説明

フィルム包装装置

【課題】ヒータの上面に、水分、油分または内容物等のゴミが溜まらない構造として衛生的な使用を可能とし、ヒータの温度制御を効率よく行うことによってCOの発生及び電源消費量を低減すると共に、円滑な包装作業を遂行することができるフィルム包装装置を提供する。
【解決手段】ヒータはヒータ線支持台の上部に設けた突出台部の上面に樹脂シートを介して平状のヒータ線を張り、突出台部をヒータケースの上面開口部から突出すると共に、ヒータケースの上面に片面粘着シートを着脱自在に貼ることによってヒータ線を被覆した状態にして、ヒータケースの上部にケース蓋を被せることにより、粘着シートで被覆した状態の突出台部のヒータ線をケース蓋の上面開口部から上方へ突出させてなり、ヒータ線支持台に設けられた温度センサによってヒータ線の温度を検知すると共に、検知した温度をマイコンで制御することによって、ヒータ線を所定温度に保つようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を容器に収容した被包装品の周囲に包装用フィルムを巻き付け、このフィルムを熱で溶着するようにしたフィルム包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、果物、野菜、魚等の生鮮食品、或は惣菜、おにぎり、弁当等の容器に収容した食品等は、その周囲をストレッチフィルム等の包装用フィルムで包むと共に、その底部を接着した状態で販売するようにしている。
【0003】
このような包装用フィルムを接着する場合、自己粘着性を有する塩化ビニール製フィルム等は互いに重ね合わせることによって接着可能である。ところが、ポリオレフィンフィルム等は自己粘着性がないため、重ね合わせただけでは接着することが不可能である。
【0004】
このため、従来から、自己粘着性を有するフィルムのみならず、自己粘着性を有しないフィルムを用いて被包装品を包んだ場合でも、互いに接着可能となるようにしたフィルム包装装置が開発されている。
【0005】
ここで、従来のストレッチフィルム包装装置について特許文献1を参照する。この文献に記載されているフィルム包装装置は、基台にロール状の帯状フィルムを設け、この帯状フィルムを引き出すと共に、熱ヒータを備えたカッターにより切断し、この切断したフィルムで被包装品を包み込んで、その底部をヒータの熱で溶着するようにしたものである。
【0006】
ところで、上記のフィルム包装装置において、カッターの手前に設けられたヒータ台には左右にヒータ保持ケースが設けられ、夫々のヒータ保持ケースは、ヒータの上方を複数の凹凸形状に突出した構成としている。このような構成によって、フィルムで包んだ被包装品の底面を部分的かつ集中的に熱溶着することができ、短時間で効率的な接着作業が可能となる。
【0007】
また、上記のフィルム包装装置においては、ヒータ保持ケースの後端を軸設して押下動作を可能にすると共にバネで復帰可能にし、さらにヒータ保持ケースの押下動作により各ヒータを起動するリミットスイッチを設け、所定時間後に各ヒータの昇温を停止する構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第2561597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記の特許文献1の構造においては、ヒータの上方を複数の凹凸形状に突出した構造としているため、包装用フィルムで包んだ被包装品からこぼれた水分、油分または内容物等がヒータの凹部に溜まり易くなり、このヒータの凹部に対しては清掃が困難であり、不衛生になりがちであった。さらには、ヒータの凹部に蓄積した水分、油分または内容物等のゴミが熱を持ち、ヒータ熱を効率よく制御する際の支障となるため、COの発生を増加させ、電源消費量に無駄が生じる等の不都合があった。
【0010】
さらに、上記の特許文献1の構造においては、各ヒータを時間で制御しているため、経時的にヒータやヒータ保持ケース等に熱が蓄積し、過熱し易くなり、安全装置が作動すると、ヒータの電源が落ちてしまい、円滑な包装作業の支障となる等の不都合があった。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、被包装品を包んだ包装用フィルムの底面を熱溶着するヒータの上面に、水分、油分または内容物等のゴミが溜まらない構造として衛生的な使用を可能とし、ヒータの温度制御を効率よく行うことによってCOの発生及び電源消費量を低減すると共に、円滑な包装作業を遂行することができるフィルム包装装置を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、近年の販売店における事情、即ち、被包装品の容器の大きさが多様化していること、これらの大小の容器を使い分ける際に小回りのきく効率的な作業性が求められること、などの事情に対処して、柔軟な使い勝手に優れた構造を有するフィルム包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明における請求項1のフィルム包装装置は、ロール状の包装用フィルムを引出し可能に設けた基台の前方にヒータ台が設けられ、このヒータ台の後方にヒータ線を内蔵したカッターを包装用フィルムの全幅を超える幅で上向きに突設する一方、ヒータ台の左右横方向にスライド自在にヒータを載置してなるフィルム包装装置において、ヒータはヒータケースに収納されるヒータ線支持台の上部に設けた突出台部の上面に樹脂シートを介して平状のヒータ線を張り、ヒータ線支持台の突出台部をヒータケースの上面開口部から突出すると共に、ヒータケースの上面に片面粘着シートを着脱自在に貼ることによってヒータ線を被覆した状態にして、ヒータケースの上部にケース蓋を被せることにより、粘着シートで被覆した状態の突出台部のヒータ線をケース蓋の上面開口部から上方へ突出させてなり、ヒータ線支持台に設けられた温度センサによってヒータ線の温度を検知すると共に、検知した温度をマイコンで制御することによって、ヒータ線を所定温度に保つようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2のフィルム包装装置は、請求項1において、ヒータケースはヒータ台の左右横方向へスライド自在に設けられたケース支持台に揺動自在に軸支されると共に、ヒータケースを押下げることによって、ケース支持台に設けられたマイクロスイッチやリミットスイッチ等の通電検知装置を押して各ヒータ線へ通電する一方、各ヒータケースの内部に設けられた左右均等の弾性力を有する弾性部材によってヒータケースを上方へ反発することにより、各ヒータ線の通電を切断するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3のフィルム包装装置は、請求項1又は2において、ヒータ台の上面の幅方向に所定間隔を開けて上方へ隆起した多数の凸部が形成されると共に、ケース支持台の下面に設けられた穴部に球体が係合され、該球体が穴部から下方向へ弾性付勢された状態で突出してなり、ヒータケースをヒータ台の左右へスライドする際、ケース支持台の穴部から下方へ突出した球体がヒータ台の各凸部と係合することによってヒータケースを左右へ間欠的に制止しながら移動可能としたことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の請求項4のフィルム包装装置は、請求項1、2又は3において、ヒータ台の後方に、ヒータ台の上面に沿って開口されたゴミの排出口が設けられたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項5のフィルム包装装置は、ロール状の包装用フィルムを引出し可能に設けた基台の前方にヒータ台が設けられ、このヒータ台の後方にヒータ線を内蔵したカッターを包装用フィルムの全幅を超える幅で上向きに突設することにより、引き出した包装用フィルムを加熱したカッターで切断するようにしたフィルム包装装置において、ヒータ台の上面に固定された底ケースと、該底ケースの上方開放部に被せるケースカバーと、該ケースカバーの内側に嵌合して固定する内カバーと、該内カバーに形成された左右の各開口部から突出台部を上方へ突出するように固定するヒータ線支持台とを備え、ケースカバーには、内カバーに形成された左右の開口部よりもやや狭い面積を有して重なる左右の開口窓が形成され、左右の各ヒータ線支持台には、前後側部に設けられたサイド部の内方に沿って前後の溝部が形成され、これら前後の溝部間に形成された突出台部に樹脂シートが敷設され、該樹脂シートの上面に間隔をあけて配列された複数のヒータ線が、各ヒータ線の両端子をヒータ線支持台の溝部にてネジ止めされることにより固定されると共に、各ヒータ線が相互に通電可能に連結され、これら左右の各ヒータ線支持台の全ヒータ線を片面粘着テープで被覆した状態で各ヒータ線支持台の突出台部を内カバーの左右の開口部から突出させた状態で固定すると共に、内カバーをケースカバーの内側に嵌合して固定することにより、ケースカバーの左右の開口窓から片面粘着テープで被覆された状態の各ヒータ線を上方へ突出した状態にし、さらに各ヒータ線支持台の周部の下部に配置した複数の弾性部材を介した状態でケースカバーを底ケースに被せることによってケースカバーを弾性復帰可能に押下げ可能にすると共に、底ケース内の左右に設けられた通電検知装置によってケースカバーが上方から押下げられた状態を検知して各ヒータ線に通電するようにしたことを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の請求項6のフィルム包装装置は、請求項5において、ヒータ線支持台に設けられた温度センサによってヒータ線の温度を検知すると共に、検知した温度をマイコンで制御することによって、ヒータ線を所定温度に保つようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のフィルム包装装置のヒータ台に設けられたヒータはヒータケースに収納されるヒータ線支持台の上部に設けた突出台部の上面に樹脂シートを介して平状のヒータ線を張り、ヒータ線支持台の突出台部をヒータケースの上面開口部から突出すると共に、ヒータケースの上面に片面粘着シートを着脱自在に貼ることによってヒータ線を被覆した状態にして、ヒータケースの上部にケース蓋を被せることにより、粘着シートで被覆した状態の突出台部のヒータ線をケース蓋の上面開口部から上方へ突出させてなるものである。
【0020】
従って、ヒータの最上部を構成するケース蓋の上面開口部から、突出台部の上面に設けられた平状のヒータ線が片面粘着シートで被覆した状態で突出されるため、ヒータの上端面はほとんど凹凸のない状態で構成されたものとなる。このため、本発明は、被包装品を包んだ包装用フィルムの底面を熱溶着するヒータの上面に、水分、油分または内容物等のゴミが溜まらない構造として衛生的な使用を可能とし、ヒータの温度制御を効率よく行うことが可能となる。
【0021】
また、本発明の構成により、片面粘着シートの汚れは布具等で拭取ることが容易である。さらに、この片面粘着シートを交換する場合は、ケース蓋を取り外して片面粘着シートをヒータケースの上面に張り替え、ケース蓋を再び取り付けるだけで、新規の状態にすることが可能である。
【0022】
また、本発明においては、ヒータケース内のヒータ線支持台に設けられた温度センサによってヒータ線の温度を検知すると共に、検知した温度をマイコンで制御することによって、ヒータ線を所定温度に保つことが可能となり、従来のようにヒータを過熱させ、ヒータ電源が断線する等の不具合が生じることがないため、COの発生及び電源消費量を低減すると共に、円滑な包装作業を遂行することが可能となる。
【0023】
さらに、請求項5に記載したフィルム包装装置によれば、ヒータ台に固定された底ケースの上部にて弾性復帰可能に押下げられるケースカバーの左右の開口窓から、片面粘着テープで被覆された状態の各ヒータ線が上方へ突出した構造を有する。このような構造において、各ヒータ線支持台の周部の下部に複数の弾性部材を介した状態でケースカバーを底ケースに被せると共に、底ケース内の左右に設けられた通電検知装置によってケースカバーが上方から押下げられた状態を検知して各ヒータ線に通電することが可能である。従って、フィルムを包装すべき被包装品をケースカバーの上面に載置することによってケースカバーのどこを押下げても、各ヒータ線が通電されて昇温することが可能となる。
【0024】
また、ケースカバーの左右の何れの開口窓においても、各ヒータ線は片面粘着テープで被覆された状態とされているため、被包装品の大小に応じて、左右両方の開口窓のヒータを使用するか、片方の開口窓のヒータを使用するかは、作業員の使い勝手等によって自由に選択することが可能となる。従って、被包装品の容器の大きさの変化に柔軟に対応することができ、これらの大小の容器を使い分ける際に要求される小回りのきく、柔軟な、使い勝手に優れたフィルム包装装置として使用することが可能となる。
【0025】
しかも、ケースカバーの左右の何れの開口窓においても、各ヒータ線は片面粘着テープで被覆された状態とされているため、この片面粘着テープに防水性に優れた素材を使用することによって各ヒータ線への浸水を防止することが可能である。このため、水分が付着した被包装品のフィルムを安全に加熱溶着することも可能である。さらに、片面粘着テープやその周辺が汚れたときでも、水を含んだ布等で綺麗に清掃することが可能である。
【0026】
また、このフィルム包装装置においても、ケースカバー内のヒータ線支持台に設けられた温度センサによってヒータ線の温度を検知すると共に、検知した温度をマイコンで制御することにより、ヒータ線を所定温度に保つことが可能である。従って、従来のようにヒータを過熱させ、ヒータ電源が断線する等の不具合が生じることがないため、COの発生及び電源消費量を低減すると共に、円滑な包装作業を遂行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による実施例1のフィルム包装装置に関する全体斜視図である。
【図2】本発明による実施例1のフィルム包装装置に関する縦断面図である。
【図3】本発明による実施例1のフィルム包装装置に用いるヒータに関する分解斜視図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明による実施例1のフィルム包装装置に用いるヒータの組立て手順を示す斜視図である。
【図5】本発明による実施例2のフィルム包装装置に関する全体斜視図である。
【図6】本発明による実施例2のフィルム包装装置に関する縦断面図である。
【図7】本発明による実施例2のフィルム包装装置においてヒータカバーを取り外した状態を示す全体斜視図である。
【図8】本発明による実施例2のフィルム包装装置に用いるヒータの分解斜視図である。
【図9】(a)は本発明による実施例2のフィルム包装装置に用いるヒータ線支持台の平面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0029】
本実施例のフィルム包装装置1は、図1に示すように、ロール状の包装用フィルムFを引出し可能に設けた基台2の前方にヒータ台3が設けられ、このヒータ台3の後方にヒータ線4を内蔵したカッター5を包装用フィルムFの全幅を超える幅で上向きに突設する一方、ヒータ台3の左右横方向にスライド自在にヒータ6を載置してなるフィルム包装装置1を構成してなるものである。
【0030】
本実施例の構成について詳細に述べる。図1又は図2に示すように、基台2の後端付近には2個のフィルム載置用ローラ7a、7bが基台2の幅方向に亙り前後に所定間隔を開けて回動自在に設けられている。これらの2個のローラ7a、7b間に長尺な帯状フィルムFを巻回してなるロール8を掛け渡すことによって、ロール8は前後のローラ7a、7b上で自在に回動し、フィルムFの端部を自在に引き出すことが可能となる。
【0031】
また、前側のローラ7aの前方には、基台2の両側板9、9に支承された支持軸10を中心に回動する作業台11が開閉自在に設けられている。さらに、作業台11の前端には基台2の両側板9、9の夫々に係止片12、12が設けられている。各係止片12は基台2の側板9に軸12bで回動自在に軸支され、コイルバネ13で張引したことにより、係止片12を軸周りに後方へ傾倒するように付勢されている。このような構成により、係止片12の側部を閉扉状態の作業台11の前端に係止し、また係止片12の先端に形成された折曲片12aを押圧することにより係止片12を作業台11の前縁から解除し、作業台11を開放状態にすることが可能となる。
【0032】
また、図2に示すように、作業台11の前側に沿って上方へ立上げられると共に先端が前下方へ垂下されたカバーレール14が形成されている。このカバーレール14の下方には作業台11の前側近傍に沿って、長尺の後方ローラ15bが両側板9、9に対して回動自在に軸支されている。
【0033】
さらに、基台2の両側板9、9に対して揺動自在に軸16aで軸支された両側の水平杆16、16の間に長尺のカッターカバー17が設けられると共に、両側の水平杆16、16の後端には上記の後方ローラ15bに接触する位置に前方ローラ15aが回動自在に軸支されている。また、両側の水平杆16、16は基台2の両側板9、9に対してコイルバネ18で張引されることにより、前方ローラ15aを後方ローラ15bへ押圧した構成とされている。
【0034】
このような構成により、作業台11を開いた状態にし、ロール8から引き出したフィルムFを作業台11の下方を通して後方ローラ15bと前方ローラ15aとの間から引き出し、次いで作業台11を閉じることによって、フィルムFを後方ローラ15bと前方ローラ15aとで挟んだ状態にして上方へ引き出すことが可能となる。
【0035】
上記のカッターカバー17はステンレス板からなり、前方ローラ15aの全幅に沿って設けられ、カッターカバー17の後方は底面を起立してさらに前方へ水平状態に折曲された折曲部17aが形成されたことにより、長尺のカッターカバー17の撓みを防止する形状に構成されている。また、カッターカバー17は前方ローラ15aのウエイターとして機能する。即ち、作業台11を閉じた状態にして前方ローラ15aと後方ローラ15bとの間に挟まれたフィルムFを前方に引き出すと、カッターカバー17は前方ローラ15aの前傾を付勢するウエイターの役割をし、これにより前方ローラ15aはコイルバネ18の引張力に抗して後方ローラ15bから容易に離れ、フィルムFを無理なく引出すことが可能となる。
【0036】
さらに、配線板19の上方には、基台2の両側板9、9の間に亙ってフィルム切断用のカッター5が固設されている。このカッター5は金属板の上縁を折曲げて不図示のニクロム線を収納すると共に、その上端をカッターカバー17の最上面よりやや上方に突出した構成とすることにより、カッター5の前方側面を覆う保護板として機能する。
【0037】
また、図1に示すように、カッターカバー17の下方には配線板19の両端が基台2の両側板9、9に傾斜状に固定され、配線板19を境にしてその前方に矩形のヒータ台3が形成されている。また、図2に示すように、ヒータ台3は、その前縁に沿って下方鋭角状に折曲げた係止縁3aが形成され、ヒータ台3の後方は、配線板19の下端をヒータ台3から離間させることによって隙間20が設けられている。この隙間20が、ヒータ台3の後方にてヒータ台3の上面に沿って開口されたゴミの排出口として機能する。なお、基台2の内部には両側板9、9間に渡って保護ケース44が設けられているが、基台3と保護ケース44との間に隙間52が設けられ、基台3上のゴミは、図2の矢印のように、配線板19の下方の隙間20と基台3と保護ケース44との隙間52を通過して下方へ落下する。
【0038】
さらに、図1に示すように、左右のヒータ6、6の各ヒータケース33は長形の箱形状に形成され、ヒータ台3の左右横方向へスライド自在に設けられている。即ち、ヒータ台3の上面に、ヒータ台3の前後幅に亙る2枚のケース支持台21、21を載置し、各ケース支持台21の前後端の夫々に沿って下方向へ曲げた折曲片21a、21bを形成すると共に、夫々の折曲片21a、21bをヒータ台3の前後端に係止することにより、ケース支持台21をヒータ台3の左右横方向に摺動自在にしている。
【0039】
また、図1に示すように、ヒータ台3の上面の幅方向には所定間隔を開けて円形隆起状に多数の孤形凸部24、24…が形成されている。一方、図3に示すように、ケース支持台21の底面に設けられた穴部に球体22が係合されると共に、該球体22がケース支持台21の底面に端部を固定してなる弾性板23の自由端側で上方から下方へ押圧されたことにより、球体22がケース支持台21の穴部から下方向へ弾性付勢された状態で突出されている。なお、弾性板23には上方に突出した球体保持部23aが形成され、この球体保持部23が球体22の上部に嵌合して球体22の位置決めを行うものである。
【0040】
このような構成により、ヒータ6をヒータ台3の左右横方向へスライドする際、ケース支持台21の穴部から下方へ突出した球体22がヒータ台3の各凸部24、24…と係合することによってヒータ6を左右横方向へ間欠的に制止しながら移動させることが可能となる。
【0041】
ここで、ヒータ6の構造について説明する。なお、ヒータ台3に設けられた左右のケース支持台21及びヒータケース33は略同様の構成とされているため、ヒータ台3の右方に設けられたケース支持台21及びヒータケース33について説明する。なお、後述するが、ヒータ台3に左右2個のヒータ6を設けるほか、1個のヒータ又は3個以上のヒータを設けることも可能である。
【0042】
ケース支持台21は、図3に示すように、長形板状の前後端に下方向へ折り曲げてなる折曲片21a、21bが形成されている。各折曲片21a、21bは、ヒータ台3の前後端に係止することにより、ケース支持台21をヒータ台3の左右横方向に摺動自在に移動可能とする。なお、前側の折曲片21aの上部には前方へ向けて引掛片21cが形成されている。
【0043】
また、ケース支持台21の両側には側片25、25が形成され、これらの側片25、25の後端付近に形成された左右のネジ穴26、26にヒータケース33の後端付近に形成された左右のネジ穴27、27を合わせてネジ28で締結することにより、ネジ28の周りに引掛片21cの高さの範囲内でヒータケース33を揺動することが可能となる。
【0044】
さらに、ケース支持台21の底面の前方付近に設けられた立上片29にはネジ30でマイクロスイッチ等の通電検知装置31が固定され、この通電検知装置31のスイッチ部31aが後述するヒータケース33に収納されたヒータ線支持台32の下面に押圧されることによって、通電検知装置31が通電を検知する。なお、通電検知装置31は、上記のほかに、リミットスイッチ、光センサー、電磁センサ等を利用することも可能である。
【0045】
なお、ケース支持台21の底面に設けられた穴部に球体22が係合され、この球体22がケース支持台21の底面に端部を固定してなる弾性板23の自由端側で上方から下方へ押圧付勢されている構成は上述の通りである。
【0046】
各ヒータ6は、図3に示すように、長形箱形状に形成されたヒータケース33を上方から覆うケース蓋34と、ヒータケース33の内部に収納して固定するヒータ線支持台32とを有する。
【0047】
ヒータ線支持台32は、ヒータケース33の内部に収納される樹脂製板部材からなり、その上部の中央に長形の突出台部35が形成されると共に、突出台部35の両側に沿って板厚部36、36が形成され、両側の板厚部36の先後端にはネジ穴37が形成されている。これらのネジ穴37はヒータケース33の四方に形成されたネジ穴38と合致し、ヒータ線支持台32をヒータケース33の内部に収納する際、ネジ39で締結することができる。
【0048】
また、ヒータ線支持台32の突出台部35の上面にはシリコン等による耐熱性の樹脂シート40を介して左右離間位置に一対の平状な薄厚のヒータ線4、4が張設される。各ヒータ線4の両端部にはネジ穴4aを有する端子4bが接続され、ヒータ線支持台32の前後の左右離間位置に形成されたネジ穴41に各ヒータ線4の端子4bのネジ穴4aを合致してネジ42で固定することが可能である。なお、左右のヒータ線4の前端側の端子4b、4bは銅版プレート43を解してネジ42で固定されることによって、両ヒータ線4は熱伝達の良好な状態で通電可能とされている。
【0049】
さらに、このヒータ線支持台32の突出台部35の後端付近にはサーミスタ等の温度センサ45を収納する収納溝46が形成されている。この収納溝46は、図3では、温度センサ45を横方向に寝かした状態で収納することができるように横長溝として形成してあるが、サーミスタ等の温度センサ45を立てた状態に収納するように縦長溝に形成してもよい。いずれにしても、サーミスタ等の温度センサ45を少なくとも1個のヒータ線4に接触させることによって、このヒータ線4の温度を検知する。そして、図示は省略してあるが、この温度センサ45の検知結果を配線板19の内部に設けられた不図示のマイコンに入力し、ヒータ線4の温度が配線板19に設けられた温度設定ボリューム46で設定された温度となるように制御することによって、ヒータ線4の温度を直接検知した結果に基づいて正確に一定温度に制御することが可能となる。これによって、各ヒータ線4の過熱を抑制し、ヒータ線4の温度制御を効率よく行うことによってCOの発生及び電源消費量を低減することが可能となる。
【0050】
図4(a)は、上記のようにヒータ線支持台32の突出台部35の上面にシリコン等による樹脂シート40を介して左右離間位置に一対の平状の薄厚ヒータ線4が張設されてなる状態を示す。ヒータケース33の組み立て手順としては、図4(b)に示すように、上記のヒータ線支持台32をヒータケース33の内部に収納し、ヒータケース33の四方のネジ穴38(図3参照)にネジ39を締結することによって、ヒータ線支持台32をヒータケース33内に固定する。このとき、ヒータケース33に形成された上面開口部33aからヒータ線支持台32の突出台部35を上方へ突出させる。
【0051】
次いで、ヒータケース33の上面にテフロン(登録商標)シート等の片面粘着シート47を着脱自在に貼り付けることによってヒータ線4を被覆した状態にする。さらに、このようにヒータ線4を被覆した状態にしてヒータケース33の上部にケース蓋34を被せる。
【0052】
このケース蓋34は、ヒータケース33の上部に嵌合される形状を有すると共に、図3に示すように、後端の側片34bの下端に内方へ折り曲げられた係止片34cが形成され、この係止片34cをヒータケース33の後端の下端部33bに引っ掛けた状態でケース蓋34を回動することによって、このケース蓋34をヒータケース33の上部に容易に被嵌することができる。また、ケース蓋34の前側片に形成された離間した2個のネジ穴34e、34eとヒータケース33の前面の2個のネジ穴33d、33dとを合わせてネジ48を締結することで固定することができる。
【0053】
さらに、ケース蓋34にはヒータケース33の上面と同様に上面開口部34aが形成されているため、図4(c)に示すように、突出台部35のヒータ線4が粘着シート47で被覆した状態でケース蓋34の上面開口部34aから上方へ突出した状態となる。この状態において、ヒータ6の上端面はほとんど凹凸のない状態で構成されたものとなるため、ヒータ6の上面に、水分、油分または内容物等のゴミが溜まらない構造として衛生的な使用が可能となり、またヒータの温度制御を効率よく行うことが可能となる。また、片面粘着シート47の汚れは布具等で拭取ることが容易である。さらに、この片面粘着シート47を交換する場合は、ケース蓋34を取り外して片面粘着シート47をヒータケース33の上面に張り替え、ケース蓋34を再び取り付けるだけで、新規の状態にすることが可能である。
【0054】
次いで、次の組み立てを行う前に、ヒータケース33の内部に収納されたヒータ線支持台32の下面に、図3に示すような左右に離間して形成されたバネ穴32a、32aにコイルバネ等の弾性部材49の上端を嵌合した状態としておく。そして、図4(d)に示すように、ケース支持台21の前側に設けられた引掛片21cにヒータケース33の前側下端に形成された内方へ向く係止片33cを引掛けてヒータケース33の後方を下方へ回動することにより、容易に、ヒータケース33をケース支持台21の両側の側片25、25の外側に被せた状態とすることができる。
【0055】
さらに、両側の側片25、25の後端付近に形成されたネジ穴26にヒータケース33の後端付近に形成された左右のネジ穴27、27を合わせてネジ28で締結することにより、ネジ28の周りにヒータケース33を揺動可能に取り付けた状態となる。このとき、上記のようにヒータケース33内のヒータ線支持台32の下面には左右に離間してコイルバネ等の弾性部材49、49が設けられているため、左右の弾性部材49、49の下端はケース支持台21の底面に押圧され、ヒータケース33の上下の動揺を弾性的に支持することにより、ヒータケース33を上方から押圧する動作を上方へ反発することによって復帰させることができる。
【0056】
各ヒータ6は上記のように構成されているため、ヒータ6を押下げることによって、少なくともいずれか一方のケース支持台21に設けられたマイクロスイッチ等の通電検知装置31を押して各ヒータ線4へ通電する。また、各ヒータ6の内部に設けられた左右均等の弾性力を有するコイルバネ等の弾性部材49、49によってヒータケース33を上方へ反発することにより、通電検知装置31をOFFすることによって各ヒータ線4の通電を切断する。
【0057】
なお、カッター5に内蔵した不図示のニクロム線及び通電検知装置31は不図示のマイコンに接続し、温度調節をするようにしてある。また、図1に示すように、配線板19には電源スイッチ50、パイロットランプ51及び温度設定ボリューム46等が設けられている。
【0058】
以上のように構成されたフィルム包装装置1を使用して不図示の被包装品を包装用フィルムFで包装するには、カッター5を通電することにより昇温する。また、作業台11上に不図示の被包装品を載置して前後ローラ15a、15b間から引き出したフィルムFの先端を作業台11上に引き伸ばし、フィルムFの先端を作業台11上の被包装品の底面まで余裕をもって被せた状態で、被包装品をフィルムFと共に引出す。この状態で、フィルムFは被包装品の底面を覆うため、フィルムFが被包装品の底面で重なる位置まで被包装品を手前に引き、フィルムFを引出して適当な位置でカッター5に当てて熱切断する。
【0059】
次いで、被包装品の左右側部に余ったフィルムFの端部を被包装品の底面に回して、フィルムFの左右前後の端部が被包装品の底面で重なり合うようにする。そして、被包装品の底面を各ヒータ6の上面に押し当てると、被包装品の底面のフィルムFがヒータ線4の熱溶着により接着する。なお、被包装品の底面等に水分を含んだ場合、即ちフィルムFの貼着け箇所に水分を含んでいる場合でも、何ら影響されることなく良好に熱溶着し得ることが確認されている。
【0060】
また、上記の本実施例において、ヒータ台3に左右2個のヒータ6を設けた構成としてあるが、1個のヒータでも適用可能であり、また3個以上のヒータ6を適用することも可能である。また、例えば、ヒータ台3に2個のヒータ6、6を設けた場合、右方のヒータ6だけにマイクロスイッチ等の通電検知装置31や温度センサ45を設けた構成としてもよい。さらに、各ヒータ6には、2本ずつのヒータ線4を設けてあるが、各ヒータ6について、1本又は3本以上のヒータ線を設けるようにしてもよい。
【実施例2】
【0061】
本実施例のフィルム包装装置1は、図5及び図6に示すように、基台2、ヒータ台3、カッター5、ヒータ6、フィルム載置用ローラ7a、7b、前方ローラ15a、後方ローラ15b、水平杆16、ヒータ台3等に関する構造は、実施例1と同様である。従って、本実施例のフィルム包装装置1は、実施例1と同様に、ロール状の包装用フィルムFを引出し可能に設けた基台2の前方にヒータ台3が設けられ、このヒータ台3の後方にヒータ線を内蔵したカッター5を包装用フィルムFの全幅を超える幅で上向きに突設することにより、引き出した包装用フィルムFを加熱したカッター5で切断するフィルム包装装置の構造を有する。
【0062】
ただし、本実施例において、ヒータ台3の上面は平面でよく、このヒータ台3の上面にヒータ53を構成する底ケース54(図7参照)の底面の四方をネジ53a、53a・・・で固定した構造としている。
【0063】
即ち、本実施例のヒータ53は、図7又は図8に示すように、ヒータ台3の上面に固定された横幅方向に長い底ケース54と、該底ケース54の上方開放部に被せるケースカバー55と、該ケースカバー55の内側に嵌合して固定する内カバー56と、該内カバー56に形成された左右の各開口部57a、57b、及びケースカバー55の左右の開口窓60a、60bから上方へ突出する突出台部58aを有する一対のヒータ線支持台58、58とを備えている。
【0064】
上記の構成において、底ケース54は奥行き幅よりも横幅のほうが長く、上方が開放された矩形の箱形状に形成され、両端の短幅の側板54a、54aに間隔をあけて溝部54b、54bが形成されている。このように両端の側板54a、54aに溝部54b、54bを設けたため、図7に示すように、ケースカバー55の下部内側に内カバー56を収納して四方をネジ59で締結し、このケースカバー55を底ケース54の上方に被せた状態にした際、四方のネジ59の先端が底ケース54の両端の側板54a、54aに当るのを避けることができる。また、底ケース54の上方にケースカバー55を被せた状態にし、ケースカバー55を押下げたり、後述する弾性部材70でケースカバー55が上方へ復帰したりする動作を自在に行うことができる。
【0065】
図8は本実施例のヒータ53の分解斜視図である。この図に示すように、内カバー56には左右に矩形の開口部57a、57bが形成されている。また、ケースカバー55には、内カバー56の左右の開口部57a、57bよりもやや狭い面積を有して重なる左右の開口窓60a、60bが形成されている。このケースカバー55は、該ケースカバー55の内側に内カバー56を嵌合した状態で、上記の矩形の箱形状を有する底ケース54の上方開放部に被せるものであるため、ケースカバー55及び内カバー56は、底ケース54の外形よりもやや大きい蓋形状に形成されている。
【0066】
また、上記の構成において、ケースカバー55の両側の側板55a、55aには前後に離間してネジ穴55b、55bが形成されると共に、内カバー56の両側の側板56a、56aには前後に離間してネジ穴56b、56bが形成されている。このような構成において、ケースカバー55の下部内側に内カバー56を嵌合した状態で、ケースカバー55の各ネジ穴55b、55bと内カバー56の各ネジ穴56b、56bとにネジ59、59を螺締することによって、ケースカバー55と内カバー56とを嵌合固定した状態とすることができる。
【0067】
さらに、内カバー56には、上記のように、上面の左右に矩形の開口部57a、57bが形成されると共に、各開口部57a、57bの四隅にはネジ穴56b、56b・・・が形成され、これらの各ネジ穴56bにネジ61を挿通して、各ネジ61をヒータ線支持台58の両側のサイド部58c、58cに形成されたネジ穴58d、58d・・・に捻じ込むことによって、各ヒータ線支持台58、58を内カバー56の各開口部57a、57bの下部に固定することができる。
【0068】
この左右のヒータ線支持台58、58について詳細に述べる。図9(a)、(b)に示すように、左右のヒータ線支持台58、58は同様の形状から形成され、各ヒータ線支持台58に形成された上記の突出台部58aが内カバー56の開口部57a、57bの下部から上方へ突出されると共に、ケースカバー55の各開口窓60a、60bからやや上方へ突出される(図7参照)ことによって、突出台部58aの上面がケースカバー55の上面よりもやや突出した状態となる。
【0069】
さらに、図9(a)、(b)に示すように、左右の各ヒータ線支持台58には、前後側部に設けられたサイド部58c、58cの内方に沿って前後の溝部58b、58bが形成されている。また、これら前後の溝部58b、58b間に形成された突出台部58aの上面にシリコン等による耐熱性の樹脂シート64が敷設されると共に、該樹脂シート64の上面に間隔をあけて配列された複数のヒータ線65、65・・・が、各ヒータ線65の両端子66、66をヒータ線支持台58の溝部58b、58bにてネジ67で締結されることにより、各ヒータ線65が相互に通電可能に連結されている。
【0070】
ここで、図9(a)、(b)を参照しながら、左右のヒータ線支持台58、58における各ヒータ線65の通電構造について述べる。上記のように左右のヒータ線支持台58、58は同様の形状を有し、各ヒータ線支持台58には、樹脂シート64が敷設された上面に、例えば5本のヒータ線65、65・・・が間隔をあけて配列され、夫々のヒータ線65の両端子66、66を両側の溝部58b、58bに形成されたネジ穴58e(図9(b)参照)にネジ67で締結した構成としている。また、このように配列されたヒータ線65において、各ヒータ線65が直列状の連結となるように、隣設する端子66、66を互いに銅製等による長尺薄板の通電板68で連結してネジ67で締結することにより、夫々のヒータ線65、65・・・は、各端子66、66・・・を通電板68で結合した構成としている。なお、左右のヒータ線支持台58、58において隣設するヒータ線65c、65dは、各端子66c、66dを通電板68cで連結することによって通電状態としている。
【0071】
このような各ヒータ線65の連結構造において、図9(a)の上方に配置したヒータ線支持台58の上端部から二番目のヒータ線65bの下部には収納溝69aが形成され、該収納溝69aに収納したサーミスタ等の温度センサ69をヒータ線支持台58の端部から一番目のヒータ線65aの端子66aとヒータ線支持台58の端部からニ番目のヒータ線65bの端子66bとの間に接続することによって、全ヒータ線65、65・・・の温度を検知するようにしている。さらに、温度センサ69によってヒータ線65の温度を検知すると共に、検知した温度を不図示のマイコンで制御することによって、全ヒータ線65、65・・・を所定温度に保つようにしている。
【0072】
さらに、図8に示すように、各ヒータ線支持台58の周部であって少なくとも四方の下部には不図示の円形穴が形成され、夫々の円形穴に挿着した例えばコイルバネ等による弾性部材70、70・・・を配置することによって、これらの弾性部材70を底ケース54と各ヒータ線支持台58との間に介した状態にする。そして、ケースカバー55を底ケース54に被せた構成とすることによって、ケースカバー55を押下げると共に弾性復帰を可能とした構成としている。
【0073】
また、底ケース54の底面の両端付近に設けられた立上片71、71にはマイクロスイッチ等の通電検知装置72が固定され、この通電検知装置72のスイッチ部72aが後述するケースカバー55に収納された内カバー56の天井面に押圧されることによって各ヒータ線65を通電状態とすることができる。なお、通電検知装置72としては、上記のほかに、リミットスイッチ、光センサ、電磁センサ等を利用することも可能である。
【0074】
上記の図8に示す構成において、ヒータ53を組み立てるには、各ヒータ線支持台58の突出台部58aを内カバー56の左右の開口部57a、57bから突出させた状態でネジ61で固定する。次いで、左右の各ヒータ線支持台58、58の上面に片面粘着テープ62、62を貼着することによって、夫々の全ヒータ線65、65・・・を片面粘着テープ62、62で被覆した状態にする。そして、図7に示すように、内カバー56を底ケース54の内側に嵌合してネジ59で固定すると、ケースカバー55の左右の開口窓60a、60bから片面粘着テープ62、62で被覆された状態の各ヒータ線65、65・・・が上方へ突出した状態となる。
【0075】
このような構成において、各ヒータ線支持台58、58の突出台部58aの上面を被覆した各片面粘着テープ62、62の四辺は、ケースカバー55の左右の開口窓60a、60bで押さえ付けられるため、各片面粘着テープ62を綺麗に収めると共に、各片面粘着テープ62の剥がれ防止、さらには各片面粘着テープ62の防水性の向上に有益とされる。
【0076】
このようなヒータ構造を有するフィルム包装装置を使用する際、フィルムを包装すべき被包装品をケースカバー55の左右の開口窓60a、60bのいずれか一方又は両方に押し当てた状態で、ケースカバー55のどこを押下げても、左右の通電検知装置72、72のいずれか一方又はその両方が通電状態となり、各ヒータ線65が通電されて昇温し、被包装品のフィルムを溶着することが可能となる。
【0077】
一方、図9に示すように、ヒータ線支持台58に設けた温度センサ69の検知結果を不図示のマイコンに入力し、各ヒータ線65の温度が配線板19に設けられた温度設定ボリューム46(図5参照)で設定された温度となるように制御し、ヒータ線65の温度を直接検知した結果に基づいて正確に一定温度となるように制御する。これによって、各ヒータ線65の過熱を抑制し、ヒータ線65の温度制御を効率よく行うことにより、COの発生及び電源消費量を低減することが可能となる。
【0078】
さらに、本実施例においては、ケースカバー55の左右に開口窓60a、60bが形成されているため、被包装品の大小に応じて、左右両方の開口窓60a、60bのヒータを使用するか、開口窓60a、60bの何れか一方のヒータを使用するかは、作業員の使い勝手等によって自由に選択することが可能である。従って、被包装品の容器の大きさの変化に柔軟に対応することができ、これらの大小の容器を使い分ける際に要求される小回りのきく、柔軟な、使い勝手に優れたフィルム包装装置として使用することが可能となる。
【0079】
しかも、ケースカバー55の左右の何れの開口窓60a、60bにおいても、各ヒータ線65は片面粘着テープ62で被覆された状態とされているため、この片面粘着テープ62に防水性に優れた素材を使用することによって各ヒータ線65への浸水を防止することが可能である。このため、水分が付着した被包装品のフィルムを安全に加熱溶着することも可能である。さらに、片面粘着テープやその周辺が汚れたときでも、水を含んだ布等で綺麗に清掃することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のフィルム包装装置は、被包装品を包んだ包装用フィルムの底面を熱溶着するヒータの上面に、水分、油分または内容物等のゴミが溜まらない構造として衛生的な使用を可能とし、ヒータの温度制御を効率よく行うことによってCOの発生及び電源消費量を低減すると共に、大小の容器を使い分ける際に小回りのきく効率的な作業性を満足する、柔軟な使い勝手に優れたフィルム包装装置を提供することを目的とする。
【符号の説明】
【0081】
1 フィルム包装装置
2 基台
3 ヒータ台
4 ヒータ線
4a ネジ穴
4b 端子
5 カッター
6 ヒータ
7a、7b フィルム載置用ローラ
8 ロール
9 側板
10 支持軸
11 作業台
12 係止片
12a 折曲片
13 コイルバネ
14 カバーレール
15a 前方ローラ
15b 後方ローラ
16 水平杆
16a 軸
17 カッターカバー
17a 折曲部
18 コイルバネ
19 配線板
20 隙間(ゴミの排出口)
21 ケース支持台
21a、21b 折曲片
21c 引掛片
22 球体
23 弾性板
23a 球体保持部
24 孤形凸部
25 側片
26 ネジ穴
27 ネジ穴
28 ネジ
29 立上片
30 ネジ
31 通電検知装置
31b スイッチ部
32 ヒータ線支持台
32a バネ穴
33 ヒータケース
33a 上面開口部
33b 下端部
33d ネジ穴
33c 係止片
34 ケース蓋
34a 上面開口部
34b 側片
34c 係止片
34e ネジ穴
35 突出台部
36 板厚部
37 ネジ穴
38 ネジ穴
39 ネジ
40 樹脂シート
41 ネジ穴
42 ネジ
43 銅版プレート
44 保護ケース
45 温度センサ
46 収納溝
47 片面粘着シート
48 ネジ
49 弾性部材
50 電源スイッチ
51 パイロットランプ
52 隙間(ゴミの排出口)
53 ヒータ
53a ネジ
54 底ケース
54a 側板
54b 溝
55 ケースカバー
56 内カバー
56a ネジ穴
57a、57b 開口部
58 ヒータ線支持台
58a 突出台部
58b 溝部
58c サイド部
58d ネジ穴
58e ネジ穴
59 ネジ
60a、60b 開口窓
61 ネジ
62 片面粘着テープ
64 樹脂シート
65 ヒータ線
66 端子
66a、66b、66c、66d 端子
67 ネジ
68 通電板
68、68c 通電板
69 温度センサ
69a 収納溝
70 弾性部材
71 立上片
72 通電検知装置
72a スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の包装用フィルムを引出し可能に設けた基台の前方にヒータ台が設けられ、このヒータ台の後方にヒータ線を内蔵したカッターを包装用フィルムの全幅を超える幅で上向きに突設する一方、ヒータ台の左右横方向にスライド自在にヒータを載置してなるフィルム包装装置において、
ヒータはヒータケースに収納されるヒータ線支持台の上部に設けた突出台部の上面に樹脂シートを介して平状のヒータ線を張り、ヒータ線支持台の突出台部をヒータケースの上面開口部から突出すると共に、ヒータケースの上面に片面粘着シートを着脱自在に貼ることによってヒータ線を被覆した状態にして、ヒータケースの上部にケース蓋を被せることにより、粘着シートで被覆した状態の突出台部のヒータ線をケース蓋の上面開口部から上方へ突出させてなり、
ヒータ線支持台に設けられた温度センサによってヒータ線の温度を検知すると共に、検知した温度をマイコンで制御することによって、ヒータ線を所定温度に保つようにしたことを特徴とするフィルム包装装置。
【請求項2】
ヒータケースはヒータ台の左右横方向へスライド自在に設けられたケース支持台に揺動自在に軸支されると共に、ヒータケースを押下げることによって、ケース支持台に設けられたマイクロスイッチやリミットスイッチ等の通電検知装置を押して各ヒータ線へ通電する一方、各ヒータケースの内部に設けられた左右均等の弾性力を有する弾性部材によってヒータケースを上方へ反発することにより、各ヒータ線の通電を切断するようにしたことを特徴とする請求項1載のフィルム包装装置。
【請求項3】
ヒータ台の上面の幅方向に所定間隔を開けて上方へ隆起した多数の凸部が形成されると共に、ケース支持台の下面に設けられた穴部に球体が係合され、該球体が穴部から下方向へ弾性付勢された状態で突出してなり、ヒータケースをヒータ台の左右へスライドする際、ケース支持台の穴部から下方へ突出した球体がヒータ台の各凸部と係合することによってヒータケースを左右へ間欠的に制止しながら移動可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のフィルム包装装置。
【請求項4】
ヒータ台の後方に、ヒータ台の上面に沿って開口されたゴミの排出口が設けられたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のフィルム包装装置。
【請求項5】
ロール状の包装用フィルムを引出し可能に設けた基台の前方にヒータ台が設けられ、このヒータ台の後方にヒータ線を内蔵したカッターを包装用フィルムの全幅を超える幅で上向きに突設することにより、引き出した包装用フィルムを加熱したカッターで切断するようにしたフィルム包装装置において、
ヒータ台の上面に固定された底ケースと、該底ケースの上方開放部に被せるケースカバーと、該ケースカバーの内側に嵌合して固定する内カバーと、該内カバーに形成された左右の各開口部から突出台部を上方へ突出するように固定するヒータ線支持台とを備え、
ケースカバーには、内カバーに形成された左右の開口部よりもやや狭い面積を有して重なる左右の開口窓が形成され、
左右の各ヒータ線支持台には、前後側部に設けられたサイド部の内方に沿って前後の溝部が形成され、これら前後の溝部間に形成された突出台部に樹脂シートが敷設され、該樹脂シートの上面に間隔をあけて配列された複数のヒータ線が、各ヒータ線の両端子をヒータ線支持台の溝部にてネジ止めされることにより固定されると共に、各ヒータ線が相互に通電可能に連結され、
これら左右の各ヒータ線支持台の全ヒータ線を片面粘着テープで被覆した状態で各ヒータ線支持台の突出台部を内カバーの左右の開口部から突出させた状態で固定すると共に、内カバーをケースカバーの内側に嵌合して固定することにより、ケースカバーの左右の開口窓から片面粘着テープで被覆された状態の各ヒータ線を上方へ突出した状態にし、
さらに各ヒータ線支持台の周部の下部に配置した複数の弾性部材を介した状態でケースカバーを底ケースに被せることによってケースカバーを弾性復帰可能に押下げ可能にすると共に、底ケース内の左右に設けられた通電検知装置によってケースカバーが上方から押下げられた状態を検知して各ヒータ線に通電するようにしたことを特徴とするフィルム包装装置。
【請求項6】
ヒータ線支持台に設けられた温度センサによってヒータ線の温度を検知すると共に、検知した温度をマイコンで制御することによって、ヒータ線を所定温度に保つようにしたことを特徴とする請求項5記載のフィルム包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−178465(P2011−178465A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203329(P2010−203329)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000102278)エーアールシー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】