説明

フリップチップパッケージの製造方法

【課題】本発明は、ウエハーに溶液状態の異方性導電接着剤(ACA)および非導電性接着剤(NCA)を2重層に直接コーティングすることによってフリップチップパッケージを製造することができるウエハーレベルフリップチップパッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)非はんだバンプが形成されたウエハーの上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤および有機溶媒を含む非導電性混合溶液を塗布・乾燥して非導電層を形成する工程と、(b)前記非導電層の上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤、有機溶媒および導電性粒子を包含する導電性混合溶液を塗布・乾燥して異方性導電層を形成する工程と、(c)前記非導電層および異方性導電層が形成されたウエハーをダイシングして個別の半導体チップを製造する工程と、(d)前記半導体チップを基板上の電極と整列してフリップチップ接続する工程とを含めてなるフリップチップパッケージの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハーに溶液状態の異方性導電接着剤(Anisotropic Conductive Adhesives、以下、ACAと略記する)および非導電性接着剤(Non-Conductive Adhesives、以下、NCAと略記する)を2重層で直接コーティングすることによってフリップチップパッケージ(以下、FCパッケージと略記する)を製造することができるウエハー・レベル・フリップチップパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子パッケージ技術は、半導体素子から最終製品に至るまでの全ての工程を包含する非常に広範囲かつ多様なシステム製造技術であって、殊に電子製品の足並みの早い発展速度に合わせる機器の小型化、軽量化、高性能化を具現することにおいて非常に重要な技術である。また、最終電子製品の性能、サイズ、価格および信頼性などが決定される非常に重要な技術である。特に、電気的高性能、極小型/高密度、低電力、多機能、超高速信号処理、その上、半永久的信頼性をも追求する工程にある最近の電子製品における極小型パッケージの部品は、コンピューター、情報通信、移動通信、高級家電製品などの必須の部品である。この中、チップを基板に実装する技術の1つであるフリップチップ(Flip Chip)技術は、現在スマートカード(Smart Cards)、LCD、PDPなどのディスプレイパッケージング(Display Packaging)、コンピューター、携帯用電話機、通信システムなどにその活用範囲が広くなっている。
【0003】
このようなフリップチップ技術は、大別するとき、はんだ利用のはんだフリップチップ(Solder Flip Chip)と、はんだ不利用の非はんだフリップチップ(Non-Solder Flip Chip)に分けられる。
【0004】
ここで、はんだフリップチップの場合は、はんだフラックス(flux)の塗布、チップ/基板の整列、はんだバンプリフロー、フラックスの除去、アンダーフィル充填および硬化などの複雑な接続工程を有しているため、コストアップの問題がある。したがって、最近、このような複雑な工程を減らすために非はんだフリップチップの技術が注目を引いている。
【0005】
非はんだフリップチップの代表的な技術は、ACAを利用するフリップチップ技術である。既存のACAを利用したフリップチップ技術は、基板上にACA材料を塗布或は仮接着して、チップと基板を整列(align)させた後、最終的に熱と圧力を加えてフリップチップパッケージを完成させる工程でなっている。しかし、このような工程は、フィルムの形成やそれぞれの基板ごとにACA材料の塗布や仮接着するなど長い工程時間を要する。
【0006】
このような理由によって、最近では、ウエハー状態でフラックスとアンダーフィルの機能を有するポリマー材料を塗布して加工するウエハーレベル異方性導電フィルムによるパッケージ技術が注目を受けている。
【0007】
なお、最近では一般的なはんだフリップチップ接続に比べて低コストであるとともに、極微細電極ピッチが可能で、無鉛(lead free)工程、環境親和的な無フラックス(Fluxless)工程、低温工程などのメリットを有する導電性接着剤を利用するフリップチップ接続技術の開発が進展されている。
【0008】
異方性導電接着剤(ACA)は、その形態によって大別するとき、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、以下、ACFと略記する)と、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste、以下、ACPと略記する)とに分けられる。また、その内部に導電粒子(conductive particle)を含むかの可否によってACAとNCAに分けられる。つまり、電子パッケージングに使用される接着剤は、ACF、ACP、NCF(非導電性フィルム:Non-Conductive Film)、NCP(非導電性ペースト:Non-Conductive Paste)の4つに分けられる。
【0009】
フィルム形態の接着剤とペースト形態の接着剤は、その形態と組成にしたがって大きな差異点を有している。まず、ACFはフィルムの形態でコーティングできるようにその組成物の中に、コーティングを容易にする有機溶媒(MEK、Tolueneなど)が含まれる。この接着剤はフィルムの形態でコーティングした後、有機溶媒を乾燥させて製品化する。ACPは、フィルムとは異なり、基板上にペーストをディスペンシング(Dispensing)するなどの方法によって直接塗布してフリップチップ工程を行うので、内部に気泡の生成を防ぐために有機溶媒を含めない。また、シリンジの中にペースト形態で注入して製品化する。すなわち、ACFまたはNCFの溶液は、含まれる有機溶媒の種類と量を調節することによって、流動学的な(Rheological)特性を調節することによりフィルムの形態でコーティングすることができ、現在商用化されているACPとNCP製品はディスペンシング用であってフィルム形態でのコーティングは不可能である。
【0010】
前記のフィルム状とペースト状の2つの材料の組成的な側面における共通点は、熱硬化性または熱可塑性の絶縁樹脂(Insulating resin)および硬化剤を包含しており、使用分野に従ってニッケル、金/ポリマー、銀(Ni、Au/polymer、Ag)などの導電性粒子を含有していることである。
【0011】
本発明と関連される従来技術として、特許文献1は、ウエハー状態でまた他のキャップウエハー(cap wafer)をガラス接着剤によって接着させた後、ウエハーをそれぞれのチップに切断する技術であって、本発明のようにNCAおよびACAを塗布して2重層を形成し、これをパッケージ接続用として使用することとは非常に異なる内容である。
【0012】
また、特許文献2は、ACAを基板に付着させた後、半導体チップを熱と圧力によって基板に接触させることによって電気的に連結させる方法であるが、本発明は、NCAおよびACAの溶液を使用してウエハー状態で非はんだバンプが形成されたチップに予め塗布する点と、NCAおよびACAの2重層を形成させる点とが格別に異なる技術方法である。
【0013】
S.H.Shiなどは、はんだバンプが形成されたウエハー上にはんだフラックス機能を含むアンダーフィル材料を塗布した後、各チップをダイシングして既存のSMTアセンブリー装置を利用して基板に整列させ、既存のはんだリフロー法で接続させた後、アンダーフィル材料をチップと基板との間に差し込める工程を簡素化した方法を提供する。また、特許文献3はACFを利用する場合、離型紙フィルムの上にコーティングした後、熱と圧力を加えるラミネーション工程方法を利用してウエハー上に転写する工程方法を提供し、ACPを利用する場合、スプレー(spray)、ドクターブレード(doctor blade)、または、メニスカス(meniscus)法によってウエハー上に塗布する工程方法を提供する。したがって、フィルム形態を使用する場合、ウエハーの上部にフィルムを位置させ、熱と圧力を加えるラミネーション工程と離型紙を除去する工程が必要であり、このとき、平坦ではないウエハーの表面にフィルム形態のACAまたはNCAを付着させる場合、シャドー効果が現われ易い問題がある。一方、ペースト状を使用する場合、コーティング層の厚さを調節することに難しい問題がある。また、単一のACA層を使用することになるので、熱と圧力を加えるラミネート工程中に、望まない電気的通電が発生する問題がある。
【0014】
しかし、本発明においては、離型紙の上にコーティングした後、ラミネーション法を通じてウエハー上に塗布する工程方法とは異なり、コーティング前状態のACF及びNCFの溶液をウエハー上に塗布した後、乾燥して非導電層と異方性導電層とが積層された構造を有する2重層フィルムを形成してフリップチップパッケージを具現することによって、電気的通電の選択性に優れるとともに、簡単で低コストの接続工程方法を提供することができる。
【0015】
【特許文献1】米国特許5,323,051号
【特許文献2】米国特許5,918,113号
【特許文献3】韓国登録特許10-0361640
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、平坦ではないウエハーの表面で発生し易いシャドー効果を効果的に抑制することができ、コーティング厚さの調節が容易なACA溶液およびNCA溶液を利用して電気的通電の選択性および接続工程の安定性が優秀で、しかも工程が簡単で、所要時間を短縮してコストを削減することができ、殊に総生産コストの中、大きな部分を占めている導電性粒子の使用量を画期的に減らすことができる、ACAおよびNCA溶液を利用するウエハー型フリップチップパッケージの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のフリップチップパッケージの製造方法は、(a)非はんだバンプが形成されたウエハーの上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤および有機溶媒を含む非導電性混合溶液を塗布・乾燥して非導電層を形成する工程と、(b)前記非導電層の上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤、有機溶媒および導電性粒子を包含する導電性混合溶液を塗布・乾燥して異方性導電層を形成する工程と、(c)前記非導電層および異方性導電層が形成されたウエハーをダイシングして個別の半導体チップを製造する工程と、(d)前記半導体チップを基板上の電極と整列してフリップチップ接続する工程とを含めてなることを特徴とする。
【0018】
前記(a)工程における前記非導電層の厚さは、前記ウエハーに形成された非はんだバンプの厚さより厚く、または同一に形成し、前記非導電層によってウエハーの表面が平坦化される特徴を有し、前記非導電層の厚さは、10〜100μmであることが好ましい。また、前記異方性導電層の厚さは、前記基板上の電極の厚さと前記導電性粒子の中で最大のサイズを有する粒子の直径を合わせた厚さ以上である。かつ、前記異方性導電層の厚さは、10〜100μmであることが好ましい。
【0019】
前記(a)工程における非導電性混合溶液の前記絶縁高分子樹脂及び前記(b)工程における導電性混合溶液の前記絶縁高分子樹脂の少なくとも一方は、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ゴム、エポキシ樹脂、ポリイミッド樹脂、またはこれらの混合物であり、前記(a)工程における非導電性混合溶液の有機溶媒及び前記(b)工程における導電性混合溶液の前記有機溶媒の少なくとも一方は、トルエン、メチルエチルケトン(methylethylketone)、アセトン、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)、シクロヘキサン、またはこれらの混合物であり、前記(b)工程における導電性混合溶液の前記導電性粒子は、金、銀、ニッケル、金属がコーティングされたポリマー、導電性高分子、絶縁ポリマーがコーティングされている金属粒子、またはこれらの混合物である。
【0020】
前記(a)工程における前記非導電性混合溶液は、絶縁高分子樹脂100重量部に対して硬化剤100〜400重量部および有機溶媒25〜300重量部が混合されることが好ましく、前記(b)工程における前記導電性混合溶液は、絶縁高分子樹脂の100重量部に対して硬化剤100〜400重量部、有機溶媒50〜200重量部および導電性粒子10〜150重量部が混合されることが好ましい。
【0021】
前記(a)工程及び前記(b)工程の少なくとも一方における前記乾燥は、70〜80℃下で乾燥を行い、有機溶媒を揮発させ、前記非導電層および前記異方性導電層を半硬化(B-stage)の初期状態に形成することを特徴とし、前記(a)工程における前記非導電層及び前記(b)工程における前記異方性導電層の少なくとも一方は100〜300℃下で1秒〜1分間に硬化される硬化特性を有する。
【0022】
前記(a)工程及び前記(b)工程の少なくとも一方における前記塗布は、スプレー(spray)、ドクターブレード(doctor blade)、メニスカス(meniscus)、スピン・コーティング(spin coating)、スクリーン・プリンティング(screen printing)、ステンシル・プリンティング(stencil printing)、または、コンマ・ロール・コーティング(comma roll coating)法などによって行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ACFおよびNCFの組成を有する物質を溶液の状態で直接ウエハー上にコーティングする方法を採用しているため、従来のようにACFまたはNCFをウエハー上に積層して、離型紙を除く工程を削減するので、その工程が簡単で、高い生産性を有し、フィルムではない溶液の状態でコーティングするので、平坦ではないウエハーの表面に発生し易いシャドー効果を効果的に抑制することができ、また異方性導電接着剤のペーストまたは非導電性接着剤のペーストによっては、調節することが難しいコーティング層の厚さを容易に調節するメリットがあり、有機溶媒を揮発させる単純な乾燥を通じて硬化の潜在性を失わない程度の半硬化初期状態の非導電層と異方性導電層を得ることができる利点もある。殊に、非はんだバンプが形成された基板上に非導電層および異方性導電層を順次的に積層して電気的通電の選択性および接続工程の安定性に優れ、工程時間の短縮およびコストダウンを実現するとともに、総生産コストにおいて大きな部分を占めている導電性粒子の使用量を画期的に減らすことができる決定的メリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のフリップチップパッケージの製造方法は、(a)非はんだバンプ113が形成されたウエハー100の上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤および有機溶媒を含む非導電性混合溶液を塗布・乾燥して非導電層115を形成する工程と、(b)前記非導電層115の上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤、有機溶媒および導電性粒子を含む導電性混合溶液を塗布・乾燥して異方性導電層116を形成する工程と、(c)前記非導電層115および異方性導電層116が形成されたウエハーをダイシングして個別の半導体チップ200を製造する工程と、(d)前記半導体チップ200を基板300の電極310と整列してフリップチップ接続する工程とを包含して製造される。
【0025】
前記のように、NCFの組成を有する物質を溶液状態に作製し(非導電性混合溶液)、また、ACFの組成を有する物質を溶液状態に作製して(導電性混合溶液)、直接ウエハー上にコーティングする方法を利用するので、平坦ではないことに基因するウエハーの表面に発生し易いシャドー効果を効果的に抑制することができ、また、ペースト状の異方性導電接着剤またはペースト状の非導電性接着剤の場合においては、調節することが難しいコーティング層の厚さを容易に調節することができる。
【0026】
前記非導電層115は、非はんだバンプ113が形成されることにより平坦ではない表面を有することになるウエハーの表面を平坦化させる役割をすると同時に、半導体チップ200と基板の電極310を電気的に接続させるために必要とする導電性粒子の量を画期的に減らすことができるようにする。
【0027】
特に、バンプによって平坦ではない表面を有することになったウエハーの上部に導電層が形成される場合、バンプによる段差のために、レジンの流れが変わることになり、バンプの上面側には導電性粒子が少なく残り、バンプとバンプの間に密集することもあるところ、このような現象は、形成しようとするフィルムの厚さとバンプの高さが略同じくなるほど深刻になる。実際のディスプレイドライバーICの場合、フィルムの厚さがバンプの高さに大きな差異がないとともに、バンプ間の間隔が狭いので、前記のような現象が電気的ショートのような問題に作用することになる。本実施形態の非導電層115による平坦化と前記平坦化されたウエハーの表面上部に導電層が形成される場合、前記のような問題を解決して電気的ショートを防止することができる。また、樹脂の流れに従って導電性粒子が特定の位置に密集する現象を抑制することができる。
【0028】
また、前記(a)工程および前記(b)工程において使用した有機溶媒を揮発させるだけの単純な乾燥工程を通じて硬化の潜在性を失わない程度の半硬化初期状態(B-stage)の非導電層115と異方性導電層116を得ることができるようになる。
【0029】
このとき、前記非導電層と前記異方性導電層における物質の差異は、導電性粒子の存在可否のみであるため、熱と圧力を印加(ラミネート工程)するか、超音波振動を利用してフリップチップ接続させて硬化が完了される(d)工程以後、非導電層と異方性導電層による2重層の界面が単一層を使用するときと同様の強度と接合度を有することになる。
【0030】
以下、図1を参照して本発明の製造方法の実施形態をより詳細に説明する。ただ、例示される図1の(a)〜(f)は本発明を説明するための1つの例示であり、本発明は図1の様態に限定するものではない。
【0031】
先ず、図1(a)〜(c)に図示されるように、非導電性混合溶液および導電性混合溶液が塗布されるウエハー100は、一般的な半導体工程を通じて製造されたウエハーであり、通常的に多くのチップ110が1つのウエハー上に存在し、それぞれのチップには外部との電気的信号を連結するための入出力パッド112(I/O Pad)が形成されている。
【0032】
このとき、前記チップの種類は、特別に限定されないが、例えば、ディスプレイ駆動回路IC、イメージセンサーIC、メモリーIC、非メモリーIC、超高周波またはRF IC、シリコンを主成分とする半導体ICまたは化合物半導体ICなどを挙げることができる。
【0033】
前記入出力パッドの上部に非はんだバンプ113が形成されるが、前記非はんだバンプは、ボンディング・ワイヤ・ボンダまたはメッキ法を利用して形成された金属スタッド(stud)バンプ、または金属メッキバンプにおいて、金スタッドバンプ、銅スタッドバンプ、金メッキバンプ、銅メッキバンプ、無電解ニッケル/金バンプまたは無電解ニッケル/銅/金バンプであることができ、前記非はんだバンプ113が形成されていないウエハー100の上部は、絶縁物質によってパッシべーション層114が形成されていることが一般的である。
【0034】
図1(b)に図示されたように、非導電性混合溶液をスプレー、ドクターブレード、メニスカス、スピン・コーティング、スクリーン・プリンティング、ステンシル・プリンティング、または、コンマ・ロール・コーティング法などによって前記ウエハー100上の非はんだバンプ113が形成された面の上部を塗布する。前記のように非導電性混合溶液を塗布して非導電層115を形成し、このウエハーを70〜80℃で1〜4分間乾燥させることによって、非導電性混合溶液に含まれている有機溶媒を揮発させる。この乾燥工程を通じて前記のように塗布・形成された非導電層115は流動し易い未硬化状態(A-stage)を経た後、以後の工程において、常温下でその形態を維持しながら操作が可能な物性を有することになり、加熱するときは流動性を有する半硬化初期状態(B-stage)になる。この半硬化初期状態の意味は、硬化が始まる時点から硬化が終了する時点までの状態を示す半硬化状態の中においても、特定温度以上においてのみ、硬化反応を起す潜在性を失わない硬化の初期状態を意味する。
【0035】
このときの前記非導電層115の厚さは、前記ウエハー上に形成された非はんだバンプ113の厚さより厚くするか或は同一の厚さを有することが好ましい。このことは、図1(b)から分るように、前記非導電層115は非はんだバンプ113によって形成されるウエハー表面の凹凸を平坦化させる役割を有することになるからである。しかして前記非導電層115の厚さは、10〜100μmであることが好ましい。これは通常的な非はんだバンプ113に要する厚さと、フリップチップ接続のために必要な物理的接着力を得ることができ、さらにシャドー効果を最少化することのできる厚さを合わせた厚さである。
【0036】
次いで、非導電層115が形成された後、図1(c)に図示したように、導電性混合溶液をスプレー、ドクターブレード、メニスカス、スピン・コーティング、スクリーン・プリンティング、ステンシル・プリンティング、または、コンマ・ロール・コーティング法などによって、前記非導電層115の上部に塗布する。前記導電性混合溶液を塗布して異方性導電層116を形成し、このウエハーを70〜80℃で1〜4分間乾燥させることによって、導電性混合溶液に含まれている有機溶媒を揮発させる。この乾燥工程を通じて塗布・形成された異方性導電層116は流動し易い未硬化状態(A-stage)を経た後、以後の工程において、常温下でその形態を維持しながら操作が可能な物性を有することになり、加熱するときは流動性を有する半硬化初期状態(B-stage)になる。このとき、図1(c)で表す異方性導電層116内部の多数の白い斑点は前記導電性混合溶液に包含されている導電性粒子の存在を図示したものである。
【0037】
このときの前記異方性導電層116の厚さは、前記基板300上の電極310の厚さと、前記導電性粒子の中で、最大のサイズを有する粒子の直径を合わせた厚さ以上、すなわち、前記異方性導電層116の厚さは、前記基板上の電極310と前記半導体チップ200間の円滑な接続を可能にする最小限の厚さである。しかして前記異方性導電層の厚さは10〜100μmであることが好ましい。
【0038】
図1(c)から分るように、非導電層115と異方性導電層116とを積層することにより基板300の電極310間、基板300の電極310と半導体チップ200間および各半導体チップ200間の望まない電気的通電を防止する役割をなすと同時に、前記非導電層115によって非はんだバンプ113と基板上の電極310との間の空間が満たされることになり、接着と固定を行う。つまり、前記異方性導電層116の形成によって半導体チップ200と基板の電極310との間に効果的な電気的接続を行うことになる。かつ、前記非導電層115の形成によって半導体チップ200と基板の電極310を電気的に接続させるために必要とする導電性粒子の量が画期的に減少される効果もある。
【0039】
前記非導電層115および異方性導電層116が形成されたウエハー100は、ウエハーダイシングマシンでウエハーのスクライブラインに沿って図1(d)に図示するように個別の半導体チップ200(個別チップと略記することもある)にダイシングされる。前記ダイシングされた個別チップ200は、半硬化状態のACFまたはNCFが接着されている状態と同様であるため、1つのフリップチップパッケージとして使用することができる。次いで図1(e)に示すように前記個別チップ200を基板300の電極310と整列させた後、フリップチップボンダを使用して熱と圧力を加える通常的なラミネート工法を行ない、次いで前記非導電層115および異方性導電層116を硬化させる工程を経て前記個別チップ200と基板300が物理的・電気的に接続された図1(f)に示すフリップチップアセンブリーを得ることができる。このとき、前記非導電層及び前記異方性導電層は、100〜300℃下で1秒〜1分間に硬化を終える硬化特性を有している。
【0040】
上述のように、本発明の核心となる特徴は、ACFおよびNCF溶液(非導電性混合溶液および導電性混合溶液)をフィルム形態で塗布することができるように有機溶媒を含めて流動学的(rheological)特性を与えるとともにこれを調節することにある。また、非導電層と異方性導電層の2重層を非はんだバンプが形成されたウエハーに形成させることにより、非導電層によって非はんだバンプ間の空隔が満たされてウエハーの表面を平坦化する。次いで、前記2重層が形成されたウエハーをダイシングして個別チップを得て、前記個別チップを完成品としてフリップチップパッケージに使用することである。
【0041】
前記非導電性混合溶液または導電性混合溶液は、通常的に使用されるACFまたはNCFを構成する物質と有機溶媒を混合して製造することができるが、好ましくは、(a)工程における前記非導電性混合溶液は、絶縁高分子樹脂100重量部に対して硬化剤100〜400重量部および有機溶媒25〜300重量部が混合されたことが好ましく、前記(b)工程の前記導電性混合溶液は、絶縁高分子樹脂の100重量部に対して硬化剤100〜400重量部、有機溶媒50〜200重量部および導電性粒子10〜150重量部が混合されたことが好ましい。
【0042】
前記(a)工程における非導電性混合溶液の前記絶縁高分子樹脂または前記(b)工程における導電性混合溶液の前記絶縁高分子樹脂は、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ゴム、エポキシ樹脂、ポリイミッド樹脂、またはこれらの混合物であり、前記(a)工程における非導電性混合溶液の有機溶媒または前記(b)工程における導電性混合溶液の前記有機溶媒は、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、またはこれらの混合物であり、前記(a)工程における非導電性混合溶液の前記硬化剤または前記(b)工程における導電性混合溶液の前記硬化剤はイミダゾール系またはアミン系、またはこれらの混合物であり、前記(b)工程における導電性混合溶液の前記導電性粒子は、金、銀、ニッケル、金属がコーティングされたポリマー、導電性高分子、絶縁ポリマーがコーティングされている金属粒子、またはこれらの混合物である。
【0043】
前記有機溶媒の重量比は、ACFまたはNCFを構成する物質と類似する組成を含む前記非導電性混合溶液または前記導電性混合溶液を通常的に製造されるウエハーの表面にコーティングし、乾燥してフィルム形態で厚さを調節することができるよう最適化されている重量比であるが、流動学的(rheological)特性を決定する有機溶媒の重量比は、非はんだバンプの厚さか非はんだバンプの数のようにウエハー表面の不均一な程度によって調節されることが好ましい。
【0044】
(実施例1)
熱可塑性エポキシ樹脂溶液の製造
フェノキシ系のエポキシ(KUKDO CHEMICAL CO., LTD.、YP50)40g、MEK 20gおよびトルエン30gを混合して3日間常温ミリング(milling)を通じてエポキシ樹脂溶液を製造した。
【0045】
熱硬化性エポキシ樹脂溶液の製造
ビスフェノールAタイプのエポキシ(KUKDO CHEMICAL CO., LTD.、YD020L)40g、MEK 20gおよびトルエン20gを混合して3日間常温ミリングを通じて熱硬化性エポキシ樹脂溶液を製造した。
【0046】
非導電性混合溶液の製造
前記製造された熱可塑性エポキシ樹脂溶液25g、熱硬化性エポキシ樹脂溶液15g、ベンズイミダゾール(benzimidazole)系の潜在性硬化剤(Asahi Kasei chemical、HX3941HP)60gを混合して5分間常温スターリング(sterling)を通じて非導電性混合溶液を製造した。
【0047】
導電性混合溶液の製造
前記製造された熱可塑性エポキシ樹脂溶液25g、熱硬化性エポキシ樹脂溶液15g、ベンズイミダゾール系の潜在性硬化剤(Asahi Kasei chemical、HX3941HP)60g、ポリマービーズにニッケルがコーティングされた導電性粒子(Nippon Chemical、BRIGHT 24GNR3.8-HBM)10gを混合して15分間常温スターリングを通じて非導電性混合溶液を製造した。
【0048】
非はんだバンプが形成されたウエハー上部に非導電層を作製する
前記製造された非導電性混合溶液を自動塗工機(Automatic Control Coater)(CKAF-1006D、CK商社)を使用して常温で前記非はんだバンプが形成されたウエハーで40um gapに塗布し、80度で1分30秒乾燥して厚さ20umの非導電層を作製した。
【0049】
異方性導電層の作製(2重層の形成完了)
前記製造された非導電性混合溶液を自動塗工機(CKAF-1006D、CK商社)を使用して常温で前記非導電層が形成されたウエハーで50um gapに塗布し、80度で2分乾燥して厚さ30umの非導電層を作製した。
【0050】
個別チップの製造
2重層が形成されたウエハーをウエハーテープ上に固定させた後、ダイシング装備(DAD3350、DISCO)を使用してダイシング、個別チップに製造した。
【0051】
フリップチップ接続
FR4 plateにCu電極を形成、ENIG仕上げの処理が完了されている基板にフリップチップボンダ(Fineplacer-lambda, Finetech)で個別チップと整列した後、同じ装備で基板80度、個別チップ190度で40Nの圧力を30秒間加えてフリップチップアセンブリーを完成した。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1(a)】本発明の製造方法の実施形態の例に係るウエハーを示す平面図
【図1(b)】図1(a)のA−B線に沿う部分の非導電層が形成された状態を模式的に拡大して示す断面図
【図1(c)】図1(a)のA−B線に沿う部分の異方性導電層が形成された状態を模式的に拡大して示す断面図
【図1(d)】同実施形態におけるダイシングされた個別チップを模式的に拡大して示す断面図
【図1(e)】同実施形態におけるフリップチップ接続を模式的に拡大して示す断面図
【図1(f)】同実施形態における接続されたフリップチップアセンブリーを模式的に拡大して示す断面図
【符号の説明】
【0053】
100…ウエハー
110…ウエハー上のチップ
111…半導体物質
112…入・出力のパッド
113…非はんだバンプ
114…パッシべーション層(絶縁物質)
115…非導電層
116…異方性導電層
200…ダイシングされた個別の半導体チップ
300…基板
310…基板上の電極(電気的配線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)非はんだバンプが形成されたウエハーの上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤および有機溶媒を含む非導電性混合溶液を塗布・乾燥して非導電層を形成する工程と、
(b)前記非導電層の上部に絶縁高分子樹脂、硬化剤、有機溶媒および導電性粒子を包含する導電性混合溶液を塗布・乾燥して異方性導電層を形成する工程と、
(c)前記非導電層および異方性導電層が形成されたウエハーをダイシングして個別の半導体チップを製造する工程と、
(d)前記半導体チップを基板の電極と整列してフリップチップ接続する工程とを含むフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項2】
前記(a)工程における前記非導電層の厚さを、前記ウエハー上に形成された非はんだバンプの厚さより厚いか同一に形成して、前記非導電層によってウエハーが平坦化されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項3】
前記非導電層の厚さが、10〜100μmとなるようにした請求項2に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項4】
前記(b)工程における前記異方性導電層の厚さが、前記基板上の電極の厚さと前記導電性粒子の中で、最大のサイズを有する粒子の直径とを加えた厚さ以上となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項5】
前記異方性導電層の厚さが、10〜100μmとなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項6】
前記(a)工程及び(b)工程の少なくとも一方における前記絶縁高分子樹脂は、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ゴム、エポキシ樹脂及びポリイミッド樹脂でなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項7】
前記(a)工程及び(b)工程の少なくとも一方における前記有機溶媒は、トルエン、メチルエチルケトン(methylethylketone)、アセトン、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)、及びシクロヘキサンでなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項8】
前記(b)工程における前記導電性粒子は、金、銀、ニッケル、金属がコーティングされたポリマー、導電性高分子及び絶縁ポリマーがコーティングされている金属粒子でなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項9】
前記(a)工程における前記非導電性混合溶液は、絶縁高分子樹脂100重量部に対して硬化剤100〜400重量部および有機溶媒25〜300重量部が混合されたことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項10】
前記(b)工程における前記導電性混合溶液は、絶縁高分子樹脂の100重量部に対して硬化剤100〜400重量部、有機溶媒50〜200重量部および導電性粒子10〜150重量部が混合されたことを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項11】
前記(a)工程及び(b)工程の少なくとも一方における前記乾燥は、70〜80℃で乾燥して、有機溶媒を揮発させ、前記非導電層および前記異方性導電層を半硬化の初期状態に作製することを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項12】
前記(a)工程における前記非導電層及び(b)工程における前記異方性導電層の少なくとも一方は100〜300℃で1秒〜1分間に硬化されることを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項13】
前記(a)工程及び(b)工程の少なくとも一方における前記塗布は、スプレー、ドクターブレード、メニスカス、スピン・コーティング、スクリーン・プリンティング、ステンシル・プリンティング及びコンマ・ロール・コーティング法から選択される方法によって行われることを特徴とする請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図1(e)】
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【図1(f)】
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【公開番号】特開2009−27173(P2009−27173A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189520(P2008−189520)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】