説明

フコース含有細菌バイオポリマー

本発明は、組成にフコースを含む微生物バイオポリマーに関するものである。このバイオポリマーは、組成の少なくとも10%に相当する、フコースを含む多糖から構成される。このフコース含有多糖はまた、非糖成分、すなわち、アシル基置換基を含有する。本発明はまた、グリセロール又はグリセロールに富んだ混合物を炭素源として用いる、エンテロバクター属(Enterobacter)A47(DSM23139)細菌の培養によって得られるバイオポリマーの生産のためのプロセスに関する。本発明のフコース含有バイオポリマーは、いくつかの産業用途(例えば、医薬品産業、化粧品産業、及び農業食品産業)、及び産業廃棄物の処理(例えば、油及び金属の回収)において用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成にフコースを含有する微生物バイオポリマーに関するものである。さらに、本発明は、エンテロバクター属(Enterobacter)A47(DSM23139)細菌によるフコース含有バイオポリマーの生産のためのプロセスに関する。したがって、本発明は、いくつかの産業(例えば、医薬品産業、化粧品産業、及び農業食品産業)、及び産業廃棄物の処理(例えば、油及び金属の回収)において適用可能である。
【背景技術】
【0002】
多糖は、単糖反復単位のポリマー化を介して形成される、高分子量(10〜10)のポリマー生体材料である。これらは、反復単位の多様性、関与するグリコシド結合のタイプ、及び分枝の程度の結果、優れた構造的多様性を有する。多くの多糖は、非糖成分、例えば、有機アシル基(例えば、アセテート、スクシネート、ピルベート)及び無機基(例えば、ホスフェート、スルフェート)を有する(Sutherland、2001)。
【0003】
一方、多糖は、分子内又は分子間の非共有結合を介して三次構造を形成することが多く、この非共有結合は、優れた剛性を高分子に付与し、固体状態及び溶液の両方におけるポリマーの特性の決定において重要な役割を有する(Kumarら、2007)。
【0004】
多糖の物理的及び化学的特性、すなわち、多糖の保水能力、レオロジー、及び/又はフィルム形成能力に起因して、多糖は、様々な食品用途、並びに織物、塗装、医薬品、及び化粧品を含む産業上用途において、乳化剤、安定剤、又は濃縮剤として用いられる(Morenoら、1998)。生体から得られる材料であるため、多糖は、通常は無毒で生分解性であり、このため、多糖は、持続的な開発に適した生体材料である。
【0005】
天然誘導体(例えば、アルギネート、カラギーナン、グアーガム、ペクチン、キサンタン、ジェラン)及び半合成誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアー)の両方である、市販の多糖の主な用途は、水性系の物理的特性を変更するそれらの能力に基づき(親水コロイド、すなわち、水性系の物理的特性を変更し得る化合物)、主に食品産業において用いられ、その次に油産業及び医薬品産業において用いられる。これらの多糖の一部(例えば、アルギネート、ペクチン、プルラン、デンプン誘導体、セルロース誘導体)はさらに、包装、容器、及びシートの製造において、並びにいくつかの農業食品、医薬品、及び産業用途において用いられる、生分解性フィルムを形成する能力を有する。
【0006】
現在、産業において用いられる多糖の大部分は、植物(例えば、グアーガム、アラビアゴム)、藻類(例えば、アルギネート、カラギーナン)、又は甲殻類(例えば、キチン)から得られ、微生物多糖(例えば、キサンタン、ジェラン、細菌アルギネート)はバイオポリマー市場のわずかな部分にしか相当しない(Canilhaら、2005)。それでも、ここ数年で、増強した物理化学的特性、すなわち、高い乳化活性及び凝集活性、有機溶媒に対する高い耐性、生物学的活性(例えば、抗癌効果又は免疫増強効果)、及び良好なレオロジー特性(例えば、低いポリマー濃度での高い粘度、広範なpH、温度、及びイオン強度での高い安定性)に起因して従来の微生物多糖と競合し得る新たな微生物多糖の同定及び単離に対する関心は大きくなっている(Kumarら、2007;Sutherland、2001)。
【0007】
微生物は通常、成長速度が速く、培養条件の操作に従いやすいため、微生物による多糖の生産は、植物、藻類、又は動物からのその抽出よりも有利である(Morenoら、1998)。植物、藻類、及び動物は、通常は季節性の生産サイクルである、1年又は数年の生活環を有する。一方、微生物の成長速度は、数時間又は数日のレベルの成長速度であるが、植物、藻類、及び動物は、数カ月又は数年のレベルの成長速度を有する。
【0008】
微生物多糖の商業生産を制限する主な要因は、基質、主に糖、特にグルコース、デンプン、及びスクロースのコストが高いことである。このようなバイオプロセスでは、基質のコストは、総生産コストの20〜40%を占める(Kumar and Mody、2009)。
【0009】
したがって、同程度の生産性でそれほど高価でない基質を求めることが、生産コストの低減に必須である。いくつかの産業プロセスの、主にバイオディーゼル産業の副生成物であるグリセロールは、良好な候補である。ここ数年でのバイオディーゼル産業の成長は目覚ましいため、グリセロールは、従来のグリセロール用途におけるグリセロールの現在の消費よりもはるかに多い量で生産されている。バイオディーゼル産業、又はグリセロールが副生成物であるあらゆる他の産業では、このことは負担となっており、それは、グリセロールの商業的価値が低いため、及びグリセロールの除去がコストのかかるプロセスであるためである。したがって、グリセロールが無毒で生分解性の化合物であるという事実を利用して、この産業副生成物の関心を引く用途を開発することが急務である(Celikら、2008)。
【0010】
水性系の物理的特性を変更し得る能力に加え、フコース含有多糖は産業用途への可能性が高く、それは、フコースが、得ることが困難な希少な糖の1つであるためである。一方、フコースの存在によってアレルギー反応の可能性が低減し、これによって、例えば医薬品及び化粧品などの用途におけるこれらのバイオポリマーの使用が促進される。
【0011】
フコースは、他のさらに一般的な単糖、例えばガラクトース又はグルコースからの化学的変換を介して合成され得る。それでも、ほとんどの化学的プロセスは複雑であり、いくつかの中間体を伴い、収量が低い。フコースの化学的合成に代わるものは、フコース含有多糖の化学的又は酵素的加水分解である。これらのポリマーは、植物、藻類、及び微生物において見られ得る。
【0012】
植物では、フコース(L−フコース及びメチル化フコース)は、例えば、ジャガイモ及びキウイフルーツの細胞壁、大豆の種、ラオオバコ(Plantago lanceolata)の若い葉の粘液、コショウソウ(Lepidium sativum)及びカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)の根、アストラガルス・ミクロセファルス(Astragalus microcephalus)、トラガント(A.gummifer)、及びアストラガルス・クルディクス(A.kurdicus)の滲出液、並びにシロバナハウチワマメ(Lupinus albus)の葉において生じる(Vanhooren及びVandamme、1999)。
【0013】
海藻では、フコースは、硫酸化L−フコースから構成されるホモ多糖であるフコイダンにおいて見られる。フコースは、海藻、例えば、ペルベチア・カナリクラタ(Pelvetia canaliculata)、ブラダーラック(Fucus vesiculosus)、及びアスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum nodosum)から抽出され得る。これらの種において、L−フコース含有量は、9.0から11.2%の間で変化する。海藻からのL−フコースの抽出全体の収量は、かなり低い(約7.6%)(Vanhooren及びVandamme、1999。
【0014】
いくつかの微生物、すなわち、細菌、真菌、及び微細藻類は、L−フコースを含有する細胞外多糖(EPS)を合成する。これらのポリマーには、様々な量のフコース、及び他の糖残基(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、及び/又はアラビノース)を含有する、ホモ多糖及びヘテロ多糖の両方が含まれ、後者がより一般的である。L−フコースを含有するEPSは、とりわけアエロバクター属(Aerobacter)、アゾトバクター属(Azotobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)、エルウィニア属(Erwinia)、エンテロバクター属、シュードモナス属(Pseudomonas)、クラビバクター属(Clavibacter)、バチルス属(Bacillus)、及びサルモネラ属(Salmonella)を含む、いくつかの属に属する細菌によって生産される。真菌では、フコースは、とりわけカンジダ属(Candida)、ケカビ属(Mucor)、タマチョレイタケ属(Polyporus)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、及びスポロボロマイセス属(Sporobolomyces)に属する種によって生産されるEPSにおいて見られ得る。
【0015】
ここ数十年では、L−フコースを含有する多糖の生産は、主にクレブシエラ属、エンテロバクター属、シュードモナス属、及びクラビバクター属からのいくつかの細菌属について報告されている。
【0016】
いくつかのクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)株は、ポリマー鎖のアセチル化の程度が互いに異なるL−フコース、D−ガラクトース、及びガラクツロン酸を含有する、いくつかの異なるEPSを合成する。クレブシエラ・ニューモニエI−1507(US5876982)によって生産されるEPSは、その精神知覚性の質、水和特性、及び自己乳化特性のため、化粧品産業における用途が見出されている(Guettaら、2003a)。非常に類似した組成を有する他のEPS、すなわち、クレブシエラ属K−63(Joseleau and Marais、1979)及びクレブシエラ・ニューモニエATCC31646によって生産されるEPSが記載されている(US4298691)。本発明のポリマーは、フコース及びガラクトースに加えグルコースも含有するという点で、これらのEPSと異なる。一方、本発明のポリマーは、その組成に、クレブシエラ属のEPSの成分としては言及されていない、十分な量のアシル基置換基(EPS乾燥重量の最大約25%)を有する。
【0017】
クレブシエラ・ニューモニエATCC12657(以前はアエロバクター・アエロゲネス(Aerobacter aerogenes)株A3として知られていた)は、ほぼ等モル濃度量のフコース、グルコース、ガラクトース、及びグルクロン酸から構成されるEPSを生産する(Vanhooren及びVandamme、1999)。フコースは、精製EPSの重量の18.9%に相当する(Guettaら、2003b)。この多糖は、高いグルクロン酸含有量、及びクレブシエラ・ニューモニエATCC12657のEPSについては記載されていないアシル基の存在によって、本発明のポリマーと異なる。さらに、本発明において記載されるプロセスは、微生物の培養にクレブシエラ属の種を用いない。
【0018】
エンテロバクター属の株もまた、フコース、ガラクトース、グルコース、及びグルクロン酸を含有するEPSを生産することが報告されている。例には、モノマーが2:2:1:1の比率で存在するEPSを生産するエンテロバクター属種CNCM1−2744(FR2840920);フコースが糖含有量の8〜10%に相当し、主な成分がグルクロン酸である(40〜70%)、10から10の間の分子量を有するEPSを生産する、エンテロバクター属種SSYL(KCTC0687BP)(US2002115158);並びに、それぞれフコースが13〜22%に相当し、マンノース含有量が最大8%である、2×10の分子量を有するEPSを生産する、エンテロバクター・サカザキ(E.sakazakii)株ATCC53017、ATCC29004、及びATCC12868(US4806636)が含まれる。これらの多糖は、糖モノマー及びアシル基の含有量が異なる点で、本発明のポリマーと異なる。さらに、本発明のポリマーは、典型的には10〜10のレベルの高い分子量を有する傾向がある。
【0019】
いくつかのクラビバクター・ミシガネンシス(Clavibacter michiganensis)株は、L−フコースを含有するEPSを生産すると記載されている。このようなEPSは、他の中性糖、例えばガラクトース、グルコース、及び/又はマンノース、並びにアシル基置換基、例えばピルベート、スクシネート、及び/又はアセテートを含有する。クラビバクター・ミシガネンシス亜種ミシガネンシス(C.michiganensis subsp michiganensis)Cm542(NCPPB1064)は、 フコース、ガラクトース、及びグルコース(2:1:1)、並びにピルベート、スクシネート、及びアセテート(1:0.5:1.5)から構成される高分子量のEPS(10〜10)を生産する(van den Bulkら、1991)。本発明のポリマーは、類似の組成を有するが、アシル基の相対的割合が、クラビバクター・ミシガネンシスのEPSと異なる。本発明のポリマーは、高いスクシネート含有量によって、高い陰イオン特性を有する。
【0020】
文献WO2008/127134には、グリセロールに富んだ基質を用いる、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)細菌によるガラクトースに富んだ多糖を生産するためのプロセスが記載されている。それでも、このプロセスにおいて得られたEPSは、残余量のフコース(0〜4%)のみを含有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
これを考慮して、本発明は、微生物の培養、好ましくはエンテロバクター属A47(DSM23139)を用いる微生物の培養によって生産される、高分子電解質特性を有する高分子量のフコース含有バイオポリマー、及びそのプロセスを記載する。前記プロセスによって、低コストの基質を用いて容易な方法で本発明のポリマーを得ることが可能になる。本発明のポリマーは、そのレオロジー、フィルム形成能力、高分子電解質特性、及び乳化凝集能力に起因して、いくつかの産業、例えば農業食品産業、排水処理、及び医薬品産業において用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、主な成分が高分子量多糖(10〜10)であり、そのうち、フコースがその組成の少なくとも10%に相当し、ピルベート、スクシネート、及びアセテートを含むアシル基置換基を有する、バイオポリマーの生産に関するものである。バイオポリマーは、好ましい炭素源としてグリセロール又はグリセロール含有基質を用いる、微生物の培養によって、好ましくはエンテロバクター属A47(DSM23139)細菌によって得られる。
【0023】
したがって、本発明は、エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌株を含む微生物培養物を培養するステップ、及び前記培養物にグリセロールを含む炭素源を供給するステップを含む、ポリマーを調製するためのプロセスを提供する。
【0024】
1.微生物培養物の特徴付け
本発明のフコース含有ポリマーは、シュードモナス属、クレブシエラ属、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、エルウィニア属、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、又はエンテロバクター属の細菌によって、好ましくはブダペスト条約の下で受託番号DSM23139でDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託されたエンテロバクター属A47細菌によって生産される。さらに、本発明において用いられる微生物は、他の態様、すなわち、それぞれ表1及び表2及び図1に示される、生化学的プロフィール、遺伝子配列決定、及び系統樹によって特徴付けされる。
【0025】
本発明において用いられる微生物は、フコース含有ポリマーを合成する能力を有する限り、野生型株、変異体、又は突然変異体であり得る。純粋な培養物、又は、そのうち少なくとも1つがフコース含有ポリマーを生産し得る、好ましくはエンテロバクター属A47(DSM23139)細菌である、いくつかの微生物の混合培養物を用いることができる。
【0026】
2.ポリマーを生産するためのプロセスの特徴付け
本発明のポリマーは、バイオリアクターにおいて、撹拌及び通気した水性培地内で生産される。培養培地は、炭素源、窒素源、及び無機塩を含有する。好ましい炭素源は、グリセロール又はグリセロール含有基質である。それでも、本発明のポリマーを生産するためのプロセスは、 グリセロールに代わる、又はグリセロールと混合した他の炭素源、例えば、糖、アルコール、有機酸、又はアルカン、並びに食品及び産業の廃棄物又は副生成物、例えばバイオディーゼル産業から生じるグリセロール副生成物、糖蜜、ホエー、又はオリーブオイル生産廃棄物の使用を見越したものである。
【0027】
フコース含有ポリマーを生産するためのプロセスは、通気した栄養水性培地内で微生物を培養することに基づく。温度は、15から45℃の間、好ましくは26から37℃の間で制御される。pHは、5.0から9.0の間、好ましくは6.5から7.0の間で制御される。
【0028】
培養の最初に、培養培地における溶解酸素濃度は、70%超に定められる。その後、溶解酸素濃度は、細胞の成長に伴って徐々に低下し、30%未満、又は好ましくは20%未満、又は最も好ましくは10%未満、又はさらに嫌気性条件に制御される。フコース含有ポリマーは、上記の低い溶解酸素濃度と同時に、窒素制限条件下で、例えば、0.3g/L未満の量、又は0.2g/L未満の量、又は0.1g/L未満の量で、又はさらに窒素源なしで、及び炭素利用性条件下で生産される。炭素利用性は、培養物に高グリセロール濃度(>100g/L)を含有する培養培地を供給することによって保証される。このフェドバッチ相の間にこのような培地を添加する流速は、培養物の炭素消費に適合するように調節されなくてはならない。
【0029】
バイオリアクターにおける培養の最後に得られる培養液は、いずれの処理も伴わずに、又は乾燥された後に、直接用いることができる。或いは、フコース含有ポリマーは、沈殿剤(例えば、エタノール、アセトン)を添加することによって培養液から沈殿し得、非変性ポリマーをもたらす。
【0030】
本発明のポリマーの抽出プロセスは、細胞の除去(例えば、培養液の遠心分離による)、その後の、沈殿剤を添加することによるポリマーの沈殿に基づく。ポリマーの精製は、1つ又は複数のさらなるプロセス(例えば、透析)の使用を伴う。
【0031】
バイオリアクターにおける培養条件、ポリマーの抽出/精製に用いる培養時間及び手順に応じて、このプロセスによって、50g/Lの非変性ポリマー又は20g/Lの精製ポリマーが生じる。
【0032】
3.ポリマーの特徴付け
典型的には、本発明のポリマーは、その糖組成の少なくとも10%に相当するフコース含有量を有する。フコース含有ポリマーは、その組成に、他の中性糖、すなわち、グルコース及びガラクトースを有し、微量の(<5%)他の糖、例えばマンノース、ラムノース、アラビノース、フルクトース、グルクロン酸、及び/又はグルコサミンも含有し得る。
【0033】
4.ポリマーの用途
本発明のポリマーは凝集活性及び乳化活性を示し、擬塑性流体の挙動を有する高粘度水性溶液を形成し、他のポリマーと混合されると生分解性フィルムを生産する。したがって、本発明のポリマーは、その多くの用途において、すなわち、農業食品産業、医薬品、及び化粧品において、他の多糖、例えばキサンタン、アルギネート、カラギーナン、グアーガム、及びアラビアゴムに置き換わり得る。さらに、本発明のポリマーにおけるフコースの存在はさらに、医薬品用途及び化粧品用途におけるその使用の可能性を高める。さらに、ピルベート残基及びスクシネート残基の存在によって、ポリマーに陰イオン特性が付与される。その結果、ポリマーは、毒性金属を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の系統樹を表す図である。
【図2】フコース含有ポリマーの水性溶液(0.8%w/v)の見かけの粘度(室温で測定した)を表す図である。
【図3】本発明のポリマーを生産するための培養プロセスの間の、炭素源(グリセロール)及び窒素源(アンモニウム)の消費、バイオマス及びフコース含有EPSの生産の経時的変化を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
1.微生物の特徴付け
フコース含有ポリマーは、エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の培養によって得られる。微生物は、フコース含有ポリマーを合成する能力を有する限り、野生型株、変異体、又は突然変異体であり得る。純粋な培養物を用いることができるか、或いは、少なくとも1つの微生物が本発明のポリマーを生産し得る、混合培養物を用いることができる。
【0036】
本発明のポリマーを得るために好ましい微生物は、以下に記載の特性を有するエンテロバクター属A47(DSM23139)細菌である。微生物の生化学的及び遺伝的特徴付けを、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)によって行った。
【0037】
1.1.エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の形態学的特徴付け
エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌は、0.7〜0.8μm×1.2〜2.5μmの寸法を有する桿菌である。これは、グラム陰性運動性細菌である。
【0038】
1.2.エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の生化学的プロフィール
エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌は、エンテロバクター属に典型的な以下の生化学的プロフィールを有する(表1)。
【表1−1】


【表1−2】

【0039】
1.3.エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の16SrDNA遺伝子配列
エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の16SrRNA遺伝子配列(表2)を、PCR増幅した16SrDNAの直接的な配列決定によって決定した。ゲノムDNA抽出、16SrDNAのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)介在性の増幅、及びPCR産物の精製を、Raineyら(1996)によって記載されているように実施した。精製されたPCR産物を、製造者のプロトコルで指示されているように、CEQ(商標)DTCS−Quick Start Kit(Beckman Coulter)を用いて配列決定した。配列決定反応物を、CEQ(商標)8000 Genetic Analysis Systemを用いて電気泳動した。得られた配列データを、アラインメントエディターae2(Maidakら、1999)に入れ、手動でアラインし、エンテロバクター科(Enterobacteriaeceae)に属する生物の代表的な16SrRNA遺伝子配列と比較した(Maidakら、1999)。比較のために、16S配列を、EMBLデータベース、RDPデータベース、又はDSMZデータベースから得た。
【表2】

【0040】
1.4.エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の系統樹
エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の系統樹を、ARBパッケージ(Pruesseら、2007)を用いて構築した。進化距離の値に基づいて、Saitou及びNei(1987)のコレクションを用いて、系統樹を近隣結合法によって構築した(Jukes and Cantor、1969)。系統樹の根を、クレブシエラ・ニューモニエの16SrRNA遺伝子配列を分析に含めることによって決定した。系統樹の下のスケールバーは、100ヌクレオチド当たり1ヌクレオチドの置換を示す。
【0041】
エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の16SrDNA遺伝子配列は、エンテロバクター・ピリヌス(Enterobacter pyrinus)細菌(98.3%)、エンテロバクター・ホルメシェイ(Enterobacter hormaechei)(99.0%)、及びエンテロバクター・アスブリエ(Enterobacter asburiae)(98.9%)と最も高い類似性を示す。既知の種内の所与の微生物を同定するための基準は、その種の標準株と少なくとも>90%、又は理想的には>99.5%の類似性を有すると定義される(Janda and Abbott、2007)。
【0042】
これを考慮して、本発明のポリマーを生産するためのプロセスにおいて用いられる微生物培養物は、遺伝子操作、突然変異、変異によって得られる、又は天然から直接的に得られる、表2に従ったエンテロバクター属A47(DSM23139)の配列番号1と少なくとも99.0±0.5%の類似性を共有する、あらゆる微生物であり得る。
【0043】
2.ポリマーを生産するためのプロセスの特徴付け
本発明のポリマーは、pH及び温度を制御した、撹拌及び通気したバイオリアクターにおいて生産される。ポリマーを生産するためのプロセスは、炭素源、窒素源、及び無機塩を含有する栄養水性培地において微生物をインキュベートすることによって開始される。このプロセスは、初期バッチ相とその後のフェドバッチ相とを包含し、このフェドバッチ相の間に、無機培地がバイオリアクター内に導入される。
【0044】
2.1.培養培地
フコース含有ポリマーを生産するための培養培地は、炭素源、窒素源、及び無機塩を含有する栄養水性培地から構成される。
【0045】
2.1.1.炭素源
好ましい炭素源は、グリセロール及びグリセロール含有混合物である。或いは、炭素源は、単糖、二糖、若しくはオリゴ糖、アルコール、有機酸、アルカン、又は言及した化合物の2つ以上を含有する混合物であり得る。
【0046】
炭素源はまた、上記で言及した化合物の1つ又は複数を含有する、食品又は産業の廃棄物又は副生成物、例えば、バイオディーゼル産業から生じるグリセロール副生成物、糖蜜、ホエー、又はオリーブオイル廃棄物であり得る。バイオディーゼル産業から生じるグリセロール副生成物は、主に不純なグリセロールから構成され、産業プロセスから生じるいくつかの他の汚染物質(例えば、NaOH、ファットオイル、一部のエステル、硫黄、タンパク質、及び無機物)の他に、様々な量のメタノール(5〜50%)を含有する。糖蜜は、糖(スクロース、グルコース、及びフルクトース)に富んだ(>50%)、糖精製所の副生成物である。ホエーは、主にラクトースから構成される、チーズ産業の副生成物である。オリーブオイル廃棄物の有機画分には、糖、タンニン、ポリフェノール、ポリアルコール、ペクチン、及び脂質が含まれる。組成に糖、アルコール、有機酸、及び/又は脂質などの化合物を有する他の食品又は産業の廃棄物及び副生成物は、微生物培養及びフコース含有ポリマーの生産のための基質として用いることができる。
【0047】
本発明に従ったフコース含有ポリマーを生産するためのプロセスにおいて、炭素源は、細胞の成長のための適切な供給のために、バッチ相の間、水性栄養培地の2から10%(w/v)の間に相当しなくてはならない。その後のフェドバッチ相の間、炭素源は、ポリマー合成のための炭素利用性を保証するために、0.1%(p/v)超、好ましくは0.5(p/v)超に維持されるべきである。
【0048】
2.1.2.窒素源
微生物培養のための窒素源は、無機塩(例えば、(NHHPO、NHOH、(NHSO、NHCl)若しくは有機窒素化合物(例えば、尿素、アミノ酸)、その混合物、又は窒素化合物を含有する食品若しくは産業の廃棄物若しくは副生成物(例えば、大豆粉、酵母抽出物、小麦ふすま)であり得る。
【0049】
フコース含有ポリマーを生産するためのプロセスにおいて、窒素源は、バッチ相の間、細胞の成長を確実にするために、0.6から3.0g/Lの間の初期濃度を有していなくてはならない。その後のフェドバッチ相の間、窒素源は、0.3g/L未満、好ましくは0.1g/L未満に維持されなくてはならず、したがって、窒素制限を生じさせる。したがって、フェドバッチの間、細胞の成長は、炭素利用性と同時に、フコース含有ポリマーの合成を誘発する窒素制限によって、限定又は制限される。
【0050】
2.1.3.無機塩
培養培地はまた、わずかな量の金属陽イオン、すなわち、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、銅、及び亜鉛を含む。これらの陽イオンのそれぞれは、特にpH調整のために大量に存在し得るナトリウムを除いて、0.001から100mMの間の濃度で培養培地内に存在しなくてはならない。
【0051】
2.2 培養条件
バイオリアクターでの培養は、圧縮空気を通気した上記の水性栄養培地に微生物を接種することによって開始される。接種材料の容量は、培養の最初の全反応培地の10から30%の間に相当すべきである。
【0052】
培養の間を通して、温度は、15から45℃の間、好ましくは26から37℃の間で制御され、pHは、5.0から9.0の間、好ましくは6.5から7.0の間で制御される。
【0053】
溶解酸素濃度は、培養の最初には高く(>70%)、バッチ相の間に、細胞の成長に伴って徐々に低下する。フェドバッチ相の間、溶解酸素濃度は、30%未満、好ましくは10%未満、又はさらに嫌気性条件下に制御される。気流の速度は、0.1から2.0vvmの間で一定に維持され得、0から2000rpmの間、好ましくは400から800rpmの間の撹拌スピードの自動変化によって制御される溶解酸素濃度となる。或いは、気流の速度は、培養の間を通して、一定の撹拌速度を維持しながら、0から2.0vvmの間で変化し得る。フェドバッチ相の間の溶解酸素濃度はまた、基質の添加によっても制御することができる。このケースでは、撹拌スピード及び気流の速度の両方は、それぞれ、0から2000rpmの間及び0から2.0vvmの間で一定に維持され得る。
【0054】
ポリマー合成はバッチ相の間に開始されるが、ポリマー合成は、バイオリアクターに課された窒素制限に起因して細胞の成長が滞るか又は停止すると、主にフェドバッチ相の間に生じる。フェドバッチ相の間、栄養培地がバイオリアクター内に導入され、このバイオリアクターは、炭素利用性及び窒素制限の条件を生じさせた。この相における窒素濃度は、0.3gN/L未満、好ましくは0.1gN/L未満に維持される。これらの条件下で、細胞の成長は制限され、ポリマーは、培養物による炭素の消費に適合する炭素利用性がある限り、生産される。
【0055】
バイオリアクターにおけるポリマー合成は、4〜7日間にわたり、すなわち、培養液が粘性となりすぎて、酸素、温度、及び栄養の均質な分布を維持することが不可能となる時点まで、維持され得る。この状況は、培養液の見かけの粘度が約2.0Pa・sに達する(30℃、5s−1のせん断率で測定される)と生じる。
【0056】
或いは、本発明のポリマーの生産は、連続プロセス又は反復フェドバッチプロセスで維持され得る。連続プロセスでは、栄養培地は、バイオリアクターに連続的に導入され、同様に連続的に除去されるポリマーを含有する培養液である。反復フェドバッチプロセスでは、上記のバイオリアクター操作モード(初期バッチ相と、その後のフェドバッチ相)は、周期的に反復される。残った培養液容量の約10〜30%はバイオリアクター内にあり、その後のサイクルのための接種材料として役立つ。これらの2つの代替的なバイオリアクター操作モードによって、非生産期間、すなわち、新たな接種材料及びバイオリアクターの調製が除外されるため、プロセスが最適化される。
【0057】
2.2.培養生成物の抽出及び精製
培養の最後に得られる培養液は、いかなる処理も伴わずに、直接用いることができる。或いは、未加工ポリマーを、最大80℃の温度で培養液を乾燥することによって、又は凍結乾燥によって得ることができる。
【0058】
或いは、非変性形態のポリマーを、好ましくは沈殿によって、培養の最後に培養液から回収することができ、これは、ポリマーが不溶性である水混和性溶媒、例えば、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)、又はケトン(例えば、アセトン)を添加することによって達成することができる。フコース含有ポリマーは、培養液1リットル当たり1〜3容量の沈殿剤を添加することによって沈殿する。ポリマーは、細胞、タンパク質、塩、及び沈殿剤に不溶性の他の培養液成分と共に共沈殿する。沈殿したポリマーは、最大80℃の温度で乾燥することができるか、又は、凍結乾燥することができる。この非変性ポリマー、並びに培養液及び上記の未加工ポリマーは、例えば排水処理又は動物試料などの用途で用いることができる。
【0059】
別の抽出手順では、本発明のポリマーは、遠心分離(10000〜20000rpm、30〜60分間)による細胞の除去と、その後の沈殿剤(培養液1リットル当たり1〜3リットルの沈殿剤)の添加とを含むプロセスにおいて、部分的に精製され得る。沈殿剤は、上記の溶媒のいかなるもの(例えば、エタノール、イソプロパノール、アセトン)でもあり得る。
【0060】
培養液は、培養の最後には高粘度であり、したがって、細胞の分離は、遠心分離の前に培養液を希釈する(培養液1リットル当たり1〜4リットルの脱イオン水を添加する)ことによって容易にされる。沈殿したポリマーは、最大80℃の温度で乾燥することができるか、又は、凍結乾燥することができる。この半精製ポリマーは、いくつかの用途、例えば、とりわけ農業食品産業、化粧品産業、製紙産業、塗装産業、又は石油産業などで用いることができる。
【0061】
純粋なポリマーは、以下の方法の1つ又は複数をさらに用いて得ることができる。
1)希釈された半精製ポリマー水性溶液(0.1〜5.0g/L)からポリマーを再沈殿させ、行った再沈殿の数と共に純度を増大させること、
2)異なる沈殿剤、すなわち、エタノール、アセトン、及び/若しくはイソプロパノール、又はその混合物で連続的な沈殿を行い、各溶媒に可溶性である異なる汚染物質の除去を促進すること、
3)半精製ポリマーを、ポリマーが不溶性である(例えば、ヘキサン)が汚染物質の1つ又は複数を可溶化する溶媒で洗浄すること、
4)タンパク質分解酵素(例えば、トリプシン)を用いること、タンパク質沈殿剤(例えば、トリクロロ酢酸)を添加すること、又は60から80℃の間の温度で加熱することによってタンパク性材料を変性させること、
5)濃度を低減させた(0.1〜5.0g/L)水性の半精製ポリマー溶液を、透析、限外濾過、又はダイアフィルトレーションして、高分子量ポリマーを全ての低分子量汚染物質から分離することで、高純度とすること。
【0062】
これらの手順のいずれかで得られる純粋なポリマーは、最大80℃の温度で乾燥することができるか、又は凍結乾燥することができる。このポリマーが高純度であることによって、ポリマーをとりわけ食品産業、医薬品産業、及び化粧品産業において用いることができる。
【0063】
言及した方法のいくつかの異なる組み合わせは、純度とフコース含有ポリマーの意図された特定の用途とに従って、フコース含有ポリマーの抽出/精製に用いることができる。
【0064】
3.ポリマーの特徴付け
3.1.組成
本発明のポリマーは、主に高分子量多糖(10〜10)によって構成され、全糖含有量の少なくとも10%のフコース含有量を有する。このポリマーはまた、グルコース及びガラクトース(それぞれ全糖含有量の20〜70%及び10〜40%)から構成される。ポリマー、フコース、ガラクトース、及びグルコースにおける言及した糖の相対的な組成は、培養時間及びバイオリアクター操作条件に応じる。
【0065】
さらに、本発明のポリマーはまた、少量の(<5%)他の中性糖、例えば、マンノース、ラムノース、キシロース、リボース、アラビノース、グルクロン酸、及び/又はグルコサミンを有し得る。
【0066】
言及したポリマーは、さらに、ポリマー乾燥重量の最大25%に相当する非糖成分、すなわちアシル基を有する。検出された主なアシル基は、スクシネート、ピルベート、及びアセテートであった。
【0067】
典型的には、アセテート及びピルベートは、ポリマー乾燥重量の0.5から5%の間に相当するが、スクシネートは大量に存在し、通常は、1から20%の間で存在する。各アシル基に関する本発明のポリマーの組成は、リアクター操作条件及び培養時間に応じる。ピルベート残基及びスクシネート残基の存在によって、陰イオン特性がポリマーに付与される。その結果、ポリマーは毒性金属を固定し得、汚染された土壌及び水からの毒性金属(重金属及び放射性ヌクレオチド)の除去でのポリマーの利用が可能になる。
【0068】
抽出/精製方法に応じて、得られるポリマーは、フコース含有ポリマーの他に、培養液内に存在する他の成分、すなわちタンパク質及び無機化合物を含有し得る。これらの成分の最大含有量は、非変性ポリマー(タンパク質の15〜30%及び無機化合物の25〜40%)において検出されたが、最少量(<1%)は、透析によって得られた精製ポリマーにおいて検出された。
【0069】
3.2.ポリマーの平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される、精製されたポリマーの平均分子量は、10〜10の範囲である。通常、ポリマーの生産が微生物の成長相の間に開始する場合、その平均分子量は約10であり、培養の実行の間に、10〜10の範囲の比較的一定な値まで経時的に増大する。
【0070】
3.3.ポリマーの特性
3.3.1.溶解度
本発明のポリマーは、周囲温度の、とりわけアセトン、イソプロパノール、DMSO、ヘキサン、ジエチルエーテル、キシレン、及びテトラクロロエチレンを含む広範な有機溶媒に不溶性である。ポリマーのこの特性によって、分離プロセスにおいて用いる溶媒耐性膜の調製におけるその利用が可能になる。しかし、ポリマーが一部の有機溶媒、とりわけテトラクロロエタンに可溶性であることが観察された。
【0071】
本発明のポリマーは、試験対象の有機溶媒と接触しても安定であり、これらの溶媒に曝露された後、糖の構成成分及びアシル基に関してその組成を維持する。さらに、平均分子量もまた影響を受けなかった。
【0072】
3.3.2.ポリマー水性溶液の粘度
本発明のポリマーと共に調製された水性溶液は、ニュートン流体ではなく、擬塑性流体の挙動を示す(図2)。0.8%(w/v)ポリマー溶液の見かけの粘度は、25℃で測定すると、5s−1のせん断速度では0.21Pa・sであり、500s−1のせん断速度では0.02Pa・sまで低下する。粘度はせん断速度が低下するとすぐに回復するため、ヒステリシス現象は観察されない。ポリマー溶液の擬塑性流体の挙動によって、この材料に、水性系の物理的特性を変化させる能力、並びに主に食品産業、医薬品産業、及び化粧品産業において増粘剤及びテクスチャー増強剤として利用される可能性が付与される。
【0073】
ポリマー水性溶液の見かけの粘度は、温度が上昇すると低下するが、擬塑性流体の挙動は維持される。5s−1のせん断速度で測定される、0.8%(w/v)ポリマー溶液の見かけの粘度は、15℃で0.32Pa・sであり、65℃で0.05Pa・sまで低下する。
【0074】
連続的な加熱ステップ及び冷却ステップのサイクルを行って、精製EPS溶液の動的及び静的なせん断特性に対する連続的な加熱段階及び冷却段階の効果を研究した。25℃での機械的スペクトル及び定常状態のデータを記録した後、同一の試料を40、55、70、及び80℃まで加熱した。各サイクルの最後に25℃で記録された見かけの粘度及び動的係数(G’及びG”)が実質的に一致することが観察された。このことから、本発明者らは、ポリマー試料が温度変動の下で非常に安定であり、80℃までの温度上昇に曝露された後に、25℃での連続的な振動試験及び定常状態試験においてその特性を維持すると結論付けることができる。これらの特性から、本発明者らは、ポリマーを、処理の間に温度変動を受ける水性製剤(例えば、食品)において用いることができると考える。
【0075】
粘弾特性に関して、フコースを含有するポリマーの水性溶液は、粘性液体の挙動を示す(研究した頻度の全範囲においてG”>G’)。試験した条件下ではゲルの形成は検出されなかった。
【0076】
3.3.3.乳化活性
本発明のポリマーは乳化活性を有し、これは、ポリマーが、疎水性化合物、例えば油(例えば、オリーブオイル、パラフィン)及び炭化水素(例えば、ヘキサン、トルエン)において水滴のエマルジョンを安定化させ得ることを意味する。したがって、ポリマーは、生物乳化剤又は安定剤として用いることができ、広範な用途、例えば、石油産業、洗剤産業、織物産業、製紙産業、塗装産業、化粧品産業、医薬品産業、及び食品産業において合成乳化剤に代わる可能性を有する。
【0077】
乳化活性は、精製ポリマーに限定されない。他の形態、すなわち、未処理、非変性、及び半精製の形態が、疎水性化合物において水のエマルジョンを安定化させる能力を有することが明らかにされている。この能力は、いくつかの炭化水素(例えば、ヘキサデカン、ヘキサン、トルエン、及びキシレン)及び油(オリーブオイル及びパラフィン)と組み合わせて、0.05から1.5%の間の濃度の本発明のポリマーの溶液を用いて検証された。形成されたエマルジョンは、数週間にわたり、非常に安定であった。さらに、これらは、温度に対して非常に安定であることを示し、周囲温度から40、50、60、及び100℃までの加熱に耐性である。
【0078】
3.3.4.凝集活性
本発明のポリマーは顕著な凝集活性も示し、天然の生物凝集剤として用いることができる。凝集剤は、細胞及びコロイドの凝集の促進において有用であり、廃水及び飲用水の処理並びに食品などの産業用途において広く用いられる。本発明のポリマーの生分解性及び安全性は、ヒトの健康にとって危険であり環境での分解が困難な合成凝集剤よりも有利である。
【0079】
周囲温度及び中性pHでは、本発明のポリマーの凝集活性は、0.1から0.8%(w/v)へのポリマー濃度の上昇に伴って、70から60%に低下する。この凝集活性を、市販の多糖、すなわち、キサンタン、アルギネート、グアーガム、及びカルボキシメチルセルロースの凝集活性と比較した。本発明のポリマーは、良好な凝集剤であり、同一のポリマー濃度で、市販の商品の性能と類似の性能を有することが明らかにされた。
【0080】
3.3.5.生分解性フィルムの調製
フコースを含有するポリマーは、他のバイオポリマー、例えばデンプン、ペクチン、アルギネート、カラギーナン、グルテン、ジェラン、及びキトサンと混合することによって、生分解性の複合フィルムの生産に用いることができる。これらのフィルムは、有機溶媒の処理材料及び包装材料における膜として利用することができる。
【0081】
多糖、例えば、キトサン、デンプン、及びグアーガムは、薬剤の制御放出について、ミクロスフェアの調製物において試験されている。本発明のポリマーはさらに、単独で、又は他のバイオポリマーと混合して、その目的のために用いることができる。
【0082】
4.本発明のポリマーの用途
本発明のポリマーは、乳化活性及び凝集活性を示し、擬塑性流体の挙動を有する高粘度の水性溶液を形成する。その結果、このポリマーは、広範な用途において、すなわち、食品産業、医薬品産業、及び化粧品産業における増粘剤、テクスチャー増強剤、又は結合剤として、キサンタン、アルギネート、グアーガム、及びアラビアゴムのような他の多糖に代わり得る。
【0083】
フコースを含有するポリマーは、他のバイオポリマー、例えば、デンプン、ペクチン、アルギネート、カラギーナン、グルテン、ジェラン、及びキトサンと混合することによって、生分解性の複合フィルムの生産に用いることができる。これらのフィルムは、気体(酸素及び二酸化炭素)に対する浸透性が低いことを考慮して、有機溶媒の処理(例えば、パーベーパレーションによる溶媒の脱水)材料における、及び食品の包装のような包装材料における膜として利用することができる。
【0084】
フコースを含有するポリマーはまた、物理的処理(例えば、マイクロ波、熱、放射線照射、及び超音波処理)、化学的プロセス(例えば、酸による加水分解)、酵素処理(例えば、加水分解酵素及びリガーゼを用いる)、又は生物学的プロセス(ポリマーを分解し得る微生物作用物質を用い、炭素源としてフコースを除く全ての糖を用いる)を適用することによって元のポリマーから得られるオリゴ糖の源として用いることができる。単離された、又は共に混合された、得られたフコース及びフコオリゴ糖、並びに元のポリマーは、いくつか例をあげると、医療用途において抗発癌剤及び抗炎症剤として、関節リウマチの治療において、優れた可能性を有する(Vanhooren及びVandamme、1999;Peterszegiら、2003b)。さらに、組成にフコースが存在するため、本発明のポリマーはまた、化粧品において水和用添加物及び抗老化用添加物として用いられる可能性が高い(Peterszegiら、2003a)。
【実施例】
【0085】
(例1)
バイオディーゼル産業から生じるグリセロール副生成物を用いる、エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の培養によるフコース含有ポリマーの生産
エンテロバクター属A47(DSM23139)の培養物を、表3に示す組成を有する8Lの培養培地に接種した。バイオリアクター(BioStat B−plus、Sartorius)を以下の条件下で操作した:30℃で制御された温度、6.80±0.05で制御されたpH、1MのNaOHの自動添加、及び1.6L/分(0.2vvm)の一定の通気速度。微生物の成長が起こるにつれ、溶解酸素の濃度は、培養の実行の最初の80%の飽和から、1日後に、約20%に低下した。
【0086】
その瞬間から、連続的な供給(約20mL/時間)をリアクター内に導入した。 その組成は表3に示すものであったが、グリセロール濃度は異なっていた(200g/L)。これらの操作条件は、発酵培養液における窒素濃度を制限し(0.1gN/L未満)、同時に、炭素源の良好な利用性を可能にした。
【表3】

【0087】
溶解酸素濃度は徐々に低下し、2日間培養した後に10%の飽和に達した。この時点から、溶解酸素濃度は、400から800rpmの間の撹拌スピードの自動変化によって10%未満に制御された。これらの条件下で1日後、発酵培養液の粘度は迅速に増大し、これはポリマーの生産に関連していた。
【0088】
4日間の培養の最後に、ポリマー濃度は、半精製された形態で抽出及び定量されたポリマーを参照すると、ほぼ13.3g/Lであった(図3)。発酵培養液の粘度は、ポリマーの生産が停止したにもかかわらず、4日目と7日目との間で顕著に増大した。生産性は、1日当たり3.6gL−1の値に達し、グリセロールからの収量は、ポリマーの生産が生じる期間を考慮して(1日目から4日目)、0.47gg−1であった。
【0089】
培養の実行を、発酵培養液の粘度が5s−1のせん断率及びT=30℃で3.0Pa・sに達した7日目に停止した。
【0090】
(例2)
グリセロール副生成物からエンテロバクター属A47(DSM23139)によって生産されるフコース含有ポリマーの抽出及び精製
例1において記載した培養の実行の最後に、フコースを含有するポリマーを、様々な純度の3つの異なる生産物の形態で、すなわち、非変性ポリマー、半精製されたポリマー、及び精製されたポリマーの形態で、発酵培養液から回収した。
【0091】
非変性ポリマーは、アセトンを発酵培養液に直接添加して(3:1)得た。非変性ポリマーの濃度は20.6g/Lであった。
【0092】
半精製されたポリマーを得るために、発酵培養液を最初に希釈して粘度を低減させ(1Lの発酵培養液に2Lの脱イオン水)、次に、バイオマスを遠心分離 (20000rpm、30分間)によって分離した。その後、無細胞上清を、穏やかに撹拌しながら、アセトンにゆっくりと添加し(1:3)、ポリマーの沈殿を促進した。沈殿物を脱イオン水に溶解し、凍結乾燥した。半精製されたポリマーの濃度は11.6g/Lであった。
【0093】
精製されたポリマーを得るために、半精製されたポリマーの水性溶液を、脱イオン水と接触させながら、3500MWCO膜(SnakeSkinTM Pleated Dialysis Tubing 68035 − Thermo Scientific)を用いて、24時間の間透析することによって処理した。アジ化ナトリウムを添加して(6ppm)、微生物によるポリマーの分解を防いだ。 その後、アセトンを添加してポリマーを沈殿させ、水に再溶解させ、凍結乾燥した。精製されたポリマーの濃度は5.5g/Lであった。
【0094】
代替的に、ポリマーは、以下の方法によって抽出/精製することができる:発酵培養液の希釈及び遠心分離によるバイオマスの分離;部分的なポリマー分解によるものであり得る、上清内に存在する酵素の、60℃で1時間にわたり加熱することによる不活化;脱イオン水と接触させての上清の透析及び最後の凍結乾燥。この方法では、5.0g/Lの精製されたポリマーが回収された。
【0095】
(例3)
エンテロバクター属A47(DSM23139)によって生産されるフコース含有ポリマーの化学的分析
例1において記載したように生産され、例2において記載したように抽出されたポリマーを、Freitasら(2009)において記載されている方法を用いて、その化学的組成に関して、すなわち、その糖組成、アシル基の含有量、及び非糖残基(タンパク質及び灰分)の量に関して特徴付けした。全ポリマー純度(非変性、透析により半精製されたもの、及び精製されたもの)の化学的組成を、培養の実行の間、経時的に分析した。
【0096】
1日培養した後、ポリマーは主にグルコース(77%)及びガラクトース(15%)によって構成されており、フコース(6%)の量は少なかった。培養が進むにつれ、これらの糖モノマーの相対的割合は顕著に変化し、すなわち、グルコース含有量は4日目の40%まで徐々に低下し、ガラクトース及びフコースの相対量はそれぞれ26%及び28%まで増大した。
【0097】
糖の組成は、操作の最後の3日間、実質的に一定であった(グルコース40〜44%、フコース26〜30%、ガラクトース28〜29%)。
【0098】
アシル基の相対的割合の経時的な変化も観察された。これは、1日目の2.4%スクシネート、0.2%ピルベート、及び0.3%アセテートから、4日目の20%スクシネート、2.4%ピルベート、及び2.0%アセテートまで変化した。その後、7日目には、スクシネート含有量が3.9%まで低下し、同時にピルベート(4.9%)及びアセテート(3.6%)が増大したことが観察された。
【0099】
糖及びアシル基の構成要素に関する組成は、純度が異なるポリマーで類似している。タンパク質及び灰分のケースではこのことは起こらない。これらの成分の含有量は、非変性ポリマーから半精製されたポリマーで低下し、半精製されたポリマーから精製されたポリマーで低下する。
【0100】
(例4)
異なる温度及びpHの下での、バイオディーゼル産業から生じるグリセロール副生成物を用いる、エンテロバクター属A47(DSM23139)細菌の培養によるフコース含有ポリマーの生産
エンテロバクター属A47(DSM23139)の培養物を、表4に従った、異なる値の下で制御された温度及びpHを除いて、例1において記載したように、2Lのバイオリアクターにおいて培養した。各実行の最後に、ポリマーを、例2において記載したように回収した。
【表4】

【0101】
細胞の成長、ポリマーの生産、及び生産性を最大にする条件は、25から34℃の間の温度、及び6.5から7.5の間に制御されたpHであることが明らかになった(表5)。さらに、これらの温度及びpHの範囲内では、ポリマーのフコース含有量は最大であった。これらの範囲外では、培養物は、異なる組成を有するポリマー、例えば、フコース含有量が低減し(<14%)、同時にグルコース含有量が増大し(>50%)、且つ新たなモノマー(例えば、ラムノース及びグルコサミン)が主な成分として加わった(それぞれ最大20%及び最大10%)ポリマーを合成した。グルクロン酸もまた、これらのポリマーにおいて最大15%の含有量で検出された。アシル基含有量もまた、培養の間の温度及びpHによって影響され、ポリマーの乾燥質量の10%未満のレベルまで低減した。
【0102】
(参考文献)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
フコース含有多糖から構成されることを特徴とするポリマーであって、炭素源としてグリセロール又はグリセロール含有混合物を用いる、受託番号DSM23139のエンテロバクター属(enterobacter)A47細菌の培養によって得られる、フコースが全糖質含有量の少なくとも10%を占め、アシル基がポリマー乾燥重量の最大25%に相当する上記ポリマー。
【請求項2】
ポリマーを調製するための方法であって、
a)撹拌及び通気したバイオリアクターにおいて微生物培養物を培養するステップ、
b)前記培養物にグリセロール又はグリセロール含有混合物を含む炭素源、窒素源、及び無機塩を供給するステップ、
c)細菌を接種するステップ、
d)ポリマーを合成するステップ、
d)ポリマーを抽出するステップ、
e)精製ステップ
を含む、上記方法。
【請求項3】
微生物培養物がシュードモナス属(pseudomonas)、クレブシエラ属(klebsiella)、メチロバクテリウム属(methylobacterium)、エルウィニア属(erwinia)、アルカリゲネス属(alcaligenes)、又はエンテロバクター属(enterobacter)の間から選択される、好ましくはエンテロバクター属(enterobacter)A47DSM23139細菌による、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a)細菌培養培地における最初の溶解酸素濃度が70%超であり、
b)培養液における溶解酸素濃度が30%に達すると、窒素源を0.3g/L未満、又は0.2g/L未満、又は0.1g/L未満の量、又はさらに窒素源なしに限定したまま、且つ微生物による炭素源の消費速度に適合するように炭素源を供給しながら、前記溶解酸素濃度が30%未満のレベル、又は20%未満のレベル、又は10%未満のレベル、又はさらに嫌気性条件に制御される、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
初期バッチ相とその後のフェドバッチ相とを含み、前記フェドバッチ相の間に、無機培地がバイオリアクター内に導入される、請求項2から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
培養ステップの温度が15から45℃の間であり、pHが5.0から9.0の間である、請求項2から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
培養ステップの最後の培養液が最大80℃の温度で乾燥されるか、又は凍結乾燥される、請求項2から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抽出ステップの後の培養液が、培養液1リットル当たり1〜3容量の沈殿剤を添加することによって沈殿する、請求項2から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマーがさらに、とりわけ透析技術、限外濾過技術、又はダイアフィルトレーション技術によって精製される、請求項2から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
接種材料の容量が、培養の最初の全反応培地の10から30%の間である、請求項2から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
炭素源が、食品又は産業の廃棄物又は副生成物である、請求項2から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
炭素源が、バッチ相の間、水性栄養培地の2から10%(w/v)の間であり、フェドバッチ相において0.1%(p/v)超である、請求項2から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
窒素源が、バッチ相の間、0.6から3.0g/Lの間の初期濃度を有し、フェドバッチ相において0.3g/L未満である、請求項2から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項2から13までのいずれか一項に記載の方法によって得られる、10〜10の平均分子量を有するポリマーであって、全糖質含有量の少なくとも10%の量のフコースを含み、アシル基がポリマー乾燥重量の最大25%に相当する、上記ポリマー。
【請求項15】
アシル基がスクシネート及び/又はピルベート及び/又はアセテートである、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
全糖質含有量の20%〜70%の間の量のグルコース及び10〜40%の間の量のガラクトースを含む、請求項14又は15に記載のポリマー。
【請求項17】
アシル化化合物が、ポリマー乾燥重量の最大20%の量のスクシネート、最大5%の量のピルベート及び/又はアセテートを含む、請求項14から16までのいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項18】
水性培地における擬塑性流体の挙動、並びに最大80℃の温度、3〜10の間のpH、及び最大20%NaClのイオン強度の下で安定な粘度を有する、請求項14から17までのいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項19】
有機溶媒に不溶性である、請求項14から18までのいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項20】
植物油及び鉱油並びに炭化水素などのいくつかの疎水性化合物に対してエマルジョンを形成する能力及び安定化する能力を有し、最大100℃の温度までの加熱に対して安定なエマルジョンである、請求項14から19までのいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項21】
凝集活性を有する、請求項14から20までのいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項22】
請求項14から21までのいずれか一項に記載のポリマーを含む、フィルム、被覆、及び包装。
【請求項23】
請求項14から21までのいずれか一項に記載のポリマーを含む、生分解性の複合フィルム。
【請求項24】
請求項14から21までのいずれか一項に記載のポリマーを含む、薬剤の制御放出のためのミクロスフェア。
【請求項25】
請求項14から21までのいずれか一項に記載のポリマーを含む、医薬品製剤及び/又は化粧品製剤。
【請求項26】
農業食品産業、医薬品産業及び化粧品産業、並びに/又は廃棄物処理における、請求項14から21までのいずれか一項に記載のポリマーの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−513397(P2013−513397A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543959(P2012−543959)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055746
【国際公開番号】WO2011/073874
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(512156590)
【Fターム(参考)】