説明

フィルム搬送装置

【課題】比較的安価な構造で粘着性のある機能性フィルムを安定に搬送することができるフィルム搬送装置を提供する。
【解決手段】基材両面に接着層が形成された機能性フィルム2を打ち抜き貼り付け装置3に順次搬送し、その打ち抜き貼り付け装置3で機能性フィルム2を所定形状に打ち抜くと共に、打ち抜き貼り付け装置3に別途搬送されたキャリアテープ4上にその打ち抜いたフィルム片19を貼り付けるフィルム搬送装置1において、打ち抜き貼り付け装置3の下流側に打ち抜き後の機能性フィルム2を所定の位置に搬送位置決めすると共に、引き出す主動側の搬送用ロール15と従動側のグリップ用ロール16からなる搬送ロール装置7を設け、その搬送用ロール15の表面に凹凸が施された非粘着処理面を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状ワークの一種であるTABテープ等のキャリアテープの所定の領域に、同様に帯状の接着材(以下、機能性フィルム)をキャリアテープに直交して搬送・位置決めし任意形状に打ち抜き貼り付けるため、リール状に巻かれた機能性フィルムを引き出して所定の領域毎に定量搬送し、位置決め停止するフィルム搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3(a)に示すように、フィルム搬送装置100は、繰り出し装置104、ダンサー装置105、打ち抜き貼り付け装置102、搬送ロール装置106及び巻き取り装置107を備える。
【0003】
繰り出し装置104は、基材両面に接着層が形成された機能性フィルム101を巻き付けるリール108と、モーター109とを備えている。なお、機能性フィルム101は、表面に形成された接着層を保護する目的や、機能性フィルム101をリール108に巻き付けたとき、機能性フィルム101同士或いはリール108の表面と機能性フィルム101とが接着しないようにする目的で、各接着層の表面にカバーフィルム117が貼り付けられた機能性フィルム101sとしてリール108に巻き付けられる。
【0004】
リール108は、モーター109により回転駆動し、リール108を図示矢印方向に回転させることにより、機能性フィルム101sを連続的に繰り出して送り出すものである。
【0005】
また、リール108の下流側には、機能性フィルム101sのカバーフィルム117を剥がして巻き取るための剥がしロール118a、118bが、機能性フィルム101sの両面側にそれぞれ設けられている。
【0006】
この剥がしロール118a、118bの下流側に設けられるダンサー装置105は、上下動自在なダンサーロール111と、その両側に設けられた固定ロール110、112とからなり、そのダンサーロール111の高さを光センサー113でON/OFF制御することで、打ち抜き貼り付け装置102に搬送する機能性フィルム101の張力を一定に保ち、且つ機能性フィルム101sの繰り出し量を一定に保持するようにするものである。
【0007】
打ち抜き貼り付け装置102は、順次搬送された機能性フィルム101を所定形状に打ち抜き、打ち抜き貼り付け装置102に別途搬送されたキャリアテープ103上にその打ち抜いたフィルム片を貼り付けるものである。
【0008】
この打ち抜き貼り付け装置102の下流側には、搬送ロール装置106が設けられている。搬送ロール装置106は、主動側の搬送用ロール114と、従動側のグリップ用ロール115とを備える。
【0009】
これら、搬送用ロール114と、グリップ用ロール115は、研磨ロールで形成され、その表面がテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂やシリコーン樹脂で形成されている。
【0010】
図3(b)に示すように、搬送ロール装置106は、サーボモーター116により回転駆動される搬送用ロール114と、その回転駆動された搬送用ロール114により、共に回転されるグリップ用ロール115とにより、機能性フィルム101を挟んで機能性フィルム101に所定の張力を与えつつ、これを連続的に搬送する。
【0011】
また、従来のフィルム搬送装置100では、図3(c)に示すように、中空のダンサーロール111を用い、ダンサーロール111による張力は20kgf程度で、光センサー113で検出したダンサーロール111の高さ位置が上限位置のとき繰り出し、下限位置のとき停止するON/OFF制御を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−343011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、機能性フィルム101は常温でも粘着性を示す性状のものであり、近年は機能性フィルム101が幅広化し、粘着による搬送トラブルの発生が顕著になった。すなわち、搬送ロール装置106は、ダンサー装置105で保持された機能性フィルム101の張力に抗して打ち抜かれて梯子状に機能性フィルム101を引き出すが、打ち抜き後の機能性フィルム101との接触面積が少なく十分なグリップ力が得られない。またグリップ力を高めると機能性フィルム101の粘着により、機能性フィルム101が搬送用ロール106に巻き付く等の搬送トラブルが発生してしまう。
【0014】
また、製造コストの観点から、機能性フィルム101の有効利用効率の向上が必須であり、打ち抜かれ梯子状となった機能性フィルム101の搬送方向の桟幅は従来2mm程度であったものが1mm程度となり、従来のままのフィルム搬送装置100では安定稼動が困難となった。
【0015】
さらに、フィルム繰り出し量は、ダンサーロール111の位置を光センサー113で検出し、上限で繰り出し下限で停止する間欠方式であり、ダンサーロール111の位置は不定である。
【0016】
このため、ダンサーロール111の位置により機能性フィルム101の張力が変化する問題がある。
【0017】
そこで、本発明の目的は、前記課題を解決し、比較的安価な構造で粘着性のある機能性フィルムを安定に搬送することができるフィルム搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、基材両面に接着層が形成された機能性フィルムを打ち抜き貼り付け装置に順次搬送し、その打ち抜き貼り付け装置で前記機能性フィルムを所定形状に打ち抜くと共に、前記打ち抜き貼り付け装置に別途搬送されたキャリアテープ上にその打ち抜いたフィルム片を貼り付けるフィルム搬送装置において、前記打ち抜き貼り付け装置の下流側に打ち抜き後の機能性フィルムを所定の位置に搬送位置決めすると共に、引き出す主動側の搬送用ロールと従動側のグリップ用ロールからなる搬送ロール装置を設け、その搬送用ロールの表面に凹凸が施された非粘着処理面を有するフィルム搬送装置である。
【0019】
請求項2の発明は、セラミックと樹脂の複合コーティングにより前記搬送用ロールの非粘着処理面が形成されるフィルム搬送装置である。
【0020】
請求項3の発明は、前記機能性フィルムは、リールから繰り出され、ダンサーロールで引き出し量が調整されて、打ち抜き貼り付け装置に搬送されると共に、その下流側の搬送ロール装置で所定位置に位置決めされ搬送されて引き出され、前記ダンサーロールの位置を常時超音波センサーで検出し、そのダンサーロールの位置が常時一定になるよう前記リールの繰り出し量が制御されるフィルム搬送装置である。
【0021】
請求項4の発明は、前記ダンサーロールは中空構造であり、前記搬送ロール装置と前記打ち抜き貼り付け装置との間には、前記搬送ロール装置による機能性フィルムの引き出し中にフィルムにかかる張力を一定に保つ微少張力負荷装置が設けられているフィルム搬送装置である。
【0022】
請求項5の発明は、前記微少張力負荷装置は、エアシリンダと、そのエアシリンダの先端に設けられ前記機能性フィルムを押圧する押圧部とからなり、その押圧部がエアーベアリングによる無摩擦機器で形成されるフィルム搬送装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、比較的安価な構造で粘着性のある機能性フィルムを安定に搬送することができるフィルム搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態に係るフィルム搬送装置を示す概略側面図、(b)は、(a)の搬送装置を示す図、(c)は、A矢視図である。
【図2】打ち抜き貼り付け装置の詳細を説明する図である。
【図3】(a)は、従来のフィルム搬送装置を示す概略側面図、(b)は、(a)の搬送装置を示す図、(c)は、B矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0026】
図1は、本発明の好適な実施の形態に係るフィルム搬送装置を示す図である。
【0027】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係るフィルム搬送装置1は、基材両面に接着層が形成された機能性フィルム2を繰り出す繰り出し装置5と、機能性フィルム2の張力を一定に保持し、機能性フィルム2の繰り出し量を制御する送り側ダンサー装置6aと、繰り出された機能性フィルム2を所定形状に打ち抜くと共に、別途搬送されたキャリアテープ4上にその打ち抜いたフィルム片19を貼り合わせる打ち抜き貼り付け装置3と、機能性フィルム2を所定の位置に搬送、位置決めすると共に引き出す搬送ロール装置7と、打ち抜き後の機能性フィルム2の巻き取り量を調整する巻き取り側ダンサー装置6bと、打ち抜き後の機能性フィルム2を巻き取る巻き取り装置8とを備える。
【0028】
繰り出し装置5は、機能性フィルム2を巻き付けるリール9と、モーター10とを備えている。なお、機能性フィルム2は、表面に形成された接着層を保護する目的や、機能性フィルム2をリール9に巻き付けたとき、機能性フィルム2同士或いはリール9の表面と機能性フィルム2とが接着しないようにする目的で、各接着層の表面にカバーフィルム20が貼り付けられた機能性フィルム2sとしてリール9に巻き付けられる。
【0029】
リール9は、モーター10より回転駆動し、リール9を図示矢印方向に回転させることにより、機能性フィルム2sを連続的に繰り出して送り出すものである。
【0030】
リール9の下流側には、機能性フィルム2sのカバーフィルム20を剥がして巻き取るための剥がしロール21a、21bが、機能性フィルム2sの両面側にそれぞれ設けられる。
【0031】
この剥がしロール21a、21bの下流側に設けられる送り側ダンサー装置6aは、ダンサーロール12と、その両側に設けられた固定ロール11、13とを備えている。
【0032】
ダンサーロール12は、昇降可能であり、機能性フィルム2に張力を与え、その張力を一定に保持するものである。また、ダンサーロール12は、中空構造にされる。これは、機能性フィルム2は打ち抜き貼り付け装置3で打ち抜かれ、その加工部から排出される際、梯子状となっており、この状態では張力による変形が顕著であるため、ダンサーロール12の錘の重量を最適化し、変形抑制に効果的且つ打ち抜き搬送路に接触し粘着することを防ぐべく、フィルム幅60mmあたり5gf〜10gfの低張力構造とするためである。
【0033】
送り側ダンサー装置6aは、ダンサーロール12と、ダンサーロール12の高さ位置を検出し、機能性フィルム2sの繰り出し量を制御する超音波センサー14とをさらに備える。この超音波センサー14は、送り側ダンサー装置6aにおいて位置による機能性フィルム2の自重の変化を避けるため、ダンサーロール12の位置を定位置制御するものである。
【0034】
打ち抜き貼り付け装置3は、順次搬送された機能性フィルム2を所定形状に打ち抜き、打ち抜き貼り付け装置3に別途搬送されたキャリアテープ4上にその打ち抜いたフィルム片19を貼り付けるものである(図2参照)。
【0035】
詳しくは、打ち抜き貼り付け装置3は、中抜きパンチ27と外抜きパンチ28とを有し、図2に示すように、金型となっており、繰り出し装置5から繰り出され、送り側ダンサー装置を経た機能性フィルム2を位置決めしつつ、図1(a)に示す、中抜きパンチ27と図示しない位置決め孔パンチで打ち抜き、さらに図1(a)に示す、外抜きパンチ28で打ち抜くと共に、その下方に別途搬送されたキャリアテープ4に打ち抜いたフィルム片19を貼り付ける装置である。
【0036】
キャリアテープ4には、あらかじめ位置決め孔25が形成されており、この位置決め孔25と、位置決め孔パンチで打ち抜かれた機能性フィルム2の位置決め孔26とを位置決めピン等を用いて、キャリアテープ4と機能性フィルム2との相対的な位置決めが行われるようになっている。
【0037】
これにより、キャリアテープ4の所定位置にフィルム片19を貼り合わせることができる。
【0038】
再び図1(a)を参照し、打ち抜き貼り付け装置3の下流側には、搬送ロール装置7が設けられている。この搬送ロール装置7は、図1(b)に示すように、主動側の搬送用ロール15と、従動側のグリップ用ロール16とからなる。
【0039】
搬送用ロール15の表面は、細かな凹凸の非粘着処理が施されている。非粘着処理面は、例えば、セラミックと樹脂の複合コーティングにより形成されている。さらに、細かな凹凸の高さは、機能性フィルム2の粘着層の厚さより高く形成されている。そのため、従来の搬送用ロール114と機能性フィルム101との接着面積を100%とした場合、本発明の搬送用ロール15と機能性フィルム2との接着面積は、例えば50%以下となると共に、その凹凸のアンカー効果により、機能性フィルム2を搬送するのに十分なグリップ力が得られる。
【0040】
グリップ用ロール16は、従来と同様に、その表面にテフロン(登録商標)等の処理が施された研磨ロールで形成されている。
【0041】
搬送ロール装置7は、サーボモーター17により回転駆動される搬送用ロール15と、その回転駆動された搬送用ロール15により、共に回転されるグリップ用ロール16とにより、機能性フィルム2を挟んで機能性フィルム2に所定の張力を与えつつ、これを連続的に搬送する。
【0042】
搬送ロール装置7の直前には、微少張力負荷装置18が設けられている。微少張力負荷装置18は、エアシリンダ23と、そのエアシリンダ23の先端に設けられた機能性フィルム2を押圧する押圧部24とからなる。この微少張力負荷装置18は、2gf〜5gf程度まで可変できるが、通常機器では摩擦抵抗によるロスが避けられないため、その押圧部24をエアーベアリングによる無摩擦機器で形成するとよい。
【0043】
微少張力負荷装置18を設ける理由を以下に述べる。
【0044】
ダンサーロール12は、超音波センサー14による定位置制御であるが、実際にはダンサーロール12の位置の変化を捉えてから定位置まで繰り出す応答時間が必要である。また機能性フィルム2sは、リール状に巻き付けられているためにその直径が小さくなるほど応答時間が長くなる。従って、搬送用ロール15の回転中にダンサーロール12が一瞬上昇し、機能性フィルム2の垂れ量を小さくするので、機能性フィルム2の自重分の例えば約1.5gf〜2gfが失われる。これが排出された梯子状の機能性フィルム2の変形を誘発するので、搬送用ロール15が起動し、ダンサーロール12が所定の位置に繰り出される瞬間のみ、張力を補完する必要がある。そこで、本実施の形態では、張力を補完する微少張力負荷装置18を搬送ロール装置7の直前に設けている。
【0045】
巻き取り装置8は、打ち抜き貼り付け装置3で打ち抜かれ梯子状になった機能性フィルム2を巻き取り、回収する巻き取りリール22を備える。
【0046】
巻き取り装置8の直前には、上述した送り側ダンサー装置6aと同様な構成の巻き取り側ダンサー装置6bが設けられている。この巻き取り側ダンサー装置6bによって、打ち抜き後の機能性フィルム2の巻き取り量が調節されている。
【0047】
このフィルム搬送装置1を用いた機能性フィルム2の搬送を説明する。
【0048】
機能性フィルム2を搬送ロール装置7の搬送用ロール15とグリップ用ロール16の間に把持し、搬送用ロール15に連結したサーボモーター17により機能性フィルム2を定量、所定位置に搬送する。
【0049】
このとき、搬送用ロール15には表面に細かな凹凸の非粘着処理が施されており、粘着性のある機能性フィルム2がくっつくことはない。また、搬送用ロール15の表面には、非粘着処理が施されているが、表面の細かな凹凸により、アンカー効果が得られ、グリップ信頼性が向上する。これらの理由から、たとえ幅広化した機能性フィルム2を搬送した場合であっても粘着による搬送トラブルが発生しにくい。
【0050】
機能性フィルム2が搬送ロール装置7によって搬送されると、送り側ダンサー装置6aのダンサーロール12が上方に引っ張られる。図1(a)には、搬送用ロール15の回転中に機能性フィルム2の弛み量が減少し、ダンサーロール12が上方に引っ張られたときの変化を示した。
【0051】
ダンサーロール12が上方に引っ張られると、超音波センサー14がダンサーロール12の上昇を検出し、その位置を定位置に保持すると共に機能性フィルム2の張力を一定に保つために、リール9に連結されたモーター10を回転駆動させて、リール9を図示矢印方向に回転させて機能性フィルム2sを繰り出す。繰り出された機能性フィルム2sは、リール9の下流側に設けられた剥がしロール21a、21bによって、機能性フィルム2sのカバーフィルム20が剥がされ巻き取られる。このような動作により、機能性フィルム2sの繰り出し量は、機能性フィルム2にかけた錘(すなわち、ダンサーロール12)の位置を超音波センサー14により把握することで、常時一定位置に保たれる。
【0052】
このとき、実際には、超音波センサー14がダンサーロール12の位置の変化を捉えてからリール9が機能性フィルム2sを定位置まで繰り出す応答時間が必要である。また機能性フィルム2sは、リール状に巻き付けられているためにその直径が小さくなるほど応答時間が長くなる。従って、搬送用ロール15の回転中にダンサーロール12が一瞬上昇し、機能性フィルム2の垂れ量を小さくするので、機能性フィルム2の自重分の約1.5gf〜2gfが失われる。これが排出された梯子状の機能性フィルム2の変形を誘発するので、搬送用ロール15が起動し、ダンサーロール12が所定の位置に繰り出される瞬間のみ、搬送用ロール15の直前に設けた微少張力負荷装置18により張力を補完する。つまり、搬送用ロール15の起動に合わせてエアーベアリング式の微少張力負荷装置18を作動させて張力を補完する。
【0053】
以上の動作により、機能性フィルム2が打ち抜き貼り付け装置3の所定位置に搬送される。
【0054】
打ち抜き貼り付け装置3に搬送された機能性フィルム2は、打ち抜き貼り付け装置3で所定形状に打ち抜かれると共に、その打ち抜かれたフィルム片19が別途供給されるキャリアテープ4に貼り付けられる。
【0055】
その後、繰り返し機能性フィルム2をキャリアテープ4に打ち抜き貼り付けるべく、搬送ロール装置7を駆動させて機能性フィルム2を打ち抜き貼り付け装置3の所定位置に定量搬送すると共に、打ち抜き後に梯子状となった機能性フィルム2が打ち抜き貼り付け装置3から排出される。
【0056】
この排出された機能性フィルム2は、巻き取り側ダンサー装置6bによって巻き取り量が調節され、巻き取りリール22によって巻き取り回収される。
【0057】
以上の動作により、機能性フィルム2が打ち抜き貼り付け装置3に搬送されると共に、キャリアテープ4に打ち抜き貼り付けられる。
【0058】
以上要するに、フィルム搬送装置1によれば、打ち抜き貼り付け装置3の下流側に打ち抜き後の機能性フィルム2を所定の位置に搬送位置決めすると共に、引き出す主動側の搬送用ロール15と従動側のグリップ用ロール16からなる搬送ロール装置7を設け、その搬送用ロール15の表面にセラミックと樹脂の複合コーティングにより細かな凹凸が施された非粘着処理面を有する。この非粘着処理面の凹凸は、機能性フィルム2の接着面の厚さよりも大きく形成されているため、機能性フィルム2と搬送用ロール15の表面との接触面積を小さくすることができ、たとえ幅広化した機能性フィルム2を搬送した場合であっても、粘着による搬送トラブルを防止できる。また、細かな凹凸によるアンカー効果により機能性フィルム2を搬送するのに十分なグリップ効果を得ることができる。つまり、搬送トラブルの防止と、安定したフィルム搬送の両立ができる。
【0059】
また、フィルム搬送装置1では、機能性フィルム2sは、リール9から繰り出されると共に剥がしロール21a、21bによってカバーフィルム20を剥がされて機能性フィルム2とされ、ダンサーロール12で引き出し量が調整されて、打ち抜き貼り付け装置3に搬送されると共に、その下流側の搬送ロール装置7で所定位置に位置決めされ搬送されて引き出され、ダンサーロール12の位置を常時超音波センサー14で検出し、そのダンサーロール12の位置が常時一定になるようリール9の繰り出し量が制御される。よって、従来のフィルム搬送装置100のように、リール9の繰り出し量をON/OFF制御しないため、機械的な応答遅れによる張力不足を緩和することができる。
【0060】
ダンサーロール12は中空構造であり、搬送ロール装置7と打ち抜き貼り付け装置3との間には、搬送ロール装置7による機能性フィルム2の引き出し中にフィルムにかかる張力を一定に保つ微少張力負荷装置15が設けられているため、定位置制御の機械的な応答遅れによる張力不足を補うことができ、これにより機能性フィルム2の変形を防止しつつ搬送することができる。
【0061】
微少張力負荷装置18は、エアシリンダ23と、そのエアシリンダの先端に設けられ機能性フィルム2を押圧する押圧部24とからなり、その押圧部24がエアーベアリング23による無摩擦機器で形成されているため、エアシリンダ23と押圧部24との摩擦抵抗によるロスを低減でき、応答遅れによる張力不足を正確に補うことができる。
【0062】
このように、本発明のフィルム搬送装置1によれば、キャリアテープ4への機能性フィルム2の連続貼り合わせ加工に関して、機能性フィルム2の使用効率が向上するうえ、搬送トラブルによるフィルム搬送装置1の稼動率の低下を回避できる。フィルム搬送装置1は主に、連続加工を行う帯状TABテープに、同じく帯状の機能性材料(接着材フィルム)を加熱貼り合わせ加工する装置に適する。
【0063】
なお、本実施の形態における微少張力負荷装置18は、ダンサーロール12の定位置制御の応答性による問題を回避するための施策であって、例えば機能性フィルム2の繰り出しを高頻度・高速なサーボモーターに拠れば不要となる可能性もある。
【符号の説明】
【0064】
1 フィルム搬送装置
2 機能性フィルム
3 打ち抜き貼り付け装置
4 キャリアテープ
15 搬送用ロール
16 グリップ用ロール
19 フィルム片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材両面に接着層が形成された機能性フィルムを打ち抜き貼り付け装置に順次搬送し、その打ち抜き貼り付け装置で前記機能性フィルムを所定形状に打ち抜くと共に、前記打ち抜き貼り付け装置に別途搬送されたキャリアテープ上にその打ち抜いたフィルム片を貼り付けるフィルム搬送装置において、前記打ち抜き貼り付け装置の下流側に打ち抜き後の機能性フィルムを所定の位置に搬送位置決めすると共に、引き出す主動側の搬送用ロールと従動側のグリップ用ロールからなる搬送ロール装置を設け、その搬送用ロールの表面に凹凸が施された非粘着処理面を有することを特徴とするフィルム搬送装置。
【請求項2】
セラミックと樹脂の複合コーティングにより前記搬送用ロールの非粘着処理面が形成される請求項1記載のフィルム搬送装置。
【請求項3】
前記機能性フィルムは、リールから繰り出され、ダンサーロールで引き出し量が調整されて、打ち抜き貼り付け装置に搬送されると共に、その下流側の搬送ロール装置で所定位置に位置決めされ搬送されて引き出され、前記ダンサーロールの位置を常時超音波センサーで検出し、そのダンサーロールの位置が常時一定になるよう前記リールの繰り出し量が制御される請求項1又は2記載のフィルム搬送装置。
【請求項4】
前記ダンサーロールは中空構造であり、前記搬送ロール装置と前記打ち抜き貼り付け装置との間には、前記搬送ロール装置による機能性フィルムの引き出し中にフィルムにかかる張力を一定に保つ微少張力負荷装置が設けられている請求項1〜3いずれかに記載のフィルム搬送装置。
【請求項5】
前記微少張力負荷装置は、エアシリンダと、そのエアシリンダの先端に設けられ前記機能性フィルムを押圧する押圧部とからなり、その押圧部がエアーベアリングによる無摩擦機器で形成される請求項4記載のフィルム搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−51677(P2011−51677A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199992(P2009−199992)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】