説明

フルバスタチンナトリウム結晶形XIV、LXXIII、LXXIX、LXXX及びXXXVII型、それらの調製方法、それらを含有する組成物及びそれらの使用方法

フルバスタチンナトリウムの多形形態及びそれらを調製するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年6月18日付けの米国仮出願第60/479,182号;2003年6月30日付けの第60/483、099号;2003年7月10日付けの第60/485、748号;2003年8月11日付けの第60/493,793号;2003年10月3日付けの第60/507,954号及び2004年2月19日付けの第60/545、466号の利益を主張するものであり、これらは引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、抗高コレステロール血症及び抗脂血症作用物質であるフルバスタチン及び、より具体的にはその一ナトリウム塩の特性に関する。
【背景技術】
【0003】
筋梗塞、卒中、及び末梢血管疾患といった心臓血管疾患の合併症は、米合衆国における死因の半分を占めている。血流中の高レベル低密度リポタンパク質(LDL)は、血液の流れを妨害し、破断しかつ血栓症を誘発する可能性のある冠動脈病変の形成と密接に関係することが指摘されてきている。Goodman及びGilman、治療に関する薬理学的基礎879(第9版、1996年)。血漿LDLレベルを低下させると、心臓血管疾患を患う患者及び心臓血管疾患は無いが高コレステロール血症を患う患者における臨床兆候のリスクが低下することが示されてきた。スカンジナビア・シンバスタチン生存率調査グループ、1994年;脂質研究臨床プログラム、1984a、1984b。
【0004】
スタチン系薬剤は、心臓血管疾患を発症するリスクのある患者の血流中でLDLレベルを低下させるために利用できる治療的有効性が現在最も高い薬剤である。この種類の薬剤として、特に、コンパクチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン及びフルバスタチンが挙げられる。スタチン系薬剤の作用機序は、幾分か詳細に解明されてきた。該薬剤は、コレステロール及びその他のステロールの肝臓中での合成を3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−補酵素Aレダクターゼ酵素(「HMG−CoAレダクターゼ」)を競合的に阻害することによって中断させる。HMG−CoAレダクターゼは、コレステロールの生合成中における律速段階であるHMG−CoAからメバロン酸塩への変換を触媒する。その結果、この阻害が肝臓中のコレステロールの形成速度の低下を導く。
【0005】
[R*,S*−(E)]−(±)−7−[3−(4−フルオロフェニル)−1−(1−メチルエチル)−1H−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸はスタチン系薬剤である。これは、フルバスタチンという慣用名で知られており、遊離酸の形で描かれている下記の分子構造式(I)を有する:
【0006】
【化1】

【0007】
フルバスタチンはLescol(登録商標)の商品名で市販されている。フルバスタチンは、20及び40mgのフルバスタチン当量を含有するカプセルの形及び80mgのフルバスタチン当量を含有する徐放性錠剤の形で一ナトリウム塩として提供されている。フルバスタチン及びそのナトリウム塩は、米国特許第4,739,073号明細書中に記述されている。’073号特許の実施例6(a)では、(±)フルバスタチンのメチルエステル前駆体がメタノール中の水酸化ナトリウムで加水分解され、メタノールの蒸発の後に粗製フルバスタチンナトリウムが産生された。実施例6(b)では、フルバスタチンメチルエステルはエタノール中の水酸化ナトリウムで加水分解された。エタノールの蒸発の後に、残渣は水中に取り込まれ凍結乾燥された。凍結乾燥された生成物は、194℃〜197℃の融点範囲を有していた。実施例8では、ナトリウム塩は実施例6(b)に記述されているとおり、エタノール中の水酸化ナトリウムを用いたフルバスタチンラクトンの開環により調製された。実施例8の生成物は、3413、2978、2936、1572及び1216cm-1に吸収帯を有するKBrペレット中で赤外線スペクトルを生成した。
【0008】
米国特許第6,124,340号明細書によると、前記’073特許の実施例6(b)及び8で実施されたとおりのフルバスタチンナトリウムの凍結乾燥は、固体フルバスタチンナトリウムを、A型と呼称されている結晶形と無定形物質との混合物として生成する。該’340特許は、低い吸湿性及び光安定性を持つといわれているフルバスタチンナトリウムのもう一つの結晶形の分光学的特性を示している。このもう一つの型は、該’340特許中ではB型と呼ばれている。これは、3343、2995、1587、1536、1386、1337、1042及び1014cm-1に吸収帯を有する赤外線スペクトル及び下記の粉末X線回折のピーク位置及び強度を特徴とする。
【0009】
【表1】

【0010】
フルバスタチンナトリウムA型は、下記の粉末X線回折のピーク位置及び強度を持つといわれている。
【0011】
【表2】

【0012】
米国特許出願公開公報第2003/0032666号は、C、D、E及びF型と呼ばれているフルバスタチン一ナトリウムの4つの結晶形の存在を報告している。前記の型の含水量は、3〜32%の範囲内にある。フルバスタチンナトリウムの新規結晶形は、20〜90%の相対湿度範囲の雰囲気下で試料を保管することによって得られた。
【0013】
該’666号公開公報によると、フルバスタチンナトリウム型Cの該PXRDパターンは、下記のd−値及び定性的強度に特徴的なピークを有している。
【0014】
【表3】

表中、(vs)=非常に高い強度;(s)=高い強度;(m)=中庸な強度;(w)=低い強度;及び(vw)=非常に低い強度。
【0015】
該’666公開公報によると、フルバスタチンナトリウムD型のPXRDパターンは、下記のd−値及び定性的強度に特徴的なピークを有している。
【0016】
【表4】

【0017】
該’666公開公報によると、フルバスタチンナトリウムE型のPXRDパターンは、下記のd−値及び定性的強度に特徴的なピークを有している。
【0018】
【表5】

【0019】
該’666公開公報によると、フルバスタチンナトリウムF型のPXRDパターンは、下記のd−値及び定性的強度に特徴的なピークを有している。
【0020】
【表6】

【0021】
国際公開第WO02/36563号パンフレットが、鏡像異性体的に純粋な[3R,5S]及び[3S,5R]フルバスタチンナトリウム結晶形を開示していることも指摘しておくべきであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、同様に、フルバスタチンナトリウム及びそれが凝縮相中で呈する可能性のある特性にも関する。異なる結晶形(多形)の発生は、一部の分子及び分子複合体の特性である。構造式(I)のフルバスタチンのような単一分子、又はフルバスタチンナトリウムのような塩複合体は、融点、X線回折パターン、赤外線吸収指紋及びNMRスペクトルなどのような全く異なる物理特性を有する多様な固体を生じさせ得る。結晶形は、無定形材料又はもう一つの結晶形のものとは異なる熱挙動を生じさせる可能性がある。熱挙動は、毛細管融点、熱重量分析(「TGA」)及び示差走査熱力測定(「DSC」)といった技術により実験室内において測定され、一部の多形を他のものから区別するために使用することができる。異なる結晶形の物理特性における該差異は、分子バルク固体中の近隣分子(複合体)の配向及び分子間相互作用の結果である。従って、多形体は、同一の分子構造式を共用するが同時に多形体ファミリー中の他の形態に比較して全く異なる有利及び/又は不利な物理特性を有する、全く異なる固体である。これらの特性は、塩が固体の形で得られる条件を制御することによって影響される可能性がある。
【0023】
典型的な固体の物性には、粉砕固体の流動性が含まれる。流動性は、医薬品に加工する間の材料の取り扱い易さに影響を及ぼす。該粉末状化合物の粒子が相互に通過しながら容易に流動しない場合、製剤学者は、錠剤又はカプセル製剤の開発にあたりかかる事実を考慮に入れなければならず、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン又は第三リン酸カルシウムといった流動促進剤を利用する必要があるかもしれない。
【0024】
医薬多形体の最も重要な物理特性の一つは、水溶液中でのその溶解度であり、特に患者の胃液中でのその溶解度である。例えば、消化管を通しての吸収が緩慢である場合、患者の胃腸内条件に対して不安定な薬剤は、有害な環境内に蓄積しないよう、緩慢に溶解することが望ましい場合が多い。一方、スタチン系薬剤の場合がそうであるように、薬剤の有効性が薬剤のピーク血流レベルと相関関係を有する場合、該方法は有利ではない。スタチン系薬剤では、薬剤がGI(胃腸)系により急速に吸収されることを条件として、より急速に溶解する形態の方が、より緩慢に溶解する形態の匹敵する量に比べてより高い有効性を呈する確率が高い。
【0025】
往々にして1つの化合物の最も急速に溶解する固体状態は、無定形である。無定形形態は、結晶形には存在する分子間安定化相互作用の多くを有していないために、結晶形よりも安定性が低いことが多い。従って無定形形態では、化合物を溶液にする場合に分子間安定化相互作用を壊してはならず、溶解速度が遅れることはない。結晶形より急速に溶解するものの、化合物の無定形形態は不利には点を有する可能性がある。化合物は、それが無定形状態の場合に、同一化合物の結晶形より吸湿性が高いことが多い(但し、結晶の外部の水分密度変化に応答して結晶に水を出入りさせる広いチャネルを結晶が有している場合など、例外は数多くある)。水は、薬剤の安定性問題に関与してきた。例えば、アスピリンの古い瓶を開けたときの特徴的な酸臭に導くアスピリンの分解は、水により触媒される加水分解反応である。かくして、薬剤としての使用を目的とし、かつ梱包から使用まで長時間にわたる保管の可能性がある化合物の固体形態を選択する場合は、水に対して低い浸透性を有する形態を選択することが賢明である。フルバスタチン−ナトリウムのケースでは、米国特許第 4,739,073号明細書中の下記の手順により得られた塩の部分的に結晶性で部分的に無定形である形態よりも吸湿性が.低いといわれているB型と呼称されている結晶形がすでに発見されている。
【0026】
今までのところ、ラセミ型フルバスタチンナトリウムの全く異なる結晶形が6つの報告されており、それらのうちの1つ以上は該化合物の発見者が当初報告した固体形態よりも吸湿性が低いといわれているものの、フルバスタチンナトリウムのさらに別の結晶形の発見が望まれる。医薬として有用な化合物の新しい結晶形及び溶媒和物の発見は、製剤学者が創薬のために利用できる材料のレパートリーを拡大することによって医薬品の性能特性を改善する新たな機会を提供する。例えば、低い吸湿性、標的の放出プロファイル、一貫性のある投与(タブレット用ダイ内への錠剤化組成物の良好な流れによって可能になる)、又はその他の所望の特性を備えた薬剤の医薬剤形を設計するために新しい結晶形利用することが可能である。フルバスタチンの新しい多形形態及び溶媒和物が現在発見されている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
一つの態様において、本発明は、3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とするフルバスタチンナトリウムの結晶形(XIV型)を提供している。一つの実施形態において、結晶形は12.4±0.2度2シータにピークを有している。
【0028】
別の態様において、本発明は、(a)トルエンとC5〜C7の飽和炭化水素の混合物中にフルバスタチンナトリウムを懸濁させてスラリーを形成させる段階、(b)スラリーを維持してフルバスタチンナトリウムのXIV型を得る段階、及び(c)フルバスタチンナトリウムのXIV型を分離する段階を含んで成る、フルバスタチンナトリウムXIV型の結晶形を調製するための方法を提供している。
【0029】
別の態様において、本発明は、(a)エタノール、水とエタノールの混合物、プロパン−2−オ−ル及びプロパン−2−オ−ルと水の混合物、プロパン−1−オ−ルと水の混合物並びにTHFと水の混合物から成る群から選択される溶媒系中に約1モル当量の水酸化ナトリウムを含む溶液中にフルバスタチンの低級アルキルエステルエステルを溶解させる段階、(b)(i)溶液をアセトニトリル、ヘキサン、ジクロロメタン及びメチルtert−ブチルエーテルから成る群から選択される貧溶媒と混合する技術、(ii)溶液を冷却する技術、及び(iii)アセトニトリル、ヘキサン、ジクロロメタン及びメチルtert−ブチルエーテルから成る群から選択される貧溶媒を溶液に添加し、且つ当該溶液を冷却する技術、から成る群から選択される技術により結晶性フルバスタチンナトリウム型の沈殿を誘発する段階、及び(c)結晶性フルバスタチンナトリウムから該溶媒系及び貧溶媒を分離する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムXIV型を調製するための方法を提供している。
【0030】
別の態様において、本発明は、溶媒としてのエタノール中のフルバスタチンナトリウムの溶液に対してMTBEを一部ずつ(portion wise)添加する段階(なお、溶液はMTBEの添加前、添加中又は添加後に加熱される)及び結晶形を回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムXIV型を調製するための方法を提供している。
【0031】
別の態様において、本発明は、(a)水と有機溶媒の混合物中に約1モル当量の水酸化ナトリウムを含有する溶液中でフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、(b)混合物から有機溶媒を蒸発させる段階、(c)水を蒸発させて残渣を得る段階、(d)アセトニトリル、アセトン及びイソプロピルアルコールから成る群から選択される溶媒中に残渣を溶解させる段階、(e)結晶性フルバスタチンナトリウムを沈殿させる段階、及び(f)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムXIV型を調製するための方法を提供している。
【0032】
別の態様において、本発明は、3.9、11.5、17.9、18.4及び21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とする、フルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXIII型)を提供している。
【0033】
別の態様において、本発明は、(a)水中において高温でフルバスタチンナトリウムを溶解させる段階、(b)体積当たり過剰な量のアセトニトリルを添加する段階、及び(c)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムLXXIII型を調製するための方法を提供している。
【0034】
別の態様において、本発明は、(a)メタノール、エタノール及びテトラヒドロフランから成る群から選択される有機溶媒と水の混合物及び水からなる群から選択される溶媒系中でのナトリウム塩基触媒を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステル加水分解する段階、(b)任意には有機溶媒の少なくとも一部分を蒸発させた後に、溶媒系と水非混和性抽出溶媒を接触させる段階、(c)溶媒系を蒸発させて残渣を得る段階、(d)残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び(e)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムLXXIII型を調製するための方法を提供している。
【0035】
別の態様において、本発明は、(a)水とプロパン−2−オ−ルの混合物中において高温でフルバスタチンナトリウムを溶解させる段階、(b)混合物の温度を降下させる段階、及び(c)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムLXXIII型を調製するための方法を提供している。
【0036】
別の態様において、本発明は、4.0、12.8、19.0、19.9及び25.8±0.2度2シータにピークを持つPXRDパターンを有する結晶形をプロパン−2−オ−ルと水の混合物中に保管する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムLXXIII型を調製するための方法を提供している。
【0037】
別の態様において、本発明は、(a)プロパン−2−オ−ルと水の混合物中でフルバスタチンナトリウムB型のスラリーを加熱する段階、(b)該スラリーを冷却する段階、(c)該スラリーを約1週間以上保管する段階、及び(d)結晶を回収する段階を含んで成る結晶性フルバスタチンナトリウムLXXIII型を調製するための方法を提供している。
【0038】
別の態様において、本発明は、3.9、11.7、15.8、17.8、21.8±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とするフルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXIX型)を提供している。
【0039】
別の態様において、本発明は、(a)水及びエタノールの混合物中においてナトリウム塩基触媒を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、(b)エタノールと水の混合物の一部分を蒸発させる段階、(c)混合物の残留部分を水非混和性抽出溶媒と接触させる段階、(d)混合物の残留部分を蒸発させて残渣を残す段階、(e)該残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び(f)結晶性フルバスタチンナトリウム型を回収する段階含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムLXXIII型を調製するための方法を提供している。
【0040】
別の態様において、本発明は、3.9、11.8、17.8、18.4、21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とする、フルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXX型)を提供している。
【0041】
別の態様において、本発明は、(a)水及びエタノールの混合物中でナトリウム塩基触媒を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、(b)エタノールと水の混合物の一部を蒸発させる段階、(c)混合物の残留部分と水非混和性抽出溶媒を接触させる段階、(d)混合物の残留部分を蒸発させて残渣を残す段階、(e)残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び(f)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムLXXX型を調製するための方法を提供している。
【0042】
別の態様において、本発明は、PXRDパターンが3.5、12.5、17.7、19.7、21.4±0.2度2シータにピークを有することを特徴とする、フルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXXVII型)を提供している。
【0043】
別の態様において、本発明は、(a)水とメタノールの混合物中でナトリウム塩基触媒を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、(b)混合物からタノールを蒸発させる段階、(c)水と水非混和性抽出溶媒を接触させる段階、(d)水を蒸発させて残渣を残す段階、(e)該残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び(f)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウム(LXXVII型)を調製するための方法を提供している。
【0044】
別の態様において、本発明は、(a)水とメタノールの混合物中でナトリウム塩基触媒を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、(b)混合物からメタノールを蒸発させる段階、(c)混合物とアセトニトリルとを接触させる段階、及び(d)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階を含んで成る、結晶性フルバスタチンナトリウムLXXXVII型を調製するための方法を提供している。
【0045】
別の態様において、本発明は、PXRDパターンが、3.5、12.5、17.7、19.7、21.4±0.2度2シータのピークを有する結晶性フルバスタチンナトリウム(LXXXVII型)を調製するための方法であって、フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル、メタノール、NaOH及び水の混合物を加熱して溶液を得る段階、溶液からメタノールを蒸発させ、ひき続きアセトニトリル及び任意には水を添加する段階(なお、かかる添加の後も溶液は存在する)及びフルバスタチンLXXXVII型を沈殿物として回収する段階を含んで成ることを特徴とする方法を提供している。
【0046】
別の態様において、本発明は、PXRDパターンが3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有することを特徴とするフルバスタチンナトリウム(XIV型)を調製するための方法であって、フルバスタチンナトリウムLXXXVII型を乾燥させる段階を含んで成る方法を提供している。
【0047】
別の態様において、本発明は、aPXRDパターンが、3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有することを特徴とする結晶性フルバスタチンナトリウム(XIV型)を調製するための方法であって、フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル、メタノール、NaOH及び水の混合物を加熱して溶液を得る段階、溶液からメタノールを蒸発させる段階に続きアセトニトリル及び任意には水を添加する段階(なお、溶液はかかる添加の後も存在する)、沈殿物としてフルバスタチンナトリウムを回収する段階及び沈殿物を乾燥させる段階を含んで成る方法を提供している。
【0048】
別の態様において、本発明は、PXRDパターンが、3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有することを特徴とする結晶性フルバスタチンナトリウム(XIV型)を調製するための方法であって、水及びメタノールの混合物中でフルバスタチンナトリウムの溶液を調製する段階、tert−ブチルエステル1グラムあたり約1mL以上の水を維持しながら溶液からメタノール蒸発させる段階、アセトニトリル及び任意には水を添加する段階(なお、溶液はかかる添加の後も存在する)、沈殿物としてフルバスタチンナトリウムを回収する段階及び沈殿物を乾燥させる段階を含んで成る方法を提供している。
【0049】
別の態様において、本発明は、PXRDパターン(XIV型)3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータ、(LXXIII)3.9、11.5、17.9、18.4及び21.7±0.2度2シータ、(LXXIX)3.9、11.7、15.8、17.8、21.8±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターン、(LXXX)3.9、11.8、17.8、18.4、21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターン、(LXXXVII)3.5、12.5、17.7、19.7、21.4±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを有する結晶形及びそれらの混合物から成る群から選択される有効量のフルバスタチンナトリウム型及び医薬として許容される賦形剤を含んで成る医薬組成物を提供している。同様に、錠剤などといったかかる組成物からの医薬剤形も提供されている。同じく提供されているのは、有効量のこの医薬組成物を患者に投与する段階を含んで成る、高コレステロール血症又は高脂血症を患う患者の治療方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明は、[R*,S*−(E)]−(±)−7−[3−(4−フルオロフェニル)−1−(1−メチルエチル)−lH−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸一ナトリウム(フルバスタチンナトリウム)の新規の結晶形を提供する。フルバスタチンナトリウムの新規の結晶形は、XIV、LXXIII、LXXIX、LXXX及びLXXXVII型と命名した。その際に我々は、フルバスタチンナトリウムのその他の結晶形を標識するために該分野のその他の研究者によって使用されているローマ文字標識の代わり、結晶用の標識としてローマ数字を使用することを選択した。
【0051】
[R*,S*−(E)]−(±)フルバスタチンナトリウムの2つの鏡像異性体が1つの単位格子で共結晶化するのか、或は互いの鏡像である別々の単位格子で結晶化するのかは、新しい形態の結晶の全てについて今後決定すべき点である。従って、本発明の結晶形は、純粋の又は濃縮された[R*,S*−(E)]−(+)及び[R*,S*−(E)]−(−)フルバスタチンナトリウム又はラセミ型フルバスタチンナトリウムのいずれから出発して調製されたにかかわらず、図中に描かれているものと実質的に同一のPXRDパターンを呈する結晶を含むものとみなされる。
【0052】
新規の形態の多くは、結晶化方法により得ることができ、通常の湿度条件下において安定している。当業者であれば、本開示を読んだ後に、新しい形態の製造を可能にする結晶化方法のいくつかが、一部の特徴を共有していることを認識することだろう。一般的に言って、これらの方法中では、フルバスタチンナトリウムは溶媒中に溶解しており、溶媒の選択については、後続するこの開示内の節中において各々特定の結晶形に関連して教示されている。溶媒中のフルバスタチンナトリウムの溶液が還流している間、選択される貧溶媒(その選択は以下で教示されている)が溶液に添加されて、所望の結晶形でのフルバスタチンナトリウムの沈殿を誘発する。貧溶媒の添加及び沈殿は高温で実施されることができ、かつ好ましくはそのように実施される。当然のことながら、混合物の後続する冷却の間に付加的な沈殿が多くのケースにおいて発生することになる。その他の方法では、該溶媒の加熱が好ましくないことも同様に分かるだろう。
【0053】
本発明の結晶化方法により、フルバスタチンナトリウムの新規の結晶形の各々は、その他の結晶形を実質的に含まない状態で得られ、これは、X線粉末回折によって測定された場合に他のいずれの結晶形も5%未満であることを意味している。B型のXRDパターンは、新規の結晶形のXRDパターンと有意に異なっている。B型のいくつかのXRDピークは、新規の形態のXRDピークと重複していない。B型は、12.2、16.4及び22.6±0.2度2シータで検出することができる。これらの方法は、新規の結晶形を生成し、かつそれらを高い純度で産生することが分かっているが、本発明の結晶形をより高い又は低い純度のいずれかで生成するその他の方法も、今後発見される可能性がある。
【0054】
新しいフルバスタチンナトリウム結晶形を調製するための様々な方法の収量は、所望の形態に応じて大きく変動する。当業者であればわかるように、所望の結晶形の収量が低いことは必ずしも、貴重な未変換の出発物質が失われることを意味しない。該方法中で使用されている個別の希釈剤又は溶媒を蒸発させて含有フルバスタチン残渣を残すことなどによって、それ、又はフルバスタチンナトリウム又はフルバスタチン遊離酸又はラクトンのもう1つの結晶性或は無定形形態を分離した溶媒又は希釈剤から回収することができる。
【0055】
フルバスタチンナトリウムの新しい形態のいくつかは水和されている。フルバスタチンナトリウム中の水分レベルは、当該技術分野において既知の方法を用いてカールフィッシャーにより測定されている。フルバスタチンナトリウムの新しい結晶形のいくつかは、水に加えて残留溶媒を含有しており、これは、TGA減量値がカールフィッシャー値よりも有意に大きいという事実によりわかる。一部の溶媒和結晶形は、少量の残留溶媒のみを含有している。この後者のグループにおいては、フルバスタチンナトリウムを以下の水和状態で見出すことができる。すなわち、半水和物(含水量約2%);一水和物(含水量約3−4%);セスキ水和物(含水量約5−6%);二水和物(含水量約7−8%);半五水和物(含水量約9−10%);三水和物(含水量約11−13%);四水和物(含水量約14−16%);五水和物(含水量17−18%);六水和物(含水量約19−20%);8−水和物(含水量約25%);9−水和物(含水量約27−28%)。
【0056】
フルバスタチンは、商業的供給源から購入するか或は米国特許第4,739,073号に開示されている方法のような既知の方法によって合成することのできる既知の化合物である。米国特許第4,739,073号は引用によりその全体が本明細書に組み入れられる。特に、米国特許第4,739,073号明細書は、フルバスタチン及びフルバスタチンナトリウムをいかに調製するかに関するその開示内容が本明細書に組み入れられる。出発物質としてフルバスタチンナトリウムを使用する本発明の方法においては、特に指示がない限り、フルバスタチンナトリウムB型が好適な出発物質である。
【0057】
本開示中において使用されている「高温」という用語は、周囲温度を超える又は約25℃を超える温度を意味する。好適な高温は50℃及びそれ以上、そして、特に好適な高温は、特定の液体との接触に関連して用いられる場合、かかる液体の沸点である。
【0058】
「低級アルキル」という用語は、C1〜C4のアルキル基を意味する。
【0059】
「懸濁する」又は「スラリー」なる用語は、完全な溶解が起こっていない不均質混合物を意味する。
【0060】
「貧溶媒」なる用語は、溶媒中のフルバスタチンナトリウムの溶液に対して添加された場合に、フルバスタチンナトリウムの沈殿を誘発する液体を意味する。貧溶媒の添加によって、貧溶媒を添加せずに同一時間同一条件下に溶液を維持した場合の同一の溶媒中で等しい濃度のフルバスタチンを含有する溶液からのフルバスタチンナトリウム沈殿物に比べてより急速又は大規模に溶液からフルバスタチンナトリウムが沈殿することになる場合に、貧溶媒の添加によってフルバスタチンナトリウムの沈殿が誘発されるということになる。沈殿は、溶液の混濁又は溶液中又はその表面上に懸濁する又は溶液が入った容器の壁又は底に収集された、フルバスタチンナトリウムの明確な粒子の形成として、目視により認識可能である。
【0061】
該形態の粒度分布(PSD)はいくつかの技術によって研究することができる。最も一般的なPSD技術としては、篩別、沈降、エレクトロゾーン検知(コールターカウンター)、顕微鏡及び低角度レーザー光散乱(LLALLS)が含まれる。新規の結晶形は、約400μm未満の最大粒度、より好ましくは約300μm未満、より好ましくは約200μm未満、より好ましくは100μm、さらに好ましくは50μm未満の粒度を有する。最大寸法は、光学顕微鏡下で観察することができる。
【0062】
フルバスタチンナトリウム結晶形XIV型
フルバスタチンナトリウムXIV型は、3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータに特徴的なピークを有しかつ、9.2、14.8、15.7、18.3、20.3、25.5及び26.9±0.2度2シータにその他のピークを有するPXRD回折図を生成する(図1)。一部の結晶は、XIV型に付随する全てのピークを有し、XIV型の多くの特性を呈するが、12.4±0.2度2シータに付加的なピークを有している(図4)。フルバスタチンナトリウムXIV型は、90℃未満及び約110℃に2つの主な吸熱ピークが見られる、図2に示すDSCサーモグラムを生成した。試料の含水量は、約7.1wt%である。TGAによる乾燥減量は7.5wt%である。フルバスタチンナトリウムXIV型は0〜100%RHの相対湿度へ8日間曝露した後安定しており、6〜17%の含水量で平衡化された。フルバスタチンXIV型は、二水和物、三水和物、四水和物、及び五水和物の形態をしている。フルバスタチンナトリウムXIV型のIRスペクトルを、図3、3a及び3bに示す。
【0063】
XIV型は、白色から黄白色の粉末の外観を有している。安定性研究は、その外観が40℃で3ヶ月間保管した後も変化しないことを示している。
【0064】
本発明は、さらに、25、40及び55℃の温度で3ヶ月間以上保管した場合に、そのうちの約5%以下しかB型に変態しないフルバスタチンナトリウムXIV型を提供する(表1参照)。
【0065】
【表7】

【0066】
フルバスタチンナトリウムXIV型は、変態を起こさせるために必要な時間スラリー、すなわち不均質混合物を得るべくヘキサンなどのC5〜C7直鎖又は分枝飽和炭化水素とトルエンの混合物中にフルバスタチンナトリウムを懸濁させ、次に混合物からXIV型を分離することにより調製することができる。XIV型は同様にVII型を100%RHの下に11日間保管することによっても調製することができる。
【0067】
フルバスタチンナトリウムXIV型は同様に、フルバスタチンの直鎖又は分枝低級アルキルエステルから直接調製することができる。出発物質を、エタノール、水とエタノールの混合物、プロパン−2−オ−ル及び水とプロパン−2−オ−ルの混合物、THFと水の混合物及びプロパン−1−オ−ルと水の混合物から成る群から選択される溶媒系中に約1モル当量の水酸化ナトリウムを含む溶液中に溶解させる。好適な混合物は、約8〜9%の水及び91〜92%有機溶媒を含むが、混合物が好ましくは約5%の水を含有するTHF:水の混合物は例外である。出発物質は好ましくは高温、例えば該溶媒系の還流温度で溶解させる。高温で、アセトニトリル、ヘキサン、ジクロロメタン及びMTBEから成る群から選択される貧溶媒を高温で溶液に添加してXIV型の沈殿を誘発する。あるいは、貧溶媒を省略し、プロパン−2−オ−ル:水混合物などの一部の溶媒系から冷却によって沈殿を誘発することもできる。結果として得られた混合物を冷却させた後、濾過、デカンテーション、遠心分離などといった従来技術、好ましくは窒素などの不活性雰囲気下での濾過により、XIV型を該溶媒系及び貧溶媒から分離することができる。分離されたXIV型は乾燥させて良い。適当な乾燥条件は真空下で50℃である。
【0068】
別の方法によると、XIV型は、メタノール、エタノール及びTHFから成る群から選択される有機溶媒と水を含有する溶媒系中に約1モル当量の水酸化ナトリウムを含む溶液中で出発物質を加水分解することによって、フルバスタチンの直鎖又は分岐鎖低級アルキルエステルから調製される。加水分解の後、有機溶媒を蒸発させ、任意には、さらに水を添加して、水溶液を酢酸エチル、アセトン又はイソプロピルアルコールなどの水非混和性溶媒を用いて抽出することができる。次に、水を蒸発させ、該残渣をアセトニトリル中に取り込み、アセトニトリルから再結晶化させてLXXIX型を生成する。蒸発段階後に残留した水の量が少なすぎる場合には、B型が得られる。好ましくは、蒸発後の残留水の量は、フルバスタチンナトリウム1グラムあたり約1mL以上である。LXXIX型は、濾過、デカンテーション、遠心分離などといった従来技術、好ましくは窒素などの不活性雰囲気下での濾過によりアセトニトリルから分離することができる。分離されたLXXIX型を次に乾燥させてXIV型を得ることができる。適当な乾燥条件は約30℃〜約60℃、例えば約40℃〜約50℃、より好ましくは真空下である。好適な真空圧は、約100mmHg未満、より好ましくは約50mmHg未満である。
【0069】
XIV型は、溶媒としてのエタノール、プロパン−2−オ−ル又はテトラヒドロフラン中のフルバスタチンナトリウムの溶液に対してMTBE、ヘキサン、アセトニトリル又はジクロロメタンを一部ずつ添加し(なお、溶液はMTBEの添加前、添加中又は添加後に加熱される)、結晶形を回収することによっても調製し得る。一部ずつ添加する一例として滴下がある。一つの実施形態において、貧溶媒は、滴下により添加され、その後加熱され、さらににその後に冷却及び撹拌されて結晶形が回収される。溶媒は、好ましくは約10体積%未満の水を含有し得る。もう一つの実施形態において、XVI型は、水中のフルバスタチンナトリウム溶液をイソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル又はアセトンと組み合わせることによって調製される。添加の後、反応混合物を撹拌し、常用の方法で結晶を回収することができる。
【0070】
前述の方法によってXIV型を高い純度で調製することが可能である。多形体的に純粋であることに加えて、フルバスタチンナトリウムのXIV型への結晶化は、不純物を除去する上で特に効果的である。例えば、XIV型の試料のHPLCは、それが標準的に、フルバスタチンのヒドロキシエピマーを0.5%未満、かつ合計不純物を1%未満しか含有しないことを示している。HPLCは、Pharmacopeial Previews、1999年、24、8420の方法により実施された。
【0071】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXIII
フルバスタチンナトリウムLXXIII型は、3.9、11.5、17.9、18.4及び21.7±0.2度2シータに特徴的なピーク並びに9.5、13.4、19.2及び25.6±0.2度2シータにその他のピークを有するPXRDパターン(図5)を生成する。試料の含水量は、約6wt.%である。TGAによる乾燥減量は約6wt.%である。
【0072】
VI形を還流する水の中に溶解させ、次に水に対して10倍余剰(好ましくは、約5倍超余剰)のアセトニトリルを添加してLXXIII型中のフルバスタチンナトリウムの沈殿を誘発することによって、LXXIII型を、3.7、4.7、5.7、10.9、12.2及び19.9±0.2度2シータの粉末XRDパターンを特徴とするフルバスタチンナトリウム型(VI型と命名される)から調製することができる。周囲温度まで冷却した後、LXXIII型を、濾過、デカンテーション、遠心分離などの従来の手段によりアセトニトリル及び水から分離することができる。好ましくは、アセトニトリル及び水を、窒素といった不活性気体下での真空濾過によって分離する。例えばアセトニトリルでの任意の洗浄の後、結晶を乾燥させることができる。分離した生成物を乾燥させるための適切な条件は、真空下で50℃である。
【0073】
LXXIII型は、同様に、以下の実施例中でさらに記述されるとおり、フルバスタチンの低級アルキルエステルから直接調製することもできる。
【0074】
さらに、LXXIII型は、還流するプロパン−2−オ−ル及び水の10:1混合物中にフルバスタチンナトリウムXIV型を溶解させることによっても調製することができる。溶解が完了した後、溶液を冷却するか、又は冷却するまで放置し、フルバスタチンナトリウムがLXXIII型として沈殿するのに充分な時間周囲温度に維持する。該溶解は、結晶構造の損失という結果をもたらす。その後、LXXIII型を、濾過、デカンテーション、遠心分離などといった従来の手段によりプロパン−2−オ−ル及び水から分離することができる。好ましくは、該プロパン−2−オ−ル及び水を、窒素といった不活性気体下での真空濾過により分離する。例えばプロパン−2−オ−ルでの任意の洗浄の後、結晶を乾燥させることができる。分離した生成物を乾燥させるための適切な条件は、真空下で50℃である。
【0075】
LXXIII型は、同様に、LXXIV型をプロパン−2−オ−ルと水の混合物中に保管することを含む方法により調製することができる。かかる保管は、好ましくは約1週間以上、好ましくは約1ヶ月間以上及び最も好ましくは約2ヶ月間以上実施される。LXXIII型は、LXXIV型の単離のないこのような方法により調製し得る。例えば、フルバスタチンナトリウムB型を完全に溶解することなくプロパン−2−オ−ルと水の混合物中で加熱し、次に冷却しその後母液中に約1週間以上保管することになる。その後、該母液からLXXIII型を回収することができる。
【0076】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXIX
フルバスタチンナトリウムLXXIX型は、3.9、11.7、15.8、17.8、21.8±0.2度2シータに特徴的なピークを、13.0、18.3、19.5、22.6±0.2度2シータにその他のピークを有するPXRDパターンを生成する(図6)。LXXIX型は、約0〜約100%の相対湿度への曝露下で8日間以上保管した場合でも約5%以下しかB型に変態せず、約3〜約19%の含水量を有する。TGAによる乾燥減量は約6wt.%である。LXXIX型は、一水和物、セスキ水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物又は六水和物の形態であり得る。
【0077】
LXXIX型は、フルバスタチンtert−ブチルエステルなどといったフルバスタチンの低級アルキルエステルから直接調製することができる。出発物質は、エタノール、メタノール及びTHFから成る群から選択される有機溶媒と水の混合物中でナトリウム塩基で加水分解される。混合物を、部分的に濃縮し、次に追加の水を、濃縮された混合物中に添加する。その後、反応混合物を酢酸エチル又はMTBEで抽出する。水相は濃縮される。残渣を次にアセトニトリルと数時間にわたり接触させる。従来のとおりアセトニトリルを分離した後、フルバスタチンナトリウムはLXXIX型となる。例えばアセトニトリルでの任意の洗浄の後、結晶を乾燥させることができる。分離された生成物を乾燥させるための適切な条件は、真空下で50℃である。
【0078】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXX
フルバスタチンナトリウムLXXX型は、3.9、11.8、17.8、18.4、21.7±0.2度2シータに特徴的なピーク及び10.8、12.5、19.3、25.5±0.2度2シータにその他のピークを有するPXRDパターンを生成する(図7)。
【0079】
LXXX型は、フルバスタチンtert−ブチルエステルといったフルバスタチンの低級アルキルエステルから直接調製することができる。出発物質は、エタノールと水の混合物中でナトリウム塩基により加水分解される。混合物を、部分的に濃縮し、次に追加の水を、濃縮混合物中に添加する。その後、反応混合物を酢酸エチル又はMTBEで抽出する。水相は濃縮される。残渣を次にアセトニトリルと数時間にわたり接触させる。従来のとおりアセトニトリルを分離した後、フルバスタチンナトリウムはLXXIX型となる。例えばアセトニトリルでの任意の洗浄の後、結晶を乾燥させることができる。分離された生成物を乾燥させるための適切な条件は、真空下で50℃である。
【0080】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXXVII
フルバスタチンナトリウムLXXXVII型は、3.5、12.5、17.7、19.7、21.4±0.2度2シータに特徴的なピーク、及び7.1、10.7、18.3、19.1、25.5±0.2度2シータにその他のピークを有するPXRDパターンを生成する(図8)。
【0081】
LXXXVII型は、フルバスタチンtert−ブチルエステルといったフルバスタチンの低級アルキルエステルから直接調製することができる。出発物質は、メタノールと水の混合物中において高温でナトリウム塩基により加水分解される。反応後、蒸発などによってメタノールを除去する。次に、次に反応混合物を、任意にはMTBEで抽出する。一つの実施形態では、水相を濃縮し、残渣をアセトニトリルと数時間接触させる。別の実施形態では、メタノールの除去後にアセトニトリルを添加する。従来のとおりアセトニトリルを分離した後、フルバスタチンナトリウムはLXXX型VVIIになっている。例えばアセトニトリルでの任意の洗浄の後、結晶を乾燥させることができる。分離された生成物を乾燥させるための適切な条件は、真空下で50℃である。
【0082】
本発明により提供されるフルバスタチンナトリウムの結晶形は、高い吸湿性又は低い吸湿性を有する可能性がある。
【0083】
新規のフルバスタチンナトリウム形態を含有する医薬組成物及び剤形及びそれらを用いた医療方法
フルバスタチンは、哺乳動物、特にヒトにおいて抗高コレステロール血症及び抗高脂血症効果を発揮する。従って、フルバスタチンナトリウムXIV型、LXXIII、LXXIX、LXXX、LXXXVII及びそれら相互の並びに他のフルバスタチンナトリウムの結晶形との混合物は、アテローム性動脈硬化症を患う又はその危険性にさらされているヒト及びその他の哺乳動物の消化管、血流及び肝臓にフルバスタチンを送達するうえで有用である。特に、それらは、医薬組成物及び剤形中の活性成分として有用である。この目的のためにそれらを、ヒト及び動物への投与を目的とした多様な組成物及び剤形の形で処方することができる。
【0084】
本発明の医薬組成物は、フルバスタチンナトリウムXIV型、LXXIII、LXXIX、LXXX、LXXXVII又はそれら相互の混合物或はフルバスタチンナトリウムのその他の結晶形との混合物を、任意には1又は複数のその他の活性成分との混合物の形で含有する。活性成分(1又は複数)に加えて、本発明の該医薬組成物は、1又は複数の賦形剤を含有し得る。賦形剤は、多様な目的のために組成物に添加される。
【0085】
希釈剤は、固体医薬組成物の嵩を増大させ、かつ該組成物を含有する医薬剤形を患者及び介護士が取り扱い易いものにする。固体組成物用の希釈剤には、例えば、微晶性セルロース(例えばAvicel(登録商標))、超微粒セルロース、乳糖、デンプン、アルファー化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末状セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタルクが含まれる。
【0086】
錠剤といった剤形に圧密された固体の医薬組成物は、圧縮後に活性成分及びその他の賦形剤相互の結合を助けることを含めた機能をもつ賦形剤を内含し得る。固体医薬組成物用の結合剤には、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポル)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアールゴム、硬化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、液体グルコース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム及びデンプンが含まれる。
【0087】
圧密された固体医薬組成物の患者の胃内での溶解速度は、該組成物に対する崩壊剤の添加によって増大させることができる。崩壊剤としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えばAc-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標);)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、グアールゴム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、微晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末状セルロース、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン(例えばExplotab(登録商標))及びデンプンが含まれる。
【0088】
非圧縮固体組成物の流動特性を改善するため及び投与の精度を改善するために流動促進剤を添加することができる。流動促進剤として機能する賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、マグネシウム三ケイ酸、粉末状セルロース、デンプン、タルク及び第三リン酸カルシウムが含まれる。
【0089】
錠剤といった剤形が、粉末状組成物の圧縮により作られる場合、該組成物はパンチ及びダイからの圧力に付される。一部の賦形剤及び活性成分は、パンチ及びダイの表面に付着する傾向を有し、こうして製品に圧痕及びその他の表面凹凸を発生させる可能性がある。付着を削減しダイから製品を容易に放出させるために潤滑剤を組成物に添加することができる。潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化ヒマシ油、硬化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛が含まれる。
【0090】
着香剤及び調味料によって、剤形は患者にとって飲みやすいものになる。本発明の組成物中に内含され得る医薬品用の一般的な着香剤及び調味料には、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メンソール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール及び酒石酸がある。
【0091】
固体及び液体組成物は同様に、その外観を改善するため及び/又は患者が生成物及び単位用量レベルを容易に識別できるようにするために任意の医薬として許容される着色料を用いて着色することもできる。
【0092】
本発明の液体医薬組成物中において、フルバスタチンナトリウムXIV型、LXXIII、LXXIX、LXXX、LXXXVII及び任意のその他の固体賦形剤は、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンといった液体担体中に溶解又は懸濁させられている。
【0093】
液体医薬組成物は、液体担体中に可溶でない活性成分又はその他の賦形剤を組成物全体の中に均質に分散させるための乳化剤を含有し得る。本発明の液体組成物中において有用であり得る乳化剤としては、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドルス、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール及びセチルアルコールが含まれる。
【0094】
本発明の液体医薬組成物は同様に、生成物の口当たりを改善しかつ/又は消化管の内面を被覆するための粘性強化剤を含有し得る。かかる粘性強化剤には、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアールゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、炭酸プロピレン、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、デンプントラガカント及びキサンタンガムが含まれる。
【0095】
風味を改善することを目的として、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクロース、アスパルターム、フルクトース、マンニトール及び転化糖といった甘味剤を添加し得る。
【0096】
保存性を改善することを目的として、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニゾール及びエチレンジアミン三酢酸といった保存料及びキレート剤を、摂取にとって安全なレベルで添加し得る。
【0097】
本発明に従った液体組成物は、同様に、グルコン(guconic)酸、乳酸、クエン酸又は酢酸、グルコン(guconic)酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又は酢酸ナトリウムといった緩衝剤を含有し得る。
【0098】
賦形剤の選択及び使用量は、経験に基づいて及び当該分野の標準的手順及び参考資料の検討に基づき製剤学者が容易に決定し得る。
【0099】
本発明の固体組成物としては、粉末、顆粒、凝集体及び圧密組成物が含まれる。剤形には、経口、口腔内、直腸内、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、吸入及び点眼投与に適した剤形が含まれる。与えられたいずれかのケースにおいて最も適した経路は、治療すべき身体条件の性質及び重度に左右されることになるが、本発明の最も好適な経路は経口である。投薬量は、単位剤形の体裁をとっているのが都合良く、医薬技術において周知の方法のいずれかにより調製し得る。
【0100】
剤形には、錠剤、粉末、カプセル、座薬、サシェ、トローチ及びロゼンジなどを含む固体剤形並びに液体シロップ、懸濁液及びエリキシル剤が含まれる。
【0101】
本発明の特に好適な剤形は、該組成物、好ましくは該発明の粉末状又は顆粒状固体組成物を硬質又は軟質いずれかのシェル内に含有するカプセルである。該シェルはゼラチン製であって良く、任意にはグリセリン及びソルビトールといった可塑剤、及び不透明化剤又は着色料を含有し得る。特に好適なカプセル充填物は、本発明のフルバスタチンナトリウム結晶形のうちの1又は複数ものに加えて、賦形剤ステアリン酸マグネシウム、微晶性セルロース、アルファー化デンプン、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク含有する。
【0102】
本発明のその他の特に好適な剤形は、本発明のフルバスタチンナトリウム結晶形のうちの1又は複数のものに加えて、賦形剤微晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、重炭酸カリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、鉄黄、二酸化チタン及びポリエチレングリコール8000を含有する圧縮錠剤である。
【0103】
活性成分及び賦形剤は、当該技術分野において既知の方法に従って組成物及び剤形へと処方し得る。
【0104】
錠剤化用又はカプセル充填用の組成物を、湿式造粒により調製することができる。湿式造粒では、粉末形態の活性成分及び賦形剤の一部又は全部を配合し、次に液体、標準的には水の存在下でさらに混合して、粉末を顆粒状に凝集させる。顆粒を篩い分け及び/又は粉砕し、乾燥させかつその後さらに、所望の粒度になるまで篩い分け及び/又は粉砕する。次に顆粒は、錠剤化するかそうでなければ錠剤化に先立ち流動促進剤及び又は潤滑剤といったその他の賦形剤を添加することができる。
【0105】
錠剤化組成物は、従来の通り乾式配合により調製され得る。例えば、活性成分及び賦形剤の配合された組成物を、小塊又はシート状に圧縮し、次に圧密して顆粒に砕くことができる。圧密された顆粒を、引き続き錠剤に圧縮することができる。
【0106】
乾式造粒に代わるものとして、直接圧縮技術を用いて、配合された組成物を直接圧密剤形に圧縮することができる。直接圧縮は、顆粒無しでより均質な錠剤を生成する。直接圧縮打錠に特に良好に適合した賦形剤としては、微晶性セルロース、噴霧乾燥乳糖、リン酸カルシウム二水和物及びコロイド状シリカが含まれる。これらの及びその他の賦形剤の直接圧縮打錠における適正な使用は、直接圧縮打錠に関する特定の処方上の課題について技能と経験を有する当業者にとっては既知のことである。
【0107】
本発明のカプセル充填物は、最終的な錠剤化段階に付されることがない点を除き、錠剤化に関連して記述された前述の配合物及び顆粒のうちのいずれかを含み得る。
【0108】
カプセル、錠剤及びロゼンジ及びその他の単位剤形は、好ましくは、フルバスタチン約10〜約100mgに相当する用量を含有する。好ましくは、該用量は、フルバスタチン約20〜約80mgに相当する。より特定的には、即時又は非制御放出剤形は、好ましくは、フルバスタチン当量約20〜約40mgを含有し、徐放性剤形は、好ましくはフルバスタチン約60〜約100mg、より好ましくはフルバスタチン当量約80mgを含有する。
【0109】
かくして、一部の好適な実施形態を参照しながら本発明を記述してきたが、本発明のフルバスタチンナトリウムXIV型、LXXIII、LXXIX、LXXX及びLXXXVIIを生成するための方法及びそれらを同定するために適切な技術を、以下の実施例によってさらに例示する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、いかなる形であれ該発明を制限するように意図されていない。
【実施例】
【0110】
概論
当該技術分野において既知の方法を用い、固相検出器を備えたXTRA型のSCINTAG粉末X線回折計上において粉末X線回折データを得た。1.5418Åの銅放射を使用した。ゼロバックグラウンドを伴う円形のアルミニウム試料ホルダーを用いた。検出限界:B型約5%。
【0111】
DSC分析を、メトラー(Mettler)821 STARe上で行なった。試料の重量は約5mgであった。試料を、毎分10℃の速度で30℃から200℃までスキャンした。該オーブンを毎分40mlの流量で窒素ガスを用いて常時パージした。3つの孔を備えた蓋で覆われた標準40μl入りアルミニウム坩堝を使用した。
【0112】
TGA分析は、メトラーM3計測器を用いて行なった。試料の重量は約10mgであった。試料を、毎分10℃の速度で25℃から200℃までスキャンした。オーブンを毎分40mlの流量で窒素ガスで常時パージした。1つの孔を備えた蓋で覆われた標準の70μl入りのアルミニウム坩堝を使用した。
【0113】
IR分析はPerkin Elmerの「Spectrum One」FT−IR分光計を用いDRIFTtモードで行なった。試料を、4000〜400cm-1の間隔で4.0cm-1の解像度で16回スキャンした。
【0114】
フルバスタチンナトリウムの含水量は、カールフィッシャー又は熱重量分析などの当該技術分野において既知の方法によって測定した。
【0115】
該開示中で用いられている略号は、医薬品及び有機化学の分野で広く用いられているものであることから、当業者であればそれを認識することであろう。該略号には以下のものが含まれる:
【0116】
ACN アセトニトリル
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
Et2O ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
IPA イソプロピルアルコール
MeOH メタノール
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
MEK メチルエチルケトン
THF テトラヒドロフラン
【0117】
調製段階
以下に記述される全ての調製は、特に指示のなり限りフルバスタチンナトリウムB型について実施した。
【0118】
フルバスタチンナトリウム結晶形XIVの調製
(実施例1)
フルバスタチンナトリウム(3.0g)をトルエン(60ml)とヘキサン(60ml)の混合物中に還流温度で19時間懸濁させた。次に、混合物を室温まで冷却した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ヘキサン(2×10ml)で洗浄し、真空オーブン内において22時間50℃で乾燥させ、1.2g(39%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIVを得た。
【0119】
(実施例2)
フルバスタチンメチルエステル(3.0g)を、水(0.75ml)とエタノール(7.5ml)中のNaOH(1当量)の溶液中に添加した。混合物を還流まで加熱し、出発物質がHPLCによりもはや検出不能となるまで撹拌した。次に、58mlのMTBEを溶液中に1.5時間にわたり滴下した。溶液中に濁りが発生した。混合物を室温までゆっくりと冷却して一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、MTBE(50ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させて2.21g(72.3%)のフルバスタチンナトリウムXIV型を得た。
【0120】
(実施例3)
エタノール(15ml)中のNaOH(1当量)の溶液に対してフルバスタチンメチルエステル(2.0g)を添加した。混合物を約70℃で1.75時間撹拌した後、出発物質はもはやHPLCによっては検出不能であった。次に、40mlのMTBEを溶液中に滴下した。混合物を室温までゆっくりと冷却し、一晩撹拌した。生成物が濾過不能であったため、さらに100mlのMTBEを添加し、混合物を週末の間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させ、1.45g(71.2%)のフルバスタチンナトリウムXIV型を得た。
【0121】
(実施例4)
フルバスタチンメチルエステル(2.0g)を、プロパン−2−オ−ル(15ml)中のNaOH(1当量)の溶液に添加した。混合物を約70℃で2時間撹拌した後、出発物質はもはやHPLCによっては検出不能であった。次に、アセトニトリル(40ml)を混合物中に滴下した。混合物を室温までゆっくりと冷却し、一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、アセトニトリル(50ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させて1.54g(75.5%)のフルバスタチンナトリウムXIV型を得た。
【0122】
(実施例5)
フルバスタチンメチルエステル(3.0g)を、水(0.75ml)とプロパン−2−オ−ル(7.5ml)中のNaOH(1当量)の溶液に対して添加した。混合物を還流まで加熱し、1mlのプロパン−2−オ−ルを添加した。2時間後、混合物を室温まで冷却し、2時間撹拌した。MTBE(60ml)を20分間にわたり溶液中に滴下し、結果として得られた混合物をさらに1.5時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、MTBEで洗浄し真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させ、1.9g(62%)のフルバスタチンナトリウムXIV型を得た。
【0123】
(実施例6)
フルバスタチンナトリウム(3.0g)を、プロパン−2−オ−ル(50ml)と水(5ml)の混合物中に還流温度で溶解させた。MTBE(50ml)を滴下により添加し、混合物を還流温度で1/2時間撹拌した。次に、混合物を室温まで冷却し、この温度で16時間撹拌した。さらに1分量のMTBE(50ml)を添加し、さらなる沈殿を得た。5時間後、生成物を窒素下での濾過により単離し、MTBE(2×10ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させてフルバスタチンナトリウムXIV型(1.4g、48%)を得た。
【0124】
(実施例7)
フルバスタチンナトリウム(30.0g)を、プロパン−2−オ−ル(500ml)と水(50ml)の混合物中に還流温度で溶解させた。該得られた溶液を還流温度で1.5時間撹拌した。次に、混合物を室温まで冷却し、この温度で16時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、プロパン−2−オ−ル(2×100ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で23時間乾燥させてフルバスタチンナトリウムXIV型(14.8g、49%)を得た。
【0125】
(実施例8)
フルバスタチンナトリウム(3.0g)を、プロパン−1−オ−ル(30ml)と水(3ml)の混合物中に還流温度で溶解させた。MTBE(60ml)を滴下により添加し、混合物を還流温度で1時間撹拌した。次に、混合物を室温まで冷却し、この温度で3時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、MTBE(2×15ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で20時間乾燥させて、フルバスタチンナトリウムXIV型(2.2g、74%)を得た。
【0126】
(実施例9)
フルバスタチンナトリウム(4.0g)を、THF(20ml)と水(1ml)の混合物中に還流温度で溶解させた。MTBE(40ml)を滴下により添加し、混合物を還流温度で1時間撹拌した。次に、混合物を室温まで冷却し、この温度で4.5時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、MTBE(2×20ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させてフルバスタチンナトリウムXIV型(1.9g、47%)を得た。
【0127】
(実施例10)
フルバスタチンナトリウム(4.0g)を、THF(20ml)と水(1ml)の混合物中に還流温度で溶解させた。ジクロロメタン(40ml)を滴下により添加し、混合物を還流温度で40間撹拌した。次に、混合物を室温まで冷却し、この温度で24時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ジクロロメタン(2×20ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させてフルバスタチンナトリウムXIV型(3.8g、94%)を得た。
【0128】
(実施例11)
フルバスタチンナトリウム(4.0g)を、THF(20ml)と水(1ml)の混合物中に還流温度で溶解させた。ヘキサン(40ml)を滴下により添加し、混合物を還流温度で40分間撹拌した。次に、混合物を室温まで冷却し、この温度で4時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ジクロロメタン(2×20ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させてフルバスタチンナトリウムXIV型(2.6g、66%)を得た。
【0129】
(実施例12)
250ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチン(20.0g、47mmole)、水(60ml)及びエタノール(100ml)及びNaOH(1.94g)を投入した。混合物は透明になり、HPLCにより原料物質が観察されなくなるまで撹拌した。溶液を濾過し、EtOHを蒸留した。スラリー混合物に水(157ml)を添加し、これをEtOAc(2×100ml)で抽出した。透明な溶液を6部分に分割した。
【0130】
(実施例13)
実施例12に記述されるとおりに調製されたフルバスタチンナトリウムの溶液(42ml)を、水の量がおよそ1.5mlになるまで濃縮し、次にIPA(68ml)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、IPA(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、1.12g(約33%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIVを得た。
【0131】
(実施例14)
実施例12に記述されるとおりに調製されたフルバスタチンナトリウムの溶液(42ml)を、水の量がおよそ1.8mlになるまで濃縮し、次にアセトニトリル(68ml)を添加し、混合物を室温で17.5時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、アセトニトリル(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、2.18g(約64%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIV(B型:検出不能)を得た。
【0132】
(実施例15)
実施例12に記述されるとおりに調製されたフルバスタチンナトリウムの溶液(42ml)を、水の量がおよそ0.8mlになるまで濃縮し、次にアセトン(68ml)を添加し、混合物を室温で24.5h時間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、アセトン(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で22時間乾燥させて、2.65g(約78%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIVを得た。
【0133】
(実施例16)
実施例12に記述されるとおりに調製されたフルバスタチンナトリウムの溶液(30ml)に、アセトニトリル(30ml)及び塩水(15ml)を添加した。相を分離させ、有機相を塩水(15ml)で抽出し、次にアセトニトリル(30ml)を有機相に添加し、これを室温で一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、アセトニトリル(30ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、1.99g(約80%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIV(+NaCl残渣)を得た。
【0134】
(実施例17)
実施例12に記述されるとおりに調製されたフルバスタチンナトリウムの溶液(32mlで約3gのフルバスタチンを含有する)に、EtOAc(32ml)及び塩水(16ml)を添加した。相を分離させ、有機相を塩水(10ml)で抽出し、次にEtOAc(32ml)を有機相に添加し、これを室温で一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、EtOAc(90mol)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、2.43g(約80%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIV(+NaCl残渣)を得た。
【0135】
(実施例18)
250ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンtert−ブチルエステル(3.0g、6.4mmole)、水(27ml)、THF(7.5ml)及びNaOH(0.29g)を投入した。混合物を1.5時間撹拌し、次にTHF(2.5ml)を添加した。さらに0.5時間の後、再度THF(2.5ml)を添加すると、溶液は透明になった。溶液をさらに5時間撹拌し、次にEtOAc(2×20ml)で抽出した。透明な溶液を2部分に分割した。
【0136】
(実施例19)
実施例18に記述されるとおりに調製されたフルバスタチンナトリウムの溶液を、重量が1.51gになるまで濃縮し、次にアセトニトリル(30ml)を添加して混合物を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、アセトニトリルで洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、0.56g(約40%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIVを得た。
【0137】
(実施例20)
実施例18に記述されるとおりに調製されたフルバスタチンナトリウムの溶液を、重量が1.5gになるまで濃縮し、次にアセトン(30ml)を添加して混合物を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、アセトンで洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、1g(約72%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIVを得た。
【0138】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXIII型の調製
(実施例21)
50ml入りのフラスコ中にフルバスタチンナトリウム結晶形VI(1.33g)及び水(2.3ml)を入れた。混合物を溶解させるため還流まで加熱し、アセトニトリル(23ml)を添加した。2時間後、混合物を室温まで冷却してから一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、アセトニトリル(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させて、1.09g(82%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIII(B型:検出不能)を得た。
【0139】
(実施例22)
100ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンメチルエステル(5.0g、11.8mmole)、水(15ml)、EtOH(25ml)及びNaOH(0.49g)を投入した。混合物は透明になり、それを4.5時間撹拌した。EtOHを蒸発させて水(10倍量になるまで)を添加し、酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。水相を蒸発させてから、アセトニトリル(70ml)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、アセトニトリル(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、3.31g(65%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIIIを得た。
【0140】
(実施例23)
100ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンナトリウム(NaCl残渣1.5gを含有する結晶形XIV、1.5g)、プロパン−2−オ−ル(25ml)及び水(2.5ml)を投入した。混合物を還流まで3.3時間加熱し(透明になる)、次に室温まで冷却して、22時間撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、プロパン−2−オ−ル(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で22時間乾燥させて、0.75g(約50%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIIIを得た。
【0141】
(実施例24)
1リットル入りの反応装置中にフルバスタチンtert−ブチルエステル(70g、0.15mole)、水(576ml)、THF(280ml)及びNaOH(6g)を投入した。2時間後にTHF(35ml)を添加し、混合物をさらに9.5時間撹拌した。溶液を酢酸エチル(2×200ml)で抽出した。水相を蒸留し、アセトニトリル(1050ml)を添加して、混合物を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、アセトニトリルで洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、50.4g(77.6%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIIIを得た。(KFによる含水量:5.9重量%、TGAによるLOD6.0重量%)
【0142】
(実施例25)
100ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンメチルエステル(5g、11.7mmole)、水(45ml)、THF(12.5ml)及びNaOH(0.48g)を投入した。溶液を1.5時間撹拌し、次に酢酸エチル(20ml)で抽出し、濾過した。水相を蒸留し、アセトニトリル(100ml)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、アセトニトリル(15ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させて、4.16g(82%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIIIを得た。
【0143】
(実施例26)
プロパン−2−オ−ル(501ml)と水(51ml)の混合物中のフルバスタチンナトリウム結晶形B(30.0g)の懸濁液を還流温度まで16時間加熱した。次に懸濁液を室温まで冷却した。少量の固体を濾過により単離し、真空オーブン内において50℃で21.5時間乾燥させた後にフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIV(4.0、12.8、19.0、19.9及び25.8±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターン)(4.7g)を得た。母液を室温に2ヶ月間放置した。次に、沈殿物を窒素流下にて濾過し、プロパン−2−オ−ル(2×25ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させて、16.2gのフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIIIを得た。
【0144】
(実施例27)
100ml入りの丸底フラスコにフルバスタチンメチルエステル(5.0g、11.8mmole)、水(15ml)、EtOH(25ml)及びNaOH(0.49g)を投入した。混合物は透明になり、これを4.5時間撹拌した。EtOHを蒸発させて、水(10倍量になるまで)を添加し、EtOAc(2×20ml)で抽出した。水相を蒸発させ、次にアセトニトリル(70ml)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、アセトニトリル(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において、40℃で24時間乾燥させて、3.31g(65%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIIIを得た。
【0145】
(実施例28)
100ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンt−ブチルエステル(4g、8.57mmole)及びMeOH(24ml)を投入した。水(2ml)中のNaOH(0.35g)を添加し、混合物を35℃で1時間撹拌し、次に水(10ml)を添加した。24時間後、MeOHを蒸発させ、水(32ml)を添加し、EtOAcで2回抽出した。水相を約4mlの水を含有する状態になるまで蒸発させた。次にアセトニトリル(60ml)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素流下での濾過により単離し、アセトニトリルで洗浄し、真空オーブン内において40℃で20時間乾燥させて、3.0g(81%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIIIを得た。
【0146】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXIX型の調製
(実施例29)
250ml入りの丸底フラスコにフルバスタチンtert−ブチルエステル(8.0g、17mmole)、水(64ml)、EtOH(160ml)及びNaOH(0.7g)を投入した。混合物を43時間撹拌し、次にEtOHを蒸発させた。水(53ml)を添加し、混合物をEtOAc(2×35ml)で抽出した。18gを得るべく水溶液を蒸発させて、ACN(120ml)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ACN(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、4.43g(60%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIXを得た。
【0147】
(実施例30)
100ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンtert−ブチルエステル(2.0g、4.28mmole)、EtOH(20ml)及びNaOH(0.18g)を投入した。混合物を50℃まで加熱し、2.25時間撹拌し、次に室温まで冷却してEtOHを蒸発させた。水の量を8倍量になるまで補足して、混合物をEtOAc(2×20ml)で抽出した。4.22gを得るべく水溶液を蒸発させ、ACN(30ml)を添加した。溶液を室温で週末の間撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ACN(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させ、1.15g(62%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXIX型を得た。
【0148】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXX型の調製
(実施例31)
250ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンtert−ブチルエステル(4.0g、8.56mmole)、NaOH(0.35g)、水(48ml)及びEtOH(120ml)を透明な溶液が得られるまで徐々に添加し投入した。混合物を2.5時間撹拌し、次にEtOHを蒸発させた。水の量を8倍量になるまで補足して、混合物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。6.07gを得るべく水溶液を蒸発させ、ACN(60ml)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ACN(20ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、2.86g(77.1%)のフルバスタチンナトリウム結晶形LXXX型を得た。
【0149】
XRDパターン中で12.4±0.2度2シータにピークを有するフルバスタチンナトリウム結晶形XIV型の調製
(実施例32)
100ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンtert−ブチルエステル(4.0g、8.56mmole)、MeOH(24ml)及び水(2ml)中のNaOH(0.35g)を投入した。混合物を35℃まで加熱した。2時間後、水(10ml)を添加し、混合物をさらに4.5時間撹拌して、次にMeOHを蒸発させた。水の量を8倍量まで補足し、混合物をEtOAc(24ml)で抽出した。水溶液を、約1倍量の水を含有するまで蒸発させ、ACN(60ml)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ACN(15ml)で洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、XRDパターン中で12.4±0.2度2シータにピークを有する3.18g(85.7%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIV型を得た。
【0150】
(実施例33)
100ml入りの丸底フラスコに、フルバスタチンtert−ブチルエステル(4.0g、8.56mmole)、MeOH(24ml)及び水(2ml)中のNaOH(0.31g)を投入した。混合物を35℃まで加熱し、4.5時間撹拌した。次に水(10ml)を添加し、MeOHを蒸発させた。水の量を8倍量まで補足し、混合物をEtOAc(25ml)で抽出した。水溶液を、約1倍量の水を含有するまで蒸発させ、ACN(60ml)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、ACNで洗浄し、真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させて、XRDパターン中で12.4±0.2度2シータにピークを有する1.06g(28.6%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIVを得た。
【0151】
フルバスタチンナトリウム結晶形LXXXVIIの調製
(実施例34)
機械式攪拌装置及び温度計の備わった1L入りの反応装置中に、40gのフルバスタチンジオールtert−ブチルエステル及び240mlのMeOHを装填した。20mlの水中に溶解させた3.54gのNaOHを添加し、混合物を35℃まで加熱した。1時間後、溶液は透明になり、そこに100mlの水を添加した。反応溶液を混合状態で35℃に4時間維持した。MeOHを真空により40℃で蒸留し、水(230ml)を添加して、フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル1grに対して8倍量となるまで倍量を補足した。水性混合物を240mlのMTBEで抽出した。真空濾過の後、水を真空により60℃で蒸留した。最大限溶解するように強く攪拌しながらACN(120ml)を室温で添加した。透明な溶液中の水の量をカールフィッシャー法により決定し、1.6倍量となるように計算し、次に680mlのACNを添加した。反応溶液を混合しながら25℃に一晩維持した。生成物を、N2流下での真空濾過により単離し、ACN(100ml)で洗浄し(結晶形LXXXVII)、真空オーブン内において40℃で25時間乾燥させて、29.2g(78.8%)のフルバスタチンナトリウム結晶形XIVを得た。
【0152】
(実施例35)
フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル(80g)、メタノール(480ml)、47%NaOH溶液(14.87g)及び水(32.1ml)を撹拌反応装置に添加し、35℃まで加熱した。溶液が透明になった時点(最長l時間)で、追加の水(80ml)を添加した。溶液を35℃でさらに2時間撹拌した。メタノールを、60mmHg、ジャケット温度40℃で真空蒸留により蒸留した。蒸留が終了した時点で、溶解が発生するまでACN(240ml)及び水(54ml)を添加した。溶液の半分(193g)に25℃でACN(680ml)を添加した。生成物は、ACNを添加している間に沈殿した。混合物を25℃でさらに12時間撹拌し、次に真空を用いて濾過し、湿潤生成物をACN(120ml)で洗浄した。湿潤生成物についてのXRD検出はLXXXVII型であった(B型:検出不能)。湿潤生成物を、真空オーブン内において40℃で12〜15時間乾燥させた。乾燥生成物についてのXRD検出はXIV型であった。
【0153】
(実施例36)
フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル(40gr)、メタノール(240ml)、47%NaOH溶液(7.44gr)及び水(16.1ml)を撹拌反応装置に添加し、35℃まで加熱した。溶液が透明になった時点(最長1時間)で、追加の水(40ml)を添加した。溶液を35℃でさらに2時間撹拌した。メタノールを60mmHg、ジャケット温度40℃で真空蒸留により蒸留した。蒸留が終了した時点で、溶解が発生するまでACN(120ml)及び水(30ml)を添加した。25℃で溶液に対して再度ACN(680ml)を添加した。生成物は、CANを添加している間に沈殿した。混合物を25℃でさらに12時間撹拌し、次に真空により濾過し、湿潤生成物をACN(120ml)で洗浄した。湿潤生成物についてのXRD検出はLXXXVII型であった。湿潤生成物を真空オーブン内において40℃で12〜15時間乾燥させた。乾燥生成物についてのXRD検出はXIV型であった。
【0154】
(実施例37)
500gのフルバスタチンジオールtert−ブチルエステル及び3000mlのメタノールを10リットル入りの反応装置に添加し、室温で撹拌した。45.5gの100%NaOH及び250mlの水の溶液を添加した。ジャケット温度を40℃に設定することにより、混合物を35〜36度まで加熱した。混合物が透明な溶液になった時点(最長60分)で。KFの結果によれば、溶液は、(フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル1グラムあたり)2.7倍量の水を含有していた。1250mlの水を添加した。HPLCにより90分後に反応の終了を決定した。メタノールを、60mmHg未満の真空とジャケット内温度40℃で蒸留した。2680mlの水を添加し、混合物を5℃に冷却して一晩撹拌した。翌朝、3000mlのMTBEを添加した。混合物を25℃まで加熱し、20分間撹拌した。相分離のために攪拌を停止した。60mmHg未満の真空及び60℃で水を除去するべく水相を蒸留した。1500mlのACNを25℃で添加すると、混合物は透明な溶液になった。1500mlのACNを溶液に添加し、混合物を25℃で一晩(最長16時間)撹拌した。ACN添加の間に沈殿が発生した。生成物を吸引により濾過し、1500mlのACNで洗浄した。610gの湿潤生成物を得た(XRDにより87型であることが検出された、RL−4197/3試料)。湿潤生成物を真空オーブン内において40℃で24時間乾燥させた。380gの乾燥生成物を得た(XRDによりXIV型であることが検出された、RL−4197/4試料)。
【0155】
フルバスタチンナトリウム結晶形Bの調製
(実施例38)
フルバスタチンメチルエステル(3.0g)を水(0.75ml)とメタノール(7.5ml)中のNaOH(1当量)の溶液に対して添加した。混合物を還流温度で2時間撹拌した。この時間の後、HPLCにより原料は観察されなかった。MTBE(58ml)を溶液中に2時間にわたり滴下した。溶液をゆっくりと室温まで冷却し、一晩撹拌した。生成物を窒素下での濾過により単離し、MTBE(50ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で24時間乾燥させて、2.78g(91.3%)のフルバスタチンナトリウムB型を得た。
【0156】
フルバスタチンナトリウム結晶形IVの調製
(実施例39)
フルバスタチンナトリウム(3.0g)を、テトラヒドロフラン(THF)(50ml)中に還流温度で溶解させた。クロロホルム(50ml)を還流温度で滴下により添加し、結果として得られた混合物をこの温度で40分間撹拌した。還流中に沈殿物を獲得した。次に、混合物を室温まで冷却した。生成物を窒素下での濾過により単離した、クロロホルム(2×20ml)で洗浄し、真空オーブン内において50℃で19時間乾燥させ、2.7g(89%)のフルバスタチンナトリウム結晶形IVを得た。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1はフルバスタチンナトリウムXIV型の粉末X線回折図を表している。
【図2】図2はフルバスタチンナトリウムXIV型のDSCサーモグラムを表している。
【図3】図3は4000〜400cm-1まで走査したフルバスタチンナトリウムXIV型のIRスペクトルを表している。
【図3a】図3aはスペクトルの4000−1500cm-1領域を拡大している。
【図3b】図3bはスペクトルの1500〜400cm-1領域を拡大している。
【図4】図4は12.4±0.2度2シータに付加的なピークを有するフルバスタチンナトリウムXIV型の粉末X線回折図を表している。
【図5】図5はフルバスタチンナトリウムLXXIII型の粉末X線回折図を表している。
【図6】図6はフルバスタチンナトリウムLXXIX型の粉末X線回折図を表している。
【図7】図7はフルバスタチンナトリウムLXXX型の粉末X線回折図を表している。
【図8】図8はフルバスタチンナトリウムLXXXVII型の粉末X線回折図を表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とするフルバスタチンナトリウムの結晶形(XIV型)。
【請求項2】
40℃の温度で3ヶ月間以上保管した後でも変色しない、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
約0.5%未満のフルバスタチンエピマーを含有する、請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
化学的に約99.5%純粋である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項5】
約25〜約55℃の温度で3ヶ月間以上保管した時点で約5%以下だけB型に変態する、請求項1に記載の結晶形。
【請求項6】
さらに、9.2、14.8、15.7、18.3、20.3、25.5及び26.9±0.2度2シータにピークがあることを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項7】
さらに12.4±0.2度2シータにピークがあることを特徴とする、請求項6に記載の結晶形。
【請求項8】
さらに、実質的に図1に記載のとおりのPXRDパターンを特徴とする、請求項6に記載の結晶形。
【請求項9】
結晶形が約7〜約17重量パーセントの含水量を有する、請求項1に記載の結晶形。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のフルバスタチンナトリウムの結晶形を調製するための方法であって:
a)トルエンとC5〜C7の飽和炭化水素の混合物中にフルバスタチンナトリウムを懸濁させてスラリーを形成させる段階、
b)スラリーを維持してフルバスタチンナトリウムのXIV型を得る段階、及び
c)フルバスタチンナトリウムのXIV型を分離する段階、
を含んで成る、方法。
【請求項11】
炭化水素がヘプタンである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)エタノール、水とエタノールの混合物、プロパン−2−オ−ル及びプロパン−2−オ−ルと水の混合物、プロパン−1−オ−ルと水の混合物並びにTHFと水の混合物から成る群から選択される溶媒系中に約1モル当量の水酸化ナトリウムを含む溶液中にフルバスタチンの低級アルキルエステルエステルを溶解させる段階、
b)i.前記溶液をアセトニトリル、ヘキサン、ジクロロメタン及びメチルtert−ブチルエーテルから成る群から選択される貧溶媒と組み合わせる技術、
ii.前記溶液を冷却する技術、及び
iii.アセトニトリル、ヘキサン、ジクロロメタン及びメチルtert−ブチルエーテルから成る群から選択される貧溶媒を前記溶液に添加し、且つ当該溶液を冷却する技術、
から成る群から選択される技術により結晶性フルバスタチンナトリウム型の沈殿を誘発する段階;及び
c)結晶性フルバスタチンナトリウムから前記溶媒系及び前記貧溶媒を分離する段階、
を含んで成る方法。
【請求項13】
誘発が貧溶媒の使用により実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
誘発が冷却により実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
溶媒系がプロパン−2−オ−ルと水の混合物であり、沈殿の誘発段階が高温でMTBEを溶液へ滴下により添加し冷却することにより実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
溶媒系がTHFと水の混合物であり、沈殿の誘発段階がMTBE、ジクロロメタン及びヘキサンから成る群から選択される貧溶媒を滴下により添加し冷却することにより実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
溶媒系がエタノール、プロパン−2−オ−ル及びプロパン−2−オ−ルと水の混合物から成る群から選択され、沈殿の誘発段階がMTBE及びアセトニトリルから成る群から選択される貧溶媒の滴下による添加及び冷却により行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
溶媒としてのエタノール中のフルバスタチンナトリウムの溶液に対してMTBEを一部ずつ(portion wise)添加する段階、尚、当該溶液はMTBEの添加前、添加中又は添加後に加熱される、及び結晶形を回収する段階を含んで成る、請求項1に記載の結晶形を調製するための方法。
【請求項19】
溶媒としてのプロパン−2−オ−ル中のフルバスタチンナトリウムの溶液に対してアセトニトリル又はMTBEを一部ずつ添加する段階、尚、当該溶液はMTBE又はアセトニトリルの添加前、添加中又は添加後に加熱される、及び結晶形を回収する段階を含んで成る、請求項1に記載の結晶形を調製するための方法。
【請求項20】
溶媒としてのテトラヒドロフラン中のフルバスタチンナトリウムの溶液に対してMTBE、ヘキサン又はジクロロメタンを滴下により添加する段階、尚、当該溶液は添加前、添加中又は添加後に加熱される、及び結晶形を回収する段階を含んで成る、請求項1に記載の結晶形を調製するための方法。
【請求項21】
溶媒が水との混合物中にある、請求項17、18又は19に記載の方法。
【請求項22】
フルバスタチンナトリウムの水溶液をイソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル又はアセトンと組み合わせる段階及び結晶形を回収する段階を含んで成る、請求項1に記載の結晶形を調製するための方法。
【請求項23】
結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)水と有機溶媒の混合物中に約1モル当量の水酸化ナトリウムを含有する溶液中でフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、
b)混合物から有機溶媒を蒸発させる段階、
c)水を蒸発させて残渣を得る段階、
d)アセトニトリル、アセトン及びイソプロピルアルコールから成る群から選択される溶媒中に残渣を溶解させる段階、
e)結晶性フルバスタチンナトリウムを沈殿させる段階、
f)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階、
を含んで成る、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
段階a)中の有機溶媒がメタノール、エタノール及びTHFから成る群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記有機溶媒がメタノールである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
段階b)で残った水を水非混和性有機溶媒で洗浄する段階をさらに含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
3.9、11.5、17.9、18.4及び21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とする、フルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXIII)。
【請求項28】
さらに、9.5、13.4、19.2及び25.6±0.2度2シータのピークを特徴とする請求項27に記載の結晶形。
【請求項29】
実質的に図5に記載のとおりのPXRDパターンを特徴とする、請求項28に記載の結晶形。
【請求項30】
請求項27〜29のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)水中において高温でフルバスタチンナトリウムを溶解させる段階、
b)体積当たり過剰な量のアセトニトリルを添加する段階、及び
c)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階、
を含んで成る方法。
【請求項31】
請求項27〜29のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)メタノール、エタノール及びテトラヒドロフランから成る群から選択される有機溶媒と水の混合物及び水からなる群から選択される溶媒系中のナトリウム塩基を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、
b)有機溶媒の少なくとも一部分を任意に蒸発させた後に、溶媒系と水非混和性抽出溶媒を接触させる段階、
c)該溶媒系を蒸発させて残渣を得る段階、
d)残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び
e)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階、
を含んで成る方法。
【請求項32】
請求項27〜29のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)水とプロパン−2−オ−ルの混合物中において高温でフルバスタチンナトリウムを溶解させる段階、
b)混合物の温度を低下させる段階、及び
c)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階、
含んで成る方法。
【請求項33】
請求項27〜29のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって、4.0、12.8、19.0、19.9及び25.8±0.2度2シータにピークを持つPXRDパターンを有する結晶形をプロパン−2−オ−ルと水の混合物中に保管する段階を含んで成る、方法。
【請求項34】
a)プロパン−2−オ−ルと水の混合物中でフルバスタチンナトリウムB型のスラリーを加熱する段階、
b)スラリーを冷却する段階、
c)スラリーを約1週間以上保管する段階、及び
d)結晶を回収する段階、
を含んで成る、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
3.9、11.7、15.8、17.8、21.8±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とするフルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXIX型)。
【請求項36】
さらに、3.4、13.0、18.3,19.5、22.6±0.2度2シータにピークがあることを特徴とする、請求項35に記載の結晶形。
【請求項37】
実質的に図6に記載のとおりのPXRDパターンを特徴とする、請求項36に記載の結晶形。
【請求項38】
約0〜約100%の相対湿度に対する8日間以上の曝露下で約5%以下がB型に変態する、請求項35に記載の結晶形。
【請求項39】
約3〜約19%の含水量を有する、請求項35に記載の結晶形。
【請求項40】
請求項35〜39のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)水とエタノールの混合物中においてナトリウム塩基を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、
b)エタノールと水の混合物の一部分を蒸発させる段階、
c)前記混合物の残留部分を水非混和性抽出溶媒と接触させる段階、
d)前記混合物の前記残留部分を蒸発させて残渣を残す段階、
e)前記残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び
f)結晶性フルバスタチンナトリウム型を回収する段階、
含んで成る方法。
【請求項41】
3.9、11.8、17.8、18.4、21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを特徴とするフルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXX型)。
【請求項42】
さらに、10.8、12.5、19.3、25.5±0.2度2シータにピークを有することを特徴とする請求項41に記載の結晶形。
【請求項43】
実質的に図7に記載のとおりのPXRDパターンを特徴とする、請求項42に記載の結晶形。
【請求項44】
請求項41〜43のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)水とエタノールの混合物中でナトリウム塩基を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、
b)エタノールと水の混合物の一部を蒸発させる段階、
c)前記混合物の残留部分と水非混和性抽出溶媒を接触させる段階、
d)前記混合物の残留部分を蒸発させて残渣を残す段階、
e)前記残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び
f)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階、
含んで成る方法。
【請求項45】
PXRDパターンが3.5、12.5、17.7、19.7、21.4±0.2度2シータにピークを有することを特徴とするフルバスタチンナトリウムの結晶形(LXXXVII型)。
【請求項46】
ピークが7.1、10.7、18.3、19.1、25.5±0.2度2シータにあることをさらなる特徴とする、請求項45に記載の結晶形。
【請求項47】
結晶形が実質的に図8に描かれるとおりのPXRDパターンを特徴とする、請求項46に記載の結晶形。
【請求項48】
請求項45〜47のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)水とメタノールの混合物中でナトリウム塩基を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、
b)前記混合物からタノールを蒸発させる段階、
c)水と水非混和性抽出溶媒を接触させる段階、
d)水を蒸発させて残渣を残す段階、
e)前記残渣とアセトニトリルを接触させる段階、及び
f)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階、
含んで成る、方法。
【請求項49】
請求項45〜47のいずれか1項に記載の結晶性フルバスタチンナトリウム型を調製するための方法であって:
a)水とメタノールの混合物中でナトリウム塩基を用いてフルバスタチンの低級アルキルエステルを加水分解する段階、
b)前記混合物からメタノールを蒸発させる段階、
c)前記混合物とアセトニトリルとを接触させる段階、及び
d)結晶性フルバスタチンナトリウムを回収する段階、
含んで成る方法。
【請求項50】
PXRDパターンが、3.5、12.5、17.7、19.7、21.4±0.2度2シータのピーク及び7.1、10.7、18.3、19.1、25.5±0.2度2シータのその他のピークを有することを特徴とする結晶性フルバスタチン(LXXXVII型)を調製するための方法であって、フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル、メタノール、NaOH及び水の混合物を加熱して溶液を得る段階、tert−ブチルエステル1グラムあたり約1mL以上の水を維持しながら溶液からメタノールを蒸発させる段階、アセトニトリル及び任意には水を添加する段階(なお、かかる添加の後も溶液は存在する)及びフルバスタチンLXXXVII型を沈殿物として回収する段階、含んで成る方法。
【請求項51】
PXRDパターンが3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有することを特徴とするフルバスタチンナトリウム(XIV型)を調製するための方法であって、請求項50に記載のフルバスタチンを乾燥させる段階を含んで成る方法。
【請求項52】
乾燥が、約100mmHg以下の圧力及び約30℃〜約60℃の温度で実施される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
温度が約40℃である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
温度が約50℃である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
請求項52に記載の方法によって調製されるフルバスタチンナトリウム。
【請求項56】
aPXRDパターンが、3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有することを特徴とする結晶性フルバスタチンナトリウム(XIV型)を調製するための方法であって、フルバスタチンジオールtert−ブチルエステル、メタノール、NaOH及び水の混合物を加熱して溶液を得る段階、前記溶液からメタノールを蒸発させる段階に続きアセトニトリル及び任意には水を添加する段階、尚、当該溶液はかかる添加の後も存在する、沈殿物としてフルバスタチンナトリウムを回収する段階及び前記沈殿物を乾燥させる段階、を含んで成る方法。
【請求項57】
加熱が約30℃〜約40℃の温度で実施される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
請求項56に記載の方法により調製されたフルバスタチンナトリウム。
【請求項59】
PXRDパターンが、3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータにピークを有することを特徴とする、結晶性フルバスタチンナトリウム(XIV型)を調製するための方法であって、水とメタノールの混合物中でフルバスタチンナトリウムの溶液を調製する段階、tert−ブチルエステル1グラムあたり約1mL以上の水を維持しながら溶液からメタノールを蒸発させる段階、アセトニトリル及び任意には水を添加する段階、尚、該溶液はかかる添加の後も存在する、沈殿物としてフルバスタチンナトリウムを回収する段階及び該沈殿物を乾燥させる段階を含んで成る方法。
【請求項60】
PXRDパターン(XIV型)3.8、11.1、12.9、17.8及び21.7±0.2度2シータ、(LXXIII)3.9、11.5、17.9、18.4及び21.7±0.2度2シータ(LXXIX)3.9、11.7、15.8、17.8、21.8±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターン、(LXXX)3.9、11.8、17.8、18.4、21.7±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターン、(LXXXVII)3.5、12.5、17.7、19.7、21.4±0.2度2シータにピークを有するPXRDパターンを有する結晶形及びそれらの混合物から成る群から選択される有効量のフルバスタチンナトリウム型、及び医薬として許容される賦形剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項61】
請求項60に記載の医薬組成物から調製された医薬剤形。
【請求項62】
有効量の請求項60に記載の医薬組成物を患者に投与する段階を含んで成る、高コレステロール血症又は高脂血症を患う患者の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−525469(P2007−525469A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517508(P2006−517508)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019879
【国際公開番号】WO2004/113291
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】