説明

フッ素化されたペンタセン誘導体及びそれらの製造方法

フッ素化されたペンタセン誘導体、例えば新規化合物であるテトラデカフルオロペンタセン、5, 6, 7, 12, 13, 14−ヘキサフルオロペンタセン、5, 7, 12, 14−テトラフルオロペンタセン、及び6, 13−ジフルオロペンタセン、並びにそれらの中間体を提供し、さらに、フッ素化されたペンタセン誘導体及びそれらの中間体の製造方法を提供する。
ペンタセン骨格にオキソ基、水酸基、又はアルコキシル基を導入し、4フッ化硫黄によりフッ素化し、還元剤を用いて部分的に脱フッ素化することにより、ペンタセン骨格の所望の位置がフッ素化されたペンタセン誘導体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素化されたペンタセン誘導体及びそれらの製造方法に関する。含フッ素ペンタセン系化合物は、有機エレクトロニクス材料、高分子機能材料、医薬、及び農薬といった広い分野で使用することができ、特にこれらの分野において製造原料として使用できる有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
芳香族の単環式及び縮合多環式炭化水素にフッ素原子を導入する方法としては、塩素置換体からハロゲン交換反応を行う方法が知られている(スキーム1)。
【0003】
【化1】

この方法によるヘキサフルオロベンゼンの合成、及び有機絶縁膜材料の原料として有用なオクタフルオロナフタレンの合成が報告されている(非特許文献1−3を参照)。しかし、この方法には、原料である塩素置換体の入手が困難であるという問題がある。
【0004】
またスキーム2に示す通り、金属等の還元剤による脱フッ素化反応によってペルフルオロ環状化合物を合成する方法も報告されている。例えば、この方法によってヘキサフルオロベンゼン(非特許文献4を参照)、オクタフルオロナフタレン(非特許文献5−7を参照)、及びデカフルオロピレン(非特許文献8を参照)が合成されている。しかし、原料が炭素−炭素多重結合を有さない場合、一般的に反応温度が400℃以上という非常に厳しい反応条件が必要とされる。
【0005】
【化2】

原料が分子中に炭素−炭素多重結合を1つ以上有する場合には、金属を還元剤として用いる脱フッ素化反応は温和な条件で進行する。例えば、スキーム3に示す通り、反応温度が225−280℃という条件で、1,2,3,4,5,6,7,8,9,9,10,10-ドデカフルオロ-9,10-ジヒドロアントラセンからデカフルオロアントラセンが得られる(非特許文献9を参照)。また、この方法により、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ヘキサデカフルオロ-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレンからオクタフルオロナフタレンが得られる(非特許文献10を参照)。
【0006】
【化3】

しかし、前述の従来知られている方法によってもフッ素化されたペンタセン誘導体を得ることは困難であり、例えばテトラデカフルオロペンタセンは得られていない。また、部分的にフッ素化されたペンタセン誘導体の合成例も報告されていない。
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 1947年, 69巻, 947頁
【非特許文献2】Indust. Engng. Chem. 1947年、39巻, 393頁
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc. 1943年、65巻、2064頁
【非特許文献4】J. Am. Chem. Soc. 1938年、60巻、492頁
【非特許文献5】Nature, 1959年、183巻、 588頁
【非特許文献6】Science, 1996年、271巻 340頁
【非特許文献7】J. Org. Chem. 1992年、57巻、 2856頁
【非特許文献8】Tetrahedron, 1963年、19巻, 1893頁
【非特許文献9】Zh. Org. Khim. 1971年、7巻、 745頁
【非特許文献10】J. Fluorine Chem. 1990年、48巻、 29頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような事情に鑑みなされたものであり、フッ素化されたペンタセン誘導体、例えば新規化合物であるテトラデカフルオロペンタセン、5, 6, 7, 12, 13, 14−ヘキサフルオロペンタセン、5, 7, 12, 14−テトラフルオロペンタセン、6, 13−ジフルオロペンタセンを提供すること、それらの中間体を提供すること、並びに、フッ素化されたペンタセン誘導体及びそれらの中間体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはこれらの課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、ペンタセン骨格にオキソ基、水酸基、又はアルコキシル基を導入し、4フッ化硫黄によりフッ素化し、還元剤を用いて部分的に脱フッ素化することにより、ペンタセン骨格の所望の位置をフッ素化できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
〔1〕 式[1]:
【0010】
【化4】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表され、
5及びX14の対、X6及びX13の対、及びX7及びX12の対からなる群より選択される少なくとも1つの対の基がいずれもフッ素である化合物。
〔2〕 式[2]:
【0011】
【化5】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
〔3〕 式[3]:
【0012】
【化6】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
〔4〕 式[4]:
【0013】
【化7】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
〔5〕 式[11]:
【0014】
【化8】

(式中、X1、X2、X3、及びX4は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物と
式[12]:
【0015】
【化9】

(式中、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物とをルイス酸の存在下で反応させて式[13]:
【0016】
【化10】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[13]で表される化合物の製造方法。
〔6〕 ルイス酸が塩化アルミニウムを含む〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕 式[13]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[14]:
【0017】
【化11】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[13]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[14]で表される化合物の製造方法。
〔8〕 式[13]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[15]:
【0018】
【化12】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[13]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[15]で表される化合物の製造方法。
〔9〕 式[15]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[14]で表される化合物を製造する工程を含む、式[14]で表される化合物の製造方法。
〔10〕 式[13]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[16]:
【0019】
【化13】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[13]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[16]で表される化合物の製造方法。
〔11〕 フッ素化剤が4フッ化硫黄を含む〔7〕−〔10〕のいずれかに記載の製造方法。
〔12〕 式[14]で表される化合物を還元剤と反応させて、式[2]で表される化合物を製造する工程を含む、式[2]で表される化合物の製造方法。
〔13〕 式[16]で表される化合物を還元剤と反応させて、式[2]で表される化合物を製造する工程を含む、式[2]で表される化合物の製造方法。
〔14〕 還元剤が亜鉛、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、又はそれらの組み合わせを含む、〔12〕又は〔13〕に記載の製造方法。
〔15〕 式[13]で表される化合物。
〔16〕 式[14]で表される化合物。
〔17〕 式[15]で表される化合物。
〔18〕 式[16]で表される化合物。
〔19〕 式[21]:
【0020】
【化14】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[22]
【0021】
【化15】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、式[21]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[22]で表される化合物の製造方法。
〔20〕 式[21]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[23]
【0022】
【化16】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、式[21]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[23]で表される化合物の製造方法。
〔21〕 式[23]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[22]
で表される化合物を製造する工程を含む、式[22]で表される化合物の製造方法。
〔22〕 フッ素化剤が4フッ化硫黄を含む〔19〕−〔21〕の何れかに記載の製造方法。
〔23〕 式[22]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[3]で表される化合物を製造する工程を含む、式[3]で表される化合物の製造方法。
〔24〕 還元剤が亜鉛、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、又はそれらの組み合わせを含む、〔23〕に記載の製造方法。
〔25〕 式[22]で表される化合物。
〔26〕 式[23]で表される化合物。
〔27〕 式[31]:
【0023】
【化17】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[32]:
【0024】
【化18】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、式[31]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する方法を含む、式[32]で表される化合物の製造方法。
〔28〕 式[31]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[33]:
【0025】
【化19】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、式[31]について記載の通りである。)で表される化合物を製造する方法を含む、式[33]で表される化合物の製造方法。
〔29〕 式[33]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[32]で表される化合物を製造する方法を含む、式[32]で表される化合物の製造方法。
〔30〕 フッ素化剤が4フッ化硫黄を含む、〔27〕−〔29〕のいずれかに記載の方法。
〔31〕 式[32]で表される化合物を還元剤と反応させて、式[4]で表される化合物を製造する方法を含む、式[4]で表される化合物の製造方法。
〔32〕 還元剤が亜鉛、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、又はそれらの組み合わせを含む、〔31〕に記載の製造方法。
〔33〕 式[31]で表される化合物。
〔34〕 式[32]で表される化合物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明では、ペンタセン骨格に位置選択的にフッ素基を導入することができ、フッ素化されたペンタセン誘導体を合成することができる。ここで、ペンタセン骨格とは、炭素6員環が5以上縮合した骨格をいう。フッ素化されたペンタセン誘導体とは、ペンタセン骨格を形成する炭素原子の少なくとも1つがフッ素と結合している化合物をいう。部分的にフッ素化されたペンタセン誘導体とは、ペンタセン骨格を形成する炭素原子のうち少なくとも1つがフッ素と結合しており、少なくとも1つがフッ素と結合してない化合物をいう。
【0027】
ペンタセン骨格にフッ素基を結合させるためには、まず所望の位置の炭素原子に酸素官能基を結合する。ここで酸素官能基とは、ペンタセン骨格を形成する炭素原子と酸素原子で結合を形成する官能基を指し、オキソ基、水酸基、及びアルコキシル基を含む。次にフッ素化反応により、当該炭素原子から酸素官能基を除去し、代わりに炭素原子1つ当たり2つのフッ素基を結合させる。続いて部分的な脱フッ素化反応により、炭素原子1つ当たり1つのフッ素基を除去する。
【0028】
本発明で製造されるフッ素化されたペンタセン誘導体は、式[1]:
【0029】
【化20】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表され、
5及びX14の対、X6及びX13の対、及びX7及びX12の対からなる群より選択される少なくとも1つの対の基がいずれもフッ素である化合物である。
式[1]の化合物には
式[2]の化合物;
【0030】
【化21】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
式[3]の化合物;
【0031】
【化22】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
式[4]:
【0032】
【化23】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
が含まれる。
【0033】
これらの式中、X2及びX3は結合して、飽和又は不飽和の単環式又は縮合多環式炭化水素基を形成してもよい。X9及びX10も結合し、飽和又は不飽和の単環式又は縮合多環式炭化水素基を形成してもよい。単環式炭化水素基には、単環式炭化水素基同士が炭素−炭素単結合で連結した基も含まれる。単環式又は縮合多環式炭化水素基には、単環式又は縮合多環式の芳香族環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、及びアントラセン環が挙げられるが、これらに限定されない。単環式又は縮合多環式炭化水素基は置換されてもよく置換されなくてもよい。なお、X2及びX3が結合して飽和又は不飽和の単環式又は縮合多環式炭化水素基を形成する場合、及び/又は、X9及びX10が結合して飽和又は不飽和の単環式又は縮合多環式炭化水素基を形成する場合であっても、X1、X4、X5、X6、X7、X8、X11、X12、X13、及びX14は前述の通りである。
【0034】
置換アルキル基には、フルオロアルキル基が含まれる。ここでフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基を指し、その他の置換基でさらに置換されてもよい。フルオロアルキル基には、ペルフルオロアルキル基が含まれる。
【0035】
置換フェニル基には、フルオロフェニル基が含まれる。ここでフルオロフェニル基とはフェニル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基を指し、その他の置換基でさらに置換されてもよい。フルオロフェニル基には、ペンタフルオロフェニル基が含まれる。
【0036】
置換ナフチル基には、フルオロナフチル基が含まれる。ここでフルオロナフチル基とは、ナフチル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基を指し、その他の置換基でさらに置換されてもよい。フルオロナフチル基には、ヘプタフルオロナフチル基が含まれる。
【0037】
置換アントラニル基には、フルオロナフチル基が含まれる。ここでフルオロアントラニル基とは、アントラニル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基を指し、その他の置換基でさらに置換されてもよい。フルオロアントラニル基には、ノナフルオロアントラニル基が含まれる。
【0038】
置換ナフタセニル基には、フルオロナフタセニル基が含まれる。ここでフルオロナフタセニル基とは、ナフタセニル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基を指し、その他の置換基でさらに置換されてもよい。フルオロナフタニル基には、ウンデカフルオロナフタセニル基が含まれる。
【0039】
置換ペンタセニル基には、フルオロペンタセニル基が含まれる。ここでフルオロペンタセニル基とは、ペンタセニル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基を指し、その他の置換基でさらに置換されてもよい。フルオロペンタセニル基には、トリデカフルオロペンタセニル基が含まれる。
【0040】
以下、式[2]の化合物の製造方法を説明する。
【0041】
まず、式[11]の化合物を式[12]の化合物とルイス酸の存在下で反応させることにより、式[13]の化合物を得る。ルイス酸を塩化ナトリウムと組み合わせて用いてもよい。
【0042】
スキーム4
【0043】
【化24】

例えば、5,6,7,8-テトラフルオロ-9,10-ジヒドロキシ-2,3-ジヒドロアントラセン-1,4-ジオン(1)と4,5,6,7-テトラフルオロイソベンゾフラン-1,3-ジオン(2)を反応させ、1,2,3,4,8,9,10,11-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(3)を得る(スキーム5)。また、9,10-ジヒドロキシ-2,3-ジヒドロアントラセン-1,4-ジオン(4)とイソベンゾフラン-1,3-ジオン(5)より、5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(6)を得る(スキーム6)。
【0044】
スキーム5
【0045】
【化25】

スキーム6
【0046】
【化26】

スキーム4で用いられるルイス酸に特に制限はないが、例えば塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)、3フッ化ホウ素エーテル錯体が使用でき、その中では塩化アルミニウムが好ましい。ルイス酸の使用量は、原料に対して0.1〜5.0当量、好ましくは0.2〜1.0当量である。
【0047】
ルイス酸とともに塩化ナトリウムを使用する場合には、その使用量は原料に対して0.1〜10.0当量、好ましくは5.0〜7.0当量である。
【0048】
式[2]の化合物の使用量は、式[1]の化合物に対して1.0〜5.0当量、好ましくは1.1〜2.0当量である。反応温度は、0〜320℃、好ましくは200〜300℃である。反応時間は、好ましくは1〜10時間である。反応終了後は、通常の後処理を実施し、精製を行うことにより、目的化合物が得られる。
【0049】
次に、式[13]で表される化合物をフッ素化剤と反応させてフッ素化する。
【0050】
1つの態様では、式[13]で表される化合物をフッ素化剤と反応させて式[14]で表される化合物が得られる。この反応において、式[14]で表される化合物に加え式[15]で表される化合物も生成する場合がある。式[15]の化合物はさらにフッ素化剤と反応させることにより、式[14]の化合物に転換することができる。
【0051】
スキーム7
【0052】
【化27】

スキーム8
【0053】
【化28】

例えば、1,2,3,4,8,9,10,11-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(3)を4フッ化硫黄と反応させることにより、1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14 -アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14 -ヘキサヒドロペンタセン(7)及び1,2,3,4,5,5,7,7,8,9,10,11,12,12,14,14-ヘキサデカフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン-6,13-ジオン(17)が得られる(スキーム9)。(17)をさらにフッ素化剤と反応させることにより、(7)が得られる(スキーム10)。
【0054】
スキーム9
【0055】
【化29】

スキーム10
【0056】
【化30】

別の態様では、式[13]の化合物をフッ素化剤と反応させることにより、式[16]の化合物が得られる。
【0057】
スキーム11
【0058】
【化31】

例えば、5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(6)をフッ素化剤と反応させることにより、5,5,6,7,7,12,12,13,14,14-デカフルオロ-5,7,12.14-テトラヒドロペンタセン(8)が得られる。
【0059】
スキーム12
【0060】
【化32】

式[14]又は式[16]の化合物を還元剤と反応させることにより、式[2]の化合物が得られる。
【0061】
スキーム13
【0062】
【化33】

スキーム14
【0063】
【化34】

例えば、1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14 -アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14 -ヘキサヒドロペンタセン(7)を還元剤と反応させることによりテトラデカフルオロペンタセン(9)が得られる(スキーム15)。また、5,5,6,7,7,12,12,13,14,14-デカフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン(8)を還元剤と反応させることにより、5,6,7,12,13,14-ヘキサフルオロペンタセン(10)が得られる(スキーム16)。
【0064】
スキーム15
【0065】
【化35】

スキーム16
【0066】
【化36】

以下、式[3]の化合物の製造方法について説明する。
【0067】
まず、式[21]の化合物をフッ素化剤と反応させることにより式[22]の化合物が得られる。この反応において、式[22]の化合物に加え式[23]の化合物も生成する場合がある。この式[23]の化合物はさらにフッ素化剤と反応させることにより、式[22]の化合物に転換することができる。
【0068】
スキーム17
【0069】
【化37】

スキーム18
【0070】
【化38】

そして式[22]の化合物を還元剤と反応させて、式[3]の化合物を得る。
【0071】
スキーム19
【0072】
【化39】

例えば、ペンタセン-6,13-ジオン(14)をフッ素化剤と反応させることにより、6,6,13,13-テトラフルオロペンタセン(15)及び13,13-ジフルオロ-13H-ペンタセン-6-オン(19)が得られる(スキーム20)。(19)をさらにフッ素化剤と反応させることにより、(15)が得られる(スキーム21)。続いて(15)を還元剤と反応させることにより、6, 13-ジフルオロペンタセン(16)が得られる(スキーム22)。
【0073】
スキーム20
【0074】
【化40】

スキーム21
【0075】
【化41】

スキーム22
【0076】
【化42】

なお、ペンタセン-6,13-ジオン(14)は市販品を入手でき、例えばAldrich社より入手できる
以下、式[4]の化合物の製造方法について説明する。
【0077】
まず、式[31]の化合物をフッ素化剤と反応させることにより、式[32]の化合物が得られる。この反応において、式[33]の化合物も生成する場合がある。この式[33]の化合物はさらにフッ素化剤と反応させることにより、式[32]の化合物に転換することができる。
【0078】
スキーム23
【0079】
【化43】

スキーム24
【0080】
【化44】

そして式[32]の化合物を還元剤と反応させて、式[4]の化合物を得る。
【0081】
スキーム25
【0082】
【化45】

例えば、ペンタセン-5,7,12,14-テトラオン(11)をフッ素化剤と反応させることにより、5,5,7,7,12,12,14,14-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン(12)及び7,7,12,12,14,14-ヘキサフルオロ-7,14-ジヒドロ-12Hペンタセン-5-オン(18)が得られる(スキーム26)。(18)をさらにフッ素化剤と反応させることにより、(12)が得られる(スキーム27)。さらに(12)を還元剤と反応させることにより、5,7,12,14-テトラフルオロペンタセン(13)が得られる(スキーム28)。
【0083】
スキーム26
【0084】
【化46】

スキーム27
【0085】
【化47】

スキーム28
【0086】
【化48】

なお、ペンタセン-5,7,12,14-テトラオン(11)は市販品を入手でき、例えばAvocado社より入手できる。
【0087】
なお、上記の式[2]−[4]の化合物の製造過程において、式[15]、[23]、及び[33]の化合物以外にも、フッ素化されずにオキソ基が残存した化合物が生成する場合がある。これらの化合物はさらにフッ素化剤と反応させ、オキソ基を除去しフッ素化できる。
【0088】
スキーム7−12、17、18、20,21、23、24,26,及び27のフッ素化工程について、以下に説明する。
【0089】
フッ素化剤として特に制限はなく、各種のフッ化物を用いることができるが、15族及び16族のフッ化物が好ましく、4フッ化硫黄がより好ましい。好ましい4フッ化硫黄の使用量は、原料に対して4.0〜30.0倍モル量である。さらに好ましい4フッ化硫黄の使用量は、スキーム9において12.0〜30.0倍モル量、スキーム12において12.0〜30.0倍モル量、スキーム20において4.0〜10.0倍モル量、スキーム21において4.0〜10.0倍モル量、スキーム26において8.0〜20.0倍モル量、スキーム27において4.0〜10.0倍モル量である。
【0090】
フッ素化剤は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。例えば、4フッ化硫黄及びフッ化水素の混合物を使用できる。反応を加圧下で行う場合、フッ化水素は溶媒としても作用する。
【0091】
フッ素化工程において原料及びフッ素化剤のみを用いてもよく、その他の物質を共存させてもよい。共存する物質は、溶媒や触媒として作用しうる。溶媒として作用する物質としては、反応条件下で液体となる物質であれば特に制限はなく、前述のフッ化水素、及び、ジクロロメタン及びクロロホルムといった塩素系溶媒が挙げられる。溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。フッ化水素を使用する場合、その使用量は、好ましくは原料1gに対し1〜20mLである。
【0092】
フッ素化工程は常圧で行ってもよいが、加熱する場合には加圧下で行うことが好ましい。好ましい条件において、反応圧力は0〜20MPaの範囲にあり、反応温度は−40℃〜320℃の範囲にあり、反応時間は2〜150時間の範囲にある。
【0093】
反応終了後は、通常の後処理を行った後、続いて精製を行うことにより、目的の化合物が得られる。精製方法には従来公知の方法を用いることができ、溶媒抽出及び再結晶が含まれる。スキーム9では、例えばクロロホルムといった有機溶媒で溶媒抽出を行い、さらに再結晶を行うことにより、目的化合物(7)及び(17)が得られる。
【0094】
スキーム13−16、19,22、25、及び28の脱フッ素化工程について、以下に説明する。
【0095】
脱フッ素化工程で使用される還元剤としてはとくに制限はなく、一般的に還元能を有するとされる還元剤が使用される。還元剤の例としては:リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムといった1族元素の単体;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムといった2族元素の単体;スカンジウム、イットリウム、ランタノイドといった3族元素の単体;チタン、ジルコニウム、ハフニウムといった4族元素の単体;バナジウム、ニオブ、タンタルといった5族元素の単体;クロム、モリブデン、タングステンといった6族元素の単体;マンガン、レニウムといった7族元素の単体;鉄、ルテニウム、オスミウムといった8族元素の単体;コバルト、ロジウム、イリジウムといった9族元素の単体;ニッケル、パラジウム、白金等といった10族元素の単体;、銅、銀、金といった11族元素の単体;亜鉛、カドミウム、水銀といった12族元素の単体;ホウ素、アルミニウム、インジウム、ガリウム、タリウムといった13族元素の単体;炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛といった14族元素の単体;リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスといった15族元素の単体;イオウ、セレン、テルルといった16族元素の単体;シュウ酸ナトリウム;活性炭;及び、3フッ化セシウムコバルト;が挙げられ、好ましくは亜鉛、鉄、銅、ニッケル、及びパラジウムであり、より好ましくは亜鉛である。これらの還元剤は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。亜鉛を使用する場合、その使用量は、原料に対し6.0〜200等量、好ましくは50〜100等量である。
【0096】
反応は窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンといった不活性気体雰囲気下、又は真空下で行うことが好ましい。反応温度は0〜600度、好ましくは200度〜300度である。反応時間は1〜110時間、好ましくは2〜24時間である。
【0097】
脱フッ素化工程は、原料及び還元剤のみを用いて行ってもよく、他の物質を共存させてもよい。共存する他の物質としては、溶媒や触媒として作用する物質を選択できる。例えば、有機溶媒中で、原料をヨウ化サマリウム、亜鉛、ナトリウム・ベンゾフェノン、及びそれらの組み合わせと反応させてもよい。有機溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランが挙げられる。
【0098】
反応終了後は、通常の後処理を行い、続いて精製操作を行うことにより、目的の化合物が得られる。精製方法には従来公知の方法を用いることができ、溶媒抽出及び再結晶が含まれる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の新規化合物の合成方法はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0100】
実施例において、融点の測定はBuchi社のB-540型を使用した。NMR測定は、Varian社のGemini200 NMR Spectrometerを使用した。質量分析は、島津製作所のGCMS-QP5050Aを使用した。元素分析は、ヤナコ分析工業株式会社のCHNコーダー MT-6型を使用した。
〔実施例1〕
1,2,3,4,8,9,10,11-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(3)の合成
200mLのSUS製オートクレーブに、4,5,6,7-テトラフルオロイソベンゾフラン-1,3-
ジオン(2)(5.75 g、26.1 mmol)、5,6,7,8-テトラフルオロ-9,10-ジヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-アントラセン-1,4-ジオン(1)(9.84 g, 31.3 mmol)、塩化アルミニウム(1.53 g, 11.5 mmol)及び塩化ナトリウム(10.0g, 171 mmol)を加え、280℃で1時間加熱した。反応終了後、室温まで冷却し、反応混合物を希塩酸中に入れ、100℃で1時間攪拌させた。その後、混合物をろ過し、残留物をメタノール、ジクロロメタン、トルエン及びエーテルの順で洗浄した。得られた固体を真空乾燥させ、1,2,3,4,8,9,10,11-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(3)を11.5g得た(収率85%)。
融点:300℃(分解)
質量分析(MS m/z): 516 (M+, 100) 258 (29).
元素分析
計算値 C22H4F8O6: C, 51.18; H, 0.78.
実測値: C, 51.40; H, 1.07.
〔実施例2〕
1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14-アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14-ヘキサヒドロペンタセン(7)の合成
500mLのSUS製オートクレーブに、1,2,3,4,8,9,10,11-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(5 g, 9.68 mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(100 g)を加え、引き続き4フッ化硫黄(25 g, 231 mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、150℃に加熱した。この際、反応容器内圧力は4.0MPa(ゲージ圧)に達した。96時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物を除害装置にゆっくりと放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除いた。その後反応生成物(6.6 g)を、600 mLの熱クロロホルムで抽出し、ろ過後、溶液を濃縮して化合物(7)の粗生成物を4.8g得た。これをクロロホルム中で再結晶させることにより、純粋な化合物(7)を2.5g(3.87mmol、収率40%)得た。
融点:267 〜 269℃
19F NMR (188MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:C6F6)
δ 70.91-70.73 (m, 8F) 64.64-64.46 (m, 4F) 25.86-25.66 (m, 4F) 16.70 (d, J=12.8Hz, 4F).
質量分析(MS m/z): 644 (M+, 100) 625 (M+-F, 32) 575 (M+-CF3, 77.2).
元素分析
計算値 C22F20: C, 41.02.
実測値: C, 40.96.
また、ろ過残留物を回収し、1,2,3,4,5,5,7,7,8,9,10,11,12,12,14,14-ヘキサデカフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン-6,13-ジオン(17)を1.6g(2.7mmol、28%)回収した。
質量分析(MS m/z): 600 (M+, 100).
〔実施例3〕
1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14-アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14-ヘキサヒドロペンタセン(7)の合成
500mLのハステロイC製オートクレーブに、1,2,3,4,8,9,10,11-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン-6,13-ジオン(3)(10g, 19.4mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(100g)を加え、引き続き4フッ化硫黄(36g, 323mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、150℃に加熱した。この際、反応容器内部圧力は4.0MPa(ゲージ圧)に達した。68時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物を除害装置にゆっくりと放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除いた。その後反応生成物(13.3g)を、1.5Lの熱クロロホルムで抽出し、ろ過後、再結晶させることにより、純粋な化合物(7)を8.0g (12.4mmol、収率64%)得た。
融点: 267〜269℃
19F NMR (188MHz, 溶媒: CDCl3, 標準物質: C6F6)
δ 70.91-70.73 (m, 8F) 64.64-64.46 (m, 4F) 25.86-25.66 (m, 4F) 16.70 (d, J=12.8Hz, 4F).
質量分析(MS m/z): 644 (M+, 100) 625 (M+-F, 32) 575 (M+-CF3, 77.2).
元素分析
計算値 C22F20: C, 41.02.
実測値: C, 40.96.
また、ろ過残留物を回収し、1,2,3,4,5,5,7,7,8,9,10,11,12,12,14,14-ヘキサデカフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン-6,13-ジオン(17)を1.2g (2mmol、10%)回収した。
質量分析(MS m/z): 600 (M+, 100).
〔実施例4〕
1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14-アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14-ヘキサフルオロペンタセン(7)の合成
500mLのSUS製オートクレーブに、1,2,3,4,5,5,7,7,8,9,10,11,12,12,14,14-ヘキサデカフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン-6,13-ジオン(17)(5.1 g, 8.5 mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(100 g)を加え、引き続き4フッ化硫黄(11 g, 102 mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、150℃に加熱した。この際、反応容器内部圧力は3.4 MPa(ゲージ圧)に達した。66時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物をゆっくりと除害装置に放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除いた。その後、反応生成物(5.2 g)を600 mLの熱クロロホルムで抽出し、ろ過後、溶液を濃縮して化合物(7)の粗生成物を2.0g得た。また、ろ過残留物を回収し、化合物(17)を3.1g(5.2mmol、61%)回収した。
〔実施例5〕
1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14-アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14-ヘキサフルオロペンタセン(7)の合成
500mLのハステロイC製オートクレーブに、1,2,3,4,5,5,7,7,8,9,10,11,12,12,14,14-ヘキサデカフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン-6,13-ジオン(17) (5.1g, 8.5mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(100g)を加え、引き続き4フッ化硫黄(11g, 102mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、150℃に加熱した。この際、反応容器内部圧力は3.4MPa(ゲージ圧)に達した。60時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物をゆっくりと除害装置に放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除いた。その後、反応生成物(5.2g)を600mLの熱クロロホルムで抽出し、ろ過後、溶液を濃縮して化合物(7)の粗生成物を2.0g得た。また、ろ過残留物を回収し、化合物(17)を3.1g(5.21mmol、61%)回収した。
〔実施例6〕
テトラデカフルオロペンタセン(9)の合成
1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14 -アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14 -ヘキサヒドロペンタセン(7)(1.23g, 1.91mmol)と亜鉛(10.8g, 165mmol)の混合物を、ガラスチューブ(長さ100mm, 外径26mm)に仕込み、真空下封管し、230℃で30分加熱し、引き続いて280℃で3時間加熱した。反応混合物を20%塩酸中で8時間攪拌させた。得られた懸濁液をろ過し、残留固体を希塩酸、水、メタノールの順で洗浄し、濃青色固体を得た。得られた個体を280℃で真空下昇華することで、テトラデカフルオロペンタセン(9)を663mg(1.25mmol、収率65%)得た。
質量分析(MS m/z): 530 (M+, 100) 499 (M+-CF, 25) 265 (51).
元素分析
計算値 C22F14: C, 49.84.
実測値: C, 49.56.
〔実施例7〕
テトラデカフルオロペンタセン(9)の合成
1,2,3,4,5,5,6,6,7,7,8,9,10,11,12,12,13,13,14,14-アイコサフルオロ-5,6,7,12,13,14-ヘキサヒドロペンタセン(7) (1g, 1.55mmol)と亜鉛(4g, 61.2mmol)の混合物を、密封可能なSUS製チューブ(長さ10cm;外径12mm;チューブを閉じるためのプラグを備え、スウェージロック継ぎ手を接続したもの)に仕込み、内部を常圧下アルゴン置換した後、プラグを締めてチューブを密封した。その後、230℃で6時間加熱し、引き続いて260℃で21時間加熱した。反応終了後、反応混合物を20%塩酸中で8時間攪拌させた。
【0101】
得られた懸濁液をろ過し、残留固体を希塩酸、水、酢酸、メタノール、ジエチルエーテルの順で洗浄し、濃青色固体を得た。得られた固体を280〜300℃で真空下昇華することで、テトラデカフルオロペンタセン(9)を423mg(0.798mmol、収率 51%)得た。
質量分析(MS m/z): 530 (M+ , 100) 499 (M+-CF, 25) 265 (51).
元素分析
計算値 C22F14: C, 49.84.
実測値: C, 49.56.
〔実施例8〕
5,5,6,7,7,12,12,13,14,14-デカフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン(8)の合成
200mLのSUS製オートクレーブに、5,7,12,14-テトラヒドロキシペンタセン−6,13−ジオン(6)(1 g, 2.68 mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(50 g)を加え、引き続き4フッ化硫黄(10 g, 93 mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、150℃に加熱した。この際、反応容器内圧力は3.5MPa(ゲージ圧)に達した。20時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物をゆっくりと除害装置に放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除いた。得られた生成混合物(1.4 g)について質量分析したところ、化合物(8)の純度は90%であった。
1H NMR (200MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:Me4Si)
δ 8.0-7.95 (m, 4H) 7.8-7.75 (m, 4H).
19F NMR (188MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:CFCl3).
δ 81.2 (d, J=22.8Hz, 8F) -114.3 (m, 2F).
質量分析(MS m/z): 462 (M+, 100).
〔実施例9〕
6,6,13,13-テトラフルオロ-6,13-ジヒドロペンタセン(15)の合成
100mLのSUS製オートクレーブに、ペンタセン-6,13-ジオン(14)(2 g, 6.49 mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(32 g)加え、引き続き4フッ化硫黄(5.6 g, 51.7 mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、100℃に加熱した。この際、反応容器内部圧力は1.8 MPa(ゲージ圧)に達した。6時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物をゆっくりと除害装置に放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除いた。その後、反応生成物を800 mLの熱クロロベンゼンで抽出し、ろ液を濃縮して得られた粗生成混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロベンゼン)で精製し、6,6,13,13-テトラフルオロ-6,13-ジヒドロペンタセン(15)を1.0g(2.89mmol、収率40%)得た。
1H NMR (200MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:Me4Si)
δ 8.55 (s, 4H) 8.11-8.06 (m, 4H) 7.74-7.68 (m, 4H).
19F NMR (188MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:CFCl3)
δ -83.1 (s, 4F).
質量分析(MS m/z): 352 (M+, 100).
元素分析
計算値 C22H12F4: C, 74.86; H, 3.85.
実測値: C, 83.91; H, 3.42.
〔実施例10〕
6,6,13,13-テトラフルオロ-6,13-ジヒドロペンタセン(15)の合成
100mLのSUS製オートクレーブに、ペンタセン-6,13-ジオン(14)(2 g, 6.49 mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(32 g)を加え、引き続き4フッ化硫黄(7.2 g, 66.5 mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、70℃に加熱した。この際、反応容器内部圧力は1.1 MPa(ゲージ圧)に達した。6時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物をゆっくりと除害装置に放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除き、6,6,13,13-テトラフルオロ-6,13-ジヒドロペンタセン(15)と13,13-ジフルオロ-13H-ペンタセン-6-オン(19)との混合物1.99 g((15):(19)=1:3 (重量比))を得た。
(19)
1H NMR (200MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:Me4Si)
δ 8.98 (s, 2H) 8.6 (s, 2H) 8.18-8.05 (m, 4H) 7.78-7.68 (m, 4H).
19F NMR (188MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:CFCl3)
δ -75.2 (s, 2F).
質量分析(MS m/z): 330 (M+, 100).
〔実施例11〕
6,13-ジフルオロペンタセン(16)の合成
攪拌子、温度計、ラバーセプタム、及び窒素シールを装備した300mLのガラス製三つ口フラスコに、6,6,13,13-テトラフルオロ-6,13-ジヒドロペンタセン(15)(704mg, 2.0mmol)及び0.1mol/L ヨウ化サマリウム/THF溶液46 mLを仕込み、撹拌下で7時間還流した。その後、1M KOH水溶液(250mL)を加え、反応を停止し、そのまま1時間攪拌を継続した。得られた溶液をろ過し、残留固体を塩酸、水、メタノールの順で洗浄した。その後、ソックスレー抽出器を用い、トルエンにより5時間洗浄を行った。ろ過後、ろ液を濃縮し、濃青色固体を335mg得た。その後昇華精製(0.013 Pa, 250℃)により、6,13-ジフルオロペンタセン(16)を72.5mg(0.23mmol、収率11%)得た。
質量分析(MS m/z): 314 (M+, 100).
元素分析
計算値 C22H12F2: C, 84.06; H, 3.85.
実測値: C, 83.91; H, 4.04.
〔実施例12〕
5,5,7,7,12,12,14,14-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン(12)の製造
200mLのSUS製オートクレーブに、ペンタセン−5,7,12,14-テトラオン(11)(1 g, 3.0 mmol)を仕込み、容器を-78℃に冷却し、フッ化水素(67 g)を加え、引き続き4フッ化硫黄(7.7 g, 71.5 mmol)を加えた。その後、反応容器を密封した状態で、100℃に加熱した。この際、反応容器内部圧力は1.1 MPa(ゲージ圧)に達した。20時間反応をさせた後、反応容器を徐々に室温まで冷却し、低沸点化合物をゆっくりと除害装置に放棄した。内部圧力が常圧に達した時点で、窒素を容器に導入し、残存しているフッ化水素を全て取り除き、5,5,7,7,12,12,14,14-オクタフルオロ-5,7,12,14-テトラヒドロペンタセン(12)と7,7,12,12,14,14-ヘキサフルオロ-7,14-ジヒドロ-12Hペンタセン-5-オン(18)の混合物1.4 g((12):(18)=8:2 (重量比))を得た。
(12)
1H NMR (200MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:Me4Si)
δ 8.5 (m, 2H) 8.0-7.9 (m, 4H) 7.8-7.7 (m, 4H).
19F NMR (188MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:CFCl3)
δ -82.2 (s, 8F).
質量分析(MS m/z): 426 (M+, 100).
元素分析
計算値 C22H10F8: C, 61.98; H, 2.36.
実測値: C, 61.85; H, 2.40.
(18)
1H NMR (200MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:Me4Si)
δ 8.91-8.87 (m) 8.57 (s) 8.42-8.33 (m) 8.06-7.78 (m).
19F NMR (188MHz, 溶媒:CDCl3, 標準物質:CFCl3)
δ -81.2 (s, 2F) -82.3 (s, 2F) -82.4 (s, 2F).
質量分析(MS m/z): 404 (M+, 100).



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[1]:
【化1】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表され、
5及びX14の対、X6及びX13の対、及びX7及びX12の対からなる群より選択される少なくとも1つの対の基がいずれもフッ素である化合物。
【請求項2】
式[2]:
【化2】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項3】
式[3]:
【化3】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
【請求項4】
式[4]:
【化4】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
【請求項5】
式[11]:
【化5】

(式中、X1、X2、X3、及びX4は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物と
式[12]:
【化6】

(式中、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物とをルイス酸の存在下で反応させて式[13]:
【化7】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[13]で表される化合物の製造方法。
【請求項6】
ルイス酸が塩化アルミニウムを含む請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
式[13]:
【化8】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[14]:
【化9】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[13]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[14]で表される化合物の製造方法。
【請求項8】
式[13]:
【化8】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[15]:
【化11】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[13]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[15]で表される化合物の製造方法。
【請求項9】
式[15]:
【化12】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[14]:
【化13】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[15]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[14]で表される化合物の製造方法。
【請求項10】
式[13]:
【化14】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[16]:
【化15】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[13]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[16]で表される化合物の製造方法。
【請求項11】
フッ素化剤が4フッ化硫黄を含む請求項7−10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
式[14]:
【化16】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物を還元剤と反応させて、式[2]:
【化17】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[14]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[2]で表される化合物の製造方法。
【請求項13】
式[16]:
【化18】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物を還元剤と反応させて、式[2]:
【化19】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、式[16]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[2]で表される化合物の製造方法。
【請求項14】
還元剤が亜鉛、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
式[13]:
【化20】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項16】
式[14]:
【化21】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項17】
式[15]:
【化22】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項18】
式[16]:
【化23】

(式中、X1、X2、X3、X4、X8、X9、X10、及びX11は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項19】
式[21]:
【化24】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[22]
【化25】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、式[21]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[22]で表される化合物の製造方法。
【請求項20】
式[21]:
【化26】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[23]
【化27】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、式[21]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[23]で表される化合物の製造方法。
【請求項21】
式[23]:
【化28】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[22]
【化29】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、式[23]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[22]で表される化合物の製造方法。
【請求項22】
フッ素化剤が4フッ化硫黄を含む請求項19−21の何れかに記載の製造方法。
【請求項23】
式[22]:
【化30】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物を還元剤と反応させて、式[3]
【化31】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、式[22]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する工程を含む、式[3]で表される化合物の製造方法。
【請求項24】
還元剤が亜鉛、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
式[22]:
【化32】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項26】
式[23]:
【化33】

(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X7、X8、X9、X10、X11、X12、及びX14は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項27】
式[31]:
【化34】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[32]:
【化35】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、式[31]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する方法を含む、式[32]で表される化合物の製造方法。
【請求項28】
式[31]:
【化36】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[33]:
【化37】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、式[31]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する方法を含む、式[33]で表される化合物の製造方法。
【請求項29】
式[33]:
【化38】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物をフッ素化剤と反応させて、式[32]:
【化39】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、式[33]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する方法を含む、式[32]で表される化合物の製造方法。
【請求項30】
フッ素化剤が4フッ化硫黄を含む、請求項27−29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
式[32]:
【化40】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物を還元剤と反応させて、式[4]:
【化41】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、式[32]について記載の通りである。)
で表される化合物を製造する方法を含む、式[4]で表される化合物の製造方法。
【請求項32】
還元剤が亜鉛、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項31に記載の製造方法。
【請求項33】
式[31]:
【化42】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項34】
式[32]:
【化43】

(式中、X1、X2、X3、X4、X6、X8、X9、X10、X11、及びX13は、フッ素、水素、炭素数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のアントラセニル基、置換若しくは無置換のナフタセニル基、又は、置換若しくは無置換のペンタセニル基を表し、同じであっても異なってもよく;
あるいは、X2及びX3が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成し、及び/又は、X9及びX10が結合して単環式若しくは縮合多環式炭化水素基を形成する。)
で表される化合物。



【国際公開番号】WO2005/042445
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515201(P2005−515201)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016248
【国際出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000157119)関東電化工業株式会社 (68)
【Fターム(参考)】