説明

フルオロ界面活性剤

本発明は、YがCFO−またはFS−を表すY末端基の、界面活性化合物における疎水性末端基としての使用に関する。本発明はまた、対応する新規な化合物および前述の化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、YがCFO−またはFS−を意味する末端基Yの、界面活性化合物における疎水性末端基としての使用、対応する新規な化合物およびこれらの化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロ界面活性剤(fluorosurfactant)は、表面エネルギーを低下させる顕著な能力を有し、これは、例えば、表面の疎水化、例えば布地の含浸、ガラスの疎水化または航空機翼のデアイシングにおいて用いられる。
【0003】
しかし、一般的に、フルオロ界面活性剤は、パーフルオロアルキル置換基を含み、これは、生物学的および他の酸化プロセスにより環境において分解されて、パーフルオロアルカンカルボン酸類およびパーフルオロアルカンスルホン酸類を生成する。これらは、難分解性であると見られ、ある場合において、健康的な問題を生じることが疑われる(G.L. Kennedy, Jr., J.L. Butenhoff, G.W. Olsen, J.C. O'Connor, A.M. Seacat, R.G. Perkins, L.B. Biegel, S.R. Murphy, D.G. Farrar, Critical Reviews in Toxicology 2004, 34, 351-384)。さらに、比較的長鎖のパーフルオロアルカンカルボン酸類およびパーフルオロアルカンスルホン酸類は、食物連鎖中で蓄積する。
【0004】
従って、古典的なフルオロ界面活性剤に匹敵するが、酸化的または還元的分解によって難分解性の有機フッ素分解生成物を何ら残さない特性プロフィールを有する界面活性物質に対する要求がある。
【0005】
Omnova社は、側鎖が末端のCFまたはC基を有するポリマーを市販している。国際特許出願WO 03/010128には、C3〜20パーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル置換アミン類、酸類、アミノ酸類およびチオエーテル酸類が記載されている。
【0006】
特開2001−133984号公報には、反射防止コーティングにおいて用いるのに適する、パーフルオロアルコキシ鎖を有する界面活性化合物が開示されている。特開平9−111286号公報には、エマルジョンにおけるパーフルオロポリエーテル界面活性剤の使用が開示されている。
【0007】
しかし、現在までに開示されているすべてのフルオロ界面活性剤は、最終的には、分解により、難分解性のパーフルオロアルカンスルホン酸類およびパーフルオロアルカンカルボン酸類の生成をもたらす。一層生態学的に適合性であるように導入された末端のCF基を有する代用形さえも、分解されて、難分解性のトリフルオロ酢酸を生じ得る。従って、パーフルオロ化された界面活性剤に代わるさらに完全に分解性の代用形に対する要求が、継続している。
【発明の開示】
【0008】
ここで、少なくとも1つの末端ペンタフルオロスルフラニル基または少なくとも1つの末端トリフルオロメトキシ基を担持しており、極性の末端基を有する化合物は、界面活性であり、界面活性剤として高度に好適であることが、見出された。
【0009】
従って、本発明は先ず、YがCFO−またはFS−を意味する末端基Yの、界面活性化合物における疎水性末端基としての使用に関する。
界面活性化合物における末端基Yは、好ましくは、飽和の、または不飽和の、分枝状または非分枝状炭化水素単位に結合している。当該炭化水素単位は、随意にヘテロ原子が付与されている脂肪族または芳香族単位であってもよい。
【0010】
前述のフッ素化された末端基以外には、本発明に従って用いるべき化合物は、好ましくは、他のフッ素化された基を含まない。
本発明の変法において、末端基Yは、界面活性化合物において多数回出現し、界面活性化合物は、好ましくはオリゴマーまたはポリマーである。
【0011】
本発明の他の同様に好ましい変法において、末端基Yは、界面活性化合物において1回、2回または3回のみ出現し、ここで末端基が1回のみ出現する化合物が、特に好ましい。本発明に従って用いるべき化合物は、好ましくは、式I
Y−スペーサー−X I
式中、
−Yは、CFO−またはFS−を意味し、
−スペーサーは、飽和の、または不飽和の、分枝状または非分枝状炭化水素単位を意味し、
−Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味する、
で表される低分子量化合物である。
【0012】
ここで、式Iで表される化合物が、式Ia、IbまたはIc
Y−(CH−X Ia
Y−CH−CH(Hal)−(CH(n−1)−X Ib
Y−CH=CH−(CH(n−1)−X Ic
式中、Yは、CFO−またはFS−を意味し、
nは、1〜30の範囲からの整数を意味し、
Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味し、
(Hal)は、F、Cl、BrまたはIを意味する、
で表される化合物および式Ia、IbまたはIcで表される化合物の対応する塩から選択されるのが、特に好ましい。
【0013】
極めて特に好ましいのは、ここでは、式Iaで表され、式中nが特に好ましくは4〜24の範囲からの整数、および特に好ましくは6〜18の範囲からの整数を意味する化合物を用いることである。次に、本発明の変法において、nは、偶数であるのが好ましい。
特に好ましいのは、本発明において、前述の化合物を界面活性剤として用いることである。
【0014】
式Iで表される化合物がアニオン性化合物または塩のアニオンに変換することができる化合物である場合には、対イオンが、アルカリ金属イオン、好ましくはLi、NaもしくはK、アルカリ土類金属イオンまたはNHであるのが、好ましい。式Iで表される化合物がカチオン性化合物または塩のカチオンに変換することができる化合物である場合には、対イオンが、ハロゲン化物イオン、例えばCl、BrもしくはI、またはCHSO、CFSO、CHPhSOもしくはPhSOであるのが、好ましい。
【0015】
数種の対応する、または構造的に類似する化合物は、文献から知られている:
−Beilsteinデータベース(Beilstein Institut zur Foerderung der chemischen Wissenschaften; 2003)には、特に、化合物2−(ペンタフルオロスルフラニル)エタノール、五フッ化カルボエトキシメチル硫黄、ペンタフルオロスルフラニル酢酸およびペンタフルオロスルフラニルエタンスルホン酸が記載されている。
【0016】
−ペンタフルオロスルフラニルアセトアルデヒドおよびペンタフルオロスルフラニル酢酸の調製は、N.H. Ray, J. Chem. Soc., Abstracts 1963, 1440またはGB 941.392およびGB 941,393に記載されている。US 3,102,903には、種々のペンタフルオロスルフラニル酢酸誘導体の調製が記載されている。
−ニトロ末端基を有するペンタフルオロスルフラニルエタノールのオルト炭酸エステル類およびカルバミン酸エステル類並びに爆発物としてのこれらの使用は、US 4,849,540に記載されている。
【0017】
−A.F.T. Yokochi, R. Winter, G. Gard, Acta Cryst. 2002, E58, o1133-o1135には、3−ペンタフルオロスルフラニルプロピオン酸の結晶構造が開示されている。
−種々の3−ペンタフルオロスルフラニルプロパン誘導体の調製は、R. Winter, G. L. Gard, J .Fluorine Chem. 2000, 102, 79-87に記載されている。SFBrのアクリル酸エステル類との反応およびエステル基のその後の修飾により、3−ペンタフルオロスルフラニルプロピオン酸、3−ペンタフルオロスルフラニルプロパノールおよび3−ブロモ−1−ペンタフルオロスルフラニルプロパンが得られる。
【0018】
−X=HまたはFであるペンタフルオロスルフラニルメタンスルホン酸イオンSFCXSOは、B. H. Ward, J. A. Schlueter, U. Geiser, H. H. Wang, E. Morales, J. P. Parakka, S. Y. Thomas, J. M. Williams, P. G. Nixon, R. W. Winter, G. L. Gard, H.-J. Koo, M.-H. Whangboo, Chem. Mater. 2000, 12, 343-351に記載されている。
−ペンタフルオロスルフラニルエタンスルホン酸塩は、J. P. Canselier, J. L. Boyer, V. Castro, G. L. Gard, J. Mohtasam, D. H. Peyton, Magn. Reson. Chem. 1995, 33, 506-510に記載されている。
【0019】
−R. Winter, G. l. Gard, J. Fluorine Chem. 1994, 66, 109-116には、ペンタフルオロスルフラニルエタノールおよびプロパノールの種々のエステル類の調製が記載されている。
−WO 2004/011422には、ペンタフルオロスルフラニル置換基を有する脂肪族および芳香族化合物の調製が記載されている。当該調製は、SFClの二重結合上への付加反応により行われる。例えば、XがOH、OC(=O)CH、Br、C(=O)OCまたはC(=O)CHを意味するFS−CH−CHCl−(CH−Xタイプの化合物が、調製される。
【0020】
本発明の化合物または本発明による前述の化合物もしくは組成物の本発明による使用の利点は、特に、以下の通りであり得る:
−効率および/または有効性に関して慣用の炭化水素界面活性剤より優れた表面活性、
−難分解性のパーフルオロ化された分解生成物を生成しない、物質の生物的および/または非生物的分解性、
−配合物における良好な加工特性、
−貯蔵安定性。
【0021】
本発明はさらに、式Iで表される対応する新規な化合物、特に式IIa、IIbまたはIIc
CFO−(CH−X IIa
CFO−CH−CH(Hal)−(CH(n−1)−X IIb
CFO−CH=CH−(CH(n−1)−X IIc
式中、
nは、1〜30の範囲からの整数を意味し、
Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味し、
(Hal)は、F、Cl、BrまたはIを意味する、
で表される化合物および式IIa、IIbまたはIIcで表される化合物の対応する塩であって、CF−O−CH−COOHが除外される、前記化合物および塩、
【0022】
並びに式IIIa、IIIbまたはIIIc
S−(CH−X IIIa
S−CH−CH(Hal)−(CH(n−1)−X IIIb
S−CH=CH−(CH(n−1)−X IIIc
式中、
nは、1〜30の範囲からの整数を意味し、
Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味し、
(Hal)は、F、Cl、BrまたはIを意味する、
で表される化合物および式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物の対応する塩であって、MがHまたはアルカリ金属イオン、好ましくはLi、NaもしくはKまたはNHを意味し、XがOH、OC(=O)CH、Br、C(=O)OC、C(=O)CHを意味する化合物FS−(CH−COM、FS−(CH−COM、FS−(CH−SOM、FS−(CH−SOM、FS−(CH−CONH、FS−(CH−OH、FS−(CH−OHおよびFS−CH−CHCl−(CH−Xが除外される、前記化合物および塩に関する。
【0023】
式IまたはIIまたはIIIで表される化合物におけるnは、好ましくは、4〜28の範囲からの数、特に好ましくは8〜24の範囲からの数を意味する。
【0024】
本発明に従って用いるべき式Iで表される化合物または本発明による式IIもしくはIIIで表される化合物の好ましい群において、Xは、−COOM、−SOM、−OSOM、−PO、−OPO、−(OCHCH−O−(CH−COOM、−(OCHCH−O−(CH−SOM、−(OCHCH−O−(CH−OSOM、−(OCHCH−O−(CH−PO、−(OCHCH−O−(CH−OPOから選択されたアニオン性極性基を意味し、式中、Mは、Hまたはアルカリ金属イオン、好ましくはLi、NaもしくはKまたはNHを意味し、mは、1〜1000の範囲からの整数を意味し、またoは、1、2、3または4から選択された整数を意味する。
【0025】
好ましいアニオン性基には、ここで、特に、−COOM、−SOM、−OSOM、並びに−(OCHCH−O−(CH−COOM、−(OCHCH−O−(CH−SOMおよび−(OCHCH−O−(CH−OSOMが含まれ、ここで、これらの基の各々の個別のものは、これ自体採用して、好ましい場合がある。
【0026】
本発明に従って用いるべき式Iで表される化合物または本発明による式IIもしくはIIIで表される化合物の他の同様の好ましい群において、Xは、−NR3+、−PR3+
【化1】

式中、Rは、すべての所望の位置におけるHまたはC1〜4アルキルを意味し、
は、Cl、Br、I、CHSO、CFSO、CHPhSO、PhSOを意味し、
、RおよびRは、各々、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、Arまたは−CHArを意味し、
Arは、6〜18個のC原子を有し、ここでさらに、1つまたは2つのCH基がNにより置換されていてもよい、非置換の、または単置換もしくは多置換されている芳香環または縮合環系を意味する、
から選択されたカチオン性極性基を意味する。
【0027】
好ましいカチオン性基には、ここでは、特に、−NR3+および
【化2】

式中、これらの基の各々の個別のものは、これ自体採用して、好ましい場合がある、
が含まれる。
【0028】
本発明に従って用いるべき式Iで表される化合物または本発明による式IIもしくはIIIで表される化合物の他の好ましい群において、Xは、−Cl、−Br、−I、−(OCHCH−OH、−O−(グリコシド)、−(OCHCH−OCH−CHOH−CH−OH、−(OCHCH−OCHAr(−NCO)、−(OCHCH−OAr(−NCO)、−SiRZ、−SiR、−SiZ、−COZ、−(OCHCH−SOCH=CH、−SOZ、
【化3】

式中、mは、0〜1000の範囲からの整数を意味し、
nは、0または1を意味し、また
oは、1〜10の範囲からの整数を意味し、
pは、1または2を意味し、
およびRは、各々、互いに独立して、C1〜30アルキル、Arまたは−CHArを意味し、また
Arは、6〜18個のC原子を有し、ここでさらに、1つまたは2つのCH基がC=Oにより置換されていてもよい、非置換、単置換または多置換芳香環または縮合環系を意味し、また
グリコシドは、エーテル化された炭水化物、好ましくはモノ、ジ、トリまたはオリゴグルコシドを意味し、
すべてのZは、各々、互いに独立して、−H、−Cl、−F、−NR、−OR、−N−イミダゾリルを意味し、また
Yは、ClまたはFを意味する、
から選択された非イオン性極性基を意味する。
【0029】
好ましい非イオン性極性基には、ここでは、特に、−(OCHCH−OHおよび−O−(グリコシド)が含まれ、ここで、これらの基の各々の個別のものは、これ自体採用して、好ましい場合がある。
【0030】
さらに、Xが、−(OCHCHOCOCR=CH、−(OCHCH−OCR=CH
【化4】

式中、mは、0〜1000の範囲からの整数を意味し、RおよびRは、HまたはC1〜4アルキルを意味する、
から選択された重合性基を意味する、式I、IIまたはIIIで表される化合物が好ましい場合があり、または本発明に従って好ましく用いられ得る。これらの化合物を、好ましくは、対応する側鎖を有するポリマーに変換し、これをこれら自体、再び本発明の意味において用いてもよい。本発明はまた、これらのポリマーの使用に関する。
【0031】
さらに、Xが、アセチルジアミン類、N−アルキルアミノ酸類、ベタイン類、酸化アミン類または対応する誘導体の官能基から選択された両性基を意味する化合物が好ましい場合があり、または本発明に従って好ましく用いられ得る。この群の物質の好ましい化合物において、Xは、以下から選択された基である。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
特に好ましい化合物には、ここでは、以下の表中に示す化合物が含まれる:
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
【表8】

【0040】
【表9】

【0041】
【表10】

【0042】
【表11】

【0043】
【表12】

【0044】
【表13】

【0045】
【表14】

【0046】
【表15】

【0047】
【表16】

【0048】
【表17】

【0049】
【表18】

【0050】
【表19】

【0051】
【表20】

【0052】
【表21】

【0053】
【表22】

【0054】
本発明において界面活性剤として用いることができる化合物は、ここでは、例えば布地、紙、ガラス、多孔質建築用材料もしくは吸着剤の表面改質のための疎水化剤として、または特にフッ素重合体の調製のための界面メディエイターもしくは乳化剤として、または特に塗料、コーティングもしくは表面コーティングのための組成物における粘度低下剤もしくは乳化剤として、または特に「消火泡」として知られている組成物における泡安定剤として、または金属加工術において腐食性蒸気の逃散を防止するために電気メッキ槽を被覆するために、または写真フィルムおよび紙の生産における湿潤剤として、または自己光沢(self-gloss)エマルジョンにおける流動制御剤として、または消火剤として、および汚れ防止仕上げのために用いるのに、特に好適である。
【0055】
さらに、本発明において界面活性剤として用いることができる化合物は、特に布地の洗浄および清浄用途に適する。硬質表面の清浄および研磨はまた、本発明において界面活性剤として用いることができる化合物の用途の可能性のある領域である。さらに、本発明において界面活性剤として用いることができる化合物を、化粧品製品、例えば泡浴および頭髪シャンプーにおいて、またはクリームおよびローションにおける乳化剤として、有利に用いることができる。本発明において界面活性剤として用いることができる化合物の適用の他の領域は、浮遊選鉱、即ち使用済みの(dead)岩石からの鉱石および鉱物の回収および分離である。さらに、本発明において界面活性剤として用いることができる好ましい化合物をまた、食物における乳化剤として用いることができる。適用の他の分野は、金属処理における、革補助、構造化学としての、および作物保護におけるものである。
【0056】
本発明の界面活性剤は、さらにまた、抗菌活性成分として、特に抗菌性表面改質のための試薬として好適である。この使用について特に有利なのは、式IまたはIIまたはIIIで表され、式中Xがカチオン性極性基または重合性基を意味する化合物を用いることである。
【0057】
本発明に従って用いるべき化合物は、用いるために、通常適切に設計された組成物中に導入される。同様に本発明の主題である対応する組成物は、少なくとも1つの末端基Yを有し、ここでYがCFO−またはFS−を意味する少なくとも1種の界面活性化合物および、特定の用途に適する担体、および随意に他の特定の活性成分および随意に補助剤を含む。
【0058】
好ましい組成物は、ここで、塗料およびコーティング組成物、消火組成物、潤滑剤、洗浄および清浄組成物、デアイサーまたは布地仕上げもしくはガラス処理のための疎水化組成物である。本発明の好ましい変法において、組成物は、布地およびカーペットを仕上げるための疎水化組成物である。
【0059】
布地の疎水性仕上げのために、ポリシロキサン類、フッ素化炭化水素類またはアルミニウム塩もしくはジルコニウム塩のパラフィン類との混合物に基づく疎水化組成物が、一般的に用いられる(これに関して、“Handbuch der Textilhilfsmittel" [Handbook of Textile Assistants], A. Chwala, V. Anger, Verlag Chemie, New York 1977, Chapter 3.24 "Phobiermittel" [Phobicising Agents], 735頁以降を参照)。特に雨除け衣類における布地の疎水性仕上げは、後者を、撥水性または防水性のいずれかとする作用を奏する。疎水化組成物を、布地の繊維に適用し、ここでこれは、これ自体疎水性部分が繊維表面に垂直であるように配列する。このようにして、水による表面全体にわたり拡散する試行は、大幅に減少する。凝集力により、水は、球形の形状を採り、小球の形態で布地表面から流出する。
【0060】
本発明の組成物の適用の他の領域は、塗料およびコーティング組成物、消火組成物(粉末および泡)、潤滑剤、洗浄および清浄組成物並びにデアイサーである。
【0061】
本発明において用いるべき化合物を、文献から当業者に自体公知の方法により調製することができる。脂肪族OCF基を、例えばアルコールから、キサントゲン酸塩のフルオロ脱硫(fluorodesulfuration)により得ることができる(K. Kanie, Y. Tanaka, K. Suzuki, M. Kuroboshi, T. Hiyama, Bull. Chem. Soc. Jpn. 2000, 73, 471-484; P. Kirsch, Modern Fluoroorganic Chemistry: Synthesis, Reactivity, Applications, Wiley-VCH, Weinheim, 2004, 67頁以降、144頁以降)。従って、引用した参考文献中の前述の方法の対応する開示はまた、明白に、本出願の開示内容に属する。疎水性、アニオン性、カチオン性、反応性または重合性末端基の導入は、当業者に知られている方法により、対応するω−OCF−アルコールにより可能である。例を、以下のスキームに示す:
【0062】
【化5】

【0063】
【化6】

【0064】
【化7】

【0065】
脂肪族SF基を、例えば、末端二重結合上に、SFClまたはSFBrの遊離基付加反応により加えることができる。随意のその後の脱ハロゲン化水素および水素添加により、式IIIa、IIIbおよびIIIcによる末端基の変化が可能になる。これらの反応段階の最初の2つは、SF官能の存在下での接触水素添加(P. Kirsch, M. Bremer, M. Heckmeier, K. Tarumi, Angew. Chem. 1999, 111, 2174-2178; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1999, 38, 1989-1992)と同様に、文献(R. Winter, P.G. Nixon, G.L. Gard, D.H. Radford, N.R. Holcomb, D.W. Grainger, J. Fluorine Chem. 2001, 107, 23-30)に記載されている。従って、引用された参考文献中の前述の方法の対応する開示はまた、明白に、本出願の開示内容に属する。疎水性、反応性または重合性成分の導入は、当業者に知られている方法により、対応するω−SF−アルコールにより可能である。例を、以下のスキームにより明らかにする:
【0066】
【化8】

【0067】
【化9】

【0068】
【化10】

【0069】
好適な溶媒および反応条件の選択により、当業者に、困難を完全に提示しない(Organikum: Organisch-Chemisches Grundpraktikum [Practical Organic Chemistry: A Basic Course], 第16版、VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin, 1986)。
【0070】
従って、本発明はさらに、式Iで表される化合物の調製方法であって、先ず、式IV
Y−スペーサー−OH IV
で表される化合物を調製し、次に、式Iで表される化合物中のXがOH以外である場合には、OH基を自体公知の方法において修飾することにより、式Iで表される化合物に変換することを特徴とする、前記方法、
【0071】
式IIaで表される化合物の調製方法であって、先ず、式V
CO−(CH−OH V
で表される化合物を、保護されたジオールを保護されたモノトリフルオロメトキシアルコールに変換し、続いて脱保護することにより調製し、次に、式Iaで表される化合物中のXがOH以外である場合には、OH基を自体公知の方法において修飾することにより、式IIaで表される化合物に変換することを特徴とする、前記方法および、
【0072】
式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物の調製方法であって、先ず、式IIIbで表され、式中XがOHを意味する化合物を調製し、式IIIaまたはIIIcで表される化合物を調製するべきである場合には、ハロゲン化水素の脱離により反応させ、式IIIaで表される化合物を調製するべきである場合には、その後水素添加を行い、その後、式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物中のXがOH以外である場合には、生成物を、OH基を自体公知の方法において修飾することにより式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物に変換することを特徴とする、前記方法に関する。
【0073】
以下の例は、本発明を、保護の範囲を制限せずに一層詳細に説明する。特に、例中に記載した、関連する例が基づく化合物の特徴、特性および利点はまた、他の箇所に他に述べない限りは、詳細には述べていないが、保護の範囲内にある他の物質および化合物に適用可能である。他の点では、本発明を、クレームされた範囲全体において行うことができ、本明細書中に述べる例には限定されない。
【0074】

用いる略語の列挙:
Bn:ベンジル
DBH:1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン
DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン
Me:メチル
THF:テトラヒドロフラン
【0075】
例1:ω−トリフルオロメトキシアルカノール類
【化11】

1b:200mlのTHF中の80mmolの1aを、95mmolのNaHを400mlのTHFに懸濁させた懸濁液に、0℃で滴加する。混合物を、40℃で3時間加熱し、再び0℃に冷却し、160mmolのCSを滴加する。混合物をRTでさらに1時間攪拌した後に、95mmolのMeIを、0℃で滴加する。混合物を、RTで18時間攪拌し、これに慣用の水性精製操作(work-up)を施し、シリカゲル上でクロマトグラフィー分離する。
【0076】
1c:20mlの70%HF/ピリジンを、−78℃で、30mmolのDBH(1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン)を30mlのCHClに懸濁させた懸濁液に、テフロン(登録商標)フラスコ中でゆっくりと加える。10mmolの1bを30mlのCHClに溶解した溶液を、この混合物に、−78℃で滴加する。混合物を、−78℃で30分間攪拌し、次に放置して0℃とし、NaHSO溶液を用いて加水分解する。混合物に、水性精製操作を施し、シリカゲル上でクロマトグラフィー分離する。
【0077】
1d:400mlのTHF中の20mmolの1cを、2gの5%Pd/Cの存在下で、RTおよび4barの圧力で、水素の吸収が完了するまで水素添加する。触媒を、セライト(Celite)を介して濾別し、生成物を、分別蒸留により精製する。
対応する誘導体を、出発物質のアルキル鎖の長さを変化させて調製することができる。
【0078】
例2:ω−ペンタフルオロスルフラニルアルカノール類
【化12】

2aおよび2bを、R. Winter, P.G. Nixon, G.L. Gard, D.H. Radford, N.R. Holcomb, D.W. Grainger, J. Fluorine Chem. 2001, 107, 23-30における手順に従って調製する。
【0079】
2c:400mlのTHF中の20mmolの2bを、2gの5%Pd/Cの存在下で、RTおよび大気圧で、水素の吸収が完了するまで水素添加する。触媒を、セライトを介して濾別し、生成物を、分別蒸留により精製する。
対応する誘導体を、出発物質のアルキル鎖の長さを変化させて調製することができる。
【0080】
例3:末端トリフルオロメトキシおよびペンタフルオロスルフラニル基を有する界面活性物質
【化13】

4:120mmolのPBrを、100mmolの3を200mlのトルエンに溶解した溶液に氷冷しながら加え、混合物を、還流において3時間加熱する。混合物を放冷し、これに慣用の水性精製操作を施す。粗製の生成物を、蒸留により精製する。
5:10mmolの4および30mlのピリジンの混合物を、沸騰させながら2時間加熱する。この混合物を、減圧下で蒸発させ、残留物を、ジエチルエーテルを用いて沈殿させる。
【0081】
6:100mmolの3、100mmolのアクリル酸、105mmolのジシクロヘキシルカルボジイミドおよび5mmolのDMAPを300mlのTHFに溶解した溶液を、RTで18時間攪拌する。この混合物を、水中に注入し、これに慣用の水性精製操作を施す。粗製の生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(ペンタン)により精製する。
7:100mmolの4および150mmolのジシクロヘキシルアミンの混合物を、180℃で18時間加熱する。生成物を、終了時に減圧下および上昇温度で蒸留して分離する。粗製の生成物を、分別蒸留により精製する。
【0082】
8:1mlのイソプロパノール中の16mgのHPtCl・6HOを、10mmolの7および20mmolのトリエトキシシランを80mlのCHClに溶解した溶液に加え、混合物を、RTで4日間攪拌する。反応が完了した際に、生成物を、蒸留により精製する。
対応する誘導体を、出発物質のアルキル鎖の長さを変化させて調製することができる。
【0083】
例4:
5−ペンタフルオロスルフラニルペンタノールの反応により、例3と同様に、対応するペンタフルオロスルフラニル誘導体を得る。対応する誘導体を、出発物質のアルキル鎖の長さの変化により調製することができる。
【0084】
例5:ω−トリフルオロメトキシアルカンスルホン酸塩
例5a:メチルジチオカルボン酸10−ブロモデシルの合成:
【化14】

200mlのテトラヒドロフラン(THF)+10.15gのNaH(253mmol、1.2当量)を、窒素を流した1lの4つ首ガラス装置中に導入し、−25℃に冷却する。100mlのTHFと混合した50gの6−ブロモ−1−デカノール(211mmol、1当量)を、冷却しながら滴加する。混合物を、RTでさらに120分間攪拌し、その後再び−25℃に冷却する。二硫化炭素(32.1g;421.6mmol;2当量)を滴加し、その後混合物を、0℃でさらに2.5時間攪拌する。ヨウ化メチル(35.9g;253mmol;1.2当量)を、−20℃で冷却しながら滴加する。反応混合物を、ゆっくりと加温してRTにし、さらに24時間攪拌する。10%のNHCl溶液(200ml)を用いて反応停止した後に、相を分離し、有機相を洗浄し、蒸発乾固させる。
【0085】
例5b:1−ブロモ−10−トリフルオロメトキシデカンの合成:
【化15】

200ml(7250mmol、61当量)のHF/ピリジン(65〜70%)を、−76℃で、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(102g;119mmol;3当量)を420mlのジクロロメタンに懸濁させた懸濁液に滴加し、攪拌を継続する。次に、例5aからのキサントゲン酸塩(37g;118.9mmol;1当量)を、50mlのジクロロメタン中に滴加する。反応混合物を、RTで12時間攪拌する。水性KOH溶液を用いてpH=10に合わせる。反応混合物を、水およびメチルt−ブチルエーテルで希釈し、その後濾過する。有機相を乾燥し、ヘプタンを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製する。
【0086】
例5c:10−トリフルオロメトキシデカン−1−スルホン酸の合成:
【化16】

6.8gの例5bからの臭化物(22.35mmol)および3.7g(29mmol;1.3当量)の亜硫酸ナトリウムを、40mlの脱イオン水および40mlのエタノールに250mlの1つ首フラスコ中で溶解し、混合物を、100℃で20時間加熱する。冷却した反応混合物を、メチルt−ブチルエーテル/ヘプタン(1:1)で抽出する。水性相を酸性化し(pH=0)、メチルt−ブチルエーテルで抽出する。混ぜ合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。
【0087】
例5d:10−トリフルオロメトキシデカン−1−スルホン酸ナトリウムの合成:
【化17】

1.15g(28.8mmol;1.3当量)のNaOHを、60mlのエタノールに溶解し、RTで例5cからのスルホン酸(6.8g;22.2mmol;1当量)に加える。1時間還流させた後に、無色固体を得る。
種々のアルキレン鎖の長さを有するスルホン酸塩類を、一般的に例5と同様にして得ることができる。
【0088】
例6:ω−ペンタフルオロスルフラニル−(ω−1)−クロロヘプタン−1−スルホン酸塩
例6a:1−ブロモ−6−クロロ−7−(ペンタフルオロスルフラニル)ヘプタンの合成:
【化18】

10g(56.5mmol;1当量)の7−ブロモヘプテンを、170mlのジクロロメタンに溶解し、−40℃に冷却する。SFClを、コールドトラップ中で凝縮し、装置中にガスで通過させる。活性化のために、2mlの1MのEtB溶液を加える。バッチは、ガスを導入した際に黄色であり、EtBを加えた後に無色になる。添加を、バッチがもはや無色にならなくなるまで繰り返す。その後、反応混合物を、さらに2時間攪拌する。反応混合物を加水分解し、pH=10に調整する。有機相を洗浄し、乾燥する。
【0089】
例6b:6−クロロ−7−(ペンタフルオロスルフラニル)ヘプタン−1−スルホン酸の合成:
【化19】

10g(29.4mmol;1当量)の例6aからの生成物および3.72g(38.3mmol;1.3当量)の亜硫酸ナトリウムを、50mlの脱イオン水および50mlのエタノールに、250mlの1つ首フラスコ中で溶解し、100℃で15時間加熱する。冷却後、反応混合物を、メチルt−ブチルエーテルおよびヘプタンの1:1混合物で抽出する。水性相を酸性化し、メチルt−ブチルエーテルで抽出する。混ぜ合わせた有機相を洗浄し、蒸発乾固させる。
【0090】
例6c:6−クロロ−7−(ペンタフルオロスルフラニル)ヘプタン−1−スルホン酸ナトリウムの合成:
【化20】

10g(29.35mmol;1当量)の例6bからのスルホン酸を、130mlのエタノールに懸濁させ、1.4g(35.22mmol;1.2当量)の水酸化ナトリウムを加える。反応混合物を、還流下で1時間加熱する。固体を、RTで濾別する。
【0091】
例7:7−(ペンタフルオロスルフラニル)ヘプト−6−エン−1−スルホン酸ナトリウムの合成:
【化21】

10g(29.35mmol;1当量)の例6bからのスルホン酸を、400mlのテトラヒドロフランに500mlのフラスコ中で懸濁させ、11.74g(293.5mmol;10当量)の水酸化ナトリウムを、その後加える。反応混合物を、還流下で10時間加熱し、冷却し、酸性化し、スルホン酸を水性相から、メチルt−ブチルエーテルでの繰り返しの抽出により分離する。その後、有機相を洗浄し、蒸発乾固させる。粗製のスルホン酸を、100mlのエタノールに懸濁させ、1.4g(35.22mmol;1.2当量)の水酸化ナトリウムを加え、混合物を、97℃で1時間加熱する。懸濁液を冷却した後、結晶が析出し、これを濾別し、乾燥する。
【0092】
例8:生化学的分解性の決定
化合物の生化学的分解性を、Zahn-Wellens試験により、European Commission: Classification, Packaging and Labelling of Dangerous Substances in the European Union, Part II - Test Methods, Annex V - Methods for the Determination of Physico-Chemical Properties, Toxicity and Ecotoxicity, Part B, Biochemical Degradability - Zahn-Wellens Test (C.9.), 1997年1月、353〜357頁による刊行に従って決定する。
バッチ容積:1.5l
活性化されたスラッジ濃度:1gの固体/l
スラッジの起源:Merck KGaA処理プラント、Darmstadt(改作していない)
用いる試験物質の量:DOCとして約100〜200mg/l
通気:精製空気を用いる
試料の精製操作:濾過(中程度−硬質フィルター)
DOCの決定:Dimatec機器を用いた差分法による
【0093】
方法についてのさらなる詳細を、前述の刊行から、またはまたOECD guideline for the testing of chemicals, 第3章、degradation and accumulation, 方法302B、1〜8頁、1992年7月17日採用から得ることができ、これらの内容は、この点に関して、本出願の開示内容に明白に属する。
【0094】
化合物の分解に加えて、フッ素含有基の分解をまた、当該試験において、フッ化物決定により自体観察する:
方法:イオンクロマトグラフィー
機器:Dionex 120
検出器タイプ:導電性検出器
カラム:AS9HC
溶離剤:炭酸ナトリウム溶液、9mmol/l
流量:1ml/分
文献:EN ISO 10304-2
【0095】
例5からの10−トリフルオロメトキシデカン−1−スルホン酸ナトリウムを、調査する。測定値を、以下の表に示し、図1にグラフ的に表す。
【表23】

【0096】
当該化合物は、フッ素化されたCFO基の関与を伴う実験条件下で生物学的に分解されることが、明らかである。
【0097】
例9:表面張力の決定:
機器:Kruess張力計(モデルK12)
測定溶液の温度:20℃
用いる測定モジュール:環
測定溶液の濃度:脱イオン水中約0.5〜3.0g/l
【0098】
方法についてのさらなる詳細を、European Commission: Classification, Packaging and Labelling of Dangerous Substances in the European Union, Part II - Test Methods, Annex V - Methods for the Determination of Physico-Chemical Properties, Toxicity and Ecotoxicity, Part A, Surface Tension (A.5), 1997年1月、51〜57頁により刊行から、およびOECD Guideline for the Testing of Chemicals, 第1章、Physical-Chemical Properties, 方法115、1〜7頁、1995年7月27日採用から得ることができ、これらの内容は、この点に関して、本出願の開示内容に明白に属する。
【0099】
例5からの10−トリフルオロメトキシデカン−1−スルホン酸ナトリウムを、古典的な炭化水素界面活性剤のデカンスルホン酸ナトリウムと比較して調査する。測定値を、以下の表に示し、図2にグラフ的に表す。
【表24】

【0100】
本発明の界面活性剤は、炭化水素界面活性剤と比較して顕著に低い濃度において同一の表面張力をもたらすことが、明らかである。さらに、曲線からの推定により、本発明の界面活性剤についての最終的な値はまた、炭化水素界面活性剤についてよりも顕著に低いことが、示唆される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】例8による、Zahn-Wellens試験(DOC値)および試験中のフッ化物遊離における10−トリフルオロメトキシデカン−1−スルホン酸ナトリウムの生化学的分解性を示す図である。
【図2】例9による、10−トリフルオロメトキシデカン−1−スルホン酸ナトリウムおよびデカンスルホン酸ナトリウムについての界面活性剤濃度の関数としての、水の表面張力の変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
YがCFO−またはFS−を意味する末端基Yの、界面活性化合物における疎水性末端基としての使用。
【請求項2】
界面活性化合物における末端基Yが、飽和の、または不飽和の、分枝状または非分枝状炭化水素単位に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
末端基Yが、界面活性化合物において多数回出現し、界面活性化合物が、好ましくはオリゴマーまたはポリマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
末端基Yが、界面活性化合物において1回、2回または3回のみ出現し、界面活性化合物が、好ましくは式I
Y−スペーサー−X I
式中、
−Yは、CFO−またはFS−を意味し、
−スペーサーは、飽和の、または不飽和の、分枝状または非分枝状炭化水素単位を意味し、
−Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味する、
で表される低分子量化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
末端基Yが、式Ia、IbまたはIc
Y−(CH−X Ia
Y−CH−CH(Hal)−(CH(n−1)−X Ib
Y−CH=CH−(CH(n−1)−X Ic
式中、Yは、CFO−またはFS−を意味し、
nは、1〜30の範囲からの整数を意味し、
Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味し、
(Hal)は、F、Cl、BrまたはIを意味する、
で表される化合物および式Ia、IbまたはIcで表される化合物の対応する塩中に存在することを特徴とする、請求項1、2または4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
界面活性化合物を界面活性剤として用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
界面活性化合物を疎水化剤として用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
界面活性化合物を界面メディエイターとして用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
界面活性化合物を、特に塗料、コーティングまたは表面コーティングのための組成物における粘度低下剤として用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
界面活性化合物を、特に消化泡における泡安定剤として用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
界面活性化合物を、特にフッ素重合体の調製のための乳化剤として用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
界面活性化合物を、抗菌性活性成分として、特に抗菌性表面改質のための試薬として用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
Xが、−COOM、−SOM、−OSOM、−PO、−OPO、−(OCHCH−O−(CH−COOM、−(OCHCH−O−(CH−SOM、−(OCHCH−O−(CH−OSOM、−(OCHCH−O−(CH−PO、−(OCHCH−O−(CH−OPOから選択されたアニオン性極性基を意味し、
式中、Mが、Hまたはアルカリ金属イオン、好ましくはLi、NaもしくはKまたはNHを意味し、
mが、1〜1000の範囲からの整数を意味し、また
oが、1、2、3または4から選択された整数を意味する
ことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
Xが、−NR3+、−PR3+
【化1】

式中、Rは、すべての所望の位置におけるHまたはC1〜4アルキルを意味し、
は、Cl、Br、I、CHSO、CFSO、CHPhSO、PhSOを意味し、
、RおよびRは、各々、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、Arまたは−CHArを意味し、
Arは、6〜18個のC原子を有し、ここでさらに、1つまたは2つのCH基がNにより置換されていてもよい、非置換の、または単置換もしくは多置換されている芳香環または縮合環系を意味する、
から選択されたカチオン性極性基を意味することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
Xが、−Cl、−Br、−I、−(OCHCH−OH、−O−(グリコシド)、−(OCHCH−OCH−CHOH−CH−OH、−(OCHCH−OCHAr(−NCO)、−(OCHCH−OAr(−NCO)、−SiRZ、−SiR、−SiZ、R−COZ、−(OCHCH−SOCH=CH −SOZ、
【化2】

式中、mは、0〜1000の範囲からの整数を意味し、
nは、0または1を意味し、また
oは、1〜10の範囲からの整数を意味し、
pは、1または2を意味し、
およびRは、各々、互いに独立して、C1〜30アルキル、Arまたは−CHArを意味し、また
Arは、6〜18個のC原子を有し、ここでさらに、1つまたは2つのCH基がNにより置換されていてもよい、非置換の、または単置換もしくは多置換されている芳香環または縮合環系を意味し、また
グリコシドは、エーテル化された炭水化物、好ましくはモノ、ジ、トリまたはオリゴグルコシドを意味し、
すべてのZは、各々、互いに独立して、−H、−Cl、−F、−NR、−OR、−N−イミダゾリルを意味し、また
Yは、ClまたはFを意味する、
から選択された非イオン性極性基を意味することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
Xが、−(OCHCHOCOCR=CH、−(OCHCH−OCR=CH
【化3】

式中、mは、0〜1000の範囲からの整数を意味し、RおよびRは、HまたはC1〜4アルキルを意味する、
から選択された重合性基を意味することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
Xが、アセチルジアミン類、N−アルキルアミノ酸類、ベタイン類、酸化アミン類またはこれらの対応する誘導体の官能基から選択された両性基を意味することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
式IIa、IIbまたはIIc
CFO−(CH−X IIa
CFO−CH−CH(Hal)−(CH(n−1)−X IIb
CFO−CH=CH−(CH(n−1)−X IIc
式中、
nは、1〜30の範囲からの整数を意味し、
Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味し、
(Hal)は、F、Cl、BrまたはIを意味する、
で表される化合物および式IIa、IIbまたはIIcで表される化合物の対応する塩であって、CF−O−CH−COOHが除外される、前記化合物および塩。
【請求項19】
式IIIa、IIIbまたはIIIc
S−(CH−X IIIa
S−CH−CH(Hal)−(CH(n−1)−X IIIb
S−CH=CH−(CH(n−1)−X IIIc
式中、
nは、1〜30の範囲からの整数を意味し、
Xは、カチオン性の、非イオン性の、両性の、またはアニオン性の極性基または重合性基を意味し、
(Hal)は、F、Cl、BrまたはIを意味する、
で表される化合物および式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物の対応する塩であって、MがHまたはアルカリ金属イオン、好ましくはLi、NaもしくはKまたはNHを意味し、XがOH、OC(=O)CH、Br、C(=O)OC、C(=O)CHを意味する化合物FS−(CH−COM、FS−(CH−COM、FS−(CH−SOM、FS−(CH−SOM、FS−(CH−CONH、FS−(CH−OH、FS−(CH−OHおよびFS−CH−CHCl−(CH−Xが除外される、前記化合物および塩。
【請求項20】
Xが、−COOM、−SOM、−OSOM、−PO、−OPO、−(OCHCH−O−(CH−COOM、−(OCHCH−O−(CH−SOM、−(OCHCH−O−(CH−OSOM、−(OCHCH−O−(CH−PO、−(OCHCH−O−(CH−OPOから選択されたアニオン性極性基を意味し、
式中、Mが、Hまたはアルカリ金属イオン、好ましくはLi、NaもしくはKまたはNHを意味し、
mが、1〜1000の範囲からの整数を意味し、また
oが、1、2、3または4から選択された整数を意味する
ことを特徴とする、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項21】
Xが、−NR3+、−PR3+
【化4】

式中、Rは、すべての所望の位置におけるHまたはC1〜4アルキルを意味し、
は、Cl、Br、I、CHSO、CFSO、CHPhSO、PhSOを意味し、
、RおよびRは、各々、互いに独立して、H、C1〜30アルキル、Arまたは−CHArを意味し、また
Arは、6〜18個のC原子を有し、ここでさらに、1つまたは2つのCH基がNにより置換されていてもよい、非置換の、または単置換もしくは多置換されている芳香環または縮合環系を意味する、
から選択されたカチオン性極性基を意味することを特徴とする、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項22】
Xが、−Cl、−Br、−I、−(OCHCH−OH、−O−(グリコシド)、−(OCHCH−OCH−CHOH−CH−OH、−(OCHCH−OCHAr(−NCO)、−(OCHCH−OAr(−NCO)、−SiRZ、−SiR、−SiZ、−COZ、−(OCHCH−SOCH=CH −SOZ、
【化5】

式中、mは、0〜1000の範囲からの整数を意味し、
nは、0または1を意味し、また
oは、1〜10の範囲からの整数を意味し、
pは、1または2を意味し、
およびRは、各々、互いに独立して、C1〜30アルキル、Arまたは−CHArを意味し、また
Arは、6〜18個のC原子を有し、ここでさらに、1つまたは2つのCH基がNにより置換されていてもよい、非置換の、または単置換もしくは多置換されている芳香環または縮合環系を意味し、また
グリコシドは、エーテル化された炭水化物、好ましくはモノ、ジ、トリまたはオリゴグルコシドを意味し、
すべてのZは、各々、互いに独立して、−H、−Cl、−F、−NR、−OR、−N−イミダゾリルを意味し、また
Yは、ClまたはFを意味する、
から選択された非イオン性極性基を意味することを特徴とする、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項23】
Xが、−(OCHCHOCOCR=CH、−(OCHCH−OCR=CH
【化6】

式中、mは、0〜1000の範囲からの整数を意味し、RおよびRは、HまたはC1〜4アルキルを意味する、
から選択された重合性基を意味することを特徴とする、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項24】
Xが、アセチルジアミン類、N−アルキルアミノ酸類、ベタイン類、酸化アミン類またはこれらの対応する誘導体の官能基から選択された両性基を意味することを特徴とする、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項25】
nが、4〜28の範囲からの、好ましくは8〜24の範囲からの数を意味することを特徴とする、請求項18〜24のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
式Iで表される化合物の調製方法であって、先ず、式IV
Y−スペーサー−OH IV
で表される化合物を調製し、次に、式Iで表される化合物中のXがOH以外である場合には、OH基を自体公知の方法において修飾することにより、式Iで表される化合物に変換することを特徴とする、前記方法。
【請求項27】
式IIaで表される化合物の調製方法であって、先ず、式V
CO−(CH−OH V
で表される化合物を、保護されたジオールを保護されたモノトリフルオロメトキシアルコールに変換し、続いて脱保護することにより調製し、次に、式Iaで表される化合物中のXがOH以外である場合には、OH基を自体公知の方法において修飾することにより、式IIaで表される化合物に変換することを特徴とする、前記方法。
【請求項28】
式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物の調製方法であって、先ず、式IIIbで表され、式中XがOHを意味する化合物を調製し、式IIIaまたはIIIcで表される化合物を調製するべきである場合には、ハロゲン化水素の脱離により反応させ、式IIIaで表される化合物を調製するべきである場合には、その後水素添加を行い、その後、式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物中のXがOH以外である場合には、生成物を、OH基を自体公知の方法において修飾することにより式IIIa、IIIbまたはIIIcで表される化合物に変換することを特徴とする、前記方法。
【請求項29】
少なくとも1つの末端基Yを有し、ここでYがCFO−またはFS−を意味する少なくとも1種の界面活性化合物および、特定の用途に適する担体、および随意に他の特定の活性成分を含む、組成物。
【請求項30】
組成物が、塗料もしくはコーティング組成物、消火組成物、潤滑剤、洗浄もしくは清浄組成物、デアイサーまたは布地仕上げもしくはガラス処理のための疎水化組成物であることを特徴とする、請求項29に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−526792(P2008−526792A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549816(P2007−549816)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013859
【国際公開番号】WO2006/072401
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】