説明

フリップフロップ回路

【課題】無駄な消費電力を抑制すると共に、故障検出率の低下を防ぐことが可能なフリップフロップ回路を提供する。
【解決手段】Dフリップフロップ12は、データ信号が入力されるデータ入力端子D、クロック信号が入力されるクロック入力端子CK、リセット信号RST_Nが入力されるリセット入力端子RN、クロック信号に同期してデータ入力端子Dに入力されたデータ信号をラッチして出力データ信号OUTとして出力する出力端子Q、出力端子Qから出力される出力データ信号OUTを反転した反転出力データ信号を出力する反転出力端子QNを備え、反転出力端子QNはデータ入力端子Dと接続されている。クロック信号出力部14は、XNOR回路16及びOR回路18を含み、データ信号INに変化があった場合にのみ、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、クロック信号CLKをDフリップフロップ12のクロック入力端子CKに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップフロップ回路に係り、特に、Dフリップフロップを含む低消費電力型のフリップフロップ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、Dフリップフロップは、データを保持する回路として使用され、入力信号を1クロック分遅延させたい場合には、図11に示すような構成のDフリップフロップ100が用いられる。また、図11に示すようなDフリップフロップ100の内部は、例えば図12に示すような回路により構成される。
【0003】
図12に示すような回路では、入力されるデータ信号の変化の有無に拘わらず、クロック信号の入力によってインバータ102、104が動作する構成となっているため、電力を無駄に消費してしまう、という問題があった。
【0004】
特許文献1には、フリップフロップをラッチ回路へ適用した回路として、図13に示すような低消費電力型記憶回路106が開示されている。図13に示す低消費電力型記憶回路106では、データ信号に変化があった場合にのみクロック信号がフリップフロップ回路108に入力されるように、排他的論理和回路110及び論理積回路112を備えている。
【0005】
また、特許文献2には、図11に示すDフリップフロップ100を用いて、図13に示す回路と同様に低消費電力型にしたフリップフロップ回路が開示されている。このような回路の一例として、図14にフリップフロップ回路120を示した。
【特許文献1】特開平10−290143号公報
【特許文献2】特開平11−224136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図14に示すフリップフロップ回路120では、XNOR回路122及びOR回路124により、IN端子に入力されたデータ信号に変化があったときにのみDフリップフロップのクロック入力端子CKにクロック信号CLKが入力される構成になっていることから、データ信号が変化しない場合に無駄な消費電力を抑制することはできるものの、例えば何らかの原因によってXNOR回路122の出力信号Aがローレベルに固定されるような故障が生じた場合、Dフリップフロップ100のクロック入力端子CKにはクロック信号CLKが常に入力される状態となってしまう。このため、Dフリップフロップ126は、図11に示すDフリップフロップ100と同様の通常動作となり、故障前後におけるDフリップフロップ126の出力端子Qからの出力データ信号OUTに変化が生じず、故障を検出できない、という問題があった。
【0007】
また、スキャンテストを可能にするための回路をフリップフロップ回路120に挿入してスキャンテストを実行したとしても上記の故障を検出することができず、故障検出率が低下してしまう、という問題もあった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、無駄な消費電力を抑制すると共に、故障検出率の低下を防ぐことが可能なフリップフロップ回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、データ信号及びクロック信号が入力され、前記データ信号に変化があった場合に、前記クロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに同期して、前記クロック信号を出力するクロック信号出力手段と、データ入力端子と、前記クロック信号出力手段から出力されたクロック信号が入力されるクロック入力端子と、前記クロック入力端子に入力されたクロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに同期して、前記データ入力端子に入力された入力信号をラッチして出力する出力端子と、前記出力端子から出力される出力データ信号を反転した反転出力データ信号を出力する反転出力端子と、を備え、且つ、前記反転出力端子が前記データ入力端子に接続されたDフリップフロップと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、クロック信号出力手段は、データ信号に変化があった場合に、クロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに同期して、クロック信号をDフリップフロップに出力するので、常にクロック信号がDフリップフロップに入力される場合と比較して、無駄な消費電力を抑えることができる。
【0011】
また、Dフリップフロップの反転出力端子がデータ入力端子に接続された構成としているため、クロック信号出力手段の故障等により、例えばクロック信号が常にDフリップフロップのクロック入力端子に入力されるようになってしまった場合には、出力端子から出力される出力データ信号がハイレベル及びローレベルを繰り返す異常状態となるため、故障を検出することができる。従って、故障検出率の低下を抑えることができる。
【0012】
なお、請求項2に記載したように、前記出力端子は、前記クロック入力端子に入力されたクロック信号の立ち上がりに同期して、前記データ入力端子に入力された入力信号をラッチして出力し、前記クロック信号出力手段は、前記出力データ信号と前記データ信号との排他的論理和の否定であるXNOR信号を出力するXNOR回路と、前記XNOR信号と前記クロック信号との論理和であるOR信号を出力するOR回路と、を含む構成とすることができる。
【0013】
この場合、請求項3に記載したように、スキャンテストの実行を許可するか否かを示すスキャンイネーブル信号と、スキャンテスト用のスキャンデータ信号と、前記反転出力データ信号と、が入力され、前記スキャンイネーブル信号に応じて、前記スキャンデータ信号及び前記反転出力データ信号の何れかを選択して前記データ入力端子に出力する選択手段と、前記スキャンイネーブル信号を反転した信号と前記XNOR信号との論理積であるAND信号を出力するAND回路と、をさらに備えた構成とすることができる。
【0014】
これにより、例えばXNOR回路の出力が故障によりローレベルに固定されてしまったような場合でも、スキャンテストを実行して出力データ信号をモニタすることにより、故障を容易に検出することができる。
【0015】
また、請求項4に記載したように、前記出力端子は、前記クロック入力端子に入力されたクロック信号の立ち下がりに同期して、前記データ入力端子に入力された入力信号をラッチして出力し、前記クロック信号出力手段は、前記出力データ信号と前記データ信号との排他的論理和であるXOR信号を出力するXOR回路と、前記XOR信号と前記クロック信号との論理積であるAND信号を出力するAND回路と、を含む構成としてもよい。
【0016】
この場合、請求項5に記載したように、スキャンテストの実行を許可するか否かを示すスキャンイネーブル信号と、スキャンテスト用のスキャンデータ信号と、前記反転出力データ信号と、が入力され、前記スキャンイネーブル信号に応じて、前記スキャンデータ信号及び前記反転出力データ信号の何れかを選択して前記データ入力端子に出力する選択手段と、前記スキャンイネーブル信号と前記XOR信号との論理和であるOR信号を出力するOR回路と、をさらに備えた構成としてもよい。
【0017】
これにより、例えばXNOR回路の出力が故障によりハイレベルに固定されてしまったような場合でも、スキャンテストを実行して出力データ信号をモニタすることにより、故障を容易に検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無駄な消費電力を抑制すると共に、故障検出率の低下を防ぐことが可能になる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
(第1実施形態)
【0021】
図1には、本発明の第1実施形態に係るフリップフロップ回路10を示した。以下、フリップフロップ回路10の回路構成について説明する。
【0022】
フリップフロップ回路10は、Dフリップフロップ12及びクロック信号出力部14を含んで構成されている。
【0023】
Dフリップフロップ12は、データ信号が入力されるデータ入力端子D、クロック信号が入力されるクロック入力端子CK、リセット信号RST_Nが入力されるリセット入力端子RN、クロック信号の立ち上がりに同期してデータ入力端子Dに入力されたデータ信号をラッチして出力データ信号OUTとして出力する出力端子Q、出力端子Qから出力される出力データ信号OUTを反転した反転出力データ信号を出力する反転出力端子QNを備えている。
【0024】
クロック信号出力部14は、XNOR回路16及びOR回路18を含んで構成されている。
【0025】
XNOR回路16の一方の入力端子には、データ信号INが入力され、他方の入力端子には、Dフリップフロップ12のデータ出力端子Qから出力された出力データ信号が入力される。そして、XNOR回路16は、データ信号INと出力データ信号との排他的論理和を否定した否定信号Aを出力する。
【0026】
OR回路18の一方の入力端子には、否定信号Aが入力され、他方の入力端子には、クロック信号CLKが入力される。そして、OR回路18は、否定信号Aとクロック信号CLKとの論理和であるクロック信号BをDフリップフロップ12のクロック入力端子CKに出力する。
【0027】
このような構成のクロック信号出力部14は、データ信号INに変化があった場合にのみ、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、クロック信号CLKを出力する。
【0028】
Dフリップフロップ12の出力端子Qは、例えばフリップフロップ回路10と同様の図示しない後段のフリップフロップ回路に出力される。このようなフリップフロップ回路10が複数段接続されることにより、シフトレジスタを構成することができる。
【0029】
次に、本実施形態の作用として、フリップフロップ回路10の動作を図2に示したタイミングチャートを参照して説明する。
【0030】
まず、図2に示すように、リセット信号RSN_Nがローレベル(以下、“L”)になると、Dフリップフロップ12は非同期に初期化され、出力データ信号OUTは“L”になる。また、データ信号INが初期化されて“L”になると、XNOR回路16から出力される否定信号Aはハイレベル(以下、“H”)になる。また、OR回路18から出力されるOR信号も“H”になる。
【0031】
そして、図2に示すようにデータ信号INが“L”から“H”に変化すると、否定信号Aは“L”に変化し、OR回路18から出力されるクロック信号Bはクロック信号CLKの立ち下がりに同期して“L”に変化し、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して“H”に変化する。すなわち、データ信号INの変化後、否定信号Aが“L”の期間においてのみ、クロック信号BがDフリップフロップ12のクロック入力端子CKに入力される。
【0032】
このように、データ信号INが変化した場合にのみクロック信号がDフリップフロップ12のクロック入力端子CKに入力されるので、無駄な消費電力を抑えることができる。
【0033】
そして、クロック信号Bが“H”になると、Dフリップフロップ12のデータ入力端子Dに入力されるデータ信号、すなわち反転出力端子QNから出力される反転出力データ信号である“H”がラッチされ、Dフリップフロップ12の出力端子Qから出力される出力データ信号OUTが“H”となる。
【0034】
また、データ信号INが“L”に変化すると、否定信号Aは“L”に変化する。そして、クロック信号Bは、クロック信号CLKの立ち下がりで“L”に変化し、クロック信号CLKの立ち上がりで“H”に変化する。すなわち、データ信号INの変化後、否定信号Aが“L”の期間においてのみ、クロック信号BがDフリップフロップ12のクロック入力端子CKに入力される。
【0035】
そして、クロック信号Bが“H”になると、Dフリップフロップ12のデータ入力端子Dに入力されるデータ信号、すなわち反転出力端子QNから出力される反転出力データ信号である“L”がラッチされ、Dフリップフロップ12の出力端子Qから出力される出力データ信号OUTが“L”となる。
【0036】
このように、通常は、フリップフロップ回路10は、図14に示す従来例に係るフリップフロップ回路120と同様に動作する。
【0037】
図3には、フリップフロップ回路120のタイミングチャートを示した。図14に示すように、フリップフロップ回路120では、データ信号INがそのままDフリップフロップ12のデータ入力端子Dに入力されるので、図3に示すタイミングチャートと図2に示すタイミングチャートとでは、データ入力端子Dに入力される信号のみが異なっており、その他は同一である。
【0038】
次に、何らかの原因による故障によりXNOR回路16の出力が“L”に固定されてしまった場合について図4に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0039】
このような場合、図4に示すように、XNOR回路16の出力信号である否定信号Aが“L”固定となるので、OR回路18の出力信号は、入力されたクロック信号CLKがそのままクロック信号Bとして出力されることとなる。
【0040】
これにより、出力データ信号OUTは、クロック信号Bの立ち上がりに同期して“H”から“L”、“L”から“H”にトグルする。すなわち、故障等によりXNOR回路16の出力信号が“L”に固定されてしまうと、出力データ信号OUTが正常動作時と異なる信号に変化してしまうため、異常を検出することができる。
【0041】
これに対し、図14に示す従来例に係るフリップフロップ回路120のタイミングチャートを図5に示した。
【0042】
図5に示すように、フリップフロップ回路120において、故障等によりXNOR回路122の出力信号が“L”に固定されても、出力データ信号OUTは、図3に示す正常動作時と同様の信号となる。これは、図14に示すように、データ信号INがDフリップフロップ12のデータ入力端子Dに直接入力される構成となっているためである。
【0043】
このように、本実施形態では、Dフリップフロップ12のクロック入力端子CKには、必要な場合にのみ、すなわちデータ信号INが変化した場合にのみクロック信号が入力されるため、無駄な電力の消費を抑えることができると共に、XNOR回路16の出力信号が異常になった場合には、出力データ信号OUTが正常動作時と異なる信号に変化するため、異常を容易に検出することができる。
【0044】
(第2実施形態)
【0045】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、図1のフリップフロップ回路10に対して、スキャンテストを可能にしたフリップフロップ回路について説明する。なお、図1のフリップフロップ回路10と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図6には、本実施形態に係るフリップフロップ回路20の回路図を示した。同図に示すように、フリップフロップ回路20は、図1のフリップフロップ回路10に対して、AND回路22及びマルチプレクサ24が追加されており、スキャンイネーブル信号SCAN_EN及びスキャンデータ信号SCAN_INが入力される構成である。
【0047】
AND回路22の一方の入力端子には、スキャンイネーブル信号SCAN_ENを反転した反転信号が入力される。また、AND回路22の他方の入力端子には、XNOR回路16の出力信号が入力される。AND回路22は、スキャンイネーブル信号SCAN_ENの反転信号とXNOR回路16の出力信号との論理積であるAND信号をOR回路18に出力する。
【0048】
マルチプレクサ24の一方の入力端子には、スキャンデータ信号SCAN_INが入力され、他方の入力端子には、Dフリップフロップ12の反転出力端子QNから出力された反転出力データ信号が入力される。また、マルチプレクサ24のセレクト信号入力端子には、スキャンイネーブル信号SCAN_ENが入力される。
【0049】
スキャンイネーブル信号SCAN_ENは、スキャンテストを実行する際に“H”になり、通常動作時は、“L”になる。
【0050】
また、マルチプレクサ24は、セレクト信号入力端子に入力されるスキャンイネーブル信号SCAN_ENが“H”の場合、すなわちスキャンテスト時には、スキャンデータ信号SCAN_INをDフリップフロップ12のデータ入力端子Dに出力し、スキャンイネーブル信号SCAN_ENが“L”の場合、すなわち、通常動作時には、反転出力端子QNから出力された反転出力データ信号をDフリップフロップ12のデータ入力端子Dに出力する。
【0051】
従って、通常動作時は、XNOR回路16の出力信号がそのままOR回路18の一方の入力端子に出力されると共に、Dフリップフロップ12のデータ入力端子Dには、反転出力端子QNから出力された反転出力データ信号が入力されるので、図1のフリップフロップ回路10と同様の動作となる。
【0052】
一方、スキャンテスト時には、AND回路22の出力信号は“L”となるので、OR回路18は、入力されたクロック信号CLKをそのままDフリップフロップ12のデータ入力端子Dに出力する。これにより、クロック入力端子CLKの立ち上がりに同期してスキャンデータ信号SCAN_INがラッチされ、出力端子Qから出力データ信号OUTとして出力され、後段の図示しないフリップフロップ回路20に出力される。
【0053】
このようなフリップフロップ回路20を複数段接続して構成したシフトレジスタにおいて、故障を検出したい場合は、スキャンイネーブル信号SCAN_ENを一旦“L”にして通常動作させる。このとき、故障等により何れかXNOR回路16の出力が“L”に固定されたままの場合、図4に示すように、出力データ信号OUTが“L”、“H”が繰り返される。これが後段のフリップフロップ回路に出力される。その後スキャンイネーブル信号SCAN_ENを“H”にしてスキャンテストモードにすると、“L”、“H”が繰り返された出力データ信号OUTが順次後段のフリップフロップ回路に出力されるので、最終段のフリップフロップ回路の出力信号が外部端子に出力される構成にしておけば、この外部端子に出力される信号をモニタすることにより故障を検出することができる。
【0054】
(第3実施形態)
【0055】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1、2実施形態では、Dフリップフロップが、クロック入力端子CKに入力されるクロック信号の立ち上がりに同期してデータ入力端子Dに入力されたデータ信号をラッチして出力データ信号OUTとして出力する立ち上がりエッジ型のフリップフロップ回路について説明したが、本実施形態では、Dフリップフロップが、クロック入力端子CKNに入力されるクロック信号の立ち下がりに同期してデータ入力端子Dに入力されたデータ信号をラッチして出力データ信号OUTとして出力する立ち下がりエッジ型のフリップフロップ回路について説明する。
【0056】
図7には、立ち下がりエッジ型のフリップフロップ回路30の回路図を示した。図7に示すフリップフロップ回路30と図1に示すフリップフロップ回路10と異なる点は、Dフリップフロップ32が立ち下がりエッジ型のDフリップフロップであると共に、クロック信号出力部34がXOR回路36及びAND回路38により構成されており、AND回路38の一方の入力端子には、XOR回路36の出力信号を反転した信号が入力される点である。
【0057】
次に、本実施形態の作用として、フリップフロップ回路30の動作を図8に示したタイミングチャートを参照して説明する。
【0058】
まず、図8に示すように、リセット信号RSN_Nがローレベル(以下、“L”)になると、Dフリップフロップ32は非同期に初期化され、出力データ信号OUTは“L”になる。また、データ信号INが初期化されて“L”になると、XOR回路36から出力される信号Aは“L”)になる。また、AND回路38から出力されるAND信号も“L”になる。
【0059】
そして、図8に示すようにデータ信号INが“L”から“H”に変化すると、信号Aは“H”に変化し、AND回路38から出力されるクロック信号Bはクロック信号CLKの立ち下がりに同期して“H”に変化し、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して“L”に変化する。すなわち、データ信号INの変化後、信号Aが“H”の期間においてのみ、クロック信号BがDフリップフロップ32のクロック入力端子CKNに入力される。
【0060】
このように、データ信号INが変化した場合にのみクロック信号がDフリップフロップ32のクロック入力端子CKNに入力されるので、無駄な消費電力を抑えることができる。
【0061】
そして、クロック信号Bが“L”になると、Dフリップフロップ32のデータ入力端子Dに入力されるデータ信号、すなわち反転出力端子QNから出力される反転出力データ信号である“H”がラッチされ、Dフリップフロップ32の出力端子Qから出力される出力データ信号OUTが“H”となる。
【0062】
また、データ信号INが“L”に変化すると、信号Aは“H”に変化する。そして、クロック信号Bは、クロック信号CLKの立ち下がりで“H”に変化し、クロック信号CLKの立ち上がりで“L”に変化する。すなわち、データ信号INの変化後、信号Aが“H”の期間においてのみ、クロック信号BがDフリップフロップ32のクロック入力端子CKNに入力される。
【0063】
そして、クロック信号Bが“L”になると、Dフリップフロップ32のデータ入力端子Dに入力されるデータ信号、すなわち反転出力端子QNから出力される反転出力データ信号である“L”がラッチされ、Dフリップフロップ32の出力端子Qから出力される出力データ信号OUTが“L”となる。
【0064】
次に、何らかの原因による故障によりXOR回路36の出力が“H”に固定されてしまった場合について図9に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0065】
このような場合、図9に示すように、XOR回路36の出力信号である信号Aが“H”固定となるので、AND回路38の出力信号は、入力されたクロック信号CLKがそのままクロック信号Bとして出力されることとなる。
【0066】
これにより、出力データ信号OUTは、クロック信号Bの立ち下がりに同期して“L”から“H”、“H”から“L”にトグルする。すなわち、故障等によりXOR回路36の出力信号が“H”に固定されてしまうと、出力データ信号OUTが正常動作時と異なる信号に変化してしまうため、異常を検出することができる。
【0067】
(第4実施形態)
【0068】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第4実施形態では、図7のフリップフロップ回路30に対して、スキャンテストを可能にしたフリップフロップ回路について説明する。なお、図7のフリップフロップ回路30と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0069】
図10には、本実施形態に係るフリップフロップ回路40の回路図を示した。同図に示すように、フリップフロップ回路40は、図7のフリップフロップ回路30に対して、OR回路42及びマルチプレクサ44が追加されており、スキャンイネーブル信号SCAN_EN及びスキャンデータ信号SCAN_INが入力される構成である。
【0070】
OR回路42の一方の入力端子には、スキャンイネーブル信号SCAN_ENが入力される。また、OR回路42の他方の入力端子には、XOR回路36の出力信号が入力される。OR回路42は、スキャンイネーブル信号SCAN_ENとXOR回路36の出力信号との論理積であるAND信号をAND回路38に出力する。
【0071】
マルチプレクサ44の一方の入力端子には、スキャンデータ信号SCAN_INが入力され、他方の入力端子には、Dフリップフロップ32の反転出力端子QNから出力された反転出力データ信号が入力される。また、マルチプレクサ44のセレクト信号入力端子には、スキャンイネーブル信号SCAN_ENが入力される。
【0072】
スキャンイネーブル信号SCAN_ENは、スキャンテストを実行する際に“H”になり、通常動作時は、“L”になる。
【0073】
また、マルチプレクサ44は、セレクト信号入力端子に入力されるスキャンイネーブル信号SCAN_ENが“H”の場合、すなわちスキャンテスト時には、スキャンデータ信号SCAN_INをDフリップフロップ32のデータ入力端子Dに出力し、スキャンイネーブル信号SCAN_ENが“L”の場合、すなわち、通常動作時には、反転出力端子QNから出力された反転出力データ信号をDフリップフロップ32のデータ入力端子Dに出力する。
【0074】
従って、通常動作時は、XOR回路36の出力信号がそのままAND回路38の一方の入力端子に出力されると共に、Dフリップフロップ32のデータ入力端子Dには、反転出力端子QNから出力された反転出力データ信号が入力されるので、図7のフリップフロップ回路30と同様の動作となる。
【0075】
一方、スキャンテスト時には、OR回路42の出力信号は“H”となるので、AND回路38は、入力されたクロック信号CLKをそのままDフリップフロップ32のデータ入力端子Dに出力する。これにより、クロック入力端子CLKの立ち下がりに同期してスキャンデータ信号SCAN_INがラッチされ、出力端子Qから出力データ信号OUTとして出力され、後段の図示しないフリップフロップ回路に出力される。
【0076】
このようなフリップフロップ回路40を複数段接続して構成したシフトレジスタにおいて、故障を検出したい場合は、スキャンイネーブル信号SCAN_ENを一旦“L”にして通常動作させる。このとき、故障等により何れかXOR回路36の出力が“H”に固定されたままの場合、図9に示すように、出力データ信号OUTが“L”、“H”が繰り返される。これが後段のフリップフロップ回路に出力される。その後スキャンイネーブル信号SCAN_ENを“H”にしてスキャンテストモードにすると、“L”、“H”が繰り返された出力データ信号OUTが順次後段のフリップフロップ回路に出力されるので、最終段のフリップフロップ回路の出力信号が外部端子に出力される構成にしておけば、この外部端子に出力される信号をモニタすることにより故障を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1実施形態に係るフリップフロップ回路の回路図である。
【図2】第1施形態に係るフリップフロップ回路のタイミングチャートを示す図である。
【図3】従来例に係るフリップフロップ回路のタイミングチャートを示す図である。
【図4】第1実施形態に係るフリップフロップ回路が故障した場合のタイミングチャートを示す図である。
【図5】従来例に係るフリップフロップ回路が故障した場合のタイミングチャートを示す図である。
【図6】第2実施形態に係るフリップフロップ回路の回路図である。
【図7】第3実施形態に係るフリップフロップ回路の回路図である。
【図8】第3実施形態に係るフリップフロップ回路のタイミングチャートを示す図である。
【図9】第3実施形態に係るフリップフロップ回路が故障した場合のタイミングチャートを示す図である。
【図10】第4実施形態に係るフリップフロップ回路の回路図である。
【図11】従来例に係るDフリップフロップを示す図である。
【図12】従来例に係るDフリップフロップの内部回路の回路図である。
【図13】従来例に係る低消費電力型記憶回路の回路図である。
【図14】従来例に係る低消費電力型のフリップフロップ回路の回路図である。
【符号の説明】
【0078】
10 フリップフロップ回路
12 フリップフロップ
14 クロック信号出力部
16 XNOR回路
18 OR回路
20 フリップフロップ回路
22 AND回路
24 マルチプレクサ
30 フリップフロップ回路
32 フリップフロップ
34 クロック信号出力部
36 XOR回路
38 AND回路
40 フリップフロップ回路
42 OR回路
44 マルチプレクサ
100 フリップフロップ
102 インバータ
106 低消費電力型記憶回路
108 フリップフロップ回路
110 排他的論理和回路
112 論理積回路
120 フリップフロップ回路
122 XNOR回路
124 OR回路
126 フリップフロップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号及びクロック信号が入力され、前記データ信号に変化があった場合に、前記クロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに同期して、前記クロック信号を出力するクロック信号出力手段と、
データ入力端子と、前記クロック信号出力手段から出力されたクロック信号が入力されるクロック入力端子と、前記クロック入力端子に入力されたクロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに同期して、前記データ入力端子に入力された入力信号をラッチして出力する出力端子と、前記出力端子から出力される出力データ信号を反転した反転出力データ信号を出力する反転出力端子と、を備え、且つ、前記反転出力端子が前記データ入力端子に接続されたDフリップフロップと、
を備えたフリップフロップ回路。
【請求項2】
前記出力端子は、前記クロック入力端子に入力されたクロック信号の立ち上がりに同期して、前記データ入力端子に入力された入力信号をラッチして出力し、
前記クロック信号出力手段は、前記出力データ信号と前記データ信号との排他的論理和の否定であるXNOR信号を出力するXNOR回路と、前記XNOR信号と前記クロック信号との論理和であるOR信号を出力するOR回路と、
を含む請求項1記載のフリップフロップ回路。
【請求項3】
スキャンテストの実行を許可するか否かを示すスキャンイネーブル信号と、スキャンテスト用のスキャンデータ信号と、前記反転出力データ信号と、が入力され、前記スキャンイネーブル信号に応じて、前記スキャンデータ信号及び前記反転出力データ信号の何れかを選択して前記データ入力端子に出力する選択手段と、
前記スキャンイネーブル信号を反転した信号と前記XNOR信号との論理積であるAND信号を出力するAND回路と、
をさらに備えた請求項2記載のフリップフロップ回路。
【請求項4】
前記出力端子は、前記クロック入力端子に入力されたクロック信号の立ち下がりに同期して、前記データ入力端子に入力された入力信号をラッチして出力し、
前記クロック信号出力手段は、前記出力データ信号と前記データ信号との排他的論理和であるXOR信号を出力するXOR回路と、前記XOR信号と前記クロック信号との論理積であるAND信号を出力するAND回路と、
を含む請求項1記載のフリップフロップ回路。
【請求項5】
スキャンテストの実行を許可するか否かを示すスキャンイネーブル信号と、スキャンテスト用のスキャンデータ信号と、前記反転出力データ信号と、が入力され、前記スキャンイネーブル信号に応じて、前記スキャンデータ信号及び前記反転出力データ信号の何れかを選択して前記データ入力端子に出力する選択手段と、
前記スキャンイネーブル信号と前記XOR信号との論理和であるOR信号を出力するOR回路と、
をさらに備えた請求項4記載のフリップフロップ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−45499(P2010−45499A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206882(P2008−206882)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【出願人】(591049893)株式会社 沖マイクロデザイン (127)
【Fターム(参考)】