説明

フェムトセル基地局装置、無線電力制御方法、およびプログラム

【課題】フェムトセル基地局の省電力化を図る。
【解決手段】フェムトセル基地局として、放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナと、アンテナが指向性を持たせて分け得る個々の領域を個別セルとして、該個々の個別セル毎に送信無線電力を制御するようにしてフェムトセルの形状を変化させ得る個別セル制御手段と、自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出し、個別セル制御手段に該接続を通知すると共に、携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として収集記録する携帯端末監視手段と、携帯端末監視手段によって収集記録された通信履歴を個別データとして記録管理する記憶手段とを設け、携帯端末の接続検出を受けて、記録されている個別データを参照し、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、アンテナから放射される無線電波の出力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信システムに関し、詳しくは、移動体通信システムの一基地局として用いられるフェムトセル基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の移動体通信システムにおいて、半径数百m〜数km程度の領域をカバーする通常の基地局(マクロセル基地局)と共に、通常の基地局のセルサイズよりも狭い一般に半径数m〜数十m程度の領域をカバーする小型のフェムトセル(Femto-Cell)基地局を採用できる。
【0003】
フェムトセル基地局は、ビル内や住宅内、地下街等のマクロセルの電波が届き難い場所に設置されている。また、マクロセルの電波が届く場所であっても通信品質や通信速度の向上などの目的で設置されることもある。
フェムトセル基地局は、一般に、通常の基地局(マクロセル基地局)に比して、収容可能な携帯端末数が少なく、最大送信電力も小さい。また、必要に応じて収容する携帯端末に対して登録を要するように作りこめる。それらの特徴の元、フェムトセル基地局は、複雑に混み入った環境であっても容易に設置することができ、局所での安定的な電波環境を移動局に提供することができる。
【0004】
フェムトセル基地局に関連する技術は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1には、マクロセル内にフェムトセルが構築され、フェムトセルがマクロセルやマイクロセルを上位層セルとして異なる運用を課されると共に、その運用上で無線送信電力の低減が省電力および他局への与干渉の抑制に繋がることが記載されている。
フェムトセル基地局で用いられるアンテナは、特許文献1でも示されているように、通常、指向性がなく円形状である。
【0005】
ここで、図9を用いて、一般的なフェムトセル基地局のフェムトセルを説明する。フェムトセル基地局100からは、無指向性アンテナ101を介して、全方向に同一の無線電力の無線電波が住宅120内をフェムトセル110としてカバーするように出力している。
フェムトセル110は、住宅120内で携帯端末が通信する領域を網羅的にカバーするように、電波環境を考慮して配置されたフェムトセル基地局100によってアンテナ101から放出される電波によって形成され、略円形状と成っている。
住宅120は、フェムトセル基地局100の形成したフェムトセル110によって、Room1,Room2,Room3の3つの部屋と廊下とがほぼ通信可能エリアとなる。その一方、フェムトセル基地局100の形成したフェムトセル110は、無指向性のアンテナ101を用いているため、屋外の領域までも含んでカバーすることになっている。
なお、図9の模式図では、住宅120内に、Room1に携帯端末Aが存在し、Room2に携帯端末Bが存在し、屋外に携帯端末Cが存在している。ここで、携帯端末Aおよび携帯端末Bは、フェムトセル基地局100を介して通信(収容:接続)することを許可され、そのことがフェムトセル基地局100に登録されている移動局である。他方、携帯端末Cは、フェムトセル基地局100に許可が登録されておらず、フェムトセル基地局100を利用できない移動局である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−159355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9に例示したように、略円形のフェムトセルを形成するフェムトセル基地局は、カバーしたくない屋外の領域までも含んでカバーしてしまう問題を抱えている。また、特定の携帯端末を所持したユーザが移動することがすくない領域、(例.屋内のRoom3、廊下)もユーザが携帯端末をよく使用する領域と同様にカバーしている。
結果的に、フェムトセル基地局は、他局への与干渉や必要以上の無線電力での通信を行なっている。
【0008】
特許文献1では、複数のフェムトセル基地局を連係させて消費電力を節約するための対策が取られている。特許文献1の移動体通信システムでは、上位層セル(マクロセルやマイクロセル)内に階層的に設定された複数のフェムトセルが数珠繋ぎに隣接された構成からなり、各フェムトセル基地局からマクロセル基地局へ定期的に状態情報を通知しておき、隣接するフェムトセルから携帯端末の流入が無いとの判断するため条件に 該隣接するフェムトセルの在圏状況を用いて、各々のフェムトセル基地局が自フェムトセルの形成および停止を制御する。隣接するフェムトセルに携帯端末が在圏していない間は、フェムトセル基地局によって電波の送信に用いられていた電力を低減できている。
【0009】
しかしながら、図9に示すように、1台のフェムトセル基地局100により住宅120内のほぼ全域を1つのフェムトセル110として覆わせる場合には、前記特許文献1のような技術を適用することはできない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、フェムトセルの形成と無線電力の制御をユーザ毎に適する形態で実施して、他局への与干渉の低減および省電力化を図ったフェムトセル基地局を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、フェムトセルを複数の領域に分割管理して、個々の領域に対する無線電力の制御をユーザ毎に適する形態で実施するフェムトセル基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るフェムトセル基地局装置は、放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナと、前記アンテナが指向性を持たせて分け得る個々の領域を個別セルとして、該個々の個別セル毎に送信無線電力を制御するようにしてフェムトセルの形状を変化させ得る個別セル制御手段と、自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出し、前記個別セル制御手段に該接続を通知すると共に、前記携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として収集記録する携帯端末監視手段と、前記携帯端末監視手段によって収集記録された通信履歴を個別データとして記録管理する記憶手段とを備え、前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、前記記憶手段に記録されている個別データを参照し、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フェムトセルの形成と無線電力の制御をユーザ毎に適する形態で実施することによって、他局への与干渉の低減および省電力化を図ったフェムトセル基地局を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】指向性を作り出せるアンテナ11を用いるフェムトセル基地局10とフェムトセル基地局10の作り出す個別セル群とを説明する模式図である。
【図2】フェムトセル基地局10の構成を示すブロック図である。
【図3】指向性を作り出せるアンテナ11と個別セル群とを説明する模式図である。
【図4】実施例での配置を示す説明図である。
【図5】フェムトセル基地局10の通信履歴の収集処理を示す説明図である。
【図6】フェムトセル基地局10のフェムトセルの展開処理を示す説明図である。
【図7】フェムトセル基地局10の省電力化処理を示す説明図である。
【図8】フェムトセル基地局10の省電力化を説明する模式図である。
【図9】無指向性アンテナ101を用いるフェムトセル基地局100によるフェムトセル110を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明と関連が薄い構成や動作については記載を簡略化又は省略する。
【0016】
本実施形態にかかるフェムトセル基地局は、フェムトセルを形成するにあたり、複数方向に指向性を伸ばせるアンテナを用い、その複数の方向の各領域を個々に個別セルに対応させて送信電力制御できる構成である。
【0017】
フェムトセル基地局は、許可されている各々の携帯端末に対して通信環境を提供するにあたり、複数ある個別セルを制御して、合成されて形成された接続している携帯端末に適した指向性パターンを持たせたフェムトセルを提供する。
【0018】
このとき、提供されるフェムトセルの形状は、携帯端末とフェムトセル基地局とが過去に通信して得た情報、又はユーザに登録された情報、又はその両方を用いて適正化する。また、上位装置や、携帯端末に収集されている情報を用いてもよい。
【0019】
すなわち、アンテナから放射される電力と共に、セル形状に変化を与えるアンテナの指向性も適応的に制御が行われたこととなる。
【0020】
また、フェムトセル基地局は、アンテナの指向性を変化させるにあたり、接続している携帯端末が自装置を介した通信を過去に行なったことがある範囲に対して良好な通信環境を与え得るようにアンテナからの送信電力を適応的に変更する。このとき、屋内で用いる無線通信システムであれば、そのことを考慮して所定の方向毎に対する最大送信電力値を屋内形状や屋内の伝搬環境に合わせて調整することとすれば、屋外への所定以上の影響を防止できる。即ち、他局への与干渉を低減できる。また、フェムトセル基地局に対する不必要な接続要求などを受け付けなくなり、不正アクセスなども防止できる。
【0021】
また、フェムトセル基地局は、自局への接続要求を検知したときに、その携帯端末に適したフェムトセル形状と適した通信電力によって通信環境を提供し、時間経過と共に個別セルへの制御を更に変化させて 個々の領域への通信環境を調整して更なる省電力化を図る。このとき、過去に収集して保持している通信履歴(トラフィツク履歴:通信時間、通信データ量など)を用いて、不要である可能性が高い個別セルから順に停波に向けて無線電波の出力を調整する。
【0022】
また、本フェムトセル基地局では、過去の通信履歴に基づいて各個別セル向けの電力を調整できるので、携帯端末との間で通信の都度行なう適応的送信電力制御を省略させることもできる。なお、適応的送信電力制御を行ってもよい。
【0023】
次に、本実施形態に係る屋内無線通信システムで用いるフェムトセル基地局の一例を図1ないし図8を用いて説明する。
【0024】
本実施の形態では、屋内で用いるフェムトセル基地局10を示して説明する。
【0025】
図1では、フェムトセル基地局10のアンテナ11が形成するフェムトセルを示し、また、フェムトセルが複数の個別セル21〜27によって成っていることを示している。
【0026】
図中で示すように、接続を許可されている携帯端末30は、7つの個別セル(個別セル21〜27)によって作られる領域の何れであってもフェムトセル基地局10と通信可能(フェムトセル内に在るため)である。他方、フェムトセル基地局10は、Room3にフェムトセルの領域を形成しておらず、携帯端末30がRoom3に移動しても通信できないことを示している。ただし、携帯端末30は、Room3がマクロセル基地局の圏内であれば、マクロセル基地局に接続することとできる。
【0027】
各個別セル向けの出力は、アンテナ11から出力される無線電力量を調整されることによって、アンテナ11からの方向毎に設置環境に合わせて調整されている。すなわち、アンテナ11からの出力が方向毎に調整されて、例示のように住宅内の屋内通信用として利用する場合には、屋外にフェムトセルを形成しないように、又は屋外に強い電磁波が漏れにくいように、出力の調整がなされる。
【0028】
これらのアンテナ11からの出力調整は、携帯端末毎に行われ、複数台の携帯端末を同時に収容しているときには、適宜範囲を重ね合わせて運用すればよい。また、屋内形状などに合わせて適した出力電力をフェムトセルの最大範囲として情報として保持するようにしてもよい。
【0029】
図2は、フェムトセル基地局10の構成を示すブロック図である。
フェムトセル基地局10は、アンテナ11と個別セル制御部12と携帯端末監視部13と記憶部14とを含み成る。
【0030】
アンテナ11は、フェムトセル基地局10から放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせることができる。方向毎に分けられている各指向性は、図3に例示するように送出する方向や送信電力などによって調節され得る。図3の例示では、(A)が略円形状のフェムトセルエリアを展開できるのに対し、(B)では、個別セルの番号が3,4,6の方向に凹んだフェムトセルエリアを展開できる組み合わせを示している。なお、説明では8分割としているものの分割については任意であり所望の数とすればよく、3分割や16分割でもよい。また、説明上 平面状に分割示しているが、上下方向に角度を持たせ得るようにしてもよい。このように分割させることとすれば、屋内で複数階をカバーするフェムトセルを形成時などに役立つ形状のフェムトセルを得られる。例えば、水平方向に8分割して上下方向に0度、30度、60度に3分割して計24方向を個別または組み合わせてオーバラップさせて、送信電力制御を行えるようにしてもよい。
【0031】
個別セル制御部12は、アンテナ11が指向性を持たせて分け得る個々の方向を個別セル(図3では8つの個別セル)として制御する。個別セル制御部12は、個々の個別セル毎に送信無線電力を制御することで、形成されるフェムトセルの形状を調整でき、所望のフェムトセルを展開する。
【0032】
個別セル制御部12は、携帯端末監視部13からの接続検出を受けて、記憶部14に記録されている 通信させる該当携帯端末の個別データを参照して、通信履歴に基づき接続した携帯端末30に適したフェムトセル形状を定める。個別セル制御部12は、定めた形状となるように、アンテナ11への出力を制御する。
このとき、個別セル制御部12は、個別の携帯端末毎に、記憶部14に記録されている通信履歴を参照して、個別セル単位の利用頻度を算出し、現時点(現在時刻や接続してからの時間)での接続した携帯端末に適する確率が高いフェムトセル形状を定めるようにしてもよい。また、個別セル毎に、利用頻度に依存した時間設定が可能とする計時測定を行なうようにしてもよい。なお、個別セル単位に換えて複数の個別セルによって形成される領域や、部屋などを単位として調整してもよい。
換言すれば、個別セル制御部12は、個別セル又はそれに変わる範囲を最小単位として送信電力を制御することによって、指向性の調整を所望のフェムトセル形状に合わせて行なう。
【0033】
携帯端末監視部13は、自局を介する通信を許可された携帯端末30の接続を検出できる。検出した場合、個別セル制御部12にその接続の有無を通知する。また、携帯端末監視部13は、接続中の携帯端末30の自装置を介する通信状況を通信履歴として収集記録して、記憶部14に順次登録する。この記録される通信履歴は、携帯端末毎に個別データとして記録管理される。
【0034】
記憶部14には、各種データと共に、自局を介する通信を許可されている携帯端末毎の個別データが記録保存される。
個別データには、その許可されている携帯端末を示す情報と共に、通信に適したフェムトセル形状(=適した個別セル群)と通信履歴とが記録されている。また、必要に応じて、適した全体の送信電力の強さ、又は適した個別セル毎の送信電力の強さ、又は個別セル毎に変わる範囲毎の送信電力の強さが記録されてもよい。これらの情報は、携帯端末監視部13が記録する。
通信履歴には、その携帯端末が過去に自フェムトセル基地局10を介して行った電話やデータ通信に係る通信時間(:通信時間帯,開始終了時間)やその時のトラフック量を個別セルに対応させて記憶させてもよい。また、自フェムトセル基地局10と該当携帯端末とが行う通信に関する情報を合わせて記録してもよい。また、個別セル毎や個別セル毎に変わる範囲毎の該当携帯端末に対する適する送信電力などを記録してもよい。
【0035】
このような構成によってフェムトセル基地局10は、フェムトセルの形成と無線送信電力の制御をユーザ毎に適する形態で実施する。
【0036】
次に、実施例を用いて、フェムトセル基地局10の動作について説明する。
【0037】
図4を用いて、所定の携帯端末30が住宅内でRoom1の個別セル27に存在して通信が行われると共に時間経過と共にフェムトセルの適正化(省電力化)を行なう場合の動作を説明する。
【0038】
まず、使用許可を有する携帯端末30がマクロセルから自局への接続(キャンプオン)を行なう。このとき、フェムトセル基地局10は、携帯端末監視部13で接続を検出し、接続検出として個別セル制御部12に通知する。
【0039】
個別セル制御部12は、携帯端末30の接続検出を受けて、記憶部15から携帯端末30に関する個別データを読み出し、個別データに含まれる最適個別セル構成(適するフェムトセルの初期形状)を取得し、その形状となるように各個別セルへの無線送信電力を制御して無線電波を調整し、アンテナ11からフェムトセルを形成し、データ通信を開始する。最適個別セル構成は、住宅内で過去に立ち入ったことがある領域(:過去に通信や通話したことのある領域)に合わせて生成してもよいし、使用者から登録を受けてもよし、それらを組み合わせてもよい。
なお、無線電波への通信データの重畳や符号化/復号化などに関しては説明を省略する。
【0040】
携帯端末30は、携帯端末30に適したフェムトセル形状(図4の例では4つの個別セルによって作られた形状)によって宅内でのカバーエリアが最適化される。換言すれば、フェムトセル基地局10が、携帯端末30に対して不要なエリア(Room3や、部屋や廊下の端の方)へ電波を必要以上に飛ばさないこととでき、省電力化や干渉に対する予防が行える。
【0041】
携帯端末30がフェムトセル基地局10を介して通信を行っている間、携帯端末監視部13は、図5の処理Aと示すように通話時間や送受信パケット等のデータを端末毎より精度を求めるのであれば個別セル毎に集計して、携帯端末30に対する個別データとして記憶部14に記録する。この集計を繰り返すことで、個別セル毎の利用頻度などを数値化して差別化可能にする。
例えば携帯電話30の利用頻度は、廊下が移動することが目的であるため利用頻度は小さく、また、自室であるRoom2であまり使用しないとすると、使用する範囲内で次の関係となる。
廊下 < Room2 < Room1
この領域毎の関係を、個別セルとする領域と関連付けることによって、個別セルとする領域の何処に携帯端末30が居るか確率が算定でき、その中から低い確率の個別セルの送信電力制御を省電力化する。
【0042】
ここで、図4ないし図8を用いて、上記で取得した携帯端末毎の個別データを元に、無線電力制御をより効率的に処理する一例について説明する。
【0043】
個別データが未登録であったり、収集が所定値未満である場合には、一般的な通常の無線電力制御を行いながら、周期的に送受信データの通信品質等を測定し個別データの収集処理(図5の処理Aのルート)を行う。なお、個別データは、携帯端末30の使用者が登録したものと組み合わせて使用してもよい。
その後、個別データを収集できた後であれば、フェムトセル基地局10は、個別データに基づき適した形状のフェムトセルを形成する(図6の処理Bのルート、図4の4つの個別セルによるフェムトセルの展開)。
【0044】
その後、フェムトセル基地局10は、利用頻度の低い個別セルに時間制限を加えてフェムトセルの範囲外とする無線送信制御を行うことで消費電力の更なる効率化を図る。
【0045】
消費電力の効率化処理は、図7の処理Cに示すルートで時間経過と共に行なわれる。なお、動作の説明は図8を合わせて用いる。
【0046】
省電力化の処理を実行するにあたり、携帯端末監視部13は、個別データとして記憶部14に記録する情報に、個別セル単位などの利用頻度とその通信量(データトラフィック量)を用いて、利用頻度を示すタイマー値を算出記録する。なお、例示のタイマー値として以下のように記録されていることとする。
T1 < T4 < T2 < T3
個々のタイマー値は、それぞれが示す領域に割当てられ、省電力の開始タイミングの決定に使用される。図8に示した例では、適するとしたフェムトセルの形成に使用している4との個別セルの領域にそれぞれ割当てられている。
【0047】
次に、個別セル制御部12は、フェムトセルの展開と共にそれぞれのタイマーの計時を開始し、使用している個別セルそれぞれに対してカウントする。すなわち、例示のタイマー値であれば、時間経過と共に、個別セル1⇒個別セル4⇒個別セル2⇒個別セル3の順でタイマーの満了を迎える。
【0048】
個別セル制御部12は、カウントにより満了を迎えた個別セルに対して、省電力化制御を実施する。
【0049】
省電力化制御は、順次 フェムトセルの形成のための送信電力を低減してゆき、最終的には対象となる個別セルの領域をフェムトセルから削除することを試みる。図8の例では、携帯端末30が個別セル27によって作成される領域に存在しているので、時間T1が経過後、個別セル25(廊下)の省電力化が開始され、時間T2の経過後に個別セル22(Room2)の省電力化が開始され、時間T3の経過後に個別セル26(Room1の左側)の省電力化が開始されることとなる。
【0050】
なお、携帯端末30が廊下に居るなど、携帯端末30との通信している領域が省電力化を試みた領域であったならば、携帯端末30との通信環境を示す情報のやり取りによってそのことを識別できるので、その個別セルに対する省電力化制御を止めて適応的電力調整などによって元に戻すように制御する。この場合、個別セル制御部12は、この個別セルの領域に対する省電力化制御に変えて、他の個別セルの領域への省電力化制御を行えばよい。
【0051】
他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御は、通信履歴に基づいて携帯端末30が移動する確率が低い個別セルの領域から順に出力削減を行うこととしてもよい。また、省電力化を止めた個別セルの領域から物理的に遠い個別セルの領域から順に出力削減を行うこととしてもよい。また、省電力化を止めた個別セルの領域に近接する個別セルの領域を残して他の個別セルの領域への出力削減を順次または一括して行うようにしてもよい。なお、これらの方法を組み合わせて出力削減を行うようにするとより短時間により省電力化を図ったフェムトセルを形成できるようになる。
【0052】
個別セルタイマの数値および、時間制限をかける個別セルの選択は、登録するユーザ数に応じて任意に重み付けしてもよいし、自動的に生成することもできる。
【0053】
なお、携帯端末30が個別セル間を移動することを検出する仕組みを設け、セル間移動を検出して送信電力の再適性化を行なうようにしてもよい。
【0054】
これは、例えば、フェムトセル基地局10と携帯端末30とを、CDMA方式セルラシステムで隣接するマクロセル基地局と端末が接続するように2重接続させて、展開するフェムトセルの個別セルを識別可能とすればよい。
【0055】
以上のような制御を行うことにより、既存の無指向性アンテナを用いたフェムトセルにない適性化を図れる。また、既存の無指向性アンテナを用いたフェムトセル基地局では、常時定期的に最適な無線電力量の算出処理を行なって出力を設定しているが、本願では、適した送信出力を個別セル毎のように個別データに設定しておけば、上記算出処理にかかる負荷も低減できる。
【0056】
このようにフェムトセル基地局に、放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナと、そのアンテナを用いてフェムトセル形状と通信電力の省電力化を携帯端末毎に図る手段を設けることによって、既存の略円形状のフェムトセルを展開するフェムトセル基地局に対比して省電力化が図れる。また、必要以上に所定方向に電波を送出しないフェムトセルを形成できるフェムトセル基地局を得られる。
【0057】
加えて、時間経過と共に順次省電力化を進められるフェムトセル基地局を得られる。
【0058】
尚、フェムトセル基地局の各部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAMに本発明に係る動作を行なうフェムトセル基地局用プログラムが展開され、プログラムに基づいて制御部(CPU)等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現する。また、前記プログラムは、記憶媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。
【0059】
尚、ブロードキャストデータや、接続に用いる報知情報などについては、使用許可を与える携帯端末にサービスを提供する範囲全てとして送信するようにすることが望ましい。換言すれば、フェムトセルサービスエリアとしない範囲に対して上記報知情報などを送信する場合であっても、セルに指向性を持たせることで、省電力化や他局への妨害対策となる。
【0060】
以上説明したように本発明によれば、フェムトセルの形成と無線電力の制御をユーザ毎に適する形態で実施することによって、他局への与干渉の低減および省電力化を図ったフェムトセル基地局を提供できる。
【0061】
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
【0062】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナと、
前記アンテナが指向性を持たせて分け得る個々の領域を個別セルとして、該個々の個別セル毎に送信無線電力を制御するようにしてフェムトセルの形状を変化させ得る個別セル制御手段と、
自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出し、前記個別セル制御手段に該接続を通知すると共に、前記携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として収集記録する携帯端末監視手段と、
前記携帯端末監視手段によって収集記録された通信履歴を個別データとして記録管理する記憶手段と
を備え、
前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、前記記憶手段に記録されている個別データを参照し、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とするフェムトセル基地局装置。
【0063】
[付記2]
前記携帯端末監視手段は、携帯端末毎の通信履歴として、個々の個別セル毎に通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とを少なくとも含むように収集記録し、
前記個別セル制御手段は、個別データに通信履歴として含まれている個別セル毎の通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とに基づき、接続した携帯端末に適する確率が高いフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0064】
[付記3]
前記個別セル制御手段は、形成したフェムトセルを、前記通信履歴に基づき、接続した携帯端末が存在する確率が低い個別セルの領域から順に、前記アンテナから放射される無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする上記付記のフェムトセル基地局装置。
【0065】
[付記4]
前記個別セル制御手段は、所定の個別セルの領域に対して出力を減じたことによって、接続している前記携帯端末との通信環境が悪化したことを検出した場合に、該所定の個別セルの領域に対して行った出力削減を止める
ことを特徴とする上記付記のフェムトセル基地局装置。
【0066】
[付記5]
前記個別セル制御手段は、前記所定の個別セルの領域に対する出力削減を停止と共に、他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする上記付記のフェムトセル基地局装置。
【0067】
[付記6]
前記個別セル制御手段は、前記他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御に、前記通信履歴に基づいて携帯端末が移動する確率が低い個別セルの領域から順に出力削減を行うことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0068】
[付記7]
前記個別セル制御手段は、前記他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御に、前記所定の個別セルの領域から遠い個別セルの領域から順に出力削減を行うことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0069】
[付記8]
前記個別セル制御手段は、前記他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御に、前記所定の個別セルの領域に近接する個別セルの領域を残して他の個別セルの領域への出力削減を行うことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0070】
[付記9]
前記個別セル制御手段は、前記他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御に、付記6から付記8の制御を組み合わせて出力削減を行うことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0071】
[付記10]
携帯端末毎の前記個別データには、個別セルを合わせて形成されるフェムトセルの形状を該当する携帯端末に対する適したフェムトセルの形状を示す情報として記録されており、
前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報を取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0072】
[付記11]
携帯端末毎の前記個別データには、適したフェムトセルの形状を示す情報と共に、該フェムトセル形状の展開時に該当携帯端末との適した送信電力を示す情報を合わせて記憶保持され、
前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報と適した送信電力を示す情報とを取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0073】
[付記12]
前記適した送信電力を示す情報は、個別セル毎に記憶されることを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0074】
[付記13]
前記個別セル制御手段は、個別セルの領域毎に適応的電力調整を行ない接続している携帯端末との通信環境を調整する
ことを特徴とする上記付記記載のフェムトセル基地局装置。
【0075】
[付記14]
放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナと、 前記アンテナが指向性を持たせて分け得る個々の領域を個別セルとして、該個々の個別セル毎に送信無線電力を制御するようにしてフェムトセルの形状を変化させ得る個別セル制御手段と、自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出し、前記個別セル制御手段に該接続を通知すると共に、前記携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として収集記録する携帯端末監視手段と、前記携帯端末監視手段によって収集記録された通信履歴を個別データとして記録管理する記憶手段と
を有するフェムトセル基地局を、
携帯端末監視手段により携帯端末の接続を検出し、
前記個別セル制御手段により、前記記憶手段に記録されている個別データを参照して、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする無線電力制御方法。
【0076】
[付記15]
前記携帯端末監視手段は、携帯端末毎の通信履歴として、個々の個別セル毎に通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とを少なくとも含むように収集記録し、
前記個別セル制御手段は、個別データに通信履歴として含まれている個別セル毎の通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とに基づき、接続した携帯端末に適する確率が高いフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載の無線電力制御方法。
【0077】
[付記16]
前記個別セル制御手段は、形成したフェムトセルを、前記通信履歴に基づき、接続した携帯端末が存在する確率が低い個別セルの領域から順に、前記アンテナから放射される無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする上記付記の無線電力制御方法。
【0078】
[付記17]
前記個別セル制御手段は、所定の個別セルの領域に対して出力を減じたことによって、接続している前記携帯端末との通信環境が悪化したことを検出した場合に、該所定の個別セルの領域に対して行った出力削減を止める
ことを特徴とする上記付記の無線電力制御方法。
【0079】
[付記18]
前記個別セル制御手段は、前記所定の個別セルの領域に対する出力削減を停止と共に、他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする上記付記の無線電力制御方法。
【0080】
[付記19]
携帯端末毎の前記個別データには、個別セルを合わせて形成されるフェムトセルの形状を該当する携帯端末に対する適したフェムトセルの形状を示す情報として記録されており、
前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報を取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載の無線電力制御方法。
【0081】
[付記20]
携帯端末毎の前記個別データには、適したフェムトセルの形状を示す情報と共に、該フェムトセル形状の展開時に該当携帯端末との適した送信電力を示す情報を合わせて記憶保持され、
前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報と適した送信電力を示す情報とを取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載の無線電力制御方法。
【0082】
[付記21]
制御部を、
自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出すると共に、前記携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として個別データとして記録する手段と、
前記携帯端末の接続の検出を受けて、前記個別データを参照し、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナから放射される無線電波の出力を制御する手段、
として機能させることを特徴とするフェムトセル基地局向けプログラム。
【0083】
[付記22]
携帯端末毎の通信履歴として、分けた方向毎に通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とを少なくとも含むように収集記録し、
個別データに通信履歴として含まれている分けた方向毎の通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とに基づき、接続した携帯端末に適する確率が高いフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0084】
[付記23]
形成したフェムトセルを、前記通信履歴に基づき、接続した携帯端末が存在する確率が低い方向の領域から順に、前記アンテナから放射される無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする上記付記のプログラム。
【0085】
[付記24]
所定の方向の領域に対して出力を減じたことによって、接続している前記携帯端末との通信環境が悪化したことを検出した場合に、該所定の方向の領域に対して行った出力削減を止める
ことを特徴とする上記付記のプログラム。
【0086】
[付記25]
前記所定の方向の領域に対する出力削減を停止と共に、他の方向の領域への無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする上記付記のプログラム。
【0087】
[付記26]
携帯端末毎の前記個別データには、個々の方向への大きさを調整されて形成されるフェムトセルの形状を該当する携帯端末に対する適したフェムトセルの形状を示す情報として記録されており、
携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報を取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0088】
[付記27]
携帯端末毎の前記個別データには、適したフェムトセルの形状を示す情報と共に、該フェムトセル形状の展開時に該当携帯端末との適した送信電力を示す情報を合わせて記憶保持され、
携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報と適した送信電力を示す情報とを取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0089】
[付記28]
携帯端末毎の前記個別データには、適したフェムトセルの形状を示す情報として、3次元的に示されたフェムトセルの形状が記憶保持され、
携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報と適した送信電力を示す情報とを取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【符号の説明】
【0090】
10 フェムトセル基地局
11 アンテナ
12 個別セル制御部
13 携帯端末監視部
14 記憶部
21〜27 フェムトセルを形成する個別セル
30 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナと、
前記アンテナが指向性を持たせて分け得る個々の領域を個別セルとして、該個々の個別セル毎に送信無線電力を制御するようにしてフェムトセルの形状を変化させ得る個別セル制御手段と、
自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出し、前記個別セル制御手段に該接続を通知すると共に、前記携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として収集記録する携帯端末監視手段と、
前記携帯端末監視手段によって収集記録された通信履歴を個別データとして記録管理する記憶手段と
を備え、
前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、前記記憶手段に記録されている個別データを参照し、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とするフェムトセル基地局装置。
【請求項2】
前記携帯端末監視手段は、携帯端末毎の通信履歴として、個々の個別セル毎に通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とを少なくとも含むように収集記録し、
前記個別セル制御手段は、個別データに通信履歴として含まれている個別セル毎の通信を行なった時を示す情報と通信した量を示す情報とに基づき、接続した携帯端末に適する確率が高いフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする請求項1記載のフェムトセル基地局装置。
【請求項3】
前記個別セル制御手段は、形成したフェムトセルを、前記通信履歴に基づき、接続した携帯端末が存在する確率が低い個別セルの領域から順に、前記アンテナから放射される無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする請求項2記載のフェムトセル基地局装置。
【請求項4】
前記個別セル制御手段は、所定の個別セルの領域に対して出力を減じたことによって、接続している前記携帯端末との通信環境が悪化したことを検出した場合に、該所定の個別セルの領域に対して行った出力削減を止める
ことを特徴とする請求項3記載のフェムトセル基地局装置。
【請求項5】
前記個別セル制御手段は、前記所定の個別セルの領域に対する出力削減を停止と共に、他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御を行う
ことを特徴とする請求項4記載のフェムトセル基地局装置。
【請求項6】
前記個別セル制御手段は、前記他の個別セルの領域への無線電波の出力を減じてゆく制御に、
前記通信履歴に基づいて携帯端末が移動する確率が低い個別セルの領域から順に出力削減を行う
もしくは、
前記所定の個別セルの領域から遠い個別セルの領域から順に出力削減を行う
もしくは、
前記所定の個別セルの領域に近接する個別セルの領域を残して他の個別セルの領域への出力削減を行う
もしくは、
それらを組み合わせて出力削減を行う
ことを特徴とする請求項5記載のフェムトセル基地局装置。
【請求項7】
携帯端末毎の前記個別データには、個別セルを合わせて形成されるフェムトセルの形状を該当する携帯端末に対する適したフェムトセルの形状を示す情報として記録されており、
前記個別セル制御手段は、前記携帯端末監視手段からの携帯端末の接続検出を受けて、参照する該携帯端末の個別データから、適したフェムトセルの形状を示す情報を取得して、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載のフェムトセル基地局装置。
【請求項8】
前記個別セル制御手段は、個別セルの領域毎に適応的電力調整を行ない接続している携帯端末との通信環境を調整する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載のフェムトセル基地局装置。
【請求項9】
放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナと、 前記アンテナが指向性を持たせて分け得る個々の領域を個別セルとして、該個々の個別セル毎に送信無線電力を制御するようにしてフェムトセルの形状を変化させ得る個別セル制御手段と、自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出し、前記個別セル制御手段に該接続を通知すると共に、前記携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として収集記録する携帯端末監視手段と、前記携帯端末監視手段によって収集記録された通信履歴を個別データとして記録管理する記憶手段と
を有するフェムトセル基地局を、
携帯端末監視手段により携帯端末の接続を検出し、
前記個別セル制御手段により、前記記憶手段に記録されている個別データを参照して、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、前記アンテナから放射される無線電波の出力を制御する
ことを特徴とする無線電力制御方法。
【請求項10】
制御部を、
自局を介する通信を許可された携帯端末の接続を検出すると共に、前記携帯端末の自装置を介する通信状況を通信履歴として個別データとして記録する手段と、
前記携帯端末の接続の検出を受けて、前記個別データを参照し、該個別データに含まれる通信履歴に基づく接続した携帯端末に適したフェムトセル形状となるように、放射する無線電波に対して方向毎に分けて指向性をもたせ得るアンテナから放射される無線電波の出力を制御する手段、
として機能させることを特徴とするフェムトセル基地局向けプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−170013(P2012−170013A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31221(P2011−31221)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】