説明

フルオロキノロンを用いた眼内炎を調節するための組成物及び方法

式I〜VIIIのいずれかを有するフルオロキノロンを含む、眼内炎を調節するための組成物。このような組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、眼内炎を調節するための方法。その組成物及び方法は術後眼内炎、外傷後眼内炎、非感染性眼内炎、全眼球炎、血行性眼内炎又はそれらの組み合わせを調節するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明はフルオロキノロンを用いた眼内炎を調節するための組成物及び方法に関する。さらに、本発明は、眼内炎を生じさせる眼科感染症又は眼感染症を治療又は制御するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体とその環境との界面は大きく、このため、環境中の有毒な病原体が侵入する潜在的な機会が多くある。眼の外部組織はこの界面の一部を構成しており、このため、眼及びその周辺組織も有害微生物に攻撃を受けやすく、その侵入及び無制御な成長によって様々なタイプの眼科感染症を引き起こし、それにより、眼瞼炎、結膜炎又は角膜炎などの炎症をもたらし、もし治療を行わなければ、重大な視力障害をもたらすことがある。眼科感染症を起こす一般的なタイプの微生物は、ウイルス、細菌及び真菌である。これら微生物は目の表面に直接侵入したり、又は、外傷や外科手術を通じて眼球の中に侵入したり、あるいは、全身性疾患の結果として血流又はリンパ系を通して眼に伝達することがある。微生物は目の構造のあらゆる部分(たとえば、結膜、角膜、ブドウ膜、硝子体、網膜、視神経)を攻撃する可能性がある。眼科感染症又は眼感染症によって目の中や目の周囲に激しい痛み、組織の膨張、組織の発赤が起こり、視野がぼやけそして視力が低下する可能性がある。
【0003】
外来性病原体の侵入が始まった直後に身体に元からあるカスケードが活性化される。白血球(好中球、好酸球、好塩基球、単球及びマクロファージ)が感染部位に引き付けられ、貪食を通じてその外来性病原体を排除しようとする。白血球及び感染組織のいくつかの細胞は病原体によって活性化され、炎症促進サイトカイン(たとえば、IL-1β、IL-3、IL-5、IL-6、IL-8、TNF-α(腫瘍壊死因子-α)、GM-CSF(顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子)及びMCP-1(単球走化性タンパク質-1))が合成されて放出される。放出されたこれらサイトカインはさらに多くの免疫細胞を感染部位に引き付け、免疫系の応答を増幅させて宿主を外来性病原体から防御する。たとえば、IL-8及びMCP-1は、それぞれ好中球及び単球にとっての強力な走化性物質であるとともに好中球及び単球の活性化物質であるのに対し、GM-CSFはこれらの細胞の生存期間を長くして他の炎症促進アゴニストに対する応答を増加させる。TNF-αは両方のタイプの細胞を活性化させ、その細胞からのIL-8及びMCP-1の放出をさらに促進させることができる。IL-1及びTNF-αはTリンパ球及びBリンパ球にとっての強力な走化性物質であり、Tリンパ球及びBリンパ球は、活性化されると、外来性病原体に対する抗体を産生する。
【0004】
炎症応答は病原体を感染部位から排除するのに必須であるが、炎症応答が長引いたり又は過剰だったりすると、周囲の組織に損傷を与えることがある。たとえば、炎症によって感染部位の血管が拡張し、その部位への血流が増加する。その結果、拡張した血管は漏洩性になる。炎症が長引くと、漏洩性血管は、周囲の組織に深刻な水腫を引き起こすため、周囲の組織の適切な機能が損なわれる可能性がある(たとえば、V.W.M. van Hinsbergh、Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology、第17巻、1018ページ、1997年を参照されたい)。それに加え、外傷部位にマクロファージが継続して優勢に存在していると、これらの細胞による毒素(たとえば、反応性酸素種)及びマトリックス分解酵素(たとえば、マトリックスメタロプロテイナーゼ)の産生が続く。これらは、病原体及び宿主の組織の両方に損傷を与える。したがって、長引く炎症又は過剰な炎症を制御し、身体への予期しない損傷を制限し、身体の回復プロセスを促進させるべきである。
【0005】
眼内炎は、眼内腔(たとえば、前眼房及び後眼房)及びその周辺組織の炎症である。ほとんどの場合には、細菌、真菌、ウイルス又は寄生虫によって引き起こされることがある感染症がこの炎症の引き金になる。術後眼内炎は最も一般的な種類の眼内炎であり、白内障、緑内障又は網膜外科手術、あるいは、放射状角膜切開の後の細菌感染により起こる。眼内炎に関係する最も一般的な細菌は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である。他のブドウ球菌(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)及びシュードモナス(Pseudomonas)種も眼内炎において見られている。非感染性眼内炎は目に対する刺し傷又は白内障手術の後の元の材料が残存することが原因であることがある。血行性眼内炎は感染が血流によって拡がりそして眼で定着することにより生じる。眼内炎は早期に治療を行わないと、失明をもたらすことがある。
【0006】
グルココルチコイド(本明細書中、「コルチコステロイド」とも呼ぶ)は、広い範囲の炎症性疾患(たとえば、急性の炎症)に対する最も有効な臨床的治療手段の1つである。しかし、ステロイド薬には、患者の全体的な健康を脅かす副作用が存在する可能性がある。
【0007】
ある種のグルココルチコイドは、このクラスの他の化合物よりも眼内圧(“IOP”)を上昇させる可能性が大きいことが知られている。たとえば、非常に強力な眼科抗炎症剤であるプレドニゾロンは、眼科抗炎症活性が中程度のフルオロメトロンよりもIOPを上昇させる傾向が大きいことが知られている。グルココルチコイドを目に局所的に用いることに伴うIOP上昇のリスクは時間経過とともに大きくなることも知られている。言い換えるならば、このような薬剤を持続的に(すなわち、長期にわたり)使用することにより、IOPが有意に上昇するリスクが増大する。数週間程度の短期治療が必要である、眼球前区の外側表面の物理的な外傷又は感染症に伴う急性の眼科炎症とは異なり、後眼房部分の感染症及び炎症は長期間、一般に数ヶ月以上の期間にわたる治療を必要とすることがある。このコルチコステロイドを継続的に使用することによって、IOPの有意な上昇のリスクが増大する。それに加え、コルチコステロイドを使用すると、用量及び期間に依存して白内障が形成されるリスクが増大することも知られている。いったん、白内障が発現すると、コルチコステロイド療法を中断しても進行していく可能性がある。
【0008】
グルココルチコイドを長期にわたって投与すると、腸でのカルシウム吸収が抑制されて骨の形成が阻害されることにより、薬剤誘発性の骨粗鬆症になる可能性もある。グルココルチコイドの長期投与による好ましくない他の副作用として、その薬が身体の代謝プロセスに効果を及ぼすことが原因の高血圧、高血糖症、高脂血症(トリグリセリドのレベル上昇)、高コレステロール血症(コレステロールのレベル上昇)などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、眼内炎を調節するための改良された医薬化合物、組成物及び方法を提供することが継続的に必要とされている。また、眼内炎を引き起こす感染症を治療し又は制御するための医薬化合物、組成物及び方法を提供することも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
一般に、本発明はフルオロキノロンを用いた眼内炎を調節するための組成物及び方法を提供する。
1つの態様において、本発明は新規のフルオロキノロンを用いた眼内炎を調節するための組成物及び方法を提供する。
【0011】
別の態様において、その眼内炎は術後眼内炎、外傷後眼内炎、非感染性眼内炎、全眼球炎、血行性眼内炎及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。全眼球炎は眼内構造を含む眼の全ての被膜の炎症である。
【0012】
別の態様において、本発明は式Iを有するフルオロキノロン又はその塩を含む組成物、及び、式Iを有するフルオロキノロン又はその塩を用いた眼内炎を調節するための方法を提供する。
【化1】

【0013】
上式中、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換アミノ基、及び、1個又は2個の低級アルキル基により置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、未置換C〜C24アリールオキシ基、置換C〜C24アリールオキシ基、未置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Xはハロゲン原子からなる群より選ばれ、YはCH、O、S、SO、SO及びNRからなる群より選ばれ、ここで、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれ、そしてZは酸素及び2個の水素原子からなる群より選ばれる。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、式Iのフルオロキノロン又はその塩を用いて、対象に、眼内炎をもたらす可能性がある感染症を治療し又は制御するための組成物及び方法を提供する。
【0015】
さらに別の態様において、このような眼内炎は細菌、ウイルス、真菌又は原生動物による感染症から生じる。
【0016】
さらに別の態様において、このような眼内炎は眼に対する物理的損傷又は外傷から生じる。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は対象における眼内炎を調節するための方法を提供する。この方法は、その眼内炎を調節するために有効な量の式Iのフルオロキノロン又はその塩を、対象に対して投与することを含む。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は対象における眼内炎を調節するための方法を提供する。この方法は、その眼内炎を調節するために有効な量の式Iのフルオロキノロン又はその塩を、対象に対して局所又は眼内投与することを含む。
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明及び特許請求の範囲ならびに添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1−1】モキシフロキサシン及び式IVの化合物(BOL−303224−A)がTHP−1単球においてLPS刺激によるGM−CSF、IL−1β及びIL−8、IP−10、MCP−1及びMIP−1α産生に及ぼす効果を示している。
【図1−2】モキシフロキサシン及び式IVの化合物(BOL−303224−A)がTHP−1単球においてLPS刺激によるGM−CSF、IL−1β及びIL−8、IP−10、MCP−1及びMIP−1α産生に及ぼす効果を示している。
【図1−3】モキシフロキサシン及び式IVの化合物(BOL−303224−A)がTHP−1単球においてLPS刺激によるGM−CSF、IL−1β及びIL−8、IP−10、MCP−1及びMIP−1α産生に及ぼす効果を示している。
【図1−4】モキシフロキサシン及び式IVの化合物(BOL−303224−A)がTHP−1単球においてLPS刺激によるGM−CSF、IL−1β及びIL−8、IP−10、MCP−1及びMIP−1α産生に及ぼす効果を示している。
【図1−5】モキシフロキサシン及び式IVの化合物(BOL−303224−A)がTHP−1単球においてLPS刺激によるGM−CSF、IL−1β及びIL−8、IP−10、MCP−1及びMIP−1α産生に及ぼす効果を示している。
【図1−6】モキシフロキサシン及び式IVの化合物(BOL−303224−A)がTHP−1単球においてLPS刺激によるGM−CSF、IL−1β及びIL−8、IP−10、MCP−1及びMIP−1α産生に及ぼす効果を示している。
【図2−1】モキシフロキサシン及び式IVの化合物がTHP−1単球においてLPS刺激によるG−CSF、IL−1α、IL−1ra、IL−6及びVEGF産生に及ぼす効果を示している。
【図2−2】モキシフロキサシン及び式IVの化合物がTHP−1単球においてLPS刺激によるG−CSF、IL−1α、IL−1ra、IL−6及びVEGF産生に及ぼす効果を示している。
【図2−3】モキシフロキサシン及び式IVの化合物がTHP−1単球においてLPS刺激によるG−CSF、IL−1α、IL−1ra、IL−6及びVEGF産生に及ぼす効果を示している。
【図2−4】モキシフロキサシン及び式IVの化合物がTHP−1単球においてLPS刺激によるG−CSF、IL−1α、IL−1ra、IL−6及びVEGF産生に及ぼす効果を示している。
【図2−5】モキシフロキサシン及び式IVの化合物がTHP−1単球においてLPS刺激によるG−CSF、IL−1α、IL−1ra、IL−6及びVEGF産生に及ぼす効果を示している。
【図3】モキシフロキサシン及び式IVの化合物がTHP−1単球においてLPS刺激によるIL−12p40産生に及ぼす効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書中に使用される際に、用語「制御」とは、低減、緩和、改善及び阻止を含む。
【0022】
本明細書中で使用する際に、「低級アルキル」又は「低級アルキル基」という用語は、C〜C15の直鎖又は枝分かれ鎖の1価の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。この基は置換されていなくても、又は、置換されていてもよい。この基は、一部または全部をハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)で置換することができる。低級アルキル基の制限しない例として、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)などがある。低級アルキル基は“Alk”と略記することができる。好ましくは、低級アルキル基は1〜10個の炭素原子を含む。より好ましくは、低級アルキル基は1〜5個の炭素原子を含む。
【0023】
本明細書中で使用する際に、「低級アルコキシ」又は「低級アルコキシ基」という用語は、C〜C15の直鎖又は枝分かれ鎖の1価の飽和脂肪族アルコキシ基を意味する。この基は置換されていなくても、又は、置換されていてもよい。この基は、一部または全部をハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)で置換することができる。低級アルコキシ基の制限しない例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n−ブトキシ、n−ペントキシ、t−ブトキシなどがある。好ましくは、低級アルコキシ基は1〜10個の炭素原子を含む。より好ましくは、低級アルコキシ基は1〜5個の炭素原子を含む。
【0024】
「シクロアルキル」又は「シクロアルキル基」という用語は、炭素原子と水素原子だけからなる3〜15員で単環又は多環の1価の安定な飽和脂肪族基を意味する。この基は、縮合又は橋かけした1つ以上の環を含んでいてもよく、その環は、3〜7員の単環式環であることが好ましい。シクロアルキル基の別の例示の態様は7〜10員二環式環である。特に断らない限り、シクロアルキル環は安定な構造となる任意の適切な炭素原子に結合することができ、また、もし置換される場合には、安定な構造となる任意の適切な炭素原子の位置での置換が可能である。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニル、アダマンチル、テトラヒドロナフチル(テトラリン)、1−デカリニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなどが挙げられる。
【0025】
本明細書中で使用される際に、「アリール」又は「アリール基」という用語は1価又は2価の芳香族炭素環基を意味する。ある実施形態において、アリール基は、炭素原子が5〜24個で、単環のもの(たとえば、フェニル又はフェニレン)、複数の縮合環のもの(たとえば、ナフチル又はアントラニル)、又は、橋かけした複数の環のもの(たとえば、ビフェニル)である。特に断わらない限り、アリール環は安定な構造となる任意の適切な炭素原子に結合することができ、そして、もし置換される場合には、安定な構造となる任意の適切な炭素原子の位置での置換が可能である。アリール基の制限しない例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、インデニル、ビフェニルなどが挙げられる。アリール基は“Ar”と略記することができる。好ましくは、アリール基は5〜14個の炭素原子を含む。より好ましくは、アリール基は5〜10個の炭素原子を含む。
【0026】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロアリール基」という用語は、単環又は多環の1価又は2価の安定な芳香族基を意味する。この基は1つ以上の縮合環又は橋かけした環を含むことができる。ある実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜24員の、好ましくは5〜7員の単環式基を有するか、又は、7〜10員の二環式基を有する。ヘテロアリール基は、環の中に、窒素、酸素及び硫黄の中から独立に選択された1〜4個のヘテロ原子を含むことができる。その場合、どの硫黄ヘテロ原子も、場合によって酸化されていてよく、また、どの窒素ヘテロ原子も、場合によって酸化されていてよく又は第四級化されていてよい。特に断わらない限り、ヘテロアリール環は安定な構造となる任意の適切なヘテロ原子又は炭素原子に結合することができ、また、もし置換される場合には、安定な構造となる任意の適切なヘテロ原子又は炭素原子の位置での置換が可能である。ヘテロアリールの制限しない例として、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、アザインドリル、ジアザインドリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロアザインドリル、イソインドリル、アザイソインドリル、ベンゾフラニル、フラノピリジニル、フラノピリミジニル、フラノピラジニル、フラノピリダジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロフラノピリジニル、ジヒドロフラノピリミジニル、ベンゾチエニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、チエノピラジニル、チエノピリダジニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロチエノピリジニル、ジヒドロチエノピリミジニル、インダゾリル、アザインダゾリル、ジアザインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリミジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、オキサゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、ベンゾイソオキサゾリル、プリニル、クロマニル、アザクロマニル、キノリジニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、シンノリニル、アザシンノリニル、フタラジニル、アザフタラジニル、キナゾリニル、アザキナゾリニル、キノキサリニル、アザキノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロナフチリジニル、テトラヒドロナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどが挙げられる。
【0027】
グルココルチコイド(“GC”)は、アレルギー性及び慢性の炎症疾患の治療、又は感染症の結果として起こる炎症の治療に使用される最も強力な薬の1つである。しかし、上記に説明したように、GCを用いて長期の治療を行なうと、数多くの好ましくない副作用(たとえば、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧、緑内障又は白内障)が生じることがしばしばある。これらの副作用は、他の生理学的な兆候と同様、これらの疾患にとって重要な遺伝子が異常に発現した結果である。過去10年間の研究から、GCに応答する遺伝子の発現に対するGCを媒介とした作用の分子的な基礎に関する重要な見識が得られた。GCは、細胞質GC受容体(“GR”)に結合することによって遺伝子への効果のほとんどを及ぼす。GCがGRに結合すると、GC-GR複合体が細胞核に移動することが誘導され、そこで正の調節モード(トランス活性化)又は負の調節モード(トランス抑制)によって遺伝子の転写が変化する。GCを用いた治療の好ましい効果及び望ましくない効果の両方は、これら2つのメカニズムの発現レベルが分化していない結果である、言い換えるならば、同様のレベルの有効性を示す結果であるという証拠が増えている。慢性の炎症性疾患におけるGCの作用の最も重要な側面を確認することはまだできていないが、GCがサイトカインの合成を抑制する効果が特に重要であるらしい証拠が存在している。GCは、トランス抑制メカニズムを通じ、炎症性疾患に関係するいくつかのサイトカイン(たとえば、IL-1β(インターロイキン-1β)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-11、TNF-α(腫瘍壊死因子α)、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子))、及び、炎症細胞を炎症部位に引き付けるケモカイン(たとえば、IL-8、RANTES、MCP-1(単球走化性タンパク質-1)、MCP-3、MCP-4、MIP-1α(マクロファージ-炎症性タンパク質1α)、エオタキシン)の転写を抑制する。P.J. Barnes、Clin. Sci.、第94巻、557〜572ページ、1998年。その一方で、NF-κB炎症促進転写因子に対して抑制作用を有するタンパク質であるIκBキナーゼの合成がGCによって増大するという説得力のある証拠が存在している。この炎症促進転写因子は、多くの炎症性タンパク質(たとえば、サイトカイン、炎症性酵素、接着分子及び炎症性受容体)をコードしている遺伝子の発現を調節する。S. Wissink他、Mol. Endocrinol、第12巻、第3号、354〜363ページ、1998年;P.J. Barnes及びM. Karin、New Engl. J. Med.、第336巻、1066〜1077ページ、1997年。したがって、GCのトランス抑制及びトランス活性化の機能がさまざまな遺伝子に向かうことで炎症抑制の好ましい効果が生じる。その一方で、ステロイドによって誘発される糖尿病及び緑内障は、GCがこれらの疾患にとって重要な遺伝子にトランス活性化作用を及ぼすことによって発生するようである。H. Schacke他、Pharmacol. Ther.、第96巻、23〜43ページ、2002年。したがって、GCによる特定の遺伝子のトランス活性化で好ましい効果が得られる一方で、同じGCによる別の遺伝子のトランス活性化で望ましくない副作用が発生する可能性がある。したがって、GC療法の望ましくない副作用を起こすことのない、炎症を調節するための組成物及び方法を提供することが非常に望ましい。
【0028】
一般に、本発明は、フルオロキノロンを用いた眼内炎を調節するための医薬品化合物、組成物及び方法を提供する。
【0029】
1つの態様において、本発明は新規のフルオロキノロンを用いた眼内炎を調節するための組成物及び方法を提供する。
【0030】
別の態様において、このような眼内炎は、術後眼内炎、外傷後眼内炎、非感染性眼内炎、全眼球炎、血行性眼内炎及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0031】
別の態様において、本発明は、式Iのフルオロキノロン又はその塩を含む組成物及び式Iのフルオロキノロン又はその塩を用いた眼内炎を調節するための方法を提供する。
【化2】

【0032】
上式中、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換アミノ基、及び、1個又は2個の低級アルキル基により置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、未置換C〜C24アリールオキシ基、置換C〜C24アリールオキシ基、未置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Xはハロゲン原子からなる群より選ばれ、YはCH、O、S、SO、SO及びNRからなる群より選ばれ、ここで、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれ、そしてZは酸素及び2個の水素原子からなる群より選ばれる。
【0033】
さらに別の態様において、眼内炎を調節するための本発明の組成物は式IIを有するフルオロキノロン又はその塩の群のものを含む。
【化3】

【0034】
式中、R、R、X、Y及びZは上記のとおりの意味であり、また、炎症を調節するための本発明の方法はこのようなフルオロキノロンを用いる。
【0035】
さらに別の態様において、本発明は、式IもしくはIIのフルオロキノロン又はその塩を含む組成物、及び、式IもしくはIIのフルオロキノロン又はその塩を用いた、対象において、眼内炎を治療し又は制御し、又は、このような眼内炎を引き起こす原因となる感染症を治療し又は制御するための方法を提供する。
【0036】
1つの態様において、Rは水素、C〜C(又は、C〜C)置換及び未置換アルキル基、C〜C10(又は、C〜C)シクロアルキル基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換アリール基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換ヘテロアリール基、ならびに、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれる。1つの実施形態において、RはC〜C(又はC〜C)置換及び未置換アルキル基からなる群より選ばれる。
【0037】
別の態様において、Rは、未置換アミノ基、及び、1又は2個のC〜C(又は、C〜C)アルキル基によって置換されたアミノ基からなる群より選ばれる。
【0038】
さらに別の態様において、Rは水素、C〜C(又は、C〜C)置換及び未置換アルキル基、C〜C10(又は、C〜C)シクロアルキル基、C〜C(又は、C〜C)置換及び未置換アルコキシ基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換アリール基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換ヘテロアリール基、及び、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換アリールオキシ基からなる群より選ばれる。1つの実施形態において、RはC〜C10(又はC〜C)シクロアルキル基からなる群より選ばれる。
【0039】
さらに別の態様において、XはCl、F及びBrからなる群より選ばれる。1つの実施形態において、XはClである。別の実施形態において、XはFである。
【0040】
さらに別の態様において、YはCHである。さらに別の態様において、Zは2個の水素原子を含む。
【0041】
さらに別の態様において、YはNHであり、ZはOであり、XはClである。
【0042】
さらに別の態様において、本発明の組成物は医薬上許容されるキャリアをさらに含む。
【0043】
式Iを有する化合物の群で幾つかの制限しない例を表1に示す。表1に示していない群の他の化合物も選ばれる状況において適切である。
【0044】
【表1】

【0045】
1つの実施形態において、本発明の組成物中に含まれ、そして本発明の方法で使用されるフルオロキノロンカルボン酸は式IIIを有する。
【化4】

【0046】
別の実施形態において、本発明の組成物中に含まれ、そして本発明の方法で使用されるフルオロキノロンカルボン酸は式IV、V又はVIを有する。
【化5】

【0047】
さらに別の態様において、本発明の組成物中に含まれ、そして本発明の方法で使用されるフルオロキノロンカルボン酸は式VII又はVIIIを有する。
【化6】

【0048】
さらに別の態様において、本発明の組成物は式I、II又はIIIを有する化合物のいずれかのエナンチオマーを含み、そして本発明の方法は1つ以上のこのような化合物を用いる。
【0049】
さらに別の態様において、本発明の組成物は式I、II又はIIIを有する化合物のいずれかのエナンチオマーの混合物を含み、そして本発明の方法はこのような混合物を用いる。
【0050】
本明細書中に開示されるフルオロキノロンは米国特許第5,447,926号明細書及び第5,385,900号明細書に記載された方法によって製造することができ、これらの米国特許明細書を参照により本明細書中に取り込む。
【0051】
さらに別の態様において、本発明は、対象において、眼内炎を調節するための方法を提供する。この方法はその眼内炎を調節するために有効な量の式I、II、III、IV、V、VI、VIIもしくはVIIIを有するフルオロキノロン又はその塩を対象に投与することを含む。
【0052】
さらに別の態様において、本発明は、対象において、眼内炎又はその眼内炎を引き起こす感染症を治療し又は制御するための方法を提供する。この方法は眼内炎又はその眼内炎を治療し又は制御するために有効な量の式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロン又はその塩を対象に投与することを含む。
【0053】
さらに別の態様において、このような感染症は細菌、ウイルス、真菌、原生動物又はそれらの組み合わせにより引き起こされる。
【0054】
さらに別の態様において、本発明は眼科外科手術に伴う炎症応答を調節するための組成物及び方法を提供し、このような組成物は式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロンのいずれかを含み、そしてこのような方法はこのような組成物を使用する。このような眼科外科手術の制限しない例として、白内障手術、緑内障手術、網膜手術及び放射状角膜切開が挙げられる。
【0055】
さらに別の態様において、本発明は眼内炎又はその眼内炎を引き起こす感染症を治療し又は制御するための組成物、及び、対象において、眼内炎又はその眼内炎を引き起こす感染症を治療し又は制御するための方法を提供し、その組成物及び方法は、前記眼内炎を治療し又は制御するために使用される少なくとも1種の従来技術のグルココルチコイドを含む組成物の場合よりも、少なくとも1つの好ましくない副作用のレベルを低下させる。
【0056】
1つの態様において、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用のレベルはインビボ又はインビトロで決定される。たとえば、少なくとも1つの好ましくない副作用のレベルは、細胞培養を行い、そしてその副作用に関連するバイオマーカーのレベルを測定することによってインビトロで決定される。このようなバイオマーカーとしては、タンパク質(たとえば、酵素)、脂質、糖類及びその誘導体であって、好ましくない副作用を引き起こす生化学的カスケードに参加するか又は生化学的カスケードの生成物であるものが挙げられる。代表的なインビトロ試験法はさらに後述する。
【0057】
さらに別の態様において、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用は緑内障、白内障、高血圧症、高血糖症、高脂血症(トリグリセリドのレベルの上昇)、及び高コレステロール血症(コレステロールのレベルの上昇)からなる群より選ばれる。
【0058】
別の実施形態において、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用のレベルは、上記の組成物を上記の対象に最初に投与しそしてその対象の中に存在するようになってから約1日後に決定される。別の実施形態において、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用のレベルは、上記の組成物を上記の対象に最初に投与しそしてその対象の中に存在するようになってから約14日後に決定される。さらに別の実施形態において、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用のレベルは、上記の組成物を上記の対象に最初に投与しそしてその対象の中に存在するようになってから約30日後に決定される。又は、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用のレベルは、上記の組成物を上記の対象に最初に投与しそしてその対象の中に存在するようになってから約2、3、4、5又は6ヶ月後に決定される。
【0059】
別の態様において、同一の病状を治療し、制御し、低減し、又は寛解するために用いる上記の少なくとも1つの従来技術のグルココルチコイドは、上記の病状に対して本発明の組成物と同様の有益な効果をほぼ同一の時間の経過後に及ぼすために十分な投与量及び頻度で対象に投与される。
【0060】
さらに別の態様において、上記の少なくとも1つの従来技術のグルココルチコイドは、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベータメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタルネート、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フラン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、25−ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、これらの生理学的に許容される塩、これらの組み合わせ、及び、これらの混合物からなる群より選ばれる。1つの実施形態において、少なくとも1つの従来技術のグルココルチコイドはデキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メドリゾン、トリアムシノロン、エタボン酸ロテプレドノール、これらの生理学的に許容される塩、これらの組み合わせ、及び、これらの混合物からなる群より選ばれる。別の実施形態では、上記の少なくとも1つの従来技術のグルココルチコイドは、眼科用として許容できる。
【0061】
試験:式IVを有する化合物及びモキシフロキサシンによるヒトTHP−1単球におけるLPS−誘導サイトカイン発生の阻害
【0062】
実験方法
ヒトTHP−1単球(ATCC TIB 202)をAmerican Type Culture Collection (Manassas, Virginia)から購入し、37℃で、5%COを含むインキュベータ中、10%ウシ胎仔血清(「FBS」、Invitrogen, Carlsbad, California)、100U/mLのペニシリン(Invitrogen, Carlsbad, California)及び100μg/mLのストレプトマイシン(Invitrogen, Carlsbad, California)を補充しているRPMI 1640培地(Invitrogen, Carlsbad, California)中に保持した。10%の透析された血清を含むRPMI 1640培地中で24時間THP−1細胞を予備培養した。24ウェルプレート中、2%の透析された血清(Hyclone, Loga, Utahから購入)を含むRPMI 1640培地中に細胞を撒き、ビヒクル(DMSO、ジメチルスルホキシド)、10μg/mLのLPS(Sigma Aldrich, St. Louis, Missouri)、0.1、1、10又は30μg/mLのモキシフロキサシン(Neuland Laboratories, Hyderabad, India)、0.1、1、10又は30μg/mLの式IVを有する化合物(本明細書中「BOL−303224−A」とも呼ぶ。Bausch & Lomb Incorporated, Rochester, New York)、10μg/mLのLPS+0.1、1、10又は30μg/mLのモキシフロキサシン、又は、10μg/mLのLPS+0.1、1、10又は30μg/mLの式IVの化合物で16時間処理した。各処理は3回行った。
【0063】
マルチプレックスルミネックス(Multiplex Luminex)
イミュノアッセイのための固体支持体として微小球群を用い、各サンプルからの全てのサイトカインの分析が可能である、マルチプレックスビーズ技術を用いて、サンプルを分析した(D.A. Vignali, J. Immunol. Methods, Vol. 243, 243-255 (2000))。製造者の指示に従って16種類のサイトカインを測定した。簡単に述べると、50μLの培地サンプルを抗体被覆捕獲ビーズとともに4℃で一晩インキュベートした。洗浄したビーズを、ビオチンラベルした抗ヒトサイトカイン抗体とともに室温で2時間インキュベートし、次いで、ストレプトアビジン−フィコエリトリンとともに30分間インキュベートした。ルミネックス(Luminex)200(登録商標)(Luminex, Austin, Texas)及びビーズビュー(Beadview)ソフトウエアv1.0(Upstate Cell Signaling Solution, Temecula, California)を用いてサンプルを分析した。リコンビナントヒトサイトカインの既知濃度の標準曲線を用いて、蛍光単位(メジアン蛍光強度)をpg/mLでのサイトカイン濃度に変換した。標準曲線の直線部分のみを用いてサイトカイン濃度を定量化した。また、蛍光読み値が標準曲線の直線範囲を超えている場合には、適切な希釈を行い、濃度が曲線の直線部分に確実に入るようにした。
【0064】
細胞代謝機能
細胞代謝能力をアラマーブルーアッセイ(AlamarBlue assay) (J. O'Brienら, FEBS J., Vol. 267, 5421-5426 (2000))によって決定した。簡単に述べると、培地を取り出した後に、細胞を1:10希釈アラマーブルー溶液(AlamarBlue solution) (Biosource, Camarillo, California)とともに37℃で3時間、5%COを含む湿潤化インキュベータ中においてインキュベートした。プレートを530〜590nmでの励起及び590nmでの発光で蛍光定量的に読んだ。相対蛍光単位(RFU)を用いて細胞生存能を決定した。
【0065】
データ分析及び統計
全てのサイトカイン濃度(pg/mL)を平均±標準偏差として表現した。ビヒクル対照又はLPS処理を参照として用いたDunett多重比較試験による一元配置分散分析(one-way ANOVA)を用いてグループ間での処理の効果を比較する統計的分析を行った。全てのアッセイについて、p≦0.05が統計的有意性の基準と予め決めておいた。
【0066】
結果
アラマーブルーアッセイによって測定したときに、どの場合にも、処理によって細胞代謝活性に対する統計的に有意な効果を生じなかった(データは示していない)。これらの様々な処理グループから培地中のサイトカインレベルを決定する研究の総合的な結果を表2に示す。アッセイ中、16種のサイトカインのうち14種、影響を受けたEGF及びIL−7を除く全てのサイトカインについて、THP−1単球から培地中で実質的なレベルが検知可能であった。THP−1単球を10μg/mLのLPSに18時間暴露すると、14種の検知可能なサイトカインのうちの13種について有意な増加となった。THP単球培地中のVEGFの量も増加したが、その増加は統計的有意性には達していなかった。
【0067】
【表2】

【0068】
モキシフロキサシン及び式IVを有する化合物の両方は、THP−1単球におけるLPS−誘導サイトカイン産生を有意に阻害した。モキシフロキサシンに関し、有意な阻害効果は、IL-12p40については1μg/mLで、IL-1ra及びIL-6については10μg/mLで、G-CSF、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-8、IP-10及びMIP-1αについては30μg/mLで観測された(表1)。式IVを有する化合物に関し、有意な阻害効果は、IL-1αについては0.1μg/mLで、G-CSF、IL-1ra及びIL-6については1μg/mLで、GM-CSF、IL-12p40、IL-1β、IL-1ra、IL-8、IP-10、MCP-1及びMIP-1αについては30μg/mLで観測された(表2)。モキシフロキサシン及び式IVを有する化合物の両方とも、RANTES又はフラクタルカインのLPS−刺激産生を変更しなかった。
【0069】
この研究で検知されたサイトカインは4つの異なる応答グループに分類することが可能であった。第一のグループはこれらのフルオロキノロンが有意な効果を有しないサイトカインを含む(RANTES又はフラクタルカイン)。第二のサイトカインのグループはGM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1及びMIP-1αを含む。これらのサイトカインでは、モキシフロキサシン及び式IVを有する化合物(図中、BOL−303224−Aとして示す)の両方がLPS刺激後に同等の効果を有する(図1)。第三のサイトカインのグループはG-CSF、IL-1α、IL-1ra、IL-6及びVEGFを含み、それは式IVを有する化合物がモキシフロキサシンよりも良好な効力を有することを示した(図2)。最後に、第四のサイトカインのグループは、モキシフロキサシンが式IVを有する化合物よりも高い効力を有するものであり、それはIL-12p40のみからなる(図3)。
【0070】
式IVを有する化合物では、非常に低い濃度で有意なサイトカイン阻害効果が観測された。たとえば、式IVを有する化合物の有意な阻害効果はIL-1αに対して100ng/mL、G-CSF、IL-1ra及びIL-6に対して1000ng/mLという低い濃度で観測された。これらの濃度は局所投与による眼科用濃度で予測される濃度を大きく下回るものである(K. W. Wardら, J. Ocul. Pharmacol. Ther., Vol. 23, 243-256 (2007))。それゆえ、このサイトカイン阻害プロファイルによる臨床的利益を得ることが可能である。
【0071】
試験2:ニュージーランドホワイトラビットでの予防投与的眼内炎モデルにおける4つの抗生物質製剤の効力評価
イントロダクション
この研究の目的はニュージーランドホワイトラビットで細菌性眼内炎を治療する際の4つの抗生物質製剤の効力を評価することである。
【0072】
材料及び方法
試験製品
この研究では4つの抗生物質製剤を用い、それらを下記に特定する。
・BOL-303224-A (0.6%懸濁液)
・Quixin (登録商標)(0.5%レボフロキサシン)
・Vigamox(登録商標) (0.5%モキシフロキサシン)
・Zymar(登録商標) (0.3%ガチフロキサシン)
【0073】
試験製品は室温で貯蔵し、供給されたままの状態で使用した。材料安全データシート(MSDS)又は関連性のある安全情報を含む添付文書を各試験製品について提供した。負の対照品として生理食塩水を使用し、抗生物質製剤と同様に投与した。試験及び対照品のさらなる情報を表3に示す。
【0074】
【表3】

【0075】
細菌接種材料
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (S. aureus)、基準(strain)ATCC 33591 (MicroBiologics Power(登録商標) Microorganisms, Lot No. 496431, exp. 01/09, 計数/ペレット: 2.6 x 108)を細菌性眼内炎の誘発に用いた。S. aureusは親油化ペレットとして供給され、そして水和の前に冷蔵(2〜8℃)貯蔵した。S. aureusとともにMSDSを供給した。緩衝水(APHA)(Remel Corp., Lot No. 472492, exp. 9/11/07, Lot No. 540843, exp. 4/18/08)を水和流体として使用した。平衡塩類溶液(BSS)(B. Braun Medical, Lot No. J6N011, exp. 10/08)を接種用S. aureus懸濁液の調製のために用いた。
【0076】
S. aureusの懸濁液を下記のとおりに各々の接種日に調製した。
親油化S. aureusペレット及び水和流体を室温とした。殺菌したピンセットを用いて2つから3つのペレットをバイアル中の水和流体10mL中に入れた。バイアルに蓋をし、34〜38℃で30分間インキュベートし、完全な水和を確保した。インキュベーション後に、水和済み材料をボルテックスして均質懸濁液を得て、また、微生物の均一な分散を達成した。この懸濁液を調製日に接種材料として使用した。
【0077】
コロニー形成単位(CFU)のための各接種材料を以下のとおりに示す。
一連の1:10(初期体積:最終体積)希釈物をBSSで調製し、トリプシンダイズ寒天(TSA)とともに希釈物の注入プレート(1mL/プレート)を複数製造した。プレートを30〜35℃で29〜47時間インキュベートし、次いで、計数した。得られた接種材料の濃度は3.5×10CFU/mL(グループA〜C)、2.9×10CFU/mL(グループD〜F)、そして3.3×10CFU/mL(グループG〜I)であった。
【0078】
各接種材料の投与体積(25μL)を以下のとおりに示す。
0.025mLの接種材料を9.975mLのBSSに入れた。一連の1:10希釈物をBSSで調製し、TSAとともに希釈物の注入プレート(1mL/プレート)を複数製造した。プレートを30〜35℃で29〜47時間インキュベートし、次いで、計数した。得られた接種材料の濃度は2.5×10CFU/投与(グループA〜C)、7.5×10CFU/投与(グループD〜F)、そして4.1×10CFU/投与(グループG〜I)であった。
【0079】
接種材料の計数の際に以下のプロトコールからの変更を行った。最初の希釈では、0.025mLの接種材料を9.975mLのBSSに入れた。プロトコールは1.0mLの接種材料を1.45mLのBSSに入れることを規定していた。調製したプレートを30〜35℃でインキュベートした。プロトコールはプレートを34〜38℃でインキュベートすることを規定していた。これらの変更は研究結果に影響を与えなかった。
【0080】
試験システム
動物
51羽の雌のニュージーランドホワイトラビットをThe Rabbit Source (Ramona, California)から得た。動物は、投与時に、生後9〜15週間であり、1.6〜2.5kgであった。プロトコールは投与時に少なくとも2.0〜3.0kgであることを規定していたが、グループD〜Fの8羽の動物は2.0kg未満であった。この変更は研究結果に影響を与えなかった。動物は耳タグ及びケージカードで特定した。
【0081】
動物の管理
到着時に、動物が確実に健康であることを調べ、研究に付す前に10日間隔離した。隔離期間の最後に、再び、動物の全般的な健康状態を調べ、そして解剖学的な眼異常を調べた。
【0082】
動物を個別のつり下げ式ステンレススチールケージに収容した。内部操作手順にしたがって収容及び衛生管理を行った。
【0083】
動物に、テクラド認証グローバル高繊維ラビット食(Teklad Certified Global High Fiber Rabbit Diet)を毎日与えた。この食事の認証及び分析は供給元であるHarland Tekladによって提供されたものであった。製造者により提供された分析以外の分析は行わなかった。動物には自由摂取状態で水道水を与えた。水には汚染物が存在していなかったことが判っており、地方水道局が提供している分析及び内部操作手順に規定される分析以外の追加の分析は行わなわなかった。環境パラメータを内部操作手順に従ってモニターした。研究室温は70〜73°Fであり、57〜86%相対湿度であった。
【0084】
処理前検査
研究に入る前に、各動物に処理前眼科検査を行った(スリットランプ及び間接検眼)。McDonald Shadduckシステムに従って観測結果をスコアリングし、標準化データ回収シートを用いて記録した。研究に入る際の許容基準は以下のとおりであった:結膜うっ血及び結膜膨張についてはスコア<1、瞳孔応答についてはスコア0又は3(瞳孔応答が正常であるか(スコア=0)又は瞳孔が検眼前の散瞳薬で拡張されている(スコア=3)であることを示す)、他の全ての観察変数についてスコアが0である。
【0085】
処理グループ
処理グループを表T2−1に記載する。研究は3つのフェーズで以下の通りに行った。
グループA〜C(BOL-303224-A、Zymar(登録商標)及び生理食塩水)の動物を最初に接種した。グループD〜F(Quixin(登録商標)、Vigamox(登録商標)及び未処理)の動物を8日後に接種し、グループG〜I(Quixin(登録商標)、Vigamox(登録商標)及び生理食塩水)の動物を最初のグループから33日後に接種した。
【0086】
各フェーズでの処理の前に、動物を重量計量し、以下の1つの例外を除いて処理を予定しているグループにランダムに割り当てた:最初のグループを接種した8日後に、動物をグループD及びE(Quixin(登録商標)及びVigamox(登録商標))にランダムに割り当てた後に、グループFの動物(未処理対照)を研究に追加した。プロトコールは動物を重量計量し、各フェーズでの処理グループにランダムに割り当てることを指示していた。グループFの動物の体重はグループD及びEの動物の体重と同様であったので、この変更は研究結果に影響を及ぼさなかった。変更ラテン方格法によって動物を処理グループにランダムに割り当てた。
【0087】
抗生物質投与
グループA〜E及びグループG〜Iの動物の右目を、前房内接種の前及び後に、適切な製品(抗生物質又は生理食塩水)で処理した。50μL/投与の体積でポジティブ変位ピペットによって製品を局所投与した。各右目は、接種前に15分間隔で(−60分、−45分、−30分及び−15分)、4回の製品投与を受け、接種後に6時間の間隔で(接種直後、6時間、12時間、18時間及び24時間)、5回の製品投与を受けた。各投与時間を記録した。グループFの動物の右目は接種の前及び後で未処理のままであった。
【0088】
プロトコールは抗生物質又は生理食塩水の投与を以下の時間範囲で行うことを規定していた:接種前の間隔±3分、接種直後(範囲なし)、及び、接種6時間以上の経過後の間隔±5分。幾つかの間隔の実際の時間範囲は規定されているよりも長かった。ほとんどの投与は以下の範囲にあった:接種前の間隔±4分、接種直後〜接種後5分、接種6時間及び24時間経過後の間隔±5分、及び、接種12時間及び18時間後の間隔±30分。接種前と接種直後の投与間隔については、時間範囲は若干長くなっていた。というのは、無菌状態を維持するために接種及び抗生物質の投与を異なる人間によって別々の部屋で行ったからである。投与時間範囲の変更は研究結果に対する明らかな効果を与えなかった。
【0089】
絶食
グループA〜E及びグループG〜Iの動物は前房内投与の少なくとも1時間前に絶食を行った。絶食の開始時刻と前房内投与時刻を記録した。グループFの動物は投与前に絶食させなかった。プロトコールは全ての動物が前房内投与の少なくとも2時間に絶食を行うことを規定していた。この変更は研究結果に影響を与えなかった。
【0090】
麻酔
前房内投与の前に、動物を重量計量し、0.1mg/kgの投与量でケタミン/キシラジンカクテル(77mg/mLケタミン、23mg/mLキシラジン)の静脈注射によって麻酔をかけた。
【0091】
眼の調製
前房内投与の前に塩酸プロパラカイン0.5%(1〜2滴)を各右目に投与した。
【0092】
前房内投与手順
第1日目に、各動物は右目にS. aureus接種の25μL前房内注射を受けた。前房内注射は30ゲージ×1/2インチの針が備え付けられたハミルトンシリンジを用いて行われた。プロトコールは30ゲージ×5/8インチの針を用いて前房内注射を行うことを規定していた。プロトコールは、また、回収されるデータに投与用シリンジの重量を含ませることを規定していたが、注入時のシリンジの重量を測定しなかった。これらの変更は研究結果に影響を与えなかった。この前房内注射は角膜縁をとおして中央前眼房中に行った。
【0093】
無菌コットンスワブを用いて注入直後のタンポン挿入を行うか,又は、注入部位の上から結膜圧迫を行った。14の注射の後に以下の少量の漏洩が見られた:グループ A, No. 2983及び2969; グループ B, No. 2967及び2953; グループ D, No. 3326r 3329, 3340及び3334; グループ E, No. 3091 ; グループ F, No. 3078及び3088; グループ G, No. 3524及び3552; グループ H, No. 3537。各注入の時刻を記録した。無菌状態を維持するために、接種と抗生物質投与とを異なる人間によって別々の部屋で行った。
【0094】
死亡率/罹患率
動物の死亡率/罹患率を1日に2回観察した。
体重
動物をランダムに体重計量し、また、前房内投与前に体重計量した。
【0095】
眼科観察
抗生物質又は生理食塩水の最終投与を行った後に、スリットランプでの眼科観察(結膜、角膜及び虹彩の観察を含む)及び間接検眼(眼球後区の観察を含む)を第2日における各動物の両方の眼に対して行った。グループD〜Iの眼は瞳孔応答、眼房紅斑(aqueous flare)、細胞紅斑(cellular flare)及びレンズ不透明化についても観察した。プロトコールは眼を瞳孔応答、眼房紅斑(aqueous flare)、細胞紅斑(cellular flare)及びレンズ不透明化について観察することを規定していなかった。この変更は評価についてのより多くのデータを提供するものであり、研究結果に影響を与えなかった。眼の観察は各々記載された症状(眼瞼炎、虹彩炎、結膜炎、角膜浮腫及び角膜浸潤)について、0〜3又は0〜4の重症度スケールを用いてスコアリングした。プロトコールは各症状についての眼の観察に0〜3の重症度スケールを用いてスコアリングすることを規定していたが、幾つかの眼の症状についての観察を0〜4のスケールでスコアリングした。この変更は研究結果に影響を与えなかった。各眼あたりの最も高い可能な合計スコアは27であった(瞳孔応答、眼房紅斑(aqueous flare)、細胞紅斑(cellular flare)及びレンズ不透明化についてのスコアを除く)。眼科検査、及び、眼球前区及び眼球後区の臨床評価のスコアリング法は表T2−2に示している。
【0096】
安楽死
24時間の臨床的眼科評価を完了した後に、動物を市販の安楽死用溶液の静脈注射によって安楽死させた。安楽死は確立されている内部操作手順に従って行った。
【0097】
死体解剖
安楽死の後、房水及び硝子体液を各右目から無菌的に回収し、これらの組織中の生存細菌の数を測定した。房水及び硝子体液サンプルを30ゲージ1/2インチ針及び21ゲージ1インチ針をそれぞれ用いて回収した。回収したサンプルの体積を記録した。各硝子体液のサンプルを25ゲージ針に3回通すことにより液化した(生物学的安全フード内で行った)。1つの硝子体液サンプル中に血液を観測した(グループG、No.3336)。
【0098】
細菌計数
房水及び硝子体液サンプル中の細胞数を以下の通りに測定した。各サンプルに対して、10倍希釈物群(初期体積:最終体積=1:10、1:100、1:1000及び1:10000)を無菌リン酸塩緩衝剤を用いて製造した。各希釈物をTSA上で複数のプレートに入れ(1mL/プレート)、そしてそれらのプレートを46〜48時間、30〜35℃でインキュベートした。各プレートでのコロニーを計数し、複数のプレートの計数を平均した。300細胞コロニー/プレート未満を含む希釈物を用いて各サンプル中の細胞数を計算した。生存S. aureus生体の数(CFU)を10を基底とする対数として表現した。異常な細菌計数のサンプルプレートはVitek(BioMerieux)自動微生物特定装置を用いて種特定を行った。
【0099】
計数の際にプロトコールからの以下の変更を行った。プレート形成に使用したサンプル希釈比は1:10、1:100、1:1000及び1:10000であったが、プロトコールはその比を1:1、1:10、1:100及び1:1000とすることを規定していた。プレート形成に使用したTSAはRemel Corp.から供給されたものであったが、プロトコールはTSAがDifcoから供給されることを規定していた。サンプルプレートは46〜48時間、30〜35℃でインキュベートしたが、プロトコールはサンプルプレートを48時間、34〜38℃でインキュベートすることを規定していた。異常な細菌計数のサンプルプレートは種特定を行ったが、プロトコールは細菌特定を行うことを規定していなかった。これらの変更は研究結果に影響を与えなかった。
【0100】
統計的分析
記述の統計(平均及び標準偏差)を各処理グループの総合眼科重症度スコアについて計算した。残りのデータは視診によってのみ評価した。
【0101】
動物の保護に関する記載
この研究は細菌性眼内炎を治療する際の試験製品の効力を評価するために行った。この研究に代わる研究を探求したが、試験製品の効力を適切に評価するためには、全身試験システムが必要であった。この研究は全ての内部動物保護ポリシーに適合しており、また、研究機関の動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認されたものである。
【0102】
結果
死亡率
研究における動物の予定外の死亡は全くなかった。
【0103】
眼科観察
平均の総合眼科重症度スコアを表T2−3に示す。グループ間の一般的な差異は以下の通りである:BOL-303224-A(グループB)で処理した目はZymar(登録商標)(グループC)、Quixin (登録商標)(グループD及びH)、Vigamox(登録商標)(グループE及びI)又は生理食塩水(グループA及びG)で処理した目、又は未処理(グループF)の目よりも総合スコアが低かった。Zymar(登録商標)、Quixin (登録商標)、Vigamox(登録商標)及び生理食塩水/未処理グループの間の総合スコアの差異は主にこれらのグループ内の変動のために、それほど明確でなかった。7.5×10CFUで接種した目は4.5×10CFUで接種し、同様の処理剤(Quixin (登録商標)、Vigamox(登録商標)又は生理食塩水/未処理)を投与した目よりも高い総合スコアを有するようであった。
【0104】
個々の動物の眼科観察を表T2−4に示す。全ての未処理の左目は正常であるようであったので未処理の左目の観察については示していない。全ての右目では炎症の症状が観察され、全てのグループに共通して見られた異常としては結膜うっ血及び結膜膨張、角膜外傷(結膜血管増殖を伴わない)、眼房紅斑(aqueous flare)、細胞紅斑(cellular flare)、虹彩障害(iris involment)、及び前眼房でのフィブリンがあった。結膜分泌物が観察されなかったグループB(BOL-303224-A)を除く全てのグループの右目で結膜分泌物が頻繁に見られた。瞳孔応答が大体正常であったグループG〜I(4.1×10CFU接種グループ)を除く全てのグループの右目で頻繁に低瞳孔応答が見られた。眼球後区は2.5×10CFU(グループA〜C)で接種した18の目のうち17の目で、また、7.5×10CFU(グループD〜F)で接種した15の目のうち14の目で見えなかったが、4.1×10CFU(グループG〜I)で接種した18の目のうち14の目で見えた。
【0105】
細菌計数
房水及び硝子体液サンプル中の細菌計数を表T2−5に示す。生存細菌は房水サンプル中に以下の通りに見られた:2.5×10CFUで接種し、生理食塩水処理した(グループA)6つ全ての目、4.1×10CFUで接種し、生理食塩水処理した(グループG)6つの目うちの2つの目、未処理(グループF)の3つの目のうちの2つの目、4.1×10CFUで接種し、Quixin (登録商標)で処理した(グループH)6つの目のうちの2つの目。生理食塩水で処理した目からのサンプルのうち、1つ(グループG、No.3551)は3×10CFUを超える計算細菌計数であり、これは接種材料中の計数を超えていた。このサンプルから成長したプレートコロニーは2つの汚染種であると特定した(エンテロバクタークロアカ(Enterobacter cloacae)及びエンテロバクターエロゲネス(Enterobacter aerogenes))。汚染されたサンプルを除外して、最も多い細菌計数、195及び135(それぞれlog10(CFU)=2.29及び2.13)は2つの未処理の目(グループF)の房水サンプルに見られた。比較のために、これらの目に注入された細菌計数(log10(CFU))は5.88であった。
【0106】
残りの生理食塩水処理した目、未処理の目、又は、Quixin (登録商標)で処理した目の房水サンプル、あるいは、0.6%のBOL-303224-A(グループB)、Zymar(登録商標)(グループC)又はVigamox(登録商標)(グループE及びI)で処理した全ての目の房水サンプルには生存細菌は見られなかった。いずれの硝子体液サンプルからも生存細菌は見られなかった。
【0107】
結論
この研究の目的はニュージーランドホワイトラビットの細菌性眼内炎を治療する際の4つの抗生物質製剤の効力を評価することであった。結論として、眼科観察によって示されるとおり、ウサギの目において、2.5×10〜7.5×10CFUのS. arureusの前房内注入によって、接種の24時間以内に眼内炎が誘発された。眼科観察は、BOL-303224-A(式IVを有する化合物)は他の市販の抗生物質製品又は生理食塩水/未処理よりも有効に、眼内炎に関連する眼炎症、特に結膜分泌物を制御したことを示唆している。接種24時間後に回収した硝子体液サンプルは目が抗生物質処理を受けていても又は受けていなくても、生存細菌を含んでいなかった。接種24時間後に回収した房水サンプルのほとんどは、抗生物質処理を受けなかった5つの目からのサンプルを含め、生存細菌を含んでいなかった。抗生物質処理を受けなかった9つの目については、房水サンプルは生存したS. aureusを含んでいたが、実質的に数が減少していた。細菌計数のある程度の減少はウサギ自体の免疫機構及び選択した細菌種がより嫌気性である環境で繁殖しないS. aureusであることに起因する可能性がある。
【0108】
【表4】

【0109】
表T2−2
臨床的眼科スコアリングシステム
眼球前区:
結膜うっ血
0=正常。角膜縁周囲の充血がなく、白から赤みがかったピンクに見えることがあり(12:00及び6:00の位置を除く)、眼瞼及び眼球結膜の血管が容易に観察される。
1=紅潮した、赤っぽい色が主として眼瞼結膜に限定されており、ある程度の眼瞼充血を伴っているが、主に目の上部及び下部(4:00〜7:00及び11:00〜1:00の位置)に限定されている。
2=眼瞼結膜が明るい赤色であり、角膜縁領域の周囲の少なくとも75%を網羅して角膜縁周囲が充血している。
3=暗く牛肉のような赤色であり、眼球結膜及び眼瞼結膜の両方がうっ血しており、顕著な角膜縁周囲の充血を伴い、結膜上に点状出血が見られる。点状出血は一般に瞬膜及び上部眼瞼結膜にそって支配的に存在する。
【0110】
結膜膨張
0=正常。結膜組織の膨張なし。
1=まぶたの外転なく(上まぶたと下まぶたが正常の目と同様に配置されていることから容易に判定できる)、正常よりも膨潤している。膨張は一般に目頭付近の下側結膜嚢において始まっている。
2=上まぶたと下まぶたの正常の配置からは誤整列して膨張している。初期の段階では、まぶたの誤配置は上まぶたの部分的な外転により始まるので、主として上まぶたに限定されている。この段階では、膨張は一般に上まぶたに限定されており、下側結膜嚢である程度の膨張が始まっている。
3=本質的に同等の上まぶたと下まぶたの部分的外転で明確な膨張である。このことは正面から見ることで容易に観察できる。まぶたの位置に注目し、目の周辺部が合っていないならば、外転が起こっている。
4=上まぶたの外転が顕著であり、下まぶたの外転はより顕著でない。まぶたを納め、角膜縁領域を観察することが困難である。
【0111】
結膜分泌物
分泌物は白く、グレーの凝結物と定義される。
0=正常、分泌物なし。
1=正常よりも分泌物あり。目の内側に存在するが、まぶた又はまつげの上には存在しない。
2=分泌物が多量で、容易に観察され、まぶた及びまつげの上に集まっている。
3=分泌物がまぶたの上を流れ、目の周囲の皮膚上で実質的に毛を濡らしている。
【0112】
虹彩障害(iris involment)
0=正常な虹彩。血管の充血なし。
1=二次血管の最少充血であるが、三次血管では充血なし。ほぼ均一であるが、12:00〜1:00又は6:00の位置での強度がより大きいことがある。もしこの領域に限定されるならば、三次血管は実質的に充血していなければならない。
2=二次血管及び三次血管は中程度の充血であり、虹彩ストローマは若干膨張している(虹彩表面は若干しわになっており、通常、3:00及び9:00の位置の付近が最も支配的にしわになっているように見える)。
3=二次血管及び三次血管が顕著に充血しており、虹彩ストローマが顕著に膨張している。虹彩にはしわが見え、前眼房での出血(前房出血)を伴うことがある。
【0113】
角膜
0=正常な角膜。
1=幾分か透明性を失っている。ストローマの前方半分及び/又は上皮のみが影響を受けている。ある程度の曇りが容易に見られるが、下部の構造がはっきりと見える。
2=中程度に透明性を失っている。曇りが内皮にまでずっと広がっている。拡散照明を用いると、ある程度の細部が消えているが、下部の構造がはっきりと見える。
3=ストローマの全厚さに影響がでている。拡散照明を用いると、下部の構造がかろうじて見ることができるだけである(紅斑、虹彩、瞳孔応答、レンズをまだ観察できる)。
4=ストローマの全厚さに影響が出ている。拡散照明を用いて下部の構造を見ることができない。
【0114】
角膜障害の表面積
0=正常。
1=1〜25%の領域にストローマの曇りがある。
2=26〜50%。
3=51〜75%。
4=76〜100%。
【0115】
角膜血管増殖(パンヌス)(角膜の血管新生)
0=角膜血管増殖なし。
1=血管新生が存在するが、血管は角膜周囲全体に侵入していない。
2=血管が角膜表面全体の周りに2mm以上侵入している。
【0116】
眼球後区
0=硝子体の曇りのない正常な目。
1=視神経及び網膜血管の観察ができる程度の硝子体の曇りがある。
2=困難であるが主要な血管及び視神経を観察することがなおもできる程度に硝子体の曇りがある。
3=視神経の境界を観察することができるだけであり、その境界はぼんやりしている程度に硝子体の曇りがある。
4=硝子体の曇りがあり、視神経の観察を妨げている。
【0117】
他の変数(総合重症度スコアから除外したスコア)
瞳孔応答
0=正常な瞳孔応答。
1=遅い又は不完全な瞳孔応答。
2=瞳孔応答なし。
3=薬理的阻害により瞳孔応答なし。
【0118】
眼房紅斑(aqueous flare)
0=なし
1=1+
2=2+
3=3+
4=4+(フィブリン)
【0119】
細胞紅斑(cellular flare)
0=なし
1=1+
2=2+
3=3+
4=4+
【0120】
レンズ(白内障のためのレンズ観察)
0=レンズ透明
1=眼球前区(皮層/嚢)
2=核
3=眼球後区(皮層/嚢)
4=エクアトリアル
【0121】
【表5】

【0122】
【表6】

【0123】
【表7】

【0124】
【表8】

【0125】
【表9】

【0126】
【表10】

【0127】
【表11】

【0128】
【表12】

【0129】
【表13】

【0130】
【表14】

【0131】
【表15】

【0132】
【表16】

【0133】
【表17】

【0134】
本明細書中に開示したフルオロキノロン化合物は、眼内炎を調節するための、又は、その眼内炎を引き起こす感染症を治療し又は制御するための局所投与、経口投与、皮下投与又は全身投与用医薬組成物へと製剤されうる。このような組成物は、式I、II、III、IV、V、VI、VIIもしくはVIIIを有するフルオロキノロン化合物又はその塩、及び、医薬製剤の当業者が決定しうるとおりの、投与のための医薬的に許容されるキャリアを含む。たとえば、当該技術分野で知られている様々な医薬的に許容されるキャリアは溶液、エマルジョン、懸濁液、分散体、軟膏、ゲル、カプセル又は錠剤を製剤するために使用されうる。式I、II、III、IV、V、VI、VIIもしくはVIIIを有するフルオロキノロン化合物又はその塩は、微生物によって引き起こされる眼内炎又は非感染性眼内炎を治療し又は制御するために特に適する。このようなフルオロキノロン又はその塩は溶液、軟膏、エマルジョン、懸濁液、分散体又はゲルへと製剤されうる。
【0135】
一実施形態において、本発明の局所組成物は、水溶液又は水性懸濁液を含む。通常、精製水又は脱イオン水が使用される。組成物のpHは生理学的に許容されるpH調節性の酸、塩基又は緩衝剤のいずれかを添加することにより、約3〜約8.5(あるいは、約4〜約7.5又は約4〜約6.5又は約5〜約6.5)に調節される。酸の例としては、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸などが挙げられ、塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トロメタミン、THAM(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)などが挙げられる。塩又は緩衝剤としてはクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム及び上記の酸と塩基との混合物が挙げられる。pH緩衝剤は安定なpHを維持するために又は使用者による製品許容性を改良するために組成物中に導入される。ある実施形態において、pHは約4〜約7.5の範囲である。様々なpHのための生物学的緩衝剤は入手可能であり、たとえば、Sigma-Aldrichから入手可能である。本発明の組成物は約5〜約100,000センチポアズ(cp)又はmPa.s(又は約10〜約50,000又は約10〜約20,000又は約10〜約10,000又は約10〜約1,000又は約100〜約10,000又は約100〜20,000又は約100〜約50,000又は約500〜約10,000又は約500〜約20,000cp)の粘度であることができる。
【0136】
別の実施形態において、本発明の局所組成物は、軟膏、エマルジョン又はクリーム(たとえば、水中油型エマルジョン)又はゲルを含む。
【0137】
軟膏は、一般に、(1)油性基剤、すなわち、白色ワセリン又は鉱油などの固定油又は炭化水素からなるもの、又は、(2)吸収性基剤、すなわち、水を吸収することができる1種又は複数種の無水物質からなるもの、たとえば、無水ラノリン、のいずれかを用いて調製される。慣習的に、油性又は吸収性のいずれかの基剤の形成に続いて、活性成分(化合物)を所望の濃度を与える量で添加する。
【0138】
クリームは油/水エマルジョンである。クリームは、通常、ワックス、ワセリン、鉱油などの固定油又は炭化水素などを含む油性相(分散相)と、水及び、添加された塩などの水溶性物質を含む水性相(連続相)とからなる。この2つの相は乳化剤、たとえば、ナトリウムラウリルスルフェートなどの界面活性剤、アカシアコロイドクレー、ビーガム(veegum)などの親水性コロイドなどを使用することにより安定化される。エマルジョンを形成するときに、活性成分(化合物)が、通常、所望の濃度を達成する量で添加される。
【0139】
ゲルは油性基剤、水又はエマルジョン−懸濁液基剤から選ばれる基剤を含む。基剤中でマトリックスを形成し、その粘度を増加させるゲル化剤をその基剤に添加する。ゲル化剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸ポリマーなどがある。通常、活性成分(化合物)はゲル化剤の添加の前の時点で所望の濃度で製剤中に添加される。
【0140】
本発明の組成物中に取り込まれる、本明細書中に開示されたフルオロキノロン化合物の量は重要でなく、所望の治療部位に所望の化合物量を輸送する量で患部組織領域に容易に製剤投与することができ、そして所望の治療効果を与えるのに十分な濃度範囲であるべきである。本発明のある実施形態において、組成物はフルオロキノロンを約0.0001質量%〜10質量%(又は、約0.001質量%〜約5質量%又は約0.01質量%〜約5質量%又は約0.01質量%〜約2質量%又は約0.01質量%〜約1質量%又は約0.01質量%〜約0.7質量%又は約0.01質量%〜約0.5質量%)の濃度で含む。
【0141】
さらに、本発明の局所用組成物は、1種以上の以下の成分:保存剤、界面活性剤、補助剤、たとえば、追加の医薬、酸化防止剤、浸透圧調節剤、粘度調節剤などを含むことができる。
【0142】
製品を単一投与もしくは複数投与用容器中で分配する際に、その製品の微生物汚染を抑制するために保存剤を使用することができる。保存剤として、第四級アンモニウム誘導体(塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンジルアンモニウム、臭化セチルメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、塩化ベンゼトニウム、有機水銀化合物(チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル及びp−ヒドロキシ安息香酸プロピル、β−フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの化合物は、選択される保存剤によって決まる有効な量、通常、約0.005%〜約5%(質量%)で使用される。使用される保存剤の量は、溶液が物理的に安定である、すなわち、沈殿を形成しないのに十分な量であるべきであり、また、抗菌的に有効な量であるべきである。
【0143】
式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロンを含む、本発明の組成物の成分の溶解度は、組成物中の界面活性剤又は他の適切な共溶剤によって改良できるか、又は、溶解度向上剤、たとえば、α−、β−及びγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシル及びマルトトリオシル誘導体などのシクロデキストリン類によって改良できる。一実施形態において、組成物は0.1%〜20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、又は、1%〜15%(又は2%〜10%)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む。共溶剤としてはポリソルベート(たとえば、ポリソルベート20、60及び80)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(たとえば、Pluronic(登録商標)F68、F84、F127及びP103)、シクロデキストリン、脂肪酸トリグリセリド、グリセロール、ポリエチレングリコール、他の溶解度向上剤、たとえば、オクトキシノール40及びチロキサポール、又は、当業者に知られている他の薬剤、及びそれらの混合物が挙げられる。溶解度向上剤の使用量は組成物中のフルオロキノロンの量によって決まり、フルオロキノロンの量が多いほど、溶解度向上剤の量が多くなる。通常、溶解度向上剤の量は成分によって0.01質量%〜20質量%(又は0.1質量%〜5質量%又は0.1質量%〜2質量%)の量で使用される。
【0144】
単純な水溶液の粘度よりも高い粘度を有する本発明の組成物を提供するために粘度向上剤を使用することが標的組織による活性成分の吸収性を増加させ又は標的組織における滞留時間を増加させるために望ましいことがある。このような粘度向上剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又は、当業者によって知られている他の薬剤を挙げることができる。このような粘度向上剤は、通常、0.01質量%〜10質量%(又は0.1質量%〜5質量%又は0.1質量%〜2質量%)の量で使用される。
【0145】
適切な界面活性剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールが挙げられる。他の界面活性剤は、ポリソルベート(たとえば、ポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)などであり、これらは商品名Tween(登録商標)80、Tween(登録商標)60、Tween(登録商標)20として一般に知られている)、ポロキサマー(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロックポリマーであり、商品名Pluronic(登録商標)、たとえば、Pluronic(登録商標)F127又はPluronic(登録商標)F108などで一般に知られている)、ポロキサミン(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロックポリマーにエチレンジアミンが付加されたものであり、商品名Tetronic(登録商標)、たとえば、Tetronic(登録商標)1508又はTetronic(登録商標)908などで一般に知られている)、他の非イオン性界面活性剤(Brij(登録商標)、Myrj(登録商標)))や、約12個以上の炭素原子(たとえば、約12〜約24個の炭素原子)を有する炭素鎖を含む長鎖脂肪族アルコール(すなわち、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ドコソヘキサノイルアルコールなど)をさらに含むことができる。界面活性剤は狭い通過路の表面に局所製剤を広げることを助ける。
【0146】
1つの態様において、本発明の組成物中に少なくとも1種の別の抗炎症剤を含むことが望ましいことがある。好ましい抗炎症剤としてはよく知られた非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)が挙げられる。
【0147】
NSAIDの制限しない例は、アミノアリールカルボン酸誘導体(たとえば、エンフェナム酸、エトフェナム酸塩、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸、タルニフルミン酸塩、テロフェナム酸塩、トルフェナム酸)、アリール酢酸誘導体(たとえば、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アムフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、ゾメピラク)、アリール酪酸誘導体(たとえば、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン)、アリールカルボン酸(たとえば、クリダナク、ケトロラク、チノリジン)、アリールプロピオン酸誘導体(たとえば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ブクロキシン酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロレン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン)、ピラゾール(たとえば、ジフェナミゾール、エピリゾール)、ピラゾロン(たとえば、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、チアゾリノブタゾン)、サリチル酸誘導体(たとえば、アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサール、エテルサレート、フェンドサール、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リシン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサレート、スルファサラジン)、チアジンカルボキサミド(たとえば、アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、テノキシカム)、ε-アセトアミドカプロン酸、S-(5'-アデノシル)-L-メチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザク、ベンジダミン、α-ビサボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロカゾン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダップ、ジロイトン、これらの生理学的に許容される塩、これらの組み合わせ、及び、これらの混合物である。一実施形態において、NSAIDはジクロフェナク、フルビプロフェン又はケトロラクである。
【0148】
他の非ステロイド系抗炎症剤としては、シクロオキシゲナーゼタイプII、選択的抑制剤、たとえば、セレコキシブ及びエトドラック、PAF(血小板活性化因子)、アンタゴニスト、たとえば、アパファント、ベパファント、ミノパファント、ヌパファント及びモジパファント、PDE(ホスホジエステラーゼ)IV阻害剤、たとえば、アリフロ、トルバフィルリン、ロリプラム、フィラミナスト、ピクラミラスト、シパムフィルリン及びロフルミラスト、サイトカイン産生阻害剤、たとえば、NF-κB転写因子の阻害剤、又は、当業者に知られている他の抗炎症剤が挙げられる。一実施形態において、非ステロイド系抗炎症剤はセレコキシブである。
【0149】
本発明の組成物中に含まれることができる各々の抗炎症剤の濃度は選択される抗炎症剤及び治療を行う炎症のタイプに基づいて様々であろう。濃度は、本発明の組成物を標的組織に投与した後に、その標的組織における炎症を低減し、治療し又は抑制するために十分な濃度であろう。そのような濃度は、通常、約0.0001〜約3質量%(又は、約0.01質量%〜約2質量%又は約0.05質量%〜約1質量%又は約0.01質量%〜約0.5質量%)の範囲である。
【0150】
以下の例は本発明の制限しない組成物、そのような組成物の調製方法、感染症及びその炎症性続発症を治療し、低減し、寛解し又は予防するための方法をさらに説明するために提供する。
【0151】
【表18】

【0152】
無菌ステンレススチールジャケット付き容器であって攪拌機構を備えた容器中、リン酸塩緩衝剤に適切な割合(上記の表に示す)のPluronic(登録商標)F127を50〜60℃の温度で添加する。得られた緩衝溶液を61〜75℃に加熱する。約66℃の温度で、3〜10分間混合しながら、適切な量のBAKを上記の緩衝溶液に添加する。75℃の温度で、混合を続けながら3〜5分間にわたって容器の内容物に、適切な量の式IVを有する化合物を添加する。その後、75℃でさらに5分間混合を続けながら、混合物にEDTA及びNaClを添加する。得られた混合物を25℃〜30℃に冷却する。最終の組成物を適切な容器に包装する。
【0153】
例2:溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0154】
【表19】

【0155】
例3:溶液
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0156】
【表20】

【0157】
例4:溶液
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0158】
【表21】

【0159】
例5:懸濁液
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0160】
【表22】

【0161】
例6:エマルジョン
例1と同様の手順の変法を用いて下記の表に示す組成を有するこのエマルジョンを製造する。
【0162】
第一の無菌ステンレススチールジャケット付き容器であって攪拌機構を備えた容器中、ポリソルベート60(Tween(登録商標)60)を水に下記の表に示す割合に対応する量で50℃〜60℃の温度で添加する。得られた水溶液を61℃〜75℃に加熱する。約66℃の温度で、3〜10分間混合しながら、ベンジルアルコール(保存剤)を上記の水溶液に添加する。75℃の温度で、適切な量の式IVを有する化合物及びロテプレドノールエタボネートを第二の無菌容器で同様に攪拌機構を備えた容器中のミグリオールオイルに、攪拌を続けながら3〜5分間にわたって添加する。ソルビタンモノステアレート及びセチルステアリルアルコールを上記のオイル混合物に添加する。得られたオイル混合物を62℃〜75℃の範囲の温度に加熱する。その後、得られたオイル混合物第一の容器中の水溶液に激しく混合しながら66℃の温度で3〜5分間にわたって添加する。この混合物に硫酸ナトリウム及び硫酸及び/又は水酸化ナトリウムを添加してpHを5.5に調節する。得られた組成物を35℃〜45℃に冷却し、高剪断乳化器で混合し又はホモジナイザーを通すことで均質化する。この組成物をさらに25℃〜30℃に冷却する。最終の組成物を適切な容器に包装する。
【0163】
【表23】

【0164】
通常、エマルジョン中に使用されるオイルは、非刺激性軟化オイルである。その例示の制限しない例としては、鉱油、植物油及び既知の組成の改質植物油が挙げられる。より詳細な制限しないオイルの例は、ピーナツ油、ゴマ種子油、綿実油及び中鎖(C〜C12)トリグリセリド(たとえば、ミグリオールニュートラルオイル810、812、818、829、840など、Huls America Inc.から入手可能)からなる群より選ぶことができる。使用される典型的な乳化剤はソルビタンモノステアレート及びポリソルベートからなる群より選ぶことができる。好ましくは、乳化剤は非イオン性である。乳化剤は組成物の1.5〜6.5質量%の量で使用してよく、好ましくは、組成物の3〜5質量%の量で使用される。エマルジョンの疎水性相は組成物の15〜25質量%であってよく、好ましくは組成物の18〜22質量%である。
【0165】
例7:エマルジョン
例6と同様の手順を用いて以下の組成を有するこのエマルジョンを製造する。
【0166】
【表24】

【0167】
例8:軟膏
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0168】
【表25】

【0169】
例9:軟膏
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0170】
【表26】

【0171】
例10:錠剤
下記の表に示す成分をリボンブレンダーなどのブレンダー中で一緒にブレンドする。当業者によく知られている粉末混合の他のタイプのブレンダーも使用されてよい。医薬錠剤を製造するのに適した条件下に錠剤化プレスをとおして混合物を供給する。
【0172】
【表27】

【0173】
グルココルチコイドの副作用と本発明のフルオロキノロンの副作用との比較
グルココルチコイド療法の最も頻繁に起こる望ましくない作用の1つはステロイド糖尿病である。この望ましくない状態となる理由はタンパク質の分解により生じる遊離アミノ酸の代謝及び糖新生を伴う肝酵素の転写の誘発による肝臓内での糖新生刺激による(グルココルチコイドの異化作用)。肝臓内での異化代謝の鍵となる酵素はチロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)である。この酵素の活性は治療されたウサギ肝細胞癌細胞の細胞培養から測光法により決定することができる。このため、グルココルチコイドの糖新生はこの酵素の活性を測定することにより、本明細書に開示したフルオロキノロンのものと比較されうる。たとえば、1つの手順では、細胞を24時間、試験物質(フルオロキノロン又はグルココルチコイド)で処理し、その後、TAT活性を測定する。選択されたフルオロキノロンのTATとグルココルチコイドのTATとを比較する。TATの代わりに他の肝酵素、たとえば、ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ、グルコース−6−ホスファターゼ又はフルクトース−2,6−ビスホスファターゼを用いることができる。又は、選択された条件でグルココルチコイドで処理した個々の対象及び同一条件でフルオロキノロンで処理した個々の対象について、動物モデル中の血糖レベルを直接的に測定しそして比較することもできる。
【0174】
グルココルチコイド療法の別の望ましくない結果はGC−誘導白内障である。化合物又は組成物の白内障誘発可能性はインビトロでのレンズ細胞(たとえば、哺乳類レンズ上皮細胞)の膜を通るカリウムイオン流に対する化合物又は組成物の効果を定量化することで決定されうる。このようなイオン流は、たとえば、電気生理学的技術又はイオン流画像形成技術(たとえば、蛍光染料の使用による)によって決定されうる。化合物又は組成物の白内障誘発可能性の決定のための例示のインビトロ法は米国特許出願公開第2004/0219512号に開示されており、それを参照により本明細書中に取り込む。
【0175】
グルココルチコイド療法のさらに別の望ましくない結果は高血圧症である。炎症性容態のために本発明のフルオロキノロンとグルココルチコイドとで処理した同様に適合させた対象の血圧を直接的に測定しそして比較することができる。
【0176】
グルココルチコイド療法のさらに別の望ましくない結果は対象における眼内圧上昇(IOP)である。容態のために本発明のフルオロキノロンとグルココルチコイドとで処理した同様に適合させた対象のIOPを直接的に測定しそして比較することができる。
【0177】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、当業者には、添付の請求項に規定された本発明の精神と範囲を逸脱することなく、その実施形態に対して多くの対等代理、改変、置換及び変更が可能であることがわかるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における眼内炎を調節するための医薬品を調製するための下記式I、II、III,IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロン又はその塩の使用であって、
前記フルオロキノロンは前記調節を行うために有効な量で存在する使用
【化1】

【化2】

【化3】

(上式中、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、
は、水素、未置換アミノ基、及び、1個又は2個の低級アルキル基により置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、
は、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、未置換C〜C24アリールオキシ基、置換C〜C24アリールオキシ基、未置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、
Xはハロゲン原子からなる群より選ばれ、
YはCH、O、S、SO、SO及びNRからなる群より選ばれ、ここで、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれ、そして
Zは酸素及び2個の水素原子からなる群より選ばれる)。
【請求項2】
前記眼内炎は、術後眼内炎、外傷後眼内炎、非感染性眼内炎、全眼球炎、血行性眼内炎及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記眼内炎は感染症の結果として生じるものを含む、請求項1記載の使用。
【請求項4】
は、水素、C〜C置換及び未置換アルキル基、C〜C10シクロアルキル基、C〜C14置換及び未置換アリール基、C〜C14置換及び未置換ヘテロアリール基、ならびに、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、
は、未置換アミノ基、及び、1又は2個のC〜Cアルキル基によって置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、
は、水素、C〜C置換及び未置換アルキル基、C〜C10シクロアルキル基、C〜C置換及び未置換アルコキシ基、C〜C14置換及び未置換アリール基、C〜C14置換及び未置換ヘテロアリール基、ならびに、C〜C14置換及び未置換アリールオキシ基からなる群より選ばれる、請求項1記載の使用。
【請求項5】
はC〜C10シクロアルキル基からなる群より選ばれる、請求項1記載の使用。
【請求項6】
XはClである、請求項1記載の使用。
【請求項7】
YはCHである、請求項6記載の使用。
【請求項8】
Zは2つの水素原子を含む、請求項6記載の使用。
【請求項9】
YはNHであり、ZはOであり、XはClである、請求項1記載の使用。
【請求項10】
前記医薬品は溶液、エマルジョン、分散体、懸濁液、軟膏又はゲルを含む、請求項1記載の使用。
【請求項11】
前記フルオロキノロン又はその塩は組成物の質量の約0.0001%〜10%の量で存在する、請求項11記載の使用。
【請求項12】
前記組成物は非ステロイド系抗炎症薬をさらに含む、請求項11記載の使用。
【請求項13】
対象における眼内炎を調節するための方法であって、式IV
【化4】

を有するフルオロキノロン又はその塩の有効な量を含む組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項14】
前記眼内炎は感染症の続発症を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
対象において眼内炎を引き起こす眼科感染症又は眼感染症を治療し又は制御するための方法であって、式IV
【化5】

を有するフルオロキノロン又はその塩の有効な量を含む組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項16】
対象における眼内炎を調節するための方法であって、式VI
【化6】

を有するフルオロキノロン又はその塩の有効な量を含む組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項17】
対象において眼内炎を引き起こす眼科感染症又は眼感染症を治療し又は制御するための方法であって、式VI
【化7】

を有するフルオロキノロン又はその塩の有効な量を含む組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項18】
式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロンを含み、前記フルオロキノロンは眼内炎を調節するために有効な量で存在する、医薬組成物。
【請求項19】
前記眼内炎は感染症の続発症を含む、請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記感染症は眼科感染症又は眼感染症を含む、請求項19記載の医薬組成物。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−536860(P2010−536860A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521920(P2010−521920)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/072552
【国際公開番号】WO2009/026009
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】