説明

フレキシブルプリント配線板の集合シート

【課題】実装部品の実装位置が、フレキシブルプリント配線板の外周と近い場合でも、つなぎ部分を設けることができることで、安定した部品実装と設計の自由度を確保することができるフレキシブルプリント配線板の集合シートの提供を課題とする。
【解決手段】電子部品の実装領域32aを備える複数のフレキシブルプリント配線板30が、外枠10から延出されるつなぎ部10aと分離可能に接続されてなるフレキシブルプリント配線板の集合シート1であって、前記フレキシブルプリント配線板30と前記つなぎ部10aとの境界領域Kを、該境界領域Kの一部を開口形状にカットしてなる1乃至複数のカット領域Cと、該カット領域を除いた非カット領域Dとを前記つなぎ部10aの幅方向に組み合わせて構成してあるフレキシブルプリント配線板の集合シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のフレキシブルプリント配線板を配置してなるフレキシブルプリント配線板の集合シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器の内部には、コネクター等の電子部品が実装されたフレキシブルプリント配線板が配設されている。
このようなフレキシブルプリント配線板は、基板製造、クリーム半田印刷、電子部品の実装の効率化等を図るために、同じフレキシブルプリント配線板を複数枚配置してなるフレキシブルプリント配線板の集合シートを使用し、この1枚のフレキシブルプリント配線板の集合シートから、多数枚取りすることで製造されるものが一般的である。
このようなフレキシブルプリント配線板の集合シートを示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−24292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、可撓性回路基板の支持構造に関する発明で、部品実装部と一体に形成されたケーブル部を有する可撓性回路基板を実装段階まで適正な状態に保持できるメリットがある。
しかし上記特許文献1における可撓性回路基板の支持構造のような従来のフレキシブルプリント配線板の集合シートにおいては、部品実装部3、4、5に電子部品を実装し、その後、金型で連結保持部(つなぎ部分)9を打ち抜くことで、不要となる外枠10から可撓性多層回路基板2を分離する構成となる。
よって実装部品の実装位置が、フレキシブルプリント配線板の外周と近い場合には、連結保持部(つなぎ部分)を設けることができず、安定した部品実装を行うことができないという問題があった。
またこのような問題に対して、実装部品の実装位置を、フレキシブルプリント配線板の外周と近い位置に設けない構成等も考えられるが、実装部品の位置精度が悪く、設計の自由度が失われるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術における問題点を解消し、実装部品の実装位置が、フレキシブルプリント配線板の外周と近い場合でも、つなぎ部分を設けることができることで、安定した部品実装と設計の自由度を確保することができるフレキシブルプリント配線板の集合シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフレキシブルプリント配線板の集合シートは、電子部品の実装領域を備える複数のフレキシブルプリント配線板が、外枠から延出されるつなぎ部と分離可能に接続されてなるフレキシブルプリント配線板の集合シートであって、前記フレキシブルプリント配線板と前記つなぎ部との境界領域を、該境界領域の一部を開口形状にカットしてなる1乃至複数のカット領域と、該カット領域を除いた非カット領域とを前記つなぎ部の幅方向に組み合わせて構成してあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、フレキシブルプリント配線板の集合シートは、電子部品の実装領域を備える複数のフレキシブルプリント配線板が、外枠から延出されるつなぎ部と分離可能に接続されてなるフレキシブルプリント配線板の集合シートであって、前記フレキシブルプリント配線板と前記つなぎ部との境界領域を、該境界領域の一部を開口形状にカットしてなる1乃至複数のカット領域と、該カット領域を除いた非カット領域とを前記つなぎ部の幅方向に組み合わせて構成してあることから、実装部品の実装位置がフレキシブルプリント配線板の外周と近い場合でも、つなぎ部分を設けることができる。
よって安定した部品実装と設計の自由度を確保することができる。
【0008】
また本発明のフレキシブルプリント配線板の集合シートは、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記カット領域と、前記非カット領域とを、前記フレキシブルプリント配線板と前記つなぎ部との分離予定線に沿って交互に配置させてあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記カット領域と、前記非カット領域とを、前記フレキシブルプリント配線板と前記つなぎ部との分離予定線に沿って交互に配置させてあることから、実装部品の実装後にフレキシブルプリント配線板と外枠とを容易に分離させることができる。
【0010】
また本発明のフレキシブルプリント配線板の集合シートは、上記本発明の第1又は第2の特徴に加えて、前記カット領域を、前記非カット領域が前記フレキシブルプリント配線板に向けて狭まるようなアーチ形状としてあることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、前記カット領域を、前記非カット領域が前記フレキシブルプリント配線板に向けて狭まるようなアーチ形状としてあることから、実装部品の実装後にフレキシブルプリント配線板と外枠とを一段と容易に分離させることができる。
【0012】
また本発明のフレキシブルプリント配線板の集合シートは、上記本発明の第2又は第3の特徴に加えて、前記分離予定線を、前記フレキシブルプリント配線板の外周よりも前記実装領域の側へと窪ませた位置にオフセットさせて形成してあることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、上記本発明の第2又は第3の特徴による作用効果に加えて、前記分離予定線を、前記フレキシブルプリント配線板の外周よりも前記実装領域の側へと窪ませた位置にオフセットさせて形成してあることから、フレキシブルプリント配線板と外枠とを分離させた際に、フレキシブルプリント配線板に凹凸(いわゆるバリ)が生じた場合であっても、凹凸をフレキシブルプリント配線板の外周よりも内側におさめることができる。よって電子機器の内部にフレキシブルプリント配線板を配設する際等に、凹凸によって電子機器の内部が破損することを効果的に防止することができる。
【0014】
また本発明のフレキシブルプリント配線板の集合シートは、上記本発明の第1〜第4の何れか1つの特徴に加えて、前記フレキシブルプリント配線板における前記境界領域の近傍領域に、導電性金属からなる補強層を形成してあることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、上記本発明の第1〜第4の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、前記フレキシブルプリント配線板における前記境界領域の近傍領域に、導電性金属からなる補強層を形成してあることから、フレキシブルプリント配線板と外枠とを分離させる際に、フレキシブルプリント配線板が裂けることを効果的に防止することができる。よって加工精度の高いフレキシブルプリント配線板とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフレキシブルプリント配線板の集合シートによれば、実装部品の実装位置が、フレキシブルプリント配線板の外周と近い場合でも、つなぎ部分を設けることができることで、安定した部品実装と設計の自由度を確保することができる。
また実装部品の実装後にフレキシブルプリント配線板と外枠とを容易に分離させることができる。
またフレキシブルプリント配線板と外枠とを分離させた際に、フレキシブルプリント配線板に凹凸(いわゆるバリ)が生じた場合であっても、凹凸をフレキシブルプリント配線板の外周よりも内側におさめることができる。よって電子機器の内部にフレキシブルプリント配線板を配設する際等に、凹凸によって電子機器の内部が破損することを効果的に防止することができる。
またフレキシブルプリント配線板と外枠とを分離させる際に、フレキシブルプリント配線板が裂けることを効果的に防止することができる。よって加工精度の高いフレキシブルプリント配線板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シートを示す図で、(a)はフレキシブルプリント配線板の集合シートの全体平面図、(b)は(a)のa―a線における断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シートにおける1枚のフレキシブルプリント配線板を示す図で、(a)はフレキシブルプリント配線板の全体平面図、(b)は(a)におけるフレキシブルプリント配線板とつなぎ部との境界領域を拡大して示す平面図である。
【図3】従来のフレキシブルプリント配線板の集合シートにおける1枚のフレキシブルプリント配線板を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シートの製造工程における、特にフレキシブルプリント配線板とつなぎ部との境界領域を拡大して示す図で、(a)はカット領域を形成する工程を示す平面図、(b)は外枠、つなぎ部、フレキシブルプリント配線板を形成する工程を示す平面図、(c)はフレキシブルプリント配線板の集合シートが完成した状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シートの変形例を示し、フレキシブルプリント配線板とつなぎ部との境界領域を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート及びその製造工程を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0019】
まず図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シートについて説明する。
【0020】
本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1は、電子部品の実装領域を備える複数のフレキシブルプリント配線板が、外枠から延出されるつなぎ部と分離可能に接続されてなるフレキシブルプリント配線板の集合シートである。
このフレキシブルプリント配線板の集合シート1は、図1に示すように、外枠10と、スリット20と、フレキシブルプリント配線板30とから構成される。これら外枠10と、スリット20と、フレキシブルプリント配線板30とは、後述する1枚の原板40を加工することで形成される。
またフレキシブルプリント配線板の集合シート1に設けられる各フレキシブルプリント配線板30は、電子部品が実装された後、各フレキシブルプリント配線板30と外枠10とを分離することで、製品として利用されることになる。
【0021】
前記外枠10は、複数のフレキシブルプリント配線板30に電子部品を実装する際の支持体となるものである。
また外枠10には、図1(a)に示すように、その一部をフレキシブルプリント配線板30の方向へ延出させたつなぎ部10aを設けてある。
このつなぎ部10aは、フレキシブルプリント配線板30の外周における所定位置と分離可能に接続され、フレキシブルプリント配線板30を外枠10に支持させるためのものである。
なお、ここで「所定位置」とは、フレキシブルプリント配線板30における、電子部品を実装する実装領域の近傍位置及び/又は電子部品を実装する際、フレキシブルプリント配線板にぐらつきやズレ、浮き等を生じさせることなく保持することができる位置のことを意味するものとする。
また本実施形態においては、図2(a)に示すように、フレキシブルプリント配線板30の外周の4箇所につなぎ部10a(10a―1〜10a―4)を設ける構成としてある。
また外枠10は、図1(b)に示すように、基材11と、該基材11に積層される絶縁層12とで形成されている。
勿論、つなぎ部10aの数等は本実施形態のものに限るものではなく、フレキシブルプリント配線板の構成に合わせて適宜変更可能である。
【0022】
前記基材11は、外枠10の基台となるものであり、絶縁性の樹脂フィルムで形成されている。
樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等、フレキシブルプリント配線板の集合シートの外枠を形成する樹脂フィルムとして通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているものが望ましい。例えばポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムや、ポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。
また耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等、フレキシブルプリント配線板を形成する耐熱性樹脂として通常用いられるものであれば、如何なるものであってもよい。
また基材11の厚みは、8μm〜25μm程度とすることが望ましい。
【0023】
前記絶縁層12は、基材11に積層される絶縁材料からなる層である。
絶縁材料としては、ポリイミドフィルム、感光性レジスト、液状レジスト等を用いることができる。
なお絶縁層12は、例えばポリイミドフィルムを熱硬化性接着剤等からなる接着剤を介して基材11に貼り付け、熱プレスすることで形成することができる。
また絶縁層12の厚みは、8μm〜25μm程度とすることが望ましい。
【0024】
前記スリット20は、外枠10とフレキシブルプリント配線板30の外周との間に形成される、切欠部(切断領域)である。
このスリット20は、金型による打ち抜き加工やルーター等による切除加工等を用いて、フレキシブルプリント配線板30の外周に沿って、外枠10を所定の間隔をもって加工することで形成される。
【0025】
前記フレキシブルプリント配線板30は、つなぎ部10aを介して外枠10に支持されるプリント配線板である。なお本実施形態においては、フレキシブルプリント配線板の集合シート1に配置される複数枚のフレキシブルプリント配線板30は、全て同一仕様のフレキシブルプリント配線板で形成する構成としてある。
またフレキシブルプリント配線板30は、電子部品が実装された後、つなぎ部10aを介して外枠10を引っ張る等することで、外枠10と分離され、製品としてのフレキシブルプリント配線板30となる。
このフレキシブルプリント配線板30は、図1(b)に示すように、基材の片面に導電層を積層してなる、いわゆる片面フレキシブルプリント配線板であり、フレキシブルプリント配線板30の基台となる基材31と、導電層32と、フレキシブルプリント配線板30の絶縁を確保するための絶縁層33とから形成される。
なお基材31と、絶縁層33とは、既述した外枠10の基材11及び絶縁層12と同一部材で形成されるものであることから、以下の詳細な説明は省略するものとする。
【0026】
前記導電層32は、回路配線や、回路パターン等を形成するための導電性金属箔からなる層である。
本実施形態においては、図1(a)に簡略化して示すように、導電層32に、電子部品
を実装するための電極等が露出状態にある実装領域32aと、回路パターンを備える回路
パターン形成領域32bと、回路配線32cとを形成してある。
なお、回路配線32c及び図示しない電極、回路パターン等は、導電層32をエッチングする等の公知の形成方法を用いて形成することができる。
また本実施形態においては、図1(a)、図2(a)に破線で示す実装領域32aと同一大きさの電子部品が実装領域32aに実装されるものとする。
勿論、プリント配線板30の構成(回路配線32cの数や形成位置、電子部品の大きさ等)は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0027】
また本実施形態においては、導電性金属箔として銅(Cu)を用いている。
勿論、銅(Cu)に限るものではなく、フレキシブルプリント配線板の導電層を形成する導電性金属箔として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また導電層32の厚みは、8μm〜35μm程度とすることが望ましい。
【0028】
また本実施形態においては、図2(b)に一部を示すように、フレキシブルプリント配線板30とつなぎ部10aとの境界領域Kの全てを、境界領域Kの一部を開口形状にカットしてなる3つのカット領域Cと、カット領域Cを除いた2つの非カット領域Dとをつなぎ部10aの幅方向に組み合わせて構成してある。
より具体的には、カット領域Cと、非カット領域Dとを、つなぎ部10aとフレキシブルプリント配線板30との分離予定線Bに沿って、交互に配置させてある。
なおここで「分離予定線」とは、フレキシブルプリント配線板30とつなぎ部10aとの境界線のことを意味するものとする。
【0029】
このような構成とすることで、実装部品の実装後に金型で境界領域Kを打ち抜くことなく、引っ張る等するだけで、フレキシブルプリント配線板30と外枠10とを分離させることができる。
よって図2(a)に示すように、電子部品(図示しない)とフレキシブルプリント配線板30の外周との間隔が、長さEのようにある程度長い場合は勿論のこと、長さFのように短い場合であっても、つなぎ部10aを設けることができる。
より具体的には、電子部品からフレキシブルプリント配線板30の外周までの長さFが1.0mm未満となる場合であっても、つなぎ部10aを設けることができる。
よって図2(a)に示すように、4つのつなぎ部10a―1〜10a―4を、フレキシブルプリント配線板30の外周のうち、電子部品を実装する実装領域32aの近傍位置で且つ電子部品を実装する際にフレキシブルプリント配線板30にぐらつきやズレ、浮き等を生じさせることなく保持することができる位置に設けることができる。
従って実装領域32aに安定して電子部品を実装することができる。
また電子部品をフレキシブルプリント配線板30の外周に近い位置にも実装することが可能となることで、設計の自由度を確保することができる。
【0030】
つまり図3に示すように、電子部品の実装後につなぎ部を金型で打ち抜く外形加工を行い、製品としての各フレキシブルプリント配線板を製造する従来のフレキシブルプリント配線板の集合シート2においては、電子部品の実装位置がフレキシブルプリント配線板300の外周と近い場合(図3に示す長さFのような場合)、電子部品の実装後につなぎ部を金型で打ち抜くことが困難であることから、つなぎ部を設けることなく、電子部品の実装前に金型でトリミング加工を行うものが一般的であった。
よって図3に示すように、実装領域320a―1の近傍位置にはつなぎ部100aが設けられず、フレキシブルプリント配線板300が、3箇所のつなぎ部100a―2〜100a―4で支持される構成となる。
よってフレキシブルプリント配線板は薄肉性を特徴とするものであることから、実装領域320a―1に電子部品を実装する際(特にリフロー時において)、フレキシブルプリント配線板300にぐらつきやズレ、浮き等が生じ、電子部品を安定して実装することができないという問題があった。
このような問題に対して、実装領域320a―1をフレキシブルプリント配線板300の外周と近い位置に設けない構成等も考えられるが、実装部品の位置精度が悪く、設計の自由度が失われるという問題があった。
なお、従来のフレキシブルプリント配線板の集合シート2は、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1に比して、つなぎ部の構成のみを異なる構成とするものである。よって本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1と同一部材、同一機能を果たすものには、上2桁の番号及びアルファベットに同一番号、同一アルファベットを付し、以下の説明を省略するものとする。
【0031】
これに対して本発明の実施形態の構成とすることで、電子部品の実装位置がフレキシブルプリント配線板の外周と近い場合でも、実装領域32aに安定して電子部品を実装することができる。またフレキシブルプリント配線板30の外周に近い位置にも電子部品を実装することが可能となることで、設計の自由度を確保することができる。
【0032】
また本実施形態においては、図2(b)に示すように、カット領域Cと、非カット領域Dとを、つなぎ部10aとフレキシブルプリント配線板30との分離予定線Bに沿って交互に配置させてある。
このような構成とすることで、つなぎ部10aとフレキシブルプリント配線板30との境界線をいわゆるミシン目形状に形成することができる。よって実装部品の実装後につなぎ部10aを介して外枠10をフレキシブルプリント配線板30から引っ張る等するだけで、外枠10とフレキシブルプリント配線板30とを容易に分離させることができる。
更にカット領域Cを、非カット領域Dがフレキシブルプリント配線板30に向けて狭まるようなアーチ形状としてある。
このような構成とすることで、非カット領域Dの幅を、フレキシブルプリント配線板30に近づくにつれて狭めることができ、分離予定線Bで非カット領域Dの幅を最小な幅とすることができる。よって実装部品の実装後に外枠10とフレキシブルプリント配線板30とを一段と容易に分離させることができる。
【0033】
なお図2(b)に示す、つなぎ部10aの幅Lは、1.5mm〜2.0mm程度とすることが望ましい。
またカット領域Cの直径は、0.4mm〜0.9mm程度とすることが望ましい。
また非カット領域Dの先端部の幅Mは、0.3mm程度とすることが望ましい。
なおカット領域C、非カット領域Dの数、形成位置等は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。但し、カット領域Cと、非カット領域Dとをつなぎ部10aの幅方向に組み合わせて形成することが必要である。
また好適には、カット領域Cと、非カット領域Dとを、つなぎ部10aとフレキシブルプリント配線板30との分離予定線Bに沿って、交互に配置させることが望ましい。
またカット領域Cの形状も本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。例えばカット領域Cを四角形とすることができる。が、非カット領域Dがフレキシブルプリント配線板30に向けて狭まるような形状とすることが望ましい。
【0034】
更に本実施形態においては、図2(b)に1点鎖線で示すように、フレキシブルプリント配線板30における境界領域Kの近傍領域に、導電性金属からなる補強層32dを形成してある。
このような構成とすることで、外枠10とフレキシブルプリント配線板30とを分離させる際に、フレキシブルプリント配線板30が裂けることを効果的に防止することができる。よって加工精度の高いフレキシブルプリント配線板30とすることができる。
なお導電性金属としては、銅を用いることができる。
また補強層32dの縦の長さPは、0.2mm〜0.3mm程度とすることが望ましい。また横の長さQは、境界領域Kを構成するフレキシブルプリント配線板30の幅と略同一長さとすることが望ましい。
更に補強層32dからフレキシブルプリント配線板30の外周までの長さRは、0.2mm程度とすることが望ましい。
【0035】
次に図4を参照しつつ、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1の製造工程を、特に境界領域Kの形成過程を参照しながら説明することとする。
まずフレキシブルプリント配線板の集合シート1を形成するための原板40を用意する。
この原板40は、詳しくは図示しないが、基材、基材に積層される導電層、基材及び導電層を被覆する絶縁層からなり、後にフレキシブルプリント配線板30となる領域における導電層の所定位置に、実装領域32a、回路パターン形成領域32b、回路配線32c、補強層32dを形成してあるものである。
図4(a)を参照して、まず第1工程として、原板40における所定領域(後に境界領域Kとなる領域)に、穴明け型を用いてカット領域Cを3つ形成する。これにより原板40にカット領域Cが形成される。
なお図4において斜線で示す領域は、加工後に原板40が除去される領域を示すものとする。
そして図4(b)を参照して、第2工程として、斜線で示す領域(後に外枠10、つなぎ部10a、フレキシブルプリント配線板30となる領域以外の領域)を金型を用いてトリミングする。なお図4(b)においては説明の便宜上、既に形成されているカット領域Cを破線で示すものとする。
以上の工程を経ることで、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1が製造される。
このように本発明に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1の製造工程においては、カット領域Cを形成することで、非カット領域Dが形成されることを特徴としている。
【0036】
このように製造されるフレキシブルプリント配線板の集合シート1は、例えば各フレキシブルプリント配線板30に電子部品が実装された後、電子部品を上にして作業台に載置され、電子部品が実装されていない部分のフレキシブルプリント配線板30を軽く押さえた状態で、つなぎ部10aを形成してある箇所の外枠10を引っ張ることで、各フレキシブルプリント配線板30と外枠10とが分離され、製品として利用されることになる。
なおフレキシブルプリント配線板の集合シート1から各フレキシブルプリント配線板30を分離させる方法は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
例えば図4(b)を参照して、斜線で示す領域(後に外枠10、つなぎ部10a、フレキシブルプリント配線板30となる領域以外の領域)を金型を用いてトリミングする際に、同時加工で分離させる方法を用いることができる。
【0037】
次に図5を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1の変形例を説明する。
本変形例は、分離予定線をフレキシブルプリント配線板の外周よりも実装領域の側へと窪ませた位置にオフセットさせて形成してある構成とするものである。その他の構成は既述した本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1と同一構成である。
よって本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の集合シート1と同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号、同一アルファベット付し、以下の説明を省略するものとする。
【0038】
このような構成とすることで、フレキシブルプリント配線板30と外枠10とを分離させた際に、フレキシブルプリント配線板30に凹凸(いわゆるバリ)が生じた場合であっても、凹凸をフレキシブルプリント配線板30の外周よりも内側におさめることができる。よって電子機器の内部にフレキシブルプリント配線板30を配設する際等に、凹凸によって電子機器の内部が破損することを効果的に防止することができる。
なお分離予定線Bをフレキシブルプリント配線板30の外周よりも実装領域の側へと窪ませる長さSは、0.2mm程度とすることが望ましい。
【0039】
なお本発明の実施形態においては、フレキシブルプリント配線板とつなぎ部との境界領域の全てにカット領域と非カット領域とを形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。但し、少なくとも実装部品の実装位置がフレキシブルプリント配線板の外周と近い境界領域は、カット領域と非カット領域とをつなぎ部の幅方向に組み合わせて構成することが必要である。
また本発明の実施形態においては、フレキシブルプリント配線板をいわゆる片面フレキシブルプリント配線板とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、いわゆる両面フレキシブルプリント配線板や多層フレキシブルプリント配線板とする構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、フレキシブルプリント配線板の集合シートにおいて、実装部品の実装位置がフレキシブルプリント配線板の外周と近い場合でも、つなぎ部分を設けることができることで、安定した部品実装と設計の自由度を確保することができる。
よってフレキシブルプリント配線板の集合シートの分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0041】
1 フレキシブルプリント配線板の集合シート
2 フレキシブルプリント配線板の集合シート
10 外枠
10a つなぎ部
10a―1 つなぎ部
10a―2 つなぎ部
10a―3 つなぎ部
10a―4 つなぎ部
11 基材
12 絶縁層
20 スリット
30 フレキシブルプリント配線板
31 基材
32 導電層
32a 実装領域
32b 回路パターン形成領域
32c 回路配線
32d 補強層
33 絶縁層
40 原板
100 外枠
100a つなぎ部
100a―2 つなぎ部
100a―3 つなぎ部
100a―4 つなぎ部
200 スリット
300 フレキシブルプリント配線板
320a 実装領域
320a―1 実装領域
320b 回路パターン形成領域
320c 回路配線
B 分離予定線
C カット領域
D 非カット領域
E 長さ
F 長さ
K 境界領域
L 幅
M 幅
P 長さ
Q 長さ
R 長さ
S 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の実装領域を備える複数のフレキシブルプリント配線板が、外枠から延出されるつなぎ部と分離可能に接続されてなるフレキシブルプリント配線板の集合シートであって、前記フレキシブルプリント配線板と前記つなぎ部との境界領域を、該境界領域の一部を開口形状にカットしてなる1乃至複数のカット領域と、該カット領域を除いた非カット領域とを前記つなぎ部の幅方向に組み合わせて構成してあることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の集合シート。
【請求項2】
前記カット領域と、前記非カット領域とを、前記フレキシブルプリント配線板と前記つなぎ部との分離予定線に沿って交互に配置させてあることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の集合シート。
【請求項3】
前記カット領域を、前記非カット領域が前記フレキシブルプリント配線板に向けて狭まるようなアーチ形状としてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板の集合シート。
【請求項4】
前記分離予定線を、前記フレキシブルプリント配線板の外周よりも前記実装領域の側へと窪ませた位置にオフセットさせて形成してあることを特徴とする請求項2又は3に記載のフレキシブルプリント配線板の集合シート。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント配線板における前記境界領域の近傍領域に、導電性金属からなる補強層を形成してあることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のフレキシブルプリント配線板の集合シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−129472(P2012−129472A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282037(P2010−282037)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】