説明

フッ素修飾反応性樹脂系、その製造方法及び使用

【課題】永久撥油及び撥水表面の処理或いは鉱物又は非鉱物基板の修飾に用いられ、表面特性が改良されたフッ素修飾反応性樹脂系を提供すること。
【解決手段】改良された表面特性を有するフッ素修飾反応性樹脂系は、固形分5〜95質量%のポリマーを有する重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分(A)と、5〜100質量部の重付加及び/又は重縮合可能で、分子量100〜10000ダルトン且つポリマー結合フッ素含有量10〜90質量%の官能化成分(B)と、0〜100質量部の重付加及び/又は重縮合可能であり、分子量100〜10000ダルトンの硬化成分(C)と、0〜300質量部の処方成分(D)とを含み、成分(A)が成分(B)を(ポリマー)結合形中に適宜含有でき、(ポリマー)結合フッ素含有量0.1〜75質量%を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された表面特性を有するフッ素修飾反応性樹脂系、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素修飾ポリマー組成物の特有の表面特性、例えば撥水性及び撥油性に起因して、かかる組成物は、益々重要となっていることから、建築、非建築及び工業部門での防汚被膜組成物として使用する場合に理想的に適している。このことは、かかる主題に関して最近発表されている多量の文献から特に明らかである(R. Winter, P. G. Nixon, R. J. Terjeson, J. Nohtasham, N. R. Holcomb, D. W. Grainger, D. Graham, D. G. Castner, G. L. Gard, J. Fluorine Chem., 2002, 115(2), 107−113;
R. D. van de Grampel, W. Ming, J. Laven, R. van der Linde, F. A. M. Leermakers, Macromol., 2002, 35(14), 5670−5680;
V. Castelvetro, M. Aglietto, F. Ciardelli, O. Chiantore, M. Lazzari, L. Toniolo, J. Coat. Technol., 2002, 74, 57−66)。
【0003】
ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性成分、例えば比較的高分子量のポリオールとからなるポリウレタン基礎高性能被膜材料(コーティング材料)は、一般に知られている。このような材料は、極めて良好な材料特性を有しているものの、高い表面エネルギーを有しているので、洗浄するのが容易ではない。防汚性で且つ撥水性の被膜に対する要求の増加により、被膜組成物(WO99/26994に記載)と混合されるか、或いは被膜組成物(DE10063431C1を参照されたい)に可逆的に施されるフッ素含有組成物の開発に至った。
【0004】
フッ素化ポリウレタン組成物及びその、被膜の表面特性の修飾、例えば疎油化又は疎水化に使用する方法は、特許文献により長い間知られてきた。
【0005】
EP0405534A1では、石の表面の処理に用いられるヒドロキシル官能性(パー)フルオロポリエーテル含有ポリウレタンについて記載しているものの、ポリウレタンは、実際のフィルムを形成しない。
【0006】
パーフルオロアルキルアクリレート又はメタクリレートを基礎とし、疎油化及び疎水化に対して高い蒸気通過速度を有するフッ素修飾ポリマーで被覆された親水性ポリウレタンフィルムがWO97/36951A1に記載されている。
【0007】
US4504401B1では、繊維製品、例えばカーペットの防汚処理に用いられ、パーフルオロアルキル基を含む低分子量ウレタンについて開示している。
【0008】
EP0702041A1では、フッ素化モノアルコールで修飾され、アロファネート及びイソシアネート基を含み、そして1成分又は2成分の被膜組成物の組成において、19.4〜43.7ダイン/cmの表面エネルギーを有するポリイソシアネートについて開示している。
【0009】
EP0719809A1では、類似のフッ素修飾ポリイソシアネートについて開示し、他の非フッ素化ポリイソシアネートとブレンドするが、かかる文献において、フッ素は、1個以上のヒドロキシル基を有するフルオロ成分(フッ素成分)を介して導入される。被膜組成物で使用することにより、EP0702041A1に記載の表面エネルギーと同様の表面エネルギーを有するフィルムを得る。
【0010】
1個以上のヒドロキシル基を有するフッ素含有ポリオールと、分子中にアロファネート及びイソシアヌレート構造を4:1〜1:10の質量比で有するポリイソシアネートとからなるフッ素修飾ウレタン組成物がEP0566037A2に開示されている。硬化成分として使用する場合、かかる組成物により、透明なフィルムが得られる。
【0011】
DE19547448A1では、摩擦が低減され、フッ素化アルコール、非フッ素化ポリオール及びブロック化ポリイソシアネート並びに少なくとも1種のアミン架橋剤系の耐摩耗性ウレタン被膜組成物について開示している。しかしながら、ブロック化ポリイソシアネートに起因して、被膜組成物を、予め120℃を超える温度に加熱する必要があり、その後、ポリアミン成分との架橋を行うことができる。
【0012】
(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)系の被膜の組成が、EP1116759A1に記載されている。溶剤に加えて、被膜は、二官能性(パー)フルオロポリエーテルジオールを、IPDIトリマーと共に含む。かかる用途において、(パー)フルオロポリエーテルは、側基として導入されない。
【0013】
モノマー又はマクロマー、例えばブロック形のポリイソシアネート、親水性アルコール又はチオール成分、単官能性及び二官能性ヒドロキシ(パー)フルオロポリエーテルアルコール及び単官能性(パー)フルオロアルキルアルコール並びに化学的に架橋可能なアルコール又はチオール成分から調製される分岐のフッ素化オリゴウレタンが、ヨーロッパ特許出願第1059319号公開公報(EP1059319A2)に開示されている。かかる特許文献においても、(パー)フルオロポリエーテル化合物は、側基として含まれない。
【0014】
パーフルオロアルキル基を含むモノマー系の水基礎共重合体分散液又はエマルジョンは、比較的長い間知られてきた。これを、特にテキスタイル又はカーペットの疎水化及び疎油化に、他のテキスタイル助剤と一緒に使用するものの、パーフルオロアルキル基は直鎖であり、少なくとも6個の炭素原子を含む。
【0015】
エマルジョン重合を介してかかる共重合体分散液又はエマルジョンを調製する場合、異なる乳化剤組成物が使用され、そして使用される乳化剤組成物の種類に応じて、アニオン又はカチオン安定化され、相互に異なる性能特性を有する共重合体分散液又はエマルジョンを得る。
【0016】
EP0452774A1及びDE3407362A1では、エチレン性不飽和パーフルオロアルキルモノマー及びフッ素非修飾のエチレン性不飽和モノマーから共重合体及び/又はグラフト共重合体の水性分散液を製造する方法について記載しているが、乳化剤非含有ポリウレタン水性分散液がグラフトベースとして使用された。
【0017】
DE3607773C2では、テキスタイル材料及び皮革の処理のみに使用され、水性分散液の状態であるものの、外部エマルジョンを使用せずに用いられるか、又は有機溶剤中の溶液の状態(混合物)で用いられ、パーフルオロアルキルリガンドを含むポリウレタンについて記載している。
【0018】
パーフルオロアルキル基を含み且つテキスタイルの疎油化及び疎水化処理に用いられるポリウレタンについても、以下の文献:DE1468295A1、DE1794356A1、DE3319368A1、EP0103752A1、US3398182B1、US3484281B1及びUS3896251B1に記載されている。しかしながら、かかる化合物は、使用する場合に多量を必要とし、そして基板に対して、不十分な接着性を示す。
【0019】
WO99/26992A1では、表面エネルギーの低いフッ素及び/又はシリコーン修飾水性ポリウレタン組成物について開示し、これを硬化して、水及び溶剤安定性で、防汚性のポリウレタンハードフィルム(硬質被膜)を得るが、以下の2種類のパーフルオロアルキル成分が開示されている。
−SON−(R−OH)
(式中、Rが1〜20個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し、Rが1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を表す)
R’CF−COCHCR(CHOH)
(式中、RがC−Cフルオロアルキルを表し、R’がC−Cフルオロアルキルを表し、RがC−Cアルキルを表す)
【0020】
特にインク吸収性被膜の場合に低い表面エネルギーを有する水分散性の硫黄ポリウレタン又は硫黄ポリ尿素組成物がEP0717057B1に記載さているが、疎水性部分は、ポリシロキサン部分か、又は6〜12個の炭素原子を有する飽和フルオロ脂肪族基(その内の少なくとも4個の炭素原子は完全にフッ素化されている。)からなる。
【0021】
外部乳化剤を用いず、パーフルオロアルキル側鎖を有する水分散性ポリウレタンの水性分散液がEP0339862A1に開示されている。かかる特許文献において、ポリテトラメチレングリコールとフッ素化オレフィンとの遊離基付加反応(EP0260846B1を参照されたい)によって得たフッ素化ポリオールを、イソシアネート反応性成分として使用した。しかしながら、これにより得られるポリウレタン分散液は、30質量%未満の固体含有量を有しているにすぎず、更に、相当な量の親水性成分を必要とする。乾燥フィルムの表面エネルギーは、依然として30ダインcm−1を超過している。
【0022】
US4636545では、テキスタイル、天然及び合成繊維、紙、並びに皮革の疎水化及び疎油化に用いられ、ブロック化ポリイソシアネートを有するポリウレタン水性分散液について記載しており、ブロック化ポリイソシアネートは、不飽和パーフルオロアルキルモノマー(M>367ダルトン)と、必要により不飽和コモノマー(溶剤又は水性エマルジョン中)とのポリマーの遊離基グラフトの場合にグラフトベースとして分散液に必要により乳化される。固体含有量は、5〜50質量%であり、10〜30質量%であるのが好ましく、フッ素含有量は、6〜50質量%であり、10〜30質量%であるのが好ましい。フッ素化側鎖は、モノマーとしてPU主鎖に取り込まれないものの、不飽和フルオロ化合物(不飽和フッ素化合物)として、遊離基重合により調製されるPU分散液の主鎖にグラフトされる。この場合、不飽和化合物を(溶剤含有)エマルジョンの状態でポリウレタン分散液に添加する。
【0023】
US5703194では、過フッ素化アルコキシ側鎖を有するオキセタンモノマーをカチオン重合して、ヒドロキシ官能性プレポリマーを調製することについて記載している。しかしながら、水性系(水性組成物)については開示されていない。ポリエーテル主鎖に起因して、組成物は、UV安定性ではない。
【0024】
EP1162220A1では、熱により後架橋可能であるカチオン性ポリウレタン分散液について記載している。使用されるパーフルオロポリエーテルは、ジオール又はモノール成分として主鎖に取り込まれる。ポリウレタンの分子量は、9000ダルトン以下である。
【0025】
WO02/04358において、パーフルオロアルキル側鎖が、パーフルオロオキセタンポリオール共重合体を介して取り込まれている組成物について開示している。ポリエーテル主鎖により、組成物はUV安定性ではない。
【0026】
JP09118843では、突き合わせ継手でのシールの表面における変色の回避に用いられ、フッ素修飾リン酸エステル塩と1個以上のパーフルオロアルキル基を有する低分子量ウレタン化合物との水基礎組成物について記載している。かかる特許出願において、PUポリマー被膜は記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、本発明の目的は、種々の分野で使用することから、永久撥油及び撥水表面の処理或いは鉱物又は非鉱物基板の修飾に用いられ、表面特性が改良されたフッ素修飾反応性樹脂系を開発することにあり、かかる組成物は、従来技術における上述の課題を有していないだけでなく、良好な性能特性を有すると同時に、経済的、環境上、及び生理学上の側面を考慮に入れて調製され得る。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この目的は、改良された表面特性を有するフッ素修飾反応性樹脂系を提供することにより、本発明に従って達成される。この系は、
a)重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分(A)であって、
a1)分子量1000〜25000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜50質量%の遊離(ブロック化)イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂、
a2)分子量2500〜250000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0〜25質量%の遊離アミン基及び/又は0〜25質量%の遊離ヒドロキシル基及び/又は0〜25質量%の遊離(ブロック化)イソシアネート基及び/又は0〜25質量%の遊離エポキシ基を有する水性アニオン及び/又はノニオン及び/又はカチオン安定化ポリウレタン樹脂、
a3)分子量1000〜250000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜50質量%の所望の置換パターンを有する遊離アルコキシシラン基を有するシラン末端樹脂、
a4)分子量60〜10000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して1〜50質量%の遊離ヒドロキシル基及び/又は1〜50質量%の遊離アミン基を有する低分子量及び/又は高分子量(ポリマー性)化合物系のポリオール及び/又はポリアミン混合物、
a5)分子量100〜10000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜50質量%の遊離エポキシ基を有するエポキシ樹脂、
a6)分子量2500〜250000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜25質量%の遊離ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート樹脂、又は
a7)アニオン、カチオン又は遊離基重合可能なモノマー系であって、樹脂の全質量に対して0.1〜25質量%の遊離ヒドロキシル基を有する別のポリマー、
又はこれらの好適な組み合わせを含み、
各々の場合において固形分5〜95質量%のポリマーを有するバインダ成分(A)と、
b)5〜100質量部、分子量100〜10000ダルトン且つポリマー結合フッ素含有量10〜90質量%の重付加及び/又は重縮合可能な官能化成分(B)であって、各々の場合において、1以上の反応性の脂肪族及び/又は芳香族の第1級及び/又は第2級(ブロック化)アミノ、ヒドロキシル、メルカプト,(ブロック化)イソシアネート、アルコキシシラン、エポキシド、又はアジリジンもしくは(メタ)アクリレート基を含み、
b1)(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンメルカプタン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンイソシアネート、又は(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンシラン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアジリジン、又はアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート、又は(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート、又は(パー)フルオロアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート、
b2)(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール、ジイソシアネートと、ジエタノールアミン、一般式CF−(CF−(CH−OH(式中、xは3〜20であり、yは1〜6である)の末端メチレン基(炭水化物スペーサ)を有するパーフルオロアルキルアルキレンアルコール、又は一般式CFCFCFO−(CF(CF)CFO)−CF(CF)CH−OH(式中、zは1〜10である)のヘキサフルオロプロペン酸化物(HFPO)オリゴマーアルコールとの反応産物、又はこれら好ましく使用されるものの混合物、
b3)(パー)フルオロアルキルアルケンと、ジエタノールアミンもしくはアルコキシシラン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物との反応産物、一般式CF−(CF−CH=CH(式中、xは3〜20である)の末端ビニル基(炭水化物スペーサ)を有する(パー)フルオロアルキルアルケン、又はこれら好ましく使用されるものの混合物、
b4)アルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル−(パー)フルオロ(メタ)アクリレートと、ジエタノールアミン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物との反応産物、
b5)(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物と、N−メチルエタノールアミンもしくはジエタノールアミン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物の反応産物、
b6)(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物と第1級及び/又は第2級アミン又はポリアミン又はアミノアルキルアルコキシシラン又はイソシアネートアルキルアルコキシシランとの反応産物、
b7)ポリイソシアネートと、(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール及び適宜のアミノアルキルアルコキシシランもしくはエポキシアルコキシシラン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン及び適宜アミノアルキルアルコキシシランもしくはエポキシアルコキシシラン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンカルボン酸との反応産物、
b8)(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアミンと、イソシアネートアルキルアルコキシシラン又はエポキシアルコキシシランとの反応産物、又は
b9)一般式(RSiO1.5の反応性多面オリゴマーポリシラセスキオキサン(POSS)
(式中、aは0又は1であり、bは0又は1であり、a+b=1、mは4、6、8、10、12であり、R、Xは、1〜250の炭素原子及び0〜50の窒素及び/又は0〜50の酸素及び/又は10〜100のフッ素及び/又は0〜50のケイ素及び/又は0〜50の硫黄原子を有するあらゆる所望の無機及び/又は有機で適宜ポリマー性の基である)、
又はこれらの好適な組み合わせを含む官能化成分(B)と、
c)0〜100質量部且つ分子量100〜10000ダルトンの重付加及び/又は重縮合可能な硬化成分(C)であって、各々の場合において1以上の反応性脂肪族及び/又は芳香族第1級及び/又は第2級(ブロック化)アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、(ブロック化)イソシアネート又はアジリジン基及び/又は水を含有する硬化成分(C)と、
d)0〜300質量部の処方成分(D)と、を含み、成分(A)が成分(B)を(ポリマー)結合形中に適宜含有でき、(ポリマー)結合フッ素含有量0.1〜75質量%を有することができる。
【0029】
驚くべきことに、重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分、特定の官能化成分及び硬化剤系のフッ素修飾反応性樹脂系を使用することにより、公知の従来技術と比較して、極めて低い臨界表面エネルギーγc(18.6mN/mのテフロン(登録商標)未満)及び極めて大きな接触角Θ(約111°のテフロン(登録商標))を有する硬質被膜組成物(ハードコーティング組成物)又は表面が得られるだけでなく、更に、実質的に低い吸塵傾向を有することが見出された。この場合に決定的に重要なのは、官能化成分が、好適なマクロモノマー又は両端二官能性ポリマーによって導入可能なフッ素修飾構成要素を有することである。バインダだけがフッ素修飾される公知のフッ素修飾被膜組成物と比較して、本発明の反応性樹脂系は、実質的に改善された特性範囲を有している。フッ素修飾マクロモノマー又は両端二官能性ポリマーを個々の成分として使用することにより、被膜組成物/空気界面における(パー)フルオロアルキル基の良好な配向が達成されるのは明白であり、このことは予期し得ないことであった。かかる特性範囲は、極めて低いフッ素含有量(処方された組成物全体に対して、1〜5質量%)であっても、又は極めて少量の硬化剤を用いても達成される。更に、フッ素修飾反応性樹脂系を、溶剤の不存在下であるか、又は低い溶剤含有量で調製可能であることも予期し得ないことであった。
【0030】
表1に列挙されている全ての組み合わせは、バインダ成分(A)、官能化成分(B)及び硬化成分(C)に好適であり、且つ処方成分(D)を必要により含むことも可能である。成分(A)、(B)及び(C)における官能基の種類及び量は、十分な反応性の組成物が形成するように選択されるべきである。
【0031】
「十分に反応性の組成物」なる用語は、成分(A)、(B)及び(C)の、これらに含まれる官能基又は反応性基に対する分子比及び/又は当量比が、加工温度(例えば、0〜150℃)の枠内で加工時間、開放時間及び硬化時間を、成分(B)が含まれず且つ成分(A)のフッ素修飾無しの場合(種々の一般的な反応性樹脂系のような場合)でも得られる個々の被膜組成物において実現するように選択されることを意味する。換算値は好ましくは次の範囲に属する。
加工時間:
約1分〜6時間開放時間:
約1分〜12時間硬化時間:
約10分〜24時間
【0032】
表1に列挙されている全ての組み合わせは、バインダ成分(A)、官能化成分(B)及び硬化成分(C)の官能化に好適であって、処方成分(D)を必要により含むことも可能である。成分(A)、(B)及び(C)における官能基の種類及び量は、十分な反応性の組成物が形成するように選択されるべきである。
【0033】
【表1】

1)式中、xは0、1、2であり、R、Rは1〜10の炭素原子を有するアルキルであって、好ましくは1〜4の炭素原子を有する。
2)エポキシ基
3)アジリジン基
4)バインダ成分(A)(式中、Mは水素、Li、Na、K、HNRであり、Rは水素、Me、Et)由来のカルボキシル基又はカルボキシレート基
【0034】
重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分a1)は溶剤非含有又は溶剤含有非水性ポリウレタン樹脂からなり、例えば、分子量約1000〜25000ダルトン、好ましくは約1000〜10000ダルトンのポリウレタンプレポリマーであって、遊離(ブロック化)イソシアネート基の含有量が樹脂の全質量に対して約0.1〜50質量%、好ましくは約1〜25質量%である。
【0035】
重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分a2)は、ポリウレタン分散液及びポリウレタンポリマーハイブリッド分散液といった溶剤非含有又は溶剤含有及び/又はハイブリッド水性ポリウレタン樹脂からなり、分子量約2500〜250000ダルトン、好ましくは約25000〜100000ダルトンであり、樹脂の全質量に対して0〜約25質量%、好ましくは約0〜10質量%の遊離アミノ基及び/又は0〜約25質量%、好ましくは約0〜10質量%の遊離ヒドロキシル基及び/又は0〜約25質量%、好ましくは約0〜10質量%の遊離(ブロック化)イソシアネート基及び/又は0〜約25質量%、好ましくは約0〜10質量%の遊離エポキシ基を有するように準備されてよい。更に、対応水性ポリウレタン樹脂は、アニオン及び/又はノニオン及び/又はカチオン安定化される。
【0036】
好ましくは、イソシアネート基に反応性の1以上のヒドロキシル基を有し且つ分子量約500〜10000ダルトン、好ましくは約1000〜2000ダルトンの比較的高分子量(ポリマー性)ポリオール系の水性及び非水性ポリウレタン、例えば、(疎水性修飾)ポリアルキレングリコール、脂肪族又は芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン,ポリカーボネート、α,ω−ポリブタジエンポリオール、α,ω−ポリメタクリレートジオール、α,ω−ポリスルフィドジオール、α,ω−ジヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサン、ヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ官能化エポキシ樹脂、ヒドロキシ官能化ケトン樹脂、アルキド樹脂、ダイマー脂肪酸ジアルコール、ビスエポキシド及び不飽和脂肪酸の反応産物、更にヒドロキシ官能化マクロモノマー及び両端二官能性ポリマー又はこれらの好適な組み合わせ及び/又はイソシアネート基に反応性の1以上のヒドロキシル基を有し且つ分子量約10〜1000ダルトン、好ましくは約32〜499ダルトンの低分子量ポリオール及び/又はイソシアネート基に対して1以上のヒドロキシル基を有し且つ分子量約10〜5000、好ましくは約104〜2500ダルトンの低分子量アニオン及び/又はカチオン及び/又はノニオン親水化ポリオール、1以上の反応性イソシアネート基を有し且つ分子量約100〜5000ダルトン、好ましくは約150〜300ダルトンを有する脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネート、適宜イソシアネート基に対して反応性の1以上の第1級及び/又は第2級アミノ基を有し且つ分子量約60〜5000ダルトン、好ましくは約60〜250ダルトンの脂肪族及び/又は芳香族ポリアミン、及び適宜官能化成分(B)が用いられる。ハイブリッド水性ポリウレタンが含まれる場合、ポリウレタンに加えて、遊離基重合可能なポリマー及び脂肪親和性開始剤が含まれていてもよい。
【0037】
重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分a3)は、アルコキシシランの末端基及び/又は側基を有する溶剤非含有又は溶剤含有及び/又はハイブリッドシラン末端樹脂、例えばシラン末端ポリウレタン又はポリウレタンプレポリマー(STO、STP、SPUR、逆SPUR)及び/又はシラン末端ポリエーテル(STPe)及び/又は他のシラン末端オリゴマー及び/又はポリマー及び/又はハイブリッドポリマー(ブロック重合体、共重合体、グラフト重合体、ランダム重合体)を含む。シラン末端樹脂a)は分子量約1000〜250000ダルトン、好ましくは約5000〜25000ダルトンであって、あらゆる所望の置換パターンを有する遊離アルコキシシラン基含有量が樹脂の全質量に対して約0.1〜50質量%、好ましくは約0.5〜25質量%である。
【0038】
重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分a4)は、市販の低分子量又は比較的高分子量のポリマーのアミン又はアルコールか、又はアミン及び/又はヒドロキシル基を含む比較的高分子量のポリマーの重付加物及び/又は重縮合物を含む溶剤非含有又は溶剤含有及び/又はハイブリッド及び/又は水性ポリオール及び/又はポリアミン混合物を含む。ポリオール及び/又はポリアミン混合物a4)は、分子量約60〜100000ダルトン、例えば60000〜100000、好ましくは約60〜10000、特に約60〜1000であり、樹脂の全質量に対して、遊離ヒドロキシル基含有量が約1〜50質量%、好ましくは約1〜25質量%であり且つ/又は遊離アミン基含有量が約1〜50質量%、好ましくは約1〜25質量%である。
【0039】
重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分a5)は、溶剤非含有又は溶剤含有及び/又はハイブリッド及び/又は水性エポキシ樹脂、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びこれらの高級同族体、フェノールノボラック樹脂並びに反応性希釈剤及び増量剤を含む。エポキシ樹脂a5)は、分子量約100〜10000ダルトン、好ましくは約200〜2000ダルトンであり、遊離エポキシ基含有量が樹脂の全質量に対して約0.1〜50質量%、好ましくは約1〜25質量%である。
【0040】
例えば、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、n−ドデカノール、1,6−ヘキサンジオール、クレゾール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、n−テトラデカノール、トリメチロールプロパンといった単官能性又は多官能性アルコールのグリシジルエーテル、又はこれらの好適な組み合わせは、好適な反応性希釈剤として使用してもよい。例えばベンジルアルコール等のアルコール、又はその好適な組み合わせは、好適な増量剤として使用してもよい。
【0041】
重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分a6)は、ポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレートの分散液及び溶液といった溶剤非含有又は溶剤含有及び/又は水性(メタ)アクリレート樹脂を含み、ポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレートは分子量約2500〜250000ダルトン、好ましくは約25000〜100000ダルトンであり、遊離ヒドロキシル基含有量が樹脂の全質量に対して約0.1〜25質量%、好ましくは約1〜10質量%である。
【0042】
重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分a7)は、アニオン、カチオン、又は遊離基重合可能であって、遊離ヒドロキシル基含有量が樹脂の全質量に対して約0.1〜25質量%、好ましくは約1〜10質量%のモノマー系の溶剤非含有又は溶剤含有及び/又は親水化及び/又は水性ポリマー、又はその好適な組み合わせを含む。アニオン、カチオン又は遊離基重合可能であり且つ少なくとも1個の重合性二重結合及び所望の置換形式を有する全ての種類のモノマー系の全ての反応生成物を、好適なポリマーとして使用してもよい。
【0043】
約5〜95質量%、好ましくは約10〜90質量%の固体含有量を有するバインダ成分(A)は、官能化成分(B)をポリマー結合形で含み、そして約0.1〜75質量%、好ましくは約0.5〜5質量%の(ポリマー)結合フッ素含有量を有していてもよい。この場合、成分a1)〜a7)の基礎となり且つ従来技術に相当する合成成分と、成分(B)との半製造反応生成物が含まれる。成分(B)を、全ての種類の重合反応(重付加、重縮合、アニオン、カチオン又は遊離基重合)及び/又はポリマー類似反応によって成分(A)に導入できる。成分(A)がその調製中に、又はその後にだけ成分(B)で化学的に修飾されるか否かは重要でない。
【0044】
成分(A)及び(B)は、主鎖及び/又は側鎖に位置する構造要素−(CFCF−(式中、nは3以上である)及び/又は−(CFCFRO)(式中、nは3以上であり、RはF、CFである)を含んでもよい。
【0045】
重付加及び/又は重縮合可能な官能化成分(B)は、(パー)フルオロアルキル修飾化合物又はその異性体混合物を含み、又は分子量約100〜10000ダルトン、好ましくは約250〜5000ダルトンであって、ポリマー結合フッ素含有量約10〜90質量%、好ましくは約20〜80質量%であり、各々の場合において1以上の反応性脂肪族及び/又は芳香族第1級及び/又は第2級(ブロック化)アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、(ブロック化)イソシアネート、アルコキシシラン、エポキシド、アジリジン、又は(メタ)アクリレート基を含む(パー)フルオロアルキル修飾化合物の好適な反応産物を含む。
【0046】
好ましくは、
b1)(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール又は(パー)フルオロアルキルアルキレンメルカプタン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンイソシアネート又は(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物又は(パー)フルオロアルキルアルキレンシラン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアジリジン又はアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート、
b2)(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール、ジイソシアネートとジエタノールアミンとの反応産物であって、パーフルオロアルキルアルキレンアルコールは一般式CF−(CF−(CH−OH(式中、xは3〜20であり、yは1〜6であり、好ましくはxは5〜13であり及び/又はyは1〜2である)の末端メチレン基(炭水化物スペーサ)、又は一般式CFCFCFO−(CF(CF)CFO)CF(CF)CH−OH(式中、zは1〜10、好ましくは4〜10である)のヘキサフルオロプロペン酸化物(HFPO)オリゴマーアルコール、又はこれら好ましく用いられるものの混合物を有する反応産物、
b3)(パー)フルオロアルキルアルケンと、ジエタノールアミン又はアルコキシシラン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物との反応産物であって、(パー)フルオロアルキルアルケンは一般式CF−(CF−CH=CH(式中、xは3〜20、好ましくは5〜13である)の末端ビニル基(炭水化物スペーサ)又は、又はこれら好ましく用いられるものの混合物を有する反応産物、
b4)アルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレートと、ジエタノールアミン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物との反応産物、
b5)(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物と、N−メチルエタノールアミン又はジエタノールアミン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物との反応産物、
b6)(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物と、第1級及び/又は第2級アミン又はポリアミン又はアミノアルキルアルコキシシラン又はイソシアネートアルキルアルコキシシランとの反応産物、
b7)ポリイソシアネートと、(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール、適宜アミノアルキルアルコキシシラン又はエポキシアルコキシシラン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン、適宜アミノアルキルアルコキシシラン又はエポキシアルコキシシラン又は(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物又は(パー)フルオロアルキルアルキレンカルボン酸との反応産物、
b8)(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアミンと、イソシアネートアルキルアルコキシシラン又はエポキシアルコキシシランとの反応産物、又は
b9)一般式(RSiO1.5)m(式中、aは0又は1であり、bは0又は1であり、a+b=1、mは4、6、8、10、12であって、好ましくはmは8で、R、Xは、約1〜250の炭素原子、0〜約50の窒素原子及び/又は0〜約50の酸素原子及び/又は約10〜100のフッ素原子及び/又は0〜約50のケイ素原子及び/又は0〜約50の硫黄原子を有するあらゆる所望の無機及び/又は有機且つ適宜ポリマー性基である)の反応性多面オリゴマーポリシラセスキオキサン(POSS)、又はこれらの好適な組み合わせが使用される。
【0047】
例えば、購入可能なパーフルオロアルキルアルコール(Zonylz(登録商標)BA、BAL、BA LD、DuPont de Nemours社)の混合物又は購入可能なヘキサフルオロプロペン酸化物(HFPO)オリゴマーアルコール(Krytox(登録商標)、DuPont de Nemours社)の混合物又はこれらの好適な組み合わせは、好適な(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコールとして使用できる。
【0048】
例えば、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール、1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール,2−(パーフルオロブチル)エタノール、3−(パーフルオロブチル)プロパノール、6−(パーフルオロブチル)ヘキサノール、1H,1H−パーフルオロ−1−デカノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、6−(パーフルオロエチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノール、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エタノール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3、3−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1,1,2,2−テトラハイドロパーフルオロ−1−ヘキサデカノール、1,1,2,2−テトラハイドロパーフルオロ−1−テトラデカノール、及び1H,1H−トリフルオロエタノール又はこれらの工業的異性体混合物、Clariant社製品Fluowet(登録商標)EA 600、EA 800、EA 093、EA 612、EA 612 N、EA 812 AC、EA 812 IW、EA 812 EP、EA6/1020、DuPont de Nemours社製品Zonyl(登録商標)FSH、FSO、FSN、FS−300、FSN−100、FSO−100、又はこれらの好適な組み合わせは、好適な(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコールとして使用できる。
【0049】
例えば、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクテン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ−1−デセン、DuPont de Nemours社製品(オレフィン系)「Zonyl(登録商標)PFBE又はこれらの好適な組み合わせは、好適な(パー)フルオロアルキルアルケンとして使用できる。
【0050】
例えば、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、1H−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート、DuPont de Nemours社製品Zonyl(登録商標)TA−N(アクリレート系)及びTM(メタクリレート系)、又はこれらの好適な組み合わせは、好適な(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート及び/又は(パー)フルオロアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレートとして使用してもよい。
【0051】
例えば、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキセン−1,2−オキシド、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプテン−1,2−オキシド、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノネン−1,2−オキシド、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデセン−1,2−オキシド又はこれらの好適な組み合わせは、好適な(パー)フルオロアルキルアルキレンオキシドとして使用してもよい。
【0052】
例えば、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロトリエトキシシラン(Degussa AG 社DYNASILAN(登録商標)F 8800、F 8261、F 8262、F 8263)は、好適な(パー)フルオロアルキルアルコキシシランとして使用してもよい。
【0053】
シラセスキオキサンは、オリゴマー又はポリマー物質であり、即ち、一般式(SiO3/2R)n(式中、nが4を超え、基Rが水素を表すだけでなく、一般的には有機基を表してもよい)を有する完全に縮合された構成員である。シラセスキオキサンの最小構造は、テトラへドロンである。Voronkov及びLavrent’yevは、三官能性のRSiY前駆体(式中、Rが1〜20個、特に1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、そしてYが加水分解性基、例えばクロリド、アルコキシド又はシロキシドを表す)の加水分解縮合による完全縮合及び不完全縮合のオリゴマーのシラセスキオキサンを合成する方法について記載している(Top. Curr. Chem. 102 (1982), 199−236)。Lichtenhan等は、オリゴマーのシラセスキオキサンの塩基触媒化調製法について記載している(WO01/10871)。式RSi12(同一でも又は異なっていてもよい炭化水素基Rを有する)で表されるシラセスキオキサンを、塩基触媒作用下で反応させて、官能化で、不完全縮合のシラセスキオキサン、例えばRSi(OH)又はRSi11(OH)及びRSi10(OH)Si(OH)又はRSi11(OH)及びRSi10(OH)を形成できるので(Chem. Commun. (1999), 2309−10; Polym. Mater. Sci. Eng. 82 (2000), 301−2; WO 01/10 871)、種々の異なる不完全縮合で且つ官能化のシラセスキオキサンの親化合物として働く。特に、式RSi(OH)で表されるシラセスキオキサン(トリシラノール)を、モノマーの官能化シランとの反応(コーナーキャップ)によって、好適に修飾されたオリゴマーのシラセスキオキサンに転化できる。
【0054】
一般式(RSiO1.5)m(式中、aは0又は1であり、bは0又は1であり、a+b=1、mは4、6、8、10、12、好ましくはmは8であり、Rは水素原子,アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル又はシクロアルキニル基、又は各々の場合において、ポリマー単位又は架橋単位を介して連結された置換又は非置換又は更に官能化された多面オリゴマーシリコン−酸素クラスター単位であり、Xはオキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、シリル,アルキルシリル、アルコキシシリル、シリルオキシ,アルキルシリルオキシ、アルコキシシリルオキシ、シリルアルキル、アルコキシシリルアルキル,アルキルシリルアルキル、ハロゲン、エポキシ、エステル、(パー)フルオロアルキル,イソシアネート、ブロック化イソシアネート、アクリレート、メタクリレート、ニトリル,アミノ、ホスフィン又はポリエーテル基、又はXの1以上の置換基を担持する置換基であり、Rの置換基及びXの置換基が同一又は異なる反応性多面オリゴマーポリシラセスキオキサン(POSS)は好ましく使用される。好ましい実施の形態によると、成分(A)は、成分(B)をポリマー結合形で含み、約0.1〜75質量%、好ましくは約0.5〜5質量%のポリマー結合フッ素含有量を有する。
【0055】
例えば、硬化成分(C)は、脂肪族及び/又は芳香族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリオキシアルキレンアミン、低分子量ポリオール、高分子量(ポリマー性)ポリオール、(水乳化可能)脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネート、遊離イソシアネート基又は遊離ヒドロキシル基又は遊離アミノ基を有する(水乳化可能)脂肪族及び/又は芳香族ポリウレタンプレポリマー、ポリアジリジン又は大気湿度である。
【0056】
例えば、1,3−ペンタンジアミン(DAMP)、2−メチルペンタメチレンジアミン(MPMDA)、ベンジルアミノプロピルアミン(BAPA)、ビスアミノメチルシクロヘキサン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3−BAC)、シクロヘキシルアミノプロピルアミン(NAPCHA)、ジアミノシクロヘキサン又は1,2−ジアミノシクロヘキサン(DAC又はDCH)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、ジエチレントリアミン又は1,4,7−トリアザヘプタン(DETA)、ジメチル−PACM又はビス(4,4’−アミノ−3,3’−メチルシクロヘキシル)メタン(DM−PACM)、ジプロピレントリアミン又は1,5,9−トリアザノナン、エチレンジアミン又は1,2−ジアミノエタン(EDA)、ヘキサメチレンジアミン又は1,8−ジアザオクタン(HMDA)、イソホロンジアミン又は3−メチルアミノ−3,5,5−トリメチル−アミノシクロヘキサン(IPD又はIPDA)、メチルペンタメチレンジアミン又は2−メチル−1,7−ジアザヘプタン、N3−アミン又は1,4,8−トリアザオクタンN4−アミン又は1,5,8,12−テトラアザドデカン、n−アミンエチルピペラジン又は1−(2−アミノエチル)−1,4−ジアザシクロヘキサン(NAEP)、N−アミノプロピルシクロヘキシルアミン(NAPCHA)、p−アミノシクロヘキシルメタン又はビス(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ペンタエチレンヘキサミン又は1,4,7,10,13,16−ヘキサアザヘキサデカン(PEHA)、プロピレンジアミン又は1,5−ジアザペンタン(PDA)、テトラエチレンペンタミン又は1,4,7,10,13−ペンタアザトリデカン(TEPA)、トリシクロドデカンジアミン又は3(4),8(9)−ビス−(アミノメチル)トリシクロ−[5,2,1,02,6]デカン(TCD)、トリエチレンテトラミン又は1,4,7,10−テトラアザデカン(TETA)、トリメチルヘキサメチレンジアミン又は2,2,4−トリメチル−1,8−ジアザオクタン及び/又は2,4,4−トリメチル−1,8−ジアザオクタン又はこれらの好適な組み合わせは、好適な脂肪族ポリアミンとして使用してもよい。
【0057】
例えば、ジアミノジフェニルメタン又はビス(4,4’−アミノフェニル)メタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン又はビス(4,4’−アミノフェニル)スルホン(DDS)、ジエチルアミノジフェニルメタン(DEDDM)、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、m−キシリレンジアミン又は1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(mXDA)又はこれらの好適な組み合わせは、好適な芳香族ポリアミンとして使用してもよい。
【0058】
ポリオキシエチレンポリアミン、ポリオキシプロピレンポリアミン、ポリテトラハイドロフランポリアミン、あらゆる所望のアルキレンオキシド系の他のポリオキシアルキレンポリアミン、又はこれらの混合物(共重合体、ブロック重合体、ランダム重合体)、ブタンジオールエーテルジアミン又は1,14−ジアザ−5,10−ジオキソテトラデカン(BDA)又はこれらの好適な組み合わせは、好適な芳香族ポリオキシアルキレンアミンとして使用してもよい。
【0059】
更に、ポリアミノアミド、マンニッヒ塩基、EDA付加体、DETA付加体、type 100、type 115、type 125、type 140、type 250 (Genamid)、PAA付加体といったエポキシド付加体、又はこれらの好適な組み合わせを使用してもよい。
【0060】
例えば、ポリイソシアネート、ポリイソシアネート誘導体又はポリイソシアネート同族体(2種以上の、同一でも又は異なっていてもよい反応性の脂肪族又は芳香族イソシアネート基を有する)或いはこれらの好適な組み合わせを、好適なポリイソシアネートとして使用してもよい。ポリウレタン化学で周知のポリイソシアネート又はこれらの組み合わせが特に好適である。例えば、1,6−ジイソシアネートヘキサン(HDI)、1−イソシアネート−5−イソシアネートメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチル−エチル)ベンゼン(m−TMXDI)又は各芳香族ポリイソシアネートの工業的異性体混合物は、好適な脂肪族ポリイソシアネートとして使用してもよい。例えば、2,4−ジイソシアネートトルエン又はトルエンジイソシアネート(TDI)、ビス(4−イソシアネートフェニル)メタン(MDI)及びその、必要により高級の同族体(ポリマーのMDI)又は個々の芳香族ポリイソシアネートによる工業的異性体混合物を、好適な芳香族ポリイソシアネートとして使用してもよい。更に、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、1,6−ジイソシアネートヘキサン(HDI)、1−イソシアネート−5−イソシアネートメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)系の、いわゆる「被膜ポリイソシアネート」についても、原則として好適である。「被膜ポリイソシアネート」なる用語は、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレトジオン又はウレタン基を有し、モノマーのジイソシアネートにおける残渣含有量が従来技術に従って最小限に低減された上記のジイソシアネートの誘導体という特徴をなす。更に、例えば、1,6−ジイソシアネートヘキサン(HDI)系の「被膜ポリイソシアネート」の親水性修飾によって得られる修飾ポリイソシアネートを使用することもできる。
【0061】
例えば、(疎水性修飾)ポリアルキレングリコール、脂肪族又は芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン,ポリカーボネート、α,ω−ポリブタジエンポリオール、α,ω−ポリメタクリレートジオール、α,ω−ポリスルフィドジオール、α,ω−ジヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサン、ヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂、ヒドロキシ官能性ケトン樹脂、アルキド樹脂、ダイマー脂肪酸ジアルコール、ビスエポキシド及び不飽和脂肪酸、更にヒドロキシ官能化されたマクロモノマー及び両端二官能性ポリマー系の反応産物、又はこれらの好適な組み合わせは、好適な高分子量(ポリマー性)ポリオールとして使用してよい。
【0062】
例えば、1,2−エタンジオール又はエチレングリコール、1,2−プロパンジオール又は1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール又は1,6−ヘキサメチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール又はネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン又はシクロヘキサンジメタノール、1,2,3−プロパントリオール又はグリセロール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパノール又はトリメチロールエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール又はトリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール又はペンタエリスリトール、2−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸又はジメチロール酢酸、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−3−ヒドロキシプロピオン酸又はジメチロールプロピオン酸、2−ヒドロキシメチル−2−エチル−3−ヒドロキシプロピオン酸又はジメチロール酪酸、2−ヒドロキシメチル−2−プロピル−3−ヒドロキシプロピオン酸又はジメチロール吉草酸又はこれらの好適な組み合わせは、好適な低分子量ポリオールとして使用してもよい。
【0063】
成分(B)及び(C)は、アルドイミン及び/又はケトイミン及び/又はエンアミン及び/又はオキサゾリジン及び/又はポリアスパラギン酸エステル系の潜在性硬化剤又は反応性希釈剤、開裂生成物非含有で且つアゼチジン及び/又はジアゼピン系の潜在性硬化剤又はこれらの好適な組み合わせの形で1個以上の第1級又は第2級アミノ及び/又はヒドロキシル基を有する化合物であってもよい。潜在的反応性の(「不活性」)成分を、反応前に潜在的反応物質に添加し、そして実際の加工中にだけ、大気湿度で、及び/又は好適な加工条件によって活性化できる。
【0064】
処方成分(D)は、消泡剤、脱気剤、潤滑剤及び流量増加剤、基板湿潤剤、湿度及び分散性増加剤、撥水剤、レオロジー増加剤、凝集補助剤、つや消し剤、接着促進剤、不凍剤、抗酸化剤、UV安定剤、殺菌剤、防かび剤、水、溶剤の全タイプ、及び全タイプの触媒の無機及び/又は有機の充填剤、光充填剤、色素、及び担体材料、無機及び/又は有機ナノ材料、無機及び/又は有機繊維、更にポリマー及び/又は再分散可能ポリマー粉末である。これらの構成要素は、表面処理及び塗布技術、U. Zorll (編集者): Lehrbuch der Lacktechnologie [塗布技術の教科書], Curt R. Vincentz Verlag Hanover 1998.においても十分に周知である。
【0065】
成分(B)及び/又は(C)及び/又は(D)は、被覆及び/又はマイクロカプセル入り及び/又は担体固定及び/又は疎水化及び/又は溶剤含有の形で存在していてもよい。潜在的に反応性の被覆及び/又はマイクロカプセル入り組成物の場合、活性成分を、適用条件に従って抑制された形態で遊離でき、これにより、成分(A)、(B)、必要により含まれる(C)及び(D)からなる組成物全体の反応性又は反応時間に対して効果がある。(潜在的に反応性の)担体固定組成物の場合、全ての好適な無機及び/又は有機担体材料を使用してもよい。更に、成分(B)及び/又は(C)及び/又は(D)を、所望の組み合わせ及び順番(例えば、層構造)にて担体材料に塗布でき、これにより、成分(A)、(B)、必要により含まれる(C)及び(D)からなる組成物全体の反応性又は反応時間に対して効果がある。全種類の潜在的反応性成分を使用することにより、成分(A)、(B)、必要により含まれる(C)及び(D)からなる組成物全体における個々の成分の調製に関して、更に自由度が得られる。潜在的反応性の(「不活性」)成分を、反応前に潜在的反応物質に添加し、そして実際の加工中にだけ、大気湿度で、及び/又は好適な加工条件によって活性化できる。
【0066】
成分(A)、(B)及び(C)における反応性基の当量比は、水を使用しない硬化の場合(大気湿度)、約0.1〜10の範囲、好ましくは約0.5〜5の範囲に設定される。
【0067】
硬化後に得られ、成分(A)、(B)及び必要により含まれる(C)からなるポリマーは、約50000〜5000000ダルトン、好ましくは約100000〜500000ダルトンの平均分子量(数平均)を有している。
【0068】
更に本発明は、本発明に係るフッ素修飾反応性樹脂系の調製方法に関する。この方法は、
a1)3成分系を利用する場合、重付加及び/又は重縮合可能な成分(A)、(B)及び(C)をあらゆる所望の方法で混合して反応させ、適切な場合には処方成分(D)が存在してもよく、又は
a2)2成分系を利用する場合、重付加及び/又は重縮合可能な成分(A)及び(B)又は(B)及び(C)の予め作成した混合物を、重付加及び/又は重縮合可能な成分(C)又は(A)とあらゆる所望の方法で混合し、又は成分(A)及び(B)のみをあらゆる所望の方法で混合して反応させ、適切な場合には処方成分(D)が存在してもよく、又は
a3)1成分系を利用する場合、重付加及び/又は重縮合可能な成分(A)及び(B)の予め作成した混合物を、水(大気湿度)からなる成分(C)と反応させ、適切な場合には処方成分(D)が存在してもよく、
b)手順a)、b)又はc)からの混合物を、あらゆる所望の方法で各基板に/内に塗布することを含む。
【0069】
好ましい実施形態によれば、手順a)又はb)又はc)の前にまず成分(B)を適宜調製し、処方成分(D)又はその各構成要素を、手順a1)、a2)又はa3)での反応の前、間、又は後に、成分(A)、(B)又は(C)又は成分(A)及び(B)又は(B)及び(C)の予め作成した混合物と混合する。
【0070】
成分(B)及び/又は(C)及び/又は(D)は、潜伏的反応性の形において他の成分と混合し、塗布だけで活性化できる。
【0071】
例えば、反応手順a)、b)、c)及びd)は、約0〜150℃、特に約10〜75℃の温度で行われる。
【0072】
フッ素修飾反応性樹脂系が溶剤及び/又は水を含む場合、十分な混和性を保証する必要がある。
【0073】
「十分な混和性」なる用語は、組成物全体の均質性が仕上げで一般的な混合技術及び被覆技術(コーティング技術)を用いて可能であるか、或いは成分(B)、(C)及び(D)の混和性が成分(A)に匹敵する必要がある(即ち、層分離が生じない)ことを意味する。
【0074】
更に本発明は、本発明に係るフッ素修飾反応性樹脂系の、永久撥油及び撥水及び防汚表面処理又は鉱物又は非鉱物基板の修飾の建築又は工業部門における使用に関する。例えば、全タイプ(例えば、コンクリート、石膏、シリカ及びケイ酸塩、人造石、天然石(例えば、花崗岩、大理石、砂岩、粘板岩、蛇紋石)、粘土、セメント、れんが)、及びエナメル、充填剤、及び色素、ガラス、セラミック、金属及び合金等の多孔性、吸収性、粗及び研磨された建築材料及び構造物といった無機表面、全タイプの織物及び織布、木及び木製材料、木製単板、ガラス繊維補強プラスチック(GFRP)、プラスチック、皮革、天然繊維、極性有機ポリマー、複合材料といった有機表面である。
【0075】
本発明に係るフッ素修飾反応性樹脂系は、以下の利用分野における永久撥油及び撥水及び防汚表面処理又は修飾において好適である。
建築
・防止塗装/防汚塗装
・洗浄容易塗装
・全タイプ(例えば、ベランダ塗装、屋根(タイル)塗装、焼付エナメル、塗料及び仕上げ、石工塗装、フロア塗装、低、中、高積載量の工業的フロア、駐車フロア塗装、スポーツフロア、粉体塗装)の塗装
・下塗り
・プレキャストコンクリート部
・成形コンクリート部
・タイル及び接続部
・接着剤及び封止剤
・騒音制御壁
・腐食防止
・漆喰及び装飾的漆喰
・外部防護及び仕上げ系(EIFS)及び断熱系
【0076】
非建築及び工業
・自動車産業
・コイル塗装
・焼付エナメル
・織物及び繊維被覆
・ガラスファサード及びガラス表面
・セラミック及び衛生陶器
・皮革仕上げ
・表面修飾充填剤及び色素
・紙加工
・風力発電所の回転翼
・船舶塗装
【0077】
本発明に係るフッ素修飾反応性樹脂系は、次のコンクリートの質量疎水化/疎油化にも好適である。
プレキャストコンクリート部
成形コンクリート部
建築用地コンクリート
ショットクリート
生コンクリート
【0078】
本発明によるフッ素修飾反応性樹脂系は、被覆技術で公知の方法、例えばフラッディング、注入、ナイフコーティング、毛皮被覆ローラーを有するローラー塗布、噴霧、はけ塗り、ディッピング、硬質ローラーを有するローラー塗布によって塗布される。
【0079】
本発明によるフッ素修飾反応性樹脂系から製造される被膜の乾燥及び硬化は、約0〜50℃の一般的な(戸外及び屋内の)温度で、即ち被膜を特に加熱することなく行われるものの、塗布法に応じて、約50〜150℃の範囲の高温条件下で行われる場合もある。
【0080】
以下の実施例は、本発明を更に詳細に説明することを目的としている。
【実施例】
【0081】
実施例1:フッ素修飾マクロモノマー(硬化剤)
83.06gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)及び0.1gのT12DBTLを、KPG撹拌器、温度計及び窒素ブランケッティングを具備する三ツ口フラスコに最初に導入し、そして約50℃に加熱した。その後、60℃に予め加熱した200gのフルオロアルコール(Fluowet EA 812 AC、Clariant社製)を、最初に導入された混合物に撹拌しながら2時間で均一に計量導入した。かかる反応工程での温度は、50〜55℃に維持された。反応が僅かに発熱であるので、僅かな冷却が必要であった。フルオロアルコールを完全に添加した後、50〜55℃にて、更に2時間撹拌した。その後、NCO値を測定した。NCO値は、5.65質量%であった(理論値:5.55質量%)。その後、263gの予備付加体を、36.47gのジエタノールアミン及び74.91gのN−メチルピロリドンからなり、最初に導入された混合物に撹拌しながらゆっくりと添加した。温度は、55〜60℃に維持された。予備付加体を完全に添加した後、50〜55℃にて、更に0.5時間撹拌し、そして最終生成物を最終的に調合した。生成物は、透明で、僅かに黄色で、室温条件下で僅かに粘性であった。
【0082】
実施例2:ポリウレタン分散液(バインダ)
100.00gのポリカーボネート−ポリオール(商品名:Desmophen VP LS 2391、Bayer社製)、5.00gの1,4−ブタンジオール(Aldrich社製)、7.15gのジメチロールプロピオン酸(商品名:Mallinckrodt社製のDMPA(登録商標))、0.1gのジブチルスズジラウレート(Aldrich社製)及び17.50gのN−メチルピロリドン(Aldrich社製)を、KPG撹拌器、還流冷却器、温度計及び窒素ブランケッティングを具備する四ツ口フラスコに最初に導入し、そしてジメチロールプロピオン酸が完全に溶解するまで、60℃にて撹拌した。その後、63.53gのイソホロンジイソシアネート(Degussa社製)を添加し、そしてNCOの理論含有量が5.52質量%に到達するまで、窒素でブランケッティングしつつ80〜90℃で撹拌した。反応の過程を酸滴定によってモニターした。重付加反応後、NCO含有量は5.61質量%であり、そしてプレポリマーを60〜65℃に冷却した。プレポリマー(90当量%)を中和する場合、4.85gのトリエチルアミンをその後に添加し、そして3分間に亘って綿密に撹拌した。
【0083】
その後、165.00gのプレポリマーを236.59gの水道水に綿密に撹拌しながら分散させた。ポリウレタン分散液を製造するために、9.07gのN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(85当量%)及び9.07gの水道水からなる混合物で連鎖延長を行った。
【0084】
以下の特性を有する安定なポリウレタン分散液を得た。
【0085】
【表2】

【0086】
実施例3:フッ素修飾ポリウレタン分散液(バインダ)
100.00gのポリカーボネート−ポリオール(商品名:Desmophen VP LS 2391、Bayer社製)、17.80gの、実施例1から得られたフッ素修飾マクロモノマー、3.50gの1,4−ブタンジオール(Aldrich社製)、9.00gのジメチロールプロピオン酸(商品名:Mallinckrodt社製のDMPA(登録商標))、0.1gのジブチルスズジラウレート(Aldrich社製)及び15.00gのN−メチルピロリドン(Aldrich社製)を、KPG撹拌器、還流冷却器、温度計及び窒素ブランケッティングを具備する四ツ口フラスコに最初に導入し、そしてジメチロールプロピオン酸が完全に溶解するまで、60℃にて撹拌した。その後、69.05gのイソホロンジイソシアネート(Degussa社製)を添加し、そしてNCOの理論含有量が5.41質量%に到達するまで、窒素でブランケッティングしつつ80〜90℃で撹拌した。反応の過程を酸滴定によってモニターした。重付加反応後、NCO含有量は5.28質量%であり、そしてプレポリマーを60〜65℃に冷却した。プレポリマー(90当量%)を中和する場合、6.11gのトリエチルアミンをその後に添加し、そして3分間に亘って綿密に撹拌した。
【0087】
その後、180.00gのプレポリマーを259.97gの水道水に綿密に撹拌しながら分散させた。ポリウレタン分散液を製造するために、9.73gのN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(85当量%)及び9.73gの水道水からなる混合物で連鎖延長を行った。以下の特性を有する安定なポリウレタン分散液を得た。
【0088】
【表3】

【0089】
実施例4:フッ素修飾反応性樹脂系(3成分系)
3.13gの、実施例1から得られたフッ素修飾マクロモノマー(OH含有量:1.57質量%)を、溶解器を用い、100gの、実施例2から得られたポリウレタン分散液(OH含有量:0.38質量%)に分散させた。その後、7.59gのBasonat HW 100(NCO含有量:16.8質量%、BASF社製)を、0.75gのProglyde DMM(Dow Chemicals社製)で希釈し、そして上記の分散液混合物に同様に分散させた。
【0090】
実施例5:フッ素修飾反応性樹脂系(3成分)
2.0gの、実施例1から得られたフッ素修飾マクロモノマー(OH含有量:1.57質量%)を、溶解器を用い、100gの、実施例3から得られたポリウレタン分散液(OH含有量:0.35質量%)に分散させた。その後、6.73gのBasonat HW 100(NCO含有量:16.8質量%、BASF社製)を、0.7gのProglyde DMM(Dow Chemicals社製)で希釈し、そして上記の分散液混合物に同様に分散させた。
【0091】
表面エネルギーは、11〜12mN/mであり、接触角Θ(水)は、100〜110°であった。
【0092】
実施例6:フッ素修飾反応性樹脂系(2成分)(比較)
0.6gのProglyde DMM(Dow Chemicals社製)で予め希釈した6.18gのBasonat HW 100(NCO含有量:16.8質量%、BASF社製)を、溶解器を用い、100gの、実施例3から得られたフッ素修飾ポリウレタン分散液(OH含有量:0.35質量%)に分散させた。
【0093】
表面エネルギーは、12〜13mN/mであり、接触角Θ(水)は、110〜120°であった。
【0094】
実施例4及び5の被膜組成物又は表面は、本発明に基づかない実施例6と比較して、低い臨界表面張力γc、大きくなった接触角Θ及び実質的に低い吸塵傾向を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された表面特性を有するフッ素修飾反応性樹脂系であって、
a)重付加及び/又は重縮合可能なバインダ成分(A)であって、
a1)分子量1000〜25000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜50質量%の遊離(ブロック化)イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂、
a2)分子量2500〜250000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0〜25質量%の遊離アミン基及び/又は0〜25質量%の遊離ヒドロキシル基及び/又は0〜25質量%の遊離(ブロック化)イソシアネート基及び/又は0〜25質量%の遊離エポキシ基を有する水性アニオン及び/又はノニオン及び/又はカチオン安定化ポリウレタン樹脂、
a3)分子量1000〜250000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜50質量%の所望の置換パターンを有する遊離アルコキシシラン基を有するシラン末端樹脂、
a4)分子量60〜10000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して1〜50質量%の遊離ヒドロキシル基及び/又は1〜50質量%の遊離アミン基を有する低分子量及び/又は高分子量(ポリマー性)化合物系のポリオール及び/又はポリアミン混合物、
a5)分子量100〜10000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜50質量%の遊離エポキシ基を有するエポキシ樹脂、
a6)分子量2500〜250000ダルトンであって、樹脂の全質量に対して0.1〜25質量%の遊離ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート樹脂、又は
a7)アニオン、カチオン又は遊離基重合可能なモノマー系であって、樹脂の全質量に対して0.1〜25質量%の遊離ヒドロキシル基を有する別のポリマー、
又はこれらの好適な組み合わせを含み、
各々の場合において固形分5〜95質量%のポリマーを有するバインダ成分(A)と、
b)5〜100質量部、分子量100〜10000ダルトン且つポリマー結合フッ素含有量10〜90質量%の重付加及び/又は重縮合可能な官能化成分(B)であって、各々の場合において、1以上の反応性の脂肪族及び/又は芳香族の第1級及び/又は第2級(ブロック化)アミノ、ヒドロキシル、メルカプト,(ブロック化)イソシアネート、アルコキシシラン、エポキシド、又はアジリジンもしくは(メタ)アクリレート基を含み、
b1)(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンメルカプタン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンイソシアネート、又は(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンシラン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアジリジン、又はアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート、又は(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート、又は(パー)フルオロアルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート、
b2)(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール、ジイソシアネートと、ジエタノールアミン、一般式CF−(CF−(CH−OH(式中、xは3〜20であり、yは1〜6である)の末端メチレン基(炭水化物スペーサ)を有するパーフルオロアルキルアルキレンアルコール、又は一般式CFCFCFO−(CF(CF)CFO)−CF(CF)CH−OH(式中、zは1〜10である)のヘキサフルオロプロペン酸化物(HFPO)オリゴマーアルコールとの反応産物、又はこれら好ましく使用されるものの混合物、
b3)(パー)フルオロアルキルアルケンと、ジエタノールアミンもしくはアルコキシシラン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物との反応産物、一般式CF−(CF−CH=CH(式中、xは3〜20である)の末端ビニル基(炭水化物スペーサ)を有する(パー)フルオロアルキルアルケン、又はこれら好ましく使用されるものの混合物、
b4)アルキル(パー)フルオロ(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート又は(パー)フルオロアルキル−(パー)フルオロ(メタ)アクリレートと、ジエタノールアミン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物との反応産物、
b5)(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物と、N−メチルエタノールアミンもしくはジエタノールアミン又はアミノ基及び1以上のヒドロキシル基を有する他の化合物の反応産物、
b6)(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物と第1級及び/又は第2級アミン又はポリアミン又はアミノアルキルアルコキシシラン又はイソシアネートアルキルアルコキシシランとの反応産物、
b7)ポリイソシアネートと、(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール及び適宜のアミノアルキルアルコキシシランもしくはエポキシアルコキシシラン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアミン及び適宜アミノアルキルアルコキシシランもしくはエポキシアルコキシシラン、又は(パー)フルオロアルキルアルキレン酸化物、又は(パー)フルオロアルキルアルキレンカルボン酸との反応産物、
b8)(パー)フルオロアルキルアルキレンアルコール又は(パー)フルオロアルキルアルキレンアミンと、イソシアネートアルキルアルコキシシラン又はエポキシアルコキシシランとの反応産物、又は
b9)一般式(RSiO1.5の反応性多面オリゴマーポリシラセスキオキサン(POSS)
(式中、aは0又は1であり、bは0又は1であり、a+b=1、mは4、6、8、10、12であり、R、Xは、1〜250の炭素原子及び0〜50の窒素及び/又は0〜50の酸素及び/又は10〜100のフッ素及び/又は0〜50のケイ素及び/又は0〜50の硫黄原子を有するあらゆる所望の無機及び/又は有機で適宜ポリマー性の基である)、
又はこれらの好適な組み合わせを含む官能化成分(B)と、
c)0〜100質量部且つ分子量100〜10000ダルトンの重付加及び/又は重縮合可能な硬化成分(C)であって、各々の場合において1以上の反応性脂肪族及び/又は芳香族第1級及び/又は第2級(ブロック化)アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、(ブロック化)イソシアネート又はアジリジン基及び/又は水を含有する硬化成分(C)と、
d)0〜300質量部の処方成分(D)と、を含み、成分(A)が成分(B)を(ポリマー)結合形中に適宜含有でき、(ポリマー)結合フッ素含有量0.1〜75質量%を有することができるフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂a1)は、溶剤非含有又は溶剤含有系である請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂a2)は、溶剤非含有又は溶剤含有及び/又はハイブリッド系である請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項4】
前記シラン末端樹脂a3)は、溶剤非含有又は溶剤含有及び/又はハイブリッド系である請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項5】
シラン末端樹脂a3)は、シラン末端ポリウレタン及び/又はシラン末端ポリエーテル及び/又は末端及び/又は側鎖アルコキシシラン基を有する他のシラン末端オリゴマー及び/又はポリマー及び/又はハイブリッドポリマーである請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項6】
ポリオール及び/又はポリアミン混合物a4)は、溶剤非含有又は溶剤含有及び/又は親水化及び/又は水性系である請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂a5)は、溶剤非含有又は溶剤含有及び/又は親水化及び/又は水性系である請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレート樹脂a6)は、溶剤非含有又は溶剤含有及び/又は水性系である請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項9】
前記ポリマーa7)は、溶剤非含有又は溶剤含有及び/又は水性系である請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項10】
(疎水性修飾)ポリアルキレングリコール系ポリウレタン、脂肪族又は芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン,ポリカーボネート、α,ω−ポリブタジエンポリオール、α,ω−ポリメタクリレートジオール、α,ω−ポリスルフィドジオール、α,ω−ジヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサン、ヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂、ヒドロキシ官能性ケトン樹脂、アルキド樹脂、ダイマー脂肪酸ジアルコール、ビスエポキシド及び不飽和脂肪酸、更にヒドロキシ官能化されたマクロモノマー及び両端二官能性ポリマー系の反応産物、又はこれらの好適な組み合わせが成分(A)として用いられている請求項1記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項11】
成分(A)及び(B)は、主鎖及び/又は側鎖に位置する構造要素−(CFCF)n−(式中、nは3以上である)及び/又は−(CFCFRO)(式中、nは3以上であり、RはF、CFである)を含む請求項1から10いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項12】
硬化成分(C)は、脂肪族及び/又は芳香族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリオキシアルキレンアミン、低分子量ポリオール,高分子量(ポリマー性)ポリオール、(水乳化可能)脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアネート、遊離イソシアネート基又は遊離ヒドロキシル基又は遊離アミノ基を有する(水乳化可能)脂肪族及び/又は芳香族ポリウレタンプレポリマー、ポリアジリジン又は大気湿度を含む請求項1から11いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項13】
成分(B)及び(C)は、アルドイミン及び/又はケトイミン及び/又はエンアミン及び/又はオキサゾリジン及び/又はポリアスパラギン酸エステル系の潜在性硬化剤又は反応性希釈剤、潜在性硬化剤の形で1以上の第1級又は第2級アミノ及び/又はヒドロキシル基を有する化合物、又はこれらの好適な組み合わせを含み、前記潜在性硬化剤は、開裂生成物非含有且つアゼチジン及び/又はジアゼピン系である請求項1から12いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項14】
処方成分(D)は、消泡剤、脱気剤、潤滑剤及び流量増加剤、基板湿潤剤、湿度及び分散性増加剤、撥水剤、レオロジー増加剤、凝集補助剤、つや消し剤、接着促進剤、不凍剤、抗酸化剤、UV安定剤、殺菌剤、防かび剤、水、溶剤の全タイプ、及び全タイプの触媒の無機及び/又は有機の充填剤、光充填剤、色素、及び担体材料、無機及び/又は有機ナノ材料、無機及び/又は有機繊維、更にポリマー及び/又は再分散可能ポリマー粉末を含む請求項1から13いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項15】
成分(B)及び/又は(C)及び/又は(D)は、被覆及び/又はマイクロカプセル入り及び/又は担体固定及び/又は疎水化及び/又は溶剤含有の形で存在する請求項1から14いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項16】
成分(A)、(B)及び(C)における反応性基の当量比は、水を使用しない硬化の場合(大気湿度)、約0.1〜10、好ましくは約0.5〜5に設定される請求項1から15いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項17】
硬化後に得られ、成分(A)、(B)及び適宜(C)を含むポリマーは、数平均分子量50000〜5000000ダルトンである請求項1から16いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系。
【請求項18】
請求項1から17いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系を調製する方法であって、
a1)3成分系を利用する場合、重付加及び/又は重縮合可能な成分(A)、(B)及び(C)をあらゆる所望の方法で混合して反応させ、適切な場合には処方成分(D)が存在してもよく、又は
a2)2成分系を利用する場合、重付加及び/又は重縮合可能な成分(A)及び(B)又は(B)及び(C)の予め作成した混合物を、重付加及び/又は重縮合可能な成分(C)又は(A)とあらゆる所望の方法で混合し、又は成分(A)及び(B)のみをあらゆる所望の方法で混合して反応させ、適切な場合には処方成分(D)が存在してもよく、又は
a3)1成分系を利用する場合、重付加及び/又は重縮合可能な成分(A)及び(B)の予め作成した混合物を、水(大気湿度)からなる成分(C)と反応させ、適切な場合には処方成分(D)が存在してもよく、
b)手順a)、b)又はc)からの混合物を、あらゆる所望の方法で各基板に/内に塗布することを含む。
【請求項19】
手順a1)又はb1)又はc1)の前にまず成分(B)を適宜調製し、処方成分(D)又はその各構成要素を、手順a1)、a2)又はa3)での反応の前、間、又は後に、成分(A)、(B)又は(C)又は成分(A)及び(B)又は(B)及び(C)の予め作成した混合物と混合する請求項18記載の方法。
【請求項20】
成分(B)及び/又は(C)及び/又は(D)を、潜伏的反応性の形において他の成分と混合し、塗布だけで活性化させる請求項18記載の方法。
【請求項21】
反応手順a1)、a2)、又はa3)を約0〜150℃の温度で行う請求項18から20いずれか記載の方法。
【請求項22】
請求項1から17いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系の、永久撥油及び撥水及び防汚表面処理又は鉱物又は非鉱物基板の修飾の建築又は工業部門における使用であって、
前記基板は、全タイプ(例えば、コンクリート、石膏、シリカ及びケイ酸塩、人造石、天然石(例えば、花崗岩、大理石、砂岩、粘板岩、蛇紋石)、粘土、セメント、れんが)、及びエナメル、充填剤、及び色素、ガラス、セラミック、金属及び合金等の多孔性、吸収性、粗及び研磨された建築材料及び構造物といった無機表面、全タイプの織物及び織布、木及び木製材料、木製単板、ガラス繊維補強プラスチック(GFRP)、プラスチック、皮革、天然繊維、極性有機ポリマー、複合材料といった有機表面である使用。
【請求項23】
請求項1から17いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系の、建築部門における永久撥油及び撥水及び防汚表面処理又は修飾のための使用であって、前記部門は、
防止塗装/防汚塗装、
洗浄容易塗装、
全タイプ(例えば、ベランダ塗装、屋根(タイル)塗装、焼付エナメル、塗料及び仕上げ、石工塗装、フロア塗装、低、中、高積載量の工業的フロア、駐車フロア塗装、スポーツフロア、粉体塗装)の塗装、
下塗り、
プレキャストコンクリート部、
成形コンクリート部、
タイル及び接続部、
接着剤及び封止剤、
騒音制御壁、
腐食防止、
漆喰及び装飾的漆喰、
外部防護及び仕上げ系(EIFS)及び断熱系における使用。
【請求項24】
請求項1から17いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系の、非建築及び工業部門における永久撥油及び撥水及び防汚表面処理又は修飾のための使用であって、前記部門は、
自動車産業、
コイル塗装、
焼付エナメル、
織物及び繊維被覆、
ガラスファサード及びガラス表面、
セラミック及び衛生陶器、
皮革仕上げ、
表面修飾充填剤及び色素、
紙加工、
風力発電所の回転翼、
船舶塗装である使用。
【請求項25】
請求項1から17いずれか記載のフッ素修飾反応性樹脂系の、建築又は工業部門におけるコンクリートの質量疎水化/疎油化のための使用であって、前記コンクリートは、
プレキャストコンクリート部、
成形コンクリート部、
建築用地コンクリート、
ショットクリート、
生コンクリートである使用。

【公表番号】特表2008−514743(P2008−514743A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532840(P2007−532840)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010286
【国際公開番号】WO2006/032511
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】