説明

フォトマスク用基板及びフォトマスクとその製造方法

【課題】エッチング液、成膜工程、フォトプロセス等の製造工程をできるだけ少なくして、生産性の高い湿式エッチングにより微細なパターンを高精度に形成可能な階調フォトマスク基板及び階調フォトマスク、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板10と、透明基板10上に形成されて照射光に対する透過率を制御可能な半透過層20と、実質的に照射光を遮光する遮光層43とを有する階調フォトマスク用基板であって、前記遮光層43と半透過層20とを形成する物質が、同一の金属又はその化合物で構成され、遮光層43と半透過層20との間に、遮光層43および半透過層20とエッチング耐性の異なる物質でストッパー層30が設けられ、ストッパー層30が半透過層20の上に積層形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク用基板及びフォトマスク並びにその製造方法に係り、特に、LCD,PDP,EL等の表示部パターン、配線パターン、ブラックマトリクス、カラーフィルターなどの平板型表示機器の表示用素子等の製造、微細散乱凹凸を利用した反射防止板、微粒子有無の拡散反射板、マイクロレンズアレイ、その他アレイ状凹凸形成等の表面改質等に用いられるパターン形成用フォトマスク用基板及びフォトマスク並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子、プラズマ表示素子、有機EL表示素子、その他表示素子等の平板型表示素子の需要拡大に伴って、数多くの種類のフォトマスクが使用されている。例えば、液晶表示素子形成においては、表示電極パターン形成、配線引き回しパターン形成時のパターンエッヂ改善(例えばテーパー形成等)、また、対向するカラーフィルター側では、半透過部を要するブラックマトリクスパターン形成、色度調整を要するカラーフィルター形成、さらに、高さの異なるギャップ材形成や、プラズマ表示素子においては隔壁等の凹凸形成用と、それぞれの用途と機能に対応したフォトマスクが使用されている。
【0003】
多彩な用途と機能の要求により使用するマスクが増加する中、露光やフォトマスク枚数を低減する方法として、一度の露光で二種類以上の機能を有するパターンの形成や、異なるパターンの露光を同一フォトマスクにて行うことが可能な階調フォトマスクを使用する方法が知られている。
【0004】
階調フォトマスクには複数の種類があり、フォトマスクの表面形状の変更や、中間的な透過率を有する半透過層を形成することなどによって照射光を段階的に変化させることが可能に構成されている。
例えば、フォトマスクの表面形状を調整した階調フォトマスクとして、特許文献1に記載された技術では、表面形状を調整することで、熱硬化性を有する感光性樹脂や感光性樹脂の特性と階調露光を組み合わせることにより凹凸形成や基体のエッチングによる表面凹凸を変化(反射防止効果や散乱効果のある層を任意に形成)させている。
また、特許文献2に記載された技術では、レジストを段階的又は傾斜的に任意の深さまで分解させて階段状やテーパー状のエッヂを形成している。
特許文献3と4に記載された技術では、感光性樹脂又は薄膜等の表面近傍又は一定の深度まで改質を行う方法、若しくは、感光性樹脂そのものを同様に処理して新たな機能を付加させる方法が開示されている。
【0005】
一方、中間的な透過率を有する半透過層を有する階調フォトマスクとして、透明基板に実質的に照射光を遮光する遮光領域と、照射光に対する透過率を制御した半透過領域と、実質的に照射光を透過する透明基板のみの領域と、の光学特性の異なる3種の層を有して構成されたものが知られている。
この階調フォトマスクの半透過領域は、照射される露光量を適宜制御可能な領域であり、その露光量に応じてレジストを硬化又は分解させて現像し、残像させることができる。このため、遮光領域及び全透過領域とは異なるレジスト領域を確保することができる。
【0006】
また、半透過層と遮光層とを同系の物質で構成した階調フォトマスク(例えば特許文献5,6,7,10参照)と、異質な物質で構成した階調フォトマスク(例えば特許文献8,9,11参照)があり、いずれの場合においても半透過層及び遮光層の層数とパターン形状とエッチング方法により層形成の回数や順序は特に限定されず種々存在する。
半透過層と遮光層とを同系の物質で構成する場合としては、例えば、特許文献10に記載された技術によれば、半透過層又は遮光層を形成したフォトマスク用基板を用意し、半透過層又は遮光層のいずれかを一度パターンニングした後、レジストを除去、洗浄する。再び真空装置等を利用してパターニングした層の上に遮光層又は半透過層を形成し、その後、再びフォトリソグラフィー行程で後に形成した層をパターンニングする方法が示されている。
【0007】
一方、半透過層と遮光層とを異質な物質で構成する場合としては、例えば、特許文献8,9,11に記載された技術によれば、半透過層と遮光層を連続形成したフォトマスク用基板を用意し、それぞれの層のパターンをドライエッチングやケミカルエッチングで形成する方法がある。
また、特許文献6,9に記載された技術では、遮光層と半透過層及び反射防止層が同一金属又はその化合物で構成され、遮光パターンを形成した後に半透過層を再度積層形成し、半透過層のみのパターンと遮光層と半透過層が積層した部分を一括でエッチングして遮光パターンと半透過パターンを形成する方法が開示されている。この場合、1種類のエッチングでパターンニングが可能であることから、パターンニング行程の簡素化が図れるとしている。
【0008】
さらに、特許文献8と12に記載された技術では、互いのエッチングに対する耐性を有する材料からなる半透過層と遮光層が順次成膜された基板について、それぞれの層に対応したエッチング液を使い分けることで階調フォトマスクを製造する方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2004−240411号公報
【特許文献2】特開2003−043231号公報
【特許文献3】特開2004−252396号公報
【特許文献4】特開2000−066011号公報
【特許文献5】特開2007−171651号公報
【特許文献6】特開2007−183591号公報
【特許文献7】特開2007−114759号公報
【特許文献8】特開2007−249198号公報
【特許文献9】特開2007−264516号公報
【特許文献10】特開平07−049410号公報
【特許文献11】特開2001−147516号公報
【特許文献12】特登第4005622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、層構成を同系統の物質で構成した場合は、パターンニング行程で互いの層を明確に切り分けしてエッチングすることは不可能であり、遮光層又は半透過層のいずれか一方を形成した基板を一度パターンニングしてレジストを除去し、再度遮光層又は半透過層のいずれかを形成した後に再び2回目のパターンニングを行う必要があるため、コスト的に不利になるという不都合があった。
【0011】
また、層構成を異質な層で構成する場合は、遮光層と半透過層を互いのエッチング液に対して耐性のある物質で構成することにより、成膜を一度で済ませることが可能であるが、エッチング行程ではエッチング液やエッチングガスを複数準備する必要があり、また、基板洗浄やレジスト除去行程で酸、アルカリや酸素ガス等を使用するため、遮光層と半透過層の選択エッチング性はもとより、同時にこれらの薬液に対する十分な耐性を確保することが必要となる。
【0012】
ドライエッチング及び湿式エッチングのいずれの場合でも、異質な材料による選択エッチング可能な物質の組み合わせが少なく、また、各層が接する界面での密着性や界面近傍での残渣の発生による微妙なマスク効果やパターンエッヂの不鮮明、エッチング液又はエッチングガスによるダメージやオーバーエッチングによる膜厚減少での透過率増加などが発生するため、パターンニング行程での十分な精度を確保することが困難であるという不都合があった。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑み、生産性の高い湿式エッチングでの階調マスクを作成するためのフォトマスク用基板の製造方法、フォトマスクおよびその基板を用いたフォトマスクの製造方法について提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、請求項1に係るフォトマスク用基板によれば、透明基板と、透明基板の上側に形成され、照射光に対して半透過性を有する第1の層と、該第1の層上に形成され実質的に照射光を遮光する第3の層と、前記第1の層と前記第3の層との間に形成され照射光に対して半透過性を有する第2の層と、を備えた階調フォトマスク用基板であって、
前記第1の層及び前記第3の層は、前記第2の層よりも第2のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であると共に第1のエッチング液に対して易溶性であり、
前記第2の層は、前記第1の層及び前記第3の層よりも、第2のエッチング液に対して易溶性であると共に第1のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であり、
前記第1の層及び前記第3の層はそれぞれ、クロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層であり、
前記第2の層は、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物、チタン酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層であり、
前記第1のエッチング液は、硝酸セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液であり、
前記第2のエッチング液は、水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合液であることにより解決される。
【0015】
上記構成により、半透過性を有する第1の層と遮光する第3の層は同一の金属又はその化合物で構成し、第3の層と第1の層との間に形成され照射光に対して半透過性を有する第2の層は異質の物性で構成し、第1の層及び第3の層は、第2の層よりも第2のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であると共に第1のエッチング液に対して易溶性であるために、第2のエッチング液を用いて選択的に第1の層及び第3の層をエッチングすることができる。そして、第2の層は、第1の層及び第3の層よりも、第2のエッチング液に対して易溶性であると共に第1のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であるため、第1のエッチング液を用いて選択的に第2の層をエッチングすることができる。
特に、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物、チタン酸窒化物は第1のエッチング液である硝酸セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液に対して不溶性又は難溶性であり、第2のエッチング液である水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合液に対して易溶性である。一方、クロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物は第1のエッチング液である硝酸セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液に対して易溶性であり、第2のエッチング液である水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合液に対して不溶性又は難溶性である。
このため、第1の層及び第3の層として、それぞれ、クロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とし、第2の層として、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物、チタン酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とすることで、それぞれのエッチング液に対する選択性が向上し、より高精度かつ微細なパターンを形成することが可能である。
このように、第2の層と、第1の層と第3の層とがそれぞれ異なるエッチング液に対する耐性を有しており、この耐性の違いを利用することにより、第1の層及び第3の層を可溶化する第1のエッチング液により第2の層が改質や損傷を受けることがほとんどなく、逆に第2の層を可溶化する第2のエッチング液により第1の層及び第3の層が改質や損傷を受けることがほとんどない。このため、一度の薄膜形成工程により形成した層を連続したフォトリソグラフィー行程によって精度が高く微細なパターンが形成されたフォトマスクを製造することができる。また、第2の層の組成比率を変化させることによって、半透過層としての光学特性とエッチング速度の微調整が可能となり、より高いエッチング性を確保することができる。
さらに、第2の層は、第1の及び第2の層とは異質な物質で構成される一方、半透過性を有することから、エッチング工程により第1の層と第2の層が積層されたパターンを形成することにより、第1の層とは異なる透過率を有する半透過層を形成することが可能となる。
また、チタン化合物は、酸やアルカリ等の薬品に対する耐性が高いために、レジスト除去液等のエッチング工程に用いられる薬剤によって損傷を受けにくい。このため、スムーズに選択エッチングを行うことが可能となると共に、高精度かつ微細なパターンを形成することが可能である。
このように、湿式エッチングであっても精度の高いエッチングが可能となるため、特に大型のフォトマスクの生産性が向上して安価な価格で多階調フォトマスクを製造することが可能となる。
【0016】
具体的には、請求項2のように、前記第1の層は、前記透明基板上に直接形成されると好適である。
上記構成により、照射光に対する透過率を狙いの値に保持することが容易となる。
【0017】
さらに具体的には、請求項3のように、前記第2の層は、照射光に対する透過率が5%以上70%以下であると好適である。
また、請求項4のように、前記第2の層は、膜厚が10nm以上70nm以下であるとさらに好適である。
上記構成により、第2の層は、第3の層をエッチングする工程において、第1の層を完全に保護する機能を有すると共に、第1の層と積層された領域において、適切な透過率を有する半透過層を形成することができる。
【0018】
また具体的には、請求項5と6のように、前記フォトマスク用基板は、前記透明基板上に前記第1の層、第2の層、第3の層が順次積層されてなり、前記第3の層は、実質的に照射光を遮光する遮光層と、該遮光層よりも表面側に形成される反射防止層と、からなり、前記反射防止層は、クロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とすると好適である。
【0019】
上記構成により、第3の層が反射防止層を備えていることで反射防止効果を得ることができ、フォトマスクの露光時に照射光が乱反射することにより生じる、モワレやハレーションの発生を防止することでパターン精度の向上を図ることができる。
また、反射防止層が反射率の低い、クロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層で形成されているため、高い反射防止効果を得られ、フォトマスクの露光時に照射光が乱反射することにより生じる、モワレやハレーションの発生を防止することでパターン精度の向上を図ることができる。
このとき、反射防止層を遮光層と同質の物質によって構成することで、同一エッチング液で遮光層と同時にエッチングすることが可能となる。
【0020】
また、請求項7のように、前記第1の層、前記第2の層及び前記第3の層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又は蒸着法により形成されると好適である。
【0021】
このように、第1の層、第2の層、第3の層をスパッタリング法、イオンプレーティング法、又は蒸着法等の真空成膜法により成膜することで、膜厚等を適宜調整して所望の光学特性と有するフォトマスク用基板とすることができる。また、スパッタリング法などの薄膜形成技術により製造することで、フォトマスク用基板の耐薬品性や堅牢性等の物理特性を適宜調整することが可能となる。
【0022】
上記課題は、請求項8のフォトマスクによれば、請求項1乃至7のいずれかに記載のフォトマスク用基板により製造されるフォトマスクにより解決される。
【0023】
このように、本発明のフォトマスクによれば、請求項1乃至7の特徴を備えたフォトマスクを得ることができる。
【0024】
前記課題は、請求項9に記載のフォトマスクの製造方法によれば、請求項1乃至6に記載のフォトマスク基板を用いたフォトマスクの製造方法であって、前記第3の層の表面にレジストを被覆する第1のレジスト被覆工程と、第1のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第1のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第1の露光工程と、前記第1の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第1のレジスト除去工程と、前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層を、前記第1のエッチング液でエッチングして遮光パターンを形成する第1のエッチング工程と、前記第1のエッチング工程により前記第3の層が除去された領域に露出した前記第2の層を前記第2のエッチング液でエッチングして遮光パターンを形成する第2のエッチング工程と、前記第1のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第1のレジスト剥離工程と、レジストを再度表面に被覆する第2のレジスト被覆工程と、第2のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第2のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第2の露光工程と、前記第2の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第2のレジスト除去工程と、前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層及び前記第1の層を前記第1のエッチング液でエッチングして、それぞれ前記第2の層及び前記透明基板を露出させる第3のエッチング工程と、前記第2のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第2のレジスト剥離工程と、を行うことにより解決される。
【0025】
このように、請求項9に記載のフォトマスクの製造方法によれば、第1の層及び第3の層と、第2の層とのエッチング液に対する耐性の違いを利用することで、他の層のエッチングに用いられるエッチング液によって改質や損傷をほとんど受けることがないため、
第3の層が表面に露出した遮光領域と、第1のエッチング工程によって前記第2の層が表面に露出した第1の半透過領域と、第2のエッチング工程によって前記第1の層が表面に露出した第2の半透過領域と、第3のエッチング工程によって前記透明基板が表面に露出した全透過領域と、を備える高精度な4階調フォトマスクを得ることができる。
【0026】
前記課題は、請求項10に記載のフォトマスクの製造方法によれば、請求項1乃至6に記載のフォトマスク基板を用いたフォトマスクの製造方法であって、前記第3の層の表面にレジストを被覆する第1のレジスト被覆工程と、第1のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第1のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第1の露光工程と、前記第1の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第1のレジスト除去工程と、前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層を、前記第1のエッチング液でエッチングして遮光パターンを形成する第1のエッチング工程と、前記第1のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第1のレジスト剥離工程と、レジストを再度表面に被覆する第2のレジスト被覆工程と、第2のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第2のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第2の露光工程と、前記第2の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第2のレジスト除去工程と、前記レジストが除去された領域に露出した前記第2の層を前記第2のエッチング液でエッチングして、前記第1の層を露出させる第2のエッチング工程と、前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層、及び、第2のエッチング工程により前記第2の層が除去された領域に露出した前記第1の層を前記第1のエッチング液でエッチングして前記透明基板を露出させる第3のエッチング工程と前記第2のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第2のレジスト剥離工程と、を行うことにより解決される。
【0027】
このように、請求項10に記載のフォトマスクの製造方法によれば、第1の層及び第3の層と、第2の層とのエッチング液に対する耐性の違いを利用することで、他の層のエッチングに用いられるエッチング液によって改質や損傷をほとんど受けることがないため、第3の層が表面に露出した遮光領域と、第1のエッチング工程によって第2の層が表面に露出した第1の半透過領域と、第2のエッチング工程及び前記第3のエッチング工程によって前記透明基板が表面に露出した全透過領域と、を備える高精度な3階調フォトマスクを成形することができる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に係るフォトマスク用基板によれば、第2の層と、第1の層と第3の層とがそれぞれ異なるエッチング液に対する耐性を有しており、この耐性の違いを利用することにより、第1の層及び第3の層を可溶化する第1のエッチング液により第2の層が改質や損傷を受けることがほとんどなく、逆に第2の層を可溶化する第2のエッチング液により第1の層及び第3の層が改質や損傷を受けることがほとんどない。このため、一度の薄膜形成工程により形成した層を連続したフォトリソグラフィー行程によって精度が高く微細なパターンが形成されたフォトマスクを製造することができる。また、第2の層の組成比率を変化させることによって、半透過層としての光学特性とエッチング速度の微調整が可能となり、より高いエッチング性を確保することができ、さらに、第2の層は、第1の層及び第3の層とは異質な物質で構成される一方、半透過性を有することから、エッチング工程により第1の層と第2の層が積層されたパターンを形成することにより、第1の層とは異なる透過率を有する半透過層を形成することが可能であり、また、湿式エッチングであっても精度の高いエッチングが可能となるため、特に大型のフォトマスクの生産性が向上して安価な価格で多階調マスクを製造することが可能なフォトマスク用基板を提供することができる。
請求項2に係るフォトマスク用基板によれば、照射光に対する透過率を狙いの値に保持することが容易なフォトマスク用基板を提供することができる。
請求項3と4に係るフォトマスク用基板によれば、第2の層は、第3の層をエッチングする工程において、第1の層を完全に保護する機能を有すると共に、第1の層と積層された領域において、適切な透過率を有する半透過層を形成することができるフォトマスク用基板を提供することができる。
請求項5と6に係るフォトマスク用基板によれば、反射防止層が反射率の低い、クロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層で形成されているため、高い反射防止効果を得られ、フォトマスクの露光時に照射光が乱反射することにより生じる、モワレやハレーションの発生を防止することでパターン精度の向上を図ったフォトマスク用基板を提供することができる。
請求項7に係るフォトマスク用基板によれば、第1の層、第2の層、第3の層をスパッタリング法、イオンプレーティング法、又は蒸着法等の真空成膜法により成膜することで、膜厚等を適宜調整して所望の光学特性と有するフォトマスク用基板とすることができる。また、スパッタリング法などの薄膜形成技術により製造することで、フォトマスク用基板の耐薬品性や堅牢性等の物理特性を適宜調整することが可能なフォトマスク用基板を提供することができる。
請求項8に係るフォトマスクによれば、請求項1乃至7の特徴を備えたフォトマスクを提供することができる。
請求項9と10に係るフォトマスクの製造方法によれば、第1の層及び第3の層と、第2の層とのエッチング液に対する耐性の違いを利用することで、他の層のエッチングに用いられるエッチング液によって改質や損傷をほとんど受けることがなく、高精度かつ微細なパターンを形成することが可能な階調フォトマスクを提供することができる。
【発明の実施をするための最良の形態】
【0029】
以下に本発明の一実施形態について図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、構造、構成、手順等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に従って各種改変することができることは勿論である。
【0030】
図1は本発明の一実施形態に係る階調フォトマスク用基板の縦断面図、図2は本発明の一実施に係る階調フォトマスクの縦断面図、図3〜図5は4階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図、図6〜図8は3階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図、図9はテストパターンを上面から撮影した電子顕微鏡(SEM)写真である。
なお、図1乃至図8では、説明のために各層の膜厚を実際の厚さよりも厚く描写することで、階調フォトマスク用基板、階調フォトマスク及び階調フォトマスクの製造方法を模式的に示している。
また、表1には、実施例及び比較例の各種試験結果を示した。
【0031】
図1は、本発明の階調フォトマスク用基板1の断面図であり、透明基板10と透明基板10の上に形成される半透過層20と、複合層40と、その間に形成されるエッチングストッパー層(ストッパー層30)により構成されている。
なお、ストッパー層30は本発明の第2の層に相当し、半透過層20及び複合層40は、それぞれ第1の層及び第3の層に相当する。
また、複合層40は、照射光を実質的に遮光する遮光層43と、その表面に積層された反射防止層45とにより形成されている。
【0032】
階調フォトマスク用基板1は、階調フォトマスク2を製造するための基板であり、後述するエッチング行程及びフォトリソグラフィー行程において、異なるエッチング液を用いて、半透過層20や遮光層43,ストッパー層30が形成された階調フォトマスク用基板1を順次エッチングしてパターンニングを行うことで階調フォトマスク2を製造することが可能となる。
半透過層20は、階調フォトマスク用基板1上に形成される層であり、照射光に対して半透過性を有している。照射光であるi線(波長365nm)やg線(波長436nm)を含む波長300nm〜450nmでの透過率を膜厚の変更により調整可能な層である。半透過層20のみからなる半透過性を有する層を第1の半透過層(領域)とする。
【0033】
ストッパー層30は、半透過層20の上に形成され、複合層40をエッチングする際にエッチングされる範囲を規制するストッパー機能と共に、半透過層20の保護機能を有する層である。また、照射光に対して半透過性を有する層であることより、後述するフォトリソグラフィー行程で半透過層20との積層を保持することにより、第2の半透過層(領域)が形成可能である。従って、第2の半透過層(領域)は、半透過層20のみからなる第1の半透過層(領域)とは異なる透過率とすることが可能である。
遮光層43及び反射防止層45からなる複合層40は本発明の実質的に照射光を遮光する遮光層として機能する層である。
【0034】
図2は、本発明の階調フォトマスク2の横断面図であり、透明基板10と透明基板10の上に形成される第1の半透過パターン20aと、第1の半透過パターン20aの上に形成されたストッパーパターン30aと、ストッパーパターン30aの上に形成された遮光パターン43aと、遮光パターン43aの表面上に形成された反射防止パターン45aとにより構成されている。
半透過パターン20aは、本発明の階調フォトマスク用基板1の半透過層20をエッチングして形成したパターンであり、ストッパーパターン30aはストッパー層30をエッチングして形成したパターンであり、遮光パターン43aは遮光層43をエッチングして形成したパターンであり、反射防止パターン45aは反射防止層45をエッチングして形成したパターンである。遮光パターン43aと反射防止パターン45aにより遮光層パターン40aが形成されている。
階調フォトマスク2には、上面から見たときに反射防止パターン45a(すなわち、遮光パターン40a)の一部が表面に露出した遮光領域1a(遮光領域1a)と、ストッパーパターン30aの一部が表面に露出した領域1b(第2の半透過領域1b)と、半透過パターン20aの一部が表面に露出した領域1c(第1の半透過領域1c)と、透明基板のみの領域1d(全透過量域1d)と、が形成されている。
【0035】
以下に、階調フォトマスク用基板1を構成する各部材について説明する。
(透明基板10)
透明基板10は、階調フォトマスク用基板を形成する際の下地となる透明な基板である。透明基板10は、天然石英ガラス、合成石英ガラス、硼珪酸ガラス、ソーダガラス等のガラス基板と、低膨張な透明樹脂等の材料を使用することができる。なお、ここでいう透明とは、具体的にはフォトリソグラフィー行程におけるi線(波長365nm)やg線(波長436nm)の露光光に対する透過率(Air Reference)が80〜95%の範囲内に含まれるものとする。
【0036】
(半透過層20)
半透過層20(第1の半透過層)は、透明基板10の表面に形成されている。本実施形態の半透過層20は、フォトリソグラフィー行程におけるi線(波長365nm)やg線(波長436nm)の露光光に対する透過率が5〜70%であり、クロム(Cr)と窒素(N)と酸素(O)の化合物で形成されている。用途により膜厚を変更することで透過率が決定される。
【0037】
半透過層20は、使用する露光波長とレジストの特性に合わせて、使用波長毎に意図的に透過率の差を大きくし、また、複数の使用波長範囲においてフラットな透過率にする等の工夫がなされる。これらの透過率調整は、クロム(Cr)と、酸素(O)、窒素(N)のいずれかのガス、又は、これらのガスの組み合わせによる化合物を形成することで可能となる。例えば、膜中の酸素比率を多くする(膜中のクロム、酸素、窒素の比率がそれぞれ、34.5〜38.5atm%、43.5〜50.5atm%、15.0〜19.5atm%:日本電子製 ESCA X線光電子分光法による定量分析値:以降ESCA 定量分析値と称す。)ことによりi線とg線の透過率差を8.5%〜9.0%に、また、膜中の窒素比率を多くする(膜中のクロム、酸素、窒素の比率がそれぞれ、44.0〜50.5atm%、25.0〜29.0atm%、25.5〜28.0atm%: ESCA 定量分析値)ことによりi線とg線の透過率差を0.9〜1.6%にすることが可能である。
エッチング液選定においては、半透過層20と接するストッパー層30とのエッチング耐性や、複合層40のエッチングレートを考慮して、金属と酸素、窒素、炭素のいずれか一つ以上の化合物の組み合わせで薄膜を形成する。本実施形態では、基となる金属がクロム(Cr)であるため、エッチング液(第1のエッチング液)として過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液((NH)Ce(NO):HClO:HO=15:3:82常温)を用いている。
【0038】
(ストッパー層30)
半透過層20の上には、ストッパー層30が形成されている。ストッパー層30は、その上の複合層40をエッチングする際に、確実にエッチングを完了させる機能と、半透過層20がエッチングされるのを防止する機能を有する層であり、複合層40のエッチング液に対して耐性を有する層である。
また、半透過層20をエッチングする際、ストッパー層30は、マスクとしても機能するため、半透過層20のエッチング液に対しても耐性を有する層でなければならない。従って、耐薬品性が高い、且つ、エッチング特性の良好な物質で形成する必要がある。
本実施形態におけるストッパー層30は、チタン(Ti)と、チタンと酸素と窒素の化合物(膜中のチタン、酸素、窒素の比率がそれぞれ、26.5〜36.5atm%、32.0〜39.5atm%、29.5〜41.0atm%:ESCA 定量分析値)によりこの特性を満足するように調整されている。
また、このストッパー層30のエッチング液(第2のエッチング液)としては、過酸化水素と水酸化カリウムと水の混合液((H(35%):KOH(30%):HO =1:16:32(体積比)常温)が用いられる。
【0039】
本発明では、半透過層20と遮光層43及び反射防止層45をクロム酸窒化物(クロムと酸素、窒素の化合物)とクロム及びクロム酸窒化物で構成しており、同一のエッチング液でエッチング可能としているが、ストッパー層30に対してエッチング選択性を有する物質であれば、遮光層43及び反射防止層45と半透過層20とが異なる成分からなる物質及び対応するエッチング液が異なものであっても特に制限するものではない。
【0040】
また、ストッパー層30は、半透過性の物質であるため、半透過層20と積層される事により2つ目の階調機能(第2の半透過領域1b)を有することが可能となる。
例えば、クロムと酸素と窒素の化合物の膜厚≒100Åで透過率54.11%の半透過層20の上に、チタンと酸素と窒素の化合物のストッパー層(膜厚≒200Å)を成膜した場合、第2の半透過領域1bのg線における透過率は26.08%になる。
なお、ストッパー層30の膜厚としては、10〜70nm(100〜700Å)の範囲で構成すると好適である。
【0041】
(複合層40)
本実施形態における複合層40は、半透過層20とストッパー層30とが積層された層の上に形成され、遮光層43とその表面側の反射防止層45の2層から構成されている。遮光層43は吸収の大きいクロム金属で構成され、反射防止層45は、遮光層43よりも吸収の少ないクロムと酸素、窒素との化合物(膜中のクロム金属と酸素と窒素の比率がそれぞれ37.5〜44.5atm%、39.5〜46.0atm%、13.5〜17.0atm%:ESCA 定量分析値)で構成される。即ち、遮光層43とその上に形成される反射防止層45との間には、光の多重干渉による反射防止効果が発生する。本実施形態では、この原理を利用して、使用する露光波長に合わせた光学膜厚(nd=λ/4:nは屈折率、dは実質膜厚)を形成している。従って、エッチング液を変更することによって、遮光層43及び反射防止層45は、ニッケル、モリブデン、アルミ、銅及びそれらの合金の化合物等によっても構成することができる。
また、実質的に照射光である露光光を遮断する複合層40は、光学濃度3.0(透過率0.1%以下)以上であり、本実施形態ではストッパー層30の上に積層して形成されるため確実に遮光効果を発揮することができると共に、膜面の反射率を350nm〜450nmの範囲で10%以下、ガラス面側の反射率を15%以下に低減させることができるため、露光時の不必要な反射や散乱を防止することができる。
【0042】
次に、本発明の階調フォトマスクの製造方法について説明する。
本発明の階調フォトマスク2は、透明基板10の表面に、半透過層20、ストッパー層30、遮光層43及び反射防止層45を成膜によって順次積層したフォトマスク用基板1を用いて、各層に対して湿式エッチングにより所定のパターンを形成することで製造される。成膜方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法等の真空を利用した物理蒸着(PVD)や、プラズマCVD、熱CVDなどの気相蒸着(CVD)が挙げられる。なお、スパッタリングにより成膜する場合、通常のスパッタリングの他に、反応性スパッタリングを利用することもできる。
本実施形態においては、反応性スパッタリングにより成膜を行った。
【0043】
(薄膜形成行程)
本実施形態での薄膜形成(成膜)は、透明基板10の上に半透過層20をクロムのターゲットを用いてスパッタリングする。1×10-4Pa(Pascal)程度の真空にした薄膜形成装置内に、アルゴンガス(Ar)と窒素ガス(N)及び、又は酸素ガス(O)を導入して、2〜3×10-1Pa程度の反応ガス雰囲気中でスパッタリングを行うことによりクロム,窒素,酸素からなる化合物薄膜を形成する。
透明基板10は、ターゲットに対向して装置にセットされている。ターゲットにマイナスの電圧を印加することにより、ターゲットからスパッタされるクロムが窒素ガスと酸素ガス雰囲気中でプラズマにより反応が促進されて基板に到達することにより薄膜を形成することが可能である。
薄膜中の窒素割合が少ないと、エッチングレートが早くなり、遮光層を同時にエッチングする際にオーバーエッチになり易くなるため、スパッタ時点での窒素ガスの導入量を適正に制御する。
もちろん、使用する複数の露光波長(350nmから500nm)において、透過率を平坦にしたり、一定の透過率差を必要とする場合は、前述した窒素と酸素のみならず、酸素や二酸化炭素(CO)や炭化水素(CH)等の反応ガスを組み合わせて使用することも可能である。
【0044】
次に、半透過層20の上にストッパー層30をチタンのターゲットを用いてスパッタリングする。薄膜形成は半透過層20と同様に、1×10-4Pa程度の真空にした薄膜形成装置内に、酸素ガス(O)と窒素ガス(N)を導入して、2〜3×10-1Pa程度の反応ガス雰囲気中でスパッタリングすることによりチタンの酸窒化薄膜を形成する。半透過層20が形成された透明基板10が対向してセットされている。ターゲットにマイナスの電圧を印加することにより、ターゲットからスパッタされるチタンが酸素ガスと窒素ガス雰囲気中でプラズマにより反応が促進されて基板に到達することにより薄膜を形成する。
このとき、薄膜中のチタンと酸素と窒素の化合物の割合は、膜中のチタン、酸素、窒素の比率がそれぞれ、26.5〜36.5atm%、32.0〜39.5atm%、29.5〜41.0atm%(ESCA 定量分析値)の範囲が好適である。
ストッパー層30は、成膜中にとり込まれる窒素の比率が増加すると、ストッパー機能は低下傾向を示すと共にエッチングレートが遅くなる。一方、窒素比率が低く、酸素の比率が増加すると、パターンの切れが悪くなり、アルカリ液耐性も悪化する傾向を示す。
また、薄膜形成装置内に、アルゴンガス(Ar)のみを導入して、1×10-1Pa程度の不活性ガス雰囲気中でスパッタリングを行うことによりチタン(Ti)薄膜を形成することができる。ターゲットにマイナスの電圧を印加することにより、ターゲットからチタンがスパッタされて基板に到達することによりストッパー層30を形成する。
【0045】
次に、上述のように形成されたストッパー層30の上に、遮光層43をクロムのターゲットを用いてスパッタリングする。前記同様、1×10-4Pa程度の真空にした薄膜形成装置内に、アルゴンガス(Ar)のみを導入して、1×10-1Pa程度の不活性ガス雰囲気中でスパッタリングすることによりクロム薄膜を形成する。このとき、半透過層20が形成された透明基板10は、ターゲットに対向して装置にセットされている。ターゲットにマイナスの電圧を印加することにより、ターゲットからスパッタされるクロムが基板に到達することで遮光層43を形成する。
【0046】
さらに、遮光層43の上に、反射防止層45を形成する。この反射防止層45もスパッタリングにより薄膜を形成することができる。反射防止層45は、反射防止効果を出すために、遮光層43よりも、照射光に対する吸収が少ない薄膜を形成する必要があるため、酸素や窒素の反応ガスを使用する。さらには、二酸化炭素、炭化水素のいずれかのガス、又は、混合ガスとの反応を利用してエッチングレートやパターンエッヂ形状を微妙に制御可能である。
【0047】
上述のようにして、形成した階調フォトマスク用基板1に対して、パターンを形成する行程について図3〜図5、図6〜図8に基づいて以下に説明する。
【0048】
まず、図3(a)〜図5(l)に示したパターン形成工程について説明する。
図3(a)に示すように、スパッタリングにより薄膜形成(成膜)した階調フォトマスク用基板1を準備する。
図3(b)は、第1のレジスト被覆工程を示している。
階調フォトマスク用基板1の表面にスピンコートやロールコート等によりレジスト50を被覆する。被覆したレジスト50をオーブン等により硬化(プリベーク)する。
【0049】
図3(c)は、第1の露光工程を示している。
第1のマスク原版60を用いて、レジスト50にマスクパターンを描画する。マスク原版には、所望のパターンが予め作成されており、このパターンをレジスト50に転写することができる。マスク原版を介してレジスト50に紫外線を照射して露光する。これで、レジスト50を感光させる。
【0050】
図3(d)は、第1のレジスト除去工程を示している。
露光完了したレジスト50を現像液に浸漬して、レジスト50の紫外線により感光した領域のレジストを溶解除去して、反射防止層45の表面をレジストパターンに沿って露出させる。レジスト50の一部を除去した後、オーブン等によって残存するレジストパターン50を加熱して本硬化(ポストベーク)する。マスクパターン1と同じパターンをレジスト50により形成する。
【0051】
図4(e)は、第1のエッチング工程を示している。
第1のエッチング液(硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸と水の混合液)を用いて反射防止層45と遮光層43をエッチングする。エッチングはエッチング液を満たし一定の温度に制御された恒温漕に上述した状態の基板を浸漬させる方法と、一定温度に制御されたエッチング液のシャワー等によりエッチング液をかける方法などがあり、いずれの方法を用いてもよい。反射防止層45と遮光層43は、薄膜形成工程で一括してエッチングできる物性を有する材料で形成されている。第1のエッチング工程により、反射防止層45と遮光層43にはマスクパターン1に応じて、反射防止パターン45aと遮光パターン43aが形成される。
このとき、ストッパー層30は、第1のエッチング液(硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸と水の混合液)に十分な耐性があるため、半透過層20に全くダメージ等の影響を与えずに確実に複合層40をエッチング可能である。
【0052】
図4(f)は、第2のエッチング工程を示している。
第1のエッチング工程で使用したエッチング液を洗い流した後、そのままの状態でエッチング液を交換して、ストッパー層30をエッチングする。エッチングはエッチング工程1と同様に、第2のエッチング液(過酸化水素と水酸化カリウムと水の混合液)を満たし一定の温度に制御された恒温漕の中に基板を浸漬する方法と、一定温度に制御されたエッチング液のシャワー等によりエッチング液をかける方法などがあり、いずれの方法を用いてもよい。
このようにして、ストッパー層30はエッチングされてストッパーパターン30aを形成する。このとき、半透過層20及び反射防止パターン45aや遮光パターン43aは、ストッパー30のエッチング液に対して耐性が十分あるため、エッチングによるダメージは発生しない。また、エッチングラインの構成次第では、レジストパターンを除去してからエッチングしても、遮光パターン43aと反射防止パターン45aは第2のエッチング液に対して十分な耐性があるため問題ない。
【0053】
図4(g)は、第1のレジスト剥離工程を示している。
表面に残存するレジストをレジスト剥離液によって溶解させて除去し、さらに表面を洗浄する。これで、第1のマスクパターンと同じパターンを透明基板10上に形成できる。
【0054】
図4(h)は、第2のレジスト被覆工程を示している。
半透過層20及びストッパー層30(ストッパーパターン30a)と遮光層43(遮光パターン43a)と反射防止層45(反射防止パターン45a)が積層されたパターンが表面に露出した基板表面に、スピンコートやロールコート等によりレジスト50を被覆する。さらに、被覆したレジスト50をオーブン等により硬化(プリベーク)する。
【0055】
図5(i)は、第2の露光工程を示している。
第2のマスク原版70を用いて、レジスト50にマスクパターンを描画する。マスク原版には、所望のパターンが予め作成されており、このパターンをレジスト50に転写することができる。第2のマスク原版70を介してレジスト50に紫外線を照射して露光する。これで、レジスト50を感光させる。
【0056】
図5(j)は、第2のレジスト除去工程を示している。
露光完了したレジスト50を現像液に浸漬して、レジスト50の紫外線により感光した領域のレジストを溶解除去して、反射防止層45及び半透過層20の表面をレジストパターンに沿って露出させる。レジスト50の一部を除去した後、オーブン等によって残存するレジストパターン50を加熱して本硬化(ポストベーク)する。これで、マスクパターン2と同じパターンをレジスト50により作成する。
【0057】
図5(k)は、第3のエッチング工程を示している。
第1のエッチング液(硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸と水の混合液)を用いて反射防止パターン45aと遮光パターン43a及び半透過層20をエッチングする。エッチングは第1のエッチング工程と同様の方法により行う。
反射防止パターン45aと遮光パターン43aは、薄膜形成工程で一括してエッチングできる物性を有する材料で形成されている。このとき、半透過層20も硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸と水の混合液で一緒にエッチングされて半透過パターン20aを形成する。ストッパーパターン30aは、第1のエッチング液(硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸と水の混合液)に十分な耐性があるため、全くダメージ等の影響が発生せずに確実にエッチング可能である。
【0058】
図5(l)は、第2のレジスト剥離工程を示している。
表面に残存するレジストをレジスト剥離液によって溶解させて除去し、さらに表面を洗浄する。これで、第2のマスクパターンと同じパターンを透明基板10上に形成できる。
【0059】
このようにして、第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとが組み合わさったパターンができあがる。結果として、図2に示す断面図の4階調パターン(4階調フォトマスク)が製造できる。
【0060】
続いて、図6(a)〜図8(l)に示したパターン形成工程について説明する。
まず、図6(a)のように、スパッタリングにより成膜した、上述の階調フォトマスク用基板1を準備する。
図6(b)は、第1のレジスト被覆工程を示している。
階調フォトマスク用基板の表面にスピンコートやロールコート等によりレジスト50を被覆する。さらに、被覆したレジスト50をオーブン等により硬化(プリベーク)する。
【0061】
図6(c)は、第1の露光工程を示している。
第1のマスク原版60を用いて、レジスト50にマスクパターンを描画する。マスク原版には、所望のパターンが予め作成されており、このパターンをレジスト50に転写することができる。マスク原版を介してレジスト50に紫外線を照射して露光する。これで、レジスト50を感光させる。
【0062】
図6(d)は、第1のレジスト除去工程を示している。
露光完了したレジスト50を現像液に浸漬して、レジスト50の紫外線により感光した領域のレジストを溶解除去して、反射防止層45の表面をレジストパターンに沿って露出させる。レジスト50の一部を除去した後、オーブン等によって残存するレジストパターン50を加熱して本硬化(ポストベーク)する。これで、マスクパターン1と同じパターンをレジスト50により作成する。
【0063】
図7(e)は、第1のエッチング工程を示している。
第1のエッチング液(硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸と水の混合液)を用いて反射防止層45と遮光層43をエッチングする。エッチングはエッチング液を満たし一定の温度に制御された恒温漕に上述した状態の基板を浸漬させる方法と、一定温度に制御されたエッチング液のシャワー等によりエッチング液をかける方法などがあり、いずれの方法を用いてもよい。反射防止層45と遮光層43は、薄膜形成工程で一括してエッチングできる物性を有する材料で形成されている。
このとき、ストッパー層30は、第1のエッチング液(硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸と水の混合液)に十分な耐性があるため、半透過層20に全くダメージ等の影響を与えずに確実に複合層40をエッチング可能である。
【0064】
図7(f)は、第1のレジスト剥離工程を示している。
表面に残存するレジストをレジスト剥離液によって溶解させて除去し、さらに表面を洗浄する。これで、第1のマスクパターンと同じパターンを透明基板10上に第1の半透過層20とストッパー層30が積層され、さらにその上に遮光層43aと反射防止層45aが積層されたパターン40aを形成する。
【0065】
図7(g)は、第2のレジスト被覆工程を示している。
ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンが表面に露出した基板表面に、スピンコートやロールコート等によりレジスト50を被覆する。さらに、被覆したレジスト50をオーブン等により硬化(プリベーク)する。
【0066】
図7(h)は、第2の露光工程を示している。
第2のマスク原版70を用いて、レジスト50にマスクパターンを描画する。マスク原版には、所望のパターンが予め作成されており、このパターンをレジスト50に転写することができる。マスク原版を介してレジスト50に紫外線を照射して露光する。これで、レジスト50を感光させる。
【0067】
図8(i)は、第2のレジスト除去工程を示している。
露光完了したレジスト50を現像液に浸漬して、レジスト50の紫外線により感光した領域のレジストを溶解除去して、反射防止層45及びストッパー層30の表面をレジストパターンに沿って露出させる。レジスト50の一部を除去した後、オーブン等によって残存するレジストパターン50を加熱して本硬化(ポストベーク)する。これで、マスクパターン2と同じパターンをレジスト50により作製する。
【0068】
図8(j)は、第2のエッチング工程を示している。
第2のエッチング液(過酸化水素と水酸化カリウムと水の混合液)を用いてストッパー層30をエッチングする。エッチングは、第2のエッチング液(過酸化水素と水酸化カリウムと水の混合液)を満たし一定の温度に制御された恒温漕の中に基板を浸漬する方法と、一定温度に制御されたエッチング液のシャワー等によりエッチング液をかける方法などがあり、いずれの方法を用いてもよい。反射防止層45と遮光層43及び半透過層20は、第2のエッチング液(過酸化水素と水酸化カリウムと水の混合液)に十分な耐性があるため、全くダメージ等の影響が発生せずに確実にストッパー層30をエッチング可能である。
【0069】
図8(k)は、第3のエッチング工程を示している。
第2のエッチング液を洗い流した後、そのままの状態でエッチング液を交換して、遮光層43と反射防止層45及び半透過層20をエッチングする。エッチングはエッチング工程1と同様に、第1のエッチング液を満たし一定の温度に制御された恒温漕の中に基板を浸漬する方法と、一定温度に制御されたエッチング液のシャワー等により可能である。このようにして、遮光層43と反射防止層45及び半透過層20はエッチング可能である。このとき、ストッパー30は、半透過層20及び反射防止層45や遮光層43のエッチング液(第1のエッチング液)に対して耐性が十分あるため、エッチングによるダメージは発生しない。
【0070】
図8(l)は、第2のレジスト剥離工程を示している。
表面に残存するレジストをレジスト剥離液によって溶解させて除去し、さらに表面を洗浄する。これで、第2のマスクパターンと同じパターンを透明基板10上に形成できる。
【0071】
このようにして、第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとが組み合わさったパターンができあがる。結果として、図2に示す断面図の第1の半透過層1cが存在しない3階調パターン(3階調フォトマスク)が製造できる。
【0072】
本発明の階調フォトマスクの製造方法によれば、図3(a)〜図5(l)に示す製造方法によって、1回の薄膜形成工程と2回のフォトリソグラフィー工程で、透明基板10のみの透過領域1d、第1の半透過領域図1c、半透過層20とストッパー層30が積層されてなる第2の半透過領域1b、低反射層を有する遮光領域1aと、が存在する4階調フォトマスク(図2参照)を製造することができる。
また、図6(a)〜図8(l)に示す製造方法によって、1回の薄膜形成工程と2回のフォトリソグラフィー工程で、透明基板10のみの全透過領域1d、半透過層20とストッパー層30が積層されてなる第2の半透過領域1b、低反射層を有する遮光領域1aと、が存在する3階調フォトマスクを製造することができる。
【実施例】
【0073】
本発明の具体的な実施例について以下に説明する。
(実施例1)
本発明の各層の形成方法は、真空技術を利用した製法であり、スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法等において、基本的には基板温度、成膜圧力、成膜レート、反応ガスを制御することで所望の薄膜を得ることができる。
実施例1は、透明基板10に、半透過層20であるクロムと窒素と酸素の化合物薄膜と、ストッパー層30であるチタンと窒素と酸素の化合物薄膜と、遮光層43であるクロム薄膜、及び反射防止層45であるクロムと酸素と窒素の化合物薄膜を形成した例である。実施例1では、スパッタリング法により半透過層20、ストッパー層30、遮光層43および反射防止層45が積層した構造としている。
【0074】
実施例1では、はじめに、研磨により平坦化して十分に洗浄されたクオーツ基板(透明基板10)をスパッタリング装置内のホルダーにセットし、市販の金属クロムターゲット(純度:99.99%up)を使用して、反応性スパッタリングを行った。スパッタリングは、一度、1×10-4Paまで排気した後、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとを35:15:50の比率で導入しながら2.5×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気、基板温度150℃で、クロムと反応させながらスパッタリングすることで、半透過層20であるクロムの化合物(膜中のクロム、酸素、窒素の比率がそれぞれ、34.5〜38.5atm%、43.5〜50.5atm%、15.0〜19.5atm%:ESCA 定量分析値)を形成した。
このとき、半透過層20は、i線(波長365nm)で透過率が50%になるように基板に直接成膜した。
また、半透過層20を形成する場合のターゲットは、金属クロムターゲット以外に酸化クロムとクロム金属の混合焼結体をボンディングしたものでもよい。
【0075】
金属クロムターゲットを金属チタンターゲットに切り換えて、膜厚100Å(10nm)となるように半透過層20の表面にストッパー層30を成膜した。スパッタリングは、窒素ガスと酸素ガスを98:2の比率で導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気、基板温度150℃で、チタンの化合物30(膜中のチタン、酸素、窒素の比率がそれぞれ、26.5〜36.5atm%、32.0〜39.5atm%、29.5〜41.0atm%:ESCA 定量分析値)を形成した。
このときのターゲットは、金属チタンターゲット以外に窒化チタン粉末の焼結体であってもよい。また、半透過層20と同様に、装置により反応度合いが異なるため成膜条件を適時組み合わせて調整する。
【0076】
次に、別の金属クロムターゲットに切り換えて、遮光層43であるクロム膜を、膜厚700Å(70nm)となるように成膜した。このときのスパッタリングは、アルゴンガス導入のみで1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気、基板温度150℃で形成した。ここで形成したクロム膜厚700Åは、光学濃度3.1程度であり、露光光(365nm、436nm)に対して十分に遮光する機能を持っている。
また、この時点での遮光層クロム膜の反射率は、通常55%前後であり、この反射率が露光の際に悪影響を与える。従って、この反射をできるだけ低くする必要がある。
【0077】
続いて、クロムターゲットを、半透過層20の成膜に用いた金属クロムターゲットに切り換えて、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスを30:10:60の比率で導入しながら2.5×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気、基板温度150℃で、クロムと反応させながらスパッタリングすることで、反射防止層45であるクロムの化合物(膜中のクロム金属と酸素と窒素の比率がそれぞれ37.5〜44.5atm%、39.5〜46.0atm%、13.5〜17.0atm%:ESCA 定量分析値)を形成した。
このとき反射防止層45は、遮光層43のクロムよりも照射光の吸収の少ない薄膜であり、膜厚300Å程度である。これにより、遮光層43とその上に形成される反射防止層45との間には、光の多重干渉による反射防止効果(365nm〜436nmでの反射率が15%以下)が生じ、露光時の光の反射や散乱を低減できた。
【0078】
成膜されたフォトマスク用基板1を、複数漕で構成されるアルカリ洗剤、中性洗剤、純水の各漕で超音波洗浄を実施した後、表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。尚、このレジスト塗布工程において、薬品、プラズマ、紫外線等でのフォトマスク用基板1の表面を表面処理していない。以下、同様の処理につき同じである。
【0079】
レジスト硬化後、第1のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬することで、ストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板(加工に供したフォトマスク用基板1)を取り出して表面を観察したところ、表面にダメージの発生はなく、エッチングストッパー層としてのストッパー層30の効果が認められた。
【0080】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:85秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることで、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン(半透過パターン20a)表面はエッチングの完了時点と同様に半透過層20へのダメージは認められず、また、反射防止層45の表面も同様にダメージは全く認められなかった。
【0081】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、この基板の表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。レジスト硬化後、第2のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層20のみの第1の半透過領域1c、透明基板10のみの全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0082】
形成したフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0083】
(実施例2)
実施例2は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。実施例2では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を200Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は実施例1と同様である。
【0084】
実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められず、ストッパー層30の効果は確実に現れていた。
【0085】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:170秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層30のパターン表面はエッチングの完了時点と同様にダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は非常に良好な状態であった。
【0086】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0087】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0088】
(実施例3)
実施例3は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。実施例3では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を300Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は実施例1と同様である。
【0089】
実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められず、ストッパー層30のエッチングストッパー層としての効果が認められた。
【0090】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:260秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0091】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0092】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0093】
(実施例4)
実施例4は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。実施例4では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層の膜厚を400Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は実施例1と同様である。
【0094】
実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められず、ストッパー層30のエッチングストッパー層としての効果が認められた。
【0095】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:340秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0096】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0097】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0098】
(実施例5)
実施例5は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。実施例5では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を500Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は実施例1と同様である。
【0099】
実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められず、ストッパー層30のエッチングストッパー層としての効果が認められた。
【0100】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:420秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0101】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、実施例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0102】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0103】
(実施例6)
実施例6は、上述した実施例1〜5とは異なり、ストッパー層30の化学成分をチタンの化合物薄膜(チタンと窒素と酸素の化合物)から、チタン薄膜に置き換えている。なお、半透過層20、遮光層43、反射防止層45については、実施例1〜5と同様である。
【0104】
実施例6では、まず、研磨により平坦化して十分に洗浄されたクオーツ基板(透明基板10)をスパッタリング装置内のホルダーにセットし、市販の金属クロムターゲット(99.99%up)を使用して、反応性スパッタリングを行った。スパッタリングは、一度1×10-4Paまで排気した後、アルゴンガスと窒素ガスと酸素ガスを35:15:50の比率で導入しながら2.5×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気、基板温度150℃で、クロムと反応させながらスパッタリングすることで、半透過層20であるクロムの化合物を形成した。このとき半透過層20は、実施例1と同様にi線(波長365nm)で透過率が50%になるように基板に直接成膜した。
【0105】
次に、金属クロムターゲットを金属チタンターゲットに切り換えて、膜厚100Å(10nm)となるように半透過層20の表面にストッパー層30を成膜した。この時のスパッタリングは、アルゴンガスのみを導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気でチタン薄膜を形成した。
【0106】
引き続き別の金属クロムターゲットに切り換えて、遮光層43であるクロム膜を、膜厚700Å(70nm)となるように成膜した。このときのスパッタリングは、アルゴンガス導入のみで1×10-1Pa程度に保持した真空装置内雰囲気で形成した。ここで形成したクロム膜厚700Åは、光学濃度3.1程度であり、露光光(365nm、436nm)に対して遮光する機能を持っている。
【0107】
続いて、クロムターゲットを、半透過層20の成膜に用いた金属クロムターゲットに切り換えて、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスを30:10:60の割合で導入し、2.5×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で、クロムと反応させながらスパッタリングすることで、反射防止層45であるクロムの化合物を形成した。
【0108】
成膜された基板を、複数漕で構成されるアルカリ洗剤、中性洗剤、純水の各漕で超音波洗浄を実施した後、フォトマスク用基板1の表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。
【0109】
レジスト硬化後、第1のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬することで、ストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められず、ストッパー層30のエッチングストッパー層としての効果が認められた。
【0110】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:65秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることで、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められずストッパー層30の効果が現れていた。反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0111】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、この基板の表面の表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。レジスト硬化後、第2のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0112】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0113】
(実施例7)
実施例7は、実施例6のストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。実施例7では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を200Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は実施例1と同様である。
【0114】
実施例6と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められず、ストッパー層30のエッチングストッパー層としての効果が認められた。
【0115】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:130秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0116】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、実施例6と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層20のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0117】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0118】
(実施例8)
実施例8は、実施例6のストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。実施例8では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を300Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は実施例1と同様である。
【0119】
実施例6と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められずストッパー層30のエッチングストッパー層としての効果が認められた。
【0120】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:200秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面は第1のエッチング完了時点と同様に、ダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0121】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、実施例6と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0122】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0123】
さらに、半透過層20のクロム化合物薄膜を実施例1〜5および実施例6〜8よりも窒素比率が高い状態(膜中のクロム、酸素、窒素の比率がそれぞれ、44.0〜50.5atm%、25.0〜29.0atm%、25.5〜28.0atm%:ESCA 定量分析値)にした場合でも、実施例1〜5および実施例6〜8と同様の結果が得られた。
【0124】
上述した実施例1〜8においては、半透過層20はクロムと窒素と酸素の化合物から形成されている。
以下の比較例1〜8においては、半透過層20をクロム金属に置き換えた場合の例について説明する。
なお、ストッパー層30、遮光層43、反射防止層45については、実施例1〜8と同様である。
【0125】
(比較例1)
比較例1では、はじめに、研磨により平坦化して十分に洗浄されたクオーツ基板10をスパッタリング装置内のホルダーにセットし、市販の金属クロムターゲット(99.99%up)を使用して、反応性スパッタリングを行った。スパッタリングは、一度、1×10-4Paまで排気した後、アルゴンガスを導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で、金属クロムをスパッタリングすることで、半透過層20であるクロム薄膜を形成した。このとき半透過層20は、i線(波長365nm)で透過率が50%になるように基板に直接成膜した。
【0126】
次に、金属クロムターゲットを金属チタンターゲットに切り換えて、膜厚100Å(10nm)となるように半透過層20の表面にストッパー層30を成膜した。この時のスパッタリングは、窒素ガスと酸素ガスを導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で、チタンの化合物30(膜中のチタン、酸素、窒素の比率がそれぞれ、26.5〜36.5atm%、32.0〜39.5atm%、29.5〜41.0atm%: ESCA定量分析値)を形成した。このときのスパッタリングは、窒素ガスと酸素ガスを98:2の比率で導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で、チタンの化合物を形成した。
【0127】
引き続き別の金属クロムターゲットに切り換えて、遮光層43であるクロム膜を、膜厚700Å(70nm)となるように成膜した。このときのスパッタリングは、アルゴンガス導入のみで1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で形成した。ここで形成したクロム膜厚700Åは、光学濃度3.1程度であり、露光光(365nm、436nm)に対して遮光する機能を持っている。
【0128】
続いて、クロムターゲットを、半透過層20の成膜に用いた金属クロムターゲットに切り換えて、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスを30:10:60の比率で導入しながら1×10−1Paに保持した真空装置内雰囲気で、クロムと反応させながらスパッタリングすることで、反射防止層45であるクロムの化合物である酸窒化薄膜を膜厚300Åとなるように形成した。
【0129】
成膜された基板を、複数漕で構成されるアルカリ洗剤、中性洗剤、純水の各漕で超音波洗浄を実施した後、フォトマスク用基板1の表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。尚、このレジスト塗布工程において、薬品、プラズマ、紫外線等でのフォトマスク用基板1の表面を表面処理していない。以下、同様の処理につき同じである。
【0130】
レジスト硬化後、第1のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬することで、ストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20であるクロム薄膜へのダメージは認められず、ストッパー層30の効果が認められた。
【0131】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:85秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングした。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0132】
次に、半透過層20(半透過パターン20a)とストッパー層30(ストッパーパターン30a)と複合層40(複合パターン40a)が積層されたパターン基板を十分に洗浄した後、この基板の表面の表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。レジスト硬化後、第2のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0133】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であつた。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0134】
(比較例2)
比較例2は、比較例1のストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。比較例2では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を200Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は比較例1と同様である。
【0135】
比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20であるクロム薄膜へのダメージは認められず、ストッパー層30の効果が認められた。
【0136】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:170秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージの発生がなく、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0137】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0138】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0139】
(比較例3)
比較例3は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。比較例3では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を300Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は比較例1と同様である。
【0140】
比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20であるクロム薄膜へのダメージは認められず、ストッパー層30の効果が認められた。
【0141】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:260秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージの発生がなく、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0142】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0143】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0144】
(比較例4)
比較例4は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。比較例4では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を400Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は比較例1と同様である。
【0145】
比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20であるクロム薄膜へのダメージは認められず、ストッパー層の効果が認められた。
【0146】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:340秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージの発生がなく、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0147】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0148】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0149】
(比較例5)
比較例5は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。比較例5では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層の膜厚500Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は比較例1と同様である。
【0150】
比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20へダメージは認められず、ストッパー層30の効果が認められた。
【0151】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:420秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0152】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0153】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0154】
(比較例6)
比較例6は、比較例1〜5とは異なり、ストッパー層30の化学成分を、チタンの化合物薄膜(チタンと窒素と酸素の化合物)から、チタン(Ti)薄膜に置き換えた場合の例である。なお、半透過層20、遮光層43、反射防止層45については、比較例1〜5と同様である。
【0155】
比較例6では、はじめに、研磨により平坦化して十分に洗浄されたクオーツ基板(透明基板10)をスパッタリング装置内のホルダーにセットし、市販の金属クロムターゲット(99.99%up)を使用してスパッタリングを行った。スパッタリングは、一度、1×10-4Paまで排気した後、アルゴンガスのみを導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で、クロムをスパッタリングすることで、半透過層20であるクロム薄膜を形成した。このとき半透過層20は、i線(波長365nm)で透過率が50%になるように基板に直接成膜した。
【0156】
次に、金属クロムターゲットを金属チタンターゲットに切り換えて、膜厚100Å(10nm)となるように半透過層20の表面にストッパー層30を成膜した。このときのスパッタリングは、アルゴンガスのみを導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で、チタン薄膜を形成した。
【0157】
引き続き別の金属クロムターゲットに切り換えて、遮光層43であるクロム膜を、膜厚700Å(70nm)となるように成膜した。このときのスパッタリングは、アルゴンガス導入のみで1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で形成した。ここで形成したクロム膜厚700Åは、光学濃度3.1程度であり、露光光(365nm、436nm)に対して遮光する機能を持っている。
【0158】
続いて、クロムターゲットを、半透過層20の成膜に用いた金属クロムターゲットに切り換えて、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスを導入しながら1×10-1Paに保持した真空装置内雰囲気で、クロムと反応させながらスパッタリングすることで、反射防止層45であるクロムの化合物を形成した。
【0159】
成膜された基板を、複数漕で構成されるアルカリ洗剤、中性洗剤、純水の各漕で超音波洗浄を実施した後、フォトマスク用基板1の表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。
【0160】
レジスト硬化後、第1のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬することで、ストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20であるクロム薄膜へのダメージは認められず、ストッパー層30の効果が認められた。
【0161】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:65秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることで、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージの発生がなく、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0162】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、この基板の表面の表面にレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製AZRFP−230K2)を全面塗布して仮硬化を行った。レジスト硬化後、第2のテストパターンの露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光源CHM−2000 超高圧水銀灯にて20秒間露光)、現像(東京応化(株)製 PMER:現像液:温度30℃、1分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン:120℃、10分間)を行った。続いて第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0163】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0164】
(比較例7)
比較例7は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。比較例7では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を200Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は比較例1と同様である。
【0165】
比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20であるクロム薄膜へのダメージは認められず、ストッパー層30の効果が認められた。
【0166】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:130秒間)に浸漬してストッパー層30をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージの発生がなく、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0167】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、比較例6と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0168】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0169】
(比較例8)
比較例8は、ストッパー層30の膜厚を変更した設計例である。比較例8では、ストッパー層30のスパッタリング時間を単純に調整することにより、ストッパー層30の膜厚を300Åに設定している。半透過層20、遮光層43、反射防止層45の膜厚および成膜条件は比較例1と同様である。
【0170】
比較例1と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して、エッチングによりストッパー層30の一部が露出し、遮光層43と反射防止層45が積層したパターンを形成した。
そのままの状態で、第1のエッチング液を純水で洗浄して乾燥した後、基板を取り出して表面を観察したところ、半透過層20であるクロム薄膜へのダメージは認められず、ストッパー層30の効果が認められた。
【0171】
次に、この基板を第2のエッチング液である過酸化水素、水酸化カリウム、水の混合液(過酸化水素(35%)水溶液:水酸化カリウム水溶液(30%):水=16:1:32,反応温度30℃、エッチング時間:200秒間)に浸漬してストッパー層をエッチングすることでストッパー層30と遮光層43と反射防止層45が積層されたパターンを形成した。
続いて、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去し、パターン表面を確認した結果、半透過層20のパターン表面にはダメージは認められず、また、反射防止層45の表面は全く問題がなかった。
【0172】
次に、ストッパー層30と遮光層43と反射防止層45からなるパターンを形成した基板を十分に洗浄した後、比較例6と同様に、第1のエッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=3:15:82、反応温度:30℃、エッチング時間:60秒間)に浸漬して遮光層43と反射防止層45の積層したパターンの一部と、半透過層20の一部をエッチングした。
引き続き、所定のレジスト剥離液によりレジストを除去して、反射防止層45を有する遮光領域1a、ストッパー層30と半透過層20が積層された第2の半透過領域1b、半透過層のみの第1の半透過領域1cと、全透過領域1dの存在する4階調のフォトマスクを形成した。
【0173】
形成されたフォトマスクについてパターンエッヂを確認した結果、各層でのパターンエッヂ形状やテーパー形状及び外観的欠陥は確認されず、非常に良好な状態であった。
テストパターンの一部を利用して、第1の半透過領域1cの透過率と、半透過層20とストッパー層30が積層された第2の半透過領域1bの透過率と、遮光領域1aの光学濃度及び膜厚と、最終パターン形成後の表面観察結果と、フォトマスク用基板をCrエッチング液に浸漬(5分、10分、20分)したときの表面観察結果と、複合層40エッチング後のストッパー層30が露出した状態でのアルカリ液浸漬後の表面観察結果を表1に示す。
【0174】
【表1】

【0175】
本発明では、半透過性を有するストッパー層30を、チタン又はチタンを主成分とする化合物で形成することによって、複合層40および半透過層20とは異なるエッチング液でエッチングができるため、湿式エッチングにより互いにエッチングダメージを与えることなしに精度良くパターン形成が可能となる。また、フォトマスク用基板の薄膜形成を一度の成膜で済ませることができるため、安価にフォトマスク基板を作成できるとともに、その基板を用いて階調フォトマスクを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】:本発明の一実施形態に係る階調フォトマスク用基板の縦断面図である。
【図2】:本発明の一実施に係る階調フォトマスクの縦断面図である。
【図3】:4階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図(1)である。
【図4】:4階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図(2)である。
【図5】:4階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図(3)である。
【図6】:3階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図(1)である。
【図7】:3階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図(2)である。
【図8】:3階調フォトマスクをパターンニングする工程を示す説明図(3)である。
【図9】:テストパターンを上面から撮影した電子顕微鏡(SEM)写真である。
【符号の説明】
【0177】
1 フォトマスク用基板
2 フォトマスク
1a 遮光領域
1b 第2の半透過領域
1c 第1の半透過領域
1d 全透過領域
10 透明基板
20 半透明層
20a 半透過パターン
30 ストッパー層
30a ストッパーパターン
40 複合層
40a 複合パターン
43 遮光層
43a 遮光パターン
45 反射防止層
45a 反射防止パターン
50 フォトレジスト
60,70 フォトマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、透明基板上に形成され、照射光に対して半透過性を有する第1の層と、該第1の層の上側に形成され実質的に照射光を遮光する第3の層と、前記第1の層と前記第3の層との間に形成され照射光に対して半透過性を有する第2の層と、を備えたフォトマスク用基板であって、
前記第1の層及び前記第3の層は、前記第2の層よりも第2のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であると共に第1のエッチング液に対して易溶性であり、
前記第2の層は、前記第1の層及び前記第3の層よりも、第2のエッチング液に対して易溶性であると共に第1のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であり、
前記第1の層及び前記第3の層はそれぞれ、クロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層であり、
前記第2の層は、チタン、チタン酸化物、チタン窒化物、チタン酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層であり、
前記第1のエッチング液は、硝酸セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液であり、
前記第2のエッチング液は、水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合液であることを特徴とするフォトマスク用基板。
【請求項2】
前記第1の層は、前記透明基板上に直接形成されることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク用基板。
【請求項3】
前記第2の層は、照射光に対する透過率が5%以上70%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトマスク用基板。
【請求項4】
前記第2の層は、膜厚が10nm以上70nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
【請求項5】
前記フォトマスク用基板は、前記透明基板上に前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層が順次積層されてなり、
前記第3の層は、実質的に照射光を遮光する遮光層と、該遮光層よりも表面側に形成される反射防止層と、からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
【請求項6】
前記反射防止層は、クロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とすることを特徴とする請求項5に記載のフォトマスク用基板。
【請求項7】
前記第1の層、前記第2の層及び前記第3の層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又は蒸着法により形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板により製造されるフォトマスク。
【請求項9】
請求項1乃至6に記載のフォトマスク基板を用いたフォトマスクの製造方法であって、
前記第3の層の表面にレジストを被覆する第1のレジスト被覆工程と、
第1のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第1のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第1の露光工程と、
前記第1の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第1のレジスト除去工程と、
前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層を、前記第1のエッチング液でエッチングして遮光パターンを形成する第1のエッチング工程と、
前記第1のエッチング工程により前記第3の層が除去された領域に露出した前記第2の層を前記第2のエッチング液でエッチングして遮光パターンを形成する第2のエッチング工程と、
前記第1のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第1のレジスト剥離工程と、
レジストを再度表面に被覆する第2のレジスト被覆工程と、
第2のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第2のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第2の露光工程と、
前記第2の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第2のレジスト除去工程と、
前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層及び前記第1の層を前記第1のエッチング液でエッチングして、それぞれ前記第2の層及び前記透明基板を露出させる第3のエッチング工程と、
前記第2のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第2のレジスト剥離工程と、を行うことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至6に記載のフォトマスク基板を用いたフォトマスクの製造方法であって、
前記第3の層の表面にレジストを被覆する第1のレジスト被覆工程と、
第1のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第1のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第1の露光工程と、
前記第1の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第1のレジスト除去工程と、
前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層を、前記第1のエッチング液でエッチングして遮光パターンを形成する第1のエッチング工程と、
前記第1のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第1のレジスト剥離工程と、
レジストを再度表面に被覆する第2のレジスト被覆工程と、
第2のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第2のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第2の露光工程と、
前記第2の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分、若しくは、非露光部分を除去する第2のレジスト除去工程と、
前記レジストが除去された領域に露出した前記第2の層を前記第2のエッチング液でエッチングして、前記第1の層を露出させる第2のエッチング工程と、
前記レジストが除去された領域に露出した前記第3の層、及び、第2のエッチング工程により前記第2の層が除去された領域に露出した前記第1の層を前記第1のエッチング液でエッチングして前記透明基板を露出させる第3のエッチング工程と
前記第2のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第2のレジスト剥離工程と、を行うことを特徴とするフォトマスクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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