フリーフロー防止弁機構を伴う輸液ポンプカセット
患者への流体搬送用の輸液ポンプに挿入可能なカセット(1)は、流体を方向付ける可撓性の管(75)を保持するための2つの端部を伴う筐体を有する。筐体は、管を露出させる開放領域を有し、輸液ポンプに係合されるときにポンピング機構に係合する。管またはカセットに係合され、筐体の内部または付近に存在するフロー防止弁機構(100)は、ピストン(103/105)およびばね(110)から作られ、ばねは、ピストンを管に対して付勢して流れを阻止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、輸液ラインの管を通じた溶液の腸内投与中または経口投与中にフリーフローを防止するための装置および方法に関する。より詳しくは、本発明は、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合可能なデバイスに関する。デバイスは、デバイスが輸液ポンプに係合されると管に流体が流れるようにし、ポンプから取り外されるとフロー防止弁が管を閉塞して管を通る溶液の望ましくないフリーフローを防止するようなフロー防止弁機構を含む。
【背景技術】
【0002】
[0002] 患者に溶液を投与するための輸液セットの利用は、医療分野で周知である。輸液セットは、腸内用途と経口用途の両方に利用される。経腸栄養ポンプは、患者が様々な理由により食物を普通に摂取できないときに栄養および薬物を患者に供給するために利用される。経口(点滴)溶液は、十分な水分補給を確実にするとともに、必要な栄養、ミネラル、および薬物を供給するために患者に供給される。しばしば、輸液セットは、重力により溶液を患者に送り込む自立配置に置かれる。これを防止するために、管は、望ましくないときに流れを防止するために、しばしばクランプされ、さもなければブロックされる。
【0003】
[0003] 多くの医療用途では、流体は、うまく調節されて患者に投与されなければならない。このような状況では、重力により患者に流体を搬送する自立輸液配置は、受け入れられない。その代わりに、流体は、輸液ポンプを用いて投与される。輸液ポンプは、貯蔵器から患者への流体の搬送量および搬送速度を調節するために用いられる。一般に、貯蔵器に接続された管は、輸液ポンプを通過して患者の静脈内に挿入される。貯蔵器からの管が輸液ポンプ内にある間は、流体のフリーフローは、管を閉塞するポンプ機構のローラーの圧力により制限されるが、管がポンプから取り外されるときに、この圧力が解放され流れが重力により再開することがある。この欠点を伴うデバイスは、フロー調節機構を有していない。このような流体のフリーフローを防止するために、従来技術には、管がポンプに挿入されないときに管を閉塞する複数の手段が開示されている。これらのデバイスは、手動で作動されるクランプ、または自動フロー調節機構の形態を取るカセットでありうる。
【0004】
[0004] 適切な作動のために、クランプされ、さもなければブロックされた管は、管に流体が流れるように操作されなければならない。しかし、緊急または他の失念のために、医療スタッフが栄養ポンプに対して輸液セットを適切に脱着できないことはよくある。輸液セットがポンプに適切に装着されず、または不適切に取り外されて流体が流れるように管が開放されると、溶液のフリーフローがしばしば発生し、望ましい用量の数倍の溶液が比較的短い期間に患者に供給されうる。これは、溶液が効き目の強い薬物を含んでいたり、患者の身体が溶液の大量流入に順応するのに十分なほど肉体的に強靭でなかったりする場合、特に危険でありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] フリーフロー状態を防止しようと試みて大量のデバイスが開発されている。このようなデバイスは、しかし、一般的に輸液セットの全体コストを著しく増加させ、フリーフローをわずかにしか防止しない。さらに、これらデバイスの一部は複雑であり、医療スタッフによる適切な作動を困難にする。
【0006】
[0006] このようなシステムを簡素化する一つの試みは、カセットがポンプに挿入されるときに、管に流体が流れるようにのみ作動可能な輸液カセットの利用である。Hyman等の米国特許第5904668号明細書およびGray等の米国特許第6165154号明細書に開示されるような種類のカセットデバイスは、複雑になり易く、輸液ポンプのドア、ハンドル等の閉鎖または移動など、追加の関連機構の作動を完全に機能させることを要求され易い。
【0007】
[0007] よって、複雑さをほとんど必要とせず、患者への流体搬送を迅速かつ簡便に調節するように容易に利用される、従来技術よりも向上した性能を提供する輸液ポンプおよびカセットが必要とされている。本発明は、この必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 本発明の一実施形態は、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに関する。このカセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体であり、管が管を通る流体を流動させる輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される筐体と、管、筐体、またはカセットに係合されて筐体またはカセットの内部または付近に存在するフロー防止弁機構とを有する。フロー防止弁機構は、カセットおよびフロー防止弁機構と連動して流体非搬送位置で管に対して付勢されて管を通る流れを阻止する部材を含み、この部材は、筐体がポンプに係合されるときに力付与部材の付勢を克服して管に流体が流れるようにする。フロー防止弁機構は、管、カセットもしくは筐体に係合され、またはカセットもしくは筐体の内部もしくは付近に配置される。フロー防止弁機構は、可動部材および力付与部材を有することが好ましく、流体非搬送位置にある力付与部材は、管に対して可動部材を付勢して管を通る流れを阻止する。カセットは、カセット筐体およびフロー防止弁機構と連動するタブ部材も含み、流体非搬送位置と、管に流体が流れるようにするために力付与部材の付勢が解除される流体搬送位置との間で可動である。タブ部材は、力付与部材の付勢を克服するためにカセットおよびフロー防止弁機構と連動する。筐体は、専用の輸液ポンプに係合するように構成され寸法付けられ、タブ部材は、係合中または係合後にポンプにより流体搬送位置に移動されて管に流体が流れるようにし、カセットがポンプから取り外される前または取り外されると解放され、力付与部材が流体非搬送位置に復帰して管を通る流れを阻止する。
【0009】
[0009] このカセットでは、タブ部材は、流体非搬送位置と流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が力付与部材の付勢を変化させるように、カセットが輸液ポンプに係合すると可動部材を流体搬送位置に移動させて管に流体が流れるようにすることができ、カセットがポンプから取り外されると解放され、可動部材が流体非搬送位置に復帰して管を通る流れを阻止する。あるいは、タブ部材は、カセットが輸液ポンプに係合した後に可動部材を流体搬送位置に移動させて管に流体が流れるようにすることができ、カセットがポンプから取り外される前に解放される。
【0010】
[0010] カセットの筐体は、略矩形であり、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、ポンプのポンピング機構に係合されるときに管の長尺部(length of tubing)が剛性湾曲壁とポンピング機構との間に接触して正確に配置されるように、管の長尺部が初期にカセットの端部同士の間かつ筐体の湾曲壁の正面に一直線状に保持されることが好ましい。
【0011】
[0011] フロー防止弁機構の力付与部材は、圧縮ばねを含み、フロー防止弁機構の可動部材は、締付ヘッドを有し、締付ヘッドは、力付与部材に接触する相対的に広い横断面と、管に接触して管に対する力付与部材の力を集中させる相対的に狭い横断面とを有することが有利である。また、筐体は、輸液ポンプとの係合中にカセットを位置合わせするための位置合わせ溝を含んでもよい。カセットの筐体は、一般に、管に隣接して管を通る流体の流れの監視または検出を可能にする少なくとも1つの窓を含む。好ましい構成では、筐体が成型プラスチックからなり、管が弾性材またはシリコン材からなり、管が筐体内の入口支持部と出口支持部との間に保持される。管支持部のそれぞれは、雄接合部および雌接合部を含んでもよく、入口支持部では、管内に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、流体供給部に延びる管を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられ、出口支持部では、管内に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、患者へ延びる管の長尺部を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられる。
【0012】
[0012] 本発明の他の実施形態は、ここで説明するカセットの1つと、輸液ポンプとを備え、ポンプが、カセットを受け入れまたはカセットに係合するように構成され寸法付けられる開口を有するポンプ筐体と、部材に係合するための作動機構であり、流体非搬送位置と流体搬送位置との間で部材を移動させて管に流体が流れるようにする作動機構とを含み、ポンピング機構が、カセットがポンプに係合してポンプがカセットの係合を検出し、かつタブ部材が流体搬送位置にあるときにのみ、可撓管に係合して管を通る流体を流動させる、流体搬送システムに関する。
【0013】
[0013] ポンプは、カセットがポンプおよびポンピング機構に適切に係合しているかを決定するための検出器を有してもよい。ポンピング機構は、一般に、ポンピング機構およびカセットが係合するたびに、管を通る流体の適正な流れを可能にする十分な量で管に張力を付与するのに必要な量で可撓管を引き伸ばす。また、作動機構は、カセットがポンプに係合されると、またはカセットがポンプに係合された後のいずれかに流体非搬送位置と流体搬送位置との間でタブ部材を移動させる。よって、ポンピング機構は、固定位置にあり、可撓管は、カセットを移動させてポンピング機構に接触させることによりポンピング機構に係合し、またはカセットは、輸液ポンプに係合されるときに固定位置にあり、ポンピング機構は、カセットを移動させて可撓管に接触させることにより可撓管に係合する。いくつかの実施形態では、輸液ポンプは、カセットの位置合わせ溝に係合する少なくとも1つの位置合わせ部品と、管を通る流体の流れを監視または検出するためにカセットの窓と光学的に整列される少なくとも1つのセンサとをさらに有する。
【0014】
[0014] 本発明の更に他の実施形態は、輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止する方法であって、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに管を備え付け、管またはカセットに可動部材および力付与部材を有するフロー防止弁機構を備え付け、ポンプに係合されないときに、力付与部材が管に対して可動部材を付勢し、可動部材および力付与部材が流体非搬送位置に維持されて管を通る流れを阻止し、カセットがポンプに係合するときまたは係合した後に、力付与部材が、可動部材が管に対して付勢されず管に流体が流れるようにする流体搬送位置にポンプにより移動される、方法に関する。
【0015】
[0015] また、本発明は、ここで説明されるフロー防止弁機構または流体搬送システムの、輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止するための利用に関する。フロー防止弁機構は、管または筐体を有するカセットに備え付けられ、または関連付けられ、輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止するために用いられうる。
【0016】
[0016] 出願人が最良の実施形態であると考える本発明の好ましい実施形態は、図面および以下の詳細な説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カセットの第1の面ならびに第1および第2の外壁を示す斜視図である。
【図2】カセットの第2の面を示す図であり、流体の流れを観察するための窓を示している。
【図3A】カセットの第1の面を示す図であり、フロー防止弁機構に取り付けられ、輸液ポンプに挿入されないときにデフォルトの付勢された非搬送位置にあるタブ部材を示している。
【図3B】非搬送位置にあるときのフロー防止弁機構の詳細を示す拡大内部斜視図である。
【図4A】カセットの第1の面を示す図であり、フロー防止弁機構に取り付けられ、輸液ポンプに挿入されるときに付勢されない搬送位置にあるタブ部材を示している。
【図4B】搬送位置にあるときのフロー防止弁機構の詳細を示す拡大内部斜視図である。
【図5】カセットの内部組立体を示す斜視図である。
【図6】カセットの斜視図であり、開放領域を形成するための第1および第2の面の切取部を伴わない筐体の他の実施形態を示している。
【図7A】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【図7B】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【図7C】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【図7D】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0026] 本発明は、一般に、輸液ポンプと、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合可能なカセットとを有する流体搬送システムに関する。
【0019】
[0027] カセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体を有し、この管は、管を通る流体を流動させる輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される。筐体は、剛性湾曲壁の部分を有し、輸液ポンプに係合されるときに管の長尺部が当該部分に隣接してポンピング機構に係合して管を通る流体を流動させる。カセットは、ポンプに係合されないときに管を通るフリーフローを阻止するためのフロー防止弁機構を含んでもよい。
【0020】
[0028] カセットは、貯蔵器から患者への流体のフリーフローを調節する専用の輸液ポンプに係合可能であり、カセット/ポンプ流体搬送システムは、このような流体の調節された搬送をもたらす。カセットは、追加の独立機構を伴わずに輸液ポンプへの係合を通じて作動可能になり、ポンプからの取外し前または取外しとほぼ同時に流体の流れを制限する。輸液ポンプは、カセット機構に係合して患者への調節された流体の流れを可能にする。
【0021】
[0029] 第1の実施形態では、本発明は、IVバッグ等の流体貯蔵器と患者への静脈ラインとの間に接続されるカセットを目的とする。第1の実施形態は、略矩形で、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられた幅を伴い、4つの外壁および2つの面を有する筐体を有する。
【0022】
[0030] 第1および第3の外壁は、互いに対向して配置され、流れを方向付ける管を保持する第1および第2の端部を規定する。第1および第2の端部を形成する外壁は、開口を伴う平坦壁をそれぞれに有し、この開口は、開口自体を通過する入口および出口管支持部の一方に嵌るように構成され寸法付けられる。他の実施形態では、管支持部は、筐体の1つの一体化部品として形成される。管支持部は、これによりカセット筐体への組立を要する別部品ではなく筐体の成型特徴部となる。
【0023】
[0031] 可撓管は、管支持部の雄接合部に覆われてカセットの端部同士の間に一直線に保持される。管の配置は、露出または被覆されうる筐体の一部を横切る。
【0024】
[0032] 第1および第3の外壁の間に垂直に配置される第2の外壁は、2つの直壁部と、これらの間に配置される剛性湾曲壁部とを有し、剛性湾曲壁により領域を規定し、輸液ポンプに係合されるときに当該領域に隣接して管の長尺部がポンピング機構に係合して管を通る流体を流動させる。剛性湾曲壁は、輸液ポンプのポンピング機構を回転自在にするように構成され寸法付けられ、可撓管が通過可能な開口を両側に有する。ポンプに係合されるときに、管の長尺部は、湾曲壁とポンピング機構との間に接触して配置される。湾曲壁は、ポンピング機構の繰返し作用に耐えるのに適した強度および剛性を有していなければならない。
【0025】
[0033] 筐体は、外壁に対して垂直な第1の面を有する。第1の面は、筐体の4つの壁の外寸と一致するように矩形状に構成され寸法付け可能であり、または第3の外壁の湾曲壁部と一致するように構成され寸法付けられる切取部を有してもよい。第1の面は、輸液ポンプの係合凹部を受け入れるように構成され寸法付けられた位置合わせ溝と、タブ部材が貫通可能な開口とを有する。
【0026】
[0034] 筐体は、第1の面とは反対面に外壁に対して垂直な第2の面を有する。この第2の面は、筐体の4つの壁の外寸と一致するように矩形状に構成され寸法付け可能であり、または第3の外壁の湾曲壁部と一致するように構成され寸法付けられる切取部を有してもよい。切取部を伴う第1および第2の面は、これにより管を露出させる開口を形成し、矩形の面は、管を覆って保護する。第2の面は、少なくとも1つの開口、好ましくは筐体の対向する端部に配置された2つの開口を有する。開口は、管の配置と一直線をなし、流体および泡または異物の存在を観察可能にする窓として機能する。これは、湾曲部の管が両面で覆われ、これにより管の当該部分の視認が妨げられるときに特に重要である。
【0027】
[0035] カセットは、筐体に関係付けられ可動部材および力付与部材を有するフロー防止弁機構を有する。可動部材は、締付ヘッドと、筐体の第1の面の開口を通じて可動部材および力付与部材の向きに対して垂直に突出するタブ部材とを有する。力付与部材は、カセットが輸液ポンプに係合されないときに、管に対して可動部材を付勢して流れを阻止する。可動部材を付勢するために用いられる力付与部材は、圧縮ばね、板ばね、または弾性部品でありうる。可動部材は、力付与部材に接触する側に広い面を有し、管に接触する側に狭い面を有する。狭い面は、力付与部材の力を集中させるように機能し、管に対する可動部材の閉塞作用を向上させる。可動部材および締付ヘッドの全体構成は、様々な形状をなし、最も好ましくは「T形」または「楔形」をなす。可動部材は、管を押し付ける端部とは反対に座部を有することができ、この座部は、力付与部材を所定位置に保持する。
【0028】
[0036] タブ部材は、筐体およびフロー防止弁機構と連動し、流体非搬送位置と流体搬送位置との間で可動である。カセットがポンプに係合されるときに、タブは、後方に押され、これにより可撓管との接触状態から可動部材を後退させ、力付与部材の蓄積力を増加させる。カセットが輸液ポンプから係合解除されるときに、力付与部材の蓄積力は、解放されて可動部材およびタブ部材を付勢された流体非搬送位置に復帰させる。
【0029】
[0037] タブ部材は、カセットが輸液ポンプに係合されないときに所定の延長期間に亘って開放流体搬送位置に固定されて管が恒久的に圧迫または変形されないように設計されてもよい。このような抑圧、締付、または変形は、カセットと輸液ポンプの両方が適切に作動するときでも、管を通る流体の流れに不適正な量の流れをもたらしうる。タブ部材は、タブ部材107と筐体面50の縁部との間の開口57に嵌められるプラグを用いて開放位置に保持されうる。プラグは、そして引き出されてカセットを作動させ、フロー防止弁機構を付勢された流体非搬送位置に復帰させる。カセットに関連付けられたラッチ、キャッチ、およびフックは、保管のために開放流体搬送位置にタブを保持するためにも利用でき、カセットが利用されるときに取り外されうる。
【0030】
[0038] 他の実施形態では、本発明は、流体貯蔵器と患者との間で管上をスライドされる再利用可能なカセットを目的とする。第2の実施形態は、略矩形で、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられた幅を伴い、4つの外壁と2つの面を有する筐体を有する。
【0031】
[0039] 2つの外壁は、流体を方向付ける管を保持する第1および第2の端部を規定する。第1および第2の端部を形成する外壁は、開口を伴う平坦壁をそれぞれに有し、この開口は、開口自体を通過する入口および出口管支持部のいずれかに嵌るように構成され寸法付けられる。
【0032】
[0040] 入口および出口管支持部は、開口を有するブッシングであり、この開口は、可撓管がブッシングに押し入れられるが、所定位置にぴったりと保持され続けるのに適するように構成され寸法付けられる。ブッシングは、カセットが輸液ポンプに係合されないときに、カセットが管を滑り落とすことを防止し、カセットがポンプに係合されるときに、管が滑ることを防止する。
【0033】
[0041] 輸液ポンプは、関連するカセットに係合されるように構成され寸法付けられる。ポンプは、カセットを挿入可能な開口、またはカセットを据付可能な窪みまたは凹部を有する。
【0034】
[0042] 本発明の他の実施形態は、輸液ポンプと、輸液ポンプのポンプ機構に係合して患者へ流体を正確かつ繰返し可能に搬送するように構成される管を伴うカセットとを有する流体搬送システムに関する。
【0035】
[0043] カセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体を有することが有利であり。管は、管を通る流体を流動させる輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される。管の長尺部は、ポンピング機構に係合する前の初期にカセットの第1および第2の端部の間に、好ましくは一直線に保持される。筐体の第1および第2の端部の位置は、流体の流れのために管が引っ張られる流れ経路を少なくとも部分的に規定し、管の長尺部は、可撓管を引き伸ばし、管に繰返し張力を付与して管に流体が適正に流れるようにするポンピング機構により、流れ経路に正確かつ繰返し可能に配置される。流れ経路は、筐体の剛性湾曲壁の正面に少なくとも部分的に規定されることが有利であり、固定された剛性湾曲壁は、ポンピング機構に対向する凹部を形成する。ポンプのポンピング機構に係合されるときに、管の長尺部は、ポンピング機構および管の係合のたびに湾曲壁とポンピング機構との間に接触して配置される。ポンピング機構および管の係合のたびに、ポンピング機構は、可撓管を正確かつ繰返し引き伸ばし、湾曲壁に接触させ、管に張力を付与して管を通る流体を適正に流す。
【0036】
[0044] 管は、ポンプへのカセットの係合が初期位置と流体搬送位置との間で管を移動させ、管が湾曲壁に接触するときに、所定位置に移動されてもよく、あるいは、ポンピング機構は、ポンプへのカセットの係合後に、湾曲壁と接触する流体搬送位置に管を移動させる。
【0037】
[0045] ポンピング機構またはカセットの一方は可動部品であり、他方は固定位置に維持されうる。ポンピング機構が固定位置にある場合、可撓管は、カセットを移動してポンピング機構に接触させることにより係合状態となり、輸液ポンプに係合されるときにカセットが固定位置にある場合、ポンピング機構は、移動して管に接触させることにより可撓管に係合する。
【0038】
[0046] カセットは、初期に流体非搬送位置で管に対して付勢されて管を通る流れを阻止するフロー防止弁機構と、筐体がポンプに係合されるときに、カセットおよびフロー防止弁機構に連動して力付与部材の付勢を克服して管に流体が流れるようにする部材とを含むことが好ましい。筐体は、輸液ポンプとの係合のために構成され寸法付けられ、この部材は、係合中または係合後に、流体搬送位置を占めて管に流体が流れるようにし、カセットがポンプから取り外される前または取り外されると、流体非搬送位置を占めて管を通る流れを阻止する。
【0039】
[0047] フロー防止弁機構は、管、カセットもしくは筐体に係合され、またはカセットもしくは筐体の内部もしくは付近に配置され、可動部材および力付与部材を有することが好ましい。流体非搬送位置にある力付与部材は、管に対して可動部材を付勢して管を通る流れを阻止し、可動部材は、流体非搬送位置と、管に流体が流れるようにするために力付与部材の付勢が取り除かれる流体搬送位置との間で可動である。
【0040】
[0048] カセット筐体は、輸液ポンプとの係合のために構成され寸法付けられる。筐体は、略矩形で、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、または輸液ポンプの外側に装着または併設可能な形状およびサイズに構成され寸法付けられる。筐体は、輸液ポンプとの係合中におけるカセットの位置合わせのための位置合わせ溝を有する。さらに、筐体は、管に隣接する少なくとも1つの窓を含み、管を通る流体の流れの監視または検出を可能にする。筐体は、成型プラスチックから作られ、管は、弾性材またはシリコン材から作られる。
【0041】
[0049] 管は、筐体内の入口および出口管支持部の間で保持される。それぞれの管支持部は、雄接合部および雌接合部を含み、入口支持部では管の内側に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、流体供給部へ延びる管を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられ、出口支持部では管の内側に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、患者へ延びる管の長尺部を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられる。
【0042】
[0050] 本発明の他の実施形態は、前述したカセットと、輸液ポンプとを有する流体搬送システムに関する。輸液ポンプは、カセットを受け入れるように構成され寸法付けられた開口を有する筐体と、可撓管に係合し、管を引き伸ばして当該管を湾曲壁に沿って配置し、十分な張力を付与して正確かつ繰返し可能な量の流体を管を通じて流すことを可能にするポンピング機構とを含む。輸液ポンプとカセットの組合せは、本発明の更に他の実施形態を表す。
【0043】
[0051] 輸液ポンプは、第1の実施形態では、適切な寸法のカセットを挿入可能な開口を有し、第2の実施形態では、輸液ポンプの外側面にカセットを取り付けて固定するための特徴部を有し、それぞれカセットに係合するのに適するように設計され構成される。ポンプの開口は、カセットを斜めにスライド可能なスリットでもよく、カセットを据付可能な、ポンプの面の窪みまたは凹部でもよい。輸液ポンプの外側面にカセットを取り付けるための特徴部は、タブ、クリップ、ラッチ、キャッチ、ファスナー、またはこれらの組合せを含む。カセットは、ポンプの開口、窪み、または凹部への挿入、または前述した特徴部を用いて輸液ポンプの外側に装着または併設させることにより輸液ポンプに係合されうる。
【0044】
[0052] 輸液ポンプは、一般に、可撓管に係合するポンピング機構を含み、このポンピング機構は、機構自体が係合されるときに、管を通じて流体が適正に流れるようにするのに十分な量で管に張力を付与するのに必要な量で流れ経路に従って管を引き伸ばす。ポンピング機構は、カセットが輸液ポンプに係合するたびに同一の程度に可撓管を引き伸ばす。
【0045】
[0053] 輸液ポンプは、カセットの位置合わせ溝に係合する少なくとも1つの位置合わせ部品と、管を通る流体の流れを監視または検出するための、カセットの窓に光学的に整列される少なくとも1つのセンサとを有してもよい。
【0046】
[0054] 本発明の他の実施形態は、輸液セットの管を通じて流体を正確かつ繰り返し供給する方法に関する。この方法は、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに管を備え付けることを含み、カセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体と、剛性湾曲壁により少なくとも部分的に規定される流れ経路と、管に関連付けられて引き伸ばされ、ポンピング機構と湾曲壁との間に配置されて管を通る流体を流動させるときに、輸液ポンプのポンピング機構に係合する管の長尺部を有する。
【0047】
[0055] この方法では、カセットは、輸液ポンプを介して患者に流体を正確に搬送するために利用される。カセットは、湾曲壁を有し、輸液ポンプのポンピング機構に係合すると、管が引き伸ばされ、ポンピング機構と湾曲壁との間の流れ経路に少なくとも部分的に沿って配置されて患者に流体を正確かつ繰返し可能に搬送することを特徴とする。カセットは、輸液ポンプを介して患者に流体を正確かつ繰返し可能に搬送するために利用される。
【0048】
[0056] 本発明の更に他の実施形態は、ここで開示されるカセット、流体搬送システム、および/またはポンプのいずれかの、輸液セットの管を介して患者へ流体を正確に搬送するための利用に関する。ここで説明するように、カセットは、少なくとも部分的に流れ経路を規定する湾曲壁などの構造を含み、輸液ポンプのポンピング機構に係合すると、管が引き伸ばされ、ポンピング機構と湾曲壁との間の流れ経路に沿って配置されて患者に流体を正確かつ繰返し搬送する。
【0049】
[0057] 図1を参照すると、本発明に係る好ましいカセット1の様々な部品を見ることができる。カセット1は、筐体5、可撓管75、および管支持部15、35を含んでいる。可撓管75は、第2の外壁20の第1直壁部22と第2直壁部28との間で剛性湾曲壁25により形成される部分に跨っている。可撓管は、湾曲壁25の両側の開口24を通過して入口支持部15および出口支持部35に接している。タブ部材107は、輸液ポンプに関連する作動機構に係合するのに十分に、第1の面50の開口57を通じてフロー防止弁機構100の可動部材103から突出している。位置合わせ溝53は、第1の面50に配置され、カセットの位置合わせ溝に嵌るように構成され寸法付けられる輸液ポンプの凸部を受け入れる。位置合わせ溝は、様々な長さ、断面サイズ、および非限定的に三角形、四角形、矩形、「T」形、および円形を含む形状でありうる。
【0050】
[0058] 図2を参照すると、可撓管75は、入口管支持部15と出口管支持部35との間に配置されている。可撓管75がポンプ機構により剛性湾曲壁25に押し付けられるときに、可撓管を通る流体の流れを筐体5の第2の面60の開口68を通じて観察できる。このことは、気泡検出または他の監視装置の利用も可能にし、流体が管75を通じて適切に流れることを確実にする。
【0051】
[0059] 図3Aを参照すると、筐体5の第1の面50の開口57を通じて突出するタブ部材107は、デフォルトの流体非搬送位置にあり、ここでは、図3Bに示すように、力付与部材110は、可動部材103を押し付け、締付ヘッド105に補強部109に対して可撓管75を圧迫させ、これにより流体の流れを阻止する。
【0052】
[0060] 図4Aを参照すると、筐体5の第1の面50の開口57を通じて突出するタブ部材107は、アクティブな流体搬送位置に移動可能であり、ここでは、図4Bに示すように、力付与部材110は、寸法が縮められ、可動部材103が可撓管75から離れて後退することにより蓄積力を増し、可撓管に対する締付ヘッド105の力を解放し、これにより流体のフリーフローを可能にする。この動作は、カセットがカセットを受け入れるように設計された随伴の輸液ポンプに挿入されるときもしくは挿入されると自動的に達成され、またはポンプが作動するときにのみタブを移動させて弁を開放させるポンプ筐体自体の機構により達成される。ポンプは、従来のローラー部材またはフィンガー部材を含み、運転のために作動されるときに、管を圧迫して管を通じて流体を流れさせる。前述したように、ポンプが作動するまでに、フロー防止弁機構は、管が閉塞されず流体が流れるようにする位置に移動される。カセットがポンプから係合解除されるとき、またはポンプの作動が停止されるときに、フロー防止弁機構は、流体非搬送位置に復帰して管を通る流れを阻止し、よって意図しないフリーフロー状態を回避する。
【0053】
[0061] 図5を参照すると、フロー防止弁機構100、可撓管75、入口管支持部15、および出口管支持部35の筐体5内での内部配置を、第2の外壁20の第1の直壁部22と第2の直壁部28との間に位置する両側の開口24により剛性湾曲壁部25を基準として明らかに見ることができる。力付与部材110は、第4の直壁部40と可動部材103との間に配置され、これにより可撓管75に対して締付ヘッド105を押し付け、管は、第2の外壁20の第1の直壁部22に隣接する補強部109に対して押し付けられて閉塞される。
【0054】
[0062] フロー防止弁機構は、図に示すように、カセットの入口側に配置されることが好ましいが、出口側に配置されてもよい。
【0055】
[0063] 筐体5は、輸液ポンプに嵌るのに適した寸法および幅の矩形であることが好ましいが、ポンプ内に嵌めるために必要であれば他の形状でもよい。筐体は、破壊や汚染発生を伴わず医療環境での利用に適した材料からなり、廃棄可能であるか、または後の再利用のための洗浄、高圧滅菌、もしくは衛生化が可能であってもよい。一般に、この目的のためにエンジニアリングプラスチックが利用される。筐体は、閉じられた筐体内で力付与部材、可動部材、および管支持部の簡単かつ安定的な配置を可能にする。筐体は、後に組み立てられ内側から他の部品で密閉される2以上の成型部品から形成されてもよい。筐体は、恒久的に密閉され、またはタブ、クリップ、ラッチ、キャッチ、ファスナー、もしくはこれらの組合せにより係合され、洗浄または交換のために内部部品へのその後のアクセスを可能にする。
【0056】
[0064] 第4の外壁40は、カセット1を輸液ポンプに挿入しまたはその外部に固定するときに容易に押し付け可能な硬い平坦面であることが好ましいが、他の輪郭、材料、開口、または特徴部を有してもよい。
【0057】
[0065] 第2の外壁20は、輸液ポンプおよびポンピング機構に係合するように構成され寸法付けられる、直線部と湾曲部の両方を有している。剛性湾曲壁25は、輸液ポンプのホイールおよびローラーを受け入れるように構成され寸法付けられ、ポンプの運転中にこれらの要素が自由回転し、ローラーが可撓管75を圧縮して適切にポンピング動作を引き起こす。カセットは、輸液ポンプのローラーまたはフィンガーが可撓管を繰返し押し付けて壁に圧迫しても、湾曲壁がその形状を維持するのに十分な強度および剛性を有するように設計される。湾曲壁の開口24の縁部は、カセット1が輸液ポンプに挿入され、輸液ポンプのホイールおよびローラーが湾曲凹部に対して可撓管を押し戻すときに可撓管を締め付けるような隅部を避けるために面取りされることが好ましい。
【0058】
[0066] 剛性湾曲壁部の両側の開口24は、カセットが輸液ポンプに挿入されるときに、湾曲部の片側の縁部に対して押しつけられても流れを完全に締付けずに湾曲凹部の輪郭に沿うことを可撓管75に可能にし、筐体が輸液ポンプに挿入されず2つの管支持部の間に一直線の位置で固定されるときに、可撓管と一直線をなすのに適するようにサイズ決定され、構成されて寸法付けられる。
【0059】
[0067] カセットおよびポンプの構成および寸法に適合された可撓管の固定位置および長さは、カセットがポンピング機構により係合されるたびに可撓管に同一の張力を形成する。カセットへのポンピング機構の係合は、そしてポンプの運転中に適正かつ正確な量で流体が流れるようにするのに適した張力を可撓管に形成する。
【0060】
[0068] 一実施形態では、第1の外壁10は、開口12を有し、この開口は、その開口自体を通過する入口管支持部15を保持するように構成され寸法付けられ、第3の外壁30は、開口32を有し、この開口は、その開口自体を通過する出口管支持部35を保持するように構成され寸法付けられる。
【0061】
[0069] 他の実施形態では、管支持部は、第1および第3の外壁の一部として成型されて筐体壁の1つの一体部品を形成する。
【0062】
[0070] いずれの実施形態でも、管支持部15、35は、アダプタまたはブッシングの形態を取る。アダプタは、入口側および出口側で異なる管でアダプタ間に固定される、可撓管の他の長尺部を接続する。ブッシングは、カセットが輸液ポンプに係合されないときに、可撓管の単一の部品に突き倒され、2つのブッシングの間にこの部品をぴったりと保持し、カセットから管が滑り落ちないようにするのに適した寸法の内径を有する。
【0063】
[0071] 管支持部は、流体の流れの観察、および泡または閉塞の検出または監視を可能にする透明材から作ることができる。あるいは、後述するように、この目的で筐体に窓が備え付けられてもよい。
【0064】
[0072] 筐体の成型部品でなければ、管の異なる部品を接続するために用いられるアダプタは、第1の外壁開口12または第3の外壁開口32で筐体の所定位置に保持されるようにサイズ決定され、構成され寸法付けられる立方体状の中央部を有することが好ましい。このアダプタは、中央部から筐体内に延び、可撓管が押し込まれて気密シールを形成可能な外径を有する1つの円形雄接合部と、中央部から筐体5の外側に延び、静脈ラインが押し入れられて気密シールを形成可能な内径を有する1つの円形雌接合部とにより保持される。雄接合部は、可撓管をよりよく固定するためのあご部を有してもよい。この構成が好ましいが、ここで説明する方法および位置で管を保持する他の設計が用いられてもよい。
【0065】
[0073] 筐体の成型部品でなければ、可撓管の長尺部を保持するために用いられるブッシングは、第1の外壁開口12または第3の外壁開口32で、中央部から筐体内に延びる内側応力解放部と、中央部から筐体の外側に延びる外側応力解放部とにより、筐体の所定位置に保持されるようにサイズ決定され、構成され寸法付けられる立方体状の中央部を有することが好ましい。孔は、ブッシングを通過する可撓管をぴったりと覆うような寸法の直径を有する。ブッシングは、可撓管75をぴったりと保持するので、カセットは、管によりぶら下げられても管を滑り落とさず、カセットが輸液ポンプに挿入されるときに、管を引っ張る輸液ポンプの動作による可撓管の張力の変化を防止する。
【0066】
[0074] 可撓管75は、最も好ましくはシリコンなどの透明で柔軟な医療グレード材であることが好ましい弾性材から作ることができる。
【0067】
[0075] フロー防止弁機構100は、締付ヘッド105とは反対の面で力付与部材110と連動する可動部材103を有している。力付与部材と接触する可動部材の面は、力付与部材と可動部材との間で十分な接触を可能にするのに適するように寸法付けられ、力付与部材の力を締付ヘッドに伝達する。可動部材の面は、力付与部材を据え付け、これにより力付与部材を一直線に維持して2つの部品の間の接触ロスを防止することができる、凸部または凹部を有することが好ましい。
【0068】
[0076] 可動部材103は、力付与部材側の接触端部で広い寸法を有し、締付ヘッド105側の端部で狭い寸法を有し、可動部材103の面から力付与部材110および締付ヘッド105の軸線に対して垂直に突出するタブ部材107を有することが好ましい。締付ヘッドは、「T」、「U」、「V」または楔などの異なる形状を有してもよい。このような形状は、力付与部材の力を小さな領域に集中させ、デフォルトの非搬送位置で可撓壁に対する閉塞作用を向上する。管と接触する締付ヘッドの端部の形状は、平坦面、ある範囲の半径を伴う湾曲面、または鋭角隅部のいずれでもよいが、湾曲面であることが好ましい。このような湾曲端面は、可動部材が非搬送位置にあるときに圧着される管の部分の磨耗を抑制する。
【0069】
[0077] 締付ヘッド105は、カセットが輸液ポンプに挿入されないときに、可撓管75の一側を押し付け他側を補強部109に対して圧迫し、これにより管を閉塞して流体のフリーフローを防止する。
【0070】
[0078] タブ部材107は、可動部材103から筐体5の第1の面50の開口57を通じて締付ヘッドに対して垂直に突出する。タブ部材107は、筐体5の第1の面50の上方に突出し、輸液ポンプの作動機構に係合するのに十分に長い。このことは、カセット1が輸液ポンプに係合されるときに、可動部材103を後退させて力付与部材110の蓄積力を増加させる。可動部材103は、カセットが輸液ポンプに係合されるときに、力付与部材の力に抵抗しながら輸液ポンプの作動機構へのタブの繰返し係合に耐え、カセットがポンプから係合解除されるときに、締付ヘッドと可撓管との間の接触に耐えるのに十分な頑丈な耐衝撃材で作られている。
【0071】
[0079] 力付与部材110は、第4の外壁40と可動部材103との間に配置され、これにより締付ヘッドを通じて力を伝達して可撓管75を圧迫する。力付与部材は、カセット1が輸液ポンプに係合されるときに、蓄積力を増加させ、作動機構とタブ部材107との間の接触は、フロー防止弁機構100を後退させる。力付与部材は、ステンレススチールまたは医療環境での利用に適した他の材料から作られる円形の圧縮ばねであることが好ましいが、板ばね、梃子、または弾性要素でもよい。力付与部材は、タブが解放されるときに、可撓管を完全に締め付けて閉塞するのに十分な強度を有するが、カセットが輸液ポンプに係合されるときに圧迫されてもよい。力は、「T」、「U」、「V」または楔などの異なる形状を有する締付ヘッドを通じて管に付与される。これらの形状は、締付ヘッドと可撓管との間に小さな接触面をもたらし、これにより力付与部材により付与される力が集中する。
【0072】
[0080] 図6を参照すると、筐体5の第1の面50は、矩形であり筐体の外壁の寸法と一致することが好ましいが、湾曲切取部を有してもよい。この湾曲切取部は、第2の外壁20の直壁部22、28および湾曲壁部25と一致するように構成され寸法付けられて第2の面の切取部とともに開放領域を形成し、これにより管75を露出させる(図1参照)。第1の面50は、開口57を有し、この開口は、ピストン103のタブ部材107が開口を通じて第1の面の上方に突出することを可能にするのに適するように配置されている。第1の面50は、輸液ポンプの凸部を受け入れるように構成され寸法付けられた2つの位置合わせ溝53を有している。溝53は、カセット1の向きを規定し、カセットを輸液ポンプ内に一方向でのみ挿入可能にする。溝は、直線状であることが好ましい。
【0073】
[0081] 筐体5の第2の面60は、筐体の外壁の寸法と一致する矩形であることが好ましいが(図6参照)、湾曲切取部を有してもよい。この湾曲切取部は、第2の外壁20の直壁部22、28および湾曲壁部25と一致するように構成され寸法付けられて第2の面の切取部とともに開放領域を形成し、これにより管75を露出させる(図1参照)。第2の面60は、入口管支持部15および出口管支持部35により管が一直線位置に保持されるときに、可撓壁の位置と一直線をなして湾曲切取部の反対側に配置される2つの開口68を有している。これらの開口は、流体の流れおよび泡もしくは閉塞の存在の観察を可能にする。
【0074】
[0082] 面50、60または壁40のいずれかは、適切な位置に力付与部材を保持するための特徴部を有している。
【0075】
[0083] 図7A〜7Dを参照すると、カセットおよび輸液ポンプは、カセット/ポンプ流体搬送システム3を有している。図7Aを参照すると、輸液ポンプ2は、カセット1の可撓管75に係合するポンプ機構210を収容する筐体205と、カセットのタブ部材107に係合可能な作動機構220とを有し、カセットを筐体に装着または併設させるための特徴部(不図示)を任意に有している。
【0076】
[0084] ポンプ筐体201は、カセット1を受け入れて係合するように構成され寸法付けられている。係合は、カセットを受け入れるように構成され寸法付けられた、筐体の一面の開口230、凹部、もしくは窪みへのカセット1の挿入、または筐体の外側の所定位置へのカセットの装着もしくは併設により達成される。カセットは、装着または併設されて、タブ、クリップ、ラッチ、キャッチ、ファスナーまたはこれらの組合せなどの特徴部により固定される。
【0077】
[0085] ポンプ機構210は、回転自在な中央ハブ215の周囲に配置された1以上のローラー212またはフィンガーを有し、可撓管に係合するときに、カセットの剛性湾曲壁25により規定される領域内に嵌るように構成され寸法付けられている。ポンプ機構210は、ポンプ機構210のローラー212またはフィンガーとカセット25の剛性湾曲壁との間で管を押圧することにより、管75に張力を付与して引き伸ばす。ポンプ機構により係合されるときに(図7C参照)、初期にカセットの端部同士の間で一直線に保持されている管の長尺部が長い経路を取ることで、引伸しおよび引張りが生じる。この係合は、剛性湾曲壁とポンプ機構との間の空間に管を適合させる(図7D参照)。管75の長尺部は、湾曲壁25とポンピング機構のローラー212との間に接触して圧迫され、これによりポンプは、管を通じて流体を搬送できる。ポンピング機構は、カセットに係合されるたびに可撓管に同一の張力を形成し、この張力は、ポンピング機構が作動するときに、管を通じて適正かつ正確な量で流体が流れるようにする。位置、引張り、および流体の流れの量は、カセットとポンプが係合されるたびに再現可能である。ポンプ機構の作用は、可撓管を通じた適正かつ正確な量の流体の調節された流れを生じさせ、作用が停止すると、管を通じた流体の流れを制限する。
【0078】
[0086] ポンピング機構は、カセットがポンプに係合または挿入されるときに、カセットの存在を検出するセンサまたはトリガを用いて自動的に管に係合するように移動されてもよい。後退位置から可撓管に係合する突出位置へのポンピング機構の移動は、モーター、ピストン、または同様な駆動機構を用いて達成できる。ポンピング機構は、初期位置と、湾曲壁25とポンピング機構のローラー212との間で管が圧迫される位置との間で線形または円形の経路を辿ってもよい。ポンピング機構は、管の平面を移動することが好ましく、そのため、管が湾曲壁とポンピング機構との間に接触して正確に配置されるように、ローラーが適切な角度で管に接触して適切な量で管を引き伸ばす。
【0079】
[0087] 他の実施形態では、ポンピング機構は、カセットの平面に対して垂直な位置から管の平面の所定位置まで振り上がるように、管の軸線に対して平行な軸線を中心として回転してもよい。
【0080】
[0088] 輸液ポンプ2は、フロー防止弁機構100のタブ部材107に係合する作動機構を有している。このフロー防止弁機構100は、流体非搬送位置(図3A参照)と流体搬送位置(図3B参照)との間でタブ部材107を移動させ、管に流体が流れるようにする。
【0081】
[0089] 作動機構は、カセットがポンプに係合中にタブ部材107と接触してタブを流体搬送位置に移動させ、カセットが輸液ポンプに挿入された後に(図7C、7D参照)タブをそこに保持する突起または壁220のいずれかを有してもよい。
【0082】
[0090] 突起または壁220は、ポンプの筐体から突出してタブ部材の経路に突出するように構成され寸法付けられ、これによりカセットがポンプに挿入されるときに(図7C、7D参照)、ポンプ筐体5の開口230に特定の距離を越えてタブが移動することを防止する。突起は、タブ部材の経路に位置するタブ部材と略同一のサイズの凸部でもよい。突起は、タブ部材の移動をブロック可能な形状でありうるが、タブと接触する平坦面および接触面から後方に離れた楔状の勾配を有する楔形状であることが好ましい。この構成は、タブ107と作動機構220との間に、磨耗または破壊なしにカセットの繰返し挿入に抵抗するのに十分な強度および耐久性を伴う最大の接触面をもたらす。突起は、輸液ポンプへのカセットの実際の挿入との干渉を回避するように適するようにサイズ決定されるべきである。壁は、タブ部材の経路を横切って垂直に突出し、タブ部材の経路に対して垂直な壁の長尺部は、タブ部材の幅よりも少なくとも大きく、輸液ポンプ筐体の開口の全長を横切って延びる。
【0083】
[0091] 他の実施形態では、作動機構は、流体非搬送位置と流体搬送位置との間でタブ部材を移動させるように構成され寸法付けられた、アームまたは複数部品の組立体でもよい。作動機構は、カセットがポンプに係合されまたは挿入されると、カセットがポンプに係合されまたは挿入された後に、またはポンピング機構がカセットの可撓管に係合すると、または係合した後に、タブ部材を移動させうる。作動機構は、タブ部材を移動させるときに、カセットとポンピング機構の両方を自立的に移動させうる。輸液ポンプへのカセットの係合、ポンピング機構の係合、および搬送位置と非搬送位置との間でのフロー防止弁機構の移動の順序、ならびにカセットを係合解除する逆の順序は、流体搬送システムの適用の特定の要件に適応するように変更できる。
【0084】
[0092] 作動機構の移動は、ポンプまたはポンピング機構へのカセットの係合、ポンピング機構の作動によりトリガされてもよく、個別のトリガイベントにより自動でトリガされてもよく、選択された時間で利用者により手動でトリガされてもよい。カセットへのポンピング機構の係合が流体搬送位置へのタブ部材の押圧を作動機構に促す場合、タブ部材の移動は、フロー防止弁機構100が流体搬送位置に移動される前に、ポンピング機構のローラー212が管75を締め付けて閉塞することを可能にするように十分に遅らせられてもよい。このことは、他の位置で圧迫を解く前に、ある位置で可撓管の圧迫を可能にし、これにより管を通じた一時的な液漏れを防止する。
【0085】
[0093] タブ部材への作動機構の係合は、センサ、スイッチ、またはトリガを用いて、カセットがポンプに係合されまたは挿入されると自動で開始できる。タブ部材への作動機構の係合は、ポンプを始動させる利用者により手動で開始されてもよく、センサ、スイッチ、またはトリガを自立的に作動させることにより開始されてもよい。タブ部材に係合する作動機構の移動は、モーター、ピストン、または同様な装置などの駆動機構を用いて達成できる。駆動機構は、作動機構を直接移動させることができ、またはポンピング機構を直接移動させ、ポンピング機構に関連して作動機構を移動させてもよい。
【0086】
[0094] ポンプからのカセットの取り外しは、作動機構を自動的に係合解除してタブ部材を解放し、力付与部材は、付勢された流体非搬送位置に復帰されて管を通る流れを阻止する。あるいは、カセットが輸液ポンプに挿入された後に輸液ポンプの作動機構がタブ部材107に係合するときに、フロー防止弁機構100を流体搬送位置に移動する前にポンピング機構のローラー212により可撓管の圧迫が可能となり、作動機構は、タブ部材を係合解除して解放し、力付与部材110は、ローラーによる圧迫が解放されてカセットがポンプから取り外される前に、可動部材103を流体非搬送位置に復帰させて管を通る流れを阻止する。これは、管を通じた一時的な液漏れを防止する。
【0087】
[0095] 輸液ポンプへのカセットの係合、ポンピング機構の係合、および搬送位置と非搬送位置との間でのフロー防止弁機構の移動、ならびにカセットを係合解除する逆の順序は、流体搬送システムの適用の特定の要件に適応するように変更できる。
【0088】
[0096] 輸液ポンプは、カセットの位置あわせ溝を係合する1以上の位置合わせ部品を有することもできる。位置合わせ部品は、ピン、凸状通路、または他の凸部でありうる。位置合わせ部品は、カセット面の位置合わせ溝に嵌るように構成され寸法付けられ、不適正な方法または向きでのカセットへのポンプの係合を防止する。位置合わせ溝は、様々な長さ、断面サイズ、非限定的に三角形、四角形、矩形、「T」形、および円形を含む形状でありうる。
【0089】
[0097] これらの記載は、本発明の好ましい実施形態を示すものにすぎず、いかなる方法によっても本発明を限定しようとするものではない。他の修正および変更された実施形態は、当業者にとって明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、輸液ラインの管を通じた溶液の腸内投与中または経口投与中にフリーフローを防止するための装置および方法に関する。より詳しくは、本発明は、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合可能なデバイスに関する。デバイスは、デバイスが輸液ポンプに係合されると管に流体が流れるようにし、ポンプから取り外されるとフロー防止弁が管を閉塞して管を通る溶液の望ましくないフリーフローを防止するようなフロー防止弁機構を含む。
【背景技術】
【0002】
[0002] 患者に溶液を投与するための輸液セットの利用は、医療分野で周知である。輸液セットは、腸内用途と経口用途の両方に利用される。経腸栄養ポンプは、患者が様々な理由により食物を普通に摂取できないときに栄養および薬物を患者に供給するために利用される。経口(点滴)溶液は、十分な水分補給を確実にするとともに、必要な栄養、ミネラル、および薬物を供給するために患者に供給される。しばしば、輸液セットは、重力により溶液を患者に送り込む自立配置に置かれる。これを防止するために、管は、望ましくないときに流れを防止するために、しばしばクランプされ、さもなければブロックされる。
【0003】
[0003] 多くの医療用途では、流体は、うまく調節されて患者に投与されなければならない。このような状況では、重力により患者に流体を搬送する自立輸液配置は、受け入れられない。その代わりに、流体は、輸液ポンプを用いて投与される。輸液ポンプは、貯蔵器から患者への流体の搬送量および搬送速度を調節するために用いられる。一般に、貯蔵器に接続された管は、輸液ポンプを通過して患者の静脈内に挿入される。貯蔵器からの管が輸液ポンプ内にある間は、流体のフリーフローは、管を閉塞するポンプ機構のローラーの圧力により制限されるが、管がポンプから取り外されるときに、この圧力が解放され流れが重力により再開することがある。この欠点を伴うデバイスは、フロー調節機構を有していない。このような流体のフリーフローを防止するために、従来技術には、管がポンプに挿入されないときに管を閉塞する複数の手段が開示されている。これらのデバイスは、手動で作動されるクランプ、または自動フロー調節機構の形態を取るカセットでありうる。
【0004】
[0004] 適切な作動のために、クランプされ、さもなければブロックされた管は、管に流体が流れるように操作されなければならない。しかし、緊急または他の失念のために、医療スタッフが栄養ポンプに対して輸液セットを適切に脱着できないことはよくある。輸液セットがポンプに適切に装着されず、または不適切に取り外されて流体が流れるように管が開放されると、溶液のフリーフローがしばしば発生し、望ましい用量の数倍の溶液が比較的短い期間に患者に供給されうる。これは、溶液が効き目の強い薬物を含んでいたり、患者の身体が溶液の大量流入に順応するのに十分なほど肉体的に強靭でなかったりする場合、特に危険でありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] フリーフロー状態を防止しようと試みて大量のデバイスが開発されている。このようなデバイスは、しかし、一般的に輸液セットの全体コストを著しく増加させ、フリーフローをわずかにしか防止しない。さらに、これらデバイスの一部は複雑であり、医療スタッフによる適切な作動を困難にする。
【0006】
[0006] このようなシステムを簡素化する一つの試みは、カセットがポンプに挿入されるときに、管に流体が流れるようにのみ作動可能な輸液カセットの利用である。Hyman等の米国特許第5904668号明細書およびGray等の米国特許第6165154号明細書に開示されるような種類のカセットデバイスは、複雑になり易く、輸液ポンプのドア、ハンドル等の閉鎖または移動など、追加の関連機構の作動を完全に機能させることを要求され易い。
【0007】
[0007] よって、複雑さをほとんど必要とせず、患者への流体搬送を迅速かつ簡便に調節するように容易に利用される、従来技術よりも向上した性能を提供する輸液ポンプおよびカセットが必要とされている。本発明は、この必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 本発明の一実施形態は、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに関する。このカセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体であり、管が管を通る流体を流動させる輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される筐体と、管、筐体、またはカセットに係合されて筐体またはカセットの内部または付近に存在するフロー防止弁機構とを有する。フロー防止弁機構は、カセットおよびフロー防止弁機構と連動して流体非搬送位置で管に対して付勢されて管を通る流れを阻止する部材を含み、この部材は、筐体がポンプに係合されるときに力付与部材の付勢を克服して管に流体が流れるようにする。フロー防止弁機構は、管、カセットもしくは筐体に係合され、またはカセットもしくは筐体の内部もしくは付近に配置される。フロー防止弁機構は、可動部材および力付与部材を有することが好ましく、流体非搬送位置にある力付与部材は、管に対して可動部材を付勢して管を通る流れを阻止する。カセットは、カセット筐体およびフロー防止弁機構と連動するタブ部材も含み、流体非搬送位置と、管に流体が流れるようにするために力付与部材の付勢が解除される流体搬送位置との間で可動である。タブ部材は、力付与部材の付勢を克服するためにカセットおよびフロー防止弁機構と連動する。筐体は、専用の輸液ポンプに係合するように構成され寸法付けられ、タブ部材は、係合中または係合後にポンプにより流体搬送位置に移動されて管に流体が流れるようにし、カセットがポンプから取り外される前または取り外されると解放され、力付与部材が流体非搬送位置に復帰して管を通る流れを阻止する。
【0009】
[0009] このカセットでは、タブ部材は、流体非搬送位置と流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が力付与部材の付勢を変化させるように、カセットが輸液ポンプに係合すると可動部材を流体搬送位置に移動させて管に流体が流れるようにすることができ、カセットがポンプから取り外されると解放され、可動部材が流体非搬送位置に復帰して管を通る流れを阻止する。あるいは、タブ部材は、カセットが輸液ポンプに係合した後に可動部材を流体搬送位置に移動させて管に流体が流れるようにすることができ、カセットがポンプから取り外される前に解放される。
【0010】
[0010] カセットの筐体は、略矩形であり、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、ポンプのポンピング機構に係合されるときに管の長尺部(length of tubing)が剛性湾曲壁とポンピング機構との間に接触して正確に配置されるように、管の長尺部が初期にカセットの端部同士の間かつ筐体の湾曲壁の正面に一直線状に保持されることが好ましい。
【0011】
[0011] フロー防止弁機構の力付与部材は、圧縮ばねを含み、フロー防止弁機構の可動部材は、締付ヘッドを有し、締付ヘッドは、力付与部材に接触する相対的に広い横断面と、管に接触して管に対する力付与部材の力を集中させる相対的に狭い横断面とを有することが有利である。また、筐体は、輸液ポンプとの係合中にカセットを位置合わせするための位置合わせ溝を含んでもよい。カセットの筐体は、一般に、管に隣接して管を通る流体の流れの監視または検出を可能にする少なくとも1つの窓を含む。好ましい構成では、筐体が成型プラスチックからなり、管が弾性材またはシリコン材からなり、管が筐体内の入口支持部と出口支持部との間に保持される。管支持部のそれぞれは、雄接合部および雌接合部を含んでもよく、入口支持部では、管内に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、流体供給部に延びる管を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられ、出口支持部では、管内に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、患者へ延びる管の長尺部を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられる。
【0012】
[0012] 本発明の他の実施形態は、ここで説明するカセットの1つと、輸液ポンプとを備え、ポンプが、カセットを受け入れまたはカセットに係合するように構成され寸法付けられる開口を有するポンプ筐体と、部材に係合するための作動機構であり、流体非搬送位置と流体搬送位置との間で部材を移動させて管に流体が流れるようにする作動機構とを含み、ポンピング機構が、カセットがポンプに係合してポンプがカセットの係合を検出し、かつタブ部材が流体搬送位置にあるときにのみ、可撓管に係合して管を通る流体を流動させる、流体搬送システムに関する。
【0013】
[0013] ポンプは、カセットがポンプおよびポンピング機構に適切に係合しているかを決定するための検出器を有してもよい。ポンピング機構は、一般に、ポンピング機構およびカセットが係合するたびに、管を通る流体の適正な流れを可能にする十分な量で管に張力を付与するのに必要な量で可撓管を引き伸ばす。また、作動機構は、カセットがポンプに係合されると、またはカセットがポンプに係合された後のいずれかに流体非搬送位置と流体搬送位置との間でタブ部材を移動させる。よって、ポンピング機構は、固定位置にあり、可撓管は、カセットを移動させてポンピング機構に接触させることによりポンピング機構に係合し、またはカセットは、輸液ポンプに係合されるときに固定位置にあり、ポンピング機構は、カセットを移動させて可撓管に接触させることにより可撓管に係合する。いくつかの実施形態では、輸液ポンプは、カセットの位置合わせ溝に係合する少なくとも1つの位置合わせ部品と、管を通る流体の流れを監視または検出するためにカセットの窓と光学的に整列される少なくとも1つのセンサとをさらに有する。
【0014】
[0014] 本発明の更に他の実施形態は、輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止する方法であって、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに管を備え付け、管またはカセットに可動部材および力付与部材を有するフロー防止弁機構を備え付け、ポンプに係合されないときに、力付与部材が管に対して可動部材を付勢し、可動部材および力付与部材が流体非搬送位置に維持されて管を通る流れを阻止し、カセットがポンプに係合するときまたは係合した後に、力付与部材が、可動部材が管に対して付勢されず管に流体が流れるようにする流体搬送位置にポンプにより移動される、方法に関する。
【0015】
[0015] また、本発明は、ここで説明されるフロー防止弁機構または流体搬送システムの、輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止するための利用に関する。フロー防止弁機構は、管または筐体を有するカセットに備え付けられ、または関連付けられ、輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止するために用いられうる。
【0016】
[0016] 出願人が最良の実施形態であると考える本発明の好ましい実施形態は、図面および以下の詳細な説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カセットの第1の面ならびに第1および第2の外壁を示す斜視図である。
【図2】カセットの第2の面を示す図であり、流体の流れを観察するための窓を示している。
【図3A】カセットの第1の面を示す図であり、フロー防止弁機構に取り付けられ、輸液ポンプに挿入されないときにデフォルトの付勢された非搬送位置にあるタブ部材を示している。
【図3B】非搬送位置にあるときのフロー防止弁機構の詳細を示す拡大内部斜視図である。
【図4A】カセットの第1の面を示す図であり、フロー防止弁機構に取り付けられ、輸液ポンプに挿入されるときに付勢されない搬送位置にあるタブ部材を示している。
【図4B】搬送位置にあるときのフロー防止弁機構の詳細を示す拡大内部斜視図である。
【図5】カセットの内部組立体を示す斜視図である。
【図6】カセットの斜視図であり、開放領域を形成するための第1および第2の面の切取部を伴わない筐体の他の実施形態を示している。
【図7A】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【図7B】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【図7C】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【図7D】ポンプ機構および輸液ポンプへのカセット挿入のための係合機構へのカセット管およびタブ部材の係合工程を示す一連の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0026] 本発明は、一般に、輸液ポンプと、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合可能なカセットとを有する流体搬送システムに関する。
【0019】
[0027] カセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体を有し、この管は、管を通る流体を流動させる輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される。筐体は、剛性湾曲壁の部分を有し、輸液ポンプに係合されるときに管の長尺部が当該部分に隣接してポンピング機構に係合して管を通る流体を流動させる。カセットは、ポンプに係合されないときに管を通るフリーフローを阻止するためのフロー防止弁機構を含んでもよい。
【0020】
[0028] カセットは、貯蔵器から患者への流体のフリーフローを調節する専用の輸液ポンプに係合可能であり、カセット/ポンプ流体搬送システムは、このような流体の調節された搬送をもたらす。カセットは、追加の独立機構を伴わずに輸液ポンプへの係合を通じて作動可能になり、ポンプからの取外し前または取外しとほぼ同時に流体の流れを制限する。輸液ポンプは、カセット機構に係合して患者への調節された流体の流れを可能にする。
【0021】
[0029] 第1の実施形態では、本発明は、IVバッグ等の流体貯蔵器と患者への静脈ラインとの間に接続されるカセットを目的とする。第1の実施形態は、略矩形で、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられた幅を伴い、4つの外壁および2つの面を有する筐体を有する。
【0022】
[0030] 第1および第3の外壁は、互いに対向して配置され、流れを方向付ける管を保持する第1および第2の端部を規定する。第1および第2の端部を形成する外壁は、開口を伴う平坦壁をそれぞれに有し、この開口は、開口自体を通過する入口および出口管支持部の一方に嵌るように構成され寸法付けられる。他の実施形態では、管支持部は、筐体の1つの一体化部品として形成される。管支持部は、これによりカセット筐体への組立を要する別部品ではなく筐体の成型特徴部となる。
【0023】
[0031] 可撓管は、管支持部の雄接合部に覆われてカセットの端部同士の間に一直線に保持される。管の配置は、露出または被覆されうる筐体の一部を横切る。
【0024】
[0032] 第1および第3の外壁の間に垂直に配置される第2の外壁は、2つの直壁部と、これらの間に配置される剛性湾曲壁部とを有し、剛性湾曲壁により領域を規定し、輸液ポンプに係合されるときに当該領域に隣接して管の長尺部がポンピング機構に係合して管を通る流体を流動させる。剛性湾曲壁は、輸液ポンプのポンピング機構を回転自在にするように構成され寸法付けられ、可撓管が通過可能な開口を両側に有する。ポンプに係合されるときに、管の長尺部は、湾曲壁とポンピング機構との間に接触して配置される。湾曲壁は、ポンピング機構の繰返し作用に耐えるのに適した強度および剛性を有していなければならない。
【0025】
[0033] 筐体は、外壁に対して垂直な第1の面を有する。第1の面は、筐体の4つの壁の外寸と一致するように矩形状に構成され寸法付け可能であり、または第3の外壁の湾曲壁部と一致するように構成され寸法付けられる切取部を有してもよい。第1の面は、輸液ポンプの係合凹部を受け入れるように構成され寸法付けられた位置合わせ溝と、タブ部材が貫通可能な開口とを有する。
【0026】
[0034] 筐体は、第1の面とは反対面に外壁に対して垂直な第2の面を有する。この第2の面は、筐体の4つの壁の外寸と一致するように矩形状に構成され寸法付け可能であり、または第3の外壁の湾曲壁部と一致するように構成され寸法付けられる切取部を有してもよい。切取部を伴う第1および第2の面は、これにより管を露出させる開口を形成し、矩形の面は、管を覆って保護する。第2の面は、少なくとも1つの開口、好ましくは筐体の対向する端部に配置された2つの開口を有する。開口は、管の配置と一直線をなし、流体および泡または異物の存在を観察可能にする窓として機能する。これは、湾曲部の管が両面で覆われ、これにより管の当該部分の視認が妨げられるときに特に重要である。
【0027】
[0035] カセットは、筐体に関係付けられ可動部材および力付与部材を有するフロー防止弁機構を有する。可動部材は、締付ヘッドと、筐体の第1の面の開口を通じて可動部材および力付与部材の向きに対して垂直に突出するタブ部材とを有する。力付与部材は、カセットが輸液ポンプに係合されないときに、管に対して可動部材を付勢して流れを阻止する。可動部材を付勢するために用いられる力付与部材は、圧縮ばね、板ばね、または弾性部品でありうる。可動部材は、力付与部材に接触する側に広い面を有し、管に接触する側に狭い面を有する。狭い面は、力付与部材の力を集中させるように機能し、管に対する可動部材の閉塞作用を向上させる。可動部材および締付ヘッドの全体構成は、様々な形状をなし、最も好ましくは「T形」または「楔形」をなす。可動部材は、管を押し付ける端部とは反対に座部を有することができ、この座部は、力付与部材を所定位置に保持する。
【0028】
[0036] タブ部材は、筐体およびフロー防止弁機構と連動し、流体非搬送位置と流体搬送位置との間で可動である。カセットがポンプに係合されるときに、タブは、後方に押され、これにより可撓管との接触状態から可動部材を後退させ、力付与部材の蓄積力を増加させる。カセットが輸液ポンプから係合解除されるときに、力付与部材の蓄積力は、解放されて可動部材およびタブ部材を付勢された流体非搬送位置に復帰させる。
【0029】
[0037] タブ部材は、カセットが輸液ポンプに係合されないときに所定の延長期間に亘って開放流体搬送位置に固定されて管が恒久的に圧迫または変形されないように設計されてもよい。このような抑圧、締付、または変形は、カセットと輸液ポンプの両方が適切に作動するときでも、管を通る流体の流れに不適正な量の流れをもたらしうる。タブ部材は、タブ部材107と筐体面50の縁部との間の開口57に嵌められるプラグを用いて開放位置に保持されうる。プラグは、そして引き出されてカセットを作動させ、フロー防止弁機構を付勢された流体非搬送位置に復帰させる。カセットに関連付けられたラッチ、キャッチ、およびフックは、保管のために開放流体搬送位置にタブを保持するためにも利用でき、カセットが利用されるときに取り外されうる。
【0030】
[0038] 他の実施形態では、本発明は、流体貯蔵器と患者との間で管上をスライドされる再利用可能なカセットを目的とする。第2の実施形態は、略矩形で、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられた幅を伴い、4つの外壁と2つの面を有する筐体を有する。
【0031】
[0039] 2つの外壁は、流体を方向付ける管を保持する第1および第2の端部を規定する。第1および第2の端部を形成する外壁は、開口を伴う平坦壁をそれぞれに有し、この開口は、開口自体を通過する入口および出口管支持部のいずれかに嵌るように構成され寸法付けられる。
【0032】
[0040] 入口および出口管支持部は、開口を有するブッシングであり、この開口は、可撓管がブッシングに押し入れられるが、所定位置にぴったりと保持され続けるのに適するように構成され寸法付けられる。ブッシングは、カセットが輸液ポンプに係合されないときに、カセットが管を滑り落とすことを防止し、カセットがポンプに係合されるときに、管が滑ることを防止する。
【0033】
[0041] 輸液ポンプは、関連するカセットに係合されるように構成され寸法付けられる。ポンプは、カセットを挿入可能な開口、またはカセットを据付可能な窪みまたは凹部を有する。
【0034】
[0042] 本発明の他の実施形態は、輸液ポンプと、輸液ポンプのポンプ機構に係合して患者へ流体を正確かつ繰返し可能に搬送するように構成される管を伴うカセットとを有する流体搬送システムに関する。
【0035】
[0043] カセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体を有することが有利であり。管は、管を通る流体を流動させる輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される。管の長尺部は、ポンピング機構に係合する前の初期にカセットの第1および第2の端部の間に、好ましくは一直線に保持される。筐体の第1および第2の端部の位置は、流体の流れのために管が引っ張られる流れ経路を少なくとも部分的に規定し、管の長尺部は、可撓管を引き伸ばし、管に繰返し張力を付与して管に流体が適正に流れるようにするポンピング機構により、流れ経路に正確かつ繰返し可能に配置される。流れ経路は、筐体の剛性湾曲壁の正面に少なくとも部分的に規定されることが有利であり、固定された剛性湾曲壁は、ポンピング機構に対向する凹部を形成する。ポンプのポンピング機構に係合されるときに、管の長尺部は、ポンピング機構および管の係合のたびに湾曲壁とポンピング機構との間に接触して配置される。ポンピング機構および管の係合のたびに、ポンピング機構は、可撓管を正確かつ繰返し引き伸ばし、湾曲壁に接触させ、管に張力を付与して管を通る流体を適正に流す。
【0036】
[0044] 管は、ポンプへのカセットの係合が初期位置と流体搬送位置との間で管を移動させ、管が湾曲壁に接触するときに、所定位置に移動されてもよく、あるいは、ポンピング機構は、ポンプへのカセットの係合後に、湾曲壁と接触する流体搬送位置に管を移動させる。
【0037】
[0045] ポンピング機構またはカセットの一方は可動部品であり、他方は固定位置に維持されうる。ポンピング機構が固定位置にある場合、可撓管は、カセットを移動してポンピング機構に接触させることにより係合状態となり、輸液ポンプに係合されるときにカセットが固定位置にある場合、ポンピング機構は、移動して管に接触させることにより可撓管に係合する。
【0038】
[0046] カセットは、初期に流体非搬送位置で管に対して付勢されて管を通る流れを阻止するフロー防止弁機構と、筐体がポンプに係合されるときに、カセットおよびフロー防止弁機構に連動して力付与部材の付勢を克服して管に流体が流れるようにする部材とを含むことが好ましい。筐体は、輸液ポンプとの係合のために構成され寸法付けられ、この部材は、係合中または係合後に、流体搬送位置を占めて管に流体が流れるようにし、カセットがポンプから取り外される前または取り外されると、流体非搬送位置を占めて管を通る流れを阻止する。
【0039】
[0047] フロー防止弁機構は、管、カセットもしくは筐体に係合され、またはカセットもしくは筐体の内部もしくは付近に配置され、可動部材および力付与部材を有することが好ましい。流体非搬送位置にある力付与部材は、管に対して可動部材を付勢して管を通る流れを阻止し、可動部材は、流体非搬送位置と、管に流体が流れるようにするために力付与部材の付勢が取り除かれる流体搬送位置との間で可動である。
【0040】
[0048] カセット筐体は、輸液ポンプとの係合のために構成され寸法付けられる。筐体は、略矩形で、輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、または輸液ポンプの外側に装着または併設可能な形状およびサイズに構成され寸法付けられる。筐体は、輸液ポンプとの係合中におけるカセットの位置合わせのための位置合わせ溝を有する。さらに、筐体は、管に隣接する少なくとも1つの窓を含み、管を通る流体の流れの監視または検出を可能にする。筐体は、成型プラスチックから作られ、管は、弾性材またはシリコン材から作られる。
【0041】
[0049] 管は、筐体内の入口および出口管支持部の間で保持される。それぞれの管支持部は、雄接合部および雌接合部を含み、入口支持部では管の内側に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、流体供給部へ延びる管を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられ、出口支持部では管の内側に嵌るように雄接合部が構成され寸法付けられ、患者へ延びる管の長尺部を受け入れるように雌接合部が構成され寸法付けられる。
【0042】
[0050] 本発明の他の実施形態は、前述したカセットと、輸液ポンプとを有する流体搬送システムに関する。輸液ポンプは、カセットを受け入れるように構成され寸法付けられた開口を有する筐体と、可撓管に係合し、管を引き伸ばして当該管を湾曲壁に沿って配置し、十分な張力を付与して正確かつ繰返し可能な量の流体を管を通じて流すことを可能にするポンピング機構とを含む。輸液ポンプとカセットの組合せは、本発明の更に他の実施形態を表す。
【0043】
[0051] 輸液ポンプは、第1の実施形態では、適切な寸法のカセットを挿入可能な開口を有し、第2の実施形態では、輸液ポンプの外側面にカセットを取り付けて固定するための特徴部を有し、それぞれカセットに係合するのに適するように設計され構成される。ポンプの開口は、カセットを斜めにスライド可能なスリットでもよく、カセットを据付可能な、ポンプの面の窪みまたは凹部でもよい。輸液ポンプの外側面にカセットを取り付けるための特徴部は、タブ、クリップ、ラッチ、キャッチ、ファスナー、またはこれらの組合せを含む。カセットは、ポンプの開口、窪み、または凹部への挿入、または前述した特徴部を用いて輸液ポンプの外側に装着または併設させることにより輸液ポンプに係合されうる。
【0044】
[0052] 輸液ポンプは、一般に、可撓管に係合するポンピング機構を含み、このポンピング機構は、機構自体が係合されるときに、管を通じて流体が適正に流れるようにするのに十分な量で管に張力を付与するのに必要な量で流れ経路に従って管を引き伸ばす。ポンピング機構は、カセットが輸液ポンプに係合するたびに同一の程度に可撓管を引き伸ばす。
【0045】
[0053] 輸液ポンプは、カセットの位置合わせ溝に係合する少なくとも1つの位置合わせ部品と、管を通る流体の流れを監視または検出するための、カセットの窓に光学的に整列される少なくとも1つのセンサとを有してもよい。
【0046】
[0054] 本発明の他の実施形態は、輸液セットの管を通じて流体を正確かつ繰り返し供給する方法に関する。この方法は、患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに管を備え付けることを含み、カセットは、流体を方向付ける可撓管を保持する第1および第2の端部を有する筐体と、剛性湾曲壁により少なくとも部分的に規定される流れ経路と、管に関連付けられて引き伸ばされ、ポンピング機構と湾曲壁との間に配置されて管を通る流体を流動させるときに、輸液ポンプのポンピング機構に係合する管の長尺部を有する。
【0047】
[0055] この方法では、カセットは、輸液ポンプを介して患者に流体を正確に搬送するために利用される。カセットは、湾曲壁を有し、輸液ポンプのポンピング機構に係合すると、管が引き伸ばされ、ポンピング機構と湾曲壁との間の流れ経路に少なくとも部分的に沿って配置されて患者に流体を正確かつ繰返し可能に搬送することを特徴とする。カセットは、輸液ポンプを介して患者に流体を正確かつ繰返し可能に搬送するために利用される。
【0048】
[0056] 本発明の更に他の実施形態は、ここで開示されるカセット、流体搬送システム、および/またはポンプのいずれかの、輸液セットの管を介して患者へ流体を正確に搬送するための利用に関する。ここで説明するように、カセットは、少なくとも部分的に流れ経路を規定する湾曲壁などの構造を含み、輸液ポンプのポンピング機構に係合すると、管が引き伸ばされ、ポンピング機構と湾曲壁との間の流れ経路に沿って配置されて患者に流体を正確かつ繰返し搬送する。
【0049】
[0057] 図1を参照すると、本発明に係る好ましいカセット1の様々な部品を見ることができる。カセット1は、筐体5、可撓管75、および管支持部15、35を含んでいる。可撓管75は、第2の外壁20の第1直壁部22と第2直壁部28との間で剛性湾曲壁25により形成される部分に跨っている。可撓管は、湾曲壁25の両側の開口24を通過して入口支持部15および出口支持部35に接している。タブ部材107は、輸液ポンプに関連する作動機構に係合するのに十分に、第1の面50の開口57を通じてフロー防止弁機構100の可動部材103から突出している。位置合わせ溝53は、第1の面50に配置され、カセットの位置合わせ溝に嵌るように構成され寸法付けられる輸液ポンプの凸部を受け入れる。位置合わせ溝は、様々な長さ、断面サイズ、および非限定的に三角形、四角形、矩形、「T」形、および円形を含む形状でありうる。
【0050】
[0058] 図2を参照すると、可撓管75は、入口管支持部15と出口管支持部35との間に配置されている。可撓管75がポンプ機構により剛性湾曲壁25に押し付けられるときに、可撓管を通る流体の流れを筐体5の第2の面60の開口68を通じて観察できる。このことは、気泡検出または他の監視装置の利用も可能にし、流体が管75を通じて適切に流れることを確実にする。
【0051】
[0059] 図3Aを参照すると、筐体5の第1の面50の開口57を通じて突出するタブ部材107は、デフォルトの流体非搬送位置にあり、ここでは、図3Bに示すように、力付与部材110は、可動部材103を押し付け、締付ヘッド105に補強部109に対して可撓管75を圧迫させ、これにより流体の流れを阻止する。
【0052】
[0060] 図4Aを参照すると、筐体5の第1の面50の開口57を通じて突出するタブ部材107は、アクティブな流体搬送位置に移動可能であり、ここでは、図4Bに示すように、力付与部材110は、寸法が縮められ、可動部材103が可撓管75から離れて後退することにより蓄積力を増し、可撓管に対する締付ヘッド105の力を解放し、これにより流体のフリーフローを可能にする。この動作は、カセットがカセットを受け入れるように設計された随伴の輸液ポンプに挿入されるときもしくは挿入されると自動的に達成され、またはポンプが作動するときにのみタブを移動させて弁を開放させるポンプ筐体自体の機構により達成される。ポンプは、従来のローラー部材またはフィンガー部材を含み、運転のために作動されるときに、管を圧迫して管を通じて流体を流れさせる。前述したように、ポンプが作動するまでに、フロー防止弁機構は、管が閉塞されず流体が流れるようにする位置に移動される。カセットがポンプから係合解除されるとき、またはポンプの作動が停止されるときに、フロー防止弁機構は、流体非搬送位置に復帰して管を通る流れを阻止し、よって意図しないフリーフロー状態を回避する。
【0053】
[0061] 図5を参照すると、フロー防止弁機構100、可撓管75、入口管支持部15、および出口管支持部35の筐体5内での内部配置を、第2の外壁20の第1の直壁部22と第2の直壁部28との間に位置する両側の開口24により剛性湾曲壁部25を基準として明らかに見ることができる。力付与部材110は、第4の直壁部40と可動部材103との間に配置され、これにより可撓管75に対して締付ヘッド105を押し付け、管は、第2の外壁20の第1の直壁部22に隣接する補強部109に対して押し付けられて閉塞される。
【0054】
[0062] フロー防止弁機構は、図に示すように、カセットの入口側に配置されることが好ましいが、出口側に配置されてもよい。
【0055】
[0063] 筐体5は、輸液ポンプに嵌るのに適した寸法および幅の矩形であることが好ましいが、ポンプ内に嵌めるために必要であれば他の形状でもよい。筐体は、破壊や汚染発生を伴わず医療環境での利用に適した材料からなり、廃棄可能であるか、または後の再利用のための洗浄、高圧滅菌、もしくは衛生化が可能であってもよい。一般に、この目的のためにエンジニアリングプラスチックが利用される。筐体は、閉じられた筐体内で力付与部材、可動部材、および管支持部の簡単かつ安定的な配置を可能にする。筐体は、後に組み立てられ内側から他の部品で密閉される2以上の成型部品から形成されてもよい。筐体は、恒久的に密閉され、またはタブ、クリップ、ラッチ、キャッチ、ファスナー、もしくはこれらの組合せにより係合され、洗浄または交換のために内部部品へのその後のアクセスを可能にする。
【0056】
[0064] 第4の外壁40は、カセット1を輸液ポンプに挿入しまたはその外部に固定するときに容易に押し付け可能な硬い平坦面であることが好ましいが、他の輪郭、材料、開口、または特徴部を有してもよい。
【0057】
[0065] 第2の外壁20は、輸液ポンプおよびポンピング機構に係合するように構成され寸法付けられる、直線部と湾曲部の両方を有している。剛性湾曲壁25は、輸液ポンプのホイールおよびローラーを受け入れるように構成され寸法付けられ、ポンプの運転中にこれらの要素が自由回転し、ローラーが可撓管75を圧縮して適切にポンピング動作を引き起こす。カセットは、輸液ポンプのローラーまたはフィンガーが可撓管を繰返し押し付けて壁に圧迫しても、湾曲壁がその形状を維持するのに十分な強度および剛性を有するように設計される。湾曲壁の開口24の縁部は、カセット1が輸液ポンプに挿入され、輸液ポンプのホイールおよびローラーが湾曲凹部に対して可撓管を押し戻すときに可撓管を締め付けるような隅部を避けるために面取りされることが好ましい。
【0058】
[0066] 剛性湾曲壁部の両側の開口24は、カセットが輸液ポンプに挿入されるときに、湾曲部の片側の縁部に対して押しつけられても流れを完全に締付けずに湾曲凹部の輪郭に沿うことを可撓管75に可能にし、筐体が輸液ポンプに挿入されず2つの管支持部の間に一直線の位置で固定されるときに、可撓管と一直線をなすのに適するようにサイズ決定され、構成されて寸法付けられる。
【0059】
[0067] カセットおよびポンプの構成および寸法に適合された可撓管の固定位置および長さは、カセットがポンピング機構により係合されるたびに可撓管に同一の張力を形成する。カセットへのポンピング機構の係合は、そしてポンプの運転中に適正かつ正確な量で流体が流れるようにするのに適した張力を可撓管に形成する。
【0060】
[0068] 一実施形態では、第1の外壁10は、開口12を有し、この開口は、その開口自体を通過する入口管支持部15を保持するように構成され寸法付けられ、第3の外壁30は、開口32を有し、この開口は、その開口自体を通過する出口管支持部35を保持するように構成され寸法付けられる。
【0061】
[0069] 他の実施形態では、管支持部は、第1および第3の外壁の一部として成型されて筐体壁の1つの一体部品を形成する。
【0062】
[0070] いずれの実施形態でも、管支持部15、35は、アダプタまたはブッシングの形態を取る。アダプタは、入口側および出口側で異なる管でアダプタ間に固定される、可撓管の他の長尺部を接続する。ブッシングは、カセットが輸液ポンプに係合されないときに、可撓管の単一の部品に突き倒され、2つのブッシングの間にこの部品をぴったりと保持し、カセットから管が滑り落ちないようにするのに適した寸法の内径を有する。
【0063】
[0071] 管支持部は、流体の流れの観察、および泡または閉塞の検出または監視を可能にする透明材から作ることができる。あるいは、後述するように、この目的で筐体に窓が備え付けられてもよい。
【0064】
[0072] 筐体の成型部品でなければ、管の異なる部品を接続するために用いられるアダプタは、第1の外壁開口12または第3の外壁開口32で筐体の所定位置に保持されるようにサイズ決定され、構成され寸法付けられる立方体状の中央部を有することが好ましい。このアダプタは、中央部から筐体内に延び、可撓管が押し込まれて気密シールを形成可能な外径を有する1つの円形雄接合部と、中央部から筐体5の外側に延び、静脈ラインが押し入れられて気密シールを形成可能な内径を有する1つの円形雌接合部とにより保持される。雄接合部は、可撓管をよりよく固定するためのあご部を有してもよい。この構成が好ましいが、ここで説明する方法および位置で管を保持する他の設計が用いられてもよい。
【0065】
[0073] 筐体の成型部品でなければ、可撓管の長尺部を保持するために用いられるブッシングは、第1の外壁開口12または第3の外壁開口32で、中央部から筐体内に延びる内側応力解放部と、中央部から筐体の外側に延びる外側応力解放部とにより、筐体の所定位置に保持されるようにサイズ決定され、構成され寸法付けられる立方体状の中央部を有することが好ましい。孔は、ブッシングを通過する可撓管をぴったりと覆うような寸法の直径を有する。ブッシングは、可撓管75をぴったりと保持するので、カセットは、管によりぶら下げられても管を滑り落とさず、カセットが輸液ポンプに挿入されるときに、管を引っ張る輸液ポンプの動作による可撓管の張力の変化を防止する。
【0066】
[0074] 可撓管75は、最も好ましくはシリコンなどの透明で柔軟な医療グレード材であることが好ましい弾性材から作ることができる。
【0067】
[0075] フロー防止弁機構100は、締付ヘッド105とは反対の面で力付与部材110と連動する可動部材103を有している。力付与部材と接触する可動部材の面は、力付与部材と可動部材との間で十分な接触を可能にするのに適するように寸法付けられ、力付与部材の力を締付ヘッドに伝達する。可動部材の面は、力付与部材を据え付け、これにより力付与部材を一直線に維持して2つの部品の間の接触ロスを防止することができる、凸部または凹部を有することが好ましい。
【0068】
[0076] 可動部材103は、力付与部材側の接触端部で広い寸法を有し、締付ヘッド105側の端部で狭い寸法を有し、可動部材103の面から力付与部材110および締付ヘッド105の軸線に対して垂直に突出するタブ部材107を有することが好ましい。締付ヘッドは、「T」、「U」、「V」または楔などの異なる形状を有してもよい。このような形状は、力付与部材の力を小さな領域に集中させ、デフォルトの非搬送位置で可撓壁に対する閉塞作用を向上する。管と接触する締付ヘッドの端部の形状は、平坦面、ある範囲の半径を伴う湾曲面、または鋭角隅部のいずれでもよいが、湾曲面であることが好ましい。このような湾曲端面は、可動部材が非搬送位置にあるときに圧着される管の部分の磨耗を抑制する。
【0069】
[0077] 締付ヘッド105は、カセットが輸液ポンプに挿入されないときに、可撓管75の一側を押し付け他側を補強部109に対して圧迫し、これにより管を閉塞して流体のフリーフローを防止する。
【0070】
[0078] タブ部材107は、可動部材103から筐体5の第1の面50の開口57を通じて締付ヘッドに対して垂直に突出する。タブ部材107は、筐体5の第1の面50の上方に突出し、輸液ポンプの作動機構に係合するのに十分に長い。このことは、カセット1が輸液ポンプに係合されるときに、可動部材103を後退させて力付与部材110の蓄積力を増加させる。可動部材103は、カセットが輸液ポンプに係合されるときに、力付与部材の力に抵抗しながら輸液ポンプの作動機構へのタブの繰返し係合に耐え、カセットがポンプから係合解除されるときに、締付ヘッドと可撓管との間の接触に耐えるのに十分な頑丈な耐衝撃材で作られている。
【0071】
[0079] 力付与部材110は、第4の外壁40と可動部材103との間に配置され、これにより締付ヘッドを通じて力を伝達して可撓管75を圧迫する。力付与部材は、カセット1が輸液ポンプに係合されるときに、蓄積力を増加させ、作動機構とタブ部材107との間の接触は、フロー防止弁機構100を後退させる。力付与部材は、ステンレススチールまたは医療環境での利用に適した他の材料から作られる円形の圧縮ばねであることが好ましいが、板ばね、梃子、または弾性要素でもよい。力付与部材は、タブが解放されるときに、可撓管を完全に締め付けて閉塞するのに十分な強度を有するが、カセットが輸液ポンプに係合されるときに圧迫されてもよい。力は、「T」、「U」、「V」または楔などの異なる形状を有する締付ヘッドを通じて管に付与される。これらの形状は、締付ヘッドと可撓管との間に小さな接触面をもたらし、これにより力付与部材により付与される力が集中する。
【0072】
[0080] 図6を参照すると、筐体5の第1の面50は、矩形であり筐体の外壁の寸法と一致することが好ましいが、湾曲切取部を有してもよい。この湾曲切取部は、第2の外壁20の直壁部22、28および湾曲壁部25と一致するように構成され寸法付けられて第2の面の切取部とともに開放領域を形成し、これにより管75を露出させる(図1参照)。第1の面50は、開口57を有し、この開口は、ピストン103のタブ部材107が開口を通じて第1の面の上方に突出することを可能にするのに適するように配置されている。第1の面50は、輸液ポンプの凸部を受け入れるように構成され寸法付けられた2つの位置合わせ溝53を有している。溝53は、カセット1の向きを規定し、カセットを輸液ポンプ内に一方向でのみ挿入可能にする。溝は、直線状であることが好ましい。
【0073】
[0081] 筐体5の第2の面60は、筐体の外壁の寸法と一致する矩形であることが好ましいが(図6参照)、湾曲切取部を有してもよい。この湾曲切取部は、第2の外壁20の直壁部22、28および湾曲壁部25と一致するように構成され寸法付けられて第2の面の切取部とともに開放領域を形成し、これにより管75を露出させる(図1参照)。第2の面60は、入口管支持部15および出口管支持部35により管が一直線位置に保持されるときに、可撓壁の位置と一直線をなして湾曲切取部の反対側に配置される2つの開口68を有している。これらの開口は、流体の流れおよび泡もしくは閉塞の存在の観察を可能にする。
【0074】
[0082] 面50、60または壁40のいずれかは、適切な位置に力付与部材を保持するための特徴部を有している。
【0075】
[0083] 図7A〜7Dを参照すると、カセットおよび輸液ポンプは、カセット/ポンプ流体搬送システム3を有している。図7Aを参照すると、輸液ポンプ2は、カセット1の可撓管75に係合するポンプ機構210を収容する筐体205と、カセットのタブ部材107に係合可能な作動機構220とを有し、カセットを筐体に装着または併設させるための特徴部(不図示)を任意に有している。
【0076】
[0084] ポンプ筐体201は、カセット1を受け入れて係合するように構成され寸法付けられている。係合は、カセットを受け入れるように構成され寸法付けられた、筐体の一面の開口230、凹部、もしくは窪みへのカセット1の挿入、または筐体の外側の所定位置へのカセットの装着もしくは併設により達成される。カセットは、装着または併設されて、タブ、クリップ、ラッチ、キャッチ、ファスナーまたはこれらの組合せなどの特徴部により固定される。
【0077】
[0085] ポンプ機構210は、回転自在な中央ハブ215の周囲に配置された1以上のローラー212またはフィンガーを有し、可撓管に係合するときに、カセットの剛性湾曲壁25により規定される領域内に嵌るように構成され寸法付けられている。ポンプ機構210は、ポンプ機構210のローラー212またはフィンガーとカセット25の剛性湾曲壁との間で管を押圧することにより、管75に張力を付与して引き伸ばす。ポンプ機構により係合されるときに(図7C参照)、初期にカセットの端部同士の間で一直線に保持されている管の長尺部が長い経路を取ることで、引伸しおよび引張りが生じる。この係合は、剛性湾曲壁とポンプ機構との間の空間に管を適合させる(図7D参照)。管75の長尺部は、湾曲壁25とポンピング機構のローラー212との間に接触して圧迫され、これによりポンプは、管を通じて流体を搬送できる。ポンピング機構は、カセットに係合されるたびに可撓管に同一の張力を形成し、この張力は、ポンピング機構が作動するときに、管を通じて適正かつ正確な量で流体が流れるようにする。位置、引張り、および流体の流れの量は、カセットとポンプが係合されるたびに再現可能である。ポンプ機構の作用は、可撓管を通じた適正かつ正確な量の流体の調節された流れを生じさせ、作用が停止すると、管を通じた流体の流れを制限する。
【0078】
[0086] ポンピング機構は、カセットがポンプに係合または挿入されるときに、カセットの存在を検出するセンサまたはトリガを用いて自動的に管に係合するように移動されてもよい。後退位置から可撓管に係合する突出位置へのポンピング機構の移動は、モーター、ピストン、または同様な駆動機構を用いて達成できる。ポンピング機構は、初期位置と、湾曲壁25とポンピング機構のローラー212との間で管が圧迫される位置との間で線形または円形の経路を辿ってもよい。ポンピング機構は、管の平面を移動することが好ましく、そのため、管が湾曲壁とポンピング機構との間に接触して正確に配置されるように、ローラーが適切な角度で管に接触して適切な量で管を引き伸ばす。
【0079】
[0087] 他の実施形態では、ポンピング機構は、カセットの平面に対して垂直な位置から管の平面の所定位置まで振り上がるように、管の軸線に対して平行な軸線を中心として回転してもよい。
【0080】
[0088] 輸液ポンプ2は、フロー防止弁機構100のタブ部材107に係合する作動機構を有している。このフロー防止弁機構100は、流体非搬送位置(図3A参照)と流体搬送位置(図3B参照)との間でタブ部材107を移動させ、管に流体が流れるようにする。
【0081】
[0089] 作動機構は、カセットがポンプに係合中にタブ部材107と接触してタブを流体搬送位置に移動させ、カセットが輸液ポンプに挿入された後に(図7C、7D参照)タブをそこに保持する突起または壁220のいずれかを有してもよい。
【0082】
[0090] 突起または壁220は、ポンプの筐体から突出してタブ部材の経路に突出するように構成され寸法付けられ、これによりカセットがポンプに挿入されるときに(図7C、7D参照)、ポンプ筐体5の開口230に特定の距離を越えてタブが移動することを防止する。突起は、タブ部材の経路に位置するタブ部材と略同一のサイズの凸部でもよい。突起は、タブ部材の移動をブロック可能な形状でありうるが、タブと接触する平坦面および接触面から後方に離れた楔状の勾配を有する楔形状であることが好ましい。この構成は、タブ107と作動機構220との間に、磨耗または破壊なしにカセットの繰返し挿入に抵抗するのに十分な強度および耐久性を伴う最大の接触面をもたらす。突起は、輸液ポンプへのカセットの実際の挿入との干渉を回避するように適するようにサイズ決定されるべきである。壁は、タブ部材の経路を横切って垂直に突出し、タブ部材の経路に対して垂直な壁の長尺部は、タブ部材の幅よりも少なくとも大きく、輸液ポンプ筐体の開口の全長を横切って延びる。
【0083】
[0091] 他の実施形態では、作動機構は、流体非搬送位置と流体搬送位置との間でタブ部材を移動させるように構成され寸法付けられた、アームまたは複数部品の組立体でもよい。作動機構は、カセットがポンプに係合されまたは挿入されると、カセットがポンプに係合されまたは挿入された後に、またはポンピング機構がカセットの可撓管に係合すると、または係合した後に、タブ部材を移動させうる。作動機構は、タブ部材を移動させるときに、カセットとポンピング機構の両方を自立的に移動させうる。輸液ポンプへのカセットの係合、ポンピング機構の係合、および搬送位置と非搬送位置との間でのフロー防止弁機構の移動の順序、ならびにカセットを係合解除する逆の順序は、流体搬送システムの適用の特定の要件に適応するように変更できる。
【0084】
[0092] 作動機構の移動は、ポンプまたはポンピング機構へのカセットの係合、ポンピング機構の作動によりトリガされてもよく、個別のトリガイベントにより自動でトリガされてもよく、選択された時間で利用者により手動でトリガされてもよい。カセットへのポンピング機構の係合が流体搬送位置へのタブ部材の押圧を作動機構に促す場合、タブ部材の移動は、フロー防止弁機構100が流体搬送位置に移動される前に、ポンピング機構のローラー212が管75を締め付けて閉塞することを可能にするように十分に遅らせられてもよい。このことは、他の位置で圧迫を解く前に、ある位置で可撓管の圧迫を可能にし、これにより管を通じた一時的な液漏れを防止する。
【0085】
[0093] タブ部材への作動機構の係合は、センサ、スイッチ、またはトリガを用いて、カセットがポンプに係合されまたは挿入されると自動で開始できる。タブ部材への作動機構の係合は、ポンプを始動させる利用者により手動で開始されてもよく、センサ、スイッチ、またはトリガを自立的に作動させることにより開始されてもよい。タブ部材に係合する作動機構の移動は、モーター、ピストン、または同様な装置などの駆動機構を用いて達成できる。駆動機構は、作動機構を直接移動させることができ、またはポンピング機構を直接移動させ、ポンピング機構に関連して作動機構を移動させてもよい。
【0086】
[0094] ポンプからのカセットの取り外しは、作動機構を自動的に係合解除してタブ部材を解放し、力付与部材は、付勢された流体非搬送位置に復帰されて管を通る流れを阻止する。あるいは、カセットが輸液ポンプに挿入された後に輸液ポンプの作動機構がタブ部材107に係合するときに、フロー防止弁機構100を流体搬送位置に移動する前にポンピング機構のローラー212により可撓管の圧迫が可能となり、作動機構は、タブ部材を係合解除して解放し、力付与部材110は、ローラーによる圧迫が解放されてカセットがポンプから取り外される前に、可動部材103を流体非搬送位置に復帰させて管を通る流れを阻止する。これは、管を通じた一時的な液漏れを防止する。
【0087】
[0095] 輸液ポンプへのカセットの係合、ポンピング機構の係合、および搬送位置と非搬送位置との間でのフロー防止弁機構の移動、ならびにカセットを係合解除する逆の順序は、流体搬送システムの適用の特定の要件に適応するように変更できる。
【0088】
[0096] 輸液ポンプは、カセットの位置あわせ溝を係合する1以上の位置合わせ部品を有することもできる。位置合わせ部品は、ピン、凸状通路、または他の凸部でありうる。位置合わせ部品は、カセット面の位置合わせ溝に嵌るように構成され寸法付けられ、不適正な方法または向きでのカセットへのポンプの係合を防止する。位置合わせ溝は、様々な長さ、断面サイズ、非限定的に三角形、四角形、矩形、「T」形、および円形を含む形状でありうる。
【0089】
[0097] これらの記載は、本発明の好ましい実施形態を示すものにすぎず、いかなる方法によっても本発明を限定しようとするものではない。他の修正および変更された実施形態は、当業者にとって明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットであって、
流体を方向付ける可撓性の管を保持する第1および第2の端部を有する筐体であり、前記管が該管を通る流体を流動させる前記輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される筐体と、
流体非搬送位置で前記管に対して付勢されて該管を通る流れを阻止するフロー防止弁機構と、
前記フロー防止弁機構と連動しており、前記筐体が前記輸液ポンプに係合されるときに力付与部材の付勢を克服して前記管に流体が流れるようにする部材と
を備え、
前記筐体が前記輸液ポンプとの係合のために構成されて寸法付けられ、係合中または係合後に前記部材が流体搬送位置を占めて前記管に流体が流れるようにし、当該カセットが前記輸液ポンプから取り外される前または取り外されると前記部材が前記流体非搬送位置を占めて前記管を通る流れを阻止する、カセット。
【請求項2】
前記フロー防止弁機構が、前記管、当該カセットもしくは前記筐体に係合され、または当該カセットもしくは前記筐体の内部もしくは付近に配置され、可動部材および力付与部材を有し、
前記部材が前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間で可動なタブ部材であり、前記輸液ポンプへの前記筐体の係合前に前記タブ部材および可動部材が前記流体非搬送位置にあり、係合中または係合後に前記タブ部材が前記力付与部材の付勢を克服して前記可動部材を前記流体搬送位置に移動させる、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が前記力付与部材の付勢を変化させるように、当該カセットが前記輸液ポンプに係合すると前記タブ部材が可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、当該カセットが前記輸液ポンプから取り外されると前記タブ部材が解放され、前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰して前記管を通る流れを阻止する、請求項1に記載のカセット。
【請求項4】
前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が前記力付与部材の付勢を変化させるように、当該カセットが前記輸液ポンプに係合した後に前記タブ部材が可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、当該カセットが前記輸液ポンプから取り外される前に前記タブ部材が解放され、前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰して前記管を通る流れを阻止する、請求項1に記載のカセット。
【請求項5】
前記筐体が略矩形であり、前記輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、前記輸液ポンプの前記ポンピング機構に係合されるときに前記管の長尺部が剛性の湾曲壁と前記ポンピング機構との間に接触して正確に配置されるように、前記管の長尺部が初期に当該カセットの前記端部同士の間かつ前記筐体の前記湾曲壁の正面に一直線状に保持される、請求項1に記載のカセット。
【請求項6】
前記力付与部材が圧縮ばねを含み、前記フロー防止弁機構の可動部材が締付ヘッドを有し、該締付ヘッドが、前記力付与部材に接触する相対的に広い横断面と、前記管に接触して該管に対する前記力付与部材の力を集中させる相対的に狭い横断面とを有する、請求項1に記載のカセット。
【請求項7】
前記筐体が、前記輸液ポンプとの係合中に当該カセットを位置合わせするための位置合わせ溝を有し、前記筐体が、前記管に隣接して該管を通る流体の流れの監視または検出を可能にする少なくとも1つの窓を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項8】
前記筐体が成型プラスチックからなり、前記管が弾性材またはシリコン材からなり、該管が前記筐体内の入口支持部と出口支持部との間に保持され、前記管支持部のそれぞれが雄接合部および雌接合部を含み、前記入口支持部では、前記管内に嵌るように前記雄接合部が構成され寸法付けられ、流体供給部に延びる前記管を受け入れるように前記雌接合部が構成され寸法付けられ、前記出口支持部では、前記管内に嵌るように前記雄接合部が構成され寸法付けられ、患者へ延びる前記管の長尺部を受け入れるように前記雌接合部が構成され寸法付けられる、請求項1に記載のカセット。
【請求項9】
a)請求項1〜8のいずれか一項に記載のカセットと、
b)輸液ポンプと
を備え、
前記輸液ポンプが、前記カセットを受け入れまたは前記カセットに係合するように構成され寸法付けられる開口を有するポンプ筐体と、前記部材に係合するための作動機構であり、前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間で前記部材を移動させて前記管に流体が流れるようにする作動機構とを含み、前記ポンピング機構が、前記カセットが前記輸液ポンプに係合し、前記輸液ポンプが前記カセットの係合を検出し、かつ前記部材が前記流体搬送位置にあるときにのみ、可撓性の前記管に係合して該管を通る流体を流動させる、流体搬送システム。
【請求項10】
前記ポンピング機構が、該ポンピング機構および前記カセットが係合するたびに、前記管に流体が適正に流れるようにする十分な量で前記管に張力を付与するのに必要な量で可撓性の前記管を引き伸ばす、請求項9に記載の流体搬送システム。
【請求項11】
前記作動機構が、前記カセットが前記輸液ポンプに係合されると、または前記カセットが前記輸液ポンプに係合された後のいずれかに前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間で前記部材を移動させる、請求項10に記載の流体搬送システム。
【請求項12】
前記ポンピング機構が固定位置にあり、前記カセットを移動させて前記ポンピング機構に接触させることにより可撓性の前記管が前記ポンピング機構に係合し、または前記輸液ポンプに係合されるときに前記カセットが固定位置にあり、前記カセットを移動させて可撓性の前記管に接触させることにより前記ポンピング機構が可撓性の前記管に係合する、請求項9に記載の流体搬送システム。
【請求項13】
前記筐体が、前記輸液ポンプとの係合中に前記カセットを位置合わせするための位置合わせ溝を有し、前記筐体が略矩形であり、前記輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、前記輸液ポンプが、前記カセットの前記位置合わせ溝に係合する少なくとも1つの位置合わせ部品と、前記管を通る流体の流れを監視または検出するための窓と光学的に整列される少なくとも1つのセンサとをさらに有する、請求項9に記載の流体搬送システム。
【請求項14】
輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止する方法であって、
患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに前記管を備え付け、
前記管または前記カセットに可動部材および力付与部材を有するフロー防止弁機構を備え付け、前記輸液ポンプに係合されないときに、前記力付与部材が前記管に対して前記可動部材を付勢し、前記可動部材および前記力付与部材が流体非搬送位置に維持されて前記管を通る流れを阻止し、前記カセットが前記輸液ポンプに係合するときまたは係合した後に、前記力付与部材が、前記可動部材が前記管に対して付勢されず前記管に流体が流れるようにする流体搬送位置に前記輸液ポンプにより移動される、方法。
【請求項15】
前記カセットが、流体を方向付ける可撓性の管を保持する第1および第2の端部を有する筐体であり、前記管を通る流体を流動させる前記輸液ポンプのポンピング機構に係合する前記管の長尺部を保持する筐体と、
前記筐体および前記フロー防止弁機構と連動する部材であり、前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が前記力付与部材の付勢を変化させる部材と
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カセットが前記輸液ポンプに係合すると前記部材が前記可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、前記カセットが前記輸液ポンプから取り外されると前記部材が解放されて前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記カセットが前記輸液ポンプに係合した後に前記部材が前記可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、前記カセットが前記輸液ポンプから取り外される前に前記タブ部材が解放されて前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止するためのフロー防止弁機構の利用であって、
前記フロー防止弁機構が、筐体を有するカセットまたは前記管に備え付けまたは係合され、可動部材および力付与部材を有し、輸液ポンプに係合されないときに前記力付与部材が前記管に対して前記可動部材を付勢して前記可動部材および前記力付与部材が流体非搬送位置に維持され、前記管を通る流れを阻止し、前記カセットが前記輸液ポンプに係合するときまたは係合した後に、前記力付与部材が、前記可動部材が前記管に対して付勢されずに前記管に流体が流れるようにする流体搬送位置に前記輸液ポンプにより移動されることを特徴とする、利用。
【請求項19】
前記フロー防止弁機構が請求項1〜8のいずれか一項に記載のフロー防止弁機構である、請求項18に記載の利用。
【請求項1】
患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットであって、
流体を方向付ける可撓性の管を保持する第1および第2の端部を有する筐体であり、前記管が該管を通る流体を流動させる前記輸液ポンプのポンピング機構に係合するように構成される筐体と、
流体非搬送位置で前記管に対して付勢されて該管を通る流れを阻止するフロー防止弁機構と、
前記フロー防止弁機構と連動しており、前記筐体が前記輸液ポンプに係合されるときに力付与部材の付勢を克服して前記管に流体が流れるようにする部材と
を備え、
前記筐体が前記輸液ポンプとの係合のために構成されて寸法付けられ、係合中または係合後に前記部材が流体搬送位置を占めて前記管に流体が流れるようにし、当該カセットが前記輸液ポンプから取り外される前または取り外されると前記部材が前記流体非搬送位置を占めて前記管を通る流れを阻止する、カセット。
【請求項2】
前記フロー防止弁機構が、前記管、当該カセットもしくは前記筐体に係合され、または当該カセットもしくは前記筐体の内部もしくは付近に配置され、可動部材および力付与部材を有し、
前記部材が前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間で可動なタブ部材であり、前記輸液ポンプへの前記筐体の係合前に前記タブ部材および可動部材が前記流体非搬送位置にあり、係合中または係合後に前記タブ部材が前記力付与部材の付勢を克服して前記可動部材を前記流体搬送位置に移動させる、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が前記力付与部材の付勢を変化させるように、当該カセットが前記輸液ポンプに係合すると前記タブ部材が可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、当該カセットが前記輸液ポンプから取り外されると前記タブ部材が解放され、前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰して前記管を通る流れを阻止する、請求項1に記載のカセット。
【請求項4】
前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が前記力付与部材の付勢を変化させるように、当該カセットが前記輸液ポンプに係合した後に前記タブ部材が可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、当該カセットが前記輸液ポンプから取り外される前に前記タブ部材が解放され、前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰して前記管を通る流れを阻止する、請求項1に記載のカセット。
【請求項5】
前記筐体が略矩形であり、前記輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、前記輸液ポンプの前記ポンピング機構に係合されるときに前記管の長尺部が剛性の湾曲壁と前記ポンピング機構との間に接触して正確に配置されるように、前記管の長尺部が初期に当該カセットの前記端部同士の間かつ前記筐体の前記湾曲壁の正面に一直線状に保持される、請求項1に記載のカセット。
【請求項6】
前記力付与部材が圧縮ばねを含み、前記フロー防止弁機構の可動部材が締付ヘッドを有し、該締付ヘッドが、前記力付与部材に接触する相対的に広い横断面と、前記管に接触して該管に対する前記力付与部材の力を集中させる相対的に狭い横断面とを有する、請求項1に記載のカセット。
【請求項7】
前記筐体が、前記輸液ポンプとの係合中に当該カセットを位置合わせするための位置合わせ溝を有し、前記筐体が、前記管に隣接して該管を通る流体の流れの監視または検出を可能にする少なくとも1つの窓を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項8】
前記筐体が成型プラスチックからなり、前記管が弾性材またはシリコン材からなり、該管が前記筐体内の入口支持部と出口支持部との間に保持され、前記管支持部のそれぞれが雄接合部および雌接合部を含み、前記入口支持部では、前記管内に嵌るように前記雄接合部が構成され寸法付けられ、流体供給部に延びる前記管を受け入れるように前記雌接合部が構成され寸法付けられ、前記出口支持部では、前記管内に嵌るように前記雄接合部が構成され寸法付けられ、患者へ延びる前記管の長尺部を受け入れるように前記雌接合部が構成され寸法付けられる、請求項1に記載のカセット。
【請求項9】
a)請求項1〜8のいずれか一項に記載のカセットと、
b)輸液ポンプと
を備え、
前記輸液ポンプが、前記カセットを受け入れまたは前記カセットに係合するように構成され寸法付けられる開口を有するポンプ筐体と、前記部材に係合するための作動機構であり、前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間で前記部材を移動させて前記管に流体が流れるようにする作動機構とを含み、前記ポンピング機構が、前記カセットが前記輸液ポンプに係合し、前記輸液ポンプが前記カセットの係合を検出し、かつ前記部材が前記流体搬送位置にあるときにのみ、可撓性の前記管に係合して該管を通る流体を流動させる、流体搬送システム。
【請求項10】
前記ポンピング機構が、該ポンピング機構および前記カセットが係合するたびに、前記管に流体が適正に流れるようにする十分な量で前記管に張力を付与するのに必要な量で可撓性の前記管を引き伸ばす、請求項9に記載の流体搬送システム。
【請求項11】
前記作動機構が、前記カセットが前記輸液ポンプに係合されると、または前記カセットが前記輸液ポンプに係合された後のいずれかに前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間で前記部材を移動させる、請求項10に記載の流体搬送システム。
【請求項12】
前記ポンピング機構が固定位置にあり、前記カセットを移動させて前記ポンピング機構に接触させることにより可撓性の前記管が前記ポンピング機構に係合し、または前記輸液ポンプに係合されるときに前記カセットが固定位置にあり、前記カセットを移動させて可撓性の前記管に接触させることにより前記ポンピング機構が可撓性の前記管に係合する、請求項9に記載の流体搬送システム。
【請求項13】
前記筐体が、前記輸液ポンプとの係合中に前記カセットを位置合わせするための位置合わせ溝を有し、前記筐体が略矩形であり、前記輸液ポンプの開口に嵌るように構成され寸法付けられ、前記輸液ポンプが、前記カセットの前記位置合わせ溝に係合する少なくとも1つの位置合わせ部品と、前記管を通る流体の流れを監視または検出するための窓と光学的に整列される少なくとも1つのセンサとをさらに有する、請求項9に記載の流体搬送システム。
【請求項14】
輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止する方法であって、
患者への流体搬送用の輸液ポンプに係合するカセットに前記管を備え付け、
前記管または前記カセットに可動部材および力付与部材を有するフロー防止弁機構を備え付け、前記輸液ポンプに係合されないときに、前記力付与部材が前記管に対して前記可動部材を付勢し、前記可動部材および前記力付与部材が流体非搬送位置に維持されて前記管を通る流れを阻止し、前記カセットが前記輸液ポンプに係合するときまたは係合した後に、前記力付与部材が、前記可動部材が前記管に対して付勢されず前記管に流体が流れるようにする流体搬送位置に前記輸液ポンプにより移動される、方法。
【請求項15】
前記カセットが、流体を方向付ける可撓性の管を保持する第1および第2の端部を有する筐体であり、前記管を通る流体を流動させる前記輸液ポンプのポンピング機構に係合する前記管の長尺部を保持する筐体と、
前記筐体および前記フロー防止弁機構と連動する部材であり、前記流体非搬送位置と前記流体搬送位置との間でのタブ部材の移動が前記力付与部材の付勢を変化させる部材と
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カセットが前記輸液ポンプに係合すると前記部材が前記可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、前記カセットが前記輸液ポンプから取り外されると前記部材が解放されて前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記カセットが前記輸液ポンプに係合した後に前記部材が前記可動部材を前記流体搬送位置に移動させて前記管に流体が流れるようにし、前記カセットが前記輸液ポンプから取り外される前に前記タブ部材が解放されて前記可動部材が前記流体非搬送位置に復帰する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
輸液セットの管を通る流体のフリーフローを防止するためのフロー防止弁機構の利用であって、
前記フロー防止弁機構が、筐体を有するカセットまたは前記管に備え付けまたは係合され、可動部材および力付与部材を有し、輸液ポンプに係合されないときに前記力付与部材が前記管に対して前記可動部材を付勢して前記可動部材および前記力付与部材が流体非搬送位置に維持され、前記管を通る流れを阻止し、前記カセットが前記輸液ポンプに係合するときまたは係合した後に、前記力付与部材が、前記可動部材が前記管に対して付勢されずに前記管に流体が流れるようにする流体搬送位置に前記輸液ポンプにより移動されることを特徴とする、利用。
【請求項19】
前記フロー防止弁機構が請求項1〜8のいずれか一項に記載のフロー防止弁機構である、請求項18に記載の利用。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【公表番号】特表2012−516208(P2012−516208A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548114(P2011−548114)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021721
【国際公開番号】WO2010/088143
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021721
【国際公開番号】WO2010/088143
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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