フラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置及びプログラム
【課題】被製造物等を位置合せする基準となるアライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業を、位置合せの際の画像処理に必要な条件を理解していない者でも適正に行えるようにする。
【解決手段】位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、辞書画像として登録する領域を設定する操作を行うための操作部と、制御部とを備え、制御部は、アライメントマーク31を撮影した画像が表示される表示装置の画面20上に、操作部の操作によって辞書画像として登録する領域を設定するためのGUI21〜23を表示させるとともに、辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンス24をウィンドウ表示させる処理と、操作部の操作によって現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラム25のデータを作成し、そのデータを画面20上にウィンドウ表示させる処理とを行う。
【解決手段】位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、辞書画像として登録する領域を設定する操作を行うための操作部と、制御部とを備え、制御部は、アライメントマーク31を撮影した画像が表示される表示装置の画面20上に、操作部の操作によって辞書画像として登録する領域を設定するためのGUI21〜23を表示させるとともに、辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンス24をウィンドウ表示させる処理と、操作部の操作によって現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラム25のデータを作成し、そのデータを画面20上にウィンドウ表示させる処理とを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フラットディスプレイパネルの位置合せする基準となるアライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業が適正に行われるようにガイダンスを行う、フラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットディスプレイパネル(例えば液晶パネルや有機ELディスプレイパネル等)の製造時には、フラットディスプレイパネルに、フラットディスプレイパネルを位置合せする基準となるアライメントマークを付している。
【0003】
図9は、こうしたアライメントマークの一例を示す図である。フラットディスプレイパネル30の枠体の表側の面の左右の下端付近に、十字状のアライメントマーク31が付されている。
【0004】
フラットディスプレイパネルの製造工程では、こうしたアライメントマークが付されたフラットディスプレイパネル30を不図示のカメラで撮影し、画像処理により、予め登録した辞書画像(アライメントマークを含んだ領域の画像)と相関度の高い領域をサーチして、フラットディスプレイパネル30に付されたアライメントマーク31の位置を求めている。そして、求めたアライメントマーク31の位置を基準として、フラットディスプレイパネル30を載置した搬送台を移動させることにより、フラットディスプレイパネル30の位置合せを行っている。
【0005】
こうした位置合せを行う際に用いる辞書画像を予め登録する作業は、フラットディスプレイパネルに付されたアライメントマークを撮影した画像を表示した画面上で、マウス操作等により、辞書画像として登録する領域の大きさや位置等を設定することによって行われる。(例えば特許文献1の段落0004、0032等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−284408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、こうした辞書画像の登録作業は、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件(画像の状態や照明照度等)を理解していない者にとっては難解である。そのため、作業に熟練していない場合には、登録が適正に行われず、製造工程での不良品生産や歩留り悪化の原因となることがある。
【0008】
図10は、辞書画像の登録が適正に行われなかった場合の一つとして、アライメントマークの大きさに対して、辞書画像として設定した領域(領域を設定するための登録枠のサイズ)が大きすぎた例を示す図である。図10Aに示すように、登録作業時に、或るアライメントマーク40の大きさに対して、登録枠41のサイズが大きすぎたとする。そして、図10Bに示すように、位置合せの際の画像処理時に、アライメントマーク40が画像視野の端付近に存在していたとする。すると、登録作業時に登録枠41で囲むことによって辞書画像として登録した領域(図10Bの破線内の領域)の一部が画像視野外となってしまうので、辞書画像と相関度の高い領域が見つからず、サーチエラーとなってしまう。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業を適正に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置は、位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、辞書画像として登録する領域を設定する操作を行うための操作部と、制御部とを備える。制御部は、アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、操作部の操作によって辞書画像として登録する領域を設定するためのGUI(Graphical User Interface)を表示させる。また、制御部は、辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる処理と、操作部の操作によって現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムのデータを作成し、そのデータを表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理とを行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークの画像が表示される表示装置の画面上にウィンドウ表示される操作ガイダンスに従って辞書画像として登録する領域を設定することができる。そして、現在設定している領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムを同じ画面上のウィンドウ表示で確認することにより、アライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業を適正に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置の設置例を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る制御部のサーチ処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態に係る辞書画像の登録作業時のモニターの画面の表示レイアウトを示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るヒストグラムの表示内容の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る投影の表示内容の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る操作ガイダンスの表示内容の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る操作ガイダンスの表示タイミングを示す図である。
【図9】アライメントマークの一例を示す図である。
【図10】登録枠のサイズが大きすぎた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置の設置例を示す図である。この辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、フラットディスプレイパネル30(図9に例示したようにアライメントマークを付したもの)の製造工程に設置されており、フラットディスプレイパネル組立装置に用いられる。そして、辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、辞書画像の登録作業を行う装置と、フラットディスプレイパネル30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用される。
【0014】
辞書マーク適正化ガイダンス装置1と同じ製造工程には、フラットディスプレイパネル30を撮影するCCDカメラ10と、モニター11と、フラットディスプレイパネル30を載置してその位置合せを行うためのステージ12とが設置されている。
【0015】
図2は、辞書マーク適正化ガイダンス装置1の構成を示すブロック図である。辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、ファームウェアを組み込んだハードウェア装置であり、制御部2と、マウス及びキーボードから成る操作部3と、記憶部4とを備えている。操作部3は、辞書画像の登録作業時や位置合せの際の画像処理時に各種操作を行うために用いられる。記憶部4は、辞書画像データや画像処理時のサーチ結果を記憶するために用いられる。
【0016】
図1及び図2に示すように、CCDカメラ10で撮影したフラットディスプレイパネル30の画像データは、辞書マーク適正化ガイダンス装置1に送られた後、制御部2を介してモニター11に送られる。また、CCDカメラ10のレンズ10aの倍率は、辞書マーク適正化ガイダンス装置1の操作部3の操作に基づき、辞書マーク適正化ガイダンス装置1の制御部2によって可変に制御される。
【0017】
本発明は、辞書画像の登録作業時の制御部2の処理に特徴を有するものであるが、登録作業時の処理を説明する前提として、フラットディスプレイパネル30の位置合せの際の制御部2の画像処理をまず説明する。
【0018】
図3は、位置合せの際の制御部2の画像処理であるサーチ処理を示すフローチャートである。操作部3により、サーチ対象となる画像を確定する操作である画像フリーズ(画面取込み)(ステップS1)と、その画像のうちサーチ対象とするエリアを設定する操作(ステップS2)とが行われると、制御部2が、辞書画像サーチ処理(ステップS3)を行う。
【0019】
このステップS3の辞書画像サーチ処理では、制御部2は、第1段階として、サーチエリア内の画像データと、予め登録されて記憶部4に記憶されている辞書画像データとを、間引き処理によって圧縮し(ステップS31)、それらの圧縮画像データ同士のパターンマッチングを行う(ステップS32)ことにより、おおまかなサーチによって複数の検出点を求める。検出点は、例えば図10に示したような四角形の登録枠の左上の頂点である。
【0020】
続いて制御部2は、第2段階として、ステップS32で求めた複数の検出点を候補点として、正規化相関サーチにより、圧縮前の辞書画像を圧縮前のサーチエリア内の画像の候補点の近傍で探し(ステップS33)、相関係数が予め設定した閾値を超える候補点を、最終的な検出点とする(ステップS34)。このような2段階の処理を行うことにより、最初から非圧縮の画像データ同士でサーチ処理を行う場合よりも、サーチ処理を高速化することができる。
【0021】
ステップS3の辞書画像サーチ処理を終えると、制御部2は、検出に成功したか(相関係数が閾値を超える候補点が存在していたか)否かを判断し(ステップS4)、成功していた場合にはサーチ結果を記憶部4に格納する(ステップS5)。失敗していればモニター11にエラー表示を行うなどのエラー処理を行って(ステップS6)、サーチ処理を終了する。
【0022】
位置合せの際には、このサーチ処理のステップS5で記憶されたサーチ結果に基づき、図1のステージ12上で、アライメントマークの位置を基準としてフラットディスプレイパネル30の位置合せが行われる。
【0023】
次に、辞書画像の登録作業時の制御部2の処理について説明する。辞書画像の登録作業時には、制御部2は、CCDカメラ10によって撮影されたフラットディスプレイパネル30の画像が表示されるモニター11の画面上に、操作部2の操作によって辞書画像として登録する領域を設定するためのGUIと各種のウィンドウを表示させる。
【0024】
図4は、この辞書画像の登録作業時のモニター11の画面の表示レイアウトを示す図である。フラットディスプレイパネル30の画像(図には、そのうちの十字状のアライメントマーク31の画像も示している)が表示されるモニター11の画面20上に、辞書画像として登録する領域を設定するためのGUIとして、登録枠21と、センターマーク22と、マウスカーソル23とが表示される。
【0025】
登録枠21は、辞書画像として登録する領域の大きさ及び位置を設定するための枠である。登録枠21は、操作部3中のマウスのドラッグ操作によって枠のサイズの変更及び画面上での位置の移動を行うことができる。
【0026】
センターマーク22は、アライメントマークの中心を座標通知点として設定するためのマークである。そして、センターマーク22は、図3のステップS32について説明したようにサーチ処理時に登録枠21の頂点を検出点として求める場合に、検出点に対するアライメントマークの中心の位置を通知するオフセット情報の役割を持っている。センターマーク22も、マウス操作によって画面上の位置を移動させることができる。
【0027】
また、モニター11の画面20上には、操作ガイダンス24と、ヒストグラム25と、投影26と、画素数比・最小線幅ガイダンス27とがウィンドウ表示される。これらの操作ガイダンス24及びヒストグラム25も、マウスのドラッグ操作によって画面上の位置を移動させることができる。
【0028】
操作ガイダンス24は、操作部3の操作によって辞書画像として登録する領域を設定する際のガイダンス文である。操作ガイダンス24の表示内容は操作の段階に応じて変化するが、具体的な表示内容については後述する。
【0029】
ヒストグラム25は、登録枠21で囲まれている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムである。制御部2は、登録枠21で囲まれている領域の大きさや位置が変化する毎に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画像のヒストグラムのデータを作成する処理を繰り返し、作成したヒストグラムのデータをヒストグラム25として表示させる。
【0030】
図5は、ヒストグラム25の表示内容の一例を示す図である。登録枠21で囲まれている領域について、横軸に濃淡レベル(モニター11の各画素の8ビットの値によって示される256階調)を表し、縦軸に画素数を表したヒストグラムが表示される。この例では、登録枠21で囲まれている領域内にアライメントマークが1つ含まれており、アライメントマークの濃淡レベルが背景部分の濃淡レベルよりも高くなっており、且つ、アライメントマークの画素数が背景部分の画素数よりも少なくなっている。なお、図示は省略しているが、制御部2は、ヒストグラム25と同じウィンドウ内に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画素の濃淡レベルの最大値及び最小値も表示させる。
【0031】
図4に示した投影26は、画面20上に表示されている画像を縦方向及び横方向に投影処理した(画面20の縦方向上に並んだ画素の濃淡レベルの和と、画面20の横方向上に並んだ画素の濃淡レベルの和とをそれぞれ求めた)図である。
【0032】
図6は、投影26の表示内容の一例を、画面20上でのアライメントマーク31の位置と対応させて示す図である。この例では、画面20上にアライメントマーク31が1つ表示されており、アライメントマーク31の濃淡レベルが背景部分の濃淡レベルよりも高くなっている。
【0033】
図4に示した画素数比・最小線幅ガイダンス27は、登録枠21で囲んだ領域内でのアライメントマークの画素数と背景部分の画素数との比率が所定の値(一例として約2:1とする)となることを推奨し、画面20上でのアライメントマークの最小線幅(図4のような十字状のアライメントマーク31の場合には、画面20の横方向上の左端から右端までの幅)が所定の画素数以上(一例として8画素以上とする)となることを推奨するガイダンス文である。
【0034】
登録枠21で囲まれている領域内の画像は、その領域内に2つのアライメントマークが含まれるような稀な場合には三極化するが、一般にはアライメントマークと背景部分とに二極化する。(図5も、そのように二極化している状態のヒストグラムを示している。)画素数比・最小線幅ガイダンス27における約2:1という画素数の比率は、そのように二極化している場合の経験的な推奨値である。
【0035】
また、図3に示したように、位置合せの際のサーチ処理では画像データを間引き処理によって圧縮する(ステップS31)。このため、画面20上でのアライメントマークの最小線幅が一定の画素数未満であると、圧縮時にアライメントマークの部分の画像が間引かれて失われてしまい、パターンマッチングによって検出点を求める(ステップS32)ことが困難になる。このステップS31での圧縮率は可変であるが、圧縮率を高くすると、サーチ速度が速くなる反面、最小線幅が太くてもアライメントマークの部分の画像が間引かれやすくなる。他方、圧縮率を低くすると、最小線幅が細くてもアライメントマークの部分の画像が間引かれにくくなる反面、サーチ速度が遅くなる。画素数比・最小線幅ガイダンス27における8画素以上という最小線幅は、要求されるサーチ速度を満たす圧縮率において、圧縮時にアライメントマークの部分の画像が失われなかった経験的な推奨値である。
【0036】
図7は、図4に示した操作ガイダンス24の表示内容の一例を示す図である。また図8は、辞書画像の登録作業の過程で、図7に示す内容が操作ガイダンス24として表示されるタイミングを示す図である。図7では、各表示タイミング(黒丸の箇所)に表示されるガイダンス文を、図8と同じ符号50〜56を付して示している。
【0037】
辞書マーク適正化ガイダンス装置1の操作者が、操作部3により、図8に示すように辞書画像の登録作業を開始する操作60を行う。ここで、操作者が操作終了を選択した場合、処理を終了する。一方、操作者が操作を継続する場合、制御部2は、図7にガイダンス文50として示すような、登録枠(図4の登録枠21)のサイズ及び位置の設定と、センターマーク(図4のセンターマーク22)の位置の設定とを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0038】
操作者が、このガイダンス文50に従い、操作部3により、まず登録枠のサイズを設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、図7にガイダンス文51として示すような、登録枠内にアライメントマークが収まるように登録枠のサイズを調整することを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0039】
そして操作者が、操作部3により、図8に示すように登録枠のサイズの設定操作61を開始する。このとき、制御部2は、図7にガイダンス文52として示すような、登録枠のサイズが大きすぎたり小さすぎたりしないように注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0040】
図10を用いて説明したように、アライメントマークの大きさに対して登録枠のサイズが大きすぎると、サーチ処理時にアライメントマークが画像視野の端付近に存在していた場合にサーチエラーとなってしまう。そこで、このガイダンス文52を表示することにより、アライメントマークの大きさに対して登録枠のサイズが適正となるように注意を促している。
【0041】
なお、図7にも「ヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27を表示」と示しているように、既に説明した表示内容のヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27も、操作ガイダンス24とは別ウィンドウでモニター11の画面上に表示されている。したがって、登録枠でアライメントマークを囲んでいる場合には、図5に例示したような、アライメントマーク,背景部分のそれぞれの画素数が示されたヒストグラム25が表示される。
【0042】
操作者は、画素数比・最小線幅ガイダンス27のうちの、登録枠で囲んだ領域内でのアライメントマークと背景部分との画素数の比率が約2:1となることを推奨するガイダンス文を参照する。そして、ヒストグラム25に示される現在のアライメントマーク,背景部分のそれぞれの画素数を確認しながら登録枠のサイズを調整し、それらの画素数の比率が約2:1となるように登録枠のサイズを設定する。これにより、より一層適切に登録枠のサイズを設定することができる。
【0043】
また操作者は、画素数比・最小線幅ガイダンス27のうちの、画面上でのアライメントマークの最小線幅が8画素以上となることを推奨するガイダンス文を参照する。そして、現在のアライメントマークの最小線幅が8画素未満であった場合には、操作部3によりCCDカメラ10のレンズ10aの倍率を高くする操作を行う。あるいは、操作者は、線幅の異なる複数のアライメントマークが存在しているような場合には、より線幅の太いアライメントマークのほうを登録枠で囲むようにする。このようにして、より一層適切に辞書画像の登録作業を行うことができる。
【0044】
また操作者は、投影26を参照し、例えばアライメントマークと背景部分との濃淡レベルの差が小さすぎる場合は、フラットディスプレイパネル30を照らしている照明装置を明るく調整する。また背景部分の一部が照明光を反射して濃淡レベルが高くなっている場合は、照明装置を暗く調整する。このように調整することにより、より一層適切に辞書画像の登録作業を行うことができる。
【0045】
次に、操作者が、図7に示したガイダンス文50に従い、操作部3により、登録枠の位置を設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、図7にガイダンス文53として示すような、登録枠の中央にアライメントマークが収まるように登録枠の位置を調整することを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0046】
そして操作者が、操作部3により、図8に示すように登録枠の位置の設定操作62を開始する。このとき、制御部2は、図7にガイダンス文54として示すような、登録枠の中央にアライメントマークが入っているかどうか注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0047】
また、図7にも示しているように、このときも、ヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27が、操作ガイダンス24とは別ウィンドウでモニター11の画面上に表示されている。
【0048】
次に、操作者が、ガイダンス文51に従い、操作部3により、センターマーク(座標通知点)の位置を設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、図7にガイダンス文55として示すような、アライメントマークの中心にセンターマークの位置を移動させることを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0049】
そして操作者が、操作部3により、図8に示すようにセンターマークの位置の設定操作63を開始する。このとき、制御部2は、図7にガイダンス文56として示すような、アライメントマークの中心にセンターマークが位置しているかどうか注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0050】
また、図7にも示しているように、このときも、ヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27が、操作ガイダンス24とは別ウィンドウでモニター11の画面上に表示されている。
【0051】
そして操作者が、登録枠のサイズ及び位置の設定とセンターマークの位置の設定とを完了し、操作部3により、設定内容を確定する操作を行う。このとき、制御部2は、登録枠内の画像データを辞書画像として記憶部4に記憶させるとともに、登録枠に対するセンターマークの位置情報を記憶部4に記憶させる。
【0052】
このように、この辞書マーク適正化ガイダンス装置1によれば、操作者は、アライメントマークの画像が表示されるモニター11にウィンドウ表示される操作ガイダンス24に従って登録枠のサイズ及び位置の設定とセンターマークの位置の設定とを行うことができる。また、登録枠で現在囲んでいる領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラム25を同じ画面上のウィンドウ表示で確認し、さらに投影26や画素数比・最小線幅ガイダンス27を同じモニター11のウィンドウ表示で確認することができる。このため、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業を適正に行うことができる。
【0053】
なお、上述した実施の形態では、ファームウェアを組み込んだ専用のハードウェア装置を辞書マーク適正化ガイダンス装置1として用いているが、別の例として、汎用コンピュータを辞書マーク適正化ガイダンス装置1として用いてもよい。その場合には、上述した制御部2の処理に相当する処理を実行するためのソフトウェアプログラムを、USBメモリ,光ディスク等の記録媒体あるいはネットワークを介して汎用コンピュータに供給すればよい。
【0054】
また、上述した実施の形態では、辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、辞書画像の登録作業を行う装置と、フラットディスプレイパネル30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用されるように構成されている。しかし、別の例として、辞書マーク適正化ガイダンス装置1を、辞書画像の登録作業を行う専用の装置として構成してもよい。その場合には、辞書マーク適正化ガイダンス装置1によって登録した辞書画像を、ネットワーク等を介して、位置合せの際の画像処理を行う専用の装置に供給すればよい。
【0055】
また、上述した実施の形態では、製造工程での位置合せのためにフラットディスプレイパネル30に付されたアライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録するために、本発明を適用している。しかし本発明は、これに限らず、フラットディスプレイパネル30以外の被製造物に付されたアライメントマークや、被検査物に付されたアライメントマークといったような、画像処理による位置合せを行う対象となるあらゆる物に付されたアライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録するために適用することができる。
【0056】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1…辞書マーク適正化ガイダンス装置,2…制御部,3…操作部,4…記憶部,10…CCDカメラ,11…モニター,21…登録枠,22…センターマーク,24…操作ガイダンス,25…ヒストグラム,26…投影,27…画素数比・最小線幅ガイダンス,30…フラットディスプレイパネル,31…アライメントマーク,50〜56…ガイダンス文
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フラットディスプレイパネルの位置合せする基準となるアライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業が適正に行われるようにガイダンスを行う、フラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットディスプレイパネル(例えば液晶パネルや有機ELディスプレイパネル等)の製造時には、フラットディスプレイパネルに、フラットディスプレイパネルを位置合せする基準となるアライメントマークを付している。
【0003】
図9は、こうしたアライメントマークの一例を示す図である。フラットディスプレイパネル30の枠体の表側の面の左右の下端付近に、十字状のアライメントマーク31が付されている。
【0004】
フラットディスプレイパネルの製造工程では、こうしたアライメントマークが付されたフラットディスプレイパネル30を不図示のカメラで撮影し、画像処理により、予め登録した辞書画像(アライメントマークを含んだ領域の画像)と相関度の高い領域をサーチして、フラットディスプレイパネル30に付されたアライメントマーク31の位置を求めている。そして、求めたアライメントマーク31の位置を基準として、フラットディスプレイパネル30を載置した搬送台を移動させることにより、フラットディスプレイパネル30の位置合せを行っている。
【0005】
こうした位置合せを行う際に用いる辞書画像を予め登録する作業は、フラットディスプレイパネルに付されたアライメントマークを撮影した画像を表示した画面上で、マウス操作等により、辞書画像として登録する領域の大きさや位置等を設定することによって行われる。(例えば特許文献1の段落0004、0032等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−284408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、こうした辞書画像の登録作業は、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件(画像の状態や照明照度等)を理解していない者にとっては難解である。そのため、作業に熟練していない場合には、登録が適正に行われず、製造工程での不良品生産や歩留り悪化の原因となることがある。
【0008】
図10は、辞書画像の登録が適正に行われなかった場合の一つとして、アライメントマークの大きさに対して、辞書画像として設定した領域(領域を設定するための登録枠のサイズ)が大きすぎた例を示す図である。図10Aに示すように、登録作業時に、或るアライメントマーク40の大きさに対して、登録枠41のサイズが大きすぎたとする。そして、図10Bに示すように、位置合せの際の画像処理時に、アライメントマーク40が画像視野の端付近に存在していたとする。すると、登録作業時に登録枠41で囲むことによって辞書画像として登録した領域(図10Bの破線内の領域)の一部が画像視野外となってしまうので、辞書画像と相関度の高い領域が見つからず、サーチエラーとなってしまう。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業を適正に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置は、位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、辞書画像として登録する領域を設定する操作を行うための操作部と、制御部とを備える。制御部は、アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、操作部の操作によって辞書画像として登録する領域を設定するためのGUI(Graphical User Interface)を表示させる。また、制御部は、辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる処理と、操作部の操作によって現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムのデータを作成し、そのデータを表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理とを行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークの画像が表示される表示装置の画面上にウィンドウ表示される操作ガイダンスに従って辞書画像として登録する領域を設定することができる。そして、現在設定している領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムを同じ画面上のウィンドウ表示で確認することにより、アライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業を適正に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置の設置例を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る制御部のサーチ処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態に係る辞書画像の登録作業時のモニターの画面の表示レイアウトを示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るヒストグラムの表示内容の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る投影の表示内容の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る操作ガイダンスの表示内容の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る操作ガイダンスの表示タイミングを示す図である。
【図9】アライメントマークの一例を示す図である。
【図10】登録枠のサイズが大きすぎた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る辞書マーク適正化ガイダンス装置の設置例を示す図である。この辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、フラットディスプレイパネル30(図9に例示したようにアライメントマークを付したもの)の製造工程に設置されており、フラットディスプレイパネル組立装置に用いられる。そして、辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、辞書画像の登録作業を行う装置と、フラットディスプレイパネル30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用される。
【0014】
辞書マーク適正化ガイダンス装置1と同じ製造工程には、フラットディスプレイパネル30を撮影するCCDカメラ10と、モニター11と、フラットディスプレイパネル30を載置してその位置合せを行うためのステージ12とが設置されている。
【0015】
図2は、辞書マーク適正化ガイダンス装置1の構成を示すブロック図である。辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、ファームウェアを組み込んだハードウェア装置であり、制御部2と、マウス及びキーボードから成る操作部3と、記憶部4とを備えている。操作部3は、辞書画像の登録作業時や位置合せの際の画像処理時に各種操作を行うために用いられる。記憶部4は、辞書画像データや画像処理時のサーチ結果を記憶するために用いられる。
【0016】
図1及び図2に示すように、CCDカメラ10で撮影したフラットディスプレイパネル30の画像データは、辞書マーク適正化ガイダンス装置1に送られた後、制御部2を介してモニター11に送られる。また、CCDカメラ10のレンズ10aの倍率は、辞書マーク適正化ガイダンス装置1の操作部3の操作に基づき、辞書マーク適正化ガイダンス装置1の制御部2によって可変に制御される。
【0017】
本発明は、辞書画像の登録作業時の制御部2の処理に特徴を有するものであるが、登録作業時の処理を説明する前提として、フラットディスプレイパネル30の位置合せの際の制御部2の画像処理をまず説明する。
【0018】
図3は、位置合せの際の制御部2の画像処理であるサーチ処理を示すフローチャートである。操作部3により、サーチ対象となる画像を確定する操作である画像フリーズ(画面取込み)(ステップS1)と、その画像のうちサーチ対象とするエリアを設定する操作(ステップS2)とが行われると、制御部2が、辞書画像サーチ処理(ステップS3)を行う。
【0019】
このステップS3の辞書画像サーチ処理では、制御部2は、第1段階として、サーチエリア内の画像データと、予め登録されて記憶部4に記憶されている辞書画像データとを、間引き処理によって圧縮し(ステップS31)、それらの圧縮画像データ同士のパターンマッチングを行う(ステップS32)ことにより、おおまかなサーチによって複数の検出点を求める。検出点は、例えば図10に示したような四角形の登録枠の左上の頂点である。
【0020】
続いて制御部2は、第2段階として、ステップS32で求めた複数の検出点を候補点として、正規化相関サーチにより、圧縮前の辞書画像を圧縮前のサーチエリア内の画像の候補点の近傍で探し(ステップS33)、相関係数が予め設定した閾値を超える候補点を、最終的な検出点とする(ステップS34)。このような2段階の処理を行うことにより、最初から非圧縮の画像データ同士でサーチ処理を行う場合よりも、サーチ処理を高速化することができる。
【0021】
ステップS3の辞書画像サーチ処理を終えると、制御部2は、検出に成功したか(相関係数が閾値を超える候補点が存在していたか)否かを判断し(ステップS4)、成功していた場合にはサーチ結果を記憶部4に格納する(ステップS5)。失敗していればモニター11にエラー表示を行うなどのエラー処理を行って(ステップS6)、サーチ処理を終了する。
【0022】
位置合せの際には、このサーチ処理のステップS5で記憶されたサーチ結果に基づき、図1のステージ12上で、アライメントマークの位置を基準としてフラットディスプレイパネル30の位置合せが行われる。
【0023】
次に、辞書画像の登録作業時の制御部2の処理について説明する。辞書画像の登録作業時には、制御部2は、CCDカメラ10によって撮影されたフラットディスプレイパネル30の画像が表示されるモニター11の画面上に、操作部2の操作によって辞書画像として登録する領域を設定するためのGUIと各種のウィンドウを表示させる。
【0024】
図4は、この辞書画像の登録作業時のモニター11の画面の表示レイアウトを示す図である。フラットディスプレイパネル30の画像(図には、そのうちの十字状のアライメントマーク31の画像も示している)が表示されるモニター11の画面20上に、辞書画像として登録する領域を設定するためのGUIとして、登録枠21と、センターマーク22と、マウスカーソル23とが表示される。
【0025】
登録枠21は、辞書画像として登録する領域の大きさ及び位置を設定するための枠である。登録枠21は、操作部3中のマウスのドラッグ操作によって枠のサイズの変更及び画面上での位置の移動を行うことができる。
【0026】
センターマーク22は、アライメントマークの中心を座標通知点として設定するためのマークである。そして、センターマーク22は、図3のステップS32について説明したようにサーチ処理時に登録枠21の頂点を検出点として求める場合に、検出点に対するアライメントマークの中心の位置を通知するオフセット情報の役割を持っている。センターマーク22も、マウス操作によって画面上の位置を移動させることができる。
【0027】
また、モニター11の画面20上には、操作ガイダンス24と、ヒストグラム25と、投影26と、画素数比・最小線幅ガイダンス27とがウィンドウ表示される。これらの操作ガイダンス24及びヒストグラム25も、マウスのドラッグ操作によって画面上の位置を移動させることができる。
【0028】
操作ガイダンス24は、操作部3の操作によって辞書画像として登録する領域を設定する際のガイダンス文である。操作ガイダンス24の表示内容は操作の段階に応じて変化するが、具体的な表示内容については後述する。
【0029】
ヒストグラム25は、登録枠21で囲まれている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムである。制御部2は、登録枠21で囲まれている領域の大きさや位置が変化する毎に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画像のヒストグラムのデータを作成する処理を繰り返し、作成したヒストグラムのデータをヒストグラム25として表示させる。
【0030】
図5は、ヒストグラム25の表示内容の一例を示す図である。登録枠21で囲まれている領域について、横軸に濃淡レベル(モニター11の各画素の8ビットの値によって示される256階調)を表し、縦軸に画素数を表したヒストグラムが表示される。この例では、登録枠21で囲まれている領域内にアライメントマークが1つ含まれており、アライメントマークの濃淡レベルが背景部分の濃淡レベルよりも高くなっており、且つ、アライメントマークの画素数が背景部分の画素数よりも少なくなっている。なお、図示は省略しているが、制御部2は、ヒストグラム25と同じウィンドウ内に、登録枠21で現在囲まれている領域内の画素の濃淡レベルの最大値及び最小値も表示させる。
【0031】
図4に示した投影26は、画面20上に表示されている画像を縦方向及び横方向に投影処理した(画面20の縦方向上に並んだ画素の濃淡レベルの和と、画面20の横方向上に並んだ画素の濃淡レベルの和とをそれぞれ求めた)図である。
【0032】
図6は、投影26の表示内容の一例を、画面20上でのアライメントマーク31の位置と対応させて示す図である。この例では、画面20上にアライメントマーク31が1つ表示されており、アライメントマーク31の濃淡レベルが背景部分の濃淡レベルよりも高くなっている。
【0033】
図4に示した画素数比・最小線幅ガイダンス27は、登録枠21で囲んだ領域内でのアライメントマークの画素数と背景部分の画素数との比率が所定の値(一例として約2:1とする)となることを推奨し、画面20上でのアライメントマークの最小線幅(図4のような十字状のアライメントマーク31の場合には、画面20の横方向上の左端から右端までの幅)が所定の画素数以上(一例として8画素以上とする)となることを推奨するガイダンス文である。
【0034】
登録枠21で囲まれている領域内の画像は、その領域内に2つのアライメントマークが含まれるような稀な場合には三極化するが、一般にはアライメントマークと背景部分とに二極化する。(図5も、そのように二極化している状態のヒストグラムを示している。)画素数比・最小線幅ガイダンス27における約2:1という画素数の比率は、そのように二極化している場合の経験的な推奨値である。
【0035】
また、図3に示したように、位置合せの際のサーチ処理では画像データを間引き処理によって圧縮する(ステップS31)。このため、画面20上でのアライメントマークの最小線幅が一定の画素数未満であると、圧縮時にアライメントマークの部分の画像が間引かれて失われてしまい、パターンマッチングによって検出点を求める(ステップS32)ことが困難になる。このステップS31での圧縮率は可変であるが、圧縮率を高くすると、サーチ速度が速くなる反面、最小線幅が太くてもアライメントマークの部分の画像が間引かれやすくなる。他方、圧縮率を低くすると、最小線幅が細くてもアライメントマークの部分の画像が間引かれにくくなる反面、サーチ速度が遅くなる。画素数比・最小線幅ガイダンス27における8画素以上という最小線幅は、要求されるサーチ速度を満たす圧縮率において、圧縮時にアライメントマークの部分の画像が失われなかった経験的な推奨値である。
【0036】
図7は、図4に示した操作ガイダンス24の表示内容の一例を示す図である。また図8は、辞書画像の登録作業の過程で、図7に示す内容が操作ガイダンス24として表示されるタイミングを示す図である。図7では、各表示タイミング(黒丸の箇所)に表示されるガイダンス文を、図8と同じ符号50〜56を付して示している。
【0037】
辞書マーク適正化ガイダンス装置1の操作者が、操作部3により、図8に示すように辞書画像の登録作業を開始する操作60を行う。ここで、操作者が操作終了を選択した場合、処理を終了する。一方、操作者が操作を継続する場合、制御部2は、図7にガイダンス文50として示すような、登録枠(図4の登録枠21)のサイズ及び位置の設定と、センターマーク(図4のセンターマーク22)の位置の設定とを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0038】
操作者が、このガイダンス文50に従い、操作部3により、まず登録枠のサイズを設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、図7にガイダンス文51として示すような、登録枠内にアライメントマークが収まるように登録枠のサイズを調整することを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0039】
そして操作者が、操作部3により、図8に示すように登録枠のサイズの設定操作61を開始する。このとき、制御部2は、図7にガイダンス文52として示すような、登録枠のサイズが大きすぎたり小さすぎたりしないように注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0040】
図10を用いて説明したように、アライメントマークの大きさに対して登録枠のサイズが大きすぎると、サーチ処理時にアライメントマークが画像視野の端付近に存在していた場合にサーチエラーとなってしまう。そこで、このガイダンス文52を表示することにより、アライメントマークの大きさに対して登録枠のサイズが適正となるように注意を促している。
【0041】
なお、図7にも「ヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27を表示」と示しているように、既に説明した表示内容のヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27も、操作ガイダンス24とは別ウィンドウでモニター11の画面上に表示されている。したがって、登録枠でアライメントマークを囲んでいる場合には、図5に例示したような、アライメントマーク,背景部分のそれぞれの画素数が示されたヒストグラム25が表示される。
【0042】
操作者は、画素数比・最小線幅ガイダンス27のうちの、登録枠で囲んだ領域内でのアライメントマークと背景部分との画素数の比率が約2:1となることを推奨するガイダンス文を参照する。そして、ヒストグラム25に示される現在のアライメントマーク,背景部分のそれぞれの画素数を確認しながら登録枠のサイズを調整し、それらの画素数の比率が約2:1となるように登録枠のサイズを設定する。これにより、より一層適切に登録枠のサイズを設定することができる。
【0043】
また操作者は、画素数比・最小線幅ガイダンス27のうちの、画面上でのアライメントマークの最小線幅が8画素以上となることを推奨するガイダンス文を参照する。そして、現在のアライメントマークの最小線幅が8画素未満であった場合には、操作部3によりCCDカメラ10のレンズ10aの倍率を高くする操作を行う。あるいは、操作者は、線幅の異なる複数のアライメントマークが存在しているような場合には、より線幅の太いアライメントマークのほうを登録枠で囲むようにする。このようにして、より一層適切に辞書画像の登録作業を行うことができる。
【0044】
また操作者は、投影26を参照し、例えばアライメントマークと背景部分との濃淡レベルの差が小さすぎる場合は、フラットディスプレイパネル30を照らしている照明装置を明るく調整する。また背景部分の一部が照明光を反射して濃淡レベルが高くなっている場合は、照明装置を暗く調整する。このように調整することにより、より一層適切に辞書画像の登録作業を行うことができる。
【0045】
次に、操作者が、図7に示したガイダンス文50に従い、操作部3により、登録枠の位置を設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、図7にガイダンス文53として示すような、登録枠の中央にアライメントマークが収まるように登録枠の位置を調整することを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0046】
そして操作者が、操作部3により、図8に示すように登録枠の位置の設定操作62を開始する。このとき、制御部2は、図7にガイダンス文54として示すような、登録枠の中央にアライメントマークが入っているかどうか注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0047】
また、図7にも示しているように、このときも、ヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27が、操作ガイダンス24とは別ウィンドウでモニター11の画面上に表示されている。
【0048】
次に、操作者が、ガイダンス文51に従い、操作部3により、センターマーク(座標通知点)の位置を設定することを選択する操作を行ったとする。すると制御部2が、図7にガイダンス文55として示すような、アライメントマークの中心にセンターマークの位置を移動させることを促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0049】
そして操作者が、操作部3により、図8に示すようにセンターマークの位置の設定操作63を開始する。このとき、制御部2は、図7にガイダンス文56として示すような、アライメントマークの中心にセンターマークが位置しているかどうか注意を促すガイダンス文を、操作ガイダンス24としてモニター11の画面上にウィンドウ表示させる。
【0050】
また、図7にも示しているように、このときも、ヒストグラム25,投影26,画素数比・最小線幅ガイダンス27が、操作ガイダンス24とは別ウィンドウでモニター11の画面上に表示されている。
【0051】
そして操作者が、登録枠のサイズ及び位置の設定とセンターマークの位置の設定とを完了し、操作部3により、設定内容を確定する操作を行う。このとき、制御部2は、登録枠内の画像データを辞書画像として記憶部4に記憶させるとともに、登録枠に対するセンターマークの位置情報を記憶部4に記憶させる。
【0052】
このように、この辞書マーク適正化ガイダンス装置1によれば、操作者は、アライメントマークの画像が表示されるモニター11にウィンドウ表示される操作ガイダンス24に従って登録枠のサイズ及び位置の設定とセンターマークの位置の設定とを行うことができる。また、登録枠で現在囲んでいる領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラム25を同じ画面上のウィンドウ表示で確認し、さらに投影26や画素数比・最小線幅ガイダンス27を同じモニター11のウィンドウ表示で確認することができる。このため、位置合せの際に行われる画像処理に必要な条件を理解していない者でも、アライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録する作業を適正に行うことができる。
【0053】
なお、上述した実施の形態では、ファームウェアを組み込んだ専用のハードウェア装置を辞書マーク適正化ガイダンス装置1として用いているが、別の例として、汎用コンピュータを辞書マーク適正化ガイダンス装置1として用いてもよい。その場合には、上述した制御部2の処理に相当する処理を実行するためのソフトウェアプログラムを、USBメモリ,光ディスク等の記録媒体あるいはネットワークを介して汎用コンピュータに供給すればよい。
【0054】
また、上述した実施の形態では、辞書マーク適正化ガイダンス装置1は、辞書画像の登録作業を行う装置と、フラットディスプレイパネル30の位置合せの際の画像処理を行う装置とに兼用されるように構成されている。しかし、別の例として、辞書マーク適正化ガイダンス装置1を、辞書画像の登録作業を行う専用の装置として構成してもよい。その場合には、辞書マーク適正化ガイダンス装置1によって登録した辞書画像を、ネットワーク等を介して、位置合せの際の画像処理を行う専用の装置に供給すればよい。
【0055】
また、上述した実施の形態では、製造工程での位置合せのためにフラットディスプレイパネル30に付されたアライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録するために、本発明を適用している。しかし本発明は、これに限らず、フラットディスプレイパネル30以外の被製造物に付されたアライメントマークや、被検査物に付されたアライメントマークといったような、画像処理による位置合せを行う対象となるあらゆる物に付されたアライメントマークを含んだ画像を辞書画像として登録するために適用することができる。
【0056】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1…辞書マーク適正化ガイダンス装置,2…制御部,3…操作部,4…記憶部,10…CCDカメラ,11…モニター,21…登録枠,22…センターマーク,24…操作ガイダンス,25…ヒストグラム,26…投影,27…画素数比・最小線幅ガイダンス,30…フラットディスプレイパネル,31…アライメントマーク,50〜56…ガイダンス文
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、辞書画像として登録する領域を設定する操作を行うための操作部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、前記操作部の操作によって前記辞書画像として登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させるとともに、前記辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる処理と、
前記操作部の操作によって現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムのデータを作成し、該データを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理とを行う
フラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作ガイダンスとして、少なくとも、前記アライメントマークに対して前記辞書画像として登録する領域の大きさ及び位置を調整させるガイダンスを表示させる
請求項1記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記辞書画像として登録する領域内での前記アライメントマークの画素数と背景部分の画素数との比率を所定の値にすることを推奨するガイダンスを、前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記表示装置の画面における前記アライメントマークの最小線幅が所定の画素数以上となることを推奨するガイダンスを、前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2又は3のいずれか1項に記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作ガイダンスとして、前記アライメントマークの中心を座標通知点として設定させるガイダンスをさらに表示させる
請求項2〜4のいずれか1項に記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、前記アライメントマークを撮影した画像を前記画面の縦方向及び横方向に投影処理した図を、前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2〜5のいずれか1項に記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項7】
コンピュータに、
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、辞書画像として登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させるとともに、前記辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる手順と、
現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムのデータを作成し、該データを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる手順とを実行させる
プログラム。
【請求項1】
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像のうち、辞書画像として登録する領域を設定する操作を行うための操作部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、前記操作部の操作によって前記辞書画像として登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させるとともに、前記辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる処理と、
前記操作部の操作によって現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムのデータを作成し、該データを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる処理とを行う
フラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作ガイダンスとして、少なくとも、前記アライメントマークに対して前記辞書画像として登録する領域の大きさ及び位置を調整させるガイダンスを表示させる
請求項1記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記辞書画像として登録する領域内での前記アライメントマークの画素数と背景部分の画素数との比率を所定の値にすることを推奨するガイダンスを、前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記表示装置の画面における前記アライメントマークの最小線幅が所定の画素数以上となることを推奨するガイダンスを、前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2又は3のいずれか1項に記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作ガイダンスとして、前記アライメントマークの中心を座標通知点として設定させるガイダンスをさらに表示させる
請求項2〜4のいずれか1項に記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、前記アライメントマークを撮影した画像を前記画面の縦方向及び横方向に投影処理した図を、前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる
請求項2〜5のいずれか1項に記載のフラットディスプレイパネル組立装置に用いられる辞書マーク適正化ガイダンス装置。
【請求項7】
コンピュータに、
位置合せの対象物に付されたアライメントマークを撮影した画像が表示される表示装置の画面上に、辞書画像として登録する領域を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースを表示させるとともに、前記辞書画像として登録する領域を設定する際の操作ガイダンスをウィンドウ表示させる手順と、
現在設定されている領域内の画像の濃度又は輝度のレベル値に関するヒストグラムのデータを作成し、該データを前記表示装置の画面上にウィンドウ表示させる手順とを実行させる
プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−37727(P2012−37727A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177809(P2010−177809)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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