(繊維径27.2μm)、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−7.8T51mm)100%をオープナー、カーディング処理した後、刺針密度50本/cmで仮ニードルパンチして得たウェブを220g/mの目付で積層した。このウェブが、エアー排出面の濾過層を形成する。さらにニードルパンチ加工により織物(骨材)と上述のウェブとを交絡させ、目付が544g/m、総刺針密度が300本/cmのフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1と図4、5に示した。なお、ここで得られたフィルター材は、ニードルパンチ処理により収縮して理論上より目付が高くなっている傾向がみられた。
(実施例2)
エアー流入面側のウェブを構成する繊維として、繊度1.0dtex(繊維径9.7μm)、カット長51mmのPPS短繊維と、繊度2.2dtex(繊維径14.5μm)、カット長51mmのPPS短繊維、さらには、繊度7.8dtex(繊維径27.2μm)、カット長51mmのPPS短繊維を、30:30:40で混合して用いた。さらにエアー排出面側のウェブを構成する繊維として、繊度2.2dtex、カット長51mmのPPS短繊維と、繊度7.8dtex、カット長51mmのPPS短繊維とを50:50で混合して用いた。それら以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1と図4、5に示した。
(実施例3)
エアー流入面側のウェブを構成する繊維として、繊度1.0dtex(繊維径9.7μm)、カット長51mmのPPS短繊維と、繊度2.2dtex(繊維径14.5μm)、カット長51mmのPPS短繊維とを、20:80で混合して用いる以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1と図4、5に示した。
(実施例4)
繊度2.2dtex(繊維径14.5μm)、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−2.2T51mm)と、繊度3.3dtex(繊維径13.5μm)、カット長70mmのPTFE短繊維(東レ・ファインケミカル(株)製“トヨフロン(R)”T201−3.3T70mm)をそれぞれ重量比50:50で混綿した短繊維をオープナー、カーディング処理した後、刺針密度40本/cmで仮ニードルパンチして、エアー流入面の濾過層を形成するウェブ210g/mを得た。それ以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を製布し、目付533g/mのフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1と図4、5に示した。
(実施例5)
繊度2.2dtex(繊維径14.5μm)、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−2.2T51mm)100%の短繊維をオープナー、カーディング処理した後、刺針密度40本/cmで仮ニードルパンチして、エアー流入面の濾過層を形成するウェブ220g/mを得た。それ以外は、エアー排出面の濾過層を繊度7.8dtex(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−7.8T51mm)を用いることも含めて、実施例1と同様の方法でフィルター材を製布し、目付が494g/mのフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1と図4、5に示した。
(実施例6)
溶融紡糸法により得られたPPS繊維を、その延伸工程において緊張熱処理を実施して製造することで、ヤング率が28cN/dtex、繊度が2.2dtex(繊維径14.5μm)、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製トルコン(R))を得た。このPPS短繊維と、エマルジョン紡糸法で得られた、繊度が3.3dtex(繊維径13.5μm)、カット長70mmのポリテトラフルオロエチレンの短繊維(東レ(株)製TOYOFLON(R))とを重量比で50:50にオープナーで混合し、カードマシンに通してシート状のウェブとする。スクリムとして、ヤング率が28cN/dtex、繊度が2.2dtex、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製トルコン(R))を、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸(総繊度600dtex)とし、平織りの織物(#2818、タテ糸密度:28本/2.54cm、ヨコ糸密度:18本/2.54cm)として用いた。これらのウェブ/スクリム/ウェブをこの順に積層し、針本数400本/cmでニードルパンチ処理をしてフェルトを得た。このフェルトに、鉄ロール製の熱プレスロールマシンを用いて100℃、クリアランス1.0mmでプレス処理を実施して、目付715g/m、厚み1.42mmのフィルター材を得た。
【0068】
得られたフィルター材は、地合も均一で、ピンホールが少なく、PPS繊維とポリテトラフルオロエチレン繊維の混合も均一な不織布であった。
(実施例7)
シート状のウェブに用いるPPS短繊維とポリテトラフルオロエチレンの短繊維とを重量比で75:25にオープナーで混合する以外は、実施例6と同様の方法で目付703g/m、厚み1.58mmのフィルター材を得た。得られたフィルター材は、地合も均一で、ピンホールが少なく、PPS繊維とポリテトラフルオロエチレン繊維の混合も均一な不織布であった。
(実施例8)
シート状のウェブに用いるポリテトラフルオロエチレンの短繊維として、繊度が2.7dtex(繊維径12.2μm)、カット長が60mmのLennzing社製PROFILEN(R)、タイプ803/60を用い、さらにシート状のウェブに用いるPPS短繊維とポリテトラフルオロエチレンの短繊維とを重量比で25:75にオープナーで混合して作成した。さらにスクリムとしてラステックス(R)スクリム(ゴアテックス製、PTFEスリットヤーン糸400D使い、20本/2.54cmの織密度を有する平織り織物、目付70g/m)を用いた以外は、実施例6と同様の方法で目付722g/m、厚み1.29mmのフィルター材を得た。得られたフィルター材は地合も均一で、ピンホールが少なく、PPS繊維とポリテトラフルオロエチレン繊維の混合も均一な不織布であったが、表面の毛羽が若干目立つものであった。
(実施例9)
骨材を用いずエアー流入面の濾過層およびエアー排出面の濾過層の2層構造とした以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を製布し、目付408g/mのフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表と図4、図5に示した。
(実施例10)
骨材を用いずエアー流入面の濾過層およびエアー排出面の濾過層の2層構造とした以外は、実施例4と同様の方法でフィルター材を製布し、目付413g/mのフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表と図4、図5に示した。
(比較例1)
繊度2.2dtex(繊維径14.5μm)、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−2.2T51mm)100%の短繊維をオープナー、カーディング処理した後、刺針密度40本/cmで仮ニードルパンチして、エアー流入面およびエアー排出面の濾過層を形成するウェブをそれぞれ目付220g/m、および220g/mで得た。それ以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を製布し、目付が571g/mのフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表と図4、5に示した。
(比較例2)
繊度7.8dtex、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン(R)”S101−7.8T51mm)100%の短繊維をオープナー、カーディング処理した後、刺針密度40本/cmで仮ニードルパンチして、エアー流入面およびエアー排出面の濾過層を形成するウェブをそれぞれ目付225g/m、および228g/mで得た。それ以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を製布し、目付が594g/mのフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表と図4、5に示した。
(比較例3)
溶融紡糸法により得られたPPS繊維を、その延伸工程において弛緩熱処理を実施して製造することで、ヤング率が19cN/dtex、繊度が7.8dtex(繊維径27.7μm)、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製トルコン(R))を得た。このPPS短繊維をオープナーおよびカードマシンに通してシート状のウェブとする。スクリムとして、ヤング率が19cN/dtexであるPPS短繊維(東レ(株)製トルコン(R)、繊度は2.2dtex、カット長76mm)を単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸(総繊度600dtex)とし、平織りの織物(#2818、タテ糸密度:28本/2.54cm、ヨコ糸密度:18本/2.54cm)として用いた。これらのウェブ/スクリム/ウェブをこの順に積層し、針本数400本/cmでニードルパンチ処理をしてフェルトを得た。このフェルトに、鉄ロール製の熱プレスロールマシンを用いて100℃、クリアランス1.0mmでプレス処理を実施して、目付551g/m、厚み1.52mmのフィルター材を得た。
【0069】
得られたフィルター材は、地合こそ均一なものの、ニードルパンチの針穴の後が見られる不織布であった。
(比較例4)
シート状のウェブとしてエマルジョン紡糸法で得られた、繊度7.4dtex、カット長70mmのポリテトラフルオロエチレンの短繊維(東レ(株)製TOYOFLON(R))を用い、さらにスクリムとしてラステックス(R)スクリム(ゴアテックス製、PTFEスリットヤーン糸400D使い、20本/2.54cmの織密度を有する平織り織物、目付70g/m)を用いた以外は、比較例2と同様の方法で目付630g/m、厚み1.25mmのフィルター材を得た。
【0070】
得られたフィルター材は、地合こそ均一なものの、ニードルパンチの針穴の後が見られる不織布であった。
(比較例5)
シート状のウェブとして、繊度2.2dtex、カット長51mmのポリエチレンテレフタレートの短繊維(東レ(株)製テトロン(R))を用い、スクリムを用いない以外は、比較例1と同様の方法で目付558g/m、厚み1.53mmのフィルター材を得た。
【0071】
得られたフィルター材は、地合こそ均一なものの、ニードルパンチの針穴の後が見られる不織布であった。
(比較例6)
溶融紡糸法により得られたPPS繊維を、その延伸工程において弛緩熱処理を実施して製造することで、ヤング率が19cN/dtex、繊度2.2dtex、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製トルコン(R))を得た。このPPS短繊維をオープナーおよびカードマシンに通してシート状のウェブとする。スクリムを用いないで比較例2と同様の方法で目付512g/m、厚み1.96mmのフィルター材を得た。
【0072】
得られたフィルター材は、地合が若干不均一な不織布であった。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
表1〜3、図4、5の評価結果から、実施例1〜5のフィルター材は、比較例1、2のフィルター材に比べて、ダストの捕集効率が高く、破裂強力やガーレ剛軟度が高く、かつ、ダスト払い落とし後の圧力損失の上昇も緩やかであることがわかる。フィルター材が機械的強度に優れているため、ダスト払い落とし時の応力やリテーナーとの磨耗に対して強いこと、および、ダストの払い落としをしながら連続使用しても、圧力損失が高くならないことから、フィルターの長寿命化を図ることが可能である。また、実施例9、10からわかるように、本発明のフィルター材は、骨材を含まない構成でも、十分な機械的強度を有する。また、実施例6〜8のフィルター材は、比較例3〜6のフィルター材に比べて、ダストの捕集効率が高く、耐蒸熱性が高く、高温下での寸法安定性が高く、かつ、地合が均一でピンホールが少ないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含む構成であるので、ダスト捕集効率に優れ、ダスト払い落とし後の圧力損失の上昇が少なく、かつ、機械的強度に優れたフィルター材とすることができる。
【0078】
また本発明によれば、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含む構成であるので、ダスト捕集効率に優れ、高温下での熱寸法安定性に優れ、かつ、地合が均一でピンホールなどの不良が少ないフィルター材とすることができる。
【0079】
また、本発明のバグフィルターは、上記のフィルター材からなるので、排ガス中に含まれるダストの捕集効率に優れ、かつ、リテーナーとの耐摩耗性や破裂強力、剛軟度、寸法安定性などの機械強度が高く優れるため、フィルターの長寿命化が図れる。
【0080】
本発明のフィルター材およびバグフィルターは、特にゴミ焼却炉、石炭ボイラー、あるいは金属溶鉱炉などから排出される高温の排ガスを濾過するための集塵用濾布およびそれからなるバグフィルターとして好適に用いられる。
【符号の説明】
【0081】
1:エアー流入面の濾過層を形成するウェブ
2:耐熱性繊維からなる織物(骨材)
3:エアー排出面の濾過層を形成するウェブ
4:パーティクルカウンター(上流)
5:フィルター材
6:パーティクルカウンター(下流)
7:マノメーター
8:送風機
9:パルスジェット負荷機
10:流量計
11:ダスト捕集フィルター
12:真空ポンプ
13:デジタルマノメーター
14:ダスト供給機
15:ダスト分散機
16:払い落としダスト捕集部
17:大気塵エアー
18:大気塵が除去されたエアー
19:計量ダスト
20:ダストが含まれたエアー
21:ダストが除去されたエアー




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンサルファイド繊維を含むフィルター材であって、下記の(1)および/または(2)を満足することを特徴とするフィルター材;
(1)少なくとも2層のウェブを含み、エアー流入面側のウェブが、繊維径15μm以下の耐熱性繊維を50wt%以上含み、かつ、エアー排出面側のウェブが、繊維径20μm以上の耐熱性繊維を50wt%以上含む;
(2)繊度が1〜3dtexの範囲内にあるポリフェニレンサルファイド短繊維と、繊度が2〜4dtexの範囲内にあるフッ素系繊維の短繊維を含むウェブを含む。
【請求項2】
耐熱性繊維からなる骨材の両面にウェブを積層した、少なくとも3層構造からなる、請求項1に記載のフィルター材。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフィルター材を袋状に縫製したバグフィルター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−5860(P2011−5860A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146060(P2010−146060)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【分割の表示】特願2005−504185(P2005−504185)の分割
【原出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】