説明

フィルム

【課題】 フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、最低光線透過率(480〜510nm)、耐熱性に優れたフィルムを提供する。また、該フィルムと、粘着剤層とを有し、とくにプラズマディスプレイパネルに好適に使用される粘着シート部材を提供する。
【解決手段】 透明基材フィルム(A)上に、近赤外線吸収層(B)を有し、近赤外線吸収層(B)が、アクリル系樹脂バインダー、近赤外線吸収色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を含有し、アクリル系樹脂バインダー100質量部に対する近赤外線吸収色素の配合割合が5〜50質量部であり、シリカ微粒子の配合割合が0.1〜2.0質量部である近赤外線カットフィルム。該近赤外線カットフィルムと、粘着剤層(D)とを有する近赤外線カット粘着シート部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、最低光線透過率(480〜510nm)、耐熱性に優れたフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光エレクトロニクス関連部品、機器の進歩は著しく、その中で、画像を表示するディスプレイは、従来のテレビジョン装置用に加えて、コンピューターモニター用等として需要が増加しつつある。中でも、ディスプレイの大型化および薄肉化に対する市場要求は高まる一方である。最近、大型かつ薄肉化を実現することが可能であるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(PDP)が注目されている。PDPは、青色発光と緑色発光との谷間に不要発光があり、これを有効にカットするためにディスプレイ用フィルターが使用されている。なお当該ディスプレイ用フィルターは、原色の青色や緑色の蛍光体発光を阻害せず、画像の色純度を高め、かつナチュラルグレーのあるいはナチュラルブルーの色調も阻害しないことが求められ、そのためには、480〜510nmの波長域に透過率極小値をもたせることが重要である。
【0003】
特許文献1には、波長450nmの光線透過率が波長525nmの光線透過率より大きく、波長525nmの光線透過率が波長630nmの光線透過率より大きいことを特徴とするディスプレイ前面板が開示されている。また、特許文献2には、波長580nm〜600nm及び470nm〜520nmのそれぞれに、透過率の極小値を1つずつ持ち、かつ波長580nm〜600nmにおける極小透過率が0.01%〜30%であり、かつ特定の光線吸収量比を有する電子ディスプレイ用フィルターが開示されている。
しかし、前記面板あるいはフィルターは、透明基材上に高分子重合体および光吸収色素を含むコーティング液をコーティングして得られたフィルムからなるものであり、このような材料は滑り性がなく、フィルム巻き取り性が悪いという問題がある。
【0004】
そこで、フィルムの巻き取り性を改良する技術として、二軸延伸ポリエステルフィルムの易接着剤層に粗面化物質を添加する技術が知られている。例えば、特許文献3には、ヘーズ値が5%以下、波長400〜750nmの光線の吸光度が0.15〜0.35である二軸配向ポリエステルフィルムからなり、該フィルムの少なくとも片面に易接着性塗膜が形成され、該易接着性塗膜中に平均粒径0.15μm以下の粗面化物質を5〜30重量%含有する光学用フィルムが開示されている。しかし、易接着性塗膜に該粗面化物質を上記形態でもって添加すると、透明性に劣り(ヘーズ値が大きい)、粒子感による外観性に劣るという問題がある。
【特許文献1】特開2000−105541号公報
【特許文献2】特開2002−333517号公報
【特許文献3】特開2002−212317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、上記のような従来の課題を解決し、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、最低光線透過率(480〜510nm)、耐熱性に優れたフィルムを提供することにある。
また本発明の別の目的は、該フィルムと、粘着剤層とを有し、とくにプラズマディスプレイパネルに好適に使用される粘着シート部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のとおりである。
1.下記(A)層上に、下記(B)層を有することを特徴とするフィルム。
(A)層:透明基材フィルム
(B)層:アクリル系樹脂バインダー、波長480〜510nmに極大吸収を有する少なくとも1種類の色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を含有するとともに、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対する前記色素の配合割合が0.05〜2.0質量部であり、かつ前記シリカ微粒子の配合割合が0.1〜2.0質量部である。
2.前記シリカ微粒子が、コロイダルシリカであることを特徴とする前記1に記載のフィルム。
3.前記色素が、シアニン系色素から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする前記1に記載のフィルム。
4.前記アクリル系樹脂が、ポリメチルメタクリレート系樹脂であることを特徴とする前記1に記載のフィルム。
5.前記(A)層の透明基材フィルムが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする前記1に記載のフィルム。
6.前記(B)層が、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、ジイモニウム系色素2〜40質量部をさらに含有してなることを特徴とする前記3に記載のフィルム。
7.前記ジイモニウム系色素が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする前記6に記載のフィルム。
【0007】
【化1】

【0008】
(一般式(2)中、R1〜R8はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは未置換の、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、又はフェニルアルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良い。また、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すか、それらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基を表す。)
8.前記(B)層が、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、ジチオール系金属錯体色素2〜40質量部をさらに含有してなることを特徴とする前記3に記載のフィルム。
9.前記(A)層の前記(B)層が設けられた面とは反対の面に、帯電防止層、反射防止層およびハードコート層から選ばれた少なくとも1種のコート層(C)を有することを特徴とする前記1〜8のいずれかに記載のフィルム。
10.前記1〜9のいずれかに記載のフィルムと、粘着剤層(D)とを少なくとも有することを特徴とする粘着シート部材。
11.プラズマディスプレイパネルに使用されることを特徴とする前記10に記載の粘着シート部材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記(B)層が、アクリル系樹脂バインダー、特定色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を特定量でもって配合されてなるので、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、最低光線透過率(480〜510nm)、耐熱性に優れたフィルムを提供することができる。
また本発明の粘着シート部材は、該フィルムと、粘着剤層とを有しているので、とくにプラズマディスプレイパネルに好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
(A層:透明基材フィルム)
本発明で使用される透明基材フィルムとしては特に制限はなく、様々な透明プラスチックフィルムの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。この透明プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂などからなるフィルム、これらの積層フィルム等が挙げられる。これらの中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好であり、また所望の厚みに調整が可能である。
透明基材フィルムの厚さとしては、例えば10〜300μm、好ましくは20〜200μmである。
透明基材フィルムは、所望により酸化防止剤や紫外線吸収剤等、公知の添加剤を配合してもよい。
また透明基材フィルムは、他層との接着性を高めるために、易接着剤層を設けておくこともできる。
【0012】
(B層)
本発明における(B)層は、アクリル系樹脂バインダー、波長480〜510nmに極大吸収を有する少なくとも1種類の色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を含有する。以下、各成分について説明する。
【0013】
(アクリル系樹脂バインダー)
本発明で使用されるアクリル系樹脂バインダーとしては、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類の単独重合体、前記単量体と共重合し得るエチレン性不飽和単量体との共重合体などが挙げられ、とくに制限されるものではないが、本発明ではポリメチルメタクリレート系樹脂が好ましい。中でも、ポリメチルメタクリレート系樹脂は、低分子量成分が極力排除された、シャープな分子量分布を有するものであれば、色素の劣化を起こさず、耐熱性、耐光性を良化させることができる。なお低分子量成分は、色素の構造を破壊する傾向にあり、色素の吸収性能を変化させ、耐熱性および耐光性を劣化させてしまう。したがって本発明でとくに好適なポリメチルメタクリレート系樹脂の分子量分布は、Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が、1.5乃至2.1であることが好ましく、1.6乃至1.9であることがより好ましい。なお本発明でいう分子量分布は、展開溶媒としてクロロホルムを用い、GPC(ポリメチルメタクリレート換算値)により測定される。
【0014】
(色素)
本発明で使用される色素は、波長480〜510nmに極大吸収を有する色素であればとくに制限されないが、本発明では、シアニン系色素から選ばれた1種類以上であることが好ましい。
【0015】
シアニン系色素は、例えば、下記一般式(I)であることが好ましい。
【0016】
【化2】

【0017】
(一般式(I)中、R31〜R35は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、nは、0以上の整数を表し、通常は、1〜3である。Z1、Z2は、それぞれ独立に、S原子、O原子、NR36、CR3738である。R36〜R38は、それぞれ独立に、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェニル基を表す。L1、L2は、それぞれ独立に、5〜7員環を形成するものであって、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環などの芳香環である。)
【0018】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;テトラヒドロフリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基エトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルオニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、sec−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチルスルホニルアミノ基、n−ヘキシルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカアルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0019】
シアニン系色素の具体例としては、例えば林原生物化学研究所社製NK−9151(極大吸収波長=502nm)、ADEKA社製GPX−210(極大吸収波長=492nm)などのシアニン系化合物を好適に用いることができる。上記は一例であり、これらに限定されるものではない。また、シアニン系色素は2種類以上を併用することもできる。
【0020】
本発明では、(B)層が、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、ジイモニウム系色素2〜40質量部をさらに含有してなることが好ましい。ジイモニウム系色素を添加することにより、シアニン系色素の耐光性を高めることができる。
【0021】
ジイモニウム色素は、下記一般式(1)で示される構造を有するものが挙げられる。
【0022】
【化3】

【0023】
上記一般式(1)中、R16〜R23はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はフェニルアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。アルケニル基としてはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
【0024】
これらの基に結合する置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;テトラヒドロフリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基エトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルオニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、sec−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチルスルホニルアミノ基、n−ヘキシルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカアルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
これらのR16〜R23のうち、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シアノ置換アルキル基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖又は分鎖基を有するアルキル基が特に好ましい。かかる炭素数2〜6の直鎖又は分鎖基を有するアルキル基の具体例としては、例えばエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、iso−アミル基等が挙げられる。
【0026】
また、R16〜R23の好ましい他の例として、フェニルアルキレン基を挙げることもできる。かかるフェニルアルキレン基のアルキレン基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。更にフェニルアルキレン基におけるフェニル基は、置換基を有していなくてもよいが、アルキル基、水酸基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン置換アルキル基及びハロゲンからなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。好ましくは置換基を有していないフェニル基である。
【0027】
かかるフェニルアルキレン基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピレン基、フェニル−α−メチルプロピレン基、フェニル−β−メチルプロピレン基、フェニルブチレン基、フェニルペンチレン基、フェニルオクチレン基等が挙げられ、ベンジル基及びフェネチル基が好ましい。
【0028】
上記一般式(1)における環A及びBは、1,4−位以外に1〜4個の置換基を有しても、いなくてもよい。
結合しうる置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基が挙げられ、低級アルキルとしては、例えばメチル基、エチル基等のC1〜C5のアルキル基が挙げられる。好ましくはA及びBが置換基を有していないか、ハロゲン原子(特に塩素原子、臭素原子)、メチル基もしくはシアノ基で置換されたのもが好ましい。なお、Bに置換基を有する場合は、4つのB環がすべて同じであるもの、更に、置換基の位置はフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対して、m−位であるものが合成上好ましい。更に環A及びBには1,4−位以外に置換基を有していないものが合成上好ましい。
【0029】
上記一般式(1)におけるXは、電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが2価である場合には1分子、アニオンが1価の場合には2分子必要になる。これらのアニオンは、例えば有機酸アニオン又は無機アニオン等から選択される。具体的には、有機酸アニオンとしては、例えば酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン;メタスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン;及びテトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸イオン、ビス(ペンタフルオロエタン)イミド酸イオン、ペンタフルオロエタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド酸イオン、トリフルオロメタンスルホンヘプタフルオロプロパンスルホンイミド酸イオン、ノナフルオロブタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド酸イオン、1,3−ジスルホンニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸イオン等のスルホンイミド酸イオン等が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等のアルキルスルホン酸イオン、アルキルアリールスルホン酸イオン及びスルホンイミド酸イオンが挙げられる。
【0030】
無機アニオンとしては、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン;チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン及びホウ酸イオン等が挙げられ、好ましいものとしては、過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン及びヘキサフルオロアンチモン酸イオン等が挙げられる。
【0031】
これらのアニオンのうち、好ましいものとしては、例えば過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン及びスルホンイミド酸イオン等が挙げられる。
【0032】
上記一般式(1)で示されるジイモニウム系色素の合成方法は公知であり、例えば特公昭43−25335号公報に開示された方法を採用できる。
【0033】
本発明でとくに好ましいジイモニウム色素は、下記一般式(2)で表される。
【0034】
【化4】

【0035】
(一般式(2)中、R1〜R8はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは未置換の、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、又はフェニルアルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良い。また、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すか、それらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基を表す。)
【0036】
本発明における一般式(2)で表されるジイモニウム系色素の中でも、とくに好適な化合物を下記に例示する。
【0037】
式(20)で示される、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
式(20)
【0038】
【化5】

【0039】
式(21)で示される、ビス(ペンタフロロエタンスルホン)イミド酸N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
式(21)
【0040】
【化6】

【0041】
式(22)で示される、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
式(22)
【0042】
【化7】

【0043】
式(23)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N',N'−テトラキス(p−ジベンジルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(23)
【0044】
【化8】

【0045】
式(24)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N',N'−テトラキス(p−ジフェネチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(24)
【0046】
【化9】

【0047】
式(25)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N',N'−テトラキス{(p−ジ(4−フッ化)ベンジルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(25)
【0048】
【化10】

【0049】
式(26)で示される、ビス(1,3−ジスルホニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸)N,N,N',N'−テトラキス(p−ジフェネチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(26)
【0050】
【化11】

【0051】
式(27)で示される、ビス(1,3−ジスルホニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸)N,N,N',N'−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム等が挙げられる。
式(27)
【0052】
【化12】

【0053】
本発明で使用される一般式(2)で表されるジイモニウム系色素は、例えば特公昭43−25335号公報に開示された次の様な方法で得ることができる。すなわち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる、下記一般式(28)で表されるアミノ体を有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の水溶性極性溶媒中、30〜160℃、好ましくは50〜140℃で、所望のR1〜R8に対応するハロゲン化化合物(例えば、R1がn−C49のときはBrC49)と反応させて、全ての置換基(R1〜R8)が同一である化合物(以下、全置換体と記す)を得ることができる。また、全置換体以外の化合物を合成する場合、例えば、先に所定のモル数(一般式(20)のアミン体1モル当たり7モル)の試薬(BrC49)と反応させてR1〜R8のうち7つにn−ブチル基を導入した後、残りの置換基(iso−ブチル基)を導入するのに必要なモル数(一般式(28)のアミン体1モル当たり1モル)の試薬(BrC49BrCH2CH(CH32)と反応させる。
一般式(28)
【0054】
【化13】

【0055】
(式中、環A及びBは前記で定義された通りである。)
【0056】
その後、上記で合成した化合物を、有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で、一般式(29)で示されるスルホンイミド酸銀誘導体を添加して酸化反応を行い、析出した銀を濾別した後、水、酢酸エチル又はヘキサン等の溶媒を加え、生じた沈殿を濾過することにより本発明の一般式(2)で表されるジイモニウム系色素がえられる。
一般式(29)
【0057】
【化14】

【0058】
(式中、R9及びR10は前記で定義された通りである。)
【0059】
上記一般式(2)で表されるジイモニウム系色素の市販品としては、例えば、「CIR−RL」、「CIR−1085」(いずれも日本カーリット株式会社製)、「K−1032」(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
【0060】
なお本発明では、ジイモニウム系色素の替わりに、あるいはジイモニウム色素と併用する形態で、ジチオール系金属錯体色素を使用することにより、シアニン系色素の耐光性を高めることもできる。ジチオール系金属錯体色素は、市販されているものを用いることができ、例えば林原生物化学研究所社製NKH−1199を挙げることができる。ジチオール系金属錯体色素の使用量は、ジイモニウム系色素の使用量と同じである。
【0061】
本発明において用いられるジチオール系金属錯体色素としては、一般的にジチオール系金属錯体色素と呼ばれるものであれば特に限定はないが、具体的には一般式(3)で表される金属錯体化合物である。
【0062】
【化15】

【0063】
(一般式(3)中、R24〜R27は互いに同一もしくは相異なる水素原子、ハロゲン、シアノ基、アシル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換又は未置換のアルキル基、あるいは置換又は未置換のアリール基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい。また、Mはニッケル、白金、パラジウム、又は銅の金属である。これら一般式(3)で表されるジチオール系金属錯体色素は、1種類を使用しても2種類以上を使用してもよい。)
【0064】
一般式(3)で表されるジチオール系金属錯体色素中、R24〜R27で表される置換基について、以下に具体的に記載する。
【0065】
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0066】
アシル基の例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、p−t−ブチルベンゾイル基等が挙げられる。
【0067】
アルキルアミノカルボニル基の例としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、sec−ブチルアミノカルボニル基、n−ペンチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、n−ヘプチルアミノカルボニル基、n−オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−sec−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘプチルアミノカルボニル基、ジ−オクチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0068】
アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、iso−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、iso−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、iso−ペンチルオキシカルボニル基、neo−ペンチルオキシカルボニル基、1,2−ジメチル−プロピルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、1,3−ジメチル−ブチルオキシカルボニル基、1−iso−プロピルプロピルオキシカルボニル基、1,2−ジメチルブチルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、1,4−ジメチルペンチロキシカルボニル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルオキシカルボニル基、1−エチル−3−メチルブチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、3−メチル−iso−プロピルブチルオキシカルボニル基、2−メチル−1−iso−プロピルオキシカルボニル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基等の炭素数2〜20の直鎖又は分岐のアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0069】
アリールオキシカルボニル基の例としては、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、トリオキシカルボニル基、キシリルオキシカルボニル基、クロロフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0070】
置換又は未置換のアルキル基のうち、未置換のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、シクロペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状の炭化水素基が挙げられる。
【0071】
置換アルキル基とは、上記の未置換のアルキル基の少なくとも1つの水素が種々の官能基に置換されたものである。
例えば、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシ基に置換されたアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルコキシアルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がハロンゲンに置換されたハロゲン化アルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアミノ基に置換されたアミノアルキル基、
未置換のアルキル基の水素がアルキルアミノ基に置換されたアルキルアミノアルキル基やジアルキルアミノアルキル基、
その他アルコキシカルボニルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、アルコキシスルホニルアルキル基等が挙げられる。
【0072】
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトチキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等が挙げられ、
ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ2−プロピル基等が挙げられる。
【0073】
置換又は未置換のアリール基のうち、未置換のものとしては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、置換アリール基とは、上記の未置換のアリール基の少なくとも1つの水素が種々の官能基に置換されたものである。
例えば、置換フェニル基としては、
クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フロロフェニル基、ペンタフロロフェニル基、ヨウ化フェニル基等のハロゲン化フェニル基、
【0074】
トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルエチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、t−ブチルメチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、トリフロロメチルフェニル基等のアルキル誘導体置換フェニル基、
【0075】
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシフェニル基、メチルエトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、1−メトキシ−5−エトキシフェニル基、1−メトキシ−2−エトキシフェニル基、1−メトキシ−3−エトキシフェニル基、1−メトキシ−4−エトキシフェニル基、1−エトキシ−2−メトキシフェニル基、2−メトキシ−3−エトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−5−エトキシフェニル基、1−エトキシ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−3−エトキシフェニル基、ジエトキシフェニル基、エトキシエトキシフェニル基、ジ(エトキシエトキシ)フェニル基、エトキシエトキシエトキシフェニル基、ジ(エトキシエトキシエトキシ)フェニル基、3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基、3−メトキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−エトキシ−4(2−メトキシエトキ)シフェニル基、3−エトキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−プロポキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基、3−プロポキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、3−iso−プロポキシ−4−(2−メトキシエトキ)シフェニル基、3−iso−プロポキシ−4−(2−エトキシエトキ)シフェニル基、2−(2−ヒドロキシ)−3−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル基、クロロメトキシフェニル基、クロロエトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基、
【0076】
メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、t−ブチルチオフェニル基、ジ−tert−ブチルチオフェニル基、2−メチル−1−メチルチオフェニル基等のアルキルチオ基置換フェニル基、
【0077】
N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、N,N−ジアミルアミノフェニル基、N,N−ジヘキシルアミノフェニル基、N−メチル−N−エチルアミノフェニル基、N−ブチル−N−エチルアミノフェニル基、N−ヘキシル−N−エチルアミノフェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)−エチルフェニル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルフェニル基等のアルキルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0078】
また、置換ナフチル基としては、
クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、ブロモナフチル基、フロロナフチル基、ペンタフロロナフチル基、ヨウ化ナフチル基等のハロゲン化ナフチル基、
【0079】
エチルナフチル基、ジメチルエチルナフチル基、iso−プロピルナフチル基、t−ブチルナフチル基、t−ブチルメチルナフチル基、オクチルナフチル基、ノニルナフチル基、トリフロロメチルナフチル基のアルキル誘導体置換ナフチル基、
【0080】
メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、ヘキシルオキシナフチル基、シクロヘキシルオキシナフチル基、オキチルオキシナフチル基、2−エチルヘキシルオキシナフチル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシナフチル基、メチルエトキシナフチル基、ジメトキシナフチル基、クロロメトキシナフチル基、エトキシエトキシナフチル基、エトキシエトキシエトキシナフチル基等のアルコキシ基置換ナフチル基、
【0081】
メチルチオナフチル基、エチルチオナフチル基、t−ブチルチオナフチル基、メチルエチルチオナフチル基、ブチルメチルチオナフチル基等のアルキルチオ基置換ナフチル基、
【0082】
N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基、N,N−ジアミルアミノナフチル基、N,N−ジヘキシルアミノナフチル基、N−メチル−N−エチルアミノナフチル基、N−ブチル−N−エチルアミノナフチル基、N−ヘキシル−N−エチルアミノナフチル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)−エチルナフチル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルナフチル基等のアルキルアミノナフチル基が挙げられる。
【0083】
置換又は未置換のアリール基としては、これらの他、置換又は未置換のp−ニトロフェニル基、置換又は未置換のピリジル基、置換又は未置換のピロジリル基、置換又は未置換のピペリジル基、置換又は未置換のモルホリン基、置換又は未置換のテトラヒドロピリジル基、置換又は未置換のチオフェニル基、置換又は未置換のイミダゾリル基、置換又は未置換のフリル基等も挙げられる。
【0084】
一般式(3)で表されるチオール金属錯体化合物のR24〜R27で表される置換基で特に好ましいものは、互いに同一もしくは相異なるアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、t−ブチルメチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N,N−ジブチルアミノフェニル基、エチルナフチル基、ジメチルエチルナフチル基、iso−プロピルナフチル基、t−ブチルナフチル基、t−ブチルメチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、プロポキシナフチル基、メチルチオナフチル基、エチルチオナフチル基、t−ブチルチオナフチル基、メチルエチルチオナフチル基、ブチルメチルチオナフチル基、N,N−ジメチルアミノナフチル基、N,N−ジエチルアミノナフチル基、N,N−ジプロピルアミノナフチル基、N,N−ジブチルアミノナフチル基等の炭素数3〜20の置換又は未置換のアルキル基、フェニル基或いはナフチル基であり、また、特に好ましいMはニッケルである。
【0085】
また本発明では、ジイモニウム系色素の替わりに、あるいはジイモニウム色素と併用する形態で、フタロシアニン系色素を使用することにより、シアニン系色素の耐光性を高めることもできる。
【0086】
フタロシアニン系色素は、フタロシアニン、フタロシアニン錯体、或いはフタロシアニン及びフタロシアニン錯体であってフタロシアニン骨格のベンゼン環上にOR、SR、NHR、又はNRR′のうちの1種以上有するものである。ここでR、R′は、同一もしくは異なって、置換基を有してもよいフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。なお置換基のうちの1個がNHRで置換されたフタロシアニンであることが好ましい。
フタロシアニン系色素は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
【0087】
【化16】

【0088】
(式中、αは、同一もしくは異なって、SR28、OR29、NHR30又はハロゲン原子を表し、NHR30を必須とする。R28、R29及びR30は、同一もしくは異なって、置換基を有してもよいフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。βは、同一もしくは異なって、SR28、OR29又はハロゲン原子を表し、SR28、OR29を必須とする。Mは無金属、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。)
【0089】
上記一般式(4)において、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
【0090】
上記R28、R29及びR30におけるフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基は、置換基を1個又は2個以上有してもよい。このような置換基としては、例えばハロゲン原子、アシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基カルボニル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
【0091】
上記一般式(4)中のMにおいて、無金属とは、金属以外の原子、例えば2個の水素原子であることを意味する。具体的には、フタロシアニン構造の中央部分に存在する、置換基を有してもよい、相対する2つの窒素原子に水素原子が結合している構造となる。金属としては、例えば鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、例えばチタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、例えば塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫、塩化ケイ素等が挙げられる。Mとしては、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物であることが好ましく、具体的には、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄、バナジル、ジクロロ錫等が挙げられる。より好ましくは、亜鉛、銅、コバルト、バナジル、ジクロロ錫である。
【0092】
上記一般式(4)で表されるフタロシアニン系色素の好ましい形態としては、8個のβのうち4〜8個が、同一もしくは異なって、SR28又はOR29である。より好ましくは、8個のβが全て、同一もしくは異なって、SR28又はOR29である。このようなフタロシアニン系化合物としては、例えば、ZnPc(PhS)8(PhNH)35、ZnPc(PhS)8(PhNH)44、ZnPc(PhS)8(PhNH)53、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)44、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)53、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)62、CuPc(PhS)8(PhNH)7F、CuPc(PhS)8(PhNH)62、CuPc(PhS)8(PhNH)53、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)53、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)62、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)8、VOPc(PhS)8(PhCH2NH)8、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4、ZnPc(2,4−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略号で表されるフタロシアニン化合物等が挙げられる。
【0093】
またこれらの化合物の中でも8個のαのうち4個が、同一もしくは異なってNHR30又はハロゲン原子を表す化合物で、例えば、ZnPc(PhS)8(PhNH)35、ZnPc(PhS)8(PhNH)44、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)44、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4、ZnPc(2,4−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略称で表されるフタロシアニン化合物等が好ましい。
【0094】
なお、上記化合物の略号において、Pcはフタロシアニン核を表し、Pcの後には、β位に置換する8個の置換基を表し、その後にα位に置換する8個の置換基を表す。また、上記Phはフェニル基を表す。更に具体的には、上記略号は、中心金属:Pc:β位の8個の置換基:α位の8個の置換基を表す。例えば、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fでは、中心金属がVO:フタロシアニン核:β位に2,5−Cl2PhOが8個置換:α位に2,6−(CH32PhOが4個とPh(CH3)CHNHが3個とFが1個置換したフタロシアニン系化合物を表す。
【0095】
上記一般式(4)で表されるフタロシアニン系色素の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適当に利用することができる。例えば、フタロニトリル化合物を、金属塩、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属から選ばれる一種と環化反応させた後、アミノ化合物と反応させることによって製造される。
【0096】
上記一般式(4)で表されるフタロシアニン系色素の市販品としては、例えば、「イーエックスカラーIR10A」、「イーエックスカラーIR12」、「イーエックスカラーIR14」、「イーエックスカラーHA−1」、「イーエックスカラーHA−14」(いずれも日本触媒製)等があげられる。
【0097】
(シリカ微粒子)
本発明のシリカ微粒子は、平均粒子径(一次粒子径)が5〜50nmであるシリカ微粒子である。平均粒子径が5nm未満であると、十分な滑り性が得られず、50nmを超えると、ヘーズが悪くなる。好ましい平均粒子径は、10〜40nmである。
【0098】
本発明におけるシリカ微粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、もしくは不定形状であり、好ましくは球状である。シリカ微粒子の比表面積は0.1〜3000m2/gであり、好ましくは10〜1500m2/gである。
これらのシリカ微粒子の使用形態は乾燥状態の粉末、もしくは水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができ、コロイダルシリカとして知られている微粒子状のシリカ微粒子の分散液を直接用いることができる。特に粒子感を改善するためにはコロイダルシリカの利用が好ましい。コロイダルシリカの分散溶媒が水の場合、その水素イオン濃度はpH値として2〜10の範囲であり、好ましくはpH3〜7の酸性コロイダルシリカが用いられる。また、コロイダルシリカの分散溶媒が有機溶剤の場合、有機溶剤としてメタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、ブタノ−ル、エチレングリコ−ルモノプロピルエ−テル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等の溶剤もしくはこれらと相溶する有機溶剤もしくは水との混合物として用いても良い。好ましい分散溶剤はメタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、メチルエチルケトン、キシレンである。シリカ微粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとしては日産化学工業(株)製のメタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−STおよびST−UP、ST−20L、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等をあげることができる。また粉体状シリカとしては、日本アエロジル(株)製のアエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600及びアエロジルOX50、旭硝子(株)製のシルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製のE220A、E220 富士シリシア(株)製のサイリシア470、日本板硝子(株)製のSGフレ−ク等を挙げることができる。また、ヒュームドシリカとして、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972等を挙げることができる。
【0099】
本発明の(B)層において、アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、前記波長480〜510nmに極大吸収を有する少なくとも1種類の色素の配合割合を0.05〜2.0質量部、かつ前記シリカ微粒子の配合割合を0.1〜2.0質量部に設定する必要がある。色素の配合割合が0.05質量部未満では、480〜510nmの波長域の光の吸収効果が発現されず、逆に2.0質量部を超えると可視光の透過率に悪影響を及ぼす。また、シリカ微粒子の配合割合が0.1質量部未満であると、滑り性が悪く、フィルムの巻き取り性が悪化する。逆に2.0質量部を超えると滑りすぎて巻きずれを起こし、巻き取り性が悪化する。さらに好ましい形態としては、アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、色素を0.1〜1.5質量部、かつシリカ微粒子を0.2〜1.5質量部使用する形態である。
【0100】
本発明のフィルムは、例えば次のようにして製造することができる。アクリル系樹脂バインダーを溶解した溶液に、色素を溶解した溶液およびシリカ微粒子の分散液を加え、適当な溶剤で粘度を調整し、得られた塗布液を透明基材フィルム上に、公知のコーティング方法によって塗布し、加熱乾燥して本発明のフィルムが得られる。なお、(B)層の乾燥後の厚さは、例えば0.5μm〜5.0μm、好ましくは1.0μm〜3.0μmである。
【0101】
また本発明のフィルムは、透明基材フィルムの(B)層が設けられた面とは反対の面に、帯電防止層、反射防止層およびハードコート層から選ばれた少なくとも1種のコート層(C)を有する形態も好ましい。当該形態のフィルムは、プラズマディスプレイパネルに好適に使用される。
帯電防止層としては、例えば、水溶性または水分散性導電ポリマーである、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン、アリルアミン系化合物などを含有する水溶液を塗布して形成することができる。
反射防止層としては、高屈折率層および低屈折率層からなる積層材料が挙げられ、高屈折率層は、例えば高屈折率層を形成しうるマトリックス成分に、高屈折率材料である酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、さらにこれらの金属酸化物微粒子にアンチモン、錫等の異種元素をドープした微粒子を高屈折率層形成用マトリックスに分散させ、塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができる。また低屈折率層は、例えば、低屈折率層を形成しうるマトリックス成分に、低屈折率材料であるポリシロキサン、中空シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素樹脂などの微粒子を分散させ、塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができる。
ハードコート層は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等の分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートに、光重合開始剤、必要に応じて各種無機化合物微粒子を添加し、紫外線照射することにより硬化させて形成することができる。
【0102】
また本発明は、前記のフィルムと、粘着剤層(D)とを積層し、粘着シート部材を提供するものである。当該シート部材は、プラズマディスプレイパネルに好適に使用される。
粘着剤層(D)は、光学用途のものであって、例えばアクリル系粘着剤 、ウレタン系粘着剤 、シリコーン系粘着剤等、公知のものの中から適宜選択することができる。この粘着剤層(D)の厚さは、通常5〜40μmの範囲である。
【0103】
本発明の粘着シート部材をプラズマディスプレイパネルに適用する場合は、例えば、プラズマディスプレイパネルの前面ガラス板から視認側にかけて、前面ガラス板、粘着剤層(D)、(B)層、(A)層(透明基材フィルム)、コート層(C)の順番で適用することができる。なお本発明は、上記順に限定されるものではない。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0105】
実施例1
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製A−1540、両面に易接着剤層が形成されている)上に、下記の(B)層形成用塗料を乾燥膜厚1.5μmとなるように塗布し、乾燥し、本発明のフィルムを作製した。
【0106】
((B)層形成用塗料)
・バインダー樹脂(1) 333質量部
(固形分100質量部)
ポリメチルメタクリレート系樹脂
(綜研化学社製、GS1000、固形分30%、重量平均分子量(Mw)111,000で、Mw/Mn=1.68の分子量分布を有する)
分子量分布は、展開溶媒としてクロロホルムを用い、GPC(ポリメチルメタクリレート換算値)により測定した。GPCの測定条件は、カラムの種類:ShodexK806L×2+K800P、試料濃度:0.2%(w/v)、注入量:100μL、流速:1.0ml/min、測定温度:35℃、検出器:示差屈折計で測定した。
・シアニン系色素(1) 50質量部
(固形分0.5質量部)
(林原生物化学研究所社製、NK−9151、最大吸収波長は502nm、固形分1%、MEK希釈)
・コロイダルシリカ分散液(1) 2質量部
(固形分0.6質量部)
(日産化学社製、MEK−ST、メチルエチルケトン分散液コロイダルシリカ、平均粒子径15nm、シリカ濃度30%)
・溶剤 MEK 533質量部
【0107】
得られたフィルムについて、下記の評価を行った。
(1)フィルム巻き取り性(滑り性)
300mの長さの近赤外線カットフィルムをロール状に巻き取り、目視で観察することにより、フィルムの巻き取り性(滑り性)を評価した。
・フィルムの巻き取り性(滑り性)の評価基準
◎:巻きじわ及び、巻きずれが全くない。
○:巻きじわ又は、巻きずれがほとんどない。
△:巻きじわ又は、巻きずれがわずかにある。
×:巻きじわ又は、巻きずれが大きい。
(2)ヘーズ
JIS K 7136にしたがい、ヘーズコンピューター〔日本電色工業(株) NDH2000〕を用いて測定した。
(3)外観(粒子感)
三波長蛍光灯(F10光源)でフィルムの外観(粒子感)を目視で観察し、下記の基準により評価した。
・外観(粒子感)の評価基準
○:粒子感がなく、外観が良好である。
△:粒子感がやや認められ、外観がやや劣る。
×:粒子感が大きく、外観が劣る。
(4)可視光(400〜700nm)平均透過率
JIS A5759に準拠し測定した。
(5)最低光線透過率(480〜510nm)
分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕を用いて、波長480〜510nmの透過スペクトルを測定し、その範囲の中で最も低い透過率を求めた。
(6)耐熱性
得られたフィルムを分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕にてJIS Z8701−1999に準じて、(Y、x、y)を測定した後、恒温層中に80℃で500時間静置した後の(Y、x、y)を上記と同様に測定した。試験前後の(Y、x、y)の変化量を求め、下記の基準により評価した。
・耐熱性の評価基準
◎:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て2%未満である。
○:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て3%未満であるが、少なくとも1個が、2%以上である。
△:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て5%未満であるが、少なくとも1個が、3%以上である。
×:(Y、x、y)の各数値の変化量の少なくとも1個が、5%以上である。
【0108】
結果を表1に示す。
【0109】
実施例2
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を0.67質量部(固形分0.2質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0110】
実施例3
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を6.0質量部(固形分1.8質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0111】
実施例4
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のコロイダルシリカ分散液(2)に変更し、その配合割合を3.0質量部(固形分0.6質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
コロイダルシリカ分散液(2):日産化学社製、スノーテックス20L、水分散液コロイダルシリカ、平均粒子径45nm、シリカ濃度20%。
【0112】
実施例5
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を下記の超微粒子状無水シリカに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
超微粒子状無水シリカ:日本アエロジル社製、アエロジルR972、ヒュームドシリカ、粉体、平均粒子径16nm、シリカ濃度99.8%以上。
【0113】
実施例2〜5の結果を表1に示す。
【0114】
実施例6
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を10質量部(固形分0.1質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0115】
実施例7
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を150質量部(固形分1.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0116】
実施例8
実施例1において、シアニン系色素(1)の替わりに、下記のシアニン系色素(2)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
シアニン系色素(2):ADEKA社製、GPX−210、最大吸収波長は492nm、固形分1%、MEK希釈)
【0117】
実施例9
実施例1において、さらに下記のジイモニウム系色素(1)を200質量部(固形分20質量部)添加したこと以外は、実施例1を繰り返した。
ジイモニウム系色素(1):日本カーリット社製、CIR−RL、固形分10%、溶剤はメチルエチルケトン(MEK)
【0118】
実施例10
実施例1において、さらに下記のジチオール系金属錯体色素を200質量部(固形分20質量部)さらに添加したこと以外は、実施例1を繰り返した。
ジチオール金属錯体系色素(1):林原生物化学研究所社製、NKH−1199、固形分10%、溶剤はMEK
【0119】
実施例11
実施例1において、バインダー樹脂(1)の替わりに、下記バインダー樹脂(2)を用いたこと以外は実施例1を繰り返した。
バインダー樹脂(2):(株)トクシキ製、ポリメチルメタクリレート系樹脂、商品名、AR−8236HA、固形分40%、重量平均分子量(Mw)78,000で、Mw/Mn=2.48の分子量分布を有する)
分子量分布は、展開溶媒としてクロロホルムを用い、GPC(ポリメチルメタクリレート換算値)により測定した。GPCの測定条件は、実施例1と同じ条件で測定した。
【0120】
実施例6〜11の結果を表2に示す。
【0121】
比較例1
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を0.17質量部(固形分0.05質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0122】
比較例2
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を7.7質量部(固形分2.3質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0123】
比較例3
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のコロイダルシリカ分散液(3)に変更し、その配合割合を1.5質量部(固形分0.6質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
コロイダルシリカ分散液(3):日産化学社製、スノーテックスZL、水分散液コロイダルシリカ、平均粒子径85nm、シリカ濃度40%。
【0124】
比較例4
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のシリコーン樹脂微粒子(1)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
シリコーン樹脂微粒子(1):GE東芝シリコーン社製、トスパール130、無機と有機の中間的な構造をもつシリコーン樹脂微粒子、粉体、真球状、白色微粒子、平均粒子径3.0μm。
【0125】
比較例5
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のシリコーン樹脂微粒子(2)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
シリコーン樹脂微粒子(2):GE東芝シリコーン社製、トスパールXC99−A8808、無機と有機の中間的な構造をもつシリコーン樹脂微粒子、粉体、真球状、白色微粒子、平均粒子径0.8μm。
【0126】
比較例1〜5の結果を表3に示す。
【0127】
比較例6
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0128】
比較例7
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を3質量部(固形分0.03質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0129】
比較例8
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を250質量部(固形分2.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0130】
比較例9
実施例1において、バインダー樹脂(1)の替わりに、下記バインダー樹脂(3)を用いたこと以外は実施例1を繰り返した。
バインダー樹脂(3):東洋紡社製、バイロンGK880、非晶性ポリエステル樹脂、Tg=84℃、固形分30%溶液、MEK希釈。
【0131】
比較例6〜9の結果を表4に示す。
【0132】
【表1】

【0133】
【表2】

【0134】
【表3】

【0135】
【表4】

【0136】
表1〜4の結果から、以下の事項が導き出される。
・実施例1は、(B)層におけるアクリル系樹脂バインダー、色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を特定量でもって配合しているので、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、最低光線透過率(480〜510nm)、耐熱性に優れたフィルムを提供することができる。
・実施例2は、コロイダルシリカを0.2質量部添加した例であり、フィルム巻き取り性が△評価であった(やや滑らない)。それ以外の性能は良好であった。
・実施例3は、コロイダルイシリカを1.8質量部添加した例であり、フィルム巻き取り性が△評価であった(やや滑りすぎ)。それ以外の性能は良好であった。
・実施例4は、平均粒子径が45nmのコロイダルシリカを添加した例であり、ヘーズがやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例5は、ヒュームドシリカを添加した例であり、ヘーズがやや悪化し、粒子感が、△評価になった。それ以外の性能は良好であった。
・実施例6は、シアニン系色素を0.1質量部添加した例であり、最低光線透過率(480〜510nm)が、やや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例7は、シアニン系色素を1.5質量部添加した例であり、可視光平均透過率が、やや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例8は、最大吸収波長(極大吸収波長)が492nmであるシアニン系色素を添加した例であり、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例9は、ジイモニウム系色素を併用した例であり、フィルム巻き取り性(滑り性)および耐熱性がとくに良好であった。さらに添加した色素成分の微粒子が、フィルムの密着性を阻害し、滑り性がさらに向上した為である。その他は、実施例1と同様の性能を示した。なお、実施例9におけるフィルムは、耐光性がとくに良化することが認められた。耐光性について下記の評価を行った。得られたフィルムを分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕にてJIS Z8701−1999に準じて、(Y、x、y)を測定した後、キセノンウェザーメーター(スガ試験機製、XL−75F)を用い促進耐光性試験(JIS K7350−2−1995に準じる。光照射のみ、放射照度50W/m2(300〜400nm)、ブラックパネル温度65℃、湿度50%RH、100時間連続光照射)後の(Y、x、y)を上記と同様に測定し、試験前後の(Y、x、y)の変化量を求めたところ、(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て3%未満で良好であることが認められた。
・実施例10は、ジチオール系金属錯体色素を併用した例であり、フィルム巻き取り性(滑り性)および耐熱性がとくに良好であった。さらに添加した色素成分の微粒子が、フィルムの密着性を阻害し、滑り性がさらに向上した為である。その他は、実施例1と同様の性能を示した。なお、実施例10におけるフィルムは、耐光性が実施例9と同等に良化することが認められた。耐光性をについて下記の評価を行った。得られたフィルムを分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕にてJIS Z8701−1999に準じて、(Y、x、y)を測定した後、キセノンウェザーメーター(スガ試験機製、XL−75F)を用い促進耐光性試験(JIS K7350−2−1995に準じる。光照射のみ、放射照度50W/m2(300〜400nm)、ブラックパネル温度65℃、湿度50%RH、100時間連続光照射)後の(Y、x、y)を上記と同様に測定し、試験前後の(Y、x、y)の変化量を求めたところ、(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て3%未満で良好であることが認められた。
・実施例11は、バインダー樹脂として、分子量分布がややブロードであるものを使用した例であり、耐熱性が△評価になった。それ以外の性能は良好であった。
【0137】
・比較例1は、コロイダルシリカを0.05質量部添加した例であり、本発明の範囲外のため、フィルム巻き取り性は、×評価(滑らない)であった。滑りが悪いと力が逃げないため、巻き姿が悪くなるだけでなく、巻き芯のテープ跡等が出て、不良の要因になる。
・比較例2は、コロイダルシリカを2.3質量部添加した例であり、本発明の範囲外のため、フィルム巻き取り性は、×評価(滑りすぎ)であった。滑りすぎるとフィルムを巻いたとき巻きずれを起こし、ひどい場合には、巻き姿がタケノコ状になり、製品として使用不可となる。
・比較例3は、コロイダルシリカ(平均粒子径85nm)を添加した例であり、本発明の範囲外のためヘーズが悪化した。また粒子感も△評価であった。
・比較例4は、シリコーン樹脂微粒子(平均粒子径3.0μm)を添加した例であり、本発明の範囲外のため、ヘーズが悪化した。また粒子感も×評価になった。
・比較例5は、シリコーン樹脂微粒子(平均粒子径0.8μm)を添加した例であり、本発明の範囲外のため、ヘーズが悪化した。また粒子感も×評価になった。
・比較例6は、シリカ微粒子を添加しなかった例であり、本発明の範囲外であるため、フィルム巻き取り性(滑り性)が×評価(滑らない)になった。
・比較例7は、シアニン系色素の添加量が0.03質量部であり、本発明の範囲外であるため、最低光線透過率(480〜510nm)が悪化した。
・比較例8は、シアニン系色素の添加量が2.5質量部であり、本発明の範囲外であるため、可視光平均透過率が悪化した。
・比較例9は、バインダー樹脂に非晶性ポリエステル樹脂を使用した例であり、本発明の範囲外であるため、耐熱性が×評価になった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明のフィルムおよび粘着シート部材は、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、最低光線透過率(480〜510nm)、耐熱性に優れているので、とくにプラズマディスプレイパネルに好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)層上に、下記(B)層を有することを特徴とするフィルム。
(A)層:透明基材フィルム
(B)層:アクリル系樹脂バインダー、波長480〜510nmに極大吸収を有する少なくとも1種類の色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を含有するとともに、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対する前記色素の配合割合が0.05〜2.0質量部であり、かつ前記シリカ微粒子の配合割合が0.1〜2.0質量部である。
【請求項2】
前記シリカ微粒子が、コロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記色素が、シアニン系色素から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記アクリル系樹脂が、ポリメチルメタクリレート系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記(A)層の透明基材フィルムが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記(B)層が、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、ジイモニウム系色素2〜40質量部をさらに含有してなることを特徴とする請求項3に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ジイモニウム系色素が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項6に記載のフィルム。
【化1】

(一般式(2)中、R1〜R8はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは未置換の、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、又はフェニルアルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良い。また、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すか、それらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基を表す。)
【請求項8】
前記(B)層が、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、ジチオール系金属錯体色素2〜40質量部をさらに含有してなることを特徴とする請求項3に記載のフィルム。
【請求項9】
前記(A)層の前記(B)層が設けられた面とは反対の面に、帯電防止層、反射防止層およびハードコート層から選ばれた少なくとも1種のコート層(C)を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のフィルムと、粘着剤層(D)とを少なくとも有することを特徴とする粘着シート部材。
【請求項11】
プラズマディスプレイパネルに使用されることを特徴とする請求項10に記載の粘着シート部材。

【公開番号】特開2008−284740(P2008−284740A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130394(P2007−130394)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000250384)リケンテクノス株式会社 (236)
【Fターム(参考)】