説明

フィルムコンデンサ及びその製造方法

【課題】誘電体フィルムに対する半田付けの熱影響がなく、しかも、より容易に且つ低コストで製造可能なフィルムコンデンサを提供する。
【解決手段】誘電体フィルム14a,14bと金属蒸着膜16a,16bが交互に積層された積層体を巻回してなるコンデンサ素子12の中心孔50内に、二つの端子32,34を、互いが非導電で且つ該金属蒸着面16a,16bと非導電の状態で、コンデンサ素子12の両端面22a,22bからそれぞれ部分的に突出するように挿入して、コンデンサ素子12に圧着すると共に、該コンデンサ素子12の両端面22a,22bに金属の溶射により形成された一対のメタリコン電極28,30に、該二つの端子32,34を、該金属の溶射により各メタリコン電極28,30にそれぞれ固着して、構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムコンデンサとその製造方法とに係り、特に、巻回形のコンデンサ素子の両端面に、端子部が接続されたメタリコン電極をそれぞれ形成してなるフィルムコンデンサの改良と、かかるフィルムコンデンサの有利な製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器に使用されるフィルムコンデンサとして、巻回タイプのフィルムコンデンサが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。このタイプのフィルムコンデンサは、樹脂フィルム等からなる誘電体フィルムと金属蒸着膜とが交互に位置するように積層されてなる積層体(基本素子)を巻回して(具体的には、少なくとも一つの誘電体フィルムと複数の金属蒸着膜とが交互に位置するように積層されてなる構造の積層体の一つを巻回するか、或いはかかる積層体の複数を互いに重ね合わせた状態で巻回するか、又はかかる積層体と誘電体フィルムとを互いに重ね合わせた状態で巻回するかして)、巻回形のコンデンサ素子を構成し、そして、この巻回形コンデンサ素子の両端面に、外部接続用の端子が接続された一対のメタリコン電極を形成して、構成されている。また、かくして構成されたフィルムコンデンサは、必要に応じて、コンデンサケース内に収容されると共に、充填樹脂等にて封止されることにより、ケースモールド型コンデンサとして、使用に供されている。
【0003】
ところで、そのような従来の巻回タイプのフィルムコンデンサでは、一般に、巻回形コンデンサ素子の両端面にメタリコン電極を金属の溶射によりそれぞれ形成した後、金属線材やバスバー等からなる端子を、各メタリコン電極に対して、直接に半田付けすることにより、接続している。このため、かかる従来のフィルムコンデンサには、以下の如き問題が内在していた。
【0004】
すなわち、端子をメタリコン電極に直接に半田付けした際には、そのときの熱が、樹脂フィルム等からなる誘電体フィルムに、メタリコン電極を通じてダイレクトに伝わる。そのため、誘電体フィルムが熱膨張して、誘電率が変化したり、或いはかかる熱膨張後に、誘電体フィルムが冷えて収縮したときに、誘電体フィルムに皺が寄ったりする現象が生じ、それによって、フィルムコンデンサの電気的特性が不安定となる恐れがあった。
【0005】
また、メタリコン電極の形成材料には、通常、亜鉛が用いられる。亜鉛は、粒子が小さいため、金属蒸着膜が薄くとも、そのような金属蒸着膜の端面に対して高い付着性が確保され得るからである。しかしながら、亜鉛は、半田付け性に劣るといった欠点を有している。そのため、従来のフィルムコンデンサでは、一般に、メタリコン電極が、金属蒸着膜との付着性に優れた純亜鉛からなる下地層に対して、半田付け性に富んだ金属と亜鉛との合金からなる合金層を積層した二層構造とされている。それ故、そのような二層構造のメタリコン電極を有するフィルムコンデンサには、メタリコン電極の形成工程、ひいてはコンデンサ全体の製造工程が煩雑で、しかもコスト高となるといった改良すべき点が存していたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−158775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、誘電体フィルムに対する半田付けの熱影響がないか又は極めて小さく、しかも、より簡略な工程で低コストに製造が可能なフィルムコンデンサを提供することにある。また、そのようなフィルムコンデンサの有利な製造方法を提供することをも、その解決課題とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
<1> 誘電体フィルムと金属蒸着膜とが交互に位置するように積層されてなる積層体を巻回して構成したコンデンサ素子の両端面に、金属の溶射により、一対のメタリコン電極を形成する一方、それら一対のメタリコン電極に対して、外部接続用の端子をそれぞれ一つずつ接続してなるフィルムコンデンサであって、前記二つの端子のうちの一方が、前記コンデンサ素子の一方の端面から部分的に突出するように、該コンデンサ素子の中心孔内に挿入されている一方、それらのうちの他方が、該コンデンサ素子の他方の端面から部分的に突出するように、該中心孔内に挿入されており、更に、該中心孔内に挿入された該二つの端子が、互いが非導電で且つ該コンデンサ素子の前記金属蒸着膜と非導電とされた状態で、該コンデンサ素子に圧着されていると共に、該端子が、該コンデンサ素子の両端面への前記金属の溶射により、前記一対のメタリコン電極にそれぞれ固着されて、接続されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【0010】
なお、コンデンサ素子の中心孔内に挿入された二つの端子が互いが非導電で且つコンデンサ素子の金属蒸着膜と非導電とされた状態は、例えば、二つの端子間に、非導電部材や空間を介在させると共に、それら二つの端子と金属蒸着膜との間に、非導電部材を介在させることによって実現される。
【0011】
<2> 前記二つの端子が、前記コンデンサ素子の中心孔の軸方向長さよりも長尺な単一部材の金属製の両端側部分からなっており、更に、該単一部材の長さ方向中間部が非導電材料にて構成されていることによって、該二つの端子が、互いが非導電とされている上記態様<1>に記載のフィルムコンデンサ。
【0012】
<3> 前記端子が、前記コンデンサ素子の中心孔内に部分的に挿入された状態で、該コンデンサ素子に圧着されて、前記メタリコン電極に接続される接続部と、該コンデンサ素子の端面から突出する該接続部の突出部分に対して導電状態で固定されたリード部とを有して構成されている上記態様<1>又は<2>に記載のフィルムコンデンサ。
【0013】
<4> 誘電体フィルムと金属蒸着膜とが交互に位置するように積層されてなる積層体を巻回して構成したコンデンサ素子の両端面に、金属の溶射により、一対のメタリコン電極を形成する一方、それら一対のメタリコン電極に対して、外部接続用の端子をそれぞれ一つずつ接続してなるフィルムコンデンサの製造方法であって、(a)互いが非導電とされた前記二つの端子を、前記コンデンサ素子の前記金属蒸着膜と非導電となる状態で、該コンデンサ素子の中心孔内に部分的に挿入して、該二つの端子のうちの一方を、該コンデンサ素子の一方の端面から部分的に突出させる一方、それらのうちの他方を、該コンデンサ素子の他方の端面から部分的に突出させる工程と、(b)前記二つの端子が前記中心孔内に挿入された前記コンデンサ素子を外側から加圧して、該二つの端子を該コンデンサ素子に圧着する工程と、(c)前記二つの端子が圧着されたコンデンサ素子の両端面に前記金属を溶射して、それら両端面に前記一対のメタリコン電極をそれぞれ形成すると共に、該端子を該一対のメタリコン電極にそれぞれ固着して、接続する工程とを含むことを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
要するに、本発明に従うフィルムコンデンサにおいては、端子をコンデンサ素子に圧着した状態下で、コンデンサ素子の両端面への金属の溶射を実施することにより、メタリコン電極が形成されると同時に、それら各メタリコン電極に対して、端子が固着されて、接続されているのであって、端子は、メタリコン電極に対して、何等半田付けされていない。このため、メタリコン電極に対する端子の接続時に、メタリコン電極への端子の半田付けによる熱が生ずることがない。それ故、そのような熱が、誘電体フィルムにダイレクトに伝わることがなく、従って、端子のメタリコン電極への接続時に、誘電体フィルムが熱膨張して、誘電率が変化したり、或いはかかる熱膨張後に、誘電体フィルムが冷えて収縮して、誘電体フィルムに皺が寄ったりする現象が生ずることが、極めて有利に回避され得る。
【0015】
また、本発明に係るフィルムコンデンサは、上記のように、端子がメタリコン電極に対して半田付けされるものではない。そのため、メタリコン電極が、金属蒸着膜との付着性に優れた下地層に対して、半田付け性に富んだ金属を含む合金層を積層してなる二層構造とされた従来のフィルムコンデンサとは異なって、メタリコン電極を、金属蒸着膜との付着性に優れた下地層のみからなる単層構造と為すことができる。
【0016】
従って、本発明に従うフィルムコンデンサにあっては、メタリコン電極に端子を接続するための半田付けによる熱ダメージがなく、安定した電気的特性が十分に且つ効果的に確保され得るのであり、その上、メタリコン電極、ひいてはコンデンサ全体の製造工程の簡素化と製造コストの削減とが、極めて有利に実現され得るのである。
【0017】
そして、本発明に従うフィルムコンデンサの製造方法によれば、十分に安定した電気的特性を備えたフィルムコンデンサを、より容易に且つ低コストに製造することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う構造を有するフィルムコンデンサの一実施形態を示す、縦断面説明図である。
【図2】図1のII−II断面説明図である。
【図3】図1に示されたフィルムコンデンサを構成する基本素子を示す縦断面説明図である。
【図4】図3のIV矢視説明図である。
【図5】図1に示されたフィルムコンデンサを製造する際に実施される一工程例を示す説明図であって、(a)は、誘電体フィルムに金属蒸着膜を積層形成してなる基本素子の二つを積層する前の状態を示し、(b)は、それら二つの基本素子を積層して、積層体を形成した状態を示している。
【図6】図5の(b)におけるVI矢視説明図である。
【図7】図5に示された工程例に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、積層体を巻回して、巻回形コンデンサ素子を形成している状態を示している。
【図8】図7に示された工程例に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、(a)は、巻回形コンデンサ素子の中心孔内に、端子本体を挿入した状態を示し、(b)は、端子本体を巻回形コンデンサ素子に圧着した状態を示している。
【図9】図8に示された工程例に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、巻回形コンデンサ素子の両端面に、メタリコン電極をそれぞれ形成した状態を示している。
【図10】本発明に従う構造を有するフィルムコンデンサの別の実施形態を示す、図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0020】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を備えたフィルムコンデンサの一実施形態が、切断部位が互いに異なる縦断面形態において、それぞれ示されている。それら図1及び図2から明らかなように、本実施形態のフィルムコンデンサ10は、全体として略四角柱形状を呈する1個のコンデンサ素子12を備えている。そして、このコンデンサ素子12は、従来より公知の巻回形構造を有している。
【0021】
すなわち、コンデンサ素子12は、誘電体フィルムとしての樹脂フィルム14aの一方の面に金属蒸着膜16aが積層されてなる構造の基本素子18aと、誘電体フィルムとしての樹脂フィルム14bの一方の面に金属蒸着膜16bが積層されてなる構造の基本素子18bとを有している。それら各基本素子18a,18bを構成する樹脂フィルム14a,14bは、ここでは、ポリプロピレン製の延伸フィルムからなり、1〜10μm程度の薄い厚さを有している。なお、樹脂フィルム14a,14bの形成材料は、ポリプロピレンに何等限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート等、従来のフィルムコンデンサの樹脂フィルムの形成材料として使用される絶縁性の樹脂材料が、ポリプロピレンに代えて、適宜に用いられ得る。
【0022】
また、樹脂フィルム14a,14bと共に各基本素子18a,18bを構成する金属蒸着膜16a,16bは、コンデンサ素子10の内部電極膜として、公知の手法に従って、樹脂フィルム14a,14bの一方の面上に積層形成されるものである。つまり、金属蒸着膜16a,16bは、従来品と同様に、フィルムコンデンサの内部電極膜を形成する公知の金属材料(例えば、アルミニウムや亜鉛等)を蒸着材として用いて、PVDやCVDの範疇に属する、従来から公知の真空蒸着法を実施することにより、樹脂フィルム14の一方の面上に成膜される。このような金属蒸着膜16a,16bの膜抵抗値は1〜50Ω/cm2 程度とされ、また、その膜厚は、膜抵抗値等によって適宜に決定される。
【0023】
そして、二つの基本素子18a,18bが、樹脂フィルム14a,14bと金属蒸着膜16a,16bとを交互に一つずつ位置させるように互いに重ね合わされて、一緒に巻回されることにより、巻回形のコンデンサ素子12が構成されているのである。なお、図1及び図2には、コンデンサ素子12の構造の理解を容易とするために、コンデンサ素子12が、二つの基本素子18a,18bを一緒に4重に巻回してなる構造において示されているが、実際には、それよりも多重巻きの構造とされていることが、理解されるべきである。
【0024】
また、かかるコンデンサ素子12では、一つの基本素子18aの樹脂フィルム14aの一方の面における幅方向(図1の左右方向で、コンデンサ素子12の長さ乃至は高さ方向)の一端部に、金属蒸着膜16aが積層されていないマージン部20aが設けられている。一方、別の一つの基本素子18bの樹脂フィルム14bの一方の面における幅方向の他端部にも、マージン部20bが設けられている。これによって、マージン部20a,20bが、樹脂フィルム14a,14bと金属蒸着膜16a,16bの積層方向において、コンデンサ素子12の第一端面22aの側と第二端面22bの側とにそれぞれ互い違い位置するように、配置されている。
【0025】
また、二つの基本素子18a,18bにおいては、その長さ方向の一端側部分と他端側部分にも、樹脂フィルム14a,14b上に金属蒸着膜16a,16bが何等積層されていない部分が存在している(図3及び図4参照)。即ち、各基本素子18a,18bにおいて、それを巻回する際の始端部と終端部となる部分が、樹脂フィルム14a,14bのみからなっている。このため、そのような基本素子18a,18bが互いに重ね合わされて巻回されたコンデンサ素子12の中心部分と外周部分とが、金属蒸着膜16a,16bが積層されていない樹脂フィルム14a,14b部分のみからなっている。そうして、金属蒸着膜16aが積層されていない樹脂フィルム14a部分のみからなるコンデンサ素子12の中心部分が、絶縁部24とされている一方、金属蒸着膜16bが積層されていない樹脂フィルム14b部分のみからなるコンデンサ素子12の外周部分が、保護部26とされているのである。
【0026】
また、コンデンサ素子12の第一及び第二の二つの端面22a,22bのうちの第一端面22a上には、第一メタリコン電極28が、第二端面22b上には、第二メタリコン電極30が、それぞれ、外部電極として形成されている。それら第一メタリコン電極28と第二メタリコン電極30は、コンデンサ素子12の第一端面22aと第二端面22bとに対して、それぞれ、純亜鉛を溶射することによって形成されている。
【0027】
かくして、本実施形態では、第一メタリコン電極28と第二メタリコン電極30とが、第一端面22aと第二端面22bの全面をそれぞれ被覆するように形成された金属被覆層にて構成されている。そして、そのような金属被覆層が、純亜鉛の単一層からなる単層構造とされているのである。
【0028】
そのような第一メタリコン電極28には、二つの基本素子18a,18bのうち、一方の基本素子18aの金属蒸着膜16aのみが、マージン部20aの形成側とは反対側の端面において固着して、電気的に接続されている。一方、第二メタリコン電極30には、他方の基本素子18bの金属蒸着膜16bのみが、マージン部20bの形成側とは反対側の端面において固着して、電気的に接続されている。それら第一及び第二メタリコン電極28,30のうちの何れか一方が陽極とされる一方、それらのうちの何れか他方が陰極とされることとなる。
【0029】
そして、本実施形態のフィルムコンデンサ10においては、特に、第一メタリコン電極28に対して、外部接続用の第一端子32が、また、第二メタリコン電極30に対して、外部接続用の第二端子34が、それぞれ、従来には見られない特別な構造をもって、それぞれ接続されているのである。
【0030】
より詳細には、第一端子32は、第一接続部36と第一リード部38とからなっている。この第一端子32の第一接続部36は、所定の幅と比較的に薄い肉厚とを有する略長手矩形金属平板にて構成されている。そして、第一接続部36の長さ方向の一端部には、それ以外の部位よりも狭幅で且つ薄肉の埋込部39が一体形成されている。なお、第一接続部36は、後述するように、第一メタリコン電極28と半田付けされるものではない。それ故、そのような第一接続部36を形成する金属材料には、純亜鉛からなる第一メタリコン電極28との半田付け性を何等考慮することなく、導電性に優れた安価な金属材料、例えば、銅や黄銅等が用いられる。
【0031】
一方、第二端子34も、第二接続部40と第二リード部42とからなっており、第一端子32と同様な構造を有している。この第二端子34の第二接続部40は、第一接続部36と同一の構造と同一の形状とを有しており、長さ方向の一端部には、それ以外の部位よりも狭幅で且つ薄肉の第二埋込部44が一体形成されている。なお、第二接続部40も、第二メタリコン電極30と半田付けされるものでないため、その形成材料として、第一接続部36の形成材料と同じ銅や黄銅等の導電性に優れた安価な金属材料が用いられる。
【0032】
そして、本実施形態では、第一端子32の第一接続部36と第二端子34の第二接続部40とが、非導電性の樹脂材料からなる連結部46を介して、一体的に連結されている。この連結部46は、第一及び第二接続部36,40と同じ幅及び厚さと、それら各接続部36,40の埋込部39,44の合計長さよりも大きな長さとを有する長手矩形平板形状を呈している。そして、このような連結部46の長さ方向の両端部に対して、第一接続部36と第二接続部40とが、それぞれの埋込部39,44においてそれぞれ埋め込まれて、一体化されている。これにより、第一及び第二接続部36,40と連結部46とにて、それらの一体品からなる接続部材48が構成されている。
【0033】
すなわち、接続部材48は、比較的に薄い肉厚と一定の幅とを有する長手矩形平板の全体形状を有している。また、その長さが、コンデンサ素子12の中心孔50の軸方向長さよりも所定寸法だけ大きな長さとされている。そして、かかる接続部材48の金属製の長さ方向両端側部分にて、第一接続部36と第二接続部40とがそれぞれ構成されており、また、接続部材48の樹脂製の長さ方向中間部分にて、非導電性の連結部46が構成されている。これにより、第一接続部36と第二接続部40とが、互いに非導電状態とされていると共に、単一の部材として取扱い可能となっている。なお、この第一及び第二接続部36,40と連結部46とを有する単一部材からなる接続部材48は、例えば、第一接続部36と第二接続部40をインサート品として用いたインサート成形等を実施することによって、容易に製造され得る。
【0034】
かくの如き構造を有する接続部材48が、コンデンサ素子12の中心孔50内に挿入されている。また、かかる第一接続部36の埋込部39側とは反対側の端部が、中心孔50の第一端面22a側の開口部を通じて、第一端面22aから側方に突出している。一方、第二接続部40の埋込部44側とは反対側の端部も、中心孔50の第二端面22b側の開口部を通じて、第二端面22bから側方に突出している。
【0035】
そして、上記のようにして中心孔50内に接続部材48が挿入されたコンデンサ素子12が、その中心孔50を接続部材48の板厚方向に潰すように、外部から加圧されることにより、接続部材48が、第一及び第二接続部36,40の中心孔50内への挿入部と連結部46とにおいて、コンデンサ素子12に圧着されている。また、かかる接続部材48のコンデンサ素子12への圧着状態において、第一及び第二接続部36,40の中心孔50内への挿入部と連結部46とが、基本素子18aの樹脂フィルム14a部分のみにて構成された、中心孔50の内周面を形成する前記絶縁部24と密着している。これにより、接続部材48が中心孔50内に充填されるように配置され、以て、中心孔50内に空気層が何等存在しないようになっていると共に、接続部材48の第一接続部36と第二接続部40とが、二つの基本素子18a,18b(コンデンサ素子12)の金属蒸着膜16a,16bに対して非導電状態とされている。なお、第一接続部36と第二接続部40の中心孔50内への挿入部に非導電性の被覆部材を被覆することによっても、それら第一及び第二接続部36,40を各金属蒸着面16a,16bと非導電とすることができる。
【0036】
また、本実施形態のフィルムコンデンサ10においては、後述するように、接続部材48をコンデンサ素子12に圧着した状態下で、第一及び第二端面22a,22bに対する純亜鉛の溶射が行われて、それら第一及び第二端面22a,22bに、第一及び第二メタリコン電極28,30が、それぞれ形成されている。このため、そのような第一及び第二メタリコン電極28,30の形成時には、溶射された純亜鉛の粒子が、第一及び第二端面22a,22bの全面だけでなく、第一及び第二接続部36,40の第一及び第二端面22a,22bからの各突出部分の基部側部位にも付着する。これにより、フィルムコンデンサ10では、第一及び第二接続部36,40の第一及び第二端面22a,22bからの各突出部分の基端側部位が、第一及び第二端面22a,22bに形成された第一及び第二メタリコン電極28,30に対してそれぞれ固着されて、電気的に接続されているのである。
【0037】
そして、第一メタリコン電極28に接続された第一接続部36の第一端面22aからの突出部分に第一リード部38が固定されている。また、第二メタリコン電極30に接続された第二接続部40の第二端面22bからの突出部分に第二リード部42が固定されている。
【0038】
第一リード部38と第二リード部42は、何れも、コンデンサ素子12の厚さ(図1の上下方向での寸法)の半分よりも十分に長い長さと、第一及び第二接続部36,40の幅と略同じ幅とを有する長手矩形の金属平板(バスバー)からなっている。また、それら第一及び第二リード部38,42の長さ方向の一端部が、それぞれ、各リード部38,42の厚さ方向において直角に屈曲された屈曲部52,54とされている。そして、それら各屈曲部52,54が、第一及び第二接続部36,40の第一及び第二端面22a,22bからの突出部分に対して半田付けされている。
【0039】
これにより、第一リード部38が、その先端部をコンデンサ素子12の外周面から厚さ方向一方側に突出位置させた状態で、第一接続部36に固定され、以て、第一端子32が構成されている。また、第二リード部42が、その先端部をコンデンサ素子12の外周面から厚さ方向一方側に突出位置させた状態で、第二接続部40に固定され、以て、第二端子34が構成されている。かくして、第一接続部36と第一リード部38とからなる第一端子32が、第一メタリコン電極28に対して、直接に半田付けされることなく固着されて、接続されている。また、第二接続部40と第二リード部42とからなる第二端子34も、第二メタリコン電極30に対して、直接に半田付けされることなく固着されて、接続されている。そして、それら第一端子32と第二端子34は、連結部46を介して、互いが非導電状態で一体的に連結されている。
【0040】
ところで、かくの如き構造とされた本実施形態のフィルムコンデンサ10は、例えば、以下に記載する手順に従って製造される。
【0041】
すなわち、先ず、図3に示されるように、樹脂フィルム14aの一方の面上に金属蒸着膜16aが積層された基本素子18aを公知の手法により作製して、準備する。なお、図4に示されるように、基本素子18aにおける樹脂フィルム14aの長さ方向の一端側部分と、かかる長さ方向一端側部分を除く幅方向一端側部分とには、金属蒸着膜16aが、積層形成されていない。これにより、かかる基本素子18aにおける金属蒸着膜16aの非形成部分(長さ方向の一端側部分と幅方向一端側部分)が、それぞれ、樹脂フィルム14a部分のみからなる単層部58aとされている。また、図示されてはいないものの、基本素子18aと同じ構造を有する別の基本素子18bも、公知の手法により作製して、準備する。この基本素子18bも、その長さ方向一端側部分と幅方向一端側部分とに対して、樹脂フィルム14b部分のみからなる単層部58bが、それぞれ形成される。
【0042】
そして、図5の(a)と(b)に示されるように、基本素子18aと基本素子18bを互いに積層して、積層体56を得る。このとき、基本素子18bの金属蒸着膜16bに対して、基本素子18aの樹脂フィルム14aを重ね合わせる。これにより、積層体56を、樹脂フィルム14a,14bと金属蒸着膜16a,16bとが交互に一つずつ位置するように積層された構造とする。
【0043】
また、二つの基本素子18a,18bを互いに積層する際には、図5及び図6に示されるように、基本素子18aの長さ方向一端部に設けられた単層部58aを、基本素子18の単層部58bが設けられていない長さ方向一端部から長さ方向にはみ出させると共に、基本素子18bの長さ方向他端部に設けられた単層部58bを、基本素子18aの単層部58aが設けられていない長さ方向他端部から長さ方向にはみ出させて、配置する。これにより、長さ方向の一端部に基本素子18aの単層部58aが配置される一方、長さ方向他端部に基本素子18bの単層部58bが配置された状態で、積層体56を形成する。
【0044】
次に、図7に示されるように、積層体56を巻芯60の周りに巻回して、巻回形のコンデンサ素子12を作製する。このとき、積層体56の巻き始めの部位を、樹脂フィルム14a部分のみからなる単層部58aとする。これにより、コンデンサ素子12の中心部分を、金属蒸着膜16aが何等積層されていない樹脂フィルム14a部分のみの単層部分58aからなる絶縁部(24)とする一方、コンデンサ素子12の外周部分を、金属蒸着膜16bが何等積層されていない樹脂フィルム14b部分のみの単層部分58bからなる保護部(26)とする(図1及び図2参照)。
【0045】
また、積層体56を巻回してなるコンデンサ素子12では、その第一端面22a側の幅方向端部に、基本素子18bの幅方向端部に設けられた樹脂フィルム14b部分のみの単層部分58bが位置させられる。これにより、かかる単層部分58bにて、マージン部(20b)が形成される。一方、コンデンサ素子12の第二端面22b側の幅方向端部には、基本素子18aの幅方向端部に設けられた樹脂フィルム14a部分のみの単層部分58aが位置させられる。これにより、かかる単層部分58aにて、マージン部(20a)が形成される(図1及び図2参照)。なお、ここでは、金属蒸着膜16a,16bが極めて薄い肉厚とされていると共に、コンデンサ素子12が、後工程で圧縮変形させられるため、マージン部(20a,20b)が形成される樹脂フィルム14a,14b部分上に、それに積層される別の樹脂フィルム14a,14b部分が密接する。それ故、各マージン部(20a,20b)上に空気層が形成されることがない。また、マージン部(20a,20b)は、例えば、二つの基本素子18a,18bを、それらの幅方向の一方側に所定寸法ずらして重ね合わせた状態で一緒に巻回することによっても、容易に形成される。
【0046】
そして、積層体56の巻回が完了して、コンデンサ素子12が完成したら、図8の(a)に示されるように、コンデンサ素子12の中心孔50内から巻芯(60)を引き抜いた後、巻芯(60)に代えて、接続部材48を中心孔50内に挿入する。このとき、接続部材48の第一接続部36の連結部46側とは反対側の端部を、コンデンサ素子12の第一端面22aから突出させる一方、第二接続部40の連結部46側とは反対側の端部を、コンデンサ素子12の第二端面22bから突出させた状態とする。
【0047】
次いで、図示しない加圧治具等を用い、中心孔50を押し潰すようにして、コンデンサ素子12を外部から加圧する。これにより、図8の(b)に示されるように、コンデンサ素子12を略角柱形状に圧縮変形させて、接続部材48の第一及び第二接続部36,40の中心孔50内への挿入部分と連結部46とを、コンデンサ素子12に圧着する。
【0048】
このとき、コンデンサ素子12の中心部が、樹脂フィルム14a部分のみの単層部分58aからなる絶縁部(24)とされているため、接続部材48の第一接続部36と第二接続部40とが、コンデンサ素子12を構成する二つの基本素子18a,18bの各金属蒸着膜16a,16に対して非導電状態とされる。また、上記のように、第一接続部36と第二接続部40とは、それらの間に非導電性の連結部46が介在しているために、互いに非導電とされる。
【0049】
次に、必要に応じて、コンデンサ素子12に対する加熱処理によるエージングを行った後、コンデンサ素子12の第一端面22aと第二端面22bとに対する溶射を、純亜鉛を用いた公知の手法により実施する。これにより、図9に示されるように、第一端面22aと第二端面22bとに対して、第一メタリコン電極28と第二メタリコン電極30とを、それぞれ形成する。
【0050】
その際には、第一及び第二端面22a,22bに溶射された純亜鉛の粒子が、それら第一及び第二端面22a,22bから部分的に突出する第一接続部36と第二接続部40のそれぞれの基端側部位に付着する。それによって、第一接続部36と第二接続部40とが、第一メタリコン電極28と第二メタリコン電極30とに対して、それぞれ固着されて、電気的に接続される。かくして、コンデンサ素子12に圧着された接続部材48の第一接続部36と第二接続部40とが、コンデンサ素子12に対して、より強固に且つ確実に固定される。
【0051】
その後、図1に示されるように、金属平板からなる第一リード部38と第二リード部42とを、それぞれの屈曲部52,54において、第一接続部36と第二接続部40の第一及び第二端面22a,22bからの突出部分に対して、半田付け等により固着して、電気的に接続する。かくして、目的とする巻回形のフィルムコンデンサ10を得るのである。なお、ここでは、第一及び第二リード部38,42が、第一及び第二接続部36,40に対して半田付けされているが、それら各リード部38,42は、各接続部36,40の第一及び第二端面22a,22bからの突出部分に対して半田付けされるものであるため、各リード部38,42を第一及び第二メタリコン電極28,30に対して直接に半田付けする場合とは異なって、半田付けの熱が、コンデンサ素子12の樹脂フィルム14a,14bにダイレクトに伝わることがない。
【0052】
このように、本実施形態のフィルムコンデンサ10においては、第一接続部36と第一リード部38とからなる第一端子32と、第二接続部40と第二リード部42とからなる第二端子34とが、第一メタリコン電極28と第二メタリコン電極30とに対して、直接に半田付けされることなく、溶射により固着されて、電気的に接続されている。このため、第一及び第二端子32,34を第一及び第二メタリコン電極28,30に対して直接に半田付けする場合とは異なって、かかる半田付け時の熱により、コンデンサ素子12の第一及び第二端面22a,22b側に位置する樹脂フィルム14a,14b部分が熱膨張して、それら各樹脂フィルム14a,14bの誘電率が変化したり、或いはそのような熱膨張後の各樹脂フィルム14a,14の冷却収縮により、各樹脂フィルム14a,14bに皺が寄ったりすることが、未然に防止され得る。
【0053】
従って、かかるフィルムコンデンサ10にあっては、その製造時における半田付けの熱により、コンデンサ素子12にダメージが生ずることが有利に回避され、以て、安定した電気的特性が十分に且つ効果的に確保され得るのである。
【0054】
また、本実施形態においては、第一メタリコン電極28と第二メタリコン電極30が、何れも、純亜鉛の単一層のみからなる単層構造とされている。それ故、外部接続用の端子をメタリコン電極に半田付けするために、メタリコン電極が、例えば、金属蒸着膜に対する付着性に優れた純亜鉛からなる下地層と半田付け性に富んだ亜鉛合金層の二層構造とされた従来品に比して、第一及び第二メタリコン電極28,30の形成工程、ひいてはフィルムコンデンサ10全体の製造工程の簡素化が有利に図られ得るだけでなく、その製造コストの削減も効果的に実現され得る。
【0055】
さらに、本実施形態のフィルムコンデンサ10では、コンデンサ素子12に圧着される第一端子32の第一接続部36と第二端子34の第二接続部40とが、それらを非導電性の連結部46を介して一体的に連結した単一部材からなる接続部材48の一部として構成されている。それによって、第一接続部36と第二接続部40の取扱性が、有利に高められ得る。また、その結果として、第一及び第二端子32,34のコンデンサ素子12の固定に掛かる作業の簡略化が、更に効果的に図られ得る。
【0056】
更にまた、かかるフィルムコンデンサ10においては、所定の電源や電気回路に接続される第一リード部38が、コンデンサ素子12に圧着されて第一メタリコン電極28に接続される第一接続部36とは別個の部材にて構成されて、かかる第一リード部38が第一接続部36に固定されることにより、第一端子32が構成されている。また、第二端子34も、第一端子32と同様に、第二リード部42が、それとは別個の部材からなる第二接続部40に固定されることによって、構成されている。そのため、第一及び第二リード部38,42の形状や材質等が、例えば、コンデンサ素子12に圧着される第一及び第二接続部36,40の形状や材質等に左右されることなく、自由に設定され得る。これによって、フィルムコンデンサ10の用途や使用形態の自由度が、効果的に高められ得るのである。
【0057】
加えて、本実施形態のフィルムコンデンサ10にあっては、金属製の第一及び第二接続部36,40がコンデンサ素子12の中心孔50内に挿入された状態で、コンデンサ素子12に圧着されていると共に、それら第一及び第二接続部36,40の中心孔50内からの突出部分に対して、金属製の第一及び第二リード部38,40がそれぞれ半田付けされている。それ故、かかるフィルムコンデンサ10では、金属製で伝熱性に優れた第一及び第二接続部36,40と第一及び第二リード部38,42にて、フィルムコンデンサ10(コンデンサ素子12)内部の熱の効率的な放出効果が期待され得る。
【0058】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0059】
例えば、第一端子32や第二端子34を、それぞれ、単一の部材にて構成することもできる。即ち、図10に示されるように、長手の金属平板の長さ方向一端部を屈曲させて、かかる屈曲部分を第一接続部36や第二接続部40とする一方、そのような屈曲部分を除く残りの部分を、一直線上に延びる第一リード部38や第二リード部42として、第一端子32や第二端子34を構成しても良い。このような構造によれば、第一及び第二リード部38,42を第一及び第二接続部36,40に固定する手間が省略されて、フィルムコンデンサ10の製造工程が、より簡素化され得る。
【0060】
なお、第一及び第二接続部36,40と第一及び第二リード部38,42とが互いに別個の部材とされている場合にあっても、第一接続部36と第一リード部38との固定方法や第二接続部40と第二リード部42との固定方法は、例示された半田付け以外に、例えば、ねじ止めやボルト止め等の機械的な締結等、各接続部36,40と各リード部38,42との導電状態を確保可能な方法が、適宜に採用され得る。
【0061】
また、図10に示されるように、第一接続部36と第二接続部40とが、必ずしも、相互に連結されている必要はなく、互いに別個の部材とされていても良い。この場合には、第一接続部36と第二接続部40との間に空間を形成したり、例えば、樹脂部材等の図示しない非導電部材を介在させたりして、それら第一接続部36と第二接続部40との絶縁が確保される。即ち、第一端子32と第二端子34は、互いに非導電状態とされておれば、一体品であっても別体品であっても良いのである。
【0062】
さらに、第一及び第二メタリコン電極28,30や第一及び第二端子32,40のそれぞれの形成材料は、例示された材料以外にも、勿論使用可能である。
【0063】
また、第一及び第二端子32,34は、それらの形状や材質が互いに異なるものとされていても良い。そして、それら第一及び第二端子32,34は、板状形態に限らず、棒状形態を有していても良い。また、第一及び第二端子32,34が、直線的に延びる板材や棒材にて構成されて、実質的に第一及び第二接続部36,40のみにて構成されていても、何等差し支えない。
【0064】
さらに、積層体56の構造は、特に限定されるものではなく、少なくとも二つの金属蒸着膜が樹脂フィルムの両側に積層形成され、且つ巻回したときに、金属蒸着膜の間に樹脂フィルムが介装される構造とされておれば良い。
【0065】
加えて、前記実施形態では、1個のコンデンサ素子12を用いて、フィルムコンデンサ10が構成されていたが、例えば、複数のコンデンサ素子12を用い、それらを並列的に並べた上で、それら各コンデンサ素子12に接続された第一及び第二端子32,34をそれぞれバスバーにて連結すること等により、1個のフィルムコンデンサ10として構成することもできる。
【0066】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0067】
10 フィルムコンデンサ 12 コンデンサ素子
14 樹脂フィルム 16 金属蒸着膜
18 基本素子 22a 第一端面
22b 第二端面 28 第一メタリコン電極
30 第一メタリコン電極 32 第一端子
34 第二端子 36 第一接続部
38 第一リード部 40 第二接続部
42 第二リード部 48 接続部材
50 中心孔 56 積層体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体フィルムと金属蒸着膜とが交互に位置するように積層されてなる積層体を巻回して構成したコンデンサ素子の両端面に、金属の溶射により、一対のメタリコン電極を形成する一方、それら一対のメタリコン電極に対して、外部接続用の端子をそれぞれ一つずつ接続してなるフィルムコンデンサであって、
前記二つの端子のうちの一方が、前記コンデンサ素子の一方の端面から部分的に突出するように、該コンデンサ素子の中心孔内に挿入されている一方、それらのうちの他方が、該コンデンサ素子の他方の端面から部分的に突出するように、該中心孔内に挿入されており、更に、該中心孔内に挿入された該二つの端子が、互いが非導電で且つ該コンデンサ素子の前記金属蒸着膜と非導電とされた状態で、該コンデンサ素子に圧着されていると共に、該端子が、該コンデンサ素子の両端面への前記金属の溶射により、前記一対のメタリコン電極にそれぞれ固着されて、接続されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項2】
前記二つの端子が、前記コンデンサ素子の中心孔の軸方向長さよりも長尺な単一部材の金属製の両端側部分からなっており、更に、該単一部材の長さ方向中間部が非導電材料にて構成されていることによって、該二つの端子が、互いが非導電とされている請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
【請求項3】
前記端子が、前記コンデンサ素子の中心孔内に部分的に挿入された状態で、該コンデンサ素子に圧着されて、前記メタリコン電極に接続される接続部と、該コンデンサ素子の端面から突出する該接続部の突出部分に対して導電状態で固定されたリード部とを有して構成されている請求項1又は請求項2に記載のフィルムコンデンサ。
【請求項4】
誘電体フィルムと金属蒸着膜とが交互に位置するように積層されてなる積層体を巻回して構成したコンデンサ素子の両端面に、金属の溶射により、一対のメタリコン電極を形成する一方、それら一対のメタリコン電極に対して、外部接続用の端子をそれぞれ一つずつ接続してなるフィルムコンデンサの製造方法であって、
互いが非導電とされた前記二つの端子を、前記コンデンサ素子の前記金属蒸着膜と非導電となる状態で、該コンデンサ素子の中心孔内に部分的に挿入して、該二つの端子のうちの一方を、該コンデンサ素子の一方の端面から部分的に突出させる一方、それらのうちの他方を、該コンデンサ素子の他方の端面から部分的に突出させる工程と、
前記二つの端子が前記中心孔内に挿入された前記コンデンサ素子を外側から加圧して、該二つの端子を該コンデンサ素子に圧着する工程と、
前記二つの端子が圧着されたコンデンサ素子の両端面に前記金属を溶射して、それら両端面に前記一対のメタリコン電極をそれぞれ形成すると共に、該端子を該一対のメタリコン電極にそれぞれ固着して、接続する工程と、
を含むことを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−54506(P2012−54506A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197926(P2010−197926)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】