説明

フッ素不含複素芳香族光酸発生剤およびそれを含有するフォトレジスト組成物

【課題】フッ素不含複素芳香族光酸発生剤およびそれを含有するフォトレジスト組成物を提供すること。
【解決手段】フッ素不含光酸発生剤およびフッ素不含光酸活性剤を含有するフォトレジスト組成物は、PFOS/PFAS光酸発生剤含有フォトレジストの代替例として使用可能である。光酸発生剤は、フッ素不含複素芳香族スルホン酸陰イオン成分の存在によって特徴付けられる。光酸発生剤は、好ましくはオニウム陽イオン成分を含有し、より好ましくはスルホニウム陽イオン成分を含有する。フォトレジスト組成物は、好ましくは酸感受性画像形成ポリマーを含有する。この組成物は、193nm(ArF)画像形成放射線を使用して材料パターンを形成するのに、特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体製造の分野において、光リソグラフィは、半導体デバイスをパターニングするのに使用される主流の手法であった。典型的な従来技術のリソグラフィ・プロセスでは、特定の回路パターンを画定するマスクを通して、感光性樹脂(フォトレジスト)の薄層でコーティングされたシリコン・ウェーハに紫外線を投影する。紫外線への露光の後、引き続きベーク処理を行うと光化学反応が誘発され、フォトレジストの露光領域の溶解性が変化する。その後、適切な現像液、通常は水性ベースの溶液を使用して、露光領域(ポジ型フォトレジスト)または非露光領域(ネガ型フォトレジスト)のフォトレジストを選択的に除去する。次いでこのように画定されたパターンを、乾式または湿式エッチング・プロセスを用い、フォトレジストにより保護されていない領域をエッチング除去することによって、シリコン・ウェーハ上にインプリントする。
【背景技術】
【0002】
従来技術で用いられたフォトレジストの1つのタイプは、酸触媒を使用する化学増幅型フォトレジストである。例えば、典型的な従来技術の化学増幅型フォトレジストは、酸感受性ポリマーおよび光酸発生剤(photoacid generator)を流延溶液(casting solution)に溶解することによって配合される。化学増幅型フォトレジストは、波長が150〜315nmの深紫外線および例えば波長が350〜450nmの中間紫外線(mid-UVradiation)を含めた比較的短い波長の放射線を用いるときに、特に有用である。より短い波長は、典型的には解像度を上げるのに望ましく、したがって半導体デバイスのフィーチャ・サイズを縮小するが、より少ない光子が所与のエネルギー線量で放射される。
【0003】
したがって、化学増幅型フォトレジストを用いない限り、フォトレジストの十分な光化学応答を得るのに紫外線を使用する場合は、より高い露光線量が典型的には求められる。化学増幅型フォトレジストでは、酸感受性側鎖基がポリマー主鎖に結合しているので、ベース・ポリマーの酸感受性が存在する。そのようなフォトレジストを放射線で露光した場合、光酸発生剤は、フォトレジストが加熱されたときに酸感受性側鎖基の触媒的開裂を引き起こす酸を生成する。このように発生した単一の酸触媒分子は、多数の側鎖基を開裂させることが可能であってもよく、したがって、必要とされる光化学応答に対してより低い露光線量が可能になる。
【0004】
ArFレーザ光源の強度が比較的低く、ArFフォトレジストの酸に不安定な部分の結合エネルギーが比較的高いため、非常に高い感受性を有するより強力なブレンステッド酸を生成することができる光酸発生剤が、商用リソグラフィでそのような化学増幅を実現するのに好ましい。パーフルオロ化(perfluoronated)オクチルスルホネート(PFOS)やパーフルオロ化アルキルスルホネート(PFAS)などのフッ素含有オニウム塩は、1つには強酸の発生をもたらすので、一般にArFフォトレジスト系の光酸発生剤として使用することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国公開特許出願第20060216643A1号
【特許文献2】米国特許第7087356号
【特許文献3】米国特許第7063931号
【特許文献4】米国特許第6902874号
【特許文献5】米国特許第6730452号
【特許文献6】米国特許第6627391号
【特許文献7】米国特許第6635401号
【特許文献8】米国特許第6756180号
【特許文献9】米国特許第4,855,017号
【特許文献10】米国特許第5,362,663号
【特許文献11】米国特許第5,429,710号
【特許文献12】米国特許第5,562,801号
【特許文献13】米国特許第5,618,751号
【特許文献14】米国特許第5,744,376号
【特許文献15】米国特許第5,801,094号
【特許文献16】米国特許第5,821,469号
【特許文献17】米国特許第5,948,570号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chapters 12および13,"Semiconductor Lithography, Principles, Practices, and Materials",Wayne Moreau, Plenum Press, (1988)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、マイクロエレクトロニクス産業では、PFOSやPFASなどの過フッ素化(perfluorinated)炭素(PFC)の使用をなくすことが求められている。したがって、リソグラフィ・プロセスの性能に悪影響を及ぼすことなく使用することができる、代替の光酸発生剤を見出すことが求められている。耐エッチング性を改善するために、および高開口数(NA>0.95)画像形成プロセスのプロセス寛容度(latitude)を改善するために、フォトレジスト中のフッ素含量を最小限に抑えまたはなくすことも求められている。
【0008】
過フッ素化炭素含有光酸発生剤を使用しないフォトレジスト配合物を開発するために、いくつかの試みがなされてきたが、これらはPFOSを使用した配合物と同等の性能を実現するのにほとんど成功しなかった。したがって、フォトレジスト組成物中のPFCまたはフッ素あるいはその両方が著しく減少しまたは回避された、新しくかつ改善された光酸発生剤および化学増幅型フォトレジスト組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フッ素不含光酸発生剤およびフッ素不含光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物を提供する。本発明の光酸発生剤は、この産業で現在使用されているPFC含有光酸発生剤の実現可能な代替例を提供する。本発明は、優れた光学的透明度、熱安定性およびリソグラフィ性能を示す、フッ素不含光酸発生剤を含有したフォトレジスト組成物(商用のPFC含有光酸発生剤を使用したフォトレジストと同等の感光速度(photospeed))も提供する。
【0010】
一態様では、本発明は、オニウム陽イオン成分と、以下の構造を有する陰イオン成分とを含む、フッ素不含光酸発生剤を包含する:
【0011】
【化1】

(式中:
Xは、S、O、およびNRからなる群から選択され、
Rは、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
Yは、CおよびNからなる群から選択され;
〜Gのそれぞれは、Rおよび電子求引部分からなる群から選択され、但しYがNの場合、Gはこの構造内に存在しない。)。
【0012】
陽イオン成分は、好ましくはスルホニウム陽イオンである。陽イオン成分は、好ましくは芳香族部分を含む。
【0013】
別の態様では、本発明は、酸感受性画像形成ポリマーと本発明のフッ素不含光酸発生剤とを含有するフォトレジスト組成物を包含する。好ましくは、画像形成ポリマーはラクトン部分を含む。
【0014】
本発明は、パターニングされた材料構造を基板上に形成する、本発明の組成物を使用するための方法も包含する。これらの方法では、好ましくは193nm(ArF)画像形成放射線を使用する。
【0015】
本発明のこれらおよびその他の態様を、以下にさらに詳細に記述する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、フッ素不含光酸発生剤を提供する。本発明の光酸発生剤は、この産業で現在使用されているPFC含有光酸発生剤の実現可能な代替例を提供する。本発明は、優れた光学的透明度、熱安定性およびリソグラフィ性能を示す、フッ素不含光酸発生剤を含有するフォトレジスト組成物(商用のPFC含有光酸発生剤を使用したフォトレジストと同等の感光速度)も提供する。
【0017】
一態様では、本発明のフッ素不含光酸発生剤は、オニウム陽イオン成分と、下記の構造を有する陰イオン成分との存在によって特徴付けられる:
【0018】
【化2】

(式中:
Xは、S、O、およびNRからなる群から選択され、
Rは、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはCからC12);直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはCからC12);非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
Yは、CおよびNからなる群から選択され;
〜Gのそれぞれは、Rおよび電子求引部分からなる群から選択され、但しYがNの場合、Gはこの構造内に存在しない。)。
【0019】
好ましい陽イオン成分は、式Qを有し、式中、Zは、硫黄およびヨウ素から選択され、nは、Zが硫黄の場合に3であり、Zがヨウ素の場合に2であり、Qの少なくとも1個は芳香族部分を含んでいる。2つの好ましい陽イオン構造は、下記の通りである;
【0020】
【化3】

(式中、R11、R12、R13、R14、およびR15は、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはC〜C12);直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはC〜C12);非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択される。)。この構造のヨードニウム陽イオンの例は、下記の通りである。
【0021】
【化4】

【0022】
別の好ましい陽イオン構造は、下記の通りである:
【0023】
【化5】

(式中、各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはC〜C12);直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはCまたはC12);非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;Zは、硫黄およびヨウ素から選択され、mは、Zが硫黄の場合に2でありZがヨウ素の場合に1であり;各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはC〜C12);直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル(第3級および環状の場合、好ましくはC〜C12またはC〜C12);非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;あるいはRは、まとめてアルキレン(CH鎖(好ましくはC〜C12)である。)。
【0024】
構造(I)の陰イオン成分の例は、下記の通りである。
【0025】
【化6】

【0026】
本発明は、本発明の光酸発生剤を合成するための、任意の特定の方法に限定されない。1つの可能な合成経路を以下のスキーム1に示す。このスキームでは、本発明の光酸発生剤を、中間体の硫酸なしで、塩化スルホニルからそれに対応するスルホン酸銀へのワンポット反応で作製することができる。複素芳香族塩化スルホニルは炭酸銀と反応し、固相の銀塩をほぼ定量的収率で提供した。次いで得られた銀塩を、対応するスルホニウムまたはヨードニウム源と反応させて、所望の光酸発生剤を提供することができる。得られた化合物の化学構造は、そのH NMRスペクトルにより確認することができる。
【0027】
【化7】

【0028】
本発明は、フッ素不含光酸発生剤を含有する化学増幅型フォトレジスト組成物を包含する。フォトレジスト組成物は、酸感受性画像形成ポリマーとフッ素不含光酸発生剤とを含む。画像形成ポリマーは、紫外線でフォトレジスト組成物を露光することによって化学変換を受けることが可能であり、それによって、露光領域または非露光領域のポリマーの溶解性に相違が生じることが好ましい。即ち、本発明で用いられるベース・ポリマーは、本発明の光酸発生剤によって発生した酸の存在下で触媒的開裂を受けることができる、酸感受性側鎖を有する任意の酸感受性ポリマーを含む。画像形成ポリマーは、ポジ型画像形成ポリマーでもネガ型画像形成ポリマーであってもよい。そのようなポリマーでは、ポリマー主鎖に結合した酸感受性側鎖が存在するので、酸感受性が存在する。酸感受性側鎖を含むそのような酸感受性ポリマーは、従来通りであり、当技術分野で周知である。好ましくは、画像形成ポリマーは、193nm(ArF)リソグラフィで使用するのに適したものである。
【0029】
いくつかの実施形態では、酸感受性ポリマーの酸感受性側鎖を、当業者に周知の様々な酸不安定性保護基で保護する。例えば酸感受性側鎖は、t−ブチルエステルまたはt−ブチルカルボニル基などの高活性化エネルギー保護基、アセタールやケタール、シリエーテルなどの低活性化エネルギー保護基で保護していてもよく、または低および高活性化エネルギー保護基の両方の組合せを使用してもよい。本発明の画像形成ポリマーは、ラクトン部分、より好ましくはペンダント・ラクトン部分を含有する。ラクトン部分を含有する画像形成ポリマーの例は、当技術分野で周知である。例えば、米国公開特許出願第20060216643A1号と、米国特許第7087356号、第7063931号、第6902874号、第6730452号、第6627391号、第6635401号、および第6756180号を参照されたい。画像形成ポリマーに含めるためのいくつかの好ましいラクトン含有モノマー単位は下記の通りである。
【0030】
【化8】

【0031】
好ましい画像形成ポリマーは、画像形成ポリマー中の全モノマー単位に対してラクトン含有モノマー単位を少なくとも約5モル%、より好ましくは約10〜50モル%、最も好ましくは15〜35モル%含有する。
【0032】
本発明のフォトレジスト組成物は、好ましくは、酸感受性ポリマーを溶解することが可能な溶媒を含有する。そのような溶媒の例示的な例には、限定するものではないが、エーテル、グリコールエーテル、芳香族炭化水素、ケトン、およびエステルなどが含まれる。前述の溶媒の混合物を含む溶媒系も本発明で企図される。適切なグリコールエーテルには:2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などが含まれる。適切な芳香族炭化水素溶媒の例には、トルエン、キシレン、およびベンゼンが含まれる。ケトンの例には、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、およびシクロヘキサノンが含まれる。エーテル溶媒の例は、テトラヒドロフランであり、それに対して乳酸エチルおよびエトキシエチルプロピオネートは、本発明で使用してもよいエステル溶媒の例である。PGMEAが好ましい溶媒である。
【0033】
上述の成分の他に、フォトレジスト組成物は、光増感剤、塩基、界面活性剤、またはその他の添加剤などの、その他の成分を含んでもよい。望みに応じて、これらその他の成分の組合せまたは混合物を使用してもよい(例えば、光増感剤および塩基)。
【0034】
任意選択の光増感剤は、好ましくは、193nm(ArF)リソグラフィで照射を吸収することが可能な発色団を含有するものである。そのような化合物の例示的な例には、限定するものではないが、9−アントラセンメタノール、クマリン、9,10−ビス(トリメトキシシリルエチニル)アントラセン、およびこれらの発色団を含有するポリマーが含まれる。これらの化合物の中で、光増感剤として9−アントラセンメタノールを使用することが非常に好ましい。
【0035】
本発明で用いることができる任意選択の塩基には、限定するものではないが、ベルベリン、水酸化セチルトリメチルアンモニウム、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、アミン、およびポリマーアミンなどが含まれる。塩基を本発明の化学増幅型フォトレジスト組成物と共に用いる場合、塩基としてTBAHを使用することが非常に好ましい。
【0036】
フォトレジスト組成物に用いることができる任意選択の界面活性剤は、本発明の化学増幅型フォトレジスト組成物のコーティングの均一性を改善することが可能な、任意の界面活性剤を含む。例示的な例には、3MのFC−430(R)などのフッ素含有界面活性剤、およびUnion CarbideのSilwet(R)シリーズなどのシロキサン含有界面活性剤が含まれる。
【0037】
本発明のフォトレジスト組成物は、好ましくは、約5から約30重量%の画像形成ポリマー、約50から約94.9重量%の溶媒、および約0.1から約20重量%のフッ素不含光酸発生剤を含む(フッ素不含光酸発生剤の重量%は、組成物中に存在する画像形成ポリマーの全重量に対する。)。光増感剤を用いる場合、好ましくは、画像形成ポリマーの全重量に対して約0.001から約8重量%の量で存在する。塩基を用いる場合、任意選択の塩基は、好ましくは、画像形成ポリマーの全重量に対して約0.1から約1重量%の量で存在する。界面活性剤を用いる場合、好ましくは、画像形成ポリマーの全重量に対して約0.001から約0.1重量%の量で存在する。
【0038】
より好ましくは、フォトレジスト組成物は、画像形成ポリマーを約10から約20重量%、溶媒を約80から約90重量%、およびフッ素不含光酸発生剤を約1から約5重量%含み(組成物中に存在する画像形成ポリマーの全重量に対して)、任意選択で、画像形成ポリマーの全重量に対して約0.01から約5重量%の光増感剤、任意選択で、画像形成ポリマーの全重量に対して約0.1から約0.5重量%の塩基、および任意選択で、画像形成ポリマーの全重量に対して約0.001から約0.01重量%の界面活性剤を含む。
【0039】
上述の量は例示的なものであり、フォトリソグラフィ工業で典型的に用いられる上述の成分それぞれのその他の量を、本明細書で用いることができることにも留意されたい。
【0040】
本発明は、パターニングされた材料フィーチャを基板上に形成するために、本発明の組成物を使用するための方法も包含する。本発明のこれらの方法では、好ましくは、193nm(ArF)画像形成放射線を使用する。本発明の方法は、好ましくは、
(a)基板上に材料表面を提供するステップ、
(b)材料表面にフォトレジスト層を形成するステップであって、このフォトレジストが本発明のフォトレジストであるステップ、
(c)前記フォトレジスト層を、画像通りに放射線で露光し、それによって、前記フォトレジスト層に放射線で露光された領域のパターンを生成するステップ、
(d)前記フォトレジスト層の各部分を選択的に除去して、前記材料表面の各部分を露出するステップ、および
(e)前記材料の前記各露出部分をエッチングしまたはイオン注入し、それによって、前記パターニングされた材料フィーチャを形成するステップ
を含む。
【0041】
基板の材料表面は、製造プロセスの段階に応じて、金属導体層、セラミック絶縁体層、半導体層、またはその他の材料であってもよく、所望の材料が最終製品に合わせて用いられる。本発明の組成物は、半導体基板上の集積回路の製造で使用されるリソグラフィ・プロセスに特に有用である。金属配線ライン、コンタクト用ホールまたはバイア、絶縁セクション(例えば、ダマシン・トレンチまたはシャロウ・トレンチ絶縁)、キャパシタ構造用トレンチ、トランジスタ用のイオン注入済み半導体構造など、パターニングされた材料層構造を生成するための、リソグラフィ・プロセスでの本発明の組成物は、集積回路デバイスで使用されると考えられる。
【0042】
ある場合には、底面反射防止コーティングまたは下層コーティング(例えば、平坦化下層)あるいはその両方を、フォトレジスト層と材料表面との間に付着させてもよい。ある場合には、上面反射防止コーティング層を、フォトレジスト層上(即ち、材料層から離れた側のフォトレジスト面)に付着させてもよい。本発明は、反射防止性の反射コーティングまたは下層材料あるいはその両方の使用にも、これらコーティングまたは材料の特定の組成物にも限定されない。
【0043】
次いでフォトレジスト層を、所望の放射線(例えば、193nm紫外線)でパターン通りに露光する。パターン通りの露光は、フォトレジスト層上に配置されるマスクを通して実施する。193nmの紫外線の場合、全露光エネルギーは、好ましくは約100mJ/cm以下であり、より好ましくは約50mJ/cm以下である(例えば、15〜30mJ/cm)。
【0044】
所望のパターン通りの露光の後、典型的にはフォトレジスト層をベークして、酸触媒反応を終了させ、露光パターンのコントラストを高める。露光後のベークは、好ましくは約60〜175℃で、より好ましくは約90〜160℃で実施する。露光後のベークは、好ましくは約30秒から5分間実施する。
【0045】
露光後ベークがある場合には、その後に、フォトレジスト層に、ポジ型フォトレジストの場合には放射線で露光されたフォトレジスト領域(ネガ型フォトレジストの場合には非露光領域)を選択的に溶解するアルカリ水溶液を接触させることによって、所望のパターンを有するフォトレジスト構造が得られる(現像される)好ましいアルカリ水溶液(現像液)は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液である。次いで基板上に得られたリソグラフィ構造を、典型的には乾燥して、残された現像液すべてを除去する。上面反射防止コーティングが使用されている場合、このステップで現像液により溶解させることも好ましい。
【0046】
次いでフォトレジスト構造からのパターンを、当技術分野で知られている技法を使用して適切なエッチング液でエッチングすることにより、基板の下層材料の露光部分に転写してもよい;好ましくは、この転写は反応性イオンエッチングまたはウェット・エッチングによって行われる。所望のパターンの転写が行われたら、従来の剥離技法を使用して、残されたフォトレジストすべてを除去してもよい。あるいは、パターンをイオン注入によって転写して、イオン注入材料のパターンを形成してもよい。
【0047】
本発明の組成物を役立てることができる概略的なリソグラフィ・プロセスの例は、米国特許第4,855,017号;第5,362,663号;第5,429,710号;第5,562,801号;第5,618,751号;第5,744,376号;第5,801,094号;第5,821,469号、および第5,948,570号に開示されている。パターン転写プロセスのその他の例は、Chapters 12および13, "Semiconductor Lithography, Principles,Practices, and Materials", Wayne Moreau, Plenum Press, (1988)に記載されている。本発明は、いかなる特定のリソグラフィ技法またはデバイス構造にも限定されないことを理解すべきである。
【0048】
本発明について、以下の実施例によりさらに記述する。本発明は、実施例の特定の詳細に限定するものではない。
【実施例1】
【0049】
5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホン酸銀の合成
塩化5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホニル(0.393g、1.5mmol)をアセトニトリル15mLおよび水2mLに溶かした溶液に炭酸銀(0.414g、1.5mmol)を暗所で少量ずつ添加した。得られた懸濁液を、ヘキサン/酢酸エチル(1:4)の溶離液を用いた薄層クロマトグラフィ上で見えなくなるまで、3日間終夜撹拌した。混合物を、半インチ(約1.27cm)のCelite(R)に通して濾過し、固体を3×15mLのアセトニトリルで洗浄した。有機濾液を合わせ、有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、乾固することによって、粘性ある固体が0.507g得られ、その収率は96.4%であった。得られた化合物は、精製せずに別の反応に用いた。1HNMR, d6-DMSO: 7.49 (d, 1H, 0.8 Hz)
【実施例2】
【0050】
トリフェニルスルホニウム5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホネート(TPSTN)の合成
5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホン酸銀(0.25g、0.713mmol)をアセトニトリル15mLに溶かした溶液に、トリフェニルスルホニウムブロミド(1.373g、4mmol)をアセトニトリル10mLおよび水1mLに溶かした溶液を添加した。得られた混合物を、3日間終夜撹拌し、固体を1日沈殿させ、その後、濾過した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、残留物を2−ブタノン30mLに再溶解した。得られた溶液を3×5mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、Celite(R)および塩基性酸化アルミニウムに通して濾過した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、真空炉内で乾固することにより、生成物が0.306g得られ、その収率は85%であった。1HNMR, d6-DMSO: 7.90-7.75 (m, 15H),7.48 (s, 1H). DSC (10℃/分、窒素5 mL/分)は、250℃まで明らかな分解がないことを示した。
【実施例3】
【0051】
tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホネート(DPTBPSTN)の合成
5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホン酸銀(0.631g、1.8mmol)をアセトニトリル40mLおよび水2mLに溶かした溶液に、tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムブロミド(0.759g、1.8mmol)をアセトニトリル20mLおよび水2mLに溶かした溶液を添加した。得られた混合物を、5日間終夜撹拌し、その後、濾過した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、残留物を、2−ブタノン60mLに再溶解した。得られた溶液を3×10mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、Celite(R)および塩基性酸化アルミニウムに通して濾過した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、真空炉内で乾固することにより、生成物が1.06g得られ、その収率は92%であった。1HNMR, d6-DMSO: 7.87-7.75 (m, 14H),7.48 (s, 1H), 1.32 (s, 9H). DSC (10℃/分、窒素5 mL/分)は、250℃まで明らかな分解がないことを示した。
【実施例4】
【0052】
ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホネート(DTBPITN)の合成
5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホン酸銀(0.631g、1.8mmol)をアセトニトリル40mLおよび水2mLに溶かした溶液に、酢酸ジ(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム(0.814g、1.8mmol)をアセトニトリル20mLおよび水2mLに溶かした溶液を添加した。得られた混合物を、5日間終夜撹拌し、その後、濾過し、固体をアセトニトリル60mLで洗浄した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、残留物を2−ブタノン200mLに再溶解した。得られた溶液をCelite(R)および塩基性酸化アルミニウムに通して濾過した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、真空炉内で乾固することにより、生成物が1.0g得られ、その収率は87%であった。1HNMR, d6-DMSO: 8.15(d, 8.8Hz, 4H),7.54 (d, 8.8Hz, 4H), 7.49 (s, 1H), 1.26 (s, 18H). DSC (10℃/分、窒素5 mL/分): Td, 167℃。
【実施例5】
【0053】
トリフェニルスルホニウムチオフェン−2−スルホネート(TPSThio)の合成
塩化チオフェン−2−スルホニル(0.913g、5mmol)をアセトニトリル40mLおよび水1mLに溶かした溶液に、炭酸銀(1.38g、5mmol)を、暗所で少量ずつ添加した。得られた懸濁液を、ヘキサン/酢酸エチル(1:4)の溶離液を用いた薄層クロマトグラフィ上に出発材料が見られなくなるまで、3日間終夜撹拌した。混合物を、半インチ(約1.27cm)のCelite(R)に通して濾過し、固体を3×15mLのアセトニトリルで洗浄した。有機濾液を合わせ、有機溶媒を回転式蒸発器を介して除去し、乾固した。
【0054】
得られたチオフェン−2−スルホン酸銀を、アセトニトリル40mLおよび水1mLに再溶解した。この溶液に、トリフェニルスルホニウムブロミド(1.716g、5mmol)酢酸ヨードニウム(0.814g、1.8mmol)をアセトニトリル10mLおよび水1mLに溶かした溶液を添加した。得られた混合物を、3日間終夜撹拌し、その後、濾過し、固体をアセトニトリル50mLで洗浄した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、残留物を3×5mLの水で洗浄し、2−ブタノン50mLに再溶解した。得られた溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、Celite(R)および塩基性水酸化アルミニウムに通して濾過した。有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、真空炉で乾固し、それによって生成物が1.70g得られ、その収率は80%であった。1HNMR, d6-DMSO: 7.90-7.75 (m, 15H),7.40 (dd, 4.8Hz, 0.6 Hz, 1H), 7.10 (dd, 2.7 Hz, 0.6 Hz, 1H), 6.89 (4.8 Hz, 2.7Hz, 1H), DSC (10℃/分、窒素5 mL/分)は、250℃まで明らかな分解がないことを示した。
【実施例6】
【0055】
臭化1−(2−オキソ−2−p−トルイル−エチル)−テトラヒドロ−チオフェニウムの合成
2−ブロモ−4’−メチルアセトフェノン(19.18g、90mmol)をアセトン120mLおよび水4.9mLに溶かした0℃の溶液にテトラヒドロチオフェン(15.87g、180mmol)を滴下した。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、固体を沈殿させ、次いで室温で1時間撹拌した。得られた粗製生成物を、固体としてガラス・フリットに通して濾過し、冷アセトン100mlで洗浄した。粗製生成物をエタノール150mLで再結晶させることにより、純粋な生成物19.8gが収率73%で得られた。1HNMR, d6-DMSO: 7.92 (d, 8.0 Hz, 2H),7.43 (d, 8.0 Hz, 2H), 5.39 (s, 2H), 3.57 (m, 4H), 2.42 (s, 3H), 2.27 (m, 2H),2.19 (m, 2H)。
【実施例7】
【0056】
1−(2−オキソ−2−p−トルイル−エチル)−テトラヒドロ−チオフェニウム5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホネート(BTN)の合成
5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホン酸銀(0.6g、1.71mmol)をアセトニトリル30mLに溶かした溶液に、臭化1−(2−オキソ−2−p−トルイル−エチル)−テトラヒドロ−チオフェニウム(0.516g、1.71mmol)をアセトニトリル20mLおよび水2mLに溶かした溶液を添加した。得られた混合物を、3日間終夜撹拌し、その後、Celite(R)に通して濾過し、残された固体をアセトニトリル50mLで洗浄した。次いで有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、残留物を2−ブタノン100mLに吸収させた。次いで得られた溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、Celite(R)および塩基性酸化アルミニウムに通して濾過し、回転式蒸発器を介して濃縮し、真空炉で乾固することにより、生成物0.5gが収率63%で得られた。1HNMR, d6-DMSO: 7.90 (d, 8.4 Hz, 2H),7.48 (s, 1H), 7.44 (d, 8.0 Hz, 2H), 5.29 (s, 2H), 3.63-3.55 (m, 2H), 3.55-3.46(m, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.35-2.13 (brm, 4H), DSC (10℃/分、窒素5 mL/分): Td, 218℃。
【実施例8】
【0057】
臭化1−(2−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−エチル)−テトラヒドロ−チオフェニウムの合成
2−ブロモ−2’―アセトナフトン(18.68g、75mmol)をアセトン100mLおよび水4.1mLに溶かした0℃の溶液に、テトラヒドロチオフェン(13.23g、150mmol)を滴下した。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、固体を沈殿させ、次いで室温で1時間撹拌した。得られた粗製生成物を、固体としてガラス・フリットに通して濾過し、冷アセトン100mLで洗浄した。粗製生成物をエタノール150mLで再結晶させることにより、純粋な生成物19.0gが収率75%で得られた。1HNMR, d6-DMSO: 8.82 (s, 1H),8.17-7.98 (m, 4H), 7.78-7.65 (m, 2H), 5.63 (s, 2H), 3.64 (m, 4H), 2.40-2.29(brm, 2h), 2.28-2.17 (brm, 2H)。
【実施例9】
【0058】
1−(2−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−エチル)−テトラヒドロ−チオフェニウム5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホネート(NTN)の合成
5−クロロ−4−ニトロチオフェン−2−スルホン酸銀(0.456g、1.3mmol)をアセトニトリル25mLに溶かした溶液に、臭化1−(2−ナフタレン−2−イル−2−オキソ−エチル)−テトラヒドロ−チオフェニウム(0.439g、1.3mmol)をアセトニトリル25mLおよび水2mLに溶かした溶液を添加した。得られた混合物を、3日間終夜撹拌し、その後、Celite(R)に通して濾過し、残された固体をアセトニトリル50mLで洗浄した。次いで有機溶媒を、回転式蒸発器を介して除去し、残留物を2−ブタノン100mLに吸収させた。次いで得られた有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、Celite(R)および塩基性酸化アルミニウムに通して濾過し、回転式蒸発器で濃縮し、真空炉で乾固することにより、生成物0.49gが収率75%で得られた。1HNMR, d6-DMSO: 8.73 (d, 0.6 Hz, 1H),8.15 (d, 8.4 Hz, 1H), 8.12 (d, 8.8 Hz, 1H), 8.07 (d, 8.0 Hz, 1H), 8.01 (dd, 8.4Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.74 (td, 6.8 Hz, 1.2 Hz, 1H), 7.70 (td, 8.0 Hz, 1.2 Hz, 1H),7.48 (s, 1H), 5.47 (s, 2H), 3.68-3.51 (m, 4H), 2.38-2.18 (brm, 4H). DSC (10℃/分、窒素5 mL/分): Td, 205℃
【0059】
比較光酸発生剤
【0060】
【化9】

【実施例10】
【0061】
フォトレジスト配合物1
メタクリル酸2−トリフルオロメタンスルホニルアミノ15モル%、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル45モル%および5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボ−γ−ラクトン(S1)(28.3重量%PGMEA溶液)40モル%からなるフォトレジスト・ポリマー5.2959gと、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(TPSN)(20.28重量%PGMEA溶液)0.3739gと、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4528gと、PEGMEA 10.1472gと、シクロヘキサノン6.2863gとを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物1が得られた。
【実施例11】
【0062】
フォトレジスト配合物2
フォトレジスト・ポリマーS1(28.3重量%PGMEA溶液)5.3081g、TPSTN 0.0677g、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4609g、PGMEA 10.3710gおよびシクロヘキサノン6.2693gを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物S1004が得られた。
【実施例12】
【0063】
フォトレジスト配合物3
フォトレジスト・ポリマーS1(28.3重量%PGMEA溶液)5.3086g、DPTBPSTN 0.0747g、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4654g、PGMEA 10.4370gおよびシクロヘキサノン6.3010gを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物3が得られた。
【実施例13】
【0064】
フォトレジスト配合物4
フォトレジスト・ポリマーS1(28.3重量%PGMEA溶液)5.3008g、DTBPITN 0.0848g、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4545g、PGMEA 10.5294gおよびシクロヘキサノン6.3441gを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物4が得られた。
【実施例14】
【0065】
フォトレジスト配合物5
フォトレジスト・ポリマーS1(28.3重量%PGMEA溶液)5.2986g、TPSThio 0.0569g、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4640g、PGMEA 10.2672gおよびシクロヘキサノン6.2251gを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物5が得られた。
【実施例15】
【0066】
フォトレジスト配合物6
フォトレジスト・ポリマーS1(28.3重量%PGMEA溶液)5.3093g、ジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネ−ト(DTBPIN)0.0926g、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4577g、PGMEA 10.6040gおよびシクロヘキサノン6.3728gを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物6が得られた。
【実施例16】
【0067】
フォトレジスト配合物7
フォトレジスト・ポリマーS1(28.3重量%PGMEA溶液)5.3031g、BTN 0.0624g、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4673g、PGMEA 10.3110gおよびシクロヘキサノン6.2423gを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物7が得られた。
【実施例17】
【0068】
フォトレジスト配合物8
フォトレジスト・ポリマーS1(28.3重量%PGMEA溶液)5.3029g、NTN 0.0676g、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.4575g、PGMEA 10.3540gおよびシクロヘキサノン6.2668gを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物8が得られた。
【実施例18】
【0069】
フォトレジスト配合物9
2−メチル−アクリル酸−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−イル−エステル60モル%およびメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル(F1)40モル%からなるフォトレジスト・ポリマー0.7514gと、TPSTN 0.0171gと、N−t−Boc−ピロリジン(1重量%PGMEA溶液)0.1148gと、PGMEA 7.0432gと、シクロヘキサノン3.0522gとを混合し、一晩回転させ、0.2μm PTFEディスクに通して濾過することにより、配合物9が得られた。
【0070】
物理的性質
フォトレジスト配合物を、5インチ(約12.7cm)のシリコン・ウェーハ上にスピン速度1500rpmで30秒間スピン・コートすることにより、薄い固体フィルムを調製した。得られたフィルムを110℃で60秒間ソフト・ベークした。厚さ、n、およびkを、VASE偏光解析法により測定し、OD値をkから計算した。
【0071】
リソグラフィ評価では、調製されたフォトレジスト配合物を、シリコン・ウェーハ上に付着された反射防止コーティング材料(AR 40、Rohm−Haas)層上に30秒間スピン・コートした。レジスト・フィルムを、真空ホット・プレート上で60秒間、110℃でベークした。次いでウェーハを193nm放射線で露光した(ASML、スキャナ、0.75NA)。露光パターンは、90nmに至る様々な寸法の、ずらりと並んだラインおよびスペースであった。次いで露光されたウェーハを、120℃で90秒間、真空ホット・プレート上で露光後ベークした。ウェーハを、0.263NTMAH現像液で60秒間、パドル現像した。フォトレジスト画像形成層で得られたパターンを、走査電子顕微鏡法(SEM)によって検査した。感光速度の結果は、245nmピッチで90nmラインの画像で得た。
【0072】
【表1】

【0073】
浸出試験:
レジスト配合物2を、剥き出しのシリコン・ウェーハ上に1500rpmで30秒間スピン・コートし、真空ホット・プレート上で60秒間、110℃でベークした。トップコートTCX−041を、得られたレジスト・フィルム上に1500rpmで30秒間スピン・コートし、90℃の真空ホット・プレート上で60秒間ソフト・ベークした。得られたウェーハを、水浸出試験により評価した。0.231ng/mLのPAG TPSTNが、HPLC−MS試験によって水浸出サンプル中に見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニウム陽イオン成分と、以下の構造を有する陰イオン成分とを含む、フッ素不含光酸発生剤:
【化1】

(式中:
Xは、S、O、およびNRからなる群から選択され、
Rは、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
Yは、CおよびNからなる群から選択され;
〜Gのそれぞれは、Rおよび電子求引部分からなる群から選択され、但しYがNの場合、Gは前記構造内に存在しない。)。
【請求項2】
〜Gの少なくとも1つが、CN、NO、NO、Cl、Br、I、SOMe、およびCHOからなる群から選択された電子求引部分である、請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項3】
〜Gの少なくとも2つが電子求引部分である、請求項2に記載の光酸発生剤。
【請求項4】
前記オニウム陽イオン成分が、スルホニウム陽イオンおよびヨードニウム陽イオンからなる群から選択される、請求項1に記載の光酸発生剤。
【請求項5】
前記オニウム陽イオン成分が芳香族部分を含む、請求項4に記載の光酸発生剤。
【請求項6】
前記オニウム陽イオン成分が、下式からなる群から選択された構造を有する、請求項5に記載の光酸発生剤:
【化2】

(式中:
Zは、硫黄またはヨウ素であり;
mは、Zがヨウ素の場合に1であり、Zが硫黄の場合に2であり;
各R11、R12、R13、R14、およびR15は、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;あるいはRおよびRはまとめて、アルキレン(CH鎖である。)。
【請求項7】
(a)酸感受性画像形成ポリマーと、
(b)オニウム陽イオン成分および下記の構造を有する陰イオン成分を含む、フッ素不含光酸発生剤と
を含む、化学増幅型フォトレジスト組成物:
【化3】

(式中:
Xは、S、O、およびNRからなる群から選択され、
Rは、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
Yは、CおよびNからなる群から選択され;
〜Gのそれぞれは、Rおよび電子求引部分からなる群から選択され、但しYがNの場合、Gは前記構造内に存在しない。)。
【請求項8】
〜Gの少なくとも1つが、CN、NO、NO、Cl、Br、SOMe、およびCHOからなる群から選択された電子求引部分である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
〜Gの少なくとも2つが電子求引部分である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記オニウム陽イオン成分が、スルホニウム陽イオンおよびヨードニウム陽イオンからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記オニウム陽イオン成分が芳香族部分を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記オニウム陽イオン成分が、下式からなる群から選択された構造を有する、請求項11に記載の組成物:
【化4】

(式中:
Zは、硫黄またはヨウ素であり;
mは、Zがヨウ素の場合に1であり、Zが硫黄の場合に2であり;
各R11、R12、R13、R14、R15は、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;あるいはRおよびRはまとめて、アルキレン(CH鎖である。)。
【請求項13】
前記画像形成ポリマーがラクトン部分を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
(a)基板上に材料表面を提供するステップと、
(b)前記材料表面上にフォトレジスト層を形成するステップであって、前記フォトレジスト層が、
(i)酸感受性画像形成ポリマー、および
(ii)オニウム陽イオン成分および下記の構造を有する陰イオン成分を含む、フッ素不含光酸発生剤を含むものであるステップ:
【化5】

(式中:
Xは、S、O、およびNRからなる群から選択され、
Rは、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
Yは、CおよびNから選択され;
〜Gのそれぞれは、Rおよび電子求引部分からなる群から選択され、但しYがNの場合、Gは前記構造内に存在しない。)と、
(c)前記フォトレジスト層を、画像通りに放射線で露光し、それによって、前記フォトレジスト層に放射線で露光された領域のパターンを生成するステップと、
(e)前記フォトレジスト層の各部分を選択的に除去して、前記材料表面の各部分を露出するステップと、
(f)前記材料の前記各露出部分をエッチングしまたはイオン注入し、それによって前記パターニングされた材料フィーチャを形成するステップと
を含む、パターニングされた材料フィーチャを基板上に形成する方法。
【請求項15】
前記放射線がArFレーザによって提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光酸発生剤がフッ素不含、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
〜Gの少なくとも1つが、CN、NO、NO、Cl、Br、SOMe、およびCHOからなる群から選択された電子求引部分である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記オニウム陽イオン成分が、スルホニウム陽イオンおよびヨードニウム陽イオンからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記オニウム陽イオン成分が芳香族部分を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記オニウム陽イオン成分が、下式からなる群から選択された構造を有する、請求項19に記載の方法:
【化6】

(式中:
Zは、硫黄またはヨウ素であり;
mは、Zがヨウ素の場合に1であり、Zが硫黄の場合に2であり;
各R11、R12、R13、R14、R15は、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;
各Rは、独立して、H;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルキル;直鎖状、分岐状、第3級、または環状アルコキシル;非置換および置換フェニル;非置換および置換ナフチル;または非置換および置換フルオレニルからなる群から選択され;あるいはRおよびRはまとめて、アルキレン(CH鎖である。)。
【請求項21】
前記画像形成ポリマーがラクトン部分を含む、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2011−511855(P2011−511855A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543177(P2010−543177)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/030789
【国際公開番号】WO2009/091702
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】