説明

フォーマーポンプ

【課題】空気用シリンダ20及び液用シリンダ30を備え、各シリンダ内を摺動する空気用ピストンD3及び液用ピストンD1を備えた作動部材Dを上下動させることにより各シリンダ内の空気と液とを合流させて起泡させ、泡として吐出する如く構成したフォーマーポンプであって、簡単な操作による汚れの虞れの大きい空気用シリンダ内の洗浄を可能に構成した。
【解決手段】空気用シリンダ20内を洗浄するための洗浄用の開口hを空気用シリンダ20に開閉可能に形成し、空気用ピストンD3の下面を被覆し且つ通気孔57を備えたカバー壁56を、ステムD2より延設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォーマーポンプに関し、詳しくは、内部の洗浄が可能なフォーマーポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
装着した容器体内の液と外気とを混合・起泡して泡として噴出するフォーマーポンプが提案されている(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1のフォーマーポンプは、内部を第1ピストンが摺動する液用シリンダと、内部を第2ピストンが摺動する空気用シリンダと、噴出口が設けられるとともに、第1ピストン及び第2ピストンに連係し両ピストンを駆動せしめるポンプヘッドと、液用シリンダから送出された液体と空気用シリンダから送出された空気とが合流する気液混合室と、前記噴出口と気液混合室との間に設置された発泡部材とを備え、ポンプヘッドを押し下げることにより容器体内の液体と外気とを気液混合室で合流せしめ、発泡部材を通して発泡させ、噴出口から泡の状態で噴出する如く構成している。
【特許文献1】特開平09−118351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のポンプは一般に装着した容器体内の液を使い切った際にはポンプごと廃棄し、新たなポンプ付き容器を購入するという使用方法が採られていた。しかしながら、昨今の諸事情により、容器体内の液のみを詰め替えてポンプはそのまま使用することが頻繁となり、ポンプの性能の良さもあって、従来と比較して極めて長期間の使用が課せられるようになっている。
【0005】
一方、この種のフォーマーポンプでは上記した如き空気用のシリンダを備えており、空気用シリンダには外気が導入され、また、僅かな水分の浸入もその機構上避けられないため、それらの導入により雑菌が混入する虞れがあり、特に長期間の使用の場合にはその確率も大きくなる。
【0006】
また、この種のフォーマーポンプでは、内部の洗浄を全く考慮していなかったため、装着キャップとシリンダとの嵌着を通常では外すことができない強い嵌合強度をもって行なっている。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、簡単な操作により空気用シリンダ内の洗浄を簡単に行えて長期的に衛生的な使用が可能であり、しかも、洗浄に当たりブラシ等の清掃具を使用しても内部の複雑な部品の損傷等の虞れがないフォーマーポンプを提案する。更に、洗浄に当たり消費者が誤って清掃具以外の棒状物等を使用しても、内部の複雑な部品の保護を図れる優れたフォーマーポンプを提案する。また、洗浄後に再び元の状態に簡単に戻すことができるフォーマーポンプを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体100 の口頸部101 外周に嵌合させた装着キャップAに上端部を固定して容器体100 内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ20及び小径の液用シリンダ30を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材Bと、液用シリンダ30内を摺動する液用ピストンD1をステムD2外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンD3をステムD2外周上部に連係させ、ステム上端に吐出ヘッドD4を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材Dとを備え、作動部材Dの上下動により液用シリンダ30内の液と空気用シリンダ20内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッドD4の吐出口より泡として吐出する如く構成したフォーマーポンプであって、空気用シリンダ20内を洗浄するための洗浄用の開口hを空気用シリンダ20に開閉可能に形成し、空気用ピストンD3の下面を被覆し且つ通気孔57を備えたカバー壁56を、ステムD2より延設した。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第の1手段に於いて、上記通気孔57を、カバー壁56の垂壁部56a に穿設した。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記通気孔57を小孔としてカバー壁56に多数穿設した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、上記カバー壁56を、ステムD2と別体に形成してステムD2に固着した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかに手段に於いて、シリンダ部材Bを、空気用シリンダ20の周壁部21を構成する上部材B1と、該上部材B1に気密且つ着脱可能に連結させるとともに、空気用シリンダ20の底壁部22と、液用シリンダ30の周壁部31及び底壁部32を構成する下部材B2とで構成し、下部材B2を取り外すことにより空気用シリンダ周壁部21の下端開口を上記洗浄用の開口hとして構成した。
【0013】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、空気用シリンダ20の周壁部21下端部に内窓26を開口するとともに、内窓26を気密に閉塞する円筒状の閉塞筒27を空気用シリンダ20外周に回転可能に嵌合し、閉塞筒27の回転により内窓26と連通する外窓28を閉塞筒27に設け、内窓26と外窓28とで上記洗浄用の開口hを形成した。
【0014】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第6の手段のいずれかの手段に於いて、吐出ヘッドD4の押し下げを防止するスペーサーFを、吐出ヘッドD4と装着キャップAとの間に着脱可能に嵌合させた。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフォーマーポンプは、必要に応じて空気用シリンダ20内の洗浄を行って、長期に亘り衛生的に且つ円滑に使用できるという特有の効果を有する。また、洗浄に当たって、複雑な構造で繊細な空気用ピストンD3下面をカバー壁56で被覆しているため、それらの損傷等の不都合を極力防止でき、ブラシ等の清掃具を使用しての洗浄の場合でも同様である。
【0016】
上記通気孔57を、カバー壁56の垂壁部56a に穿設した場合には、洗浄の際にブラシ等の清掃具を使用しても通気孔57から空気用ピストンD3をつつく等の不都合がなく、安全な洗浄を行なえる。
【0017】
上記通気孔57を小孔としてカバー壁56に多数穿設した場合も同様に、通気孔57から空気用ピストンD3をつつく等の不都合がなく、安全な洗浄を行なえる。
【0018】
上記カバー壁56を、ステムD2と別体に形成してステムD2に固着した場合には、カバー壁56としての好適な材質を選択でき、また、既存の作動部材Dに固着することにより形成できる利点がある。
【0019】
シリンダ部材Bを、空気用シリンダ20の周壁部21を構成する上部材B1と、該上部材B1に気密且つ着脱可能に連結させるとともに、空気用シリンダ20の底壁部22と、液用シリンダ30の周壁部31及び底壁部32を構成する下部材B2とで構成し、下部材B2を取り外すことにより空気用シリンダ周壁部21の下端開口を上記洗浄用の開口hとして構成した場合には、空気用ピストンD3が空気用シリンダ20内に嵌合しているため、作動部材Dが安定しており、洗浄を容易に行える。また、洗浄用の開口hは大径の空気用シリンダ20と同じ大きさに大きく開口できるため、その点からも洗浄が容易であり、また、ブラシ等の清装具を用いての洗浄も極めて容易に行える利点がある。
【0020】
空気用シリンダ20の周壁部21下端部に内窓26を開口するとともに、内窓26を気密に閉塞する円筒状の閉塞筒27を空気用シリンダ20外周に回転可能に嵌合し、閉塞筒27の回転により内窓26と連通する外窓28を閉塞筒27に設け、内窓26と外窓28とで上記洗浄用の開口hを形成した場合には、洗浄に当たって、閉塞筒27を所定角度回動させることで極めて簡単に態勢を整えることができ、洗浄後も閉塞筒27を所定角度回動させるという簡単な操作で元の状態に復元することができる。また、円筒状の閉塞筒27で内窓26を閉塞しているため、空気用シリンダ20内の気密性を充分保つことができ、機能低下の虞れもない。更に、内窓及び外窓で構成される洗浄用の開口hから消費者が誤って棒などを挿入して汚れを落とそうとしてもカバー壁56の存在で空気用ピストンD3が損傷するのを防止できる。
【0021】
吐出ヘッドD4の押し下げを防止するスペーサーFを、吐出ヘッドD4と装着キャップAとの間に着脱可能に嵌合させた場合には、空気用シリンダ20を洗浄する際に、作動部材Dを装着キャップAに対して不動に固定しておくことができるため、洗浄中に作動部材Dが移動して洗浄範囲が狭まったりする等不都合を回避でき、作動部材Dを押さえておく必要もないため、洗浄操作がより容易に行なえる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1乃至図5はフォーマーポンプ1の一例を示すもので、フォーマーポンプ1は、装着キャップAと、シリンダ部材Bと、パイプCと、作動部材Dと、ポペット弁体Eと、スペーサーFとを備えている。
【0024】
装着キャップAは、フォーマーポンプ1を容器体100 に固定するためのもので、容器体100 の口頸部101 外周に嵌合させる周壁10の上端縁より、中央に作動部材Dを貫通させる窓孔を開口した頂壁11を延設し、窓孔周縁部より上方へガイド筒12を立設している。また、頂壁11下面周縁部には係止筒13を垂設している。
【0025】
シリンダ部材Bは、大径の空気用シリンダ20の下部に、小径の液用シリンダ30を同心円状に延設している。空気用シリンダ20は、周壁部21の下端縁より内方へ上昇するテーパ状の底壁部22を延設し、底壁部22の内周縁に液用シリンダ30の上端縁を連結して構成している。また、周壁部21の外周上端部にフランジを介して係合筒23を二重筒状に立設し、装着キャップAの周壁10と係止筒13との間に係合筒23を挟持させてシリンダ部材Bと装着キャップAとを固定している。
【0026】
液用シリンダ30は、空気用シリンダ20の底壁部22内周縁に周壁部31の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部31の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部32を延設し、底壁部32の上面を吸込み弁用の弁座33として構成している。また、底壁部32の中央開口縁より下方へパイプ嵌合筒34を一体に垂設している。パイプ嵌合筒34には吸い上げ用のパイプCの上端を嵌着し、その下端を容器体100 内下端部に垂下させている。更に、液用シリンダ30内面の底壁部32外縁部から周壁部31下端部に至る部分に、周方向複数の係止リブ35を突設している。各係止リブ35の上下中間部には上向き段部を設けている。
【0027】
本発明では、空気用シリンダ20内を洗浄するための洗浄用の開口hを空気用シリンダ20に開閉可能に形成している。本例ではシリンダ部材Bを、上部材B1と、下部材B2とで構成して、下部材B2を取り外すことにより空気用シリンダ20の周壁部21の下端開口を空気用シリンダ内を洗浄するための洗浄用の開口hとして構成し、空気用シリンダ20内を洗浄可能に構成している。上部材B1は、空気用シリンダ20の周壁部21で構成しており、周壁部20の下端部より外面に螺条を周設した連結筒24を垂設して構成している。また、下部材B2は、空気用シリンダ20の底壁部22と、液用シリンダ30の周壁部31及び底壁部32とを備えており、下端部にパイプ嵌合筒34を垂設している。また、下部材B2の外周縁部である空気用シリンダ20の底壁部22外周縁に嵌合部25を延設し、嵌合部25を連結筒24に気密且つ着脱可能に構成している。嵌合部25は、連結筒24の外周に螺着させる、内周に螺条を周設した螺筒25a と、螺筒25a 下端縁より内方へ延設したフランジ25b を介して連結筒24内周に気密且つ離脱可能に嵌合させたシール筒25c とで構成している。
【0028】
尚、上部材B1と、下部材B2とは、上記例に限らず、下部材B2を取り外した際に空気用シリンダ20の洗浄が可能な洗浄用の開口hが上部材B1下方に開口する構造であれば良く、その結合位置は種々選択できる。但し、空気用シリンダ20及び液用シリンダ30の機能を阻害する位置での連結は好ましくなく、例えば、空気用シリンダ20の空気用ピストンD3のストローク範囲ないでの分離は好ましくない。
【0029】
また、洗浄用の開口hは上記形態のものに限らず、例えば、図8に示す如く、空気用シリンダ20の下端部に内窓26を開口するとともに、内窓26を気密に閉塞する円筒状の閉塞筒27を空気用シリンダ20外周に回転可能に嵌合し、閉塞筒27の回転により内窓26と連通する外窓28を閉塞筒27に設け、内窓26と外窓28とで上記洗浄用の開口hを形成しても良い。更に、図示しないが、シリンダ部材Bの上端部を装着キャップAに着脱可能に嵌合させてシリンダ部材Bを取り外し可能に構成し、空気用シリンダ20の上端開口を前記洗浄用の開口hとして構成することも可能である。また、空気用シリンダ20の底壁部に洗浄用の開口hとなる窓孔を穿設し、該窓孔を気密に閉塞する底蓋を着脱自在に装着した形態のものを採用することも可能である。
【0030】
作動部材Dは、シリンダ部材Bに対して上方付勢状態で上下動可能に組み付けしたもので、液用ピストンD1と、ステムD2と、空気用ピストンD3と、吐出ヘッドD4とを備えている。
【0031】
液用ピストンD1はステムD2内下部に嵌着した嵌合筒部40の下端外周より外方へ上下スカート状の摺動部42を突設し、摺動部42を液用シリンダ30内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、嵌合筒部40の上端部はステムD2内の上下方向中間部に於いて突条形態の逆止弁用の弁座41を形成している。そして、液用ピストンD1の嵌合筒部40下面と各係止リブ35の上向き段部との間にコイルスプリングsを介在させて作動部材Dを常時上方へ付勢させている。
【0032】
ステムD2は、上下端を開口した筒状をなし、液用シリンダ30に摺動する液用ピストンD1を下部外周に突設するとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンD3を外周上部に連係させて、液用シリンダ30内及び空気用シリンダ20内を上下動可能に装着されている。ステムD2内上部には、フランジ状をなす吐出弁用の弁座50を形成し、玉状弁体51とで吐出弁52を形成しており、また、吐出弁用の弁座50の下面から逆止弁用の弁座41の直上までの間に周方向複数の縦突条53を突設している。更に、外面上部にはフランジ状に突設した空気吐出弁用の弁座54を突設しており、その上方の筒壁外周には周方向複数の縦突条55を突設している。
【0033】
また、本発明ではカバー壁56を設けている。カバー壁56は、ステムD2より延設するとともに、空気用ピストンD3の下面を被覆し、通気孔57を備えている。図示例では、空気吐出弁用の弁座54の外周縁部より垂壁部56a を起立し、垂壁部56a の上端縁より外方へ、空気用ピストンD3の下面に沿って延設し、外縁部を空気用シリンダ20内面に摺動可能に当接している。通気孔57は垂壁部56a に複数穿設しており、上面周縁部には周方向等間隔に複数のスペース突起58を突設してその上面を空気用ピストンD3下面に当接する如く構成している。尚、本例に於いてカバー壁56をステムD2と一体に形成しているが、これに限られず、図6に示す如く、ステムD2と別体に形成して固着しても良い。この場合にはステムD2に対して接着,融着等の適宜固着手段により固定することができる。
【0034】
また、カバー壁56は上記例の如き垂壁部56a に通気孔57を設けたものに限らず、図7に示す如く、水平部分に通気孔57を設けたものであっても良い。この場合には通気孔57を小孔とし、多数の通気孔57を穿設すると良い。尚、この場合もカバー壁56をステムD2と別体に形成しても良い。
【0035】
空気用ピストンD3は、内周縁の筒状弁部60をステムD2外周に小幅の上下動が可能に嵌合させ、筒状弁部60外周より延設した階段状壁部61を介して、空気用シリンダ20の内周に液密摺動可能に嵌合した上下スカート状の摺動部62を延設して構成している。筒状弁部60はステムD2外周の縦突条55外面に上下動可能に嵌合させている。また、後述する如く、ステムD2の外周上端部には、内周下端部に環状凹部を周設した縦筒の下端部を嵌合しており、筒状弁部60はその環状凹部頂面と、空気吐出弁用の弁座54との間を上下動可能に装着しており、空気吐出弁用の弁座54とで空気吐出弁63を構成している。この空気吐出弁63は、図1に示す作動部材Dが最上方へ押し上げられている場合には閉塞しており、作動部材Dを押し下げた際には開弁し、更に、押し下げ状態から上方付勢力により上昇する際には閉塞する如く構成している。また、空気用ピストンD3の階段状壁部61には外気を導入するための外気導入弁64を設けている。外気導入弁64は、下降した作動部材Dが上昇する際に空気用シリンダ20内が負圧となることで開弁し、外気を導入する。
【0036】
吐出ヘッドD4は、ステムD2の外周上端部に嵌合させた縦筒70を頂板71裏面より垂設し、頂板71周縁部からは外側垂壁部72を垂設し、また、縦筒70と外側垂壁部72との中間に内側垂壁部73垂設しており、更に、縦筒70の上端に基端を開口して、内側垂壁部73、外側垂壁部72を貫通して前方へ突設したノズル74を延設し、その先端に吐出口を開口している。また、縦筒70の内周下端部には環状凹部75を凹設しており、また、縦筒70内周のステムD2直上部に、下部を縮径した隔壁用の筒部材76を嵌着している。そして、環状凹部75からステムD2と縦筒70との間を通り、筒部材76下方のステムD2内に連通する空気通路77を設けており、筒部材76と吐出弁52との間に気液混合室Rを画成している。
【0037】
また、気液混合室R下流には起泡部材78を設けている。この場合の起泡部材78は、メッシュ78a を張設した筒体78b を一対用意して、メッシュ78a が上端及び下端になる如く筒部材76内に嵌着させて構成している。
【0038】
ポペット弁体Eは、下端部外面に、それぞれ液用シリンダ30の係止リブ35間に位置させる、周方向複数の係止突部80を突設しており、液用シリンダ30内からステムD2内下部に至る長さを有している。下面周縁部はテーパ状に形成して吸込み弁用の弁座33とで吸込み弁81を形成しており、吸込み弁用の弁座33と下面が当接する位置から、各係止突部80がコイルスプリングs下面に当接する位置までの上下動が可能に装着している。各係止突部80上方は、下部を大径部に上部を小径部に形成しており、小径部の上端にはテーパ筒状に拡開する逆止弁体82を形成し、この逆止弁体82と逆止弁用の弁座41とで逆止弁83を形成している。大径部の外周には周方向複数の凹溝84を縦設しており、小径部外周には周方向複数の縦突条85を突設している。
【0039】
スペーサーFは、ガイド筒12外周に着脱可能に嵌合した円弧板状の嵌合部90と、嵌合部90の後面より後方へ突設した板状の摘み部91とから構成している。装着したスペーサーFの嵌合部90は吐出ヘッドD4の内側垂下壁73下面に当接して作動部材Dの押し下げを防止する。また、装着に当たっては嵌合部90を弾性的に開く如く強制的にガイド筒12外周に嵌合させる。尚、スペーサーFはこの形態に限らず、作動部材Dの押し下げを防止すべく吐出ヘッドD4と装着キャップAとの間に着脱自在に嵌合する形態のものであれば種々採用できる。
【0040】
上記フォーマーポンプ1は、図1の状態からスペーサーFを外して吐出ヘッドD4を押し下げると、空気用ピストンがステムD2に対して相対的に上昇して空気吐出弁63が開き、下降する空気用ピストンD3により空気用シリンダ20内の空気が加圧されてカバー壁56の通気孔57を介して空気通路77を通り、気液混合室R内に導入される。一方、液用シリンダ30が下降してポペット弁体Eを吸込み弁用の弁座33に当接させるまで下降させるとともに、ポペット弁体EがステムD2に対して相対的に上昇して逆止弁83が開き、液用シリンダ30内の加圧液を吐出弁52を介して気液混合室に導入させ、ここで、気液を混合する。この際ポペット弁体Eはその逆止弁体82がステムD2の各縦突条53内面に摺動してステムD2に対して相対的に上昇する。気液混合室で混合された気液は、起泡部材78を通過して発泡し、ノズル74より泡として吐出される。
【0041】
吐出ヘッドD4の押圧を解除すると、コイルスプリングsの付勢力により作動部材Dが上昇し、その際空気用ピストンD3がステムD2に対して相対的に下降して空気吐出弁63が閉じ、空気用シリンダ20内の負圧化によって外気導入弁64が開いて外気が空気用シリンダ20内に導入される。一方、ステムD2の上昇によりポペット弁体Eは、逆止弁体82と各縦突条53の摩擦力で上昇し、吸込み弁81が開いて負圧化した液用シリンダ30内に容器体100 内の液が導入され、その際吐出弁52は閉じる。ポペット弁体Eはその係止突部80がコイルスプリングsの下面に当接するまで上昇するが、その後はステムD2に対して、逆止弁体82が逆止弁用の弁座41に当接するまで相対的に下降する。
【0042】
図1の例のフォーマーポンプ1を洗浄する際には、例えば、フォマーポンプ1を容器体100 から外し、下部材B2を回動させることにより図2に示す如く上部材B1から外すことができる。その後空気用シリンダ20の下端開口から空気シリンダ20内面、ステムD2外面、カバー壁56下面の洗浄を行なう。洗浄の方法は適宜選択できるが、例えば、洗浄水の噴射、洗浄水での洗い流し、洗浄水内での上下動等が好ましく採用され、また、ブラシ等の清掃具を併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】フォーマーポンプの縦断面図である。(実施例1)
【図2】フォーマーポンプの分解状態の縦断面図である。(実施例1)
【図3】フォーマーポンプの要部拡大断面図である。(実施例1)
【図4】図1のフォーマーポンプの底面図である。(実施例1)
【図5】図2のフォーマーポンプの底面図である。(実施例1)
【図6】フォーマーポンプの要部拡大断面図である。(実施例2)
【図7】フォーマーポンプの要部拡大断面図である。(実施例3)
【図8】フォーマーポンプの要部断面図である。(実施例4)
【符号の説明】
【0044】
1…フォーマーポンプ
A…装着キャップ
10…周壁,11…頂壁、12…ガイド筒,13…係止筒
B…シリンダ部材(B1…上部材,B2…下部材)
20…空気用シリンダ,21…周壁部,22…底壁部,23…係合筒,24…連結筒,
25…嵌合部,25a …螺筒,25b …フランジ,25c …シール筒,26…内窓,
27…閉塞筒,28…外窓,30…液用シリンダ,31…周壁部,32…底壁部,
33…吸込み弁用の弁座,34…パイプ嵌合筒,35…係止リブ
C…パイプ
D…作動部材
D1…液用ピストン
40…嵌合筒部,41…逆止弁用の弁座,42…摺動部,s…コイルスプリング
D2…ステム
50…吐出弁用の弁座,51…玉状弁体,52…吐出弁,53…縦突条,
54…空気吐出弁用の弁座,55…縦突条,56…カバー壁,56a …垂壁部,
57…通気孔,58…スペース突起
D3…空気用ピストン
60…筒状弁部,61…階段状壁部,62…摺動部,63…空気吐出弁,
64…外気導入弁
D4…吐出ヘッド
70…縦筒,71…頂板,72…外側垂壁部,73…内側垂壁部,74…ノズル,
75…環状凹部,76…筒部材,77…空気通路,78…起泡部材,78a …メッシュ,
78b …筒体,R…気液混合室
E…ポペット弁体
80…係止突部,81…吸込み弁,82…逆止弁体,83…逆止弁,84…凹溝,
85…縦突条 F…スペーサー
90…嵌合部,91…摘み部
100…容器体
101…口頸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体100 の口頸部101 外周に嵌合させた装着キャップAに上端部を固定して容器体100 内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ20及び小径の液用シリンダ30を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材Bと、液用シリンダ30内を摺動する液用ピストンD1をステムD2外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンD3をステムD2外周上部に連係させ、ステム上端に吐出ヘッドD4を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材Dとを備え、作動部材Dの上下動により液用シリンダ30内の液と空気用シリンダ20内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッドD4の吐出口より泡として吐出する如く構成したフォーマーポンプであって、空気用シリンダ20内を洗浄するための洗浄用の開口hを空気用シリンダ20に開閉可能に形成し、空気用ピストンD3の下面を被覆し且つ通気孔57を備えたカバー壁56を、ステムD2より延設したことを特徴とするフォーマーポンプ。
【請求項2】
上記通気孔57を、カバー壁56の垂壁部56a に穿設した請求項1記載のフォーマーポンプ。
【請求項3】
上記通気孔57を小孔としてカバー壁56に多数穿設した請求項1記載のフォーマーポンプ。
【請求項4】
上記カバー壁56を、ステムD2と別体に形成してステムD2に固着した請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフォーマーポンプ。
【請求項5】
シリンダ部材Bを、空気用シリンダ20の周壁部21を構成する上部材B1と、該上部材B1に気密且つ着脱可能に連結させるとともに、空気用シリンダ20の底壁部22と、液用シリンダ30の周壁部31及び底壁部32を構成する下部材B2とで構成し、下部材B2を取り外すことにより空気用シリンダ周壁部21の下端開口を上記洗浄用の開口hとして構成した請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフォーマーポンプ。
【請求項6】
空気用シリンダ20の周壁部21下端部に内窓26を開口するとともに、内窓26を気密に閉塞する円筒状の閉塞筒27を空気用シリンダ20外周に回転可能に嵌合し、閉塞筒27の回転により内窓26と連通する外窓28を閉塞筒27に設け、内窓26と外窓28とで上記洗浄用の開口hを形成した請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフォーマーポンプ。
【請求項7】
吐出ヘッドD4の押し下げを防止するスペーサーFを、吐出ヘッドD4と装着キャップAとの間に着脱可能に嵌合させた請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のフォーマーポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−208783(P2009−208783A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50930(P2008−50930)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】