説明

フレキシブルプリント基板

【課題】フレキシブルプリント基板の接続端部をコネクタに挿入して接続を行う際に、挿入操作を容易に行えるフレキシブルプリント基板を提供する。
【解決手段】フレキシブルプリント基板10は両端部にコネクタに挿入する端子を備えた接続端部102、103を備えている。また、フレキシブルプリント基板10は、それぞれの接続端部102、103の一方の面に接着剤で貼着されたフィルム状の補強板106、107を備え、補強板106、107の一方(補強板107)は、貼着部109と、非貼着部111とを備え、貼着部109は前記接続端部103に貼着固定し、非貼着部111はフレキシブルプリント基板10に沿って前記接続端部103から離れる方向に延長し、コネクタへの挿入操作の際に補強板107の非貼着部を指で持つことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の部材に設けたコネクタに挿入される接続端部を有するフレキシブルプリント基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のフレキシブルプリント基板は、例えば、下記の特許文献1(特開平5−74121号公報)に開示されているように、フレキシブルな特性を利用して離れた位置にある磁気ディスク装置内部と磁気ディスク装置外部との接続に用いられている。フレキシブルプリント基板は、両端に接続端部を有し、磁気ディスク装置内部と磁気ディスク装置外部とにそれぞれ設けられたコネクタに挿入され、両者を接続する。
【0003】
フレキシブルプリント基板の接続方法は、例えば、下記の特許文献2(特開平11−354223号公報)に開示されているように、フラットなフレキシブルプリント基板の端部に設けられた端子をコネクタのハウジング内に設けられたバネ性のある端子に圧入するものである。この圧入によって、フレキシブルプリント基板がコネクタのハウジングに固定され、接続状態が維持される。
【0004】
また、フレキシブルプリント基板の接続は確実に行われる必要がある。そのため、従来は、例えば、下記の特許文献3(実開平7−19978号公報)に開示されたフレキシブルプリント基板が提案されている。これは、ベース部材の内部空間内にフレキシブルプリント基板の接続端部(端子)を挿入し、内部空間内の端子と接続させるものである。そして、接続端部の近傍には凸状の耳部を設け、この凸状の耳部を押して接続端部の内部空間内への挿入を行い、挿入が完了した状態で凸状の耳部をベース部材に当てるようにしたものである。
【0005】
すなわち、特許文献3に開示されたフレキシブルプリント基板によれば、凸状の耳部の形成位置を、該耳部がベース部材に当接した状態のときに、プレキシブルプリント基板の接続端子がコネクタ等の内部空間内の接続端子部へ完全に挿入されるようにしておき、作業者が耳部をベース部材に当接するまでコネクタ等の内部空間内の接続端子部に挿入することによって正しく接続したことを判別でき、挿入量の不足をなくすことができる。
【0006】
更に、このフレキシブルプリント基板の接続端部には、補強のために補強板が接着剤により貼着され、コネクタへの挿入の際に適度な固さを有するようにすることで作業者が接続作業を行い易くしている。この補強板はサポートテープといわれ、薄いシート状のプラスティックなどのフィルムを用いこれを接着剤により貼着したものである。このサポートテープはまた、コネクタへの挿入に際して挿入治具を用いるような場合に、プレキシブルプリント基板に形成された金属性(導電性)の端子や配線を傷つけることがないようにする保護テープの作用も併せもつ。
【特許文献1】特開平5−74121号公報(段落[0015])
【特許文献2】特開平11−354223号公報(段落[0012])
【特許文献3】実開平7−19978号公報(段落[0010])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献3などに開示されたフレキシブルプリント基板においてはコネクタへの接続(挿入)作業が必要であり、特に携帯電話などの小型の電子装置においては、回路基板自体が小さく、使用されるコネクタも小さいことから、フレキシブルプリント基板自体も小さな寸法になり、接続作業が手間のかかるものになるという問題点があった。また、治具を用いた作業では作業効率を向上させにくく、作業者が手袋をした指先で直接作業が可能であることが好ましい。
又、例えばピンセット等の挿入治具を用いた場合は、治具が接続端部にあたり傷を付けることがある。また、傷をつけないように持つと、挿入時に治具がコネクタの左右に隣接する部品に当り部品を破壊することがある。このような問題を回避するために、製品の設計段階において、部品をコネクタに隣接配置しないように設計すれば良いが、携帯電話等のような装置で基板上の部品が高密度で配置されている為、コネクタと部品を離間して配置するのが困難な場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、接続が確実に素早くできるフレキシブルプリント基板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、コネクタに挿入される接続端部を両端に有するフレキシブルプリント基板において、前記フレキシブルプリント基板はそれぞれの接続端部の一方の面に接着剤で貼着されたフィルム状の補強板を備え、前記補強板の一方は、前記接続端部に貼着固定された貼着部と、前記フレキシブルプリント基板に沿って前記接続端部から離れる方向に延在する非貼着部と、を有することを特徴とする。
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記補強板の非貼着部の端部は、前記接続端部が前記コネクタに挿入された際に、当該コネクタの部材または前記コネクタが設置されたプリント配線基板端と一致する位置にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上述した解決手段により、以下に述べるような優れた効果を奏する。
すなわち、本願の請求項1に係るフレキシブルプリント基板によれば、前記接続端部をコネクタに挿入して接続を行う際に、剛性の大きな前記補強板の非貼着部がフレキシブルプリント基板に沿って大きく延長されているので、該補強板を把持して挿入することができる。特に、前記接続端部は前記コネクタへの挿入方向に対して平行な位置を確実にとることができるので、挿入が迅速に行えるようになる。又、接続端部を傷つける事無く、確実にフレキシブルプリント基板を挿入することが出来る。
【0011】
また、請求項2に係るフレキシブルプリント基板によれば、前記補強板の非貼着部の端部は、前記接続端部が前記コネクタに挿入された状態において当該コネクタを設置した他の部材と一致する位置にあるから、前記接続端部が前記コネクタに確実に挿入されたことの目印になるので、挿入状態が目視でもって容易に確認でき、不十分な挿入のままで接続不良となってしまう作業ミスを減少させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのフレキシブルプリント基板を例示するものであって、本発明をこのフレキシブルプリント基板に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のフレキシブルプリント基板にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0013】
以下、本発明のフレキシブルプリント基板を、携帯電話機のような小型の電子機器に適用した実施例について説明する。図1は本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板の正面図、図2は本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板の背面図、図3は本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板を用いて二枚のプリント配線基板間を接続した状態を示す斜視図、図4は本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板を用いて二枚のプリント配線基板間を接続した状態を示す正面図、図5は図4の側面図である。
【0014】
図1、図2において、フレキシブルプリント基板10は、基板101と、基板101の一端側に設けた第一の接続端部102と、基板101の他端側に設けた第二の接続端部103と、第一の接続端部102の表面に露出して設けられた第一の端子104と、第二の接続端部103の表面に露出して設けられた第二の端子105と、第一の接続端部102の裏面に貼着固定された第一の補強板106と、第二の接続端部103の裏面に貼着固定された基板101に沿って延長した第二の補強板107とから形成されている。
【0015】
第一の補強板106は基板101に比し剛性の大きなフィルム状の材料によって形成されている。この第一の補強板106は、第一の接続端部102が後述するコネクタに挿入された際にコネクタから若干露出する位置まで第一の接続端部102に貼着固定されている。この第一の補強板106の露出部分には、コネクタへの完全な挿入状態の際にコネクタに当接する耳部108が設けられている。
【0016】
第二の補強板107は、同じく基板101に比し剛性の大きなフィルム状の材料で形成されている。この第二の補強板107は、第二の接続端部103が後述するコネクタに挿入された際にコネクタから若干露出するように第二の接続端部103に貼着固定されている。更に、第二の補強板107は、基板10に貼着固定された貼着部109と、第二の接続端部103から離れる方向に延長して設けられた非貼着部111を有し、この非貼着部111はフレキシブルプリント基板10に沿って延在する。
【0017】
また、第二の補強板107の露出部分には、コネクタへの完全な挿入の際にコネクタのハウジングに当接する耳部112が設けられている。すなわち、この耳部112はフレキシブルプリント基板10の幅方向に所定の長さだけ基板101の側端から突出するように形成され、接続端部102、103よりも中央寄りに設けられており、端子104、105がコネクタへ正しく挿入された場合にコネクタのハウジングに当接するように形成されている。
【0018】
図3、図4及び図5において、20は例えば携帯電話等の電子機器の部材である下側プリント配線基板、30は同じく携帯電話等の電子機器の部材である上側プリント配線基板であって、互いに平行に接近して配置されている。40はフレキシブルプリント基板10の第一の接続端部102が接続される下側コネクタであって、下側プリント配線基板20に取り付けられ、50は第二の接続端部103が接続される上側コネクタであって上側プリント配線基板30に取り付けられる。下側コネクタ40は内部に複数の端子が並べて配置され、コネクタハウジングの端面には開口部401が形成されている。上側コネクタ50も同様に内部に複数の端子が並べて配置され、コネクタハウジングの端面に開口部501が形成されている。そして、開口部401と開口部501とは同一方向を向いている。また、下側コネクタ40は端子押え板402を有し、上側コネクタ50は端子押え板502を有している。
【0019】
補強板107の非貼着部111の、第二の接続端部103から離れた位置にある端部110は、フレキシブルプリント基板10をU字型に折り曲げ、第一の接続端部102を下側コネクタ40に、また第二の接続端部103を上側コネクタ50に完全に挿入した状態において、下側コネクタ40が設置された下側プリント配線基板20の縁端部と位置が揃うようにされる。
【0020】
また、フレキシブルプリント基板10は、図1で示すように、基板101上にフレキシブルプリント基板10の種別を示す認識マーク113が印刷されている。同じく基板101上には、直線114が基板101を横断するように印刷されているが、その位置は、第一の接続端部102と下側コネクタ40とが接続されたときに上側プリント配線基板30の縁301と一致する位置である。
【0021】
ここで、コネクタの端子は一般的にはハウジングの内部空間(フレキシブルプリント基板が挿入される空間)の下側に配されているが、下側コネクタ40においては内部空間の上側に配されている。もし、下側コネクタ40において、端子が内部空間の下側に配されている場合は、第一の端子104は第一の接続端部102の裏面側に設ける。尚、この端子はこのような構成に限られるものではなく、フレキシブルプリント基板の両面に導電性端子を形成したものであってもよい。
【0022】
次に、上述した本発明の実施例に用によるフレキシブルプリント基板10の接続について説明する。
【0023】
まず、使用者は、認識マーク113によってフレキシブルプリント基板10が下側コネクタ40と上側コネクタ50との接続に用いるものであることの確認をとる。
【0024】
次に、使用者は、フレキシブルプリント基板10の第一の接続端部102と下側コネクタ40との接続を行う。この接続は、耳部108が下側コネクタ40に当接するまで、第一の接続端部102を開口部401に挿入することによって行う。この挿入が完了した状態においては、上側プリント配線基板30の上方から見たとき、上方プリント基板30の縁301と直線114が同一線上に一致するので、確実な挿入が行われたことを確認できる。
【0025】
その後、端子押え板402をスライドさせて第一の端子104と下側コネクタ40の端子とを密接させる。これにより、第一の接続端部102は第一のコネクタ40に固着されて接続状態が維持される。
【0026】
次いで、フレキシブルプリント基板10の第二の接続端部103と上側コネクタ50との接続を行う。
【0027】
この挿入操作は、第二の補強板107の非貼着部111を指、又はピンセットでつまむようにして持つことによって行う。非貼着部111は他の接続端部103から離れるように大きく延長しているのでつまみ易い。剛性の大きい材料で形成されている第二の補強板107でもって、第二の接続端部103が開口部501への挿入方向に平行になるようにさせることができる。
【0028】
このように挿入方向に対して平行な状態を維持したまま、第二の接続端部103は、耳部112が上側コネクタ50に当接するまで上側コネクタ50の開口部501に挿入される。この挿入が完了すると、上側プリント配線基板30の上方から見たときに、非貼着部111の端部110と下側プリント配線基板20の縁201とが同一線上に一致するので、確実な挿入が行われたことを目視で確認できる。
【0029】
その後、端子押え板502をスライドさせて第二の端子105と上側コネクタ50の端子とを密接させる。従って、第二の接続端部103は他方のコネクタ50に固着されて接続状態が維持される。
【0030】
上述した本発明の実施例によれば、互いに重なった位置にある下側コネクタ40と上側コネクタ50とをフレキシブルプリント基板10で接続する場合、先に接続する第一の接続端部102と下側コネクタ40との接続操作はフレキシブルプリント基板10全体を持って行うので比較的容易である。
【0031】
後から接続する第二の接続端部103と上側コネクタ50との接続操作は、大きく突出している第二の補強板107を持って行うので容易である。特に、第二の補強板107は、大きな剛性を有するとともに非貼着部111が第二の接続端部103から離れて大きく延長しているので、フレキシブルプリント基板10が小型であったり、他の部材が接近したりしている場合であっても手やピンセットでつまむことが容易である。
【0032】
また、第一の接続端部102の下側コネクタ40への挿入状態は、耳部108が下側コネクタ40に当接することで確認できる。同時に、目視による直線114と上側プリント配線基板30の縁301との一致によっても確認できる。
【0033】
更に、第二の接続端部103の上側コネクタ50への挿入状態は、耳部112が上側コネクタ50に当接することで確認できる。同時に、目視による非貼着部111の端部110と下側プリント配線基板20の縁201との一致によっても確認できる。この場合、既存の下側プリント配線基板20の縁201をそのまま利用するので構成が簡単である。
【0034】
尚、本発明の実施例においては、下側プリント配線基板20と上側プリント配線基板30とが平行になっており、フレキシブルプリント基板10が折り曲がるように大きく湾曲されているが、本発明はこれに限定されることなく、例えば下側プリント配線基板20と上側プリント配線基板30とが直行したものに適用し、フレキシブルプリント基板10が直角に折り曲がるように湾曲されていてもよい等、種々の状態のものに適用できる。
【0035】
尚、また、本発明の実施例においては、挿入状態の確認は第二の補強板107の非貼着部111の端部110と下側プリント配線基板20の縁201との位置の一致を目視によって行っているが、本発明はこれに限定されることなく、目印となるものを縁201以外の部材に替えて非貼着部111の端部110との位置の一致を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板の正面図である。
【図2】本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板の背面図である。
【図3】本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板を用いて二枚のプリント配線基板間を接続した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例におけるフレキシブルプリント基板を用いて二枚のプリント配線基板間を接続した状態を示す正面図である。
【図5】図4の側面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 フレキシブルプリント基板
20 下側プリント配線基板
30 上側プリント配線基板
40 下側コネクタ
50 上側コネクタ
101 基板
102 第一の接続端部
103 第二の接続端部
104 第一の端子
105 第二の端子
106 第一の補強板
107 第二の補強板
109 貼着部
111 非貼着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタに挿入される接続端部を両端に有するフレキシブルプリント基板において、
前記フレキシブルプリント基板はそれぞれの接続端部の一方の面に接着剤で貼着されたフィルム状の補強板を備え、
前記補強板の一方は、前記接続端部に貼着固定された貼着部と、前記フレキシブルプリント基板に沿って前記接続端部から離れる方向に延在する非貼着部と、を有することを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
前記補強板の非貼着部の端部は、前記接続端部が前記コネクタに挿入された際に、当該コネクタの部材または前記コネクタが設置されたプリント配線基板端と一致する位置にあることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−53502(P2008−53502A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228848(P2006−228848)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】