説明

フリーラジカル架橋性ポリマー:架橋のための改良工程および組成物

本発明は、改良フリーラジカル架橋工程およびフリーラジカル架橋ポリマー組成物である。改良工程は、より高温の処理条件、より高速な架橋、または架橋密度の上昇をもたらす。架橋性ポリマー組成物は(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと、(2)フリーラジカル誘導種と、(3)架橋温度特性調整剤とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーラジカル架橋反応を受けるポリマー系に関するものである。特に本発明は、改良フリーラジカル架橋工程およびフリーラジカル架橋性ポリマー組成物に関する。改良工程は、より高温の処理条件、より高速な架橋、または架橋密度の上昇をもたらす。
【背景技術】
【0002】
多数のポリマーは、フリーラジカル反応を受けることができる。これらの反応の一部、たとえば所望の架橋温度は、有益であるが、残り、たとえば早期架橋、競合または分解は有害である。有益な架橋反応を促進しながら、同時に有害な反応の影響を最小限に抑える必要がある。
【0003】
一般にフリーラジカル架橋性ポリマーは架橋目的のために処理され、該ポリマーは公称架橋温度特性に従う。公称架橋温度特性は、温度に関連する3つの部分:(1)溶融処理温度部;(2)移行温度部;および(3)架橋温度部を有する。公称架橋温度特性は、選択したポリマーおよびフリーラジカル誘導種(または架橋剤)の特徴に直接関連する。図1は、代表的な公称架橋温度特性を示す。
【0004】
所望の架橋反応のみが起こるようにするために、溶融処理温度を低く維持して早期架橋を回避する。所望のレベルの溶融処理が行われた後に、架橋性ポリマーおよびフリーラジカル誘導種に移行温度部を受けさせて、公称架橋温度に到達させる。フリーラジカル種が有機ペルオキシドである場合、公称架橋温度はペルオキシドの分解温度に直接依存する。したがって移行温度部の温度範囲は、低温では公称溶融処理温度によって、高温端では公称架橋温度によって決定される。
【0005】
一部の用途では、溶融処理が1ステップで、または1を超えるステップで起こることに注目することが重要である。たとえば1ステップとして、成分を押出機のホッパーに個別に添加して、適切な溶融処理温度にて共に溶融ブレンドする。多ステップ溶融処理の例は、ポリマーの溶融温度を超えているが、フリーラジカル誘導種の公称分解温度より低い温度にて成分を共にブレンドする第1のステップと、ブレンドした組成物をさらなる処理のために押出機に移動させる第2のステップとを含む。本明細書で使用するように、溶融処理温度は1ステップまたは多ステップ溶融処理技法を含むように定義される。
【0006】
架橋速度は温度と共に徐々に上昇するため、溶融処理温度部と架橋温度部(すなわち移行温度部)との温度差はかなり大きく、時には約60℃を超えることがある。架橋温度はフリーラジカル誘導種の選択によって変化するが、移行温度部の対応する温度範囲は一般に影響を受けない。したがって架橋温度の変化は通例、溶融処理温度の対応する変化を必要とする。
【0007】
たとえば射出成形用途では、一般的な有機ペルオキシドが広い温度範囲に渡って分解するため、低い射出温度(すなわち溶融処理温度部)が必要である。たとえば従業者は普通、エチレン/プロピレン/ジエンモノマーベースのポリマーおよび有機ペルオキシドのジクミルペルオキシドを含有する架橋性ポリマー組成物を型へ約100℃にて射出し、次に組成物を約165℃(すなわち架橋温度部)に設定した壁温度の型内で組成物を硬化させる。そのため架橋工程は、約65℃の移行温度の広い範囲を有し、このことは特に厚い部分の非常に長い公称架橋温度特性時間をもたらす。公称架橋温度特性は、射出成形を適切な溶融温度または粘度特性を有するこれらの架橋性ポリマーに限定する。
【0008】
同様に一部の用途では、従業者は、140℃を超えない温度で架橋性ポリマー組成物を押出し、次に生じた加工品に通例は200℃を超えるより高い架橋温度の連続加硫チューブを通過させて架橋を完了させる。押出機スクリュースピードによる剪断加熱が早期架橋を誘発するため、スクリュースピードは低い速度に維持され、押出出力が制限される。
【0009】
フリーラジカル架橋性エチレン/プロピレン/ジエンモノマーベースのポリマーまたはエチレン/プロピレンゴムでは、架橋性組成物は通例、約120℃を超えない温度で押出され、押出品は最後に約210℃の温度の連続加硫チューブを通過する。同様にフリーラジカル架橋性難燃性ポリオレフィンベースの組成物は通例、約140℃を超えない温度にて押出され、押出品を最後に約200〜210℃の連続加硫チューブを通過させる。
【0010】
フリーラジカル架橋性塩素化ポリエチレンでは、加工方法の例は押出である。通例、塩素化ポリエチレンを含有する架橋性ポリマー組成物は、バッチミキサー内で溶融処理され、次に通常約200℃の連続加硫チューブ内で架橋条件を受けさせる。
【0011】
これらの塩素化ポリエチレン組成物に小粒径フィラー、たとえばカーボンブラックおよびシリカを充填するときには、強力な撹拌が必要である。不都合なことに、強力な撹拌は早期架橋を回避するために温度および時間が制限される。実際に、温度は100℃以下に維持されることが多い。また押出機スクリューによる剪断加熱も早期架橋を誘発することがあり、押出出力速度が制限される。
【0012】
塩素化ポリエチレン組成物の移行温度は約100℃の温度範囲を示す。この温度差は、ラインスピードに悪影響を及ぼし、連続加硫チューブ内での長い滞留時間の原因となる。
【0013】
早期架橋を伴わずに射出温度および押出速度を上昇させるために、従事者は、組成物にスコーチインヒビタ(scorch inhibitor)または抗酸化剤を添加する。不都合なことに、この手法は、所望のレベルの架橋を達成するためのサイクル時間を延長する(すなわち硬化速度が低下する)。硬化速度の低下を克服するために、従事者はポリマーを押出すときにより長い連続加硫チューブを使用するか、射出成形または押出ポリマー用の組成物の高度な処方を使用する。
【0014】
したがって、架橋フリーラジカル架橋性ポリマーを架橋するための改良工程への要求が存在する。改良工程は、従来の工程で現在達成されるよりもより高い溶融温度部を許容しながら、現在のレベルの早期架橋を維持する、または早期架橋をさらに最小限に抑える必要がある。同様に、改良工程は、再び早期架橋に対する感知されうる悪影響なしに、従来の工程で現在実施されているより高い押出スクリュー速度を許容する必要がある。
【0015】
再び早期架橋に対する感知されうる悪影響なしに、移行温度部の温度範囲が従来の工程で提供されるよりも著しく狭いフリーラジカル架橋性ポリマーを架橋するための改良工程への要求もある。より狭い温度範囲は、ポリマーへの移行加熱が最小限に抑えられるため、より高速な工程が生まれる。
【0016】
移行温度部が可能な限り上昇して、無限の傾きに近づくことも望ましい。その上、架橋温度部が可能な限りゼロに近い傾きを有することが望ましい。
【0017】
膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を処理する文脈において、架橋温度特性は、早期架橋によってはもちろんのこと、溶融処理温度と架橋温度との間の範囲内での組成物の膨張によっても複雑にされている。早期架橋の影響を最小限に抑え、膨張の開始/完了温度を制御し、より高速な架橋工程を生じるための要求がある。
【0018】
一部の成形用途では、好ましくは後膨張を約1.5体積パーセント未満に制御するための、離型後に発泡品の膨張を最小限に抑えるための要求がある。さらに好ましくは、フリーラジカル架橋性ポリマーに官能基を付加することなく後膨張を制御することが望ましい。
【0019】
これらの要求された工程改良はそれぞれ、従来の架橋装置を著しく変更せずに実現できるべきである。特に要求された改良は、架橋性ポリマー品を押出すための、より長い連続加硫チューブを必要とすべきではない。
【0020】
最後に、フリーラジカル架橋性ポリマーのためのより高い溶融温度部の要求および改良工程による製造品の特性に悪影響を及ぼさない、より高速の架橋工程に対する要求がある。
【0021】
高度な処理および物理特性を備えたフリーラジカル架橋性ポリマー組成物への要求もある。特に早期架橋なしに優れた溶融処理特徴を備えたフリーラジカル架橋性ポリマー組成物への要求がある。一部の例では、組成物が優れた溶融強度も有することがさらに望ましい。
【発明の開示】
【0022】
本発明は、架橋ポリマーの改良工程であって、該改良工程は、より高温の処理条件、より高速な架橋、または架橋密度の上昇をもたらす。本発明の工程は、(a)架橋性ポリマー組成物を溶融処理するステップと、(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を作成するステップと、(c)架橋性ポリマー組成物を作成された製造品として架橋させるステップとを含む。架橋性ポリマー組成物は、(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと、(2)フリーラジカル誘導種と、(3)架橋温度特性調整剤(crosslinking-temperature-profile modifier)とを含む。
【0023】
溶融処理ステップまたは架橋ステップは、架橋ポリマーに従来使用されるよりも高い温度で行う。温度の上昇は、(高い溶融温度のために)以前に排除されたポリマーの架橋を可能にする。温度の上昇は、架橋特性に関する速度の改良も可能にする。
【0024】
本発明は、優れた溶融処理および物理特性を有するフリーラジカル架橋性ポリマー組成物でもある。本発明の組成物は、(1)公称溶融処理温度にて低い溶融処理特性を有するフリーラジカル架橋性ポリマーまたはブレンドと、(2)フリーラジカル誘導種と、(3)架橋温度特性調整剤とを含む。架橋温度特性調整剤は、早期架橋を伴わずに、フリーラジカル架橋性ポリマーまたはブレンドを公称溶融処理温度よりも高い温度にて溶融処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
第1の実施形態において、架橋製造品を作成するための本発明の工程は、(a)架橋性ポリマー組成物を溶融処理するステップと、(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を形成するステップと、(c)架橋性ポリマー組成物を形成製造品として架橋させるステップとを含む。架橋性ポリマー組成物は、(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと、(2)フリーラジカル誘導種と、(3)架橋温度特性調整剤とを含む。
【0026】
架橋温度特性調整剤の非存在下では、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せが公称架橋温度特性を有する。公称架橋温度特性は、公称溶融処理温度部と、公称移行温度部と、公称架橋温度部とを含む。
【0027】
架橋温度特性調整剤は、溶融処理温度部の温度の上昇と、移行温度部の短縮を可能にする。したがって本発明の工程において、溶融処理ステップは組合せの公称溶融処理温度よりも高い温度で行われる。架橋温度特性調整剤は、溶融処理温度でのフリーラジカル架橋性ポリマーの早期架橋を実質的に抑制する。たとえばフリーラジカル誘導種が溶融処理温度にて感知できる分解速度を持つ有機ペルオキシドであるとき、架橋温度特性調整剤は、ポリマーの早期架橋を抑制する。
【0028】
フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せ(架橋温度特性調整剤なし)は、公称溶融処理温度にて公称誘導時間(t0.04n)を達成する。「公称誘導時間」は本明細書で使用するように、移動ダイレオメータ(moving die rheometer, MDR)によって測定されるトルク値が、公称溶融処理温度、100サイクル/分および弧0.5度における最低トルクよりも0.04ポンドインチ増加するために必要な時間の量を意味する。あるいは公称誘導時間は、トルク上昇開始までの時間(tonset)と呼ばれる。
【0029】
公称溶融処理温度において、架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間より少なくとも2倍の長さの改良誘導時間(t0.04i)を達成する。好ましくは、改良誘導時間は公称誘発時間の少なくとも3倍の長さである。さらに好ましくは、改良誘導時間は少なくとも5倍の長さである。
【0030】
高い溶融処理温度において、架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間と等しい、または公称誘発時間を超える誘導時間を維持する。
【0031】
好ましくは、架橋性ポリマー組成物は、架橋温度特性調整剤の非存在下で組合せが達成するのと同じ架橋度、またはそれより高い架橋度を達成する。
【0032】
誘導時間は一般に改良工程の説明を容易にするが、TS1は、ある架橋性ポリマー組成物の早期架橋を判定するために有用な属性である。「TS1」は本明細書で使用するように、移動ダイレオメータ(moving die rheometer, MDR)によって測定されるトルク値が、公称溶融処理温度、100サイクル/分および弧0.5度における最低トルクよりも1.0ポンドインチ増加するために必要な時間の量を意味する。一般にTS1は、(a)公称溶融処理温度にて1分未満の公称誘導時間と、(b)公称溶融処理温度にて少なくとも1ポンドインチを超えるMHとMLとの差(すなわちMH−ML>1、および/または(c)公称架橋温度における1ポンドより実質的に大きい最大トルク(MH)を有するそれらの架橋性ポリマー組成物で使用される。
【0033】
好ましくは架橋温度特性調整剤の非存在下で、それらの組成物は、その公称溶融処理温度にて約20分より長いTS1を有する。それらの組成物において、架橋温度特性調整剤は、架橋性ポリマー組成物が、公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度にて、少なくとも同じTS1を達成できるようにする。好ましくは移行温度部(すなわち溶融処理温度と架橋温度との温度差)は、所望のTS1を維持しながら、少なくとも5パーセント縮小することができる。
【0034】
本発明は、ワイヤおよびケーブル、履物、フィルム(たとえば温室、シュリンクおよび弾性)、エンジニアリングサーモプラスチック、高充填、難燃性、反応性配合剤、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、自動車用加硫ゴム交換部品、建築、自動車、家具、フォーム、湿潤剤、接着剤、塗装基材、可染性ポリオレフィン、水分硬化、ナノコンポジット、相溶化剤、印刷、鋼鉄交換部品、ワックス、サイズ剤、カレンダー処理シート、医療、分散、同時押出、セメント/プラスチック補強剤、食品包装、不織、紙改質、多層容器、スポーツ用品、配向構造、および表面処理用途で有用である。適切な製造品は、電源ケーブル絶縁体(超高電圧(EHV)、高電圧(HV)、中電圧(MV)、および低電圧(LV)用途の絶縁体を含む)、ワイヤおよびケーブル半導体製品(半導体絶縁シールドを含む)、ワイヤおよびケーブルコーティング(難燃性自動車ワイヤ絶縁体を含む)ならびにジャケット(工業用ケーブルジャケットを含む)、ケーブル付属品、靴底、多成分靴底(各種の密度および種類のポリマーを含む)、気密用充てん材、ガスケット、異形材、耐久品、剛性超延伸テープ、ランフラットタイヤ挿入物、構造用パネル、複合材(たとえば木製複合材)、パイプ、フォーム、およびファイバー(バインダファイバーおよび弾性ファイバーを含む)を含む。
【0035】
本発明では、各種のポリマーが有用である。その上、以上でフリーラジカル架橋に適さなかった多くのポリマーが本発明で有用である。特にポリマーは、高い溶融温度を有するポリマーがここでフリーラジカル架橋に有用である。特に本発明は、約130℃に等しいまたはそれ以上の溶融温度あるいは短い公称誘発時間を有するフリーラジカル架橋ポリマーで有用である。高い溶融温度を有するフリーラジカル架橋ポリマーの例は、高密度ポリエチレンである。たとえば本発明は特に、フリーラジカル架橋性ポリマーと約5分未満の、またはさらに約1分未満の公称誘導時間を有するフリーラジカル誘導種との組合せに有用である。
【0036】
好ましくは、フリーラジカル架橋性ポリマーは炭化水素ベースである。適切な炭化水素ベースポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/アルファオレフィンコポリマー、エチレンホモポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、エチレン/スチレンインターポリマー、ハロゲン化ポリエチレン、プロピレンコポリマー、天然ゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン/ジエンコポリマー、およびニトリルゴム、およびそのブレンドを含む。
【0037】
さらに好ましくは、炭化水素ベースポリマーはエチレン/プロピレン/ジエンモノマーおよびエチレン/プロピレンゴムから成る群より選択される。なおさらに好ましくは、炭化水素ベースポリマーはこれらの好ましいポリマーまたはそのブレンドの1つであり、フリーラジカル架橋性ポリマーは約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量で存在し、フリーラジカル誘導種は約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量で存在し、架橋温度特性調整剤は約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量で存在し、フリーラジカル架橋性ポリマー組成物はさらに、約10重量パーセント〜約70重量パーセントの量で無機フィラーを含む。
【0038】
またさらに好ましくは、炭化水素ベースポリマーは、エチレン/アルファオレフィンコポリマーおよびエチレン/不飽和エステルコポリマーから成る群より選択される。なおさらに好ましくは、炭化水素ベースポリマーがこれらの好ましいポリマーまたはそのブレンドの1つであるとき、フリーラジカル架橋性ポリマーは約10重量パーセント〜約85重量パーセントの量で存在し、フリーラジカル誘導種は約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量で存在し、架橋温度特性調整剤は約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量で存在し、フリーラジカル架橋性ポリマー組成物はさらに、約15重量パーセント〜約70重量パーセントの量で難燃性添加剤を含む。
【0039】
適切なエチレンポリマーに関して、フリーラジカル架橋性ポリマーは一般に4つの主要な分類:(1)高分岐;(2)不均質直鎖;(3)均質分岐直鎖;および(4)均質分岐で実質的に直鎖に当てはまる。これらのポリマーは、チーグラーナッタ触媒、メタロセンまたはバナジウムベースのシングルサイト触媒、あるいは制限形態(constrained geometry)シングルサイト触媒を用いて調製できる。
【0040】
高分岐エチレンポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。それらのポリマーは、フリーラジカル開始剤を用いて、高温および高圧において調製できる。あるいはそれらは配位触媒を用いて、高温および比較的低圧にて調製できる。これらのポリマーは、ASTM D-792によって測定したように、約0.910グラム/立方センチメートル〜約0.940グラム/立方センチメートルの密度を有する。
【0041】
不均質直鎖エチレンポリマーは、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超超低密度ポリエチレン(ULDPE)超低密度ポリエチレン(VLDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。直鎖低密度エチレンポリマーは、ASTM 1238,condition Iによって測定したように、約0.850グラム/立方センチメートル〜約0.940グラム/立方センチメートルの密度および約0.01〜約100グラム/10分のメルトインデックスを有する。好ましくは、メルトインデックスは約0.1〜約50グラム/10分である。また好ましくは、LLDPEは、炭素原子3〜18個、さらに好ましくは炭素原子3〜8個を有する1またはそれ以上のアルファオレフィンとのインターポリマーである。好ましいコモノマーは、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンを含む。
【0042】
超超低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンは互換的に既知である。これらのポリマーは、約0.870グラム/立方センチメートル〜約0.910グラム/立方センチメートルの密度を有する。高密度エチレンポリマーは一般に、約0.941グラム/立方センチメートル〜約0.965グラム/立方センチメートルの間の密度を有するホモポリマーである。
【0043】
均質分岐直鎖エチレンポリマーは均質LLDPEを含む。均一分岐/均質ポリマーは、コモノマーが所与のインターポリマー分子内にランダムに分散したポリマーであり、該インターポリマー分子は、そのインターポリマー内に同様のエチレン/コモノマー比を有する。
【0044】
均質分岐で実質的直鎖のエチレンポリマーは、(a)C2−C20オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、および4−メチル−1−ペンテンのホモポリマー、(b)エチレンと少なくとも1つのC3−C20アルファオレフィン、C2−C20アセチレン性不飽和モノマー、C4−C18ジオレフィン、またはモノマーの組合せとのインターポリマー、(c)エチレンとC3−C20アルファオレフィン、ジオレフィン、他の不飽和モノマーと組合せたアセチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つとのインターポリマーを含む。これらのポリマーは一般に、約0.850グラム/立方センチメートル〜約0.970グラム/立方センチメートルの密度を有する。好ましくは、密度は約0.85グラム/立方センチメートル〜約0.955グラム/立方センチメートル、さらに好ましくは約0.850グラム/立方センチメートル〜0.920グラム/立方センチメートルである。
【0045】
本発明で有用なエチレン/スチレンインターポリマーは、オレフィンモノマー(すなわちエチレン、プロピレン、またはアルファオレフィンモノマー)をビニリデン芳香族モノマー、ヒンダード芳香族ビニリデンモノマー、またはシクロ芳香族ビニリデンモノマーと重合することによって調製された実質的にランダムなインターポリマーである。適切なオレフィンモノマーは炭素原子2〜20個、好ましくは2〜12個、さらに好ましくは2〜8個を含有する。好ましいそのようなモノマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンを含む。最も好ましいのは、エチレンおよびエチレンとプロピレンまたはC4-8アルファオレフィンとの組合せである。場合により、エチレン/スチレンインターポリマー重合成分は、エチレン性不飽和モノマー、たとえば張力環オレフィンも含むことができる。張力環オレフィンの例は、ノルボルネンおよびC1-10アルキルまたはC6-10アリール置換ノルボルネンを含む。
【0046】
本発明で有用なエチレン/不飽和エステルコポリマーは、従来の高圧技法によって調製できる。不飽和エステルは、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、またはビニルカルボキシラートでありうる。アルキル基は、炭素原子1〜8個および好ましくは炭素原子1〜4個を有する。カルボキシラート基は、炭素原子2〜8個、好ましくは炭素原子2〜5個を有しうる。エステルコモノマーに起因するコポリマーの部分は、コポリマーの重量に基づいて約5〜約50重量パーセントの範囲内にあり、好ましくは約10〜約40重量パーセントの範囲内にある。アクリレートおよびメタクリレートの例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートである。ビニルカルボキシラートの例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオナート、およびビニルブタノアートである。エチレン/不飽和エステルコポリマーのメルトインデックスは、約0.5〜約50グラム/10分の範囲でありうる。
【0047】
本発明で有用なハロゲン化エチレンポリマーは、フッ化、塩素化、および臭素化オレフィンポリマーを含む。ベースオレフィンポリマーは、ホモポリマーまたは炭素原子2〜18個を有するオレフィンのインターポリマーでありうる。好ましくは、オレフィンポリマーはエチレンとプロピレンまたは炭素原子4〜8個を有するアルファオレフィンモノマーとのインターポリマーであろう。好ましいアルファオレフィンコモノマーは、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンを含む。好ましくは、ハロゲン化オレフィンポリマーは塩素化ポリエチレンである。
【0048】
なおさらに好ましくは、ハロゲン化オレフィンポリマーは塩素化ポリエチレンであり、フリーラジカル架橋性ポリマーは約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量で存在し、フリーラジカル誘導種は約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量で存在し、架橋温度特性調整剤が約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量で存在し、フリーラジカル架橋性ポリマー組成物はさらに、無機フィラーを約10重量パーセント〜約65重量パーセントの量で含む。このなおさらに好ましい組成物は、難燃性ポリオレフィンベース組成物に好ましい。
【0049】
本発明は、架橋温度特性調整剤がプロピレンポリマーの鎖切断を抑制できるため、フリーラジカル架橋性ポリマーがプロピレンポリマーであるときに特に有益である。
【0050】
本発明で有用なプロピレンポリマーの例は、プロピレンとエチレンとのコポリマーまたは別の不飽和コモノマーを含む。コポリマーは、ターポリマー、テトラポリマーなども含む。通例、ポリプロピレンコポリマーは、少なくとも約50重量パーセントの量のプロピレンに由来する単位を含む。好ましくは、プロピレンモノマーはコポリマーの少なくとも約60重量パーセント、さらに好ましくは少なくとも約70重量パーセントである。
【0051】
本発明で適切な天然ゴムは、イソプレンの高分子量ポリマーを含む。好ましくは、天然ゴムは約5000の数平均重合度および広い分子量分布を有するであろう。
【0052】
有用なスチレン/ブタジエンゴムは、スチレンおよびブタジエンのランダムコポリマーを含む。通例、これらのゴムは、フリーラジカル重合によって生成される。本発明のスチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマーは、相分離系である。本発明で有用なスチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマーは、スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマーの水素添加から調製される。
【0053】
本発明で有用なポリブタジエンゴムは好ましくは、1,4−ブタジエンのホモポリマーである。好ましくは、本発明のブチルゴムは、イソブチレンおよびイソプレンのコポリマーである。イソプレンは通例、約1.0重量パーセント〜約3.0重量パーセントの量で使用される。
【0054】
本発明では、ポリクロロプレンゴムは一般に、2−クロロ−1,3−ブタジエンのポリマーである。好ましくは、ゴムはエマルジョン重合によって生成される。加えて、重合はポリマーに架橋を包含させるために、硫黄の存在下で行うことができる。
【0055】
好ましくは、本発明のニトリルゴムは、ブタジエンおよびアクリロニトリルのランダムコポリマーである。
【0056】
他の有用なフリーラジカル架橋性ポリマーは、シリコーンゴムおよびフルオロカーボンゴムを含む。シリコーンゴムは、−Si−O−Si−O−の形のシロキサン主鎖を持つゴムを含む。本発明で有用なフルオロカーボンゴムは、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンと、フリーラジカル架橋を可能にする硬化部位モノマーとのコポリマーまたはターポリマーを含む。
【0057】
有用なフリーラジカル誘導種は、有機ペルオキシド、アゾフリーラジカル開始剤、ビキュメン(bicumene)、酸素、および空気を含む。好ましくは、フリーラジカル誘導種は、有機ペルオキシドである。好ましい有機ペルオキシドは、ジクミルペルオキシドおよびVulcup Rを含む。有機ペルオキシドは、直接噴射によって添加できる。酸素が豊富な環境は、有用なフリーラジカルを開始させることができる。好ましくは、フリーラジカル誘導種は、約0.5重量パーセント〜約10重量パーセントの、さらに好ましくは約0.5重量パーセント〜約5.0重量パーセントの、なおさらに好ましくは約0.5重量パーセント〜約2.0重量パーセントの量で存在する。
【0058】
架橋温度特性調整剤の有用な例は、フリーラジカルインヒビタ、たとえば(i)ヒンダードアミン由来安定性有機フリーラジカル、(ii)イニファータ、(iii)有機金属化合物、(iv)アリールアゾオキシラジカル、および(v)ニトロソ化合物である。誘導時間が改良工程を説明するために適切であるとき、架橋温度特性調整剤の選択は、調整剤が公称誘発時間よりも少なくとも2倍の長さの誘導時間を付与するかどうかの判定に基づく。TS1がより適切な基準であるとき、所望の改良は、用途固有である。しかしながら、公称溶融処理温度において、(a)少なくとも2分を超える誘導時間または(b)MHを達成するのに必要な時間を少なくとも5パーセント延長することが望ましい。
【0059】
適切なヒンダードアミン由来安定性有機フリーラジカルは、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)およびその誘導体を含む。さらに好ましくは、ヒンダードアミン由来安定性有機フリーラジカルは、ビス−TEMPO、オキソ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPOのエステル、ポリマー結合TEMPO、PROXYL、DOXYL、ジ−第3級ブチルNオキシル、ジメチルジフェニルピロリジン−1−オキシル、4ホスホンオキシTEMPO、またはTEMPOとの金属錯体である。なおさらに好ましくは、ヒンダードアミン由来安定性有機フリーラジカルは、ビス−TEMPOまたは4−ヒドロキシ−TEMPOである。ビス−TEMPOの例は、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートである。
【0060】
イニファータは、フリーラジカル反応を開始および終了できる化合物である。それらは成長するポリマー鎖を可逆的に終了させることもできる。架橋温度特性調整剤がイニファータであるとき、それは好ましくは、テトラエチルチウラムジスルフィド、ベンジルNNジエチルジチオカルバメート、ジチオカルバメート、ポリチオカルバメート、およびSベンジルジチオカルバメートから成る群より選択される。
【0061】
好ましくは、架橋温度特性調整剤は約0.1重量パーセント〜約5.0重量パーセントの量で存在する。さらに好ましくは、0.1重量パーセント〜約2重量パーセント、なおさらに好ましくは0.1重量パーセント〜約1重量パーセントで存在する。さらに好ましくは、フリーラジカル誘導種はフリーラジカルトラップ種に対して、約1を超える比で、さらに好ましくは約20:1〜約1:1で存在する。
【0062】
架橋温度特性調整剤およびフリーラジカル誘導種はフリーラジカル架橋性ポリマーと、直接化合、直接浸漬、および直接噴射を含む各種の方法で化合することができる。
【0063】
架橋性ポリマー組成物は、炭素間二重結合を持たない有機架橋調整剤も含有可能であり、有機架橋調整剤および架橋温度特性調整剤は相乗的に(a)フリーラジカル誘導種の公称硬化温度よりも低い温度にてフリーラジカル架橋性ポリマーの架橋速度を抑制し、(b)フリーラジカル誘導種の公称架橋温度にて架橋密度を向上させる。好ましくは、有機架橋調整剤はトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ポリ[[6−[(1,1,3,3,−テトラメチル−ブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、またはそのブレンドである。
【0064】
架橋性ポリマー組成物は非極性添加剤も含有可能であり、添加剤は、架橋性ポリマー組成物から調製した製造品の表面への架橋温度特性調整剤の移動に寄与せずに、架橋性能を向上させる。例は、デカジエンおよびポリブタジエンを含む。
【0065】
架橋性ポリマー組成物は、フリーラジカル誘導種の量を増加させることなく、フリーラジカル誘導種の架橋性能を向上させるために硬化ブースターまたは架橋助剤も含有できる。架橋性能の向上は、工程のサイクル時間を短縮すること(すなわち硬化速度を上昇させること)および架橋密度(すなわち硬化度)を上昇させることを含むことができる。硬化ブースターの添加は、フリーラジカル架橋性ポリマーが塩素化ポリエチレンであるときに特に有用である。一部の場合では、架橋助剤は、硬化ブースターおよびスコーチ防止剤としての二重の役割を果たす。有用な硬化ブースターは、ポリビニル剤および他のモノビニル剤、たとえばアルファメチルスチレンダイマー、アリルペンタエリスリトール(またはペンタエリスリトールトリアクリレートまたはトリアリルペンタエリスリトール)、TAC、TAIC、4−アリル−2−メトキシフェニルアリルエーテル、および1,3−ジ−イソプロピルベンゼンを含む。それらの硬化ブースターの一部および他の有用な硬化ブースターは、以下の化学式を有する。
【化1】

【0066】
架橋性ポリマー組成物は、フリーラジカル生成を向上させる触媒も含有できる。触媒の適切な例は、第3級アミン、コバルトナフテナート、マンガンナフテナート、バナジウムペントキシド、および第4級アンモニウム塩を含む。
【0067】
架橋性ポリマー組成物は、化学または物理発泡剤も含有可能であり、それによって架橋性ポリマー組成物を膨張させる。好ましくは、発泡剤は化学発泡剤であろう。有用な化学発泡剤の例は、アゾジカーボンアミドである。
【0068】
他の添加剤は、本発明の架橋性ポリマー組成物で有用である。それらの添加剤は、スコーチインヒビタ(scorch inhibitor)、抗酸化剤、フィラー、粘土、有機粘土、加工助剤、カーボンブラック、難燃剤、ペルオキシド、分散剤、ワックス、カップリング剤、離型剤、光安定剤、金属活性低下剤、可塑剤、帯電防止剤、白化剤、成核剤、他のポリマー、および着色剤を含む。架橋性ポリマー組成物は高度に充填できる。
【0069】
他の適切な非ハロゲン化難燃性添加剤は、アルミナトリヒドレート、マグネシウムヒドロキシド、赤リン、シリカ、アルミナ、チタンオキシド、メラミン、カルシウムヘキサボラート、アルミナ、カーボンナノチューブ、ウォラストナイト、マイカ、シリコーンポリマー、ホスフェートエステル、ヒンダードアミン安定剤、アンモニウムオクタモリブダート、膨張化合物、メラミンオクタモリブダート、フリット、中空ガラスマイクロスフィア、タルク、粘土、有機修飾粘土、亜鉛ボラート、アンチモントリオキシド、および膨張性グラファイトを含む。適切なハロゲン化難燃性添加剤は、デカブロモジフェニルオキシド、デカブロモフェニルエタン、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、およびデクロランプラスを含む。
【0070】
好ましい実施形態において、本発明は、架橋製造品を作成するための改良工程である。架橋温度特性調整剤は、溶融処理温度の温度を公称溶融処理温度よりも、そして架橋温度部の温度を公称架橋温度よりも上昇させることができる。したがって本発明の工程において、溶融処理ステップは、公称溶融処理温度よりも高い温度で行われ、架橋ステップは公称架橋温度よりも高い温度で行われる。
【0071】
フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せは、公称溶融処理温度にて公称誘発時間(t0.04n)を達成する。公称溶融処理温度において、架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間の少なくとも2倍の長さの改良誘導時間(t0.04i)を達成する。好ましくは、改良誘導時間は、公称誘発時間の少なくとも3倍の長さである。さらに好ましくは、改良誘導時間は少なくとも5倍の長さである。
【0072】
高い溶融処理温度では、架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間と等しい、それ以上の誘導時間を維持する。
【0073】
なお別の好ましい実施形態において、本発明は、架橋製造品を作成するための改良工程である。架橋温度特性調整剤の非存在下で、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せは、公称架橋温度特性および公称処理速度を有する。
【0074】
架橋温度特性調整剤は、公称処理速度よりも少なくとも約5%高速で工程を実施させる。組合せは、公称溶融処理温度において公称誘導時間の少なくとも2倍の長さの改良誘導時間(t0.04i)も達成する。さらに組合せおよび架橋温度特性調整剤は、公称溶融処理温度より高い溶融処理温度にて公称誘導時間と等しい、またはそれ以上の誘導時間を達成する(より高速な溶融処理温度)。より高速な溶融処理温度は、より高い処理速度を達成することを要求される。
【0075】
本実施形態において、架橋性ポリマー組成物は、より高速な溶融処理温度にて溶融処理される。さらに好ましくは、架橋ステップは、公称架橋温度よりも高い温度にて行われる。
【0076】
別の好ましい実施形態において、本発明は、(a)架橋性ポリマー組成物を溶融処理するステップと、(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を形成するステップと、(c)架橋性ポリマー組成物を形成製造品として架橋させるステップとを含む、架橋製造品を作成するための発明工程である。架橋性ポリマー組成物は、(1)剪断エネルギー、熱、または放射線を受けるとフリーラジカルを生成するフリーラジカル架橋性ポリマーと、(2)架橋温度特性調整剤とを含む。
【0077】
架橋温度特性調整剤の非存在下では、フリーラジカル架橋性ポリマーの組合せは、剪断エネルギー、熱、または放射線を受けると、公称架橋温度特性を有する。公称架橋温度特性は、公称溶融処理温度部、公称移行温度部、および公称架橋温度部を有する。
【0078】
架橋温度特性調整剤は、溶融処理温度部の温度を上昇させて、移行温度部を減少させる。したがって本発明の工程では、溶融処理ステップは組合せの公称溶融処理温度よりも高い温度にて行われる。溶融処理温度は、フリーラジカル架橋ポリマーに影響を及ぼす剪断エネルギーまたは放射線の量を増加させることによって上昇する。特に、この好ましい実施形態は、スループットを向上させるためにスクリュー速度をより高い速度に設定した押出用途で特に有用である。
【0079】
組合せは、公称溶融処理温度にて公称誘導時間を達成する。公称溶融処理温度において、架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間の少なくとも2倍の長さの改良誘導時間を達成する。好ましくは、改良誘導時間は、公称誘発時間の少なくとも3倍の長さである。さらに好ましくは、改良誘導時間は少なくとも5倍の長さである。
【0080】
本発明の代わりの実施形態において、本発明は、(a)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を成形温度の型に射出温度にて射出するステップと;(b)膨張性架橋性ポリマー組成物を、膨張性架橋性ポリマー組成物を膨張および架橋させるのに十分な期間に渡って架橋温度まで加熱するステップと;(c)膨張性架橋性ポリマー組成物を型から取出すステップと;(d)膨張性架橋性ポリマー品を膨張した架橋製造品へと膨張および架橋させるステップとを含む、製造品を作成する工程である。
【0081】
本実施形態において、溶融処理温度は、組成物が型を充填するときの射出温度および組成物の溶融温度の範囲である温度範囲を含む。そのため射出温度は、溶融処理温度上昇の一部として上昇させることができる。射出成形工程相中に早期架橋を最小限に抑えることが望ましい。
【0082】
該組合せは、公称溶融処理温度部に渡る公称誘導時間を達成する。公称溶融処理温度において、膨張性架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間の少なくとも2倍の長さの改良誘導時間を達成する。好ましくは、改良誘導時間は、公称誘発時間の少なくとも3倍の長さである。さらに好ましくは、改良誘導時間は少なくとも5倍の長さである。
【0083】
本発明のなお別の実施形態において、本発明は、(a)膨張性架橋性ポリマー組成物を成形温度の型に射出温度にて射出するステップと;(b)膨張性架橋性ポリマー組成物を型内で膨張した架橋性ポリマー組成物へと膨張させるステップと;(c)膨張した架橋性ポリマー組成物を型内で膨張した架橋ポリマー品へと架橋させるステップと;を含む工程である。
【0084】
本実施形態において、溶融処理温度は、組成物が型を充填するときの射出温度および組成物の溶融温度の範囲である温度範囲を含む。そのため射出温度は、溶融処理温度上昇の一部として上昇させることができる。射出成形工程相中に早期架橋を最小限に抑えることが望ましい。
【0085】
該組合せは、公称溶融処理温度部に渡る公称誘導時間を達成する。公称溶融処理温度において、膨張性架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間の少なくとも2倍の長さの改良誘導時間を達成する。好ましくは、改良誘導時間は、公称誘発時間の少なくとも3倍の長さである。さらに好ましくは、改良誘導時間は少なくとも5倍の長さである。
【0086】
好ましくは、型からの製造品の除去後に、後膨張が約1.5体積パーセント未満であるように後膨張のレベルが制御される。
【0087】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明は(a)膨張性架橋性ポリマー組成物を成形温度の型に射出温度にて射出するステップと;(b)膨張性架橋性ポリマー組成物を、安定フォーム構造を支持するのに必要な程度まで架橋させるステップと;(c)膨張性架橋性ポリマー組成物を型内で膨張した架橋性ポリマー組成物となるまで膨張させるステップと;(d)架橋性ポリマー組成物を型内の膨張した架橋ポリマー品となるまでさらに架橋させるステップとを含む工程である。この好ましい実施形態において、ポリマー組成物の膨張から架橋反応を分断することが特に好ましい。
【0088】
該組合せは、公称溶融処理温度部に渡る公称誘導時間を達成する。公称溶融処理温度において、膨張性架橋性ポリマー組成物は、公称誘発時間の少なくとも2倍の長さの改良誘導時間を達成する。好ましくは、改良誘導時間は、公称誘発時間の少なくとも3倍の長さである。さらに好ましくは、改良誘導時間は少なくとも5倍の長さである。
【0089】
好ましくは、型からの製造品の除去後に、後膨張が約1.5体積パーセント未満であるように後膨張のレベルが制御される。
【0090】
なお別の好ましい実施形態において、本発明は、フリーラジカル架橋性ポリマーならびに2,2,6,6,−テトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)およびその誘導体を除く架橋温度特性調整剤を含む架橋性ポリマー組成物である。
【0091】
なお別の好ましい実施形態において、本発明は、優れた溶融処理および物理特性を有するフリーラジカル架橋性ポリマー組成物である。本発明の組成物は、(1)公称溶融処理温度において不十分な溶融処理特性を有するフリーラジカル架橋性ポリマーまたはブレンドと、(2)架橋温度特性調整剤とを含む。架橋温度特性調整剤は、早期架橋を伴わずに、公称溶融処理温度より高い温度におけるフリーラジカル架橋性ポリマーまたはブレンドの溶融処理を可能にする。
【0092】
特に本発明は、約130℃と等しい、またはそれ以上の溶融温度を有するフリーラジカル架橋ポリマーで有用である。高い溶融温度を有するフリーラジカル架橋ポリマーの例は、高密度ポリエチレンである。
【0093】
改良溶融処理特徴を有するブレンドの例は、直鎖低密度ポリエチレンおよび分岐ポリエチレンのブレンドであり、ここで、ブレンドポリマーの少なくとも1つは架橋温度特性調整剤の非存在下で、公称溶融処理条件にて早期架橋を受ける。架橋温度特性調整剤の添加は早期架橋を実質的に抑制して、それによりフリーラジカル架橋性ポリマー組成物の溶融処理を可能にする。本発明の組成物は、優れた物理特性を有する(フリーラジカル架橋性ポリマー組成物からの)物品の作成を可能にする。
【0094】
なお別の好ましい実施形態において、本発明は、フリーラジカル架橋性ポリマーと、フリーラジカル誘導種と、架橋温度特性調整剤と、化学発泡剤および物理発泡剤から成る群より選択される発泡剤とを含む、膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物である。
【0095】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明の改良工程によって作成された製造品である。本発明の利点は、特に厚い製造品で明らかである。
【0096】
いずれの数の工程も製造品を作成するのに使用できる。特に有用な工程は、射出成形、押出、射出ブロー成形、圧縮成形、回転成形、熱成形、ブロー成形、粉末コーティング、Banburyバッチミキサー、紡糸、回転キャスティング、圧縮移送、積層化、およびカレンダー処理を含む。適切な製造品は、電源ケーブル絶縁体(超高電圧(EHV)、高電圧(HV)、中電圧(MV)、および低電圧(LV)用途の絶縁体を含む)、ワイヤおよびケーブル半導体製品(半導体絶縁シールドを含む)、ワイヤおよびケーブルコーティング(難燃性自動車ワイヤ絶縁体を含む)ならびにジャケット(工業用ケーブルジャケットを含む)、ケーブル付属品、靴底、多成分靴底(各種の密度および種類のポリマーを含む)、気密用充てん材、ガスケット、異形材、耐久品、剛性超延伸テープ、ランフラットタイヤ挿入物、構造用パネル、複合材(たとえば木製複合材)、パイプ、フォーム、およびファイバー(バインダファイバーおよび弾性ファイバーを含む)を含む。
【0097】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本発明の新しいフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成した製造品である。製造品は、(a)約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量の、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、およびその混合物から成る群より選択されたフリーラジカル架橋性ポリマーと、(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量のフリーラジカル誘導種と、(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と、(d)約10重量パーセント〜約70重量パーセントの量の、無機フィラーとを含む組成物から作成した、フリーラジカル架橋ポリマー組成物を含む電源ケーブル付属品でありうる。
【0098】
製造品の別の例は、(a)約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量の、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、その混合物から成る群より選択されるフリーラジカル架橋性ポリマーと、(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と、(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と、(d)約10重量パーセント〜約70重量パーセントの量の無機フィラーとを含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成された架橋絶縁体を含む電源ケーブルである。本発明の別の電源ケーブルは、(a)約10重量パーセント〜約85重量パーセントの量の、エチレン/アルファオレフィンコポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、およびその混合物から成る群より選択されるフリーラジカル架橋性ポリマーと、(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と、(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と、(d)約15重量パーセント〜約70重量パーセントの量の、難燃性とを含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成された架橋難燃性絶縁体を含む。
【0099】
製造品の追加の例は、(a)約10重量パーセント〜約85重量パーセントの量の、エチレン/アルファオレフィンコポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、およびその混合物から成る群より選択されるフリーラジカル架橋性ポリマーと、(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量のフリーラジカル誘導種と、(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と、(d)約1000オーム−m未満の体積抵抗率を付与するのに十分な量の導電性フィラーとを含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成された架橋半導体絶縁シールドを含む電源ケーブルである。好ましくは、導電性フィラーは、約20重量パーセント〜約40重量パーセントの量で存在するであろう。
【0100】
別の例は、(a)約20重量パーセント〜約90重量パーセントの、直鎖低密度ポリエチレンおよび分岐ポリエチレンを含むフリーラジカル架橋性ポリマーと、(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と、(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と、(d)約10重量パーセント〜約70重量パーセントの量の、無機フィラーとを含む、フリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成された架橋絶縁体を含む電源ケーブルである。なお別の例は、(a)塩素化ポリエチレンであり、約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量で存在する、フリーラジカル架橋性ポリマーと、(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と、(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と、(d)約10重量パーセント〜約65重量パーセントの量の、無機フィラーとを含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成された架橋ジャケットを含む電源ケーブルである。
【0101】
靴底製品の例は、(a)約10重量パーセント〜約85重量パーセントの量の、エチレン/不飽和エステルコポリマーであるフリーラジカル架橋性ポリマーと、(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と、(c)約0.01重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と、(d)物理発泡剤および化学発泡剤から成る群より選択される発泡剤とを含む組成物から調製された、膨張したフリーラジカル架橋ポリマー組成物を含む。
【実施例】
【0102】
以下の非制限的な実施例は、本発明を説明する。
架橋温度特性調整剤例
比較実施例1および実施例2は、5.0グラム/立方センチメートルのメルトインデックスおよび0.87グラム/立方センチメートルの密度を有するAffinity(商標)8200ポリエチレンを用いて調製した。Affinity(商標)8200ポリエチレンは、Dow Chemical Companyより入手できる。
【0103】
Geo Specialty Chemicalsより入手できるジクミルペルオキシド(DiCup R)を各組成物に約1.00重量パーセントで添加した。架橋温度特性調整剤は、A. H. Marksより市販されている4−ヒドロキシ−TEMPOであった。4−ヒドロキシ−TEMPOは、実施例2の組成物に約0.20重量パーセントで添加した。各組成物の残りはポリエチレン樹脂であった。どちらの組成物もBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【0104】
評価した各組成物で、MDRはトルク対時間データを生成した。設定温度において、MDRを100サイクル/分の周波数および0.5度の弧に設定した。比較実施例1および実施例2の試験片では、温度を140℃または180℃に設定した。詳細な設定温度および生じたデータを表1に示す。試験片は重さ約5グラムであり、Mylar(商標)シート間に挟み、次に評価のためにMDRへ挿入した。設定温度および評価時間は、最終使用用途および組成物に基づいて選択した。
【表1】

TS0.01−最小トルクから0.01ポンドインチのトルク増加を得るために必要な時間
t90−90%の最終硬化レベルに達するのに必要な時間
【0105】
TS0.01の結果は、架橋性ポリマー組成物(架橋温度特性調整剤を含有する)が、架橋温度特性調整剤なしのその比較組成物よりも著しく長い焼け焦げ(scorch)抑制時間を有することを示している。t90の結果は、架橋性ポリマー組成物とその比較組成物との間の同様の硬化速度を示す。たとえば図2および3を参照。
【0106】
市販組成物中の架橋温度特性調整剤
比較実施例3および実施例4は、Schulmanより入手できる充填エチレン/プロピレン/ジエンモノマー組成物である、SuperOhm(商標)3728ペルオキシド架橋性組成物を用いて調製した。本発明を例示する組成物は、約0.25重量パーセントの架橋温度特性調整剤、4−ヒドロキシ−TEMPOを含有していた。各組成物の残りは、SuperOhm3728調合物であった。どちらの組成物もBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表2】


TS1−最小トルクから1ポンドインチのトルク増加を得るために必要な時間
【0107】
TS0.01およびTS1の結果は、架橋性ポリマー組成物(架橋温度特性調整剤を含有する)が、安定有機フリーラジカルなしのその比較組成物よりも著しく長い焼け焦げ(scorch)抑制時間を有することを示している。t90の結果は、架橋性ポリマー組成物とその比較組成物との間の同様の硬化速度を示す。たとえば図4および5を参照。
【0108】
高密度ポリエチレンに対する架橋温度特性調整剤の影響
比較実施例5および6ならびに実施例7は、Dow Chemical Companyより市販されているDGDL−3364高密度ポリエチレンによって調製した。ジクミルペルオキシド(DiCup R)を比較実施例5および実施例7に約1.00重量パーセントで添加した。架橋温度特性調整剤4−ヒドロキシ−TEMPOは実施例7の組成物に約0.20重量パーセントで添加した。比較実施例5および実施例7の残りは高密度ポリエチレンであった。比較実施例6は、架橋温度特性調整剤またはペルオキシドが添加されず、高密度ポリエチレン樹脂のみであった。
【0109】
図6は、150℃における架橋の開始に対する架橋温度特性調整剤の影響を示す。
【0110】
比較実施例8、9、14、15、19、21、24、および26および実施例10〜13、16〜18、20、22、23、25、および27−エチレンポリマー
Brabenderミキサーを使用して、本節で述べた比較実施例および実施例のサンプル40グラムを作成した。一般に、表IVおよびVに重量パーセントとして挙げた成分を125℃にて3分間ブレンドした。しかしながら、樹脂が比較的高い粘度および融点を有していたため、比較実施例26および実施例27の成分を135℃にてブレンドした。
【0111】
次に、ジクミルペルオキシド(DiCup R)1.7重量パーセントを例示した各組成物に添加した。組成物をさらに4分間混合した。
【0112】
ジクミルペルオキシドをGeo Specialty Chemicals Inc.から入手した。Irganox 1081 FF抗酸化剤および架橋温度特性調整剤ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート(「ビス−TEMPO」)は、Ciba Specialty Chemicals Inc.から入手した。架橋温度特性調整剤4−ヒドロキシ−TEMPOは、A. H. Marksから入手した。Sartomer SR−350トリメチロールプロパントリメタクリレートは、Sartomer Company, Inc.から入手した。
【0113】
ブレンドの架橋動力学は、MDRを使用して140℃(早期架橋が望ましくない押出条件を刺激するため)および182℃(迅速で有効な架橋が望ましい加硫条件を刺激するため)にて調査した。
【0114】
以下の樹脂(表IIIを参照)を使用して、例示した組成物を調製した。樹脂はそれぞれDow Chemical Companyより入手した。
【表3】

【表4】

【表5】

【0115】
ポリエチレン絶縁体 実施例28および比較実施例29
実施例および比較実施例は、ポリエチレンベース絶縁組成物およびDiCup R有機ペルオキシドを用いて調製した。本発明を例示する組成物は、4−ヒドロキシ−TEMPOも含有していた。
【0116】
ポリエチレン組成物は、Dow Chemical Companyより市販されているペルオキシド含有HFDB−4202木遅延絶縁組成物(tree retardant insulation composition)であった。ジクミルペルオキシド(DiCup R)は有機ペルオキシドであり、Geo Specialty Chemicalsより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOは、A. H. Marksより市販されていた。
【0117】
実施例28および比較実施例29を調製するために使用した量を表VIに重量パーセントとして示す。
【表6】

【0118】
実施例28および比較実施例29の架橋動力学は、MDRを使用して140℃および150℃(早期架橋が望ましくない押出条件を刺激するため)ならびに182℃(迅速で有効な架橋が望ましい加硫条件を刺激するため)にて調査した。140および150℃では、より長い誘発時間が好ましい。182℃では、高い架橋密度(またはより高い最終トルク)が伴うときには、所望のトルクに対してより短い時間が好ましい。
【0119】
図7は、140℃および150℃におけるトルク−時間曲線を示す。図8は、182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【0120】
実施例28および比較実施例29の架橋動力学もMDRを使用して150〜190℃の温度範囲を使用して調査し、ペルオキシド分解の速度を決定した。ペルオキシド分解のパーセントを各温度にて計算し、図9に示した。図9は、例示した組成物が比較組成物と同等の分解速度を達成可能であり、それによって十分な架橋速度を提供することを示す。
【0121】
実施例28および比較実施例29は、2.5インチDavis標準押出機によって処理した。生じた押出ストランドをその品質に関して評価した。「清浄な」ストランドは早期架橋を示さなかった。「失敗した」ストランドは早期架橋を示した。表VIIは、押出ストランドの溶融処理(溶融温度)の処理条件を示した。すべての温度は℃で報告し、スクリュー速度は回転/分(revolutions per minute, RPM)で報告する。比較可能なスループット速度は、同じ溶融温度およびスクリュー速度での組成物間で達成された。
【表7】

【0122】
比較実施例30および実施例31〜35
比較実施例30および実施例31〜35はそれぞれ、ペルオキシドを含有する標準架橋性ポリマー組成物を使用した。各実施例組成物に0.28重量パーセントの架橋温度特性調整剤4−ヒドロキシ−TEMPOを添加した。
【0123】
4−ヒドロキシ−TEMPOはA. H. Marksより市販されていた。アリルペンタエリスリトール(またはペンタエリスリトールトリアクリレートまたはトリアリルペンタエリスリトール)はPerstorpより入手した。2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンはAldrichより入手した。Sartomer SR 350トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびSartomer SR 507トリアリルシアヌレートはSartomer Company, Inc.より入手した。
【表8】

【0124】
実施例36〜38(高溶融安定剤の効果)
実施例36〜38はそれぞれ、Nordel(商標) 3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマーペレットと、6.0重量パーセントの架橋−温度特性調整剤4−ヒドロキシ−TEMPOと、1.00重量パーセントのDFDB−5410 BKを用いて調製した。エチレン/プロピレン/ジエンモノマーペレットの量および残りの成分を表VIIに規定する。EPDMペレットはペルオキシドを含有していた。
【0125】
Nordel(商標) 3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)は、<1%のジエンおよび125℃にてMooney粘度20を有する。それはDuPont Dow Elastomers L. L. C.より市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOは、A. H. Marksより市販されていた。DFDB−5410 BKは、カラーマスターバッチであり、Dow Chemical Companyより市販されていた。Sartomer SR 350トリメチロールプロパントリメタクリレートは、Sartomer Company, Inc.より入手した。亜鉛ステアレートは、Baerlocherより市販されていた。組成物はすべてBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表9】

【0126】
サンプル表面を減衰全反射(ATR)赤外線によって解析した。スペクトルを同じサンプルの複数の異なる区域で収集した。結果は、4−ヒドロキシ−TEMPOの最小量が実施例37の表面で検出され、これに対して最大量が実施例38で見出されたことを示した。ATR結果のプロットである図10を参照。
【0127】
EPDM/調整剤マスターバッチA
架橋温度特性調整剤を含有するEPDM/調整剤マスターバッチAは、Nordel(商標)3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマーペレットと、亜鉛ステアレートと、DFDB−5410 BKと、4−ヒドロキシ−TEMPOとを用いて調製した。(EPDM)は、<1%のジエンおよび125℃にてMooney粘度20を有する。それはDuPont Dow Elastomers L. L. C.より市販されていた。
【0128】
亜鉛ステアレートは、Baerlocherより市販されていた。DFDB−5410 BKはカラーマスターバッチであり、Dow Chemical Companyより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOは、A. H. Marksより市販されていた。成分はすべてBanburyミキサーで溶融ブレンドした。
【0129】
EPDM/調整剤マスターバッチAを調製するために使用した量を表Xに重量パーセントとして示す。
【表10】

【0130】
ペルオキシド/EPDMマスターバッチB
ペルオキシド含有架橋性ポリマーをマスターバッチとして調製した。ペルオキシド/EPDMマスターバッチBを調製するために使用した量を表XIに重量パーセントとして示す。
【表11】

【0131】
EPDMはEPDMまたはEPDMのブレンドより成り、5%のジエン含有率および125℃にて≒40のMooney粘度を有していた。EPDMはDuPont Dow Elastomers L.L.C.より市販されていた。
【0132】
処理済み焼成粘土は、Engelhardより市販されていた。亜鉛ステアレートは、Baerlocherより市販されていた。重合1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリンは、R. T. Vanderbilt Companyより市販されていた。白色鉱油はCitgoより市販されていた。鉛丹はRhein Chemie Rubberより市販されていた。Varox(商標)DCP 40KEジクミルペルオキシドは硬化促進剤であり、Geo Specialty Chemicalsより市販されていた。硫黄はRhein Chemie Rubberより市販されていた。
【0133】
実施例39および比較実施例40
EPDM/調整剤マスターバッチAの量をペルオキシド/EPDMマスターバッチBの量に添加して、本発明の実施例39で使用するためのフリーラジカル架橋性ポリマー組成物を調製した。実施例39を比較実施例40の、架橋温度特性調整剤の非存在下のペルオキシド/EPDMマスターバッチBの量と比較した。
【0134】
Varox(商標)DCP 40KEジクミルペルオキシドは硬化促進剤であり、Geo Specialty Chemicalsより市販されていた。
【0135】
実施例39および比較実施例40を調製するために使用した量を表XIIに重量パーセントとして示す。各組成物の成分すべてをBanburyミキサーで溶融ブレンドした。
【表12】

【0136】
実施例39および比較実施例40を処理して、射出成形品を作成した。表XIIIは、成形品の溶融処理温度(溶融温度)および架橋温度(硬化温度)の処理条件を示した。すべての温度は℃で報告する。すべての時間は分で報告する。
【0137】
部品の外観は「部品」という欄で報告する。例示した組成物および処理条件が部品の作成に役立たないとき、部品欄に、部品を作成できないことを「NP」、組成物が早期架橋したときに「Scorch」と示す。
【表13】

【0138】
EPDM/調整剤マスターバッチC
架橋温度特性調整剤を含有するEPDM/調整剤マスターバッチCは、Nordel(商標)3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマーペレット、Nipol(商標) DP−5161ニトリルゴム、4−ヒドロキシ−TEMPO、およびジクミルペルオキシドを用いて調製した。Nordel(商標)3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)は、<1%のジエンおよび125℃にてMooney粘度20を有する。それはDuPont Dow Elastomers L.L.C.より市販されていた。
【0139】
Nipol(商標)DP−5161ニトリルゴムはZeon Chemicalsより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOはA. H. Marksより市販されていた。ジクミルペルオキシド(DiCup R)は硬化促進剤であり、Geo Specialty Chemicalsより市販されていた。
【0140】
EPDM/調整剤マスターバッチCを調製するために使用した量を表XIVに重量パーセントとして示す。成分すべてをBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表14】

【0141】
EPDMマスターバッチD
架橋性ポリマーをマスターバッチとして調製した。EPDMマスターバッチDを調製するのに使用した量を表VIに重量パーセントとして示す。成分はすべてBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表15】

【0142】
EPDMはEPDMまたはEPDMのブレンドより成り、5%のジエン含有率および125℃にて≒40のMooney粘度を有していた。EPDMはDuPont Dow Elastomers L.L.C.より市販されていた。
【0143】
処理済み焼成粘土は、Engelhardより市販されていた。亜鉛ステアレートは、Baerlocherより市販されていた。重合1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリンは、R. T. Vanderbilt Companyより市販されていた。白色鉱油はCitgoより市販されていた。鉛丹はRhein Chemie Rubberより市販されていた。硫黄はRhein Chemie Rubberより市販されていた。
【0144】
実施例41および比較実施例42
EPDM/調整剤マスターバッチCをEPDMマスターバッチDの量に添加して、本発明の実施例41で使用するためのフリーラジカル架橋性ポリマー組成物を調製した。実施例41を比較実施例42の、架橋温度特性調整剤の非存在下のEPDMマスターバッチBの量と比較した。
【0145】
実施例41および比較実施例42を調製するのに使用した量を表XVIに重量パーセントとして示す。各組成物の成分すべてをBanburyミキサーで溶融ブレンドした。
【表16】

【0146】
実施例41および比較実施例42の架橋動力学は、移動ダイレオメータ(Moving Die Rheometer, MDR)を使用して140℃(早期架橋が望ましくない押出条件を刺激するため)および177℃(迅速で有効な架橋が望ましい架橋条件を刺激するため)にて調査した。140℃では、より長い誘発時間が好ましい。177℃では、特に高い架橋密度(またはより高い最終トルク)が伴うときには、所望のトルクに対してより短い時間が好ましい。
【0147】
図11は140℃におけるトルク−時間曲線を示し、図12は177℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【0148】
EPDM実施例43および比較実施例44
EPDM実施例および比較実施例は、Nordel(商標)3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマーペレット、低密度ポリエチレン、Kadox 930C亜鉛オキシド、Translink 37処理済み焼成粘土、Astor 4412パラフィンワックス、Agerite MA抗酸化剤、ジクミルペルオキシド、およびDFDB−5410 BKカラーマスターバッチを用いて調製した。EPDM実施例5は、4−ヒドロキシ−TEMPOも含有していた。
【0149】
Nordel(商標)3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)は、<1%のジエンおよび125℃にてMooney粘度20を有する。それはDuPont Dow Elastomers L.L.C.より市販されていた。低密度ポリエチレンは、2g/10分のメルトインデックスおよび0.923グラム/立方センチメートルの密度を有していた。
【0150】
Kadox 930C亜鉛オキシドはZinc Corporation of Americaより市販されていた。Translink 37処理済み焼成粘土はEngelhardより市販されていた。Astor 4412パラフィンワックスはHoneywellより市販されていた。Agerite MA抗酸化剤は、R. T. Vanderbilt Companyより市販されていた。DFDB−5410 BKカラーマスターバッチは、Dow Chemical Companyより市販されていた。ジクミルペルオキシド(DiCup R)は有機ペルオキシドであり、Geo Specialty Chemicalsより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOは、A. H. Marksより市販されていた。
【0151】
実施例43および比較実施例44を調製するために使用した量を表XVIIに重量パーセントとして示す。各組成物の成分すべてをBanburyミキサーで溶融ブレンドした。
【表17】

【0152】
実施例43および比較実施例44を処理して、射出成形品を作成した。表XVIIIは、成形品の溶融処理温度(溶融温度)および架橋温度(硬化温度)の処理条件を示した。すべての温度は℃で報告する。すべての硬化時間は分で報告する。
【0153】
部品の外観は「部品」という欄で報告する。例示した組成物および処理条件が部品の作成に役立たないとき、部品欄に、部品を作成できないことを「NP」、組成物が早期架橋したときに「Scorch」と示す。
【表18】

【0154】
EPDM実施例45および比較実施例46
ペルオキシド架橋性EPDM実施例および比較実施例は、Nordel(商標)NDR 3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマーペレット、CSX−614カーボンブラック、SUNPAR 2280工程オイル、およびDicup R有機ペルオキシドによって調製した。ペルオキシド架橋性EPDM実施例45は、4−ヒドロキシ−TEMPOも含有していた。
【0155】
Nordel(商標)3722Pエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)は、<1%のジエンおよび125℃にてMooney粘度20を有する。それはDuPont Dow Elastomers L.L.C.より市販されていた。CSX−614カーボンブラックはCabot Corporationより市販されていた。SUNPAR(商標)2280は40℃にて475センチストロークの粘度を有し、Sunocoより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOはA. H. Marksより市販されていた。ジクミルペルオキシド(DiCup R)は硬化促進剤であり、Geo Specialty Chemicalsより市販されていた。
【0156】
実施例45および比較実施例46を調製するために使用した量を表XIXに重量パーセントとして示す。各組成物の成分すべてをBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表19】

【0157】
実施例45および比較実施例46を処理して、押出品を作成した。表XXは、押出品の溶融処理(溶融温度)の処理条件を示す。すべての温度は℃で報告する。すべてのスクリュー速度は回転/分(rpm)で報告し、すべての圧力はポンド/平方インチ(psi)で報告する。
【0158】
部品の表面品質は「表面」と示した欄で報告する。「ラフ」表面は早期架橋を示す。
【表20】

【0159】
実施例47〜51−エチレン/ビニルアセテートコポリマー調合物
実施例47〜51それぞれは、Elvax(商標)460エチレン/ビニルアセテートコポリマーを標準射出成形調合物として使用した。調合物は、3重量パーセントのPerkadox(商標)1440ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、5重量パーセントのOmyalite(商標)95Tカルシウムカーボネート、0.1重量パーセントの亜鉛ステアレート、0.1重量パーセントのIrganox(商標)B225ブレンド抗酸化剤、および各種の量の架橋温度特性調整剤である4−ヒドロキシ−TEMPOを含有していた。4−ヒドロキシ−TEMPOの量を表XXIに示す。
【0160】
Elvax(商標)460エチレン/ビニルアセテートコポリマーは、18重量パーセントのビニルアセテートを含有し、2.5グラム/10分のメルトインデックスを有していた。EVAはDuPontより市販されていた。
【0161】
Perkadox(商標)1440ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンはAkzo Nobelより市販されていた。Omyalite(商標)95TカルシウムカーボネートはOmyaより市販されていた。亜鉛ステアレートはBaerlocherより市販されていた。Irganox(商標)B225ブレンド抗酸化剤はCiba Specialty Chemicals Inc.より市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOはA. H. Marksより市販されていた。
【表21】

【0162】
図13および14は、例示した組成物についてそれぞれ165℃および185℃のトルク−時間曲線を示す。
【0163】
FRポリオレフィン/調整剤マスターバッチE
架橋温度特性調整剤を含有する難燃性(FR)ポリオレフィン/調整剤マスターバッチEは、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、PGA−SD白色アルミナトリヒドレート(ATH)、Irganox 1010(商標)テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルヒドロシンナメート)メタン、Vulcup R硬化促進剤、および4−ヒドロキシ−TEMPOによって調製した。
【0164】
Elvax(商標)460エチレン/ビニルアセテートコポリマーは、18重量パーセントのビニルアセテートを含有し、2.5グラム/10分のメルトインデックスを有していた。EVAはDuPontより市販されていた。
【0165】
PGA−SD白色アルミナトリヒドレート(ATH)はAmatisより市販されていた。Irganox 1010(商標)テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルヒドロシンナメート)メタンは主抗酸化剤であり、Ciba Specialty Chemicals Inc.より市販されていた。Vulcup R硬化促進剤はGeo Specialty Chemicalsより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOはA. H. Marksより市販されていた。
【0166】
FRポリオレフィン/調整剤マスターバッチEを調製するのに使用した量を表XXIIに重量パーセントとして示す。
【表22】

【0167】
ペルオキシド/FRポリオレフィンマスターバッチF
ペルオキシド含有架橋性ポリマーをペルオキシド/FRポリオレフィンマスターバッチFとして選択した。選択した組成物は、XL 7414ペルオキシド架橋性FR化合物としてEquistarより市販されていた。
【0168】
実施例52および比較実施例53
FRポリオレフィン/調整剤マスターバッチEの量をペルオキシド/FRポリオレフィンマスターバッチFの量に添加して、本発明の実施例52で使用するためのフリーラジカル架橋性ポリマー組成物を調製した。実施例52を比較実施例53の、架橋温度特性調整剤の非存在下のペルオキシド/FRポリオレフィンマスターバッチFの量と比較した。
【0169】
実施例52および比較実施例53を調製するのに使用した量を表XXIIIに重量パーセントとして示した。
【表23】

【0170】
実施例52および比較実施例53の架橋動力学は、MDRを使用して140℃(早期架橋が望ましくない押出条件を刺激するため)および182℃(迅速で有効な架橋が望ましい架橋条件を刺激するため)にて調査した。140℃では、より長い誘発時間が好ましい。182℃では、特に高い架橋密度(またはより高い最終トルク)が伴うときには、所望のトルクに対してより短い時間が好ましい。182℃では、所望の初期架橋トルクは16.0ポンドインチである。
【0171】
図15は140℃におけるトルク−時間曲線を示し、図16は182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【0172】
実施例52および比較実施例153を処理して、押出品を作成した。表XXIVは、押出品の溶融処理(ダイ温度および溶融温度の両方)の処理条件を示す。すべての温度は℃で報告する。すべてのスクリュー速度は回転/分(RPM)で報告され、すべての圧力はポンド/平方インチ(psi)で報告される。
【0173】
部品の表面品質は「表面」と示した欄で報告する。「ラフ」表面は早期架橋を示す。
【表24】

【0174】
FRポリオレフィン実施例54および比較実施例55
難燃性ポリオレフィン実施例および比較実施例は、エチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマー、PGA−SD白色アルミナトリヒドレート(ATH)、Kadox911P熱安定剤、ジステアリル−3−3−チオジプロピオナート(DSTDP)、Irganox 1010(商標)テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルヒドロシンナメート)メタン、SR 350硬化ブースター、Silane A−151カップリング剤、亜鉛ステアレート、およびVulcup R有機ペルオキシドによって調製した。難燃性実施例54は、4−ヒドロキシ−TEMPOも含有していた。
【0175】
Elvax(商標)460エチレン/ビニルアセテートコポリマーは、18重量パーセントのビニルアセテートを含有し、2.5グラム/10分のメルトインデックスを有していた。EVAはDuPontより市販されていた。
【0176】
PGA−SD白色アルミナトリヒドレート(ATH)はAmatisより市販されていた。Kadox 911P熱安定剤はZinc Corporation of Americaより市販されていた。Irganox 1010(商標)テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルヒドロシンナメート)メタンは主抗酸化剤であり、Ciba Specialty Chemicals Inc.より市販されていた。DSTDPは副抗酸化剤であり、Great Lakes Chemical Corporationより市販されていた。SR 350硬化ブースターはSartomer Company, Inc.より市販されていた。Silane A−151カップリング剤はGE Siliconesより市販されていた。亜鉛ステアレートはBaerlocherより市販されていた。Vulcup R有機ペルオキシドはGeo Specialty Chemicalsより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOはA. H. Marksより市販されていた。
【0177】
実施例54および比較実施例55を調製するために使用した量を表XXVに重量パーセントとして示す。各組成物の成分すべてをBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表25】

【0178】
実施例54および比較実施例55の架橋動力学は、MDRを使用して140℃(早期架橋が望ましくない押出条件を刺激するため)および182℃(迅速で有効な架橋が望ましい架橋条件を刺激するため)にて調査した。140℃では、より長い誘発時間が好ましい。182℃では、特に高い架橋密度(またはより高い最終トルク)が伴うときには、所望のトルクに対してより短い時間が好ましい。
【0179】
図17は140℃におけるトルク−時間曲線を示し、図18は182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【0180】
エチレン/ビニルアセテートベースの半導体組成物
比較実施例56、57、および60ならびに実施例58、59、61および62
3つの比較実施例および4つの実施例は、ペルオキシド含有HFDA−0802半導体EVAベース組成物を用いて調製した。本発明を例示する組成物は、4−ヒドロキシ−TEMPOも含有していた。ある例においては、例示した組成物は、硬化ブースターのトリアリルシアヌラート(TAC)も含有していた。
【0181】
HFDA−0802半導体絶縁シールド組成物はDow Chemical Companyより市販されていた。4−ヒドロキシ−TEMPOはA. H. Marksより市販されていた。トリアリルシアヌラートはSartomer Company, Inc.より市販されていた。
【0182】
比較実施例および実施例を調製するために使用した量を表XXVIに重量パーセントとして示す。
【表26】

【0183】
CPE実施例63および比較実施例64
ペルオキシド−架橋性塩素化ポリエチレン実施例および比較実施例は、TYRIN(商標)CM0836塩素化ポリエチレンによって調製した。組成物は、CSX−618カーボンブラック、SR350硬化ブースター、およびDicup R有機ペルオキシドも含有していた。本発明を例示するペルオキシド架橋性組成物は、4−ヒドロキシ−TEMPOを含有していた。
【0184】
TYRIN(商標)CM0836塩素化ポリエチレンは、36%の塩素を含有し、121℃にてMooney粘度94を有していた。それはDuPont Dow Elastomers, L. L. C.より市販されていた。
【0185】
カーボンブラックはCabot Corporationより市販されていた。SR350硬化ブースターはSartomer Company, Inc.より市販されていた。ジクミルペルオキシド(DiCup R)は有機ペルオキシドであり、Geo Specialty Chemicalsより市販されている。4−ヒドロキシ−TEMPOは、A. H. Marksより市販されていた。
【0186】
実施例63および比較実施例64を調製するために使用した量を表XXVIIに重量パーセントで示す。どちらの組成物もBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表27】

【0187】
実施例63および比較実施例64の架橋動力学は、MDRを使用して120℃および140℃(早期架橋が望ましくない押出条件を刺激するため)ならびに182℃(迅速で有効な架橋が望ましい架橋条件を刺激するため)にて調査した。120および140℃では、より長い誘発時間が好ましい。182℃では、特に高い架橋密度(またはより高い最終トルク)が伴うときには、所望のトルクに対してより短い時間が好ましい。205℃では、所望の初期架橋トルクは40.0ポンドインチである。
【0188】
図19が120℃におけるトルク−時間曲線を示すのに対して、図20は140℃におけるトルク−時間曲線を示した。図21は、182℃におけるトルク−時間曲線を示した。
【0189】
実施例63および比較実施例64を処理して、押出品を作成した。表XXVIIIは、押出品の溶融処理(ダイ温度および溶融温度の両方)の処理条件を示す。すべての温度は℃で報告する。すべてのスクリュー速度は回転/分(RPM)で報告し、すべての圧力はポンド/平方インチ(psi)で報告する。
【0190】
部品の表面品質は「表面」と示した欄で報告する。「ラフ」表面は早期架橋を示す。
【表28】

【0191】
ポリオレフィンプラストマー実施例65および比較実施例66
ポリオレフィンプラストマー実施例および比較実施例は、Affinity(商標)EG 8200ポリオレフィンプラストマーおよびDicup R有機ペルオキシドによって調製した。ポリオレフィンプラストマー実施例1は、p−ニトロソ−N,N’−ジメチルアニリンも含有する。
【0192】
Affinity(商標)EG 8200ポリオレフィンプラストマーは、0.87グラム/立方センチメートルの密度および5g/10分のメルトインデックスを有していた。ポリオレフィンプラストマーはDow Chemical Companyより市販されていた。Dicup R有機ペルオキシドはGeo Specialty Chemicalsより市販されていた。p−ニトロソ−N,N’−ジメチルアニリンはAldrichより市販されていた。
【0193】
実施例65および比較実施例66を調製するために使用した量を表XXIXに重量パーセントとして示す。どちらの組成物もBrabenderミキサーで溶融ブレンドした。
【表29】

【0194】
実施例65および比較実施例66の架橋動力学は、MDRを使用して140℃(早期架橋が望ましくない押出条件を刺激するため)および182℃(迅速で有効な架橋が望ましい架橋条件を刺激するため)にて調査した。140℃では、より長い誘発時間が好ましい。182℃では、特に高い架橋密度(またはより高い最終トルク)が伴うときには、所望のトルクに対してより短い時間が好ましい。
【0195】
図22は140℃におけるトルク−時間曲線を示し、図23は182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】フリーラジカル架橋性ポリマー組成物およびフリーラジカル誘導種の組合せの公称架橋温度特性を示す。
【図2】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の140℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図3】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の180℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図4】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない市販のSuperOhm(商標)3728ペルオキシド架橋性組成物の140℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図5】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない市販のSuperOhm(商標)3728ペルオキシド架橋性組成物の180℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図6】高密度ポリエチレン(a)ベースポリマーとしての、(b)ペルオキシドを含む、(c)ペルオキシドおよび架橋温度特性調整剤を含む高密度ポリエチレンの150℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図7】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の140℃および150℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図8】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図9】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の各温度におけるペルオキシド分解パーセントを示す。
【図10】架橋温度特性調整剤を含有する組成物から作成した試験片表面の減衰全反射赤外線走査によるスペクトルを示す。
【図11】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の140℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図12】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の177℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図13】各種のレベルの架橋温度特性調整剤を含む射出成形用架橋性ポリマー組成物の165℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図14】各種のレベルの架橋温度特性調整剤を含む射出成形用架橋性ポリマー組成物の185℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図15】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の140℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図16】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図17】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の140℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図18】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図19】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の120℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図20】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の140℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図21】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図22】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の140℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図23】架橋温度特性調整剤を含む、および含まない架橋性ポリマー組成物の182℃におけるトルク−時間曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋製造品を作成するための改良工程であって、
(a)架橋性ポリマー組成物であって
(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)フリーラジカル誘導種と;
(3)架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度で溶融処理するステップと;
(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を形成するステップと;
(c)架橋性ポリマー組成物を公称架橋温度にて形成製造品として架橋させるステップと;
を含む工程。
【請求項2】
フリーラジカル架橋性ポリマーが炭化水素ベースである、請求項1に記載の改良工程。
【請求項3】
フリーラジカル架橋性ポリマーがエチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/アルファオレフィンコポリマー、エチレンホモポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、エチレン/スチレンインターポリマー、ハロゲン化ポリエチレン、プロピレンコポリマー、天然ゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレン/ジエンコポリマー、ニトリルゴム、およびそのブレンドから成る群より選択される、請求項1に記載の改良工程。
【請求項4】
フリーラジカル架橋性ポリマーがプロピレンポリマーであり、架橋温度特性調整剤がプロピレンポリマーの鎖の切断を抑制する、請求項3に記載の改良工程。
【請求項5】
フリーラジカル誘導種が有機ペルオキシド、アゾフリーラジカル開始剤、ビキュメン、酸素、および空気から成る群より選択される、請求項1に記載の改良工程。
【請求項6】
架橋温度特性調整剤がフリーラジカルインヒビタである、請求項1に記載の改良工程。
【請求項7】
フリーラジカルインヒビタが(i)ヒンダードアミン由来安定性有機フリーラジカル、(ii)イニファータ、(iii)有機金属化合物、(iv)アリールアゾオキシラジカル、および(v)ニトロソ化合物から成る群より選択される、請求項6に記載の改良工程。
【請求項8】
フリーラジカルインヒビタが2,2,6,6,−テトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)およびその誘導体から成る群より選択されるヒンダードアミン由来安定有機フリーラジカルである、請求項7に記載の改良工程。
【請求項9】
安定有機フリーラジカルがビス−TEMPO、オキソ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPOのエステル、ポリマー結合TEMPO、PROXYL、DOXYL、ジ−第3級ブチルNオキシル、ジメチルジフェニルピロリジン−1−オキシル、4ホスホンオキシTEMPO、およびTEMPOとの金属錯体から成る群より選択される、2,2,6,6−テトラメチルピリジニルオキシの誘導体である、請求項8に記載の改良工程。
【請求項10】
フリーラジカルインヒビタがテトラエチルチウラムジスルフィド、ベンジルNNジエチルジチオカルバメート、ジチオカルバメート、ポリチオカルバメート、およびSベンジルジチオカルバメートから成る群より選択されるイニファータである、請求項7に記載の改良工程。
【請求項11】
架橋性ポリマー組成物が、架橋温度特性調整剤の非存在下で組合せが達成するのと同じ硬化度、またはそれより高い硬化度を達成する、請求項1に記載の改良工程。
【請求項12】
架橋性ポリマー組成物がさらに硬化ブースターを含む、請求項1に記載の改良工程。
【請求項13】
フリーラジカル架橋性ポリマー組成物が第3級アミン、コバルトナフテナート、マンガンナフテナート、バナジウムペントキシド、および第4級アンモニウム塩から成る群より選択される、フリーラジカル生成を向上させる触媒をさらに含む、請求項1に記載の改良工程。
【請求項14】
架橋製造品を調製する改良工程であって、
(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)フリーラジカル誘導種と;
(3)架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度にて溶融処理するステップを含む改良工程。
【請求項15】
架橋製造品を調製するための改良工程であって、
(a)(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)フリーラジカル誘導種と;
(3)架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度にて溶融処理するステップと;
(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を形成するステップと;
(c)フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称架橋温度を超えた温度にて、架橋性ポリマー組成物を形成製造品として架橋させるステップと;を含む改良工程。
【請求項16】
架橋製造品を作成するための改良工程であって、
(a)(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)フリーラジカル誘導種と;
(3)架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度にて溶融処理するステップであって、
(i)架橋温度特性調整剤の非存在下で、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せが公称処理速度を有し、
(ii)架橋温度特性調整剤が公称処理速度よりも少なくとも5パーセント高速な工程を実施させる、
溶融処理ステップと;
(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を形成するステップと;
(c)架橋性ポリマー組成物を形成製造品として架橋させるステップと;
を含む工程。
【請求項17】
架橋ステップが公称架橋温度より高い温度で行われる、請求項16に記載の改良工程。
【請求項18】
架橋製造品を調製する改良工程であって、
(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)フリーラジカル誘導種と;
(3)架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度にて溶融処理するステップであって、
(i)架橋温度特性調整剤の非存在下で、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せが公称処理速度を有し、
(ii)架橋温度特性調整剤が公称処理速度よりも少なくとも約5%高速な工程を実施させる、
溶融処理ステップを含む改良工程。
【請求項19】
架橋製造品を調製する改良工程であって、
(a)(1)剪断エネルギー、熱、または放射線を受けるとフリーラジカルを生成するフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度にて溶融処理するステップと;
(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を形成するステップと;
(c)公称架橋温度にて架橋性ポリマー組成物を形成製造品として架橋させるステップと;
を含む改良工程。
【請求項20】
架橋製造品を調製する改良工程であって、
(1)剪断エネルギー、熱、または放射線を受けるとフリーラジカルを生成するフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、フリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの公称溶融処理温度よりも高い溶融処理温度にて溶融処理するステップを含む改良工程。
【請求項21】
剪断エネルギーを増加させることによって溶融処理温度部の温度が上昇する、請求項19または20のいずれかに記載の改良工程。
【請求項22】
溶融処理温度において、誘導時間が少なくとも公称誘発時間に等しい、請求項1〜21のいずれかに記載の改良工程。
【請求項23】
架橋製造品を調製する改良工程であって、
(a)(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)フリーラジカル誘導種と;
(3)TS1がフリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの早期架橋の表示である、架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、公称溶融処理温度におけるフリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せのTS1と少なくとも等しくTS1を維持しながら、公称溶融処理温度より高い溶融処理温度にて溶融処理するステップと;
(b)架橋性ポリマー組成物から製造品を形成するステップと;
(c)架橋性ポリマー組成物を形成製造品として架橋させるステップと;
を含む改良工程。
【請求項24】
架橋製造品を調製する改良工程であって、
(1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(2)フリーラジカル誘導種と;
(3)TS1がフリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せの早期架橋の表示である、架橋温度特性調整剤と;
を含む架橋性ポリマー組成物を、公称溶融処理温度におけるフリーラジカル架橋性ポリマーとフリーラジカル誘導種との組合せのTS1と少なくとも等しくTS1を維持しながら、公称溶融処理温度より高い溶融処理温度にて溶融処理するステップを含む改良工程。
【請求項25】
組合せのTS1が少なくとも20分である、請求項23または24のいずれかに記載の改良工程。
【請求項26】
溶融処理温度において、公称処理速度よりも少なくとも約5パーセント高速である、請求項23または24のいずれかに記載の改良工程。
【請求項27】
膨張した架橋製造品を調製するための改良工程であって、
(a)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を成形温度の型に射出温度にて射出するステップであって、膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物が
(A1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(A2)フリーラジカル誘導種と;
(A3)架橋温度特性調整剤と;
(A4)化学発泡剤および物理発泡剤から成る群より選択される発泡剤と;
を含む、射出ステップと;
(b)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を、膨張性架橋性ポリマー組成物を膨張および架橋させるのに十分な期間に渡って架橋温度まで加熱するステップと;
(c)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を型から取出すステップと;
(d)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を膨張した架橋製造品へと膨張および架橋させるステップと
を含む工程。
【請求項28】
膨張した架橋製造品を調製するための改良工程であって、
(a)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を成形温度の型に射出温度にて射出するステップであって、膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物が
(A1)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(A2)フリーラジカル誘導種と;
(A3)架橋温度特性調整剤と;
(A4)化学発泡剤と;
を含む、射出ステップと;
(b)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を型内で、発泡剤の活性化温度に至るまでの期間に渡って加熱するステップと;
(c)膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物を型内で膨張したフリーラジカル架橋性ポリマー組成物となるまで膨張させるステップと;
(d)膨張性架橋性ポリマー組成物を型内の膨張した架橋ポリマー組成物となるまでに架橋させるステップと;
を含む改良工程。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれかに記載の改良工程から調製された製造品。
【請求項30】
(a)少なくとも130℃より高い融点を有するフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)架橋温度特性調整剤と;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物。
【請求項31】
(a)ブレンドの公称溶融処理温度にて早期架橋を受けやすいフリーラジカル架橋性ポリマーブレンドと;
(b)架橋温度特性調整剤と;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物。
【請求項32】
フリーラジカル架橋性ポリマーブレンドが直鎖低密度ポリエチレンおよび分岐ポリエチレンを含む、請求項31に記載のフリーラジカル架橋性ポリマー組成物。
【請求項33】
(a)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)2,2,6,6,−テトラメチルピペリジニルオキシおよびその誘導体を除く架橋温度特性調整剤と;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物。
【請求項34】
(a)フリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)フリーラジカル誘導種と;
(c)架橋温度特性調整剤と;
(d)化学発泡剤および物理発泡剤から成る群より選択される発泡剤と;
を含む膨張性フリーラジカル架橋性ポリマー組成物。
【請求項35】
(a)約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量の、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、およびその混合物より成る群から選択されるフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と;
(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と;
(d)約10重量パーセント〜約70重量パーセントの量の、無機フィラーと;
を含む組成物から調製されたフリーラジカル架橋ポリマー組成物を含む電源ケーブル付属品。
【請求項36】
(a)約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量の、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、およびその混合物より成る群から選択されるフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と;
(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と;
(d)約10重量パーセント〜約70重量パーセントの量の、無機フィラーと;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成した架橋絶縁体を含む電源ケーブル。
【請求項37】
(a)約10重量パーセント〜約85重量パーセントの量の、エチレン/アルファオレフィンコポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、およびその混合物より成る群から選択されるフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と;
(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と;
(d)約15重量パーセント〜約70重量パーセントの、難燃剤と;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成した架橋難燃性絶縁体を含む電源ケーブル。
【請求項38】
(a)約10重量パーセント〜約85重量パーセントの量の、エチレン/アルファオレフィンコポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、およびその混合物より成る群から選択されるフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と;
(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と;
(d)約20重量パーセント〜約40重量パーセントの量の、導電性フィラーと;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成した架橋半導体絶縁シールドを含む電源ケーブル。
【請求項39】
(a)約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量の、直鎖低密度ポリエチレンおよび分岐ポリエチレンを含むフリーラジカル架橋性ポリマーブレンドと;
(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と;
(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と;
(d)約10重量パーセント〜約70重量パーセントの量の、無機フィラーと;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成した架橋絶縁体を含む電源ケーブル。
【請求項40】
(a)塩素化ポリエチレンであり、約20重量パーセント〜約90重量パーセントの量で存在するフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と;
(c)約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と;
(d)約10重量パーセント〜約65重量パーセントの量の、無機フィラーと;
を含むフリーラジカル架橋性ポリマー組成物から作成した架橋ジャケットを含む電源ケーブル。
【請求項41】
(a)約10重量パーセント〜約85重量パーセントの量の、エチレン/不飽和エステルコポリマーであるフリーラジカル架橋性ポリマーと;
(b)約0.5重量パーセント〜10重量パーセントの量の、フリーラジカル誘導種と;
(c)約0.01重量パーセント〜約5重量パーセントの量の、架橋温度特性調整剤と;
(d)物理発泡剤および化学発泡剤から成る群より選択される発泡剤と;
を含む組成物から調製される膨張したフリーラジカル架橋ポリマー組成物を含む靴底。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−517119(P2007−517119A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547379(P2006−547379)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/043351
【国際公開番号】WO2005/066280
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】