フィルムシート
【課題】本発明は、容易に電子機器等の表示画面上に張り付けることが可能なフィルムシートを提供すること。
【解決手段】基材シート10と、該基材シート10の裏面に形成された粘着層20と、該粘着層20に仮付着され剥離シート30と、を有するフィルムシートAであって、該剥離シート30が強い引き裂き方向性のあるシートよりなることを特徴とするフィルムシート。
【解決手段】基材シート10と、該基材シート10の裏面に形成された粘着層20と、該粘着層20に仮付着され剥離シート30と、を有するフィルムシートAであって、該剥離シート30が強い引き裂き方向性のあるシートよりなることを特徴とするフィルムシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、テレビ、コンピュータ等の電子機器の表示画面に貼り付けるフィルムシートに関し、更に詳しくは、傷が付きにくく、ほとんど切りカスも粘着剤に付着せず、且つほぼ真っ直ぐに正確に裂き易い剥離シートを有すことも可能で、またクリーニング機能を追加可能なフィルムシートに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話や液晶テレビなどの電子機器の表示画面には、さまざまな目的でフィルムシートを貼り付ける傾向にある。フィルムシートの種類としては、偏光シート、位相差シート、光学補償シート、輝度向上シート等、さまざまなもの存在する。プライバシーフィルム等の特殊な目的で利用される着色フィルムシート以外は、複数層の透明なシートが用いられている。
図20に示す従来のフィルムシートAは、電子機器の表示画面に貼付後に露出する図示しない露出面と表示画面に装着する貼付面とからなる基材シート10と、基材シート10の前記貼付面に粘着剤(接着剤)を塗布して形成する粘着層20と、フィルムシートAを表示画面に装着する前の粘着層20を一時的にカバーする剥離シート30とで構成するのが一般的である(特許文献1)。
【0003】
このようなフィルムシートAは、光学シートとして、例えば、表示画面に貼り付ける場合に、その全体を一挙に貼り付けようとすると焦点が外れたりして位置決めが難しい。また、中央部に気泡が封じ込まれ易く熟練を要する。
【0004】
これらの問題を解決するために、剥離シート30にスリット加工(背割れスリット)を施した剥離シート30を採用し、左半分を位置決めして貼り付け、その後、右半分を貼り付ける方法を採用している。すなわち図20に示すように、スリット加工を利用して、剥離シート30を横断するハーフカットHを施した剥離シート30を利用している。しかし、ハーフカットHを施す距離が長くなる欠点がある。そして、ハーフカットHを施す距離が長くなると剥離シート30の切りカスが発生し粘着面20に付着する可能性も高くなる
【0005】
また、ハーフカットHを施す際、粘着層20までナイフが入って気泡が混ざる結果、剥離シート30を剥がした後に白濁ラインJが生じることもある(図21参照)
更に、ハーフカットHを施す際、粘着層20を突き抜けるまで深くナイフが入って、基材シート10が傷つくことが多い(図20の拡大部の状態からさらに深く基材シート10にまでナイフが入る)。極端には、フィルムシートAを横断するハーフカットHの全長に渡って基材シート10にナイフ跡が入る場合があり、品質に大きく影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−156066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を背景に開発されたものである。すなわち、本発明の目的は、基材シートと該基材シートの裏面に形成された粘着層と該粘着層に仮付着され剥離シートとを有するフィルムシートにおいて、剥離シートに強い引き裂き方向性のあるシートを用いることで、任意部分の粘着層の露出を可能とし、表示画面等への貼り付け位置の設定と貼り付け作業を容易にすることである。また、基材シートに傷が付くことなく、また切りカスも粘着層に付着せず、且つほぼ真っ直ぐに正確に裂き易いフィルムシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、剥離シートの分子の配向性に着目することで、引き裂きの方向性を定めることを見出し、この知見に基づいてなされたものであり、本発明に係るフィルムシートは、基材シートと、該基材シートの裏面に形成された粘着層と、該粘着層に仮付着され剥離シートと、を有するフィルムシートであって、該剥離シートが強い引き裂き方向性のあるシートよりなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るフィルムシートは、上記の構成に加え、粘着層に仮付着した剥離シートの反対面上に積層した第2粘着層と、第2粘着層上に仮付着する第2剥離シートとを加えても良い。
【0010】
また、本発明のフィルムシートは、前記の構成に加え、剥離シートに引き裂き方向に沿って切り込みを入れることも可能であるし、前記構成に加え、基材シートが、使用領域とその周囲の非使用領域とを有し、前記非使用領域にのみ切り込みが形成されても良い。前記切り込みはまた、剥離シートにのみ形成したり、剥離シートと粘着層にのみ形成したりすることも可能で、剥離シートと粘着層と基材シートに形成することも可能である。
【0011】
また、本発明のフィルムシートは、使用領域とその周囲の非使用領域との境界で基材シート及び接着層部に境界スリットを形成することも可能であるし、切り込みを非使用領域に間隔を開けて複数個形成することも可能である。
【0012】
また、剥離シートを基材シートより大きく形成することも可能であり、切り込みの一部を剥離シートの基材シートと重ならない部分に形成することも可能である。
【0013】
なお、本発明の目的に沿ったものであれば、上記の技術事項を適宜組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0014】
ここで、「シート」とは、その厚さが長さと幅に比べて薄いもので、「シート」とは、それが極めて薄いものをいう(JIS定義参照)。このように両者の境界は定かではなく、本発明においては、両者を含めて「シート」という。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフィルムシートAは、剥離シート30が強い引き裂き方向性のあるシートよりなり、切り込みSが該シートの引き裂き易い方向に沿って形成されている構成を備えることにより、ほぼ真っ直ぐに正確に引き裂き易いものとなるとともに、表示画面等への貼り付け位置の設定と貼り付け作業が容易になる。
また、フィルムシートAを製造する際の切り込みSの形成工程でも、従来のように、基材シート10を横断するような長さまでナイフによる切り込みを入れる必要はないので、長い目立つ傷がつくようなことがない。
また、フィルムシートAの中央部において粘着層に切り込みが入ることがないので、気泡の混入による白濁現象は生じない。
また、ナイフによる切りカスもほとんど生じないので粘着剤に付着することもない。基材シート10を剥離シートより小さくして、切り込みSを剥離シートの基材シート10と重ならない部分に入れれば、上記のようなナイフによる問題は一切ない。更に、使用領域P1とその周囲の非使用領域P2とを有し、該非使用領域にのみ切り込みSが形成されている構成を備えることにより、基材シートの全厚みの深さの切り込が可能となり、ナイフによる切り込みSの形成工程が極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図2】図2は、第1実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図3】図3は、第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート3を剥がす状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート3を剥がした後を示す斜視図である。
【図5】図5は、第1実施形態のフィルムシートにおける右半分の剥離シート3を剥がす状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、第1実施形態のフィルムシートにおける右半分の剥離シート3を剥がした後を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態のフィルムシート斜視図を示す。
【図8】図8は、第2実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図9】図9は、第3実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図10】図10は、第3実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図11】図11は、第4実施形態のフィルムシート斜視図を示す。
【図12】図12は、第4実施形態のフィルムシートY−Y断面図を示す。
【図13】図13は、第5実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図14】図14は、第5実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図15】図15は、第5実施形態のフィルムシートのX−X断面図を示す。
【図16】図16は、第6実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図17】図17は、第6実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図18】図18は、第7実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図19】図19は、第7実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図20】図20は、従来のフィルムシートの斜視図を示す。
【図21】図21は、図20の剥離シート剥がす図を示す。
【図22】図22は、第8実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図23】図23は、第8実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図24】図24は、第9実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図25】図25は、第9実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図26】図26は、第10実施形態のフィルムシートの断面図を示す。
【図27】図27は、第11実施形態のフィルムシートの断面図を示す
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態に基づいて本発明を説明する。
以下に説明する実施の各形態は、本発明の一例であって、それに制限されるものではない。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図2は第1実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。
この実施例におけるフィルムシートAは、矩形状であり、基材シート10、粘着層20、剥離シート30(通常「セパ」)という)よりなる。
基材シート10の一方の面(裏面)には粘着層20が形成されており、その粘着層20には剥離シート30が仮付着されている。
【0019】
ここで基材シート10としては、例えば、反射シート、偏光シート、装飾シート、半透過シート、位相差シート、輝度向上シート、保護シート、反射防止シート、電磁波シールドシート、光学補償シート、近赤外線カットシート、調色シート等が採用可能である。
【0020】
一方、剥離シート30の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂シートを用いることができる。特に、本発明の剥離シート30としては、強い引き裂き方向性のあるシート、例えば、一軸延伸シート(一方方向に多く延伸させたもの)が好ましい。剥離シート30は、延伸方向には配向されるためその方向に裂き易くなる。本実施例において、後述するように切り込みSは、引き裂き易い方向に、すなわち、一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されている。剥離シート30は透明であることが望ましく、また粘着層20から剥離し易くするため、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理をすることが好ましい。剥離シート30の厚さは、特に限定するものではないが、例えば一般的に5μm以上、200μm以下、好ましくは20μm以上、200μm以下のものが使用される。
【0021】
粘着層20の材質としては、特に限定するものではないが、例えば、アクリル系接着材、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が使用される。コスト、透明性、耐久性等の観点から、特にアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。粘着層2の厚さは、特に限定するものではないが、例えば10μm以上、1mm以下のものが使用される。
【0022】
ところで、この実施形態ではフィルムシートAの1つの辺縁の中央位置に切り込み長が短い切り込みS(いわゆるスリット)が形成されており、この切り込みSは、深さ方向でいうと、剥離シート30にのみに施されている。そして切り込みSは剥離シート3の引き裂き易い方向に沿って形成される。例えば、一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されている。
因みに、フィルムシートAの製造時に、切り込みSを入れるためには、例えば、トムソンプレス刃型などを用いるが、端面の仕上がりの良好さの観点からはレーザーカッターが採用される。
【0023】
図3は第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート30を剥がす状態を示し、図4は左半分の剥離シート30が剥がれた状態を示す図である。
まず、貼り付け操作としては、図3に示すように左半分の剥離シート30を切り裂いて剥がす。この剥離シート30は、その横断する方向(図でいう上下方向矢印参照)に配向方向をあわせているので、切り込みSから簡単に引き裂くことができる。すなわち剥離シート30の切り込みS部付近を指で摘んで引き剥がすと、切り込みSから裂き目が次々に伝達していきほぼ真っ直ぐに且つ正確に切断され、粘着剤から離脱される。
剥離シート30の切断は、ほぼ真っ直ぐであることが望ましいが、図における剥離シート30の切り込みS部から垂直方向に引き裂き、対辺に到達する前に剥離シート30の左右の辺で切り終えない程度に真っ直ぐである必要がある。
【0024】
この場合、剥離シート30には、基材シート10の裏面に積層された粘着層20が付着しているので、左半分を切り裂いて基材シート10から離して行く際、右半分の粘着層20の粘着剤は基材シート10の裏面に付着している状態なので、剪断力が効率よく働いてより正確に引き裂き易い
これで剥離シート30が取り除かれて左半分の粘着層20が露出する(図4参照)。そして露出した左半分の粘着層20の面を対象となる表示画面に貼り付ける。
次に右半分の剥離シート30を剥がす(図5参照)。これで残りの右半分の粘着層20が露出するので(図6参照)、この面を表示画面に貼り付ける。
以上でフィルムシート全面が液晶画面に貼り付けられる。
【0025】
このような貼り付け方であるので、貼り付ける際、位置決めがし易く、貼り付け操作も簡単である。
しかも、切り込み長(スリット長)が短いので、フィルムシートA製造工程で切り込みSを施す際、基材シート10に至るまでナイフが深く入っても、局部的であり基材シート10の殆どの部分は傷が付かない。
また切りカスが粘着剤に付着することもほとんど無い。
また切り込み長(スリット長)は短くても、その方向が一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されているので、剥離シート30は簡単に引き裂けるのである。
【0026】
〔第2実施形態〕
図7は本発明の第2実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図8は第2実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。第2実施形態のフィルムシートAは、フィルムシートAの1つの辺縁の中央位置に切り込みSが施されているが、この切り込みSの深さは、剥離シート30と粘着層20にまで及んでいる。この場合、製造工程におけるナイフを使った切り込み形成の際、万が一、ナイフが深く入って切り込みSの深さが基材シート10にまで及んでも、切り込み長が短いので大きな品質上の問題にはならない。なお、貼り付け方法は、第1実施形態の実施形態と同じである。
【0027】
図9は本発明の第3実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図10は第3実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。この第3実施形態のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)とそれ以外の破棄する領域部分(いわゆる非使用領域P2)が形成されている。すなわち前者が製品としての領域部分があり、後者が製品とならない領域部分である。使用領域P1とその周囲の非使用領域P2との境界では、基材シート10及び接着層20に境界スリットDが形成されている。非使用領域P2は、平面視でフィルムシートAの辺縁に沿って一定の幅に形成されている。
【0028】
切り込みSは、フィルムシートAの辺縁の中央位置に短い長さで形成されている。この場合は、切り込みSが形成されている領域は使用領域P1ではないので、基材シート10にまで、切り込みSの深さが及んでもなんら問題がない。そのため、極端には基材シート10、粘着層20、剥離シート30の3つ、すなわちフィルムシートAの全部を切断してもよい。この場合、難しいハーフカットHでないため、切断ナイフで単に押し込めば簡単に切り込みSが形成される利点がある。もっとも、剥離シート30のみに、或いは粘着層20と剥離シート30に形成されてもよいことはいうまでもない。
なお、貼り付け方法は、第1実施形態の実施形態と同じであるが、非使用領域P2は貼り付ける前の段階で境界スリットDのところから切り外して取り除くことが好ましい。
【0029】
〔第4実施形態〕
図11は、本発明の第4実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図12は第4実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。この第4の実施の形態のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)とそれ以外の破棄するよう意気部分(いわゆる非使用領域P2)が区分けされ、後者が平面視で額縁状に形成されている例である。ここでも使用領域P1とその周囲の非使用領域P2との境界では、基材シート10及び粘着層20に境界スリットDが形成されている。切り込みSについては、基材シート10、粘着層20、剥離シート30の3つを厚み方向に切断するが、剥離シート30のみに、或いは粘着層20と剥離シート30に形成されてもよいことはいうまでもない。なお、貼り付け方法は、第3実施形態の実施形態と同じであるが、非使用領域P2は、貼り付ける前の段階で取り除くことが好ましい。
【0030】
〔第5実施形態〕
図13は本発明の第5実施形態のフィルムシートAの斜視図を示す。また、図14は第5実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示し、図15はX−X断面図を示す。
この第5実施形態のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)とそれ以外の破棄する領域部分(いわゆる菱洋領域P)とが区分され、後者が額縁縁上になっているもので、この点は、第4実施形態と同じである。しかし、第4実施形態と異なるのは、切り込みSが周囲に複数個間隔を開けて形成されていることである。なお、貼り付け方法は、第4実施形態の実施形態と同じであるが、非使用領域P2は、貼り付ける前の段階で取り除くことが好ましい。切り込みSは、フィルムシートAの長辺だけでなく短辺にも施されているので、フィルムシートAを対象物に貼る場合、縦にも、横にも、またどの切り欠きの位置からも先述の第1実施形態で述べた方法により貼り付ける事が可能である。
【0031】
〔第6実施形態〕
図16は本発明の第6実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図17は第6実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す
この第6実施液体のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)以外の破棄する領域部分(いわゆる非使用領域P2)が切り込みSの周囲に限定されたものである。極力狭い領域としたものであるので、使用領域の材料の歩留まりを極力大きく出来る利点がある。なお、貼り付け方法は、第2実施形態と同じであるが、非使用領域P2は、貼り付ける前の段階で取り除くことが好ましい。}
【0032】
〔第7実施形態〕
図18は本発明の第7実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図19は第7実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。
この第7実施形態のフィルムシートAは、前述の実施例の剥離シート30の粘着層20(第1粘着層)と接する面の裏側の面に第2粘着層40を積層し、その上に第2剥離シート50を仮付着してなる。本実施例の切り込みSの深さは、第2剥離シート50から第2粘着層40、第一剥離シート30まで達している。その他の構成は第1実施形態と同様である
【0033】
本実施形態のフィルムシートAの貼り方は、左半分の第2剥離シート50を切り裂いて剥がす。この第2剥離シート50は、その横断する方向(図でいう上下方向矢印参照)に配向方向をあわせているので、切り込みSから簡単に引き裂くことができる。すなわち第2剥離シート50の切り込みS部付近を指で摘んで引き剥がすと、切り込みSから裂き目が次々に伝達していきほぼ真っ直ぐに且つ正確に切断され、粘着剤から離脱される。
この場合、第2剥離シート50には、第1剥離シート30の裏面に積層された第2粘着層40が付着しているので、左半分を切り裂いて第1剥離シート30から離して行く際、右半分の第2粘着層40の粘着剤は第1剥離シート30の裏面に付着している状態なので、剪断力が効率よく働いてより正確に引き裂き易い。}
これで第2剥離シート50が取り除かれて左半分の第2粘着層40が露出する。そして露出した左半分の第2粘着層40の面を対象となる表示画面に貼り付ける。
次に右半分の第2剥離シート50を剥がす。これで残りの右半分の第2粘着層40が露出するので、この面を表示画面に貼り付ける。これで第2粘着層40が表示画面全体を覆った状態になる。
次に左半分の表示画面上のフィルムシートAを再び表示画面上から剥がし、左半分の第1剥離シート30を切り込みSから切り裂いて剥がし、左半分の第1粘着層20が露出した状態で表示画面に張り付ける。右半分のフィルムシートAも左半分と同様の工程を経て表示画面上に貼る。第2粘着層が表示画面に接触する前に表示画面上にほこりや塵が残っていたとしても、第2粘着層を表示画面に仮付着させ、表示画面から剥がす際に、ほこりや塵を第2粘着層とともに取り除く、クリーニング機能を発揮する。以上でフィルムシート全面が液晶画面に貼り付けられる。
【0034】
〔第8実施形態〕
図22は本発明の第8実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図23は第8実施形態のフィルムシートAのX−X断面図を示す。本実施例では剥離シート30を基材シート10より大きめに形成し、図22に示すようにスリットSを剥離シート30の上辺に切り込む。本実施例では剥離シート30のスリットSから左右何れかの部分を切り離し、表示画面に貼付、残りの半分の剥離シート30を剥がし、残りの表示画面部分に貼りつける。
【0035】
〔第9実施形態〕
図24は本発明の第9実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図25はそのX−Xの断面図である。本実施例では剥離シート30は基材シート10より大きく、剥離シート30の基材シート10から露出した図24上辺中央部に2カ所のスリットSを切り込み、2つのスリット間を指でつまみ、切り裂いた後に露出した粘着層20を表示画面に貼りつけ、左右に残された剥離シート30を順に取り外して表示画面に貼りつける。左右何れかの剥離シート30を先に剥がし、露出部分を表示画面に貼りつけ、中央部分、残された左右何れかの部分の順に画面に貼りつけることも可能である。
【0036】
〔第10実施形態〕
図26は本発明の第10実施形態のフィルムシートAの断面図を示す。本実施例におけるフィルムシートは、基材シート10と、その上に積層した粘着層20と、粘着層20上の剥離シート30と、剥離シート30上に積層した第二粘着層40と、第二粘着層40上に重ねた第二剥離シート50とで構成する。剥離シート30は基材シート10より大きく、第一及び第二剥離シート30,50の基材シート10から露出した部分にスリットSを切り込む。フィルムシートAの貼付は実施例7と同様である。
【0037】
〔第11実施形態〕
図27は本発明の第11実施形態のフィルムシートAの断面図を示す。本実施例は、第一及び第二剥離シートの露出した一辺には、二つのスリットSが形成され、第10実施例の手順で第二粘着層40を表示画面に貼りつける。剥離シート30を同じ手順で剥がし、フィルムシートAの貼付が完了する。
【0038】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述の発明の実施の形態に限らず、種々の変形例が可能である。例えば、非使用領域P2の形状は上記の実施例に限定されるものではない。切り込みSはミシン目のような切り込みとすることもでき、それが断面方向の全部切り込みSの場合は、V字溝形とすることも可能である。境界スリットDもミシン目とすることも可能である。また例えば、第7実施形態で説明したフィルムシートAが、第2−6実施例に記載の形態を採用することも勿論可能である。
また、粘着層としている層は、粘着剤のほかに接着剤の層を含むことはいうまでもない。
また、例えば基材シートの粘着層面に貼る剥離シート30に、貼り付け対象となる液晶画面の縁に合わせた案内部を設けてもよい。
また、これまで第一剥離シート30と第二剥離シート50を引き裂き分離する実施例を説明してきたが、剥離シート30,40には引き裂き方向性のあるシートを採用せず、実施例7に記載した第2粘着層のクリーニング機能のみを採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、基材シート10に傷が付くことがなく、また切りカスも粘着剤に付着せず、且つ真っ直ぐに正確に裂き易いフィルムシートAであるが、この引き裂き原理を利用する限り、光学以外の分野、例えば、貼膏薬等の医療分野、壁紙等の建築分野にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
A・・・・フィルムシート}
10・・・基材シート
20・・・粘着層
30・・・剥離シート
40・・・第2粘着層
50・・・第2剥離シート
A・・・・フィルムシート
P1・・・使用領域
P2・・・非使用領域
H・・・・ハーフカット
S・・・・切り込み
D・・・・境界スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、テレビ、コンピュータ等の電子機器の表示画面に貼り付けるフィルムシートに関し、更に詳しくは、傷が付きにくく、ほとんど切りカスも粘着剤に付着せず、且つほぼ真っ直ぐに正確に裂き易い剥離シートを有すことも可能で、またクリーニング機能を追加可能なフィルムシートに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話や液晶テレビなどの電子機器の表示画面には、さまざまな目的でフィルムシートを貼り付ける傾向にある。フィルムシートの種類としては、偏光シート、位相差シート、光学補償シート、輝度向上シート等、さまざまなもの存在する。プライバシーフィルム等の特殊な目的で利用される着色フィルムシート以外は、複数層の透明なシートが用いられている。
図20に示す従来のフィルムシートAは、電子機器の表示画面に貼付後に露出する図示しない露出面と表示画面に装着する貼付面とからなる基材シート10と、基材シート10の前記貼付面に粘着剤(接着剤)を塗布して形成する粘着層20と、フィルムシートAを表示画面に装着する前の粘着層20を一時的にカバーする剥離シート30とで構成するのが一般的である(特許文献1)。
【0003】
このようなフィルムシートAは、光学シートとして、例えば、表示画面に貼り付ける場合に、その全体を一挙に貼り付けようとすると焦点が外れたりして位置決めが難しい。また、中央部に気泡が封じ込まれ易く熟練を要する。
【0004】
これらの問題を解決するために、剥離シート30にスリット加工(背割れスリット)を施した剥離シート30を採用し、左半分を位置決めして貼り付け、その後、右半分を貼り付ける方法を採用している。すなわち図20に示すように、スリット加工を利用して、剥離シート30を横断するハーフカットHを施した剥離シート30を利用している。しかし、ハーフカットHを施す距離が長くなる欠点がある。そして、ハーフカットHを施す距離が長くなると剥離シート30の切りカスが発生し粘着面20に付着する可能性も高くなる
【0005】
また、ハーフカットHを施す際、粘着層20までナイフが入って気泡が混ざる結果、剥離シート30を剥がした後に白濁ラインJが生じることもある(図21参照)
更に、ハーフカットHを施す際、粘着層20を突き抜けるまで深くナイフが入って、基材シート10が傷つくことが多い(図20の拡大部の状態からさらに深く基材シート10にまでナイフが入る)。極端には、フィルムシートAを横断するハーフカットHの全長に渡って基材シート10にナイフ跡が入る場合があり、品質に大きく影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−156066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を背景に開発されたものである。すなわち、本発明の目的は、基材シートと該基材シートの裏面に形成された粘着層と該粘着層に仮付着され剥離シートとを有するフィルムシートにおいて、剥離シートに強い引き裂き方向性のあるシートを用いることで、任意部分の粘着層の露出を可能とし、表示画面等への貼り付け位置の設定と貼り付け作業を容易にすることである。また、基材シートに傷が付くことなく、また切りカスも粘着層に付着せず、且つほぼ真っ直ぐに正確に裂き易いフィルムシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、剥離シートの分子の配向性に着目することで、引き裂きの方向性を定めることを見出し、この知見に基づいてなされたものであり、本発明に係るフィルムシートは、基材シートと、該基材シートの裏面に形成された粘着層と、該粘着層に仮付着され剥離シートと、を有するフィルムシートであって、該剥離シートが強い引き裂き方向性のあるシートよりなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るフィルムシートは、上記の構成に加え、粘着層に仮付着した剥離シートの反対面上に積層した第2粘着層と、第2粘着層上に仮付着する第2剥離シートとを加えても良い。
【0010】
また、本発明のフィルムシートは、前記の構成に加え、剥離シートに引き裂き方向に沿って切り込みを入れることも可能であるし、前記構成に加え、基材シートが、使用領域とその周囲の非使用領域とを有し、前記非使用領域にのみ切り込みが形成されても良い。前記切り込みはまた、剥離シートにのみ形成したり、剥離シートと粘着層にのみ形成したりすることも可能で、剥離シートと粘着層と基材シートに形成することも可能である。
【0011】
また、本発明のフィルムシートは、使用領域とその周囲の非使用領域との境界で基材シート及び接着層部に境界スリットを形成することも可能であるし、切り込みを非使用領域に間隔を開けて複数個形成することも可能である。
【0012】
また、剥離シートを基材シートより大きく形成することも可能であり、切り込みの一部を剥離シートの基材シートと重ならない部分に形成することも可能である。
【0013】
なお、本発明の目的に沿ったものであれば、上記の技術事項を適宜組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0014】
ここで、「シート」とは、その厚さが長さと幅に比べて薄いもので、「シート」とは、それが極めて薄いものをいう(JIS定義参照)。このように両者の境界は定かではなく、本発明においては、両者を含めて「シート」という。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフィルムシートAは、剥離シート30が強い引き裂き方向性のあるシートよりなり、切り込みSが該シートの引き裂き易い方向に沿って形成されている構成を備えることにより、ほぼ真っ直ぐに正確に引き裂き易いものとなるとともに、表示画面等への貼り付け位置の設定と貼り付け作業が容易になる。
また、フィルムシートAを製造する際の切り込みSの形成工程でも、従来のように、基材シート10を横断するような長さまでナイフによる切り込みを入れる必要はないので、長い目立つ傷がつくようなことがない。
また、フィルムシートAの中央部において粘着層に切り込みが入ることがないので、気泡の混入による白濁現象は生じない。
また、ナイフによる切りカスもほとんど生じないので粘着剤に付着することもない。基材シート10を剥離シートより小さくして、切り込みSを剥離シートの基材シート10と重ならない部分に入れれば、上記のようなナイフによる問題は一切ない。更に、使用領域P1とその周囲の非使用領域P2とを有し、該非使用領域にのみ切り込みSが形成されている構成を備えることにより、基材シートの全厚みの深さの切り込が可能となり、ナイフによる切り込みSの形成工程が極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図2】図2は、第1実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図3】図3は、第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート3を剥がす状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート3を剥がした後を示す斜視図である。
【図5】図5は、第1実施形態のフィルムシートにおける右半分の剥離シート3を剥がす状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、第1実施形態のフィルムシートにおける右半分の剥離シート3を剥がした後を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態のフィルムシート斜視図を示す。
【図8】図8は、第2実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図9】図9は、第3実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図10】図10は、第3実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図11】図11は、第4実施形態のフィルムシート斜視図を示す。
【図12】図12は、第4実施形態のフィルムシートY−Y断面図を示す。
【図13】図13は、第5実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図14】図14は、第5実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図15】図15は、第5実施形態のフィルムシートのX−X断面図を示す。
【図16】図16は、第6実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図17】図17は、第6実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図18】図18は、第7実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図19】図19は、第7実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図20】図20は、従来のフィルムシートの斜視図を示す。
【図21】図21は、図20の剥離シート剥がす図を示す。
【図22】図22は、第8実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図23】図23は、第8実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図24】図24は、第9実施形態のフィルムシートの斜視図を示す。
【図25】図25は、第9実施形態のフィルムシートのY−Y断面図を示す。
【図26】図26は、第10実施形態のフィルムシートの断面図を示す。
【図27】図27は、第11実施形態のフィルムシートの断面図を示す
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態に基づいて本発明を説明する。
以下に説明する実施の各形態は、本発明の一例であって、それに制限されるものではない。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図2は第1実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。
この実施例におけるフィルムシートAは、矩形状であり、基材シート10、粘着層20、剥離シート30(通常「セパ」)という)よりなる。
基材シート10の一方の面(裏面)には粘着層20が形成されており、その粘着層20には剥離シート30が仮付着されている。
【0019】
ここで基材シート10としては、例えば、反射シート、偏光シート、装飾シート、半透過シート、位相差シート、輝度向上シート、保護シート、反射防止シート、電磁波シールドシート、光学補償シート、近赤外線カットシート、調色シート等が採用可能である。
【0020】
一方、剥離シート30の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂シートを用いることができる。特に、本発明の剥離シート30としては、強い引き裂き方向性のあるシート、例えば、一軸延伸シート(一方方向に多く延伸させたもの)が好ましい。剥離シート30は、延伸方向には配向されるためその方向に裂き易くなる。本実施例において、後述するように切り込みSは、引き裂き易い方向に、すなわち、一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されている。剥離シート30は透明であることが望ましく、また粘着層20から剥離し易くするため、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理をすることが好ましい。剥離シート30の厚さは、特に限定するものではないが、例えば一般的に5μm以上、200μm以下、好ましくは20μm以上、200μm以下のものが使用される。
【0021】
粘着層20の材質としては、特に限定するものではないが、例えば、アクリル系接着材、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が使用される。コスト、透明性、耐久性等の観点から、特にアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。粘着層2の厚さは、特に限定するものではないが、例えば10μm以上、1mm以下のものが使用される。
【0022】
ところで、この実施形態ではフィルムシートAの1つの辺縁の中央位置に切り込み長が短い切り込みS(いわゆるスリット)が形成されており、この切り込みSは、深さ方向でいうと、剥離シート30にのみに施されている。そして切り込みSは剥離シート3の引き裂き易い方向に沿って形成される。例えば、一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されている。
因みに、フィルムシートAの製造時に、切り込みSを入れるためには、例えば、トムソンプレス刃型などを用いるが、端面の仕上がりの良好さの観点からはレーザーカッターが採用される。
【0023】
図3は第1実施形態のフィルムシートにおける左半分の剥離シート30を剥がす状態を示し、図4は左半分の剥離シート30が剥がれた状態を示す図である。
まず、貼り付け操作としては、図3に示すように左半分の剥離シート30を切り裂いて剥がす。この剥離シート30は、その横断する方向(図でいう上下方向矢印参照)に配向方向をあわせているので、切り込みSから簡単に引き裂くことができる。すなわち剥離シート30の切り込みS部付近を指で摘んで引き剥がすと、切り込みSから裂き目が次々に伝達していきほぼ真っ直ぐに且つ正確に切断され、粘着剤から離脱される。
剥離シート30の切断は、ほぼ真っ直ぐであることが望ましいが、図における剥離シート30の切り込みS部から垂直方向に引き裂き、対辺に到達する前に剥離シート30の左右の辺で切り終えない程度に真っ直ぐである必要がある。
【0024】
この場合、剥離シート30には、基材シート10の裏面に積層された粘着層20が付着しているので、左半分を切り裂いて基材シート10から離して行く際、右半分の粘着層20の粘着剤は基材シート10の裏面に付着している状態なので、剪断力が効率よく働いてより正確に引き裂き易い
これで剥離シート30が取り除かれて左半分の粘着層20が露出する(図4参照)。そして露出した左半分の粘着層20の面を対象となる表示画面に貼り付ける。
次に右半分の剥離シート30を剥がす(図5参照)。これで残りの右半分の粘着層20が露出するので(図6参照)、この面を表示画面に貼り付ける。
以上でフィルムシート全面が液晶画面に貼り付けられる。
【0025】
このような貼り付け方であるので、貼り付ける際、位置決めがし易く、貼り付け操作も簡単である。
しかも、切り込み長(スリット長)が短いので、フィルムシートA製造工程で切り込みSを施す際、基材シート10に至るまでナイフが深く入っても、局部的であり基材シート10の殆どの部分は傷が付かない。
また切りカスが粘着剤に付着することもほとんど無い。
また切り込み長(スリット長)は短くても、その方向が一軸延伸シートの配向方向に沿って形成されているので、剥離シート30は簡単に引き裂けるのである。
【0026】
〔第2実施形態〕
図7は本発明の第2実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図8は第2実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。第2実施形態のフィルムシートAは、フィルムシートAの1つの辺縁の中央位置に切り込みSが施されているが、この切り込みSの深さは、剥離シート30と粘着層20にまで及んでいる。この場合、製造工程におけるナイフを使った切り込み形成の際、万が一、ナイフが深く入って切り込みSの深さが基材シート10にまで及んでも、切り込み長が短いので大きな品質上の問題にはならない。なお、貼り付け方法は、第1実施形態の実施形態と同じである。
【0027】
図9は本発明の第3実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図10は第3実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。この第3実施形態のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)とそれ以外の破棄する領域部分(いわゆる非使用領域P2)が形成されている。すなわち前者が製品としての領域部分があり、後者が製品とならない領域部分である。使用領域P1とその周囲の非使用領域P2との境界では、基材シート10及び接着層20に境界スリットDが形成されている。非使用領域P2は、平面視でフィルムシートAの辺縁に沿って一定の幅に形成されている。
【0028】
切り込みSは、フィルムシートAの辺縁の中央位置に短い長さで形成されている。この場合は、切り込みSが形成されている領域は使用領域P1ではないので、基材シート10にまで、切り込みSの深さが及んでもなんら問題がない。そのため、極端には基材シート10、粘着層20、剥離シート30の3つ、すなわちフィルムシートAの全部を切断してもよい。この場合、難しいハーフカットHでないため、切断ナイフで単に押し込めば簡単に切り込みSが形成される利点がある。もっとも、剥離シート30のみに、或いは粘着層20と剥離シート30に形成されてもよいことはいうまでもない。
なお、貼り付け方法は、第1実施形態の実施形態と同じであるが、非使用領域P2は貼り付ける前の段階で境界スリットDのところから切り外して取り除くことが好ましい。
【0029】
〔第4実施形態〕
図11は、本発明の第4実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図12は第4実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。この第4の実施の形態のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)とそれ以外の破棄するよう意気部分(いわゆる非使用領域P2)が区分けされ、後者が平面視で額縁状に形成されている例である。ここでも使用領域P1とその周囲の非使用領域P2との境界では、基材シート10及び粘着層20に境界スリットDが形成されている。切り込みSについては、基材シート10、粘着層20、剥離シート30の3つを厚み方向に切断するが、剥離シート30のみに、或いは粘着層20と剥離シート30に形成されてもよいことはいうまでもない。なお、貼り付け方法は、第3実施形態の実施形態と同じであるが、非使用領域P2は、貼り付ける前の段階で取り除くことが好ましい。
【0030】
〔第5実施形態〕
図13は本発明の第5実施形態のフィルムシートAの斜視図を示す。また、図14は第5実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示し、図15はX−X断面図を示す。
この第5実施形態のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)とそれ以外の破棄する領域部分(いわゆる菱洋領域P)とが区分され、後者が額縁縁上になっているもので、この点は、第4実施形態と同じである。しかし、第4実施形態と異なるのは、切り込みSが周囲に複数個間隔を開けて形成されていることである。なお、貼り付け方法は、第4実施形態の実施形態と同じであるが、非使用領域P2は、貼り付ける前の段階で取り除くことが好ましい。切り込みSは、フィルムシートAの長辺だけでなく短辺にも施されているので、フィルムシートAを対象物に貼る場合、縦にも、横にも、またどの切り欠きの位置からも先述の第1実施形態で述べた方法により貼り付ける事が可能である。
【0031】
〔第6実施形態〕
図16は本発明の第6実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、また図17は第6実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す
この第6実施液体のフィルムシートAは、フィルムシートAとして使用する領域部分(使用領域P1)以外の破棄する領域部分(いわゆる非使用領域P2)が切り込みSの周囲に限定されたものである。極力狭い領域としたものであるので、使用領域の材料の歩留まりを極力大きく出来る利点がある。なお、貼り付け方法は、第2実施形態と同じであるが、非使用領域P2は、貼り付ける前の段階で取り除くことが好ましい。}
【0032】
〔第7実施形態〕
図18は本発明の第7実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図19は第7実施形態のフィルムシートAのY−Y断面図を示す。
この第7実施形態のフィルムシートAは、前述の実施例の剥離シート30の粘着層20(第1粘着層)と接する面の裏側の面に第2粘着層40を積層し、その上に第2剥離シート50を仮付着してなる。本実施例の切り込みSの深さは、第2剥離シート50から第2粘着層40、第一剥離シート30まで達している。その他の構成は第1実施形態と同様である
【0033】
本実施形態のフィルムシートAの貼り方は、左半分の第2剥離シート50を切り裂いて剥がす。この第2剥離シート50は、その横断する方向(図でいう上下方向矢印参照)に配向方向をあわせているので、切り込みSから簡単に引き裂くことができる。すなわち第2剥離シート50の切り込みS部付近を指で摘んで引き剥がすと、切り込みSから裂き目が次々に伝達していきほぼ真っ直ぐに且つ正確に切断され、粘着剤から離脱される。
この場合、第2剥離シート50には、第1剥離シート30の裏面に積層された第2粘着層40が付着しているので、左半分を切り裂いて第1剥離シート30から離して行く際、右半分の第2粘着層40の粘着剤は第1剥離シート30の裏面に付着している状態なので、剪断力が効率よく働いてより正確に引き裂き易い。}
これで第2剥離シート50が取り除かれて左半分の第2粘着層40が露出する。そして露出した左半分の第2粘着層40の面を対象となる表示画面に貼り付ける。
次に右半分の第2剥離シート50を剥がす。これで残りの右半分の第2粘着層40が露出するので、この面を表示画面に貼り付ける。これで第2粘着層40が表示画面全体を覆った状態になる。
次に左半分の表示画面上のフィルムシートAを再び表示画面上から剥がし、左半分の第1剥離シート30を切り込みSから切り裂いて剥がし、左半分の第1粘着層20が露出した状態で表示画面に張り付ける。右半分のフィルムシートAも左半分と同様の工程を経て表示画面上に貼る。第2粘着層が表示画面に接触する前に表示画面上にほこりや塵が残っていたとしても、第2粘着層を表示画面に仮付着させ、表示画面から剥がす際に、ほこりや塵を第2粘着層とともに取り除く、クリーニング機能を発揮する。以上でフィルムシート全面が液晶画面に貼り付けられる。
【0034】
〔第8実施形態〕
図22は本発明の第8実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図23は第8実施形態のフィルムシートAのX−X断面図を示す。本実施例では剥離シート30を基材シート10より大きめに形成し、図22に示すようにスリットSを剥離シート30の上辺に切り込む。本実施例では剥離シート30のスリットSから左右何れかの部分を切り離し、表示画面に貼付、残りの半分の剥離シート30を剥がし、残りの表示画面部分に貼りつける。
【0035】
〔第9実施形態〕
図24は本発明の第9実施形態のフィルムシートAの斜視図を示し、図25はそのX−Xの断面図である。本実施例では剥離シート30は基材シート10より大きく、剥離シート30の基材シート10から露出した図24上辺中央部に2カ所のスリットSを切り込み、2つのスリット間を指でつまみ、切り裂いた後に露出した粘着層20を表示画面に貼りつけ、左右に残された剥離シート30を順に取り外して表示画面に貼りつける。左右何れかの剥離シート30を先に剥がし、露出部分を表示画面に貼りつけ、中央部分、残された左右何れかの部分の順に画面に貼りつけることも可能である。
【0036】
〔第10実施形態〕
図26は本発明の第10実施形態のフィルムシートAの断面図を示す。本実施例におけるフィルムシートは、基材シート10と、その上に積層した粘着層20と、粘着層20上の剥離シート30と、剥離シート30上に積層した第二粘着層40と、第二粘着層40上に重ねた第二剥離シート50とで構成する。剥離シート30は基材シート10より大きく、第一及び第二剥離シート30,50の基材シート10から露出した部分にスリットSを切り込む。フィルムシートAの貼付は実施例7と同様である。
【0037】
〔第11実施形態〕
図27は本発明の第11実施形態のフィルムシートAの断面図を示す。本実施例は、第一及び第二剥離シートの露出した一辺には、二つのスリットSが形成され、第10実施例の手順で第二粘着層40を表示画面に貼りつける。剥離シート30を同じ手順で剥がし、フィルムシートAの貼付が完了する。
【0038】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述の発明の実施の形態に限らず、種々の変形例が可能である。例えば、非使用領域P2の形状は上記の実施例に限定されるものではない。切り込みSはミシン目のような切り込みとすることもでき、それが断面方向の全部切り込みSの場合は、V字溝形とすることも可能である。境界スリットDもミシン目とすることも可能である。また例えば、第7実施形態で説明したフィルムシートAが、第2−6実施例に記載の形態を採用することも勿論可能である。
また、粘着層としている層は、粘着剤のほかに接着剤の層を含むことはいうまでもない。
また、例えば基材シートの粘着層面に貼る剥離シート30に、貼り付け対象となる液晶画面の縁に合わせた案内部を設けてもよい。
また、これまで第一剥離シート30と第二剥離シート50を引き裂き分離する実施例を説明してきたが、剥離シート30,40には引き裂き方向性のあるシートを採用せず、実施例7に記載した第2粘着層のクリーニング機能のみを採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、基材シート10に傷が付くことがなく、また切りカスも粘着剤に付着せず、且つ真っ直ぐに正確に裂き易いフィルムシートAであるが、この引き裂き原理を利用する限り、光学以外の分野、例えば、貼膏薬等の医療分野、壁紙等の建築分野にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
A・・・・フィルムシート}
10・・・基材シート
20・・・粘着層
30・・・剥離シート
40・・・第2粘着層
50・・・第2剥離シート
A・・・・フィルムシート
P1・・・使用領域
P2・・・非使用領域
H・・・・ハーフカット
S・・・・切り込み
D・・・・境界スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと、該基材シートの裏面に形成された粘着層と、該粘着層に仮付着され剥離シートと、を有するフィルムシートであって、
該剥離シートが強い引き裂き方向性のあるシートよりなることを特徴とする、
フィルムシート。
【請求項2】
更に該粘着層に仮付着した該剥離シートの反対面上に積層した第2粘着層と、
第2粘着層上に仮付着する第2剥離シートとを有することを特徴とする、
請求項1に記載のフィルムシート。
【請求項3】
剥離シートに引き裂き方向に沿って切り込みが入れられたことを特徴とする、
請求項1又は2に記載のフィルムシート。
【請求項4】
基材シートが、使用領域とその周囲の非使用領域とを有し、
該非使用領域にのみ切り込みが形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項5】
切り込みは、剥離シートにのみ形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項6】
切り込みは、剥離シートと粘着層にのみ形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項7】
切り込みは、剥離シートと粘着層と基材シートに形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項8】
使用領域とその周囲の非使用領域との境界で基材シート及び接着層部に境界スリットが形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項9】
切り込みが非使用領域に間隔を開けて複数個形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項10】
剥離シートが基材シートより大きく形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項11】
切り込みの少なくとも一部は、剥離シートの基材シートと重ならない部分に形成されていることを特徴とする、請求項10に記載のフィルムシート。
【請求項1】
基材シートと、該基材シートの裏面に形成された粘着層と、該粘着層に仮付着され剥離シートと、を有するフィルムシートであって、
該剥離シートが強い引き裂き方向性のあるシートよりなることを特徴とする、
フィルムシート。
【請求項2】
更に該粘着層に仮付着した該剥離シートの反対面上に積層した第2粘着層と、
第2粘着層上に仮付着する第2剥離シートとを有することを特徴とする、
請求項1に記載のフィルムシート。
【請求項3】
剥離シートに引き裂き方向に沿って切り込みが入れられたことを特徴とする、
請求項1又は2に記載のフィルムシート。
【請求項4】
基材シートが、使用領域とその周囲の非使用領域とを有し、
該非使用領域にのみ切り込みが形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項5】
切り込みは、剥離シートにのみ形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項6】
切り込みは、剥離シートと粘着層にのみ形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項7】
切り込みは、剥離シートと粘着層と基材シートに形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項8】
使用領域とその周囲の非使用領域との境界で基材シート及び接着層部に境界スリットが形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項9】
切り込みが非使用領域に間隔を開けて複数個形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項10】
剥離シートが基材シートより大きく形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のフィルムシート。
【請求項11】
切り込みの少なくとも一部は、剥離シートの基材シートと重ならない部分に形成されていることを特徴とする、請求項10に記載のフィルムシート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−46713(P2012−46713A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254917(P2010−254917)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(596139122)株式会社パワーサポート (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(596139122)株式会社パワーサポート (3)
【Fターム(参考)】
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