説明

フルオロアルキル含有エステルオリゴマーとポリジカルボジイミド(類)とのブレンド

向上した撥水性及び撥油性を基材へ付与するための、(A)1種以上のエステルオリゴマー及び(B)1種以上のポリカルボジイミドのブレンドを含んでなる組成物。更に、このような組成物を適用する方法及びこのような組成物で処理された物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/942,701号及び同第60/942,719号(各々、2007年6月8日出願)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、(A)少なくとも1種のフッ素含有繰り返し可能単位を有する1種以上の化合物又はオリゴマーと、(B)1種以上のポリジカルボジイミド(類)とブレンドした少なくとも1種のフッ素含有末端基とのブレンドからなる、フルオロケミカル組成物に関する。本発明は、更に、基材及びこのようなフルオロケミカル組成物(皮膜として適用されてよい)を含む物品に関する。これらのフルオロケミカル組成物は、基材へ撥油性及び撥水性を付与する。他の態様では、本発明は、基材及び物品へ撥油及び撥水特性を付与するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
繊維材料、紙及び皮革などの繊維及び繊維性基材上にある種のフルオロケミカル組成物を使用することによって、撥油性及び撥水性並びに汚れ抵抗性及び染み抵抗性を付与することは、当該技術分野において周知である。例えば、「有機フッ素化学物質及びそれらの工業的応用(Organofluorine Chemicals and Their Industrial Applications)」(バンクス(Banks)編、エリスホーウッド社(Ellis Horwood Ltd.)(英国、チチェスター)、1979年、226〜234頁)を参照のこと。そのようなフルオロケミカル組成物に含まれるものとしては、例えば、フルオロケミカルグアニジン(米国特許第4,540,497号、チャン(Chang)ら)、カチオン性及び非カチオン性フルオロケミカル組成物(米国特許第4,566,981号、ハウエルズ(Howells))、フルオロケミカルカルボン酸及びエポキシ系カチオン性樹脂を含む組成物(米国特許第4,426,466号、シュバルツ(Schwartz))、フルオロ脂肪族カルボジイミド(米国特許第4,215,205号、ランドゥッチ(Landucci))、フルオロ脂肪族アルコール(米国特許第4,468,527号、パーテル(Patel))、フッ素含有付加ポリマー、コポリマー、及びマクロマー(米国特許第2,803,615号、同第3,068,187号、同第3,102,103号、同第3,341,497号、同第3,574,791号、同第3,916,053号、同第4,529,658号、同第5,216,097号、同第5,276,175号、同第5,725,789号、及び同第6,037,429号)、フッ素含有リン酸エステル(米国特許第3,094,547号、同第5,414,102号、及び同第5,424,474号)、フッ素含有ウレタン(米国特許第3,987,182号、同第3,987,227号、同第4,504,401号、及び同第4,958,039号)、フルオロケミカルアロファネート(米国特許第4,606,737号)、フルオロケミカルビウレット(米国特許第4,668,406号)、フルオロケミカルオキサゾリジノン(米国特許第5,025,052号)、並びにフルオロケミカルピペラジン(米国特許第5,451,622号)などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所望の条件下にて、より使用し易くかつ性能が向上した撥水性処理の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(A)同時係属米国特許出願第WW/XXX,YYY号(米国弁護士側整理番号第63121US004号)(本出願と同時出願されたものであるとともに、米国特許仮出願第60/942,701号(2007年6月8日出願)に対する優先権を主張する)に開示されているような1種以上のフルオロケミカルエステル、及び米国特許第6,753,380号(キウ(Qiu))に開示されているような1種以上のフルオロケミカルエステルと、(B)1種以上のポリジカルボジイミド(類)とのブレンドを含んでなる、フルオロケミカルエステル組成物に関する。このようなブレンドは、それらを適用する基材へ、優れた動的撥水性並びに着用(wear)及び洗濯に対する向上した耐久性を付与することが判っている。
【0006】
加えて、本発明のブレンドは、(C)要望通り性質及び性能を最適化するための追加の材料を更に含んでもよい。例えば、本発明のブレンドは、フルオロアルキルアクリレート(例えば、米国特許第7,199,197号に記載されるもの)のオリゴマー、ポリマー、又はコポリマー、ウレタン(例えば、米国公開特許第2007/0004895号に記載されているようなフルオロアクリレートオリゴマーから誘導される)、メラミン、等を更に含んでもよい。
【0007】
本発明の組成物は、少なくとも1種のフッ素含有繰り返し可能単位及び少なくとも1種のフッ素含有末端基を有する1種以上のオリゴマーを含む。これらのオリゴマーは、
(a)1種以上のポリオールと、
(b)1種以上のポリアシル化合物(カルボン酸、エステル、ハロゲン化アシルなど)、例えば、好ましくは14個以上の炭素原子、と、
(c)ポリオール(a)のヒドロキシル基と又はポリアシル化合物(b)のアシル基と反応する官能基を含む、1種以上の単官能性フッ素含有化合物と、
(ここで、ポリオール化合物の少なくとも一部は、更に、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロヘテロアルキル、及びペルフルオロヘテロアルキレンからなる群から選択される、少なくとも1種のフッ素含有基を含む)の縮合反応生成物を含む。幾つかの実施形態では、前記化合物又はオリゴマーは、(a)、(b)、及び上述の(c)、並びに(d)1種以上の単官能性フッ素非含有化合物の縮合反応生成物を含む。意外にも、本発明のオリゴマーは、既知のより短鎖の材料と比較して優れた性能、特に、初期及び耐久性動的撥水性能を提供することが見出されている。
【0008】
本発明で使用する場合、用語「オリゴマー」とは、少なくとも2個以上、2〜3個以下、即ち、平均10個以下であるが、好ましくは平均5個以下の繰り返し(重合した)又は繰り返し可能単位を含む分子を意味する。各繰り返し単位は、1より大きい平均、好ましくは2又はそれ以上のヒドロキシル部分を有する少なくとも1つのポリオールと、1より大きい、好ましくは2又はそれ以上のアシル部分を有する少なくとも1つのポリアシル化合物との反応から誘導され、又は誘導可能なエステル基を含むが、ここで、ポリオール化合物の少なくとも一部は、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルキレン、ペルフルオロヘテロアルキル、及びペルフルオロヘテロアルキレンからなる群から選択される、少なくとも1つのフッ素含有部分を更に含む。オリゴマーは、1つ以上のペルフルオロアルキル基、1つ以上のペルフルオロヘテロアルキル基、又はこれらの混合物によって末端処理される。
【0009】
本発明のフルオロケミカル組成物のある種の好ましい実施形態は、1〜12個の炭素、好ましくは6個以下の炭素、より好ましくは3〜5個の炭素を有する末端かつペンダントのR基からなるような組成物を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態は、本発明のフルオロケミカルオリゴマー及び溶剤を含む被膜組成物に関する。本実施形態では、フルオロケミカル組成物は、溶剤中に溶解又は分散されている。基材に適用する場合、本被膜組成物(溶液又はエマルションであり得る)は、基材の外観を変更することなく、基材上への化学的組成物の均一分布を提供する。本発明は更に、
(a)1つ以上の基材表面上に、本発明の被膜組成物を適用すること(ここで、被膜組成物は、
(i)少なくとも1種の溶剤及び
(ii)本発明のフルオロケミカル組成物を含む)、並びに、
(b)当該被膜組成物を硬化させること
の各工程からなる、撥水性及び撥油性、汚染放出性、又は及び防汚性を、1つ以上の表面からなる基材へ提供する方法に関する。
【0011】
本発明のフルオロケミカル組成物は、例えば、局所適用によって、撥油性及び撥水性、汚染放出性及び防汚性を基材に付与するために、多種多様な基材への被膜材として適用することができる。本発明のフルオロケミカル組成物でコーティングした基材の試験において、予想外に高い動的撥水性が観察された。被膜材として適用する場合、本発明の化学的組成物は、均一フィルムを提供することができる。被膜材として適用する場合、本発明の化学的組成物は、それらを適用する基材の外観を変更しない。
【0012】
実質的に、(A)本明細書で記載する1種以上のエステルオリゴマー及び(B)本明細書で記載する1種以上のポリジカルボジイミドからなる本発明のブレンドは、驚くほど良好な初期撥水性及び撥油性を付与することが見出された。(C)本明細書で記載する1種以上のメラミン縮合物を更に含む本発明のブレンドは、このような性質、即ち、洗濯後の良好な撥水性及び撥油性の保持という向上した持続力と共に、このような驚くほど良好な初期の性質を付与することが見出されたが、フルオロケミカルアクリレートを更に追加したようなブレンドは、撥液性の持続力を更に一層向上させることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書及び本特許請求の範囲で使用される以下の用語は、特に断らない限り、次の意味を有する。
【0014】
「アシルオキシ」とは、ラジカル−OC(O)Rを意味し、ここでRは、アルキル、アルケニル、及びシクロアルキル、例えば、アセトキシ、3,3,3−トリフルオロアセトキシ、プロピオニルオキシなどである。
【0015】
「アルケニル」とは、不飽和脂肪族ラジカルを意味する。
【0016】
「アルコキシ」とは、ラジカル−ORを意味し、ここでRは、アルキル基であって、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどである。
【0017】
「アルキル」とは、直鎖飽和一価炭化水素ラジカル又は分枝鎖飽和一価炭化水素ラジカル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、ペンチル、などを意味する。
【0018】
「アルキレン」とは、直鎖飽和二価炭化水素ラジカル又は分枝鎖飽和二価炭化水素ラジカル、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレン、ヘキシレン、などを意味する。
【0019】
「アラルキレン」とは、アルキレンラジカルに結合した芳香族基を有する上記で定義されているアルキレンラジカル、例えば、ベンジル、ピリジルメチル、1−ナフチルエチル、などを意味する。
【0020】
「硬化された化学的組成物」とは、化学的組成物が乾燥していること、又は高温(例えば、50℃以上)で、乾燥するまで約24時間以下で化学的組成物から溶剤を蒸発させたことを意味する。
【0021】
「繊維性基材」とは、織布、編物、不織布、カーペット、並びに、積層物(PTFE及び/又はPU)を含むその他の繊維材料などの合成繊維又は無機繊維からなる材料、並びに綿、紙、及び皮革などの天然繊維からなる材料を意味する。
【0022】
「フルオロカーボンモノアルコール」とは、1つのヒドロキシル基及びペルフルオロアルキル基又はペルフルオロヘテロアルキル(perfluoroheteralkyl)基を有する化合物、例えば、CSON(CH)CHCHOH、CCHCHOH、CO(CO)CFCONHCOH、CO(CO)CF(CF)CONHCOH、c−C11CHOH、などを意味する。
【0023】
「硬質基材」とは、その形状を維持する任意の硬質材料、例えば、ガラス、セラミック、コンクリート、天然石、木材、金属、プラスチック、などを意味する。
【0024】
「ヘテロアシルオキシ」とは、本質的には先に挙げたアシルオキシと同じ意味を有するが、ただし、1種以上のヘテロ原子(即ち、酸素、イオウ、及び/又は窒素)がR基の中に存在しており、存在する炭素原子の総数が50以下であって、例えば、CHCHOCHCHC(O)O−、COCHCHOCHCHC(O)O−、CHO(CHCHO)CHCHC(O)O−などである。
【0025】
「ヘテロアルコキシ」とは、本質的には先に挙げたアルコキシと同じ意味を有するが、ただし、1種以上のヘテロ原子(即ち、酸素、イオウ、及び/又は窒素)がアルキル鎖中に存在していてもよく、存在する炭素原子の総数が50以下であって、例えば、CHCHOCHCHO−、COCHCHOCHCHO−、CHO(CHCHO)H、などである。
【0026】
「ヘテロアルキル」とは、本質的には先に挙げたアルキルと同じ意味を有するが、ただし、1種以上のヘテロ原子(即ち、酸素、イオウ、及び/又は窒素)がそのアルキル鎖中に存在し、これらのヘテロ原子が、少なくとも1個の炭素によって互いに分断されていて、例えば、CHCHOCHCH−、CHCHOCHCHOCH(CH)CH−、CCHCHSCHCH−、などである。
【0027】
「ヘテロアルキレン」とは、本質的には先に挙げたアルキレンと同じ意味を有するが、ただし、1つ以上のヘテロ原子(即ち、酸素、イオウ、及び/又は窒素)がそのアルキレン鎖中に存在し、これらのヘテロ原子が、少なくとも1個の炭素によって互いに分断されていて、例えば、−CHOCHO−、
−CHCHOCHCH−、−CHCHN(CH)CHCH−、−CHCHSCHCH−、などである。
【0028】
「ヘテロアラルキレン」とは、先に定義したアラルキレンラジカルと同じ意味を有するが、ただし、カテナリーな酸素、イオウ、及び/又は窒素原子が存在していて、例えば、フェニレンオキシメチル、フェニレンオキシエチル、ベンジレンオキシメチル、などである。
【0029】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味するが、フルオロ及びクロロが好ましい。
【0030】
「ペルフルオロアルキル」とは、本質的には先に挙げた「アルキル」と同じ意味を有するが、ただし、アルキルラジカルの水素原子の全部、又は本質的に全部がフッ素原子によって置換されており、炭素原子数が1〜約12であり、例えば、ペルフルオロプロピル、ペルフルオロブチル、ペルフルオロオクチル、などである。
【0031】
「ペルフルオロアルキレン」とは、本質的には先に挙げた「アルキレン」と同じ意味を有するが、ただし、アルキレンラジカルの水素原子の全て又は本質的に全てがフッ素原子で置換されており、例えば、ペルフルオロプロピレン、ペルフルオロブチレン、ペルフルオロオクチレン、などである。
【0032】
「ペルフルオロヘテロアルキル」という用語は、本質的には先に挙げた「ヘテロアルキル」と同じ意味を有するが、ただし、そのヘテロアルキル基の水素原子の全部、又は本質的に全部がフッ素原子によって置換されており、炭素原子数が3〜約100であり、例えば、CFCFOCFCF−、CFCFO(CFCFO)CFCF−、又は CO(CF(CF)CFO)CF(CF)CF−(ここで、mは、約10〜約30である)、などである。
【0033】
「ペルフルオロヘテロアルキレン」とは、本質的には先に挙げた「ヘテロアルキレン」と同じ意味を有するが、ただし、ヘテロアルキレンラジカルの水素原子の全部、又は本質的に全部がフッ素原子によって置換されており、炭素原子数が3〜約100であり、例えば、−CFOCF−、
−CFO(CFO)(CFCFO)CF−、などである。
【0034】
「ペルフルオロ化基」とは、炭素に結合した水素原子の全て又は本質的に全てがフッ素原子で置き換えらている有機基、例えば、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロヘテロアルキル、などを意味する。
【0035】
「ポリアシル化合物」とは、多価有機基、例えば、ジメチルアジパート、などに結合した、2つ又はそれ以上のアシル基、又はその誘導体、例えば、カルボン酸、エステル、若しくはハロゲン化アシルを含む化合物を意味する。
【0036】
「ポリオール」とは、1分子当たり、平均して少なくとも約2個の一級又は二級ヒドロキシル基を有する有機化合物又はポリマー、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,6−ヘキサンジオール、などを意味する。前記化合物又はポリマーは、フッ素化されていてもよく、即ち、フッ素含有部分を主鎖に含むか又はペンダントとして結合していてもよく、あるいはその両方であってもよい。
【0037】
「多孔質」とは、液体を吸収できることを意味する。
【0038】
エステル−(A)
本発明のフルオロケミカル組成物は、
(a)1種以上のフッ素化ポリオール、
(b)1種以上のポリアシル化合物(カルボン酸、エステル、ハロゲン化アシルなど)であって、例えば、好ましくは14個以上の炭素原子を含むもの、及び
(c)ポリオール(a)のヒドロキシル基と又はポリアシル化合物(b)のアシル基と反応する官能基を含む、1種以上の単官能性フッ素含有化合物と、の縮合反応生成物を含む。
【0039】
フッ素化ポリオール化合物は、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロヘテロアルキル、及びペルフルオロヘテロアルキレンからなる群から選択される、少なくとも1種のフッ素含有基を更に含む。エステルオリゴマーは、1種以上の非フッ素化ポリオールを更に含んでもよい。所望により、本発明のフルオロケミカルオリゴマーの反応混合物は、得られる撥水性、融点、などの性質を調整するために、(a)、(b)、及び(c)に加えて、(d)1種以上の単官能性フッ素非含有化合物を更に含む。
【0040】
オリゴマーは、少なくとも2種の繰り返し可能重合単位又は重合性繰り返し単位を含む。各繰り返し可能単位又は繰り返し単位は、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルキレン、ペルフルオロヘテロアルキル、及びペルフルオロヘテロアルキレンからなる群から選択される、1種以上のペンダント基又は鎖状フッ素含有基、並びにポリオールとポリアシル化合物との間の反応から形成されるエステル基を含む。オリゴマーは、1種以上のペルフルオロアルキル基、1種以上のペルフルオロヘテロアルキル基、若しくは所望により1種以上のフッ素非含有化合物又はこれらの混合物によって末端処理される。
【0041】
得られたエステル分子混合物は、好ましくは、2以上の繰り返し単位を含む、様々な数の繰り返し単位又は繰り返し可能単位を有する分子を含むことが理解されよう。様々な数の繰り返し単位を含む本エステル分子混合物は、フルオロケミカル組成物の調製において、上記構成成分の単純なブレンドを可能にする。
【0042】
本発明のフルオロケミカル組成物は、少なくとも1種のジアシル化合物(又はその誘導体、例えば、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジカルボン酸無水物、又はジカルボン酸エステル)、少なくとも1種のフッ素化ポリオール、及び少なくとも1種のフッ素含有モノアルコール又はフッ素含有モノカルボン酸(又は誘導体)の反応から生じるエステル分子の混合物を含むが、ただし、ポリオール化合物の少なくとも一部は、ペンダント又は鎖状フッ素含有基からなる。
【0043】
したがって、フルオロケミカル組成物は、一定数(1以上の数)の特定の繰り返し単位又は繰り返し可能単位を有する単一エステルオリゴマーを含むことができ、あるいはそれは、このような化合物の混合物及び/又は様々な数の繰り返し単位のオリゴマーを含むことができる。
【0044】
エステル化合物及びオリゴマーは、式(I)によって表わされてもよい。
【0045】
Q[OR[OC(O)RC(O)ORO][C(O)RC(O)]
(I)
(式中、
oは、0又は1の数であり、
nは、1及び10を含む、1〜10の数であり、
mは、0又は1の数であり、
は、1〜12個、好ましくは6個以下、最も好ましくは3〜5個の炭素原子、又は3〜約50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基を有するペルフルオロアルキル基であって、存在する全てのペルフルオロカーボン鎖は、1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、
Qは、二価連結基であり、
は、1〜20個の炭素原子、最も好ましくは12〜16個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖又は不飽和鎖アルキレン基のポリアシル化合物の残基である、同じであるか又は相違する多価有機基であり、
は、ポリオールの残基であって、少なくともその一部が、1種以上の、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキレン基又はこれらの混合物によって置換されているか、あるいは含む、同じであるか又は相違している二価の有機基であり、ここで、好ましくは6個以下の炭素原子が、そこへ結合したフッ素原子を有しており、そして、
Tは、ポリアシル化合物又はポリオールと反応可能な、上記定義のQR又はフッ素非含有単官能性化合物である。
【0046】
上述したR基については、R基が、6個以下の炭素原子を有することが好ましい。短鎖R基は、米国特許第5,688,884号に記載されているように、生物濃縮する傾向が弱まると考えられている。
【0047】
好適な連結基Qは、共有結合に加えて、以下の構造を含む。本リストにおいては、各kは、独立して0〜約20の整数であり、R1’は、水素、フェニル、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、かつR2’は、1〜約20個の炭素原子を有するアルキルである。各構造は、無指向性であって、即ち、−(CHC(O)O−は、−O(O)C(CH−と同等である。
【0048】
【表1】

【0049】
単一化合物に加えて、一般式に対応するオリゴマーの混合物が存在してもよいと理解されており、かつ、o、m、及びnは、非整数値によって表されてもよいと理解されている。
【0050】
本発明のフルオロケミカル組成物の調製に用いるのに好適な、ポリオール分子の混合物を含むポリオールとしては、1より大きい(好ましくは約2〜約3、最も好ましくは約2であって、ジオールとしては約2が最も好ましい)平均ヒドロキシル官能性を有するような有機ポリオールが挙げられる。ヒドロキシル基は、一級又は二級であることができるが、それらの反応性をより高めるためには、一級ヒドロキシル基が好ましい。
【0051】
好適なポリオールとしては、少なくとも1つの脂肪族部分、複素脂肪族部分、脂環式部分、複素脂環式部分、芳香族部分、複素環式芳香族部分、又は高分子部分を含むようなものが挙げられる。好ましいポリオールは、末端基としてのヒドロキシル基を含む、脂肪族ポリオール又は高分子ポリオールである。
【0052】
ポリオールは、ペルフルオロアルキル部分、ペルフルオロヘテロアルキル部分、及びペルフルオロヘテロアルキレン部分からなる群から選択される、少なくとも1つのフッ素含有基を含んでもよい。これらのペルフルオロ部分を含む全てのペルフルオロカーボン鎖は、好ましくは6個以下の炭素原子である。ペルフルオロアルキル部分が好ましく、6個以下の炭素原子を有するペルフルオロアルキル部分が好ましい。ペルフルオロヘテロアルキル部分は、3〜50個の炭素原子を有してもよい。ペルフルオロヘテロアルキレン基は、3〜50個の炭素原子を有してもよい。ペルフルオロヘテロアルキル部分及びアルキレン部分は、好ましくは、6個超の炭素原子を有するペルフルオロカーボン鎖を持たないペルフルオロポリエーテルである。
【0053】
フッ素化ポリオール及び非フッ素化ポリオールの混合物は、本発明のフルオロケミカル組成物のある種のものを調製する際に、有利に利用され得る。例えば、非フッ素化ポリオールを含むことで、フルオロケミカル組成物の溶解温度を変えて、所与の適用で通常使用されるプロセス温度において、より効果的にすることができる。より高価なフッ素化ポリオール(類)部分を、より安価な非フッ素化ポリオール(類)と置き換えることによってもまた、コストパフォーマンスを増大させられる。非フッ素化ポリオール(類)の選択及び使用量は、要求性能、例えば、溶解温度及び撥水性によって決定される。非フッ素化ポリオールを使用した場合、非フッ素化ポリオール(類)対フッ素化ポリオールの比の典型的な有用範囲は、約1:1〜約1:100である。
【0054】
このため、フルオロケミカルエステルオリゴマーは、1種以上のフッ素化ポリオール、所望により、1種以上の非フッ素化ポリオール、1種以上のポリアシル化合物と、1種以上の単官能性フッ素含有化合物並びに所望により、ポリアシル化合物又はポリオールと反応可能なフッ素非含有単官能性化合物の縮合反応生成物を含んでもよい。
【0055】
少なくとも1つのフッ素含有基を含む好適なフッ素化ポリオールの代表的実施例としては、RSON(CHCHOH)、例えば、
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペルフルオロブチルスルホンアミド、ROCSON(CHCHOH)、RSON(R)CHCH(OH)CHOH、例えば、C13SON(C)CHCH(OH)CHOH、
CHCON(CHCHOH)、RCON(CHCHOH)
CFCF(OCFCFOCFCON(CH)CHCH(OH)CHOH、ROCHCH(OH)CHOH、例えば、COCHCH(OH)CHOH)、RCHCHSCOCHCH(OH)CHOH、
CHCHSCCH(CHOH)、RCHCHSCHCH(OH)CHOH、
CHCHSCH(CHOH)CHCHOH、RCHCHCHSCHCH(OH)CHOH、例えば、C11(CHSCHCH(OH)CHOH)、RCHCHCHOCHCH(OH)CHOH、例えば、C11(CHOCHCH(OH)CHOH、RCHCHCHOCOCHCH(OH)CHOH、
CHCH(CH)OCHCH(OH)CHOH、R(CHSCCH(CHOH)CHOH、
(CHSCHCH(CHOH)、R(CHSCOCHCH(OH)CHOH、
CHCH(C)SCHCH(OH)CHOH、RCHOCHCH(OH)CHOH、
CH2CH(OH)CHSCHCHOH、RCHCH(OH)CHSCHCHOH、
CHCH(OH)CHOCHCHOH、RCHCH(OH)CHOH、
’’SCH(R’’’OH)CH(R’’’OH)SR’’、(RCHCHSCHCHSCHC(CHOH)
((CFCFO(CF(CHSCHC(CHOH)、(R’’SCHC(CHOH)
1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1,1−ジヒドロペルフルオロエトキシエトキシ)ペルフルオロ−n−ブタン(HOCHCFOCO(CFOCOCFCHOH)、
1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1,1−ジヒドロペルフルオロプロポキシ)ペルフルオロ−n−ブタン(HOCHCFCFO(CFOCFCFCHOH)、ポリ−3−フォックス(POLY-3-FOX)(商標)(オムノヴァ・ソリューションズ社(Omnova Solutions, Inc.)(オハイオ州アクロン(Akron)))などのフッ素化オキセタンの開環重合によって製造されるフッ素化オキセタンポリオール、フッ素化有機基置換エポキシドを、米国特許第4,508,916号(ニューウェル(Newell)ら)に記載されている様に、少なくとも2個のヒドロキシル基を含む化合物と開環付加重合させることにより調製されるポリエーテルアルコール、及びフォムブリン(FOMBLIN)(商標)ZDOL(HOCHCFO(CFO)8〜12(CFCFO)8〜12CFCHOH、オーシモント(Ausimont)から)などのペルフルオロポリエーテルジオール(式中、
は、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、若しくは3〜約50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基(存在する全てのペルフルオロカーボン鎖が、6個以下の炭素原子を有する)、又はこれらの混合物であり、
R’は、1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、R’’は、1〜12個の炭素原子を有する分岐鎖又は直鎖アルキレン、2〜12個の炭素原子を有するアルキレンチオ−アルキレン、2〜12個の炭素原子を有するアルキレン−オキシアルキレン、又はアルキレンイミノアルキレンであり、ここで、窒素原子が第3置換基として、水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキルを含み、かつ
R’’’が、1〜12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキレン又は式C2r(OC2sのアルキレン−ポリオキシアルキレンであって、式中、rは1〜12であり、sは2〜6であるとともに、tは1〜40であるもの)が挙げられる。少なくとも1種のフッ素含有基からなる好ましいポリオールとしては、
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペルフルオロブチルスルホンアミド、ポリ−3−フォックス(POLY-3-FOX)(商標)(オムノヴァ・ソリューションズ社(Omnova Solutions, Inc.)(オハイオ州アクロン(Akron)))などのフッ素化オキセタンの開環重合によって製造されるフッ素化オキセタンポリオール、フッ素化有機基置換エポキシドを、米国特許第4,508,916号(ニューウェル(Newell)ら)に記載されている様に、少なくとも2個のヒドロキシル基を含む化合物と開環付加重合させることにより調製されるポリエーテルアルコール、フォムブリン(FOMBLIN)(商標)ZDOL(HOCHCFO(CFO)8〜12(CFCFO)8〜12CFCHOH、オーシモント(Ausimont)から)などのペルフルオロポリエーテルジオール、
1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1,1−ジヒドロペルフルオロエトキシエトキシ)ペルフルオロ−n−ブタン(HOCHCFOCO(CFOCOCFCHOH)、及び
1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1,1−ジヒドロペルフルオロプロポキシ)ペルフルオロ−n−ブタン(HOCHCFCFO(CFOCFCFCHOH)が挙げられる。
【0056】
少なくとも1種のフッ素含有基からなるより好ましいポリオールとしては、
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペルフルオロブチルスルホンアミド、
1,4−ビス(1−ヒドロキシ−1,1−ジヒドロペルフルオロプロポキシ)ペルフルオロ−n−ブタン(HOCHCFCFO(CFOCFCFCHOH)が挙げられる。
【0057】
好適な非高分子、非フッ素化ポリオールの代表例としては、アルキレングリコール、ポリヒドロキシアルカン、及びその他ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。アルキレングリコールとしては、例えば、1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール;
1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,3−プロパンジオール;
2,2−ジエチルー1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ペンタンジオール;
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−、1,5−及び1,6−ヘキサンジオール;
2−エチル−1,6−ヘキサンジオール;ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン;1,8−オクタンジオール、ビシクロ−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、トリシクロ−デカンジオール、ノルボルナンジオール;並びに1,18−ジヒドロキシオクタデカンが挙げられる。ポリヒドロキシアルカンとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン;
2−エチル−2(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、及びソルビトールが挙げられる。その他のポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、テトラメチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジイソプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビシン、
1,11−(3,6−ジオキサウンデカン)ジオール、1,14−(3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン)ジオール、
1,8−(3,6−ジオキサ−2,5,8−トリメチルオクタン)ジオール、1,14−(5,10−ジオキサテトラデカン)ジオール、ヒマシ油、
2−ブチン−1,4−ジオール、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ベンズアミド、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルスルホン、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ(hydroxyethyoxy))ベンゼン、1,2−ジヒドロキシベンゼン、レゾルシノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、3,5−、2,6−、2,5−及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸、1,6−、2,6−、2,5−、及び
2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−及び4,4’−ビフェノール、1,8−ジヒドロキシビフェニル、
2,4−ジヒドロキシ−6−メチル−ピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、3,6−ジヒドロキシピリダジン、ビスフェノールA、4,4’−エチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールC)、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、並びに、その他の脂肪族、複素脂肪族、飽和脂環式、芳香族、飽和複素脂環式、及び複素環式芳香族ポリオール、など、並びにこれらの混合物などのポリオールが挙げられる。
【0058】
有用な高分子非フッ素化ポリオールの代表例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びエチレンオキシドで末端処理したポリプロピレングリコール並びに約200〜約2000の分子量(ジオールの約100〜約1000の当量に対応し、トリオールの約70〜約700の当量に対応する)のトリオール、様々な分子量のポリテトラメチレングリコール、様々な分子量のポリジアルキルシロキサンジオール、ヒドロキシで末端処理したポリエステル及びヒドロキシで末端処理したポリラクトン(ポリカプロラクトンポリオール)、ヒドロキシで末端処理したポリアルカジエン(例えば、ヒドロキシルで末端処理したポリブタジエン)、などが挙げられる。所望する場合、高分子ポリオールの混合物を使用することが可能である。
【0059】
有用な市販の高分子非フッ素化ポリオールとしては、約200〜約2000の範囲の数平均分子量(M)のCARBOWAX(商標)ポリ(エチレングリコール)材料(ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)から)、PPG−425(リオンデル・ケミカルズ(Lyondell Chemicals)から)などのポリ(プロピレングリコール)材料、プルロニック(Pluronic)(商標)L31(BASF社から)などの、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)のブロックコポリマー、ビスフェノールAエトキシレート、ビスフェノールAプロピルオキシレート、及びビスフェノールAプロポキシレート/エトキシレート(シグマーアルドリッチから)、POLYMEG(商標)650及び1000(クォーカー・オート社(Quaker Oats Company)から)並びにTERATHANE(商標)ポリオール(デュポン(Dupont)から)などのポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリbd(Poly bd)(商標)材料(エルフ・アトケム(Elf Atochem)から)などのヒドロキシルで末端処理したポリブタジエン樹脂、二級ヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレンテトロールである「PeP」シリーズ(ワイアンドット・ケミカルズ社(Wyandotte Chemicals Corporation)から)、例えば、「PeP」450、550、及び650、トーン(TONE)(商標)0201、0210、0301、及び0310(ユニオンカーバイド(Union Carbide)から)などの、約200〜約2000の範囲の分子量を有するポリカプロラクトンポリオール、パラプレックス(PARAPLEX)(商標)U−148(ローム&ハース(Rohm & Haas)から)、脂肪族ポリエステルジオール、マルトロン(MULTRON)(商標)ポリ(エチレンアジパート)ポリオール(モベイ・ケミカルズ社(Mobay Chemical Co.)から)などのポリエステルポリオール、デュラカーブ(DURACARB)(商標)120、数平均分子量(M)=900のヘキサンジオールカーボネート(PPGインダストリーズ社(PPG Industries Inc.)から)などのポリカーボネートジオール、など、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
好ましい非フッ素化ポリオールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、
1,3−及び1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−、1,5−、及び1,6−ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ジ(プロピレングリコール)、ジ(イソプロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ジオール(約200〜約1500の数平均分子量)、ポリ(ジ(エチレングリコール)フタレート)ジオール(例えば、約350又は約575の数平均分子量を有する)、ポリ(プロピレングリコール)ジオール(約200〜約500の数平均分子量)、プルロニック(Pluronic)(商標)L31(BASF社から)などの、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)のブロックコポリマー、ポリカプロラクトンジオール(約200〜約600の数平均分子量)、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,6−、2,5−、2,6−、及び2,7−ジヒドロキシナフタレン、
4,4’−ビフェノール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、など、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
より好ましい非フッ素化ポリオールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−及び1,6−ヘキサンジオール、ジ(エチレングリコール)、
トリ(エチレングリコール)、ポリ(ジ(エチレングリコール)フタレート)ジオール(例えば、約350又は約575の数平均分子量を有する)、ポリ(エチレングリコール)ジオール(例えば、約200、300、400の数平均分子量を有する)、プロピレングリコール(例えば、約425の数平均分子量を有する)、二量体ジオール、ポリカプロラクトンジオール(例えば、約530の数平均分子量を有する)、3,5−ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
フルオロケミカル組成物の調製に用いるのに好適なポリアシル化合物及びその誘導体(例えば、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジカルボン酸無水物、及びジカルボン酸エステル)は、少なくとも1種の脂肪族、複素脂肪族(即ち、窒素、酸素、又はイオウなどの鎖状ヘテロ原子を含む)、飽和脂環式、飽和複素脂環式、又は高分子部分を含む。好ましくは、ポリアシル化合物は本質的に脂肪族である。
【0063】
アシル誘導体は、場合により様々な理由で酸よりも好ましい。例えば、ハロゲン化アシルは、比較的速い反応速度及び完結する傾向にある反応の両方を提供する。得られたHClは、揮発性であり、減圧下にて又はその他の除去手段、例えば水洗によって、除去することができる。
【0064】
ポリ酸を使用する場合、p−トルエンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸などの触媒を使用することが可能であり、かつ、反応完結後に除去可能又は非活性化可能(例えば、トリエチルアミン、CaO、などの塩基と反応させる)にして、使用条件下にて、得られたフルオロケミカル組成物の分解を最小化するように、選択することができる。
【0065】
好適なジカルボン酸及びジカルボン酸誘導体の代表例としては、以下の酸及びそれらの対応するエステル、ハロゲン化物、及び無水物が挙げられる。アジピン酸(即ち、Rが4)、ドデカン二酸(即ち、Rが10)、テトラデカン二酸(即ち、Rが12)、オクタデカン二酸(即ち、Rが16)、エイコサン二酸(即ち、Rが18)、及びドコサン二酸(即ち、Rが20)(最も好ましくは、Rは12〜16個の炭素原子である)。
【0066】
本発明のフルオロケミカル組成物を局所処理として使用する場合、脂肪族ジカルボン酸(及びその誘導体)が好ましい。
【0067】
エステル分子の混合物を含む本発明のフルオロケミカル組成物の調製において有用な、フルオロケミカル単官能化合物としては、少なくとも1つのR基を含むようなものが挙げられる。R基は、直鎖、分枝鎖、又は環状フッ素化アルキレン基又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。R基は、炭素−ヘテロ原子−炭素鎖(即ち、ヘテロアルキレン基)を形成するために、所望により、炭素−炭素鎖中に1つ以上のヘテロ原子(即ち、酸素、イオウ、及び/又は窒素)を含むことができる。完全にフッ素化されている基が一般に好ましいものの、水素又は塩素原子が置換基として存在していてもよいが、ただし、2個の炭素原子あたり、いずれかの原子の存在量が1個以下とする。いずれかのR基は、少なくとも約40質量%のフッ素、より好ましくは少なくとも約50質量%のフッ素を含んでいることが更に好ましい。基の末端部分は、一般に完全にフッ素化されており、好ましくは少なくとも3つのフッ素原子を含む、例えばCFO−、CFCF−、CFCFCF−、(CFN−、(CFCF−、SFCF−である。ペルフルオロ化脂肪族基(即ち、式C2n+1であるようなもの)(式中nが1〜6(1及び6を含む))が好ましい。更に、フルオロケミカル単官能化合物が、室温より高い融点を有することが好ましい。室温で固定又は結晶性のフルオロケミカル単官能化合物から誘導されるオリゴマーは、より低融点の化合物よりも大きな接触角性能を示すということが見出された。
【0068】
有用なフッ素含有単官能化合物としては、下記式IIの化合物もまた挙げられる。
【0069】
Q’ (II)
(式中、
は、1〜12個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、又は3〜約50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基であって、存在する全てのペルフルオロカーボン鎖が、6個以下の炭素原子をし、
Q’は、(ポリアシル化合物の)末端アシル又は(ポリオールの)ヒドロキシル基に対して反応性の官能基を含む部分である。)
式Iに即して述べると、化合物RQ’はポリオール又はアシル化合物と反応して、末端部分RQ−を生じると理解されるであろう。
【0070】
Q’は、以下のものを含むフッ素含有モノアルコールを含んでもよい。
【0071】
【表2】

【0072】
など、並びに、これらの混合物(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、又は3〜約50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基(存在する全てのペルフルオロカーボン鎖が、6個以下の炭素原子を有する))。所望する場合、このようなアルコールを使用する代わりに類似のチオールを利用することができる。
【0073】
好ましいフッ素含有モノアルコールとしては、
2−(N−メチルペルフルオロブタンスルホンアミド)エタノール、
2−(N−エチルペルフルオロブタンスルホンアミド)エタノール、
2−(N−メチルペルフルオロブタンスルホンアミド)プロパノール、
N−メチル−N−(4−ヒドロキシブチル)ペルフルオロヘキサンスルホンアミド、1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロオクタノール、1,1−ジヒドロペルフルオロオクタノール、
13CF(CF)COCH(CH)OH、
n−C13CF(CF)CON(H)CHCHOH、COCOCFCHOCHCHOH、
CON(H)CHCHOH、1,1,2,2,3,3−ヘキサヒドロペルフルオロデカノール、
O(CF(CF)CFO)1〜36CF(CF)CHOH、CFO(CFCFO)1〜36CFCHOH、
−SONMeCOH、など、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
他の有用なフッ素含有化合物としては、米国特許出願第2007/0004895号(その全体が本明細書に参照として組み込まれる)のパラグラフ[00010]中の構成成分(a)として記載されているような機能性フルオロアクリレートオリゴマー及び米国特許第7,214,736号(その全体が本明細書に参照として組み込まれる)の式(I)及び式(III)で記載されるようなフッ素化ポリエーテル(式中、Tは、アシル基又はヒドロキシル基と反応可能な反応性基である)が挙げられる。
【0075】
フルオロケミカル単官能性化合物・RQ’は、(1)式R(CH(X)(CHC(O)OHを有するようなもの(式中、Rは上記の通りであり、n及びmは、独立して0〜14(好ましくは0〜8、より好ましくは0〜4)の整数であり、Xは、二価の酸素又はイオウであり、かつ、pは、整数0又は1である)並びに(2)式RQR’C(O)OHを有するようなもの(式中、Rは上記の通りであり、R’は、1〜約12個の炭素原子(好ましくは1〜約8個の炭素原子、より好ましくは1〜約4個の炭素原子)を有する、二価のアルキル(直鎖若しくは分枝鎖)又はシクロアルキルラジカルであり、そして、二価結合基Qは、−SON(R’’)−又は
−CON(R’’)−であって、式中、R’’は、1〜約12個の炭素原子(好ましくは1〜約8個の炭素原子、より好ましくは1〜約4個の炭素原子)を有する、一価のアルキル(直鎖若しくは分枝鎖)、シクロアルキル、又はアリールラジカルである。)を包含する、フッ素含有モノカルボン酸の誘導体(エステル又は酸ハロゲン化物など)を含んでもよい。
【0076】
有用なフッ素含有モノカルボン酸の誘導体の代表例としては、ペルフルオロブタン酸の(CC(O)OH)、ペルフルオロイソブタン酸の((CFCFC(O)OH)、ヒドロペルフルオロブタン酸の(CHC(O)OH)、ペルフルオロペンタン酸の(CC(O)OH)、ヒドロペルフルオロペンタン酸の(CHC(O)OH)、ペルフルオロヘキサン酸の(C11C(O)OH)、ヒドロペルフルオロヘキサン酸の(C10HC(O)OH)、ペルフルオロシクロヘキサニル(perfluorcyclohexanyl)カルボン酸の(C11C(O)OH)、ペルフルオロヘプタン酸の(C13C(O)OH)、ペルフルオロ(3−エトキシプロピオン酸)、
ペルフルオロ(3−プロポキシプロピオン酸)、ペルフルオロ(3−ブトキシプロピオン酸)、ペルフルオロ(3−ペントキシプロピオン酸)、R[OCF(CF)CF1−6OCF(CF)C(O)OH(式中、Rは1〜12個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル(perfluroalkyl)基)、4−(4−ペルフルオロイソプロポキシペルフルオロブチル)ブタン酸、
4−(ビス(ペルフルオロイソプロピル)フルオロメトキシ)ペルフルオロブタン酸、
12−(2−ペルフルオロイソプロポキシペルフルオロエチル)ドデカン酸、
6−(2−ペルフルオロシクロブトキシペルフルオロエチル)ヘキサン酸、
4−(ビス(ペルフルオロイソプロピル)フルオロメトキシ)ペルフルオロブタン酸、
4−(2−ビス(ペルフルオロイソプロピル)フルオロメトキシペルフルオロエチル)ブタン酸、
2−(N−(エチル)ペルフルオロブタンスルホンアミド)酢酸、及び
2−(N−(メチル)ペルフルオロブタンスルホンアミド)酢酸、など、そして、これらの混合物が挙げられる。
【0077】
好ましいフッ素含有モノカルボン酸としては、
2−(N−(エチル)ペルフルオロブタンスルホンアミド)酢酸、2−(N−(メチル)ペルフルオロブタンスルホンアミド)酢酸、など、そして、これらの混合物が挙げられる。
【0078】
上記リストに即して述べると、末端のヒドロキシル基又はカルボキシル基は、(ポリアシル化合物の)末端アシル基又は(ポリオールの)ヒドロキシル基と反応するその他の官能基Q’と置き換えて、式Iの連結基Qを形成してよいと理解されるであろう。
【0079】
所望であれば、フッ素含有モノアルコール(類)又はモノカルボン酸(類)に加えて、モノアルコール又はモノカルボン酸の総充填の一部として(例えば、全体の約50モル%以下の量で)、モノアルコール(類)又はモノカルボン酸(類)などの非フッ素化単官能化合物を利用することができる。
【0080】
最も好ましいエステルオリゴマーは、1種以上のフッ素化ポリオール、ポリオールに対して過剰量の1種以上のジアシル化合物、及び末端アシル基と反応するのに充分な量のフッ素化モノアルコールの縮合反応生成物を含む。このような最も好ましいオリゴマーは、式(III)に相当する。
【0081】
Q[C(O)RC(O)ORO][C(O)RC(O)]QR (III)
(式中、
nは、1及び10を含む、1〜10の数であり、
mは1であり、
は、存在する全てのペルフルオロカーボン鎖が、1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を持つ、1〜12個、好ましくは6個以下の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、又は3〜約50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基であり、
Qは先に記載したような二価結合基であり、
(同一でも異なっていてもよい)は、15〜20個の炭素原子を有する直鎖アルキレンであり、
は、ポリオールの残基である多価有機基であって、これは、直鎖又は分岐鎖のアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン又はヘテロアルキレン基であり、1〜14個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子からなり、又は、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基であって、R基の少なくとも一部が、1個のペルフルオロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキレン基、又はこれらの混合物によって置換されており、あるいはそれらを含んでいる。
【0082】
フルオロケミカル組成物は、1種以上の重合性基を含む重合性化合物と少なくとも1つの反応性基(ヒドロキシル基又はアシル基と反応し得る)との反応生成物を更に含んでもよい。重合性基は、上述したように、反応性官能基によってフルオロケミカルエステルオリゴマー中へと組み込まれてもよい。有用な重合性基の例としては、アクリレート、メタクリレート、ビニル、アリル、及びグリシジルが挙げられるが、これらに限定されない。重合性基を有する代表的有用化合物としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトール(pentaerythriol)トリアクリレート、アリルアルコール、グリシドール、C(CH)C=NOH、CH=CHO(CHOH及びグリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0083】
エステル分子の混合物を含む本発明のフルオロケミカル組成物は、ポリオール(類)、単官能性化合物(類)、ポリアシル化合物(類)及び所望により(d)1種以上の重合性化合物を単純にブレンドすることによって製造することができる。当業者の理解するところであるが、ブレンドの順序又は工程の順序には制限はなく、所望のフルオロケミカル組成物を製造するために変更を加えてもよい。合成においては、例えば、ポリアシル化合物(類)、ポリオール(類)、フッ素含有単官能性化合物(RQ’)、及び所望により、(d)1種以上の重合性化合物並びに溶媒を乾燥反応槽中に充填し、引き続いて直ちに混合するか、あるいは予め調製した混合物として充填する。均質混合物又は溶液が得られた際に、典型的には触媒を添加し、反応混合物を加熱する。一般的に、温度は、溶媒の沸点、及び副生成物の沸点によって決定する。一般に、水又はアルコールなどの副生成物は、共沸蒸留によって除去される。
【0084】
フッ素含有単官能性化合物(RQ’)が、上記式Iのフッ素含有エステルオリゴマーを調製するために使用される場合、単官能性化合物及び/又はポリオール対ポリアシル化合物のモル比は、所望により、分子量をコントロールするため、及び得られたポリエステルの性質を調整するために変更することができる。
【0085】
反応条件(例えば、使用する、反応温度及び/又はポリアシル化合物)に応じて、ポリアシル化合物/ポリオール/単官能性化合物混合物からなる約0.5重量%以下の濃度の触媒を使用してよいが、典型的には、約0.00005〜約0.5重量%が必要とされ、約0.02〜約0.1重量%が好ましい。好適な触媒は、当技術分野において既知であるような、酸性及び塩基性エステル化触媒を含む。有用な触媒としては、パラ−トルエンスルホン酸及びCFSOHが挙げられる。酸触媒を使用する場合、オリゴマーから除去するか、又はオリゴマー化した後に中和することが好ましい。触媒の存在が、接触角性能に悪影響を与え得ることが見出された。
【0086】
単一ポリオール及び/又は単一単官能性化合物に代えて、ポリオールの混合物及び/又は単官能化合物の混合物を使用することが可能である。例えば、重合性基を持つポリオール及びR基を有するポリオールを含むポリオール混合物を使用することが可能である。同様に、重合性基を持つ単官能性化合物及びフッ素含有単官能性化合物を含む単官能性化合物混合物を使用することが可能である。
【0087】
本発明のフルオロケミカル組成物は、エステル化及びテステル交換反応における当業者に既知の手順及び装置を使用することによって、調製することができる。例えば、フルオロケミカル組成物が、(a)フッ素含有単官能性化合物をポリオール及びジアシル化合物(若しくは誘導体)と同時に反応すること、(b)ポリオールをポリアシル化合物(若しくは誘導体)と最初に反応する、次に、得られた混合物をフッ素含有単官能性化合物と反応すること、又は(c)フッ素含有単官能性化合物をジアシル化合物(若しくは派生的)と反応するか、あるいはフッ素含有単官能性化合物をポリオールと反応させるかのいずれかを最初に行い、次に、得られた混合物を残存反応物質と反応させることにより調製することができる。
【0088】
反応は、溶液にて又は溶融状態にて(通常用いられる溶媒及び/若しくは装置を使用して)、一般的には、大気圧下かつ反応物質を溶液又は溶融状態に維持するのに十分な温度において実施することができる。例えば、一般に、約90〜約240℃(好ましくは、約100〜約210℃、より好ましくは約110〜約170℃)の範囲の融解温度を利用することができる。溶剤又は副生物HCl(存在する場合)の除去は、例えば、約67kPa(500トール)以下に相当する真空を使用して、減圧下で実施することができる。蒸留によるエステル化副生成物の除去は、トルエン又はノヴェック(NOVEC)(商標)HFE−7100(商標)若しくはHFE−7200(商標)(3M社から)などのフッ素化エーテルなどの適切な溶媒を選択することによって行ってもよい。
【0089】
水が副生成物である場合、ヘプタン若しくはトルエンなどの水不混和性炭化水素溶媒、フッ素化エーテル、又はペルフルオロカーボンが好ましい。副生成物が低級アルコールである場合、ペルフルオロカーボンが好ましい。
【0090】
エステルオリゴマーの混合物を含む本発明のフルオロケミカル組成物は、バッチ法に加えて、以下の段階的合成に従って製造することもできる。合成において、ポリアシル化合物及びポリオールを共に、乾燥条件下にて、好ましくは溶媒中に溶解し、次に、得られた溶液を、触媒の存在下で0.5〜2時間、好ましくは1時間混合しつつ、上述したように加熱する。
【0091】
次に、得られたエステルオリゴマーを更に、上記の1種以上の単官能化合物と反応させてよい。単官能化合物を上記反応混合物に添加し、残存するヒドロキシル基又はアシル基の残存部分又は相当部分と反応させてもよい。上述の温度、乾燥条件、及び混合を0.5時間〜2時間、好ましくは1時間続ける。それによって、末端フッ素含有基をヒドロキシル又はアシル官能性エステルオリゴマー及び化合物に結合させてよい。所望により、これらのオリゴマー及び化合物を更に、得られた混合物中の任意の残存ヒドロキシル基又はアシル基を、上記の1種以上の反応性重合性基含有化合物と反応させることによって、上記重合性基で官能化することができる。したがって、重合性化合物(類)は、先に挙げた添加の場合と同じ条件を用いて、反応混合物に添加する。
【0092】
重合性基含有化合物を添加して、上記条件下、上記の任意の工程にて、ヒドロキシル基又はアシル基と反応させることができる。例えば、前述のように、重合性基含有化合物は、ポリオールとの混合物として添加することができる。あるいは、(a)ポリオールをポリアシル化合物と反応させた後、(b)モノアルコール(類)との混合物として、及び(c)ポリオール及び単官能性化合物をポリアシル化合物と反応させた後、重合性基含有化合物を添加できる。重合性基含有化合物がモノアルコールである場合、フッ素含有モノアルコールとの混合物として添加するのが好ましい。重合性基含有化合物がジオールである場合、ポリオールとの混合物として添加するのが好ましい。
【0093】
特定用途のために必要な場合、フルオロケミカル組成物の調製において、上述した反応物質に加え、少量の1種以上の高分子又は非高分子鎖延長剤(例えば、ジアミン)を利用することができる。
【0094】
カルボジイミド−(B)
1種以上の上述したエステルに加えて、本発明の組成物は、1種以上のカルボジイミド化合物を含む。
【0095】
例示的実施例としては、カルボジイミド化合物及び少なくとも1種のイソシアネート基を有しかつ1種以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導される少なくとも2種の繰り返し単位を含む少なくとも1種のオリゴマーのカルボジイミド化反応から誘導されるカルボジイミド化合物の混合物を含む。
【0096】
カルボジイミド化合物は、芳香族又は脂肪族カルボジイミド化合物であることが可能であり、ポリカルボジイミドを含んでもよい。使用可能なカルボジイミドは、例えば、米国特許第4,668,726号、同第4,215,205号、同第4,024,178号、同第3,896,251号、同第5,132,028号、同第5,817,249号、同第4,977,219号、同第4,587,301号、同第4,487,964号、同第3,755,242号及び同第3,450,562号、及びPCT国際公開特許WO第93/22282号において記載されてきた。
【0097】
また更なる態様では、本発明は、カルボジイミド化合物又は1種以上のカルボジイミド化合物が式(IV)で表わされることができる混合物に関する。
【0098】
CONH(A(N=C=N)NHCOX (IV)
式中、X及びXは各々独立してO、S、又はNHを表わし、A及びAは各々独立して、そこからイソシアネート基を除去することによって得られた有機ジ−又はトリイソシアネート化合物の残基を表し、qは1又は2であり、mは1〜20の値を有し、かつQ及びQは、1種以上のカテナリー又は非カテナリーヘテロ原子を含むことができる炭化水素基、1種以上のカテナリー又は非カテナリーヘテロ原子を含むことができる部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素基(hydrocarbon group group)及び任意の次式に相当する官能基から選択され、
− (i)
OCNHA((N=C=N)tANHCOX− (ii)
OCNHA((N=C=N)tANHCOX− (iii)
OCNHA((N=C=N)tANHCOX− (iv)
OCNHA((N=C=N)tANHCOX−(v)
(式中、G及びGは各々独立して、末端基を表し、Mは、1種以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導される、2つ又はそれ以上の繰り返し単位を表し、Lは、有機の二価結合基を表し、Qは、1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子又は1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子を含むことができる部分的に若しくは完全にフッ素化された炭化水素基を含むことができる炭化水素基を表し、A及びAは各々独立して、そこからイソシアネート基を除去することによって得られた有機ジ−又はトリイソシアネート化合物の残基を表し、X及びXは各々独立して、O、S、又はNHを表し、sは1〜20の値を有し、tは1又は2であり、Lは、有機の三価結合基を表し、かつLは、1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子又は1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子を含むことができる、部分的に若しくは完全にフッ素化された炭化水素基を所望により含んでもよい炭化水素基を表し、そしてここで、少なくとも1つのQ及びQが、式(i)、(ii)、(iv)又は(v)の基に相当する。)
また更なる態様では、本発明は、フッ素化化合物及びカルボジイミド化合物又は少なくとも1つのイソシアネート基を有し、そして1種以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導された少なくとも2つの繰り返し単位を含む少なくとも1種のオリゴマーのカルボジイミド化反応から誘導されたカルボジイミド化合物の混合物を含む組成物に関する。
【0099】
更なる別の態様では、本発明は、上記組成物による、基材に撥水性及び/又は撥油性を提供するための、基材、特に、繊維性基材の処置方法に関する。特に、前記組成物は、基材をロールを通して導く用途に用いるのに好適であることが分かっている。
【0100】
本発明のカルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物が、基材処理における優れた配合剤として機能し、これによって典型的には、より高価なフッ素化物をより効率的に使用することができるということが見出された。カルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物及びフッ素化化合物を含む組成物は通常、基材上へ、効果的な静的及び/又は動的撥水性を提供する。
【0101】
特定の実施形態によれば、本発明のカルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物は、3段階反応にて調製可能であるが、そこにおいては通常、各工程後に反応生成物を分離する必要がなく、即ち、反応の3工程は単一反応容器内で実施してよい。第1段階では、少なくとも2つの繰り返し単位を有する官能化オリゴマーが調製され、第2段階で、それらを反応させて少なくとも1つのイソシアネート基を有するオリゴマーを形成する。第3段階で、前記オリゴマーを更に反応させて、カルボジイミドを形成する。「官能化オリゴマー」という用語は、イソシアネートと反応可能な官能基を含むオリゴマーが調製されることを意味する。
【0102】
第1段階では、少なくとも2つの繰り返し単位を有する官能化オリゴマーは、1種以上のエチレン系不飽和モノマー、典型的には非フッ素化エチレン系不飽和モノマーのフリーラジカルオリゴマー化により調製することができる。エチレン系不飽和モノマーの実施例としては、一般式(V)で表されるようなものが挙げられる。
【0103】
C(R)=CR (V)
(式中、RはH、Cl、又は1種以上のカテナリー(即ち、鎖状であって、炭素にのみ結合している)若しくは非カテナリーヘテロ原子を含むことができる炭化水素基を表し、そして式中、各Rは同じであるか又は相違しており、H、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル、Cl、若しくはBrを表す。)
「炭化水素基」という用語は、本発明との関係では、水素又は炭素を、及び所望により1種以上の置換基を含む、任意の実質的にフッ素非含有有機部分を意味する。
【0104】
好適なエチレン系不飽和モノマーが知られており、一般に市販されている。このような化合物の例としては、例えば、アリルアセテート及びアリルヘプタノエートなどのアリルエステル、セチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル又はアルキルアリルエーテル、不飽和酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びこれらの無水物並びにエステル、例えば、ビニル、アリル、メチル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、
2−エチル−ヘキシル、シクロヘキシル、ラウリル、ステアリル、イソボルニル、オクタデシル、ヘキサデシル又はアルコキシエチルアクリレート及びメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロアクリロニトリル、2−シアノエチルアクリレート、アルキルシアノアクリレートなどの、α−β不飽和ニトリル、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えばアリルアルコール、アリルグリコレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−ジイソプロピルアクリルアミド、ジアセトアクリルアミド(diacetoacrylarnide)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、スチレン及びその誘導体例えば、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−シアノメチルスチレン、ハロゲン含有低級オレフィン系炭化水素、例えばエチレン、プロピレン、イソブテン、
3−クロロ−1−イソブテン、イソプレン、及びビニル及び塩化ビニリデンなどのアリル又はビニルハロゲン化物、などのフリーラジカル重合が可能なエチレン系化合物の一般的な部類が挙げられる。その他の有用なモノマーとしては、2−ヒドロキシ−エチル(メタ)アクリレートとオクタデシルイソシアネートなどの単官能性イソシアネートとの反応生成物などのウレタン基を含むモノマーが挙げられる。特に好適なモノマーとしては、オクタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、上述のようなウレタン含有(メタ)アクリレート、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるようなものが挙げられる。
【0105】
フリーラジカルオリゴマー化は、それぞれ単官能化又は二官能化オリゴマーを調製するために、典型的には、単官能性又は二官能性の、ヒドロキシ−又はアミノ官能化連鎖移動剤の存在下にて実施される。単官能性連鎖移動剤の例としては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール及び2−メルカプト−エチルアミンから選択されるようなものが挙げられる。特に好適な単官能性連鎖移動剤は、2−メルカプトエタノールである。
【0106】
二官能性連鎖移動剤の例としては、2つのヒドロキシル基若しくは2つのアミノ基又は1つのヒドロキシ基及び1つのアミノ基を有するようなものが挙げられる。二官能性連鎖移動剤の特に好適な例は、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールである。
【0107】
官能化オリゴマーは一般的に、当該部分をオリゴマー性にするために、十分な数の繰り返し単位を含まなければならない。オリゴマーは、1種以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導される、2〜40個、特に2〜20個の繰り返し単位を含むことが好ましい。特定の実施形態によれば、オリゴマーは、3〜15個の繰り返し単位を有する。別の実施形態によれば、オリゴマーは、4〜15個の繰り返し単位を有する。
【0108】
官能化オリゴマーを調製するために、フリーラジカル反応開始剤を使用して、オリゴマー化を開始させてもよい。フリーフリーラジカル反応開始剤としては、当該技術分野において既知のものが挙げられ、そして特に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(ABIN)及び2,2’−アゾビス(2−シアノペンタン)などのアゾ化合物、クメン、t−ブチル、及びt−アミルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート及びジ−t−ブチルペルオキシフタレートなどのペルオキシエステル、過酸化ベンゾイル及びラウロイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド、が挙げられる。
【0109】
オリゴマー化反応は、有機フリーラジカル反応に適した任意の溶媒中で進行させることができる。特に好適な溶媒は、第2及び第3段階にて、カルボジイミドを形成するためのイソシアネート反応(isocyanate reactions)を阻害することがない溶媒である。反応物質は、適切な濃度ならばいかなる濃度でも溶媒中に存在することができ、例えば反応混合物の全重量の約5パーセントから約90重量パーセントとなり得る。好適な溶剤の例としては、脂肪族及び脂環式炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、ジイソプロピルエーテル)、エステル(例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0110】
オリゴマー化反応は、フリーラジカルオリゴマー化反応を行うのに好適な任意の温度で実施することができる。使用する特定の温度及び溶媒は、当業者ならば、試薬の溶解性、特定の開始剤を使用するために必要な温度、所望の分子量などを考慮して容易に選択することができる。全ての反応開始剤及び全ての溶媒に好適な特定の温度を列挙することは現実的ではないが、一般に好適な温度は約30℃〜約150℃である。
【0111】
第2段階において、少なくとも1つのイソシアネート基を有するオリゴマーは、官能化オリゴマーのポリイソシアネート(即ち、ジ−又はトリイソシアネート)との縮合反応によって調製する。一般に、第2反応段階はまた、1種以上の更なるイソシアネート反応性化合物の存在下にて行う。このような更なるイソシアネート反応性化合物は通常、1種又は2種のイソシアネート反応性基を含む化合物であって、単官能性又は二官能性アルコール、チオール及びアミンが挙げられる。更なるイソシアネート反応性化合物は通常、フッ素化されていないが、部分的に又は完全にフッ素化されていることもできる。単一化合物又は異なった化合物の混合物を使用してもよい。実施例としては、アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、2−エチルヘキサノール、グリシドール、(イソ)ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、分枝状長鎖アルカノール、例えば、ゲルベ(Guerbet)アルコール(C14〜C24アルキル鎖を有する2−アルキルアルカノール、ヘンケル(Henkel)から入手可能)、ポリ(オキシアルキレン(oyalkylene))基を含むアルコール、例えば、ポリエチレングリコールのメチル又はエチルエーテル、ヒドロキシ基末端処理した、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルコールを含むポリシロキサン基とのランダム又はブロックコポリマーのメチル又はエチルエーテルが挙げられる。更なる実施例としては、ジオール、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,10−デカンジオール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、ポリエステルジオール、例えば、ポリカプロラクトンジオール、脂肪酸2量体ジオール及びポリ(オキシ)アルキレンジオール(2〜4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基を持つ)、例えば、−OCHCH−、−O(CH−、−OCHCHCH−、
−OCH(CH)CH2−、及び−OCH(CH)CH(CH)−(好ましくは、前記ポリ(オキシアルキレン)中の該オキシアルキレン単位が、ポリプロピレングリコール中に存在する場合又は混合物として存在する場合と同一である)、エステルジオール、例えば、グリセロールモノステアレート及びジオール含有ポリシロキサン基が挙げられる。
【0112】
更に好適なイソシアネート反応性化合物としては、アミノ基含有化合物、例えば、アミノ基で末端処理したポリエチレンオキシド若しくはプロピレンオキシド又はこれらのコポリマー、アミノ基で末端処理した、ポリエチレンオキシド若しくはポリプロピレンオキシド又はこれらのコポリマーのメチル又はエチルエーテル並びにアミノ基で末端処理したポリシロキサンが挙げられる。使用してもよいフッ素化イソシアネート反応性化合物としては、例えば、1種又は2種のイソシアネート反応性基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基及びチオール基)を有する、部分的フッ素化又はペルフルオロ化ポリエーテルが挙げられる。また更に、使用可能なフッ素化イソシアネート反応性化合物は、1種又は2種のイソシアネート反応性基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基及びチオール基)を有する、部分的に又は完全にフッ素化された脂肪族化合物である。後者の例としては、3個,4個又は14個以下の炭素原子を有する、ペルフルオロ化脂肪族モノ−アルコールが挙げられる。更に一層好適なイソシアネート反応性化合物としては、チオール基含有化合物、例えば、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールが挙げられる。
【0113】
特に好適な更なるイソシアネート反応性化合物としては、単官能性アルコール、例えば、(イソ)ステアリルアルコール及びC18の2−アルキルアルカノール、エステルジオール、例えば、モノステアリン酸グリセロール、アミノ−又はヒドロキシ基含有ポリシロキサン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0114】
イソシアネート反応性化合物は、単独で又は組み合わせて使用してもよい。イソシアネート反応性化合物は、イソシアネート官能基の全量を基準にして、約50モル%以下で存在することができる。
【0115】
本発明で使用するポリイソシアネートとしては、脂肪族及び芳香族のジ−及びトリイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートの例としては、
4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネート(MDI)、2,4−トルエンジイソシアネート、
2,6−トルエンジイソシアネート、o,m,及びp−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、
3,3’−ジクロロ−4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、
4,4’−ジイソシアネートジベンジル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジフェニル、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートジフェニル、
2,2’−ジクロロ−5,5’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジフェニル、1,3−ジイソシアナトベンゼン、
1,2−ナフチレンジイソシアネート、4−クロロ−1,2−ナフチレンジイソシアネート、1,3−ナフチレンジイソシアネート、及び1,8−ジニトロ−2,7−ナフチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば、
3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、
3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、例えば、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、及び
1,2−エチレンジイソシアネート、環状ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートが挙げられる。トリイソシアネートの例としては、脂肪族トリイソシアネート、例えば、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート並びに芳香族トリイソシアネート、例えば、ポリメチレンポリフェニルイソシアヌレート(polymethylenpolyphenylisocyanate)(PAPI、ヴォラネート(商標)、デスモデュール(DESMODUR)(商標)(トリー(4−イソシアナトフェニル)ーメタン、バイエル(Bayer)から入手可能)及びデスモデュール(DESMODUR)(商標)L(バイエル(Bayer)から入手可能)が挙げられる。バイエル(Bayer)からデスモデュール(DESMODUR)(商標)N−100として入手可能なものなどのビウレット含有トリイソシアネート並びにハルズ(Huls)AG(ドイツ)からIPDIー1890として入手可能なもの、及びバイエル(Bayer)からデスモデュール(DESMODUR)N−3300として入手可能なものなどのイソシアヌレート含有トリイソシアネートなどの内部イソシアネート由来部分を含むイソシアネートもまた有用である。
【0116】
特に好適なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート例えば、MDI及び2,4−トルエンジイソシアネート並びに脂肪族ポリイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン−ジイソシアネート、デスモデュール(DESMODUR)(商標)N、デスモデュール(DESMODUR)(商標)W及びデスモデュール(DESMODUR)(商標)N−3300が挙げられる。
【0117】
少なくとも1つのイソシアネート基を有するオリゴマーは、当業者によく知られた公知の条件下にて実施される縮合反応により調製することができる。縮合反応は、好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン等々のような極性溶剤中で、乾燥条件で実施される。好適な反応温度は、使用する特定の試薬、溶媒及び触媒に基づいて、当業者によって容易に決定されるであろう。全ての状況に好適な特定の温度を列挙することは現実的ではないが、一般に、好適な温度は、ほぼ室温から約120℃の間である。
【0118】
本発明の特定の実施形態では、少なくとも1つのイソシアネート基を有するオリゴマーは、式(IV)によって表されてよい。
【0119】
(VI)
(式中、Mは、1種以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導される、2つ又はそれ以上の繰り返し単位を表し、G及びGは各々独立して、末端基を表し、かつ、末端基の少なくとも1つがイソシアネート基を含む。)本発明の一実施形態では、末端基の1つは、イソシアネート基を有せず、他の基は1つ又は2つのイソシアネート基を含む。特定の実施形態では、末端基の1つは、イソシアネート基を有せず、下記式の基を含む。
【0120】
−LCONHZNCO
(式中、LはO,又はNHを表し、Zは脂肪族基又は芳香族基を表す。)
第3段階で、カルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物は、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(Angew. Chem. Int. Ed. Engl.)(K.ワグナー(K.Wagner)ら、第20巻、819〜830ページ、1981年)、「有機官能基合成(Org. Functional Group Prep.)」(S.R.サンドラー(S. R. Sandler)ら、第2巻、205〜222ページ、1971年)及び「ケミカル・レビュー(Chem. Rev.)」(A.ウィリアウムズ(A Williams)ら、第81巻、589〜636ページ、1981年)に記載されているような好適な触媒の存在下で、オリゴマーの縮合反応によって形成することができる。ウレタン含有又はウレタン末端処理ポリカルボジイミドの製造については、例えば、米国特許第2,941,983号及び「有機化学ジャーナル(J. Org. Chem.)」(T.W.キャンベル(Campbell)ら、第28巻、2069ページ、1963年)に記載されている。好適な触媒の代表例は、例えば、米国特許第2,941,988号、同第3,862,989号、及び同第3,896,251号に記載されている。実施例としては、1−エチル−3−ホスホリン、1−エチル−3−メチル−3−ホスホリン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−3−ホスホリン−1−スルフィド、1−エチル−3−メチル−ホスホリジン、1−エチル−3−メチル−ホスホリジン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−3−ホスホリン−1−オキシド及び二環式テルペンアルキル若しくはヒドロカルビルアリールホスフィンオキシド又はカンフェンフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0121】
使用する触媒の特定量は、触媒それ自体の反応性及び使用される有機ポリイソシアネートに大きく依存する。一般的に、少なくとも1つのイソシアネート基を有するオリゴマーの100部当たり0.05〜5部の範囲の濃度の触媒が好適である。カルボジイミド化反応は、更に、イソシアネート含有オリゴマー以外のイソシアネート化合物を伴ってよい。このような更なるイソシアネート化合物としては、前述したもののようなポリイソシアネートに加えてモノ−イソシアネートが挙げられる。
【0122】
本発明の特定の実施形態では、カルボジイミド化合物は、以下の式(I)で表わすことができる。
【0123】
CONH(A(N=C=N)NHCOX (I)
(式中、X及びXは各々独立してO、S、又はNHを表し、A及びAは各々独立して、そこからイソシアネート基を除去することによって得られた有機ジ−又はトリイソシアネート化合物の残基を表し、qは1又は2であり、mは1〜20の値を有し、そしてQ及びQは、1種以上のカテナリー又は非カテナリーヘテロ原子を含むことができる炭化水素基、1種以上のカテナリー又は非カテナリーヘテロ原子を含むことができる部分的に又は完全にフッ素化された炭化水素基及び任意の次式に相当する官能基から選択される。)
− (A)
OCNHA((N=C=N)tANHCOX− (B)
OCNHA((N=C=N)tANHCOX− (C)
OCNHA((N=C=N)tA3)NHCOX− (D)
OCNHA((N=C=N)tA3)NHCOX(E)
(式中、G及びGは各々独立して、末端基を表し、Mは、1種以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導される、2つ又はそれ以上の繰り返し単位を表し、Lは、有機の二価結合基を表し、Qは、1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子又は1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子を含むことができる部分的に(partically)若しくは完全にフッ素化された炭化水素基を含むことができる炭化水素基を表し、A3及びA4は各々独立して、そこからイソシアネート基を除去することによって得られた有機ジ−又はトリイソシアネート化合物の残基を表し、X及びXは各々独立して、O、S、又はNHを表し、sは1〜20の値を有しかつtは1又は2であり、Lは、有機の三価結合基を表し、かつL4は、1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子又は1種以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子を含むことができる部分的に若しくは完全にフッ素化された炭化水素基を所望により含んでもよい炭化水素基を表し、そしてここで、Q及びQのうち少なくとも1つは、式(A)、(B)、(D)又は(E)の基に相当する。)
基A、A、A、及びA(以下、全体を「A−基」と称する)は、各々独立して、そこからイソシアネート基を除去することによって得られた有機ジ−又はトリイソシアネート化合物の残基を表す。A−基は、同一でも異なっていてもよい。Aが三価であって、トリイソシアネートから誘導される場合、分枝鎖又は架橋型ポリカルボジイミドが生じ得る。異なったA−基を共に使用して、わずかな分岐を生じさせて、性質を変更してもよい。置換基は、それらがイソシアネート反応性水素原子を含まない限り、A内に存在してよい。特に好適なA基は、例えば、などの非置換有機連結基である。
【0124】
末端基G及びGは典型的には、水素又は官能化オリゴマーを調製するために使用される反応開始剤の残基を表す。
【0125】
連結基L及びLは各々、有機二価又は三価連結基を表す。その例としては、直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族基又は芳香族基を含む二価又は三価の脂肪族が挙げられる。連結基L及びLは一般に、1〜30個の炭素原子、例えば、2〜12個の炭素原子を含む。
【0126】
末端基Qは、所望により部分的に又は完全にフッ素化され、1つ以上のカテナリー又は非カテナリーヘテロ原子を含むことができる炭化水素基を表す。Qは一般的に、1〜50個の炭素原子を有する。末端基Qは例えば、単官能性イソシアネート反応性化合物の残基、例えば、イソシアネート反応性基の除去によって得られる、上記イソシアネート反応性化合物の残基を表し得る。Qの例としては、直鎖、分岐鎖、又は環状脂の肪族基又は芳香族基、部分的に若しくは完全にフッ素化された脂肪族基又は部分的に若しくは完全にフッ素化されたポリエーテル基を包含する一価の脂肪族が挙げられる。末端基Qのための特定の有用例としては、少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状の脂肪族末端部分が挙げられる。
【0127】
連結基Lは、1種以上のカテナリー又は非カテナリーヘテロ原子を所望により含んでもよい、芳香族及び脂肪族炭化水素基を表す。連結基Lは、例えば、二官能性イソシアネート反応性化合物の残基、例えば、上記のようにイソシアネート反応性基をそこから除去した後に得られたようなものを表す。その例としては、部分的に又は完全にフッ素化された脂肪族基に加えて、直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族基又は芳香族基を包含する二価の脂肪族基が挙げられる。脂肪族基は、酸素及び窒素などの1種以上のカテナリー又は非カテナリーヘテロ原子を含んでよい。Lの特に好適な例としては、
CH(CH16C(O)OCHCHCH−及び−CHCHCH[Si(Me)O]nSi(Me)CHCHCH−が挙げられる。
【0128】
更に、当業者によって、カルボジイミドの製造は、化合物の混合物を生じ、したがって、一般式(III)は、化合物の混合物を表していると理解すべきであり、式(III)中のインデックスq、m、t、及びsは、このような混合物中の対応する単位のモル量を表していると理解されている。
【0129】
カルボジイミド化反応の完了後、最終反応混合物は、界面活性剤又は界面活性剤の混合物を、分散体を安定させるのに十分な量で使用して、水中に分散させてもよい。典型的分散体は、カルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物の100重量部を基準にして約70から20000重量部の量で、水を含む。界面活性剤又は界面活性剤の混合物は、カルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物の100重量部を基準にして、好ましくは約1〜25重量部、好ましくは約5〜15重量部の量で存在する。公知のカチオン性、非イオン性、アニオン性及び双性イオン性界面活性剤並びに非イオン性及び帯電界面活性剤の混合物が、好適である。
【0130】
使用可能な市販の界面活性剤としては、アクゾ−ノーベル(Akzo-Nobel)からの、アークァッド(ARQUAD)(商標)T−50、アークァッド(ARQUAD)(商標)MCB−50、エトクァッド(ETHOQUAD)(商標)C−12及びエトクァッド(ETHOQUAD)(商標)18−25、並びにダウケミカル社(Dow Chemical Company)から入手可能な、テルギトール(TERGITOL)(商標)TMN−6及びテルギトール(TERGITOL)(商標)15S30が挙げられる。
【0131】
本発明の組成物中で使用するのに好適なフッ素化物としては、基材へ撥水性及び撥油性を付与するための、当該技術分野において既知の高分子及びオリゴマー化合物を含む任意のフルオロケミカル基含有有機化合物が挙げられる。これらの高分子及びオリゴマーフッ素化物は通常、3〜約20個の炭素原子、典型的には約4〜約14個の炭素原子を有するペルフルオロ化炭素鎖を含む1種以上のフルオロケミカル基を含む。これらのフルオロケミカル基は、直鎖、分岐鎖若しくは環状のフッ素化アルキレン基又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。フルオロケミカル基は、好ましくは重合性オレフィン系不飽和を含まないが、酸素、二価又は六価のイオウ又は窒素などのカテナリーヘテロ原子を、所望により含むことができる。完全フッ素化基が好ましいが、水素又は塩素原子が置換基として存在してもよいが、2個の炭素原子あたり、いずれかの原子が1個だけ存在するものとする。任意のフルオロケミカル基が、約40重量%〜約80重量%のフッ素、より好ましくは約50重量%〜約78重量%のフッ素を含むことが、更に好ましい。基の末端部分は通常、完全にフッ素化されており、好ましくは少なくとも7個のフッ素原子を含む。ペルフルオロ化脂肪族基(即ち、式C2n+1−であるようなもの)が、最も好ましいフルオロケミカル基である。
【0132】
好適なフッ素化物の代表例としては、フルオロケミカルウレタン、尿素、エステル、エーテル、アルコール、エポキシド、アロファネート、アミド、アミン(及びその塩)、酸(及びその塩)、カルボジイミド、グアニジン、オキサゾリジノン、イソシアヌレート、ビウレット、アクリレート及びメタクリレートホモポリマー及びコポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0133】
1つの特定の実施形態では、フッ素化物は、式(IV)に相当するフッ素化モノマーから誘導される1つ以上の繰り返し単位を含むフッ素化ポリマーを含む。
【0134】
−L−C(R)=CR
(IV)
(式中、Rはフッ素化脂肪族基又はペルフルオロ化ポリエーテル基を表し、Lは、有機の二価結合基を表し、かつ各Rは独立して、水素又は1〜3個の炭素原子を有する低級アルキル基を表す。)
フッ素化モノマー中のフッ素化脂肪族基Rは典型的には、ペルフルオロ化脂肪族基である。それは、直鎖、分枝鎖、若しくは環状又はこれらの組合わせであり得る。Rラジカルは、少なくとも3個のかつ18個以下の炭素原子、好ましくは3〜14個の、特に4〜10個の炭素原子を有し、かつ、好ましくは約40〜80重量%のフッ素、より好ましくは約50〜79重量%のフッ素を含む。Rラジカルの末端部分は、ペルフルオロ化部分であり、例えばCFCFCF−、(CFCF−、FSCF−などのように少なくとも7個のフッ素原子を有していることが好ましい。好ましいRラジカルは、式CF2n+1−(式中、nは3〜18、特には4〜10である)のペルフルオロ化脂肪族ラジカルのようなものである。R基がC−である化合物は、R基がより多い炭素原子を有するペルフルオロ化基からなる化合物よりも、一般的に環境的に許容可能である。
【0135】
基は、ペルフルオロ化ポリエーテル基でもあり得る。ペルフルオロ化ポリエーテル基Rは、直鎖構造、分枝構造及び/又は環状構造を含むことができ、飽和又は不飽和で、1個以上の酸素原子で置換されていてもよい。好ましくは、これはペルフルオロ化基(即ち、全てのC−H結合がC−F結合によって置き換えられている)である。より好ましくは、それは、−(C2n)−、−(C2nO)−、−(CF(Z))−、
−(CF(Z)O)−、−(CF(Z)C2nO)−、−(C2nCF(Z)O)−、−(CFCF(Z)O)−及びこれらの組合わせからなる群から選択されるペルフルオロ化繰り返し単位を含む。これらの繰り返し単位において、Zは、ペルフルオロアルキル基、酸素置換ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、又は酸素置換ペルフルオロアルコキシ基(これら全ては、線状、分枝状、又は環状であることができ、好ましくは約1〜約9個の炭素原子及び0〜約4個の酸素原子を有する)である。末端基は、(C2n+1)−又は(C2n+1O)−であることができる。これらの繰り返し単位又は末端基中で、nは1以上、好ましくは約1〜約4である。ペルフルオロポリエーテル基の特に好ましい近似平均構造としては、CO(CF(CF)CF2O)CF(CF)−やCFO(CO)CF−(式中、pの平均値は1〜約50)が挙げられる。合成された際、これらの化合物は通常、ポリマー混合物を含む。近似的平均構造とは、ポリマー混合物の近似的平均である。
【0136】
上記式(IV)中の有機二価連結基L5は、ペルフルオロ化脂肪族基又はペルフルオロ化ポリエーテル基Rfを、フリーラジカル重合性基に連結し、かつ一般的に非フッ素化有機連結基である。連結基は、化学結合であることができ、好ましくは1〜約20個の炭素原子を含み、酸素含有基、窒素含有基若しくは硫黄含有基又はこれらの組み合わせを所望により含んでもよい。連結基は、好ましくは、フリーラジカルオリゴマー化を実質的に妨げる官能基(例えば、重合性オレフィン系二重結合、チオール及び当業者に知られている他のこうした官能基)を有しない。好適な有機二価連結基の例としては、
−COQ’RQ’’CO−、−COOCHCH(OH)RQ’CO−、−L’Q’CONHL’’−、−RQ’CO−−COQ’R−、−R−、−COQ’RQ’−、−SONRaRQ’−、−SONRaR−、及び−SONR−RQ’CO−
(式中、Q’及びQ’’は独立して、O又はNRを表し、Rは、水素又は1〜4個の炭素原子を持つアルキル基であり、Rは、O又はNなどのヘテロ原子1つ以上によって分断され得る、線状、環状又は分枝状アルキレン基を表し、L’及びL’’は、各々独立して、例えば、アルキレン基、カルボニル基、カルボンアミド(carbonamido)アルキレン基及び/又はカルボキシアルキレン基を包含する非フッ素化有機二価連結基を表し、そして、は、連結基が式(IV)中の基Rに結合している位置を示す。)が挙げられる。
【0137】
上述したようなフッ素化モノマーR−LC(R)=CR及びそれらの調製方法は知られており、例えば、米国特許第2,803,615号にて開示されている。このような化合物の例としては、フルオロケミカルアクリレート、メタクリレート、ビニルエーテルの一般的クラス、並びにフッ素化スルホンアミド基含有アリル化合物、フルオロケミカルテロマーアルコールから誘導されるアクリレート又はメタクリレート、フルオロケミカルカルボン酸から誘導されるアクリレート又はメタクリレート、及び欧州特許出願第526976号に開示されているようなペルフルオロアルキルアクリレート又はメタクリレートが挙げられる。
【0138】
ペルフルオロポリエーテルアクリレート又はメタクリレートは、米国特許第4,085,137号に記載されている。
【0139】
フッ素化モノマーの特に好適な例としては、
CF(CFCHCHOCOC(R’)=CH
CF(CFCHOCOC(R’)=CH
CF(CFCHCHOCOC(R’)=CH
CFO(CFCFCHOCOC(R’)=CH
O(CF(CF)CF2O)CF(CF3)CH2OCOC(R’)=CH
O(CF(CF)CFO)CF(CF)CONHCHCHOCOC(R’)=CH
CFCFCFCFO[CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCOC(R’)=CH(vは、平均1.5)
(式中、R’は水素又はメチルを表し、R’’はメチル、エチル又はn−ブチルであり、そしてuは約1〜25である)が挙げられる。
【0140】
式(IV)のフッ素化モノマー又はその混合物は、通常、ポリマー中の、その対応単位量が、10〜97モル%、好ましくは25〜97モル%、より好ましくは25モル%〜85モル%、最も好ましくは25モル%〜75モル%となるような量で使用される。
【0141】
式(IV)のフッ素化モノマーは一般的に、1種以上の非フッ素化モノマーと共重合する。一実施形態では、非フッ素化モノマーの少なくとも一部は、塩化ビニル及び塩化ビニリデンなどの塩素含有モノマーから選択される。このような塩素含有モノマーの繰り返し単位(存在する場合)は、3〜75モル%の量で、フッ素化ポリマー中に含まれるのが好ましい。
【0142】
上記塩素含有モノマー以外の更なる非フッ素化コモノマーとしては、式(V)で表すことができるモノマーなどの炭化水素基含有モノマーが挙げられる。
【0143】
E (II)
(Rは、4〜30個の炭素原子を有する脂肪族基を表し、Lは、有機の二価結合基を表し、かつEは、エチレン系不飽和基を表す。)炭化水素基は、好ましくは、直鎖、分枝又は環式のアルキル基、アラルキル基、アルキルアリール基及びアリール基からなる群から選択される。更なる非フッ素化モノマーとしては、式(V)の炭化水素基が、オキシアルキレン基又はヒドロキシ基及び/若しくは硬化部位などの置換基を含むようなものが挙げられる。
【0144】
非フッ素化コモノマーの例としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の炭化水素エステルが挙げられる。実施例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、3,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、(2,2−ジメチル−1−メチル)プロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、4−エチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート及びテトラヒドロピラニルアクリレートが挙げられる。更なる非フッ素化コモノマーとしては、アリルアセテート及びアリルヘプタノエートなどのアリルエステル、セチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル又はアルキルアリルエーテル、不飽和酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びこれらの無水物、並びにこれらのエステル、例えば、ビニル、アリル、メチル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ラウリル、ステアリル、イソボルニル又はアルコキシエチルアクリレート及びメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロアクリロニトリル、2−シアノエチルアクリレート、アルキルシアノアクリレートなどの、α−β不飽和ニトリル、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えばアリルアルコール、アリルグリコレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−ジイソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、式X−R3N+−Ra−OC(O)−CR1=CH2(式中、X−は例えば塩化物アニオンなどのアニオンを表し、Rは水素又はアルキル基を表し、そして各Rは同じであっても又は相違していてもよく、Rはアルキレンを表し、かつRは水素又はメチルを表す)の(メタ)アクリレートなどの、アンモニウム基を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びその誘導体例えば、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−シアノメチルスチレン、ハロゲンを含むことができる低級オレフィン系炭化水素、例えば、エチレン、プロピレン、イソブテン、3−クロロ−1−イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロ及びジクロロブタジエン並びに2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマーの(メタ)アクリレート、アミノ−又はジアミノ末端処理ポリエーテルの(メタ)アクリレート並びにメトキシポリエチレングリコールの(メタ)アクリレートを包含する(ポリ)オキシアルキレン基を含む炭化水素モノマー、並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを包含するヒドロキシル基を含む炭化水素モノマーが挙げられる。
【0145】
本発明の特定の実施形態では、式(IV)のモノマーから誘導される単位を含むフッ素化ポリマーとしては、1つ以上の硬化部位を有する単位を更に包含する。これらの単位は、典型的には、1つ以上の硬化部位を含む対応するコモノマーから誘導される。用語「硬化部位」とは、処理される基材との反応に使用できる官能基を意味する。硬化部位の例としては、カルボン酸基などの酸基、ヒドロキシ基、アミノ基及びイソシアネート基又はブロック化されたイソシアネート基が挙げられる。そこから硬化部位を誘導してもよいコモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アリルメタクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、N−メトキシメチルアクリレート、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、グリシジルメタクリレート及びα,αジメチルm−イソプロペニルベンジルイソシアネートが挙げられる。他の例としては、重合性モノイソシアネートをイソシアネートブロック剤と反応させることにより、又はジ−又はポリイソシアネートとヒドロキシ又はアミノ官能化アクリレート又はメタクリレート及びイソシアネートブロック剤と反応させることにより得ることができる重合性ウレタンが挙げられる。イソシアネートのブロック剤は、それをイソシアネート基と反応させたときに生成する基が、室温では通常ならイソシアネートと反応するような化合物と室温では反応しないが、高温にするとイソシアネート反応性化合物と反応するような、化合物である。一般に、高温では、ブロック基がブロック化(ポリ)イソシアネート化合物から放出され、それによって、イソシアネート基が再び発生し、それがイソシアネート反応性基と再び反応可能となる。ブロック剤及びそれらの作用機構に関しては、ダグラス・ウィックス(Douglas Wicks)及びゼノ・W・ウィックス・Jr(ZenoW.Wicks Jr.)「ブロックト・イソシアネーツ・III:パート・A(Blocked Isocyanates III:PartA)、メカニスムス・アンド・ケミストリー(Mechanisms andchemistry)」、プログレス・イン・オーガニック・コーティングズ(Progress in OrganicCoatings)第36巻(1999)、p.14〜172に記載がある。
【0146】
ブロックイソシアネートは、芳香族、脂肪族、環状又は非環状であってよく、一般にブロック化ジ−若しくはトリイソシアネート又はそれらの混合物で、イソシアネートと、イソシアネート基と反応可能な少なくとも1つの官能基を有するブロック剤とを反応させることによって得ることができる。好ましいブロック化イソシアネートは、150℃未満の温度で、好ましくは高温におけるブロック剤の脱離により、イソシアネートと反応性の基と反応することが可能な、ブロック化ポリイソシアネートである。好ましいブロック剤としては、フェノールなどのアリールアルコール、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、2−ブタノンオキシム又はジエチルグリオキシムなどのオキシムが挙げられる。硬化部位としてのブロック化イソシアネート基を有するコモノマーの特定例としては、ジ−イソシアネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ブタノンオキシムの反応生成物、又はジ−イソシアネート、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート及び2−ブタノンオキシムの反応生成物、並びにトリイソシアネート、1当量の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2当量の2−ブタノンオキシムの反応生成物、並びにα、α−ジメチルm.イソプロペニルベンジルイソシアネートと2−ブタノンオキシムとの反応生成物、が挙げられる。
【0147】
本発明との関係における更なる実施形態では、組成物中で使用されるフルオロケミカル化合物は、米国特許第6,525,127号にて開示されているようなアルキル化フルオロケミカルオリゴマーである。本米国特許に開示されているアルキル化フルオロケミカルオリゴマーは、
(i)そこに結合した複数のフルオロ脂肪族基を備えた脂肪族骨格鎖を含むフルオロケミカルオリゴマー部分(各フルオロ脂肪族基が完全フッ素化末端基を有し、かつ各々独立して、有機連結基を介して脂肪族骨格鎖の炭素原子に連結されている)、
(ii)少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪族部分、及び
(iii)フルオロケミカルオリゴマー部分を脂肪族部分へ連結する連結基を含む。
【0148】
フッ素化化合物及びカルボジイミド又はカルボジイミドの混合物を含む組成物は、カルボジイミド又はカルボジイミドの混合物の水分散液を、フッ素化物とブレンドすることにより調製することができる。基材への本発明の組成物の定着を向上させるために、分散体内に、ある種の添加剤、ポリマー、熱凝縮性生成物及び基材との相互作用を促進することができる触媒を含ませることが場合により好都合である。これらには、尿素若しくはメラミンとホルムアルデヒド及びグリオキサール樹脂との縮合物又は前縮合物(場合により、本明細書において樹脂として参照される)がある。特に好適な添加剤及びその量は、当業者が選択することができる。
【0149】
基材に適用される処理組成物の量は、一般に、十分に大きい又は望ましい撥水性及び撥油性が基材表面に付与されるように選択されるが、当該量は通常、基材重量を基準にして、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜2重量%の撥水剤組成物(フッ素化物及びカルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物)が、処理済基材上に存在するようにされる。所望の撥液性を付与するのに充分な量は、実験的に決定することが可能であり、必要又は希望に応じて増加させることが可能である。
【0150】
カルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物は、一般に、フッ素化物のフッ素効率(fluorine efficiency)を向上するのに十分な量で、処理組成物中に存在する。本発明で使用する場合、「フッ素効率の向上」とは、フッ素化物の一部、好ましくはフッ素化物の10〜50重量%がカルボジイミドで置き換えられた場合に、向上した又は同等の撥液性が得られることを指す。一般に、カルボジイミド化合物又はカルボジイミド化合物の混合物は、フッ素化物の100重量部を基準にして、約5〜約500、好ましくは約10〜約200、最も好ましくは約25〜約100重量部の量で存在する。
【0151】
本発明の組成物は、従来の適用方法を使用して適用することが可能であり、特に水性分散液として使用することが可能である。一般に、分散体は、水、それで処理された基材に撥液性を付与するのに効果的な量の組成物、及び当該分散体を安定させるのに効果的な量の界面活性剤を含む。水は、好ましくは本発明の組成物の100重量部を基準にして、約70〜約20000重量部の量で存在する。前記界面活性剤は、好ましくは本発明の組成物の100重量部を基準にして、約1〜約25重量部、好ましくは約5〜約10重量部の量で存在する。従来のカチオン性、非イオン性、アニオン性、双性イオン性界面活性剤又はこれらの混合物が、好適である。
【0152】
任意の添加剤−(C)
追加の添加剤もまた、本発明で有用である。フッ素非含有化合物のうち、処置増量剤(treatment extenders)として有用なものは、シロキサン、アクリレート及び置換アクリレートポリマー及びコポリマー、N−メチロールアクリルアミド含有アクリレートポリマー、ウレタン、ブロック化イソシアネート含有ポリマー及びオリゴマー、尿素又はメラミンとホルムアルデヒドとの縮合物又は前縮合物、グリオキサール樹脂、脂肪酸とメラミン又は尿素誘導体との縮合物、脂肪酸とポリアミド及びそれらのエピクロロヒドリン付加物との縮合物、ワックス、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アルキルケテン二量体、エステル、及びアミドである。これらのフッ素非含有増量剤化合物のブレンドもまた、有用であると考えられる。処理における増量剤化合物の相対量は、本発明において重要ではない。しかし、フルオロケミカル処理の全組成物は、全ての系に存在する固形分量に対して、少なくとも3重量%、好ましくは約5重量%の炭素結合フッ素を含むべきである。
【0153】
応用例
上述したように、本発明の組成物は、(A)1種以上のエステルオリゴマー及び(B)1種以上のポリカルボジイミドのブレンドを含む。多くの実施形態では、(A)対(B)の重量比は、約95:5〜約5:95、好ましくは約75:25〜約25:75、最も好ましくは約60:40〜約40:60である。加えて、それらは、有効量の1種以上のその他の添加剤、即ち、(C)例えば、メラミン、架橋剤などを更に含んでもよい。
【0154】
本発明の被膜組成物は、水性懸濁液、エマルション、又は溶液、又は有機溶媒(若しくは有機溶媒/水)溶液、懸濁液、又は本発明のフルオロケミカル組成物を含むエマルションを含む。被膜材として適用する際、フルオロケミカル被膜組成物は、あらゆる多種多様な基材へ、撥油性及び撥水性、並びに/又は汚染放出性及び防汚性を付与する。
【0155】
本発明のフルオロケミカル組成物は、様々な溶媒中に溶解、懸濁、又は分散して、基材の上に本発明の化学組成物をコーティングして使用するのに適した被膜組成物を形成させることができる。水性懸濁液、エマルション、又は溶液が、一般的には好ましく、かつ一般に、約0.1重量%〜約50重量%の不揮発性固形分含有量を(構成成分の総重量を基準にして)含むことができる。この組成物を塗布する相手の基材によっては、水が好ましい溶媒となるが、その理由は、水は環境問題を起こすことがなく、安全で無毒とみなされているからである。
【0156】
本発明の別の実施形態は、1種以上の表面を有する基材からなる物品であり、この基材の1種以上の表面上には、本発明の被膜組成物から誘導される硬化した皮膜がある。被膜組成物を適用及び硬化した後、物品は、水及びヘキサデカンに対する高い動的後退接触角、撥油性及び撥水性、並びに/又は汚染放出性及び防汚性を示す。
【0157】
本発明の被膜組成物は、繊維基材、革基材、及び硬質基材を含む多種多様な基材に適用することができるが、これらに限定するものではない。繊維基材の例示的実施例としては、織物、編物、及び不織布(例えば、天然、合成、及び天然/合成ブレンドであって、綿、亜麻布、羊毛、シルク、ポリエステル、ナイロン、及びこのような繊維のブレンドなどを包含する)積層物(例えば、発泡ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)に結合したナイロン又はポリエステル布地であって、ゴア(GORE)(商標)膜に使用されているようなもの)繊維材料、カーペット、革、並びに紙が挙げられる。硬質基材の例示的実施例としては、ガラス、セラミックス、石工、コンクリート、天然石、人工石、金属、木材、プラスチック、及び塗装表面が挙げられるが、これらに限定されない。基材は、平面又は曲面を有することができ、かつ同様に、本質的に微粒子及び繊維状であってもよい。好ましい基材は、繊維性であり、あるいは液体を吸収することができ、したがって、多孔質である。このような基材は、特に染み及び汚れを受けるが、被膜組成物は繊維性又は多孔質の基材表面内へ浸透し、基材の内表面に広がることができるために、本発明のフルオロケミカル組成物から多大な恩恵をも受ける。
【0158】
被膜組成物でコーティングすることができる基材の代表例としては、眼鏡用レンズ、サングラス、光学機器、照明器、時計のガラス、など、プラスチック窓の取り付け工事、サイン、壁紙及びビニル床材などの装飾面、フォルミカ(FORMICA)(商標)ブランドのシート形成又は張り合わせフローリング(例えば、ペルゴ(PERGO)(商標)ブランドのフローリング)などの複合又は積層基材、セラミックタイル及び備品(流し台、シャワー、トイレ)、天然及び人工石、装飾用石材及び敷石、セメント及び石の側壁及び車道、グラウトを含む粒子又は適用されたグラウトの仕上げ面、木製家具表面(デスクトップ、テーブルトップ)、キャビネット表面、木製のフローリング、デッキ、及び囲い、革、紙、繊維状ガラス繊維及びその他繊維含有布地、繊維材料、カーペット、ドレープ材料、室内装飾材料、衣類、などが挙げられる。
【0159】
被膜組成物から調製される被膜材は、汚れに対する耐性を金属表面へ与えることができるため、装飾用金属片及び鏡の上などの金属表面の光学特性が、より長期間維持されることができる。被膜組成物は、光沢のある外観を維持する手助けをしつつ、木肌を食品及び飲料汚れに対してより高耐性にすることができる。加えて、被膜組成物は、飛行機の翼、艇殻、釣り糸、医療用表面及び側面(medical surfaces, and siding)の保護皮膜として適用することができ、かつ、食品剥離(food release)、金型剥離、接着剤剥離の用途などにて使用可能である。装飾用石材としては、例えば、大理石、花崗岩、石灰岩、スレートなどが挙げられる。
【0160】
本発明の被膜組成物にてコーティング可能な好ましい基材は、不織布、編物、及び織物類、積層物、カーペット、ドラペリー材料、室内装飾材料、衣類並びに実質的に任意の繊維などの繊維性基材である。1種以上の表面を有する基材へ、撥液性及び/又は防汚性を付与するために、(a)本発明の被膜組成物が、1種以上の基材表面上にと適用され、そして(b)被膜組成物を周囲温度において、あるいは好ましくは高温において硬化(即ち、乾燥)させる。高温の使用は、本発明のフルオロケミカル組成物でコーティングした繊維性基材を硬化させるのに、特に有利であるが、これにより、最高の撥液性が得られる。約50℃〜約175℃の高温が好ましいが、通常、約100℃〜約170℃がより好ましい。
【0161】
被膜組成物は、例えば、噴霧、パディング、浸漬、ロールコーティング、ブラッシング、又は染着(所望により、続いて処理された基材を乾燥して、任意の残存する水又は溶剤を除去する)などの標準的な方法によって、処理可能基材へ適用することができる。処理可能基材は、成型された又は吹き付けられた物品、シート類、繊維(そのまま又は凝集した形態にて、例えば、紡績糸、トウ(toe)、又は粗糸にて、あるいはカーペットなどの加工繊維材料の形態にて)織物及び不織布類、フィルム類などの形態であることができる。適切なサイズの平坦基材をコーティングする場合、ナイフコーティング又はバーコーティングを使用して、基材の均一コーティングを確保してよい。所望であれば、フルオロケミカル組成物は、従来の繊維処理剤、例えば、スピン仕上げ剤又は繊維潤滑剤と共に適用することができる。このような局所処理工程では、ニートなフルオロケミカル組成物(添加溶媒無し)を使用でき、したがって、フルオロケミカル組成物の有機溶剤溶液の使用よりも、環境の観点から好ましい。
【0162】
被膜組成物は、特定用途のための所望の撥液性を得るのに十分な量で適用することができる。この量は、実験的に決定することができ、処理可能基材の性質を損なうことなく撥液性を得るために、必要又は希望に応じて調整可能である。
【0163】
被膜組成物は、任意の所望の厚さで、基材に適用することができる。2〜3マイクロメートル程度の薄さの被膜材は、優れた低表面エネルギー、防汚性、及び汚染放出性を提供することができる。しかし、より厚い皮膜(例えば、約20マイクロメートル以下あるいはそれ以上)も使用できる。より厚い皮膜は、比較的高濃度の本発明の化学的組成物を含む被膜組成物の単一の厚い層を基材に適用することによって得ることができる。より厚い皮膜は、比較的低濃度の本発明のフルオロケミカル組成物を含む被膜組成物の基材へ、連続層を適用することによっても得ることができる。後者は、被膜組成物の層を基材へ適用し、次に後続層の適用に先だって乾燥することによって行うことができる。次に、皮膜の後続層を乾燥層へ適用することができる。この手順は、所望の皮膜厚が得られるまで繰り返すことができる。
【0164】
撥液性を付与する、フルオロケミカルポリマー組成物は、被膜材への添加剤としての実用性も見出すことができる。このような皮膜は、撥水性、撥油性、及び耐傷性(並びに防汚性)であることができ、写真工業にて使用することができ、あるいは光学又は磁気記録媒体のための保護被膜材として使用することができる。
【0165】
所望であれば、本発明の撥水性及び撥油性組成物は、当該技術分野において一般的に使用されるようなもの、例えば、染料、色素、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、充填剤、及びこれらの混合物を包含する1種以上の添加剤を更に含むことができる。特に、性能向上剤(例えば、ポリブチレンなどのポリマー)を利用して、例えば、溶融添加剤ポリオレフィン用途における撥液性を向上させることができる。
【0166】
基材処理をするために、分散体を基材上へ噴霧することができ、あるいは、基材を分散体中に浸漬して、飽和するまで攪拌することができる。次に、飽和基材は、過剰な分散体を除去するためにパッダー/ローラーを通過させることができる。本発明の組成物は、組成物を収容する浴の中で基材を組成物と接触させることによって組成物を基材に適用し、かつ基材を1種以上のロール上で誘導するという適用方法での使用に特に適している。通常は、基材から余剰な処理組成物を圧搾するように、このようなロールは構成されている。
【0167】
組成物を基材へ適用した後、一般的に基材を乾燥させる。一定時間、周囲条件にて、基材を空気に晒すことによって基材を乾燥させてもよい。周囲条件(一般に、20〜30℃)にて乾燥させる場合であっても、本発明の組成物によって、良好かつ効果的な撥液性を得てもよい。あるいは、所望の場合又は必要に応じて、基材の乾燥を促進させ、かつ/又は適用した組成物の硬化を生じさせるために、組成物適用後、基材を熱に晒してもよい。加熱温度に晒す場合、基材をオーブンを通して誘導してよく、加熱温度は、100〜200℃、典型的には120〜180℃であってもよい。
【0168】
本発明の基材に適用される処理組成物の量は、十分に大きい又は望ましい撥水性及び撥油性が基材表面に付与されるように選択されるが、当該量は通常、基材重量を基準にして、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜2重量%の撥水剤組成物(フッ素化物及びカルボジイミド)が、処理済基材上に存在するようにされる。所望の撥液性を付与するのに充分な量は、実験的に決定することが可能であり、必要又は希望に応じて増加させることが可能である。
【0169】
本発明の撥水性及び撥油性付与組成物により処理された基材としては、特に制限されず、例えば織布、繊維、不織布、皮革、紙、カーペット、プラスチック、木材、金属、ガラス、コンクリート及び石材が挙げられる。織布、繊維及び不織布が好ましい。
【実施例】
【0170】
本発明の目的及び利点は、下記の例示的実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。実施例において、重量%又は重量部が示されているが、特に指示がない限り、これらは全ての組成物の重量を基準にしている。
【0171】
配合及び処理手順:
指定された量のフルオロケミカル処理組成物が入っている処理浴を用意した。実施例で示された濃度(布地重量に基づきSOF(布地上の固形物)として示されたもの)を提供するためにパッディングにより処理剤を試験基材に被着させた。サンプルを室温で24〜48時間にわたり空気乾燥させ、その後、約21℃及び相対湿度約50%で2時間にわたりコンディショニングした(空気硬化)。あるいは、サンプルは、例えば、約150〜約170℃にて、約1〜5分間乾燥させ、硬化させた。
【0172】
乾燥及び熱硬化後、基材の撥液性の検査をした。
【0173】
試験方法
噴霧評点(スプレー):処理された基材の噴霧評点は、処理された基材上に衝突する水に対する、処理された基材の動的撥液性を示す値である。撥液性は、繊維化学染色協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)の2001年版技術マニュアルで公表された試験方法22(1996年)によって測定し、試験した基材の「噴霧評点」という言葉で表現した。噴霧評点は、15cmの高さから基材上に250mLの水を噴霧することにより得た。0が完全濡れを意味し、100が全く濡れなしを意味する、0〜100の尺度を用いて濡れ模様を目視で採点した。
【0174】
撥油性(OR):基材の撥油性は、繊維化学染色協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)標準試験方法No.118−1983によって測定した。その試験は、異なる表面張力の油による浸透への処理済み基材の抵抗に基づいていた。ヌジョール(NUJOL)(登録商標)鉱油(最も浸透性のない試験油)にのみ抵抗する処理済み基材に評点1を与えたのに対して、ヘプタン(最も浸透性の試験油)に抵抗する処理済み基材に評点8を与えた。その他中間の評点の数値は、下表に示すように、他の純オイル又はオイル混合物を使用して求めたものである。
【0175】
【表3】

【0176】
ブンデスマン試験:動的撥水性能を評価するために、処理済基材上での雨の含浸効果を、ブンデスマン試験方法(DIN 53888)を使用して判定した。本試験において、処理済基材は模擬降雨に晒されるが、基材裏面は拭き取られた状態である。上部露出表面の外観を、1、5及び10分後に目視検査し、1(表面が完全に濡れている)〜5(表面上に水が残っていない)の間で点をつけた。一般に、サンプルの初期噴霧評点が95以上の場合に限って、ブンデスマン試験が実施される。
【0177】
洗濯手順:以下の実施例で定める処理済み基材サンプルを調製するために、以下に記載する手順を用いた(即ち、1Lとは1回の完全な洗浄及びリンスサイクルを示し、5Lとは5回の完全な洗浄及びリンスサイクルを示す。以下同様。)。
【0178】
処理済み基材の一般に正方形で400cm〜900cmのシートである230gのサンプルをバラストサンプル(一般に正方形で縁曲げした8100cmのシートの形態である1.9kgの8oz(227g)布地)とともに洗濯機に入れた。業務用洗剤(サプトン(SAPTON)ブランドの洗剤(ヘンケル(ドイツ)より)、46g)を加え、高水位になるまで温水(40℃+/−3℃)を洗濯機に満たした。基材及びバラストロードは、12分の通常洗浄サイクルを使用し、引き続いてすすぎ洗いをし、並びに各洗浄及びリンスサイクルにおいて遠心分離することによって洗浄した。サンプルは、繰り返しサイクルの間では乾燥しなかったが、最終サイクル後には乾燥した。
【0179】
試験材料
(A)エステルオリゴマー
表1−04に示す実施例において、C18−二塩基酸/FBSEE/MEFBSE(モル比、1/0.75/0.5)からのポリエステル:ディーンスターク(Dean-Stark)トラップを装着した丸底フラスコへ、C18−二塩基酸30g(0.095モル)、FBSEE 27.5g(0.071モル)、MeFBSE 17.01g(0.048モル)、トルエン100g、及びメタンスルホン酸1gを添加した。本混合物を15時間、115℃にて還流させた。所望量(3g)の水を収集後、温度を80℃まで下げ、これへ、炭酸カリウムを添加した。30分間混合後、本混合物を熱ろ過し、溶媒を回転蒸発させた。
【0180】
上記ポリマー固形物20gへ、MIBK50gを添加し、65℃まで加熱した。別個のビーカーへ、水(100g)、エトクァッド(ETHOQUAD)(商標)C/12(0.53g)、テルギトール(TERGITOL)(商標)15−S−30(0.6g)、及びTMN−6(1.2g)を添加した。本溶液を65℃まで加熱し、本撹拌溶液へMIBK中のポリマーをゆっくりと添加した。本混合物を4分間超音波で分解させ、溶媒をロータリーエバポレーター(rotovap)で除去した。
【0181】
表1〜4の全てのポリエステルは、上記手順に従って調製したが、ただし、モル比に示すように(as indicated in the molar ratios indicated)、C14−二塩基酸又はC12−二塩基酸は、C18−二塩基酸と置き換えた。一実施例では、MeFBSEは、表に示すように、C6テロマーアルコールで置き換えた。
【0182】
エステルA:攪拌棒、ヒーター及びディーンスターク(Dean-Stark)トラップを装着した丸底反応フラスコへ、ODDA(30g、0.095モル)、FBSEE(27.5g、0.071モル)、MeFBSE(17.01g、0.048モル)、ヘプタン(100g)及びメタンスルホン酸(1g)を添加した。得られた混合物は、5時間100℃で還流させた。所望量(3g)の水を収集後、温度を80℃まで下げた。次に、トリエチルアミン(1.10g)を添加し、混合物を更に30分間攪拌した。次に、蒸留によってヘプタンを除去した。残存するポリエステル固形物のサンプル(40グラム)を、500mLの三つ口丸底フラスコ内のメチルイソブチルケトン(MIBK)80g中に溶解させた。混合物を65℃まで加熱した。別個に、脱イオン水200gへ、VGH−70(固形分70%)1.71g、テルギトール(TERGITOL)(商標)TMN−6(固形分90%)2.1g、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル15グラムを添加した。水混合物を65℃まで加熱し、次に素早く撹拌しながら、ポリエステル混合物へとゆっくり添加した。15分間混合後、フラスコの内容物を17.2MPa(2500psig)の圧力にて、ホモジナイザーを2回通過させた。得られたエマルションから、35℃での真空蒸留にて、MIBKを除去した。得られたエマルションは、固形分18.5%だった。
【0183】
エステルB:ポリエステルBは、上記ポリエステル(Polyseter)Aとして調製したが、ただし、ヘプタンを蒸留によって除去する前に、濾過によりヘプタンからトリエチルアミン/酸性塩を除去した。サンプルは、ポリエステルAとして乳化したが、ただし、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを水相へ添加しなかった。得られたエマルションは、固形分21.3%だった。
【0184】
エステルC:ポリエステルCは、表1〜4で報告された実施例にて使用されたC14ポリエステルであった。
【0185】
(B)ポリカルボジイミド
PCD−2:4MDI/イソステアリルアルコール/(8iBMA−HSCHCHOH)、更に、PCD−2としても表記され、米国公開特許第2006/0094851号に記載されているようにして調製された。
【0186】
PCD−3:4MDI/0.5イソステアリルアルコール/0.5ステアリルアルコール/(8iBMA−HSCHCHOH)、米国公開特許第2006/0094851号に記載されているようにして調製された。
【0187】
(C)その他の添加剤
本発明の実施例で使用したメラミンホルムアルデヒド縮合物は、エアロテック(AEROTEX)(登録商標)樹脂(一連の架橋剤)であって、エメラルド・パフォーマンス・マテリアルズ(Emerald Performance Materials)(エメラルド・カルフォルニア・ケミカル社(Emerald Carolina Chemical, LLC)、(ノースカロライナ州シャーロット))から入手可能である。グリオキサール樹脂及びメラミン樹脂を硬化させるための有用な触媒としては、アミンと同様に金属塩が挙げられる。エアロテック(AEROTEX)(登録商標)−M3樹脂と共に使用される触媒としては、フリーキャット(FREECAT)(登録商標)UTX−2促進剤と同様に、フリーキャット(FREECAT)(登録商標)MX促進剤が挙げられた。フリーキャット(FREECAT)(登録商標)UTX−2促進剤が好ましい。両触媒は、エメラルド・カロリーナ・ケミカル社(Emerald Carolina Chemical, LLC)(ノースカロライナ州シャーロット)からも入手した。
【0188】
フルオロアルキルアクリレートFC1:以下のモノマー組成物・CSON(CH)CHCHOCOC(CH)=CH/VCL/ODMA(重量比:60/20/20)並びにエトクァッド(ETHOQUAD)(商標)C−12、2%/テルギトール(TERGITOL)(商標)TMN−6、5.4%及びテルギトール(TERGITOL)(商標)15S30、3%(フルオロケミカルアクリレート固形分を基準にして)からなる乳化剤系を有するフルオロケミカルアクリレートを含む、固形分45%の水性分散液。
【0189】
ポリカルボジイミド増量剤(FC1/PCD−2、重量比60:40)とブレンドされたフルオロアルキルアクリレートのコポリマーは、C14及びC18フルオロケミカルポリエステル(表1及び2に示したような組成物とブレンド比を有する)とブレンドした。
【0190】
フルオロアルキルアクリレートFC2:表8〜11のブレンドシリーズのフルオロケミカルアクリレートは、オーバーヘッド攪拌機、冷却管、熱電対及び窒素パージを装備した3Lフラスコへ、メルカプトエタノール(40.8g、0.52モル)、MeFBSEA(859.2g、2.09モル)及びエチルアセテート600gを充填することによって調製した。混合物を75℃まで加熱した。充填量3.60gのVAZO 67を添加し、混合物を8時間反応させた。追加のVAZO67、3.6gを添加し、混合物を更に8時間反応させた。溶液をボトルに移した。10gの追加のエチルアセテートを添加すること及び60℃まで加熱することによって、溶液(EtOAc中、固形分74%)の一部25gを乳化させた。別個に、脱イオン水50gを、エトクァッド(ETHOQUAD)(商標)18/25(固形分29.3%)3.16gと共に混合した。水/界面活性剤の混合物をエチルアセテート溶液に添加し、十分に混合した。ホモジナイザーで2回処理した後、エチルアセテートをロータリーエバポレーターで除去し、固形分22.5%の水性乳濁液とした。
【0191】
基材
表8及び9を除いて、全ての実施例において、未処理のナイロン又はポリエステル製マイクロファイバー布地を使用した。ナイロンラミネート:モノリシックウレタンコーティングにて部分的に含浸させた、35g/mの発泡PTFE(80%の気孔率)膜へ結合させた、86g/cmの織物ナイロン布地の2層積層体(W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社(W. L. Gore and Associates, Inc.)(メリーランド州エルクトン(Elkton))から入手した)。
【0192】
ポリエステルラミネート:モノリシックウレタンコーティングにて部分的に含浸させた、35g/mの発泡PTFE(80%の気孔率)膜へ結合させた、78g/cmの織物ポリエステル布地の2層積層体(W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社(W. L. Gore and Associates, Inc.)(メリーランド州エルクトン(Elkton))から入手した)。
【0193】
ポリエステル布地上:
【0194】
【表4】

【0195】
各ポリエステルのモル比は、1/0.75/0.5であった。
【0196】
ナイロン布地上:
【0197】
【表5】

【0198】
各ポリエステルの比は、1/0.75/0.5であった。
【0199】
b)ポリカルボジイミド及びブロック化イソシアネート増量剤
カルボジイミド増量剤PCD−3:4MDI/0.5イソステアリルアルコール/0.5ステアリルアルコール/(8iBMA−HSCHCHOH)、米国公開特許第2006/0094851号に記載されているようにして調製された。
【0200】
ポリカルボジイミド増量剤(PCD−2及びPCD−3)並びにブロック化イソシアネート増量剤を、C12、C14、及びC18フルオロケミカルポリエステル(表3及び4に示すような組成物及びブレンド比を有する)とブレンドした。
【0201】
【表6】

【0202】
【表7】

【0203】
本発明のブレンドの別の有用な例は、ポリエステルODDA/FBSEE/MeFBSE(1/0.75/0.5)とPCD−3との重量比2:1のブレンドである。処理済みのナイロン及びポリエステル布地の性能データは、下記表5〜7にまとめられている。
【0204】
【表8】

【0205】
【表9】

【0206】
【表10】

【0207】
積層体基材上の本発明の実施形態は、表8及び9に示されている。C14は、表1〜4で使用するC14ポリエステルを示し、C18は、上記ポリエステルAであり、%SIBとは、示した処理組成物の浴中の固形分%を意味する。
【0208】
【表11】

【0209】
【表12】

【0210】
【表13】

【0211】
【表14】

【0212】
本明細書にて参照された全ての特許、特許出願、及び公開特許公報は、本明細書にてその全体が参考として組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1種以上のオリゴマーと、
各オリゴマーは、(i)少なくとも1種のフッ素含有繰り返し可能単位と、(ii)少なくとも1種のフッ素含有末端基とを含み、そして、
前記化合物又はオリゴマーは、
(a)1種以上のフッ素化ポリオールと、
(b)2個以上の炭素原子を含む1種以上のポリアシル化合物と、
(c)前記ポリオール(a)のヒドロキシル基と又はポリアシル化合物(b)のアシ
ル基と反応する官能基を含む1種以上の単官能性フッ素含有化合物と、
の縮合反応生成物を含み、
(B)1種以上のポリカルボジイミドと、
のブレンドを含んでなる、組成物。
【請求項2】
前記オリゴマーが、式(I)、
Q[OR[OC(O)RC(O)ORO][C(O)RC(O)]T (I)
(式中、
oは、0又は1の数であり
nは、1及び10を含む、1〜10の数であり、
mは、0又は1の数であり、
は、1〜12個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、又は3〜約50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基であって、存在する全てのペルフルオロカーボン鎖は1〜6個の炭素原子を有し、
Qは、二価連結基であり、
は、原子を有する直鎖又は分岐鎖又は不飽和鎖アルキレン基であるポリアシル化合物の残基である、同じであるか又は相違する多価有機基であり、
は、ポリオールの残基であって、少なくともその一部が、1種以上の、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキレン基、又はこれらの混合物で置換されているかあるいは含む、同じであるか又は相違する二価有機基であり、そして
Tは、RQ又はポリアシル化合物若しくはポリオールと反応可能な非フッ素含有単官能性化合物である。)
で表わされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Qが以下の構造
【表1】

(式中、各kは、独立して0〜20の整数であり、R1’は、水素、フェニル、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、そしてR2’は、1〜20個の炭素原子を有するアルキルである。)から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記オリゴマーが、式(III)、
Q[C(O)RC(O)ORO][C(O)RC(O)]QR(III)
(式中、nは、1及び10を含む、1〜10の数であり、
mは、1であり、
は、1〜12個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、又は3〜50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基であって、存在する全てのペルフルオロカーボン鎖は1〜6個の炭素原子を有し;
Qは、二価連結基であり;
は、1〜22個の炭素原子を有する直鎖アルキレンであり、
は、直鎖又は分岐鎖のアルキレン、シクロアルキレン、1〜14個の炭素原子を有するアリーレン若しくはヘテロアルキレン基、又は6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基であるポリオールの残基である多価有機基であって、R基の少なくとも一部は、1種の、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキル基、ペルフルオロヘテロアルキレン基、又はこれらの混合物を含む。)
の請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記オリゴマーが、1種以上のフッ素化ポリオール、1種以上の非フッ素化ポリオール、1種以上のポリアシル化合物、及び1種以上の単官能性フッ素含有化合物の縮合反応生成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記オリゴマーが、1種以上のフッ素化ポリオール、ポリオールに対して過剰量の1種以上の直鎖アルキレンジアシル化合物、及び末端アシル基と反応するのに充分な量のフッ素化モノアルコールの縮合反応生成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリオールのフッ素含有基が、6個以下の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオールのフッ素含有基が、3〜5個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリオールのフッ素含有基が、ペルフルオロブチル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記単官能性フッ素含有化合物が、式(II)
Q’
(II)
(式中、Rは1〜12個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、及び3〜50個の炭素原子を有するペルフルオロヘテロアルキル基からなる群から選択され、存在する全てのペルフルオロカーボン鎖が6個以下の炭素原子を有し、
Q’が、ポリアシル基の末端アシル基又はポリオールの末端ヒドロキシ基と反応する官能基である、)
で表わされる化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
Q’がヒドロキシル、二級アミノ、オキサゾリニル、オキサゾロニル、アセチル、アセトニル、カルボキシル、イソシアナト、エポキシ、アジリジニル、チオ、エステル及びハロゲン化アシル基から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記フルオロケミカルオリゴマーが、1種以上の非フッ素化ポリオールの反応生成物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリジカルボジイミドが、少なくとも1つのイソシアネート基を有し、そして1種以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導された少なくとも2つの繰り返し単位を含む、少なくとも1種のオリゴマーのカルボジイミド化反応から誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記カルボジイミド化反応が、少なくとも1つのイソシアネート基を有する前記オリゴマー以外の1種以上のイソシアネート化合物を更に含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記エチレン系不飽和モノマーが、一般式
Rh−C(R)=CR
(式中、Rhは、H、Cl、又は1つ以上のカテナリー若しくは非カテナリーヘテロ原子を含むことができる炭化水素基を表し、そして、各Rが、同じであるか又は相違しており、H、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル、Cl、若しくはBrを表す。)に相当する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
(C)シロキサン;アクリレート及び置換アクリレートのポリマー及びコポリマー、フッ素化アクリレート、N−メチロールアクリルアミド含有アクリレートポリマー、ウレタン、ブロック化イソシアネート含有ポリマー及びオリゴマー、尿素又はメラミンとホルムアルデヒドとの縮合物又は前縮合物、グリオキサール樹脂、脂肪酸とメラミン又は尿素誘導体との縮合物、脂肪酸とポリアミド及びそれらのエピクロロヒドリン付加物との縮合物、ワックス;ポリエチレン;塩素化ポリエチレン、アルキルケテン二量体、エステル、及びアミド;並びにこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
(C)溶剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
(C)メラミンホルムアルデヒド縮合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、水溶液、分散体、又は懸濁液である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記基材の1つ以上の表面上に、請求項1に記載の組成物の被膜を有する基材を含む、物品。
【請求項21】
前記基材が、硬質基材及び繊維基材からなる群から選択される、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記基材が積層体である、請求項20に記載の物品。
【請求項23】
前記基材の1つ以上の表面上に、請求項1に記載の組成物を適用する工程を含む、基材へ撥液性を付与する方法。
【請求項24】
周囲温度において又は高温において、前記組成物を硬化させることを更に含む、請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2010−530445(P2010−530445A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511379(P2010−511379)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066177
【国際公開番号】WO2008/154421
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】